本発明者らは、トナーに関する構成材料及び製造法に関して検討を進め、結着樹脂、離型剤A及び離型剤Bを含有するトナーにおいて、
該結着樹脂はスチレン−アクリル樹脂であり、
該離型剤Aは数平均分子量が1300以上である4官能以上6官能以下のエステル化合物であり、該離型剤Bは数平均分子量が1000以下である1又は2官能のエステル化合物であり、
該トナーの120℃を基準温度とした時のマスターカーブにおいて、その時のシフトファクターaTから求められる活性化エネルギーをEa(kJ/mol)とし、該トナーをテトラヒドロフラン(THF)によるソックスレー抽出した時の結着樹脂の架橋成分に由来するTHF不溶分がS(質量%)含有されるときに以下の関係式(1)を満たすことで、
Ea≦5.0×S 式(1)
多様な使用環境においても優れた低温定着性を示し、また、優れた離型性を示すことで加圧ローラ汚れなどの定着部材汚染抑制を両立した上で、耐久使用時における画質安定性を向上させることが可能になることを見出した。
定着部材汚染の1つである加圧ローラ汚れ抑制のためには定着ローラや定着フィルムからのトナーの離型性が重要となる。また、低温定着性との両立を達成するためにはトナーの溶融粘度を下げる必要がある。
この低温定着性と離型性の両立に対し、本発明者らは両効果を最大限に発揮するために2種の離型剤と樹脂の変形しやすさを最適化することで、所望のトナーの可塑効果と離型効果を得ることを可能とした。
本発明のポイントは分子量の異なるエステル化合物を組み合わせ、更にトナーの活性化エネルギーEaとTHF不溶分Sの関係を制御することで、離型剤1種もしくは単純に2種使用した場合では得られない樹脂の可塑効果と離型効果に加え、耐久時の現像性劣化を防ぐことにある。
これらの効果を発現するために本発明者らは以下のように考え、離型剤及び樹脂を最適化することにより本発明に至った。
まず、離型剤の大きな目的として樹脂への可塑効果とトナー表面への染み出しによる離型効果が挙げられる。
本発明では定着時の離型剤による樹脂可塑効果と染み出しのタイミングを細かく制御し、相乗効果を得ることで、所望の効果を得ることを可能とした。
本発明では、2種の離型剤の内、1つの離型剤により樹脂を可塑化し低温定着性を得ると共に、可塑化された樹脂にすることでもう1つの離型剤のトナー表面への染み出しを促進し、高い離型性を得ることで、定着性と離型性を良化させることができると考えられる。
このように離型剤2種が相互に作用し合う状態を作り出すことで、上記のような相乗効果を得ることが可能となり、本発明における所望の離型性と低温定着性を得ることが可能となる。
そのため、本発明の場合、離型剤A及び離型剤Bを含有するトナーにおいて、離型剤A及び離型剤Bの両離型剤を、同種であるエステル化合物とすることで同極性とし、結着樹脂中での存在状態をお互い離れ過ぎず、相互に作用することが可能な存在状態にすることが重要となる。
その上で、本発明では主として樹脂への可塑効果を示す離型剤の樹脂可塑効果を、より効果的に樹脂全体へ作用させるために、主としてトナー表面に染み出して離型性を担う離型剤により、可塑を担う離型剤を押し出す作用を得ることが重要となる。
また、離型剤Aの官能基数を4官能以上6官能以下とし、数平均分子量を1300以上とすることで結着樹脂中で比較的大きなドメインで存在しやすい離型剤とし、樹脂への可塑作用よりも、主としてトナー表面へ染み出す作用を起こしやすい離型剤とすることができると考えられる。
また、離型剤Bの官能基数を1官能または2官能とし、数平均分子量が1000以下とすることで相対的に小さなドメインで存在させ、主として樹脂への可塑作用を起こしやすい離型剤とすることができると考えられる。
このように、極性が大きく安定な離型剤Aに対し、離型剤Aと比較し極性の小さく不安定な離型剤Bが定着時に初めに溶融し、微分散しやすい。
その後に相対的に安定な離型剤Aが溶融し、離型剤Bを押出す効果を得ることで離型剤Bはトナー中の結着樹脂に対し、より早く、より表面近傍まで可塑化することが可能となる。
また離型剤Bにより可塑化された結着樹脂は軟化し、可塑化される前に比べ離型剤の染み出しを促進するため、離型剤Aのトナー表面への染み出しは、より早く、より多くなる。
これが所望の離型性と定着性を達成するための要因の一つである離型剤同士の相乗効果と考えられる。
但し、離型剤の可塑効果や染み出し性を促進するにつれ、低温定着性や離型性は向上するが、特に高温環境下で、トナー表面の弾性が損なわれ、耐久時の外添剤の埋め込みなどにより、流動性が悪化し、現像安定性に弊害が起こり易い。
そのため、本発明における所望の可塑効果と染み出し効果に加え、耐久を通して安定した画像を得るためには、更に、120℃を基準温度とした時のマスターカーブにおいて、その時のシフトファクターaTから求められる活性化エネルギーをEa(kJ/mol)とし、該トナーをテトラヒドロフラン(THF)によるソックスレー抽出した時の結着樹脂の架橋成分に由来するTHF不溶分がS(質量%)含有されるときに以下の関係式(1)を満たすことで、
Ea≦5.0×S 式(1)
所望の樹脂可塑効果と染み出し効果、及び現像安定性を得ることができることを見出した。
つまり、樹脂の変形しやすさの指標である活性化エネルギーをTHF不溶分量(以下架橋成分と同意)に対し、低くすることで、離型剤の可塑効果と染み出しを達成しつつ、耐久時の外添剤の埋め込みを抑制するための弾性と変形性得ることが可能となる。
これは、連続的に印刷されるようなトナー劣化に対し厳しい環境下においても、トナー弾性を保ちつつも変形しやすいことで、現像器内で受けるトナー同士のシェアを緩和し、外添剤の埋め込みによるトナー劣化を抑えることができるためであると考えられる。
架橋成分は、トナーに弾性を与える因子の1つであり、離型性を得るためにはある程度存在させることが必要となる。その上で、定着温度よりも低い温度でありつつ離型剤の融点よりも十分高い120℃という温度での活性化エネルギーを低く制御することで離型性、定着性のみならず、高変形性による画像安定性も達成できる。
一般に架橋成分を増やすことにより、結着樹脂を変形させるために必要なエネルギーは大きくなり、変形しやすさの指標である活性化エネルギーEaも大きくなる。
本発明では活性化エネルギー低減のために架橋成分の構造を疎に制御し、より顕著に離型剤の可塑効果を得ることで、活性化エネルギー低減を達成している。
また、このように疎な架橋成分は離型剤Bの染み出しも阻害せず、所望の離型性を達成する上でも重要となる。
つまり、離型剤2種の最適化による相乗効果に加え、更にそれら離型剤と架橋成分の最適化による樹脂構成との相乗効果を得ることにより、本発明における所望の可塑効果と離型剤の染み出しを達成すると同時に、トナーの弾性と変形性を制御することで、低温定着性と加圧ローラなどの定着部材汚染抑制に加え、高い耐久現像安定性を両立できるのである。
上述したように、4官能以上6官能以下のエステル化合物で数平均分子量が1300以上である離型剤Aと1又は2官能のエステル化合物であり数平均分子量が1000以下である離型剤Bを用い、更に120℃における活性化エネルギーをEa(kJ/mol)とし、結着樹脂の成分に由来するTHF不溶分がS質量%含有されるときに
Ea≦5.0×S
の関係を満たすことで、樹脂の架橋成分の構造と離型剤A及び離型剤Bの相乗効果を得ることが可能となる。
これにより、従来に比べ、定着部材からの離型性と樹脂への可塑効果、樹脂の変形性を改善し、所望の定着部材汚染抑制、低温定着性、更に現像安定性を達成できるのである。
また、離型剤Aはスチレンアクリル樹脂への溶解度が5.0%以下であり、該離型剤Bは樹脂への溶解度が15.0%以上30.0%以下であることが好ましい。
ここで、スチレンアクリル樹脂への離型剤の溶解度は、本発明における結着樹脂への溶解度の指標として有効であると本発明者らは考えている。
離型剤Aの樹脂への溶解度を5.0%以下と低くすることで、離型剤Aは定着時に樹脂へ可塑の作用を最小限にし、トナー表面まで染み出し作用をより促進し、定着部材汚染抑制効果を顕著に得られるため好ましい。
また逆に離型剤Bは樹脂への溶解度を15.0%以上30.0%に制御することで、離型剤Bの樹脂への作用効果をより大きくし、トナー樹脂の可塑効果をより高めることができ、また、保存性も保つことができるため好ましい。
また、本発明に使用される離型剤A及び離型剤Bの結着樹脂100質量部に対する含有量をWA(質量部)、WB(質量部)とした時、WAとWBがそれぞれ2以上であり、さらに下記式(2)
5≦WA+WB≦30 式(2)
の関係を満たすことが好ましい。
WA及びWBはそれぞれ2部以上含有することで、目的とする押出し促進効果及び可塑効果、離型性をより顕著に得ることが可能となるため好ましい。また総量を4部から40部までにすることで保存性をより良化させることができるため好ましい。
また、離型剤Aの融点Taが75℃以上90℃以下であることが好ましい。
また、離型剤Bの融点Tbが65℃以上80℃以下であり、TbはTaよりも小さいことが好ましい。
離型剤Aの融点を離型剤Bに比べて高めに設定することで、離型剤Aの溶融タイミングを離型剤Bと比較し、遅らせることが可能となり、完全に溶融した離型剤Bを半溶融状態の離型剤Aが押出す効果をより顕著に得られるため好ましい。
つまり、離型剤Aによる離型剤Bの押出し効果をより顕著なものにし、離型剤Bによる樹脂可塑効果をより効果的に得られるため、定着性を向上させる上で好ましい。
また離型剤Bが樹脂を可塑することにより、離型剤Aの染み出しも促進されるため好ましい。
また、該離型剤Bは、酸価が2.0mgKOH/g以下とする事により、酸価の低い樹脂成分と同程度の酸価になり、相溶性を増すこととなる。
このように離型剤Bの樹脂への相溶性を向上させることで、より顕著に樹脂を可塑するため好ましい。
本発明のトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、本発明の効果が発現しやすい離型剤及び架橋成分の構造とするには水系媒体中での製造方法が適している。
水系媒体中での製造方法としては、分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法等、水系媒体中でトナーを製造することが好ましく、特に懸濁重合法は本発明の好適な物性を満たしやすく非常に好ましい。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となるために耐久現像性の向上が期待できる。
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、或いは他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
トナーに用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも、本発明では、現像特性及び定着性等の点で好ましい、スチレンとアクリル系モノマーとの共重合体からなるスチレン−アクリル樹脂を用いる。
本発明のトナーの重合法による製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30.0時間以下であるものが好ましい。また、重合開始剤の添加量は重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下である事が好ましい。
具体的な重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物が単独もしくは混合物として用いられるが、本発明では離型剤の染み出しを促進するために架橋構造を疎に制御することが重要になる。
そのため、架橋点間距離が長く、フレキシブルな構造を得るために架橋剤としては長鎖直鎖状の構造であることが好ましい。
本発明の磁性トナーを重合法で製造する際は、THF不溶分の構成及び量を制御する事が重要である。本発明に用いられる架橋剤の好ましい添加量としては、架橋剤の種類にもよるが、重合性単量体100質量部に対して0.001質量%以上15.000質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上5.00質量%以下、更に特に好ましいのは0.1質量%以上2.0質量%以下である。
また、本発明では架橋構造を過度に強固にすることを抑制し、トナーの反応工程において反応初期の設定温度を40℃から70℃に制御することが好ましく、より好ましくは40℃から60℃、更に好ましくは40℃から50℃に制御することが好ましい。
更にその後1時間毎に10℃ずつ温度を緩やかに上げていくことが架橋構造を過度に強固になることを抑制できる。
これは反応が最も活発に起こると考えられる反応初期段階において、その反応を緩やかにすることで過度に強固に絡まり合ったゲルの生成を抑制し、さらに緩やかに架橋反応を進め、本発明のような離型剤の染み出しを阻害しないフレキシブルな架橋構造を得ることが可能であると考えている。
本発明で得られるトナー中の結着樹脂に由来する、THFのソックスレー抽出における不溶分量は、該結着樹脂中に好ましくは5以上50%以下、より好ましくは10%以上45%以下、更に好ましくは15%以上40%以下存在することが望ましい。
THF不溶分量を5%以上50%以下とすることで、弾性を保つことにより熱に対する過度の構造変化を抑制し、加圧ローラ汚れなどの定着部材汚染や高温オフセット抑制効果をより得ることが可能となる。
本発明のトナーを重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー組成物等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
本発明のトナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.20質量部以上20.00質量部以下の量を用いる事が好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。更に、重合性単量体100質量部に対して、0.0001質量部以上0.1000質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。例えば、燐酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上90℃以下の温度に設定される。
上記工程終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、後述するような無機微粉体を必要に応じて混合して該トナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。また、製造工程(無機微粉体の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
本発明のトナーには、帯電特性向上のために必要に応じて荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、帯電スピードが速く、且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が特に好ましい。更に、トナーを後述するような重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。荷電制御剤のうち、ネガ系荷電制御剤として具体的には、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料又はアゾ顔料の金属塩又は金属錯体、スルフォン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と、懸濁重合によりトナーの製造を行う場合には、造粒前に重合性単量体組成物中に荷電制御剤を添加する方法が一般的である。また、水中で油液滴を形成し重合を行っている最中、又は重合後に荷電制御剤を溶解、懸濁させた重合性単量体を加えることによりシード重合を行い、トナー表面を均一に覆うことも可能である。また、荷電制御剤として有機金属化合物を用いる場合は、トナー粒子にこれら化合物を添加し、シェアをかけ混合・攪拌することにより導入することも可能である。
これらの荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり、一義的に限定されるものではない。しかし、トナー粒子に内部添加する場合、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲で用いられる。また、トナー粒子に外部添加する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005質量部以上1.000質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.30質量部以下である。
本発明のトナーは目的の色味に合わせた着色剤を含有する。本発明のトナーに用いられる着色剤としては公知の有機顔料又は染料、カーボンブラック、磁性体等のいずれも用いることができる。
具体的には、シアン系着色剤として、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,C.I.ピグメントブルー7,C.I.ピグメントブルー15,C.I.ピグメントブルー15:1,C.I.ピグメントブルー15:2,C.I.ピグメントブルー15:3,C.I.ピグメントブルー15:4,C.I.ピグメントブルー60,C.I.ピグメントブルー62,C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2,C.I.ピグメントレッド3,C.I.ピグメントレッド5,C.I.ピグメントレッド6,C.I.ピグメントレッド7,C.I.ピグメントバイオレット19,C.I.ピグメントレッド23,C.I.ピグメントレッド48:2,C.I.ピグメントレッド48:3,C.I.ピグメントレッド48:4,C.I.ピグメントレッド57:1,C.I.ピグメントレッド81:1,C.I.ピグメントレッド122,C.I.ピグメントレッド144,C.I.ピグメントレッド146,C.I.ピグメントレッド166,C.I.ピグメントレッド169,C.I.ピグメントレッド177,C.I.ピグメントレッド184,C.I.ピグメントレッド185,C.I.ピグメントレッド202,C.I.ピグメントレッド206,C.I.ピグメントレッド220,C.I.ピグメントレッド221,C.I.ピルメントレッド254等が挙げられる。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アントラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12,C.I.ピグメントイエロー13,C.I.ピグメントイエロー14,C.I.ピグメントイエロー15,C.I.ピグメントイエロー17,C.I.ピグメントイエロー62,C.I.ピグメントイエロー74,C.I.ピグメントイエロー83,C.I.ピグメントイエロー93,C.I.ピグメントイエロー94,C.I.ピグメントイエロー95,C.I.ピグメントイエロー97,C.I.ピグメントイエロー109,C.I.ピグメントイエロー110,C.I.ピグメントイエロー111,C.I.ピグメントイエロー120,C.I.ピグメントイエロー127,C.I.ピグメントイエロー128,C.I.ピグメントイエロー129,C.I.ピグメントイエロー147,C.I.ピグメントイエロー151,C.I.ピグメントイエロー154,C.I.ピグメントイエロー168,C.I.ピグメントイエロー174,C.I.ピグメントイエロー175,C.I.ピグメントイエロー176,C.I.ピグメントイエロー180,C.I.ピグメントイエロー181,C.I.ピグメントイエロー191,C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上を混合し、更には固溶体の状態でも用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角,彩度,明度,耐光性,OHP透明性,トナーへの分散性の点から適宜選択される。また、着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1から20質量部が好ましい。
また、黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用いて黒色に調色されたものが利用される。黒色着色剤としてカーボンブラックを用いた場合、その添加量は結着樹脂100質量部に対し1から20質量部用いることが好ましい。
本発明のトナーに磁性体を用いる場合、磁性体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2.0m2/g以上30.0m2/g以下であることが好ましく、3.0m2/g以上28.0m2/g以下であることがより好ましい。
磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
本発明のトナーに用いられる磁性体は、例えば下記の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7.0以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5.0以上10.0以下に維持し、空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、攪拌条件を選択することにより、磁性体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5.0未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性体を得ることができる。
また、懸濁重合法にてトナーを製造する場合、磁性体表面を疎水化処理することが非常に好ましい。乾式にて表面処理をする場合、洗浄・ろ過・乾燥した磁性体にカップリング剤処理を行う。湿式にて表面処理を行う場合、酸化反応終了後、乾燥させたものを再分散させる、又は酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄体を乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させ、表面処理を行う。具体的には、再分散液を十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、加水分解後温度を上げる、或いは、加水分解後に分散液のpHをアルカリ域に調整することで表面処理を行う。この中でも、均一な表面処理を行うという観点から、酸化反応終了後、ろ過、洗浄後に乾燥させずそのままリスラリー化し、表面処理を行うことが好ましい。
磁性体の表面処理を湿式で、すなわち水系媒体中において磁性体をカップリング剤で処理するには、まず水系媒体中で磁性体を一次粒径となるよう十分に分散させ、沈降、凝集しないように攪拌羽根等で撹拌する。次いで上記分散液に任意量のカップリグ剤を投入し、カップリング剤を加水分解しながら表面処理するが、この時も攪拌を行いつつピンミル、ラインミルなどの装置を使いながら凝集しないように十分に分散させつつ表面処理を行うことがより好ましい。
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールなどのノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の添加量は、水100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。pH調製剤としては、塩酸等の無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
磁性体の表面処理に用いる事が出来るカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(a)で示されるものである。
RmSiYn (式a)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1から3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基などの官能基を示し、nは1から3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
一般式(a)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
この中で、高い疎水性を磁性体に付与するという観点では、下記一般式(b)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を用いることが好ましい。
CpH2p+1−Si−(OCqH2q+1)3 (b)
[式中、pは2から20の整数を示し、qは1から3の整数を示す。]
上記式におけるpが2より小さいと、磁性体に疎水性を十分に付与することが困難であり、またpが20より大きいと疎水性は十分になるが、磁性体同士の合一が多くなり好ましくない。更に、qが3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われ難くなる。よって、式中のpが2から20の整数(より好ましくは、3から15の整数)を示し、qが1から3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用することが好ましい。
上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、或いは複数の種類を併用して処理することが可能である。複数の種類を併用する場合、それぞれのカップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
本発明のトナーのガラス転移温度(Tg)は40.0℃以上70.0℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が40.0℃未満では保存安定性が低下すると共に、長期使用においてトナー劣化しやすく、70.0℃よりも高いと定着性が悪化する。よって、定着性と保存安定性、そして現像性のバランスを考えるとトナーのガラス転移温度は40.0℃以上70.0℃以下であることが好ましい。
本発明のトナーは耐久現像性の更なる向上のためにコア−シェル構造を有している事が好ましい。これは、シェル層を有する事によりトナーの表面性が均一になり、流動性が向上すると共に帯電性が均一になるためである。
また、高分子量体のシェルが均一に表層を覆うため、長期保存においても離型剤の染み出し等が生じ難く保存安定性が向上する。
このため、シェル層には非晶質の高分子量体を用いる事が好ましく、帯電の安定性と言う観点から酸価は5.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下である事が好ましい。
シェルを形成させる具体的手法としては、コア粒子にシェル用の微粒子を埋め込んだり、水系媒体中でトナーを製造する場合はコア粒子にシェル用の微粒子を付着させ、乾燥させる事によりシェル層を形成させる事が可能である。また、溶解懸濁法、懸濁重合法においてはシェル用の高分子量体の親水性を利用し、水との界面、即ち、トナー表面近傍にこれら高分子量体を偏在せしめ、シェルを形成する事が可能である。さらには、所謂シード重合法によりコア粒子表面にモノマーを膨潤させ、重合する事によりシェルを形成する事ができる。
シェルを形成する樹脂としては特に非晶質ポリエステルが上記効果が大きく発現され好ましい。
本発明に使用される非晶質ポリエステル樹脂は、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
本発明に使用される非晶質ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノール誘導体などが挙げられる。
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6から18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
さらに、多価アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、多価酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
上記非晶質ポリエステル樹脂の中では、帯電特性、環境安定性が優れておりその他の電子写真特性においてバランスのとれた前記のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく使用される。この化合物の場合には、定着性やトナーの耐久性の点においてアルキレンオキサイドの平均付加モル数は2.0モル以上10.0モル以下である事が好ましい。
また、シェルを形成する高分子量体の数平均分子量(Mn)は2500以上20000以下が好ましく用いられる。
本発明のトナーには、必要に応じて流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。このような流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末,湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理微粉末,酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物,チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物,炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等が挙げられる。
流動化剤として個数平均1次粒径(D1)が4nm以上80nm以下、より好ましくは6nm以上40nm以下の無機微粉体がトナー粒子に添加されることも好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。シリカ微粉体としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。しかし、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。
本発明において無機微粉体は疎水化処理された物であることが、トナーの環境安定性を向上させることができるため好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じてさらに他の外添剤(例えば荷電制御剤等)と混合して一成分現像剤として用いることができ、またキャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、平均粒径20μm以上300μm以下の粒子が好ましくは使用される。
次に、本発明のトナーを好適に用いることのできる画像形成装置の一例を図1に沿って具体的に説明する。図1において、100は静電潜像担持体(以下、感光体とも呼ぶ)であり、その周囲に帯電ローラー117、トナー担持体102を有する現像器140、転写帯電ローラー114、クリーナー116、レジスタローラー124等が設けられている。静電潜像担持体100は帯電ローラー117によって例えば−600Vに帯電される(印加電圧は例えば交流電圧1.85kVpp、直流電圧−620Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を静電潜像担持体100に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。静電潜像担持体100上の静電潜像は現像器140によって一成分トナーで現像されてトナー画像を得、トナー画像は転写材を介して静電潜像担持体に当接された転写ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像を載せた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部静電潜像担持体上に残されたトナーはクリーナー116によりクリーニングされる。
次に、本発明のトナーを好適に用いることのできる定着装置の一例を図2に沿って具体的に説明する。
図2に示す定着装置において加熱体は、従来の熱ロールに比べてその熱容量が小さく、線状の加熱部を有するもので、加熱部の最高温度は100〜300℃であることが好ましい。
加熱体と加圧部材の間に位置するフィルムは、厚さ1〜100μmの耐熱性のシートであることが好ましく、これら耐熱性シートとしては、耐熱性の高い、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリアミドの如きポリマーシート、アルミニウムの如き金属シート及び、金属シートとポリマーシートから構成されたラミネートシートが用いられる。
より好ましいフィルムの構成としては、これら耐熱性シートが離型層及び/又は低抵抗層を有していることである。
図2を参照しながら、定着装置の一具体例を説明する。
61は、装置に固定支持された低熱容量線状加熱体であって、アルミナ基板70に抵抗材料69を塗工したもので、長手方向両端より通電される。通電は検温素子71によりコントロールされた所望の温度、エネルギー出量に応じたパルスをそのパルス幅を変化させて与える。この様にエネルギー及び温度を制御された加熱体61に当接して、図中矢印方向に定着フィルム62は移動する。
この定着フィルムの一例として厚み20μmの耐熱フィルム(例えばポリイミド、ポリエーテルイミド、PESまたはPFAに少なくとも画像当接面側にPTFE、PFAの如きフッ素樹脂)に導電材を添加した離型層を10μmコートしたエンドレスフィルムである。フィルム駆動は駆動ローラー63と従動ローラー64による駆動とテンションにより矢印方向にシワなく移動する。
65は、シリコーンゴムの如き離型性の良いゴム弾性層を有する加圧ローラで、総圧4〜20kgでフィルムを介して加熱体を加圧し、フィルムと圧接回転する。転写材66上の未定着トナー67は、入口ガイド68により定着部に導かれ上述の加熱により定着像をえるものである。
以上は、エンドレスベルトで説明したが、シート送り出し軸、及び巻き取り軸を使用し、定着フィルムは有端のフィルムであっても良い。
次に、本発明のトナーに係る各物性の測定方法に関して記載する。
(1)離型剤の分子量測定
離型剤の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
ゲルクロマトグラフ用のo−ジクロロベンゼンに、特級2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を濃度が0.10wt/vol%となるように添加し、室温で溶解する。サンプルビンに離型剤と上記のBHTを添加したo−ジクロロベンゼンとを入れ、150℃に設定したホットプレート上で加熱し、離型剤を溶解する。離型剤が溶けたら、予め加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPCサンプルとする。尚、サンプル溶液は、濃度が約0.15質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
検出器:高温用RI
カラム:TSKgel GMHHR−H HT 2連(東ソー社製)
温度 :135.0℃
溶媒 :ゲルクロマトグラフ用o−ジクロロベンゼン(BHT 0.10wt/vol%添加)
流速 :1.0ml/min
注入量:0.4ml
離型剤の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
(2)トナーの活性化エネルギー
測定装置としては、回転平板型レオメーター ARES(商品名、TA INSTRUMENTS社製)を用いる。
測定試料は、トナーを25℃で錠剤成型器により加圧成型した直径25mm、厚さ2.0±0.3mmの円板状の試料を用い、パラレルプレートに装着し、室温(25℃)から100℃に15分間で昇温して、円板の形を整えた後、測定を開始する。
特に、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットすることが、重要であり、
以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Tension Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。
測定は、以下の条件で行う。
1、直径25mmのパラレルプレートを用いる。
2、周波数(Frequency)を0.1Hz(Initial),100Hz(Final)とする。
3、印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
4、スタート温度を100℃,終了温度を160℃,昇温ステップを10℃,保留時間(SOAK TIME)を1分とし測定を開始する。
尚、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。
測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
5、自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)と設定する。
6、初期スタティックフォース(Initial Static Force)を0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を10.0gと設定する。
7、自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×106(Pa)よりも小さい場合である。
上記の要領で測定した0.1〜100Hz,100℃〜160℃の範囲で測定した貯蔵弾性率G’の結果は以下の方法でマスターカーブが作成できる。尚、本発明においては実際のトナーへの伝熱状態として、定着器本体よりも低く、また連続通紙などの定着材上の定着温度に対し過酷な状況を想定し、120℃も基準温度としマスターカーブを作成した。尚、シフトさせる方法については縦横をシフトさせて最適化するためにTWO Demensional Minimizationを選択し、計算方法はシフトファクターの傾斜を優先して計算するようにGuess Modeを選択する。さらに、マスターカーブを作成する際に得られたシフトファクターaTの対数を縦軸に、その時の測定温度Tの逆数を横軸にプロットしたアレニウスプロットから活性化エネルギーを算出することが可能となる。
(3)THF不溶分の測定方法
トナー約1.5gを秤量(W1g)し、予め秤量した円筒濾紙(例えば、商品名No.86R(サイズ28×100mm)、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットし、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mlを用いて20時間抽出する。このとき、溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒ろ紙を取り出して風乾した後、40℃で8時間真空乾燥し、抽出残分を含む円筒濾紙の質量を秤量し、円筒濾紙の質量を差し引くことにより、抽出残分の質量(W2g)を算出する。
次に、試料W1g中の樹脂成分以外の成分の含有量(W3g)を以下の手順で求める。予め秤量した30mlの磁性るつぼに約2gのトナーを秤量(Wag)する。るつぼを電気炉に入れ約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量を差し引くことにより焼却残灰分(Wbg)を算出する。そして、下記式(1)により、試料W1g中の樹脂成分以外の成分の含有量(W3g)を算出する。
W3=W1×(Wb/Wa) ・・・(1)
この場合、THF不溶分は、下記式(2)で求められる。
THF不溶分(質量%)={(W2−W3)/(W1−W3)}×100 ・・・(2)
(4)離型剤のスチレン−アクリル樹脂への溶解度
離型剤のスチレン−アクリル樹脂への溶解度の測定は以下のように行なう。
スチレン−アクリル樹脂(Tg=54.0℃、数平均分子量(Mn)=20000) :0.10g
離型剤 :0.01g
上記をメノウ乳鉢にて混合し、DSCにセットする。
次に、以下のシーケンスでDSC測定し、2サイクル目の吸熱ピーク熱量をΔH1、4サイクル目の吸熱ピーク熱量をΔH2とし、下記式により溶解度を求める。
溶解度=(1−ΔH1/ΔH2)×100
<シーケンス>
本発明においては、離型剤の樹脂への相溶性を測定するため以下のシーケンスを用いた。
1サイクル目:
・30℃にて1分間保持
・2℃/分で60℃まで昇温。昇温後、10分間保持
・10℃/分で30℃まで降温。
2サイクル目:
・30℃にて1分間保持
・10℃/分で120℃まで昇温。昇温後、10分間保持
・10℃/分で30℃まで降温。
3サイクル目:
・30℃にて1分間保持
・2℃/分で60℃まで昇温。昇温後、10分間保持
・10℃/分で30℃まで降温。
4サイクル目:
・30℃にて1分間保持
・10℃/分で120℃まで昇温。昇温後、10分間保持
・10℃/分で30℃まで降温。
シーケンスは以下の目的で1サイクル目で配向を揃える目的で離型剤融点付近まで温度を上げ、エンタルピー緩和を行った。
2サイクル目で相溶前の離型剤の吸熱量を測定し、3サイクル目で再びエンタルピー緩和を行い、配向を揃えた後に4サイクル目で再び離型剤の吸熱量を測定する。
4サイクル目では離型剤の一部はスチレンアクリル樹脂に相溶し、相溶した離型剤に比例し、吸熱量が減少する。
このようにエンタルピー緩和をサイクルに取り入れることでΔH1及びΔH2の正確な値を測定することができる。
(5)離型剤の融点(吸熱ピークトップ)測定
離型剤の吸熱ピークトップ温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、離型剤約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃から200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃から200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、離型剤のDSC測定における吸熱曲線の吸熱ピークトップとする。
(6)離型剤の酸価測定方法
離型剤の酸価はJIS K1557−1970に準じ測定する。具体的な測定方法を以下に示す。
まず、離型剤を2gを精秤する(W(g))。200mlの三角フラスコに試料を入れ、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間溶解する。指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加える。0.1規定のKOHもアルコール溶液を用いて上記溶液をビュレットを用いて滴定する。この時のKOH溶液の量をS(ml)とする。ブランクテストをし、この時のKOH溶液の量をB(ml)とする。
次式により酸価を計算する。
酸価=〔(S−B)×f×5.61〕/W
(f:KOH溶液のファクター)
(7)トナーの平均粒径及び粒度分布
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
[1]Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
[2]ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
[3]発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
[4]前記[2]のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
[5]前記[4]のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
[6]サンプルスタンド内に設置した前記[1]の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記[5]の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
[7]測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、本発明を製造例及び実施例により更に具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部を示す。
<磁性体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9から1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整する。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100質量部に対し1.4質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、撹拌を十分行うと共にスラリーを循環させながらピンミルにて分散を行い、分散液のpHを8.6にしてカップリング処理を行った。生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.22μmの磁性体1を得た。
<トナーの製造例1>
イオン交換水720質量部に0.1M−Na3PO4水溶液451質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 75.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
・1,10−デカンジオールジアクリレート 0.50質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.0質量部
・磁性体1 90.0質量部
・飽和ポリエステル樹脂 5.0質量部
(ビスフェノールAのE.O.付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られる飽和ポリエステル樹脂 Mn=5000、酸価=12mgKOH/g、Tg=68℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにジペンタエリスリトールヘキサベヘネート(物性は表1に示す)10質量部、ベヘン酸ベヘニル(物性は表2に示す)15質量部を添加混合し、溶解した後に重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.5質量部を溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてクレアミックス(エム・テクニック社製)にて10,000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で5時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥してトナー粒子1を得た。
このトナー粒子1を100質量部と、個数平均1次粒径12nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理後にシリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、重量平均粒径(D4)が7.3μmのトナー1を得た。トナー1の物性を表3に示す。
<トナーの製造例2>
トナー1の製造例において、ベヘン酸ベヘニルから、ノナンジオールジベヘネート(物性は表2に示す)に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー2を得た。トナー2の物性を表3に示す。
<トナーの製造例3>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートから、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(物性は表1に示す)に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー3を得た。トナー3の物性を表3に示す。
<トナーの製造例4>
トナー3の製造例において、ベヘン酸ベヘニルから、ノナンジオールジベヘネートに変えたこと以外は、トナー3の製造と同様にし、トナー4を得た。トナー4の物性を表3に示す。
<トナーの製造例5>
トナー2の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートから、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート(物性は表1に示す)に変えたこと以外は、トナー2の製造と同様にし、トナー5を得た。トナー5の物性を表3に示す。
<トナーの製造例6>
トナー1の製造例において、ベヘン酸ベヘニルから、ステアリン酸ステアリル(物性は表2に示す)に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー6を得た。トナー6の物性を表3に示す。
<トナーの製造例7>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートの含有量を10部から1部に変更し、ベヘン酸ベヘニルの含有量を15部から1部に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー7を得た。トナー7の物性を表3に示す。
<トナーの製造例8>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートの含有量を10部から20部に変更し、ベヘン酸ベヘニルの含有量を15部から25部に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー8を得た。トナー8の物性を表3に示す。
<トナーの製造例9>
トナー2の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートから、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート(物性は表1に示す)に変えたこと以外は、トナー2の製造と同様にし、トナー9を得た。トナー9の物性を表3に示す。
<トナーの製造例10>
トナー2の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートから、ペンタエリスリトールテトラセロテート(物性は表1に示す)に変えたこと以外は、トナー2の製造と同様にし、トナー10を得た。トナー10の物性を表3に示す。
<トナーの製造例11>
トナー1の製造例において、ベヘン酸ベヘニルから、ミリスチン酸ミリスチル(物性は表2に示す)に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー11を得た。トナー11の物性を表3に示す。
<トナーの製造例12>
トナー1の製造例において、ベヘン酸ベヘニルから、カルナウバワックス(物性は表2に示す)に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー12を得た。トナー12の物性を表3に示す。
<トナーの製造例13>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートの含有量を10部から2部に変更し、ベヘン酸ベヘニルの含有量を15部から3部に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー13を得た。トナー13の物性を表3に示す。
<トナーの製造例14>
トナー1の製造例において、ベヘン酸ベヘニルから、アラキジン酸アラキジル(物性は表2に示す)に変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にし、トナー14を得た。トナー14の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例1>
トナー1の製造例において、ベヘン酸ベヘニルを使用しなかった以外は、トナー1の製造と同様にし、比較用トナー1を得た。比較用トナー1の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例2>
トナー3の製造例において、ベヘン酸ベヘニルを使用しなかった以外は、トナー2の製造と同様にし、比較用トナー2を得た。比較用トナー2の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例3>
トナー2の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートを使用しなかった以外は、トナー2の製造と同様にし、比較用トナー3を得た。比較用トナー3の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例4>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートを使用しなかった以外は、トナー1の製造と同様にし、比較用トナー4を得た。比較用トナー4の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例5>
トナー6の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートからペンタエリスリトールテトラステアレート(物性については表1に記載)に変更したこと以外は、トナー6の製造と同様にし、比較用トナー5を得た。比較用トナー5の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例6>
トナー9の製造例において、ノナンジオールジベヘネートからパラフィンワックス1(物性については表2に記載)に変更したこと以外は、トナー9の製造と同様にし、比較用トナー6を得た。比較用トナー6の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例7>
トナー2の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートからパラフィンワックス2(物性については表2に記載)に変更したこと以外は、トナー2の製造と同様にし、比較用トナー7を得た。比較用トナー6の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例8>
トナー2の製造例において、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートからペンタエリスリトールテトラステアレートに変更したこと以外は、トナー2の製造と同様にし、比較用トナー7を得た。比較用トナー6の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例9>
トナー5の製造例において、ノナンジオールジベヘネートからドデカンジオールジモンタネートに変更したこと以外は、トナー5の製造と同様にし、比較用トナー9を得た。比較用トナー9の物性を表3に示す。
<比較用トナーの製造例10>
トナー5の製造例において、1,10−デカンジオールジアクリレートの添加量を0.5質量部から0.05質量部に変更したこと以外は、トナー5の製造と同様にし、比較用トナー10を得た。比較用トナー10の物性を表3に示す。
(実施例1)
トナー1を用いて以下の評価を行った。
[低温定着性]
ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:LaserJet4350の定着器を取り出し、定着装置の定着温度を任意に設定できるようにし、かつプロセススピードを420mm/secとなるようにした外部定着器を用いた。常温常湿(23℃、60RH)環境下でFOX RIVER BOND紙に画像濃度が0.75以上0.80以下となるようにハーフトーン画像を形成し、定着器の温度を140℃から5℃ずつ上昇させて画像を定着させた。その後、55g/cm2の加重をかけたシルボン紙で定着画像を10回摺擦し、摺擦後の定着画像の濃度低下率が10%となる温度を定着開始温度とした。
この温度が低いほど低温定着性に優れたトナーである。
この温度が170℃以上になると定着不良による画像弊害が起こりやすく、実用上好ましくない。
[加圧ローラ汚れ]
加圧ローラ汚れは、市販のレーザービームプリンタLaserJet 4350(Hewlett Packard社製)を使用し、低温低湿環境下(15℃、10%RH)で8ポイントのA文字を用い印字率を4%とした画像にて30秒に1枚印刷する間欠モードで10000枚プリントアウト終了時の定着器内部材及び画像へのトナー汚れの程度を目視で評価した。
記録媒体としてゼロックス社製レター紙(75g/m2)を使用した。
A:加圧ローラに汚れはなく、画像にも汚れはない。
B:加圧ローラに汚れは軽微で、画像には汚れはない。
C:加圧ローラには汚れがあるが、画像の汚れは軽微で実用上問題無いレベル。
D:加圧ローラに汚れがあり、画像にも汚れがあり、実用上好ましくないレベル。
E:加圧ローラに強固な汚れがあり、画像にも汚れが多く、実用上好ましくないレベル。
[耐久現像性]
耐久現像性は、市販のレーザービームプリンタLaserJet 4350(Hewlett Packard社製)を使用し、高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)で印字率3%とした画像を用い、連続印刷による耐久試験を行った。
100枚プリントアウト時を耐久前、10000枚プリントアウト時を耐久後とし、各プリントアウト時にベタ黒画像を印刷し、画像濃度をマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度計にて測定を行った。
耐久前後の濃度差が小さい方が良好な耐久現像性である。
記録媒体としてゼロックス社製レター紙(75g/m2)を使用した。
A:耐久前後の濃度差が0.03未満であり、濃度低下が見られない
B:耐久前後の濃度差が0.03以上0.05未満であり、濃度低下が見られない
C:耐久前後の濃度差が0.05以上0.15未満である(実用レベル)
D:耐久前後の濃度差が0.15以上である(実用が難しいレベル)
[保存性]
トナー10gを50mlのポリカップに入れ、50℃の恒温槽に3日間静置し、その時のトナーのブロッキング程度を評価した。
A:トナーの流動性は変わらない
B:流動性は悪化しているが回復する
C:凝集塊があり、ほぐれにくい。
D:流動性がない、又はケーキングを生じ、実用上好ましくないレベル
トナー1は上記評価において、耐加圧ローラ汚れ、低温定着性に優れ、保存性においても問題がみられなかった。
(実施例2乃至14)
実施例1と同様の評価をトナー2乃至トナー14に対し行い、結果を表4にまとめた。
いずれの評価においても実用上問題ないレベルであった。
(比較例1乃至10)
実施例1と同様の評価を比較用トナー1乃至10に対し行い、結果を表4にまとめた。
加圧ローラ汚れ、及び低温定着性、耐久現像性、保存性のいずれかの評価において実用上好ましくない結果が得られた。