JP5708651B2 - Euvリソグラフィ用反射型マスクブランク - Google Patents
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Description
EUVリソグラフィにより、基板上レジスト上に転写パターンを形成する際に要求されるのは、EUVマスクでの反射光のコントラスト、すなわち、マスクパターン形成時に吸収体層が除去され、反射層が露出した部位からの反射光と、マスクパターン形成時に吸収体が除去されなかった部位からの反射光と、のコントラストである。よって、反射光のコントラストが十分確保できる限り、照射されたEUV光が吸収体層で全て吸収されなくても全く問題ないと考えられていた。
φ=4π(1−n)×d×cosθ/λ
ここで、φ:位相差、n:吸収体層の屈折率、d:吸収体層の膜厚、θ:EUV光の入射角度、λ:EUV光の波長、である。
上記位相差φが180度(=π)となるとき、反射コントラストは最大となる。そのときの膜厚は下記の式で表される。
d=λ/4(1−n)×cosθ
すなわち、吸収体層の屈折率nが小さいほど、吸収体層の薄膜化には有利である。例えば、Taを主成分とした吸収体層の場合、その屈折率は、n≒0.945であるため、吸収体層の屈折率が、0.945未満であれば、さらに薄膜化が可能ということになる。また、消衰係数kは、k=0.020〜0.080であることが2〜30%の反射率を得るためには好ましい。
したがって、吸収体層は、屈折率が0.945未満であって、かつ、消衰係数kが0.020〜0.080であることが、薄膜化にとって好ましいことになる。
しかしながら、吸収体層に求められる特性は、EUV光に対する光学特性だけではなく、「表面粗さ」、「膜応力」、「該層の結晶状態」、「パターン検査光の波長域に対する光学特性」など多岐に渡るため、1種類の金属だけで全ての特性を満足することは困難であり、いくつかの金属を組み合わせた合金にすることが重要である。特許文献3には、その具体的な材料の組み合わせに関する記載はない。
前記吸収体層が、タンタル(Ta)と、パラジウム(Pd)と、を含有し、前記吸収体層における前記タンタル(Ta)の含有率が32〜69at%であり、前記パラジウム(Pd)の含有率が31〜68at%であり、前記TaとPdの合計含有率が95〜100at%であり、前記吸収体層の結晶状態が、アモルファスであることを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク(以下、「本発明のEUVマスクブランク」という。)を提供する。
なお、表面粗さ(rms)は、0.45nm以下であることがより好ましく、0.4nm以下であることがさらに好ましい。
前記低反射層が、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、珪素(Si)、およびハフニウム(Hf)からなる群から選ばれる少なくとも一種と、酸素(O)および窒素(N)からなる群から選ばれる少なくとも一種と、を含有することが好ましい。
吸収体層に形成されるパターンの検査に用いられる光の波長に対する前記保護層表面での反射光と、前記低反射層表面での反射光と、のコントラストが、30%以上であることが好ましい。
図1は、本発明のEUVマスクブランクの1実施形態を示す概略断面図である。図1に示すマスクブランク1は、基板11上にEUV光を反射する反射層12と、EUV光を吸収する吸収体層14と、がこの順に形成されている。反射層12と吸収体層14との間には、吸収体層14へのパターン形成時に反射層12を保護するための保護層13が形成されている。吸収体層14上には、マスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層15が形成されている。但し、本発明のEUVマスクブランク1において、図1に示す構成中、基板11、反射層12および吸収体層14のみが必須であり、保護層13および低反射層15は任意の構成要素である。
以下、マスクブランク1の個々の構成要素について説明する。
基板11の大きさや厚みなどはマスクの設計値等により適宜決定されるものである。後で示す実施例では外形6インチ(152mm)角で、厚さ0.25インチ(6.3mm)のSiO2−TiO2系ガラスを用いた。
基板11の反射層12が形成される側の表面には欠点が存在しないことが好ましい。しかし、存在している場合であっても、凹状欠点および/または凸状欠点によって位相欠点が生じないように、凹状欠点の深さおよび凸状欠点の高さが2nm以下であり、かつこれら凹状欠点および凸状欠点の面方向の大きさの半値幅が60nm以下であることが好ましい。
また、保護層13中には、TaおよびCrを含まないことが、膜応力が大きくなるのを防ぐという理由で好ましい。TaおよびCrを含む場合には、保護層13中のTa、Crの含有率は、それぞれ5at%以下、特に3at%以下が好ましく、さらにはTaおよびCrを含まないことが好ましい。
保護層13の厚さは1〜60nm、特に1〜10nmであることが好ましい。
また、位相シフトの原理を利用するためには、吸収体層14表面からのEUV反射光の反射率、具体的には、EUV光の波長領域の光線を入射角6度で吸収体層14表面に照射した際に、波長13.5nm付近の光線反射率の最大値が3〜15%、好ましくは4〜12%であるとよい。
本発明のEUVマスクブランク1の吸収体層14は、タンタル(Ta)およびパラジウム(Pd)を特定の量含有することで上記の特性を達成する。
なお、吸収体層14上に低反射層15を形成する場合、低反射層15表面からのEUV反射光の反射率が上記の範囲を満たすことが好ましい。
また、パラジウム(Pd)の含有率は、20〜90at%、特に25〜90at%、さらには30〜90at%であることが、吸収体層の薄膜化に適した光学定数(n<0.945、k=0.030〜0.080)に制御できるという理由で好ましい。
なお、吸収体層14中のTaおよびPdの合計含有率は95〜100at%であることが好ましく、97〜100at%であることがより好ましく、99〜100at%であることがさらに好ましい。
また、吸収体層14中には、Crを含まないことが、膜応力が大きくなるのを防ぐという理由で好ましい。吸収体層14中のCrの含有率は、それぞれ5at%以下、特に3at%以下が好ましく、さらにはCrを含まないことが好ましい。
なお、本発明に係る吸収体層は、タンタル(Ta)とパラジウム(Pd)といった金属だけを含有する膜であっても、膜の結晶状態をアモルファスとすることが可能となるため好ましい。つまり、BやSiといった膜質をアモルファスとしやすい材料を含有しなくても、吸収体層の結晶状態をアモルファスとすることが可能となる。
本発明のEUVマスクブランク1では、吸収体層14がアモルファス構造の膜または微結晶構造の膜とし、吸収体層14の表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下とするのが好ましい。ここで、吸収体層14の表面の表面粗さは原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)を用いて測定することができる。吸収体層14の表面の表面粗さが大きいと、吸収体層14に形成されるパターンのエッジラフネスが大きくなり、パターンの寸法精度が悪くなる。パターンが微細になるに従いエッジラフネスの影響が顕著になるため、吸収体層14の表面は平滑であることが要求される。
吸収体層14の表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下であれば、吸収体層14の表面が十分平滑であるため、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度が悪化するおそれがない。吸収体層14の表面の表面粗さ(rms)は0.4nm以下であることがより好ましく、0.3nm以下であることがさらに好ましい。
なお、2種類の金属ターゲットを別々に使用することは、吸収体層14の構成成分を調整するのに好都合である。なお、2種類の金属ターゲットを使用する場合は、ターゲットへの投入電力を調整することによって、吸収体層14の構成成分を調整することができる。一方、化合物ターゲットを使用する場合は、形成される吸収体層14が所望の組成となるように、ターゲット組成をあらかじめ調整することが好ましい。
<吸収体層の形成条件>
・スパッタガス:Ar
・ガス圧:1.0×10-1Pa〜50×10-1Pa、好ましくは1.0×10-1Pa〜40×10-1Pa、より好ましくは1.0×10-1Pa〜30×10-1Pa。
・投入電力:30〜1000W、好ましくは50〜750W、より好ましくは80〜500W。
・成膜速度:0.5〜60nm/min、好ましくは1.0〜45nm/min、より好ましくは1.5〜30nm/min。
なお、上記ではスパッタガスがArの場合について記載したが、スパッタガスとしてAr以外の不活性ガスあるいは複数の不活性ガスを使用する場合、その不活性ガスの合計濃度は、上記したArガス濃度と同じ濃度範囲にする。また、吸収体層が、Nを含有する場合は不活性ガスとN2の混合ガスを、Hを含有する場合は不活性ガスとH2の混合ガスを、NおよびHを含有する場合は不活性ガスとN2およびH2の混合ガスを、それぞれ、スパッタガスとして使用する。それぞれの場合において、スパッタガス中のN2濃度、H2濃度、N2およびH2の合計濃度は、3〜80vol%、好ましくは5〜60vol%、より好ましくは10〜40vol%となるようにする。
低反射層15における検査光の波長の光線反射率が15%以下であれば、該検査時のコントラストが良好である。具体的には、反射層12の表面または保護層13の表面における検査光の波長の反射光と、低反射層15の表面における検査光の波長の反射光と、のコントラストが、30%以上となる。
コントラスト(%)=((R2−R1)/(R2+R1))×100
ここで、R2は、検査光の波長における反射層12の表面または保護層13の表面での反射率であり、R1は、検査光の波長における低反射層15の表面での反射率である。なお、上記R1およびR2は、図2に示すように、図1に示すEUVマスクブランク1の吸収体層14にパターンを形成した状態で測定する。吸収体層14の表面に低反射層15を形成されている場合には、吸収体層14および低反射層15にパターンを形成した状態で測定する。上記R2は、図2中、パターン形成によって吸収体層14および低反射層15が除去され、外部に露出した反射層12の表面または保護層13の表面で測定した値であり、R1はパターン形成によって除去されずに残った低反射層15の表面で測定した値である。
本発明のEUVマスクブランクが低反射層を有する場合、上記式で表されるコントラストが、45%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
本発明のEUVマスクブランク1の低反射層15は、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、珪素(Si)、およびハフニウム(Hf)からなる群から選ばれる少なくとも一種と、酸素(O)および窒素(N)からなる群から選ばれる少なくとも一種と、を含有することで上記の特性を達成することが可能である。このような低反射層15の好適な例としては、TaPdO層、TaPdON層、TaO層、TaON層、SiO層、SiON層、SiN層、HfO層、HfON層、TaHfO層およびTaHfON層からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく挙げられる。
低反射層15中のTa、Pd、Si、およびHfの合計含有量は、パターン検査光の波長領域に対する光学特性を制御できるという理由から、10〜55at%、特に10〜50at%であることが好ましい。
また、低反射層中におけるOおよびNの合計含有率は、パターン検査光の波長領域に対する光学特性を制御できるという理由から、45〜90at%、特に50〜90at%であることが好ましい。なお、該低反射層15中のTa、Pd、Si、Hf、OおよびNの合計含有率は95〜100at%であることが好ましく、97〜100at%であることがより好ましく、99〜100at%であることがさらに好ましい。
低反射層15中には、Crを含まないことが、低反射層の膜応力が大きくなるのを防ぐという理由で好ましい。Crの含有率は、5at%以下、特に3at%以下であることが好ましく、さらにはCrを含まないことが好ましい。
上記したように、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度の悪化を防止するため、吸収体層14の表面は平滑であることが要求される。低反射層15は、吸収体層14上に形成されるため、同様の理由から、その表面は平滑であることが要求される。
低反射層15の表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下であれば、低反射層15の表面が十分平滑であるため、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度が悪化するおそれがない。低反射層15の表面の表面粗さ(rms)は0.4nm以下であることがより好ましく、0.3nm以下であることがさらに好ましい。
なお、表面粗さの低減という点では、低反射層15にNを含有させることが好ましい。
なお、2種類以上の金属ターゲットの使用は、低反射層15の構成成分を調整するのに好都合である。なお、2種類以上の金属ターゲットを使用する場合、ターゲットへの投入電力を調整することによって、低反射層15の構成成分を調整することができる。一方、化合物ターゲットを使用する場合、形成される低反射層15が所望の組成となるように、ターゲット組成をあらかじめ調整することが好ましい。
但し、低反射層15がOを含有する場合、He、Ar、Ne、Kr、およびXeからなる群から選ばれる少なくとも一種と、O2と、を含む不活性ガス雰囲気中でスパッタリング法を実施する。低反射層15がNを含有する場合、He、Ar、Ne、Kr、およびXeからなる群から選ばれる少なくとも一種と、N2と、を含む不活性ガス雰囲気中でスパッタリング法を実施する。低反射層15がOおよびNを含有する場合、He、Ar、Ne、Kr、およびXeからなる群から選ばれる少なくとも一種と、O2およびN2と、を含む不活性ガス雰囲気中でスパッタリング法を実施する。
不活性ガス雰囲気がArとO2の混合ガス雰囲気の場合を例に、低反射層の形成条件を以下に示す。
<低反射層の形成条件>
・雰囲気圧力:1.0×10-1Pa〜50×10-1Pa、好ましくは1.0×10-1Pa〜40×10-1Pa、より好ましくは1.0×10-1Pa〜30×10-1Pa。
・スパッタガス:ArとO2の混合ガス(O2ガスの濃度は3〜80vol%、好ましくは5〜60vol%、より好ましくは10〜40vol%。)
・投入電力:30〜1000W、好ましくは50〜750W、より好ましくは80〜500W。
・成膜速度:0.01〜60nm/min、好ましくは0.05〜45nm/min、より好ましくは0.1〜30nm/min。
なお、Ar以外の不活性ガスあるいは複数の不活性ガスを使用する場合、その不活性ガスの合計濃度は、上記したArガス濃度と同じ濃度範囲にする。また、不活性ガス雰囲気がN2を含有する場合はN2濃度を、不活性ガス雰囲気がN2およびO2を含有する場合はその合計濃度を、それぞれ上記した酸素濃度と同じ濃度範囲とする。
高誘電性コーティングは、公知の成膜方法、例えば、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法といったスパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、電解メッキ法等を用いて形成することができる。
(実施例1)
本実施例では、図1に示すEUVマスクブランク1を作製した。
成膜用の基板11として、SiO2−TiO2系のガラス基板(外形6インチ(152mm)角、厚さが6.3mm)を使用した。このガラス基板の20℃における熱膨張率は、0.2×10-7/℃、ヤング率は67GPa、ポアソン比は0.17、比剛性は3.07×107m2/s2である。このガラス基板を研磨により、表面粗さ(rms)が0.15nm以下の平滑な表面と100nm以下の平坦度に形成した。
平板形状をした通常の静電チャックに、形成したCr膜を用いて基板11(外形6インチ(152mm)角、厚さ6.3mm)を固定して、該基板11の表面上にイオンビームスパッタリング法を用いてSi膜およびMo膜を交互に成膜することを40周期繰り返すことにより、合計膜厚272nm((4.5nm+2.3nm)×40)のSi/Mo多層反射膜(反射層12)を形成した。
さらに、Si/Mo多層反射膜(反射層12)上に、イオンビームスパッタリング法を用いてRu膜(膜厚2.5nm)と成膜することにより、保護層13を形成した。
<Si膜の成膜条件>
・ターゲット:Siターゲット(ホウ素ドープ)
・スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
・電圧:700V
・成膜速度:0.077nm/sec
・膜厚:4.5nm
<Mo膜の成膜条件>
・ターゲット:Moターゲット
・スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
・電圧:700V
・成膜速度:0.064nm/sec
・膜厚:2.3nm
<Ru膜の成膜条件>
・ターゲット:Ruターゲット
・スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
・電圧:500V
・成膜速度:0.023nm/sec
・膜厚:2.5nm
吸収体層14(TaPd膜)は以下の方法で成膜した。膜組成は、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectrometer)(PERKIN ELEMER−PHI社製)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectrometer)(PHI−ATOMIKA製)、ラザフォード後方散乱分光装置(Rutherford Back Scattering Spectroscopy)(神戸製鋼社製)を用いて測定する。吸収体層14の組成は、Ta:Pd=32:68である。吸収体層14の組成において、OおよびCrは検出されない。
<吸収体層14(TaPd膜)の成膜条件>
・ターゲット:TaターゲットおよびPdターゲット
・スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:Taターゲットに対しては150W、Pdターゲットに対しては75W。
・成膜速度:18.9nm/min
・膜厚:50nm
吸収体層14(TaPd膜)の結晶状態を、X線回折装置(X−Ray Diffractmeter)(RIGAKU社製)で確認した。得られる回折ピークにはシャープなピークが見られないことから、吸収体層14の結晶状態がアモルファス構造または微結晶構造であることを確認した。
吸収体層14(TaPd膜)の表面粗さは、原子間力顕微鏡(SII製、SPI−3800)を用いて、dynamic force modeで測定した。表面粗さの測定領域は1μm×1μmであり、カンチレバーには、SI−DF40(SII製)を用いる。吸収体層14の表面粗さ(rms)は0.28nmであった。
吸収体層14(TaPd膜)の膜応力は、前記の成膜条件と同条件で、4inchウエハ上に成膜して、成膜前後の基板のそり量変化を測定することにより評価した。基板のそり量は、応力測定装置(KLA−Tencor社製 FLX−2320)を用いて測定した。吸収体層14の膜応力は188Mpaであり、EUVマスクブランクとして要求される膜応力範囲(±200MPa以内)であった。
吸収体層14(TaPd膜)のEUV波長領域の光学定数は、前記の成膜条件と同条件で、4inchウエハ上に成膜して、13.5nm領域の反射率の「角度依存性」を測定することにより評価した。EUV反射率とEUV光の入射角度、および光学定数は、以下の式で表される。
R=|(sinθ−((n+ik)2−cos2θ)1/2)/(sinθ+((n+ik)2−cos2θ)1/2)|
ここで、θはEUV光の入射角度、Rは入射角度θにおけるEUV反射率、nは吸収体層14の屈折率、kは吸収体層14の消衰係数である。各EUV入射角度における反射率測定値を、前式を用いてフィッティングすることにより、光学定数(nおよびk)を見積もることができる。測定した結果、吸収体層14の光学定数は、n=0.8858、k=0.0586であり、吸収体層の薄膜化に望ましい範囲であることが確認された。
低反射層15(TaPdON膜)の成膜条件は以下の通りである。
<低反射層15(TaPdON膜)の成膜条件>
・ターゲット:TaターゲットおよびPdターゲット
・スパッタガス:ArとO2とN2混合ガス(Ar:50vol%、O2:36vol%、N2:14vol%、ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:Taターゲットに対しては50W、Pdターゲットに対しては100W。
・成膜速度:10.0nm/min
・膜厚:10nm
(1)膜組成
低反射層15(TaPdON膜)の組成を、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectrometer)(PERKIN ELEMER−PHI社製)、ラザフォード後方散乱分光装置(Rutherford Back Scattering Spectroscopy)(神戸製鋼社製)を用いて測定する。低反射層の組成比(at%)は、Ta:Pd:O:N=21:14:55:10である。
低反射層15(TaPdON膜)の結晶状態を、X線回折装置(X−Ray Diffractmeter)(RIGAKU社製)で確認した。得られる回折ピークにはシャープなピークが見られないことから、低反射層15(TaPdON膜)の結晶状態がアモルファス構造または微結晶構造であることを確認した。
低反射層15(TaPdON膜)の表面粗さは、原子間力顕微鏡(SII製、SPI−3800)を用いて、dynamic force modeで測定する。表面粗さの測定領域は1μm×1μmであり、カンチレバーには、SI−DF40(SII製)を用いる。低反射層の表面粗さ(rms)は0.30nmである。
本実施例では、保護層13(Ru膜)まで形成した段階で、該保護層13表面におけるマスクパターンの検査光(波長257nm)の反射率を分光光度計(HITACH UV−4100)を用いて測定する。また、低反射層15(TaPdON膜)を形成した後、該低反射層表面におけるマスクパターンの検査光の反射率を測定する。その結果、保護層13層表面での波長257nmに対する反射率は、56.0%である。一方、低反射層15(TaPdON膜)表面での波長257nmに対する反射率は、14.0%であり、15%以下である。これらの結果と上記した式を用いてコントラストを求めると、波長257nmにおけるコントラストは60%となる。
マスクパターンの検査光の波長に対して、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは70%以上であり、十分なコントラストが得られる。得られたEUVマスクブランク1について、低反射層15表面にEUV光(波長13.5nm)を照射してEUV光の反射率を測定する。その結果、EUV光の反射率は4.0%であり、位相シフト効果を得るのに十分なEUV反射率を有している。
実施例2は、吸収体層14をPdよりもTaの含有率が高いTaPd膜とする以外は実施例1と同様である。吸収体層14(TaPd膜)の成膜条件は以下の通りである。膜組成は実施例1と同様の方法で測定する。吸収体層14の組成は、Ta:Pd=69:31である。吸収体層14の組成において、OおよびCrは検出されない。
<吸収体層14(TaPd膜)の成膜条件>
・ターゲット:TaターゲットおよびPdターゲット
・スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:Taターゲットに対しては150W、Pdターゲットに対しては50W。
・成膜速度:26.3nm/min
・膜厚:50nm
また、吸収体層14の表面粗さを、実施例1と同様に調べる。吸収体層14の表面粗さ(rms)は0.30nmである。
波長257nmにおける保護層13層表面の反射率が56.0%であることから、波長257nmにおけるコントラストは62%である。マスクパターンの検査光の波長に対して、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは60%以上であり、十分なコントラストが得られる。得られたEUVマスクブランク1について、低反射層15(TaPdON膜)表面にEUV光(波長13.5nm)を照射してEUV光の反射率を測定する。その結果、EUV光の反射率は4.7%であり、位相シフト効果を得るのに十分なEUV反射率を有している。
参考例1は、吸収体層14を、Ta、PdおよびNを含む膜(TaPdN膜)とする以外は実施例1と同様である。吸収体層14(TaPdN)の成膜条件は以下の通りである。膜組成は実施例1と同様の方法で測定する。吸収体層14の組成は、Ta:Pd:N=41:25:34である。吸収体層14の組成において、OおよびCrは検出されない。
<吸収体層14(TaPdN膜)の成膜条件>
・ターゲット:TaターゲットおよびPdターゲット
・スパッタガス:ArとN2混合ガス(Ar:86vol%、N2:14vol%、ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:Taターゲットに対しては150W、Pdターゲットに対しては75W。
・成膜速度:19.1nm/min
・膜厚:50nm
また、吸収体層14の表面粗さを、実施例1と同様に調べる。吸収体層14の表面粗さ(rms)は0.30nmである。
波長257nmにおける保護層13層表面の反射率が56.0%であることから、波長257nmにおけるコントラストは60.4%である。マスクパターンの検査光の波長に対して、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは60%以上であり、十分なコントラストが得られる。得られたEUVマスクブランク1について、低反射層15(TaPdON膜)表面にEUV光(波長13.5nm)を照射してEUV光の反射率を測定する。その結果、EUV光の反射率は5.6%であり、位相シフト効果を得るのに十分なEUV反射率を有している。
参考例2は、低反射層15をTaON膜とする以外は参考例1と同様である。吸収体層14(TaPdN)上に、Ta、OおよびNを含有する低反射層15(TaON膜)を、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成することにより、基板11上に反射層12、保護層13、吸収体層14、低反射層15がこの順で形成されたEUVマスクブランク1を得る。
低反射層15の成膜条件は以下の通りである。
<低反射層15(TaON膜)の成膜条件>
・ターゲット:Taターゲット
・スパッタガス:ArとN2とO2の混合ガス(Ar:36vol%、N2:14vol%、O2:50vol%、ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:450W
・成膜速度:0.28nm/min
・膜厚:10nm
また、低反射層15(TaON膜)の表面粗さは、実施例1と同様に調べる。低反射層15の表面粗さ(rms)は0.28nmである。
波長257nmにおける保護層13層表面の反射率が56.0%であることから、波長257nmにおけるコントラストは89.0%である。マスクパターンの検査光の波長に対して、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは70%以上であり、十分なコントラストが得られる。得られたEUVマスクブランク1について、低反射層15(TaON膜)表面にEUV光(波長13.5nm)を照射してEUV光の反射率を測定する。その結果、EUV光の反射率は4.8%であり、位相シフト効果を得るのに十分なEUV反射率を有している。
参考例3は、低反射層15をSiN膜とする以外は参考例1と同様である。吸収体層14(TaPdN)上に、SiおよびNを含有する低反射層15(SiN膜)を、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成することにより、基板11上に反射層12、保護層13、吸収体層14、低反射層15がこの順で形成されたEUVマスクブランク1を得る。
低反射層15の成膜条件は以下の通りである。
<低反射層15(SiN膜)の成膜条件>
・ターゲット:Siターゲット
・スパッタガス:ArとN2混合ガス(Ar:20vol%、N2:80vol%、ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:150W
・成膜速度:2nm/min
・膜厚:12nm
また、低反射層15(SiN膜)の表面粗さは、実施例1と同様に調べる。低反射層15の表面粗さ(rms)は0.30nmである。
波長257nmにおける保護層13層表面の反射率が56.0%であることから、波長257nmにおけるコントラストは73.9%である。マスクパターンの検査光の波長に対して、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは70%以上であり、十分なコントラストが得られる。得られたEUVマスクブランク1について、低反射層15(SiN膜)表面にEUV光(波長13.5nm)を照射してEUV光の反射率を測定する。その結果、EUV光の反射率は5.1%であり、位相シフト効果を得るのに十分なEUV反射率を有している。
参考例4は、低反射層15をHfON膜とする以外は参考例1と同様である。吸収体層14(TaPdN)上に、Hf、NおよびOを含有する低反射層15(HfON膜)を、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成することにより、基板11上に反射層12、保護層13、吸収体層14、低反射層15がこの順で形成されたEUVマスクブランク1を得る。
低反射層15の成膜条件は以下の通りである。
<低反射層15(HfON膜)の成膜条件>
・ターゲット:Hfターゲット
・スパッタガス:ArとN2とO2の混合ガス(Ar:45vol%、N2:23vol%、O2:32vol%、ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:150W
・成膜速度:7.8nm/min
・膜厚:13nm
また、低反射層15(HfON膜)の表面粗さは、実施例1と同様に調べる。低反射層15の表面粗さ(rms)は0.29nmである。
波長257nmにおける保護層13層表面の反射率が56.0%であることから、波長257nmにおけるコントラストは67.4%である。マスクパターンの検査光の波長に対して、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは60%以上であり、十分なコントラストが得られる。得られたEUVマスクブランク1について、低反射層15(SiN膜)表面にEUV光(波長13.5nm)を照射してEUV光の反射率を測定する。その結果、EUV光の反射率は5.0%であり、位相シフト効果を得るのに十分なEUV反射率を有している。
比較例1は、吸収体層14をTaN膜とする以外は実施例1と同様である。吸収体層14(TaN膜)の成膜条件は以下の通りである。膜組成は実施例1と同様の方法で測定する。吸収体層14の組成は、Ta:N=55:45である。
<TaN層の成膜条件>
・ターゲット:Taターゲット
・スパッタガス:ArとN2の混合ガス(Ar:86vol%、N2:14vol%、ガス圧:0.37Pa)
・投入電力:300W
・成膜速度:1.1nm/min
・膜厚:60nm
比較例2は、吸収体層14をTa含有率が80at%超であるTaPd膜とする以外は実施例1と同様である。吸収体層14(TaPd膜)の成膜条件は以下の通りである。膜組成は実施例1と同様の方法で測定する。吸収体層14の組成は、Ta:Pd=85:15である。
<吸収体層14(TaPd膜)の成膜条件>
・ターゲット:TaターゲットおよびPdターゲット
・スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:Taターゲットに対しては150W、Pdターゲットに対しては30W。
・成膜速度:16.1nm/min
・膜厚:50nm
比較例3は、吸収体層14を,Pd含有率が90at%超であるTaPd膜とする以外は実施例1と同様である。吸収体層14(TaPd膜)の成膜条件は以下の通りである。膜組成は実施例1と同様の方法で測定する。吸収体層14の組成は、Ta:Pd=5:95である。
<吸収体層14(TaPd膜)の成膜条件>
・ターゲット:TaターゲットおよびPdターゲット
・スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:Taターゲットに対しては30W、Pdターゲットに対しては200W。
・成膜速度:20.1nm/min
・膜厚:50nm
なお、2010年8月24日に出願された日本特許出願2010−187049号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
11:基板
12:反射層(多層反射膜)
13:保護層
14:吸収体層
15:低反射層
Claims (11)
- 基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層と、がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
前記吸収体層が、タンタル(Ta)と、パラジウム(Pd)と、を含有し、前記吸収体層において、前記タンタル(Ta)の含有率が32〜69at%であり、前記パラジウム(Pd)の含有率が31〜68at%であり、前記TaおよびPdの合計含有率が95〜100at%であり、前記吸収体層の結晶状態が、アモルファスであることを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。 - 前記吸収体層の表面の表面粗さ(rms)が、0.5nm以下である請求項1に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
- 前記吸収体層の膜厚が、20〜50nmである請求項1または2に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
- 前記吸収体層上に、マスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層が形成されており、
前記低反射層が、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、珪素(Si)、およびハフニウム(Hf)からなる群から選ばれる少なくとも一種と、酸素(O)および窒素(N)からなる群から選ばれる少なくとも一種と、を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。 - 前記低反射層の表面の表面粗さ(rms)が、0.5nm以下である請求項4に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
- 前記低反射層の膜厚が、5〜30nmである請求項4または5に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
- 前記吸収体層に形成されるパターンの検査に用いられる光の波長に対する、前記低反射層表面の反射率が15%以下である、請求項4〜6のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
- 前記反射層と前記吸収体層との間に、前記吸収体層へのパターン形成時に前記反射層を保護するための保護層が形成されており、
吸収体層に形成されるパターンの検査に用いられる光の波長に対する前記保護層表面での反射光と、前記低反射層表面での反射光と、のコントラストが、30%以上である、請求項4〜7のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。 - 前記保護層が、Ru、Ru化合物およびSiO 2 のいずれか一種で形成される、請求項8に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
- 前記吸収体層が、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、およびキセノン(Xe)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガス雰囲気中で、タンタル(Ta)および/またはパラジウム(Pd)を含有するターゲットを用いてスパッタリング法を行うことにより形成される、請求項1に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
- 前記低反射層が、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、およびキセノン(Xe)からなる群から選ばれる少なくとも一種と、酸素(O 2 )および窒素(N 2 )からなる群から選ばれる少なくとも一種と、を含む不活性ガス雰囲気中で、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、珪素(Si)、およびハフニウム(Hf)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するターゲットを用いてスパッタリング法を行うことにより形成される請求項4に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
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