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JP5799941B2 - 車両の電動制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両制動時に電動モータを駆動して車輪に制動力を付与する車両の電動制動装置に関するものである。
例えば、特許文献1に記載の車両の電動制動装置は、電気モータ(動力伝達要素)の回転力を減速機(ギアユニット)を介してシャフト部材(スピンドル)に伝達し、シャフト部材に螺合されている押圧部材(ブレーキピストン)を直進させる。そして、押圧部材で摩擦部材(ブレーキパッド)を押圧し、摩擦部材と回転部材(ブレーキディスク)との間で摩擦力を発生させることにより車輪に制動力を発生させる。この電動制動装置は、減速機と電気モータとが音響的に分離されており、電気−機械アクチュエータの小型化・軽量化等を図ることができる。
また、特許文献2に記載の車両の電動制動装置は、シャフト部材に螺合されているナットと押圧部材との間に球面部材が介在された構成となっている。そして、球面部材と押圧部材との当接面は球状面に形成され、その当接面間にはグリスが充填されている。電気モータの回転力を、減速機を介してシャフト部材に伝達し、シャフト部材に螺合されているナットを介して球面部材及び押圧部材を直進させる。そして、押圧部材で摩擦部材を押圧し、摩擦部材と回転部材との間で摩擦力を発生させることにより車輪に制動力を発生させる。車輪への制動力を解除した後、電動モータを逆回転させて球面部材を自由状態とし、球面部材と押圧部材との当接面間に隙間を形成する。
DE 10 2011 005 517 特開2012−002316号公報
特許文献1に記載の車両の電動制動装置において、シャフト部材と接触するプレートの接触面は、ユニバーサルボールジョイントのような球面状に形成されている。このプレート(球面部材)は、スラストベアリングによって支持され、電気モータの動力を押圧部材に伝達するシャフト部材の回転運動と一体となって回転する。このため、摩擦部材の偏摩耗等が増大し、シャフト部材に軸ズレが生じた場合には、球面部材の接触面には、シャフト部材が回転する際に常に摺動(滑り)が生じる。
このシャフト部材の軸ズレと球面部材の接触面の摺動との関係について、図5を参照しながら説明する。ここで、シャフト部材SPDの一端は、球面状に形成されているため、球体BJTがSPDの先端に固定されているとする。この球体BJTが、球面部材PLTと摺動可能に接触している。摩擦部材の偏摩耗等が発生しておらず、シャフト部材SPDの軸ズレが生じていない場合、シャフト部材SPD、球体BJT、及び、球面部材PLTは、回転軸ktjを中心に同軸上で回転する。
摩擦部材の偏摩耗等が発生した場合、電気モータが静止している状態で、シャフト部材SPDには、球面部材PLTの回転軸(本来の回転軸)ktjに対して回転軸の方向相違(角度のズレ)が発生する。即ち、図5(a)に示すように、球面部材PLTの点Aと、シャフト部材SPDとの相対的な位置関係は、傾角θ1をもった状態となっている。次に、図5(b)に示すように、電気モータが回転を開始し、球面部材PLTが回転軸ktjまわりに180°だけ回転したとすると、シャフト部材SPDと点Aとの相対的な位置関係は、傾角θ2の状態に変化する。
シャフト部材SPDの軸ズレは摩擦部材の偏摩耗等によって生じるため、軸ズレの方向(回転軸ktjに対するSPDの方向)は常に同じ方向(固定され変化しない方向)である。このため、球体BJTと球面部材PLTとの相対的な位置関係が、球面部材PLTの回転にしたがって時々刻々と変化していく。よって、電気モータが回転する場合、球体BJTと球面部材PLTとの接触面には常時摺動(滑り)が生じている。この接触面はグリス等によって潤滑されているが、摺動運動の繰り返しによって、接触面のグリス等の枯渇が懸念され得る。
また、この構成においては、動力伝達経路内に上述の摺動(滑り)が常時発生しているため、伝達効率の低下も懸念され得る。さらに、電気モータからの動力伝達時には、球体BJT及び球面部材PLTを回転させる必要があるため、電気モータの出力がこれらの回転運動にも消費される。急制動時には制動トルクの応答性(即ち、電気モータが停止している状態から、急速に回転速度を増加する際の電気モータの応答性)を確保する必要があり、この観点からも、回転運動を行う部材の削減が望まれている。
一方、特許文献2に記載の車両の電動制動装置では、球面部材及び押圧部材が、球状面において揺動可能であるため、シャフト部材及び押圧部材等の首振り動作(揺動運動)が許容される。よって、押圧部材の軸ズレ(上述のシャフト部材の軸ズレに相当)が発生しても、この軸ズレを吸収することができるが、従来の液圧制動装置(例えば、液圧ブレーキキャリパ)に比較して、電気モータ、動力伝達機構等の新たな構成要素が追加となるため、夫々の構成要素を小型化することが切望されている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、球面部材の潤滑状態が確保されることによって押圧部材等の円滑な揺動運動が維持され得るとともに、急制動時の応答性が向上され得る小型な車両の電動制動装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る車両の電動制動装置は、車両の車輪(WHL)に固定された回転部材(KTB)に、電気モータ(MTR)を介して摩擦部材(MSB)を押圧し、前記車輪(WHL)に制動トルクを発生させる車両の電動制動装置において、ナット相当部、及び、ボルト相当部のうちで何れか一方のねじ部(NJB)を有し、前記摩擦部材(MSB)に押圧力(Fba)を付与する押圧部材(PSN)と、前記電気モータ(MTR)によって回転駆動され、前記ねじ部(NJB)と螺合するシャフト部材(SFT)と、前記シャフト部材(SFT)とは分離され、前記シャフト部材(SFT)の回転軸(sfj)まわりに前記シャフト部材(SFT)とは相対的な回転運動が可能であり、端面が球状面(KJM1)である第1球面部材(QM1)と、前記第1球面部材(QM1)の前記球状面(KJM1)と摺接し、前記押圧力(Fba)の反力(反作用)を受け、前記シャフト部材(SFT)の回転軸(sfj)に対する回転運動が拘束されている第2球面部材(QM2)と、を備えることである。
ここで、「ナット相当部」とは、「ナットに相当する部位」であり、「ボルト相当部」とは、「ボルトに相当する部位」である。例えば、ねじ部(NJB)が滑り伝達によるものである場合には、「ナット相当部」は「雌ねじ(内側ねじともいう。)」であり、「ボルト相当部」は「雄ねじ(外側ねじともいう。)」である。また、ねじ部(NJB)がボールを介した転がり伝達によるものである場合には、「ナット相当部」は「ボール溝付きナット(単に、ナットともいう。)」であり、「ボルト相当部」は「ボール溝付きシャフト(ねじシャフトともいう。)」である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車両の電動制動装置において、前記シャフト部材(SFT)は、前記第1球面部材(QM1)にベアリング(BRG)を介して当接されることである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両の電動制動装置であって、前記第2球面部材(QM2)に固定される拘束部材(KSB)を備え、前記拘束部材(KSB)は、前記第1球面部材(QM1)の前記シャフト部材の軸(sfj)方向の動きを拘束することである。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両の電動制動装置において、前記第1球面部材(QM1)は、前記球状面として凸球状面(KJM1)をもち、前記第2球面部材(QM2)は、前記凸球状面(KJM1)に摺接する凹球状面(KJM2)をもつことである。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両の電動制動装置において、前記球状面(KJM1、KJM2)の中心が、前記回転部材(KTB)と前記摩擦部材(MSB)との接触面にあることである。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の車両の電動制動装置において、前記第1球面部材(QM1)、及び、前記第2球面部材(QM2)は中央に貫通穴(KA1、KA2)をもち、前記貫通穴(KA1、KA2)を通って前記電気モータ(MTR)からの動力が前記シャフト部材(SFT)に伝達されることである。
請求項1に係る発明によれば、第2球面部材(QM2)は、シャフト部材(SFT)の回転軸(sfj)に対する回転運動が拘束される。さらに、第2球面部材(QM2)に滑りながら接触する第1球面部材(QM1)は、回転するシャフト部材(SFT)とは別個に分離されているため、シャフト部材(SFT)との関係において、シャフト部材の回転軸(sfj)まわりに自由に回転運動することができる。このため、シャフト部材(SFT)が回転した場合に、第1球面部材(QM1)は静止状態が維持されるか、回転されたとしても僅かである。シャフト部材(SFT)の軸ズレによって、シャフト部材(SFT)において本来の回転軸(ktj)に対して実際の回転軸(sfj)が傾斜した場合であっても、第1球面部材(QM1)はシャフト部材の回転軸(sfj)まわりに回転しないか、回転したとしても僅かである。この結果、電気モータ(MTR)の回転にともなう繰り返しの摺動運動が低減され、確実な潤滑状態が維持され得る。また、摺動(滑り)による動力伝達の効率低下も抑制され得る。併せて、第1、第2球面部材(QM1、QM2)の回転運動が防止又は抑制されるため、急制動時の電気モータMTRの応答性が向上され、制動トルク上昇の応答性が確保され得る。
動力伝達経路内において、軸ズレを吸収するための球状の滑り接触面(QM1とQM2との接触面であるKJM1、KJM2)が、ねじ部(NJB)に対して電気モータ(MTR)の側に配置される構成では、第1球面部材(QM1)に対しては、押圧方向(シャフト部材の軸(sfj)の方向)の運動に加え、回転方向(シャフト部材の軸(sfj)まわりの回転方向)の運動が付与される。請求項2に係る発明によれば、第1球面部材(QM1)がシャフト部材(SFT)に対してベアリング(BRG)を介して当接されるため、シャフト部材(SFT)が円滑に回転され得る。その結果、電気モータ(MTR)から押圧部材(PSN)への動力伝達の効率が良好に確保され得る。
請求項3に係る発明によれば、第1球面部材(QM1)及び第2球面部材(QM2)は、拘束部材(KSB)によって、回転方向だけでなく、シャフト部材の軸(sfj)方向への相対的な動き(QM1とQM2との相互位置)が拘束されるため、第1球面部材(QM1)の第2球面部材QM2に対する当接姿勢が適正に維持される。即ち、第1球面部材(QM1)の軸と、第2球面部材(QM2)の軸とが、必要以上に大きく傾くことがない。この結果、シャフト部材(SFT)の揺動機能(首振り機能)が損なわれることが抑制され得る。
請求項4に係る発明によれば、第1球面部材(QM1)が凸球状面(KJM1)、第2球面部材(QM2)が凹球状面(KJM2)とされているため、押圧部材(PSN)から押圧力(Fba)がQM1、QM2に加えられた場合に、その力は球状面(KJM1、KJM2)の斜面に沿って中心方向に向かって作用する。即ち、球状面(KJM1、KJM2)には、セルフセンタリングの効果があるため、第1球面部材(QM1)と第2球面部材(QM2)との位置的関係が適正に維持され得る。この結果、シャフト部材(SFT)の軸ズレが適正に吸収され得る。
摩擦部材(MSB)の偏摩耗等により、回転部材(KTB)と摩擦部材(MSB)との接触が基点となってシャフト部材(SFT)の軸ズレ(2つの軸間の偏心)が発生する。請求項5に係る発明によれば、第1、第2球面部材(QM1、QM2)の球状面(KJM1、KJM2)の中心がその基点の位置(点O)とされるため、シャフト部材(SFT)の軸ズレが効果的に吸収され得る。
請求項6に係る発明によれば、第1球面部材(QM1)の中央部に貫通穴(KA1)が設けられるとともに、第2球面部材(QM2)の中央部に貫通穴(KA2)が設けられる。これら2つの貫通穴(KA1、KA2)を通って、電気モータ(MTR)からの動力(トルク)が、シャフト部材(SFT)によって伝達される。例えば、カウンタシャフトを別個に設け、このカウンタシャフトを介して、電気モータの回転運動をシャフト部材に動力伝達することが考えられ得るが、このような場合に比較して、構成が簡略化され、全体がコンパクトとなり得る。
本発明の実施形態の車両の電動制動装置の全体構成を示す図である。 電動制動装置の回転・直動変換機構の第1実施態様を示す部分断面図である。 図2の第1、第2球面部材及び押圧力取得手段を示す部分断面図である。 電動制動装置の回転・直動変換機構の第2実施態様を示す部分断面図である。 摩擦部材の偏摩耗等によるシャフト部材の軸ズレの問題点を説明するための図である。
<車両の電動制動装置の全体構成>
本発明の実施の形態の車両の電動制動装置の全体構成を、図1を参照して説明する。図1に示すように、車両の電動制動装置は、運転者が車両を減速するために操作する制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BP、車輪WHLの制動トルクを調整して車輪WHLに制動力を発生させる電動制動手段(電動ブレーキアクチュエータ)BRK、BRKを制御する電子制御ユニットECU、及び、ECU等に電力を供給する電源としての蓄電池BATを備えて構成される。なお、ECU内には、BRKを制御するための制御手段(制御アルゴリズム)CTLがプログラムされている。
また、この車両には、制動操作部材BPの操作量(制動操作量)Bpaを検出する制動操作量取得手段BPAが備えられている。例えば、BPAは、マスタシリンダ(図示せず)の圧力を検出するセンサ(圧力センサ)、制動操作部材BPの操作力、及び/又は、変位量を検出するセンサ(踏力センサ、ストロークセンサ)のうちの少なくとも何れか1つである。したがって、制動操作量Bpaは、マスタシリンダ圧、ブレーキペダル踏力、及び、ブレーキペダルストロークのうちの少なくとも何れか1つに基づいて演算される。
〔電動制動手段BRK〕
電動制動手段BRKは、浮動型のブレーキキャリパCPR、回転部材KTB、摩擦部材MSB、電気モータMTR、モータ駆動回路DRV、減速機GSK、回転・直動変換機構HNK、通電量取得手段IMA、位置取得手段MKA、及び、押圧力取得手段FBAを備えて構成されている。
例えば、回転部材KTBはブレーキディスク、摩擦部材MSBはブレーキパッド、電気モータMTRは、ブラシモータ、又は、ブラシレスモータである。
減速機GSKは、電気モータMTRの回転出力(トルク)を減速して、回転・直動変換機構HNKに伝達する。減速機GSKとしては、歯車伝達機構(平歯車、はすば歯車等)、巻き掛け伝達機構(ベルト、チェーン等)、及び、摩擦伝達機構のうちの少なくとも1つが用いられ得る。減速機GSKの出力部材が回転・直動変換機構HNKへの入力部材INPとなり、電気モータMTRの動力が、GSKからHNKに入力(伝達)される。
回転・直動変換機構HNKは、回転運動を直線運動に変換する機構であり、シャフト部材SFTと押圧部材(例えば、ブレーキピストン)PSNとで構成されている。シャフト部材SFT、及び、押圧部材PSNは、互いに螺合するねじ部NJBを有している。即ち、ねじ部NJBを有するシャフト部材SFTが、入力部材INPによって回転駆動され、それと螺合されるねじ部NJBを有する押圧部材PSNが、回転部材KTB(例えば、ブレーキディスク)に対して前進又は後退する。そして、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)MSBが、押圧部材PSNによって押圧され、回転部材KTBに押し付けられる。例えば、回転・直動変換機構HNKのねじ部NJBは、「滑り」によって動力伝達が行われる滑りねじ(台形ねじ等)によって構成されている。この場合、「ナット相当部のねじ部」は「雌ねじ(内側ねじともいう。)」に対応し、「ボルト相当部のねじ部」は「雄ねじ(外側ねじともいう。)」に対応する。また、HNKのねじ部NJBには、「転がり」によって動力伝達が行われるボールねじ(ボールねじ等)が採用され得る。この場合には、「ナット相当部のねじ部」は「ナットのボール溝」に対応し、「ボルト相当部のねじ部」は「(ボールを介してナットに螺合する)ねじシャフトのボール溝」に対応する。
モータ駆動回路DRVは、制御手段CTLから指令される目標通電量(目標値)Imtに基づいて、電気モータMTRへの通電量(最終的には電流値)を制御する。具体的には、モータ駆動回路DRVには、スイッチング素子(パワートランジスタであって、例えば、MOS−FET)が用いられたブリッジ回路が構成され、目標通電量Imtに基づいてスイッチング素子が駆動され、電気モータMTRの出力(出力トルク)が制御される。即ち、スイッチング素子の通電/非通電の状態が切り替えられることによって、電気モータMTRの回転方向と出力トルクとが調整される。
通電量取得手段(例えば、電流センサ)IMAは、実際の通電量(例えば、実際に電気モータMTRに流れる電流)Imaを検出するために、モータ駆動回路DRVに設けられている。位置取得手段(例えば、角度センサ)MKAは、MTRのロータの位置(例えば、回転角)Mkaを検出するために、電気モータMTRに設けられている。押圧力取得手段(例えば、押圧力センサ)FBAは、摩擦部材MSBが回転部材KTBを実際に押す力(押圧力の実際値)Fbaを検出するために、回転・直動変換機構HNKに設けられている。
以上のような構成の電動制動手段(電動ブレーキアクチュエータ)BRKによれば、電気モータMTRの出力は、減速機GSK、及び、入力部材INPを介して、回転・直動変換機構HNKに伝達される。これにより、押圧部材(ブレーキピストン)PSNが回転部材(ブレーキディスク)KTBに向かって前進する。そして、押圧部材PSNが、摩擦部材(ブレーキパッド)MSBを回転部材KTBに向かって押圧することによって、摩擦部材MSBは回転部材KTBに押付けられる。回転部材KTBは車輪WHLに固定されているので、摩擦部材MSBと回転部材KTBとの間に摩擦力が発生し、車輪WHLに制動力が発生する。
〔制御手段CTL〕
制御手段CTLは、目標押圧力演算ブロックFBT、指示通電量演算ブロックIST、押圧力フィードバック制御ブロックIPT、及び、通電量調整演算ブロックIMTを備えて構成される。制御手段(制御プログラム)CTLは、電子制御ユニットECU内にプログラムされている。
目標押圧力演算ブロックFBTは、制動操作量Bpaに基づいて、予め設定された目標押圧力演算特性(演算マップ)CHfbを用いて、各車輪WHLの目標押圧力Fbtを演算する。Fbtは、電動制動手段BRKにおいて、摩擦部材(ブレーキパッド)MSBが回転部材(ブレーキディスク)KTBを押す押圧力の目標値である。
指示通電量演算ブロックISTは、予め設定された指示通電量の演算特性(演算マップ)CHs1、CHs2を用いて、目標押圧力Fbtに基づき指示通電量Istを演算する。Istは、電動制動手段BRKの電気モータMTRを駆動し、目標押圧力Fbtを達成するための、電気モータMTRへの通電量の目標値である。Istの演算マップは、電動制動手段BRKのヒステリシスを考慮して、2つの特性CHs1、CHs2で構成される。特性CHs1は押圧力を増加する場合に対応し、特性CHs2は押圧力を減少する場合に対応する。そのため、特性CHs2に比較して、特性CHs1は相対的に大きい指示通電量Istを出力するように設定されている。
ここで、通電量とは、電気モータMTRの出力トルクを制御するための状態量(変数)である。電気モータMTRは電流に概ね比例するトルクを出力するため、通電量の目標値として電気モータMTRの電流目標値が用いられ得る。また、電気モータMTRへの供給電圧を増加すれば、結果として電流が増加されるため、目標通電量として供給電圧値が用いられ得る。さらに、パルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)におけるデューティ比によって供給電圧値が調整され得るため、このデューティ比が通電量として用いられ得る。
押圧力フィードバック制御ブロックIPTは、目標押圧力(目標値)Fbt、及び、実押圧力(実際値)Fbaに基づき押圧力フィードバック通電量Iptを演算する。指示通電量Istは目標押圧力Fbtに相当する値として演算されるが、電動制動手段BRKの効率変動により目標押圧力Fbtと実押圧力Fbaとの間に誤差(定常的な誤差)が生じる場合がある。押圧力フィードバック通電量Iptは、目標押圧力Fbtと実押圧力Fbaとの偏差(押圧力偏差)ΔFb、及び、演算特性(演算マップ)CHpに基づいて演算され、上記の誤差を減少するように決定される。なお、実押圧力Fbaは、後述する押圧力取得手段FBAによって取得(検出)される。
通電量調整演算ブロックIMTは、電気モータMTRへの最終的な目標値である目標通電量Imtを演算する。指示通電量Istが押圧力フィードバック通電量Iptによって調整され、目標通電量Imtが演算される。具体的には、通電量調整演算ブロックIMTは、指示通電量Istに対してフィードバック通電量Iptを加え、目標通電量Imtとして演算する。目標通電量Imtは、電気モータMTRの出力を制御するための最終的な通電量の目標値であり、FBAの検出結果(Fba)に基づいて演算される。そして、目標通電量Imtの符号(値の正負)に基づいて電気モータMTRの回転方向(正転、又は、逆転方向)が決定され、目標通電量Imtの大きさに基づいて電気モータMTRの出力が制御される。
<電動制動手段BRKの回転・直動変換機構HNKの第1実施態様>
電動制動手段BRKの回転・直動変換機構HNKの第1実施態様について図2を参照して説明する。図2に示すように、回転・直動変換機構HNK1は、押圧部材PSN、シャフト部材SFT、第1球面部材QM1、第2球面部材QM2、ベアリングBRG、拘束部材KSB、及び、保持部材SPT等を備えて構成される。回転・直動変換機構HNK1の構成部材の一部は、押圧力取得手段FBAを兼ねている。
押圧部材(ピストン)PSNは、回転部材KTBに摩擦部材MSBを押し付けて摩擦力を発生させる。ブレーキキャリパ(浮動型キャリパ)CPRに対する押圧部材PSNの動きは、キー部材KYA及びキー溝KYMによって制限されている。ブレーキキャリパCPRには、入力部材INPの回転軸ktj(以下、入力軸ktjという。)方向に延びるように、キー溝KYMが形成されている。そして、押圧部材PSNに固定されたキー部材KYAは、キー溝KYMに嵌合される。このため、押圧部材PSNは、入力軸ktjまわりの回転運動が拘束され、入力軸ktj方向(キー溝KYM方向)の直線運動は許容される。ここで、入力部材INPは、減速機GSKを介して伝達された電気モータMTRのトルク出力(回転出力)をシャフト部材SFTに伝達(入力)する構成部材である。
シャフト部材SFTは、入力部材INPによって、INPの軸まわりに(ktjを中心に)回転駆動され、電気モータMTRが発生するトルク出力(回転出力)を押圧部材PSNに伝達する。シャフト部材SFTは、第1球面部材QM1の貫通穴KA1、及び、第2球面部材QM2の貫通穴KA2に貫装されている。即ち、入力部材INP、シャフト部材SFT、第1球面部材QM1、及び、第2球面部材QM2は、同軸で構成されている。軸ズレが生じていない場合には、シャフト部材SFTの回転軸sfj(以下、シャフト軸sfjという。)は、入力部材INPの回転軸(入力軸ktj)と一致する。しかし、ブレーキキャリパ(フローティングキャリパ)CPRの撓み、摩擦部材MSBの偏摩耗等によってシャフト部材SFTの揺動(首振り)が生じ、2つの軸(ktjとsfj)に偏心(軸ズレ)が発生し得る。第1球面部材QM1、及び、第2球面部材QM2は、この軸ズレ(例えば、角度の変動)を吸収して、回転力を伝達する。換言すれば、第1球面部材QM1、及び、第2球面部材QM2は、一対となって自在継手(ユニバーサルジョイント)の機能を発揮する。
押圧部材PSNには、螺合可能な雄ねじ部(外側ねじ部とも称呼され、「ボルト相当部」に対応する。)ONJが設けられている。また、シャフト部材SFTには、雄ねじ部ONJと噛み合う雌ねじ部(内側ねじ部とも称呼され、「ナット相当部」に対応する。)MNJが設けられている。シャフト部材SFTの雌ねじ部MNJと押圧部材PSNの雄ねじ部ONJとが螺合する範囲であるねじ部NJBにおいて、シャフト部材SFTの回転運動(トルク)が押圧部材PSNの直線運動(推力)に変換される。
ねじ部NJBに対して押圧部材PSN側とは逆側に位置するシャフト部材SFTの平面SHMと、第1球面部材QM1の平面HM1(後述するKJM1の裏面)との間には、ベアリング(例えば、スラストベアリング)BRGが備えられている。ベアリングBRGは、回転方向の摩擦(抵抗)を低減し、シャフト部材SFTと第1球面部材QM1との相対的な回転運動を円滑にする。ベアリングBRGによって、摩擦に起因する動力損失が低減されるため、電気モータMTRから押圧部材PSNへの高効率な動力伝達が確保され得る。なお、ベアリングBRGは省略することができ、この場合には、シャフト部材SFTと第1球面部材QM1との接触端面(SHMとHM1との接触面)に、低摩擦化のための表面処理(例えば、テフロン(登録商標)コーティング)が施され得る。
拘束部材KSBは、第2球面部材QM2に固定され、第1球面部材QM1のシャフト軸sfj方向(紙面の左右方向)の動きを制限する。具体的には、拘束部材KSBと第2球面部材QM2と間に隙間(空間)が形成され、この隙間に第1球面部材QM1が設けられる。このため、QM1は、KSBとQM2との隙間内に限って、動くことができる。ここで、入力軸(INPの回転軸)ktjとシャフト軸(SFTの回転軸)sfjとの偏心(軸ズレ)が生じていても、その角度は僅かであるため、QM1の動きにおいては、ktj方向とsfj方向とは等価である。
押圧力取得手段FBAは、歪検出素子(例えば、歪ゲージ)HZM、演算処理部(例えば、演算回路)ENZ、及び、リード線(検出信号線)LDSで構成され、押圧部材PSNの押圧力(押圧力の反作用)Fbaを検出する。第2球面部材QM2の平面HM2(後述するKJM2の裏面)には、歪検出素子HZMが接着されている。HZMによって検出される歪量(信号)Hzmが、リード線LDSを介して、演算処理部ENZに送信される。ENZでは、Hzmに基づいてFbaが演算される。
保持部材SPTは、押圧力取得手段FBA(特に、演算処理部ENZ)、第2球面部材QM2、及び、拘束部材KSBを保持する。保持部材SPTは、ブレーキキャリパCPRに固定されている。したがって、押圧力取得手段FBA、第2球面部材QM2、及び、拘束部材KSBは、ブレーキキャリパCPRに固定される。なお、保持部材SPTは省略することができ、この場合、押圧力取得手段FBA(特に、演算処理部ENZ)、第2球面部材QM2、及び、拘束部材KSBは、ブレーキキャリパCPRに直接固定され得る。
次に、図3を参照して、第1球面部材QM1、第2球面部材QM2、拘束部材KSB、及び、押圧力取得手段FBAの詳細について説明する。
図3に示すように、第1球面部材QM1は、円板状の一方の端面が凸球状面(凸形状の球面)KJM1に形成され、他方の端面が平面HM1に形成されている。第1球面部材QM1は、凸球状面KJM1にて、第2球面部材QM2の凹球状面(凹形状の球面)KJM2と摺動する。第1球面部材QM1と第2球面部材QM2とが摺動する(滑る)ことによって自在継手機能が発揮され、シャフト部材SFTの軸ズレが許容され得る。第1球面部材QM1の平面HM1(KJM1の裏側面)は、シャフト部材SFT(sfjに垂直な平面SHM)から付与される押圧力Fbaの反力(反作用)を受け、その反力は凸球状面KJM1を介して第2球面部材QM2に伝達される。なお、第1球面部材QM1の中央には貫通穴KA1が開けられていて、シャフト部材SFTが貫装されている。また、HM1は、ベアリングBRGを介して、SFTの回転軸(シャフト軸sfj)に垂直な平面SHMから押圧力の反力(PSNからの力)を受け、平面SHMに圧接されている。ここで、平面SHMは、シャフト部材SFTにおいて、ねじ部NJBに対して押圧部材PSNとは反対側に設けられた平面である。
第2球面部材QM2は、円板状の一方の端面が凹球状面KJM2に形成され、他方の端面が平面HM2に形成されている。第2球面部材QM2は、ブレーキキャリパCPRに固定されている。即ち、第2球面部材QM2は、入力軸ktjまわりにも、シャフト軸sfjまわりにも回転されない。また、第2球面部材QM2は、入力軸ktj方向にも、シャフト軸sfj方向にも移動(直線運動)されない。第2球面部材QM2は、凹球状面KJM2で第1球面部材QM1の凸球状面KJM1と摺動し、凹球状面KJM2で第1球面部材QM1から押圧力Fbaの反力を受ける。第2球面部材QM2の平面HM2(KJM2の裏側面)には歪検出素子HZMが貼着されていて、このHZMによって第2球面部材QM2の歪(力に対する形状変化)Hzmが測定される。押圧力の反力によって発生される歪Hzmに基づいて、押圧力Fbaが検出される。なお、第2球面部材QM2の中央には貫通穴KA2が開けられており、シャフト部材SFTが貫装されている。
拘束部材KSBは、第2球面部材QM2に固定され、拘束部材KSBと第2球面部材QM2と間に隙間(空間)を形成する。この隙間に第1球面部材QM1が設けられる。拘束部材KSBによって、第1球面部材QM1のシャフト軸sfj方向の動き(「入力軸ktj方向の動き」とも言える。)が制限される。回転部材KTBと摩擦部材MSBとの接触が基点(点O)となって入力部材INPとシャフト部材SFTとの軸ズレが発生する。この軸ズレは、第1球面部材QM1と第2球面部材QM2との傾き(摺動)によって吸収されるが、軸ズレを吸収するために必要とされるQM1のシャフト軸sfj方向(入力軸ktj方向)の移動量は僅かである。換言すれば、軸ズレ許容にはQM1が傾斜することが必要であるが、これによって発生するQM1の軸方向の変位は小さい。このため、拘束部材KSBによって、軸ズレ吸収に必要とされる程度の軸方向の僅かな移動量Δdは許容されるが、それ以上の移動量は制限される。つまり、拘束部材KSBは、第1球面部材QM1が必要以上に大きく傾くことを防止し、第2球面部材QM2に対する第1球面部材QM1の当接姿勢が常に適正であるように、第1球面部材QM1の位置を拘束する。
また、第1、第2球面部材QM1、QM2の凸、凹球状面KJM1、KJM2の半径Rは、ktj上において、凸、凹球状面KJM1、KJM2から、回転部材KTBと摩擦部材MSBとの接触面までの距離に概ね等しく設定される。即ち、球状面KJM1、KJM2の中心が、回転部材KTBと摩擦部材MSBとの接触面に存在するように、球状面の半径Rが決定されている。シャフト部材SFTの軸ズレ(回転中心軸の揺動運動)は、回転部材KTBと摩擦部材MSBとの接触を基点(点O)にして発生する。KJM1、KJM2の半径Rが適正に決定されることによって、軸ズレ吸収が効果的に行われ得る。なお、電動制動手段BRKの各構成部材(PSN等)の寸法は既知であるため、球状面半径Rは、これらの寸法に基づいて決定される。
押圧力取得手段(例えば、力センサ)FBAは、歪検出素子HZM、演算処理部ENZ、及び、リード線LDSで構成され、押圧部材PSNの押圧力(押圧力の反力)Fbaを検出する。歪検出素子HZMは、ホイートストンブリッジ回路に構成され、一対の歪検出素子HZMが、第2球面部材QM2のKJM2の反対側平面HM2に180度隔てて貼り付けられ、第2球面部材QM2の歪(力に対する変位)Hzmを検出する。例えば、歪検出素子HZMとして、電気抵抗変化によるもの(歪ゲージ)、超音波によるもの等が用いられ得る。一対の歪検出素子HZMで検出される歪Hzmは、リード線LDSを介して演算処理部ENZに送信される。演算処理部ENZは、プログラムを含む演算回路であり、一対の歪検出素子HZMから送信された2つの歪Hzmの相加平均値と、予め設定されている特性(演算マップであって、例えば、校正値)とに基づいて押圧力Fbaを演算する。押圧力Fbaは、配線(ワイヤハーネス)WRHを介して電子制御ユニットECUに送信され、電気モータMTRを制御するために用いられる。
上述の構成の回転・直動変換機構HNK1を備えた電動制動手段BRKによれば、電気モータMTRの出力トルク(回転力)は、減速機GSKを介して、シャフト部材SFTの回転運動として伝達される。シャフト部材SFTの回転運動は、回転・直動変換機構HNK1によって、押圧部材PSNの直線運動(回転部材KTBに対する前進・後退運動)に変換される。具体的には、シャフト部材SFTに設けられた雌ねじ(内側ねじ)が形成された部位(ナット相当部)MNJと、それと螺合する押圧部材PSNに設けられた雄ねじ(外側ねじ)が形成された部位(ボルト相当部)ONJによって動力変換される。押圧部材PSNによって、摩擦部材MSBが回転部材KTBに押し付けられて押圧力Fbaが発生し、車輪WHLに制動力が発生する。
以上で説明したように、本実施形態によれば、第2球面部材QM2がブレーキキャリパCRPに固定されて、シャフト部材SFTのシャフト軸sfjに対する回転運動が拘束される。さらに、第2球面部材QM2に滑りながら接触する第1球面部材QM1は、回転するシャフト部材SFTとは別個の部材であって、相互に分離されている。このため、第1球面部材QM1は、シャフト部材SFTとの関係において、シャフト軸sfjまわりに自由に回転運動することができる。第1、第2球面部材QM1、QM2の凸、凹球状面KJM1、KJM2が、ねじ部NJBに対して電気モータMTR側に配置されているため、第1球面部材QM1には押圧方向(シャフト軸sfj方向)の運動に加え、回転方向(シャフト軸sfjまわり)の運動が付与されるが、シャフト部材SFTと第1球面部材QM1とは別個の部材であるため、シャフト部材SFTが回転された場合であっても、第1球面部材QM1は静止状態に維持されるか、僅かに回転される。即ち、MSBの偏摩耗等によってシャフト部材SFTに軸ズレが生じ、入力軸ktjに対して、シャフト軸sfjが傾斜した場合(即ち、軸ズレが発生した場合)であっても、第1球面部材QM1はシャフト軸sfjまわりに回転されないか、回転されたとしても僅かである。この結果、電気モータMTRの回転にともなう繰り返しの摺動運動が低減され、グリス切れが抑制され、確実な潤滑状態が維持され得る。また、摺動(滑り)による動力伝達の効率低下も抑制され得る。併せて、第1、第2球面部材QM1、QM2の回転運動が防止又は抑制されるため、電気モータMTRの動力損失が低減され、急制動時の制動トルク上昇の応答性が確保され得る。
さらに、第1球面部材QM1がシャフト部材SFTに対してベアリングBGRを介して当接されている。具体的には、シャフト部材SFTの平面SHM(NJBに対してPSN側とは反対側に位置し、sfjに垂直な平面)と、第1球面部材QM1の平面HM1(KJM1の裏側)との間には、ベアリング(例えば、スラストベアリング)BRGが備えられている。このため、シャフト部材SFTが、第1球面部材QM1に対して円滑に回転され、QM1の静止状態が概ね維持され得る。その結果、確実な潤滑状態が維持され得るとともに、電気モータMTRから押圧部材PSNへの動力伝達の効率が良好に確保され得る。
また、第2球面部材QM2に固定される拘束部材KSBによって、第1球面部材QM1と第2球面部材QM2とのシャフト軸sfj方向(紙面の左右方向)への相対的な動き(「入力軸ktj方向への動き」と言ってもよい。)が拘束される。具体的には、QM2とKSBとによって形成された空間(隙間)にQM1が設置されている。このため、軸ズレの吸収に必要となるQM1の傾きによって生じる移動量は許容されるが、それ以上の移動量は制限される。この結果、第2球面部材QM2に対する第1球面部材QM1の当接姿勢が適正に維持され、不必要に傾かないので、揺動機能(首振り機能)が損なわれることが防止され得る。
第1球面部材QM1が凸球状面KJM1、第2球面部材QM2が凹球状面KJM2とされているため、押圧部材PSNからの反力(即ち、押圧力Fbaの反作用)がQM1、QM2に付与された場合に、その力は第1、第2球面部材QM1、QM2の凸型、凹型の球状面KJM1、KJM2の斜面に沿って中心方向(ktj方向)に向かって作用する。このため、第1球面部材QM1は、その中心軸がktjに向かうように、移動される。即ち、セルフセンタリングの効果があるため、第1球面部材QM1と第2球面部材QM2との位置的関係が適正に維持され得る。
凸球状面KJM1、及び、凹球状面KJM2の中心が、回転部材KTBと摩擦部材MSBとの接触面にあるように設定される。即ち、KJM1及びKJM2の半径Rが、ktjにおいて、KJM1及びKJM2から、KTBとMSBとの接触面までの距離に等しく決定されている。摩擦部材MSBの偏摩耗等、回転部材KTBと摩擦部材MSBとの接触が基点(点O)となってシャフト部材SFTの軸ズレ(ktjとsfjとの相違)が発生するが、第1、第2球面部材QM1、QM2の凸、凹球状面KJM1、KJM2の中心が適切な位置(KTBとMSBとの接触面におけるktj上の点O)とされるため、シャフト部材SFTの軸ズレが効果的に吸収され得る。
また、第1球面部材QM1の中央に貫通穴KA1が設けられるとともに、第2球面部材QM2の中央に貫通穴KA2が設けられ、2つの貫通穴KA1、KA2を通って、電気モータMTRからの動力(トルク)がシャフト部材SFTに伝達される。カウンタシャフトを別個に設け、このカウンタシャフトを介して、電気モータMTRの回転運動をシャフト部材SFTに動力伝達することも考えられ得るが、このような場合に比較して構成が簡略化され、装置全体がコンパクトとなり得る。
<電動制動手段BRKの回転・直動変換機構HNKの第2実施態様>
電動制動手段BRKの回転・直動変換機構HNKの第2実施態様について、図2に対応した図4を参照して説明する。なお、図4において、図2に示す部材と同一機能の構成部材には同一符号が付され、その詳細な説明は省略される。
図2に示す第1実施態様の回転・直動変換機構HNK1では、押圧部材PSNに雄ねじ部ONJ、シャフト部材SFTに雌ねじ部MNJが設けられているのに対し、図4に示す第2実施態様の回転・直動変換機構HNK2には、押圧部材PSNに嵌入されたナットNUTに雌ねじ部(ナット相当部)MNJが設けられ、シャフト部材SFTに雄ねじ部(ボルト相当部)ONJが設けられている。ナットNUTは押圧部材PSNに固定されており、シャフト部材SFTが回転されることによって、押圧部材PSNが回転部材KTBに対して前進・後退される。
そして、第1実施態様の回転・直動変換機構HNK1に備えられていた保持部材SPTは、第2実施態様の回転・直動変換機構HNK2では省略され、押圧力取得手段FBA(特に、演算処理部ENZ)、第2球面部材QM2、及び、拘束部材KSBは、ブレーキキャリパCPRに直接固定される。
この第2実施態様の回転・直動変換機構HNK2を備えた電動制動手段BRKによれば、第1実施態様の回転・直動変換機構HNK1を備えた電動制動手段BRKと同様の作用・効果を奏する。
以上、回転・直動変換機構HNKのねじ部NJBに、台形ねじ等の滑りねじが採用された場合について説明したが、滑りねじに代えて、ボールねじ等の転がりねじが採用され得る。この場合には、雌ねじ部MNJが「(ボール溝付き)ナット」に置き換えられるとともに、雄ねじ部が「(ボール溝付き)ねじシャフト」に置換され得る。そして、複数のボールが、夫々のボール溝に配置されて、回転運動が直線運動に変換される。転がりねじが用いられた場合にも、上述した同様の作用・効果を奏する。
BRK…電動制動手段、CTL…制御手段、CPR…ブレーキキャリパ、KTB…回転部材、MSB…摩擦部材、MTR…電気モータ、PSN…押圧部材、SFT…シャフト部材、ONJ…雄ねじ部、MNJ…雌ねじ部、NJB…ねじ部、QM1…第1球面部材、KJM1…凸球状面、HM1…平面、KA1…貫通穴、QM2…第2球面部材、KJM2…凹球状面、HM2…平面、KA2…貫通穴、KSB…拘束部材、FBA…押圧力取得手段、HZM…歪検出素子、LDS…リード線、ENZ…演算処理部、WRH…配線、SPT…保持部材

Claims (6)

  1. 車両の車輪に固定された回転部材に、電気モータを介して摩擦部材を押圧し、前記車輪に制動トルクを発生させる車両の電動制動装置において、
    ナット相当部、及び、ボルト相当部のうちで何れか一方のねじ部を有し、前記摩擦部材に押圧力を付与する押圧部材と、
    前記電気モータによって回転駆動され、前記ねじ部と螺合するシャフト部材と、
    前記シャフト部材とは分離され、前記シャフト部材の回転軸まわりに前記シャフト部材とは相対的な回転運動が可能であり、端面が球状面である第1球面部材と、
    前記第1球面部材の前記球状面と摺接し、前記押圧力の反力を受け、前記シャフト部材の回転軸に対する回転運動が拘束されている第2球面部材と、を備える、車両の電動制動装置。
  2. 請求項1に記載の車両の電動制動装置において、
    前記シャフト部材は、前記第1球面部材にベアリングを介して当接される、車両の電動制動装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両の電動制動装置であって、
    前記第2球面部材に固定される拘束部材を備え、
    前記拘束部材は、前記第1球面部材の前記シャフト部材の軸方向の動きを拘束する、車両の電動制動装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両の電動制動装置において、
    前記第1球面部材は、前記球状面として凸球状面をもち、
    前記第2球面部材は、前記凸球状面に摺接する凹球状面をもつ、車両の電動制動装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両の電動制動装置において、
    前記球状面の中心が、前記回転部材と前記摩擦部材との接触面にある、車両の電動制動装置。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の車両の電動制動装置において、
    前記第1球面部材、及び、前記第2球面部材は中央に貫通穴をもち、前記貫通穴を通って前記電気モータからの動力が前記シャフト部材に伝達される、車両の電動制動装置。
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