[go: up one dir, main page]

JP5892030B2 - ガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルム - Google Patents

ガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP5892030B2
JP5892030B2 JP2012231767A JP2012231767A JP5892030B2 JP 5892030 B2 JP5892030 B2 JP 5892030B2 JP 2012231767 A JP2012231767 A JP 2012231767A JP 2012231767 A JP2012231767 A JP 2012231767A JP 5892030 B2 JP5892030 B2 JP 5892030B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
layer
film
barrier layer
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012231767A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014083690A (ja
Inventor
秀敏 江連
秀敏 江連
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2012231767A priority Critical patent/JP5892030B2/ja
Publication of JP2014083690A publication Critical patent/JP2014083690A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5892030B2 publication Critical patent/JP5892030B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、ガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルムに関する。より詳しくは、主に有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の電子デバイスに用いられるガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルムに関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を含む複数の層を積層して形成したガスバリアーフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
包装用途以外にも、フレキシブル性を有する太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等のフレキシブル電子デバイスへの展開が要望され、多くの検討がなされている。しかし、これらフレキシブル電子デバイスにおいては、ガラス基材レベルの非常に高いガスバリアー性が要求されるため、現状では十分な性能を有するガスバリアーフィルムはいまだ得られていないのが現状である。
この様なガスバリアーフィルムを形成する方法としては、テトラエトキシシラン(TEOS)に代表される有機ケイ素化合物を用いて、減圧下、酸素プラズマで酸化しながら基板上に成膜する化学堆積法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)や、半導体レーザーを用いて金属Siを蒸発させ酸素の存在下で基板上に成膜する物理堆積法(真空蒸着法やスパッタ法)といった気相法が知られている。
特許文献1には、図1に示されている装置でプラズマCVD法を利用しながらロールtoロール方式で10−4g/m/24hレベルのバリアー層を形成する製造方法が記載されている。上記で製造されたガスバリアーフィルムは、炭素原子を基材周辺に多く配置することができるCVD法により、基材との密着性、及び屈曲性を向上させているが、屋外使用のような高温高湿の使用環境下では、有機EL素子をはじめとする電子デバイス用途のガスバリアー性、及び屈曲性として不十分であることがわかった。
一方、特許文献2には、生産性やコスト等で優位な塗布方式でのガスバリアー層の製造方法が開示されている。上記製造方法は無機前駆体化合物としてポリシラザンを用いて、塗布乾燥し、塗膜に真空紫外光(VUV光)を照射することによりガスバリアー層を形成するものである。また特許文献2には、ブリードアウト防止、平滑化の目的で基材とガスバリアー層の間に紫外線硬化樹脂層を設けたガスバリアーフィルムが開示されているが、CVD法との組み合わせやその効果等については言及していない。
WO2012/046767号 特開2011−143577号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、屋外使用のような高温高湿の使用環境下でも電子デバイス用途に必要なガスバリアー性を有し、かつフレキシブル性(屈曲性)に優れたガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、樹脂基材を一対の成膜ローラーの各々に接触させながら搬送を行い、当該一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法(CVD法)により、当該樹脂基材上にガスバリアー層を形成するガスバリアーフィルムの製造方法であって、当該樹脂基材が両面に特定の押し込み硬さを有する応力吸収層を有することを特徴とする製造方法によって、ガスバリアー性、及び屈曲性に優れるガスバリアーフィルムが得られることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.樹脂基材を一対の成膜ローラーの各々に接触させながら搬送を行い、当該一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法により、当該樹脂基材上にガスバリアー層を形成するガスバリアーフィルムの製造方法であって、当該樹脂基材が、両面に100μNの荷重に対する押し込み硬さが0.4〜1.0GPaの範囲内である応力吸収層を有し、少なくとも一方の当該応力吸収層の上に前記ガスバリアー層を形成することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
2.前記成膜ガスとして有機ケイ素化合物を含有する原料ガスと酸素ガスを用い、前記ガスバリアー層が構成元素として炭素、ケイ素、及び酸素を含み、かつ該ガスバリアー層の層厚方向における該ガスバリアー層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線において、
当該ガスバリアー層の炭素原子比率が層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であり、かつ当該炭素分布曲線が、濃度勾配を有して層内で連続的に変化することを特徴とする第1項に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
3.前記応力吸収層の前記成膜ローラーに接触する面の押し込み硬さが、接触しない面より0.1〜0.3GPaの範囲内で小さいことを特徴とする第1項又は第2項に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
4.前記成膜ローラーの直径が300〜1000mmφの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のガスバリアー性フィルムの製造方法。
5.前記ガスバリアー層の上に、ポリシラザン含有液を塗布、乾燥し、形成した塗膜に、波長200nm以下の真空紫外光を照射して改質処理して、第2のガスバリアー層を形成することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
6.樹脂基材と、当該樹脂基材の両面に応力吸収層と、当該応力吸収層の少なくとも一方の面にガスバリアー層が積層されているガスバリアーフィルムであって、当該応力吸収層が100μNの荷重に対する押し込み硬さが0.4〜1.0GPaの範囲内であり、当該ガスバリアー層が構成元素として炭素、ケイ素、及び酸素を含み、かつ該ガスバリアー層の層厚方向における該ガスバリアー層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線において、当該ガスバリアー層の炭素原子比率が層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であり、かつ当該炭素分布曲線が、層内で濃度勾配を有して連続的に変化していることを特徴とするガスバリアーフィルム。
7.前記ガスバリアー層の上に、ポリシラザン含有液を塗布、乾燥し、形成された塗膜に、波長200nm以下の真空紫外光を照射して改質処理した第2のガスバリアー層が積層されていることを特徴とする第6項に記載のガスバリアーフィルム。
本発明の上記手段により、屋外使用のような高温高湿の使用環境下でも電子デバイス用途に必要なガスバリアー性を有し、かつフレキシブル性(屈曲性)に優れたガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
すなわち、両面に特定の押し込み硬さに調整した応力吸収層を有する樹脂基材を一対の成膜ローラーの各々に接触させながら搬送を行い、当該一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法によってガスバリアー層を形成することで、当該成膜ローラー上の高温環境内で発生する成膜ローラー接触面と非接触面の樹脂基材の熱膨張による残留応力を、当該応力吸収層により吸収することで、ガスバリアー層形成時の微小な欠陥の発生を抑制するものと推定される。更により厳しい使用条件である高温高湿下でも、当該残留応力の解放によるガスバリアー層の微小な欠陥の発生を抑制することができるため、電子デバイスに必要な非常に良好なガスバリアー性と屈曲性を十分に満たすガスバリアーフィルムが得られるものと推定される。
優れた屈曲性は、一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法によって、ガスバリアー層内の炭素原子成分が濃度勾配を有し、かつ連続的に変化することによる効果であると推定するが、上記樹脂基材の応力吸収層の硬度との組み合わせ効果で、高温高湿下のような厳しい条件下でも優れた屈曲性の効果を維持、発揮するものと推定している。
ちなみに平坦電極(水平搬送)タイプのプラズマ放電でのCVD法では、水平搬送のため、樹脂基材の表裏の残留応力がほとんど生じないが、炭素原子成分の濃度勾配の連続的な変化が起こらないため、ガスバリアー性及び屈曲性の高度な両立は不十分である。
また、本発明に係る一対の成膜ローラー間にプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法は真空下で行うことが好ましいが、水分や残溶空気がないため、高温高湿下の条件になると急激に残留応力が発生しやすい。また、成膜幅が広くなったり、ラインスピードが速くなったり、放電空間を大きくするのに成膜ローラー径を大きくしたり、また樹脂基材の膜厚が薄くなったりと、生産性向上を目的とした条件が進むにつれてガスバリアー層の残留応力は増加すると考えられ、ガスバリアー性及び屈曲性を高度に両立するためには、樹脂基材の両面に特定の押し込み硬さに調整した本発明に係る応力吸収層を配置することが、当該残留応力の解放に優れた効果を発揮するものと推定される。
本発明のガスバリアーフィルムの一例を示す基本構成(a)と、他の構成(b)を示す模式図 ガスバリアーフィルムの製造装置の一例を示す概略図 実施例のガスバリアー層のケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線 比較のガスバリアー層のケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線 ガスバリアーフィルムを具備した有機ELパネルの模式図
本発明のガスバリアーフィルムの製造方法は、樹脂基材を一対の成膜ローラーの各々に接触させながら搬送を行い、当該一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法により、当該樹脂基材上にガスバリアー層を形成する製造方法であって、当該樹脂基材が両面に特定の押し込み硬さを有する応力吸収層を有し、少なくとも一方の当該応力吸収層の上に前記ガスバリアー層を形成することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記成膜ガスとして有機ケイ素化合物を含有する原料ガスと酸素ガスを用い、ガスバリアー層の構成元素として炭素、ケイ素、及び酸素を含み、かつ該層の層厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線において、当該ガスバリアー層の炭素原子比率が層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であり、かつ当該炭素分布曲線が、層内で濃度勾配を有して連続的に変化していることが、製造時及び高温高湿下でのガスバリアー性及び屈曲性を改善し両立する観点から、好ましい。また、前記応力吸収層の前記成膜ローラーに接触する面の押し込み硬さが、接触しない面より特定の範囲内で小さいことが、製造時及び高温高湿下での残留応力を吸収する効果発現の観点から、好ましい。
さらに、本発明においては、前記成膜ローラーの直径が300mmφ以上であることが、前記炭素原子比率の層内での濃度分布、及び極値間の距離を制御して、より屈曲性を改善する効果が得られることから好ましい。
また、前記ガスバリアー層の上に、ポリシラザン含有液を塗布、乾燥し、形成された塗膜に波長200nm以下の真空紫外光を照射して改質処理して、第2のガスバリアー層を形成することも、ガスバリアー性をより改善することから、好ましい態様である。
本発明のガスバリアーフィルムは、樹脂基材の両面に特定の押し込み硬さを有する応力吸収層を有し、少なくとも一方の当該応力吸収層の上に、構成元素に炭素、ケイ素、及び酸素を含み、当該ガスバリアー層の炭素原子比率が層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であり、かつ濃度勾配を有して層内で連続的に変化するガスバリアー層が積層されていることで、高温高湿下でのガスバリアー性及び屈曲性を改善し両立することができる。
さらに、前記ガスバリアー層の上に、ポリシラザンを含有し、波長200nm以下の真空紫外光を照射して改質処理した第2のガスバリアー層を積層することにより、CVD法で設けたガスバリアー層に残存する微小な欠陥を、上部からポリシラザンのガスバリアー成分で埋めることができるため、高温高湿下でも電子デバイスに必要なガスバリアー性と屈曲性を十分に発揮させることができ、好ましい。
なお、本発明でいう「ガスバリアー性」とは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(温度:60±0.5℃、相対湿度(RH):90±2%)が3×10−3g/m・24h以下であり、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/m・24h・atm以下であることを意味する。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<本発明のガスバリアーフィルムの製造方法の概要>
本発明のガスバリアーフィルムの製造方法は、樹脂基材を一対の成膜ローラーの各々に接触させながら搬送を行い、当該一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法により、当該樹脂基材上にガスバリアー層を形成するガスバリアーフィルムの製造方法であって、当該樹脂基材が、両面に100μNの荷重に対する押し込み硬さが0.4〜1.0GPaの範囲内である応力吸収層を有し、少なくとも一方の当該応力吸収層の上に前記ガスバリアー層を形成することを特徴とする。
<ガスバリアーフィルムの構成>
本発明のガスバリアーフィルム1aは、例えば、図1(a)に示すように、樹脂基材1の両面に応力吸収層2を備え、その応力吸収層2上にガスバリアー層3が積層されてなる4層構成のバリアーフィルムである。
また、別の態様である本発明のガスバリアーフィルム1bは、例えば、図1(b)に示すように、樹脂基材1の両面に応力吸収層2を備え、その応力吸収層2上にガスバリアー層3が積層され、更に当該ガスバリアー層3にポリシラザンを含む第2ガスバリアー層4が積層されている。第2ガスバリアー層4上にはオーバーコート層5が積層されていることも好ましい態様である。
<樹脂基材>
本発明のガスバリアーフィルムの樹脂基材としては、後述のバリアー性を有するガスバリアー層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、及びポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、更には前記樹脂を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリカーボネート(PC)などが好ましく用いられる。
樹脂基材の厚さは5〜500μm程度が好ましく、更に好ましくは25〜250μmの範囲である。
また、本発明に係る樹脂基材は透明であることが好ましい。樹脂基材が透明であり、樹脂基材上に形成する層も透明であることにより、透明なガスバリアーフィルムとすることが可能となるため、有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。また延伸により位相差等を調整することもできる。
本発明に用いられる樹脂基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂基材を製造することができる。また、材料となる樹脂を溶媒に溶解し、無端の金属支持体上に流延(キャスト)して乾燥、剥離することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂基材を製造することもができる。
未延伸の樹脂基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、樹脂基材の流れ(縦軸)方向、又は樹脂基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸樹脂基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、樹脂基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍の範囲が好ましい。
また本発明に用いられる樹脂基材は、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、又はテンターを出た後の巻取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは処理温度が100〜180℃の範囲である。オフライン熱処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、複数のローラー群によるローラー搬送方法、空気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送などにより搬送させる方法(複数のスリットから加熱空気をフィルム面の片面あるいは両面に吹き付ける方法)、赤外線ヒーターなどによる輻射熱を利用する方法、フィルムを自重で垂れ下がらせ、下方で巻き等搬送方法等を挙げることができる。熱処理の搬送張力は、できるだけ低くして熱収縮を促進することで、良好な寸法安定性の樹脂基材となる。処理温度としてはTg+50〜Tg+150℃の温度範囲が好ましい。Tgとは樹脂のガラス転移温度(℃)をいう。
本発明に係る樹脂基材は、製膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することができる。本発明において、製膜工程中での下引塗布をインライン下引という。本発明に有用な下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等を挙げることができ、いずれも好ましく用いることができる。これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記の下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
<応力吸収層>
本発明に係る応力吸収層は、上記100μNの荷重に対する押し込み硬さが0.4〜1.0GPaの範囲であれば構成は問わないが、上記硬さを得るためには硬化性樹脂、特に紫外線硬化タイプの樹脂で構成されることが好ましい。これは、硬化性樹脂の種類、開始剤種類や硬化条件等を調整することで上記記載の硬さに調整しやすく、生産性、平滑性、透明性も両立できるので好ましい。
〈硬化性樹脂〉
本発明に用いられる硬化性樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、及びエチレンビニルアセテート(EVA)樹脂等が挙げられる。紫外線硬化樹脂としては、硬化によって透明な樹脂組成物を形成する物であれば特に制限なく使用でき、特に好ましくは、硬度、平滑性、透明性の観点からアクリル、ウレタン、及びポリエステル系樹脂等を用いることができる。
アクリル系樹脂組成物としては、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させたもの等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
本発明の応力吸収層は、上記100μNの荷重に対する押し込み硬さが0.4〜1.0GPaの範囲内である。
押し込み硬さとは、電磁石により圧子(三角すい圧子)を試料に押しつけ、この押圧力一定の割合で増加させ、圧子が試料に侵入していく過程で、圧子の試料への侵入深さを自動計測するものであって、その際に生じるくぼみの大きさを顕微鏡にて測定し、塑性変形分から硬さの値を得る方法である。
具体的な押し込み硬さの測定としては、以下のような条件で実施したものである。
HYSITRON社製超微小押し込み硬さ試験機TriboScopeを用いて、23℃55%RHの雰囲気下で、試料に荷重100μNを加え、負荷開始から除荷までの全過程にわたって押し込み荷重P(mgf)に対応する押し込み深さh(nm)を連続的に測定し、P−h曲線を作成した。作成したP−h曲線から押し込み硬さHを、下記式(1)により求めた。
H(GPa)=Pmax/A ・・・(1)
[Pmax:最大荷重(μN)、A:圧子投影面積(μm)]
応力吸収層の押し込み硬さは0.4〜1.0GPaの範囲内であるが、特に0.45〜0.65の範囲内が好ましい。0.4GPa未満では、ガスバリアー層の残留応力を解消することができず、バリアー性や密着性が劣る。一方、1.0GPaを超えると、樹脂基材より剛性が強いため成膜ローラーとの密着性が不十分となり、プラズマ放電が均一に起こりにくくなるためガスバリアー層内の炭素原子成分の濃度勾配が不均一になり、ガスバリアー性や屈曲性の改善が阻害される。
前記押し込み硬さの範囲に調整するには、硬化性樹脂の選択、膜厚の調整、後述するマット剤の添加等で行うことができる。
また、応力吸収層の両面の押し込み硬さは0.4〜1.0GPaの範囲内である必要があるが、成膜ローラーと接触する面の押し込み硬さが接触しない面より0.1〜0.3GPaの範囲内で小さいことがより好ましい。成膜ローラーと接触する面の押し込み硬さが接触しない面の押し込み硬さより上記範囲内で小さいと、フィルムカールや剛性に影響せず、成膜ローラーとの密着性が良好になり、プラズマ放電が均一に起こるため、ガスバリアー層内の炭素原子成分の濃度勾配が均一になって、ガスバリアー性や屈曲性がより改善される傾向になる。
硬化性樹脂を溶媒に溶解又は分散させた樹脂組成物を用いて応力吸収層を形成する際に使用する溶媒としては、公知のアルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を使用することができる。
本発明の応力吸収層は、上述した樹脂組成物を、例えばドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法、インクジェット法、ディスペンサー法等により塗布し(必要に応じて硬化剤を加え)、加熱や紫外線照射して樹脂組成物を硬化することで形成することができる。
紫外線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nmの範囲、好ましくは200〜400nmの範囲の波長領域の紫外線を照射する、又は走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
本発明の応力吸収層の厚さは、特に限定されないが、0.1〜10μmの範囲が好ましく、特に0.5〜5μmの範囲が好ましい。応力吸収層は2層以上の構成になっていても良い。また、樹脂基材の両面の応力吸収層の厚さは、同一でも異なっていてもよく、前記両面の押し込み硬さの設計によって、適宜厚さを変えることが好ましい。
前記応力吸収層には、必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、マット剤、熱可塑性樹脂等の添加剤を加えることができる。
特に応力吸収層には、マット剤を加えることが好ましい。用いられるマット剤としては、無機微粒子又は有機微粒子を含有させることが好ましい。無機微粒子又は有機微粒子は塗膜の硬化収縮を抑制し、応力吸収層の基材への密着性を向上させることができる。
応力吸収層の透明性を低下させないために、無機微粒子の一次粒子径が100nm未満であることが好ましく、特に50nm未満であることが好ましい。粒子径が100nmを越えると光の散乱が発生し、透過率の低下による透明性の低下が発生するため好ましくない。
無機微粒子としては、乾式シリカ、湿式シリカなどのシリカ微粒子、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、酸化アンチモン、インジウム錫混合酸化物及びアンチモン錫混合酸化物などの金属酸化物微粒子、アクリル、スチレンなどの有機微粒子などが挙げられ、とりわけ、透明性、硬度の観点から10〜50nmの範囲のシリカ微粒子を有機溶媒に分散させたナノ分散シリカ微粒子であることが好ましい。
また、無機微粒子は、応力吸収層を構成する硬化性樹脂100質量部に対し、5〜50質量部の範囲配合されることが好ましく、特に10〜40質量部の範囲配合されることが好ましい。添加量はまた後述する算術平均粗さによって適宜決定される。
本発明に係る応力吸収層は、算術平均粗さRa値が0.3〜5nmの範囲内であることが好ましい。好ましくは0.5〜3nmの範囲である。0.3nmより大きいと、表面が平滑すぎず成膜ローラー搬送の劣化がみられないため、CVD法でのガスバリアー層形成が良好に行える。一方、5nmより小さいと、成膜ローラーとの密着性がよく、放電に影響を与えないのでガスバリアー層内の炭素原子成分の濃度勾配が均一になり、ガスバリアー性や屈曲性等が改善され好ましい。
本発明の応力吸収層の算術平均粗さ(Ra)は以下の方法で測定することができる。
算術平均粗さ測定の方法;AFM測定:
算術平均粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)、例えば、Digital Instruments社製DI3100で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
<ガスバリアー層>
本発明に係るガスバリアー層は、応力吸収層を両面に有する樹脂基材を一対の成膜ローラーの各々に接触させながら搬送を行い、当該一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法によって、前記応力吸収層上に形成する薄膜層である。
前記ガスバリアー層は、成膜ガスとして有機ケイ素化合物を含有する原料ガスと酸素ガスを用い、ガスバリアー層の構成元素として炭素、ケイ素、及び酸素を含み、かつ該層の層厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線において、当該ガスバリアー層の炭素原子比率が層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であり、かつ当該炭素分布曲線が、層内で濃度勾配を有して連続的に変化していることが、ガスバリアー性と屈曲性を高度に両立する観点から好ましい。当該炭素原子比率の層全体の平均値は後述するXPSデプスプロファイルの測定によって得られたデータより、求めることができる。
なお、上記炭素分布曲線における、「ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量」とは、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計数を意味し、「炭素原子の量」とは炭素原子数を意味する。同様に、ケイ素分布曲線のケイ素原子の量、及び酸素分布曲線の酸素原子の量についても同義であり、単位は「at%(原子%)」とする。
また、本発明に係るガスバリアー層は、以下の条件(A)を満たすことも好ましい。
該層が炭素、ケイ素、及び酸素を含有しており、且つ、該層の層厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素原子比率)、酸素原子の量の比率(酸素原子比率)及び炭素原子の量の比率(炭素原子比率)との関係をそれぞれ示すケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、
〔条件(A)〕
(i)ケイ素原子比率、酸素原子比率及び炭素原子比率が、該層の層厚の90%以上の距離領域において下記式(1):
(酸素原子比率)>(ケイ素原子比率)>(炭素原子比率)・・・(1)
で表される条件を満たすこと、あるいは、下記式(2):
(炭素原子比率)>(ケイ素原子比率)>(酸素原子比率)・・・(2)
で表される条件を満たすこと、
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること、
(iii)前記炭素分布曲線における炭素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、
がガスバリアー性と屈曲性を高度に両立する観点から好ましい。
以下、本発明に係るガスバリアー層の詳細について更に説明する。
〈ガスバリアー層−元素極値〉
本発明に係るガスバリアー層は、ガスバリアー層の構成元素に炭素、ケイ素、及び酸素を含み、かつ該層の層厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線において、当該ガスバリアー層の炭素原子比率が層全体の平均値として8〜20at%の範囲内である。より好ましくは10〜20at%の範囲である。
当該範囲内にすることにより、ガスバリアー性と屈曲性を十分に満たすガスバリアー層を形成することができる。
また、前記炭素原子比率が濃度勾配を有して連続的に変化するものであることが、ガスバリアー性と屈曲性を両立する観点から好ましい。このようなガスバリアー層においては、層内における炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましい。更に、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。前記炭素分布曲線が極値を有さない場合には、得られるガスバリアーフィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリアー性が不十分となる。また、このように少なくとも2つ又は3つの極値を有する場合においては、前記炭素分布曲線が有する一つの極値及び該極値に隣接する極値における前記ガスバリアー層の層厚方向における前記ガスバリアー層の表面からの距離の差の絶対値が、いずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
なお、本発明において極値とは、各元素の原子比率の極大値又は極小値のことをいう。
〈極大値、及び極小値の定義〉
本発明において極大値とは、ガスバリアー層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比率の値が増加から減少に変わる点であって、かつその点の元素の原子比率の値よりも、該点からガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上減少する点のことをいう。
さらに、本発明において極小値とは、ガスバリアー層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、且つその点の元素の原子比率の値よりも、該点からガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。
〈実質連続の定義〉
本発明においては、前記炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。
本明細書において、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素原子比率が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される前記ガスバリアー層のうちの少なくとも1層の層厚方向における該層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素原子比率(C、単位:at%)との関係において、下記数式(F1):
(dC/dx)≦ 0.5 ・・・(F1)
で表される条件を満たすことをいう。
〈炭素原子比率の最大値と最小値の関係〉
また、このようなガスバリアー層は、更に、(iii)前記炭素分布曲線における炭素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましい。また、このようなガスバリアー層においては、炭素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%以上では、得られるガスバリアーフィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリアー性が十分となる。
〈酸素原子比率の最大値と最小値の関係〉
本発明においては、前記ガスバリアー層の酸素分布曲線における最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%以上では、得られるガスバリアーフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリアー性が十分となる。
〈ケイ素原子比率の最大値と最小値の関係〉
本発明においては、前記ガスバリアー層のケイ素分布曲線における最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリアーフィルムのガスバリアー性及び機械的強度が十分となる。
〈酸素原子+炭素原子の合計量の比率〉
本発明においては、前記ガスバリアー層のうちの少なくとも1層の層厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子及び炭素原子の合計量の比率(酸素−炭素合計の原子比率という。)である酸素−炭素合計の分布曲線(酸素炭素分布曲線ともいう。)において、前記酸素−炭素合計の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリアーフィルムのガスバリアー性が十分となる。
〈XPSデプスプロファイルについて〉
ガスバリアー層の層厚方向におけるケイ素分布曲線、酸素分布曲線、及び炭素分布曲線、及び前記酸素−炭素合計の分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比率(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は層厚方向における前記ガスバリアー層の層厚方向における前記ガスバリアー層の表面からの距離におおむね相関することから、「ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリアー層の表面からの距離を採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
また、本発明においては、膜面全体において均一で且つ優れたガスバリアー性を有するガスバリアー層を形成するという観点から、前記ガスバリアー層が膜面方向(ガスバリアー層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。本明細書において、ガスバリアー層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりガスバリアー層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線及び前記酸素−炭素合計の分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるか若しくは5at%以内の差であることをいう。
本発明のガスバリアーフィルムは、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリアー層を少なくとも1層備えることが好ましいが、そのような条件を満たす層を2層以上備えていてもよい。さらに、このようなガスバリアー層を2層以上備える場合には、複数のガスバリアー層の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、このようなガスバリアー層を2層以上備える場合には、このようなガスバリアー層は前記基材の一方の表面上に形成されていてもよく、前記基材の両方の表面上に形成されていてもよい。また、このような複数のガスバリアー層としては、ガスバリアー性を必ずしも有しないガスバリアー層を含んでいてもよい。
また、前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線及び前記炭素分布曲線において、ケイ素原子比率、酸素原子比率及び炭素原子比率が、該層の層厚の90%以上の距離領域において前記式(1)で表される条件を満たす場合には、前記ガスバリアー層中におけるケイ素原子比率は、25〜45at%の範囲であることが好ましく、30〜40at%の範囲であることがより好ましい。また、前記ガスバリアー層中における酸素原子比率は、33〜67at%の範囲であることが好ましく、45〜67at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記ガスバリアー層中における炭素原子比率は、3〜33at%の範囲であることが好ましく、3〜25at%の範囲であることがより好ましい。
さらに、前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線及び前記炭素分布曲線において、ケイ素原子比率、酸素原子比率及び炭素原子比率が、該層の層厚の90%以上の距離領域において前記式(2)で表される条件を満たす場合には、前記ガスバリアー層中におけるケイ素原子比率は、25〜45at%の範囲であることが好ましく、30〜40at%の範囲であることがより好ましい。また、前記ガスバリアー層中における酸素原子比率は、1〜33at%の範囲であることが好ましく、10〜27at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記ガスバリアー層中における炭素原子比率は、33〜66at%の範囲であることが好ましく、40〜57at%の範囲であることがより好ましい。
〈バリアー層の厚さ〉
前記ガスバリアー層の厚さは、5〜3000nmの範囲であることが好ましく、10〜2000nmの範囲であることより好ましく、100〜1000nmの範囲であることが特に好ましい。ガスバリアー層の厚さが前記範囲内であれば、酸素ガスバリアー性、水蒸気バリアー性等のガスバリアー性に優れ、屈曲によるガスバリアー性の低下がみられない。
また、本発明のガスバリアーフィルムが複数のガスバリアー層を備える場合には、それらのガスバリアー層の厚さのトータルの値は、通常10〜10000nmの範囲であり、10〜5000nmの範囲であることが好ましく、100〜3000nmの範囲であることより好ましく、200〜2000nmの範囲であることが特に好ましい。ガスバリアー層の厚さの合計値が前記範囲内であると、酸素ガスバリアー性、水蒸気バリアー性等のガスバリアー性が十分であり、屈曲によりガスバリアー性も低下しにくい傾向にある。
〈ガスバリアー層の製造方法〉
本発明に係るガスバリアー層は、プラズマ化学気相成長法により形成される層である。より詳しく当該プラズマ化学気相成長法により形成されるガスバリアー層として、前記樹脂基材を一対の成膜ローラーの各々に接触させながら搬送を行い、前記一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電して、プラズマ化学気相成長法により形成される層である。また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。更に、このようなプラズマ化学気相成長法に用いる前記成膜ガスとしては有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。また、本発明のガスバリアーフィルムにおいては、前記ガスバリアー層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
次に、本発明のガスバリアーフィルムを製造する方法について説明する。本発明のガスバリアーフィルムは、前記樹脂基材の応力吸収層表面上に前記ガスバリアー層を形成させることにより製造することができる。このような本発明にかかるガスバリアー層を前記樹脂基材の表面上に形成させる方法としては、ガスバリアー性の観点から、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)を採用するものであるが、前記プラズマ化学気相成長法はペニング放電プラズマ方式のプラズマ化学気相成長法であっても良い。
本発明に係るガスバリアー層のように、炭素原子比率が濃度勾配を有し、かつ層内で連続的に変化する層を形成するには、前記プラズマ化学気相成長法においてプラズマを発生させる際に、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、本発明では一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに前記樹脂基材を接触させながら搬送を行い、当該一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に樹脂基材を接触させながら搬送して、かかる一対の成膜ローラー間にプラズマ放電することにより、樹脂基材と成膜ローラー間のプラズマ放電位置との距離が変化することによって、前記炭素原子比率が濃度勾配を有し、かつ層内で連続的に変化するようなガスバリアー層を形成することが可能となる。
また、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する樹脂基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する樹脂基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく上記条件(i)〜(iii)を全てを満たす層を形成することが可能となる。
また、本発明のガスバリアーフィルムは、生産性の観点から、ロールtoロール方式で前記基材の表面上に前記ガスバリアー層を形成させることが好ましい。
また、このようなプラズマ化学気相成長法によりガスバリアーフィルムを製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え且つ前記一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図2に示す製造装置を用いた場合には、プラズマ化学気相成長法を利用しながらロールtoロール方式で製造することも可能となる。
以下、図2を参照しながら、本発明のガスバリアーフィルムを製造する方法についてより詳細に説明する。なお、図2は、本発明のガスバリアーフィルムを製造するのに好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。以下の説明における樹脂基材1とは、本発明に係る応力吸収層を両面に有する樹脂基材をいう。
図2に示す製造装置は、送り出しローラー11と、搬送ローラー21、22、23、24と、成膜ローラー31、32と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源51と、成膜ローラー31及び32の内部に設置された磁場発生装置61、62と、巻取りローラー71とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー31、32と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源51と、永久磁石からなる磁場発生装置61、62とが図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。更に、このような製造装置において前記真空チャンバーは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31と成膜ローラー32)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源51に接続されている。そのため、このような製造装置においては、プラズマ発生用電源51により電力を供給することにより、成膜ローラー31と成膜ローラー32との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ローラー31と成膜ローラー32との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー31と成膜ローラー32を電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び32)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び32)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。
また、成膜ローラー31及び成膜ローラー32の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置61及び62がそれぞれ設けられている。
さらに、成膜ローラー31及び成膜ローラー32としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー31及び32としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー31及び32の直径としては、放電条件、チャンバーのスペース等の観点から、直径が300〜1000mmφの範囲、特に300〜700mmφの範囲が好ましい。300mmφより大きいと、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量がフィルムにかかることを回避できることから、残留応力が大きくなりにくく好ましい。一方、1000mmφより小さいと、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
また、このような製造装置に用いる送り出しローラー11及び搬送ローラー21、22、23、24としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー71としても、ガスバリアー層を形成した樹脂基材1を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
ガス供給管41としては原料ガス等を所定の速度で供給又は排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源51としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源51は、これに接続された成膜ローラー31と成膜ローラー32に電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源51としては、より効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源51としては、より効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ且つ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置61、62としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
このような図2に示す製造装置を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバー内の圧力、成膜ローラーの直径、並びに、樹脂基材の搬送速度を適宜調整することにより、本発明のガスバリアーフィルムを製造することができる。すなわち、図2に示す製造装置を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び32)間にプラズマ放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー31上の樹脂基材1の表面上並びに成膜ローラー32上の樹脂基材1の表面上に、前記ガスバリアー層がプラズマCVD法により形成される。なお、このような成膜に際しては、樹脂基材1が送り出しローラー11や成膜ローラー31等により、それぞれ搬送されることにより、ロールtoロール方式の連続的な成膜プロセスにより樹脂基材1の表面上に前記ガスバリアー層が形成される。
〈原料ガス〉
本発明に係るガスバリアー層の形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成するガスバリアー層の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えばケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取扱い及び得られるガスバリアー層のガスバリアー性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記成膜ガスとしては、前記原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎてしまうと、本発明のガスバリアー層が得られにくい。よって、所望したバリアーフィルムとしての性能が得る上では、前記成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下とすることが好ましい。
以下代表例として、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物:HMDSO:(CHSiO:)と反応ガスとしての酸素(O)を取上げ説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)とを含有する成膜ガスをプラズマCVD法により反応させてケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式(1):
(CHSiO+12O→6CO+9HO+2SiO (1)
で示される反応が起こり、二酸化ケイ素が製造される。このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまうため、原料のガス流量比を理論比である完全反応の原料比以下の流量に制御して、非完全反応を遂行させる。つまりヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくする必要がある。
なお、実際のプラズマCVDチャンバー内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素は、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVD法により完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある。)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。このような比でヘキサメチルジシロキサン及び酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がガスバリアー層中に取り込まれ、所望したガスバリアー層を形成することが可能となって、得られるガスバリアーフィルムに優れたバリアー性及び耐屈曲性を発揮させることが可能となる。なお、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)が少なすぎると、酸化されなかった炭素原子や水素原子がガスバリアー層中に過剰に取り込まれるため、この場合はバリアー膜の透明性が低下して、バリアーフィルムは有機ELデバイスや有機薄膜太陽電池などのような透明性を必要とするデバイス用のフレキシブル基板には利用できなくなってしまう。このような観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
〈真空度〉
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜100Paの範囲とすることが好ましい。
〈ローラー成膜〉
また、このようなプラズマCVD法において、成膜ローラー31及び32間に放電するために、プラズマ発生用電源51に接続された電極ドラム(本実施形態においては成膜ローラー31及び32に設置されている。)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。このような範囲の印加電力であれば、パーティクルの発生もみられず、膜時に発生する熱量も制御内であるため、成膜時の基材表面の温度上昇による、樹脂基材の熱負けや成膜時の皺の発生もない。また、熱で樹脂基材が溶けて、裸の成膜ローラー間に大電流の放電が発生して成膜ローラー自体を傷めてしまう可能性も小さい。
樹脂基材1の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が前記範囲内であれば、樹脂基材の熱に起因する皺の発生もし難く、形成されるガスバリアー層の厚さも十分に制御可能である。
以上のようにして形成される本発明のガスバリアー層のXPSデプスプロファイルによる層の厚さ方向の各元素プロファイルの一例を図3に示す。
図3において、符号A〜Dは、A:炭素分布曲線、B:ケイ素分布曲線、C:酸素分布曲線、D:酸素炭素分布曲線を各々表す。図3から、本発明のガスバリアー層が、当該ガスバリアー層の炭素原子比率が、ガスバリアー層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であり、かつ濃度勾配を有して層内で連続的に変化し、〔条件(A)〕を満たすことがわかる。
図4は、比較のガスバリアー層のXPSデプスプロファイルによる層の厚さ方向の各元素プロファイルの一例である。当該ガスバリアー層は、平坦電極(水平搬送)タイプのプラズマ放電でのCVD法で形成しており、炭素原子成分の濃度勾配の連続的な変化が起こらない様子がわかる。
<第2のガスバリアー層>
本発明において、本発明に係るガスバリアー層の上に、塗布方式のポリシラザン含有液の塗膜を設け、波長200nm以下の真空紫外光(VUV光)を照射して改質処理することにより形成された第2のガスバリアー層を設けることが好ましい。上記第2のガスバリアー層をCVD法で設けたガスバリアー層の上に設けることにより、ガスバリアー層に残存する微小な欠陥を、上部からポリシラザンのガスバリアー成分で埋めることができ、更なるガスバリアー性と屈曲性を向上できるので、好ましい。
第2のガスバリアー層の厚さは、1nm〜500nmの範囲が好ましい、より好ましくは10nm〜300nmの範囲である。上記厚さの範囲内であれば、ガスバリアー性能が発揮でき、緻密な酸窒化ケイ素膜にクラックが入りにくい。
〈ポリシラザン〉
本発明に係る「ポリシラザン」とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つポリマーで、酸窒化ケイ素の前駆体となるポリマーであり、下記の構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 0005892030
式中、R、R、Rは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリアー層の膜としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質である。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20などが挙げられる。
第2のガスバリアー層は、CVD法でのガスバリアー層上にポリシラザンを含む塗布液を塗布し乾燥した後、真空紫外線を照射することにより形成することができる。
塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは避けることが好ましい。例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用でき、具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や溶媒の蒸発速度等の目的にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合しても良い。
ポリシラザンを含有する塗布液中のポリシラザンの濃度は、第2のガスバリアー層の層厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは0.2〜35質量%程度である。
酸窒化ケイ素への変性を促進するために、該塗布液にアミン触媒や、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒を添加することもできる。本発明においては、アミン触媒を用いることが特に好ましい。具体的なアミン触媒としては、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等が挙げられる。
ポリシラザンに対するこれら触媒の添加量は、塗布液全体に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.2〜5質量%の範囲であることがより好ましく、0.5〜2質量%の範囲であることがさらに好ましい。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行よる過剰なシラノール形成、及び膜密度の低下、膜欠陥の増大のなどを避けることができる。
ポリシラザンを含有する塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、例えば、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗膜の厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗膜の厚さは、乾燥後の厚さとして50nm〜2μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは70nm〜1.5μmの範囲にあり、100nm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましい。
〈エキシマ処理〉
本発明に係る第2のガスバリアー層は、ポリシラザンを含む層に真空紫外線を照射する工程で、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素へと改質される。
ここで、真空紫外線照射工程でポリシラザンを含む塗膜が改質され、SiOの特定組成となる推定メカニズムを、パーヒドロポリシラザンを例にとって説明する。
パーヒドロポリシラザンは「−(SiH−NH)−」の組成で示すことができる。SiOで示す場合、x=0、y=1である。x>0となるためには外部の酸素源が必要であるが、これは、(i)ポリシラザン塗布液に含まれる酸素や水分、(ii)塗布乾燥過程の雰囲気中から塗膜に取り込まれる酸素や水分、(iii)真空紫外線照射工程での雰囲気中から塗膜に取り込まれる酸素や水分、オゾン、一重項酸素、(iv)真空紫外線照射工程で印加される熱等により基材側からアウトガスとして塗膜中に移動してくる酸素や水分、(v)真空紫外線照射工程が非酸化性雰囲気で行われる場合には、その非酸化性雰囲気から酸化性雰囲気へと移動した際に、その雰囲気から塗膜に取り込まれる酸素や水分、などが酸素源となる。
一方、yについては、Siの酸化よりも窒化が進行する条件は非常に特殊であると考えられるため、基本的には1が上限である。
また、Si、O、Nの結合手の関係から、基本的にはx、yは2x+3y≦4の範囲にある。酸化が完全に進んだy=0の状態においては、塗膜中にシラノール基を含有するようになり、2<x<2.5の範囲となる場合もある。
真空紫外線照射工程でパーヒドロポリシラザンから酸窒化ケイ素、さらには酸化ケイ素が生じると推定される反応機構について、以下に説明する。
(1)脱水素、それに伴うSi−N結合の形成
パーヒドロポリシラザン中のSi−H結合やN−H結合は真空紫外線照射による励起等で比較的容易に切断され、不活性雰囲気下ではSi−Nとして再結合すると考えられる(Siの未結合手が形成される場合もある)。すなわち、酸化することなくSiN組成として硬化する。この場合はポリマー主鎖の切断は生じない。Si−H結合やN−H結合の切断は触媒の存在や、加熱によって促進される。切断されたHはHとして膜外に放出される。
(2)加水分解・脱水縮合によるSi−O−Si結合の形成
パーヒドロポリシラザン中のSi−N結合は水により加水分解され、ポリマー主鎖が切断されてSi−OHを形成する。二つのSi−OHが脱水縮合してSi−O−Si結合を形成して硬化する。これは大気中でも生じる反応であるが、不活性雰囲気下での真空紫外線照射中では、照射の熱によって基材からアウトガスとして生じる水蒸気が主な水分源となると考えられる。水分が過剰となると脱水縮合しきれないSi−OHが残存し、SiO2.1〜2.3の組成で示されるガスバリアー性の低い硬化膜となる。
(3)一重項酸素による直接酸化、Si−O−Si結合の形成
真空紫外線照射中、雰囲気下に適当量の酸素が存在すると、酸化力の非常に強い一重項酸素が形成される。パーヒドロポリシラザン中のHやNはOと置き換わってSi−O−Si結合を形成して硬化する。ポリマー主鎖の切断により結合の組み換えを生じる場合もあると考えられる。
(4)真空紫外線照射・励起によるSi−N結合切断を伴う酸化
真空紫外線のエネルギーはパーヒドロポリシラザン中のSi−Nの結合エネルギーよりも高いため、Si−N結合は切断され、周囲に酸素、オゾン、水等の酸素源が存在すると酸化されてSi−O−Si結合やSi−O−N結合が生じると考えられる。ポリマー主鎖の切断により結合の組み換えを生じる場合もあると考えられる。
ポリシラザンを含有する層に真空紫外線照射を施した層の酸窒化ケイ素の組成の調整は、上述の(1)〜(4)の酸化機構を適宜組み合わせて酸化状態を制御することで行うことができる。
本発明における真空紫外線照射工程において、ポリシラザン層塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は30〜200mW/cmの範囲であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲であることがより好ましい。30mW/cm以上では、改質効率が低下する懸念がなく、200mW/cm以下では、塗膜にアブレーションを生じず、基材にダメージを与えないため好ましい。
ポリシラザン層塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲であることが好ましく、500〜5000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。200mJ/cm以上では、改質が十分行え、10000mJ/cm以下では過剰改質にならずクラック発生や、基材の熱変形がない。
真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。Xe、Kr、Ar、Neなどの希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。
しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの励起原子は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には、
e+Xe→Xe
Xe+2Xe→Xe +Xe
Xe →Xe+Xe+hν(172nm)
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を低く保つことができる。さらには始動及び再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ発光を得るには、誘電体バリアー放電を用いる方法が知られている。誘電体バリアー放電とは、両電極間に透明石英などの誘電体を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じ、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電であり、micro dischargeのストリーマが管壁(誘導体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。
このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため、肉眼でも確認できる光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリアー放電以外に、無電極電界放電でも可能である。容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は基本的には誘電体バリアー放電と同じで良いが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電はこのように空間的にまた時間的に一様な放電が得られるため、チラツキが無い長寿命のランプが得られる。
誘電体バリアー放電の場合は、micro dischargeが電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。
このため、細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は、光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では真空紫外光により発生するオゾンなどにより損傷しやすい。これを防ぐためには、ランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素などの不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。したがって、仮にランプを密着して並べても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば、酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には、外部電極を網状にする必要は無い。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけでグロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリアー放電の場合と同様に大きいため一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマランプの最大の特徴は、構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマ発光を行うためのガスを封入しているだけである。
細管ランプの管の外径は6nm〜12mm程度で、余り太いと始動に高い電圧が必要になる。
放電の形態は、誘電体バリアー放電及び無電極電界放電のいずれも使用できる。電極の形状はランプに接する面が平面であっても良いが、ランプの曲面に合わせた形状にすればランプをしっかり固定できるとともに、電極がランプに密着することにより放電がより安定する。また、アルミで曲面を鏡面にすれば光の反射板にもなる。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン層の改質を実現できる。
したがって、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板などへの照射を可能としている。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲、更に好ましく1000〜4500ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
<オーバーコート層>
本発明に係る第2のガスバリアー層の上には屈曲性を更に改善するのに、オーバーコート層を形成しても良い。オーバーコート層に用いられる有機物としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂層を好ましく用いることができる。これらの有機樹脂若しくは有機無機複合樹脂は重合性基や架橋性基を有することが好ましく、これらの有機樹脂若しくは有機無機複合樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤や架橋剤等を含有する有機樹脂組成物塗布液から塗布形成した層に、光照射処理や熱処理を加えて硬化させることが好ましい。
<電子デバイス>
本発明のガスバリアーフィルムは、有機素子デバイス用フィルムとして使用することを特徴の一つとする。本発明の有機素子デバイスとしては、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略記する)、有機光電変換素子、液晶素子等が挙げられる。
〈電子デバイスとしての有機ELパネル〉
本発明のガスバリアーフィルム1a(1b)は、太陽電池、液晶表示素子、有機EL素子等を封止する封止フィルムとして用いることができる。
このガスバリアーフィルム1aを封止フィルムとして用いた電子デバイスである有機ELパネルPの一例を図5に示す。
有機ELパネルPは、図5に示すように、ガスバリアーフィルム1aと、ガスバリアーフィルム1a上に形成されたITOなどの透明電極6と、透明電極6を介してガスバリアーフィルム1a上に形成された電子デバイス本体である有機EL素子7と、その有機EL素子7を覆うように接着剤層8を介して配設された対向フィルム9等を備えている。なお、透明電極6は、有機EL素子7の一部を成すこともある。
このガスバリアーフィルム1aにおけるガスバリアー層3側の表面に、透明電極6と有機EL素子7が形成されるようになっている。
そして、有機ELパネルPにおいて、有機EL素子7は水蒸気に晒されないように好適に封止されており、有機EL素子7は劣化し難くなっているので、有機ELパネルPを長く使用することが可能になり、有機ELパネルPの寿命が延びる。
なお、対向フィルム9は、アルミ箔などの金属フィルムのほか、本発明に係るガスバリアーフィルムを用いてもよい。対向フィルム9としてガスバリアーフィルムを用いる場合、ガスバリアー層3が形成された面を有機EL素子7に向けて、接着剤層8によって貼付するようにすればよい。
〈有機EL素子〉
有機ELパネルPにおいてガスバリアーフィルム1aで封止される有機EL素子7について説明する。
以下に有機EL素子7の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極
(陽極)
有機EL素子7における陽極(透明電極6)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜として形成し、その薄膜をフォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。また、陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
有機EL素子7における陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が陰極として好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。また、陰極の膜厚は通常10nm〜5μmの範囲、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子7の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば、発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極の説明で挙げた上記金属を1〜20nmの範囲の膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(注入層:電子注入層、正孔注入層)
注入層には電子注入層と正孔注入層があり、電子注入層と正孔注入層を必要に応じて設け、陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させる。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、特開平9−260062号公報、特開平8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、特開平9−17574号公報、特開平10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
(発光層)
有機EL素子7における発光層は、電極(陰極、陽極)又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
有機EL素子7の発光層には、以下に示すドーパント化合物(発光ドーパント)とホスト化合物(発光ホスト)が含有されることが好ましい。これにより、より一層発光効率を高くすることができる。
(発光ドーパント)
発光ドーパントは、大きく分けて蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
蛍光性ドーパントの代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
リン光性ドーパントの代表例としては、好ましくは元素の周期表で8属、9属、10属の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
発光ドーパントは複数種の化合物を混合して用いてもよい。
(発光ホスト)
発光ホスト(単にホストともいう)とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント化合物(単に、ドーパントともいう)」という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。更に発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。
発光ホストとしては構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、又はカルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。中でも、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体等が好ましく用いられる。
そして、発光層は上記化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。発光層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。この発光層はドーパント化合物やホスト化合物が1種又は2種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲である。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する電子輸送材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲である。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
有機EL素子7の作製方法について説明する。
ここでは有機EL素子7の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製方法について説明する。
まず、バリアーフィルム10上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング、プラズマCVD法等の方法により形成させ、陽極を作製する。
次に、その上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の有機化合物薄膜を形成させる。この有機化合物薄膜の成膜方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる成膜法を適用してもよい。成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃の範囲、真空度10−6〜10−2Paの範囲、蒸着速度0.01〜50nm/秒の範囲、基板温度−50〜300℃の範囲、膜厚0.1nm〜5μmの範囲、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
この有機EL素子7の作製は、一回の真空引きで一貫して陽極、正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子7を備える多色の表示装置(有機ELパネル20)に、直流電圧を印加する場合には、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
≪評価条件≫
<水蒸気透過係数(WVTR)>
ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度は以下の方法により測定した。
(1)水蒸気透過度の測定(評価A、評価B)
温度40℃、低湿度側の湿度0%RH、高湿度側の湿度90%RHの条件において、水蒸気透過度測定機(GTRテック社製、機種名「GTRテック−30XASC」)を用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度(評価A)を測定した。また、温度40℃、低湿度側の湿度10%RH、高湿度側の湿度100%RHの条件において、水蒸気透過度測定機(Lyssy社製、機種名「Lyssy−L80−5000」)を用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度(評価B)を測定した。
(2)(1)の評価方法で検出限界以下の時は、以下の方法で測定を行った。
《水蒸気バリアー性の評価(Ca評価方法)》
(水蒸気バリアー性評価試料の作製装置)
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
(原材料)
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
(水蒸気バリアー性評価試料の作製)
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、作製したガスバリアーフィルムのガスバリアー層表面に、マスクを通して12mm×12mmのサイズで金属カルシウムを蒸着させた。この際、蒸着膜厚は80nmとなるようにした。
その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムを蒸着させて仮封止をした。次いで、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下に移して、アルミニウム蒸着面に封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を介して厚さ0.2mmの石英ガラスを張り合わせ、紫外線を照射して樹脂を硬化接着させて本封止することで、水蒸気バリアー性評価試料を作製した。
得られた試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、保存時間に対して金属カルシウムが腐食して行く様子を観察した。観察は、保存時間6時間までは1時間ごとに、それ以降24時間までは3時間ごとに、それ以降48時間までは6時間ごとに、それ以降は12時間ごとに行い、12mm×12mmの金属カルシウム蒸着面積に対する金属カルシウムが腐食した面積を%表示で算出した。金属カルシウムが腐食した面積が1%となった時間を観察結果から直線で内挿して求め、金属カルシウム蒸着面積と、面積1%分の金属カルシウムを腐食させる水蒸気量と、それに要した時間との関係からそれぞれのガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を算出した。
<元素のプロファイル(XPSデータ)測定>
下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、及び炭素分布曲線及び酸素−炭素合計の分布曲線を得た。
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチングレート(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800×400μmの楕円形。
こうして評価したデータをもとにバリアーの表面からの距離を横軸に、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び酸素炭素分布曲線を作成した。代表として表1記載の試料No.20の各分布曲線を図3に示した。
図3において、符号A〜Dは、A:炭素分布曲線、B:ケイ素分布曲線、C:酸素分布曲線、D:酸素炭素分布曲線を各々表す。
<屈曲性評価>
各ガスバリアーフィルムについて、金属製の棒にガスバリアーフィルムを巻き付けた後、1分放置する屈曲試験を施し、その後、ガスバリアーフィルムを平らに戻して、水蒸気透過係数評価を行った。なお、屈曲試験における曲率半径Rは棒の直径の1/2に相当するが、ガスバリアーフィルムの巻き数が多くなる場合は、フィルムを巻き付けた時の直径の1/2を曲率半径Rとした。Rは、8mmにて屈曲性試験を行った。
屈曲性試験をする前の水蒸気透過係数と屈曲性試験後の数値の比を調べ、下記の基準で評価した。
○ :比が0.95以上
○△:比が0.90以上〜0.95未満
△ :比が0.80以上〜0.90未満
△×:比が0.50以上〜0.80未満
× :比が0.30以上〜0.50未満
××:比が0.30未満
<高温高湿処理+屈曲性評価>
各ガスバリアーフィルムについて、高温高湿条件として、温度85℃、湿度85%RHの環境下で3000時間保存して、強制劣化処理を施した。
さらに金属製の棒にガスバリアーフィルムを巻き付けた後、1分放置する屈曲試験を施し、その後、ガスバリアーフィルムを平らに戻して、高温高湿処理+屈曲性評価試料とし、水蒸気透過係数評価と密着性評価を行った。
なお、屈曲試験における曲率半径Rは棒の直径の1/2に相当するが、ガスバリアーフィルムの巻き数が多くなる場合は、フィルムを巻き付けた時の直径の1/2を曲率半径Rとした。Rは、8mmにて屈曲性試験を行った。
<押し込み硬さ評価>
HYSITRON社製超微小押し込み硬さ試験機TriboScopeを用いて、23℃55%RHの雰囲気下で、試料に荷重100μNを加え、負荷開始から除荷までの全過程にわたって押し込み荷重P(μN)に対応する押し込み深さh(nm)を連続的に測定し、P−h曲線を作成した。作成したP−h曲線から押し込み硬さHを、下述の式(1)により求めた。
H(GPa)=Pmax/A ・・・(1)
[Pmax:最大荷重(μN)、A:圧子投影面積(μm)]
実施例1
<樹脂基材の準備>
熱可塑性樹脂基材(支持体)として、両面に易接着加工された厚さ125μmのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、KDL86WA)をそのまま基材として用いた。基材のみを測定した表面粗さ(JIS B 0601準拠)は、Raで4nm、Rzで320nmであった。
<応力吸収層2の形成>
東亞合成(株)製UV硬化型樹脂アロニックスM−8100に、光重合開始剤イルガキュア184(BASFジャパン製)を、固形分比(質量%)で樹脂/開始剤:95/5になるように調整し、応力吸収層塗布液2とした。
上記塗布液2を支持体の片面に、塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層2を形成した。このときの押し込み硬さ値は表1に記載した。
<応力吸収層3の形成>
DIC(株)製UV硬化型樹脂ユニディックV−4025に、光重合開始剤イルガキュア184(BASFジャパン製)を、固形分比(質量%)で樹脂/開始剤:95/5になるように調整し、応力吸収層塗布液3とした。上記塗布液3を支持体の片面に、塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層3を形成した。
<応力吸収層9〜11の形成>
応力吸収層塗布液3を支持体の両面に、塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、それぞれの面に硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層9〜11を形成した。
<応力吸収層4の形成>
応力吸収層塗布液2を支持体の両面に、塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、それぞれの面に硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層4を形成した。
<応力吸収層5の形成>
応力吸収層塗布液2を支持体の片面(ガスバリアー層設置側:CVDロール非接触面側)に、応力吸収層塗布液3を支持体の片面(CVDロール接触面側)に、それぞれ塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、それぞれの面に硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層5を形成した。
<応力吸収層6の形成>
応力吸収層塗布液3を支持体の両面に、塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、それぞれの面に硬化条件;0.12J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層6を形成した。
<応力吸収層12の形成>
応力吸収層塗布液3を支持体の両面に、塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、片面(ガスバリアー層設置側:CVDロール非接触面側)には硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、片面(CVDロール接触面側)には硬化条件;1.0J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層12を形成した。
<応力吸収層13、20、21の形成>
UV硬化型樹脂JSR(株)製オプスターZ7501を、支持体の両面に塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層13、20、21を形成した。
<応力吸収層14の形成>
UV硬化型樹脂JSR(株)製オプスターZ7501を、支持体の両面に塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;1.0J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層14を形成した。
<応力吸収層15の形成>
UV硬化型樹脂JSR(株)製オプスターZ7527を、支持体の両面に塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層15を形成した。
<応力吸収層16の形成>
UV硬化型樹脂荒川化学工業(株)製ビームセット907を、支持体の両面に塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層16を形成した。
<応力吸収層17の形成>
UV硬化型樹脂東洋インキ(株)製リオデュラスLCH1559を、支持体の両面に塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層17を形成した。
<応力吸収層18の形成>
UV硬化型樹脂東洋インキ(株)製リオデュラスLCH1559を、片面(ガスバリアー層設置側:CVDロール非接触面側)に、UV硬化型樹脂JSR(株)製オプスターZ7501を支持体の片面(CVDロール接触面側)に、それぞれ塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層18を形成した。
<応力吸収層19の形成>
UV硬化型樹脂荒川化学工業(株)製ビームセット907を、片面(ガスバリアー層設置側:CVDロール非接触面側)に、UV硬化型樹脂JSR(株)製オプスターZ7501を支持体の片面(CVDロール接触面側)に、それぞれ塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層19を形成した。
<応力吸収層22、24〜29の形成>
樹脂基材をPETから、PEN(両面に易接着加工された厚さ125μmのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、Q65FWA)に変更し、UV硬化型樹脂JSR(株)製オプスターZ7501を、両面に塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層22、24〜29を形成した。
<応力吸収層23の形成>
樹脂基材をPETから、PC(厚さ50μmのポリカーボネートフィルム(帝人化成株式会社製、WR−S148)に変更し、UV硬化型樹脂JSR(株)製オプスターZ7501を、両面に塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行い、応力吸収層23を形成した。
<応力吸収層7の形成>
応力吸収層塗布液3を支持体のロール接触面に、塗布、80℃3分乾燥し、乾燥膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;0.5J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用で硬化を行った。その後、ロール非接触面に以下のようにして応力吸収層7層を形成した。
(ポリシラザンより酸化ケイ素膜形成)
パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を、塗布液とした。
〈ポリシラザン層の形成〉
上記ポリシラザン層塗布液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の(平均)膜厚が300nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
(ガスバリアー層の形成:紫外光によるポリシラザン層のシリカ転化処理)
次いで、上記形成したポリシラザン層に対し、下記紫外線装置を真空チャンバー内に設置して、装置内の圧力を表1に示している値に調整して、シリカ転化処理を実施した。
〈紫外線照射装置〉
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
〈改質処理条件〉
稼動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成した基材に対し、以下の条件で改質処理を行って、ガスバリアー層を形成した。
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
<応力吸収層8の形成>
応力吸収層32のポリシラザン硬化層を両面に形成して、応力吸収層8とした。
<ガスバリアーフィルム1〜19、22、23、26の形成>
応力吸収層付き樹脂基材の応力吸収層が、それぞれロール接触面、又はロール非接触面になるように、図2で示す装置に装着して、下記成膜条件(プラズマCVD条件)にて基材上にガスバリアー層を層厚500nmの厚さになるように形成し、ガスバリアーフィルム1〜19、22、23、26を作製した。ガスバリアーフィルム26については、2回成膜した。
〈成膜条件〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサンHMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
フィルムの搬送速度;0.8m/min
成膜ローラー直径:300mmφ
<ガスバリアーフィルム20の形成>
酸素ガスの供給量を750sccm、フィルム搬送速度を2.5m/minに変更した以外はガスバリアーフィルム1同様にして、層厚300nmのガスバリアー層を有するガスバリアーフィルム20を成膜した。
<ガスバリアーフィルム21の形成>
原料ガスの供給量を75sccm、フィルム搬送速度を0.4m/minに変更した以外はガスバリアーフィルム1同様にして、層厚1000nmのガスバリアーフィルム21を成膜した。
<第2のガスバリアー層25、27〜29の形成>
上記ガスバリアーフィルム上に第2のガスバリアー層を以下のようにして形成し、第2のガスバリアー層付きフィルム25、27〜29を作製した。
(ポリシラザンより酸化ケイ素膜形成)
パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を、塗布液とした。
〈ポリシラザン層の形成〉
上記ポリシラザン層塗布液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の(平均)膜厚が300nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
(ガスバリアー層の形成:紫外光によるポリシラザン層のシリカ転化処理)
次いで、上記形成したポリシラザン層に対し、下記紫外線装置を真空チャンバー内に設置して、装置内の圧力を表1に示している値に調整して、シリカ転化処理を実施した。
〈紫外線照射装置〉
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
〈改質処理条件〉
稼動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成した基材に対し、以下の条件で改質処理を行って、ガスバリアー層を形成した。
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
<オーバーコート層24、27〜29の形成>
表1に記載した構成で、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層又は第2のガスバリアー層の上に、以下のようにオーバーコート層を形成した。
和信化学工業(株)製ワシンコートMP6103を塗布、120℃3分乾燥し、乾燥膜厚が500nmになるように、オーバーコート層24、27〜29を形成した。
またJSR(株)製グラスカHPC7003を塗布、120℃3分乾燥し、乾燥膜厚が500nmになるように、オーバーコート層28を形成した。
以上作製したガスバリアーフィルムの構成及び当該ガスバリアーフィルムを用いて、応力吸収層の押し込み硬さ評価、ガスバリアーフィルムのXPSデプスプロファイル測定、水蒸気バリアー性の評価、屈曲性評価、高温高湿処理+屈曲性評価を行い、表1及び表2に記載した。
Figure 0005892030
Figure 0005892030
表1及び表2記載したように、本発明によれば、十分なガスバリアー性を有しており、しかも高温高湿処理+フィルムを屈曲させた場合においても、ガスバリアー性の低下を十分に抑制することが可能な耐久性が良好なガスバリアーフィルムを提供することが可能となる。
実施例2
<有機EL素子の作製>
(第1電極層の形成)
実施例1で作製したガスバリアーフィルム1〜29のガスバリアー層、又は第2のガスバリアー層、又はオーバーコート層の上に、厚さ150nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
(正孔輸送層の形成)
第1電極層が形成された各ガスバリアーフィルムの第1電極層の上に、以下に示す正孔輸送層形成用塗布液を、25℃相対湿度50%の環境下で、押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥及び加熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。正孔輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが50nmになるように塗布した。
正孔輸送層形成用塗布液を塗布する前に、バリアーフィルムの洗浄表面改質処理を、波長184.9nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm、距離10mmで実施した。帯電除去処理は、微弱X線による除電器を使用し行った。
〈正孔輸送層形成用塗布液の準備〉
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノール5%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。
〈乾燥及び加熱処理条件〉
正孔輸送層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置を用い温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。
(発光層の形成)
上記で形成した正孔輸送層上に、以下に示す白色発光層形成用塗布液を、下記の条件により押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥及び加熱処理を行い、発光層を形成した。白色発光層形成用塗布液は乾燥後の厚みが40nmになるように塗布した。
〈白色発光層形成用塗布液〉
ホスト材として下記化学式H−Aで表される化合物1.0gと、ドーパント材として下記化学式D−Aで表される化合物を100mg、ドーパント材として下記化学式D−Bで表される化合物を0.2mg、ドーパント材として下記化学式D−Cで表される化合物を0.2mg、100gのトルエンに溶解し白色発光層形成用塗布液として準備した。
Figure 0005892030
〈塗布条件〉
塗布工程を窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
〈乾燥及び加熱処理条件〉
白色発光層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、温度130℃で加熱処理を行い、発光層を形成した。
(電子輸送層25の形成)
上記で形成した発光層の上に、以下に示す電子輸送層形成用塗布液を下記の条件により押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥及び加熱処理し、電子輸送層を形成した。電子輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが30nmになるように塗布した。
〈塗布条件〉
塗布工程は窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、電子輸送層形成用塗布液の塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
〈電子輸送層形成用塗布液〉
電子輸送層は下記化学式E−Aで表される化合物を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に溶解し0.5質量%溶液とし電子輸送層形成用塗布液とした。
Figure 0005892030
〈乾燥及び加熱処理条件〉
電子輸送層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理部で、温度200℃で加熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
(電子注入層の形成)
上記で形成した電子輸送層上に、電子注入層26を形成した。まず、基板を減圧チャンバーに投入し、5×10−4Paまで減圧した。あらかじめ、真空チャンバーにタンタル製蒸着ボートに用意しておいたフッ化セシウムを加熱し、厚さ3nmの電子注入層を形成した。
(第2電極の形成)
上記で形成した電子注入層26の上であって、第1電極22の取り出し電極になる部分を除く部分に、5×10−4Paの真空下で、第2電極形成材料としてアルミニウムを使用し、取り出し電極を有するように蒸着法にて、発光面積が50mm平方になるようにマスクパターン成膜し、厚さ100nmの第2電極27を積層した。
(裁断)
以上のように、第2電極までが形成された各積層体を、再び窒素雰囲気に移動し、規定の大きさに、紫外線レーザーを用いて裁断し、有機EL素子を作製した。
(電極リード接続)
作製した有機EL素子に、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製の異方性導電フィルムDP3232S9を用いて、フレキシブルプリント基板(ベースフィルム:ポリイミド12.5μm、圧延銅箔18μm、カバーレイ:ポリイミド12.5μm、表面処理NiAuメッキ)を接続した。
圧着条件:温度170℃(別途熱伝対を用いて測定したACF温度140℃)、圧力2MPa、10秒で圧着を行った。
(封止)
封止部材として、30μm厚のアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm厚)をドライラミネーション用の接着剤(2液反応型のウレタン系接着剤)を用いラミネートした(接着剤層の厚み1.5μm)ものを用意した。
用意した封止部材のアルミニウム面に熱硬化性接着剤を、ディスペンサーを使用してアルミ箔の接着面(つや面)に沿って厚み20μmで均一に塗布し、接着剤層を形成した。
このとき、熱硬化性接着剤としては以下の成分を含むエポキシ系接着剤を用いた。
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)、ジシアンジアミド(DICY)、エポキシアダクト系硬化促進剤。
封止部材を、取り出し電極及び電極リードの接合部を覆うようにして密着・配置して、圧着ロールを用いて圧着条件、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minで密着封止した。
《有機EL素子の評価》
上記作製した有機EL素子1〜29について、下記の方法に従って、耐久性の評価を行った。
〔耐久性の評価〕
(加速劣化処理)
上記作製した各有機EL素子を、60℃、90%RHの環境下で400時間の加速劣化処理を施した後、加速劣化処理を施していない有機EL素子と共に、下記の黒点に関する評価を行った。
(黒点の評価)
加速劣化処理を施した有機EL素子及び加速劣化処理を施していない有機EL素子に対し、それぞれ1mA/cmの電流を印加し、24時間連続発光させた後、100倍のマイクロスコープ(株式会社モリテックス製MS−804、レンズMP−ZE25−200)でパネルの一部分を拡大し、撮影を行った。撮影画像を2mm四方に切り抜き、黒点の発生面積比率を求め、下式に従って素子劣化耐性率を算出し、下記の基準に従って耐久性を評価した。評価ランクが、◎、○であれば、実用上好ましい特性であると判定した。
素子劣化耐性率=(加速劣化処理を施していない素子で発生した黒点の面積/加速劣化処理を施した素子で発生した黒点の面積)×100(%)
◎:素子劣化耐性率が、90%以上である
○:素子劣化耐性率が、60%以上、90%未満である
△:素子劣化耐性率が、20%以上、60%未満である
×:素子劣化耐性率が、20%未満である
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 0005892030
表3に記載の結果より明らかなように、本発明のガスバリアーフィルムを備えた素子は、素子劣化耐性率が90%以上であり、良好な耐久性を備えている。一方、比較例のガスバリアーフィルムを備えた素子は、素子劣化耐性率が60%未満であった。
したがって、本発明の実施例のガスバリアーフィルムは、有機EL素子の封止フィルムとして用いることが可能な程度の、非常に高いガスバリアー性を有することが分かる。
1a ガスバリアーフィルム
1b ガスバリアーフィルム
1 樹脂基材
2 応力吸収層
3 ガスバリアー層
4 第2のガスバリアー層
5 オーバーコート層
6 透明電極
7 有機EL素子(電子デバイス本体)
8 接着剤層
9 対向フィルム
P 有機ELパネル(電子デバイス)
11 送り出しローラー
21、22、23、24 搬送ローラー
31、32 成膜ローラー
41 ガス供給管
51 プラズマ発生用電源
61、62 磁場発生装置
71 巻取りローラー
A 炭素分布曲線
B ケイ素分布曲線
C 酸素分布曲線
D 酸素炭素分布曲線

Claims (7)

  1. 樹脂基材を一対の成膜ローラーの各々に接触させながら搬送を行い、当該一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法により、当該樹脂基材上にガスバリアー層を形成するガスバリアーフィルムの製造方法であって、当該樹脂基材が、両面に100μNの荷重に対する押し込み硬さが0.4〜1.0GPaの範囲内である応力吸収層を有し、少なくとも一方の当該応力吸収層の上に前記ガスバリアー層を形成することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
  2. 前記成膜ガスとして有機ケイ素化合物を含有する原料ガスと酸素ガスを用い、前記ガスバリアー層が構成元素として炭素、ケイ素、及び酸素を含み、かつ該ガスバリアー層の層厚方向における該ガスバリアー層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線において、
    当該ガスバリアー層の炭素原子比率が層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であり、かつ当該炭素分布曲線が、濃度勾配を有して層内で連続的に変化することを特徴とする請求項1に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
  3. 前記応力吸収層の前記成膜ローラーに接触する面の押し込み硬さが、接触しない面より0.1〜0.3GPaの範囲内で小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
  4. 前記成膜ローラーの直径が300〜1000mmφの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のガスバリアー性フィルムの製造方法。
  5. 前記ガスバリアー層の上に、ポリシラザン含有液を塗布、乾燥し、形成した塗膜に、波長200nm以下の真空紫外光を照射して改質処理して、第2のガスバリアー層を形成することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
  6. 樹脂基材と、当該樹脂基材の両面に応力吸収層と、当該応力吸収層の少なくとも一方の面にガスバリアー層が積層されているガスバリアーフィルムであって、当該応力吸収層が100μNの荷重に対する押し込み硬さが0.4〜1.0GPaの範囲内であり、当該ガスバリアー層が構成元素として炭素、ケイ素、及び酸素を含み、かつ該ガスバリアー層の層厚方向における該ガスバリアー層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線において、当該ガスバリアー層の炭素原子比率が層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であり、かつ当該炭素分布曲線が、層内で濃度勾配を有して連続的に変化していることを特徴とするガスバリアーフィルム。
  7. 前記ガスバリアー層の上に、ポリシラザン含有液を塗布、乾燥し、形成された塗膜に、波長200nm以下の真空紫外光を照射して改質処理した第2のガスバリアー層が積層されていることを特徴とする請求項6に記載のガスバリアーフィルム。
JP2012231767A 2012-10-19 2012-10-19 ガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルム Active JP5892030B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012231767A JP5892030B2 (ja) 2012-10-19 2012-10-19 ガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012231767A JP5892030B2 (ja) 2012-10-19 2012-10-19 ガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014083690A JP2014083690A (ja) 2014-05-12
JP5892030B2 true JP5892030B2 (ja) 2016-03-23

Family

ID=50787248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012231767A Active JP5892030B2 (ja) 2012-10-19 2012-10-19 ガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5892030B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6507493B2 (ja) * 2014-06-06 2019-05-08 コニカミノルタ株式会社 ガスバリアーフィルムの製造方法
JP2016055594A (ja) * 2014-09-12 2016-04-21 コニカミノルタ株式会社 ガスバリアー性フィルム、ガスバリアー性フィルムの製造方法及び電子デバイス
JP7211740B2 (ja) 2017-09-13 2023-01-24 住友化学株式会社 ガスバリア性フィルムおよびフレキシブル電子デバイス
EP3978235A4 (en) * 2019-05-31 2023-07-05 Toyobo Co., Ltd. TRANSPARENT GAS BARRIER FILM AND METHOD OF MANUFACTURE THEREOF

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5523382B2 (ja) * 2010-03-19 2014-06-18 富士フイルム株式会社 ガスバリアフィルムの製造方法及びガスバリアフィルム
JP5334900B2 (ja) * 2010-03-25 2013-11-06 富士フイルム株式会社 ガスバリアフィルムおよびデバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014083690A (ja) 2014-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5862707B2 (ja) ガスバリアーフィルム、素子デバイス及びガスバリアーフィルムの製造方法
JP6156388B2 (ja) ガスバリアー性フィルムの製造方法、ガスバリアー性フィルム及び電子デバイス
TWI543878B (zh) Method for manufacturing electronic device and gas barrier film
CN105026141A (zh) 气体阻隔膜、气体阻隔膜的制造方法、及有机电致发光元件
JPWO2016039060A1 (ja) ガスバリア性フィルム、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子
JPWO2015083660A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPWO2014163062A1 (ja) ガスバリアー性フィルムの製造方法、ガスバリアー性フィルム及び電子デバイス
JP5949432B2 (ja) ガスバリアーフィルム及びガスバリアーフィルムの製造方法
WO2016009801A1 (ja) ガスバリア性フィルムおよび電子デバイス
JP5892030B2 (ja) ガスバリアーフィルムの製造方法及びガスバリアーフィルム
WO2014141821A1 (ja) 電子デバイス及び電子デバイスの製造方法
JP6319095B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法
JP6520932B2 (ja) ガスバリア性フィルム
JP2015147952A (ja) ガスバリア性フィルムの製造方法、ガスバリア性フィルム、電子デバイス、および、有機エレクトロルミネッセンス素子
JPWO2015178069A6 (ja) ガスバリア性フィルム
JP5966937B2 (ja) ガスバリアーフィルム及びガスバリアーフィルムの製造方法
JPWO2014185392A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2016087951A (ja) ガスバリアーフィルム、ガスバリアーフィルムの製造方法及び電子デバイス
JP2015168155A (ja) ガスバリアー性フィルムとそのガスバリアー性フィルムを用いた電子デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150313

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5892030

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150