添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、一例として、コンピュータ(PC:パーソナルコンピュータ)に接続可能なデジタルカメラ(撮像装置)に本発明を適用するケースについて説明する。
図1は、コンピュータに接続されるデジタルカメラを示すブロック図である。
デジタルカメラ10は、交換可能なレンズユニット12と、撮像素子26を具備するカメラ本体14とを備え、レンズユニット12とカメラ本体14とは、レンズユニット12のレンズユニット入出力部22とカメラ本体14のカメラ本体入出力部30とを介して電気的に接続される。
レンズユニット12は、レンズ16や絞り17等の光学系と、この光学系を制御する光学系操作部18とを具備する。光学系操作部18は、レンズユニット入出力部22に接続されるレンズユニットコントローラ20と、光学系を操作するアクチュエータ(図示省略)とを含む。レンズユニットコントローラ20は、レンズユニット入出力部22を介してカメラ本体14から送られてくる制御信号に基づき、アクチュエータを介して光学系を制御し、例えばレンズ(フォーカスレンズ及びズームレンズを含む)移動によるフォーカス制御やズーム制御、絞り17の絞り量制御、等を行う。
カメラ本体14の撮像素子26は、集光用マイクロレンズ、R(赤)G(緑)B(青)等のカラーフィルタ、及びイメージセンサ(フォトダイオード;CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等)を有し、光学系を用いた被写体像の撮影により原画像データを取得する。すなわち、撮像素子26は、レンズユニット12の光学系(レンズ16、絞り17等)を介して照射される被写体像の光を電気信号に変換し、画像信号(原画像データ)をカメラ本体コントローラ28に送る。
カメラ本体コントローラ28は、図2に示すようにデバイス制御部34と画像処理部(画像処理装置)35とを有し、カメラ本体14を統括的に制御する。デバイス制御部34は、例えば撮像素子26からの画像信号(画像データ)の出力を制御し、レンズユニット12を制御するための制御信号を生成してカメラ本体入出力部30を介してレンズユニット12(レンズユニットコントローラ20)に送信し、入出力インターフェース32を介して接続される外部機器類(コンピュータ60等)に画像処理前後の画像データ(RAWデータ、JPEGデータ等)を送信する。またデバイス制御部34は、図示しない表示部(EVF:Electronic View Finder、背面液晶表示部)等、デジタルカメラ10が具備する各種デバイス類を適宜制御する。
なお、本例のデバイス制御部34はズーム制御部37(図2参照)を有する。ズーム制御部37は、例えばレンズユニット12が保持するズームレンズ(図示省略)の移動を制御するための制御信号を、カメラ本体入出力部30及びレンズユニット入出力部22を介してレンズユニットコントローラ20に送信し、光学ズーム倍率をコントロールする。またズーム制御部37は、光学ズームとデジタルズームとを切り替え可能に構成され、光学ズームとデジタルズームとの切り替えの基準となる光学ズームの倍率を、光学系(レンズ16、絞り17)の点拡がり関数に基づいて決める。またズーム制御部37は、デジタルズーム作動時におけるズーム画像の作成等、ズーム処理全般を制御する。ズーム制御部37によるズーム制御の詳細については、後述する。
一方、画像処理部35は、撮像素子26からの画像信号に対し、必要に応じた任意の画像処理を行うことができる。例えば、センサ補正処理、デモザイク(同時化)処理、画素補間処理、色補正処理(オフセット補正処理、ホワイトバランス処理、カラーマトリック処理、ガンマ変換処理(ガンマ補正処理部33)、等)、RGB画像処理(シャープネス処理、トーン補正処理、露出補正処理、輪郭補正処理、等)、RGB/YCrCb変換処理及び画像圧縮処理、等の各種の画像処理が、画像処理部35において適宜行われる。
なお本例の画像処理部35は、光学系の点拡がり関数に基づく復元処理(点像復元処理)を画像信号(原画像データ)に対して行う点像復元制御処理部39(図2参照)を含む。点像復元処理の処理対象となる原画像データの種類は特に限定されず、例えば色成分データ(RGB等の色成分信号)であってもよいし、輝度データであってもよい。点像復元制御処理部39による点像復元処理の詳細については、後述する。
図1に示すデジタルカメラ10は、撮影等に必要なその他の機器類(シャッター等)を具備し、ユーザは、カメラ本体14に設けられるユーザインターフェース29を介して撮影等のための各種設定(EV値(Exposure Value)等)を適宜決定及び変更することができる。ユーザインターフェース29は、カメラ本体コントローラ28(デバイス制御部34及び画像処理部35)に接続され、ユーザによって決定及び変更された各種設定がカメラ本体コントローラ28における各種処理に反映される。
カメラ本体コントローラ28において画像処理された画像データは、入出力インターフェース32を介してコンピュータ60等に送られる。デジタルカメラ10(カメラ本体コントローラ28)からコンピュータ60等に送られる画像データのフォーマットは特に限定されず、RAW、JPEG、TIFF等の任意のフォーマットとしうる。したがってカメラ本体コントローラ28は、いわゆるExif(Exchangeable Image File Format)のように、ヘッダ情報(撮影情報(撮影日時、機種、画素数、絞り値等)等)、主画像データ及びサムネイル画像データ等の複数の関連データを相互に対応づけて一つの画像ファイルとして構成し、この画像ファイルをコンピュータ60に送信してもよい。
コンピュータ60は、カメラ本体14の入出力インターフェース32及びコンピュータ入出力部62を介してデジタルカメラ10に接続され、カメラ本体14から送られてくる画像データ等のデータ類を受信する。コンピュータコントローラ64は、コンピュータ60を統括的に制御し、デジタルカメラ10からの画像データを画像処理し、インターネット70等のネットワーク回線を介してコンピュータ入出力部62に接続されるサーバ80等との通信を制御する。コンピュータ60はディスプレイ66を有し、コンピュータコントローラ64における処理内容等が必要に基づいてディスプレイ66に表示される。ユーザは、ディスプレイ66の表示を確認しながらキーボード等の入力手段(図示省略)を操作することで、コンピュータコントローラ64に対してデータやコマンドを入力することができる。これによりユーザは、コンピュータ60や、コンピュータ60に接続される機器類(デジタルカメラ10、サーバ80)を制御することができる。
サーバ80は、サーバ入出力部82及びサーバコントローラ84を有する。サーバ入出力部82は、コンピュータ60等の外部機器類との送受信接続部を構成し、インターネット70等のネットワーク回線を介してコンピュータ60のコンピュータ入出力部62に接続される。サーバコントローラ84は、コンピュータ60からの制御指示信号に応じ、コンピュータコントローラ64と協働し、コンピュータコントローラ64との間で必要に基づいてデータ類の送受信を行い、データ類をコンピュータ60にダウンロードし、演算処理を行ってその演算結果をコンピュータ60に送信する。
各コントローラ(レンズユニットコントローラ20、カメラ本体コントローラ28、コンピュータコントローラ64、サーバコントローラ84)は、制御処理に必要な回路類を有し、例えば演算処理回路(CPU等)やメモリ等を具備する。また、デジタルカメラ10、コンピュータ60及びサーバ80間の通信は有線であってもよいし無線であってもよい。またコンピュータ60及びサーバ80を一体的に構成してもよく、またコンピュータ60及び/又はサーバ80が省略されてもよい。また、デジタルカメラ10にサーバ80との通信機能を持たせ、デジタルカメラ10とサーバ80との間で直接的にデータ類の送受信が行われるようにしてもよい。
<点像復元処理>
次に、撮像素子26を介して得られる被写体像の撮像データ(画像データ)の点像復元処理について説明する。
以下の例では、カメラ本体14(カメラ本体コントローラ28)において点像復元処理が実施されるケースについて説明するが、点像復元処理の全部又は一部を他のコントローラ(レンズユニットコントローラ20、コンピュータコントローラ64、サーバコントローラ84等)において実施することも可能である。
点像復元処理は、光学系(レンズ16、絞り17等)を用いた被写体像の撮影により撮像素子26から取得される原画像データに対し、光学系の点拡がり関数に基づく復元フィルタを用いた復元処理を行って回復画像データを取得する処理である。
すなわち、ボケ画像の原画像データから本来の被写体像(点像)を復元するため、原画像データに対して復元フィルタを用いた点像復元処理を行うことで、本来の被写体像(点像)により近い像(回復画像)を表す回復画像データが得られる。
点像復元処理で用いられる復元フィルタは、原画像データ取得時の撮影条件に応じた光学系の点像情報(点拡がり関数)から、所定の復元フィルタ算出アルゴリズムによって得られる。光学系の点像情報(点拡がり関数)は、レンズ16の種類だけではなく、絞り量、焦点距離、ズーム量、像高、記録画素数、画素ピッチ等の各種の撮影条件によって変動しうるため、復元フィルタを算出する際にはこれらの撮影条件が取得される。
例えば、N×M(N及びMは2以上の整数)のタップによって構成される実空間上の復元フィルタFが処理対象の画像データに適用され、各タップに割り当てられるフィルタ係数と対応の画素データ(原画像データの処理対象画素データ及び隣接画素データ)とを加重平均演算(デコンボリューション演算)することで、点像復元処理後の画素データ(回復画像データ)を算出することができる。この復元フィルタを用いた加重平均処理を、対象画素を順番に代えながら、画像データを構成する全画素データに適用することで、点像復元処理を行うことができる。
N×Mのタップによって構成される実空間上の復元フィルタは、周波数空間上の復元フィルタを逆フーリエ変換することによって導出可能である。したがって、実空間上の復元フィルタは、基礎となる周波数空間上の復元フィルタを特定し、実空間上の復元フィルタの構成タップ数を指定することによって、適宜算出可能である。また、実空間上の復元フィルタの代わりに周波数空間上の復元フィルタを用いてもよく、周波数空間上で画像データに復元フィルタを適用することで点像復元処理が行われてもよい。
点像復元制御処理部39(図2参照)は、光学系(レンズ16、絞り17等)を用いた撮影により撮像素子26によって取得される撮影画像データ(原画像データ)に対して上述の点像復元処理を施し、回復画像データを生成して出力する。
図3は、点像復元制御処理部39の一例を示す機能ブロック図である。本例の点像復元制御処理部39は、フィルタ適用部41、ゲイン調整部42及びメモリ43を有する。
フィルタ適用部41は、光学系(レンズ16、絞り17等)の点拡がり関数に基づく復元フィルタを原画像データに適用し、復元画像データを取得する。すなわちフィルタ適用部41は、原画像データ及び撮影条件データを取得し、原画像データの撮影条件データに対応する復元フィルタを取得し、取得した復元フィルタを原画像データに適用して復元画像データを取得する。ゲイン調整部42は、原画像データと復元画像データとの差分の増幅率(復元ゲイン)の調整を行い、この調整が行われた後の差分と原画像データとから回復画像データを取得する。なお、フィルタ適用部41及びゲイン調整部42で使用される各種データ類(復元フィルタ、点拡がり関数、等)はメモリ43に記憶され、フィルタ適用部41及びゲイン調整部42は、メモリ43に記憶されているデータ類を適宜読み出すことができる。
図4は、フィルタ適用部41及びゲイン調整部42によって行われる点像復元処理(フィルタ適用処理及びゲイン調整処理)の一例を示す制御回路図である。
点像復元制御処理部39における点像復元処理では、まずフィルタ適用部41において、復元フィルタFが原画像データDoに適用され(フィルタ適用処理Pf)、復元画像データDr1が算出される。原画像データDoに適用される復元フィルタFは、光学系(レンズ16、絞り17等)の点拡がり関数に基づくものであれば特に限定されない。したがって、複数の復元フィルタFをメモリ43に記憶しておき、原画像データDoの撮影条件データに対応する復元フィルタFがフィルタ適用部41によって読み出されてもよいし、フィルタ適用部41が原画像データDoの撮影条件データ及び点拡がり関数に基づいて対応の復元フィルタFを算出してもよい。
復元フィルタFは、直接的又は間接的に点拡がり関数に基づくものであればよく、原画像データの振幅成分又は位相成分のみを復元して回復画像データを得るためのフィルタであってもよいし、原画像データの振幅成分及び位相成分を復元して回復画像データを得るためのフィルタであってもよい。すなわち、光学系のMTF(Modulation Transfer Function:変調伝達関数)及びPTF(Phase Transfer Function)のうち少なくともいずれか一方に基づき、復元フィルタを算出することができる。なお、光学系のボケ特性はいわゆる光学伝達関数(OTF:Optical Transfer Function)によって表現可能であり、OTFを逆フーリエ変換して得られる関数は点像分布関数(PSF:点拡がり関数)とも呼ばれる。MTFはOTFの絶対値成分であり、PTFは位相のズレを空間周波数の関数として表したものである。したがって、点像復元処理に用いられる復元フィルタFは、光学系のOTF(MTF/PTF)やPSFに基づいて、適宜設計可能である。
その後、ゲイン調整部42において、フィルタ適用処理前後の画像データの差分が導出され(差分導出処理Pd)、この差分に対する増幅率(復元ゲイン)の調整が行われる(ゲイン調整処理Pg)。すなわち図4に示すように差分導出処理Pdでは、フィルタ適用処理Pfを経た復元画像データDr1と原画像データDoとの差分データΔD(ΔD=Dr1−Do)が算出される。そしてゲイン調整処理Pgでは、この差分データΔDの増幅率(復元ゲイン)Gの調整が行われて増幅率調整後差分値(G×ΔD)が算出され、この増幅率調整後差分値(G×ΔD)と原画像データDoとの加算処理Paが行われて回復画像データDr2が算出される(Dr2=Do+G×ΔD)。なお、フィルタ適用部41及びゲイン調整部42によって行われる点像復元処理(フィルタ適用処理及びゲイン調整処理)として、上記手法と同様な他の手法を採用してもよい。例えば、フィルタ適用部41において、復元フィルタFが原画像データDoに適用され(フィルタ適用処理Pf)、復元画像データDr1が算出される。その後、ゲイン調整部42において、ゲイン調整処理Pgとしてこの復元画像データDr1に増幅率(復元ゲイン)Gの調整が行われ(Dr1×G)、これと原画像データDoに(1−G)が乗算されたものとの加算処理Paが行われて回復画像データDr2が算出されるようにしてもよい。
このように点像復元処理による復元強度は、フィルタ適用処理Pfにおける復元フィルタ(フィルタ係数)Fと、ゲイン調整処理Pgにおける復元ゲインGとに基づいて変動する。そのため点像復元処理の復元強度は、「フィルタ適用処理Pfで用いる復元フィルタ(フィルタ係数)の切り替え」及び/又は「ゲイン調整処理Pgにおける復元ゲインGの変更」によって調整可能である。
したがって例えば「点像復元処理の復元強度を下げる」処理には、「通常の復元フィルタを用いる場合よりも、原画像データからの差が小さい(復元の程度が弱い)復元画像データDr1が得られる他の復元フィルタ(フィルタ係数)に切り替えたフィルタ適用処理Pf」及び「通常の復元ゲインGを用いる場合よりも、増幅率調整後差分値(G×ΔD)が小さくなる(増幅の程度が弱くなる)他の増幅率を用いたゲイン調整処理Pg」が含まれうる。点像復元制御処理部39は、これらの処理(フィルタ切替処理及び増幅率変更処理)のうちの少なくともいずれか一方を行うことで、点像復元処理の復元強度を調整することができる。
図5A及び図5Bは、理想的な点像復元処理が行われる場合の画像データの「空間周波数−レスポンス」の関係例を示すグラフであり、図5Aは点像復元処理前のグラフを示し、図5Bは点像復元処理後のグラフを示す。
図5A及び図5Bの横軸によって表される「空間周波数」は、サンプリング周波数によって正規化されており、紙面の右側ほど高周波を示し(「0.5fs」:ナイキスト周波数参照)、左側ほど低周波を示す。また、図5A及び図5Bの縦軸によって表される「レスポンス」は、点拡がり現象による影響を受ける前の「本来の画像データ」に対する「実際に得られる画像データ」の比率を示す。したがって「レスポンス=1」は、「実際に得られる画像データ」が「本来の画像データ」と同じであることを示し、「レスポンス=0」は、「実際に得られる画像データ」が「本来の画像データ」に拘わらず「0(ゼロ)」であることを示す。なお「レスポンス」の基礎として、画像データのうち点拡がり現象による劣化特性を表す各種要素を採用することが可能であり、例えば解像特性を示すMTFに基づいて「レスポンス」を表現することも可能である。
図5Aに示すように、実際に得られる画像データは点拡がり現象の影響によってレスポンスが「1」以下となり、特に高周波側の画像データほどレスポンスの低下が目立つ傾向がある。点像復元処理は、点拡がり現象によってレスポンスが低下した画像データを本来の画像データに復元する処理であり、理想的には図5Bに示すように全空間周波数にわたって「レスポンス=1」となるように画像データを回復させる処理である。画像データの「空間周波数−レスポンス」の関係は個々の光学系(レンズ16、絞り17等)の特性によって変動するため、図5Aに示す関係が必ずしも成り立つわけではないが、個々の光学特性を考慮して所望のレスポンス(例えば「レスポンス=1」)の画像データが得られるように復元フィルタF及び復元ゲインGが設計される。
次に、「光学ズームのズーム倍率(ズームポジション)」と「レスポンス」の関係について説明する。
図6は、画像データの「光学ズームのズーム倍率−レスポンス」の関係例を示すグラフであって、光学系(レンズ16)の解像特性を代表する空間周波数(例えば「空間周波数=0.25fs」(図5A参照))における関係を示す。図6の横軸は「光学ズームのズーム倍率(ズームポジション)」を基準としており、紙面の右側ほど望遠ズーム側(図6の「望遠端T」参照)を示し、左側ほど広角ズーム側(図6の「広角端W」参照)を示す。また図6の縦軸は画像データの「レスポンス」を基準としており、図5A及び図5Bの縦軸「レスポンス」と同様である。なお図6において「広角端W」は例えば「焦点距離=24mm」に相当し、「中央M」は例えば「焦点距離=60mm」に相当し、「望遠端T」は例えば「焦点距離=120mm」に相当する。
光学ズームのズーム倍率を変更可能な光学ズーム機能を有するデジタルカメラ10では、光学ズームのズーム倍率がズーム端(図6の「広角端W」及び「望遠端T」参照)に近づくほど光学系(レンズ16)の解像度が落ちる傾向がある。そのため、図6に示すように、ズーム端部におけるレスポンスは中央のズーム倍率(図6の「中央M」参照)と比べて低く、ズーム端に近づくにしたがってレスポンスは徐々に落ちることが多い。
一方、光学系の点拡がり関数(PSF等)に対する光学ズーム倍率の影響は比較的小さく、とりわけF値の大きな小絞り側において光学ズーム倍率の影響は小さくなる。
本例では上述の知見を踏まえ、フィルタ適用部41では光学系の光学ズームの倍率に関して共通のフィルタを復元フィルタとして使用することで、メモリ効率を上げて処理の簡素化を行っている。また、ゲイン調整部42では光学系の光学ズームの倍率に基づいて復元ゲインを決めることで、「実際の点拡がり関数と復元フィルタとのマッチングのズレ」を補償して回復画像データの適正化が行われている。
一般に、復元フィルタを用いたフィルタリング処理は演算量が多く、また復元フィルタのパラメータ(条件要素)の種類が増えるほど復元フィルタ(フィルタ係数)のデータ量は増大する。そのため、あらゆる条件要素に基づいて設計された復元フィルタ群のデータ総量は膨大になり、そのような膨大なデータ量の復元フィルタ群をメモリに保持しておくことは、処理の簡素化や柔軟な回路設計を阻害するため実際上難しい場合もある。したがって本例のように光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタを使用することは、復元フィルタのデータ量の効果的な低減につながり、処理の簡便化及び回路規模の縮小化を図る観点からも非常に有用である。
また動画ではフレーム間の連続性が画質を左右する要因の一つであるため、フレーム間での過度な画質変化を防いで画像が滑らかに変化するよう、フレームをつなぐことが求められる。したがってフレーム毎に個別の復元フィルタを用いた復元処理を行うと、各フレームの復元画質自体は向上するが、例えば撮影中に撮影条件が逐次変動するようなシーンでは使用パラメータによってはフレーム相互間における画質の連続性が崩れてしまうことがある。特に動画撮影中にズーム倍率を連続的に変える場合には、全体として統一感を欠いた復元動画になる可能性も想定される。一方、本例のように光学ズーム倍率に関して共通のフィルタを復元フィルタとして使用することで、復元処理後のフレーム相互間における画質の連続性は崩れにくく、動画撮影中にズーム倍率を連続的に変える場合であっても、全体として統一感を持った動画を生成することが可能である。
上述のように本例の点像復元制御処理部39(フィルタ適用部41及びゲイン調整部42)によれば、復元フィルタを変えずに、ズーム倍率の変化に伴う点拡がり関数(回復画像データの解像度)の変動を復元ゲインの調整により補償することで、回復画像データの画質がズーム倍率に拘わらず変わらないようにできる。画像解像度は光学ズーム倍率に依存して変化するが、本例の点像復元処理では復元ゲインを調整することによって画像解像度の変化を吸収する。共通の復元フィルタを用いたフィルタリング処理による復元強度不足を復元ゲインの調整によって補うことで、光学ズーム倍率の変化に伴う画像解像度の変動を防ぐことが可能になる。
<復元フィルタ>
本例の復元処理で使用される「共通の復元フィルタ」は光学系(ズームレンズ)による光学ズームのズーム倍率に関して共通に設けられるが、光学系の点拡がり関数に影響を及ぼす「ズーム倍率以外のパラメータ」に基づいて共通の復元フィルタを変更してもよい。すなわち、ズーム倍率以外の他のパラメータが変わって復元ゲインの調整では点拡がり関数の変動を補償することが難しい場合、復元フィルタを調整することによって、そのような点拡がり関数(回復画像データの解像度)の変動を補償することが好ましい。
例えば光学系(レンズ16、絞り17)の種類、絞り値、被写体距離等の条件要素のうちの一部又は全部を反映した復元フィルタ(フィルタ係数)を「共通の復元フィルタ」として使用することができ、とりわけ「光学系の種類」及び「絞り値」は点拡がり関数に対する影響力が比較的大きい。したがって、デジタルカメラ10(撮像装置)において使用可能な「光学系の種類」及び「絞り値」の各々に対応する復元フィルタを「共通の復元フィルタ」として使用可能とすることが好ましい。
例えば原画像データを取得した際の光学系の「絞り値(F値等)」に基づいて復元フィルタを決めることができ、絞り値が変わらない条件下で光学ズーム倍率が変動した場合に復元フィルタを共通化することで、処理構成を簡素化することができる。例えば、F値(絞り値)毎に個別に最適化された復元フィルタを算出し又は予めメモリに記憶しておき、原画像データの撮影F値が変わった場合には、その撮影F値に基づいて復元フィルタを切り替えて点像復元処理を行ってもよい。このように光学ズーム倍率に関して共通する復元フィルタの候補(複数のフィルタ候補)の中から、光学ズーム倍率以外の条件要素(光学系の種類、絞り値等)に応じた復元フィルタを選択して点像復元処理に使用してもよい。
絞り値(F値)に基づいて最適化された復元フィルタ(フィルタ係数)は、全ての絞り値で異なっている必要はなく、離散的な絞り値に対応するように算出又は記憶されてもよい。全ての絞り値に関して復元フィルタを準備することは、個々の復元フィルタを決定するパラメータ数が増えてデータ量も増大するため、処理の簡素化及びデータ量の低減化の観点からは必ずしも好ましくない。したがってデジタルカメラ10において使用可能なF値(例えばF1、F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22及びF32のうちの任意のF値)毎に復元フィルタが設定されてもよく、デジタルカメラ10において使用可能なF値のうち代表的な離散的なF値毎に復元フィルタが設定されてもよい。
共通の復元フィルタを決定するためのパラメータ(条件要素)が増えるほど、復元精度は高くなり、共通の復元フィルタのデータ量は増大する。一方、共通の復元フィルタを決定するためのパラメータが減じられるほど、共通の復元フィルタのデータ量は低減するが、復元精度を高めることが難しくなる。このように共通の復元フィルタを決定するためのパラメータによって有利な点も変わるため、実際のフィルタ設計時には、ユーザのニーズやシステム上の許容範囲を考慮して共通の復元フィルタのパラメータを定めればよい。点拡がり関数に対する影響を考慮して共通の復元フィルタのパラメータを定めることで、復元フィルタのデータ量の低減と復元処理による画質復元精度の向上とをバランス良く両立させることができる。
例えば、「光学ズームのズーム倍率に関する復元フィルタの共通化」はデジタルカメラ10において設定可能な「全絞り値(F値)」の各々について行ってもよいが、特に「小絞り側の絞り値(F値)」についてのみ行ってもよい。一般に、光学系の点拡がり関数に対するズーム倍率の影響は、絞り値が小絞り側の値になるほど小さくなる傾向がある。したがって、点拡がり関数に対する光学ズーム倍率の影響が比較的小さい小絞り側の絞り値においてのみ「光学ズームのズーム倍率に関する復元フィルタの共通化」を行い、点拡がり関数に対する光学ズーム倍率の影響が比較的大きい絞り値では、光学ズームのズーム倍率に関して復元フィルタを共通化しないようにしてもよい。
この場合、光学ズームのズーム倍率に関して復元フィルタを共通化する「小絞り側の絞り値」は、光学ズーム倍率に対する点拡がり関数の特性変化に基づいて適宜定められ、点拡がり関数の特性変化が比較的小さい絞り値の範囲でのみ「光学ズームのズーム倍率に関する復元フィルタの共通化」が行われるようにしてもよい。「復元フィルタを共通化する小絞り側の絞り値」は、撮影画像データや使用光学系の特性傾向に基づいて適宜設定可能である。例えば、「実験等によって導き出される特定の絞り値(例えば「F8」以上の絞り値)」を「復元フィルタを共通化する小絞り側の絞り値」に設定してもよいし、「デジタルカメラ10(撮像装置)のシステム設計上の最も小絞り側の絞り値〜絞り開放側に所定範囲の絞り値(例えば「最大F値(最も小絞り側の絞り値)〜3段階絞り開放側のF値」)」を「復元フィルタを共通化する小絞り側の絞り値」に設定してもよい。この「復元フィルタを共通化する小絞り側の絞り値」は、予め定められていてもよいし、ユーザによって適宜決定及び変更されてもよい。ユーザが「復元フィルタを共通化する小絞り側の絞り値」を決定及び変更する場合、ユーザインターフェース29(図1参照)を介して「復元フィルタを共通化する小絞り側の絞り値」の範囲が指定され、その指定された絞り値範囲の情報が「復元フィルタを共通化する小絞り側の絞り値」の範囲としてカメラ本体コントローラ28(点像復元制御処理部39)に送られるようにしてもよい。
なお光学ズームのズーム倍率に関する復元フィルタの共通化は、単一の復元フィルタを共通に使用するケースだけではなく、複数の復元フィルタ(復元フィルタのセット)を共通に使用するケースに対しても適用可能である。例えば像高や画像中の位置に基づいて復元フィルタが設定される場合、一つの画像(原画像データ)に対する点像復元処理において、像高や画像中の位置に応じた複数の復元フィルタが用いられる。このように「複数の復元フィルタ」を一つのセットとして使用し、その複数の復元フィルタから成るセットを「光学ズームのズーム倍率に関して共通に使用する共通フィルタ」としてもよい。
<復元ゲインの調整>
次に、本例の増幅率(復元ゲイン)の調整例を説明する。
図7は、「光学ズームのズーム倍率−復元ゲイン」の関係の一例を示し、主としてレンズの解像特性を改善する観点で設計される関係例を示す。図7の横軸は「光学ズームのズーム倍率(ズームポジション)」を基準としており、縦軸は画像データの「復元ゲイン」を基準としている。
レンズの解像特性と光学ズーム倍率との関係において、図6に示すようにズーム端(「広角端W」、「望遠端T」)に近づくほど光学系(レンズ16)の解像度は落ち、中央のズーム倍率(「中央M」)と比べてズーム端部におけるレスポンスは低減する傾向がある。そのため図7に示すように増幅率(復元ゲイン)を調整することによって、共通の復元フィルタによるフィルタリング処理では回復させることができない「ズーム倍率の変動に伴う光学系の解像度劣化」を補償することが好ましい。したがって光学系の解像度劣化が目立つズーム端部ほど復元ゲインを上げ、復元処理後の画像データのレスポンスを空間周波数全体にわたって「1」に近づけることが好ましい。このようにレンズの解像特性を改善する観点からは、図7に示すように光学ズームのズーム倍率に基づいて復元ゲインを変え、中央のズーム倍率と比べてズーム端部における復元ゲインを大きくし、ズーム端に近づくにしたがって徐々に復元ゲインを増大させることが好ましい。
一方、画質の優劣はユーザの視覚特性によっても左右されるため、点像復元処理(復元ゲインの調整)もユーザの視覚特性に基づいて行われることが好ましい。一般に人間の視覚は、低周波成分に敏感であり高周波成分に鈍いという特性がある。また、復元処理によって高周波域の画像成分を強調すると、高周波域に存在するノイズ成分が強調されたり飽和画素等によるリンギング等が目立ちやすくなるため、全体としてざらついた印象の画像に復元されることがある。
また光学ズーム倍率が広角側の場合、画角が大きくなってワイド撮影が行われるため、高周波の被写体が多くなる傾向がある。したがって光学ズーム倍率が広角側の場合には、主要被写体が小さく撮影されるとともに周囲の状況が分かりやすいように撮影されることが多く、被写体の解像度を上げるためには高周波成分の解像性能がより重視される傾向がある。一方、光学ズーム倍率が望遠側の場合、画角が小さくなってズームアップ撮影が行われるため、高周波の被写体が少なくなる傾向がある。したがって光学ズーム倍率が望遠側の場合には、主要被写体が大きく撮影されるとともに主要被写体以外の被写体像は解像度が重視されないことが多く、被写体の解像度を上げるためには低周波成分の解像性能がより重視され、高周波成分の解像性能はあまり重視されない傾向がある。
図8は、「光学ズームのズーム倍率−重要度」の関係の一例を示し、特にユーザの視覚特性を考慮した「画像復元時における低周波成分及び高周波成分の重要度」を示す。図8の横軸は「光学ズームのズーム倍率(ズームポジション)」を基準としており、縦軸は「画像復元時における重要度」を基準としており、紙面に向かって上側ほど重要度が高く下側ほど重要度が低いことを示す。上述のように低周波成分に関しては、光学ズーム倍率が広角側の場合には重要度は高くないが、望遠側に向かって重要度が徐々に高くなる(図8の点線部参照)。一方、高周波成分に関しては、光学ズームのズーム倍率が広角側の場合には重要度は高いが、望遠側に向かって重要度が徐々に低くなる(図8の実線部参照)。
図9は、「光学ズームのズーム倍率−復元ゲイン」の関係の一例を示し、特に「光学系の解像特性(図7参照)」及び「視覚特性(図8参照)」を考慮して設計される関係例を示す。図9の横軸は「光学ズームのズーム倍率(ズームポジション)」を基準としており、縦軸は画像データの「復元ゲイン(増幅率)」を基準としている。図9の点線によるグラフ曲線は「光学系の解像特性」を考慮した「光学ズームのズーム倍率−復元ゲイン」の関係例であり、実線によるグラフ曲線は更に「視覚特性」を考慮した「光学ズームのズーム倍率−復元ゲイン」の関係例を示す。
本例の点像復元処理は主に中周波域〜高周波域におけるMTF劣化を改善するための処理であり、復元ゲインの調整によって中周波域〜高周波域におけるレスポンスを改善し、更にユーザの視覚特性に基づいて広角側における復元ゲインがアップされ、望遠側における復元ゲインがダウンされる。すなわち「光学系の解像特性」に注目すると、ズーム端部における解像度劣化を補うため、ズーム端に向かって復元ゲインが大きくなるように復元ゲインが設定される(図9の点線部参照)。そして更に「視覚特性」を考慮すると、広角側では中周波成分〜高周波成分が視覚特性上重要な役割を果たすので、点像復元処理における復元ゲインは、視覚特性を考慮しない場合(図9の点線部参照)よりも大きくなるように設定される(図9の実線部参照)。また望遠側では中周波成分〜高周波成分が視覚特性上重視されないので、点像復元処理における復元ゲインは、視覚特性を考慮しない場合よりも小さくなるように設定され、中周波成分〜高周波成分の復元によって想定される弊害(ノイズ増、リンギング発生など)を効果的に回避することができる。
このように光学ズーム倍率に基づく視覚特性を考慮して復元ゲインを調整することによって、共通の復元フィルタによるフィルタリング処理では回復することができない「ズーム倍率の変動に伴う光学系の解像度劣化」を補償しつつ、視覚上優れた画質を有する復元画像(回復画像データ)を生成することができる。
<復元ゲインのヒステリシス制御>
図9に示す例では「光学ズーム倍率及び空間周波数傾向に基づく視覚特性」を考慮して復元ゲインが定められるが、他の視覚特性に基づいて復元ゲインが定められてもよい。例えば、光学ズームのズーム倍率に関して共通の復元フィルタを使用する場合、広角側よりも望遠側のズーム倍率において点像復元処理による過補正が生じやすく、特に画像の周辺部(高像高位置)において過補正を起こしやすい。したがって動画撮影中に光学ズーム倍率が連続的に変化する場合、とりわけ光学ズーム倍率が広角側から望遠側に連続的に切り替えられる場合(ズーム方向が「広角側から望遠側」の場合)、点像復元処理によって動画フレーム間の画質連続性が十分には保持されないことがある。
そこでゲイン調整部42は、原画像データを取得した際のズーム方向に基づいて復元ゲイン(増幅率)を決めてもよい。すなわち、点像復元処理対象の原画像データ(動画)の撮影取得時のズーム方向が「広角側から望遠側」の場合と「望遠側から広角側」の場合とで、光学ズームのズーム倍率に対する復元ゲインが変えられてもよい。例えば、光学ズーム倍率が望遠側の範囲(「中央M」〜「望遠端T」の範囲)の一部又は全部において、ズーム方向が「広角側から望遠側」の場合の復元ゲインをズーム方向が「望遠側から広角側」の場合よりも小さくしてもよい。ズーム方向が「広角側から望遠側」の場合の復元ゲインを「望遠側から広角側」の場合よりも下げることによって、点像復元処理による過補正等の影響を視覚上目立たなくさせることが可能となる。
<点像復元処理フロー>
次に、点像復元処理の流れについて説明する。
<第1実施形態>
図10は、第1実施形態に係る点像復元処理のフローチャートである。本実施形態の点像復元処理で使用する復元フィルタは、絞り値に基づいて変更されるが、光学ズームのズーム倍率に関して共通である。なお図10に示す点像復元処理フローは、動画及び静止画を問わず画像全般に適用可能であり、動画に適用される場合には動画を構成する画像(フレーム)毎に処理が行われる。
まず、撮影条件データが点像復元制御処理部39によって取得される。より具体的には、処理対象の原画像データを取得した際の絞り値が取得され(図10のS10)、また光学ズームのズーム倍率が取得される(S11)。なお、これらの撮影条件データの取得手法は特に限定されず、例えば撮影条件データが原画像データに付加されている場合(Exif等)には原画像データとともに撮影条件データが取得される。撮影条件データが原画像データに付加されていない場合には、絞り17やズームレンズ(図示せず)を制御するデバイス制御部34(ズーム制御部37等)等から撮影条件データが取得されてもよい。
そして、点像復元処理に使用する復元フィルタがフィルタ適用部41によって取得される(S12)。本例では、原画像データの撮影取得時の「絞り値」に基づいて復元フィルタが選択され、メモリ43に記憶される複数の復元フィルタ候補の中から「絞り値」に応じた「光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタ(共通フィルタ)」が読み出されて取得される。そしてフィルタ適用部41では、取得された復元フィルタが原画像データに対して適用され、復元画像データが取得される(S13:フィルタ適用ステップ;図4の「フィルタ適用処理Pf」参照)。
そして、原画像データと復元画像データとの差分の増幅率(復元ゲイン)の調整が、光学系の光学ズームのズーム倍率に基づいてゲイン調整部42により行われる(S14;図4の「ゲイン調整処理Pg」参照)。そしてゲイン調整部42では、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S15:ゲイン調整ステップ;図4の「加算処理Pa」参照)。
上述のように本実施形態によれば、光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタを用いることで復元フィルタのデータ量を低減することができ、また点像復元処理の復元ゲインを光学ズーム倍率に基づいて調整することで復元精度の高い回復画像データを得ることができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、原画像データの撮影取得時の絞り値が「小絞り」か否かによって、復元フィルタ及び復元ゲインの決定手法が切り替えられる。すなわち、原画像データを取得した際の光学系(絞り17)の絞り値が閾値(第1の絞り値)よりも小絞り側の値である場合、フィルタ適用部41は、光学系の光学ズームのズーム倍率に関して共通のフィルタを復元フィルタとして使用して復元画像データを取得し、ゲイン調整部42は、復元ゲイン(増幅率)を光学系の光学ズームのズーム倍率に基づいて決める。
図11は、第2実施形態に係る点像復元処理のフローチャートである。本実施形態において、上述の第1実施形態(図10参照)と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
まず点像復元制御処理部39は、撮影条件データ(絞り値、光学ズームのズーム倍率、等)を取得し(図11のS20)、絞り値が小絞り側の値か否かを判別する(S21)。より具体的には、絞り値が閾値以上か否かによって、絞り値が小絞り側の値か否かが判別される。例えば絞り値としてF値が採用されている場合、原画像データの撮影時のF値が予め定められた「小絞り判別用F値」以上か否かによって、絞り値が小絞り側の値か否かを判別することができる。この「絞り値が小絞り側の値か否か」の判別は、フィルタ適用部41で行われてもよいし、点像復元制御処理部39の他の処理部によって行われてもよい。
絞り値が小絞り側の値であると判別される場合(S21のY)、フィルタ適用部41では、光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタ(共通フィルタ)が取得され(S22)、この共通の復元フィルタが原画像データに適用されて復元画像データが取得される(S23)。またゲイン調整部42によって、光学系の光学ズームのズーム倍率に基づいて復元ゲインの調整が行われ(S24)、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S25)。
一方、絞り値が小絞り側の値ではないと判別される場合(S21のN)、フィルタ適用部41では、光学ズームのズーム倍率に応じた個別の復元フィルタ(個別フィルタ)が取得され(S26)、この個別の復元フィルタが原画像データに適用されて復元画像データが取得される(S27)。またゲイン調整部42によって、光学ズーム倍率によらない通常の復元ゲインにゲイン調整され(S28)、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S25)。
小絞り側では、光学系の点拡がり関数に対する光学ズーム倍率の影響が比較的小さいため、光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタを用いた点像復元処理(フィルタ適用処理)を行っても、画質上の不具合(過補正、リンギング、等)は目立ちにくい。一方、絞り値が小絞り側の値ではない場合には、光学系の点拡がり関数に対する光学ズーム倍率の影響が比較的大きいため、光学ズーム倍率が反映された個別の復元フィルタを用いた点像復元処理(フィルタ適用処理)を行うことで、画像復元を精度良く行うことができる。したがって上述の本実施形態によれば、原画像データの撮影取得時の絞り17が小絞りか否かに基づいて、点像復元処理で使用される復元フィルタ及び復元ゲインの選択手法が切り替えられるため、復元フィルタのデータ量の低減と高精度な画質復元とを高いレベルで両立した点像復元処理を行うことができる。
<第3実施形態>
「静止画」に対する点像復元処理では、主として単一の画像(静止画)の画質を向上させることが重視されるが、「動画」に対する点像復元処理では、各フレームの画質を向上させるだけではなく、前後フレーム間における画質上の連続性を維持し、処理自体を簡素化して処理を高速で行うことも必要となる。特に動画撮影中に光学ズーム倍率が連続的に変化する場合、光学ズーム倍率の変動に伴って点拡がり関数も変化する。そのため動画撮影中に光学ズーム倍率が変化する場合であっても、フレーム間の連続性が阻害されず、滑らかな動画を提供することが可能な点像復元処理を行うことが好ましい。
本実施形態では、処理対象の原画像データが「動画」及び「静止画」のうちいずれなのかが判別され、その判別結果に基づいて復元フィルタ及び復元ゲインの決定手法が切り替えられる。すなわち原画像データが動画である場合、フィルタ適用部41は、光学系の光学ズームのズーム倍率に関して共通のフィルタを復元フィルタとして使用して復元画像データを取得し、ゲイン調整部42は、復元ゲイン(増幅率)を光学系の光学ズームのズーム倍率に基づいて決める。一方、原画像データが静止画である場合、フィルタ適用部41は、上記の共通復元フィルタではなく、光学系の光学ズームのズーム倍率に基づいて決められる個別の復元フィルタを使用して復元画像データを取得する。
なお「動画」は、経時的に連続した画像群(フレーム群)によって構成され、比較的短時間に撮影取得された一連の複数の時系列画像を含む。したがって、動画は複数の画像(フレーム)が組み合わされてユーザに提供されることが意図され、例えばメモリ等に記録される記録動画や撮影時に表示部に表示されるライブビュー画像が「動画」の概念に含まれる。一方「静止画」は、基本的には単一の画像によって構成され、単画像としてユーザに対して提供されうる画像である。
図12は、第3実施形態に係る点像復元処理のフローチャートである。本実施形態において、上述の第1実施形態(図10参照)と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
まず点像復元制御処理部39は、撮影条件データ(絞り値、光学ズームのズーム倍率、画像種類、等)を取得し(図12のS30)、処理対象の原画像データが動画か否かを判別する(S31)。原画像データが動画か否かの判別手法は特に限定されず、原画像データの撮影時の撮影モードに関する情報や原画像データに付帯する情報(例えばファイル拡張子等)を参照することで、原画像データが動画か否かを直接的又は間接的に判別することが可能である。この「原画像データが動画か否か」の判別は、フィルタ適用部41で行われてもよいし、点像復元制御処理部39の他の処理部によって行われてもよい。
原画像データが動画であると判別される場合(S31のY)、フィルタ適用部41では、光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタが取得され(S32)、この共通の復元フィルタが原画像データ(動画)に適用されて復元画像データが取得される(S33)。またゲイン調整部42によって、光学ズーム倍率に基づいて復元ゲインの調整が行われ(S34)、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S35)。
一方、原画像データが動画ではないと判別される場合(S31のN)、フィルタ適用部41では、光学ズーム倍率に応じた個別の復元フィルタが取得され(S36)、この個別復元フィルタが原画像データ(静止画)に適用されて復元画像データが取得される(S37)。またゲイン調整部42によって、光学ズーム倍率によらない通常の復元ゲインにゲイン調整され(S38)、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S35)。
「静止画」では単一の画像の画質が重視されるのに対し、「動画」では各フレームの画質だけではなくフレーム間の連続性や高速で安定した簡素な処理であることも重視される。上述の本実施形態によれば、静止画に対しては光学ズーム倍率に応じた個別の復元フィルタにより画質復元精度に優れた点像復元処理を行うことができる。また動画に対しては、光学ズーム倍率に関して共通の復元のフィルタを用いることで点像復元処理を簡便且つ高速に行うことができ、また光学ズーム倍率に基づいて復元ゲインを調整することでフレーム間の連続性を良好に保持することができる。
<第4実施形態>
上述の第2実施形態及び第3実施形態を組み合わせて、「原画像データの撮影取得時の絞り値が「小絞り」か否か(第2実施形態)」及び「原画像データが「動画」か「静止画」か(第3実施形態)」によって、復元フィルタ及び復元ゲインの決定手法が切り替えられてもよい。
図13は、第4実施形態に係る点像復元処理のフローチャートである。本実施形態において、上述の第2実施形態(図11参照)及び第3実施形態(図12参照)と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
まず点像復元制御処理部39は、撮影条件データ(絞り値、光学ズームのズーム倍率、画像種類、等)を取得し(図13のS40)、絞り値が小絞り側の値か否かを判別する(S41)。絞り値が小絞り側の値であると判別される場合(S41のY)、点像復元制御処理部39は処理対象の原画像データが動画か否かを判別する(S42)。
原画像データが動画であると判別される場合(S42のY)、フィルタ適用部41では、光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタが取得され(S43)、この共通の復元フィルタが原画像データ(動画)に適用されて復元画像データが取得される(S44)。またゲイン調整部42によって、光学ズーム倍率に基づいて復元ゲインの調整が行われ(S45)、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S46)。
一方、絞り値が小絞り側の値ではないと判別される場合(S41のN)や原画像データが動画ではないと判別される場合(S42のN)、フィルタ適用部41では、光学ズームのズーム倍率に応じた個別の復元フィルタが取得され(S47)、この個別復元フィルタが原画像データに適用されて復元画像データが取得される(S48)。またゲイン調整部42によって、光学ズーム倍率によらない通常の復元ゲインにゲイン調整され(S49)、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S46)。
<第5実施形態>
本実施形態では、処理対象の原画像データが「動画撮影(動画撮影モード)中に撮影された静止画か否か」によって、復元フィルタ及び復元ゲインの決定手法が切り替えられる。すなわちフィルタ適用部41は、原画像データが動画である場合には、光学ズームのズーム倍率に関して共通のフィルタを復元フィルタとして使用して復元画像データを取得する。一方、原画像データが動画撮影中の静止画撮影によって取得された場合、フィルタ適用部41は、共通のフィルタではなく、光学系の光学ズームのズーム倍率に基づいて決められる個別の復元フィルタを使用して復元画像データを取得する。
図14は、第5実施形態に係る点像復元処理のフローチャートである。本実施形態において、上述の第3実施形態(図12参照)と同様の処理については、詳細な説明を省略する。なお、図14は、動画撮影モードが選択され、動画撮影時に静止画が別途撮影可能であるケースの処理フローを示す。撮影モードの選択や動画撮影中における静止画撮影の手法は特に限定されず、例えばデジタルカメラ10に設けられるユーザインターフェース29(ボタン類、シャッタ類等を含む)を介して「撮影モードの選択」や「動画撮影中における静止画撮影」が行われてもよい。
まず点像復元制御処理部39は、撮影条件データ(絞り値、光学ズームのズーム倍率、画像種類、等)を取得し(図14のS50)、処理対象の原画像データが静止画か否かを判別する(S51)。原画像データが静止画か否かの判別手法は特に限定されず、原画像データの撮影時の撮影モードに関する情報や原画像データに付帯する情報(例えばファイル拡張子等)を参照することで、原画像データが動画か否かを直接的又は間接的に判別することが可能である。
原画像データが静止画ではないと判別される場合(S51のN)、原画像データは動画として扱われ、上述の第3実施形態と同様の点像復元処理が行われる(図12のS32〜S35参照)。すなわち、フィルタ適用部41では、光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタが取得され(S52)、この共通の復元フィルタが原画像データ(動画)に適用されて復元画像データが取得される(S53)。またゲイン調整部42によって、光学ズーム倍率に基づいて復元ゲインの調整が行われ(S54)、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S55)。
一方、原画像データが静止画であると判別される場合(S51のY)、フィルタ適用部41では、光学ズーム倍率に応じた個別の復元フィルタが取得され(S56)、この個別復元フィルタが原画像データ(静止画)に適用されて復元画像データが取得される(S57)。またゲイン調整部42によって、光学系の光学ズーム倍率によらない通常の復元ゲインにゲイン調整され(S58)、復元ゲイン調整後の「原画像データと復元画像データとの差分」と「原画像データ」とから回復画像データが取得される(S55)。
上述の本実施形態によれば、動画撮影中に静止画を撮影可能な場合であっても、静止画に対しては光学ズーム倍率に応じた個別の復元フィルタにより画質復元精度に優れた点像復元処理を行うことができる。また動画に対しては、光学ズーム倍率に関して共通の復元のフィルタを用いることで点像復元処理を簡便且つ高速に行うことができ、また光学ズーム倍率に基づいて復元ゲインを調整することでフレーム間の連続性を良好に保持することができる。
なお本実施形態においても「原画像データの撮影時の絞り値が「小絞り」か否か(第2実施形態参照)」によって、復元フィルタ及び増幅率の決定手法が切り替えられてもよい。例えば、処理対象の原画像データが静止画か否かの判別(図14のS51参照)に先立って、原画像データの撮影取得時の絞り値が小絞り側の値か否かを判別することも可能である。このケースにおいて、絞り値が小絞り側の値ではないと判別される場合、光学ズームのズーム倍率に応じた個別の復元フィルタを用いたフィルタ適用ステップ及び通常の復元ゲイン(増幅率)によるゲイン調整ステップによって回復画像データを取得することができる(図14のS56〜S58及びS55参照)。一方、絞り値が小絞り側の値であると判別される場合には、図14のステップS51〜S58と同様のプロセスによって、点像復元処理を行うことができる。
また、前述のいずれの実施形態においても、光学ズーム倍率に関して共通のフィルタを復元フィルタとして使用する場合、その「共通のフィルタ」を提供する光学ズーム倍率の範囲は特に限定されない。したがって、光学ズーム倍率の変動可能範囲(光学ズーム倍率範囲)のうち全範囲において共通のフィルタを復元フィルタとして使用してもよく、また少なくとも特定の光学ズーム倍率の範囲において共通のフィルタを復元フィルタとして使用してもよい。また光学ズーム倍率範囲のうち一部の光学ズーム倍率においては共通のフィルタを用いないようにしてもよく、例えば「望遠端Tの付近」、「広角端Wの付近」或いは「光学ズーム倍率範囲の中央M付近」の倍率では復元フィルタとして共通のフィルタを用いないようにしてもよい。
<光学ズームとデジタルズームとの切り替え処理>
本例のデジタルカメラ10は、ズーム制御部37(図2参照)によって「光学ズームによるズームモード」と「デジタルズームにズームモード」とが切り替え可能に構成されている。「光学ズームによるズームモード」は、図示しないズームレンズを動かすことによって、焦点距離を変化させて光学的に画角を変化させることでズーム調整を行うモードである。一方、「デジタルズームによるズームモード」は、ズームレンズ自体は動かさず、撮像素子26上に結像される像の画角範囲を実質的には変えないが、撮像素子26上の像の一部を画素補間しながら、或いは間引き率を下げながら、拡大することによって撮影範囲を変化させることでズーム調整を行うモードである。
図15は、光学ズームとデジタルズームとの切り替えを概念的に示す図である。広範囲の撮影が可能な広角側の撮影時には「光学ズームによるズームモード」で撮影が行われ、光学ズームのズーム倍率が「ズームモード切り替え基準」が達すると「デジタルズームによるズームモード」に切り替えられる。そして、「ズームモード切り替え基準」よりも望遠側の撮影時には「デジタルズームによるズームモード」で撮影が行われる。
光学ズームからデジタルズームへズームモードを切り替える際、両ズームモード間で画像の画質に大きな相違が目立たないことが求められる。特に点像復元処理を行う場合には点像復元処理による画質劣化(リンギング、過補正等)が目立たないようにすることが好ましく、動画撮影時にはズームモードの切り替え前後におけるフレーム間の画質の連続性が良好に保たれることが求められる。
したがって本例では、光学ズームとデジタルズームとの切り替えの基準となる光学ズームのズーム倍率が、光学系の点拡がり関数に基づいて決められる。一般に、広角側の光学ズーム倍率で撮影された画像に対する点像復元処理では画質劣化(リンギング、過補正等)が比較的目立ちにくく、望遠側の光学ズーム倍率で撮影された画像に対する点像復元処理では画質劣化が比較的目立ちやすい。特に「光学ズーム倍率に関して共通の復元フィルタを使用する」場合にはそのような傾向があり、広角側の光学ズーム倍率で撮影された画像よりも望遠側の光学ズーム倍率で撮影された画像の方が点像復元処理によって過補正等の不具合が目立ちやすい。
したがって、点像復元処理による画質劣化が目立つ光学ズームのズーム倍率を「ズームモード切り替え基準」に設定し、点像復元処理による画質劣化が目立たない範囲では「光学ズームによるズームモード」で撮影が行われ、「ズームモード切り替え基準」よりも望遠側では「デジタルズームによるズームモード」で撮影が行われるようにしてもよい。
この「ズームモード切り替え基準」は、実験等によって光学系(レンズ16、絞り17等)の種類毎に予め決められてもよいし、カメラ本体14に対するレンズユニット12の装着時等に光学系の点拡がり関数から算出されてもよい。例えば、光学系の種類毎にズームモード切り替え基準を予め定めておき、ズーム制御部37は、予め定められたズームモード切り替え基準に基づいて、「光学ズームによるズームモード」と「デジタルズームによるズームモード」とを切り替えてもよい。光学系の種類毎に予め定められるズームモード切り替え基準は、デジタルカメラ10(レンズユニット12、カメラ本体14)内のメモリに保存されていてもよいし、外部機器(コンピュータ60、サーバ80等)に保存されていてもよい。ズーム制御部37は、カメラ本体14に装着されるレンズユニット12(光学系)に対応するズームモード切り替え基準を、そのメモリから読み出すようにしてもよい。またズーム制御部37は、カメラ本体14に装着されたレンズユニット12(光学系)の点拡がり関数を取得し、この点拡がり関数からズームモード切り替え基準を算出してもよい。このレンズユニット12の点拡がり関数は、デジタルカメラ10(レンズユニット12、カメラ本体14)内のメモリや外部機器(コンピュータ60、サーバ80等)に保存されていてもよく、ズーム制御部37はそのメモリ等から対応の点拡がり関数を読み出すようにしてもよい。
なお「ズームモード切り替え基準」は、原画像データを取得した際のズーム方向に基づいて決められてもよい。すなわち、ズーム方向が「広角側から望遠側」の場合と「望遠側から広角側」の場合とで、光学ズームとデジタルズームとの切り替えの基準となる光学ズームのズーム倍率(ズームモード切り替え基準)が変えられてもよい。上述のように広角側よりも望遠側のズーム倍率で撮影された画像に対する点像復元処理において過補正等を起こしやすく、特にズーム方向が「広角側から望遠側」の場合における画質の連続性の破綻を防ぐことが視覚上好ましい。したがってズーム方向が「広角側から望遠側」の場合には、ズーム方向が「望遠側から広角側」の場合よりも、ズームモード切り替え基準を「広角側のズーム倍率」に設定してもよい。
<変形例>
次に、光学系の像高による点拡がり関数の相違に基づいて、復元フィルタが選択される例及び光学ズーム及びデジタルズームの切り替えが行われる例について説明する。なお上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明については省略する。
本例のフィルタ適用部41は、光学系(レンズ16等)のうち像高中央部のMTF(変調伝達関数)と像高周辺部のMTFとの相違に基づいて、「光学系の光学ズームの倍率に関して共通の復元フィルタ」の候補(複数のフィルタ候補)の中から、復元フィルタとして使用するフィルタを選択する。すなわち復元フィルタの複数のフィルタ候補は「第1のフィルタ候補」と第1のフィルタ候補とは異なる「第2のフィルタ候補」とを含み、フィルタ適用部41は、像高中央部のMTFと像高周辺部のMTFとの差が閾値(第1の閾値)よりも小さい場合には第1のフィルタ候補を復元フィルタとして使用し、像高中央部のMTFと像高周辺部のMTFとの差がその閾値以上の場合には第2のフィルタ候補を復元フィルタとして使用する。ここでいう「像高中央部」は光学系のうち光軸上又は光軸近傍の箇所を意味し、「像高周辺部」は光学系のうち像高中央部よりも大きな像高を有する箇所を意味する。例えば光軸中心(光軸位置)を像高「0」とする一方で撮像素子(図1の符号「26」参照)上に投影されるイメージサークルの半径を「1」した場合(光軸中心と撮像素子の中心が一致する場合は、撮像素子の撮像面の中心を「0」として撮像素子の撮像面の頂点を「1」とした場合)に、「0〜0.1」で表される範囲の同心円内の領域を「像高中央部」として設定してもよく、「0.8±0.1」で表される範囲の領域を「像高周辺部」として設定してもよい。なお「像高中央部」及び「像高周辺部」を規定するこれら数値は一例に過ぎず、適宜変更することが可能である。
以下の例では、説明の便宜上、サジタル方向(Sag方向)及びタンジェンシャル方向(Tan方向)のMTFが参照され、復元フィルタの候補群から最適な復元フィルタを選択するという簡易的な手法が採用される。復元フィルタの選択方法は判断基準によって様々だが、以下の例では、光学系の像高中央部及び像高周辺部での特定周波数におけるレスポンス比に注目している。点拡がり関数を示す情報としてサジタル方向及びタンジェンシャル方向のMTFを利用する手法は、PSFを利用する場合と比較し、位相成分(PTF)情報やサジタル方向及びタンジェンシャル方向以外の方向に関するMTF情報が考慮されないが、データ量を非常にコンパクトにできるというメリットがあるため、レンズ交換型のデジタルカメラ10(撮像装置)等では有利である。
図16は、光学系52における像高中央部50及び像高周辺部51を示す概念図である。なお図16の光学系52は、説明の便宜上、撮影画像(撮像素子26の有効画素範囲)に対応する矩形範囲が示され、像高中央部50は光軸上に設定され、像高周辺部51は光学系52の隅部(図16では右下隅部)に設定されている。
本例のフィルタ適用部41は、像高中央部50のMTF及び像高周辺部51のMTF(中心MTF及び周辺MTF)の比に対し、像高中央部50に対応する復元フィルタ及び像高周辺部51に対応する復元フィルタの比が最も近くなる復元フィルタ(復元フィルタのセット)を、複数のフィルタ候補の中から選択する。これにより「像高周辺部51における画像ボケの大きさ」と「像高周辺部51の撮影画像に適用される復元フィルタ」とが最もマッチングする復元フィルタを選択することができる。
この復元フィルタの選択プロセスは、以下の式1〜式3によって表される。
すなわち、中心(光軸)からの像高「h(mm)」及び空間周波数「f(Lp/mm:line pairs/mm)」におけるサジタル方向のMTFを「Ms(h、f)」とし、タンジェンシャル方向のMTFを「Mt(h、f)」とする。また像高「h(mm)」及び空間周波数「f(Lp/mm)」におけるn番目のフィルタ候補に関し、フィルタリング処理(フィルタ適用処理)によるサジタル方向の復元強度増幅率をGs(n、h、f)とし、タンジェンシャル方向の復元強度増幅率をGt(n、h、f)とする。なお「h0」は像高中央部50(中心、光軸)の像高を示し(「h0=0」)、「h1」は注目する像高周辺部51の像高を示す。したがって、像高中央部50におけるサジタル方向のMTFは「Ms(h0、f)」で表されタンジェンシャル方向のMTFは「Mt(h0、f)」で表され、像高周辺部51におけるサジタル方向のMTFは「Ms(h1、f)」で表されタンジェンシャル方向のMTFは「Mt(h1、f)」で表される。なお正確には、光学系52(レンズ16)中心ではサジタル方向及びタンジェンシャル方向の区別はないので「Ms(h0、f)=Mt(h0、f)」となる。
この場合、以下の式1〜式3によって求められる番号nのフィルタ候補が、フィルタ適用部41におけるフィルタリング処理で使用される復元フィルタとして選択される。なお以下の式1〜式3は、サジタル方向及びタンジェンシャル方向の違い(異方性)については特に注目せず、ボケの程度(解像度劣化)が大きい方向のレスポンスが視覚上支配的な役割を果たすという仮定に基づいている。
上記の式1は、像高中央部50及び像高周辺部51の各々において、サジタル方向のMTF(Ms(h、f))及びタンジェンシャル方向のMTF(Mt(h、f))のうち、小さい方のMTFを代表のMTF(M(h、f))に設定することを示す。また上記の式2は、像高中央部50及び像高周辺部51の各々において、n番目のフィルタ候補に関し、フィルタリング処理によるサジタル方向の復元強度増幅率(Gs(n、h、f))及びタンジェンシャル方向の復元強度増幅率(Gt(n、h、f))のうち、大きい方を代表の復元強度増幅率(G(n、h、f))に設定することを示す。
式1及び式2から求められる「代表のMTF(M(h、f))」及び「代表の復元強度増幅率(G(n、h、f))」を式3に適用することで、復元フィルタとして最適なフィルタ候補の番号が導き出される。すなわち式3は、像高中央部50及び像高周辺部51における「代表MTFの比(M(h0、f)/M(h1、f))」と「代表の復元強度増幅率の比(G(n、h1、f)/G(n、h0、f))」との差の絶対値を最小にするn(n番目のフィルタ候補)を求めることを示す。
したがって「代表MTFの比(M(h0、f)/M(h1、f))」が比較的小さい場合に選ばれるフィルタ候補(第1のフィルタ候補)と、「代表MTFの比(M(h0、f)/M(h1、f))」が比較的大きい場合に選ばれるフィルタ候補(第2のフィルタ候補)とは異なる。言い換えれば、像高中央部50の代表MTFと像高周辺部51の代表MTFとの差が閾値(第1の閾値)よりも小さい場合に使用されるフィルタ候補(第1のフィルタ候補)と、像高中央部50の代表MTFと像高周辺部51の代表MTFとの差が閾値(第1の閾値)以上の場合に使用されるフィルタ候補(第2のフィルタ候補)とは異なる。
上記の式1〜式3に基づく「n(n番目のフィルタ候補)」の具体的な算出手法は特に限定されず、任意の手法を用いることができ、また他のパラメータも適宜設定可能である。例えば注目する空間周波数fは、光学特性、画像復元特性及び視覚特性等を総合的に勘案して決めることができ、「f=0.25fs(図5A参照)」とすることも可能である。また像高周辺部51の具体的な位置(像高)についても、光学特性、画像復元特性及び視覚特性等を総合的に勘案して適宜決めることができる。なお上記の式1〜式3は、復元フィルタ(ウイナーフィルタ)による復元強度(特にSN比が大きい場合の復元強度)が、MTFのおおよそ逆数になることを利用するものであり、とりわけ低周波域においてそのような特徴が顕著になる。
フィルタ適用部41は、このようにして求められるn番目のフィルタ候補を「光学系の光学ズームのズーム倍率に関して共通の復元フィルタ」として用いることで、像高に基づくMTF特性(点拡がり関数特性)を踏まえた点像復元処理(フィルタ適用処理)を行うことができる。この復元フィルタの選択(n番目のフィルタ候補の算出)は、点像復元処理を伴う画像データ毎に行われる。したがって、時系列上で前の画像データ(フレーム)の点像復元処理で使用されたフィルタ候補n1(復元フィルタ)が、時系列上で後の画像データ(フレーム)の点像復元処理においても最適なフィルタ候補として選択される場合、そのフィルタ候補n1が引き続き復元フィルタとして使用される。
上記のMTFに基づく復元フィルタ切り替え手法は一例に過ぎず、選択されたフィルタ候補を、光学ズーム倍率の全体に関して共通の復元フィルタとして用いてもよいし、光学ズーム倍率に基づいて復元フィルタを切り替えるようにしてもよい。例えば、上記の「像高に基づくMTF特性を踏まえた復元フィルタの決定手法」によって予め求められた最適な復元フィルタを光学ズームのズーム倍率(ズームポジション)と関連付けておき、復元フィルタを切り替える光学ズームのズーム倍率(フィルタ切り替え点)をデジタルカメラ10(例えば点像復元制御処理部39)のメモリに記憶しておいてもよい。この場合、点像復元制御処理部39(フィルタ適用部41)は、メモリに記憶したフィルタ切り替え点を参照することで、点像復元処理に使用する復元フィルタを撮影時の光学ズーム倍率に基づいて切り替えることができる。
上述の例では像高中央部50及び像高周辺部51におけるMTFに基づいて「復元フィルタの切り替え」がコントロールされるが、「光学ズームとデジタルズームとの切り替え」がコントロールされてもよい。すなわち、光学ズームとデジタルズームとの切り替えの基準となる光学ズームのズーム倍率(図15の「ズームモード切り替え基準」参照)は、像高中央部50のMTFと像高周辺部51のMTFとの相違に基づいて決められてもよい。
例えば像高中央部50のMTFと像高周辺部51のMTFとの差が比較的大きい場合には、像高中央部50のMTFと像高周辺部51のMTFとの差が比較的小さい場合よりも、広角側の光学ズームのズーム倍率で、光学ズームとデジタルズームとを切り替えてもよい。像高中央部50と像高周辺部51との間のMTF差が大きい場合には、特に望遠側のズーム倍率で撮影取得された画像(原画像データ)において点像復元処理による過補正等が生じやすい。したがって像高中央部50のMTFと像高周辺部51のMTFとの差が比較的大きい場合(MTF差が閾値(第2の閾値)以上の場合)には、MTF差が比較的小さい場合(MTF差が閾値(第2の閾値)よりも小さい場合)よりも、広角側の光学ズーム倍率で光学ズームとデジタルズームとを切り替えることで、点像復元処理によって生じうる過補正等を未然に防ぐことが可能である。
<他の変形例>
上述のデジタルカメラ10は例示に過ぎず、他の構成に対しても本発明を適用することが可能である。各機能構成は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組み合わせによって適宜実現可能である。例えば、上述の各装置及び処理部(カメラ本体コントローラ28、デバイス制御部34、画像処理部35、ズーム制御部37、点像復元制御処理部39等)における画像処理方法(処理ステップ、処理手順)をコンピュータに実行させるプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的記録媒体)、或いはそのようなプログラムをインストール可能な各種のコンピュータに対しても、本発明を応用することが可能である。
<EDoFシステムへの適用例>
上述の実施形態における復元処理は、特定の撮影条件(例えば、絞り値、F値、焦点距離、レンズ種類、など)に基づいて点拡がり(点像ボケ)を回復修正することで本来の被写体像を復元する画像処理であるが、本発明を適用可能な画像復元処理は上述の実施形態における復元処理に限定されるものではない。例えば、拡大された被写界(焦点)深度(EDoF:Extended Depth of Field(Focus))を有する光学系(撮影レンズ等)によって撮影取得された画像データに対する復元処理に対しても、本発明に係る復元処理を適用することが可能である。EDoF光学系によって被写界深度(焦点深度)が拡大された状態で撮影取得されるボケ画像の画像データに対して復元処理を行うことで、広範囲でピントが合った状態の高解像度の画像データを復元生成することができる。この場合、EDoF光学系の点拡がり関数(PSF、OTF、MTF、PTF、等)に基づく復元フィルタであって、拡大された被写界深度(焦点深度)の範囲内において良好な画像復元が可能となるように設定されたフィルタ係数を有する復元フィルタを用いた復元処理が行われる。
以下に、EDoF光学系を介して撮影取得された画像データの復元に関するシステム(EDoFシステム)の一例について説明する。なお、以下に示す例では、デモザイク処理後の画像データ(RGBデータ)から得られる輝度信号(Yデータ)に対して復元処理を行う例について説明するが、復元処理を行うタイミングは特に限定されず、例えば「デモザイク処理前の画像データ(モザイク画像データ)」や「デモザイク処理後であって輝度信号変換処理前の画像データ(デモザイク画像データ)」に対して復元処理が行われてもよい。
図17は、EDoF光学系を備える撮像モジュール101の一形態を示すブロック図である。本例の撮像モジュール(デジタルカメラ等)101は、EDoF光学系(レンズユニット)110と、撮像素子112と、AD変換部114と、復元処理ブロック(画像処理部)120とを含む。
図18は、EDoF光学系110の一例を示す図である。本例のEDoF光学系110は、単焦点の固定された撮影レンズ110Aと、瞳位置に配置される光学フィルタ111とを有する。光学フィルタ111は、位相を変調させるもので、拡大された被写界深度(焦点深度)(EDoF)が得られるようにEDoF光学系110(撮影レンズ110A)をEDoF化する。このように撮影レンズ110A及び光学フィルタ111は、位相を変調して被写界深度を拡大させるレンズ部を構成する。
なお、EDoF光学系110は必要に基づいて他の構成要素を含み、例えば光学フィルタ111の近傍には絞り(図示省略)が配設されている。また、光学フィルタ111は、1枚でもよいし、複数枚を組み合わせたものでもよい。また、光学フィルタ111は、光学的位相変調手段の一例に過ぎず、EDoF光学系110(撮影レンズ110A)のEDoF化は他の手段によって実現されてもよい。例えば、光学フィルタ111を設ける代わりに、本例の光学フィルタ111と同等の機能を有するようにレンズ設計された撮影レンズ110AによってEDoF光学系110のEDoF化を実現してもよい。
すなわち、撮像素子112の受光面への結像の波面を変化させる各種の手段によって、EDoF光学系110のEDoF化を実現することが可能である。例えば、「厚みが変化する光学素子」、「屈折率が変化する光学素子(屈折率分布型波面変調レンズ等)」、「レンズ表面へのコーディング等により厚みや屈折率が変化する光学素子(波面変調ハイブリッドレンズ、レンズ面上に位相面として形成される光学素子、等)」、「光の位相分布を変調可能な液晶素子(液晶空間位相変調素子等)」を、EDoF光学系110のEDoF化手段として採用しうる。このように、光波面変調素子(光学フィルタ111(位相板))によって規則的に分散した画像形成が可能なケースだけではなく、光波面変調素子を用いた場合と同様の分散画像を、光波面変調素子を用いずに撮影レンズ110A自体によって形成可能なケースに対しても、本発明は応用可能である。
図17及び図18に示すEDoF光学系110は、メカ的に焦点調節を行う焦点調節機構を省略することができるため小型化が可能であり、カメラ付き携帯電話や携帯情報端末に好適に搭載可能である。
EDoF化されたEDoF光学系110を通過後の光学像は、図17に示す撮像素子112に結像され、ここで電気信号に変換される。
撮像素子112は、所定のパターン配列(ベイヤー配列、GストライプR/G完全市松、X−Trans配列、ハニカム配列、等)でマトリクス状に配置された複数画素によって構成され、各画素はマイクロレンズ、カラーフィルタ(本例ではRGBカラーフィルタ)及びフォトダイオードを含む。EDoF光学系110を介して撮像素子112の受光面に入射した光学像は、その受光面に配列された各フォトダイオードにより入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。そして、各フォトダイオードに蓄積されたR・G・Bの信号電荷は、画素毎の電圧信号(画像信号)として順次出力される。
AD変換部114は、撮像素子112から画素毎に出力されるアナログのR・G・B画像信号をデジタルのRGB画像信号に変換する。AD変換部114によりデジタルの画像信号に変換されたデジタル画像信号は、復元処理ブロック120に加えられる。
復元処理ブロック120は、例えば、黒レベル調整部122と、ホワイトバランスゲイン部123と、ガンマ処理部124と、デモザイク処理部125と、RGB/YCrCb変換部126と、Y信号復元処理部127とを含む。
黒レベル調整部122は、AD変換部114から出力されたデジタル画像信号に黒レベル調整を施す。黒レベル調整には、公知の方法が採用されうる。例えば、ある有効光電変換素子に着目した場合、その有効光電変換素子を含む光電変換素子行に含まれる複数のOB光電変換素子の各々に対応する暗電流量取得用信号の平均を求め、その有効光電変換素子に対応する暗電流量取得用信号から該平均を減算することで、黒レベル調整が行われる。
ホワイトバランスゲイン部123は、黒レベルデータが調整されたデジタル画像信号に含まれるRGB各色信号のホワイトバランスゲインに応じたゲイン調整を行う。
ガンマ処理部124は、ホワイトバランス調整されたR、G、B画像信号が所望のガンマ特性となるように中間調等の階調補正を行うガンマ補正を行う。
デモザイク処理部125は、ガンマ補正後のR、G、B画像信号にデモザイク処理を施す。具体的には、デモザイク処理部125は、R、G、Bの画像信号に色補間処理を施すことにより、撮像素子112の各受光画素から出力される一組の画像信号(R信号、G信号、B信号)を生成する。すなわち、色デモザイク処理前は、各受光画素からの画素信号はR、G、Bの画像信号のいずれかであるが、色デモザイク処理後は、各受光画素に対応するR、G、B信号の3つの画素信号の組が出力される。
RGB/YCrCb変換部126は、デモザイク処理された画素毎のR、G、B信号を、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbに変換し、画素毎の輝度信号Y及び色差信号Cr、Cbを出力する。
Y信号復元処理部127は、予め記憶された復元フィルタに基づいて、RGB/YCrCb変換部126からの輝度信号Yに復元処理を行う。復元フィルタは、例えば、7×7のカーネルサイズを有するデコンボリューションカーネル(M=7、N=7のタップ数に対応)と、そのデコンボリューションカーネルに対応する演算係数(復元ゲインデータ、フィルタ係数に対応)とからなり、光学フィルタ111の位相変調分のデコンボリューション処理(逆畳み込み演算処理)に使用される。なお、復元フィルタは、光学フィルタ111に対応するものが図示しないメモリ(例えばY信号復元処理部127が付随的に設けられるメモリ)に記憶される。また、デコンボリューションカーネルのカーネルサイズは、7×7のものに限らない。
次に、復元処理ブロック120による復元処理について説明する。図19は、図17に示す復元処理ブロック120による復元処理フローの一例を示す図である。
黒レベル調整部122の一方の入力には、AD変換部114からデジタル画像信号が加えられており、他の入力には黒レベルデータが加えられており、黒レベル調整部122は、デジタル画像信号から黒レベルデータを減算し、黒レベルデータが減算されたデジタル画像信号をホワイトバランスゲイン部123に出力する(S61)。これにより、デジタル画像信号には黒レベル成分が含まれなくなり、黒レベルを示すデジタル画像信号は0になる。
黒レベル調整後の画像データに対し、順次、ホワイトバランスゲイン部123、ガンマ処理部124による処理が施される(S62及びS63)。
ガンマ補正されたR、G、B信号は、デモザイク処理部125でデモザイク処理された後に、RGB/YCrCb変換部126において輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cbに変換される(S64)。
Y信号復元処理部127は、輝度信号Yに、EDoF光学系110の光学フィルタ111の位相変調分のデコンボリューション処理をかける復元処理を行う(S65)。すなわち、Y信号復元処理部127は、任意の処理対象の画素を中心とする所定単位の画素群に対応する輝度信号(ここでは7×7画素の輝度信号)と、予めメモリなどに記憶されている復元フィルタ(7×7のデコンボリューションカーネルとその演算係数)とのデコンボリューション処理(逆畳み込み演算処理)を行う。Y信号復元処理部127は、この所定単位の画素群毎のデコンボリューション処理を撮像面の全領域をカバーするよう繰り返すことにより画像全体の像ボケを取り除く復元処理を行う。復元フィルタは、デコンボリューション処理を施す画素群の中心の位置に基づいて定められている。すなわち、近接する画素群には、共通の復元フィルタが適用される。さらに復元処理を簡略化するためには、全ての画素群に共通の復元フィルタが適用されることが好ましい。
図20の符号1201に示すように、EDoF光学系110を通過後の輝度信号の点像(光学像)は、大きな点像(ボケた画像)として撮像素子112に結像されるが、Y信号復元処理部127でのデコンボリューション処理により、図20の符号1202に示すように小さな点像(高解像度の画像)に復元される。
上述のようにデモザイク処理後の輝度信号に復元処理をかけることで、復元処理のパラメータをRGB別々に持つ必要がなくなり、復元処理を高速化することができる。また、飛び飛びの位置にあるR・G・Bの画素に対応するR・G・Bの画像信号をそれぞれ1単位にまとめてデコンボリューション処理するのでなく、近接する画素の輝度信号同士を所定の単位にまとめ、その単位には共通の復元フィルタを適用してデコンボリューション処理するため、復元処理の精度が向上する。なお、色差信号Cr・Cbについては、人の目による視覚の特性上、復元処理で解像度を上げなくても画質的には許容される。また、JPEGのような圧縮形式で画像を記録する場合、色差信号は輝度信号よりも高い圧縮率で圧縮されるので、復元処理で解像度を上げる必要性が乏しい。こうして、復元精度の向上と処理の簡易化及び高速化を両立できる。
以上説明したようなEDoFシステムの復元処理に対しても、本発明の各実施形態に係る点像復元処理を適用することが可能である。すなわち、復元処理ブロック120(Y信号復元処理部127)における復元処理において(図19のS65)、点像復元制御処理部39による上述の各種処理(点像復元処理)を実行するようにしてもよい。
なお、上述の各実施形態では、点像復元制御処理部39が、デジタルカメラ10のカメラ本体14(カメラ本体コントローラ28)に設けられる態様について説明したが、コンピュータ60やサーバ80等の他の装置に点像復元制御処理部39が設けられてもよい。
例えば、コンピュータ60において画像データを加工する際に、コンピュータ60に設けられる点像復元制御処理部によってこの画像データの点像復元処理が行われてもよい。また、サーバ80が点像復元制御処理部を備える場合、例えば、デジタルカメラ10やコンピュータ60からサーバ80に画像データが送信され、サーバ80の点像復元制御処理部においてこの画像データに対して点像復元処理が行われ、点像復元処理後の画像データ(回復画像データ)が送信元に送信・提供されるようにしてもよい。
また、本発明を適用可能な態様はデジタルカメラ10、コンピュータ60及びサーバ80には限定されず、撮像を主たる機能とするカメラ類の他に、撮像機能に加えて撮像以外の他の機能(通話機能、通信機能、その他のコンピュータ機能)を備えるモバイル機器類に対しても適用可能である。本発明を適用可能な他の態様としては、例えば、カメラ機能を有する携帯電話機やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ゲーム機が挙げられる。以下、本発明を適用可能なスマートフォンの一例について説明する。
<スマートフォンの構成>
図21は、本発明の撮像装置の一実施形態であるスマートフォン201の外観を示すものである。図21に示すスマートフォン201は、平板状の筐体202を有し、筐体202の一方の面に表示部としての表示パネル221と、入力部としての操作パネル222とが一体となった表示入力部220を備えている。また、係る筐体202は、スピーカ231と、マイクロホン232、操作部240と、カメラ部241とを備えている。なお、筐体202の構成はこれに限定されず、例えば、表示部と入力部とが独立した構成を採用したり、折り畳み構造やスライド機構を有する構成を採用することもできる。
図22は、図21に示すスマートフォン201の構成を示すブロック図である。図22に示すように、スマートフォンの主たる構成要素として、無線通信部210と、表示入力部220と、通話部230と、操作部240と、カメラ部241と、記憶部250と、外部入出力部260と、GPS(Global Positioning System)受信部270と、モーションセンサ部280と、電源部290と、主制御部200とを備える。また、スマートフォン201の主たる機能として、基地局装置BSと移動通信網NWとを介した移動無線通信を行う無線通信機能を備える。
無線通信部210は、主制御部200の指示にしたがって、移動通信網NWに収容された基地局装置BSに対し無線通信を行うものである。係る無線通信を使用して、音声データ、画像データ等の各種ファイルデータ、電子メールデータなどの送受信や、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
表示入力部220は、主制御部200の制御により、画像(静止画像及び動画像)や文字情報などを表示して視覚的にユーザに情報を伝達し、表示した情報に対するユーザ操作を検出する、いわゆるタッチパネルであって、表示パネル221と、操作パネル222とを備える。
表示パネル221は、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro−Luminescence Display)などを表示デバイスとして用いたものである。操作パネル222は、表示パネル221の表示面上に表示される画像を視認可能に載置され、ユーザの指や尖筆によって操作される一又は複数の座標を検出するデバイスである。係るデバイスをユーザの指や尖筆によって操作すると、操作に起因して発生する検出信号を主制御部200に出力する。次いで、主制御部200は、受信した検出信号に基づいて、表示パネル221上の操作位置(座標)を検出する。
図21に示すように、本発明の撮像装置の一実施形態として例示しているスマートフォン201の表示パネル221と操作パネル222とは一体となって表示入力部220を構成しているが、操作パネル222が表示パネル221を完全に覆うような配置となっている。係る配置を採用した場合、操作パネル222は、表示パネル221外の領域についても、ユーザ操作を検出する機能を備えてもよい。換言すると、操作パネル222は、表示パネル221に重なる重畳部分についての検出領域(以下、表示領域と称する)と、それ以外の表示パネル221に重ならない外縁部分についての検出領域(以下、非表示領域と称する)とを備えていてもよい。
なお、表示領域の大きさと表示パネル221の大きさとを完全に一致させてもよいが、両者を必ずしも一致させる必要はない。また、操作パネル222が、外縁部分と、それ以外の内側部分の2つの感応領域を備えていてもよい。更に、外縁部分の幅は、筐体202の大きさなどに基づいて適宜設計されるものである。また、操作パネル222で採用される位置検出方式としては、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などが挙げられ、いずれの方式を採用することもできる。
通話部230は、スピーカ231やマイクロホン232を備え、マイクロホン232を通じて入力されたユーザの音声を主制御部200にて処理可能な音声データに変換して主制御部200に出力することが可能であり、無線通信部210或いは外部入出力部260により受信された音声データを復号してスピーカ231から出力するものである。また、図21に示すように、例えば、スピーカ231を表示入力部220が設けられた面と同じ面に搭載し、マイクロホン232を筐体202の側面に搭載することができる。
操作部240は、キースイッチなどを用いたハードウェアキーであって、ユーザからの指示を受け付けるものである。例えば、図21に示すように、操作部240は、スマートフォン201の筐体202の側面に搭載され、指などで押下されるとオンとなり、指を離すとバネなどの復元力によってオフ状態となる押しボタン式のスイッチである。
記憶部250は、主制御部200の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶するものである。また、記憶部250は、スマートフォン内蔵の内部記憶部251と着脱自在な外部メモリスロットを有する外部記憶部252により構成される。なお、記憶部250を構成するそれぞれの内部記憶部251と外部記憶部252は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、MicroSD(登録商標)メモリ等)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの格納媒体を用いて実現される。
外部入出力部260は、スマートフォン201に連結される全ての外部機器とのインターフェースの役割を果たすものであり、他の外部機器に通信等(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394など)又はネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)(登録商標)など)により直接的又は間接的に接続するためのものである。
スマートフォン201に連結される外部機器としては、例えば、有/無線ヘッドセット、有/無線外部充電器、有/無線データポート、カードソケットを介して接続されるメモリカード(Memory card)やSIM(Subscriber Identity Module Card)/UIM(User Identity Module Card)カード、オーディオ・ビデオI/O(Input/Output)端子を介して接続される外部オーディオ・ビデオ機器、無線接続される外部オーディオ・ビデオ機器、有/無線接続されるスマートフォン、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、有/無線接続されるPDA、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、イヤホンなどがある。外部入出力部は、このような外部機器から伝送を受けたデータをスマートフォン201の内部の各構成要素に伝達することや、スマートフォン201の内部のデータを外部機器に伝送することが可能である。
GPS受信部270は、主制御部200の指示にしたがって、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS信号を受信し、受信した複数のGPS信号に基づく測位演算処理を実行し、スマートフォン201の緯度、経度、高度からなる位置を検出する。GPS受信部270は、無線通信部210や外部入出力部260(例えば、無線LAN)から位置情報を取得できる時には、その位置情報を用いて位置を検出することもできる。
モーションセンサ部280は、例えば、3軸の加速度センサなどを備え、主制御部200の指示にしたがって、スマートフォン201の物理的な動きを検出する。スマートフォン201の物理的な動きを検出することにより、スマートフォン201の動く方向や加速度が検出される。係る検出結果は、主制御部200に出力されるものである。
電源部290は、主制御部200の指示にしたがって、スマートフォン201の各部に、バッテリ(図示しない)に蓄えられる電力を供給するものである。
主制御部200は、マイクロプロセッサを備え、記憶部250が記憶する制御プログラムや制御データにしたがって動作し、スマートフォン201の各部を統括して制御するものである。また、主制御部200は、無線通信部210を通じて、音声通信やデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する移動通信制御機能と、アプリケーション処理機能を備える。
アプリケーション処理機能は、記憶部250が記憶するアプリケーションソフトウェアにしたがって主制御部200が動作することにより実現するものである。アプリケーション処理機能としては、例えば、外部入出力部260を制御して対向機器とデータ通信を行う赤外線通信機能や、電子メールの送受信を行う電子メール機能、Webページを閲覧するWebブラウジング機能などがある。
また、主制御部200は、受信データやダウンロードしたストリーミングデータなどの画像データ(静止画像や動画像のデータ)に基づいて、映像を表示入力部220に表示する等の画像処理機能を備える。画像処理機能とは、主制御部200が、上記画像データを復号し、係る復号結果に画像処理を施して、画像を表示入力部220に表示する機能のことをいう。
更に、主制御部200は、表示パネル221に対する表示制御と、操作部240、操作パネル222を通じたユーザ操作を検出する操作検出制御を実行する。
表示制御の実行により、主制御部200は、アプリケーションソフトウェアを起動するためのアイコンや、スクロールバーなどのソフトウェアキーを表示したり、或いは電子メールを作成するためのウィンドウを表示する。なお、スクロールバーとは、表示パネル221の表示領域に収まりきれない大きな画像などについて、画像の表示部分を移動する指示を受け付けるためのソフトウェアキーのことをいう。
また、操作検出制御の実行により、主制御部200は、操作部240を通じたユーザ操作を検出したり、操作パネル222を通じて、上記アイコンに対する操作や、上記ウィンドウの入力欄に対する文字列の入力を受け付けたり、或いは、スクロールバーを通じた表示画像のスクロール要求を受け付ける。
更に、操作検出制御の実行により主制御部200は、操作パネル222に対する操作位置が、表示パネル221に重なる重畳部分(表示領域)か、それ以外の表示パネル221に重ならない外縁部分(非表示領域)かを判定し、操作パネル222の感応領域や、ソフトウェアキーの表示位置を制御するタッチパネル制御機能を備える。
また、主制御部200は、操作パネル222に対するジェスチャ操作を検出し、検出したジェスチャ操作に基づいて、予め設定された機能を実行することもできる。ジェスチャ操作とは、従来の単純なタッチ操作ではなく、指などによって軌跡を描いたり、複数の位置を同時に指定したり、或いはこれらを組み合わせて、複数の位置から少なくとも一つについて軌跡を描く操作を意味する。
カメラ部241は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge−Coupled Device)などの撮像素子を用いて電子撮影するデジタルカメラである。また、カメラ部241は、主制御部200の制御により、撮像によって得た画像データを例えばJPEG(Joint Photographic coding Experts Group)などの圧縮した画像データに変換し、記憶部250に記録したり、外部入出力部260や無線通信部210を通じて出力することができる。図21に示すにスマートフォン201において、カメラ部241は表示入力部220と同じ面に搭載されているが、カメラ部241の搭載位置はこれに限らず、表示入力部220の背面に搭載されてもよいし、或いは、複数のカメラ部241が搭載されてもよい。なお、複数のカメラ部241が搭載されている場合、撮影に供するカメラ部241を切り替えて単独にて撮影したり、或いは、複数のカメラ部241を同時に使用して撮影することもできる。
また、カメラ部241はスマートフォン201の各種機能に利用することができる。例えば、表示パネル221にカメラ部241で取得した画像を表示することや、操作パネル222の操作入力の一つとして、カメラ部241の画像を利用することができる。また、GPS受信部270が位置を検出する際に、カメラ部241からの画像を参照して位置を検出することもできる。更には、カメラ部241からの画像を参照して、3軸の加速度センサを用いずに、或いは、3軸の加速度センサと併用して、スマートフォン201のカメラ部241の光軸方向を判断することや、現在の使用環境を判断することもできる。勿論、カメラ部241からの画像をアプリケーションソフトウェア内で利用することもできる。
その他、静止画又は動画の画像データにGPS受信部270により取得した位置情報、マイクロホン232により取得した音声情報(主制御部等により、音声テキスト変換を行ってテキスト情報となっていてもよい)、モーションセンサ部280により取得した姿勢情報等などを付加して記憶部250に記録したり、外部入出力部260や無線通信部210を通じて出力することもできる。
上述のスマートフォン201において、点像復元処理に関連する上述の各処理部は、例えば主制御部200、記憶部250等によって適宜実現可能である。
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。