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JP5697805B1 - イミド基含有化合物溶液およびイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法 - Google Patents

イミド基含有化合物溶液およびイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物と、溶媒と、粘度安定剤と、を含んでなる、長期保存性に優れたイミド基含有化合物溶液等を提供する。
ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物と、溶媒と、粘度安定剤と、を含むイミド基含有化合物溶液等であって、イミド基含有化合物が赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピークと、波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピークと、波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有し、かつ、粘度安定剤が、オルトカルボン酸エステルおよびキレート化剤、あるいはいずれか一方である。

Description

本発明は、イミド基含有化合物溶液およびイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法に関する。
特に、保管時における粘度上昇が少なく、貯蔵安定性に優れたイミド基含有化合物溶液およびイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の効率的な製造方法に関する。
従来、ポリイミドフィルムに代表されるポリイミド成形品は、優れた耐薬品性を有することから、各種溶剤に不溶であって、かつ、融点が高いことから、ポリスチレン等の熱可塑性プラスチックのように、溶融して再利用することが困難であった。
そのため、ポリイミド成形品等を廃棄処分する場合、高価であるものの、大部分は埋め立て処分されるか、あるいは焼却処分がなされており、リサイクル性や環境特性に乏しいという問題が見られた。
そこで、廃棄すべきポリイミド成形品を化学的に加水分解して、リサイクルする方法が各種提案されている。
例えば、芳香族ポリイミド成形品を、所定濃度のアルカリ共存下、所定温度条件で完全に加水分解して、原材料である芳香族テトラカルボン酸二無水物および芳香族ジアミンを得ることが提案されている(特許文献1参照)。
より具体的には、ポリイミド単位に対して、4〜4.8倍のアルカリ共存下、150〜230℃で加水分解して、原材料である芳香族テトラカルボン酸二無水物および芳香族ジアミンを得て、さらにそれらのアルカリ水溶液および酸水溶液を活性炭処理した後、相当量の酸およびアルカリを投入して、芳香族テトラカルボン酸二無水物および芳香族ジアミンを析出させて、分離回収するポリイミドの処理方法である。
また、所定構造を有するポリイミドを、水またはアルコールの存在下に、高温高圧条件で加水分解して、ポリイミド原料としての低分子量物とする方法が提案されている(特許文献2参照)。
より具体的には、ポリイミドまたは前駆体であるポリアミド酸を、水またはアルコールの存在下に、例えば、250〜350℃、10〜100MPaの超臨界状態で加水分解して、ポリイミド原料としての芳香族テトラカルボン酸二無水物や芳香族ジアミン等の低分子量物とするポリイミドの分解方法である。
また、ポリイミド等および金属成分を含有する高分子含有固体から、ポリイミド等を分解処理して、金属成分を回収する方法が提案されている(特許文献3参照)。
より具体的には、ポリイミド等の高分子含有固体を、18(MJ/m1/2以上の溶解パラメータを有する溶剤を含有する高分子分解材料に対して、200℃以上の温度で接触させて、高分子含有固体を分解、除去し、残った金属成分(銅)を効率的に回収する方法である。
さらには、多量の塩基性物質を用いて、産業廃棄物としてのポリイミドを、低温常圧条件下に加水分解して、リサイクル原料として、所定のポリイミド原料を回収する方法が提案されている(特許文献4参照)。
より具体的には、ポリイミドに、水酸イオン生成可能な塩基性物質(アルカリ金属水酸化物等)を、理論イミド基モル量の20〜80倍モル量添加した後、所定温度(40〜95℃)、常圧条件で加水分解し、さらに、酸性物質で中和して、ピロメリット酸や芳香族アミン等のポリイミド原料を回収する方法である。
特開昭60−81154号公報(特許請求の範囲) 特許第4432175号公報(特許請求の範囲) 特開平2002−256104号公報(特許請求の範囲) 特開平2006−124530号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1〜4に記載されたポリイミド成形品の再生方法等は、基本的に、完全に加水分解させて、ポリイミド原料や残った金属材料を得ることを目的としていた。
したがって、ポリイミド成形品を部分的に加水分解して、低温硬化可能であって、かつ良好な溶解性や密着性を示す特定構造のイミド基含有化合物を得るという意図は全くなかった。
より具体的には、特許文献1は、芳香族テトラカルボン酸二無水物および芳香族ジアミンを析出させて、それらを分離回収するためのポリイミドの処理方法であって、特定構造のイミド基含有化合物を得ることについては、何ら考慮していなかった。
また、特許文献2は、所定温度および所定圧力の超臨界状態で加水分解させて、ポリイミド原料としての芳香族テトラカルボン酸二無水物や芳香族ジアミン等を得るためのポリイミドの処理方法であって、特定構造のイミド基含有化合物を得ることについては、何ら考慮していなかった。
また、特許文献3は、ポリイミド等の高分子固体を分解、除去し、残った金属成分を効率的に回収するためのポリイミドの処理方法であって、特定構造のイミド基含有化合物を得ることについては、何ら考慮していなかった。
さらには、特許文献4は、ピロメリット酸や芳香族アミン等のポリイミド原料を回収するためのポリイミドの処理方法であって、特定構造のイミド基含有化合物を得ることについては、何ら考慮していなかった。
ましてや、特許文献1〜4のポリイミド成形品の再生方法等において、所定の反応促進剤(特定金属種)を含有して、加水分解物からポリイミドを再生する際の硬化温度をさらに低下させるという意図も全く見られなかった。
一方、特許文献1〜4に開示された加水分解して得られるポリイミド原料やイミド基含有化合物は、いずれも、溶液状態で保管した場合に、時間の経過とともに粘度が著しく増加し、最終的に、ゲル化(水素結合等による疑似架橋も含む。)しやすいという問題が見られた。
よって、得られたイミド基含有化合物溶液は、製造直後でなければ、基材に対して均一に塗布することができず、使用上の制約が大きいという問題が見られた。
そこで、本発明の発明者は鋭意検討した結果、産業廃棄物としてのポリイミド成形品を部分的に加水分解するとともに、所定の赤外吸収ピークを有する特定構造のイミド基含有化合物と、溶媒と、粘度安定剤と、を含むイミド基含有化合物溶液とすることにより、溶液状態であっても、粘度の上昇を低く抑えられることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明によれば、低温硬化等が可能なイミド基含有化合物を含む溶液であって、保管時における粘度上昇が少なく、貯蔵安定性に優れたイミド基含有化合物溶液およびそのようなイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物と、溶媒と、粘度安定剤と、を含むイミド基含有化合物溶液であって、イミド基含有化合物が赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピークと、波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピークと、波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有し、かつ、粘度安定剤が、オルトカルボン酸エステルおよびキレート化剤、あるいはいずれか一方であることを特徴とするイミド基含有化合物溶液が提供され、上述した問題を解決することができる。
より具体的には、ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物であって、200℃以下の温度条件で熱硬化して、ポリイミドとなるイミド基含有化合物と、溶媒と、粘度安定剤と、を含むイミド基含有化合物溶液であって、イミド基含有化合物が赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm -1 に、イミド基に由来した吸収ピークと、波数1600cm -1 に、アミド基に由来した吸収ピークと、波数1413cm -1 に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有し、かつ、赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm -1 における吸収ピークの高さをS1とし、イミド基に由来した波数1375cm -1 の吸収ピークの高さをS2としたときに、S1/S2の比率を3〜10の範囲内の値とし、粘度安定剤が、オルトカルボン酸エステルおよびキレート化剤、あるいはいずれか一方であって、当該粘度安定剤の配合量を、イミド基含有化合物100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とし、さらに、溶媒が、水およびN−メチル−2−ピロリドンの組み合わせ、あるいは、水単独の場合には、配合成分として、界面活性剤またはアミン化合物をさらに含むことを特徴とするイミド基含有化合物溶液である。
すなわち、産業廃棄物等のポリイミド成形品を部分的に加水分解するとともに、所定の赤外吸収ピークを有するイミド基含有化合物と、溶媒と、所定の粘度安定剤等と、を含むイミド基含有化合物溶液とすることにより、保管時における粘度上昇が少なく、貯蔵安定性に優れたイミド基含有化合物溶液を得ることができる。
そして、イミド基含有化合物溶液に由来したイミド基含有化合物であれば、低温硬化可能であって、かつ、各種有機溶剤に対する溶解性に優れ、その上、各種基材に対して優れた密着性を示すことができる。
また、かかるイミド基含有化合物溶液に由来したイミド基含有化合物であれば、所定条件で熱硬化させることによって、所定のポリイミド樹脂を熱重合することができるが、従来のポリイミド樹脂の製造コストと比較して、1/10以下で、同等の耐熱性等を有するポリイミド樹脂が得られることが判明している。したがって、ポリイミド樹脂の原材料として、かかるイミド基含有化合物を用いた場合、経済的に極めて有利であると言える。
また、イミド基含有化合物100重量部に対して、粘度安定剤の配合量を0.1〜20重量部の範囲内の値とすることにより、確実に粘度上昇を抑制することができるとともに、得られるイミド基含有化合物の反応性等を阻害するおそれが少なくなる。
また、赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm -1 における吸収ピークの高さをS1とし、イミド基に由来した波数1375cm -1 の吸収ピークの高さをS2としたときに、S1/S2の比率を所定範囲内の値とすることにより、イミド基含有化合物溶液に由来した、より低温硬化可能なイミド基含有化合物とすることができるとともに、ポリイミド成型品が、部分的に加水分解されたか否かの指標とすることができる。
その他、ポリイミド成型品が、部分的に加水分解されたか否かは、赤外分光チャートにおいて、上述したイミド基に由来した吸収ピークと、アミド基に由来した吸収ピークと、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有することによって確認することができる。
本発明のイミド基含有化合物溶液を構成するにあたり、粘度安定剤が、オルトギ酸メチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリプロピル、オルトギ酸トリブチル、フィチン酸、タンニン酸、および没食子酸からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
このように粘度安定剤の種類を制限して構成することにより、粘度安定剤の配合量が、比較的少量であっても、有効に粘度上昇を抑制することができる。
本発明のイミド基含有化合物溶液を構成するにあたり、熱硬化性樹脂をさらに含み、当該熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
このように熱硬化性樹脂をさらに含有することにより、イミド基含有化合物の反応性や得られたポリイミド膜の機械的物性を所望範囲に調節したりすることができる。
本発明のイミド基含有化合物溶液を構成するにあたり、赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm-1における吸収ピークの高さをS1とし、アミド基に由来した波数1600cm-1の吸収ピークの高さをS3としたときに、S1/S3の比率を2〜20の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、イミド基含有化合物溶液に由来した、所定有機溶剤に対する溶解性や、各種基材に対する密着性がさらに優れたイミド基含有化合物とすることができるとともに、ポリイミド成型品が、部分的に加水分解されたか否かの指標とすることができる。
本発明のイミド基含有化合物溶液を構成するにあたり、赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm-1における吸収ピークの高さをS1とし、カルボキシル基に由来した波数1413cm-1の吸収ピークの高さをS4としたときに、S1/S4の比率を8〜30の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、イミド基含有化合物溶液に由来した、所定有機溶剤に対する溶解性や、各種基材に対する密着性がさらに優れたイミド基含有化合物とすることができるとともに、ポリイミド成型品が、部分的に加水分解されたか否かの指標とすることができる。
また、本発明の別の態様は、イミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法であって、下記工程(1)および(2)を含むことを特徴としたポリイミド膜の製造方法である。
工程(1):ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物であって、200℃以下の温度条件で熱硬化して、ポリイミドとなるイミド基含有化合物と、溶媒と、粘度安定剤と、を含むイミド基含有化合物溶液であって、イミド基含有化合物が赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピークと、波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピークと、波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有し、かつ、赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm -1 における吸収ピークの高さをS1とし、イミド基に由来した波数1375cm -1 の吸収ピークの高さをS2としたときに、S1/S2の比率を3〜10の範囲内の値とし、粘度安定剤が、オルトカルボン酸エステルおよびキレート化剤、あるいはいずれか一方であって、当該粘度安定剤の配合量を、イミド基含有化合物100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とし、さらに、溶媒が、水およびN−メチル−2−ピロリドンの組み合わせ、あるいは、水単独の場合には、配合成分として、界面活性剤またはアミン化合物をさらに含んでなるイミド基含有化合物溶液を基材上に塗布し、塗布物を形成する工程
工程(2):形成した塗布物を200℃以下の温度条件で加熱処理して、ポリイミド膜とする工程
また、本発明のイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法を実施するにあたり、塗布物を、表面処理した基材上に形成してなることが好ましい。
このように実施することにより、さらに密着性に優れたポリイミド膜を効率的に得ることができる。
また、本発明のイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法を実施するにあたり、塗布物を、金属層を備えた基材上に形成してなることが好ましい。
このように実施することにより、シールド効果を有する回路基板、あるいは、内部回路を有する多層基板等の完成品あるいは中間製品として、さらに金属層を内部に備えたポリイミド膜を効率的に得ることができる。
図1は、本発明(実施例1)のイミド基含有化合物(化合物A)における赤外分光チャートである。 図2は、本発明(実施例1)のイミド基含有化合物(化合物A)の硬化物(ポリミド樹脂)における赤外分光チャートである。 図3は、イミド基含有化合物溶液の保管中における経過時間(日)と、粘度(mPa・sec)との関係を説明するために供する図である。 図4は、イミド基含有化合物溶液中の粘度安定剤(オルトギ酸トリメチル)の配合量(重量%)と、粘度(mPa・sec)との関係を説明するために供する図である。 図5は、イミド基含有化合物溶液中の粘度安定剤(オルトギ酸トリエチル)の配合量(重量%)と、粘度(mPa・sec)との関係を説明するために供する図である。 図6(a)〜(e)は、イミド基含有化合物の用途の態様を説明するために供する図である。 図7は、市販ポリイミド(カプトンH)における赤外分光チャートである。 図8は、本発明(実施例1)のイミド基含有化合物(化合物A)の硬化物(ポリミド樹脂)における示差熱天秤チャート(TG−DTA曲線)である。 図9は、本発明(実施例2)のイミド基含有化合物(化合物B)における赤外分光チャートである。 図10は、本発明(実施例2)のイミド基含有化合物(化合物B)の熱硬化物(ポリミド樹脂)における赤外分光チャートである。 図11は、本発明(実施例3)のイミド基含有化合物(化合物C)における赤外分光チャートである。 図12は、本発明(実施例3)のイミド基含有化合物(化合物C)の熱硬化物(ポリミド樹脂)における赤外分光チャートである。 図13(a)〜(b)は、本発明の実施例1および実施例4のポリイミドフィルム(熱硬化物)の状態を説明するために供する図(写真)である。 図14は、比較例2のイミド基含有化合物(化合物D)における赤外分光チャートである。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1に、その赤外分光チャートを示すように、ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物と、溶媒と、粘度安定剤と、を含むイミド基含有化合物溶液であって、イミド基含有化合物が赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピーク(ピークA)と、波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピーク(ピークB)と、波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピーク(ピークC)と、を有し、かつ、粘度安定剤が、オルトカルボン酸エステルおよびキレート化剤、あるいはいずれか一方であることを特徴とするイミド基含有化合物溶液である。
そして、かかるイミド基含有化合物は、その赤外分光チャートにおいて、波数1500cm-1に、ベンゼン環の炭素に由来した吸収ピーク(ピークD)と、波数1710cm-1に、カルボニル基に由来した吸収ピーク(ピークE)を有しており、化合物の定性分析(特定)を行う際の基準ピークとすることができる。
1.ポリイミド成型品
部分的に加水分解して、イミド基含有化合物を製造するにあたり、その原材料として、従来産業廃棄物等として処理されていたポリイミド成型品が幅広く対象となる。
したがって、好適なポリイミド成型品として、例えば、ポリイミドフィルム、ポリイミド塗料、ポリイミド系レジスト、ポリイミド製電気部品筐体、ポリイミド製電子部品材料、ポリイミド製容器、ポリイミド製機械部品、ポリイミド製自動車部品等が挙げられる。
さらには、ポリイミドフィルム表面に金属回路パターンが形成された回路基板やTABテープ等の複合積層体であっても、本発明のイミド基含有化合物を製造する際の原材料としてのポリイミド成型品として使用することができる。
2.部分的加水分解
また、本発明のイミド基含有化合物は、図1に、その赤外分光チャートを示すように、所定構造を有するポリイミド成型品の部分的加水分解物である。
すなわち、一例であるが、所定大きさのポリイミド成型品を、水および塩基性化合物の存在下に、50〜100℃の温度条件で部分的に加水分解して得られるイミド基含有化合物であって、下式(1)で示される所定構造を有するイミド基含有化合物が対象である。
より具体的には、両末端あるいはその近傍に、ポリアミド酸構造Aと、ポリアミド酸構造およびアルカリ石鹸構造の混合物Cと、を有しており、これらの構造A、Cの間に、ポリイミド構造Bを有するイミド基含有化合物が好適である。
したがって、炭素原子からなる分子内等に、少なくともイミド基、アミド基、およびカルボキシル基、さらにはカルボニル基等を有することによって、低温硬化可能であり、かつ、各種有機溶剤に対する溶解性や密着性に優れたイミド基含有化合物とすることができる。
Figure 0005697805
(式(1)中、記号Xは、アルカリ金属等(リチウム/Li、ナトリウム/Na、カリウム/K、ルビジウム/Rb、またはセシウム/Ce)であり、添字nおよびlは、ポリイミド構造の両側に位置するポリアミド酸構造の存在量(モル数)を示す記号であって、通常、0.1〜0.8の範囲内の値であり、添字mは、ポリイミド構造の存在量(モル数)を示す記号であって、通常、0.2〜0.9の範囲内の値である。)
また、イミド基含有化合物の分子末端については、下式(2)で示されるような所定構造を有すると推定されている。
すなわち、記号Aで示されるように、ポリアミド酸構造と、記号Bで示されるように、ポリアミド酸およびアルカリ石鹸構造の混合物と、記号Cで示されるように、アルカリ石鹸構造と、がそれぞれ単独または組み合わせられて、分子末端構造をなしているものと推定されている。
したがって、このような分子末端とすることによって、さらに低温硬化可能であって、かつ、各種有機溶剤に対する溶解性や密着性にさらに優れたイミド基含有化合物とすることができる。
Figure 0005697805
但し、イミド基含有化合物は、炭素原子からなる一分子内に、必ずしもイミド基、アミド基、およびカルボキシル基を同時に含む必要はなく、下式(3)−1で示されるイミド基を有するポイリミドと、下式(3)−2で示されるアミド基を有するポリアミド酸と、および下式(3)−3で示されるカルボキシル基を有するカルボン酸化合物と、の混合物であっても良い。
Figure 0005697805
3.赤外分光チャート
(1)イミド基
また、本発明のイミド基含有化合物は、赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、図1に示すように、波数1375cm-1あるいはその近傍に、イミド基に由来した吸収ピークを有することを特徴とする。
この理由は、このようにイミド基を分子内に有することによって、より低温硬化可能なイミド基含有化合物とすることができ、ひいては、熱硬化処理によって高分子量化してポリイミド樹脂となった場合に、所定の耐熱性を発揮できるためである。
なお、図1の赤外分光チャートに示すように、本発明のイミド基含有化合物におけるイミド基量(ピーク高さ)を、部分的な加水分解の程度を示す指標とすることもできる。
そして、図2等に示す硬化後のポリイミドの赤外分光チャートのイミド基量(ピーク高さ)を100とした時に、部分的な加水分解であるイミド基含有化合物におけるイミド基量(ピーク高さ)を、簡易的なイミド化率と定義し、10〜50の範囲内の値とすることが好ましく、15〜45の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40の範囲内の値とすることがさらに好ましいことが判明している。
さらに言えば、硬化後のポリイミドにおける波数1375cm-1のイミド基に由来する赤外分光チャートのピーク高さ(S2´)および硬化後のポリイミドにおける波数1500cm-1のベンゼン環に由来する赤外分光チャートのピーク高さ(S1´)の比率(S2´/S1´)を100とした時に、後述するように、部分的な加水分解であるイミド基含有化合物における対応したピーク比率(S2/S1)の割合をイミド化率と定義することもできる。その場合であっても、20〜55の範囲内の値とすることが好ましく、30〜50の範囲内の値とすることがより好ましく、38〜48の範囲内の値とすることがさらに好ましいことが判明している。
(2)アミド基
また、本発明のイミド基含有化合物は、図1に示すように、波数1600cm-あるいはその近傍に、アミド基に由来した吸収ピークを有することを特徴とする。
この理由は、このようにアミド基を分子内に有することによって、より低温硬化可能なイミド基含有化合物とすることができるためである。
なお、図1の赤外分光チャートに示すように、本発明のイミド基含有化合物は、明確なアミド基に起因した吸収ピーク(波数1600cm-1)を示すものの、図2等に示すように、硬化してなるポリイミドでは、かかるアミド基に起因した吸収ピークを有しないことが判明している。
(3)カルボキシル基
また、本発明のイミド基含有化合物は、図1に示すように、波数1413cm-1あるいはその近傍に、カルボキシル基に由来した吸収ピークを有することを特徴とする。
この理由は、このようにカルボキシル基を分子内に有することによって、良好な溶解性や密着性を有するイミド基含有化合物とすることができるためである。
なお、図1の赤外分光チャートに示すように、本発明のイミド基含有化合物は、カルボキシル基に起因した吸収ピーク(波数1413cm-1)を有するものの、図2等に示すように、熱硬化してなるポリイミドでは、かかるカルボキシル基に起因した吸収ピークを有しないことが判明している。
(4)カルボニル基
また、本発明のイミド基含有化合物は、図1に示すように、波数1710cm-1あるいはその近傍に、カルボニル基に由来した吸収ピークを有することが好ましい。
この理由は、このようにカルボニル基を分子内に有することによって、より良好な溶解性を有するイミド基含有化合物とすることができるためである。
なお、図1の赤外分光チャートに示すように、本発明のイミド基含有化合物におけるカルボニル基量(ピーク高さ)は、部分的な加水分解の程度を示す指標とすることもできるが、図2等に示すポリイミドの赤外分光チャートのカルボニル基量(ピーク高さ)を100とした時に、30〜70の範囲とすることが好ましく、35〜60の範囲がより好ましく、40〜50の範囲がさらに好ましいことが判明している。
(5)ベンゼン環に対する比率
(5)−1 S1/S2
また、本発明のイミド基含有化合物の赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm-1における吸収ピークの高さをS1とし、イミド基に由来した波数1375cm-1の吸収ピークの高さをS2としたときに、S1/S2の比率を2〜10の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようにイミド基の存在割合を規定することによって、より低温硬化可能なイミド基含有化合物とすることができるとともに、部分的な加水分解の程度を示す指標とすることもできるためである。
したがって、S1/S2の比率を3〜8の範囲内の値とすることがより好ましく、S1/S2の比率を5〜7の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)−2 S1/S3
また、本発明のイミド基含有化合物の赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm-1における吸収ピークの高さをS1とし、アミド基に由来した波数1600cm-1の吸収ピークの高さをS3としたときに、S1/S3の比率を2〜20の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようにアミド基の存在割合を規定することによって、所定有機溶剤に対する溶解性や密着性がさらに優れたイミド基含有化合物とすることができるとともに、部分的な加水分解の程度を示す指標とすることもできるためである。
したがって、S1/S3の比率を5〜15の範囲内の値とすることがより好ましく、S1/S3の比率を7〜12の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)−3 S1/S4
また、本発明のイミド基含有化合物の赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm-1における吸収ピークの高さをS1とし、カルボキシル基に由来した波数1413cm-1の吸収ピークの高さをS4としたときに、S1/S4の比率を8〜30の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようにカルボキシル基の存在割合を規定することによって、所定有機溶剤に対する溶解性や密着性がさらに優れたイミド基含有化合物とすることができるとともに、部分的な加水分解の程度を示す指標とすることもできるためである。
したがって、S1/S4の比率を10〜25の範囲内の値とすることがより好ましく、S1/S4の比率を13〜20の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
4.平均重量分子量
また、本発明のイミド基含有化合物の平均重量分子量を1,000〜100,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような平均重量分子量とすることによって、所定の低温硬化性が得られるとともに、有機溶剤に対する良好な溶解性が得られるためである。
したがって、イミド基含有化合物の平均重量分子量を3,000〜60,000の範囲内の値とすることがより好ましく、5,000〜30,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかるイミド基含有化合物の平均重量分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって、ポリスチレン換算分子量として、測定することができる。
5.溶媒
(1)種類
また、イミド基含有化合物溶液における溶媒の種類に関しても特に制限されるものではないが、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルジグライム、メチルトリグライム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、トルエン、エチルアセテート、ブチルアセテート、セロソルブ、メチルエチルケトン、アニソール等の少なくとも一つであることが好ましい。
特に、N−メチル−2−ピロリドン、およびN,N−ジメチルアセトアミドであれば、イミド基含有化合物の溶解性に優れており、相当の固形分濃度まで溶解できることから、好適な有機溶剤である。
さらには、N−メチル−2−ピロリドン等を用いて、イミド基含有化合物を十分に溶解させておき、その状態で、水やアルコール等を所定量(例えば、有機溶剤の全体量の1〜30重量%)を追加配合することによって、均一かつ安全性等の高いイミド基含有化合物水溶液やアルコール液とすることも好ましい。
(2)配合量
また、イミド基含有化合物溶液における溶媒の配合量に関して、イミド基含有化合物の固形分濃度に換算して、1〜40重量%の範囲内の値となるように、溶媒を添加することが好ましい。
この理由は、イミド基含有化合物の固形分濃度が、所定範囲内の値になるようにかかる溶媒の配合量を調整することによって、粘度安定剤の効果を有効に発揮させることができ、ひいては、良好な貯蔵安定性が得られるためである。
また、このようなイミド基含有化合物の固形分濃度であれば、イミド基含有化合物溶液の取り扱いが容易になるばかりか、塗布乾燥が容易になって、さらには、他の配合成分、例えば、熱可塑性樹脂成分(ポビニルアルコール樹脂、ポビニルホルマール樹脂、ポビニルブチラール樹脂、ヒドロキシ基含有ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂等)、熱硬化性樹脂成分(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等)、光硬化性樹脂成分(アクリルモノマー、アクリルオリゴマー等)、金属材料、セラミック材料等を均一かつ迅速に配合することができるためである。
より具体的には、溶媒の配合量が99重量%を超えた値となり、イミド基含有化合物の固形分濃度が1重量%未満の値になると、イミド基含有化合物溶液の初期粘度が過度に低くなって、取り扱いが困難となったり、ポリイミド膜の形成に際しての塗布乾燥が不十分となったりする場合があるためである。
一方、溶媒の配合量が60重量%未満となり、イミド基含有化合物の固形分濃度が40重量%を超えた値になると、粘度安定剤の効果が有効に発揮されず、イミド基含有化合物溶液の粘度安定性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、溶媒の配合量に関し、イミド基含有化合物の固形分濃度換算として、当該固形分濃度が、イミド基含有化合物溶液の全体量に対して、5〜30重量%の範囲内の値となるように溶媒を配合することがより好ましく、10〜20重量%の範囲内の値となるように溶媒を配合することがさらに好ましい。
(3)粘度
また、イミド基含有化合物溶液の粘度を10〜500,000mPa・sec(測定装置:B型粘度計、測定温度:25℃、以下同様である。)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、イミド基含有化合物溶液の粘度を所定範囲に制限することによって、取り扱いが容易になるばかりか、塗布性が向上し、さらには、他の配合成分、例えば、熱可塑性樹脂成分、熱硬化性樹脂成分、光硬化性樹脂成分、金属材料、セラミック材料等を均一かつ迅速に配合することができるためである。
したがって、イミド基含有化合物溶液の粘度を、1,000〜80,000mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、5,000〜30,000mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
6.粘度安定剤
(1)種類
粘度安定剤の種類としては、オルトカルボン酸エステルおよびキレート化剤、あるいはいずれか一方であることを特徴とする。
すなわち、このような粘度安定剤を配合することにより、イミド基含有化合物溶液の保管時における粘度上昇が少なくなり、貯蔵安定性に優れたイミド基含有化合物溶液を得ることができる。
また、より具体的には、オルトカルボン酸エステルとして、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリプロピル、オルトギ酸トリブチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリプロピル、オルト酢酸トリブチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリプロピル、オルトプロピオン酸トリブチル、オルト吉草酸トリメチル、オルト吉草酸トリエチル、オルトクロロ酢酸トリメチル、オルトクロル酢酸トリエチル、オルトクロロ酢酸トリプロピル、オルトクロロ酢酸トリブチル、オルトジクロロ酢酸トリメチル、オルトジクロル酢酸トリエチル等の少なくとも一つの脱水剤が挙げられる。
特に、オルトギ酸トリメチルおよびオルトギ酸トリエチルであれば、比較的少量の配合であっても、粘度上昇につながる微量の水分を吸収し、良好な粘度安定性を発揮することから、好適なオルトカルボン酸エステルである。
また、キレート化剤として、フィチン酸、タンニン酸、没食子酸等の少なくとも一つであることが好ましい。
この理由は、このような粘度安定剤であれば、粘度安定剤の配合量が、比較的少量であっても、遊離の金属イオン等を捕捉し、有効に粘度上昇を抑制することができるためである。
ここで、図3を参照して、各種粘度安定剤による、イミド基含有化合物溶液に対する粘度維持効果(粘度上昇抑制効果)を説明する。
図3は、横軸に、実施例1等に準拠した粘度安定剤(2重量%)を含むイミド基含有化合物溶液の室温保存中における経過日数(日)を採って示してあり、縦軸に、粘度安定剤を含むイミド基含有化合物溶液の粘度(mPa・sec)を採って示してある。
そして、特性曲線Aが、粘度安定剤として、オルトギ酸トリメチルを配合したイミド基含有化合物溶液に対応しており、特性曲線Bが、粘度安定剤として、オルトギ酸トリエチルを配合したイミド基含有化合物溶液に対応しており、特性曲線Cが、粘度安定剤として、フィチン酸を配合したイミド基含有化合物溶液に対応している。一方、特性曲線Dが、粘度安定剤を全く含まないイミド基含有化合物溶液に対応している。
かかる図3中の、これらの特性曲線A〜Cが示すように、各種粘度安定剤を所定量(2重量%)含む場合、経過日数によって、イミド基含有化合物溶液の粘度上昇は、それぞれ若干認められるものの、30日経過後であっても、それぞれ2500mPa・sec、4900mPa・sec、および6100mPa・sec程度である。
それに対して、粘度安定剤を全く含まないイミド基含有化合物溶液の場合、特性曲線Dが示すように、経過日数によって、イミド基含有化合物溶液の粘度が著しく上昇し、30日経過後にはゲル化してしまい、粘度測定ができない状態であることを示している。
すなわち、かかる図3の特性曲線A〜Dの比較から理解されるように、所定の粘度安定剤をイミド基含有化合物溶液に配合することによって、粘度安定剤を全く含まない場合と比較して、保管時の粘度上昇を有効に抑制できると言える。
(2)配合量
また、イミド基含有化合物100重量部に対して、粘度安定剤の配合量を0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように粘度安定剤の配合量を制限して構成することにより、確実に粘度上昇を抑制することができるとともに、得られるイミド基含有化合物の反応性等を阻害するおそれが少なくなるためである。
より具体的には、かかる粘度安定剤の配合量が0.1重量部未満の値になると、粘度安定剤の種類等によっては、粘度安定化効果が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる粘度安定剤の配合量が20重量部を超えると、得られるポリイミド膜の耐熱性や機械的物性が著しく低下したり、あるいは、低温硬化性が低下したりする場合があるためである。
したがって、イミド基含有化合物100重量部に対して、粘度安定剤の配合量を0.2〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ここで、図4および図5を参照して、粘度安定剤の配合量を変えた場合による、イミド基含有化合物溶液に対する粘度維持効果を説明する。
また、図4は、横軸に、実施例1等に準拠したイミド基含有化合物溶液中の粘度安定剤(オルトギ酸トリメチル)の配合量(重量%)を採って示してあり、縦軸に、粘度安定剤を含むイミド基含有化合物溶液の粘度(mPa・sec)を採って示してある。
そして、特性曲線Aが、経過日数が0日、すなわち、イミド基含有化合物溶液の初期状態に対応している。また、特性曲線Bが、3日間経過後のイミド基含有化合物溶液に対応しており、特性曲線Cが、10日間経過後のイミド基含有化合物溶液に対応しており、特性曲線Dが、20日間経過後のイミド基含有化合物溶液に対応しており、特性曲線Eが、30日間経過後のイミド基含有化合物溶液に対応している。
かかる図4中の、これらの特性曲線A〜Eが示すように、粘度安定剤(オルトギ酸トリメチル)の配合量(1重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%)の相違によって、粘度上昇に差異が認められるものの、例えば、粘度安定剤の配合量が、全体量に対して2重量%であれば、30日経過後であっても、2500mPa・sec程度の値である。
それに対して、粘度安定剤を全く含まない場合(0重量%)、経過日数によって、イミド基含有化合物溶液の粘度が著しく上昇し、30日経過後にはゲル化して、粘度測定ができない状態であることを示している。
すなわち、かかる図4中の特性曲線A〜Eの比較から理解されるように、所定量の粘度安定剤をイミド基含有化合物溶液に配合することによって、粘度安定剤を全く含まない場合と比較して、保管時の粘度上昇を有効に抑制できると言える。
さらに、図5は、粘度安定剤の種類としてオルトギ酸トリエチルを用いた例であって、それ以外は、図4に示す内容と同様である。
すなわち、かかる図5中の、これらの特性曲線A〜Eが示すように、粘度安定剤(オルトギ酸トリエチル)の配合量(1重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%)によって、粘度上昇に差異が認められるものの、例えば、粘度安定剤が2重量%であれば、30日経過後であっても、イミド基含有化合物溶液の粘度は6100mPa・sec程度であり、粘度安定剤を全く含まない場合(0重量%)と比較して、保管時の粘度上昇を有効に抑制できることが理解される。
(3)アミン化合物
また、粘度安定性をさらに向上させるために、イミド基含有化合物溶液中に、所定量のアミン化合物を配合することも好ましい。
特に、イミド基含有化合物溶液が水溶液の場合、保管中の粘度上昇が著しいことが判明しており、かかるイミド基含有化合物水溶液中に、アミン化合物、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン等の少なくとも一つの三級アミン化合物を、上述した粘度安定剤とともに配合することにより、イミド基含有化合物水溶液の室温保管中の粘度増加を著しく抑制することができる。
また、アミン化合物を配合する場合、イミド基含有化合物100重量部に対して当該、アミン化合物の配合量を0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようにアミン化合物の配合量を制限して構成することにより、イミド基含有化合物水溶液の粘度上昇を確実に抑制することができるとともに、得られるイミド基含有化合物の反応性等を阻害するおそれが少なくなるためである。
より具体的には、かかるアミン化合物の配合量が0.1重量部未満の値になると、アミン化合物の種類等によっては、アミン化合物による粘度安定効果が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかるアミン化合物の配合量が20重量部を超えると、得られるアミン化合物の耐熱性や機械的物性が著しく低下したり、あるいは、低温硬化性が低下したりする場合があるためである。
したがって、イミド基含有化合物100重量部に対して、アミン化合物の配合量を0.5〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
7.界面活性剤
(1)種類
また、イミド基含有化合物溶液中に、当該溶液の安定性を向上させたり、イミド基含有化合物の分散性を向上させたり、塗布する基材への濡れ性を向上させたり、さらには、得られた塗膜の表面平滑性を調整するために、所定の界面活性剤を配合することが好ましい。
このような界面活性剤の種類としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等があるが、具体的には、アンモニウム塩系界面活性剤、アミン塩系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シロキサン系界面活性剤、高分子界面活性剤等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
(2)配合量
また、イミド基含有化合物溶液中に、界面活性剤を配合する場合、その配合量を、イミド基含有化合物溶液の全体量に対して、0.01〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる界面活性剤の配合量が、0.01重量%未満の値になると、添加効果が発現しない場合があるためであり、かかる界面活性剤の配合量が、10重量%を超えると、得られるポリイミド樹脂の耐熱性や機械的強度が低下する場合があるためである。
したがって、界面活性剤の種類にもよるが、その配合量を、イミド基含有化合物溶液の全体量に対して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
8.着色剤
また、得られるポリイミド樹脂の用途や形態に応じて、染料や顔料等の着色剤を配合することも好ましい。
特に、150℃以下、より好ましくは130℃以下の低温硬化が可能であるため、添加物として、各種顔料や染料を配合したとしても、それらが熱分解しないことから、従来不可能であった、カラー化ポリイミド膜とすることが可能になった。
9.低温硬化性
また、イミド基含有化合物の低温硬化性に関し、200℃以下の温度、より好ましくは、150℃以下の温度、さらに好ましくは、120℃以下の温度条件で熱硬化して、所定のポリイミド(例えば、イミド化率で70%以上)となることが好ましい。
したがって、例えば、図1に示す赤外分光チャートのイミド基含有化合物(化合物A)を、通常、100℃〜200℃、30分の加熱条件で処理した場合に、図2に示す赤外分光チャートで表わされるポリイミド(イミド化率で70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。)になることが好ましい。
より具体的には、イミド基含有化合物が、100℃〜150℃、30分の加熱条件で熱硬化するのであれば、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂からなる基材に対しても、所定のポリイミド膜を安定的に形成することができる。
また、150℃超〜200℃、30分の加熱条件で熱硬化するのであれば、金属基材やセラミック基材に対して、所定のポリイミド膜を形成することができるのはもちろんのこと、ポリエステル樹脂等からなる樹脂基材に対しても、所定のポリイミド膜を安定的に形成することができる。
10.製造方法
また、本発明のイミド基含有化合物を製造するにあたり、特に制限されるものではないが、例えば、ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなる製造方法、すなわち下記工程(1)〜(3)を含む、イミド基含有化合物の製造方法によるものが好ましい。
(1)ポリイミド成型品を切断し、所定大きさとする準備工程
(2)所定大きさのポリイミド成型品を、水および塩基性化合物の存在下に、50〜100℃の温度条件で加水分解し、粗製イミド基含有化合物とする工程
(3)粗製イミド基含有化合物を精製し、赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピークと、波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピークと、波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有するイミド基含有化合物とする工程
(1)工程(1)
工程(1)は、ポリイミド成型品を切断し、所定大きさとする準備工程である。
したがって、ポリイミド成型品を、切削装置、粉砕装置、分級装置等を用いて、産業廃棄物等としてのポリイミド成型品を切断したり、分級したりして、その最大幅や平均粒径を予め調整することが好ましい。
すなわち、より均一かつ迅速に部分的加水分解が可能となるように、カッター、ナイフ、チョッパー、シュレッダー、ボールミル、粉砕装置、ふるい、パンチングメタル、サイクロン等を用いて、産業廃棄物等としてのポリイミド成型品を切断したり、分級したりして、その最大幅や平均粒径を予め調整することが好ましい。
より具体的には、ポリイミド成型品を短冊状に調整する場合、その平均幅を10mm以下、より好ましくは1〜5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、ポリイミド成型品を粒状に調整する場合、その平均粒径を10mm以下、より好ましくは1〜5mmの範囲内の値、さらに好ましくは2〜45mmの範囲内の値とすることが好ましい。
そして、さらに最大幅や平均粒径を揃えるべく、ドライアイス等を用いて冷却しながら、パンチングメタルやふるい等を備えた樹脂用粉砕機に投入して粉砕し、小片状あるいは粒状のポリイミド粉砕品とすることが好ましい。
(2)工程(2)
次いで、工程2は、所定大きさのポリイミド成型品を、少なくとも水および塩基性化合物の存在下に、40〜100℃の温度条件、より好ましくは50〜80℃の温度条件で部分的に加水分解し、粗製イミド基含有化合物とする工程である。
したがって、少なくとも水および塩基性化合物の存在下に、所定温度下、例えば、常圧で、1〜48時間の条件で、ポリイミド成型品を加水分解することが好ましい。
ここで、塩基性化合物としては、水酸化物イオンを発生させる化合物を意味するが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ソーダなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、脂肪酸塩や、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、有機アミン化合物などが挙げられる。
特に、比較的低温で、かつマイルドに加水分解が生じることから、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いることが好ましい。
なお、上述したように、赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおけるイミド基に由来した吸収ピーク、アミド基に由来した吸収ピーク、カルボキシル基に由来した吸収ピーク等の有無や、それぞれのピーク高さ、さらには、ベンゼン環に由来した吸収ピークとの相対高さ比等が所定範囲内の数値であることを確認することによって、ポリイミド成型品が、部分的に加水分解されて、所望の粗製イミド基含有化合物が得られているか否かを確認することができる。
(3)工程(3)
次いで、工程(3)は、粗製イミド基含有化合物を精製し、赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピークと、波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピークと、波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有するイミド基含有化合物とする工程である。
したがって、例えば、酸処理(塩酸、硝酸、硫酸処理等)、水洗、アルカリ処理(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム処理等)、および水洗の一連工程を1〜10回繰り返して行い、粗製イミド基含有化合物を精製し、不純物が除去されたイミド基含有化合物とすることが好ましい。
なお、粗製イミド基含有化合物が十分に精製されたか否かにつき、塩素、硫黄、リン、アルミニウム、マグネシウム等の元素(あるいは元素イオン)が所定量以下であることを、イオンクロマトグラフやX線光電子分光法(XPS)を用いて定量することによって、確認することができる。
より具体的には、例えば、塩素イオンが、100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下であることを、イオンクロマトグラフ元素分析によって定量し、粗製イミド基含有化合物の精製度合いを確認することができる。
11.用途
本発明のイミド基含有化合物の用途については、特に制限されるものではないが、所定温度で熱硬化させて、良好な耐熱性等を有するポリイミドフィルム、ポリイミド塗料、ポリイミド系電気絶縁材料等、さらには、耐熱性電気部品筐体、耐熱性電子部品材料、耐熱性回路基板、耐熱性容器、耐熱性機械部品、耐熱性自動車部品等の各種耐熱性ポリイミド成型品の用途とすることができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物と、有機溶剤と、を含んでなるイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法であって、イミド基含有化合物が、赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピークと、波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピークと、波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有し、かつ、下記工程(1)および(2)を含むことを特徴としたイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法である。
工程(1):請求項1〜7のいずれか一項に記載のイミド基含有化合物溶液を基材上に塗布し、塗布物を形成する工程と、
工程(2):形成した塗布物を加熱処理して、ポリイミド膜とする工程。
1.イミド基含有化合物溶液
イミド基含有化合物溶液については、第1の実施形態で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの再度の説明は省略する。
なお、イミド基含有化合物溶液の特性を損なわない範囲で、各種添加物を配合することができる。
すなわち、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂(アクリル樹脂を含む)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、炭素樹脂等の少なくとも一種を配合することが好ましい。
また、熱硬化させて得られるポリイミド樹脂の用途や形態に応じて、導電性材料、電気絶縁性材料、紫外線吸収剤、放射線吸収剤、架橋剤、粘度調整剤、つや消し剤、軽量化材、繊維等の少なくとも一種を配合することも好ましい。
2.工程1
イミド基含有化合物溶液を基材上に塗布し、塗布物を形成する工程である。
ここで、イミド基含有化合物溶液の塗布方法については、特に制限されるものでなく、従来公知の塗布方法を採用することができる。
したがって、かかる塗布方法として、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、オフセット印刷法、インクジェット法、スクリーン印刷法、ダイコート法等の各種塗装方法が、塗装目的あるいは所望の塗装膜厚に応じて、適宜選択される。
なお、イミド基含有化合物溶液の粘度については、例えば、好適範囲(10〜500,000mPa・sec、25℃)において、上述した各種塗布方法等に応じて、適宜選択することができる。
また、基材については、特に制限されるものでなく、各種樹脂フィルム、各種樹脂基板、フィルム状ガラス、ガラス基板、フィルム状セラミックス、セラミックス基板、紙等の一種単体または二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、各種樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム(PET、PNT、PCT、PCTA、PCTG)、ポリカーボネートフィルム(PC)、ポリオレフィンフィルム(PE、PP)、トリメチルペンタン(TMP)、フッ素フィルム(PTFE、PFVD)、ポリウレタンフィルム(PU)、ポリアミドフィルム(PA)、ポリサルフォンフィルム(PSU)、ポリフェニレンサルファイドフィルム(PPS)、ポリエーテルエーテルケトンフィルム(PEEK)、シリコーンフィルム(Si)等が挙げられる。
また、各種樹脂基板としては、エポキシ樹脂基板、フェノール樹脂基板、アクリル樹脂基板、ポリカーボネート樹脂基板、シリコーン樹脂基板、ポリオレフィン樹脂基板、ポリアセタール樹脂基板、ABS樹脂基板、PEEK樹脂基板等の少なくとも一つが挙げられる。
また、各種基材の表面に、表面処理が施してあることが好ましい。
このように実施することにより、各種基材に対する密着性にさらに優れたポリイミド膜を効率的に得ることができる。
ここで、各種基材に表面処理として、例えば、プライマー処理、表面粗面化処理、火炎処理、コロナ処理、紫外線処理、珪酸化炎処理(イトロ(株)提供、イトロ処理が一例)、カップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、亜鉛処理、水洗処理等の少なくとも一つの表面処理を施すことが好ましい。
また、各種基材に、金属層(金属配線も含む)が形成してあることが好ましい。
この理由は、このような実施により、シールド効果を有する回路基板、あるいは、内部回路を有する多層基板等の完成品あるいは中間製品として、さらに金属層を内部に備えたポリイミド膜を効率的に得ることができるためである。
3.工程2
工程2は、形成したイミド基含有化合物からなる塗布物を加熱処理して、溶媒を除去するとともに、イミド基含有化合物を反応させて、ポリイミド膜とする工程である。
すなわち、加熱温度100〜300℃、加熱時間10〜180分の条件で、塗布物の加熱処理を行うことにより、イミド化率が70%以上であって、耐熱性や機械特性に優れた、フィルム状のポリイミド膜とすることができる。
したがって、加熱温度130〜250℃、加熱時間20〜120分の加熱処理条件とすることがより好ましく、加熱温度150〜200℃、加熱時間30〜60分の加熱処理条件とすることがさらに好ましい。
なお、加熱処理の目安として、例えば、図1に示す赤外分光チャートのイミド基含有化合物(化合物A)を、通常、100℃〜200℃、30分の加熱条件で処理した場合に、図2に示す赤外分光チャートで表わされるポリイミド(イミド化率で70%以上)になることが好ましい。
4.工程3
工程2の後に、工程3を設け、フレキシブル回路基板を製造するために、得られたポリイミド膜の上に、回路パターンを形成することが好ましい。
すなわち、得られたポリイミド膜の上に、金属層を形成した後、リソグラフィー法により、回路パターンを形成することにより、耐熱性や電気特性に優れ、その上、安価なフレキシブル回路基板とすることができるためである。
したがって、このようなフレキシブル回路基板により、シールド効果を有する回路基板、あるいは、複数のフレキシブル回路基板が積層されてなる多層基板等を効率的かつ経済的に得ることができる。
ここで、得られたポリイミド膜の用途の態様について、図6(a)〜(e)を参照して、より具体的に説明する。
まず、イミド基含有化合物の代表的用途は、図6(a)に示すように、耐熱性や電気絶縁性等を向上させるための単層のポリイミドフィルム10であって、本発明のイミド基含有化合物を、所定条件で加熱硬化させることによって得ることができる。
また、図6(b)に示すように、他の樹脂フィルム12の耐熱性や電気絶縁性等を向上させるために、ポリイミドフィルム10を積層してなる複合樹脂フィルム13の態様であることも好ましい。すなわち、ポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルム等の樹脂フィルム12の表面に、本発明のイミド基含有化合物に由来した所定のポリイミド膜10を形成し、耐熱性等を有する複合樹脂フィルム13の態様とすることも好ましい。
また、図6(c)に示すように、図6(b)に示す複合樹脂フィルム13の変形例であるが、他の樹脂フィルム12の両面に、ポリイミドフィルム10(10a,10b)を積層してなる複合樹脂フィルム13´の態様とすることも好ましい。
また、図6(d)に示すように、ポリイミドフィルム10の片面に、金属層14を形成し、金属複合ポリイミドフィルム16の態様とすることも好ましい。このような金属複合ポリイミドフィルム16であれば、ポリイミドフィルム10と、金属層14との間の接着剤層を省略することができ、金属複合ポリイミドフィルム16の薄膜化に資することができる。
さらに、図6(e)に示すように、ポリイミドフィルム10の両面に、第1の金属層14aと、第2の金属層14bと、を形成するとともに、第1の金属層14aと、第2の金属層14bと、を電気的に接続するビアホール14cを形成することによって、両面回路基板20とすることも好ましい。
以下、実施例にもとづき、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.イミド基含有化合物溶液の製造
(1)工程1
ポリイミド成型品としてのカプトンフィルム(カプトン−100Hが主体であるが、他のカプトンフィルムの混合品、東レ・デュポン(株)製)を、チョッパーを用いて、幅10mm以下の短冊状に切断した。
次いで、ドライアイスを添加して冷却しながら、直径3mmのパンチングメタルを備えた樹脂用粉砕機(型番P−1314、株式会社ホーライ)に投入して、当該パンチングメタルを通過するポリイミド成型品(平均粒径:約3μm)を、部分的に加水分解する対象としてのポリイミド粉砕品とした。
(2)工程2
次いで、撹拌装置付きの1000ml容器内に、得られたポリイミド粉砕品5gと、イオン交換水400gと、塩基性物質として、水酸化カリウム2gと、を収容した。
次いで、容器内の温度を50℃に加温した後、収容物を撹拌しながら、24時間の条件で、加水分解処理を行い、粗製イミド基含有化合物を含む溶液を得た。
(3)工程3
次いで、粗製イミド基含有化合物を含む溶液につき、酸処理、水洗、アルカリ処理、および水洗を5回繰り返して行い、粗製イミド基含有化合物を精製して、粒状のイミド基含有化合物(平均粒径:30μm)とした。
そして、表1に、イミド基含有化合物の加水分解条件および平均粒径を示す。
なお、粒状のイミド基含有化合物中に、カリウムが約0.2重量%、Siが約0.02重量%、Caが約0.02重量%、Feが0.005重量%、それぞれ含まれていることを、定量分析によって、確認した。
(4)工程4
次いで、撹拌装置付きの容器内に、粒状のイミド基含有化合物を30g、N−メチル−2−ピロリドンを67g投入し、均一なイミド基含有化合物溶液とした。
次いで、得られたイミド基含有化合物溶液97gに対し、粘度安定剤としてのオルトギ酸トリエチルを2g(2重量%)配合して、100gのイミド基含有化合物溶液(固形分濃度30重量%)を作成した。
2.イミド基含有化合物の評価
(1)FT−IR分析(評価1)
得られた粒状のイミド基含有化合物をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に、固形分濃度が15重量%となるように溶解させた後、厚さ10μmのイミド基含有化合物フィルムを作成し、赤外分光光度計(FT−IR)を用いて、ATR法にて、各種官能基(イミド基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基、ベンゼン環等)の存在を確認するとともに、イミド化率を算出した。
より具体的には、硬化後のポリイミドにおける波数1375cm-1のイミド基に由来する赤外分光チャートのピーク高さ(S2´)および波数1500cm-1のベンゼン環に由来する赤外分光チャートのピーク高さ(S1´)の比率(S2´/S1´)を100とした時に、部分的な加水分解であるイミド基含有化合物のイミド基およびベンゼン環に対応したピーク比率(S2/S1)の割合を測定し、イミド化率(=(S2/S1)/(S2´/S1´)×100)が38%であることを確認した。
した。表1に、イミド基含有化合物のFT−IR結果および平均粒径を示す。
なお、図1に、得られたイミド基含有化合物の赤外分光チャート(イミド化率:38%)を示し、図2に、イミド基含有化合物(化合物A)の硬化物(150℃、30分の熱硬化条件)、すなわち、硬化物であるポリイミドの赤外分光チャート(イミド化率:100%)を示す。
そして、さらに、図7に、参考のため、市販のポリイミド(カプトンH)における赤外分光チャートを示す。
(2)溶解性(評価2)
工程(4)で上述したように、粘度安定剤としてのオルトギ酸トリエチルを含むイミド基含有化合物溶液(30重量%)を100g作成した。
次いで、下記基準に準じて、イミド基含有化合物溶液の作成状態から、イミド基含有化合物の溶解性を評価した。得られた評価結果を表2に示す。
◎:30分以内に溶解可能である。
○:60分以内に溶解可能である。
△:120分以内に溶解可能である。
×:120分経過しても、溶解不可である。
(3)保存安定性(評価3)
イミド基含有化合物溶液の粘度を、作成直後(初期)、10日経過後に測定した。
次いで、下記基準に準じて、イミド基含有化合物溶液の粘度から、イミド基含有化合物溶液の保存安定性を評価した。得られた評価結果を表2に示す。
◎:20日後において、初期値の3倍以内の値である。
○:20日後において、初期値の5倍以内の値である。
△:20日後において、初期値の10倍以内の値である。
×:20日後において、初期値の10倍超または測定不可である。
(4)低温硬化性(評価4)
イミド基含有化合物溶液を、軟鋼鉄プレート(長さ80mm、幅30mm、厚さ1mm)の上に塗布し、さらに、120℃、30分および150℃、30分の条件で、それぞれ加熱硬化させて、厚さ20μmのポリイミド膜を形成し、下記基準に準じて、低温硬化性を評価した。得られた評価結果を表2に示す。
◎:120℃及び150℃で、それぞれ強固なポリイミド膜が形成可能である。
○:120℃ではポリイミド膜が若干柔らかいが、150℃であれば、強固なポリイミド膜が形成可能である。
△:120℃ではポリイミド膜が柔らかいが、150℃であれば、ほぼ強固なポリイミド膜が形成可能である。
×:120℃、150℃の両方で、硬化が不十分であって、強固なポリイミド膜が形成不可能である。
(5)密着性(評価5)
低温硬化性の評価で得られたポリイミド膜(150℃、30分硬化品)につき、JIS K−5400に準じて、碁盤目試験を行い、下記基準に準じて、密着性を評価した。得られた評価結果を表2に示す。
◎:はがれ数が0/100碁盤目である。
○:はがれ数が1〜5/100碁盤目である。
△:はがれ数が6〜10/100碁盤目である。
×:はがれ数が11/100碁盤目以上である。
(6)耐熱性(評価6)
低温硬化性の評価で得られたポリイミド膜(150℃、30分硬化品)につき、耐熱性として、示差熱天秤(TG−DTA)を用い、窒素中で、30〜500℃まで加熱(昇温速度10℃/分)し、図8に示すように、示差熱天秤チャート(TG−DTA曲線)を得た。そして、TG−DTA曲線のうち、TG曲線をもとに、以下の基準で、ポリイミド膜の耐熱性評価を行った。得られた評価結果を表2に示す。
◎:10%重量減少温度が450℃以上である。
○:10%重量減少温度が400℃以上である。
△:10%重量減少温度が350℃以上である。
×:10%重量減少温度が350℃未満である。
(7)難燃性(評価7)
低温硬化性の評価で得られたポリイミド膜(150℃、30分硬化品)につき、UL規格94に準じて、難燃性評価を行い、以下の基準で評価した。得られた評価結果を表2に示す。
◎:V−0条件をクリアする。
○:V−1条件をクリアする。
△:V−2条件をクリアする。
×:V−2条件をクリアしない。
[実施例2]
実施例2では、ポリイミド成型品として、カプトンフィルムの種類を、カプトンH(東レ・デュポン(株)製)に変えるとともに、加水分解時間を36時間に変更して、ポリイミド成型品の加水分解の程度を変えて、イミド基含有化合物(化合物B)を得たほかは、実施例1と同様に、イミド基含有化合物の溶解性等について評価した。得られた評価結果を表2に示す。
なお、図9に、得られたイミド基含有化合物(化合物B)の赤外分光チャート(イミド化率:32%)を示し、図10に、イミド基含有化合物(化合物B)の硬化物(150℃、30分の熱硬化条件)、すなわち、ポリイミドの赤外分光チャート(イミド化率:100%)を示す。
[実施例3]
実施例3では、ポリイミド成型品として、カプトンフィルムの種類を、カプトンEN(東レ・デュポン(株)製)に変えるとともに、加水分解時間を12時間に短縮して、ポリイミド成型品の加水分解の程度を変えて、イミド基含有化合物(化合物C)を得たほかは、実施例1と同様に、イミド基含有化合物の溶解性等について評価した。得られた評価結果を表2に示す。
なお、図11に、得られたイミド基含有化合物(化合物C)の赤外分光チャート(イミド化率:43%)を示し、図12に、イミド基含有化合物(化合物C)の硬化物(150℃、30分の熱硬化条件)、すなわち、ポリイミドの赤外分光チャート(イミド化率:100%)を示す。
[実施例4〜6]
実施例4〜6では、イミド基含有化合物溶液中の、粘度安定剤としてのオルトギ酸トリエチルの配合量を1重量%、1.5重量%、および3重量%としたほかは、それぞれ実施例1と同様に、イミド基含有化合物溶液を作成し、その保存安定性等について評価した。得られた評価結果を表2に示す。
なお、図13(b)に、バーコータを用いて、厚さ50μmのポリエステルフィルム上に塗布後、140℃、20分の条件で加熱乾燥してなる、実施例4のイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜(20μm)の状態を示す。また、図13(a)に、同様に形成した、上述した実施例1のイミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜(20μm)の状態を写真で示す。
かかる図13(a)および(b)に示すように、オルトギ酸トリエチルの配合量にかかわらず、ポリエステルフィルムに対して、良好な塗布性や密着性を示すとともに、薄黄色透明の均一な厚さのポリイミド膜(20μm)が得られた。
[比較例1]
比較例1では、ポリイミド成型品に対して、水酸化ナトリウムを、理論分解量の約80倍モル量(約66g)を添加した後、80℃、常圧、7日間の条件で加水分解し、さらに、酸性物質で中和して、ピロメリット酸および芳香族アミンに完全に分解したほかは(イミド化率:0%)、実施例1と同様に、イミド基含有化合物溶液を作成し、その保存安定性等について評価した。得られた評価結果を表2に示す。
[比較例2]
比較例2では、ポリイミド成型品に、水酸化カリウムを、理論分解量の1倍モル量(約0.1g)添加した後、30℃、常圧、8時間の条件で加水分解し、さらに、酸性物質で中和するとともに、精製して、部分加水分解をほとんどしていない化合物(化合物D)としたほかは、実施例1と同様に、イミド基含有化合物溶液を作成し、その保存安定性等について評価した。得られた評価結果を表2に示す。
なお、図14に、得られたイミド基含有化合物の赤外分光チャート(イミド化率:70%)を示す。
[比較例3]
比較例3では、実施例1で、イミド基含有化合物に配合した粘度安定剤を全く配合しなかったほかは、実施例1と同様に、イミド基含有化合物溶液を作成し、その保存安定性等について評価した。得られた評価結果を表2に示す。
Figure 0005697805
Figure 0005697805
[実施例7〜9]
実施例7〜9では、実施例1で、イミド基含有化合物溶液中に配合した粘度安定剤をフィチン酸とするとともに、その配合量を1重量%、2重量%、および3重量%としたほかは、実施例1と同様に、保存安定性等を評価した。得られた結果を表3に示す。
[実施例10〜12]
実施例10〜12では、実施例1で、イミド基含有化合物溶液中に配合した粘度安定剤をオルトギ酸トリメチルとするとともに、その配合量を1重量%、2重量%、および3重量%としたほかは、実施例1と同様に、それぞれ保存安定性等を評価した。得られた結果を表3に示す。
[実施例13〜15]
実施例13〜15では、実施例1で、イミド基含有化合物溶液中に配合した粘度安定剤をオルトギ酸トリメチルおよびフィチン酸(配合割合1:1)とし、その配合量を1重量%、2重量%、および3重量%としたほかは、実施例1と同様に、それぞれ保存安定性等を評価した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0005697805
[実施例16]
実施例16では、イミド基含有化合物溶液として、イミド基含有化合物水溶液を作成し、さらに、粘度安定剤として、アミン化合物(三級アミン)の併用効果を確認した。
すなわち、実施例1のイミド基含有化合物溶液の作成に示すように、工程(1)〜(3)を実施し、粒状のイミド基含有化合物(平均粒径:5μm)を得た。
次いで、工程(4)として、撹拌装置付きの容器内に、粒状のイミド基含有化合物を100g、N−メチル−2−ピロリドンを400g投入し、均一なイミド基含有化合物の有機溶剤溶液とした。
次いで、得られたイミド基含有化合物の有機溶剤溶液500gに対し、ノニオン系界面活性剤として、パーフルオルアルキルエチレンオキシド付加物1gを配合した。
最後に、水性溶媒(水)を徐々に配合し、ホモミキサーで撹拌しながら、全体量に対する水分量が60%になるように調整し、平均粒径が0.1〜1.0μmの範囲のイミド基含有化合物を含有してなるエマルションタイプの水溶液(固形分濃度:30重量%)とした。
次いで、得られたイミド基含有化合物水溶液100gに対して、粘度安定剤として、オルトギ酸トリメチル0.06gと、アミン化合物(三級アミン)としてのトリメチルアミンを0.03gとを配合し、実施例16のイミド基含有化合物水溶液とした。
得られたイミド基含有化合物水溶液につき、実施例1と同様に、保存安定性等の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
[実施例17]
実施例17では、粘度安定剤として、オルトギ酸トリメチルおよびアミン化合物のかわりに、オルトギ酸トリエチルおよびアミン化合物としたほかは、実施例16と同様に、イミド基含有化合物水溶液とした。
得られたイミド基含有化合物水溶液につき、実施例1と同様に、保存安定性等の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
[実施例18]
実施例18では、粘度安定剤として、オルトギ酸トリメチルおよびアミン化合物のかわりに、オルトギ酸トリメチルのみを配合したほかは、実施例16と同様に、イミド基含有化合物水溶液とした。
得られたイミド基含有化合物水溶液につき、実施例1と同様に、保存安定性等の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
[実施例19]
実施例19では、粘度安定剤として、オルトギ酸トリエチルおよびアミン化合物のかわりに、オルトギ酸トリエチルのみを配合したほかは、実施例17と同様に、イミド基含有化合物水溶液とした。
得られたイミド基含有化合物水溶液につき、実施例1と同様に、保存安定性等の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
Figure 0005697805
[実施例20]
実施例20では、実施例1で得られたイミド基含有化合物(化合物A)を含むイミド基含有化合物溶液を、厚さ3μmのアルミ箔上に、バーコータを用いて塗布した後、150℃、30分の条件で熱硬化させて、厚さ10μmのポリイミドおよび厚さ20μmの金属箔の複合フィルムを形成して、外観評価を行った。
その結果、それぞれ薄黄色に着色しているものの、透明感に優れたポリイミド膜がアルミ箔上に、均一かつ強固に形成されていることを確認した。
そして、実施例1と同様に、UL94規格に準じて、難燃性を評価したところ、V−0条件をクリアすることを確認した。
[実施例21]
実施例21では、実施例1で得られたイミド基含有化合物(化合物A)を含むイミド基含有化合物溶液を、基材としてのポリエステルフィルム上に、バーコータを用いて塗布した後、150℃、30分の条件で熱硬化させて、厚さ10μmのポリイミドおよび厚さ50μmのポリエステルフィルムの複合フィルムを形成して、外観評価を行った。
その結果、薄黄色に着色しているものの、透明感に優れたポリイミドがポリエステルフィルム上に強固に形成されていることを確認した。
そして、実施例1と同様に、UL94規格に準じて、難燃性を評価したところ、V−0条件をクリアすることを確認した。
なお、基材としてのポリエステルフィルム単独では、V−0条件はもちろんのこと、V−1条件やV−2条件であっても、クリアできないことを別途確認した。
以上の説明の通り、本発明によれば、産業廃棄物等としてのポリイミド成形品を部分的に加水分解するとともに、所定の赤外吸収ピークを有する特定構造のイミド基含有化合物と、溶媒と、所定の粘度安定剤と、を配合することにより、低温硬化可能であって、かつ良好な溶解性や密着性を示す上に、保管時における粘度上昇が少なく、貯蔵安定性に優れたイミド基含有化合物溶液を得ることができるようになった。
また、かかるイミド基含有化合物溶液に由来したイミド基含有化合物であれば、低温硬化させて、ポリイミド膜(ポリイミド樹脂)とすることができるが、従来のポリイミド樹脂の製造コストと比較して、1/10以下で、同等の耐熱性等を有するポリイミド樹脂が得られることが判明している。
したがって、ポリイミド樹脂の原材料の全部または一部として、かかるイミド基含有化合物を用いた場合、経済的に極めて有利にポリイミド膜(ポリイミド樹脂)を提供できるようになった。
その上、かかるイミド基含有化合物溶液に由来したイミド基含有化合物であれば、PETフィルムやPPフィルム等の表面に積層するだけで、複合化されたポリイミド膜(ポリイミド樹脂)を含む耐熱フィルムとすることができるようになった。
よって、得られたポリイミド膜(ポリイミド樹脂)等を耐熱性電気部品筐体、耐熱性電子部品材料、耐熱性電気部品用シールド板(スマートフォン型携帯電話やタブレット型携帯電話におけるシールド板を含む。)、耐熱性容器、耐性熱機械部品、耐熱性自動車部品等の各種ポリイミド成型品の用途について、それぞれ好適に使用することが期待される。
10:ポリイミド(ポリイミドフィルム、ポリイミド膜)
12:他の樹脂フィルム
13:複合樹脂フィルム
14:金属層
14a:第1の金属層
14b:第2の金属層
14c:ビアホール
16:金属複合ポリイミドフィルム
20:両面回路基板

Claims (8)

  1. ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物であって、200℃以下の温度条件で熱硬化して、ポリイミドとなるイミド基含有化合物と、
    溶媒と、
    粘度安定剤と、
    を含むイミド基含有化合物溶液であって、
    前記イミド基含有化合物が赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、
    波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピークと、
    波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピークと、
    波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、
    を有し、
    かつ、
    前記赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm -1 における吸収ピークの高さをS1とし、前記イミド基に由来した波数1375cm -1 の吸収ピークの高さをS2としたときに、S1/S2の比率を3〜10の範囲内の値とし、
    前記粘度安定剤が、オルトカルボン酸エステルおよびキレート化剤、あるいはいずれか一方であって、当該粘度安定剤の配合量を、前記イミド基含有化合物100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とし、
    さらに、前記溶媒が、水およびN−メチル−2−ピロリドンの組み合わせ、あるいは、水単独の場合には、配合成分として、界面活性剤またはアミン化合物をさらに含むことを特徴とするイミド基含有化合物溶液。
  2. 前記粘度安定剤が、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリプロピル、オルトギ酸トリブチル、フィチン酸、タンニン酸、および没食子酸からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のイミド基含有化合物溶液。
  3. 熱硬化性樹脂をさらに含み、当該熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のイミド基含有化合物溶液。
  4. 前記赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm-1における吸収ピークの高さをS1とし、アミド基に由来した波数1600cm-1の吸収ピークの高さをS3としたときに、S1/S3の比率を2〜20の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイミド基含有化合物溶液。
  5. 前記赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm-1における吸収ピークの高さをS1としたときに、前記カルボキシル基に由来した波数1413cm-1の吸収ピークの高さをS4としたときに、S1/S4の比率を8〜30の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のイミド基含有化合物溶液。
  6. イミド基含有化合物溶液に由来したポリイミド膜の製造方法であって、下記工程(1)および(2)を含むことを特徴としたポリイミド膜の製造方法。
    工程(1):ポリイミド成型品を部分的に加水分解してなるイミド基含有化合物であって、200℃以下の温度条件で熱硬化して、ポリイミドとなるイミド基含有化合物と、溶媒と、粘度安定剤と、を含むイミド基含有化合物溶液であって、前記イミド基含有化合物が赤外分光測定した場合に得られる赤外分光チャートにおいて、波数1375cm-1に、イミド基に由来した吸収ピークと、波数1600cm-1に、アミド基に由来した吸収ピークと、波数1413cm-1に、カルボキシル基に由来した吸収ピークと、を有し、かつ、前記赤外分光チャートにおいて、ベンゼン環に由来した波数1500cm -1 における吸収ピークの高さをS1とし、前記イミド基に由来した波数1375cm -1 の吸収ピークの高さをS2としたときに、S1/S2の比率を3〜10の範囲内の値とし、前記粘度安定剤が、オルトカルボン酸エステルおよびキレート化剤、あるいはいずれか一方であって、当該粘度安定剤の配合量を、前記イミド基含有化合物100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とし、さらに、前記溶媒が、水およびN−メチル−2−ピロリドンの組み合わせ、あるいは、水単独の場合には、配合成分として、界面活性剤またはアミン化合物をさらに含んでなるイミド基含有化合物溶液を基材上に塗布し、塗布物を形成する工程
    工程(2):形成した塗布物を200℃以下の温度条件で加熱処理して、ポリイミド膜とする工程
  7. 前記塗布物を、表面処理した基材上に形成してなることを特徴とする請求項6に記載のポリイミド膜の製造方法。
  8. 前記塗布物を、金属配線を備えた基材上に形成してなることを特徴とする請求項6または7に記載のポリイミド膜の製造方法。
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