上記構造の電磁式リニア弁においては、プランジャがハウジング内で弾性体によって支持されていることから、弁の開閉に伴って自励振動が生じる虞がある。プランジャの自励振動の発生要因としては種々のものが考えられているが、例えば、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液のプランジャへの作用が自励振動の発生要因の1つとして考えられている。このため、作動液が、高圧側の作動液路からハウジング内に勢いよく流れ込むことは望ましくない。本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、高圧側の作動液路から作動液が勢いよくハウジング内へ流入することを抑制可能な電磁式リニア弁を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の電磁式リニア弁は、(a)強磁性材料により形成された本体部と、その本体部の外径より小さい外径を持ち、その本体部の一端部から延び出すとともに、先端部が弁体として機能するロッド部とを有するプランジャと、(b)強磁性材料により形成されるとともに、クリアランスのある状態でプランジャの本体部が挿入されるプランジャ本体部被挿入部を有するハウジングとを備えた電磁式リニア弁であって、プランジャの本体部とハウジングのプランジャ本体部被挿入部との一方が、プランジャの軸線方向においてプランジャの本体部の一端部と他端部との間に位置するとともに、その本体部とプランジャ本体部被挿入部とのクリアランスが最も小さい最小クリアランス部を有し、前記プランジャ本体部被挿入部の内周面が、ある部分から両端に向かって内径が大きくなるような2つのテーパ形状の面となっていること、または、前記本体部の外周面が、ある部分から両端に向かって外径が小さくなるような2つのテーパ形状の面となっていることで、そのある部分が前記最小クリアランス部として機能するように構成する。
本発明の電磁式リニア弁においては、ロッド部の先端部が貫通穴の開口に着座した状態、つまり、貫通穴が形成された区画部に接触した状態で、通常、プランジャの本体部とハウジングのプランジャ本体部被挿入部との一方は最小クリアランス部において他方と接触する。このため、ロッド部の先端部が貫通穴の開口に着座した状態で、プランジャを、最小クリアランス部を支点として、ハウジング内で傾かせることが可能となっている。つまり、ロッド部の先端部を開口から離間させなくても、ロッド部の先端部と開口との隙間の大きさ、つまり、開弁量を変更することが可能とされている。したがって、本発明の電磁式リニア弁によれば、ロッド部の先端部と開口との隙間の大きさを徐々に変化させることが可能となり、高圧側の作動液路から作動液が勢いよくハウジング内へ流入することを抑制することが可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、下記(0)項は、請求可能発明の前提となる構成を示した態様に関する項であり、その項の態様に、その項以降に掲げる項のいずれかに記載の技術的特徴を付加した態様が、請求可能発明の態様となる。ちなみに、(0)項を引用する(1)項に(8)項に記載の技術的特徴と(9)項に記載の技術的特徴とを択一的に付加したものが請求項1に相当し、請求項1に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項3に(4)項および(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに(7)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに(8)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに(9)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項7に、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに(21)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項8に、請求項8に(22)項および(23)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項9に、請求項9に(24)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項10に、それぞれ相当する。
(0)(a)内部を第1液室と第2液室とに区画し、それら第1液室と第2液室とを連通するように自身を貫通する貫通穴が形成された区画部と、(b)前記第1液室と連通する流出ポートと、(c)前記第2液室と連通する流入ポートとを有し、作動液が充填されるハウジングと、
(A)強磁性材料により形成された本体部と、(B)その本体部の外径より小さい外径を持ち、その本体部の一端部から延び出すとともに、先端部が弁体として機能するロッド部とを有し、軸線方向に移動可能、かつ、その軸線方向への移動に伴って、弁座として機能する前記貫通穴の前記第1液室への開口を前記ロッド部の先端部が塞ぐように前記第1液室内に配設されたプランジャと、
前記ロッド部の先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向と前記開口から離間する方向との一方に前記プランジャを付勢する弾性体と、
前記ハウジングの周りに設けられ、前記弾性体が前記プランジャを付勢する方向とは反対の方向に前記プランジャを移動させるための磁界を形成するコイルと
を備えた電磁式リニア弁。
本項に記載された態様は、請求可能発明の前提をなす態様であり、請求可能発明の電磁式リニア弁の基本的な構成要素を列挙した態様である。本項に記載の電磁式リニア弁においては、弁体が弁座に着座し、かつ、弁体が弁座を塞いでいる状態において、高圧側の作動液路から低圧側の作動液路への作動液の流れを禁止し、弁体と弁座との間に隙間が生じている状態において、高圧側の作動液路から低圧側の作動液路への作動液の流れを許容する。ちなみに、本明細書における「着座状態」には、弁体が弁座を塞いでいる状態だけでなく、弁体が弁座に接触している状態も含まれる。つまり、本明細書における「着座状態」には、弁体が弁座に接触しており、弁体と弁座との間に隙間が生じている状態も含まれる。
(1)前記ハウジングが、
強磁性材料により形成されるとともに、クリアランスのある状態で前記プランジャの前記本体部が挿入されるプランジャ本体部被挿入部を有し、
前記プランジャの本体部と前記プランジャ本体部被挿入部との一方が、
前記プランジャの軸線方向において前記本体部の一端部と他端部との間に位置するとともに、前記本体部と前記プランジャ本体部被挿入部とのクリアランスが最も小さい最小クリアランス部を有する(0)項に記載の電磁式リニア弁。
電磁式リニア弁においては、プランジャがハウジング内で弾性体によって支持されていることから、弁の開閉に伴って自励振動が生じる虞がある。プランジャの自励振動の発生要因としては種々のものが考えられているが、例えば、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液のプランジャへの作用が自励振動の発生要因の1つとして考えられている。このため、作動液が、高圧側の作動液路からハウジング内に勢いよく流れ込むことは望ましくなく、弁体と弁座との隙間、つまり、開弁量の急増は望ましくない。
例えば、ハウジング内に殆どガタの無い状態でプランジャが挿入されている電磁式リニア弁においては、コイルへの通電によって、弁体が弁座を塞いでいる状態から弁体が弁座から離間している状態に切換えられ易く、開弁量は急増する傾向にある。一方、ハウジング内に比較的大きなガタの有る状態でプランジャが挿入されている電磁式リニア弁においては、コイルへの通電によって、まず、弁体が弁座を塞いでいる状態から、弁体が弁座に接触しているが、弁体と弁座との間に隙間が生じている状態に切換えられ、そして、弁体が弁座から離間している状態に切換えられる。つまり、ハウジング内に比較的大きなガタの有る状態でプランジャが挿入されている電磁式リニア弁においては、弁体と弁座との隙間を徐々に大きくすることが可能であり、開弁量の急増を抑制することが可能である。しかし、ハウジング内でのプランジャのガタつきは、小さいことが望ましい。
以上のことに鑑みて、本項に記載の電磁式リニア弁においては、プランジャの本体部とハウジングのプランジャ本体部被挿入部(以下、「被挿入部」と略す場合がある)との一方が、プランジャの軸線方向において本体部の一端部と他端部との間に位置するとともに、本体部と被挿入部とのクリアランスが最も小さい最小クリアランス部を有している。本項に記載の電磁式リニア弁においては、弁体が弁座を塞いでいる状態で、通常、プランジャの本体部とハウジングの被挿入部との一方が最小クリアランス部において他方と接触する。このため、弁体が弁座を塞いでいる状態から、プランジャを、最小クリアランス部を支点として、ハウジング内で傾かせることが可能となっており、弁体を弁座から離間させなくても、弁体と弁座との間に隙間を生じさせることが可能とされている。また、プランジャの本体部とハウジングの被挿入部とは最小クリアランス部において接触しているため、ハウジング内でのプランジャのガタつきは小さくされている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、ハウジング内でのプランジャのガタつきを大きくすることなく、開弁量の急増を抑制し、高圧側の作動液路から作動液が勢いよくハウジング内へ流入することを抑制することが可能となる。
(2)当該電磁式リニア弁が、
前記プランジャの前記本体部と前記ハウジングの前記プランジャ本体部被挿入部との一方が前記最小クリアランス部において他方と接触し、かつ、前記ロッド部の先端部が前記開口に着座した状態で、前記プランジャの軸線の前記ハウジングの軸線に対する傾斜角の増大に伴って開弁量が増加するように構成された(1)項に記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁においては、開弁時のプランジャの動作が具体的に限定されている。本項に記載の電磁式リニア弁によれば、プランジャを、最小クリアランス部を支点として、ハウジング内で傾かせることが可能となっており、開弁量を徐々に増やすことが可能となる。
(3)前記ハウジングが、
(a)強磁性材料により形成され、前記プランジャの前記本体部の他端部の側の端面に対向するコア部と、(b)そのコア部と前記プランジャ本体部被挿入部とを、それらの間を磁束が流れない状態で連結する連結部とを有し、
その連結部と向かい合う前記プランジャの一部が、前記傾斜角が増大することによって前記連結部に当接するように構成された(2)項に記載の電磁式リニア弁。
電磁式リニア弁では、通常、ハウジングのコア部とプランジャとの間を磁束が流れることで、プランジャが弾性力に抗して移動させられる。このため、プランジャがハウジング内で過度に傾くと、コア部の端面とその端面に向かい合うプランジャの端面とが正対しなくなり、それら2つの端面の間の磁気抵抗が大きくなることで、プランジャを移動させるための力が低下してしまう。本項に記載の電磁式リニア弁では、プランジャの傾斜角がある程度大きくなると、言い換えれば、プランジャの傾斜角が設定角となると、プランジャの一部がハウジングの連結部に当接するようになっている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、プランジャの過度の傾きを禁止することが可能となる。
本項に記載の「コア部」と「連結部」と「プランジャ本体部被挿入部」とは、単一の素材から一体的に成形されるものであってもよく、それぞれが個別の部材とされるものであってもよい。具体的に言えば、単一の素材から一体的に成形される場合には、例えば、コア部と連結部と被挿入部の少なくとも連結部に連続する部分とが、強磁性材料からなる単一の素材から一体的に成形されるとともに、連結部が非磁性化されていてもよい。また、それぞれが個別の部材とされる場合には、例えば、後に詳しく説明するように、非磁性材料からなる部材を連結部として機能させ、その部材を介して、コア部として機能する部材と被挿入部として機能する部材とが連結されていてもよい。
(4)前記プランジャが、前記本体部の他端部の外周面に形成された突出部を有し、その突出部が、前記傾斜角が増大することによって前記連結部に当接するように構成された(3)項に記載の電磁式リニア弁。
(5)前記連結部が、
非磁性材料により形成されるとともに、前記コア部と前記プランジャ本体部被挿入部とに外嵌され、前記コア部の端面と前記プランジャ本体部被挿入部の端面とが離れた状態で前記コア部と前記プランジャ本体部被挿入部とを連結する部材によってなり、
前記突出部が、前記コア部の端面と前記プランジャ本体部被挿入部の端面との間に位置し、前記傾斜角が増大することによって前記連結部に当接するように構成された(4)項に記載の電磁式リニア弁。
上記2つの項に記載の電磁式リニア弁においては、プランジャの連結部に当接する部分の構造が具体的に限定されており、後者の項に記載の電磁式リニア弁においては、ハウジングの構造が具体的に限定されている。後者の項に記載のハウジングは、内周面に周方向に延びるようにして凹部が形成された形状とされており、その凹部の底が連結部として機能するようになっている。後者の項に記載の電磁式リニア弁では、その凹部内にプランジャの突出部が位置しており、突出部をその凹部の底に好適に当接させることが可能となっている。なお、上記2つの項に記載の「突出部」は、本体部の外周面の全周にわたって形成されるもの、具体的に言えば、例えば、円環状のフランジ部であってもよく、そのフランジ部の一部が切り欠かれたものであってもよい。その切り欠かれた部分によって、後に詳しく説明するように、作動液を流れ易くすることで、第1液室から気泡を排出させやすくすることが可能となる。
(6)前記プランジャの前記本体部と前記ハウジングの前記プランジャ本体部被挿入部との一方が前記最小クリアランス部において他方と接触している状態において前記プランジャの一部が前記連結部に当接したときに、前記ロッド部の先端部が前記区画部から離れるように構成された(3)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁では、ロッド部の先端部が区画部から離れた状態、つまり、弁体が弁座から離座した状態において、プランジャの本体部とハウジングの被挿入部との一方が最小クリアランス部において他方と接触するとともに、プランジャの一部がハウジングの連結部に接触している。また、その連結部は、上述したように、磁束が流れないようにされている。つまり、プランジャは、離座した状態において、ハウジング内で2点支持されており、2つの支持点のうちの1つの支持点である連結部は非磁性部とされている。プランジャとハウジングとの接触部分に流れる磁束の量は、プランジャとハウジングとの間に生じる摩擦力と大きく関係しており、接触部分に流れる磁束の量が少なくなれば摩擦力も小さくなる。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、離座した状態でのプランジャとハウジングとの間に生じる摩擦力を低下させることが可能となり、プランジャの円滑な移動を担保することが可能となる。
(7)前記プランジャの前記本体部が、(a)前記ロッド部の側に位置し、強磁性材料により形成された小径部と、(b)その小径部に連続して前記ロッド部の側とは反対側に位置し、強磁性材料により形成された大径部とからなり、
前記ハウジングの前記プランジャ本体部被挿入部が、(a)前記小径部が挿入され、強磁性材料により形成された小内径部と、(b)その小内径部に連続し、前記小内径部の内径より大きな内径とされるとともに、前記大径部が挿入され、強磁性材料により形成された大内径部とからなり、
前記小径部と前記小内径部との一方が、前記最小クリアランス部を有する(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁においては、プランジャの小径部の外径は大径部の外径より小さくされており、大径部と小径部との間でプランジャの断面積が急変するようになっている。そして、その小径部、若しくは、小径部が挿入されるハウジングの小内径部に、最小クリアランス部が設けられている。このため、プランジャの小径部において磁気飽和が生じ、プランジャとハウジングの内周面との接触部分、つまり、最小クリアランス部に流れる磁束の量は、プランジャ内を流れる全ての磁束の量より少なくなっている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、プランジャとハウジングとの間に生じる摩擦力を低下させることが可能となり、プランジャの円滑な移動を担保することが可能となる。
(8)前記プランジャ本体部被挿入部の内周面が、ある部分から両端に向かって内径が大きくなるような2つのテーパ形状の面となっていることで、そのある部分が前記最小クリアランス部として機能する(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
(9)前記本体部の外周面が、ある部分から両端に向かって外径が小さくなるような2つのテーパ形状の面となっていることで、そのある部分が前記最小クリアランス部として機能する(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
(10)前記本体部が、一端部と他端部との間の外周面において全周にわたって径方向に突出する部分を有し、その突出する部分が前記最小クリアランス部として機能する(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
上記3つの項に記載の電磁式リニア弁においては、最小クリアランス部の形状が具体的に限定されている。1番目の項と2番目の項に記載の「テーパ形状の面」は、本体部の外周面、若しくは、被挿入部の内周面の端に向かって形成されていればよく、端にまで形成されていなくてもよい。つまり、テーパ形状の面は、本体部の外周面、若しくは、被挿入部の内周面の一部に形成されていてもよく、全面に形成されていてもよい。また、3番目の項に記載の「突出する部分」は、単独の部材であってもよく、本体部の外周面に形成されたものであってもよい。つまり、例えば、本体部が、円柱部材と、その円柱部材に外嵌される環状部材とによって構成され、その環状部材が最小クリアランス部として機能してもよく、また、本体部が、一端部と他端部との間の一部の外径が大きくされた概して円柱形状の単一の部材であってもよい。
(11)前記弾性体が、
前記ロッド部の先端部が前記開口に接近する方向に前記プランジャを付勢するものである(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁は、常閉弁の電磁式リニア弁に限定されている。プランジャの自励振動の発生頻度は、一般的に、常開弁の電磁式リニア弁より、常閉弁の電磁式リニア弁のほうが高いことが知られている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁では、プランジャの自励振動の発生を抑制する効果が充分に活かされる。
(21)前記ハウジングが、
強磁性材料により形成され、前記プランジャの前記本体部の他端部の側の端面に対向するコア部を有し、
前記本体部が、
前記他端部の側の端面に形成されて前記コアに向かって開口する有底穴と、その有底穴の内部と前記本体部の外周面とに開口する貫通路とを有し、
前記弾性体が、
前記有底穴の底と前記コアとによって圧縮された状態で前記有底穴内に配設され、前記ロッド部の先端部が前記開口に接近する方向に前記プランジャを付勢する圧縮コイルスプリングである(0)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
プランジャの自励振動の発生要因としては、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液のプランジャへの作用だけでなく、プランジャの移動に対する減衰力の低下も自励振動の発生要因の1つとして考えられている。プランジャは、移動時において、そのプランジャが配設されている第1液室内の作動液によって減衰されるが、その第1液室内に気泡が入り込んでいると、作動液による減衰効果が低下する虞がある。特に、コア部とプランジャのコア部に対向する側の端部とによって区画される液室であるばね室にまで気泡が入り込んでいると、プランジャの移動に伴って、プランジャとコア部とによって気泡が挟まれて圧縮されることで、作動液による減衰効果が低下する虞が有る。このため、ばね室内に気泡が入り込んでいる場合には、早急にバネ室から気泡を排出することが望ましい。ただし、ばね室には、通常、弾性体としての圧縮コイルスプリングを収容する有底穴が設けられており、その有底穴内に気泡が入り込んでしまうと、ばね室の外部に気泡を排出することは困難である。
以上のことに鑑みて、本項に記載の電磁式リニア弁においては、有底穴の内部とプランジャの外周面とに開口する貫通路をプランジャに形成している。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、有底穴内部の気泡を、貫通路を介して、プランジャの外周面とハウジングの内周面との間、つまり、ばね室の外部に排出することが可能となり、自励振動の発生を抑制することが可能となる。
(22)前記第1液室が、
(a)前記プランジャの前記本体部の一端部の側の端面と前記ハウジングの前記区画部とによって区画されて、前記ロッド部の周りに存在するとともに、前記流出ポートと連通する弁室と、(b)その弁室より前記本体部の他端部の側に位置するプランジャ室とを含んで構成され、
前記プランジャが、
前記弁室と前記プランジャ室とを連通する連通路を有する(21)項に記載の電磁式リニア弁。
ばね室から気泡を排出しても、その排出された気泡が第1液室から低圧側の作動液路に排出されないと、再度、ばね室に入り込んでしまう虞が有る。本項に記載の電磁式リニア弁では、低圧側の作動液路が開口する弁室とプランジャ室とが連通されており、気泡を低圧側の作動液路に排出し易くされている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、ばね室から排出された気泡が、再度、ばね室に入り込むことを抑制することが可能となる。
(23)当該電磁式リニア弁が、前記貫通路と前記連通路とが交わらないように構成された(22)項に記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁においては、弁室からばね室内への作動液の流入経路と、ばね室に設けられた有底穴内からばね室の外部への作動液の流出経路とを異ならせることが可能となる。具体的には、連通路を介して、弁室内の作動液がプランジャ室に流れ込み、そのプランジャ室に流れ込んだ作動液が、ばね室にまで流れ込む。そして、そのばね室に流れ込んだ作動液が、有底穴内に流れこみ、貫通路を介して、ばね室の外部に排出される。このように、第1液室内を作動液が循環することで、有底穴内の気泡を低圧側の作動液路に好適に排出させることが可能となる。ちなみに、本項に記載の「貫通路」と「連通路」とは、貫通路と連通路との一方が他方に開口しないものであればよく、プランジャの周方向において異なる位相に位置していればよい。つまり、「貫通路」と「連通路」とは、例えば、立体交差していてもよい。
(24)前記ハウジングが、
強磁性材料により形成されるとともに、クリアランスのある状態で前記プランジャの前記本体部が挿入されるプランジャ本体部被挿入部を有し、
前記プランジャの本体部と前記プランジャ本体部被挿入部との一方が、
前記プランジャの軸線方向において前記本体部の一端部と他端部との間に位置するとともに、前記本体部と前記プランジャ本体部被挿入部とのクリアランスが最も小さい最小クリアランス部を有し、
前記弁室と前記プランジャ室とが、前記最小クリアランス部を挟んで位置する(22)項または(23)項に記載の電磁式リニア弁。
プランジャの外周面とハウジングの内周面との間に狭い箇所が存在すると、ばね室と弁室との間の作動液の流れが円滑なものになり難い。本項に記載の電磁式リニア弁においては、最小クリアランス部を挟んで位置する弁室とプランジャ室とが、連通路によって連通されている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、ばね室と弁室との間の作動液の流れを円滑にすることが可能となり、その作動液の流れによって気泡をばね室から低圧側の作動液路へ排出し易くなる。
以下、請求可能発明の実施例およびいくつかの変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<電磁式リニア弁の構成>
図1に、本発明の実施例の電磁式リニア弁10を示す。本電磁式リニア弁10は、高圧側の作動液路12および低圧側の作動液路14に接続されており、通常、弁体が弁座を塞ぐことで、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止している。一方、弁体と弁座との間に隙間が生じることで、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを許容し、作動液の流れを許容する際の高圧側の作動液路12内の作動液の液圧と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧との差圧を制御可能に変更することが可能とされている。
電磁式リニア弁10は、図1に示すように、中空形状のハウジング20と、そのハウジング20内に自身の軸線方向に移動可能に設けられたプランジャ22と、ハウジング20の外周に設けられた円筒状のコイル24とを備えている。ハウジング20は、上端部に設けられた円柱状のコア26と、壁面を構成する概して円筒状の壁部材28と、その壁部材28の下端部に嵌入された有蓋円筒状の弁部材30とを有している。コア26と壁部材28とは、強磁性材料により形成されており、それらコア26と壁部材28とは、非磁性材料により形成された円筒状のスリーブ32を介して、離間した状態で連結されている。
壁部材28は、それの内部が段付形状とされており、上端部に位置する上端部50と、その上端部50の下方に位置するとともに、上端部50の内径より小さい内径の第1中間部52と、その第1中間部52の下方に位置するとともに、第1中間部52の内径より小さい内径の第2中間部54と、下端部に位置する下端部56とに区分けすることができる。その下端部56に区画部としての弁部材30が固定的に嵌入されており、その弁部材30によってハウジング20内が、第1液室58と第2液室60とに区画されている。第2液室60はハウジング20の下端面に開口しており、その開口が流入ポートとして機能することで、高圧側の作動液路12が第2液室60に接続されている。また、弁部材30には軸線方向に貫通する貫通穴62が形成されている。その貫通穴62の上方の開口64はテーパ状に形成され、その開口64が弁座として機能している。
プランジャ22は、強磁性材料により形成されており、コア26と壁部材28と弁部材30とによって区画された第1液室58内に、軸線方向に移動可能に配設されている。プランジャ22は、外径の最も大きい第1円柱部70と、第1円柱部70の下方に位置するとともに、第1円柱部70の外径より小さい外径の第2円柱部72と、その第2円柱部72の下方に位置するとともに、第2円柱部72の外径より小さい外径の接触部74と、その接触部74の下方に位置するとともに、接触部74の外径より小さい外径のロッド部76とによって構成されており、段付形状とされている。ちなみに、第1円柱部70と第2円柱部72と接触部74とによって、プランジャ22の本体部が構成されている。
プランジャ22の第1円柱部70は、コア部としてのコア26と対向するように設けられるとともに、壁部材28の上端部50に挿入されており、第2円柱部72は第1中間部52に、接触部74は第2中間部54に、それぞれ挿入されている。つまり、壁部材28の上端部50と第1中間部52と第2中間部54とによって構成されるプランジャ本体部被挿入部に、プランジャ22の本体部が挿入されている。また、プランジャ22の第1円柱部70,第2円柱部72,接触部74のそれぞれの外径は、壁部材28の上端部50,第1中間部52,第2中間部54のそれぞれの内径より僅かに小さくされており、プランジャ22は、ハウジング20内を軸線方向に円滑に移動できるようになっている。
小径部としての接触部74が挿入されている小内径部としての第2中間部54の内周面は、それの内径が下方に向かうほど内径が大きくなるテーパ形状とされており、その第2中間部54と第1中間部52との間の段差面は、それの内径が上方に向かうほど内径が大きくなるテーパ形状とされている。一方、接触部74の外周面は、それの外径が下方に向かうほど小さくなるテーパ形状とされている。また、第1円柱部70と第2円柱部72との外径、および、上端部50と第1中間部52との内径は、概ね均一とされており、第1円柱部70と上端部50との間のクリアランスおよび、大径部としての第2円柱部72と大内径部としての第1中間部52との間のクリアランスは、接触部74の下端部と第2中間部54の下端部との間のクリアランスと略同じとされている。つまり、プランジャ22と壁部材28との間のクリアランスは、接触部74の上端部と第2中間部54の上端部との間において最も小さくされている。なお、図1では、クリアランスの差を明確にするべく、各クリアランスは誇張して図示されている。
このような構造によって、プランジャ22の軸線とハウジング20の軸線とがズレた場合には、プランジャ22とハウジング20の壁部材28とは、最小クリアランス部としての第2中間部54の上端部と接触部74の上端部とで接触するようになっている。また、プランジャ22の第1円柱部70の上端面には凸部78が形成されており、その凸部78が、コア26の下端面に形成された凹部80に挿入されている。さらに、第1円柱部70の上端の外周面には、フランジ部82が形成されており、そのフランジ部82が、コア26の下端面の外縁部と壁部材28の上端面との間に延び出している。
接触部74の外周面には、周方向の一箇所において軸線方向に延びるようにして切欠部84が形成されており、その切欠部84によって第1液室58内の2つの液室が連通されている。詳しく言えば、第1液室58は、コア26と壁部材28の上端面とによって区画される第1プランジャ液室86と、第1円柱部70と第2円柱部72との間の段差面と壁部材28の上端部50と第1中間部52との間の段差面とによって区画される第2プランジャ液室88と、第2円柱部72と接触部74との間の段差面と第1中間部52と第2中間部54との間の段差面とによって区画される第3プランジャ液室90と、第2中間部54と下端部56との間の段差面と弁部材30とによって区画される第4プランジャ液室92との4つの液室によって構成されている。それら4つの液室のうちの第3プランジャ液室90と第4プランジャ液室92とが、切欠部84によって連通されている。ちなみに、第4プランジャ液室92は壁部材28の下端部56の外壁面に開口しており、その開口が流出ポートとして機能することで、低圧側の作動液路14が第4プランジャ液室92、つまり、第1液室58に接続されている。
また、プランジャ22のロッド部76の下端は、半球状とされており、弁部材30に形成された貫通穴62の開口64と向かい合うようにされている。そのロッド部76の下端は、開口64に着座するようにされており、弁体として機能するものとされている。その弁体として機能するロッド部66の下端が、弁座として機能する開口64に着座することで、貫通穴62を塞ぐことが可能とされている。ちなみに、プランジャ22は強磁性材料により形成された単一の素材を加工して成形されている。その1つの素材から成形されたプランジャ22においては、表面の硬度を高くするための表面熱処理、詳しく言えば、浸炭焼入れ処理が全表面に施されており、プランジャ22の硬度、特に貫通穴62の開口64に着座するロッド部76の下端の硬度が高くされている。
また、プランジャ22の上端面には有底穴100が形成されており、その有底穴100に圧縮コイルスプリング102が挿入されている。圧縮コイルスプリング102の上端部はプランジャ22の上端面から突出しており、圧縮コイルスプリング102は、コア26に形成された凹部80の底面と有底穴100の底面とによって圧縮された状態で配設されている。このため、プランジャ22は、弾性体としての圧縮コイルスプリング102の弾性力によってコア26から離れる方向に付勢されている。つまり、プランジャ22のロッド部76の下端が開口64に接近する方向(以下、「接近方向」という場合がある)に付勢されている。さらに、プランジャ22には、有底穴100の内部から径方向に延びるようにして貫通路104が形成されている。その貫通路104は、プランジャ22の第2円柱部72の外周面に開口しており、有底穴100の内部と第2プランジャ液室88とを連通している。なお、有底穴100には、圧縮コイルスプリング102に囲まれるようにして棒状のストッパ106が挿入されており、そのストッパ106によって、プランジャ22の上方への移動量が制限されている。
また、コイル24は、樹脂製の保持部材107によってハウジング20の外周部において保持されており、その保持部材107とともに、強磁性材料によって形成されたコイルケース108によって覆われている。コイルケース108は、上端部においてコア26に固定されるとともに、下端部において壁部材28に固定されている。このため、コイル24による磁界の形成に伴って、コイルケース108,コア26,プランジャ22,壁部材28に磁路が形成されるようになっている。
<電磁式リニア弁の作動>
上述した構造によって、電磁式リニア弁10は、コイル24に電流が供給されていないときには、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止しており、コイル24に電流を供給することによって、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを許容するとともに、作動液の流れが許容される際の高圧側の作動液路12内の作動液の液圧と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧との差圧を制御可能に変化させる構造とされている。
詳しく説明すれば、コイル24に電流が供給されていない場合には、圧縮コイルスプリング102の弾性力によって、プランジャ22のロッド部76の先端が高圧側の作動液路12に繋がる貫通穴62の開口64を塞ぐことで、電磁式リニア弁10は、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止している。この際、ロッド部76の先端には、高圧側の作動液路12内の作動液の液圧(以下、「高圧側作動液圧」という場合がある)と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧(以下、「低圧側作動液圧」という場合がある)との差に基づく力F1が作用している。この圧力差に基づく力F1と圧縮コイルスプリング102の弾性力F2とは互いに逆向きに作用するが、弾性力F2は圧力差に基づく力F1と比較してある程度大きくされているため、電磁式リニア弁10は、コイル24への電流非供給時には開弁しないようになっている。
一方、コイル24に電流が供給されると、磁界の形成に伴って、磁束が、コイルケース108,コア26,プランジャ22,壁部材28を通過する。そして、ロッド部76の先端が貫通穴62の開口64から離間する方向(以下、「離間方向」という場合がある)にプランジャ22を移動させようとする磁気力が生じる。コイル24に電流が供給されて磁界が形成されている際に、プランジャ22には、圧力差に基づく力F1と磁気力によってプランジャ22が上方に付勢される力F3との和と、圧縮コイルスプリング102の弾性力F2とが互いに逆向きに作用する。この際、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より大きい間は、ロッド部76の先端によって塞がれていた開口64が開き、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14へ作動液が流れる。
そして、高圧の作動液が低圧側の作動液路14へ流れることで、低圧側作動液圧が増加し、圧力差に基づく力F1が減少する。その圧力差に基づく力F1が減少することで、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より小さくなれば、電磁式リニア弁10は閉弁され、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れが阻止される。このため、低圧側作動液圧は、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より小さくなった時点の低圧側作動液圧に維持される。つまり、コイル24への通電量を制御することで、低圧側作動液圧と高圧側作動液圧との圧力差を制御することが可能となり、低圧側作動液圧を目標とする作動液圧まで増加させることが可能となっている。
上述したように、電磁式リニア弁10は、プランジャ22を上方に付勢する力と下方に付勢する力とのバランスを制御することで、低圧側作動液圧と高圧側作動液圧との圧力差を制御するものであり、プランジャ22を上方に付勢する力と下方に付勢する力とは同じぐらいの大きさとなることがある。また、そのプランジャ22は、スプリング102によってハウジング20内に弾性支持されていることから、プランジャ22がそのスプリング102のばね定数等に依拠した固有の振動数で振動する問題、いわゆる、プランジャ22の自励振動の問題がある。自励振動の発生要因としては、流入ポートからハウジング内へ勢いよく流入する作動液のプランジャへの作用等、種々の要因が考えられている。特に、貫通穴62の開口64がロッド部76の先端によって塞がれている状態からその開口64を作動液が流れる状態へ切換えられるとき、つまり、作動液の第1液室58への流入初期時に、第2液室60から開口64を介して第1液室58へ作動液が流れる隙間、言い換えれば、ロッド部76の先端と開口64との隙間が急激に拡大すると、作動液が勢いよくプランジャに作用し、プランジャ22の自励振動が生じ易くなる。
そこで、本電磁式リニア弁10では、作動液の第1液室58への流入初期時に、ロッド部76の先端が開口64に接触した状態で作動液が流れるようすることで、ロッド部76の先端と開口64との隙間が急拡大しないようにされている。詳しく言えば、プランジャ22が圧縮コイルスプリング102によって接近方向に付勢されることで、ロッド部76の先端が貫通穴62の開口64を塞いでいる際に、プランジャ22の軸線がハウジング20の軸線に対して傾いた状態では、プランジャ22は、壁部材28の第2中間部54の上端部に接触している。つまり、閉弁時にプランジャ22は、開口64と壁部材28の第2中間部54の上端部とにおいて、ハウジング20内において2点支持されている。
このような状態で、コイル24に電流が供給されると、磁界の形成に伴って、図2に示すように、磁束が、コア26の凹部80の外縁からプランジャ22の凸部78の外縁に流れる。その磁束によって、プランジャ22がコア26に吸引される際に、プランジャ22を軸線方向に付勢する力が発生するとともに、径方向に付勢する力も発生する。この径方向に付勢する力によって、プランジャ22が第2中間部54の上端部に接触している部分を支点として傾くことで、ロッド部76の先端が開口64に接触した状態でロッド部76の先端と開口64と間に隙間が生じる。その隙間から作動液が第1液室58へ流入するのである。そして、コイル24への通電量を増加することで、プランジャ22の軸線のハウジング20の軸線に対する傾斜角も増加し、ロッド部76の先端と開口64との隙間が大きくなるのである。つまり、本電磁式リニア弁10では、作動液の第1液室58への流入初期時において、プランジャ22の軸線のハウジング20の軸線に対する傾斜角を変化させることで、作動液が第1液室58へ勢いよく流入することを抑制しているのである。
ただし、プランジャ22の軸線のハウジング20の軸線に対する傾斜角が大きくなると、コア26の下端面とプランジャ22の上端面との間の磁気抵抗も大きくなるため、過度の傾斜は好ましくない。そこで、本電磁式リニア弁10では、プランジャ22の上端部にフランジ部82が形成されており、プランジャ22の軸線のハウジング20の軸線に対する傾斜角が大きくなると、そのフランジ部82が連結部としてのスリーブ32に当接するようになっている。つまり、突出部としてのフランジ部82によって、プランジャ22の過度の傾斜が禁止されているのである。
そして、プランジャ22のフランジ部82がスリーブ32に当接した後に、さらに、コイル24への通電量を増加すると、プランジャ22の先端は貫通穴62の開口64から離れ、プランジャ22は離間方向へ移動する。つまり、プランジャ22は、それの先端が開口64から離れた状態、言い換えれば、離座した状態において、スリーブ32と第2中間部54の上端部とにおいて、ハウジング20内において2点支持されるのである。その2つの支持点のうちの1つの支持点であるスリーブ32は、上述したように、非磁性であり、スリーブ32とフランジ部82との間に磁気密着は生じない。したがって、本電磁式リニア弁10では、プランジャ22の離座した状態での円滑な軸線方向への移動が担保されている。
さらに、もう1つの支持点である第2中間部54の上端部は、プランジャ22の接触部74に接触している。その接触部74の外径は、接触部74の上方に位置する第2円柱部72の外径より小さくされており、プランジャ22の第2円柱部72と接触部74との間で断面積が急減するようにされている。このため、接触部74で磁気飽和が生じ、接触部74に流れる磁束の量が、第2円柱部72を流れる磁束の量より少なくなる。プランジャ22とハウジング20の内周面との接触部分に流れる磁束の量は、プランジャ22とハウジング20の内周面との間に生じる摩擦力と大きく関係しており、接触部分に流れる磁束の量が少なくなれば摩擦力も小さくなる。したがって、第2中間部54の上端部とプランジャ22の接触部74との間に生じる摩擦力は比較的小さくされており、プランジャ22の円滑な移動を、さらに、担保することが可能とされている。
また、プランジャ22が収容される液室、つまり、第1液室58内に気泡が入り込んでいると作動液による減衰効果が低下し、プランジャの自励振動が生じ易くなる。つまり、第1液室58内の気泡も、自励振動の発生要因の1つとして考えられている。このため、第1液室58内に入り込んだ気泡は低圧側の作動液路14へ排出されることが望ましい。ただし、第1液室58の上端部、つまり、第1プランジャ液室86に入り込んでいる気泡を、低圧側の作動液路14に開口する第4プランジャ液室92にまで排出させることは困難である。特に、圧縮コイルスプリング102を収容するための有底穴100に入り込んでいる気泡であれば、なおさら排出させ難い。そこで、本電磁式リニア弁10では、有底穴100の内部から径方向に延びるようにして貫通路104を形成するとともに、第3プランジャ液室90と第4プランジャ液室92とを連通する連通路としての切欠部84を形成している。そして、切欠部84と貫通路104とを、プランジャ22の軸線を挟んで互いに反対側に位置させている。これにより、弁室としての第4プランジャ液室92から有底穴100内への作動液の流入経路と、その有底穴100内から第4プランジャ液室92への作動液の流出経路とを異ならせることが可能となり、有底穴100内の気泡を第4プランジャ液室92に好適に排出させることが可能となる。
具体的に言えば、プランジャ22は上方に移動すると、プランジャ22の上端部が第1プランジャ液室86内に入り込むことで、第1プランジャ液室86の容積が減少し、作動液が第1プランジャ液室86から第4プランジャ液室92へ流出する。一方、プランジャ22が下方に移動すると、第1プランジャ液室86の容積が増加し、作動液が第4プランジャ液室92から第1プランジャ液室86へ流入する。したがって、プランジャ22の下方への移動時には、第4プランジャ液室92内の作動液が、切欠部84を介して、プランジャ室としての第3プランジャ液室90内に流入し、さらに、第2プランジャ液室88を介して第1プランジャ液室86内に流入する。第1プランジャ液室86内への作動液の流入によって、有底穴100内に入り込んでいた気泡が、貫通路104を介して第2プランジャ液室88に排出される。そして、プランジャ22が上方へ移動すると、作動液の第1プランジャ液室86から第4プランジャ液室92への流れによって、第2プランジャ液室88内の気泡が第4プランジャ液室92にまで排出されるのである。したがって、本電磁式リニア弁10では、有底穴100内の気泡を第1液室58から排出させることが可能となり、自励振動の発生を抑制することが可能とされている。
変形例
図3に、上記電磁式リニア弁10を変形した電磁式リニア弁110を示す。変形例の電磁式リニア弁110は、プランジャ112およびハウジング114を除いて、上記電磁式リニア弁10と略同様の構成であるため、それらを中心に説明し、同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
変形例の電磁式リニア弁110の備えるハウジング114は、有蓋円筒状の有蓋円筒部材120と、その有蓋円筒部材120の下端部に嵌入された弁部材30とによって構成されている。有蓋円筒部材120は、円柱形状のコア部122と円筒部124とによって構成されており、強磁性材料からなる単一の素材から一体的に成形されている。ただし、円筒部124の上端部、つまり、円筒部124のコア部122に連続する部分は、レーザー加工によって非磁性化されており、有蓋円筒部材120は、強磁性を有するコア部122と、非磁性化された円筒部124の上端部(以下、「非磁性円筒部」という場合がある)126と、円筒部124からその非磁性円筒部126を除いた強磁性を有する部分(以下、「強磁性円筒部」という場合がある)128とに区分けすることが可能である。なお、図3では、コア部122と非磁性円筒部126との境界および非磁性円筒部126と強磁性円筒部128との境界を点線によって示している。
強磁性円筒部128は、それの内部が段付形状とされており、上端部に位置する上端部130と、その上端部130の下方に位置するとともに、上端部130の内径より小さい内径の第1中間部132と、その第1中間部132の下方に位置するとともに、第1中間部132の内径より小さい内径の第2中間部134と、下端部に位置する下端部136とに区分けすることができる。その下端部136に弁部材30が固定的に嵌入されており、弁部材30によってハウジング114内が、第1液室138と第2液室140とに区画されている。
プランジャ112は、強磁性材料により形成されており、第1液室138内に、軸線方向に移動可能に配設されている。プランジャ112は、外径の最も大きい第1円柱部150と、第1円柱部150の下方に位置するとともに、第1円柱部150の外径より小さい外径の第2円柱部152と、その第2円柱部152の下方に位置するとともに、第2円柱部152の外径より小さい外径の接触部154と、その接触部154の下方に位置するとともに、接触部154の外径より小さい外径のロッド部156とによって構成されており、段付形状とされている。なお、第1円柱部150の上端面には、凸部158が形成されている。
プランジャ112の第1円柱部150は、コア部122と対向するように設けられるとともに、強磁性円筒部128の上端部130に挿入されており、第2円柱部152は第1中間部132に、接触部154は第2中間部134に、それぞれ挿入されている。プランジャ112は、上記電磁式リニア弁10のプランジャ22と、フランジ部82を除いて、略同じ形状とされており、同じ外径を有するものとされている。また、そのプランジャ112が挿入されているハウジング114の強磁性円筒部128は、上記電磁式リニア弁10の壁部材28と略同じ形状とされており、同じ内径を有するものとされている。したがって、変形例の電磁式リニア弁110においても、上記電磁式リニア弁10と同様に、プランジャ112と強磁性円筒部128との間のクリアランスは、接触部154の上端部と最小クリアランス部としての第2中間部134の上端部との間において最も小さくされており、プランジャ112の軸線とハウジング114の軸線とがズレた場合には、プランジャ112と強磁性円筒部128とは、第2中間部134の上端部と接触部154の上端部とで接触するようになっている。なお、図3では、クリアランスの差を明確にするべく、各クリアランスは誇張して図示されている。
また、プランジャ112の上端面には有底穴160が形成されており、その有底穴160内には、圧縮コイルスプリング102およびストッパ106が配設されている。プランジャ112には、有底穴160の内部から径方向に延びるようにして2本の貫通路162,164が形成されており、それら2本の貫通路162,164は、互いに反対の方向に延び出している。つまり、2本の貫通路162,164は、周方向の2等配の位置に置いて形成されている。さらに、プランジャ112の接触部154の外周面には、周方向の2等配の位置において軸線方向に延びるようにして2本の切欠部(図3では1本の切欠部166のみ図示されている)が形成されており、その連通路としての切欠部166によって第3プランジャ液室90と第4プランジャ液室92とが連通されている。切欠部166の形成位置と貫通路162,164の形成位置とは、周方向において90°位相がズレており、連通路としての切欠部166と貫通路162,164とは、交差しないようにされている。
上述した構造によって、変形例の電磁式リニア弁110においては、上記電磁式リニア弁10と同様に、作動液の第1液室138への流入初期時において、プランジャ112の軸線のハウジング114の軸線に対する傾斜角を変化させることで、作動液が第1液室138へ勢いよく流入することを抑制している。また、変形例の電磁式リニア弁110においては、プランジャ112が過度に傾斜した場合には、第1円柱部150の上端面の外縁、つまり、第1円柱部150と凸部158との間の段差面の外縁が、連結部としての非磁性円筒部126に当接するようにされており、プランジャ112の円滑な軸線方向への移動が担保されている。さらに、変形例の電磁式リニア弁110においても、貫通路162,166と切欠部166とによって、第4プランジャ液室92から有底穴160内への作動液の流入経路と、その有底穴160内から第4プランジャ液室92への作動液の流出経路とを異ならせることが可能とされており、有底穴160内の気泡を第4プランジャ液室92に好適に排出させることが可能とされている。
図4に、上記電磁式リニア弁10を変形したもう1つ別の変形例の電磁式リニア弁170を示す。変形例の電磁式リニア弁170は、プランジャ172およびハウジング174を除いて、上記電磁式リニア弁10と略同様の構成であるため、それらを中心に説明し、同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
変形例の電磁式リニア弁170の備えるハウジング174は、コア部180と、壁面を構成する円筒部182とによって構成される有蓋円筒部材184を有している。その有蓋円筒部材184は強磁性材料からなる単一の素材から一体的に成形されているが、円筒部182の上端部、つまり、円筒部182のコア部180に連続する部分は、レーザー加工によって非磁性化されており、図3においてその部分である非磁性円筒部186を点線によって明確にしている。なお、円筒部182の非磁性円筒部186以外の部分は、強磁性を有しており、強磁性円筒部188という場合がある。
有蓋円筒部材184の強磁性円筒部188の内径は均一とされており、その均一な内径の強磁性円筒部188には、強磁性材料により形成された概して円柱形状のプランジャ本体190を有するプランジャ172が挿入されている。つまり、強磁性円筒部188は、プランジャ本体部被挿入部として機能している。本体部としてのプランジャ本体190には、それの軸線方向における中央部に、径方向に延び出す延出部192が形成されており、その延出部192の外径は、他の部分の外径より大きくなっている。このため、プランジャ本体190と円筒部182とのクリアランスは、その最小クリアランス部としての延出部192において最も小さくされている。ちなみに、延出部192の外径は円筒部182の内径より僅かに小さくされており、プランジャ172はハウジング174内を軸線方向に円滑に移動できるようになっている。なお、図4でも、クリアランスの差を明確にするべく、各クリアランスは誇張して図示されている。
プランジャ本体190の下端面には、有底穴194が形成されており、その有底穴194に、ロッド部材196が固定的に嵌合されている。ロッド部材196の下端は、有蓋円筒部材184の下端部に嵌合された弁部材30に向かい合っており、その弁部材30に形成された貫通穴62の開口64に着座するものとされている。また、プランジャ本体190の上端面にも有底穴198が形成されており、その有底穴198内には、圧縮コイルスプリング102およびストッパ106が配設されている。プランジャ本体190には、有底穴198の内部から径方向に延びるようにして貫通路200が形成されており、その貫通路200は、プランジャ本体190の外周面に開口している。さらに、プランジャ本体190には、それの軸線方向に延びるようにして2本の軸方向通路202,204が形成されている。1本の軸方向通路202は、プランジャ本体190の上端面と下端面とに開口しており、コア部180とプランジャ本体190とによって区画される第1プランジャ室206と、プランジャ本体190と弁部材30とによって区画される第2プランジャ室208とを連通している。一方、別の軸方向通路204は、プランジャ本体190の下端面と貫通路200に開口しており、第2プランジャ室208と貫通路200の内部とを連通している。なお、プランジャ本体190の外周面の下端部には、非磁性材料により形成された環状部材210が固定的に外嵌されている。
上述した構造によって、変形例の電磁式リニア弁170においても、上記電磁式リニア弁10と同様に、作動液の第1液室138への流入初期時において、プランジャ172の軸線のハウジング174の軸線に対する傾斜角を変化させることで、作動液が第1液室138へ勢いよく流入することを抑制している。また、変形例の電磁式リニア弁170においては、プランジャ112が過度に傾斜した場合には、プランジャ本体190の上端面の外縁、つまり、プランジャ本体190と凸部158との間の段差面の外縁が、連結部としての非磁性円筒部186に当接するようにされており、プランジャ172の円滑な軸線方向への移動が担保されている。さらに、プランジャ本体190の外周面の下端部には、非磁性の環状部材210が設けられている。このため、プランジャ172の離座時にプランジャ本体190の下端部が強磁性円筒部188に接触しても、プランジャ本体190の下端部と強磁性円筒部188との間に磁気密着は生じない。したがって、本電磁式リニア弁170では、その環状部材210によって、さらなる円滑な軸線方向への移動が担保されている。
変形例の電磁式リニア弁170においても、貫通路200と軸方向通路202,204とによって、弁室としての第2プランジャ液室208から有底穴198内への作動液の流入経路と、その有底穴198内から第2プランジャ液室208への作動液の流出経路とを異ならせることが可能とされており、有底穴198内の気泡を第2プランジャ液室208に好適に排出させることが可能とされている。詳しく言えば、プランジャ172の下方への移動時に、第2プランジャ液室208内の作動液が、連通路としての軸方向通路202を介して、プランジャ室としての第1プランジャ液室206内に流入する。そして、プランジャ172が上方に移動すると、作動液の第1プランジャ液室206から第2プランジャ液室208への流れによって、有底穴198内に入り込んでいた気泡が、貫通路200および軸方向通路204を介して第2プランジャ液室208に排出されるのである。
ちなみに、変形例の電磁式リニア弁170では、プランジャ172の外周面に延出部192が形成されており、その延出部192が最小クリアランス部として機能しているが、プランジャの外周面を2つのテーパ形状の面によって構成し、外径の最も大きい部分を最小クリアランス部として機能させてもよい。具体的には、図5に示すように、プランジャ220の外周面に、それの中央部から上端部に向かって外径が小さくなるように第1テーパ面222を形成するとともに、その第1テーパ面222の下端からプランジャ220の下端部に向かって外径が小さくなるように第2テーパ面224を形成する。つまり、第1テーパ面222と第2テーパ面224とが交わる部分が最小クリアランス部として機能する。このように2つのテーパ面222,224が形成されたプランジャ220を備えた電磁式リニア弁226も、変形例の電磁式リニア弁170と同様の効果を発揮する。