以下、図面に基づいて本発明の実施例1から実施例12を説明する。
図1は本発明のステアリング装置を車両に取り付けた状態を示す全体斜視図である。図1に示すように、中空円筒状のコラム101が車体に取付けられ、このコラム101にはステアリングシャフト103が回動可能に軸支されている。ステアリングシャフト103には、その右端(車体後方側)にステアリングホイール102が装着され、ステアリングシャフト103の左端(車体前方側)には、自在継手104を介して中間シャフト105が連結されている。
中間シャフト105は、雄スプラインが形成された中実の中間インナーシャフト105aと、雌スプラインが形成された中空円筒状の中間アウターシャフト105bで構成され、中間インナーシャフ105aの雄スプラインが、中間アウターシャフト105bの雌スプラインに伸縮可能(摺動可能)に、かつ回転トルクを伝達可能に嵌合している。
さらに、中間アウターシャフト105bの車体後方側が上記自在継手104に連結され、中間インナーシャフト105aの車体前方側が自在継手106に連結されている。自在継手106には、ステアリングギヤ107の図示しないラックに噛合うピニオンが連結されている。
運転者がステアリングホイール102を回転操作すると、ステアリングシャフト103、自在継手104、中間シャフト105、自在継手106を介して、その回転力がステアリングギヤ107に伝達され、ラックアンドピニオン機構を介して、タイロッド108を移動し、操舵輪109の操舵角を変えることができる。
図2は本発明の実施例1のステアリング装置を示す要部の正面図、図3(a)は図2の車体取付けブラケット近傍の拡大正面図、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。図4は図3のB−B断面図である。図5はアウターコラムをテレスコピック方向の車体前方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。図6はアウターコラムをテレスコピック方向の車体後方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。
図2から図6に示すように、車体前方側に配置されたインナーコラム10の外周には、軸方向に摺動可能にアウターコラム11が嵌合している。アウターコラム11には、上部ステアリングシャフト103Aが回転可能に軸支され、上部ステアリングシャフト103Aの右端(車体後方側)には、図1のステアリングホイール102が固定されている。本発明の実施例では、アウターコラム11は、アルミダイカスト製の一体成型品であるが、鋼管にディスタンスブラケットを溶接したものであってもよい。また、軽量化を目的として、マグネシウムダイカスト製であってもよい。
アウターコラム11の左側(車体前方側)には、アウターコラム11を左右両側から挟み込むようにして、車体取付けブラケット3が取付けられている。車体取付けブラケット3は、車体(図示せず)に固定されたアルミ合金製等のカプセル(図示せず)を介して、車体前方側に離脱可能に取付けられている。
二次衝突時にステアリングホイール102に運転者が衝突して大きな衝撃力が作用すると、カプセルから車体取付けブラケット3が車体前方側に離脱し、アウターコラム11は、インナーコラム10に案内されて車体前方側にコラプス移動し、衝撃エネルギーを吸収する。
インナーコラム10の車体前方側(左側)には、ロアーブラケット21が一体的に固定されている。ロアーブラケット21は枢動ピン22を介して車体にチルト可能に支持されている。インナーコラム10には下部ステアリングシャフト103Bが回転可能に軸支され、下部ステアリングシャフト103Bの車体後方側が上部ステアリングシャフト103Aの車体前方側にスプライン係合している。下部ステアリングシャフト103Bは、中間シャフト105を経由して、ステアリングギヤ107に連結され、車輪の操舵角を変えることができる。
図3、図4に示すように、車体取付けブラケット3は、上板32と、この上板32から下方に延びる側板33、34を有している。アウターコラム11には、アウターコラム11の下方に突出して、ディスタンスブラケット13が一体的に形成されている。ディスタンスブラケット13の側面14、15は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面331、341に摺動可能に接している。アウターコラム11には、図4に示すように、アウターコラム11の内周面111に連通するスリット12が形成されている。
車体取付けブラケット3の側板33、34には、チルト調整用長溝35、36が形成されている。チルト調整用長溝35、36は、枢動ピン22を中心とする円弧状に形成されている。チルト調整用長溝35、36の代わりに丸孔(貫通孔)を形成して、テレスコピック方向の調整だけが可能なステアリング装置に適用してもよい。
ディスタンスブラケット13には、アウターコラム11の中心軸線112よりも車体下方側に、アウターコラム11の中心軸線112に平行に延びるテレスコ調整用長溝16、17が形成されている。丸棒状の締付けロッド4が、上記チルト調整用長溝35、36及びテレスコ調整用長溝16、17を通して、図4の左側から挿入されている。
アウターコラム11の外周面113には、アウターコラム11の車幅方向の左右両側に、第1の揺動摩擦板5、5がピン(第1の揺動支持部)51によって揺動可能に支持されている。第1の揺動摩擦板5、5は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面331、341とディスタンスブラケット13の側面14、15との間に挟み込まれている。
ピン51は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体上方側で、アウターコラム11の中心軸線112上に配置されている。ピン51は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体下方側に配置してもよい。第1の揺動摩擦板5、5は、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された矩形状の薄板で、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第1の長溝52を有している。第1の長溝52は、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に対して傾斜して形成してもよい。この第1の長溝52、52に上記締付けロッド4が挿入されている。第1の長溝52は直線状に限定されるものではなく、円弧状であってもよい。ピン51の位置は、アウターコラム11の中心軸線112上に限定されるものではなく、中心軸線112よりも上側や下側にあってもよく、テレスコ調整用長溝16、17の車体後方端よりも車体後方側、または、テレスコ調整用長溝16、17の車体前方端よりも車体前方側でもよい。
締付けロッド4の左端には、側板33の外側面332の外側に、固定カム(図示せず)、可動カム(図示せず)、操作レバー41が、この順で外嵌されている。また、締付けロッド4の右端に形成された雄ねじ(図示せず)にナット42の内径部に形成された雌ねじ(図示せず)がねじ込まれ、ナット42の左端面が側板34の外側面342に当接している。
固定カムと可動カムの対向する端面には、相補的な傾斜カム面が形成され、互いに噛み合っている。操作レバー41を手で操作すると、可動カムが固定カムに対して回動する。操作レバー41をクランプ方向に回動すると、固定カムの傾斜カム面の山に可動カムの傾斜カム面の山が乗り上げ、締付けロッド4を図4の左側に引っ張ると同時に、固定カムを図4の右側に押す。締付けロッド4はアウターコラム11の中心軸線112よりも車体下方側に配置されているが、中心軸線112よりも車体上方側に配置してもよい。その場合には、第1の揺動摩擦板5、5及びピン51の配置が、図3に対して上下逆の配置になる。
側板33は、固定カムの右端面によって右側に押され、側板33が内側に変形し、側板33の内側面331が第1の揺動摩擦板5を介してディスタンスブラケット13の側面14に強く押しつけられる。同時に、右側のナット42は、側板34の外側面342を押圧して、側板34を内側に変形させ、側板34の内側面341を第1の揺動摩擦板5を介してディスタンスブラケット13の側面15に強く押しつける。すなわち、第1の揺動摩擦板5、5は、側板33、34の内側面331、341とディスタンスブラケット13の側面14、15に挟まれた両面に生じる摩擦力によって、アウターコラム11を車体取付けブラケット3に強固に締付ける。
このようにして、アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、車体取付けブラケット3に強固に締付けることができる。すると、アウターコラム11のスリット12の幅が狭くなって、アウターコラム11の内周面111が縮径し、インナーコラム10の外周面をアウターコラム11の内周面111が締付け、アウターコラム11がインナーコラム10に対して相対移動することを阻止する。従って、車体取付けブラケット3に対してアウターコラム11が固定され、アウターコラム11のチルト方向及びテレスコピック方向の変位が阻止される。
次に、運転者が操作レバー41を締付解除方向に回動すると、フリーな状態における間隔が第1の揺動摩擦板5、5の外側の幅より広く設定された車体取付けブラケット3の側板33、34が、挟持方向と反対の方向へそれぞれ弾性復帰する。
そこで、アウターコラム11は、車体取付けブラケット3の側板33、34に対してフリーな状態となる。従って、締付けロッド4をチルト調整用長溝35、36に案内させつつチルト方向に変位させることで、アウターコラム11(ステアリングホイール102)のチルト方向の調整を任意に行うことができる。アウターコラム11をチルト方向に調整すると、締付けロッド4に押されて第1の揺動摩擦板5、5が時計方向または反時計方向に揺動する。締付けロッド4は第1の長溝52に沿ってピン51に近づく方向、またはピン51から離れる方向に移動し、締付けロッド4のチルト調整用長溝35、36に沿った運動と第1の揺動摩擦板5、5の揺動運動の軌跡の差を吸収する。
また、テレスコ調整用長溝16、17を締付けロッド4に案内させつつ、アウターコラム11をテレスコピック方向に変位させることで、ステアリングホイール102のテレスコピック方向の調整を任意に行うことができる。
図5に示すように、アウターコラム11をテレスコピック方向の車体前方側(図5の左側)へ移動すると、締付けロッド4に押されて第1の揺動摩擦板5、5が反時計方向に揺動する。締付けロッド4は第1の長溝52に沿ってピン51に近づく方向に移動し、締付けロッド4の直線運動と第1の揺動摩擦板5、5の揺動運動の軌跡の差を吸収する。また図6に示すように、アウターコラム11をテレスコピック方向の車体後方側(図6の右側)へ移動すると、締付けロッド4に引っ張られて第1の揺動摩擦板5、5が時計方向に揺動する。締付けロッド4は第1の長溝52に沿ってピン51から離れる方向に移動し、締付けロッド4の直線運動と第1の揺動摩擦板5、5の揺動運動の軌跡の差を吸収する。
アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、第1の揺動摩擦板5、5を介して車体取付けブラケット3に強固に締付けてクランプした状態で、車体が衝突すると、その慣性力で運転手がステアリングホイール102に衝突する。すると、アウターコラム11、締付けロッド4を介してチルト調整用長溝35、36に車体前方側への衝撃力が作用する。すると、第1の揺動摩擦板5、5がピン51と締付けロッド4との間で圧縮されて撓むため、締付けロッド4の締付け軸力が増大し、ディスタンスブラケット13を車体取付けブラケット3に締付けるクランプ力が増大する。
従って、二次衝突時の車体前方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体前方側に移動を開始することはない。その結果、所定のコラプス荷重で車体取付けブラケット3が車体から円滑に離脱するため、衝撃吸収性能が安定する。また、第1の揺動摩擦板5と車体取付けブラケット3との間にワッシャーを介在させる必要が無いため、ステアリング装置の車幅方向の寸法と部品点数を少なくでき、ステアリング装置の重量の増大を抑制できる。第1の揺動摩擦板5、5は、車体取付けブラケット3の側板33の外側面332と固定カムの右端面との間、及び、車体取付けブラケット3の側板34の外側面342とナット42の左端面との間に挟み込んでもよい。
次に本発明の実施例2について説明する。図7は本発明の実施例2のステアリング装置の車体取付けブラケット近傍の拡大正面図を示し、アウターコラムをチルト方向の車体下方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図である。図8は図7のC−C断面図、図9はアウターコラムをチルト方向の車体上方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例2はアウターコラム11のチルト方向の移動に追従して揺動する第2の揺動摩擦板を取り付けた例である。
図7から図9に示すように、車体取付けブラケット3の側板33、34の外側面332、342には、第2の揺動摩擦板6、6がピン(第2の揺動支持部)61によって揺動可能に支持されている。第2の揺動摩擦板6、6は、車体取付けブラケット3の側板33の外側面332と固定カムの右端面との間、及び、車体取付けブラケット3の側板34の外側面342とナット42の左端面との間に挟み込まれている。
ピン61は、チルト調整用長溝35、36の上端よりも車体上方側に配置されている。ピン61は、チルト調整用長溝35、36の下端よりも車体下方側に配置してもよい。第2の揺動摩擦板6、6は、ピン61と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された矩形状の薄板で、ピン61と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第2の長溝62を有している。第2の長溝62は、ピン61と締付けロッド4を結ぶ直線に対して傾斜して形成してもよい。この第2の長溝62、62に締付けロッド4が挿入されている。第2の長溝62は直線状に限定されるものではなく、円弧状であってもよい。
操作レバー41をクランプ方向に回動すると、固定カムの傾斜カム面の山に可動カムの傾斜カム面の山が乗り上げ、締付けロッド4を図8の左側に引っ張ると同時に、固定カムを図8の右側に押す。第2の揺動摩擦板6は、固定カムの右端面によって右側に押され、第2の揺動摩擦板6及び側板33が内側に変形し、側板33の内側面331がディスタンスブラケット13の側面14に強く押しつけられる。同時に、右側のナット42は、第2の揺動摩擦板6を介して側板34の外側面342を押圧し、側板34を内側に変形させ、側板34の内側面341をディスタンスブラケット13の側面15に強く押しつける。
すなわち、第2の揺動摩擦板6、6は、側板33、34の外側面332、342と固定カムの右端面及びナット42の左端面に挟まれた両面に生じる摩擦力によって、アウターコラム11を車体取付けブラケット3に強固に締付ける。このようにして、アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、車体取付けブラケット3に強固に締付けることができる。
すると、アウターコラム11のスリット12の幅が狭くなって、アウターコラム11の内周面111が縮径し、インナーコラム10の外周面をアウターコラム11の内周面111が締付け、アウターコラム11がインナーコラム10に対して相対移動することを阻止する。従って、車体取付けブラケット3に対してアウターコラム11が固定され、アウターコラム11のチルト方向及びテレスコピック方向の変位が阻止される。
次に、運転者が操作レバー41を締付解除方向に回動すると、フリーな状態における間隔がディスタンスブラケット13の側面14、15の外側の幅より広く設定された車体取付けブラケット3の側板33、34が、挟持方向と反対の方向へそれぞれ弾性復帰する。
そこで、アウターコラム11は、車体取付けブラケット3の側板33、34に対してフリーな状態となる。従って、締付けロッド4をチルト調整用長溝35、36に案内させつつチルト方向に変位させることで、ステアリングホイール102のチルト方向の調整を任意に行うことができる。また、テレスコ調整用長溝16、17を締付けロッド4に案内させつつ、アウターコラム11をテレスコピック方向に変位させることで、ステアリングホイール102のテレスコピック方向の調整を任意に行うことができる。テレスコ調整用長溝16、17の代わりに丸孔(貫通孔)を形成して、チルト方向の調整だけが可能なステアリング装置に適用してもよい。
図7はアウターコラム11のチルト方向の車体下方側移動端を示す。この状態からアウターコラム11をチルト方向の車体上方側(図7の上側)へ移動すると、図9に示すように、締付けロッド4に押されて第2の揺動摩擦板6、6が反時計方向に揺動する。締付けロッド4は第2の長溝62に沿ってピン61に近づく方向に移動し、締付けロッド4のチルト調整用長溝35、36に沿った運動と第2の揺動摩擦板6、6の揺動運動の軌跡の差を吸収する。
アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、第2の揺動摩擦板6、6を介して車体取付けブラケット3に強固に締付けてクランプした状態で、車体が衝突すると、その慣性力で運転手がステアリングホイール102に衝突する。すると、アウターコラム11、締付けロッド4を介して第2の揺動摩擦板6、6に車体上方側への衝撃力が作用する。すると、第1の揺動摩擦板6、6がピン61と締付けロッド4との間で圧縮されて撓むため、締付けロッド4の締付け軸力が増大し、ディスタンスブラケット13を車体取付けブラケット3に締付けるクランプ力が増大する。
従って、二次衝突時の車体上方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体上方側に移動を開始することはない。その結果、所定のコラプス荷重で車体取付けブラケット3が車体から円滑に離脱するため、衝撃吸収性能が安定する。また、第2の揺動摩擦板6と車体取付けブラケット3との間にワッシャーを介在させる必要が無いため、ステアリング装置の車幅方向の寸法と部品点数を少なくでき、ステアリング装置の重量の増大を抑制できる。
次に本発明の実施例3について説明する。図10は本発明の実施例3のステアリング装置を示す断面図であり、実施例2の図8相当図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例3は第2の揺動摩擦板を側板の内側面に取り付けた例である。
図10に示すように、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面331、341には、第2の揺動摩擦板6、6がピン(第2の揺動支持部)61によって揺動可能に支持されている。第2の揺動摩擦板6、6は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面331、341とディスタンスブラケット13の側面14、15との間に挟み込まれている。
ピン61は、チルト調整用長溝35、36の上端よりも車体上方側に配置されている。第2の揺動摩擦板6、6は、ピン61と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された矩形状の薄板で、ピン61と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第2の長溝(図示せず)を有している。この第2の長溝に締付けロッド4が挿入されている。
操作レバー41をクランプ方向に回動すると、固定カムの傾斜カム面の山に可動カムの傾斜カム面の山が乗り上げ、締付けロッド4を図10の左側に引っ張ると同時に、固定カムを図10の右側に押す。側板33は、固定カムの右端面によって右側に押され、側板33が内側に変形し、側板33の内側面331が第2の揺動摩擦板6を介してディスタンスブラケット13の側面14に強く押しつけられる。同時に、右側のナット42は、側板34の外側面342を押圧して、側板34を内側に変形させ、側板34の内側面341を第2の揺動摩擦板6を介してディスタンスブラケット13の側面15に強く押しつける。
このようにして、アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、車体取付けブラケット3に強固に締付けることができる。すると、アウターコラム11のスリット12の幅が狭くなって、アウターコラム11の内周面111が縮径し、インナーコラム10の外周面をアウターコラム11の内周面111が締付け、アウターコラム11がインナーコラム10に対して相対移動することを阻止する。従って、車体取付けブラケット3に対してアウターコラム11が固定され、アウターコラム11のチルト方向及びテレスコピック方向の変位が阻止される。
次に本発明の実施例4について説明する。図11は本発明の実施例4のステアリング装置を示す要部の正面図、図12は図11の車体取付けブラケット近傍の拡大正面図、図13は図12のD−D断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例4は第1の揺動摩擦板と第2の揺動摩擦板の両方を取り付けた例である。
図11から図13に示すように、アウターコラム11の外周面113には、アウターコラム11の車幅方向の左右両側に、第1の揺動摩擦板5、5がピン(第1の揺動支持部)51によって揺動可能に支持されている。第1の揺動摩擦板5、5は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面331、341とディスタンスブラケット13の側面14、15との間に挟み込まれている。
ピン51は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体上方側で、アウターコラム11の中心軸線112上に配置されている。ピン51は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体下方側に配置してもよい。第1の揺動摩擦板5、5は、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された矩形状の薄板で、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第1の長溝52を有している。第1の長溝52は、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に対して傾斜して形成してもよい。この第1の長溝52、52に締付けロッド4が挿入されている。第1の長溝52は直線状に限定されるものではなく、円弧状であってもよい。ピン51の位置は、アウターコラム11の中心軸線112上に限定されるものではなく、中心軸線112よりも上側や下側にあってもよく、テレスコ調整用長溝16、17の車体後方端よりも車体後方側、または、テレスコ調整用長溝16、17の車体前方端よりも車体前方側でもよい。
車体取付けブラケット3の側板33、34の外側面332、342には、第2の揺動摩擦板6、6がピン(第2の揺動支持部)61によって揺動可能に支持されている。第2の揺動摩擦板6、6は、車体取付けブラケット3の側板33の外側面332と固定カムの右端面との間、及び、車体取付けブラケット3の側板34の外側面342とナット42の左端面との間に挟み込まれている。
ピン61は、チルト調整用長溝35、36の上端よりも車体上方側に配置されている。ピン61は、チルト調整用長溝35、36の下端よりも車体下方側に配置してもよい。第2の揺動摩擦板6、6は、ピン61と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された矩形状の薄板で、ピン61と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第2の長溝62を有している。第2の長溝62は、ピン61と締付けロッド4を結ぶ直線に対して傾斜して形成してもよい。この第2の長溝62、62に締付けロッド4が挿入されている。第2の長溝62は直線状に限定されるものではなく、円弧状であってもよい。第1の長溝52及び第2の長溝62は、一方を直線状にし、他方を円弧状にしてもよい。また、第1の長溝52及び第2の長溝62の両方を直線状にしたり、両方を円弧状にしてもよい。
第1の揺動摩擦板5、5と第2の揺動摩擦板6、6の位置を入れ換えて、第1の揺動摩擦板5、5を側板33、34の外側面332、342に配置し、第2の揺動摩擦板6、6を側板33、34の内側面331、341とディスタンスブラケット13の側面14、15との間に配置してもよい。また、第1の揺動摩擦板5、5と第2の揺動摩擦板6、6の両方を、側板33、34の外側面332、342、または、側板33、34の内側面331、341とディスタンスブラケット13の側面14、15との間に配置してもよい。
操作レバー41をクランプ方向に回動すると、固定カムの傾斜カム面の山に可動カムの傾斜カム面の山が乗り上げ、締付けロッド4を図13の左側に引っ張ると同時に、固定カムを図13の右側に押す。
第2の揺動摩擦板6は固定カムの右端面によって右側に押され、側板33が内側に変形し、側板33の内側面331が第1の揺動摩擦板5を介してディスタンスブラケット13の側面14に強く押しつけられる。同時に、右側のナット42は、第2の揺動摩擦板6を介して側板34の外側面342を押圧して、側板34を内側に変形させ、側板34の内側面341を第1の揺動摩擦板5を介してディスタンスブラケット13の側面15に強く押しつける。
このようにして、アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、車体取付けブラケット3に強固に締付けることができる。すると、アウターコラム11のスリット12の幅が狭くなって、アウターコラム11の内周面111が縮径し、インナーコラム10の外周面をアウターコラム11の内周面111が締付け、アウターコラム11がインナーコラム10に対して相対移動することを阻止する。従って、車体取付けブラケット3に対してアウターコラム11が固定され、アウターコラム11のチルト方向及びテレスコピック方向の変位が阻止される。本発明の実施例4では、第1の揺動摩擦板5と第2の揺動摩擦板6を組み合わせて配置しているため、アウターコラム11を車体取付けブラケット3により強固に締付けることができる。
次に、運転者が操作レバー41を締付解除方向に回動すると、フリーな状態における間隔が第1の揺動摩擦板5、5の外側の幅より広く設定された車体取付けブラケット3の側板33、34が、挟持方向と反対の方向へそれぞれ弾性復帰する。
そこで、アウターコラム11は、車体取付けブラケット3の側板33、34に対してフリーな状態となる。従って、締付けロッド4をチルト調整用長溝35、36に案内させつつチルト方向に変位させることで、ステアリングホイール102のチルト方向の調整を任意に行うことができる。また、テレスコ調整用長溝16、17を締付けロッド4に案内させつつ、アウターコラム11をテレスコピック方向に変位させることで、ステアリングホイール102のテレスコピック方向の調整を任意に行うことができる。
アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、第1の揺動摩擦板5、5、第2の揺動摩擦板6、6を介して車体取付けブラケット3に強固に締付けてクランプした状態で、車体が衝突すると、その慣性力で運転手がステアリングホイール102に衝突する。すると、アウターコラム11、締付けロッド4を介してチルト調整用長溝35、36に車体前方側への衝撃力が作用する。すると、第1の揺動摩擦板5、5がピン51と締付けロッド4との間で圧縮されて撓むため、締付けロッド4の締付け軸力が増大し、ディスタンスブラケット13を車体取付けブラケット3に締付けるクランプ力が増大する。
従って、二次衝突時の車体前方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体前方側に移動を開始することはない。また、アウターコラム11、締付けロッド4を介して第2の揺動摩擦板6、6に車体上方側への衝撃力が作用すると、第1の揺動摩擦板6、6がピン61と締付けロッド4との間で圧縮されて撓むため、締付けロッド4の締付け軸力が増大し、ディスタンスブラケット13を車体取付けブラケット3に締付けるクランプ力が増大する。
従って、二次衝突時の車体上方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体上方側に移動を開始することはない。その結果、所定のコラプス荷重で車体取付けブラケット3が車体から円滑に離脱するため、衝撃吸収性能が安定する。また、第1の揺動摩擦板5と車体取付けブラケット3との間、及び、第2の揺動摩擦板6と車体取付けブラケット3との間にワッシャーを介在させる必要が無いため、ステアリング装置の車幅方向の寸法と部品点数を少なくでき、ステアリング装置の重量の増大を抑制できる。
次に本発明の実施例5について説明する。図14は本発明の実施例5のステアリング装置を示す要部の正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例5は第1の揺動摩擦板を取り付けるとともに、枢動ピン22を中心とする円弧よりも車体後方側に、チルト調整用長溝35、36を傾斜して形成した例である。
図14に示すように、車体取付けブラケット3の側板33、34には、チルト調整用長溝35、36が形成されている。チルト調整用長溝35、36は、車体下方側から車体上方側に向かって車体後方側に傾斜して形成されている。言い換えれば、チルト調整用長溝35、36は、枢動ピン22を中心とする円弧114よりも車体後方側に傾斜して形成されている。すなわち、チルト調整用長溝35、36は、枢動ピン22の中心(枢動中心)と締付けロッド4の中心を結ぶ直線115に直交する平面116に対して、傾斜角度αだけ車体後方側に傾斜して形成されている。
ディスタンスブラケット13には、アウターコラム11の中心軸線112よりも車体下方側に、アウターコラム11の中心軸線112に平行に延びるテレスコ調整用長溝16、17が形成されている。丸棒状の締付けロッド4が、上記チルト調整用長溝35、36及びテレスコ調整用長溝16、17を通して、図14の紙面に直交する手前側から挿入されている。
アウターコラム11の外周面には、アウターコラム11の車幅方向の左右両側に、第1の揺動摩擦板5、5がピン(第1の揺動支持部)51によって揺動可能に支持されている。第1の揺動摩擦板5、5は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面とディスタンスブラケット13の側面との間に挟み込まれている。
ピン51は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体上方側で、アウターコラム11の中心軸線112上に配置されている。ピン51は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体下方側に配置してもよい。第1の揺動摩擦板5、5は、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された矩形状の薄板で、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第1の長溝52を有している。第1の長溝52は、ピン51と締付けロッド4を結ぶ直線に対して傾斜して形成してもよい。この第1の長溝52、52に上記締付けロッド4が挿入されている。第1の長溝52は直線状に限定されるものではなく、円弧状であってもよい。ピン51の位置は、アウターコラム11の中心軸線112上に限定されるものではなく、中心軸線112よりも上側や下側にあってもよく、テレスコ調整用長溝16、17の車体後方端よりも車体後方側、または、テレスコ調整用長溝16、17の車体前方端よりも車体前方側でもよい。
アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、第1の揺動摩擦板5、5を介して車体取付けブラケット3に強固に締付けてクランプした状態で、車体が衝突すると、その慣性力で運転手がステアリングホイール102に衝突する。すると、アウターコラム11、締付けロッド4を介してチルト調整用長溝35、36に車体前方側への衝撃力が作用する。すると、第1の揺動摩擦板5、5がピン51と締付けロッド4との間で圧縮されて撓むため、締付けロッド4の締付け軸力が増大し、ディスタンスブラケット13を車体取付けブラケット3に締付けるクランプ力が増大する。
従って、二次衝突時の車体前方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体前方側に移動を開始することはない。また、チルト調整用長溝35、36は、枢動ピン22の中心と締付けロッド4の中心を結ぶ直線115に直交する平面116に対して、傾斜角度αだけ車体後方側に傾斜して形成されている。従って、アウターコラム11に車体上方側へ向かう衝撃力が入力されたとしても、同時に作用する車体前方側へのコラム軸方向のコラプス荷重に逆らって、コラム軸方向の車体後方側にアウターコラム11が後退しなければならず、アウターコラム11の車体上方側への移動を阻止することができ、エアーバッグが運転者を効果的に受け止めることができる。
次に本発明の実施例6について説明する。図15は本発明の実施例6のステアリング装置の車体取付けブラケット近傍の拡大正面図、図16は図15でアウターコラムをテレスコピック方向の車体前方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。図17は図15でアウターコラムをテレスコピック方向の車体後方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。図18は図15でアウターコラムをテレスコピック方向の中間位置まで移動した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。
図19はアウターコラムがテレスコピック方向の中間位置で二次衝突して、第1の長溝が塑性変形した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例6は、二次衝突時に第1の長溝の塑性変形を容易にするために、第1の長溝に沿って第3の長溝を形成した例である。
図15から図19に示すように、車体取付けブラケット3の側板33、34には、チルト調整用長溝35、36が形成されている。チルト調整用長溝35、36は、枢動ピンを中心とする円弧状に形成されている。チルト調整用長溝35、36は、円弧状に限定されるものではなく、締付けロッド4が円弧運動可能な矩形形状でもよい。
ディスタンスブラケット13には、アウターコラム11の中心軸線112よりも車体下方側に、アウターコラム11の中心軸線112に平行に延びるテレスコ調整用長溝16、17が形成されている。丸棒状の締付けロッド4が、上記チルト調整用長溝35、36及びテレスコ調整用長溝16、17を通して、図15の紙面に直交する手前側から挿入されている。
アウターコラム11の外周面には、アウターコラム11の車幅方向の左右両側に、第1の揺動摩擦板7、7がピン(第1の揺動支持部)71によって揺動可能に支持されている。第1の揺動摩擦板7、7は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面とディスタンスブラケット13の側面との間に挟み込まれている。
ピン71は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体上方側で、アウターコラム11の中心軸線112上に配置されている。ピン71は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体下方側に配置してもよい。実施例6の第1の揺動摩擦板7は、ピン71と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された略矩形状の薄板で、ピン71と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第1の長溝72を有している。第1の長溝72は、ピン71と締付けロッド4を結ぶ直線に対して傾斜して形成してもよい。この第1の長溝72に上記締付けロッド4が挿入されている。第1の長溝72は直線状に限定されるものではなく、円弧状であってもよい。ピン71の位置は、アウターコラム11の中心軸線112上に限定されるものではなく、中心軸線112よりも上側や下側にあってもよく、テレスコ調整用長溝16、17の車体後方端よりも車体後方側、または、テレスコ調整用長溝16、17の車体前方端よりも車体前方側でもよい。
実施例6の第1の揺動摩擦板7は、実施例1の第1の揺動摩擦板5とは形状が若干異なり、車体後方側の辺74が、車体後方側に凸の円弧状に形成されている。また、第1の長溝72の車体後方側には、第1の長溝72に沿って、第1の長溝72とほぼ同一長さの第3の長溝73が形成されている。
従って、締付けロッド4をチルト調整用長溝35、36に案内させつつチルト方向に変位させることで、アウターコラム11のチルト方向の調整を任意に行うことができる。アウターコラム11をチルト方向に調整すると、締付けロッド4に押されて第1の揺動摩擦板7、7が時計方向または反時計方向に揺動する。締付けロッド4は第1の長溝72に沿ってピン71に近づく方向、またはピン71から離れる方向に移動し、締付けロッド4のチルト調整用長溝35、36に沿った運動と第1の揺動摩擦板7、7の揺動運動の軌跡の差を吸収する。
図16に示すように、アウターコラム11をテレスコピック方向の車体前方側(図16の左側)へ移動すると、締付けロッド4に押されて第1の揺動摩擦板7、7が反時計方向に揺動する。締付けロッド4は第1の長溝72に沿ってピン71に近づく方向に移動し、締付けロッド4の直線運動と第1の揺動摩擦板7、7の揺動運動の軌跡の差を吸収する。また図17に示すように、アウターコラム11をテレスコピック方向の車体後方側(図17の右側)へ移動すると、締付けロッド4に引っ張られて第1の揺動摩擦板7、7が時計方向に揺動する。締付けロッド4は第1の長溝72に沿ってピン71から離れる方向に移動し、締付けロッド4の直線運動と第1の揺動摩擦板7、7の揺動運動の軌跡の差を吸収する。
図18に示すアウターコラム11のテレスコピック方向の中間位置で、アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、第1の揺動摩擦板7、7を介して車体取付けブラケット3に強固に締付けてクランプする。その状態で、車体が衝突すると、その慣性力で運転手がステアリングホイール102に衝突する。すると、アウターコラム11、締付けロッド4を介してチルト調整用長溝35、36に車体前方側への衝撃力が作用する。
すると、チルト調整用長溝35、36からの反力で、締付けロッド4に車体後方側への大きな衝撃力が作用する。第1の長溝72は第3の長溝73が有るため、車体後方側への荷重で第3の長溝73側への変形が容易に形成されている。従って、図19に示すように、締付けロッド4に作用する車体後方側への大きな衝撃力によって、第1の長溝72は第3の長溝73側に塑性変形する。
その結果、締付けロッド4と第1の長溝72との接触位置の圧力角θ1が大きくなり、締付けロッド4は第1の長溝72に沿って移動することが困難になる。圧力角θ1は、締付けロッド4と第1の長溝72の接触位置の共通法線75と、締付けロッド4の運動方向76とのなす角度をいう。実施例6の第1の揺動摩擦板7は、車体後方側の辺74が車体後方側に凸の円弧状に形成されている。従って、第1の揺動摩擦板7は、第3の長溝73の車体後方側の幅が広く、締付けロッド4に作用する車体後方側への大きな衝撃力を支持することができる。
従って、二次衝突時の車体前方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体前方側に移動を開始することはない。その結果、所定のコラプス荷重で車体取付けブラケット3が車体から円滑に離脱するため、衝撃吸収性能が安定する。第1の揺動摩擦板7、7は、車体取付けブラケット3の側板33の外側面と固定カムの右端面との間、及び、車体取付けブラケット3の側板34の外側面とナットの左端面との間に挟み込んでもよい。
次に本発明の実施例7について説明する。図20は本発明の実施例7のステアリング装置の車体取付けブラケット近傍の拡大正面図を示し、アウターコラムをチルト方向の車体下方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図である。図21は図20でアウターコラムをチルト方向の車体上方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図である。図22は本発明の実施例7でアウターコラムをチルト方向の中間位置まで移動した状態で、二次衝突して第2の長溝が塑性変形した状態を示す拡大正面図である。
以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例7はアウターコラムのチルト方向の移動に追従して揺動する第2の揺動摩擦板を取り付けるとともに、二次衝突時に第2の長溝の塑性変形を容易にするために、第2の長溝に沿って第4の長溝を形成した例である。
図20から図22に示すように、車体取付けブラケット3の側板33、34には、チルト調整用長溝35、36が形成されている。チルト調整用長溝35、36は、枢動ピンを中心とする円弧状に形成されている。丸棒状の締付けロッド4が、チルト調整用長溝35、36を通して、図20の紙面に直交する手前側から挿入されている。
車体取付けブラケット3の側板33、34の外側面には、第2の揺動摩擦板8、8がピン(第2の揺動支持部)81、81によって揺動可能に支持されている。ピン81は、チルト調整用長溝35、36の上端よりも車体上方側に配置されている。ピン81は、チルト調整用長溝35、36の下端よりも車体下方側に配置してもよい。実施例7の第2の揺動摩擦板8は、ピン81と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された略矩形状の薄板で、ピン81と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第2の長溝82を有している。第2の長溝82は、ピン81と締付けロッド4を結ぶ直線に対して傾斜して形成してもよい。この第2の長溝82に締付けロッド4が挿入されている。第2の長溝82は直線状に限定されるものではなく、円弧状であってもよい。
実施例7の第2の揺動摩擦板8は、実施例2の第2の揺動摩擦板6とは形状が若干異なり、車体後方側の辺84が車体後方側に凸の円弧状に形成されている。車体後方側の辺84は、直線状でもよい。また、第2の長溝82の車体後方側には、第2の長溝82に沿って、第2の長溝82とほぼ同一長さの第4の長溝83が形成されている。
図20はアウターコラム11のチルト方向の車体下方側移動端を示す。この状態からアウターコラム11をチルト方向の車体上方側(図20の上側)へ移動すると、図21に示すように、締付けロッド4に押されて第2の揺動摩擦板8、8が反時計方向に揺動する。締付けロッド4は第2の長溝82に沿ってピン81に近づく方向に移動し、締付けロッド4のチルト調整用長溝35、36に沿った運動と第2の揺動摩擦板8、8の揺動運動の軌跡の差を吸収する。
アウターコラム11のチルト方向の中間位置で、アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、第2の揺動摩擦板8、8を介して車体取付けブラケット3に強固に締付けてクランプする。その状態で、車体が衝突すると、その慣性力で運転手がステアリングホイール102に衝突する。すると、アウターコラム11、締付けロッド4を介して第2の揺動摩擦板8、8に車体上方側への衝撃力が作用する。
第2の長溝82は第4の長溝83が有るため、車体上方側への荷重で第4の長溝83側への変形が容易に形成されている。従って、図22に示すように、締付けロッド4に作用する車体上方側への大きな衝撃力によって、第2の長溝82は第4の長溝83側に塑性変形する。
その結果、締付けロッド4と第2の長溝82との接触位置の圧力角θ2が大きくなり、締付けロッド4は第2の長溝82に沿って移動することが困難になる。圧力角θ2は、締付けロッド4と第2の長溝82の接触位置の共通法線85と、締付けロッド4の運動方向86とのなす角度をいう。実施例7の第2の揺動摩擦板8は、車体後方側の辺84が車体後方側に凸の円弧状に形成されている。従って、第2の揺動摩擦板8は、第4の長溝83の車体後方側の幅が広く、締付けロッド4に作用する車体上方側への大きな衝撃力を支持することができる。
従って、二次衝突時の車体上方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体上方側に移動を開始することはない。その結果、所定のコラプス荷重で車体取付けブラケット3が車体から円滑に離脱するため、衝撃吸収性能が安定する。
次に本発明の実施例8について説明する。図23は本発明の実施例8のステアリング装置を示す要部の正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例8は実施例6の第1の揺動摩擦板と、実施例7の第2の揺動摩擦板の両方を取り付けた例である。
図23に示すように、アウターコラム11の外周面には、アウターコラム11の車幅方向の左右両側に、第1の揺動摩擦板7、7がピン(第1の揺動支持部)71によって揺動可能に支持されている。第1の揺動摩擦板7、7は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面とディスタンスブラケット13の側面との間に挟み込まれている。第1の揺動摩擦板7、7は実施例6と同一形状を有し、第1の長溝72と第3の長溝73が形成されて、第1の長溝72の塑性変形が容易に形成されている。
車体取付けブラケット3の側板33、34の外側面には、第2の揺動摩擦板8、8がピン(第2の揺動支持部)81によって揺動可能に支持されている。第2の揺動摩擦板8、8は実施例7と同一形状を有し、第2の長溝82と第4の長溝83が形成されて、第2の長溝82の塑性変形が容易に形成されている。本発明の実施例8では、第1の揺動摩擦板7と第2の揺動摩擦板8を組み合わせて配置しているため、アウターコラム11を車体取付けブラケット3により強固に締付けることができる。
アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、第1の揺動摩擦板7、7、第2の揺動摩擦板8、8を介して車体取付けブラケット3に強固に締付けてクランプした状態で、車体が衝突すると、その慣性力で運転手がステアリングホイール102に衝突する。すると、アウターコラム11、締付けロッド4を介してチルト調整用長溝35、36に車体前方側への衝撃力が作用する。
チルト調整用長溝35、36からの反力で、締付けロッド4に車体後方側への大きな衝撃力が作用し、第1の揺動摩擦板7、7の第1の長溝72が第3の長溝73側に塑性変形し、締付けロッド4と第1の長溝72との接触位置の圧力角が大きくなり、締付けロッド4は第1の長溝72に沿って移動することが困難になる。従って、二次衝突時の車体前方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体前方側に移動を開始することはない。
また、アウターコラム11、締付けロッド4を介して第2の揺動摩擦板8、8に車体上方側への衝撃力が作用すると、第2の揺動摩擦板8、8の第2の長溝82が第4の長溝83側に塑性変形する。その結果、締付けロッド4と第2の長溝82との接触位置の圧力角が大きくなり、締付けロッド4は第2の長溝82に沿って移動することが困難になる。従って、二次衝突時の車体上方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体上方側に移動を開始することはない。その結果、所定のコラプス荷重で車体取付けブラケット3が車体から円滑に離脱するため、衝撃吸収性能が安定する。
第1の揺動摩擦板7、7と第2の揺動摩擦板8、8の位置を入れ換えて、第1の揺動摩擦板7、7を側板33、34の外側面に配置し、第2の揺動摩擦板8、8を側板33、34の内側面とディスタンスブラケット13の側面との間に配置してもよい。また、第1の揺動摩擦板7、7と第2の揺動摩擦板8、8の両方を、側板33、34の外側面、または、側板33、34の内側面とディスタンスブラケット13の側面との間に配置してもよい。
次に本発明の実施例9について説明する。図24は本発明の実施例9でアウターコラムをテレスコピック方向の中間位置まで移動した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。図25は図24でアウターコラムをテレスコピック方向の車体後方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例9は、アウターコラムのテレスコピック方向の調整位置にかかわらず、二次衝突時の第1の長溝の塑性変形が安定的に行われるようにした例である。
図24から図25に示すように、ディスタンスブラケット13には、アウターコラム11の中心軸線112よりも車体下方側に、アウターコラム11の中心軸線112に平行に延びるテレスコ調整用長溝16、17が形成されている。丸棒状の締付けロッド4が、テレスコ調整用長溝16、17を通して、図24、図25の紙面に直交する手前側から挿入されている。
アウターコラム11の外周面には、アウターコラム11の車幅方向の左右両側に、第1の揺動摩擦板9、9がピン(第1の揺動支持部)91によって揺動可能に支持されている。第1の揺動摩擦板9、9は、図示しない車体取付けブラケットの側板の内側面とディスタンスブラケット13の側面との間に挟み込まれている。
ピン91は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体上方側で、アウターコラム11の中心軸線112上に配置されている。ピン91は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体下方側に配置してもよい。実施例9の第1の揺動摩擦板9は、ピン91と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された略矩形状の薄板で、ピン91と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第1の長溝92を有している。この第1の長溝92に上記締付けロッド4が挿入されている。ピン91の位置は、アウターコラム11の中心軸線112上に限定されるものではなく、中心軸線112よりも上側や下側にあってもよく、テレスコ調整用長溝16、17の車体後方端よりも車体後方側、または、テレスコ調整用長溝16、17の車体前方端よりも車体前方側でもよい。
実施例9の第1の揺動摩擦板9は、実施例6の第1の揺動摩擦板7と同様に、車体後方側の辺94が、車体後方側に凸の円弧状に形成されている。また、実施例6の第1の揺動摩擦板7とは形状が異なり、車体前方側の辺95が、車体前方側に凸の円弧状に形成されている。実施例9の第1の長溝92は、車体前方側が凸の円弧状に形成されている。第1の長溝92は、車体後方側が凸の円弧状に形成してもよい。第1の長溝92は、ピン91と締付けロッド4を結ぶ直線に対して傾斜した円弧状に形成してもよい。また、第1の長溝92の車体後方側には、第1の長溝92に沿って、第1の長溝92とほぼ同一長さの第3の長溝93が形成されている。実施例9の第3の長溝93も、車体前方側が凸の円弧状に形成されている。また、第1の長溝92の車体前方側の端部には、溝幅の狭い切欠き部96が形成されている。切欠き部96は、実施例6の第1の長溝72、実施例7の第2の長溝82、実施例8の第1の長溝72、第2の長溝82にも適用することが可能である。
図24はアウターコラム11をテレスコピック方向の中間位置まで移動した状態を示し、図25はアウターコラム11をテレスコピック方向の車体後方側移動端まで移動した状態を示す。上記したように、実施例9の第1の長溝92は、車体前方側が凸の円弧状に形成されている。従って、締付けロッド4と第1の長溝92との接触位置の接線97と、アウターコラム11の中心軸線112との間の角度は、図24の状態がβ1、図25の状態がβ2で、β1とβ2がほぼ一定に維持される。その結果、車体が衝突して、締付けロッド4に車体後方側への衝撃力が作用すると、アウターコラム11のテレスコピック方向の調整位置にかかわらず、第1の長溝92にはほぼ一定の荷重が作用するため、第1の長溝92の第3の長溝93側への塑性変形が安定的に行われる。
また、図25に示すように、アウターコラム11をテレスコピック方向の車体後方側移動端まで移動した状態で車体が衝突すると、締付けロッド4に車体後方側への衝撃力が作用し、第1の長溝92には車体後方側への荷重が作用する。この荷重の作用する位置は、第1の長溝92の車体前方側の端部であるため、第1の長溝92に作用する曲げモーメントが小さくなる。しかし、第1の長溝92には車体前方側の端部に切欠き部96が形成されているため、切欠き部96に応力が集中して、第1の長溝92は第3の長溝93側へ容易に塑性変形することができる。切欠き部96は、第1の長溝92の車体後方側の端部に形成してもよい。また、切欠き部96は、第1の長溝92の車体前方側の端部と車体後方側の端部の両方に形成してもよい。
次に本発明の実施例10について説明する。図26は本発明の実施例10のステアリング装置を示す要部の正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例10は実施例6の第1の揺動摩擦板を取り付けるとともに、枢動ピン22を中心とする円弧よりも車体後方側に、チルト調整用長溝35、36を傾斜して形成した例である。
図26に示すように、車体取付けブラケット3の側板33、34には、チルト調整用長溝35、36が形成されている。チルト調整用長溝35、36は、車体下方側から車体上方側に向かって車体後方側に傾斜して形成されている。言い換えれば、チルト調整用長溝35、36は、枢動ピン22を中心とする円弧114よりも車体後方側に傾斜して形成されている。すなわち、チルト調整用長溝35、36は、枢動ピン22の中心(枢動中心)と締付けロッド4の中心を結ぶ直線115に直交する平面116に対して、傾斜角度αだけ車体後方側に傾斜して形成されている。
ディスタンスブラケット13には、アウターコラム11の中心軸線112よりも車体下方側に、アウターコラム11の中心軸線112に平行に延びるテレスコ調整用長溝16、17が形成されている。丸棒状の締付けロッド4が、上記チルト調整用長溝35、36及びテレスコ調整用長溝16、17を通して、図26の紙面に直交する手前側から挿入されている。
アウターコラム11の外周面には、アウターコラム11の車幅方向の左右両側に、第1の揺動摩擦板7、7がピン(第1の揺動支持部)71によって揺動可能に支持されている。第1の揺動摩擦板7、7は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面とディスタンスブラケット13の側面との間に挟み込まれている。
ピン71は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体上方側で、アウターコラム11の中心軸線112上に配置されている。第1の揺動摩擦板7、7は、ピン71と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って細長く形成された略矩形状の薄板で、ピン71と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って長く形成された第1の長溝72を有している。この第1の長溝72、72に上記締付けロッド4が挿入されている。第1の長溝72の車体後方側には、第1の長溝72の塑性変形を容易にするために、第1の長溝72に沿って、第1の長溝72とほぼ同一長さの第3の長溝73が形成されている。ピン71の位置は、アウターコラム11の中心軸線112上に限定されるものではなく、テレスコ調整用長溝16、17の車体後方端よりも車体後方側であればよい。
アウターコラム11のディスタンスブラケット13を、第1の揺動摩擦板7、7を介して車体取付けブラケット3に強固に締付けてクランプした状態で、車体が衝突すると、その慣性力で運転手がステアリングホイール102に衝突する。すると、アウターコラム11、締付けロッド4を介してチルト調整用長溝35、36に車体前方側への衝撃力が作用する。すると、締付けロッド4に作用する車体後方側への大きな衝撃力によって、第1の長溝72は第3の長溝73側に塑性変形する。その結果、締付けロッド4と第1の長溝72との接触位置の圧力角が大きくなり、締付けロッド4は第1の長溝72に沿って移動することが困難になる。
従って、二次衝突時の車体前方側への衝撃荷重で、アウターコラム11が締付け力に抗して車体取付けブラケット3から車体前方側に移動を開始することはない。また、チルト調整用長溝35、36は、枢動ピン22の中心と締付けロッド4の中心を結ぶ直線115に直交する平面116に対して、傾斜角度αだけ車体後方側に傾斜して形成されている。従って、アウターコラム11に車体上方側へ向かう衝撃力が入力されたとしても、同時に作用する車体前方側へのコラム軸方向のコラプス荷重に逆らって、コラム軸方向の車体後方側にアウターコラム11が後退しなければならず、アウターコラム11の車体上方側への移動を阻止することができ、エアーバッグが運転者を効果的に受け止めることができる。
次に本発明の実施例11について説明する。図27は本発明の実施例11のステアリング装置の車体取付けブラケット近傍の拡大正面図を示し、アウターコラムをチルト方向の車体下方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図である。図28は図27でアウターコラムをチルト方向の中間位置まで移動した状態を示す拡大正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例11は、第2の長溝を第2の揺動支持部と締付けロッドを結ぶ直線に対して傾斜して形成した例である。
図27から図28に示すように、車体取付けブラケット3の側板33、34には、チルト調整用長溝35、36が形成されている。チルト調整用長溝35、36は、枢動ピンを中心とする円弧状に形成されている。丸棒状の締付けロッド4が、チルト調整用長溝35、36を通して、図27の紙面に直交する手前側から挿入されている。
車体取付けブラケット3の側板33、34の外側面には、第2の揺動摩擦板87、87がピン(第2の揺動支持部)871、871によって揺動可能に支持されている。ピン871は、チルト調整用長溝35、36の上端よりも車体上方側に配置されている。実施例11の第2の揺動摩擦板87は、車体前方側の辺873が直線状で、車体後方側の辺874が車体後方側に凸の円弧状に形成された薄板である。また、第2の揺動摩擦板87には、第2の長溝872が形成され、この第2の長溝872は、ピン871と締付けロッド4を結ぶ直線に対して車体後方側に傾斜して形成されている。この第2の長溝872に上記締付けロッド4が挿入されている。
図27はアウターコラム11のチルト方向の車体下方側移動端を示す。この状態からアウターコラム11をチルト方向の車体上方側(図27の上側)へ移動すると、図28に示すように、締付けロッド4に押されて第2の揺動摩擦板87、87が反時計方向に揺動する。締付けロッド4は第2の長溝872に沿ってピン871に近づく方向に移動し、締付けロッド4のチルト調整用長溝35、36に沿った運動と第2の揺動摩擦板87、87の揺動運動の軌跡の差を吸収する。すなわち、第2の長溝872が、ピン871と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って形成されていなくても、締付けロッド4のチルト調整用長溝35、36に沿った運動と第2の揺動摩擦板87、87の揺動運動の軌跡の差を吸収することができる。
次に本発明の実施例12について説明する。図29は本発明の実施例12のステアリング装置で、アウターコラムをテレスコピック方向の車体前方側移動端まで移動した状態を示す拡大正面図であり、車体取付けブラケットを省略した拡大正面図である。図30は図29でアウターコラムをテレスコピック方向の中間位置まで移動した状態を示す拡大正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例12は、第1の長溝を第1の揺動支持部と締付けロッドを結ぶ直線に対して傾斜して形成した例である。
図29から図30に示すように、ディスタンスブラケット13には、アウターコラム11の中心軸線112よりも車体下方側に、アウターコラム11の中心軸線112に平行に延びるテレスコ調整用長溝16、17が形成されている。丸棒状の締付けロッド4が、テレスコ調整用長溝16、17を通して、図29の紙面に直交する手前側から挿入されている。
アウターコラム11の外周面には、アウターコラム11の車幅方向の左右両側に、第1の揺動摩擦板77、77がピン(第1の揺動支持部)771によって揺動可能に支持されている。第1の揺動摩擦板77、77は、車体取付けブラケット3の側板の内側面とディスタンスブラケット13の側面との間に挟み込まれている。
ピン771は、テレスコ調整用長溝16、17よりも車体上方側に配置されている。実施例12の第1の揺動摩擦板77は、車体前方側の辺773が車体前方側に凸の円弧状で、車体後方側の辺774が直線状に形成された薄板である。また、第1の揺動摩擦板77には第1の長溝772が形成され、この第1の長溝772は、ピン771と締付けロッド4を結ぶ直線に対して車体前方側に傾斜して形成されている。この第1の長溝772に上記締付けロッド4が挿入されている。
従って、アウターコラム11をテレスコピック方向の車体後方側(図29の右側)へ移動すると、締付けロッド4に押されて第1の揺動摩擦板77、77が時計方向に揺動する。締付けロッド4は第1の長溝772に沿ってピン771から離れる方向に移動し、締付けロッド4の直線運動と第1の揺動摩擦板77、77の揺動運動の軌跡の差を吸収する。すなわち、第1の長溝772が、ピン771と締付けロッド4を結ぶ直線に沿って形成されていなくても、締付けロッド4のテレスコ調整用長溝16、17に沿った運動と第1の揺動摩擦板77、77の揺動運動の軌跡の差を吸収することができる。
上記実施例では、第1の揺動摩擦板及び第2の揺動摩擦板が車幅方向の左右両側に形成されているが、車幅方向の片側だけに形成してもよい。また、上記実施例では、インナーコラム10が車体前方側でアウターコラム11が車体後方側に配置されたステアリング装置に適用した例について説明したが、インナーコラム10が車体後方側でアウターコラム11が車体前方側に配置されたステアリング装置に適用してもよい。また、第1の揺動摩擦板及び第2の揺動摩擦板の摩擦力を増大させるために、摩擦板の表面にやすり状の凹凸を形成したり、摩擦係数の大きな塗装やメッキ処理を施してもよい。