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JP5661071B2 - Rnaの検出法 - Google Patents

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JP5661071B2 JP2012155292A JP2012155292A JP5661071B2 JP 5661071 B2 JP5661071 B2 JP 5661071B2 JP 2012155292 A JP2012155292 A JP 2012155292A JP 2012155292 A JP2012155292 A JP 2012155292A JP 5661071 B2 JP5661071 B2 JP 5661071B2
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Description

本出願は、米国特許出願第09/577,304号および第09/758,282号の一部継続出願であり、米国特許第5,985,557号の分割出願である米国特許出願第09/350,309号の一部継続出願であり、また、PCT出願であるUS 98/05809号の国内出願であって、同時係属中の米国特許出願第09/381,212号の一部継続出願であり、米国特許第5,994,069号、第6,090,543号、第5,985,557号、第6,001,567号および第5,846,717号、ならびにPCT出願であるUS 97/01072号に対して優先権を主張するものである。
発明の分野
本発明は、核酸配列および核酸配列における変異を検出し、その特徴を調べる組成物および方法に関する。本発明は、標的配列上に核酸切断構造を形成し、部位特異的にその核酸切断構造を切断する方法に関する。例えば、いくつかの態様においては、多様な酵素の5'ヌクレアーゼ活性を用いて、標的依存的な切断構造を切断し、それによって、特異的な核酸配列、または特異的な核酸配列変異が存在することを標示する。
発明の背景
特異的核酸配列および配列変異を検出してその特徴を調べる方法は、ウイルスや細菌の感染の指標となる核酸配列の存在を検出したり、病気や癌に関連する遺伝子の変異または対立遺伝子の存在を検出するために用いられている。これらの方法は、法医学分析または親子鑑定などのために、核酸の持ち主を同定するときにも適用することができる。
特異的核酸配列および配列変異を検出し、その特徴を調べるために使用することができる方法は、当技術分野においてさまざまなものが知られている。それにもかかわらず、ヒトゲノム、ならびに多数の病原性生物のゲノムの核酸配列決定が完了するに伴って、迅速で信頼性が高く、安価で、かつ利便性の高い特異的核酸配列検出試験法に対する需要は増大し続けている。重要なのは、これらの試験法が、目的とする配列をほんの少ししか含んでいない試料から検出可能なシグナルを発生させることができなければならないという点である。以下の考察では、現在使用されている以下の核酸検出アッセイ法を2つの基準で検討する:I.微量配列検出のためのシグナル増幅技術;II.配列の定量的検出のための直接検出技術;およびIII.RNAの直接検出法。
I.増幅のためのシグナル増幅技術法
「ポリメラーゼ連鎖反応」(PCR)は、核酸増幅法の第一世代をなす。しかし、特異性の基礎は同一であるが、異なった増幅メカニズムによってシグナルを発生させる別の方法もいくつか開発されている。このような方法には、「リガーゼ連鎖反応」(LCR)、「自立合成反応(Self-Sustained Synthetic Reaction)」(3SR/NASBA)、および「Qβ-レプリカーゼ」(Qβ)などがある。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
MullisおよびMullisらに付与された米国特許第4,683,195号(特許文献1)、第4,683,202号(特許文献2)、および第4,965,188号(特許文献3)(これらの開示内容は参照として本明細書に組み入れられる)に記載されている通り、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、クロニーングや精製を行わずに、ゲノムDNAの混合物における標的配列のセグメントの濃度を増加させる方法を説明する。この技術は、標的配列の濃度が低いという問題を解決するための一つの方法を提供する。PCRを用いて、直接、標的の濃度を容易に検出可能な高さに上昇させることができる。この標的配列増幅法は、所望の標的配列を含むDNA混合物に、二本鎖標的配列のそれぞれの鎖に相補的な2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを過剰モル濃度導入することを含む。この混合物を変性してから、ハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションした後、ポリメラーゼによってプライマーを伸長させて相補鎖を形成させる。所望の標的配列セグメントを相対的に高濃度で得るために、変性、ハイブリダイゼーション、およびポリメラーゼ伸長という工程を必要なだけ繰り返す。
プライマーの互いに対する相対的な位置から、所望の標的配列セグメントの長さを測定できるので、この長さを調節可能なパラメーターとする。所望の標的配列セグメントが混合液中で(濃度に関して)優勢な配列となるため、これらを「PCR増幅された」ものと言う。
リガーゼ連鎖反応(LCRまたはLAR)
リガーゼ連鎖反応(LCR;Barany, Proc. Natl. Acad. Sci., 88: 189 (1991)(非特許文献1); Barany、PCR Methods and Applic., 1: 5 (1991)(非特許文献2); ならびにWuおよびWallace、Genomics 4: 560 (1989)(非特許文献3)に記載されているように、リガーゼ増幅反応(LAR)とも言われる)は、よく認知された代替的な核酸増幅法となっている。LCRにおいては、標的DNAの一方の鎖に特有にハイブリダイズする2種類の隣り合うオリゴヌクレオチド、および、対向鎖にハイブリダイズする隣り合うオリゴヌクレオチドの相補的なセットという4種類のオリゴヌクレオチドを混合し、混合液にDNAリガーゼを加える。結合部に完全な相補性があれば、ハイブリダイズした分子の各組をリガーゼが共有結合する。LCRで重要なのは、2つのプローブが、ギャップやミスマッチをもつことなく標的試料中の配列と塩基対合したときにだけ一つに連結されるという点である。変性、ハイブリダイゼーション、およびライゲーションというサイクルを繰り返すことによってDNAの短いセグメントが増幅される。また、LCRをPCRと組み合わせて使用し、一塩基の変異の検出強化が実現されている。Segev、PCT国際公開公報第9001069A1号(1990)(特許文献4)。しかし、このアッセイ法で使用される4種類のオリゴヌクレオチドは対合して2つの短い連結可能な断片を形成する可能性があるため、標的とは無関係にバックグラウンドシグナルを生成する可能性がある。変異スクリーニングにLCRを使用するのは、特定の核酸位置を調べるときにだけ限定されている。
自立合成反応(3SR/NASBA)
自立合成反応(3SR)(Guatelliら、Proc. Natl. Acad. Sci., 87: 1874-1878 [1990](非特許文献4)、これに対する正誤訂正、Proc. Natl. Acad. Sci., 87: 7797 [1990](非特許文献5))は、均一な温度でRNA配列を対数的に増幅することができる、転写を利用したインビトロ増幅系である(Kwokら、Proc. Natl. Acad. Sci., 86: 1173-1177 [1989](非特許文献6))。そして、増幅されたRNAを変異検出に利用することができる(Fahyら、PCR Meth. Appl., 1: 25 [1991](非特許文献7))。この方法では、オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、目的とする配列の5'末端にファージのRNAポリメラーゼのプロモーターを付加する。別のプライマー、逆転写酵素、RNase H、RNAポリメラーゼ、ならびにリボ-およびデオキシリボ-ヌクレオシド三リン酸を含む、酵素と基質の混合液の中では、目的とする領域を増幅するために標的配列の転写、cDNA合成、および第二の鎖合成が繰り返し行われる。変異検出のために3SRを使用するのは、DNAの小型のセグメント(例えば、200〜300塩基対)をスクリーニングすることに動力学的に限定される。
Q-ベータ(Qβ)レプリカーゼ
この方法では、目的の配列を認識するプローブが、Qβレプリカーゼにとって複製可能な鋳型RNAに結合する。ハイブリダイズしないプローブを複製することから生じる偽陽性という大きな問題が以前確認されていたが、この問題には、配列特異的なライゲーション工程を採用することで対処している。しかしながら、利用可能な熱安定性DNAリガーゼは、このRNA基質には有効でないため、T4 DNAリガーゼによって低温(37℃)でライゲーションを行わなければならない。このため、LCRと同様の特異性を実現する手段として高温を利用することができず、ライゲーション反応を用いて、結合部位の変異を検出することはできるが、それ以外の部位についてはできない。
下記の表2は、感度の高い核酸診断法において有用なシステムにとって望ましい特徴をいくつか列挙し、主要な増幅法のそれぞれの能力を要約したものである(または、Landgren、Trends in Genetics 9: 199 [1993](非特許文献8)を参照されたい)。
好適な診断法は、特異性が非常に高いものであることが必要である。核酸のハイブリダイゼーションを制御する単純な方法は、反応温度を調節することである。3SR/NASBA、およびQβ系はすべて、大量のシグナルを生成することはできるが、それぞれに含まれる一種類以上の酵素を高温(すなわち、>55℃)で使用することができない。プローブを低温でも簡単に融解できるように短くしたら、複雑なゲノムの中で完全に配列一致する組み合わせ以外のものが生じる可能性が高くなる。これらの理由で、最近では、PCRとLCRが、検出技術の研究分野において主要なものとなっている。
(表1)
Figure 0005661071
PCRおよびLCRにおける増幅法の基礎は、一回のサイクルでの生成物を、その後のすべてのサイクルにおいて鋳型として使用でき、結果的に、各サイクル毎に集団が倍増するという事実にある。このような倍増系における最終収率は、(1+X)n=yと表現することができる。式中、「X」は平均効率(各サイクルで複製される割合(%))であり、「n」はサイクル数、「y」は、全部の効率、すなわち反応物の収率である(Mullis, PCR Methods Applic., 1: 1 [1991](非特許文献9))。ポリメラーゼ連鎖反応のすべてのサイクルで標的DNAのすべてのコピーを鋳型として利用したとすると、平均効率は100%である。20サイクルのPCRを行なった場合、収量は出発物質の220倍、すなわち1,048,576コピーとなる。反応条件を平均効率85%まで低下させると、同様に20サイクルで、出発物質の1.8520倍、すなわち220,513コピーとなる。すなわち、PCRを85%の効率で行なうと、反応を100%の効率で行なったときに較べて、21%の最終産物しか得られないということになる。反応が平均効率50%まで低下すると、可能な生成物の1%未満の収率しか得られない。
実際、通常のポリメラーゼ連鎖反応では、理論上の最大収率を達成することはほとんどないので、低収率を補うために、通常20サイクル以上のPCRを行なう。平均効率50%では、34サイクル行わないと、理論的には20サイクルで可能となる100万倍増幅を達成することができない。そして、それよりも低い効率では、必要となるサイクル数はけた外れなものとなる。なお、バックグラウンド生成物が、目的とする標的よりも高い平均効率で増幅すると主要な生成物となる。
また、ほんの数例を挙げると、標的DNAの長さおよび二次構造、プライマーの長さと設計、プライマーおよびdNTPの濃度、および緩衝液組成など、さまざまな変数がPCRの平均効率に影響を与える。外因性DNA(例えば、実験器具にこぼれ落ちたDNA)による反応液の汚染、すなわち交叉汚染も重要な検討条件である。反応条件は、各プライマー対および標的配列ごとに慎重に最適化する必要があり、熟練した研究者でさえ、この工程に何日もかけることがある。数多くの技術的検討、およびその他の要素など、この工程の煩雑さが、臨床場面におけるPCRの利用を大いに妨げている。実際、PCRは、未だに医療市場に飛躍的には浸透していない。LCRでも、各標的配列毎に、さまざまなオリゴヌクレオチド配列を用いるためにLCRを最適化しなければならないので同じ問題が生じる。さらに、どちらの方法も、正確な温度周期を実施することができる高価な装置を必要とする。
対立遺伝子の変異を調査する場合などのように、核酸検出技術の多くは、複雑なバックグラウンドの中で特異的な配列を検出するだけでなく、数個または1個のヌクレオチドの違いしかない配列を区別することを含んでいる。PCRによって対立遺伝子特異的変異を検出する一つの方法は、鋳型鎖とプライマーの3'末端の間に不一致があると、TaqポリメラーゼがDNA鎖を合成することは困難であるとの事実に基づいている。可能な対立遺伝子の一つにだけ完全に一致するプライマーを使用することで、対立遺伝子特異的変異を検出することができる。別の対立遺伝子とのミスマッチによって、プライマーの伸長ができなくなるため、その配列は増幅されない。この方法には、ミスマッチ配列の塩基組成がミスマッチ配列の伸長を阻害する可能性に影響を与え、一定のミスマッチは伸長を妨げないか、最小の影響しかもたないという点で相当な制約がある(Kwokら、Nucl. Acids Res., 18: 999 [1990](非特許文献10))。
同様な3'-ミスマッチ法が、より高い効果を以て、LCRにおけるライゲーションを阻害するために用いられている(Barany, PCR Methods and Applic., 1: 5 (1991)(非特許文献11))。どのようなミスマッチでも、熱安定性リガーゼの作用を効果的に遮断するが、LCRには、標的非依存的なバックグラウンドライゲーションの生成物が増幅を開始するという問題点がある。さらに、個々の位置におけるヌクレオチドを同定するためにPCRと、その後にLCRを組み合わせることは、明らかに、臨床研究にとっては煩雑な計画でもある。
II.直接検出技術
検出すべき核酸を十分な量用いることができる場合には、(例えば、PCRおよびLCRなどで)その標的のコピーをより多く作成することなく、その配列を直接検出できることには利点がある。もっとも顕著には、シグナルを対数的に増殖しない方法は、定量解析の感度がより高いということである。1個のヌクレオチドに複数の色素を付着させてシグナルを増強させたとしても、最終シグナル強度と標的量との間の相関関係は直接的である。このようなシステムには、反応生成物自体がさらなる反応を進めることはないため、生成物による実験器具の表面の汚染は大した関心の対象にならないという、さらに別の利点がある。ノーザンおよびサザンブロッティング、およびRNase保護アッセイ法など、従来からの直接検出法では、通常、放射能の使用が必要なため、自動化には馴染まない。最近になって考案された技術では、放射能の使用をなくすこと、および/または、自動化方式での感度を上昇させることを目指してきた。2つの例が「サイクリングプローブ反応(Cycling Probe Reaction)」(CPR)と「分岐DNA法(Branched DNA)」(bDNA)である。
サイクリングプローブ反応(CPR)(Duckら、BioTech., 9: 142 [1990](非特許文献12))では、中心部がRNAでできていて、2つの末端部はDNAでできている、長いキメラオリゴヌクレオチドを使用する。標的DNAへのプローブのハイブリダイゼーション、および熱安定性RNase Hへの曝露によって、RNA部分の分解が起きる。これによって、残りの二本鎖DNA部分が不安定化して、標的DNAから残りのプローブが解離するため、別のプローブ分子がこの工程を繰り返すことが可能になる。切断されたプローブ分子という形のシグナルが、直線的な速さで蓄積される。この工程を繰り返せばシグナルは増加するが、オリゴヌクレオチドのRNA部位は、試料調製によって持ち込まれるRNaseによって分解されやすい。
Urdeaら、Gene 61:253-264 (1987)(非特許文献13)が記載した分枝DNA法 (bDNA)は、各オリゴヌクレオチドに35個から40個の標識(例えば、アルカリホスファターゼ酵素)をもたせることができる分枝構造をもつオリゴヌクレオチドを含む。これによって、ハイブリダイゼーションによって生じるシグナルが増強されるが、非特異的結合によって生じるシグナルも同様に増強される。
これらの方法はどちらも、上記の直接検出法の利点を持っているが、CPRとbDNAのどちらの方法も、上記第I節で述べたシグナル増幅法では普通である、2種類以上のプローブ(オリゴヌクレオチド)配列によって別々に認識することを要求することによって可能となる特異性を利用することができない。検出可能なシグナルを生成するためには、2つのオリゴヌクレオチドが一つの標的核酸に結合しなければならないという条件は、どの検出アッセイ法に対しても特別なストリンジェンシーの基準を与える。2つのオリゴヌクレオチドが一つの標的核酸に結合することが必要となることで、標的へのプローブの非特異的結合によって偽「陽性」の結果が生じる機会が減少する。さらに、オリゴヌクレオチドを反対方向であるが正しい方向に配向させて、DNAポリメラーゼが2つのオリゴヌクレオチドの間にあるギャップを両方向から埋めることができるようになければならないPCRにおいて必要とされるように、2つのオリゴヌクレオチドを、標的に対して特異的な方向で結合させなければならないという条件は、検出反応の特異性をさらに増強する。しかし、PCRは2種類のオリゴヌクレオチドプローブ(プライマーと言う)を利用しながらも、「非特異的」増幅(すなわち、用いた2種類のプライマーによって指令されない配列増幅)が一般的なアーティファクトであるというのは、当業者に周知のことである。これは、一部は、PCRに使用するDNAポリメラーゼが、オリゴヌクレオチド間に、ヌクレオチドで測ると非常に長い距離があっても対応できるため、オリゴヌクレオチドの非特異的結合によって不適当な生成物の対数増加をもたらしうるような大きな枠があることが原因である。これに対して、LCRは、使用するオリゴヌクレオチドが互いに隣り合って結合しないかぎり反応を進行させることができない。このため、二重のオリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションの恩典が十分に認識されている。
理想的な直接検出法は、直接検出アッセイ法の利点(例えば、定量の容易さ、持ち越し汚染のリスクが最小であるなど)を、二重オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション測定法と組み合わせたものであると考えられる。
III.RNAの直接検出法
分子医学では、直接的かつ定量的にRNAを検出するための簡単で安価な方法があれば、RNAウイルスの解析や特異的遺伝子発現の測定を大きく促進させることができよう。これらの問題はどちらも、現在、当分野において急を要する問題となっている。このような必要にも関わらず、本当に直接的といえる技術はほとんど出現していない。PCRを利用する検出アッセイ法は、増幅をしたり、正確な定量を危うくしうる変数を導入したりする前に、RNAをDNAに変換する必要がある。さらに、対数的増幅に基づいたPCRや他の方法(例えば、NASBA)は、交叉汚染を防ぐために手の懸かる封じ込め装置を必要とし、また、小さな量的差異(例えば、2倍から3倍)を区別するのは困難である。RNAを直接調べる他の試験法には、時間のかかるオートラジオグラフィーの工程(例えば、RNase保護アッセイ法)や、一晩という反応時間を要する(例えば、分枝DNAアッセイ法)など、さまざまな短所がある。米国では、毎年150万件を超すウイルス負荷量測定が行われているため、RNAの定量的測定を行うための安価で迅速でハイスループットなシステムには大きな可能性がある。
mRNAを直接的かつ定量的に検出する技術は、多数のさまざまな遺伝子の発現を観察するために重要である。特に、サイトカイン(例えば、インターロイキンおよびリンフォカイン)の発現量が、広範な病気の進行における免疫応答の臨床的測定値として(Van Deurenら、J. Int. Fed. Clin. Chem., 5: 216 [1993](非特許文献14)、Van Deurenら、J. Inf. Dis., 169: 157 [1994](非特許文献15)、Perenboomら、Eur. J. Clin. Invest., 26: 159 [1996](非特許文献16)、Guidottiら、Immunity 4: 25 [1996](非特許文献17))、ならびに、移植レシピエントを監視するために(Grantら、Transplantation 62: 910 [1996](非特許文献18))利用されている。さらに、ウイルス負荷量をモニターし、ウイルスの遺伝子型を同定することは、HIVやC型肝炎ウイルス(HCV)などの病原体によるウイルス感染症を患う人々にとって臨床上重要な意味がある。ウイルス負荷量(すなわち、血流中のウイルス粒子の絶対数)とAIDSに進展するまでの時間との間には高い相関関係がある(Mellorsら、Science 272: 1167 [1996](非特許文献19)、Saagら、Nature Medicine 2: 265 [1996](非特許文献20))。このような理由で、核酸による定量的試験法によって測定されるウイルス量が、HIV陽性患者の治療の有効性および臨床状態を評価するための標準的な監視手段となりつつある。感染のできるだけ初期にウイルス負荷量を減少させること、および定期的にウイルス量を評価することが重要であると考えられている。HCVの場合には、肝臓病の重さおよびインターフェロン療法への応答性と相関性があるため、ウイルスの遺伝子型が臨床上重要な意味をもつ。さらに、HCVは培養できないため、ウイルスの遺伝子型と臨床結果などの特徴同士の間に相関関係を確立することによってしか、新しい抗ウイルス治療法を評価することができない。
上記した方法は、処理量が低いとき、研究への応用、または限られた臨床応用には役立てることができたが、どのような遺伝子系にも簡単に適用することができるRNAの大量定量解析法システムには、さらに革新的な取り組みが必要であることは明らかである。理想的な直接検出法は、直接検出アッセイ法の利点(例えば、定量の容易さ、持ち越し汚染のリスクが最小であるなど)を、二重オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション測定法によって提供される特異性とを組み合わせたものであると考えられる。
上記した方法の多くは、他の核酸から標的分子を区別するのに、ハイブリダイゼーションのみに依存している。これらの方法のいくつかは非常に感度が高いが、近縁のmRNA、特に、同一の試料中で異なった量発現しているRNAを正確に定量したり、区別することはほとんどできない。上記の方法はいくつかの目的には役立つが、特に、巧みに特定のRNAを近縁の分子と区別する技術に対する需要が存在する。
米国特許第4,683,195号 米国特許第4,683,202号 米国特許第4,965,188号 PCT国際公開公報第9001069A1号
Barany, Proc. Natl. Acad. Sci., 88: 189 (1991) Barany、PCR Methods and Applic., 1: 5 (1991) WuおよびWallace、Genomics 4: 560 (1989) Guatelliら、Proc. Natl. Acad. Sci., 87: 1874-1878 [1990] Guatelliら、Proc. Natl. Acad. Sci., 87: 7797 [1990] Kwokら、Proc. Natl. Acad. Sci., 86: 1173-1177 [1989] Fahyら、PCR Meth. Appl., 1: 25 [1991] Landgren、Trends in Genetics 9: 199 [1993] Mullis, PCR Methods Applic., 1: 1 [1991] Kwokら、Nucl. Acids Res., 18: 999 [1990] Barany, PCR Methods and Applic., 1: 5 (1991) Duckら、BioTech., 9: 142 [1990] Urdeaら、Gene 61:253-264 (1987) Van Deurenら、J. Int. Fed. Clin. Chem., 5: 216 [1993] Van Deurenら、J. Inf. Dis., 169: 157 [1994] Perenboomら、Eur. J. Clin. Invest., 26: 159 [1996] Guidottiら、Immunity 4: 25 [1996] Grantら、Transplantation 62: 910 [1996] Mellorsら、Science 272: 1167 [1996] Saagら、Nature Medicine 2: 265 [1996]
本発明は、核酸配列および核酸配列における変異を検出し、その特徴を調べる組成物および方法に関する。本発明は、標的配列上に核酸切断構造を形成し、部位特異的にその核酸切断構造を切断する方法に関する。例えば、いくつかの態様においては、多様な酵素の5'ヌクレアーゼ活性を用いて、標的依存的な切断構造を切断し、それによって、特異的な核酸配列、または特異的な核酸配列変異が存在することが示される。
本発明は、中温性、好冷性、好熱性、および超好熱性の生物など多様な生物源に由来する構造特異的な切断因子(例えば、ヌクレアーゼ)を提供する。好適な構造特異的ヌクレアーゼは熱安定性である。熱安定性構造特異的ヌクレアーゼは、核酸のハイブリダイゼーションが非常に特異的な温度で作用する点で特に有用であり、対立遺伝子特異的検出(一塩基ミスマッチなど)を可能にする。一つの態様において、熱安定性構造特異的ヌクレアーゼは、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、サーマス・フラバス(Thermus flavus)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)などであるが、これらに限定されないサーマス種の天然型ポリメラーゼに由来する改変ポリメラーゼを含む熱安定性5'ヌクレアーゼである。しかし、本発明は、熱安定性5'ヌクレアーゼの使用に限定されるものではない。FEN-1、RAD2、およびXPGに分類されるヌクレアーゼに由来する熱安定性構造特異的ヌクレアーゼも好ましい。
本発明は、標的配列(例えば、突然変異、多型性など)を検出する方法であって、標的配列を含むと思われる試料、標的配列の存在下で侵襲的(invasive)切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチド、および侵襲的切断構造の存在を検出するための因子を提供する工程、ならびにこの試料をオリゴヌクレオチドおよび因子に曝露する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、本方法は、さらに、因子と侵襲的切断構造を含む複合体を(直接的または間接的に)検出する工程を含む。いくつかの態様において、この因子は切断因子を含む。いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび因子に曝露する工程は、標的配列が試料中に存在する場合に、標的配列とオリゴヌクレオチドの間で侵襲的切断構造が形成される条件下で試料をオリゴヌクレオチドおよび因子に曝露して、この侵襲的切断構造を切断因子で切断して切断産物を形成させることを含む。いくつかの態様において、本方法は、さらに、切断産物を検出する工程を含む。いくつかの態様において、標的配列は、第二の領域が第一の領域の下流に連続して存在する、第一の領域と第二の領域を含み、オリゴヌクレオチドは、第一および第二のオリゴヌクレオチドを含み、この第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が、標的配列の第一の部位に完全に相補的であり、また、第二のオリゴヌクレオチドが3'部位と5'部位を含み、この5'部位が該標的核酸の第二の部位に完全に相補的である。
本発明は、また、このような標的配列を検出するためのキットであって、標的配列存在下で侵襲的切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。いくつかの態様において、このキットは、さらに、侵襲的切断構造の存在を検出するためにの因子(例えば、切断因子)を含む。いくつかの態様において、このオリゴヌクレオチドは、第一および第二のオリゴヌクレオチドを含み、該第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一の領域に相補的な5'部位を含み、該第二のオリゴヌクレオチドが、3'部位と、第一の領域の下流に連続して存在する標的核酸の第二の領域に相補的な5'部位を含んでいる。いくつかの好ましい態様において、標的配列は含む。
また、本発明は、非標的切断産物を検出することによって、標的核酸分子の存在を検出する方法であって、切断因子;標的核酸の起源;第二の領域が第一の領域の下流に連続して存在する、第一の領域と第二の領域を含む標的核酸;第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が、標的配列の第一の部位に完全に相補的な第一のオリゴヌクレオチド;ならびに3'部位と5'部位を含み、この5'部位が標的核酸の第二の部位に完全に相補的な第二のオリゴヌクレオチドを提供する工程;切断因子、標的核酸、第一のオリゴヌクレオチド、および第二のオリゴヌクレオチドを混合して、第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が、該標的核酸の第一の領域にアニーリングし、第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも5'部位が該標的核酸の第二の領域にアニーリングして切断構造を形成し、さらに、切断構造の切断が起きて非標的切断産物が生成するような反応条件下で、反応混合液を作成する工程;ならびに切断構造の切断を検出する工程を含む方法を提供する。
切断構造の切断の検出は、任意の方法で行なうことができる。いくつかの態様において、切断構造の切断の検出は、非標的切断産物の検出を含む。さらに別の態様において、切断構造の切断の検出は、蛍光、質量、または蛍光エネルギー移動を検出することを含む。この他の検出方法には、放射能、発光、リン光、蛍光偏光、および電荷を検出することなどがあるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、非標的切断産物、タンパク質結合領域の一本鎖部分を規定するためにアニーリングしている2種類の一本鎖核酸を含む組成物、およびタンパク質を提供する工程、タンパク質がタンパク質結合領域に結合する条件下で、非標的切断産物を、タンパク質結合領域の一本鎖部分に曝露する工程を含む方法によって、検出を行なう。いくつかの態様において、このタンパク質は、タンパク質結合領域に結合して核酸を生成する核酸生成タンパク質を含む。いくつかの態様において、タンパク質結合領域は、鋳型依存的RNAポリメラーゼ結合領域(例えば、T7 RNAポリメラーゼ結合領域)である。別の態様においては、非標的切断産物、RNAポリメラーゼ結合領域の一本鎖部分を規定する配列を含む一本の連続した核酸鎖、鋳型依存型DNAポリメラーゼ、および鋳型依存型RNAポリメラーゼを提供する工程、非標的切断産物をRNAポリメラーゼ結合領域の一本鎖部分に結合させて結合非標的切断産物を生成させる条件下で、非標的切断産物を、RNAポリメラーゼ結合領域に曝露する工程、二本鎖RNAポリメラーゼ結合領域を生成させる条件下で結合非標的切断産物を鋳型依存型DNAポリメラーゼに曝露する工程、ならびにRNA転写産物が生成されるような条件下で、二本鎖RNAポリメラーゼ結合領域を鋳型依存型RNAポリメラーゼに曝露する工程を含む方法によって検出を行なう。いくつかの態様において、本方法は、さらに、RNA転写産物を検出する工程を含む。いくつかの態様において、鋳型依存型RNAポリメラーゼはT7 RNAポリメラーゼである。
本発明は、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位の性質によって制限されない。いくつかの好ましい態様において、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位は、標的核酸に相補的でない3'末端ヌクレオチドを有する。いくつかの態様において、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位は、標的核酸に相補的でない単一のヌクレオチドを含む。
本方法のいかなる成分も固相支持体に付着させることができる。例えば、いくつかの態様においては、第一のオリゴヌクレオチドを固相支持体に付着させる。別の態様においては、第二のオリゴヌクレオチドを固相支持体に付着させる。
切断因子は、侵襲的切断構造切断することのできる因子である。いくつかの態様において、切断因子は、構造特異的ヌクレアーゼを含む。特に好ましい態様においては、構造特異的ヌクレアーゼは、熱安定性構造特異的ヌクレアーゼ(例えば、熱安定性5'ヌクレアーゼ)を含む。熱安定性構造特異的ヌクレアーゼには、好熱性生物(例えば、サーマス・アクアティカス、サーマス・フラバス、およびサーマス・サーモフィラス)に由来する熱安定性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列の一部に相同なアミノ酸配列を有するヌクレオチドがあるが、これらに限定されない。別の態様において、熱安定性構造特異的ヌクレアーゼは、FEN-1、RAD2、またはXPGに分類されるヌクレアーゼに由来するヌクレアーゼ、または、上記切断因子のいずれかの一部またはそれ以上の部位を含む化学構造を含む。
本方法は、標的核酸の性質により制限されない。いくつかの態様において、標的核酸は、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAである。いくつかの態様において、二本鎖核酸は、切断構造を形成する前に(例えば、熱によって)一本鎖にされる。いくつかの態様において、標的核酸の起源には、ゲノムDNAを含む試料が含まれる。試料には、血液、唾液、脳脊髄液、胸水、乳汁、リンパ液、痰、および精液などがあるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、本方法での反応条件は、二価性カチオンの供給源を提供することを含む。いくつかの態様において、二価性カチオンはMn2+イオンおよびMg2+イオンからなる群より選択される。いくつかの態様において、本方法での反応条件は、標的核酸と較べて過剰濃度の第一および第二のオリゴヌクレオチドを提供することを含む。
いくつかの態様において、本方法は、さらに、標的核酸の第一の部位の上流にある、標的核酸の第三の部位に相補的な第三のオリゴヌクレオチドであって、反応混合液と混合される第三のオリゴヌクレオチドを提供する工程を含む。
本発明は、また、非標的切断産物を検出することによって標的核酸部分の存在を検出する方法であって、切断因子;標的核酸の起源;第二の領域が第一の領域の下流に連続して存在する、第一の領域と第二の領域を含む標的核酸;第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が、標的配列の第一の部位に完全に相補的な複数の第一のオリゴヌクレオチド;ならびに3'部位と5'部位を含み、この5'部位が標的核酸の第二の部位に完全に相補的な第二のオリゴヌクレオチドを提供する工程;切断因子、標的核酸、複数の第一のオリゴヌクレオチド、および第二のオリゴヌクレオチドを混合して、第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が、標的核酸の第一の領域にアニーリングし、第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも5'部位が標的核酸の第二の領域にアニーリングして切断構造を形成し、さらに、切断構造の切断が起きて非標的切断産物を生成させるような反応条件であって、複数種の切断構造を形成することができ、標的核酸から切り取ることができるような反応条件下で反応混合液を作成する工程;ならびに該切断構造の切断を検出する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、この条件は、複数の第一のオリゴヌクレオチドを標的核酸から解離させる等温条件を含む。本発明は、特定の標的核酸上で形成される切断構造の数により制限されるが、いくつかの態様においては、複数の第一のオリゴヌクレオチドの2個またはそれ以上(3、4、5、...、10、...、10000、...)が、特定の標的核酸とともに切断構造を形成し、これらの切断構造を切断して非標的切断産物を産生する。
本発明は、また、上記の方法でできた切断産物をさらに別の侵襲的切断反応において使用する方法を提供する。例えば、本発明は、切断因子;第二の領域が第一の領域の下流に連続して存在する、第一の領域と第二の領域を含む第一の標的核酸;第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が、第一の標的核酸の第一の部位に完全に相補的である第一のオリゴヌクレオチド; 3'部位と5'部位を含み、この5'部位が第一の標的核酸の第二の部位に完全に相補的である第二のオリゴヌクレオチド;第二の領域が第一の領域の下流に連続して存在する、第一の領域と第二の領域を含む第二の標的核酸;ならびに第三のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が、第二の標的核酸の第一の部位に完全に相補的である第三のオリゴヌクレオチドを提供する工程;第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも該部位が第一の標的核酸の第一の領域にアニーリングし、第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも5'部位が第一の標的核酸の第二の領域にアニーリングし、また、第一の切断構造の切断が切断因子によって生じて、3'部位と5'部位とを含む第四のオリゴヌクレオチドであって、5'部位が第二の標的核酸の第二の部位に完全に相補的である第四のオリゴヌクレオチドを生成させる第一の切断構造を生成させる工程;第三のオリゴヌクレオチドの少なくとも該部位が第二の標的核酸の第一の領域にアニーリングし、第四のオリゴヌクレオチドの少なくとも5'部位が第二の標的核酸の第二の領域にアニーリングし、また、第二の切断構造の切断が生じて、切断断片を生成させる第二の切断構造を生成させる工程;ならびに第二の切断構造の切断を検出する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、第四のオリゴヌクレオチドの3'部位は、第二の標的核酸に相補的ではない3'末端ヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、第三のオリゴヌクレオチドの3'部位は、第二の標的核酸に共有結合により連結している。いくつかの態様において、第二の標的核酸は、さらに、第二の標的核酸の5'側領域が第三のオリゴヌクレオチドである5'側領域を含む。本発明は、さらに、切断因子;標的配列の第一の部位に相補的な5'部位を含む第一のオリゴヌクレオチド;ならびに3'部位と5'部位を含み、この5'部位が標的核酸の第一の部位の下流にあってそれに連続している標的核酸の第二の部位に相補的である第二のオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。いくつかの態様において、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位は、標的核酸に相補的でない3'末端ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位は、標的核酸に相補的でない単一のヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、本キットは、さらに固相支持体を含む。例えば、いくつかの態様において、第一および/または第二のオリゴヌクレオチドが該固相支持体に付着している。いくつかの態様において、本キットは、さらに、緩衝液を含む。いくつかの態様において、緩衝液は二価性カチオン(例えば、Mn2+イオンおよび/またはMg2+イオン)の発生源を含む。いくつかの態様において、本キットは、さらに、第一の標的核酸の第一の部位の上流にある、標的核酸の第三の部位に相補的な第三のオリゴヌクレオチドを含む。さらに別の態様において、本キットは、さらに、標的核酸を含む。いくつかの態様において、本キットは、さらに、第二の標的核酸を含む。さらに別の態様において、本キットは、さらに、第二の標的核酸の第一の領域に相補的な5'部位を含む第三のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、第三のオリゴヌクレオチドの3'部位は、第二の標的核に共有結合的に連結している。別の具体的な態様においては、第二の標的核酸は、さらに、第二の標的核酸の5'部位が第三のオリゴヌクレオチドである5'部位を含む。さらに別の態様においては、本キットは、さらに、ARRESTOR分子(例えば、ARRESTORオリゴヌクレオチド)を含む。
本発明は、さらに、a)第一の領域、第二の領域、第三の領域、および第四の領域を含む標的核酸であって、第一の領域が第二の領域の下流に隣接しており、第二の領域が第三の領域の下流に隣接しており、第三の領域が第四の領域の下流に隣接している標的核酸;b)標的核酸の第四の領域に相補的な第一のオリゴヌクレオチド;c)3'部位と5'部位を含む第二のオリゴヌクレオチドであって、第二のオリゴヌクレオチドの5'部位が標的核酸の第二の領域に相補的な配列を含み、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位が標的核酸の第三の領域に相補的な配列を含む第二のオリゴヌクレオチド;ならびにd)3'部位と5'部位を含む第三のオリゴヌクレオチドであって、第三のオリゴヌクレオチドの5'部位が標的核酸の第一の領域に相補的な配列を含み、第三のオリゴヌクレオチドの3'部位が標的核酸の第二の領域に相補的な配列を含む第三のオリゴヌクレオチドを含む切断構造を含む組成物を提供する。
本発明は、標的核酸の4つの領域の長さにより制限されるものではない。一つの態様において、標的核酸の第一の領域は、11〜50ヌクレオチドの長さである。別の態様において、標的核酸の第二の領域は、1〜3ヌクレオチドの長さである。別の態様において、標的核酸の第三の領域は、6から9ヌクレオチドの長さである。さらに別の態様において、標的核酸の第四の領域は、6から50ヌクレオチドの長さである。
本発明は、第一、第二、第三および第四のオリゴヌクレオチドの性質又は組成により制限されるものではなく、これらのオリゴヌクレオチドはDNA、RNA、PNA、およびこれらを組み合わせたものを含むことができ、また、修飾されたヌクレオチド、汎用塩基(universal base)、付加体(adduct)などを含むこともできる。さらに、第一、第二、第三および第四のオリゴヌクレオチドのうち一つまたは複数が、3'末端にジデオキシヌクレオチドを含むことができる。
好ましい態様において、標的核酸は、第一、第二、第三および第四のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つに完全には相補的でない。特に好ましい態様においては、標的核酸は、第二のオリゴヌクレオチドに完全には相補的でない。
上記のとおり、本発明は、検出法において構造特異的ヌクレアーゼを使用することを意図したものである。一つの態様において、本発明は、非標的切断産物を検出することによって標的核酸分子の存在を検出する方法であって、a)i)切断手段、ii)第一の領域、第二の領域、第三の領域、および第四の領域を含む標的核酸であって、第一の領域が第二の領域の下流に隣接しており、第二の領域が第三の領域の下流に隣接しており、第三の領域が第四の領域の下流に隣接している標的核酸の起源、iii)標的核酸の第四の領域に相補的な第一のオリゴヌクレオチド;iv)3'部位と5'部位を含む第二のオリゴヌクレオチドであって、第二のオリゴヌクレオチドの5'部位が標的核酸の第二の領域に相補的な配列を含み、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位が標的核酸の第三の領域に相補的な配列を含む第二のオリゴヌクレオチド;iv)3'部位と5'部位を含む第三のオリゴヌクレオチドであって、第三のオリゴヌクレオチドの5'部位が標的核酸の第一の領域に相補的な配列を含み、第三のオリゴヌクレオチドの3'部位が標的核酸の第二の領域に相補的な配列を含む第三のオリゴヌクレオチドを提供する工程;b)第一のオリゴヌクレオチドが標的核酸の第四の領域にアニーリングし、第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも3'部位が標的核酸にアニーリングし、また、第三のオリゴヌクレオチドの少なくとも5'部位が標的核酸にアニーリングして切断構造を作出し、この切断構造の切断が生じて、それぞれ3'-ヒドロキシル基をもつ非標的切断産物が生成されるような反応条件下で、切断手段、標的核酸、第一のオリゴヌクレオチド、第二のオリゴヌクレオチド、および第三のオリゴヌクレオチドを混合する工程、ならびにc)非標的切断産物を検出する工程を含む方法を提供する。
本発明は、標的核酸の性質によって制限されない。一つの態様において、標的核酸は一本鎖DNAを含む。別の態様において、標的核酸は二本鎖DNAを含み、工程c)の前に、二本鎖DNAが実質的に一本鎖となるように反応混合液を処理する。別の態様において、標的核酸はRNAを含み、第一および第二のオリゴヌクレオチドはDNAを含む。
本発明は、切断手段の性質によって制限されない。一つの態様において、切断手段は構造特異的ヌクレアーゼであり、特に好適な構造特異的ヌクレアーゼは熱安定性構造特異的ヌクレアーゼである。
別の好ましい態様において、熱安定性構造特異的ヌクレアーゼはキメラヌクレアーゼである。
代替的な好ましい態様において、非標的切断産物の検出法は、反応産物を電気泳動によって分離し、その後、分離された非標的切断産物を可視化することを含む。
別の好ましい態様において、第一、第二、および第三のオリゴヌクレオチドのうち一つまたは複数が3'末端にジデオキシヌクレオチドを含む。ジデオキシヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを使用する場合、非標的切断産物の検出は、好ましくは、a)少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドが非標的切断産物の3'-ヒドロキシル基に付加されて標識された非標的切断産物が生成されるような条件下で、非標的切断産物を、鋳型非依存型ポリメラーゼ、および少なくとも1つの標識ヌクレオシド三リン酸とともにインキュベートする工程、ならびにb)標識された非標的切断産物の存在を検出する工程を含む。本発明は、用いられる鋳型非依存型ポリメラーゼの性質によって制限されず、一つの態様において、鋳型非依存型ポリメラーゼは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびポリAポリメラーゼからなる群より選択される選択される。TdTまたはポリAポリメラーゼを検出工程で使用する場合には、第二のオリゴヌクレオチドは、標識ヌクレオシド三リン酸上に存在する標識とは異なる標識である5'末端標識を含むことができる。本発明は、5'末端標識の性質によって制限されず、当技術分野において、適当な5'末端標識にはさまざまななものが知られており、ビオチン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3アミダイト、Cy5アミダイト、およびジゴキシゲニンが含まれる。
別の態様において、非標的切断産物の検出は、a)少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが非標的切断産物の3'-ヒドロキシル基に付加されて端が尾状になった非標的切断産物が生成されるような条件下で、非標的切断産物を、鋳型非依存型ポリメラーゼ、および少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸とともにインキュベートする工程、ならびにb)端が尾状になった非標的切断産物の存在を検出する工程を含む。本発明は、用いられる鋳型非依存型ポリメラーゼの性質によって制限されず、一つの態様において、鋳型非依存型ポリメラーゼは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびポリAポリメラーゼからなる群より選択される選択される。TdTまたはポリAポリメラーゼを検出工程で使用する場合には、第二のオリゴヌクレオチドは5'末端標識を含むことができる。本発明は、5'末端標識の性質によって制限されず、当技術分野において、適当な5'末端標識にはさまざまななものが知られており、ビオチン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3アミダイト、Cy5アミダイト、およびジゴキシゲニンが含まれる。
好ましい態様において、反応条件は、二価性カチオンの起源を提供することを含み、特に好適な二価性カチオンはMn2+イオンおよびMg2+イオンである。
本発明は、さらに、非標的切断産物を検出することによって標的核酸分子の存在を検出する方法であって、a)i)切断手段、ii)第一の領域、第二の領域、および第三の領域を含む標的核酸であって、第一の領域が第二の領域の下流に隣接しており、第二の領域が第三の領域の下流に隣接している標的核酸の起源、iii)3'部位と5'部位を含む第一のオリゴヌクレオチドであって、第一のオリゴヌクレオチドの5'部位が標的核酸の第二の領域に相補的な配列を含み、第一のオリゴヌクレオチドの3'部位が標的核酸の第三の領域に相補的な配列を含む第一のオリゴヌクレオチド;iv)長さが11個から15個のヌクレオチドで、3'部位と5'部位を含む第二のオリゴヌクレオチドであって、第二のオリゴヌクレオチドの5'部位が標的核酸の第一の領域に相補的な配列を含み、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位が標的核酸の第二の領域に相補的な配列を含む第三のオリゴヌクレオチドを提供する工程;b)第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも3'部位が標的核酸にアニーリングし、また、第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも5'部位が標的核酸にアニーリングして切断構造を作出し、この切断構造の切断が生じて、それぞれが3'-ヒドロキシル基をもつ非標的切断産物が生成されるような反応条件下で、切断手段、標的核酸、第一のオリゴヌクレオチド、および第二のオリゴヌクレオチドを混合する工程、ならびにc)非標的切断産物を検出する工程を含む方法を提供する。好ましい態様において、切断手段は構造特異的ヌクレアーゼ、好ましくは、熱安定性構造特異的ヌクレアーゼである。
本発明は、標的核酸のさまざまな領域の長さにより制限されることはない。好ましい態様において、標的核酸の第二の領域は1〜5ヌクレオチドの長さである。別の好ましい態様において、第一および第二のオリゴヌクレオチドのうち一つまたは複数が、3'末端にジデオキシヌクレオチドを含む。ジデオキシヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを使用する場合、非標的切断産物の検出は、好ましくは、a)少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドが非標的切断産物の3'-ヒドロキシル基に付加されて標識された非標的切断産物が生成されるような条件下で、非標的切断産物を、鋳型非依存型ポリメラーゼ、および少なくとも1つの標識ヌクレオシド三リン酸とともにインキュベートする工程、ならびにb)標識された非標的切断産物の存在を検出する工程を含む。本発明は、用いられる鋳型非依存型ポリメラーゼの性質によって制限されず、一つの態様において、鋳型非依存型ポリメラーゼは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびポリAポリメラーゼからなる群より選択される選択される。TdTまたはポリAポリメラーゼを検出工程で使用する場合には、第二のオリゴヌクレオチドは、標識ヌクレオシド三リン酸上に存在する標識とは異なる標識である5'末端標識を含むことができる。本発明は、5'末端標識の性質によって制限されず、当技術分野において、適当な5'末端標識にはさまざまななものが知られており、ビオチン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3アミダイト、Cy5アミダイト、およびジゴキシゲニンが含まれる。
別の態様において、非標的切断産物の検出は、a)少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが非標的切断産物の3'-ヒドロキシル基に付加されて端が尾状になった非標的切断産物が生成されるような条件下で、非標的切断産物を、鋳型非依存型ポリメラーゼ、および少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸とともにインキュベートする工程、ならびにb)端が尾状になった非標的切断産物の存在を検出する工程を含む。本発明は、用いられる鋳型非依存型ポリメラーゼの性質によって制限されず、一つの態様において、鋳型非依存型ポリメラーゼは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびポリAポリメラーゼからなる群より選択される選択される。TdTまたはポリAポリメラーゼを検出工程で使用する場合には、第二のオリゴヌクレオチドは5'末端標識を含むことができる。本発明は、5'末端標識の性質によって制限されず、当技術分野において、適当な5'末端標識にはさまざまななものが知られており、ビオチン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3アミダイト、Cy5アミダイト、およびジゴキシゲニンが含まれる。
本発明に係る新規の検出法は、病気または癌に関連しているか、関連している可能性のある、ヒトまたは動物由来の遺伝子などの野生型および変異型の対立遺伝子を含む標的DNAおよびRNAであるが、これらに限定されない標的DNAおよびRNAを検出するために用いることができる。さらに、本発明に係る方法は、細菌、真菌、原生動物、繊毛虫類、およびウイルスなど微生物の系統を検出および/または同定するために(特に、HCVなどのRNAウイルスを検出および同定するために)使用することができる。
本発明は、さらに、核酸、特にRNAを直接に検出、特徴づけ、および定量化するために設計された新規の酵素を提供する。本発明は、標的RNA配列上に形成された特異的核酸切断構造を認識し、この核酸切断構造を部位特異的に切断して非標的切断産物を産生する酵素を提供する。本発明は、DNAおよびRNAの核酸鎖を含む複合体のDNA成分を特異的に切断する改良された能力を有する酵素を提供する。
例えば、本発明は、核酸(例えば、RNA)を含む構造体の切断を利用する検出アッセイ法における効率が変化する(例えば、向上する)ように、天然型のDNAポリメラーゼに較べて構造が変化したDNAポリメラーゼを提供する。特に、本発明に係る改変ポリメラーゼは、RNA標的鎖を含む切断構造体(例えば、侵襲的切断構造体)のDNA成分の切断を利用する検出アッセイ法において効率の向上を示す。
検出アッセイ法における効率の向上は、いくつかの改良された特徴の一つまたは組み合わせによってもたらすことできる。例えば、一つの態様において、本発明に係る酵素は、特異的な標的構造の切断速度(kcat)が向上しているため、所定の時間内に大量の切断産物を産生することができる。別の態様において、本発明に係る酵素は、不適当または非特異的な構造を切断する活性または速度が低下している可能性がある。例えば、本発明の一定の態様において、一定の態様において、改良の一態様は、特異的な構造の切断の検出可能量と、別の構造の切断の検出可能量との間の差異が増加する点にある。従って、特異的な構造の切断の検出可能量と、別の構造の切断の検出可能量との間の差異が増加するように、天然型の酵素の速さに較べて、特異的標的構造の切断速度が低下したため、特異的な構造体の切断の検出可能量と、別の構造体の切断の検出可能量との間の差異が増加することになる酵素を提供することは、本発明の範囲に含まれる。しかし、本発明は、差異が改良される酵素に限定されることはない。
好ましい態様において、本発明に係る酵素は、この酵素が由来した天然型DNAポリメラーゼの活性に較べて、上記したように改変されたヌクレアーゼ活性をもち、改変された合成活性をもつDNAポリメラーゼである。天然型DNAポリメラーゼの活性に較べて、RNA標的上でのヌクレアーゼ活性の向上を示すだけでなく、合成速度の低下も示すように、DNAポリメラーゼが改変されていることが特に好ましい。合成速度が低下した酵素、およびこの酵素をコードする遺伝子については記載がある(例えば、Kaiserら、J. Biol. Chem., 274: 21387 [1999]、Lyamichevら、Proc. Natl. Acad. Sci., 96:6143 [1999]、米国特許第5,541,311号、第5,614,402号、第5,795,763号、および第6,909,606号を参照されたい。これらは参照として本明細書に組み入れられる)。本発明は、得られた5'ヌクレアーゼが合成活性を妨げることなく、RNA検出アッセイ法において改良された効率をもつように、改変を組み合わせることを想定している。
本発明は、天然型のDNAポリメラーゼのヌクレアーゼ活性を改変したヌクレアーゼ活性を示す、天然の配列に対して配列が変化したDNAポリメラーゼをコードするDNA配列を想定している。例えば、一つの態様において、DNA配列は、所定の時間内に大量の切断産物が産生されるよう、特異的な標的構造の切断速度(kcat)を向上させた酵素をコードする。別の態様において、このDNAは、不適当または非特異的な構造を切断する活性または速度が低下している酵素をコードする。一定の態様において、改良の一態様は、特異的な構造の切断の検出可能量と、別の構造の切断の検出可能量との間の差異が増加する点にある。従って、特異的な構造の切断の検出可能量と、別の構造の切断の検出可能量との間の差異が増加するように、天然型の酵素の速さに較べて、特異的標的構造の切断速度が低下したため、特異的な構造体の切断の検出可能量と、別の構造体の切断の検出可能量との間の差異が増加することになる酵素をコードするDNAを提供することは、本発明の範囲に含まれる。しかし、本発明は、差異を向上させるポリメラーゼに限定されることはない。
好ましい態様において、DNA配列は、向上した酵素が由来した天然型DNAポリメラーゼの活性に較べて、上記の改変されたヌクレアーゼ活性をもち、改変された合成活性をもつDNAポリメラーゼをコードする。コードされたDNAポリメラーゼが、天然型DNAポリメラーゼの活性に較べて、RNA標的上でのヌクレアーゼ活性の向上だけでなく、合成速度の低下も示すように改変されていることが特に好ましい。
本発明は、改変されたヌクレアーゼ活性を導入するために必要な改変の性質により制限されるよう想定されたものではない。また、観察された改変や改良の程度によって制限されることを想定したものでもない。ポリメラーゼが、合成が変わるようにも改変されていれば、変更されたタンパク質または未変更のタンパク質のポリメラーゼによって、または、ポリメラーゼ合成を変える改変の性質によって、本発明が制限されることを意図したものではない。
本発明は、中温性、好冷性、好熱性、および超好熱性の生物などであるが、これらに限定されない多様な生物源に由来する構造特異的なヌクレアーゼを想定している。好適な構造特異的ヌクレアーゼは熱安定性である。熱安定性構造特異的ヌクレアーゼは、下流プローブオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)付近でINVADERアッセイ法(米国特許第5,846,717号、第5,985,557号、第5,994,069号、第6,001,567号、および第6,090,543号、ならびに国際公開公報第97/27214号および国際公開公報第98/42873号を参照されたい。なお、これらは参照として本明細書に組み入れられる)を行なうことができるようになり、切断されたプローブおよび非切断のプローブが、反応の過程で標的のサイクルをオン・オフできるようになるという点で特に有用である。一つの態様において、熱安定性構造特異的酵素は、サーマス・アクアティカス、サーマス・フラバス、サーマス・サーモフィラス、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformus)、およびサーマス・スコトダクタス(Thermus scotoductus)であるが、これらに限定されないサーマス種の天然型ポリメラーゼに由来する改変ポリメラーゼからなる群より選択される熱安定性5'ヌクレアーゼである。しかし、本発明は、熱安定性5'ヌクレアーゼの使用に限定されるものではない。例えば、本発明の特定の態様は、低温で標的のサイクルをオンおよびオフにすることができる短いオリゴヌクレオチドプローブを利用する。
いくつかの態様において、本発明は、酵素であって、異種性の機能ドメインを有し、この異種性機能ドメインが、核酸切断アッセイ法において改変された(例えば、改良された)機能性を提供する酵素を含む組成物を提供する。本発明は、核酸切断アッセイ法の性質により制限されるものではない。例えば、核酸切断アッセイ法は、酵素存在下で直接的または間接的に核酸を切断するアッセイ法を含む。特定の好ましい態様において、切断アッセイ法は、少なくとも1つのRNA成分を有する切断構造を利用する。別の特に好ましい態様において、この切断アッセイ法は、少なくとも1つのRNA成分を有する切断構造を利用し、この切断構造のDNA部分が切断される。
いくつかの好ましい態様において、酵素は5'ヌクレアーゼまたはポリメラーゼを含む。一定の好ましい態様において、5'ヌクレアーゼは、熱安定性5'ヌクレアーゼを含む。別の好ましい態様において、ポリメラーゼの配列が、天然のポリメラーゼよりも低いDNA合成活性を示すように、天然のポリメラーゼ配列に対して改変されている。一定の好ましい態様において、ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼ(例えば、サーマス・アクアティカス、サーマス・フラバス、サーマス・サーモフィラス、サーマス・フィリフォルミス、およびサーマス・スコトダクタスであるが、これらに限定されないサーマス種に由来するポリメラーゼ)を含む。
本発明は、異種性機能ドメインによって提供される改変された機能性の性質によって制限されることはない。改変の具体例には、異種性機能ドメインが、核酸切断アッセイ法において、改良されたヌクレアーゼ活性、改良された基質結合活性、および/または改良されたバックグラウンド特異性を提供するアミノ酸配列(例えば、1個または複数のアミノ酸)を含んでいる酵素があるが、これらに限定されない。
本発明は、異種性機能ドメインの性質によって制限されることはない。例えば、いくつかの態様において、異種性機能ドメインは、ポリメラーゼのポリメラーゼドメイン(例えば、キメラの機能ドメインの挿入によって酵素に導入されたもの、または突然変異によって作出されたもの)に由来する2個またはそれ以上のアミノ酸を含む。一定の好ましい態様において、この2個またはそれ以上のアミノ酸の少なくとも1個が、ポリメラーゼドメインのパーム(palm)またはサム(thumb)領域に由来している。本発明は、2個またはそれ以上のアミノ酸が選択されるポリメラーゼの同一性によって制限されることはない。一定の好ましい態様において、ポリメラーゼは、サーマス・サーモフィラスのポリメラーゼを含む。特に好ましい態様において、2個またはそれ以上のアミノ酸は、配列番号:1の300〜650位のアミノ酸に由来する。
本発明に係る新規の酵素は、病気またはその他の症状に関連しているか、関連している可能性のある、ヒト、その他の動物、または植物に由来する遺伝子などの野生型および変異型の対立遺伝子を含む標的DNAおよびRNAであるが、これらに限定されない標的DNAおよびRNAを検出するために用いることができる。さらに、本発明に係る酵素は、細菌、真菌、原生動物、繊毛虫類、およびウイルスなど微生物の系統を検出および/または同定するために(また、特にC型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルスなどのRNAゲノムをもつウイルスを検出および同定するために)使用することができる。例えば、本発明は、核酸を切断する方法であって、本発明に係る酵素、および基質核酸を提供する工程、ならびに(例えば、検出することのできる切断産物を生成させるために)基質核酸を酵素に曝露する工程を含む方法を提供する。
一つの態様において、本発明は、
Figure 0005661071
からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する熱安定性5'ヌクレアーゼを提供する。別の態様において、この5'ヌクレアーゼは、
Figure 0005661071
からなる群より選択されるDNA配列によってコードされる。
本発明は、また、5'ヌクレアーゼをコードする塩基配列を有する組換えDNAベクターであって、その塩基配列が、
Figure 0005661071
からなる群より選択される塩基配列である組換えDNAベクターを提供する。好ましい態様において、本発明は、構造特異的ヌクレアーゼをコードする塩基配列であって、
Figure 0005661071
からなる群より選択される塩基配列を有するDNAを含む組換えDNAベクターによって形質転換された宿主細胞を提供する。本発明は、使用する宿主細胞の性質によって制限されることはない。当技術分野では、さまざまな原核生物および真核生物の宿主細胞の中で発現されうる構造特異的ヌクレアーゼをコードする塩基配列を発現させるのに適した発現ベクターがよく知られている。好ましい態様において、宿主細胞は大腸菌(Escherichia coli)細胞である。
本発明は、天然型5'ヌクレアーゼ酵素に対して5'ヌクレアーゼを改変し、それらが、RNAを含む構造体の切断を利用する検出アッセイ法において改良された効率を示すようにする方法を提供する。特に、本発明に係る方法によって生成される改変5'ヌクレアーゼは、RNA標的鎖を含む切断構造(例えば、侵襲的切断構造)のDNA部分の切断を利用する検出法において、改良された効率を示す。本発明に係る方法から得られる改良された5'ヌクレアーゼは、本明細書において検討されているいずれかの方法によって改良することができる。候補酵素における改良を評価する方法の例を示す。
例えば、本発明は、核酸切断アッセイ法において、改良された機能性をもつ改変酵素を産生する方法であって、酵素および核酸の被検基質を提供する工程、異種性機能ドメインを酵素に導入して改変酵素を産生する工程、改変酵素を核酸被検基質と接触させて切断産物を生成させる工程、ならびに切断産物を検出する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、異種性機能ドメインの導入は、酵素の1個または複数のアミノ酸を変異させる工程を含む。別の態様において、酵素への異種性機能ドメインの導入は、あるタンパク質(例えば、別の酵素)由来の機能ドメインを該酵素に付加する工程(例えば、機能ドメインを該タンパク質に付加する前に、酵素の配列の一部を除去して、機能ドメインを置換する工程)を含む。好ましい態様において、核酸被検基質は切断構造を含む。特に好ましい態様において、切断構造は、RNA標的核酸を含む。さらに別の好ましい態様において、切断構造は侵襲的切断構造を含む。
本発明は、また、核酸処理キットを提供する。一つの好ましい態様は、一つ以上の改良5'ヌクレアーゼを含む組成物を含むキットである。別の好ましい態様は、a)一つ以上の改良5'ヌクレアーゼを含む組成物、ならびにb)INVADERオリゴヌクレオチドおよびシグナルプローブオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。本発明に係るキットのいくつかの態様において、改良5'ヌクレアーゼは、真性細菌種由来のDNAポリメラーゼに由来する。更なる態様において、真性細菌種は好熱性である。さらに更なる態様において、サーマス属の好熱生物である。さらに更なる態様において、好熱生物は、サーマス・アクアティカス、サーマス・フラバス、サーマス・サーモフィラス、サーマス・フィリフォルミス、およびサーマス・スコトダクタスからなる群より選択される。好ましい態様において、改良5'ヌクレアーゼは、
Figure 0005661071
からなる群より選択されるDNAによってコードされている。さらに別の好ましい態様において、キットは、核酸切断産物を検出するための試薬をさらに含む。更に好ましい態様において、核酸切断産物を検出するための試薬は、連続する侵襲的切断反応(sequential invasive cleavage reaction)において使用するオリゴヌクレオチドを含む(例えば、米国特許第5,994,069号を参照されたい)。特に好ましい態様において、連続する侵襲的切断反応において使用する試薬は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)効果を生じさせる成分で標識されたプローブを含む。
本発明は、また、核酸を処理する方法であって、a)マンガンを含む溶液中のエンドヌクレアーゼを含む第一の構造特異的ヌクレアーゼ、および核酸基質を提供する工程、b)基質が実質的に一本鎖となるよう、核酸基質を高温で処理する工程、c)一本鎖の基質が1個または複数の切断構造を形成するような条件下で温度を下げる工程、d)切断手段を切断構造と反応させて、1個または複数の切断産物を生成させる工程、ならびにe)1個または複数の切断産物を検出する工程を含む方法を提供する。本方法のいくつかの態様において、エンドヌクレアーゼは、CLEAVASE BN酵素、サーマス・アクアティカスのDNAポリメラーゼ、サーマス・サーモフィラスのDNAポリメラーゼ、大腸菌Exo III、およびサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のRad1/Rad10複合体であるが、これらに限定されない。さらに別の態様において、ヌクレアーゼは、熱安定性DNAポリメラーゼに由来する5'ヌクレアーゼであって、野生型DNAポリメラーゼのDNA合成活性よりも低い活性を示すが、野生型DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼと同一の活性を保持している5'ヌクレアーゼである。さらに別の態様において、核酸は、RNAおよびDNAからなる群より選択される。更なる態様において、工程(a)の核酸は二本鎖である。
また、本発明は、核酸処理キットであって、a)少なくとも1つの精製FEN-1エンドヌクレアーゼを含む組成物、およびb)マンガンを含む溶液を含むキットを提供する。キットのいくつかの態様において、精製FEN-1エンドヌクレアーゼは、ピロコッカス・ウォエセイ(Pyrococcus woesei)FEN-1エンドヌクレアーゼ、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)FEN-1エンドヌクレアーゼ、メタノコッカス・ヤンナシイ(Methanococcus jannaschii)FEN-1エンドヌクレアーゼ、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Metanobacterium thermoautotrophicum)FEN-1エンドヌクレアーゼ、アルカエグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)FEN-1、スルフォロバス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、ピロバクラム・アエロフィルム(Pyrobaculum aerophilum)、テルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、アルカエグロブス・ベネフィカス(Archaeglobus veneficus)、アルカエグロブス・プロフンダス(Archaeglobus profundus)、アシディアヌス・ブリエルリイ(Acidianus brierlyi)、アシディアヌス・アムビバレンス(Acidianus ambivalens)、デスルフォロコッカス・アミロリティカス(Desulfurococcus amylolyticus)、デスルフォロコッカス・モビリス(Desulfurococcus mobilis)、ピロディクティウム・ブロキイ(Pyrodictium brockii)、テルモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)、テルモコッカス・ジルリギイ(Thermococcus zilligii)、メタノピラス・カンドレリ(Methanopyrus kandleri)、メタノコッカス・イグネウス(Methanopyrus igneus)、ピロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、アエロピルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)、およびキメラFEN-1エンドヌクレアーゼからなる群より選択される。別の態様において、キットは、さらに、少なくとも1つの第二の構造特異的ヌクレアーゼを含む。いくつかの態様において、第二の構造特異的ヌクレアーゼは、熱安定性DNAポリメラーゼに由来する5'ヌクレアーゼであって、野生型DNAポリメラーゼのDNA合成活性よりも低い活性を示すが、野生型DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼと同一の活性を保持している5'ヌクレアーゼである。キットのさらに別の態様において、第二のヌクレアーゼのアミノ酸配列の一部は、サーマス属の高熱生物種に由来する熱安定性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列の一部に相同的である。更なる態様において、高熱生物種は、サーマス・アクアティカス、サーマス・フラバス、およびサーマス・サーモフィラスからなる群より選択される。さらに別の好ましい態様において、キットは、さらに、切断産物を検出するための試薬を含む。
本発明は、さらに、スルフォロバス・ソルファタリカス、ピロバクラム・アエロフィルム、テルモコッカス・リトラリス、アルカエグロブス・ベネフィカス、アルカエグロブス・プロフンダス、アシディアヌス・ブリエルリイ、アシディアヌス・アムビバレンス、デスルフォロコッカス・アミロリティカス、デスルフォロコッカス・モビリス、ピロディクティウム・ブロキイ、テルモコッカス・ゴルゴナリウス、テルモコッカス・ジルリギイ、メタノピラス・カンドレリ、メタノコッカス・イグネウス、ピロコッカス・ホリコシイ、およびアエロピルム・ペルニクスのエンドヌクレアーゼを含むエンドヌクレアーゼとともに用いられる、本明細書記載の組成物、混合物、方法、およびキットを提供する。これらは、生物由来の精製FEN-1エンドヌクレアーゼ(本明細書が提供する配列によって記述された特異的エンドヌクレアーゼ、また、変異体および相同体など)を含む組成物、これらの組成物を含むキット、これらの生物由来のエンドヌクレアーゼの少なくとも一部を含むキメラエンドヌクレアーゼを含む組成物、このような組成物を含むキット、これらの生物(ベクターおよび宿主細胞を含む)に由来するエンドヌクレアーゼをコードする核酸を含む組成物、このような組成物を含むキット、エンドヌクレアーゼに対する抗体、これらの生物に由来するエンドヌクレアーゼを含む混合物、エンドヌクレアーゼを切断アッセイ法(例えば、侵襲的切断アッセイ法、CFLPなど)で使用する方法、および、このような方法に有用な構成要素を含むキットを含む。これらのエンドヌクレアーゼの作成、構造、使用、および特徴づけを説明する例を本明細書に示す。
本発明は、本明細書に開示した方法および酵素を改良する方法も提供する。例えば、本発明は、何らかの目的(例えば、切断反応に使用する、増幅反応、結合反応、またはその他の使用)で酵素を改良する方法であって、本明細書に開示した酵素を提供し、その酵素を改変する(例えば、アミノ酸配列を変更する、配列を付加または削減する、翻訳後修飾を付加する、生物のものであると否とを問わず他の成分を付加する、または、他の改変をする)工程を含む方法を提供する。同様に、本発明は、本明細書に開示した方法を改良する方法であって、一つまたは複数の変更を加えて(例えば、本方法で提供される組成物を変更する、工程の順序を変える、または工程を追加または省略する)、本方法の工程を行なうことを含む方法も提供する。
検出アッセイ法における改良された効率は、いくつかの改良された特徴のいずれか、またはそれらを組み合わせることから生じる。例えば、一つの態様において本発明に係る酵素は、所定の時間内に大量の切断産物が産生されるよう、特異的な標的構造の切断速度(kcat)を向上させている。別の態様において、本発明に係る酵素は、不適当または非特異的な構造を切断する活性または速度が低下している。例えば、本発明の一定の態様において、改良の一態様は、特異的な構造の切断の検出可能量と、別の構造の切断の検出可能量との間の差異が増加する点にある。従って、特異的な構造の切断の検出可能量と、別の構造の切断の検出可能量との間の差異が増加するように、天然型の酵素の速さに較べて、特異的標的構造の切断速度が低下したため、特異的な構造の切断の検出可能量と、別の構造の切断の検出可能量との間の差異が増加することになる酵素を提供することは、本発明の範囲に含まれる。しかし、本発明は、差異が改良されている酵素に限定されるものではない。
いくつかの好ましい態様において、本発明は、酵素であって、異種性の機能ドメインを有し、この異種性機能ドメインが、核酸切断アッセイ法において改変された(例えば、改良された)機能性を提供する酵素を含む組成物を提供する。本発明は、核酸切断アッセイ法の性質により制限されるものではない。例えば、核酸切断アッセイ法は、酵素存在下で直接的または間接的に核酸を切断するアッセイ法を含む。特定の好ましい態様において、切断アッセイ法は、少なくとも1つのRNA成分を有する切断構造を利用する。別の特に好ましい態様において、この切断アッセイ法は、少なくとも1つのRNA成分を有する切断構造を利用し、この切断構造のDNA部分が切断される。
本発明は、異種性機能ドメインによって提供される改変された機能性の性質によって制限されることはない。改変の具体例には、異種性機能ドメインが、核酸切断アッセイ法において、改良されたヌクレアーゼ活性、改良された基質結合活性、および/または改良されたバックグラウンド特異性を提供するアミノ酸配列(例えば、1個または複数のアミノ酸)を含んでいる酵素があるが、これらに限定されない。
本発明は、異種性機能ドメインの性質によって制限されることはない。例えば、いくつかの態様において、異種性機能ドメインは、ポリメラーゼのポリメラーゼドメイン(例えば、キメラの機能ドメインの挿入によって酵素に導入されたもの、または突然変異によって作出されたもの)に由来する2個またはそれ以上のアミノ酸を含む。一定の好ましい態様において、この2個またはそれ以上のアミノ酸の少なくとも1個が、ポリメラーゼドメインのパームまたはサム領域に由来している。本発明は、2個またはそれ以上のアミノ酸が選択されるポリメラーゼの同一性によって制限されることはない。一定の好ましい態様において、ポリメラーゼは、サーマス・サーモフィラスのポリメラーゼを含む。特に好ましい態様において、2個またはそれ以上のアミノ酸は、配列番号:1の300〜650位のアミノ酸に由来する。
本発明に係る新規の酵素は、病気またはその他の症状に関連しているか、関連している可能性のある、ヒト、その他の動物、または植物に由来する遺伝子などの野生型および変異型の対立遺伝子を含む標的DNAおよびRNAであるが、これらに限定されない標的DNAおよびRNAを検出するために用いることができる。さらに、本発明に係る酵素は、細菌、真菌、原生動物、繊毛虫類、およびウイルスを含む微生物の系統を検出および/または同定するために(また、特にC型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルスなどのRNAゲノムをもつウイルスを検出および同定するために)使用することができる。例えば、本発明は、核酸を切断する方法であって、本発明に係る酵素、および基質核酸を提供する工程、ならびに(例えば、検出することのできる切断産物を生成させるために)基質核酸を酵素に曝露する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、基質となる核酸は、細胞可溶化物の中に存在する。
本発明は、また、標的核酸配列の存在を検出する方法であって、RNA標的核酸を含む侵襲的切断構造を切断する工程、ならびに侵襲的切断構造が切断されたことを検出する工程を含む方法を提供する。このようなアッセイ法は、多数の侵襲的切断構造が切断される多重アッセイ法を含む。このような構造には、異なる標的核酸上に形成された構造、また、試料の標的核酸の異なる位置に形成された構造などがある。いくつかの態様において、標的核酸は、第一の領域と、第一の領域の下流に連続して存在する第二の領域とを含む。いくつかの態様において、侵襲的切断構造は、標的核酸、第一のオリゴヌクレオチド、および第二のオリゴヌクレオチドを含み、この第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が、第一の標的核酸の第一の領域に完全に相補的であり、また、第二のオリゴヌクレオチドが3'部位と5'部位を含み、この5'部位が、標的核酸の該第二の領域に完全に相補的である。いくつかの態様において、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位は、該標的核酸に相補的でない3'末端ヌクレオチド値を含む。いくつかの態様において、第二のオリゴヌクレオチドの3'部位は、標的核酸に相補的でない単一のヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、本方法は、さらに、非標的切断産物を含む第二の侵襲的切断構造を形成させる工程、および第二の侵襲的切断構造を切断する工程を含む。いくつかの態様において、侵襲的切断構造または第二の侵襲的切断構造は、配列番号:709〜2640からなる群より選択される配列を含むオリゴヌクレオチドを含む。別の態様において、侵襲的切断構造または第二の侵襲的切断構造は、配列番号:169〜211および619〜706からなる群より選択される配列を含むオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの好ましい態様において、標的核酸は、チトクロームP450 RNAまたはサイトカインRNAを含む。いくつかの態様において、標的核酸の第一の領域または第二の領域は、スプライス部位、エクソン(またはその一部)、またはイントロン(またはその一部)を含む。いくつかの態様において、RNA標的核酸は、細胞可溶化物中に提供される。いくつかの態様において、第一のオリゴヌクレオチドは第二のオリゴヌクレオチドに共有結合している。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、米国特許第5,714,320号および第5,854,033号に記載された方法に使用することができる。これらの文献は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。本発明は、また、上記方法で使用される1個または複数の構成要素を含むキットも提供する。
連続する侵襲的切断反応の模式図を示す。工程Aでは、上流のINVADERオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブが標的核酸鎖と結合して切断構造を形成する。工程Bでは、Aから切断されたシグナル・プローブの一部が第二の標的核酸鎖および標識シグナル・プローブと結合して第二の切断構造を形成する。工程Cでは、標識された第二の切断構造体が切断して検出可能なシグナルを生成する。 RNA標的鎖(配列番号:141)を含む侵襲的切断構造の複数例について、模式図を示す。パネルAは、 INVADERオリゴヌクレオチド(配列番号:142)およびプローブ(配列番号:143)を表す。パネルBは、INVADERオリゴヌクレオチド(配列番号:144)およびプローブ(配列番号:143)を表す。パネルCは、INVADERオリゴヌクレオチド(配列番号:145)およびプローブ(配列番号:145)を表す。パネルDは、INVADERオリゴヌクレオチド(配列番号:145)およびプローブ(配列番号:146)を表す。 配列番号:147〜152の標識された侵襲的切断構造体ではない構造の2例を模式図に示す。 標的配列変異の検出に有用な侵襲的切断構造の模式図を示す。Aでは、2つのプローブ間で重複を有する侵襲的切断構造が成形され、矢印は本発明の酵素で切断可能であることを示す。Bでは、標的配列の変異が下流のプローブに相補的な領域を除去し、重複を除去する。パネルBにおいて矢印が示されていなければ、パネルAにおいて図示したものと比較して本構造の切断速度が低下していることを示している。 Liらが調べた重合法におけるプライマー/鋳型DNAとKlentaq1の三重複合体のX線構造の図を示す(Liら、Protein Sci., 7:1116 [1998])。物理的形態の特徴間の正確な境界を示すものではないが、本文中で「フィンガー」、「サム)」および「パーム」領域と呼ばれる部分は、大雑把に、それぞれ丸、四角および卵形で表す。 サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラーゼ遺伝子の模式図を示す。本試験で用いた制限酵素部位が、上に記載されている。タンパク質の各種の構造もしくは機能ドメインをコードするおおよその領域は、その下に両端にやじりを有する矢印で示した。 TaqPol遺伝子とTthPol遺伝子の一部を含むキメラ構築物の模式図を示す。白いボックスおよび斜線付けされたボックスはそれぞれ、TaqPol配列およびTthPol配列を表す。数字はTaqPolのアミノ酸配列に対応する。TaqPolの5'ヌクレアーゼおよびポリメラーゼ・ドメイン、ならびにポリメラーゼ・ドメインのパーム、サムおよびフィンガー領域を示す。用いた制限酵素部位の略号は以下の通りである。E、EcoRI;N、NotI;Bs、BstBI;D、NdeI;B、BamHI;およびS、SalI。 サーマス・アクアティカス(配列番号:153)、サーマス・フラバス(Thermus flavus)(配列番号:154)およびサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(配列番号:155)から単離したポリメラーゼ遺伝子のヌクレオチド構造の比較を示す。コンセンサス配列(配列番号:156)を、各列の上に示した。 図8Bは、図8Aの続きを示す図である。 図8Cは、図8Bの続きを示す図である。 図8Dは、図8Cの続きを示す図である。 図8Eは、図8Dの続きを示す図である。 図8Fは、図8Eの続きを示す図である。 図8Gは、図8Fの続きを示す図である。 図8Hは、図8Gの続きを示す図である。 サーマス・アクアティカス(配列番号:157)、サーマス・フラバス(配列番号:158)およびサーマス・サーモフィラス(配列番号:1)から単離したポリメラーゼのアミノ酸配列の比較を示す。コンセンサス配列(配列番号:159)を、各列の上に示した。 図9Bは、図9Aの続きを示す図である。 図9Cは、図9Bの続きを示す図である。 ヒトIL-6のRNA標的鎖(配列番号:160)および上流プローブ(配列番号:161)に関する切断シグナル増幅反応の基質の配列に関して、提唱する構造を示す。下流のプローブ(配列番号:162)の切断部位は矢印で表した。IL-6 DNA標的鎖(配列番号:163)の配列は下に示した。 表記の酵素、およびDNA標的鎖(A)もしくはRNA標的鎖(B)のいずれかを有する、図10に示したIL-6基質を用いた侵襲的切断アッセイ法の産物を示す蛍光撮影装置による像を示す。 Taq DN RX HT、Tth DN RX HTおよびTaq-Tthキメラ酵素と、RNA標的鎖を有するIL-6基質とのサイクリング切断活性の比較を表す。 TaqPol(配列番号:164)およびTthPol(配列番号:165)のBstI-BamHI断片のアミノ酸配列の比較を示す。類似したアミノ酸の対については、濃い灰色で斜線付けした。並列したアミノ酸で電荷の差を有するものは、濃い灰色で斜線付けした。数字は、TaqPolのアミノ酸配列に対応する。部位特異的変異誘発法で対応するTthPol のアミノ酸を変化させたアミノ酸は、(+)で表した。 Taq DN RX HT、Taq-Tthキメラ酵素および表記の付加的なアミノ酸修飾を有するキメラ酵素と、RNA標的鎖を有するIL-6基質とのサイクリング切断活性の比較を示す。 Taq DN RX HT、Tth DN RX HTおよび表記の付加的なアミノ酸修飾を有するTaq DN RX HTとRNA標的鎖を有するIL-6基質のサイクリング切断活性の比較を示す。 TaqPol、TthPolおよびTaq-Tthキメラ酵素ならびに表記のアミノ酸修飾を有するTaqPolの重合活性の比較を示す。 Liらが調べた重合法におけるプライマー/鋳型DNAとKlentaq1の三重複合体のX線構造の図を示す(Liら、Protein Sci., 7:1116 [1998])。アミノ酸G418およびE507を示した。 酵素の各種の切断活性測定に用いた基質の例の模式図を示す。基質を、例えば、表記のように、検出および測定を促進するFRET検出に関する蛍光性色素および消光基で標識する。18Aおよび18Bの基質は、それぞれRNAおよびDNA標的鎖を有する侵襲的切断構造体である。いずれも、侵襲的切断反応における別の構造に対する酵素活性を評価する目的に利用する。 酵素の各種の切断活性測定に用いた基質の例の模式図を示す。基質を、例えば、表記のように、検出および測定を促進するFRET検出に関する蛍光性色素および消光基で標識する。18Aおよび18Bの基質は、それぞれRNAおよびDNA標的鎖を有する侵襲的切断構造体である。いずれも、侵襲的切断反応における別の構造に対する酵素活性を評価する目的に利用する。 酵素の各種の切断活性測定に用いた基質の例の模式図を示す。基質を、例えば、表記のように、検出および測定を促進するFRET検出に関する蛍光性色素および消光基で標識する。18Cには、X構造の例を示す。いずれも、侵襲的切断反応における別の構造に対する酵素活性を評価する目的に利用する。 酵素の各種の切断活性測定に用いた基質の例の模式図を示す。基質を、例えば、表記のように、検出および測定を促進するFRET検出に関する蛍光性色素および消光基で標識する。18Dにはヘアピン構造の例を示す。いずれも、侵襲的切断反応における別の構造に対する酵素活性を評価する目的に利用する。 TaqPol遺伝子とTthPol遺伝子の一部を含むキメラ構築物の模式図を示す。白いボックスおよび斜線付けされたボックスはそれぞれ、TaqPolおよびTthPol配列を示す。キメラはDN、 RXおよびHT 修飾をも含む。表では、表記の切断基質に対する各タンパク質の切断活性を比較している。 Aは、侵襲的切断基質を含むRNAの模式図を示す。標的分子(配列番号:166)の5'末端は、記載されているようにビオチンで修飾され、ストレプトアビジンでブロックされている。切断部位を有する下流のプローブ(配列番号:167)も示した。パネルB〜Dは、異なる反応温度、KCl濃度およびMgSO4濃度の条件下で反応させた、表記の基質の切断におけるTaq DN RX HT G418K/E507Q変異体の性質の解析を示す。 侵襲的切断活性に関する酵素の試験に用いたモデル基質の模式図を示す。21Aに示した分子は、DNA標的鎖(配列番号:168)を、21Bに示したモデルは、標的鎖を含むRNA(配列番号:167)を提供する。21AおよびBのいずれも下流プローブ(配列番号:166)を表す。 別の非侵襲的構造に対する、酵素の切断活性の試験に用いるモデル基質の模式図を示す。 酵素の侵襲的切断活性に関する試験に用いるモデル基質の模式図を示す。 酵素のRNAもしくはDNA標的鎖に対する侵襲的切断活性に関する試験に用いるモデル基質の模式図を示す。 Tth DN RX HT、Taq 2M、TfiPol、Tsc PolおよびTfiならびにTsc由来の変異体酵素のサイクリング切断活性に関する比較を示す。 上流のオリゴヌクレオチドの存在下もしくは非存在下における酵素のプローブ切断能の決定に用いた構造体を表す。図26は、オリゴヌクレオチド 89-15-1(配列番号:212)、オリゴヌクレオチド 81-69-5(配列番号:213)、オリゴヌクレオチド 81-69-4(配列番号:214)、オリゴヌクレオチド 81-69-3(配列番号:215)、オリゴヌクレオチド 81-69-2(配列番号:216)およびM13mpl8(配列番号:217)の一部の配列を表す。 プローブの特異的切断に関して、Pfu FEN-1 の、上流重複オリゴヌクレオチド依存性を示す蛍光撮影装置による像を示す。 図28aは、標準(すなわち、非連続する侵襲的切断反応)および連続する侵襲的切断反応において生成した産物の量を比較した、蛍光撮影装置による像を示す。 図28bは、標準もしくは基本的(すなわち、非連続する侵襲的切断反応)および連続する侵襲的切断反応(「INVADER sqrd」)(y軸 = 蛍光ユニット;x軸=アトモルの標的)において生成した産物の量を比較したグラフを表す。 連続する侵襲的切断反応終結後の産物が以降の類似した反応で相互汚染しないことを示す蛍光撮影装置による像を示す。 HCMVウィルスDNAの検出に関する侵襲的切断反応に用いたオリゴヌクレオチドの配列を示す。図30は、オリゴヌクレオチド 89-76(配列番号:218)、オリゴヌクレオチド 89-44(配列番号:219)およびHCMVゲノムのヌクレオチド3057〜3110(配列番号:220)の配列を示す。 侵襲的切断反応を用いたヒトゲノムDNAを含む試料中のHCMVウィルスDNAの高感度検出を示す蛍光撮影装置による像を示す。 第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用され、ARRESTORオリゴヌクレオチドが、第二のプローブの切断で、残存する非切断の第一のプローブの作用を阻害する本発明の一態様の模式図を示す。 第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応で組み込みINVADER-標的複合体として利用され、ARRESTORオリゴヌクレオチドが、第二のプローブの切断で、残存する非切断の第一のプローブの作用を阻害する本発明の一態様の模式図を示す。 2種類の異なる長さの2'O-メチル化され、かつ3'末端アミンを有する修飾型ARRESTORオリゴヌクレオチドの蛍光撮影装置による3種類の像を示す。いずれも、第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブを第二の侵襲的切断反応における組み込みINVADER-標的複合体として利用する反応の第二の工程に含まれる第二のプローブの非特異的バックグラウンド切断を減少させる。 第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用される反応の第一段階での第一のプローブの濃度が増加することの、非特異的および特異的な切断シグナルに対する効果を示す蛍光撮影装置による像を示す。 反応の第一段階での第一のプローブの濃度が増加することおよび第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用される反応の第二の工程に2'O-メチル化され、かつ3'末端アミンを有する修飾ARRESTORオリゴヌクレオチドを含むことの、非特異的および特異的な切断シグナルに対する効果を示す蛍光撮影装置による像を示す。 第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用される反応の第二の工程における2'O-メチル化され、かつ3'末端アミンを有する修飾ARRESTORオリゴヌクレオチドの存在あるいは非存在下で、反応の第一段階での第一のプローブの濃度が増加することの、非特異的および特異的な切断シグナルに対する効果の比較に関して、マイクロソフト・エクセル(MICROSOFT EXCEL)ソフトウェアのスプレッドシートを用いて得られたグラフを示す。 第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用される反応の第二の工程において、非修飾ARRESTORオリゴヌクレオチドを含むことの、非特異的および特異的な切断シグナルに対する効果を示す蛍光撮影装置による2種類の像を示す。 第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用される反応の第二の工程において、3'末端アミン修飾ARRESTORオリゴヌクレオチド、部分的に2'O-メチル置換し、かつ部分的に3'末端アミンを有する修飾ARRESTORオリゴヌクレオチド、または完全に2'O-メチル化し、かつ完全に3'末端アミンを有する修飾ARRESTORオリゴヌクレオチドを含むことの、非特異的および特異的な切断シグナルに対する効果を示す蛍光撮影装置による2種類の像を示す。 第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用される反応の第二の工程で、異なる長さのARRESTORオリゴヌクレオチドを含むことの、非特異的および特異的な切断シグナルに対する効果を比較した、蛍光撮影装置による2種類の像を示す。 第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用される反応の第二の工程で、異なる長さのARRESTORオリゴヌクレオチドを含むことの、非特異的および特異的な切断シグナルに対する効果を比較した、蛍光撮影装置による2種類の像を示す。ここでは、図37Aの反応において用いたより長い変種の第二のプローブを試験する。 複数の異なる長さのARRESTORオリゴヌクレオチドと共に並列させた第一のプローブの模式図を示す。HBV標的配列と相補的な第一のプローブの領域を下線で示した。相補性に従ってARRESTORオリゴヌクレオチドをプローブと並列させた。 2種類の異なる長さの第二のプローブを用いた、第一の侵襲的切断反応に由来する切断プローブが、第二の侵襲的切断反応においてINVADERオリゴヌクレオチドとして利用される反応の第二の工程で、異なる長さのARRESTORオリゴヌクレオチドを含むことの、非特異的および特異的な切断シグナルに対する効果を比較した、蛍光撮影装置による2種類の像を示す。 mfoldによって見いだされる、特定の塩基を含む構造の総数の割合(%)として表されるmfold解析におけるSSカウントの出力に由来するヒト・ユビキチンRNAの10ヌクレオチドの鎖について算出したランニング平均値(Ave(10)指数)を、塩基の位置に対してプロットしたグラフである。 40検体、6種の標準、および1種類の非標的対照を含むRNA INVADERアッセイ法のマイクロプレートのレイアウトの一例を示す。 表記の遺伝子もしくは転写産物のヒト(h)、マウス(m)およびラット(r)のRNAの検出に利用するINVADERアッセイ法の組成を示す。 図41-2は、図41-1の続きを示す図である。 図41-3は、図41-2の続きを示す図である。 図41-4は、図41-3の続きを示す図である。 図41-5は、図41-4の続きを示す図である。 図41-6は、図41-5の続きを示す図である。 図41-7は、図41-6の続きを示す図である。 図41-8は、図41-7の続きを示す図である。 図41-9は、図41-8の続きを示す図である。 INVADERCREATORの注文入力画面(Order Entry Screen)のコンピューター・ディスプレイを示す。 INVADERCREATORの多数SNP設計選択画面(Multiple SNP Design Selection screen)のコンピューター・ディスプレイを示す。 INVADERCREATORのデザイナーワークシート画面(Designer Worksheet screen)のコンピューター・ディスプレイを示す。 INVADERCREATORの出力ページ画面(Output Page screen)のコンピューター・ディスプレイを示す。 INVADERCREATORのプリンタ用出力画像(Printer Ready Output screen)のコンピューター・ディスプレイを示す。 RNA標的核酸の検出に利用するINVADERアッセイ法の構成要素(配列番号:709〜2640)を示す。構成要素は、検出するRNA検体当たりに群分けする。複数のプローブ、INVADERオリゴヌクレオチド、スタッカー・オリゴヌクレオチド、ARRESTORオリゴヌクレオチド、またはその他の構成要素が提供されれば、特に断らない限り、複数の構成要素のいずれをも利用できる。他で特定しない限り、オリゴヌクレオチドは5'-3'方向で表す。 図47-2は、図47-1の続きを示す図である。 図47-3は、図47-2の続きを示す図である。 図47-4は、図47-3の続きを示す図である。 図47-5は、図47-4の続きを示す図である。 図47-6は、図47-5の続きを示す図である。 図47-7は、図47-6の続きを示す図である。 図47-8は、図47-7の続きを示す図である。 図47-9は、図47-8の続きを示す図である。 図47-10は、図47-9の続きを示す図である。 図47-11は、図47-10の続きを示す図である。 図47-12は、図47-11の続きを示す図である。 図47-13は、図47-12の続きを示す図である。 図47-14は、図47-13の続きを示す図である。 図47-15は、図47-14の続きを示す図である。 図47-16は、図47-15の続きを示す図である。 図47-17は、図47-16の続きを示す図である。 図47-18は、図47-17の続きを示す図である。 図47-19は、図47-18の続きを示す図である。 図47-20は、図47-19の続きを示す図である。 図47-21は、図47-20の続きを示す図である。 図47-22は、図47-21の続きを示す図である。 図47-23は、図47-22の続きを示す図である。 図47-24は、図47-23の続きを示す図である。 図47-25は、図47-24の続きを示す図である。 図47-26は、図47-25の続きを示す図である。 図47-27は、図47-26の続きを示す図である。 図47-28は、図47-27の続きを示す図である。 図47-29は、図47-28の続きを示す図である。 図47-30は、図47-29の続きを示す図である。 図47-31は、図47-30の続きを示す図である。 図47-32は、図47-31の続きを示す図である。 図47-33は、図47-32の続きを示す図である。 図47-34は、図47-33の続きを示す図である。 図47-35は、図47-34の続きを示す図である。 図47-36は、図47-35の続きを示す図である。 図47-37は、図47-36の続きを示す図である。 図47-38は、図47-37の続きを示す図である。 図47-39は、図47-38の続きを示す図である。 図47-40は、図47-39の続きを示す図である。 図47-41は、図47-40の続きを示す図である。 図47-42は、図47-41の続きを示す図である。 図47-43は、図47-42の続きを示す図である。 図47-44は、図47-43の続きを示す図である。 図47-45は、図47-44の続きを示す図である。 図47-46は、図47-45の続きを示す図である。 図47-47は、図47-46の続きを示す図である。 図47-48は、図47-47の続きを示す図である。 図47-49は、図47-48の続きを示す図である。 図47-50は、図47-49の続きを示す図である。 図47-51は、図47-50の続きを示す図である。 図47-52は、図47-51の続きを示す図である。 図47-53は、図47-52の続きを示す図である。 図47-54は、図47-53の続きを示す図である。 図47-55は、図47-54の続きを示す図である。 図47-56は、図47-55の続きを示す図である。 図47-57は、図47-56の続きを示す図である。 図47-58は、図47-57の続きを示す図である。 図47-59は、図47-58の続きを示す図である。 図47-60は、図47-59の続きを示す図である。 図47-61は、図47-60の続きを示す図である。 図47-62は、図47-61の続きを示す図である。 図47-63は、図47-62の続きを示す図である。 図47-64は、図47-63の続きを示す図である。 図47-65は、図47-64の続きを示す図である。 図47-66は、図47-65の続きを示す図である。 図47-67は、図47-66の続きを示す図である。 図47-68は、図47-67の続きを示す図である。 図47-69は、図47-68の続きを示す図である。 図47-70は、図47-69の続きを示す図である。 図47-71は、図47-70の続きを示す図である。 図47-72は、図47-71の続きを示す図である。 図47-73は、図47-72の続きを示す図である。 塩基対の位置に対するAve(10)指数を示すチャートである。
定義
本発明を理解しやすくするため、いくつかの用語と語句を以下に定義する。
本明細書において、「相補的」または「相補性」という用語は、塩基対合法則によって関連をもつポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチドまたは標的核酸などのヌクレオチドの配列)を意味する。例えば、「5'-A-G-T-3'」という配列には、「3'-T-C-A-5'」という配列が相補的である。相補性は、「部分的」なこともあり、核酸の塩基のいくつかだけが、塩基対合法則にしたがって適合する。または、核酸の間には「完全」または「全面的」相補性があることもある。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に重大な影響を及ぼす。このことは、とりわけ、増幅反応、また、核酸間の結合に依存する検出法において重要である。どちらの用語も、特に、ポリヌクレオチドというつながりの中で各ヌクレオチドを意味することもある。例えば、オリゴヌクレオチド中の特定のヌクレオチドが、残りのオリゴヌクレオチドと核酸鎖の間にある相補性と対照または比較して、別の核酸鎖中のヌクレオチドに対して相補性があるかないか注目されることがある。別のヌクレオチド類似体との(例えば、IsoC/IsoG)、または天然のヌクレオチドとの(例えば、米国特許第5,912,340号に記載の通り。本文献は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる)普通でない塩基対合を形成させるために使用されるヌクレオチド類似体も、この定義の意味する範囲内で、塩基対合する相手に対して相補的であると考えられる。
「相同性」および「相同的」という用語は、一致する程度を意味する。部分的相同性と完全な相同性がありうる。部分的に相同な配列は、もう一つの配列と100%未満の同一性を有する。
本明細書において、「ハイブリダイゼーション」という用語は、相同的な核酸の対合を意味するために用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間での会合の強さ)は、核酸間の相補性の程度、用いられるストリンジェンシー、および形成されたハイブリッドのTmによって影響される。「ハイブリダイゼーション」法は、一つの核酸を別の相補的な核酸、すなわち、相補的な塩基配列を有する核酸にアニーリングさせることを含む。相補配列を含む2つの核酸ポリマーが互いを認識し、塩基対合相互作用によってアニーリングすることはよく知られている現象である。MarmurおよびLane, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 46: 453 (1960)およびDotyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 46: 461 (1960)により最初に発見された「ハイブリダイゼーション」現象は、その後精緻化されて現代生物学の重要なツールとなっている。
相補性については、診断に応用するときに、ハイブリダイゼーションが完全な相補性を示すか部分的な相補性を示すかを判定することが重要なことがある。例えば、病原生物(例えば、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、原生動物)のDNAの有無を単に検出したい場合には、そのハイブリダイゼーション法によって、関係する配列が存在するときには確実にハイブリダイゼーションが起きることだけが重要であって、部分的相補プローブおよび完全相補プローブがハイブリダイズする条件を選択することができる。しかし、別の診断への応用場面では、ハイブリダイゼーション法によって部分的相補性と完全な相補性を区別する必要があるかもしれない。遺伝子多型を検出することが目的のこともあると思われる。例えば、ヒトのヘモグロビンは、一部、4本のポリペプチド鎖から構成されている。これらの鎖のうち2本は、141アミノ酸の同一の鎖(アルファ鎖)、2本は146アミノ酸の同一の鎖(ベータ鎖)である。ベータ鎖をコードする遺伝子は多型を示すことが知られている。正常な対立遺伝子は、第6位にグルタミン酸をもつベータ鎖をコードしている。変異対立遺伝子は、第6位にバリンをもつベータ鎖をコードする。このアミノ酸の違いは、臨床上、鎌形赤血球貧血症として知られる重大な生理学的作用を与える(この変異遺伝子がホモ接合であるときもっとも重大である)。アミノ酸変異の遺伝的基礎は、正常な遺伝子DNAの配列と変異遺伝子のDNA配列との間に一塩基の違いがあることに関係する。
本明細書において、核酸配列の相補とは、一方の配列の5'末端と他方の配列の3'末端を対合するようを整列させたとき、オリゴヌクレオチドが「逆平行に会合」すること意味する。天然の核酸には普通存在しない特定の塩基を、本発明に係る核酸に含ませることができ、それらには、例えば、イノシンおよび7-デアザグアニンが挙げられる。相補性は必ずしも完全なものである必要はなく、安定した二本鎖が、ミスマッチした塩基や全く対合しない塩基を含むこともある。核酸技術分野の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成や配列、イオン強度、およびミスマッチ塩基対合の発生率などの変数を考慮して、経験的に二本鎖の安定性を判定することができる。
本明細書において、「Tm」という用語は「融解温度」を意味する。融解温度とは、二本鎖核酸分子の集団の半分が一本鎖に解離する温度である。核酸のTmを計算する等式が当技術分野においていくつか知られている。標準的な参考文献によれば、核酸が1 M NaClの水溶液に入っているとき、Tm値を簡単に推定するには、Tm=81.5+0.41(%G+C)という等式によって計算すればよい(「核酸のハイブリダイゼーション(Nucleic Hybridization)」(1985)におけるAndersonおよびYoungの定量的フィルターハイブリダイゼーション(Quantitative Filter Hybridization)の項を参照されたい)。この他の参考文献(例えば、Allawi, H.T.およびSantaLucia, J., Jr.「DNAにおける内部G.ミスマッチの熱力学およびNMR(Thermodynamics and NMR of internal G.T mismatches in DNA)」、Biochemistry 36, 10581-94 (1997))には、Tmを計算するために、配列の特徴だけでなく、構造や周囲の条件も考慮したより洗練された計算法が記載されている。
本明細書において、「ストリンジェンシー」とは、ハイブリダイゼーションを行なう条件の温度、イオン強度、および他の化合物の存在を意味する。「高いストリンジェントな」条件では、相補的な塩基配列の頻度が高い核酸断片の間でのみ核酸の塩基対合が起こる。従って、互いに完全には相補的でない核酸をハイブリダイズまたはアニーリングさせたいときには「弱い」または「低い」ストリンジェンシーが必要とされることが多い。
核酸のハイブリダイゼーションについて用いられる「高ストリンジェントな条件」とは、長さ約500ヌクレオチドのプローブを使用するときには、5×SSPE(43.8 g/l NaCl、6.9 g/l NaH2PO4H2O、および1.85 g/l EDTA、NaOHでpH 7.4に調整したもの)、0.5% SDS、5×デンハルト(Denhardt)試薬、および100μg/mlの変性サケ精子DNAを含む溶液中で42℃で結合またはハイブリダイズさせ、その後、0.1×SSPE、1.0% SDSを含む溶液中、42℃で洗浄するのと同等な条件を含む核酸ハイブリダイゼーションを意味する。
核酸のハイブリダイゼーションについて用いられる「中度のストリンジェントな条件」とは、長さ約500ヌクレオチドのプローブを使用するときには、5×SSPE(43.8 g/l NaCl、6.9 g/l NaH2PO4H2O、および1.85 g/l EDTA、NaOHでpH 7.4に調整したもの)、0.5% SDS、5×デンハルト試薬、および100μg/mlの変性サケ精子DNAを含む溶液中で42℃で結合またはハイブリダイズさせ、その後、1.0×SSPE、1.0% SDSを含む溶液中、42℃で洗浄するのと同等な条件を含む核酸ハイブリダイゼーションを意味する。
「低ストリンジェントな条件」とは、長さ約500ヌクレオチドのプローブを使用するときには、5×SSPE(43.8 g/l NaCl、6.9 g/l NaH2PO4H2O、および1.85 g/l EDTA、NaOHでpH 7.4に調整したもの)、0.1% SDS、5×デンハルト試薬[50×デンハルト試薬は、500 ml当たり、フィコール(Ficoll: タイプ400、ファルマシア(Pharmacia))5 g、BSA(第V画分;シグマ(Sigma))5 gを含む]、および100 g/mlの変性サケ精子DNAを含む溶液中で42℃で結合またはハイブリダイズさせ、その後、5×SSPE、0.1% SDSを含む溶液中、42℃で洗浄するのと同等な条件を含む核酸ハイブリダイゼーションを意味する。
「遺伝子」という用語は、非コード機能をもつRNA(例えば、リボソームRNAまたはトランスファーRNA)、ポリペプチド、または前駆体を産生するのに必要な対照用配列およびコード配列を含むDNA配列を意味する。完全長のコード配列、または、所望の活性が保持する限りにおいて、コード配列の一部は、RNAまたはポリペプチドをコードすることができる。
「野生型」という用語は、天然の起源から単離されたときに、ある遺伝子または遺伝子産物の特徴をもつ遺伝子または遺伝子産物を意味する。野生型遺伝子は、集団の中で最も頻繁に見られる遺伝子であるために、任意で「正常」型あるいは「野生」型の遺伝子と名付けられたものである。これに対し、「改変」、「変異」または「多型性」という用語は、野生型の遺伝子または遺伝子産物に較べると、配列および/または機能特性に変化(すなわち、特徴の変化)を示す遺伝子または遺伝子産物を意味する。天然の変異体を単離することができることに留意されたい。すなわち、これらの変異体は、野生型の遺伝子または遺伝子産物に較べて特徴が変化しているという事実によって特徴付けられる。
本明細書において、「組換えDNAベクター」という用語は、所望の異種性配列を含むDNA配列を意味する。例えば、この用語は、発現される配列、または、発現産物をコードする配列だけに使用されるものではないが、いくつかの態様において、異種性配列とは、コード配列、または、宿主生物においてコード配列を複製するのに必要か、もしくは特定の宿主生物において機能的に結合しているコード配列を発現させるのに必要とされる適当な配列のことである。原核生物での発現に必要なDNA配列には、プロモーター、任意で、オペレーター配列、リボソーム結合部位、および場合によっては他の配列などが挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られている。
本明細書において、「LTR」という用語は、プロウイルス(すなわち、組み込まれたレトロウイルス)の各末端における長い末端反復配列を意味する。LTRは、転写調節因子、ポリアデニル化シグナル、およびウイルスゲノムの複製および組み込みに必要となる配列など多数の調節シグナルを含む。ウイルスのLTRは、U3、R、およびU5と呼ばれる3つの領域に分けられる。
U3領域は、エンハンサー因子とプロモーター因子を含む。U5領域は、ポリアデニル化シグナルを含む。R(反復)領域は、U3領域とU5領域を分離し、ウイルスRNAの5'末端と3'末端には、R領域を転写した配列が現れる。
本明細書において、「オリゴヌクレオチド」という用語は、2個またはそれ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであって、好ましくは少なくとも5個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜15個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約15〜30個のヌクレオチドを含む分子と定義される。正確な長さは多くの要素によって決まり、さらには、最終的な機能またはオリゴヌクレオチド使用法によって決まる。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、PCR、またはこれらを組み合わせた方法などのいかなる方法で作成してもよい。
モノヌクレオチドは、その五員環の5'リン酸が、ホスホジエステル結合によって、一つの方向にその隣にある3'酸素に結合するよう反応してオリゴヌクレオチドを作り、その一方の端の5'リン酸が、モノヌクレオチドの五員環の3'酸素に結合していなければ、その端を「5'末端」といい、オリゴヌクレオチドの3'酸素が、その後ろにモノヌクレオチドの五員環の5'リン酸を結合していなければ「3'末端」という。本明細書において、核酸配列は、長いオリゴヌクレオチドの内部のものであっても、5'末端と3'末端をもつと言える。核酸鎖上の最初の領域をもう一方の領域の上流という。
2つの異なった重複のないオリゴヌクレオチドが一つの直鎖状相補的核酸配列の異なった領域にアニーリングし、一方のオリゴヌクレオチドの3'末端が他方の5'末端の方向を指しているとき、前者を「上流側」オリゴヌクレオチドと呼び、後者を「下流側」オリゴヌクレオチドと呼ぶ。同様に、2つの重複をもつオリゴヌクレオチドが一つの直鎖状相補的核酸配列にハイブリダイズして、第一のオリゴヌクレオチドの5'末端が、第二のオリゴヌクレオチドの5'末端の上流になり、第一のオリゴヌクレオチドの3'末端が、第二のオリゴヌクレオチドの3'末端の上流になるときには、第一のオリゴヌクレオチドを「上流側」オリゴヌクレオチドと呼び、第二のオリゴヌクレオチドを「下流側」オリゴヌクレオチドと呼ぶ。
「プライマー」という用語は、プライマー伸長が開始される条件下に置かれると、合成開始点として機能することができるオリゴヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチド「プライマー」は、制限酵素消化され精製されたオリゴヌクレオチドのように天然型のものであってもよく、合成によって作成されたものであってもよい。
プライマーは、鋳型の特定の配列を有する鎖に「実質的に」相補的なものを選択することができる。プライマーは、鋳型鎖にハイブリダイズしてプライマー伸長を生じさせる程度に相補的でなければならない。プライマー配列は、鋳型配列を正確に反映する必要はない。例えば、プライマーの5'末端に非相補的なヌクレオチド断片が付着していて、残りのプライマー配列が鋳型鎖に実質的に相補的なものでもよい。プライマー配列が鋳型鎖にハイブリダイズして、プライマー伸長産物を合成させるために鋳型とプライマーの複合体を形成させる程度に相補的であれば、非相補的な塩基またはより長い配列をプライマーの中に散在させることができる。
本明細書において、「標識」という用語は、検出可能な(好ましくは、定量化できる)効果を提供するために使用できる原子または分子で、核酸またはタンパク質に結合することのできるものを意味する。標識には、色素;32Pなどの放射性標識;ビオチンなどの結合成分;ジゴキシゲニンなどのハプテン;発光性、リン光性、および蛍光発生性の成分;および蛍光性色素のみ、または蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)によって発光スペクトルを抑制またはシフトさせることができる成分と併用したものなどがあるが、これらに限定されない。標識は、蛍光、放射能、比色定量、重量測定、X線回折もしくは吸収、磁性、酵素活性などによって検出可能なシグナルを提供することができる。標識は、電荷を帯びた成分(正または負の電荷)、あるいは、電荷が中性であってもよい。標識は、標識を含む配列が検出可能でありさえすれば、核酸またはタンパク質の配列を含むか、またはそれらからなるものでもよい。
本明細書において、「シグナル」という用語は、標識またはアッセイ反応によって生じるか、または提供されると考えられるものなどの、検出可能な作用を意味する。
本明細書において、「検出装置」という用語は、例えば、機器(例えば、カメラ、蛍光測定器、電荷結合素子、シンチレーションカウンターなど)または反応媒体(X線またはカメラのフィルム、pH指示器など)などの装置または装置の構成要素であって、使用者、またはある装置の別の部分(例えば、コンピュータまたは制御装置)にシグナルまたは作用の存在を伝えることができる装置を意味する。検出装置は、紫外線、蛍光または化学発光などの可視光または赤外線を検出することができる光学測定装置または分光光学測定装置;放射線検出装置;核磁気共鳴分光、質量分析、または表面増強ラマン分光分析などの分光装置;ゲルまたはキャピラリー電気泳動などの装置、またはゲル排除クロマトグラフィー;もしくは、その他、当技術分野において既知の検出装置、またはこれらを組み合わせたものでもよい。
本明細書において、「切断構造」という用語は、少なくとも1つのプローブオリゴヌクレオチドと標的核酸の相互作用によって形成される構造であって、二本鎖を含み、形成された構造が、酵素などの切断因子によって切断可能なものを意味する。切断構造とは、二次構造には関係なく(すなわち、二本鎖構造の形成は必要でない)核酸分子を切断するホスホジエステラーゼなどの因子による非特異的切断の基質となる核酸分子とは異なり、切断手段によって特異的切断される基質である。
本明細書において、「折り畳まれた切断構造」という用語は、二次構造を含む一本鎖核酸基質の領域であって、酵素的切断手段によって切断可能な領域を意味する。切断構造とは、二次構造には関係なく(すなわち、二本鎖構造の形成は必要でない)核酸分子を切断するホスホジエステラーゼなどの因子による非特異的切断の基質となる核酸分子とは異なり、切断手段によって特異的切断される基質である。
本明細書において、「折り畳まれた標的」という用語は、少なくとも1つの二次構造領域(すなわち、核酸の一本鎖の中における少なくとも1つの二本鎖領域、および少なくとも1つの一本鎖領域)を含む核酸鎖を意味する。
本明細書において、「切断手段」または「切断因子」という用語は、切断構造を切断することができる何らかの手段であって、酵素を含むが、それに限定されない。切断手段には、5'ヌクレアーゼ活性を有する天然型DNAP(例えば、Taq DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼI)などがあるが、具体的には、5'ヌクレアーゼ活性を有するが、合成活性をもたない改変DNAPなどである。「構造特異的ヌクレアーゼ」または「構造特異的酵素」とは、核酸分子における特異的な二次構造を認識してこれらの構造を切断する酵素である。本発明に係る切断手段は、切断構造の形成に反応して核酸分子を切断するが、切断構造内の特別な位置にある切断構造を切断する必要はない。
切断手段は、5'ヌクレアーゼ活性だけをもつ酵素に限定されることはない。切断手段は、CLEAVASE酵素、FEN-1エンドヌクレアーゼ(RAD2およびXPGタンパク質を含む)、Taq DNAポリメラーゼ、および大腸菌DNAポリメラーゼIなど、さまざまな起源から提供されるヌクレアーゼ活性を含むことができる。
「熱安定性」という用語は、5'ヌクレアーゼなどの酵素を意味し、温度が上昇しても、すなわち、約55℃またはそれ以上でも、酵素に機能または活性がある(すなわち、触媒作用を行なうことができる)ことを意味する。
本明細書において、「切断産物」という用語は、切断手段が切断構造と反応すること(すなわち、切断構造を切断手段で処理すること)によって生成される産物を意味する。
「標的核酸」という用語は、少なくとも1つのプローブオリゴヌクレオチドに対して少なくとも部分的相補性をもち、INVADERオリゴヌクレオチドに対しても少なくとも部分的相補性をもつ配列を含む分子を意味する。標的核酸は、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAを含むことができ、ヌクレオチド類似体、標識、およびその他の修飾物質を含む。
「プローブオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸と相互作用して、INVADERオリゴヌクレオチドの存在下または非存在下で切断構造を形成するオリゴヌクレオチドを意味する。標的核酸にアニーリングすると、プローブオリゴヌクレオチドと標的は切断構造を形成し、プローブオリゴヌクレオチド内で切断が起きる。
「非標的切断産物」という用語は、標的核酸に生じたものではない、切断反応による生成物を意味する。上記したように、本発明に係る方法では、切断構造の切断は、通常プローブオリゴヌクレオチド内で起きる。この標的核酸依存的切断によって生じるプローブオリゴヌクレオチドの断片が「非標的切断産物」である。
「INVADERオリゴヌクレオチド」という用語は、プローブと標的核酸がハイブリダイズする領域の近傍で標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドのうち、プローブと標的がハイブリダイズする領域に重複する部位(例えば、キメラ部分またはヌクレオチド(標的に相補的であってもなくてもよい)を意味する。いくつかの態様において、INVADERオリゴヌクレオチドは、その3'末端に、プローブオリゴヌクレオチドの5'末端にある配列と実質的に同一の配列を含む。
核酸基質に関して、「実質的に一本鎖」という用語は、基質分子が、鎖間の塩基対合相互作用によって結合された二本鎖核酸として主に存在する二本鎖基質とは対照的に、一本鎖の核酸として主に存在することを意味する。
本明細書において、「配列変異」という用語は、2つの核酸の間における塩基配列の違いを意味する。例えば、野生型の構造遺伝子と、この野生型構造遺伝子の変異型は、一塩基置換、および/または、1個または複数のヌクレオチドの欠失または挿入があることで、配列に変化が生じることがある。これら2種類の構造遺伝子の型には、互いに配列が変化しているという。構造遺伝子の別の変異型も存在しうる。この別の変異型は、野生型および第一の変異型の両方から配列が変化しているという。
本明細書において、「遊離」という用語は、例えば、5ヌクレアーゼなどの作用によって、遊離された断片が残りのオリゴヌクレオチドともはや共有結合しないように、オリゴヌクレオチドなど、より大きな核酸断片から核酸断片を遊離させることを意味する。
本明細書において、「Km」という用語は、酵素のミカエリス-メンテン(Michaelis-Menten)定数を意味し、所定の酵素が、酵素触媒反応において、最大速度の半分の速度が得られる、篤的の基質濃度と定義される。
本明細書において、「ヌクレオチド」という用語は、天然のヌクレオチドおよび/または合成オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、およびヌクレオチド誘導体を含むが、これらに限定されない。例えば、この用語は、天然のDNAまたはRNAのモノマー;ペプチド核酸(PNA)(M. Egholmら、Nature 365: 566 [1993])、ホスホロチオネートDNA、ホスホロジチオネートDNA、ホスホラミダイトDNA、アミド結合型DNA、MMI-結合型DNA、2'-O-メチルRNA、アルファ-DNA、およびホスホネートDNAなど、骨格が修飾されているヌクレオチド;2'-O-メチルRNA、2'-フルオロRNA、2'-アミノRNA、2'-O-アルキルDNA、2'-O-アリールRNA、2'-O-アルキニルRNA、ヘキソースDNA、ピラノシルRNA、およびアンヒドロヘキシトールDNAなど、糖修飾されているヌクレオチド;ならびに、C-5置換されたピリミジン(フルオロ-、ブロモ-、クロロ-、ヨード-、メチル-、エチル-、ビニル-、ホルミル-、エチニル-、プロピニル-、アルキニル-、チアゾイル-、イミダゾリル-、ピリジル-などの置換基)、フルオロ-、ブロモ-、クロロ-、ヨード-、メチル-、エチル-、ビニル-、ホルミル-、アルキニル-、チアゾイル-、イミダゾリル-、ピリジル-を含むC-7置換基をもつ7-デアザプリン(deazapurine)、イノシン、およびジアミノプリンなどの塩基修飾されたヌクレオチドを含む。
本明細書において、「塩基類似体」という用語は、7-デアザプリン(例えば、7-デアザ-アデニンおよび7-デアザグアニン);例えば、IsoC、IsoG、ならびに、その全部が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,432,272号、第6,001,983号、第6,037,120号、第6,140,496号、第5,912,340号、第6,127,121号、および第6,143,877号記載のその他修飾された塩基およびヌクレオチドであるが、これらに限定されない不正規塩基対合などの相互作用の変化をもたらす修飾塩基;プリンまたはピリミジン環系に基づくヘテロ環塩基類似体、およびその他のヘテロ環塩基など、修飾された塩基は、例えば、などの修飾型または非天然型の塩基を意味する。ヌクレオチド類似体には塩基類似体などがあり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの修飾型を含む。
「多型遺伝子座」という用語は、集団の構成員間で変異を示す集団に存在する遺伝子座のことである(例えば、最も一般的な対立遺伝子の頻度は0.95未満である)。これに対し、「単形遺伝子座」は、集団の構成員間に変異がほとんど見られないか、全く見られない遺伝子座のことである(通常、集団の遺伝子プールにおいて最も一般的な対立遺伝子の頻度が0.95を超える遺伝子座と考えられている)。
本明細書において、「微生物」という用語は、非常に小型のために裸眼では見えない生物を意味し、細菌、ウイルス、原生動物、真菌、および繊毛虫類などがあるが、これらに限定されない。
「微生物の遺伝子配列」という用語は、微生物に由来する遺伝子配列をいう。
「細菌」という用語は、真性細菌種および古細菌種などの細菌の種を意味する。
「ウイルス」という用語は、自律複製できない、非常に小型の偏性細胞内寄生体を意味する(すなわち、複製には宿主細胞の機構を必要とする)。
「多剤耐性」という用語は、微生物の処理に用いられる抗生物質または抗菌剤の2種類以上に耐性の微生物を意味する。
本明細書および特許請求の範囲における「試料」という用語は、もっとも広義に使用されている。一方では、標本または培養物(微生物培養液)などを意味し、他方では、生物試料および環境試料の両方を含む意味である。試料には、合成による標本も含まれうる。
生物試料は、ヒトを含む動物、液体、固体(例えば、大便)、または組織などであり、また、乳産物、野菜、肉、肉の副製品、および廃棄物など、液体および固体の食物および飼料用製品、および原料である。生物試料は、家畜動物のさまざまな科のすべてから、また、有蹄動物、クマ、魚類、ウサギ、齧歯類などであるが、これらに限定されない、野生化した、または野生の動物から得ることができる。
環境試料には、表面物質、土壌、水、および産業試料などの環境物質があり、また、食品および乳産物の加工器具、装置、設備、調理器具、使い捨てまたは使い捨てでない道具などから得られる試料が含まれる。これらの例は、本発明に応用可能な試料の種類を限定するものと解してはならない。
「標的核酸の起源」という用語は、核酸(RNAまたはDNA)を含む試料を意味する。特に好ましい標的核酸起源には、血液、唾液、脳脊髄液、胸水、乳汁、リンパ液、痰、および精液が含まれるが、これらに限定されない。
あるオリゴヌクレオチドが、他のオリゴヌクレオチド(または標的核酸)よりも高濃度で存在していれば、そのオリゴヌクレオチドは、もう一方のオリゴヌクレオチド(または標的核酸)に対して「過剰量」存在しているという。プローブオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドが、相補的な標的核酸配列の濃度に対して過剰量切断反応液中に存在しているとき、その反応液を用いて、存在する標的核酸の量を明らかにすることができる。一般的に、過剰量存在するというのは、プローブオリゴヌクレオチドが、モル濃度で100倍以上過剰に存在することで、一般的には、標的核酸配列が約10 fmole以下であれば、各1 pmoleのプローブオリゴヌクレオチドを使用することになると思われる。
第一および第二の標的核酸を「含んでいると思われる」試料は、標的核酸分子を含んでいるものと含んでいないものを両方とも含む。
「電荷平衡(charge-balanced)」オリゴヌクレオチドという用語は、修飾されたオリゴヌクレオチドが電荷をもち、この修飾されたオリゴヌクレオチドを切断する(すなわち、短くなる)か伸長させると、生じた産物が、投入されたオリゴヌクレオチド(「電荷平衡」オリゴヌクレオチド)とは異なる電荷をもつようになるため、電荷によって、投入されたオリゴヌクレオチドと反応後のオリゴヌクレオチドとの分離が可能になるように修飾されたオリゴヌクレオチドを意味する。「電荷平衡」という用語は、修飾または平衡されたオリゴヌクレオチドが、正味の中性電荷をもつことを意味しない(しかし、そういう場合もありうる)。電荷平衡化とは、このオリゴヌクレオチド投入によって生じる特異的反応産物を、投入オリゴヌクレオチドからの電荷に基づいて分離するためにオリゴヌクレオチドを設計および修飾することを意味する。
例えば、プローブオリゴヌクレオチドが
Figure 0005661071
という配列(すなわち、修飾塩基を含まない配列番号:136)をもち、プローブの切断が2位と3位の残基の間で起こるINVADERオリゴヌクレオチド特異的切断アッセイ法では、このオリゴヌクレオチドの電荷平衡した配列として考えられるのは、
Figure 0005661071
である。この修飾オリゴヌクレオチドは、正味で負に荷電している。切断後、以下のオリゴヌクレオチドが生成される:
Figure 0005661071
(配列番号:136の3〜22位の残基)。5'Cy3-アミノT-アミノ-T3'は、検出可能な成分(正に荷電したCy3色素)と2個のアミノ修飾塩基をもつ。このアミノ修飾塩基とCy3色素は、リン酸基によって生じる過剰な負の電荷を上回る正の電荷を与えるため、5'Cy3-アミノT-アミノ-T3'は正味の正電荷をもつ。残りの長い方の切断断片は、投入されたプローブと同様、正味の負電荷をもつ。5'Cy3-アミノT-アミノ-T3'断片は、電荷に基づいて、投入プローブ(電荷平衡化オリゴヌクレオチド)から分離できるため、電荷不平衡オリゴヌクレオチドという。長い方の切断産物は、電荷に基づいて、投入プローブ(電荷平衡化オリゴヌクレオチド)から分離することはできない。どちらのオリゴヌクレオチドも正味の負電荷をもつためである。したがって、長い方の切断産物は電荷不平衡オリゴヌクレオチドではない。
修飾オリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドについて用いられるとき、「正味の中性電荷(net neutral charge)」という用語は、所望の反応または分離条件下において存在する電荷(すなわち、チミジン上のR-NH3+基、シトシンのN3窒素、リン酸基の有無など)の和が本質的にゼロであることを示している。正味の中性電荷をもつオリゴヌクレオチドは、電場を移動しない。
修飾オリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドについて用いられるとき、「正味の正電荷(net positive charge)」という用語は、所望の反応または分離条件下において存在する電荷(すなわち、チミジン上のR-NH3+基、シトシンのN3窒素、リン酸基の有無など)の和が+1以上であることを意味する。正味の正電荷をもつオリゴヌクレオチドは、電場を陰極に向かって移動する。
修飾オリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドについて用いられるとき、「正味の負電荷(net negative charge)」という用語は、所望の反応または分離条件下において存在する電荷(すなわち、チミジン上のR-NH3+基、シトシンのN3窒素、リン酸基の有無など)の和が−1以下であることを意味する。正味の負電荷をもつオリゴヌクレオチドは、電場を陽極に向かって移動する。
「重合手段」または「重合因子」という用語は、オリゴヌクレオチドへのヌクレオシド三リン酸の付加を促進することのできる因子を意味する。好ましい重合手段にはDNAポリメラーゼおよびRNAポリメラーゼが含まれる。
「ライゲーション手段」または「ライゲーション因子」という用語は、ライゲーション(すなわち、核酸の二本の鎖の末端にある3'-OHと5'Pの間でホスホジエステル結合を形成すること)を促進することのできる因子を意味する。好適なライゲーション手段にはDNAリガーゼおよびRNAリガーゼが含まれる。
本明細書において、「反応剤」という用語は、最も広義の意味である。反応剤は、例えば、酵素的反応剤、化学的反応剤、または光(例えば、紫外光、特に短い波長の紫外光がオリゴヌクレオチド鎖を切断することが知られている)などである。オリゴヌクレオチドを短くする(すなわち、切断する)か伸長するために、オリゴヌクレオチドと反応することのできる因子は、「反応剤」という用語の範囲内に含まれる。
本明細書において、「付加物」という用語は、オリゴヌクレオチドに付加することのできる化合物または因子を意味するために最広義で用いられる。付加物は、(正または負に)荷電していてもよく、または電荷が中性であってもよい。付加物は、共有結合または非共有結合によってオリゴヌクレオチドに付加される。付加物の例には、インドジカルボシアニン色素アミダイト、アミノ置換されたヌクレオチド、エチジウムブロマイド、エチジウムホモダイマー、(1,3-プロパンジアミノ)プロピジウム、(ジエチレントリアミノ)プロピジウム、チアゾールオレンジ、(N-N'-テトラメチル-1,3-プロパンジアミノ)プロピルチアゾールオレンジ、(N-N'-テトラメチル-1,2-エタンジアミノ)プロピルチアゾールオレンジ、チアゾールオレンジ-チアゾールオレンジホモダイマー(TOTO)、チアゾールオレンジ-チアゾールブルーヘテロダイマー(TOTAB)、チアゾールオレンジ-エチジウムヘテロダイマー1(TOED1)、チアゾールオレンジ-エチジウムヘテロダイマー2(TOED2)、およびフルオロセイン-エチジウムヘテロダイマー(FED)、ソラレン、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジンなどがあるが、これらに限定されない。
第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸のある領域に相補的であり、第二のオリゴヌクレオチドが同じ領域(または、その領域の一部)に相補的であれば、標的核酸に上に「配列重複領域」が存在する。重複の程度は、相補性の性質によってさまざまであると考えられる(例えば、図29および67の領域「X」、ならびにそれに添付の考察を参照されたい)。
本明細書において、「精製された」または「精製する」という用語は、試料から混入物を取り除くことを意味する。例えば、組換えCLEAVASEヌクレアーゼは細菌宿主細胞で発現され、宿主細胞のタンパク質を取り除くことで、このヌクレアーゼは精製される。それにより、このような組換えヌクレアーゼの割合が試料中で増加する。
本明細書において、「組換えDNA分子」という用語は、分子生物学的技術によって結合されたDNAセグメントを含むDNA分子を意味する。
本明細書において、「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」という用語は、組換えDNA分子から発現されるタンパク質分子を意味する。
ここで、タンパク質について言われる場合(「所定のタンパク質の一部」などとして)、「一部」という用語は、そのタンパク質の断片を意味する。このような断片の大きさは、4アミノ酸残基から全アミノ酸配列から1個を引いたものまでである(例えば、4個、5個、6個、...、(n-1)個)。
本明細書において、「核酸配列」という用語は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、またはポリヌクレオチド、および、その断片または一部、ならびに、一本鎖または二本鎖のゲノム由来または合成由来のDNAまたはRNAを意味し、センス鎖またはアンチセンス鎖を意味する。同様に、本明細書において、「アミノ酸配列」は、ペプチドまたはタンパク質の配列を意味する。
本明細書において、「ペプチド核酸」(「PNA」)という用語は、天然の核酸に存在しうる塩基または塩基類似体であるが、一般的な核酸のように糖リン酸の骨格ではなく、ペプチド骨格に結合した塩基または塩基類似体を含む分子を意味する。このようなペプチドへの塩基の結合は、オリゴヌクレオチドと同様に、相補的な核酸塩基との塩基対合を可能にする。これらの低分子は、抗遺伝子因子とも名付けられているが、核酸の相補鎖に結合して転写産物が伸長するのを停止させる(Nielsenら、Anticancer Drug Des. 8:53-63[1993])。
本明細書において、「精製された」または「実質的に精製された」という用語は、核酸配列であってもアミノ酸配列であっても、自然環境から取り出されて単離または分離された分子を意味し、自然では共存している他の成分から少なくとも60%、好ましくは75%、最も好ましくは90%分離されている。したがって、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたオリゴヌクレオチド」とは、実質的に精製されたポリヌクレオチドをいう。
本明細書において、「融合タンパク質」という用語は、外因性のタンパク質断片(非CLEAVASE BN/トロンビンヌクレアーゼタンパク質からなる融合相手)に結合した目的のタンパク質(例えば、CLEAVASE BN/トロンビンヌクレアーゼ、またはその一部)を含むキメラタンパク質を意味する。融合相手は、宿主細胞で発現された場合に、組換えキメラタンパク質(例えば、CLEAVASE BN/トロンビンヌクレアーゼ)の可溶性を高めることができたり、アフィニティータグ(例えば、his-タグ)を提供して、宿主細胞または培養上清から組換え融合タンパク質を精製するのを可能にしたり、または、この両方を可能にする。望ましい場合には、当技術分野において既知のさまざまな酵素的または化学的方法によって、目的のタンパク質(例えば、CLEAVASE BN/トロンビンヌクレアーゼ、またはその一部)を融合タンパク質から除去することもできる。
本明細書において、「キメラタンパク質」および「キメラ的タンパク質」という用語は、二種類以上の親タンパク質分子に由来するアミノ酸配列部分を含む一個のタンパク質を意味する。これらの親タンパク質分子は、遺伝子の起源を別にする類似タンパク質に由来するものでもよく、一つの生物に由来する異なったタンパク質でもよく、または、異なった生物に由来する異なったタンパク質でもよい。制限的でない例を示せば、本発明に係るキメラ構造特異的ヌクレアーゼは、FEN-1遺伝子をもつ二種類またはそれ以上の生物に由来するFEN-1遺伝子に由来するアミノ酸配列を混合したものであって、非天然型ヌクレアーゼを形成するように組み合わせられたものを含むことができる。本明細書において、「キメラ」という用語は、天然型遺伝子からの特定の寄与割合を示すものではなく、一部同士を組み合わせる方法を制限するものでもない。本明細書記載の試験法によって判定された切断活性をもつキメラ構造特異的ヌクレアーゼ構築物は、本発明の範囲内に含まれる改良型切断因子である。
本明細書において、「核酸の連続鎖」という用語は、連続し、共有結合した骨格構造をもつ、ニックやその他の破壊部分をもたない核酸の鎖を意味する。塩基対合しているか、一本鎖であるか、ミスマッチしているかなどの各ヌクレオチドの塩基部分の状態は、連続鎖を定義する上での要件ではない。連続鎖の骨格は、天然の被修飾核酸に見られるリボース-リン酸組成物またはデオキシリボース-リン酸組成物に限定されない。本発明に係る核酸は骨格の構造に、ホスホロチオネート残基、ホスホネート残基、2'置換リボース残基(例えば、2'-O-メチルリボース)、および別の糖(例えば、アラビノース)を含む残基などであるが、これらに限定されない修飾を含むことがある。
本明細書において、「連続した二本鎖」という用語は、二本鎖内での塩基対合の進行に分断がない二本鎖核酸領域を意味する(すなわち、二本鎖上の塩基対合が変形して、連続した二本鎖の領域内でギャップ、隆起、またはミスマッチをもたない)。本明細書において、この用語は、二本鎖内での塩基対合の並び方を意味するだけで、核酸鎖の骨格部分の連続性を含意するものではない。中断なしに塩基対合しているが、一方の鎖または双方の鎖にニックをもつ二本鎖核酸も、連続した二本鎖の定義に含まれる。
「二本鎖」という用語は、一方の鎖上のヌクレオチドの塩基部分が、水素結合によって、他方の鎖上に配列した相補的塩基に結合している核酸の状態を意味する。二本鎖になる条件は、核酸の塩基の状態に影響を与える。塩基対合によって、核酸鎖は、主溝および副溝をもつ、二本鎖の三次構造を通常有する。らせん状態を採ることは、二本鎖化されるという作用に潜在するものである。
「二本鎖依存型タンパク質結合」という用語は、二本鎖またはらせん状になった核酸に依存した、タンパク質の核酸への結合を意味する。
本明細書において、「二本鎖依存型タンパク質結合部位または領域」という用語は、特定の親和性をもって二本鎖依存型タンパク質が結合している、核酸内の不連続な領域または配列を意味する。これは、特異的な配列または部位とは殆ど関係なくクロマチンに結合するヒストンタンパク質などの部位特異的でない一般的な二本鎖依存型タンパク質とは全く異なるものである。
本明細書において、「タンパク質結合領域」という用語は、配列または構造によって、特定のタンパク質またはタンパク質の分類群に結合していると同定された核酸領域を意味する。既知の配列と比較すると、このような領域と同定されるような遺伝子情報を含むが、実際の結合に必要な構造を持たないと思われる領域(例えば、二本鎖依存型核酸結合タンパク質部位の一本鎖)もこの定義に含まれる。本明細書において、「タンパク質結合領域」には、エンドヌクレアーゼ結合領域は含まれない。
本明細書において、「完全に二本鎖のタンパク質結合領域」という用語は、二本鎖依存型タンパク質の結合活性またはその他の活性を可能にするために必要とされる、連続した二本鎖の最小っ領域を意味する。このような定義は、二本鎖依存型核酸結合タンパク質の中には、二本の一本鎖のいずれかに見られる正規のタンパク質結合領域よりは短いが、充分な活性をもって二本鎖領域と相互作用することのできるものがあるとの観察結果を包含するためである。すなわち、この領域内の1個または複数のヌクレオチドは、結合を抑制することなく、対合しないままでいることも可能である。本明細書において、「完全に二本鎖の結合領域」という用語は、結合機能を保持する最小の配列を意味する。そのような領域には、必ずしも同時にではないが、複数の位置で二本鎖でない配列を受け入れることのできる領域があるため、単一のタンパク質結合領域は、二本鎖になると完全なタンパク質結合能をもつという複数の部分領域をもつ可能性もある。
「鋳型」という用語は、鋳型依存型核酸ポリメラーゼの活性によって、その上でヌクレオシド三リン酸から相補的なコピーが構築される核酸鎖を意味する。二本鎖の中では、鋳型は、通常、「下側」の鎖として図示および記載される。同様に、鋳型でない鎖は、しばしば、「上側」の鎖として図示および記載される。
「鋳型依存型RNAポリメラーゼ」という用語は、上記の鋳型鎖を複製することによって、新しいRNA鎖を作出するが、鋳型のないところではRNAを合成しない核酸ポリメラーゼを意味する。これは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼまたはポリAポリメラーゼなどのように、鋳型を参照することなく核酸を合成または伸長する鋳型非依存型核酸ポリメラーゼの活性と対極のものである。
「ARRESTOR分子」という用語は、1個または複数の反応成分にその後の作用または反応を行わせないようにするために、侵襲的切断反応に付加するか含ませる因子を意味する。これは、何らかの反応成分を隔離または不活性化すること(例えば、核酸成分を結合または塩基対合させることによって、またはタンパク質成分に結合させること)によって行なうことができる。「ARRESTORオリゴヌクレオチド」という用語は、何らかの反応(例えば、第一の反応、および/またはその後の反応または作用;の1個以上の側面を停止させるため、侵襲的切断反応に含ませるオリゴヌクレオチドを意味するが、ARRESTORオリゴヌクレオチドを特定の反応または反応工程に制限するものではない)。これは、何らかの反応成分を隔離すること(例えば、別の核酸に塩基対合させるか、またはタンパク質成分に結合させること)によって行なうことができる。しかし、本用語は、反応成分が隔離された状態だけに限定されるものではない。
本明細書において、「キット」という用語は、物質を送達するための送達システムを意味する。反応アッセイ法に関しては、このような送達システムには、反応試薬(例えば、適当な容器に入れたオリゴヌクレオチドや酵素など)および/または支持物質(例えば、緩衝液、アッセイを行うための操作指示書など)を一つの場所から別の場所に保存、移動または送達することを可能にするシステムを意味する。例えば、キットには、関連反応試薬および/または支持物質を含む1個または複数の封入物(例えば、箱)などがある。本明細書において、「部分キット」という用語は、各々が全キット構成成分の一部を含む2個またはそれ以上の別々の容器を含む送達システムを意味する。これらの容器は、一緒または別々に受領者に送るためのものである。例えば、第一の容器は、アッセイに用いる酵素を含み、第二の容器にはオリゴヌクレオチドを入れることも可能である。「部分キット」という用語は、食品医薬品化粧品連邦法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)の第520条(e)項によって規制されている分析物特異的試薬(ASR)を含むキットを包含するが、これらに限定されない。実際、各々が全キット構成成分の一部を含む2個またはそれ以上の別々の容器を含む送達システムも、「部分キット」という用語に含まれる。これに対し、「併合キット」は、反応アッセイ法の構成成分すべてが1個の容器に入った送達システムである(例えば、所望の成分がそれぞれ入った1個の箱)。「キット」という用語は、部分キットと併合キットの両方を含む。
本明細書において、「機能ドメイン」という用語は、タンパク質(例えば、酵素)の機能的な特徴を提供する、タンパク質の一領域、または領域の一部である。例えば、酵素の機能ドメインは、基質結合能および触媒活性を含むが、これらに限定されない一種類以上の酵素活性を、直接または間接的に提供することができる。機能ドメインは、機能ドメイン内の1個または複数のアミノ酸を変異させることによって特徴づけることができる、すなわち、アミノ酸の変異によって関連する機能性が変化するため、機能ドメインの存在が示される。
本明細書において、「異種性機能ドメイン」という用語は、タンパク質の機能ドメインであって、その本来の環境にないものを意味する。例えば、異種性機能ドメインは、他の酵素に導入されたある酵素の機能ドメインを含む。異種性機能ドメインは、何らかの方法(例えば、変異を加えられる、複数のコピーに付加されるなど)によって改変されているタンパク質の本来の機能ドメインも含む。異種性機能ドメインは、複数の連続的なアミノ酸を含むことができ、または、アミノ酸断片である離れたアミノ酸を2個またはそれ以上(例えば、非異種性の介在配列を有する2個またはそれ以上のアミノ酸または断片)含むこともできる。異種性機能ドメインは、異種性アミノ酸は、自然では天然のアミノ酸配列に会合しているのが見られないアミノ酸配列、または自然には存在しないタンパク質の一部に会合しているアミノ酸配列に結合しているか、それを含むため、内因性の機能ドメインから区別することができる。
本明細書において、「核酸切断アッセイ法における機能性の変化」という用語は、酵素の特徴で、何らかの形で改変されて、自然の状態とは異なっている(例えば、自然での存在様式とは異なっている)特徴を意味する。改変には、異種性機能ドメインの付加(例えば、突然変異、またはキメラタンパク質の作出など)があるが、これに限定されない。いくつかの態様において、改変された酵素の特徴は、核酸切断アッセイ法において酵素効率が改善するという特徴であってもよい。改善の種類は、ヌクレアーゼ活性の向上(例えば、反応速度の向上)、基質結合の改善(例えば、所望の結果[例えば、より高い特異性、より高い基質交替(substrate turnover)など]を所持させる特定の核酸種[例えば、RNAまたはDNA]の結合を強化または低下させること)、およびバックグラウンド特異性の向上(例えば、望ましくない生成物が産生されるのを減らすこと)などであるが、これらに限定されない。本発明は、機能性の改善を調べるために使用される核酸切断アッセイ法によって制限を受けるものではない。しかし、本発明のいくつかの態様において、侵襲的切断アッセイ法を核酸切断アッセイ法として用いることができる。一定の具体的な態様において、RNA標的を利用する侵襲的切断アッセイ法を、核酸切断アッセイ法として使用することができる。
ここで、ポリペプチド配列に関する「N末端」および「C末端」という用語は、それぞれ、ポリペプチドのN末側領域およびC末側領域の部分を含むポリペプチド領域を意味する。ポリペプチドのN末側領域部分を含む配列は、主にポリペプチド鎖のN末側半分を含む配列であるが、そのような配列に限定されない。例えば、N末側配列は、ポリペプチドのN末側またはC末側の半分の両方を含む塩基を含むポリペプチド配列の内部部位を含むこともできる。同様のことがC末側領域にも言える。N末側領域およびC末側領域は、それぞれ、ポリペプチドのN末端およびC末端の最末端を規定するアミノ酸を含むことができるが、それを含むことは必要ではない。
発明の説明
緒言
本発明は、核酸を処理するための方法および組成物、特に、核酸配列および配列における変異を検出し、その特徴を調べる方法および組成物に関する。
好ましい態様において、本発明は、部位特異的に核酸の切断構造を方法に関する。本発明はさまざまな切断因子を提供し、いくつかの態様において、本発明は、核酸合成活性を妨げることなく、5'ヌクレアーゼ活性をもつ切断酵素に関する。別の態様において、本発明は、改変されたポリメラーゼおよび/またはヌクレオチドの活性を有する新規のポリメラーゼ(例えば、熱安定性ポリメラーゼ)を提供する。
例えば、いくつかの態様において、本発明は、天然の熱安定性DNAポリメラーゼのDNA合成活性とは異なる改変されたDNA合成活性を示す熱安定性DNAポリメラーゼに由来する5'ヌクレアーゼを提供する。このポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性は、合成活性が低下または失われても維持される。このような5'ヌクレアーゼは、妨害となる合成活性が存在しないところで、核酸の構造特異的切断を触媒することができる。切断反応の間に合成活性が存在しなければ、均一なサイズの核酸切断産物が得られる。
本発明に係るヌクレアーゼの新規の特性は、特異的核酸配列を検出する方法の基礎を形成する。本方法は、現在の特異的標的配列検出法のように標的配列そのものを増幅することに依存するのではなく、検出分子の増幅に依存する。
DNAポリメラーゼ(DNAP)は、大腸菌、サーマス属の好熱細菌、およびその他の生物から単離され、新しいDNA鎖を合成する酵素である。既知のDNAPのいくつかは、酵素の合成活性の他、関連するヌクレアーゼ活性を含む。
DNAPでは、DNA鎖の5'末端および3'末端からヌクレオチドを除去するものが知られている(Kornberg, DNA複製(DNA Replication)、W.H. Freeman and Co., San Francisco, pp. 127-139 [1980])。これらのヌクレアーゼ活性は、通常、それぞれ5'エキソヌクレアーゼおよび3'エキソヌクレアーゼと呼ばれる。例えば、いくつかのDNAPのN末端ドメインに位置する5'エキソヌクレアーゼ活性は、DNA複製過程でのラギング鎖合成の間にRNAプライマーを除去したり、修復過程で損傷を受けたヌクレオチドを除去することに関与する。大腸菌DNAポリメラーゼ(DNAPEcI)など、DNAPの中には、DNA合成過程におけるプルーフリーディングに関与する3'エキソヌクレアーゼ活性も有するものがある(Kornberg、前掲)。
サーマス・アクアティカスから単離されたDNAPは、Taq DNAポリメラーゼ(DNAP Taq)と名付けられ、5'エキソヌクレアーゼをもつが、機能的な3'エキソヌクレアーゼ分解ドメインをもたない(TindallおよびKunkell, Biochem., 27: 6008 [1988])。DNAPEcIおよびDNAP Taqの誘導体は、それぞれクレノウ断片およびストッフェル断片と呼ばれ、酵素的操作または遺伝子操作の結果、5'エキソヌクレアーゼドメインを欠失している(Brutlagら、Biochem. Biophys. Res. Commun., 37: 982 [1969]; Erlichら、Science 252: 1643 [1991]; SetlowおよびKornberg, J. Biol. Chem., 247: 232 [1972])。
DNAP Taqの、5'エキソヌクレアーゼ活性には、同時に合成が起こる必要があることが報告されている(Gelfand、「PCR技術- DNA増幅の原理と応用(PCR Technology- Principles and Applications for DNA Amplification)」、H.A. Erlich, [編], Stockton Press, New York, p. 19 [1989])。DNAPEcIおよびDNAP Taqの5'エキソヌクレアーゼによる分解産物はモノヌクレオチドが大部分であるが、短いオリゴヌクレオチド(≦12ヌクレオチド)も見られる。このことは、これらいわゆる5'エキソヌクレアーゼがエンドヌクレアーゼ的に機能できることを示唆している(Setlow前掲;Hollandら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 7276 [1991])。
国際公開公報第92/06200号において、Gelfandらは、熱安定性DNAポリメラーゼの5'エキソヌクレアーゼ活性の好適な基質は置換された一本鎖DNAであることを明らかにしている。好適なエキソヌクレアーゼ切断部位は二重らせん領域中のホスホジエステル結合であるというホスホジエステル結合の加水分解が、置換された一本鎖DNAと二重らせん状DNAとの間で起こる。したがって、通常DNAPに関連する、この5'エキソヌクレアーゼ活性は、構造依存的一本鎖エンドヌクレアーゼであり、より正確には、5'ヌクレアーゼと呼ばれる。エキソヌクレアーゼは、核酸分子の末端からヌクレオチド分子を切断する酵素である。他方、エンドヌクレアーゼは、末端部位ではなく内部にある核酸分子を切断する酵素である。いくつかの熱安定性DNAポリメラーゼヌクレアーゼ活性は、エンドヌクレアーゼのような切断を行なうが、切断には、切断される分子の5'末端との接触が必要である。従って、これらのヌクレアーゼは5'ヌクレアーゼと称される。
5'ヌクレアーゼ活性が真性細菌のA型DNAポリメラーゼに関連するとき、このタンパク質のN末端側3分の1の領域に独立して機能するドメインがあることが見出されている。この分子のC末端側3分の2の領域は、DNA合成に関与する重合ドメインを構成する。A型DNAポリメラーゼには、分子のC末端側3分の2の領域に伴う3'エキソヌクレアーゼ活性をもつものもある。
DNAPの5'エキソヌクレアーゼ活性および重合活性は、ポリメラーゼ分子のタンパク質切断または遺伝子操作によって分離することができる。DNAPEcIのクレノウ断片またはタンパク質分解大断片は、ポリメラーゼ活性と3'エキソヌクレアーゼ活性を含むが、5'ヌクレアーゼ活性をもたない。DNAP Taqのストッフェル断片(DNAPStf)は、ポリメラーゼ分子のN末端側289アミノ酸を欠失させる遺伝子操作によって5'ヌクレアーゼをもたない(Erlichら、Science 252: 1643 [1991])。国際公開公報第92/06200号には、レベルを改変された5'から3'へのヌクレアーゼをもつ熱安定性DNAPを開示している。米国特許第5,108,892号は、5'から3'へのヌクレアーゼをもたないサーマス・アクアティカスDNAPを開示している。合成活性の量が低下した熱安定性DNAポリメラーゼが利用可能であり(サードウエーブテクノロジーズ社(Third Wave Technologies)、ウィスコンシン州マディソン(Madison, WI))、米国特許第5,541,311号、第5,614,402号、第5,795,763号、第5,691,142号および第5,837,450号に開示されている。これらの文献は、その全部が参照として本明細書に組み入れられる。本発明は、熱安定性A型DNAポリメラーゼに由来する5'ヌクレアーゼであって、5'ヌクレアーゼ活性は保持しているが、合成活性が低下しているか、それを持たない5'ヌクレアーゼを提供する。酵素の合成活性を5'ヌクレアーゼ活性から切り離すことが可能なことは、5'ヌクレアーゼ活性には、以前報告されていたように、DNA合成が同時に行なわれることは必要ではないことを証明している(Gelfand, PCR技術、前掲)。
上記した真性細菌のDNAポリメラーゼIタンパク質の5'エキソヌクレアーゼドメイン以外にも、5'ヌクレアーゼは、バクテリオファージ、真核生物、および古細菌にも関係することが発見されている。全体として、この仲間の酵素はすべて、配列類似性の程度が限られているにも関わらず、非常によく似た基質特異性を示す。結果的に、本発明に係る方法において使用するのに適した酵素は、多様な起源から単離または派生させることができる。
大腸菌Pol Iの5'エキソヌクレアーゼドメインに対し機能的な類似性をもつ哺乳動物の酵素が、30年ほど前に単離された(Lindahlら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 62(2): 597-603 [1969])。その後、真核生物および古細菌に由来するフラップエンドヌクレアーゼ(FEN1)と呼ばれる、この酵素群のさらに別のメンバーが、配列類似性は限られているにも関わらず、ほぼ同一の構造特異的活性をもつことが示された(HarringtonおよびLieber、Embo J 13(5), 1235-48 [1994]; Muranteら、J. Bio. Chem 269(2), 1191-6 [1994]; Robinsら、J. Bio. Chem 269(46), 28535-8 [1994]; Hosfieldら、J. Bio. Chem 273(42), 27154-61 [1998])。FEN1酵素、および真性細菌および関連するバクテリオファージの酵素の基質特異性を調べたところ、すべての酵素で類似していることが分かった(Lyamichevら、Science 260 (5109), 778-83 [1993]; HarringtonおよびLieber、前掲;Muranteら、前掲;Hosfield、前掲;Raoら、 J. Bacteriol. 180(20), 5406-12 [1998];, Bhagwatら、J. Bio. Chem 272(45), 28523-30 [1997]; GarforthおよびSayers, Nucleic Acids Res. 25(19), 3801-7 [1997])。
成形された基質を用いて、上記に引用した研究の多くが、これらのヌクレアーゼは、切断に際してギャップを残すと判断したため、著者らは、とすれば、ポリメラーゼはギャップを埋めてライゲーション可能なニックを作り出すはずだと考えるに至った。その他数多くの5'ヌクレアーゼが、同一または類似したフラップ基質の切断後にギャップまたは重複を残すことが明らかになっている。それ以来、基質の上流と下流の二本鎖の間に重複がある場合には、構造特異的5'-エキソヌクレアーゼは、切断後にニックを残すと考えられている(Kaiserら、J. Biol. Chem. 274(30): 21387-21394 [1999])。数塩基の重複配列を有する二本鎖は、分枝点移動によってさまざまなコンホメーションをとりうるが、上流鎖の3'末端にある最後のヌクレオチドが対合していないコンホメーションである場合に、切断速度は、上流プライマーの末端がA、C、G、またはTのいずれであっても本質的に同じ速度で切断が起きると考えられた。最適な切断をもたらすのは、配列の重複というよりは、上流プライマーの3'末端と下流二本鎖の間の位置的な重複であると考えられた。切断後これらの酵素にニックを残させることに加えて、重複部の一塩基によって、基質に重複部がないときと較べると数桁速い速度で酵素による切断が起きる(Kaiserら、前掲)。
下記の5'ヌクレアーゼは、本明細書に記載した方法のいくつかの態様に適用することができる。本発明に係る方法において具体的に利用できる5'ヌクレアーゼには、サーマス・アクアティカス、サーマス・フラバス、サーマス・サーモフィラス、サーマス・フィリフォルミス、およびサーマス・スコトダクタスを含むサーマス種由来のポリメラーゼ、および改変ポリメラーゼがあるが、これらに限定されない。特に、RNA標的鎖を含む侵襲的切断構造をもつDNA部分の切断を利用する検出アッセイ法において改良された効率を示す改変ポリメラーゼが好ましい。
メタノコッカス・ヤンナシイ、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム、アルカエグロブス・ベネフィカス、スルフォロバス・ソルファタリカス、ピロバクラム・アエロフィルム、テルモコッカス・リトラリス、アルカエグロブス・プロフンダス、アシディアヌス・ブリエルリイ、アシディアヌス・アムビバレンス、デスルフォロコッカス・アミロリティカス、デスルフォロコッカス・モビリス、ピロディクティウム・ブロキイ、テルモコッカス・ジルリギイ、テルモコッカス・ゴルゴナリウス、メタノピラス・カンドレリ、メタノコッカス・イグネウス、ピロコッカス・ホリコシイ、およびアエロピルム・ペルニクスのFENヌクレアーゼであるが、これらに限定されない一種類または複数のFENヌクレアーゼの部位を含むキメラポリメラーゼが応用可能であろうが、特に好ましいFEN1酵素は、キメラのアルカエグロブス・フルギダスおよびピロコッカス・フリオサスである。特に好ましくは、RNA標的鎖を含む侵襲的切断構造をもつDNA部分の切断を利用する検出アッセイ法において改良された効率を示す改変ポリメラーゼである。
本発明の詳細な説明を以下の項で開示する。
I.INVADER特異的切断アッセイ法における、5'ヌクレアーゼを用いた特異的核酸配列の検出
II.侵襲的切断反応の産物を連続する侵襲的切断反応に取り込むことによるシグナル増強
III.連続侵襲的切断反応における、シグナルおよびバックグラウンドに対するARRESTORオリゴヌクレオチドの効果
IV.RNA標的を含むINVADERオリゴヌクレオチド特異的切断反応において使用する改良された酵素
V.RNA標的のINVADERアッセイ法による検出のための反応設計
VI.RNA INVADERアッセイ法を行なうためのキット、ならびに
VII.特異的RNA分析物を直接に検出および測定するためのINVADERアッセイ法
I.INVADER特異的切断アッセイ法における、5'ヌクレアーゼを用いた特異的核酸配列の検出
1.INVADERアッセイ法の反応設計
本発明は、標的核酸の存在によって決定される核酸の切断構造を形成し、特徴的な切断産物が遊離するように核酸の切断構造を切断するための方法を提供する。例えば、5'ヌクレアーゼ活性を用いて標的依存型切断構造を切断すると、得られた切断産物は、試料中に特異的標的核酸配列が存在することの指標となる。核酸の二本の鎖、またはオリゴヌクレオチドの両鎖が標的核酸鎖にハイブリダイズして、下記のように、重複した侵襲的切断構造を形成すると、侵襲的切断が起こりうる。切断因子(例えば、5'ヌクレアーゼ)と上流のオリゴヌクレオチドとの相互作用によって、切断因子に、特徴的な切断産物が産生されるような方法で、内部部位で下流オリゴヌクレオチドを切断させることができる。このような態様は、INVADERアッセイ法(サードウエーブテクノロジーズ社(Third Wave Technologies))と名付けられており、米国特許出願第5,846,717号、第5,985,557号、第5,994,069号、第6,001,567号および第6,090,543号、ならびに国際公開公報第97/27214号および国際公開公報第98/42873号に記載されている。これらの文献は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
本発明は、さらに、温度周期を使用したり(すなわち、標的核酸鎖を定期的に変性するため)、または核酸合成をする(すなわち、標的またはプローブ核酸鎖の重合を利用した置換)必要なしに、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションとプローブの切断を何回も行いながら、標的核酸を再使用または再利用するアッセイ法を提供する。標的鎖上でプローブを連続的に置き換えるという条件下で切断反応を行なうと(すなわち、プローブ-プローブ置換によって、もしくはプローブ/標的の会合と解離の間の平衡によって、または、これらのメカニズムを含む組み合わせによって[Reybnaldoら、J. Mol. Biol. 97:511 (2000)])、多数のプローブが一つの標的にハイブリダイズすることができ、多数の切断と多数の切断産物の生成が可能となる。
標的核酸鎖への相補性の程度によっては、オリゴヌクレオチドは標的の特異的領域を規定すると言うことができる。侵襲的切断構造において、2種類のオリゴヌクレオチドは、互いに隣り合う標的領域(すなわち、それらの間に、余分な標的配列を持たない領域)を規定したり、それにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドのいずれか、または両方が、標的鎖に相補的でない余分な部位を含むことができる。隣接してハイブリダイズすることに加えて、侵襲的切断構造形成するためには、上流オリゴヌクレオチドの3'末端が付加的部分を含まなければならない。両方のオリゴヌクレオチドが標的鎖にハイブリダイズしてある構造を形成し、そのような3'末端部分が、上流オリゴヌクレオチド上のその構造内に存在するとき、オリゴヌクレオチドは重複すると言うことができ、この構造は重複、または侵襲的切断構造ということができる。
一つの態様において、侵襲的切断構造の3'部分は単一のヌクレオチドである。この態様では、3'部分はいかなるヌクレオチドであってもよい(すなわち、標的鎖に相補的でもよいが、そうである必要はない)。好ましい態様において、3'部分は、標的鎖に相補的な単一のヌクレオチドである。別の態様において、3'部分はヌクレオチド様化合物である(すなわち、ヌクレオチド類似体、または有機環状化合物など、ヌクレオチドに類似した化学的性質をもつ部分;例えば、米国特許第5,985,557号を参照のこと)。さらに別の態様において、3'部分は、下流オリゴヌクレオチドのハイブリダイズする領域の5'末端に存在する1個または複数のヌクレオチドを順序正しく複製する1個または複数のヌクレオチドである。更なる態様において、3'部分のヌクレオチドを複製した配列の後ろには、下流オリゴヌクレオチド配列をさらに複製したものではなく、別のヌクレオチドである単一のヌクレオチドが続いている。さらに別の態様において、3'部分のヌクレオチドの複製された配列の後ろには、上記したようなヌクレオチド様化合物が存在する。
下流オリゴヌクレオチドは、標的核酸鎖にハイブリダイズする領域の両末端に結合した付加的部分を持つことができるが、持つ必要はない。好ましい態様において、下流オリゴヌクレオチドは、その5'末端での部分を含む(すなわち、5'部分)。特に好ましい態様において、該5'部分は、標的核酸鎖に相補的でない塩基配列を含む5'フラップまたはアームである。
重複した切断構造が形成されると、この構造に特異的なヌクレアーゼ(すなわち、この構造を形成する核酸の塩基配列を認識することではなく、この構造を認識することによって、重複構造中の1個または複数の核酸を切断するヌクレアーゼ)によって認識され切断される。このようなヌクレアーゼは、「構造特異的ヌクレアーゼ」と言われる。いくつかの態様において、構造特異的ヌクレアーゼは5'ヌクレアーゼである。好ましい態様において、構造特異的ヌクレアーゼは、DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼである。別の好ましい態様において、5'ヌクレアーゼをもつDNAポリメラーゼは合成能をもたない。別の好ましい態様において、5'ヌクレアーゼはFEN-1エンドヌクレアーゼである。特に好ましい態様において、5'ヌクレアーゼは熱安定性である。
いくつかの態様において、該構造特異的ヌクレアーゼは、下流オリゴヌクレオチドを選択的に切断する。好ましい態様において、下流オリゴヌクレオチドは、重複構造内の標的にハイブリダイズしている領域の5'末端のヌクレオチドを切断される。構造特異的ヌクレアーゼによっていずれかの位置で重複構造が切断されると、核酸の一部または断片が遊離され、これを「切断産物」という。
いくつかの態様において、重複構造の切断は、構造内の1個または複数の核酸が、この構造から解離する(すなわち、ハイブリダイズ解除、または融解する)条件下で行なわれる。一つの態様において、ある切断構造の全部または一部の解離は、標的核酸がさらに別の1個または複数の重複切断構造を形成することを可能にする。好ましい態様において、この最初の切断構造は部分的に解離する。特に好ましい態様において、切断されたオリゴヌクレオチドだけが、最初の切断構造から解離して、同じオリゴヌクレオチドの別のコピーによって置換される。いくつかの態様において、該解離は、1個または複数のオリゴヌクレオチドがそれ以上標的にハイブリダイズできないように温度を上昇させることによって誘導される。別の態様において、該解離は、オリゴヌクレオチドの切断によって、その反応条件では標的鎖に結合することができない切断産物のみを産生することによって生じる。好ましい態様において、条件は、切断の有無に関わらず、ヌクレオチドが標的鎖に会合(すなわち、ハイブリダイズ)するか、標的鎖から解離でき、オリゴヌクレオチドが切断構造の重複部分の一部として標的にハイブリダイズしたときに切断される条件を選択する。特定の好ましい態様において、重複構造部分の一部となったときに切断されるオリゴヌクレオチドのコピー数が、標的核酸鎖のコピー数を上回り、最初の切断構造体が解離したときに、標的鎖がオリゴヌクレオチドの切断されたコピーと会合するよりも、オリゴヌクレオチドの本来のコピーと会合する可能性の方が高くなるのに十分な量となる条件を選択する。
いくつかの態様において、重複をもたない構造を認識し、切断することができる構造特異的ヌクレアーゼによって切断を行なう。好ましい態様において、重複をもつ構造を切断する速度に較べて、重複をもたない核酸構造の切断速度の方が低いという構造特異的ヌクレアーゼによって切断を行なう。特に好ましい態様において、重複をもつ構造を切断する速度に較べて、重複をもたない核酸構造の切断速度が1%よりも遅い構造特異的ヌクレアーゼによって切断を行なう。
いくつかの態様において、重複切断構造の切断を検出することが望ましい。検出は、切断産物の解析、または残った切断されていない核酸の解析によって行なうことができる。便宜上、以下では、切断産物の解析について説明するが、当業者においては、これらの方法が、侵襲的切断反応において非切断の核酸の解析にも容易に適用できることが理解されよう。核酸、核酸断片またはオリゴヌクレオチドを解析するための、当技術分野において既知の方法を、切断産物の検出に適用することができる。
一つの態様において、切断産物は、それらに含まれる、例えば、各原子、反応基の特定の種類、またはヌクレオチドの各塩基などの化学物質含有量によって同定することができる(Chargaffら、J. Biol. Chem. 177: 405 [1949])。このような方法で、切断産物を、それを切断によって遊離させる長い核酸、または別の核酸から区別することが可能になる。
別の態様において、切断産物は、長さ、質量、電荷、または電荷対質量の比などがあるが、これらに限定されない具体的な物理学的属性によって区別することができる。さらに別の態様において、切断産物は、溶液中での回転速度、電気泳動による移動速度、遠心分離における沈降速度、MALDI-TOF質量分析法における飛行時間、クロマトグラフィーにおける移動速度もしくはその他の挙動、相補的な核酸からの融解温度、または溶液からの沈殿可能性などがあるが、これらに限定されない物理学的属性に関係した挙動によって区別することができる。
切断産物の検出は、標識の遊離によって行なうことができる。このような標識は、一種類以上の色素、32Pまたは35Sなどの放射性標識、ビオチンなどの結合成分、金属イオンまたは化学基などの質量タグ、ポリアミンまたは荷電色素などの電荷タグ、ジゴキシゲニンなどのハプテン、発光性、リン光性、および蛍光発生性の成分、ならびに、蛍光色素単独、または蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、または衝突蛍光エネルギー移動などによって発光スペクトルを抑制またはシフトさせることができる成分と併用した蛍光色素などがあるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、切断産物の解析には、例えば、電気泳動、ハイブリダイズもしくは支持体への選択的結合、またはMALDI-TOFなどの質量分析法による物理的な分析や分離がある。別の態様において、この解析は、FRETに基づく解析法におけるような、切断に誘導される蛍光の変化、または蛍光偏光解析における溶液中での核酸回転速度の切断に誘導される蛍光の変化を検出するような、物理学的分析法または分離法を行なわずに実施することができる。
切断産物は、引き続き、オリゴヌクレオチドを利用することができる反応または読み出し法で使用することができる。このような反応は、ライゲーション、鋳型非依存型核酸ポリメラーゼによる尾部付加、および鋳型依存型核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長などの修飾反応があるが、それらに限定されない。切断産物の修飾は、1個または複数の標識または結合成分の付加、質量の変更、特異的配列の付加などの目的で、または、切断産物の解析を容易にしたり、または別の副産物、切断反応の結果の解析を容易にするなど別の目的で行うことができる。
切断産物の解析は、切断産物そのものを修飾しないその後の工程や反応を含むこともできる。例えば、切断産物を用いて、インビボでの転写を行わせることができるプロモーター、または別のタンパク質結合部位などの機能的構造を完成させることができる。解析には、完成された機能的構造を用いること、または、その機能を実行させる工程が含まれる。1個または複数の切断産物を用いて、重複する切断構造を完成させ、それによって、その生成物を検出できたり、その生成物がさらなる切断反応への関与など、本明細書記載のいずれかの方法によって用いられる、その後の切断反応が可能になる。
侵襲的切断反応の特定の好ましい態様は以下の説明に記載されている。いくつかの態様において、本発明に係る方法は、標的核酸と相互作用して、構造特異的ヌクレアーゼに対する切断構造を形成するオリゴヌクレオチドを少なくとも一組使用する。いくつかの態様において、この切断構造は、i)一本鎖または二本鎖の標的核酸(二本鎖標的核酸を用いるときには、例えば、熱処理によって、一本鎖にすることができる);ii)「プローブ」と称される第一のオリゴヌクレオチドであって、標的核酸配列の第一の領域に相補的であることによって該領域を規定するオリゴヌクレオチド;iii)「INVADERオリゴヌクレオチド」と称される第二のオリゴヌクレオチドであって、その5'部位が第一の標的領域の下流に隣接していて、同じ標的核酸配列の第二の領域を規定し、この第二の部分が、第一のオリゴヌクレオチドによって規定される領域と重複する第二のオリゴヌクレオチドを含む。
本態様におけるこれらのオリゴヌクレオチドの結合は、標的核酸を、プローブのみに相補性を有する領域、INVADERオリゴヌクレオチドのみに相補性を有する領域、および両方のオリゴヌクレオチドに相補性を有する領域という3つの別々の領域に分割すると考えられる。上記したように、本発明のいくつかの態様において、重複は、重複する相補的塩基以外の部分を含むことができる。このように、いくつかの態様において、INVADERオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドの間には物理的な重複はあるが、配列の重複はない。すなわち、後者の態様においては、両方のオリゴヌクレオチドに対して相補性を有する標的核酸領域は存在しない。
a)オリゴヌクレオチドの設計
これらのオリゴヌクレオチド(すなわち、INVADERオリゴヌクレオチドとプローブ)の設計は、当技術分野において標準的な方法を用いて行なわれる。例えば、得られたオリゴヌクレオチドがそれ自体で折り畳まれたり、標的核酸に結合しないで互いにハイブリダイズするような自己相補性のある配列は通常用いない。
これらのオリゴヌクレオチドの長さを選ぶ条件の一つは、標的核酸を含む試料の複雑さである。例えば、ヒトゲノムは、長さ約3×109塩基対である。ある10ヌクレオチドの配列が、任意の塩基列の中に1:410の頻度、すなわち1:1,048,576の頻度で出現するため、30億塩基対では約2,861回になる。明らかに、この長さのオリゴヌクレオチドでは、ヒトゲノムと同じ長さの配列を有する標的の中にある10ヌクレオチドの領域に特異的に結合する機会は低いことになる。しかし、標的配列が3 kbのプラスミドであった場合には、このようなオリゴヌクレオチドが特異的に結合する機会が十分にあることになると思われる。これと同じ計算法をによれば、16塩基のオリゴヌクレオチド(すなわち、16量体)が、最短の配列長で、3×109塩基対で一回だけ出現する数学的可能性の高い長さである。これと同程度の特異性は、より短い2種類またはそれ以上のオリゴヌクレオチドが協同的な形(すなわち、両方とも、あるいはすべてが目的とする標的配列に結合したときにだけ、目的とする複合体を産生できるような形)で結合するように構成されていれば、そのようなオリゴヌクレオチドによっても提供することができ、短いオリゴヌクレオチドを組み合わせることによって所望の特異性がもたらされる。このような態様の一つにおいて、短いオリゴヌクレオチド間での協同性は、オリゴヌクレオチドが、核酸上の隣接する部位にハイブリダイズするときに生じうる同軸的スタッキング効果(coaxial stacking effect)による。別の態様においては、短いオリゴヌクレオチドは、互いに直接、または1個もしくは複数の間隙領域を置いて連結している。このように連結した短いオリゴヌクレオチドは、標的から離れた領域に結合したり、標的内の二次構造の領域にわたって架橋するために使用することも可能である。このような架橋オリゴヌクレオチドの例が、国際公開公報第98/50403号に記載されている。この文献はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
オリゴヌクレオチドの長さを選択する上で考慮しなければならない第二の条件は、オリゴヌクレオチドが機能すると考えられる温度範囲である。平均塩基含有量(50% G-C塩基)をもつ16量体は、特に、オリゴヌクレオチドおよびその標的の濃度、反応液の塩含有量、およびヌクレオチドの正確な配列によるが、計算上約41℃のTm値をもつ。実際問題として、ハイブリダイゼーションの特異性を高めるためには、より長いオリゴヌクレオチドを選択する。長さ20から25ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドは、そのらのTms計算値(Tmから約5℃の範囲)に近い温度で行なわれる反応に使用されれば特異的となる可能性が非常に高くなるため、しばしば使用される。さらに、Tms計算値が50から70℃の範囲で、このようなオリゴヌクレオチド(すなわち、20〜25量体)は、しばしばこの温度範囲付近で最適な活性を示す熱安定性酵素によって触媒される反応に適切に用いることができる。
選択されるオリゴヌクレオチドの最大長も所望の特異性によって決まる。長すぎて部分的な相補配列に安定して結合する危険が高くなったり、所望のときに簡単に遊離できない(例えば、切断が起きた後、標的からの解離できない、または、反応液中の酵素および他の物質に適した反応温度で解離できない)ような長さは避けるべきである。
INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断を行うためにオリゴヌクレオチドを設計および選択する最初の工程は、これら試料の一般原則に従う。各オリゴヌクレオチドは、各々が配列特異的プローブと考えられるものが、上記に列挙したガイドラインに従って選択されうる。すなわち、各オリゴヌクレオチドは、一般的に、20〜40ヌクレオチドの範囲の複雑な試料の中にある目的の標的配列だけにハイブリダイズすると合理的に予想できる長さをもつ。または、INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断アッセイ法は、これらのオリゴヌクレオチドの共同作用に依存するため、標的に架かる/結合する2種類のオリゴヌクレオチドの複合した長さを、この範囲内になるよう選択することができ、各個別のオリゴヌクレオチドを約13〜17ヌクレオチドの範囲にすることができる。反応に非熱安定性切断手段を使用するのであれば、このような設計を使用することができ、熱安定性切断手段を用いるときに使用した温度よりも低い温度で反応を行なう必要がある。いくつかの態様において、これらのオリゴヌクレオチドを、単一の標的核酸内で多数回結合させる(例えば、標的内の多数の変異体、または多数の類似配列を結合させる)ことが望ましい。本発明に係る方法は、特定のサイズのプローブまたはINVADERオリゴヌクレオチドに限定されるものではない。
本アッセイ法のオリゴヌクレオチド対を設計する第二の工程は、上流の「INVADER」オリゴヌクレオチド配列をどの程度下流の「プローブ」配列に重複させるかを選択し、その結果、プローブをどのサイズに切断するかを選択する工程である。いくつかの好ましい態様において、プローブオリゴヌクレオチドは、代謝回転させることができる。すなわち、プローブは、温度による変性または重合による置換を行なう必要なしに、プローブ分子の別のコピーを結合および切断させるために離脱させることができる。本アッセイ法一つの態様において、切断因子によるエキソヌクレアーゼ的分解によってプローブの代謝回転を促進することができるが、本発明のいくつかの好ましい態様においては、代謝回転にとってこのエキソヌクレアーゼ活性は必要ではない。例えば、いくつかの態様においては、反応温度および反応条件を選択して、プローブが標的にハイブリダイズおよび解離しているという平衡状態を作り出す。別の態様において、非結合のプローブに標的鎖への結合を開始させ、結合したプローブを物理的に置換するための温度および反応条件を選択する。さらに別の態様において、プローブ置換のメカニズムのどちらか、または両方がいずれかの割合で起きるように温度および反応条件を選択する。本発明に係る方法は、特定のプローブ置換のメカニズムに限定されるものではない。プローブが標的に結合して切断構造を形成すると、何らかのメカニズムによって切断が起こりうる。標的へのプローブの結合と離脱を連続的に繰り返すと、標的核酸の各コピーに対するプローブの結合と切断を複数回行なうことができる。
i)重複をもたない配列
プローブ上の上流オリゴヌクレオチドの3'末端と所望の切断部位との関係は慎重に設計しなければならない。本明細書で使用されている構造特異的エンドヌクレアーゼと同じタイプのものを切断するのに適した部位は、二本鎖中の一塩基対であることが知られている(Lyamichevら、前掲)。以前は、上流オリゴヌクレオチドまたはプライマーが存在することで、切断部位がこの好適な部位から5'側アームの一本鎖領域に移動できると考えられていた(Lyamichevら、前掲、および米国特許第5,442,253号)。この以前に提唱されたメカニズムに対して、本発明を特定のメカニズムに限定しなくとも、プローブ(ミニプローブおよび中程度の長さのプローブなど)上の切断部位のすぐ5'側または上流にあるヌクレオチドは、効率的な切断を生じさせるために標的と塩基対合できるはずだと考えられる。本発明の場合、これは、目的とする切断部位のすぐ上流にあるプローブ配列中のヌクレオチドであると思われる。さらに、上記したように、プローブ中のその同一の部位に切断させるためには、上流オリゴヌクレオチドが、プローブの目的とする切断部位のすぐ上流に3'側塩基(すなわち、ヌクレオチド)を持たなければならない。INVADERおよびプローブオリゴヌクレオチドが配列重複を共有している態様においては、このことは、上流オリゴヌクレオチドの3'末端ヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドの切断部位の5'側を、対応する標的配列のヌクレオチドとの対合について競合状態に置くことになる。
この競合の結果(切断がうまく行われている間どちらの塩基が対合するか)を調べるために、プローブおよびINVADERオリゴヌクレオチドを置換して、プローブまたはINVADERオリゴヌクレオチドが、この位置で標的配列とミスマッチするようにした。両方の配列が切断速度に与える効果について調べた。INVADERオリゴヌクレオチドが3'末端で塩基対合しない場合には、切断速度が低下することはなかった。しかし、この塩基を除去すると、切断部位が目的の部位の上流に移動した。これに対して、プローブオリゴヌクレオチドは、INVADERオリゴヌクレオチドが切断を指令していた部位のすぐ上流で標的と塩基対合しないと、切断速度は顕著に低下したが、このことは、競合があるときには、プローブオリゴヌクレオチドがこの位置で塩基対合する分子であることを示唆している。
INVADERオリゴヌクレオチドの上流の3'末端は、切断過程では対合していないが、正確な切断の位置決めには、依然として重要であると考えられる。切断位置を決めるのに3'末端ヌクレオチドのどの部分が必要かを調べるために、この位置で終結する、さまざまな方法で改変されたヌクレオチドをもつINVADERオリゴヌクレオチドを設計した。調べた糖には、3'リン酸基をもつ2'デオキシリボース、ジデオキシリボース、3'デオキシリボース、2'O-メチルリボース、アラビノース、および3'リン酸基をもつアラビノースが含まれる。3'リン酸を持つ脱塩基リボース(abasic ribose)、および持たない脱塩基リボースを調べた。リボース糖上の3-ニトロピロールおよび5-3ニトロインドールなどの合成「汎用」塩基を調べた。最後に、塩基様芳香環構造であるアクリジンを調べた。これは、糖基を持たない以前にヌクレオチドであったものの3'末端に結合したものを調べた。得られた結果は、(INVADERオリゴヌクレオチドの3'末端にある)塩基の芳香環が、下流プローブ内の所望の部位に対する切断の検出を行なうための重要な部分であることを裏付けている。INVADERオリゴヌクレオチドの3'末端部分は、標的核酸に対して相補的な塩基である必要はない。
ii)ミニプローブおよびミディプローブ
上記したとおり、INVADERオリゴヌクレオチド-特異的切断アッセイ法を、約13〜25ヌクレオチド(一般的には、20〜25ヌクレオチド)の長さをもつINVADERおよびプローブのオリゴヌクレオチドを用いて行なうことができる。また、オリゴヌクレオチドはそれ自体、標的鎖に沿って整列するが、共有結合しない短い塩基配列から構成されうるとも考えられる。これは、複合オリゴヌクレオチドの糖-リン酸骨格にニックがあるが、できた二本鎖中の塩基対合したヌクレオチドの連続には破綻がないということである。核酸の短い鎖が、より長い鎖に沿って連続的に整列する場合、それぞれのハイブリダイゼーションは、隣接する断片がハイブリダイズすることによって安定する。なぜなら、塩基対合は、骨格が実際に連続しているかのように、らせんに沿って積み重なることができるからである。この結合の協同性によって、長い方のオリゴヌクレオチドだけにハイブリダイズするセグメントについて予想されるものが過剰に存在するなかで各セグメントの相互作用に安定性がもたらされる。この観察結果の利用法の一つは、一般的には長さが18ヌクレオチドの、DNA配列決定のためのプライマーを、このようにしてハイブリダイズするよう設計された3種類の6量体オリゴヌクレオチドのセットから集めることであった(Kotlerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 4241 (1993)。得られた二重のニックをもつプライマーは、6量体のハイブリダイゼーションは崩壊するが、18量体のハイブリダイゼーションは崩壊しないとされる温度で行なわれる反応で酵素によって伸長させることができる。
複合または分割されたオリゴヌクレオチドは、INVADER-特異的切断アッセイ法に好適に適用される。例えば、プローブオリゴヌクレオチドを標的オリゴヌクレオチドに沿って連続および隣接した形で2つのオリゴヌクレオチドに分割し、下流オリゴヌクレオチド(プローブに類似)が、以下の2種類の小さな断片から組み立てられるようにすることができる。すなわち、6〜10ヌクレオチドの短いセグメント(「ミニプローブ」と称する)であって、検出反応の過程で切断されるセグメント、およびミニプローブのすぐ下流にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(「スタッカー」と称する)であって、プローブのハイブリダイゼーションを安定させるのに役立つセグメントである。切断構造を形成させるため、切断活性をミニプローブの所望の領域に向かわせるための上流オリゴヌクレオチド(INVADERオリゴヌクレオチド)が提供される。連結していない核酸の断片(すなわち、ミニプローブとスタッカー)からプローブを組み立てることによって、全部が証明された配列の再合成を必要とすることなく、配列の領域を変更することができる。そのため、検出システムの費用と融通性を高めることができる。さらに、非結合の複合オリゴヌクレオチドを使用すると、システムは、シグナル生成を達成するために完全に一致したハイブリダイゼーションをより厳密に要求するようになり、標的核酸配列における変異または変化を検出する高感度の方法として用いることが可能になる。
一つの態様において、本発明に係る方法は、標的核酸と相互作用して構造特異的ヌクレオチドに対する切断構造を形成する少なくとも3種類のオリゴヌクレオチドを用いる。具体的には切断構造は、i)一本鎖または二本鎖(二本鎖の標的核酸を使用する場合には、例えば加熱することによって一本鎖にすることができる)の標的核酸;ii)「スタッカー」と称される第一のオリゴヌクレオチドであって、標的核酸配列の第一の領域に相補的であることによって、この領域を規定する第一のオリゴヌクレオチド;iii)「ミニプローブ」と称される第二のオリゴヌクレオチドであって、標的核酸配列の第二の領域に相補的であることによって、この領域を規定する第二のオリゴヌクレオチド;iv)「INVADERオリゴヌクレオチド」と称される第三のオリゴヌクレオチドであって、その5'部分が同じ核酸配列の第三の領域を規定し、その第二または3'部分が、第二のオリゴヌクレオチドによって規定される領域と重複する第三のオリゴヌクレオチドを含む。スタッカーを使用しない態様について上記したように、重複領域は、INVADERオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドの間に、配列の重複ではなく、物理的な重複がある領域を意味することもある。
上記に引用した利点に加えて、切断構造を形成するオリゴヌクレオチドに複合的設計を使用することによって、INVADER-特異的切断アッセイ法を行うための反応条件の設計における自由度を高めることができる。上記したように、より長いプローブ(例えば、16〜25ヌクレオチド)を、そのTmよりも低い温度で行なわれる反応での検出に用いる場合は、プローブの切断が、その一部である二本鎖を不安定化する上で重要な役割を果たして、標的核酸上の認識部位の代謝回転と再使用を可能にする。これに対して、プローブのTm以上の反応温度は、プローブが切断されなくても非常に速い速度でプローブ分子がハイブリダイズして、標的から遊離することを意味する。上流INVADERオリゴヌクレオチドおよび切断因子が提供されるとき、プローブは特異的に切断されるが、この切断はプローブの交替には必要ではない。長い(例えば、16〜25ヌクレオチドの)プローブをこのように使用する場合には、この状態を達成するために必要となる温度は高く、平均の塩基組成をもつ25量体でほぼ65〜70℃である。このような高い温度の利用を必要とするため、切断因子の選択は、熱安定性が高いものであって、検出法によるがプローブオリゴヌクレオチドの熱分解による反応のバックグラウンドに貢献できるものに限定される。ミニプローブによって、この後者のプローブ置換というメカニズムを低温で行なうことができる。したがって、低い反応温度を用いる態様にとっては、短いプローブほど好ましい。
本発明に係るミニプローブは、所望の応用法に応じて、さまざまな長さにすることができる。一つの態様において、標準的なプローブ(例えば、16〜25ヌクレオチド)に較べて短く、6〜10ヌクレオチドの範囲でもよい。このように短いプローブを使用するときには、スタッカーオリゴヌクレオチド非存在下ではミニプローブのハイブリダイゼーションが行われないという反応条件を選択することができる。このようにして、短いプローブに、より長い配列の統計的な特異性と選択性を持たせることができる。標的核酸に相補的な短い配列の中または連続した二本鎖の連結部位におけるミスマッチによって起こりうるような、ミニプローブ核酸とスタッカー核酸の協同的結合に混乱が起きると、この協同性が失われることがあり、それによって、短い二本鎖(すなわち、ミニプローブの二本鎖)の安定性は顕著に低下し、本発明に係るアッセイ法における切断産物の量が低下する。
中程度の長さのプローブを使用することができるとも考えられる。そのようなプローブは、11〜15ヌクレオチド程度で、スタッカーオリゴヌクレオチドの補助がなくてもハイブリダイズし切断されうることなど、最初に記載したような長いプローブに付随する特徴のいくつかを融合させることができる。このようなプローブの予想Tmよりも低い温度で、代謝回転のメカニズムは、20ヌクレオチド程度のプローブについて検討したメカニズムと同様であり、不安定化および回転を行うための重複領域中の配列の除去によって左右される。
中程度の長さのプローブは、高い温度でも使用することが可能で、予想Tm以上で、切断ではなく融解によってプローブの回転を促進することができる。しかし、上記したより長いプローブとは対照的に、このように温度に左右される代謝回転を利用できるようにするのに必要な温度はより低い(約40〜60℃)ため、反応液中の切断手段と核酸を両方とも熱分解から保護することができる。このようにして、場合によっては、中程度の長さのプローブは、上記のミニプローブと同様に作用することができる。ミニプローブにさらに類似しているのは、反応条件によっては、スタッカーが存在することによって、中程度の長さのプローブからの切断シグナルの蓄積が促進されることである。
要するに、標準的な長さのプローブでは、通常、下流のスタッカーオリゴヌクレオチドが存在することは恩典とはならない(ただし、そのようなオリゴヌクレオチドが、プローブの結合を阻害する標的核酸構造も破壊する場合にはこの限りでない)ので、このプローブは、標的からオリゴヌクレオチドを効率的に遊離させるために、何種類かのヌクレオチドを除去する必要のある条件で使用することができる。反応温度を用いてプローブの交換を操作する場合には、標準的なプローブに、核酸および酵素が熱分解される危険性の高い温度を使用する必要がある可能性がある。
ミニプローブは非常に短く、下流にスタッカーオリゴヌクレオチドが存在するときに最適に作用する。ミニプローブは、どの塩基が切断されるかに関係なく、標的上でプローブを迅速に交換させる反応温度を使用する反応条件によく適合する。十分な量の切断手段との反応において、よく結合するプローブは融解して離れる前に速やかに切断されるはずである。
中程度の長さのプローブまたはミニプローブは、これらのプローブの特徴を組み合わせて、長いプローブに適した反応と同じ反応において使用することができる。好ましい態様において、中程度の長さのプローブは、プローブが標的にハイブリダイズして、切断の有無に関わらず迅速に遊離する十分に高い温度で使用される。中程度の長さのプローブは、一定の条件下では、スタッカー存在下でより高い効率を示すことができる。
ミニプローブ、ミディ(すなわち、中程度の長さの)プローブ、およびロングプローブの区別は、一定したもので、長さのみに基づくものであるとは考えない。所定のプローブの効率は、それに特異的な配列、溶液条件の選択、温度の選択、および選択された切断手段によって変化する。
本発明に係る切断構造を含むオリゴヌクレオチドの集合体は、プローブと標的の間のミスマッチを感知する。また、INVADERオリゴヌクレオチドと標的との間のミスマッチを利用して、関係する標的配列を区別することができるとも考えられる。INVADER、プローブ、およびスタッカーオリゴヌクレオチドを含む3-オリゴヌクレオチドシステムにおいて、ミスマッチは、これらのオリゴヌクレオチドと標的の間で形成される二本鎖のいずれかの領域内に存在する可能性があると考えられる。好ましい態様において、検出されるミスマッチは、プローブの中に存在する。特に好ましい態様において、ミスマッチは、プローブの中の、プローブが標的にミスマッチしないときに切断される部位のすぐ上流(すなわち、5'側)にある塩基対に存在する。
別の好ましい態様において、検出すべきミスマッチは、ミニプローブのハイブリダイゼーションによって規定される領域内に存在する。特に好ましい態様において、ミスマッチは、ミニプローブの中の、ミニプローブが標的にミスマッチしないときに切断される部位のすぐ上流(すなわち、5'側)にある塩基対に存在する。
iii)INVADERアッセイ法用オリゴヌクレオチドを設計するためのソフトウエア
本発明は、検出アッセイ法に使用するためのオリゴヌクレオチドを設計するためのシステムおよび方法を提供する。特に、本発明は、検出アッセイ法にとって望ましい反応条件(例えば、温度、緩衝液条件など)の下で、標的核酸の適当な領域(例えば、二次構造を含まない標的核酸領域など)にうまくハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを設計するためのシステムおよび方法を提供する。これらのシステムおよび方法によって、同一の反応条件または実質的に同一の反応条件の下での検出アッセイ法においてすべてが機能する、多数の異なったオリゴヌクレオチド(例えば、標的核酸の異なった部位にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、または、2つもしくはそれ以上の異なった標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド)を設計することも可能になる。これらのシステムおよび方法を用いて、実験条件下で機能する対照用試料を設計することも可能である。
本発明に係るシステムおよび方法は、特定の検出アッセイ法に限定されるものではなく、以下の説明は、SNPを検出するためのINVADERアッセイ法(サードウエーブテクノロジーズ社(Third Wave Technologies)、ウィスコンシン州マディソン(Madison, WI);例えば、米国特許第5,846,717号、第5,985,557号、第5,994,069号、第6,001,567号、ならびに国際公開公報第97/27214号および国際公開公報第98/42873号を参照されたい。なお、これらは参照として本明細書に組み入れられる)とともに使用されるときの発明を具体的に説明したものである。当業者には、本例示的実施例の具体的かつ一般的な特徴を、他の検出アッセイ法や、SNP検出以外の目的をもつINVADERアッセイ法(例えば、DNAまたはRNAの定量、RNAのスプライス部位検出など)を設計するときに利用するためにも広く適用できることが理解できると思われる。さらに、本明細書に記載されたアルゴリズムはすべて、別々のソフトウエア構成品として応用することができ、あるいは、下記のINVADERCREATIORデザインシステムを使用せずに、INVADERアッセイ法用プローブセットの設計をするため、マニュアルで計算することもできる。
INVADERCREATIORプログラムを用いたINVADERアッセイ法用オリゴヌクレオチドの設計
SNPを検出するためのINVADERアッセイ法で使用するためにオリゴヌクレオチドを設計する、いくつかの態様において、目的の配列をINVADERCREATIORプログラム(サードウエーブテクノロジーズ社(Third Wave Technologies)、ウィスコンシン州マディソン(Madison, WI))に入力する。上記したとおり、いくつかの起源から解析のために、INVADERCREATIORプログラムをホスティングするコンピュータに直接入力するか、通信ネットワーク(例えば、LAN、イントラネット、またはインターネットによるネットワーク)によって連結された遠隔コンピュータを介して配列を入力する。このプローブによって、センス鎖およびアンチセンス鎖を設計できる。鎖は、一般的に、合成の容易さ、二次構造形成の最小化、および製造のしやすさに基づいて選択される。いくつかの態様において、ユーザーが設計すべき配列の鎖を選択する。別の態様において、ソフトウエアが自動的に鎖を選択する。最適なプローブ回転とシグナル生成を行なうための熱力学的パラメータ(AllawiおよびSantaLucia、Biochemistry, 36: 10581 [1997])を取り込むことによって、オリゴヌクレオチドプローブを設計して、予め選択された測定温度(例えば、63℃)で操作することができる。これらの基準に基づいて、最終的なプローブセット(例えば、2つの対立遺伝子に対する一次プローブおよび一つのINVADERオリゴヌクレオチド)を選択する。
いくつかの態様において、INVADERCREATIORシステムは、BLAST(米国国立衛生研究所国立医学図書館バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information, National Library of Medicine, National Institute of Health)のウェブサイトで利用することができる)へのリンクを含む信頼性の高いサイトアクセス、および、mfold(Zuker, Science, 244: 48 [1989])を組み込んだソフトウエアプログラムであるRNAstructure(RNAストラクチャー)(Mathewsら、RNA 5: 1458 [1999])にリンクすることができる信頼性の高いサイトアクセスをもつウェブを利用したプログラムである。RNAstructureは、INVADERCREATIORによって作成されたオリゴヌクレオチドの設計案を、単一分子および二分子の複合体形成の可能性について試験する。INVADERCREATIORは、オープン・データベース・コネクティビティ(ODBC)に対応しており、エクスポート/統合のためにオラクル(Oracle)データベースを使用している。ほとんどのゲノムセンターはUNIXを利用しているため、UNIXシステムで十分に作動するよう、INVADERCREATIORシステムにはオラクルが組み込まれている。
いくつかの態様において、INVADERCREATIOR解析は、別のサーバー(例えば、サン(Sun)サーバー)上で提供されるため、大量のバッチジョブの解析を処理することができる。例えば、顧客は、2,000個までのSNP配列を一つの電子メールで提出することができる。サーバーは、配列のバッチをINVADERCREATIORソフトウエアに受け渡し、プログラムが開始されると、SNPのセットを設計する。いくつかの態様において、プローブセットの設計は、配列を受け取ってから24時間以内にユーザーに返送される。
いくつかの好ましい態様において、各INVADERアッセイ反応には、二種類以上の標的特異的で標識されていないオリゴヌクレオチド、上流INVADERオリゴヌクレオチドおよび下流プローブオリゴヌクレオチドが一次反応用に含まれる。INVADERオリゴヌクレオチドは、一般的に、反応温度において安定して結合するよう設計され、プローブは、標的鎖と自由に会合したり解離したりするように設計され、また、非切断のプローブが重複するINVADERオリゴヌクレオチドに隣接してハイブリダイズしたときにのみ切断が起きるように設計される。いくつかの態様において、このプローブは、標的に相補的でない5'フラップまたは「アーム」であり、このフラップは、切断が起きたときにプローブから遊離する。いくつかの態様において、遊離したフラップは、INVADERオリゴヌクレオチドとして二次反応に関与する。
以下の考察で、INVADERCREATIORプログラム用のユーザーインターフェイスをどのように構成することができるかの実施例を示す。
ユーザーは、例えば、コンピュータのデスクトップ画面(例えば、ウィンドウズ(Windows)のデスクトップ)上のアイコンをクリックするなどして作業画面を開いて(図42)、アッセイ法を設計すべき標的配列に関連する情報を入力する。いくつかの態様において、ユーザーは標的配列を入力する。別の態様において、ユーザーは、データベースから配列を捕捉できるようにコードまたは番号を入力する。さらに別の態様においては、ユーザーの名前、標的配列に付いた認識番号、および/または受付番号など、付加的情報を提供することができる。好ましい態様において、ユーザーは、(例えば、チェックボックスやドロップダウンメニューによって)標的核酸がDNAであるかRNAであるかを指示する。別の好ましい態様において、ユーザーは、核酸が由来する生物種を指示する。特に好ましい態様において、ユーザーは、設計が一つの配列(すなわち、反応当たり一つの標的配列または対立遺伝子)であるか、複数の配列(すなわち、反応当たり複数の標的配列または対立遺伝子)のいずれを検出するものかを指示する。必要な選択と入力が終わったら、ユーザーは解析処理を開始させる。一つの態様において、ユーザーは、処理を続けるために「設計開始(Go Design It)」というボタンを押す。
いくつかの態様において、処理を行なう前にソフトウエアはフィールドへの入力を認証する。いくつかの態様において、ソフトウエアは、すべてのフィールドに適当な型の情報が完全に入力されているかを確認する。別の態様において、ソフトウエアは、入力配列が、選択された要件(例えば、最小または最大の長さ、DNAまたはRNAの含量)に適合しているかを確認する。いずれかのフィールドへの入力が正しくなされていないときには、エラーメッセージまたはダイアログボックスが現れる。好ましい態様において、エラーメッセージは、どのフィールドが不完全および/または不正確であるかを表示する。配列の入力が確認されると、ソフトウエアは、アッセイ法の設計を開始する。
いくつかの態様において、注文を入力するフィールドに入力された情報によって、どのタイプの設計を作成すべきかが特定される。好ましい態様において、標的配列および多重配列のチェックボックスによって、どのタイプの設計を作成すべきかが特定される。設計の選択肢には、SNPアッセイ法、多重SNPアッセイ法(Multiplexed SNP assay:例えば、一つの反応において、異なった対立遺伝子に対するプローブセットを組み合わせる場合)、多数SNPアッセイ法(Multiple ANP assay:例えば、入力された配列が、設計されるプローブセットついて多数の変異部位をもっている場合)、および複数プローブアームアッセイ法などがあるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、INVADERCREATIORソフトウエアは、ウェブ受注(WebOE)処理によって(すなわち、イントラ/インターネットブラウザ・インターフェイスによって)開始され、これらのパラメータは、メニューやチェックボックスによって入力されるのではなく、WebOEからアプレット<param>タグを介して転送される。
多数SNP設計の場合には、ユーザーは、使用する2つまたはそれ以上の設計を選択する。いくつかの態様において、これを選択すると、新しい画面(例えば、多数SNP設計選択画面、図43)が開く。いくつかの態様において、ソフトウエアは、標的配列中の各遺伝子座に設計を作成し、各スコアを出して、それらをこの画面上に表示する。そして、ユーザーは、使うべき設計を2つ選択することができる。いくつかの態様において、ユーザーは、(例えば、メニューまたはボタンを介して)第一と第二の設計を選択し、作業を続けるために「設計開始(Go Design It)」というボタンをクリックする。
所定の反応温度で最適に作用するプローブ配列を選択するために、隣接モデル(nearest-neighbor model)および公開されているDNA二本鎖形成パラメータ(AllawiおよびSantaLucia, Biochemistry, 36: 10581 [1997])を用いて、検出すべきSNPの融解温度(Tm)を計算する。標的鎖がRNAである態様において、RNA/DNAヘテロ二本鎖の形成に適したパラメータを用いることができる。アッセイ用の塩濃度が、しばしば、隣接パラメーターが得られた溶液条件(1 M NaClおよび二価金属なし)とは異なるため、また、酵素の有無と濃度が最適な反応温度に影響するため、計算されたTm値を調整して、反応を行なうべき最適温度を決定しなければならない。これらの因子を補償する方法の一つは、融解温度を計算するときの塩濃度のために設けられる値を変化させることである。この調整のことを「塩補正」という。本明細書において、「塩補正」という用語は、核酸二本鎖に影響する塩以外のパラメーターまたは条件の効果を、該核酸鎖に対するTm値の計算に反映させるために、塩濃度のために設けられた値を変化させることを意味する。核酸鎖の濃度のために設けられた値を変化させると、これらの計算結果にも影響する。0.5 M NaClという値(SantaLucia, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95: 1460 (1998))とプローブの約1 mMおよび標的の1 fMという核酸鎖濃度を用いることによって、プローブ-標的融解温度を計算するために使用するアルゴリズムを、INVADERアッセイ法の最適な反応温度を予測するのに使用できるようにすることができた。30個のプローブセットについて、この方法によって計算された最適なアッセイ温度と、実験によって決定された最適なアッセイ温度との平均偏差は約1.5℃である。
下流プローブの分析物特異的領域(ASR)の長さは、反応を行なうために選択された温度(例えば、63℃)によって規定される。標的DNA上の変異ヌクレオチド(目的の切断部位のプローブヌクレオチド5'に対合する標的塩基)の位置から始めて、3'末端に付加しながら、所望の反応温度に適合する計算上の最適反応温度(Tm+酵素の作用を補償する塩補正値)になるまで、プローブの標的結合領域の長さを一度に一塩基対ごと増やしていくという反復法を用いる。好ましくは、プローブの非相補的アームを選択して、二次反応を同一の反応温度で繰り返すことを可能にする。mfold(Zuker, Science, 244: 48 [1989])またはOligo 5.0(RychlikおよびRhoads, Nucleic Acids Res., 17: 8543 [1989])などのプローブを用いて、反応を妨害しうる二量複合体または二次構造が形成される可能性について全部のプローブオリゴヌクレオチドをスクリーニングする。INVADERオリゴヌクレオチドの設計も同じ原理に従う。端的には、標的DNA上のN位から始めて、INVADERオリゴヌクレオチドの3'末端を、被検試料に含まれると考えられるどちらの対立遺伝子にも相補的でないヌクレオチドをもつように設計する。ミスマッチは、切断に悪影響を与えず(Lyamichevら、Nature Biotechnology, 17: 292 [1999])、また、おそらく同軸的安定化作用を最小化することによって、プローブの回転を促進することができる。標的DNAに相補的な付加的残基を、N-1位から始めて、INVADERオリゴヌクレオチドと標的とのハイブリッドの安定性がプローブの安定性を超えるまで(そして、その結果、予定していたアッセイ反応温度を超えて)、一般的には、15〜20℃超えるまで、5'方向に付加して行く。
いくつかの態様において、一次反応物から遊離した切断断片を二次反応で使用する。反応工程を同時に行なうことができるよう、一次反応と二次反応が同じ最適温度で起きるようにプローブ配列のすべてを選択することができることがアッセイ法設計の一つの特徴である。代わりの態様において、反応工程が最適温度で同時に起こらないように、異なった最適温度で作動するようにプローブを設計することができる。
いくつかの態様において、ソフトウエアは、ユーザーに、以下のものが含まれるが、それらに限定されない、さまざまな設計の態様を変更する機会を提供する。すなわち、プローブ、標的およびINVADERオリゴヌクレオチドの最適温度と濃度、保護基、プローブのアーム、色素、キャッピング基およびその他の付加基、プローブおよび標的の各塩基(例えば、標的および/またはプローブから塩基を欠失させたり付加すること、または、INVADERおよび/またはプローブおよび/または標的のオリゴヌクレオチドの内部塩基を変更すること)。いくつかの態様において、メニューから選択して変更を行える。好ましい態様において、この選択によって新しい画面が開く(例えば、デザイナーワークシート画面、図44)。
いくつかの態様において、ソフトウエアは、アッセイ法設計の品質(例えば、効率の見込み値)を表示するための採点システムを提供する。一つの態様において、採点システムは、理想的な設計を表す初期スコアの点数(例えば、100点)を含み、また、アッセイ効率に有害な影響を及ぼすことが知られているか、そう思われている設計上の特徴にペナルティー値が割り当てられているシステムである。ペナルティー値は、設計の目的となるアッセイ法の型(例えば、一重鎖、多重鎖)、およびアッセイ反応が行なわれる温度などがあるがこれらに限定されない、配列以外のアッセイ法におけるパラメーターによって、さまざまに変更することができる。以下の例は、実験によって特定される情報に基づいたINVADERアッセイ法のいくつかの態様とともに使用するための例示的な採点基準を提供するものである。採点上ペナルティーを課せられる設計上の特徴を示す例には以下の例があるが、これらに限定されない[ペナルティー値を括弧内に示す。最初の数字は低温アッセイ法(例えば、62〜64℃)用のものであり、二番目の数字は、高温アッセイ法(例えば、65〜66℃)用のものである。
1.[100:100] INVADERオリゴヌクレオチドの3'末端がプローブのアームに類似する:
Figure 0005661071
2.[70:70] プローブが多型性を含む5塩基の直列配列(すなわち、一列になった5個の同じ塩基)を有する
3.[60:60] プローブが多型性に隣接した5塩基の直列配列を有する
4.[50:50] プローブが多型性から1塩基のところに5塩基の直列配列を有する
5.[40:40] プローブが多型性から2塩基のところに5塩基の直列配列を有する
6.[50:50] プローブの5塩基の直列配列がGである−追加的ペナルティー
7.[100:100] プローブがいずれかに6塩基の直列配列を有する
8.[90:90] 2塩基または3塩基の配列が4回以上繰り返される
9.[100:100] 縮重塩基がプローブ中に存在する
10.[60:90] プローブがハイブリダイズする領域が短い(65〜67℃用の設計では13塩基以下;62〜64℃用の設計では12塩基以下)
11.[40:90] プローブがハイブリダイズする領域が長い(65〜67℃用の設計では29塩基以下;62〜64℃用の設計では28塩基以下)
12.[5:5] プローブがハイブリダイズする領域の長さ−一塩基付加される毎のペナルティー
13.[80:80] プローブのアームの後ろに来る最初の3塩基を区別しにくいIns/Del設計
14.[100:100] プローブ標的の7.5℃の範囲内にあるINVADERオリゴヌクレオチドの計算上のTm値(65〜67℃用の設計ではINVADERオリゴヌクレオチドが70.5℃以下;62〜64℃用の設計ではINVADERオリゴヌクレオチドが69.5℃以下)
15.[20:20] プローブの計算上のTm値が2.0℃以上差がある
16.[100:100] プローブが、標的のTm値と比べて2℃より低い計算上のTm値をもつ
17.[10:10] 標的の一方の核酸鎖が、もう一方の鎖よりも8塩基長い
18.[30:30] INVADERオリゴヌクレオチドがいずれかに6塩基の直列配列を有する−初期ペナルティー
19.[70:70] INVADERオリゴヌクレオチドの6塩基の直列配列がGである−追加的ペナルティー
20.[15:15] プローブがハイブリダイズする領域が、14、15もしくは24〜28塩基長(65〜67℃)、または13、14もしくは26、27塩基長い(62〜64℃)
21.[15:15] プローブが、多型を含むGの4塩基の直列配列を有する
特に好ましい態様において、設計における各オリゴヌクレオチドに関する温度をコンピュータで再計算し、変更されるたびに、採点をコンピュータで再計算する。いくつかの態様において、「説明」ボタンをクリックすれば、採点についての説明を見ることができる。いくつかの態様において、BLAST検索の選択肢が提供される。好ましい態様において、「BLAST設計」ボタンをクリックすると、BLAST検索が行なわれる。いくつかの態様において、この操作によって、BLAST処理を説明するダイアログボックスが表示される。好ましい態様において、BLAST検索の結果がデザイナーワークシート上に強調された形で表示される。
いくつかの態様において、ユーザーは、「受諾」ボタンをクリックして設計を受諾する。別の態様においては、ユーザーの介入なしで設計を諒承する。好ましい態様において、プログラムが、諒承された設計を次の処理段階(例えば、作成、ファイルまたはデータベース)に送り込む。いくつかの態様において、プログラムは、画面上(例えば、出力ページ、図45)に図示し、作成された最終設計を精査できるようにし、また、設計に注釈を付けられるようにする。好ましい態様において、ユーザーは、(例えば、「戻る」ボタンをクリックすることによって)デザイナーワークシートに戻ることができる。または、(例えば、「保存」ボタンをクリックすることによって)設計を保存し、(例えば、設計されたオリゴヌクレオチドを製造用に提示するために)続けることができる。
いくつかの態様において、プログラムは、印刷(例えば、テキストのみの表示)のため、またはその他の出力(例えば、出力画面、図46)のために最適化された設計図を表示する画面を作成する選択肢を提示する。好ましい態様において、出力画面は、印刷、または別のアプリケーションに出力する(例えば、別のアプリケーションにコピー・ペーストする)のに特に適した設計の説明を提供する。特に好ましい態様において、出力画面は別のウィンドウの中で開く。
本発明は、INVADERCREATIORソフトウエアの使用に限定されるものではない。実際、GCGウィスコンシンパッケージ(ジェネティクスコンピュータグループ(Genetics computer Group)、ウィスコンシン州マディソン)、およびベクターNTI(インフォマックス(Informax)、メリーランド州ロックビル(Rockville, Maryland))などがあるが、これらに限定されない、さまざまなソフトウエアプログラムが考案され、市販されている。
b)反応条件の設計
標的核酸(例えば、RNAおよびDNA)は、5'ヌクレアーゼまたはその他適当な切断因子を使用する、本発明に係る方法を用いて解析することができる。そのような核酸は、標準的な分子生物学的な技術を用いて得ることができる。例えば、核酸(RNAまたはDNA)は、組織試料(例えば、生検標本)、組織培養細胞、細菌および/またはウイルスを含む試料(細菌および/またはウイルスの培養物など)などから単離することができる。標的核酸は、DNA鋳型からインビトロで転写したり、化学的に合成したり、または、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅することもできる。さらに、核酸は、ゲノム物質として、またはプラスミドや同様の染色体外DNAとして生物から単離することができ、または、制限酵素またはその他の切断因子、または剪断力で処理して生成されたこのような物質の断片であってもよい。また、断片は合成することができる。
標的、プローブ、およびINVADERオリゴヌクレオチド核酸を集めて、本発明に係る切断反応に加えるときには、オリゴヌクレオチドを用いる酵素アッセイ法の設計で広く利用されているジデオキシヌクレオチド配列決定法、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの原理を用いる。これらのアッセイ法で行われるとき、オリゴヌクレオチドを十分に過剰な量提供して、標的核酸にハイブリダイズする速度が非常に速くなるようにする。これらのアッセイ法は、普通、反応混合液1マイクロリットルあたり各オリゴヌクレオチドを50フェムトモルから2ピコモル加えて行なわれる。しかし、この範囲に限定されるわけではない。本明細書に記載した実施例においては、反応容量1マイクロリットルあたり250フェムトモルから5ピコモルのオリゴヌクレオチド量が用いられた。これらの値は、実証を容易にする目的で選ばれたのであって、本発明の実施をこれらの濃度に限定する趣旨ではない。他の分子生物学的反応で使用される別の(例えば、低い)オリゴヌクレオチド濃度も考えられる。
INVADERオリゴヌクレオチドは、標的核酸にハイブリダイズする各々のプローブオリゴヌクレオチドを切断させることに直ちに利用できるものであることが望ましい。本明細書に記載した態様のいくつかにおいて、INVADERオリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチドよりも過剰に提供される。これは、そのような態様において、INVADERオリゴヌクレオチドを直ちに利用できるものにする上で有効な方法であるが、本発明の実施が、INVADERオリゴヌクレオチドをプローブに対して過剰であるという条件に限定されるものではなく、また、INVADER:プローブが特定の割合である場合に限定されるものでもない(例えば、本明細書に記載した態様のいくつかにおいては、プローブがINVADERオリゴヌクレオチドに対して過剰に提供される)。プローブが標的核酸に結合するときに必ずINVADERオリゴヌクレオチドが存在することを確実にする別の方法は、INVADERオリゴヌクレオチドが、より安定して標的にハイブリダイズさせるように設計すること、すなわち、プローブよりも高いTm値を持たせることである。これは、本明細書で検討した核酸二本鎖の安定性を上昇させる方法のいずれかによって行なうことができる(例えば、標的核酸に対する相補性の程度を高める)。
オリゴヌクレオチド/標的ハイブリダイゼーションおよび切断因子の活性の両方に親和的な緩衝液条件を選択すべきである。核酸修飾酵素、特にDNA修飾酵素にとって最適な緩衝液条件には、一般的に、核酸鎖を塩基対合によって会合させるのに充分な量の一価および二価の塩が含まれる。本発明に係る方法を、本明細書に具体的に記載していない酵素性切断因子を用いて行なうときには、一般的に、反応を、その切断因子のヌクレアーゼ機能にとって最適だと報告されている緩衝液で行なうことができる。一般的には、本方法においてある切断因子が利用できるか否かを調べるには、問題の切断因子を、MOPS/MnCl2/KCl緩衝液、または本明細書記載のMg含有緩衝液の中、および、該因子を使用するのに適していると製造業者のデータシート、論文記事、または私信で報告されているいずれかの緩衝液の中で試験反応を行なう。
INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断反応の生成物は、投入されたオリゴヌクレオチドの構造特異的切断によって生じる断片である。得られた切断オリゴヌクレオチドおよび/または非切断オリゴヌクレオチドは、(アクリルアミドまたはアガロースのゲル、紙など、さまざまな支持体上での)電気泳動、クロマトグラフィー、蛍光偏光、質量分析、およびチップ上でのハイブリダイゼーションなどの方法があるが、これらに限定されない数多くの方法で解析および分析することができる。いくつかの実施例では、切断反応の産物の解析に電気泳動による分離を用いて、本発明を具体的に説明している。しかし、切断産物の分析法は電気泳動に限定されるものではない。電気泳動法は、当技術分野において広く実施されており、また、平均的な実施者にとって簡単に利用できるものであることから、本発明に係る方法を具体的に説明するために電気泳動法を選択している。他の例として、切断産物の電気泳動または任意の他の分解を行うことなく、本発明が示される。
プローブおよびINVADERオリゴヌクレオチドは、切断反応後にそれらの検出に役立つ標識を含むことができる。標識は、オリゴヌクレオチドの5'末端もしくは3'末端に置かれた放射性同位元素(例えば、32Pまたは35Sで標識されたヌクレオチド)であるか、または、オリゴヌクレオチド全体にわたって分布する標識(すなわち、均一に標識されたオリゴヌクレオチド)でもよい。標識は、直接検出が可能なフルオロフォア、または、二次的因子によって特異的に認識されうる反応基など、同位元素以外の検出可能な成分でもよい。例えば、ビオチン化オリゴヌクレオチドは、指示試薬(例えば、アルカリホスファターゼ、またはフルオロフォア)に結合したストレプトアビジン分子で検索することによって検出することができ、または、同様の指示薬に結合した特異的抗体を用いて、ジオキシゲニンなどのハプテンを検出することができる。また、反応基は、二次因子に結合するか、さもなければ二次因子と反応することができる別の核酸など、ヌクレオチドの特異的構成または配列、および酵素、または抗体などでもよい。いくつかの態様において、プローブは蛍光成分および消光成分によって標識することができ、その場合には、切断構造の切断によって消光成分から蛍光成分が分離して、検出可能なシグナルが生じる(例えば、FRET検出法)。いくつかの態様において、ドナーであるフルオロフォア(fluorophor)からのシグナルの消光における変化を検出するが、別の態様においては、受容体であるフルオロフォアからの発光の変化を検出する。さらに別の態様においては、ドナーと受容体の両者の発光に対するFRETの作用を検出する。
FRET検出法のいくつかの態様において、蛍光発光体の蛍光の寿命を測定する(例えば、時間分解蛍光など)。時間分解蛍光検出法の態様を特定に標識系に限定するわけではないが、時間分解FRET測定で有用なタグの例には、ユウロピウムキレート(Eu3+; Biosclairら、J. Biomelecular Screening 5(5): 319 [2000])、ユウロピウムトリスビピリジンクリプテート(europium trisbipyridine cryptate)(TBPEu3+; Alpha-Bazinら、Anal. Biochem. 286(1): 17 [2000])、およびルテニウムリガンド複合体([Ru(bpy)2(phen-ITC)]2+; Younら、Anal. Biochem. 231(1): 24 [1995];Lakowiczら、Anal. Biochem. 288: 62 [2001])がある。
c)反応条件の最適化
INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断反応は、特異的核酸の存在を検出するのに有用である。INVADERオリゴヌクレオチドおよびプローブヌクレオチドの選択および設計について上記した条件に加えて、特異的標的配列を検出するために、反応を行なう条件を最適化することができる。
INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断アッセイ法を最適化する目的の一つは、標的核酸のコピー数が最も少ない場合でも特異的検出を可能にすることである。この目的を達成するには、反応の構成要素を組み合わせて、反応速度(例えば、1分間当たりの切断数)が最大になるよう、最大の効率で相互作用させることが望ましい。反応の全体的な効率に寄与する構成要素には、ハイブリダイゼーション速度、切断速度、および切断されたプローブの遊離効率などがある。
切断速度は、選択される切断手段の関数であり、市販されている酵素製剤を用いるときには製造業者の説明書に従って、または、本明細書の実施例に記載されているとおりにして、最適化することができる。その他の要素(ハイブリダイゼーション速度、遊離効率)は、反応の実行法に依存しているため、これらの要素の最適化については下述する。
核酸のハイブリダイゼーション速度に有意に影響する、切断反応の3つの要素は、核酸濃度、切断反応を行なう速度、および反応溶液中の塩濃度および/または他の電荷遮蔽イオン濃度である。
このタイプのアッセイ法において使用されるオリゴヌクレオチドの濃度は、当技術分野において周知されており、上記されている通りである。オリゴヌクレオチド濃度を最適化する一般的な方法の一例は、パイロット試験のためにオリゴヌクレオチドの開始量を選択することで、ヌクレオチドを利用する多くの方法では、0.01から2 μMの濃度範囲が用いられる。最初の切断反応が行われたら、データに対して、実質的に切断産物から遊離した標的核酸の非存在下で反応が行われているか;切断部位は、INVADERオリゴヌクレオチドの設計に従って特異的な位置になっているか;非切断プローブの存在下で特異的切断産物を簡単に検出することができるか(または、非切断物質の量が、選択された可視化法を圧倒しているか)について質問をすることができる。
これらの質問に対して答えが否定的であれば、プローブ濃度が高すぎるため、適当な量が確認されるまで、プローブを段階希釈したものを用いて一連の反応を行わなければならないことが示唆される。所定の試料タイプ(例えば、精製されたゲノムDNA、体液抽出物、破砕細菌抽出物)において所定の標的核酸に対する適当量が確認された場合には、再最適化をする必要はない。存在する材料の複雑さがプローブ濃度の最適条件に影響を与えうるため、試料のタイプは重要である。
逆に、選択した開始プローブ濃度が低すぎると、ハイブリダイゼーションの効率が悪くなるため反応が遅くなる。プローブの量を増加させながら試験すると、濃度が最適量を超える濃度ポイント(例えば、標的配列に依存しないバックグラウンド切断、または、切断産物の検出を阻害するなど、望ましくない効果が生じる濃度ポイント)を確認することができる。過剰なプローブによってハイブリダイゼーションが促進されるため、このポイントよりも少しだけ低いプローブ濃度を用いて反応を行なうことが望ましいが、そうしなければならないというわけではない。
INVADERオリゴヌクレオチドの濃度は、上記の設計について検討した条件に基づいて選択することができる。いくつかの態様において、INVADERオリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチドよりも過剰に存在する。好ましい態様において、プローブオリゴヌクレオチドはINVADERオリゴヌクレオチドよりも過剰に存在する。
温度も、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションにおいて重要な因子である。検討した温度範囲は、上記したように、かなりの部分、オリゴヌクレオチドの設計に依存する。特定の温度で反応を行わせたいときには(例えば、酵素の必要上、便宜上、測定装置または検出装置との適合上など)、反応で機能するオリゴヌクレオチドを、所望の反応温度で最適に機能するように設計することができる。各INVADER反応は、一次反応用の2種類以上の配列特異的オリゴヌクレオチド、すなわち、上流のINVADERオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、INVADERオリゴヌクレオチドは、反応温度で安定して結合するように設計されているが、プローブは、自由に標的に結合したり、解離したりできるように設計されていて、非切断のプローブが、重複するINVADERオリゴヌクレオチドに隣接するところにハイブリダイズしたときにだけ切断が起きるようになっている。好ましい態様において、標的に相補的でない5'フラップを含み、切断が起きると、このフラップがプローブから遊離するようになっている。遊離したフラップを直接的または間接的に検出することができる。いくつかの態様においては、下記で詳述するように、遊離したフラップは、二次反応にINVADERオリゴヌクレオチドとして関与する。
INVADERアッセイ法を最適にする条件とは、一般的に、最小量の標的核酸を特異的に検出することを可能にする条件である。そのような条件は、所定の時間枠の中、または所定量の核酸について、最も強い標的依存的シグナルを得られる条件、または、最も速いプローブ切断速度(すなわち、1分間に切断されるプローブ)を可能にする条件という特徴をもつ。
上記したように、切断因子濃度が、切断反応にとって実際に最適な温度に影響を与えうる。さらに、さまざまな切断因子が、たとえ同一の濃度で使用されたとしても、最適な反応温度にさまざまに影響することがありえる(例えば、計算上のTm値と観察された最適な反応温度との差異は、ある酵素の方が、他の酵素よりも大きい可能性がある)。さまざまな酵素または酵素濃度を用いる反応、または反応条件に加えられた別の変更にとっての適当な塩補正の決定は、以下の2つの工程を含む。a)新しい反応条件下で最適な反応条件を測定する工程、および、観察された最適条件と一致するか、それに非常に近い計算温度値を算出するためのTm値アルゴリズムの範囲内で塩濃度を変化させる工程。最適な反応温度の測定は、一般的に、最適な温度に(温度を上昇させるか低下させるかして)近づくにつれて効率の増加が観察でき、また、最適な温度を過ぎると効率の低下が観察できるため、最適な温度と温度範囲が同定できるように選択された温度範囲で反応を行なうことを含む(Lyamichevら、Biochemistry, 39: 9253 [2000])。
いくつかの態様において、一次反応から遊離した切断断片が合成カセットにハイブリダイズして二次切断反応を形成する場合には二次反応を利用する。いくつかの態様において、このカセットは蛍光成分と消光成分を含み、二次切断構造の切断によって消光成分から蛍光成分が分離して、検出可能なシグナルが生じる(例えば、FRET検出法)。二次反応は、さまざまな方法で設計することができる。例えば、いくつかの態様においては、合成カセットは、2種類のオリゴヌクレオチド、すなわち、FRET成分を含むオリゴヌクレオチド、および、INVADERオリゴヌクレオチド(すなわち、一次反応物から遊離したフラップ)とFRETオリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせて切断構造を形成させるFRET/INVADERオリゴヌクレオチド架橋用オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、合成カセットは、ヘアピン構造(すなわち、FRETオリゴヌクレオチドが、その3'末端で架橋用オリゴヌクレオチドとループによって連結している)一本鎖オリゴヌクレオチドとして提供される。このループは核酸、または核酸以外のスペーサーまたはリンカーでもよい。結合した分子は、まとめてFRETカセットと言うことができる。FRETカセットを使用する二次反応において、二次反応物から遊離するフラップは、INVADERオリゴヌクレオチドとして作用するが、FRETカセットに自由に結合したり、解離したりできるようにする必要がある。そうすることによって、遊離したフラップが、複数のFRETカセットの切断を行なうことができるようになる。一次反応と二次反応の工程が同時に行なわれるよう、これらの反応が同一の最適温度で起きるようにすべてのプローブ配列を選択することも、アッセイ法設計の一つの態様である。これに代わる態様において、プローブを異なる最適温度で作用するように設計して、反応工程を最適温度で同時に行われないようにすることもできる。上記したように、プローブのARSを選択するために用いられる同一の反復処理法を、二次反応に関与する一次プローブの部分を設計するときに使用することができる。
ハイブリダイゼーションの効率を決定する別の要因は、反応の塩濃度である。多くの場合、溶液条件の選択は、切断因子の条件、および購入した市販試薬の条件によって左右されるので、製造業者による指示が、このような情報の資料となる。特定の切断因子を利用するアッセイ法を開発するときは、その切断因子に最も適した緩衝液条件で、上記したオリゴヌクレオチドおよび温度の最適化を行う必要がある。
いくつかの態様において、アッセイの効率を高めるために、さらに別の因子を反応混合液に含ませることができる。例えば、アミノグリコシドおよび他のポリアミンなどの荷電化合物が、DNAおよびRNAの立体構造と機能を変えるために使用されてきた(例えば、EarnshawおよびGait, Nucl. Acids. Res. 26: 5551 [1998]; RobinsonおよびWang, Nucl. Acids. Res. 24: 676 [1996]; Jerinei, J. Mol. Biol. 304(5): 707 [2000]; Schroederら、EMBO 19(1): 1 [2000])。アミノグリコシド系抗生物質である硫酸ネオマイシンを(例えば、一次反応液中1μM)含有させことによって、例えば、バックグラウンドシグナルを低下させて、特定のINVADERアッセイプローブセットの検出限界を低下させるなどすることによって、アッセイ効率を高めることができる。INVADERアッセイ反応に利用することができる、このタイプの化合物には、アミノグリコシド、オリコマー化アミノグリコシド、ならびにアミノグリコシドのバイオコンジュゲート(bioconjugate)、および、スペルミンおよびヘキサアミンコバルトなどであるが、これらに限定されないその他のポリアニオンなどがある。
「酵素なし」の対照によって、特定の反応条件下での、または、試験すべき試料の存在下での標識オリゴヌクレオチドの安定性を評価すること(例えば、混入ヌクレアーゼについて試料を評価すること)が可能になる。このようにして、酵素以外のすべての反応構成成分を入れた試験管の中に、基質とオリゴヌクレオチドを入れ、酵素を含む反応と同様に処理する。別の対照を入れることもできる。例えば、標的核酸以外のすべての成分による反応は、標的配列の存在に対する切断の依存性を確認するのに有用である。
d)切断因子の選択
いくつかの実施例で示したように、5'ヌクレアーゼには、切断反応で活性をもつ上流オリゴヌクレオチドを必要としないものもある。上流オリゴヌクレオチドがないと切断は遅いかも知れないが、それでも切断が生じる(Lyamichevら、Science 260, 778 [1993]; Kaiserら、J. Biol. Chem., 274: 21387 [1999])。DNA鎖が、プローブオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする鋳型または標的配列であるとき、DNAポリメラーゼ由来の5'ヌクレアーゼ、および、メタノコッカス・ヤンナシイ由来のFENなど、いくつかのフラップエンドヌクレアーゼ(FEN)は、重複部位を提供する上流オリゴヌクレオチドなしでも十分な切断を行なうことができる(Lyamichevら、Science 260, 778 [1993]; Kaiserら、J. Biol. Chem., 274: 21387 [1999]、および米国特許第5,843,669号)。これらは全体として、参照として本明細書に組み入れられる)。これらのヌクレアーゼは、INVADERアッセイ法のいくつかの態様、例えば、INVADERオリゴヌクレオチド非存在下でのプローブの切断が、目的とする解析を阻害することのない別の切断産物を生じるような態様、または、INVADERオリゴヌクレオチド特異的な切断とINVADERオリゴヌクレオチド非依存的切断という2つのタイプの切断がともに起こるようにする態様などにおいて使用するよう選択される。
別の態様において、プローブの切断が、上流にINVADERオリゴヌクレオチドが存在することに依存することが好ましいため、この要求性をもつ酵素が使用されることになる。アルカエグロブス・フルギダス(Archeaoglobus fulgidus)(Afu)およびピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(pfu)由来のFENなど、別のFENは、DNA標的上の重複構造を、重複のない構造(すなわち、上流のオリゴヌクレオチドを持たないか、重複しない上流オリゴヌクレオチドをもつ)を切断するよりもより速い速度で切断するため、本質的に重複に対する絶対的な要求性をもつと考えることもできる(Lyamichevら、Nat. Biotechnol., 17: 292 [1999]; Kaiserら、J. Biol. Chem., 274: 21387 [1999])。RNA標的がDNAオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズして切断構造を形成すると、FENの多くは、重複の有無にかかわらず、下流にあるDNAプローブを僅かしか切断しない。そのようなRNAを含む構造では、DNAポリメラーゼ由来の5'ヌクレアーゼは、重複に対する強い要求性をもち、それが存在しないと、本質的に不活性である。RNA標的の検出に使用する酵素の選択については、下記のIV節:RNA標的を含むINVADERオリゴヌクレオチド特異的切断反応において使用する改良された酵素の項で詳しく論じる。
e)多数対立遺伝子の検索
INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断反応は、また、混合試料集団において、各変異体または対立遺伝子を検出し定量化するのにも有用である。一例として、このような必要は、癌に関連した遺伝子における変異について癌試料を解析するときに存在する。癌からの生検試料には、正常細胞を有意に補うものが含まれている可能性があるので、ある試料中に、標的核酸の5%未満のコピー数しか存在していなくても、変異を検出することが望ましい。この場合、集団のどの画分が変異をもっているかを測定することも望ましい。同様の解析を行なって、別の遺伝子系における変異を調べることもできるので、本発明に係る方法を癌の解析に限定する意図はない。
下記に示すように、一つの態様においては、一塩基の違いによるミスマッチでもあればプローブの切断は阻害するが、この領域で標的に完全に相補的である類似プローブは切断するという条件下で反応を行なうことができる。好ましい態様において、ミスマッチは、ミスマッチがなければ切断が起きる部位の5'末端に当たるプローブ中のヌクレオチドの位置で生じる。
別の態様において、重複を厳密に要求する(例えば、上記したように、DNA標的検出のためにAfu FENを使用するか、または、RNA標的検出のためにDNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼを使用する)条件下でINVADERアッセイ法を行ない、一ヌクレオチドまたは別の配列変異を検出する代替的手段を提供することができる。一つの態様において、プローブは、変異があると思われる標的塩基の位置が、このプローブの標的に相補的な領域の5'末端になるようなものを選択する。上流のINVADERオリゴヌクレオチドは、一塩基の重複を生じるような位置にくる。標的とプローブオリゴヌクレオチドが問題の塩基で相補的であれば、重複が形成されて切断が起きる。しかし、この位置で標的がプローブに相補しなければ、プローブ中の該塩基は、非相補的な5'アームの一部となるため、INVADERオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドとの間に重複が生じず、切断は抑制される。
異なる配列を一つの反応で検出することも考えられる。異なった配列に特異的なプローブを別々に標識することができる。例えば、プローブは、異なった色素もしくは別の検出可能成分、異なった長さなどをもつことができ、または、切断後の生成物の正味の電荷に差異を生じさせることもできる。これらの方法の一つで異なって標識されると、最終産物に対する各特異的標的配列の寄与分を計算することができる。これは、混合物中の異なった遺伝子の量を検出するときに適用することができる。混合物で検出され定量される異なった遺伝子は、(例えば、生検などの癌試料に見られるような)野生型および変異型遺伝子でもよい。この態様において、ある場合には、正確に同じ部位になるようにプローブを設計することもできるが、別の場合には、あるものを野生型配列に一致するように、また別のものを変異型配列に一致するように設計することもできる。一定の時間反応を行なった反応で得られた切断産物を定量的に検出することによって、混合物中の2種類の遺伝子の比率が明らかになる。このような解析法は、2種類の遺伝子に限定されるものではない。混合物中の多くの変異体を同様に測定することができる。
または、一つの遺伝子の異なった部位を観察および定量し、その遺伝子の測定値を確認することができる。この態様においては、各プローブから出るシグナルは、同じものであると考えられる。
集合体のシグナルを測定するために、多数のプローブを別々には標識しないで用いることも考えられる。これは、一つの遺伝子からのシグナルを増強するために、その遺伝子を検出するように設計された多数のプローブを使用するときに望ましい。この構成は、また、混合物中の無関係な配列を検出するためにも利用することができる。例えば、血液を集めるときには、誰か感染病原体の宿主になっている者がいないかを知ることが望ましい。どの病原体であるかに関わらず、血液は捨てられることになるので、本発明をそのような場面に応用する場合には、プローブ上のシグナルが別々である必要はなく、また、実際にも守秘のために望ましくないと思われる。
2種類のオリゴヌクレオチドの系について上で説明した通り、検出反応の特異性は、検出用オリゴヌクレオチドの全セットのハイブリダイゼーションに関係する標的核酸配列の集合体の長さによって影響を受ける。例えば、複雑なゲノム中の一つの領域を検出することが望ましいという応用場面があるかもしれない。そのような場合、しばしば20〜40ヌクレオチドの標的核酸のより長いセグメントをハイブリダイズさせることによって、正確な認識を必要とするオリゴヌクレオチドのセットを選択することができる。別の例においては、標的試料の中にある多数の部位と相互作用するオリゴヌクレオチドのセットをもつことが望ましいこともあると思われる。これらの場合、一つの方法には、より短いため、統計的にはより一般的な核酸配列セグメントを認識するオリゴヌクレオチドのセットを用いる方法もあると思われる。
好ましい態様の一つにおいて、INVADERオリゴヌクレオチドとスタッカーオリゴヌクレオチドを最高度に安定するように設計し、その結果、反応過程で長時間標的配列に結合したままにさせることができる。これは、当業者に周知されている数多くの方法のいずれか、例えば、オリゴヌクレオチドがその長さ(全長で約50ヌクレオチドまで)になるまで追加的なハイブリダイズする配列を付加したり、相補鎖が、自然の核酸鎖ほどには互いに反発しないようにするためにホスホロチオネートまたはペプチド-核酸残基など負電荷を低下させた残基を用いることなどによって行なうことができる。また、このような修飾は、これらの近傍オリゴヌクレオチドを混入したヌクレアーゼに対して抵抗性にする役にも立ち、それによって、反応過程の間、それらがより標的鎖上に存在することを保証することができる。さらに、INVADERオリゴヌクレオチドおよびスタッカーオリゴヌクレオチドを標的に共有結合させることもできる(例えば、ソラレン架橋を利用することによって)。
f)プールされたDNAおよびRNAの試料への応用
いくつかの態様において、本発明は、INVADER検出試薬(例えば、一次プローブ、INVADERプローブ、およびFRETカセット)を用いて、プールされた試料を測定するための方法およびキットを提供する。いくつかの好ましい態様において、本キットには、INVADERアッセイ法の実施方法に関する説明書、具体的には、多くの個体から集められた試料、または、一つの被検体(例えば、生検試料)から得られた多数の細胞から「プールされた」試料に対して、INVADER検出アッセイ法をどのように適用すべきかを関する説明書が入っている。
特定の態様において、本発明は、ある集団の多数の個体(例えば、10、50、100、または500個体)から集められたプール試料、または、核酸配列が、一度に測定する多数の細胞に由来する一個の被検体から集められたプール試料における多型性を検出することを可能にする。この点について、本発明は、プールされた試料中の稀少な変異の頻度を検出することを可能にし、また、その集団の対立遺伝子頻度を確認することを可能にする。いくつかの態様において、次に、この対立遺伝子頻度を用いて、INVADER検出アッセイ法を個体の多型性の頻度に適用した(例えば、INVADER検出アッセイ法を用いて測定した)結果を解析することができる。これについて、見つけられた変異体の割合に依存する変異(例えば、ヘテロ接合消失変異)を解析することができ、病気の重さ、または病気の進行を判定することができる(例えば、Lapidusに付与された米国特許第6,146,828号および第6,203,993号を参照されたい。これらの文献は、遺伝子検査および統計的解析を用いて、病気の原因となる変異を発見し、または、病気の原因となる変異を含むとされる患者試料を同定する場合には、すべての目的で参照として本明細書に組み入れられる)。
本発明のいくつかの態様において、広範な集団スクリーニングを行なう。いくつかの態様において、数百または数千の個体からのDNAを集めることが最適である。このようなプールにおいては、例えば、一つの個体からのDNAを検出することはできず、検出できるシグナルは、より大きな集団で検出される対立遺伝子の頻度を示す尺度を提供する。例えば、用いられるDNA量は、プールの中の個体数によって決まるのではなく、検出される対立遺伝子の頻度によって決まる。例えば、いくつかの態様において、アッセイは、90分間の反応で20〜40 ngのDNAから十分なシグナルを生じる。この感度レベルは、非常に複雑なプールから1μgのDNAを解析したときに、集団の僅か約3〜5%に存在する対立遺伝子からの生じるシグナルに相当する。
g)RNA検出法の応用
RNA定量法は、基礎研究、薬学および臨床研究において次第に重要になりつつある。例えば、ウイルスRNAの定量によって、病気の進行と治療効果を予測することができる。同様に、病気の組織対正常組織、または治療していない組織対治療した組織の遺伝子発現解析によって、関連する生体応答を同定したり、薬物の効果を評価することができる。ヒトゲノムプロジェクトの中心が遺伝子発現解析に移るにつれて、その分野では、多数の型の選択的に転写されたRNA、および/またはプロセシングされたRNAを定量的にモニターすることができる、融通のきくRNA解析技術が必要とされるようになるはずである。
多数の対立遺伝子の検出法について上記したように、多重方式のRNAのINVADERアッセイ法は、同一の試料内における2種類以上の遺伝子の発現解析を可能にする。一次反応において、INVADERオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドをそれぞれのRNA標的にハイブリダイズさせることによって、一塩基重複基質を作出する。各プローブは、特異的な標的相補的領域、および、そのアッセイにおける特異的mRNAのみと結合している特徴的な非相補的5'フラップを含む。特徴的なフラップは、本明細書で開示した無数の方法のいずれか(例えば、さまざまな標識、さまざまな標識をもつ、さまざまな二次切断系、特異的抗体、分析するときにサイズが変化すること、溶液中または表面上におけるハイブリダイゼーションによって検出されるさまざまな配列など)によって区別することができる。
RNA侵襲的切断アッセイ法は、上記したDNA検出法に用いられた方法同様、配列における2つの侵襲的切断反応を用いることができる(下記の発明の詳細な説明の第II節で説明する)が、DNAポリメラーゼ由来の5'ヌクレアーゼに対する選択性(発明の詳細な説明の第IV節で詳述する)があることは、さらに方式を変化させることが好ましいことを示している。DNA標的を検出するために一般的に用いられるFENの5'ヌクレアーゼとは異なり、一次反応と二次反応の両方でプローブの代謝回転メカニズムを利用するときにのみ、DNA Pol関連5'ヌクレアーゼによるシグナル増幅が起こる(下記の発明の詳細な説明の第II節で説明されているように、例えば、多数のFRETカセットを切断させるために、INVADERオリゴヌクレオチドが付いたり離れたりする、INVADERオリゴヌクレオチドの代謝回転メカニズムとは対照的である)。結果として、好ましい態様において、RNA検出法は、2つの反応を同時に行わせるのではなく、連続して行わせる方法を用いる。これらの態様においては、反応を実際に連続して行なわせるため、RNA INVADERアッセイ法によるシグナルは、標的依存的かつ時間依存的な態様で直線的に蓄積する。これに対して、DNA INVADERアッセイの一次反応と二次反応は、同時に行なうと、標的量の一次関数として、しかし、時間の二次関数としてシグナルを増幅する。連続的に行なう態様においては、RNA INVADERアッセイ法は、シグナルを発生させるために2種類の別々のオリゴヌクレオチド、二次プローブ(例えば、FRETプローブ)、および二次標的を使用する。
RNAの侵襲的切断アッセイ法の重要な特徴は、例えば、チトクロームP450遺伝子ファミリーに見られるような、相同性の高いRNA配列を区別できることである。DNA INVADERアッセイ同様、RNA INVADERアッセイ法は一塩基の変化を区別することができる。いくつかの態様において、各プローブの最初の5'側の相補的塩基は、そのmRNA標的の非保存的部位に位置していて、ミスマッチがあると重複構造を形成できため、プローブが切断されるのを阻止する。切断部位をスプライス部位に持ってくることによって、選択的スプライスmRNA変異体を特異的に検出することができる。
mRNA量の大きな変化をモニターするために、リアルタイム解析を用いて、アッセイ法の動的範囲を広げることができる。しかし、このアッセイ法は、時間または標的量に比例してシグナルを発生させることから、反応当たりに付加する試料量を変えて、全RNAの1 ngに対するmRNAのコピー数を計算するだけで、安価な計測器の上で一回の終点測定による正確な定量が可能になる。さらに、絶対的な定量が必要でない場合には、このアッセイ法の直線的なシグナル増幅メカニズムおよび再現性によって、標準曲線を作る必要がなくなり、一つの遺伝子を簡単かつ正確に相対的定量するを可能にする。
重複部位における変化は一塩基の変化であっても5'ヌクレアーゼ切断に影響を与えるため、RNA INVADERアッセイ法は、選択的スプライス変異体または編集されたRNA変異体を検出するのに特に適している。創薬研究におけるハイスループットな処理、薬剤代謝の監視および臨床試験の安全性、ならびにウイルスRNAの臨床的負荷量監視など、RNAの定量を必要とするすべての領域で本技術を使用することができる。本方法による、以下の少なくとも2つの方法で、スプライス変異体をモニターすることができる。1)各エキソンを検出すること、または、2)特異的なスプライス部位を検出すること。
スプライシングの後、より多いか、より少ないエキソンをもつ変異型がないか、RNA集団を調べるために、問題となるエキソン各々について(または、成熟RNAのすべてのエキソンについて)INVADERアッセイ法のプローブセットを設計する。エキソンを定量すると、エキソンが何種類のmRNAに存在しているかとは関係なしに、各エキソンの発現レベルが分かるだけではなく、その遺伝子のスプライス変異型の数に関する情報がもたらされる。各プローブとして、一つだけ、または数個のエキソンを含むミニ・インビトロ転写物を作成して、各エキソン毎に絶対的適量を行なうことができ、それによって、エキソン量の正確な比較が可能になる。特定のエキソンが既知の変異型すべてに存在していることが分かっているときには、いくつかの態様においては、異なった試料間を平均化するための内部対照として使用するために、そのエキソンに対するプローブセットを設計する。各エキソンのコピーを一個ずつもつRNA(例えば、「正常にスプライスされた」RNA)は、プローブセットの集合体から一定の相対量のシグナル(各プローブセットの感度の違いを補正すれば、本質的にはすべてのエキソンについて等しい;第V節参照)を生じさせるはずである。スプライシングの変異は、エキソンの相対量を変化させる。例えば、産生されたRNAのすべてが、正常なエキソンの一つを持っていなかった場合には、そのエキソンに対するシグナルはゼロに落ち、RNAの半分がそのエキソンを持っていなかった場合には、そのエキソンに対するシグナルは50%に落ちる。スプライス変異型のより複雑な組み合わせ、およびさまざまにスプライスされたmRNAの混合物では、より複雑でより情報に富んだプロフィールが得られる。検出するのはエキソンに限定されない。RNA集団を、通常、スプライシングによって除去されるイントロン配列の存在について観察することができる。そのように広範なエキソンスクリーニングによって、正常組織対病気組織や未治療細胞対治療済み細胞を(例えば、薬理ゲノム学的スクリーニングアッセイ法で)比較したときに生物学的に関連のある情報や診断情報が得られる。この種の測定結果をアレイを利用して記述することを選択的スプライシング検出アレイ法という(D. Black, Cell 103: 367 [2000])。mRNAのINVADERアッセイ法でも同様の結果が得られるが、オリゴヌクレオチドによるアレイ方式よりも特異性が高く、より正確な定量による結果が得られる。
これに代わる態様において、特異的なスプライス部位を調べることによって、選択的にスプライスされたmRNAを検出する。エキソンそのものではなく、スプライス部位を観察する利点は、非常に短いエキソン(例えば、10ヌクレオチド未満)を含むスプライス変異体であっても、このアッセイ法によって正確に検出されることである。
さらに、いくつかの態様において、mRNAのINVADERアッセイ法を用いて、そのmRNAにおける選択的な開始部位と終止部位を観察したり、また、プロセシングされたRNAおよびRNA断片、ならびにプロセシングされていないRNAおよびRNA断片の寿命を観察する(例えば、誘導後の経時実験で用いられる)。
II.侵襲的切断反応の産物を連続する侵襲的切断反応に取り込むことによるシグナル増強
上記したように、侵襲的切断によって遊離したオリゴヌクレオチド産物を、引き続いて、切断産物の大きさの範囲内でオリゴヌクレオチドを用いる反応または読み出し法において使用することができる。本明細書記載のプライマー伸長および転写を含む反応に加えて、オリゴヌクレオチドを利用する別の酵素反応が侵襲的切断反応となる。本発明は、一次の侵襲的切断反応で遊離したオリゴヌクレオチドを成分として使用して、切断構造を完成させ、二次の侵襲的切断反応を可能にする方法を提供する。侵襲的切断による産物を連続して使用することは、一つの付加的工程に限定されるものではない。別個の侵襲的切断反応を連続して行なうことも考えられる。
ポリメラーゼ連鎖反応は、核酸の標的セグメントのコピーを、指数的に蓄積するような速度で作出するDNA複製法を用いる。これは、DNA鎖が分離したときに、各鎖それぞれに、新しい相補鎖の組み立てを可能にする十分な情報が含まれているという事実によって可能になる。新しい鎖が合成されると、同一の分子の数が倍増する。この処理を20回繰り返すうちに、最初の鎖を百万倍に複製することができ、非常に稀少な配列も容易に検出できるようになる。2倍の数学的倍率で増える反応が、多数の増幅アッセイ法に取り入れられている。
多数の連続的侵襲的切断反応を行なうことによって、本発明に係る方法は、標的分析物の余計なコピーを産生することなく、指数による数学的利益を獲得する。単純な侵襲的切断反応において、収率Yは、単に代謝回転率Kに反応時間tを乗じたものである(すなわち、Y=(K)(t))。Yを単純な反応の収率を表すために用いる場合、各侵襲的切断工程の代謝回転率が同じであるとすると、化合物の収率(すなわち、多数の連続した反応)は、nを連続して行なわれる侵襲的切断反応の数とすると、単純にYnと表すことができる。各工程における収率が異なるとすれば、最終的な収率は、その連続した反応の各別の反応における収率を乗じて算出した数字で表される。例えば、一次侵襲切断反応が、30分間に1000個の産物を産生でき、そして、これらの産物がそれぞれ、順に1000回のさらなる反応に加わることができるとしたら、2回目の反応では、10002コピー(1000×1000)の最終産物が存在することになる。このシリーズで3回目の反応をさらに行なったとしたら、理論的には収率は10003(1000×1000×1000)となる。本発明に係る方法において、指数は、カスケードになった侵襲切断反応の数に基づく。これは、Yが二本鎖DNAにおける鎖数である2に限定され、指数nが実行されるサイクル数であるため、大量の産物を蓄積するには何回もの反復を必要とする、上記した増幅法(例えば、PCR)と対比しうる点である。
上記の指数的増幅法と本発明に係る方法とを区別するために、前者を交互反応と考えることができる。なぜなら、その反応産物を同じ反応にフィードバックするからである(例えば、事象1が複数の事象2をもたらし、事象2のそれぞれが複数の事象1をもたらす)。それに対し、本発明のいくつかの態様における事象は連続的である(例えば、事象1が複数の事象2をもたらし、事象2のそれぞれが複数の事象3をもたらすなどして、いずれの事象も、その連鎖の早い方の事象には寄与しない)。
また、交互法の感度も、これらのアッセイ法を、試料中における標的核酸配列の有無を判定するために使用するときには最大の弱点の一つとなる。これらの反応産物は、出発物質の検出可能なコピーであるため、それより前の反応産物が新しい反応物に混入すると、偽陽性の結果を生じることになる(すなわち、標的である分析物を実際には全く含んでいない試料において、標的核酸が検出されたように見えること)。さらに、各陽性反応における産物の濃度が非常に高いため、強い偽陽性シグナルを発生させるに十分な量のDNAが、汚染された機器との接触やエアロゾルによって、非常に簡単に新しい反応と結びつくことができる。交互法とは対照的に、連続反応の最も濃縮された産物(すなわち、最終的な侵襲切断反応において遊離した産物)が、新しい被検試料に持ち越されても、同様の反応やカスケードを開始することはできない。本発明に係る反応は、交互法では必要になる高価な封じ込め対策(例えば、特別な機器、または隔離した実験スペース)なしで行なうことができるため、このことは、上記の指数的増幅法に対して顕著に有利な点である。最後から2番目の反応の産物を不注意に移すと、標的分析物が存在しないところで最終産物のバックグラウンドとなるが、偽陽性の結果を生むリスクに相当する量となるには、非常に大量の混入物が必要となると思われる。
連続的という用語を使用するとき、本発明を、一つの侵襲切断反応またはアッセイが、別のプローブを侵襲的に切断するためのその後の反応が開始される前に完了しなければならないという構成に限定することを意図していない。むしろ、この用語は、各オリゴヌクレオチド種のコピーが1個だけアッセイで使用されるとしたら生じうる現象の順序を意味するものである。一次侵襲切断反応とは、標的核酸上に切断構造が形成されたことに反応して、どの事象が最初に起きるかを意味するものである。その後の反応は、二次反応、三次反応などと言われ、切断構造の集合を補助するためだけに役立ち、目的の核酸分析物とは無関係の、人為的な「標的」鎖を含むことができる。完全なアッセイ法は、望ましければ、場所的(例えば、別々の反応容器で)または時間的(例えば、温度、酵素同一性、または溶液条件など、その後の切断反応を可能にする反応条件を変えることを利用する)に分離された侵襲的切断工程によって構成することもできるが、反応構成要素のすべてを混合して、一次切断によって生じた産物が利用できるようになり次第、二次反応を開始できるようにすることも考えられる。このような方式では、別々の切断構造のコピーを含む一次切断、二次切断、および後の切断が同時に起こることになる。
連続した反応の各回が、その後の回で別のプローブの切断に関与することができるオリゴヌクレオチドを産生するという、この種の直線的増幅法には、いくつかのレベルがあることが予想できる。一次反応は、目的の分析物に特異的であり、二次反応(および三次反応など)は、開始は一次反応によって左右されつつも、シグナルを生成するために用いられる。
遊離した生成物は、その後の反応においていくつかの可能性に使用することができる。例えば、ある侵襲切断反応の産物が、二番目の反応における別のプローブを特異的に切断させるINVADERオリゴヌクレオチドとなる。このような例では、INVADERオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチド(プローブ1)が第一の標的オリゴヌクレオチド(標的1)にアニーリングすることによって、第一の侵襲的切断構造が形成される。INVADERオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドのどの部分が標的にハイブリダイズすることができるかによって、標的核酸は、3つの領域に分割される。標的の領域1は、INVADERオリゴヌクレオチドのみに相補性を有し、標的の領域3は、プローブのみに相補性を有し、また、標的の領域2は、INVADERオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドとの間の重複部を有する。
プローブ1の切断によって「切断プローブ1」が遊離する。そして、遊離したプローブ1をINVADERオリゴヌクレオチドとして二番目の切断で用いる。第二の切断構造は、切断プローブ1、第二のプローブオリゴヌクレオチド(「プローブ2」)、および第二の標的核酸(「標的2」)をアニーリングすることによって形成される。いくつかの態様において、プローブ2および第二の標的核酸はそれぞれ、好ましくは、その3'末端と5'末端で共有結合しており、そのため、ヘアピンのステムとループを形成し、「カセット」と名付けられている。このループは、核酸、または核酸以外のスペーサーまたはリンカーでもよい。過剰量のカセット分子が包含されていると、切断プローブ1のそれぞれが、カセットの多数のコピーを切断させるためのINVADERとして作用することができるようになる。
プローブ2を標識し、標識された切断プローブ2を検出することによって、第二の切断構造が切断されたことを検出することができるが、標識は、放射性同位元素(例えば、32Pまたは35S)、フルオロフォア(例えば、フルオロセイン)、二次因子により検出可能な反応基(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン)、選択的な電荷逆転(第IV節で検討する)により検出可能な正荷電付加基などである。または、切断プローブ2は、テーリング(tailing)反応に使用するか、タンパク質結合部位を完成または活性化するために使用するか、または、本明細書に記載したオリゴヌクレオチド検出または使用する方法のいずれかによって検出または使用することができる。
別の態様において、一次反応で切断されるプローブオリゴヌクレオチドは、折り畳まれてそれ自体の形に戻るように(すなわち、自己相補性をもつように)設計して、INVADERオリゴヌクレオチドとしても標的オリゴヌクレオチドとしても作用することできる分子(「IT」複合体と称する)を作成することができる。そして、IT複合体は、二次反応に存在する別のプローブを切断することができる。二次プローブ分子(「プローブ2」)が過剰に含まれていると、各IT複合体は、切断された二次プローブのコピーを多数生成するための土台として作用することができる。INVADERオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドのどの部分が標的にハイブリダイズすることができるかによって、標的核酸は3つの領域に分割される(上記された通りであるが、スタッカーオリゴヌクレオチドが用いられるときには、標的は4つの領域に分割されることに留意されたい)。第二のプローブ(「プローブ2」)が、第一の切断構造の切断によって遊離したプローブ1(「切断プローブ1」)の断片にアニーリングすることによって、第二の切断構造が形成される。切断プローブ1の中に含まれている自己相補領域がアニーリングするため(この自己アニーリングした切断プローブ1がIT複合体を形成する)、切断プローブ1は、ヘアピン、またはステム/ループ構造をその3'末端に形成する。IT複合体(切断プローブ1)は、3つの領域に分割される。IT複合体の領域1は、プローブ2の3'部位に相補性をもち、領域2は、切断プローブ1の3'末端とプローブ2の5'末端の両方に相補性をもち、また、領域3は、自己相補領域をもつ(すなわち、領域3は、切断プローブ1の3'部位に相補性をもつ)。IT複合体(すなわち、切断プローブ1)については、領域1が領域2の上流に位置し、領域2が領域3の上流に位置している。侵襲的切断の別の態様については、領域「2」は、切断プローブ1のINVADERオリゴヌクレオチド部位とプローブ2オリゴヌクレオチドとの間に配列の重複ではなく、物理的な重複がある領域に相当することがある。
二次侵襲切断反応の切断産物(すなわち、切断プローブ2)を検出するか、または、次々に第三のプローブ分子とともに使用される、INVADER-標的を組み込んだ複合体であって、これも前の標的とは無関係な複合体を構成するように設計することができる。
一次切断反応のオリゴヌクレオチド産物は、本明細書記載のオリゴヌクレオチドのいずれかの役割を果たすことができ(例えば、結合するINVADERオリゴヌクレオチド様配列をもたない標的として作用することができ、または、上記したようなスタッカーオリゴヌクレオチドとして作用することもできる)、同軸スタッキングによってプローブのハイブリダイゼーションを安定化することによって、二次反応で見られる代謝回転率を上昇させることができる。
本発明のいくつかの態様における二次切断反応はFRETカセットを含む。このような分子は、二次標的とFRET標識された切断可能配列をもたらし、連続的侵襲切断反応を均質に検出すること(すなわち、反応後に産物を分離したり、他の操作をすることなしに検出すること)が可能になる。別の好ましい態様では、FRETプローブと合成標的が別々のオリゴヌクレオチドとして提供される二次反応系を用いる。
好ましい態様において、各その後の反応は、その前の切断産物によって(すなわち、それに依存して)促進され、その結果、最終産物が存在することが、標的分析物の存在を示す指標となる。しかし、二次反応における切断は、一次切断反応産物の存在に依存する必要はなく、一次切断反応産物が、単に、二次切断反応の速度を計測可能な形で促進することができればよい。
要約すると、本発明に係るINVADERアッセイ法のカスケード(すなわち、連続的侵襲切断反応)は、直線的アッセイ法を2種類以上組み合わせたものであって、最終産物を指数的な速度で蓄積させることができるが、持ち越し汚染の大きなリスクはない。二次プローブの熱分解など、連続的切断によって生じるものではないのバックグラウンドは、一般的に、時間の経過とともに直線的に増加する。これに対して、2工程連続反応からのシグナル生成は、二次関数的な動力学に従う。したがって、INVADERアッセイ反応法でインキュベートしている間に、計測時点を決めるか、または、リアルタイムで検出することを可能にする機器を使用して、経時的にデータを集めることで、時間が経過したときにシグナルが二次関数的に増加するか、直線的に増加するかだけに基づいて、真のシグナルとバックグラウンドを区別できるという魅力的な能力が提供される。例えば、図で見ると、本当のシグナルは二次曲線として表され、バックグラウンドの蓄積は直線になるため、バックグラウンドシグナル(例えば、FRET検出法における蛍光)の絶対量がかなり多くても簡単に区別できる。
本発明に係る連続的侵襲的切断増幅法は、本明細書記載の検出法(例えば、標準的方法によるか、または電荷逆転による、ゲルを利用した解析)、ポリメラーゼによる付加反応、タンパク質結合領域への取り込み反応に対する中間的ブーストとして用いることができる。このような組み合わせで使用されるとき、侵襲切断アッセイ法において特異的切断産物の産生を増加させると、読み出しシステムにかかる感度と特異性という負荷が軽減する。
さまざまな検出プラットフォームが可能であることに加えて、カスケード法が、一回の反応で各分析物(すなわち、各標的核酸)の多重解析を行なうのに適している。多重方式は、2種類の型に分類することができる。一つの型では、臨床試料に存在することができる分析物のそれぞれの同一性(および量)、または、それぞれの分析物および内部対照の同一性を知ることが望ましい。一個の試料の中に、それぞれの分析物が多数存在することを同定するために、数種類の別個の二次的増幅系を含ませることができる。特定の標的配列(または内部対照)の存在に反応して切断される各プローブは、DNAポリメラーゼによって伸長されたさまざまな配列、またはFRET方式におけるさまざまな色素など、さまざまな検出可能成分に連結している別のカスケードが開始するように設計することができる。これによって、各特異的標的配列の最終産物への寄与度を計算して、遺伝子または対立遺伝子の混合物を含む試料において、さまざまな遺伝子または対立遺伝子を定量検出することが可能になる。
第二の構成では、いくつかの分析物のうちどれが、試料中に存在するかを決定することが望ましいが、各分析物の正確な同一性は知る必要がない。例えば、血液を集めるときには、誰か感染病原体の宿主になっている者の血液が、血液試料中に存在するか否かを知ることが望ましい。どの病原体であるかに関わらず、血液は捨てられることになるので、本発明をこのような場面に応用する場合には、プローブ上のシグナルが別々である必要はなく、また、実際にも守秘のために望ましくないと思われる。この場合、さまざまな分析物特異的プローブの5'アーム(すなわち、切断によって遊離される5'部位)は同一であるため、同じ二次的シグナルカスケードを開始させる。同様の構成によって、一個の遺伝子に相補的なプローブを多数用いて、該遺伝子からのシグナルを増強するか、検出すべき遺伝子の対立遺伝子座が多数あるときには、確実に包含されるようにすることができる。
一次的INVADERアッセイ反応において、バックグラウンドを生じさせる原因として2つのものが考えられる。最初の原因は、標的、自分自身、または、反応液中に存在する他のオリゴヌクレオチドの一つにアニーリングしているプローブのINVADERオリゴヌクレオチド非依存的切断から生じる。この理由から、プライマーを持たない構造を効率的に切断できない酵素を使用する方が好ましい。酵素PfuのFEN-1は、上流オリゴヌクレオチドが存在しなければ、または、プローブと標的の複合体を侵襲することができない上流オリゴヌクレオチドが存在するだけならば、検出可能な切断を生じさせない。このことは、PfuのFEN-1ヌクレアーゼが、本発明に係る方法で使用するのに適していることを示している。
他の構造特異的ヌクレアーゼも、本発明に係る方法で使用するのに適した酵素である。最初の実施例で検討したように、5'ヌクレアーゼには、このプライマー非依存的切断を有意に低下させる条件では使用できるものもある。例えば、DNAP Taqの5'ヌクレアーゼを用いてヘアピンを切断すると、反応液中に一価塩が入り込んで、プライマー非依存的切断が顕著に低下する(Lyamichevら、[1993]、前掲)。
III.連続侵襲的切断反応における、シグナルおよびバックグラウンドに対するARRESTORオリゴヌクレオチドの効果
上記したように、プローブ濃度が高くなると最終シグナルの収量が上がるため、切断されるプローブの濃度を利用して、シグナルの蓄積速度を上昇させることができる。しかし、大量のプローブが切断されないまま残留していると、引き続き切断産物を用いて検出またはさらなる増幅を行なう上で問題を生じる。その後の工程が、単純な検出(例えば、ゲル分析による検出)であれば、過剰な非切断材料が、シグナルを縞状にしたり、分散させたりして、または、検出用分子を圧倒して(例えば、放射活性の場合にはフィルムの露出過多、蛍光画像化装置の定量的検出限界を超過するなどして)バックグラウンドを生じる原因となる。この問題は、非切断プローブから生成物を区分することによって解決することができる。より複雑な検出方法においては、切断された産物を別の物質と相互作用させて切断を標示させるようにすることができる。上記したように、切断産物は、ハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、ライゲーション、または、侵襲的切断の指示など、オリゴヌクレオチドを使用する反応に用いることができる。これら何れの場合でも、反応を計画するときに、残留した非切断プローブをどうすべきか考える必要がある。プライマー伸長反応においては、非切断プローブは、鋳型にハイブリダイズして伸長する可能性がある。伸長するためには、切断によって正確な3'末端を生じる必要がある場合には、ハイブリダイズした非切断プローブは伸長しない。しかし、鋳型について切断産物と競合を生じる。鋳型が、切断プローブと非切断プローブを合わせたものよりも過剰に存在していれば、どちらのプローブも結合するための鋳型コピーを見つけることができるはずである。しかし、鋳型が限られた量しかないとすると、競合によって、利用可能な鋳型にうまく結合できる切断プローブの割合が低下してしまう。開始反応を作動させるために大過剰量プローブを用いたとすれば、残ったプローブも、切断産物より大過剰に存在することとなり、効果的な競合相手となって、最終的検出を行うための反応産物(例えば、伸長反応産物)の量を低下させてしまう。
非切断プローブ物質が二次反応に関与すると、これらの反応におけるバックグラウンドを生じる原因となることがある。その後の反応のための切断プローブを提示することは、次の工程で使用される酵素にとって理想的な基質となることがあるが、酵素によっては、効率は低くても、非切断のプローブにも作用できる可能性がある。本発明を開発する過程で、ニックの入ったプロモーターの一方が付加的な非対合ヌクレオチドを持っていたとしても、そのようなプロモーターからの転写が促進されることが明らかになった。同様に、その後の反応が侵襲的切断となるときには、非切断プローブが、切断プローブとともに第二の切断構造を形成するための構成要素に結合することがある。本発明を開発する過程で行われた実験において、本明細書記載の5'ヌクレアーゼには、欠陥構造を切断する何らかの処置を触媒できることが見出された。低量であったとしても、この異常切断を陽性の標的特異的切断シグナルであると誤って解釈する可能性がある。
非切断プローブが過剰にあることのこれらの消極的効果を考えると、明らかに、このような相互作用を防止する何らかの方法が必要である。上記したように、一次反応の後、常法によって、非切断プローブから切断産物を隔離することが可能である。しかし、これらの方法はしばしば時間がかかり、費用がかかり(例えば、使い捨てのカラムやゲルなど)、また、試料の誤操作や汚染の危険性を高める可能性がある。その後の反応のために新しい容器に最初の試料を移すことを必要としないように連続反応を設計することの方がより好ましい。
本発明は、一次プローブと他の反応物との間における相互作用を低下させる方法を提供する。本方法は、非切断プローブがその後の反応に関与するのを特異的に回避する方法を提供する。このような回避は、次の反応工程に、非切断一次プローブと特異的に相互作用するように設計された薬剤を組み込むことによって行なうことができる。便宜上の理由で侵襲切断反応における一次プローブを検討すると、アッセイの設計に必要または望ましいときには、一連の侵襲切断工程中の反応工程でARRESTOR分子を使用することができる。本発明に係るARRESTOR分子は、特定の工程に限定されるものではない。
一次反応から残留する非切断プローブを回避する方法は、切断プローブよりも大きな親和性を以て非切断プローブに結合するよう特異的に設計または選択することのできる因子を利用し、それによって、非切断プローブが大過剰に存在している場合でも、切断プローブ分子種が、その後の反応の構成要素に対して効率的に競合できるようにする。これらの因子は、一次プローブがその後の反応に加わることを停止させる機能をもつため「ARRESTOR分子」と名付けられている。下記のさまざまな実施例では、侵襲切断アッセイ法において、オリゴヌクレオチドがARRESTOR分子として提供されている。完全長の非切断プローブと切断プローブとを区別することができ、選択的に非切断プローブを結合するか、さもなければ無効にする分子または化学剤を設計して、本発明の意味する範囲内でARRESTOR分子として作用させることができると考えられる。例えば、多数のインビトロ増幅(例えば、「SELEX」、米国特許第5,270,163号および第5,567,588号。これらは参照として本明細書に組み入れられる)の工程、および特定回数の捕捉またはその他の選択手段を通じて選択することができる「アプタマー(aptamers)」が得られるように、そのような特異性をもつ抗体を得ることができる。
一つの態様において、ARRESTOR分子はオリゴヌクレオチドである。別の態様において、ARRESTORオリゴヌクレオチドは複合的なオリゴヌクレオチドであって、共有結合していないが、協同して結合し、また、同軸的スタッキングによって安定化する、2種類またはそれ以上の短いオリゴヌクレオチドを含む。好ましい態様において、オリゴヌクレオチドを修飾して、本発明に係る切断因子との相互作用を軽減させる。あるオリゴヌクレオチドをARRESTORオリゴヌクレオチドとして使用すると、それをその後の反応工程には関与させないということを意図している。ARRESTORオリゴヌクレオチドが一次プローブに結合すると、二次標的が加わって、あるいは、そのような関与がなくても、本発明のいくつかの態様において使用される5'ヌクレアーゼにより切断される基質となる二分枝構造を形成することができる。このような構造が形成されると、バックグラウンドに寄与するか、特異的シグナルが低下するか、または酵素に対する競合を起こすような目的外の切断がある程度起きるようになるかもしない。このような切断構造を形成しないARRESTORオリゴヌクレオチドを提供することが好ましい。これを行なう方法の一つは、INVADERオリゴヌクレオチドが切断構造の中の類似した位置を占める(すなわち、INVADERオリゴヌクレオチドの3'末端が、対合しない5'アームの切断部位にある)ため、ARRESTORオリゴヌクレオチドに、INVADERオリゴヌクレオチドの活性を低下させることが分かっている修飾を加えることである。下記の実施例の項で、INVADERオリゴヌクレオチドの3'末端の修飾が切断に与える影響を調べたところ、明らかに、INVADERオリゴヌクレオチドの作用を弱めることが分かった。本明細書に記載されていない他の修飾も、ARRESTORオリゴヌクレオチドを目的とする反応において用いられる切断酵素を用いた試験を行なうことによって、簡単に特徴を調べることができる。
好ましい態様において、ARRESTORオリゴヌクレオチドの骨格を修飾する。これを行なうと、ヌクレアーゼまたは温度による分解に対する抵抗性が高まり、使用する酵素にとって好適でない基質となる二本鎖構造(例えば、A型二本鎖対B型二本鎖)がもたらされる。特に好ましい態様において、修飾は、核酸の骨格の2'O-メチル置換を含むが、特に好ましい態様において、2'O-メチル化修飾されたオリゴヌクレオチドは、さらに、3'末端アミン基を含む。
ARRESTORオリゴヌクレオチドの目的は、次の工程でどのような構成要素が用いられるとしても、結合について、切断プローブの少数集団と非切断プローブを競合させることである。2種類のプローブ種を完全に区別することができる(例えば、非切断のものにだけ結合して、非切断のものには結合しない)ARRESTORオリゴヌクレオチドは、いくつかの態様において最も有益であるが、、本明細書記載の連続的INVADERアッセイ法など、多くの応用場面においては、本発明に係るARRESTORオリゴヌクレオチドは、単に部分的な識別能しかもたないが、意図したとおりの機能を果たすことができる。ARRESTORオリゴヌクレオチドが切断されたプローブと相互作用すると、これら切断産物のある部位を検出することが妨げられ、それによって、所定量の標的物質から生成される絶対的なシグナル量が低下することがある。この同じARRESTORオリゴヌクレオチドが、特異的シグナルが低下する係数よりも大きな係数によって、同時に、反応のバックグラウンド(すなわち、非標的特異的切断)を低下させる効果をもてば、シグナルの絶対量は低下しても、シグナルの有意性(すなわち、バックグラウンドに対するシグナルの比率)は上昇する。ARRESTOR分子を含まない反応から生成されるバックグラウンドと特異的シグナルの量を、ARRESTOR分子を含む反応から生成されるバックグラウンドと特異的シグナルの量と比較することによって、ARRESTOR分子の可能な設計を、簡単な方法で調べることができる。特異性に対する絶対的なシグナルの許容できる交換レベルを構成するものは、さまざまな適用場面(例えば、標的量、読み取り感度など)で異なるので、本発明に係る方法を用いてユーザーが各自で決定することができる。
IV.RNA標的を含むINVADERオリゴヌクレオチド特異的切断反応において使用する改良された酵素
切断構造は、本明細書において、二本鎖を形成するプローブオリゴヌクレオチドと標的核酸の相互作用によって形成される構造と定義されており、得られた構造は、酵素などであるが、それに限定されない切断因子によって切断可能である。切断構造は、さらに、ホスフォジエステラーゼなどの因子による非特異的な切断に対する基質なる核酸分子とは対照的に、切断手段による特異的な切断に対する基質と定義される。酵素的切断因子に対する改良を考えるにあたって、切断構造の定義に当てはまる構造に対する該酵素の作用を考慮することができる。そのような構造の中にある部位における特異的切断が考えられる。
酵素の改良は、一種類以上の構造物を切断する速度が上昇するものでも低下するものでもよい。また、改良によって、一種類以上の該切断構造に切断部位の増加または減少がもたらされてもよい。核酸切断アッセイ法に使用する、新しい構造特異的ヌクレアーゼのライブラリーを開発する上で、改良には、それぞれが特定のアッセイ法で用いられる特異的な基質構造に関連する多くの態様がある。
一例として、本発明に係るINVADERオリゴヌクレオチド特異的切断アッセイ法の一態様を考えることができる。INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断アッセイ法において、切断された物質の蓄積は、酵素の挙動がもついくつかの特徴によって影響される。驚くまでもなく、代謝回転速度、または、一定の時間内に単一の酵素によって切断されうる構造体の数は、測定反応過程で処理される物質の量を決定する上で非常に重要である。酵素が基質を認識するのに長い時間かかるようであれば(例えば、基質が最適でない構造で提示された場合)、または、切断を行なうのに時間がかかるようであれば、生成物が蓄積する速度は、それらの工程が迅速に進んだときよりは低くなる。これらの工程が迅速でも、酵素が切断構造上に「しっかり留まって(hold on)」いて、すぐには別の非切断構造に進めない場合には、速度に対して負の影響を与える。
酵素の代謝回転速度だけが、酵素の挙動が生成物の蓄積速度に負の影響を与えるわけではない。生成物を可視化または測定するために用いられる方法が、正確に定義された生成物に特異的であれば、その定義から外れた生成物は検出されることがないため、生成物の蓄積速度は低くなるように見えるかも知れない。例えば、トリヌクレオチドを検出するための感度の高い検出装置であって、ジヌクレオチドやテトラヌクレオチド、または、3残基以外のオリゴヌクレオチドは検出しない装置を有している場合、本発明に係るINVADER特異的切断アッセイ法において、誤った切断は、検出可能なシグナルを比例的に減少させることになると思われる。本明細書で提示した切断データから分かることであるが、通常、切断に好適な部位がプローブ内に一個あっても、しばしば、一次的な切断部位から1ヌクレオチド以上離れたところを切断してできる生成物が存在する。これらは、標的依存的で、かつ、非特異的なバックグラウンドではない生成物である。それにも関わらず、その後の可視化システムが一次生成物しか検出できなければ、これらはシグナルの消失を意味する。このような選択的可視化システムの例は、本明細書で提示した電荷逆転読み取り装置であり、そこでは、正電荷と負電荷の釣り合いによって、生成物の挙動が決まる。このようなシステムにおいては、余分なヌクレオチドがあったり、予想されるヌクレオチドを持たないと、間違った電荷バランスをもつ産物を残すことによって、正当な切断産物を最終検出から除外することができる。標準的なストリンジェントハイブリダイゼーションなど、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド含量を感度よく区別することができるアッセイ法は、正当な生成物のある画分が、そのアッセイ法ではうまく検出できないとき、感度に問題を生じることが簡単に理解できる。
これらの考察は、本発明に係る方法において使用すべき酵素における2つの非常に望ましい形質を示唆する。第一に、酵素が、認識、切断および遊離などの全切断反応を速やかに実行するほど、INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断アッセイ法においては、より強いシグナルが生成される可能性が高い。第二に、酵素が、構造内の単一の切断部位にうまく集中できるほど、選択的読み取り法において、よりたくさんの切断産物を検出するのに成功できる。
INVADERオリゴヌクレオチド特異的切断アッセイ法において使用される酵素の改良を行うために上記で引用した原理は、改良が求められる一つの方向を示す例として用いようとするものであり、改良された酵素活性の性質または応用法のいずれを制限しようとするものでもない。十分に改良されているものとして見なされるような活性変化の別の方向として、DNAP結合5'ヌクレアーゼを一例として用いることができる。本明細書記載のポリメラーゼ欠損5'ヌクレアーゼをいくつか作成する際に、ポリメラーゼドメインの実質的部分を欠失させて作成した酵素が、元のタンパク質では弱いか存在しない活性をもつことが発見された。これらの活性は、フォーク状になっていない構造を切断する能力、二本鎖の5'末端からエキソヌクレアーゼ的にヌクレオチドを除去する、非常に高い能力、および、遊離した5'末端がなくても環状分子を切断する未完成な能力を含んでいた。
DNAポリメラーゼに由来する5'ヌクレアーゼ以外に、本発明は、DNAポリメラーゼに由来しない構造特異的ヌクレアーゼの使用も想定している。例えば、Pol I型DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼに類似した基質特異性をもつ、真核生物および古細菌のエンドヌクレアーゼの種類が同定されている。これらはFEN1(フラップエンドヌクレアーゼ:Flap EndoNuclease)、RAD2、およびXPG(色素性乾皮症G群)タンパク質である。これらのタンパク質は、DNA修復に関係があり、重合過程で伸長しているプライマーによって置換された5'アームに似た構造を好んで切断することが明らかにされている。同様のDNA修復酵素が、単細胞、および高等真核生物および古細菌から単離されており、真性細菌には関連するDNA修復タンパク質がある。類似した5'ヌクレアーゼも、T5およびT7などのバクテリオファージに随伴していた。
最近、DNAPTaqおよびT5ファージの5'-エキソヌクレアーゼの三次元構造が、X線回折法によって決定された(Kimら、Nature 376: 612 [1995];およびCeskaら、Nature 382: 90 [1995])。この2種類の酵素は、アミノ酸配列の類似性が限定的なものであるにもかかわらず、非常によく似た三次元構造をもつ。T5 5'-エキソヌクレアーゼのもっとも顕著な特徴は、タンパク質の活性部位によって形成される三角形の穴が存在することと2本のαヘリックスがあることである。DNAPTaqの同じ領域は、結晶構造では乱れており、この領域が可塑的であることを示している。このため、この領域は、公開された三次元構造には示されていない。しかし、T5 5'-エキソヌクレアーゼとの全体的な三次元構造の類似性、および、DNAPTaqタンパク質の無秩序な領域のアミノ酸がαヘリックス形成に関係するアミノ酸であることに基づけば、DNAPTaqの5'ヌクレアーゼドメインも同じ構造をもっている可能性が高い。このような穴または溝がDNAPTaqの5'ヌクレアーゼドメインに存在することは、基質特異性に基づいて予測されていた(Lyamichevら、前掲)。
該構造を正しく切断されるように配置するためには、切断構造の5'アームが、上記のらせん状アーチを通過するようにしなければならないことが示唆されている(Ceskaら、前掲)。本明細書記載の5'ヌクレアーゼの修飾の一つは、タンパク質のこのらせん状アーチ部位を開放して、ほとんど切断できない構造や全く切断できない構造をよりよく切断できるようにすることである(例えば、このような5'アームの通過を除外できる環状DNA標的上の構造)。この方法を試すためのモデルとして選ばれた遺伝子構築物は、CLEAVASE BNと呼ばれる、DNAPTaqから派生したが、ポリメラーゼドメインをもたない構築物であった。これは、DNAPTaqの5'ヌクレアーゼドメインの全部を含んでいるため、構造的には、T5 5'-エキソヌクレアーゼに非常に近似しているはずである。この5'ヌクレアーゼは、この種類のタンパク質に対する、このような物理的修飾の原理を実証するために選ばれた。本発明に係る、アーチを開放する修飾は、DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼドメインに限定されるべきものではなく、切断活性に対する制約となるような開口部を含む構造特異的ヌクレアーゼに使用することが想定されている。本発明は、トロンビンの切断部位を、サーマス属由来DNAPのらせん状アーチの中に、および、サーマス属由来5'ヌクレアーゼのらせん状アーチの中に挿入することを想定している。CLEAVASE BN/トロンビンヌクレアーゼを用いる、本明細書に示されている具体的な例は、ヌクレアーゼドメインの内部に存在するらせん状アーチを開放するという概念を具体的に示しているに過ぎない。サーマス属由来のDNAPのアミノ酸配列は高度に保存されているので、本発明の教示するところにより、これらのDNAP、および、これらのDNAPに由来する5'ヌクレアーゼに存在するらせん状アーチの中にトロンビン部位を挿入することが可能になる。
らせん状アーチの開放は、アーチの中にプロテアーゼ部位を挿入して行なった。これにより、アーチをその先端部で開放するのに適したプロテアーゼによって、発現されたタンパク質の翻訳後分解を行なうことができた。この種のプロテアーゼは、特異的なアミノ酸配列の短い直鎖を認識する。そのようなプロテアーゼには、トロンビンおよび第Xa因子がある。このようなプロテアーゼによるタンパク質の切断は、タンパク質のアミノ酸配列中にその部位が存在することと、折り畳まれた本来のタンパク質上の該部位への接触が可能であることによって決まる。結晶構造を用いても、タンパク質のある特定の領域がプロテアーゼによる切断に感受性があると予測するのは困難なことがある。結晶構造がない場合には、経験的に決めなければならない。
プロテアーゼ切断部位を含むよう修飾されたタンパク質を部位特異的に切断するプロテアーゼを選択する際に、第一の工程は、未修飾のタンパク質を別の部位で切断されないか調べることである。例えば、第Xa因子プロテアーゼおよびトロンビンプロテアーゼによるプロテアーゼ切断条件下で、DNAPTaqとCLEAVASE BNヌクレアーゼをインキュベートした。どちらのヌクレオチドタンパク質も、5'ヌクレアーゼドメイン内で第Xa因子によって切断されたが、大量のトロンビンによってはどちらのヌクレアーゼも分解されなかった。したがって、最初にCLEAVASE BN酵素のアーチ開放を調べるためにトロンビンを選択した。
本明細書記載のプロテアーゼ/CLEAVASE修飾では、第Xa因子プロテアーゼが、未修飾のヌクレアーゼタンパク質の許容できない部位、すなわち、最終産物の活性を危うくする可能性が高い領域で強力に切断した。本明細書で想定している他の未修飾ヌクレアーゼは、第Xa因子に対しては敏感でないが、トロンビンや他の同様のプロテアーゼに敏感であるかもしれない。または、修飾を必要としているヌクレアーゼ機能に重要でない部位で、これらのプロテアーゼ、または他の同様のプロテアーゼに感受性を示すかもしれない。プロテアーゼ切断部位を付加することによる修飾を行なうためのタンパク質を取り上げる際には、どのプロテアーゼが別の領域において許容しうる切断レベルを生じさせるかを判定するために、未修飾のタンパク質をプロテアーゼを用いて試験すべきである。
CLEAVASE BNタンパク質が発現される、クロニーングされたDNAPTaqセグメントを用いて、トロンビンによる切断部位をコードするヌクレオチドを、ヌクレアーゼ遺伝子の90位のアミノ酸をコードする配列の近傍にインフレームで導入した。この位置は、DNAPTaqの三次元構造と、T5 5'エキソヌクレアーゼの構造の両方を参考にして、らせん状アーチの先端部であるか、その近傍であると判定されていた。ヌクレアーゼ遺伝子の部位特異的変異誘発によって、コードされるアミノ酸配列LVPRGSを、らせん状アーチの先端部に挿入した。トロンビン切断部位にあるプロリン(P)は、CLEAVASE BNで通常この位置にあるプロリンを置換するために置かれていた。なぜなら、αヘリックスを破壊するアミノ酸で、このアーチの三次元構造にとっては重要である可能性があるからである。この構築物を発現させ、精製してから、トロンビンで切断した。分解された酵素が、標的核酸であるバクテリオファージM13のゲノムDNAで、スレッドモデル(threading model)による切断を促進するための遊離した5'末端を備えていないDNAを切断できるかを調べた。
このヌクレアーゼのらせん状アーチが、プロテアーゼ切断によって開放されたが、数多くある別の技術を用いて同じ目的を達成することができると考えられる。例えば、塩基配列を再配列して、発現されると、得られたタンパク質は、らせん状アーチの先端(90位のアミノ酸)がこのタンパク質のアミノ末端になり、このタンパク質配列の本来のカルボキシル末端とアミノ末端が結合され、また、新しいカルボキシル末端が、本来の89位のアミノ酸になるように設計されていよう。この方法には、外来配列を導入せず、酵素は一本のアミノ酸鎖であり、そのため、切断された5'ヌクレアーゼよりも安定性が高いだろうという利点がある。DNAPTaqの結晶構造では、5'エキソヌクレアーゼドメインのカルボキシル末端とアミノ末端が互いに非常に近いところにあり、この両端は、時には必要な可塑的リンカーペプチド配列を使用しなくても、直接結合しうることを示唆している。このような遺伝子再配列は、その後のクロニーングと発現とともに、標準的なPCR組換え法、および当業者に既知のクロニーング技術によって行なうことができる。
INVADER侵襲的切断反応は、RNA標的鎖を検出するのに有用であることが示されている(例えば、米国特許第6.001,567号を参照されたい。この文献は、その全部が参照として本明細書に組み入れられる)。DNAの検出にINVADERアッセイ法を用いたように(Lyamichevら、Nat. Biotechnol., 17: 292 [1999])、反応液中に存在する標的RNAの各コピーに対するプローブのコピーの多くを切断できる条件下で反応を行なわせることができる。一つの態様において、切断されているプローブの融解温度(Tm)に近い温度で反応を行なうことができ、その結果、切断されたプローブも非切断のプローブも、温度を周期的に変えなくても、標的鎖に付いたり離れたりを容易に繰り返すことができる。完全長のプローブは、INVADERオリゴヌクレオチド存在下で標的に結合するたびに、5'ヌクレアーゼによって切断され、その結果、切断産物が蓄積される。この蓄積は、検出される配列に高度に特異的であり、反応時間および反応液中の標的濃度に比例するように設計することができる。別の態様において、反応温度を変化させ(すなわち、プローブを解離させることができる温度まで上昇させることができ)、次に、新しいプローブのコピーが標的にハイブリダイズし、酵素によって切断される温度まで低下させることができる。さらなる態様において、PCRと同様に、温度を上げたり下げたりする処理を何度も繰り返すか、周期的に行なう(MullisおよびFaloona, Methods in Enzymology, 155: 335 [1987]、Saikiら、Science 230: 1350 [1985])。
上記したように、RNA標的鎖を含む侵襲的切断構造を切断するには、Pol A型DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼが好適である。本発明は、RNAを含む構造の切断を利用する検出法において改良された効率を示す酵素を提供する。特に、本発明に係る改変ポリメラーゼは、RNA標的鎖を含む侵襲的切断構造のDNA部分の切断を利用する検出法において改良された効率を示す。
本発明に係る5'ヌクレアーゼは、Pol A型DNAポリメラーゼから派生させることができる。この種類の5'ヌクレアーゼに加えた改変を説明するときに使用した用語は、当技術分野において既知のDNAポリメラーゼの構造を説明したものに対応する。大腸菌由来のPol A型DNAポリメラーゼのクレノウ断片(C末側3分の2の領域で、DNA合成活性をもつが、5'ヌクレアーゼ活性はもたない)は、右手に似た物理的な形状をもつと説明されている。すなわち、「パーム」と呼ばれる開放領域、および、プライマー/鋳型二本鎖を保持する裂溝であって、一方を「フィンガー」ドメインによって規定され、他方を「サム」ドメインによって規定される裂溝をもつ(JoyceおよびSteitz, Trends in Biochemical Science 12: 228 [1987])。これは、図5に示される。この物理的形態が、Pol A型DNAポリメラーゼ、および逆転写酵素など、さらに別の鋳型依存型重合酵素の多くにとって一般的であることが証明されたため、手を使った用語法が当技術分野において知られるようになり、これらの酵素における活性部位は、しばしば、手の位置に対応させて説明される。本発明を制限する意図ではなく、参考のためにいうと、パームは、ポリメラーゼドメインのほぼ最初の200アミノ酸から作られ、サムは、中央の140アミノ酸からできており、また、フィンガーは、次の160アミノ酸からできていて、残りの領域から裂溝の基部が形成されている(図6)。これらの構造の説明から外れる酵素もあるが、既知の酵素配列に対する配列相同性や、酵素の結晶構造を比較するなどの方法によって、これらのドメインに対応する同等のドメインおよび配列を同定することができる。
本発明は特定の方法に限定されるものではないが、本発明に係る改良酵素を作成する際には、いくつかの方法が用いられる。最初に、RNA標的上でのDNA鎖切断活性速度が異なるTaqおよびTthという2つのDNAポリメラーゼを比較した。活性の違いに関係するドメインを同定するために、一連の化学的構築物を作成して、その活性を測定した。この工程で、Taqポリメラーゼに移入された場合には、TaqPolに、天然型Tthタンパク質と同等のRNA依存型切断活性を付与することができる、Tthポリメラーゼの2つの領域が同定された。これらの領域が同定されたため、この活性に関与する特定のアミノ酸が調べられた。この2種類のタンパク質は、全体のアミノ酸配列で約87%一致しており、同定された領域は、ほんの少数のアミノ酸が異なっているだけであった。これらのアミノ酸を一つずつ、または複数個変えることによって、TthPolにおいて、TaqPolタンパク質に導入された場合には、天然型TthPolの切断速度まで、切断速度を増加させるアミノ酸のペアが同定された。
これらのデータは、本発明の2つの重要な側面を明らかにする。一つは、特異的なアミノ酸を変えることによって、活性が低い方のポリメラーゼにTaqPol様RNA依存型切断活性を付与することができる。しかし、より広義には、これらの結果は、RNAを包含する切断構造の認識に関与する、これらポリメラーゼの領域を提供する。これらの重要な領域が同定されたことによって、これらのDNAポリメラーゼのさまざまな機能に対する他のアミノ酸の関係についての公開情報、および、本発明の開発過程で行なわれた、コンピュータを利用した分子モデリングと合わせて、さらに改良された5'ヌクレアーゼを作成する合理的設計法を可能にした。また、この情報は、改良された性質をもつ酵素を速やかに作成して同定するための迅速なスクリーニング法と結合した指向的無作為変異誘発法(focused random mutagenesis)も可能にした。本発明に係る、これらの方法を用いて、多様な改良ポリメラーゼが提供される。
本発明に係る改良型5'ヌクレアーゼを作出し、選択する上で役に立つ方法を下記、および実施例において詳述する。5'ヌクレアーゼの切断活性をスクリーニングし、特徴づけるための一般的な手順が実施例には含まれている。方法の検討は以下の項目に分割される。I)キメラ構築物の作成と選択;II)キメラ構築物からの情報に基づく部位特異的変異誘発;III)分子モデリングと公開されている物理研究を利用する部位特異的変異誘発;IV)指向的無作為変異誘発
1)キメラ構築物の作成と選択
図6に図解されているように、サーマス種に由来するDNAポリメラーゼ酵素などのPol A型DNAポリメラーゼは、5'ヌクレアーゼドメインとポリメラーゼドメインという2つの顕著なドメインを含む。ポリメラーゼドメインは、このタンパク質のC末端側3分の2の領域に存在し、DNA依存型およびRNA依存型のDNAポリメラーゼ活性に関与する。N末端側3分の1の部分は、5'ヌクレアーゼドメインを含む。サーマス属のPolAポリメラーゼでは、パーム領域は、およそ300〜500位のアミノ酸を含み、サム領域は500〜650位のアミノ酸を含み、一方、フィンガー領域は、残りの650〜830位のアミノ酸から形成される(図6)。
本発明の実験の多くで用いられ、本明細書でも説明されているTaqおよびTth Po1から派生したTaq DN RX HTおよびTth DN RX HTは、合成活性が低下し、キメラの構築を容易にするが、未修飾のTaq PolおよびTth Polと本質的に同一の5'ヌクレアーゼ活性をもつ。特段の記載がない限り、以下の考察におけるTaq Pol酵素およびTth Pol酵素はDN RX HT派生酵素を意味する。
Taq PolおよびTth Polは、DNA標的構造については同様の切断を示す(図10)が、IL-6 RNA鋳型(図10に示す)では、Tth Polは、Taq Polよりも4倍速い切断速度をもつ(図11および12に示す)。Taq PolおよびTth Polのアミノ酸配列(図8および9)は、約87%一致しており、また、92%より多くの類似性を示すので、これらの酵素間で相同性が高いため、Taq PolおよびTth Polの間で一連のキメラ酵素を作成することができる。キメラ酵素の活性をRNA依存型5'ヌクレアーゼ活性に影響する、これらタンパク質の領域を同定するためのパラメータとして用いた。
図7および図19で図解されているTaq Pol遺伝子およびTth Pol遺伝子の間のキメラ構築物は、以下の制限エンドヌクレアーゼ部位によって規定されるDNA断片を交換して作成された:両方の遺伝子に共通なEcoRIならびにBamHI、クロニーングベクター部位であるSalI、および、部位特異的変異誘発によって両方の遺伝子の相同的な位置に作出されたNotI、BstBIならびにNdeI。制限酵素は以下の通りに略記される:EcoRIはE、NotIはN、BstBIはBs、NdeIはD、BamHIはB、および、SalIはS。
IL-6 RNA標的での侵襲的シグナル増幅アッセイ法を用いて各キメラ酵素の活性を評価し(図10)、実施例に記載したとおりに、図12に示す反復切断速度を測定した。NotI部位でポリメラーゼドメインと5'ヌクレアーゼドメインを交換して作成した、最初の2つのキメラTaq Tth(N)およびTth Taq(N)(図7)を比較したところ、Taq Tth(N)は、Tth Polと同じ活性をもち、一方、その相手方であるTth Taq(N)はTaq Polの活性を保持している(図12)。この結果は、Tth Polの反復切断速度の速さは、そのポリメラーゼドメインに関連していることを示しており、ポリメラーゼドメインが5'ヌクレアーゼ活性に重要な役割をもつことを示唆している。
次の工程は、対応するTaq Polの配列に置き換えたとき、Tth Pol様RNA非依存型5'ヌクレアーゼ活性を生じることができる、Tth Polポリメラーゼの最小領域を同定することであった。この目的のため、Taq Tth(N)キメラを選択して、そのTth Pol配列をTaq Polの相同領域に置き換えて、一連の新しい構築物を作成した。まず、共通のBamHI部位をTaq Tth(N-B)キメラとTaq Tth(B-S)キメラを作成するための切断点として用いて(図7)、Taq Tth(N)の対応領域を、Taq PolのポリメラーゼドメインのN末部分とC末部分に置き換えた。Tth Polの328位から593位のアミノ酸配列を有するTaq Tth(N-B)は、Taq Tth(B-S)の約3倍活性が高く、Tth Polよりも40%活性が高い(図12)。この結果、Tth PolのポリメラーゼドメインのNotI-BamHI部位が、Tth Polの優れたRNA依存型5'ヌクレアーゼ活性を決定しているということが確認される。
これらのデータから、Tth Polの中心部をTaq Polの相同部位(Taq Tth(N-B)構築物)を置換するために使用したときには、主にTaqタンパク質から構成されているキメラタンパク質に優れたRNA認識能を付与することができると判定された。実際、このキメラタンパク質の回転速度は、親であるTth Polの速度を上回っていた。Tth Polの活性上昇領域の一部を含むキメラを比較すると、各場合とも約50%の領域(Taq Tth(N-D)およびTaq Tth(D-B)、図7および12)は、親であるTaq Polと比較しても、有意なRNA依存型活性の改善を示さなかった。この結果は、この活性にとって、この領域の各々半分の特徴が必要であることを示している。Tth挿入部分(Taq Tth(Bs-B))よりも僅かに小さい部分をもつ構築物は、親であるTth Polタンパク質の活性に近い活性を示したが、Taq Tth(N-B)構築物の活性よりは低かった。
2)キメラ構築物からの情報に基づく部位特異的変異誘発
BstBI部位およびBamHI部位の間でTaq PolおよびTth Polのアミノ酸配列を比較したところ、25残基だけが異なっていることが明らかになった(図13)。これらのうち、12個が保存的な変化であり、13個の置換が電荷に変化をもたらすものである。キメラ酵素の解析によって、Tth PolのBstBI-NdeIおよびNdeI-BamHIの領域に、いくつか重要なアミノ酸の変異が存在していることが示唆されたため、部位特異的変異誘発を用いて、Taq Tth(D-B)およびTaq Tth(N-D)キメラのそれぞれBstBI-NdeI領域とNdeI-BamHI領域にTth Pol特異的なアミノ酸を導入した。単一変異誘発または二重変異誘発によって、Taq Tth(D-B)のBstBI-NdeI領域に6個のTth Pol特異的置換体を作成したところ、一つの二重変異体W417L/G418KだけがIL-6 RNA標的によるTth Pol活性を回復することができた(例えば、図14参照)。同様に、Taq Tth(N-D)のNdeI-BamHI領域の相同的な位置に12個のTth Pol特異的アミノ酸を導入したところ、それらのうちたった一つ(E507Q)で、Tth Polと同程度になるまで切断速度が上昇した(例えば、図14参照)。
W417L、G418KおよびE507Qという置換が、Taq Polの活性をTth Polのレベルにまで引き上げるのに十分であることを確認するために、これらの変異を有するTaq Polの変異体を作成して、IL-6 RNA基質を用いてそれらの切断速度をTth Polの切断速度と比較した。図15は、Taq Pol W417L/G418K/E507Q変異体とTaq Pol G418K/E507Q変異体が、Tth Polよりも1.4倍高い活性をもち、Taq Polよりも4倍高い活性をもつが、Taq Pol W417L/E507Q変異体はTth Polと同じ活性で、それはTaq Polよりは約3倍高いことを示している。これらの結果は、Tth PolのK 418とQ507が、Taq Polに較べて優れたRNA依存型5'ヌクレアーゼ活性を規定する重要なアミノ酸であることを証明している。
さらに別の生物であるサーマス・フィリフォルミス、およびサーマス・スコトダクタスのポリメラーゼA遺伝子に対応する変異を導入して、これらのアミノ酸が、DNAポリメラーゼのRNA依存型5'ヌクレアーゼ活性を向上させることができるかについて試験した。Taq Polは、W417L変異とE507Q変異を持つように改変して、Tth Polの対応する残基(K418およびQ507)により類似させたところ、改良されたRNA依存型活性を示した。Tfi PolをP420KとE507Qをもつよう改変して、TfiDN2Mを作成し、TscPolをE416KとE505Qをもつよう改変して、TscDN2Mを作成した。これらの酵素が、DNAおよびRNAを含むさまざまな構造物を切断する活性を、図21および22に図解したIdT2、IrT3、ヘアピン、およびX構造を用いて、実施例1に記載したようにして測定し、その結果を図25と表8に示した。どちらの酵素も、Tth Pol酵素またはTaq 2M酵素よりはより低いRNA依存型切断活性をもつ。しかし、上記で引用した変異をこれらのポリメラーゼに導入すると、改変されていない酵素と較べて、RNA依存型切断活性が2倍以上高くなった(図25)。これらの結果は、本発明に係る方法を用いて、改良されたRNA依存型切断活性を、広範なポリメラーゼの中に導入できることを実証している。
3)分子モデリングと公開されている物理研究を利用する部位特異的変異誘発
Liら(Liら、Protein Sci., 7: 1116 [1998])によって判定された、Taq Polの大断片(KlentaqI)とプライマー/鋳型DNAとの複合体の結晶構造G418H変異およびE507Q変異の位置を図17に示す。E507Q変異は、プライマー鎖および鋳型鎖のバクボーンであるリン酸から最も近いところで、それぞれ、3.8Åおよび18Å離れており、サム・サブドメインの先端に位置する。DNAポリメラーゼのクレノウ断片(Breeseら、Science 260: 352 [1993])およびTaq Pol(Eomら、Nature 382: 278 [1996])の共結晶構造によって、以前、サム領域とDNAプライマー/鋳型の副溝の間に相互作用があることが示唆された。クレノウ断片のサム領域の先端にある、Taq Polの494〜518位アミノ酸に相当する24アミノ酸を欠失させると、DNA結合親和性が100倍以上低下する(Minnickら、J. Biol. Chem., 271: 24954 [1996])。これらの観察結果は、E507残基を含むサム領域が、上流にある基質二本鎖との相互作用に関与するという仮説と矛盾しない。
Taq Polと、重合方式で結合している二本鎖DNAとの共結晶構造(Liら、Protein Sci., 7: 1116 [1998]、Eomら、Nature 382: 278 [1996])の共結晶構造によれば、Taq Polのパーム領域におけるW417L変異とG418K変異(図17)は、鋳型鎖および上流鎖の最も近いリン酸から約25Åのところに位置している。クレノウ断片の類似したアミノ酸W513およびP514と、編集モードで結合しているDNAの鋳型鎖との間で同じ距離が観察された(Breeseら、Science 260: 352 [1993])。したがって、この領域の利用可能な共結晶実験からは、Taq Polと重複基質との間に相互作用があることは示唆されない。
酵素の作用機作を理解することは、本発明を実施する上では必要なく、また、本発明は、作用機作に限定されるものではないが、Taq Polのパーム領域の417位と418位のアミノ酸は、この酵素が5'ヌクレアーゼとして機能するときにだけ、上流の基質二本鎖と相互作用するが、Taq Polが重合モードに切り替わっているときには、これらのアミノ酸との相互作用は起きないということが提唱されている。この仮説は、本明細書において「5'ヌクレアーゼ」と呼ばれるDNAポリメラーゼによる、新しい基質結合の形を示唆する。この仮説は、いくつかの証拠によって裏付けられている。本明細書記載のキメラ酵素実験は、5'ヌクレアーゼとポリメラーゼの活性に関与するポリメラーゼドメインの領域を明確に分離する。したがって、W417L変異とG418K変異は、E507Q変異とともに、RNA標的鎖をもつ基質に対するTaq Polの5'ヌクレアーゼ活性に影響する(図15)が、RNA依存型DNAポリメラーゼ、またはDNA依存型DNAポリメラーゼのいずれの活性にも影響しない(図16)。他方、R573A、R587A、E615A、R746A、N750AおよびD785Nなど、Taq Polの活性部位における変異であって、重合モードにあるポリメラーゼ活性と基質結合親和性の両方に影響する大腸菌DNAのPol Iのクレノウ断片における置換に対応するもの(Poleskyら、J. Biochem., 265: 14579 [1990]、Poleskyら、J. Biol. Chem., 267: 8417 [1992]、Pandeyら、Eur. J. Biochem., 214: 59 [1993])は、5'ヌクレアーゼ活性に殆ど、あるいは全く影響しないことが示された。DALIプログラム(HolmおよびSander, J. Mol. Biol., 233: 123 [1993]、HolmおよびSander, Science, 273: 595 [1996])およびInsight II(モレキュラー・シミュレーション社(Molecular Simulation), Naperville, IL)を用いて、Taq Pol(Eomら、Nature 382: 278 [1996])、大腸菌のPol Iおよびバシルス・ステアロサーモフィラスのPol I(Kieferら、Nature 391: 304 [1998])のポリメラーゼドメインの重ね合わせをしたところ、W417とG418を含む、Taq Polのアミノ酸位402〜451にあるパーム領域が、構造的に、この3種類のポリメラーゼの間で高度に保存されていることを示している。しかし、残りのパームサブドメインの間には構造的な類似性はない。この観察結果は、真性細菌のDNAポリメラーゼのこの領域には重要な役割があることを示唆している。
5'ヌクレアーゼとポリメラーゼの活性は、正確に同調され、リガーゼが不適当に末端に結合したら、岡崎フラグメントのプロセシングまたはDNA修復の過程で欠失または挿入を引き起こしうるギャップや突出ではなく、ニックをもつ構造を作出しなければならない。以前提唱されたモデル(Kaiserら、J. Biol. Chem., 274: 21387 [1999])によると、上流鎖の3'末端のヌクレオチドが5'ヌクレアーゼドメインによって隔離されると、伸長を阻害され、合成を停止する。3'ヌクレオチドとの相互作用は、外見上、エンドヌクレアーゼ的に、置換された下流鎖の5'アームを除去する5'ヌクレアーゼを活性化する。この切断は、3'ヌクレオチドによって規定される部位で正確に切断されることによって起き、ニックを生じる。このモデルは、基質-酵素複合体の実質的な再配列を必要とするが、再配列は、該複合体を5'ヌクレアーゼのモードに転位させて、ポリメラーゼ活性部位からプライマー/鋳型を分離することを含みうる。
鋳型と入ってきた鎖との間に形成された二本鎖と、フィンガーおよびサムというサブドメインによって形成される隙間との相互作用によって、ポリメラーゼ活性部位から遠くの位置に基質を再配置することを誘導することが可能である。このような相互作用は、サム領域におけるコンフォメーションの遷移を押し進め、鋳型/プライマー二本鎖をW417とG418のアミノ酸に密接させる。サム領域が顕著に可塑的であることは以前報告されており、それによって、このような変化を説明することができる(Breeseら、Science 260: 352 [1993]、Eomら、Nature 382: 278 [1996]、Ollisら、Nature 313: 762 [1995]、Liら、EMBO, J. 17: 7514 [1998])。さらに、Liら(Liら、EMBO, J. 17: 7514 [1998])によって説明された「閉じた」構造から「開いた」構造への遷移など、隙間が開くのを助けるような、フィンガードメインのコンフォメーション変化も、このモデルと矛盾しない。DNA Pol Iの公開された共結晶構造において5'ヌクレアーゼ結合モードが観察されなかったのは、構造の大部分が、重複した5'ヌクレアーゼ基質によってではなく、鋳型/プライマー基質によって、ポリメラーゼドメインだけが解けるからであると思われる。
Taq Pol、Tth Pol、およびTaqPol G418K/E507Qについて、RNAを含む基質に対して200〜300 nMでのKm値が決定されている。これらの値は、すべてDNAの重複基質によって、TthPolについて<1 nMで評価されたKm値に比べてより高い。このことは、RNA鋳型が、基質の結合に悪影響を及ぼすことを示唆している。低親和性は、酵素が、基質によってRNA標的とともに採用されたA型二本鎖、またはRNA鎖のリボース2'ヒドロキシル基のいずれかと好ましくない相互作用をするということで説明することができる。真性細菌のDNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼは、おそらくA型をもっていると思われるRNA下流プローブで効率的に切断できることから、これら2つの因子のうちでは、後者の可能性の方が高い(Lyamichevら、Science 260, 778 [1993])。さらに、共結晶研究によって、鋳型/プライマーの二本鎖が、複合体の中でDNAポリメラーゼによって、部分的にA型に近いコンフォメーションを採用していることが示唆されている(Eomら、Nature 382: 278 [1996]、Kieferら、Nature 391: 304 [1998]、Liら、EMBO, J. 17: 7514 [1998])。G418K/E507Q変異は、TaqPolのkcat値を2倍以上に高めるが、Km値には殆ど影響しない。変異によって、基質が、単に結合定数を高めるためではなく、より切断に適した方向に配置されるようになれば、このような効果が期待される。
上記した変異解析以外に、酵素の特異的領域、酵素の構造-機能の関係、および酵素-基質相互作用を研究するための別の方法は、分子の実際の物理学的構造を調べることである。
結晶学、NMR、およびコンピュータならびにソフトウエアの技術が進むにつれて、分子構造の研究は、生体分子の構成、仕組み、および動態に興味をもつ者にとっては実行可能なツールとなってきている。分子モデリングは、タンパク質の構造の基礎にある相互作用の性質、および、どのようにしてタンパク質は基質と機能的に相互作用するかについての理解を深めてきた。さまざまなポリメラーゼまたはポリメラーゼタンパク質の部位、HIVの逆転写酵素、および他の核酸結合タンパク質について記載した多くの出版物が、タンパク質のコンフォメーション、コンフォメーションの変化、および、機能するために必要な分子間相互作用に関する機械論的な洞察を提供してきた。
一例として、Doubieら(Doubieら、Nature 391: 251 [1998])による報告は、T7DNAポリメラーゼの結晶構造を開示しており、また、どのアミノ酸領域が、基質の結合に影響する可能性が高いか、どれを重合のためには基質に接触させる必要があるか、また、どのアミノ酸が、金属イオンなどの補助因子に結合するかということに関する情報を提供している。この論文や他の論文で、多くのポリメラーゼが、配列類似性を共有するだけでなく、構造的な相同性も共有する。異なったポリメラーゼの特定の構造ドメインを積み重ねる(例えば、T7ポリメラーゼ、クレノウ断片編集複合体、リガンドをもたないTaq DNAポリメラーゼ、およびTaqポリメラーゼ-DNAポリメラーゼ複合体)と、保存されたモチーフを明らかに識別することができる。
具体的には、これら構造的起源および文献すべてからの情報をまとめて、DNA、RNA、またはヘテロ二本鎖と相互作用するタンパク質モデルを作成することができる。そして、モデルを調べて、基質認識や基質との接触に関与する可能性のあるアミノ酸を同定することができる。これらの観察結果に基づいてアミノ酸を変えることができ、また、実施例に記載された本発明に係る方法などのスクリーニング法を用いて、5'ヌクレアーゼタンパク質のさまざまな活性に与える効果を評価する。
前記したドメイン交換解析法によって、RNA依存型5'ヌクレアーゼ活性において重要なTthDNの配列が、タンパク質のポリメラーゼドメインに位置している。したがって、核酸認識に関して、ポリメラーゼドメインの構造データを調べると、アミノ酸の位置を決める方法であって、アミノ酸が変わると、5'ヌクレアーゼ反応においてRNA認識が変化するという方法が提供される。例えば、本発明を開発する過程で行われた解析法によって、大腸菌のPol Iのポリメラーゼドメイン、すなわち、クレノウ断片が結合するプライマー/鋳型に関する公表された解析結果を調べた。表2は、クレノウ断片について測定された速度定数であり、数多くの変異がこれらの測定値に及ぼす効果を示している。TaqPolにおいて対応するか、同様の位置にあるアミノ酸を右側の欄に示す。クレノウ断片と、DNA鋳型またはプライマー/鋳型二本鎖との相互作用に顕著な影響を与える変異も、Kdおよび相対的DNA親和値の変化によって示されるように、TaqPol、および関連するキメラ派生体または変異体の対応する部位に作出されるときには有効であると考えられる。クレノウ断片の中に導入するときには、より高いKd値をもたらし、またはより低い相対的DNA親和性をもたらす変異を選択して、TaqPolの中で調べた。これらのTaq派生体(derivatives)には、表2の右欄にアスタリスクで示したものがあるが、これらに限定されない。
R682変異体など、クレノウ変異体については、試験のための選択をDNA親和性測定値に基づいて行わなかった。なぜなら、分子モデリングによって、鋳型/プライマー二本鎖とアミノ酸の何らかの態様間で何らかの相互作用が存在することが示唆された。同様に、Taqポリメラーゼ(またはTaq派生体)の別の領域が、分子モデリングからの構造に関するデータおよび情報に基づいて変異誘発を行なうための標的となる。モデリングに基づくと、サム領域が、RNA鋳型と接触すると考えられた。そのため、サム領域のアミノ酸で、それを改変したら、接触も変化するようなアミノ酸を捜した。例えば、図6および17は、502位、504位および507位のアミノ酸が、サム領域の先端に存在することを示している。これらのアミノ酸を変更すると、酵素と基質の相互作用に影響を与えると考えられた。実施例1記載の活性スクリーニング法を用いて、有利な効果をもたらす変異を同定した。この方法を用いて、いくつかの改良酵素を作成した。例えば、TaqPolのH784の位置は、クレノウのH881のアミノ酸に相当するが、これは、フィンガー領域のアミノ酸であり、そのため、プライマー/鋳型基質の結合に関係している可能性がある。クレノウ酵素のH881アミノ酸をアラニンで置換すると、DNAに対する親和性が野生型のレベルの30〜40%に低下する。TaqPolに由来する酵素で同様に置換を調べた。Taq派生体W417L/G418K/E507Qから出発して、784位のアミノ酸をヒスチジン(H)からアラニン(A)に変えて、W417L/G418K/E507Q/H784A変異体を得、Taq 4Mと名付けた。この変異体は、RNA試験用IrT1(図24)被検基質に対して改良された5'ヌクレアーゼ活性を示した(データを表3に示す)。アミノ酸R587は、サム領域中にあり、コンピュータモデルにおいて、プライマー/鋳型二本鎖から非常に近い位置にあることから、変異を起こすために選択した。R587A変異をTaq 4Mに加えると、試験用IrT1被検基質に対する活性がさらに一層向上した。さらに、4M変異体と較べて、図22に示されたX構造の切断が低下すれば、この酵素機能にさらなる改良をもたらすことになる。
重合反応においてDNA結合を低下させるアミノ酸変異のすべてが、5'ヌクレアーゼ活性に影響するわけではない。例えば、それぞれ、サムドメインとフィンガードメインに存在するアミノ酸に影響を与える変異E615A、R677Aなどは、図21および22の被検基質を用いて測定し、これらの変異を持たない親である変異体と較べると、5'ヌクレアーゼ活性に悪影響を与えるか、全く影響を与えない。R677A変異を追加して、Taq 4M変異体と比較した。本明細書記載の試験方法は、DNAを含む構造およびRNAを含む構造について、非侵襲的基質および侵襲的基質の切断活性を変更する変異体を解析する便利な方法を提供する。このように、本発明は、適当な改良酵素のすべてを同定する方法を提供する。
核酸標的に対する酵素の親和性を高めることのできる改変も調べた。上記の変異の多くが、クレノウ断片酵素にDNAに対する親和性を低下させたことから、DNA以外の鎖を含む構造をより許容しやすい酵素を作成することを目的として、これらの変異を選択した。通常、天然型DNAポリメラーゼは、DNA/DNA二本鎖に対する親和性と較べると、RNA/DNA二本鎖に対しては低い親和性を示す。本発明を開発する過程で、RNA標的鎖ではなくDNAを有する構造に対する選好性を回復させたり、増加させることなく、核酸基質に対する本発明に係るタンパク質の一般的な親和性を高めようとした。タンパク質と核酸基質との間の相互作用を変える手段として、さまざまな電荷をもったアミノ酸の置換を調べた。例えば、リシン(K)など、正に荷電したアミノ酸残基を付加すると、負に荷電した核酸に対するタンパク質の親和性は高くなると思われた。
上記したように、サム領域における変化は、タンパク質と核酸基質との間の相互作用に影響を与えうる。一例において、G504Kという変異(サム領域の先端)をTaq 4Mに導入したところ、RNA標的に対するヌクレアーゼ活性は15%上昇した。さらに正に荷電させる変異(A502KおよびE507K)は、親であるTaq4M酵素と比較すると、さらにRNA標的依存的活性が50%向上した。
公表された研究データおよび分子モデリングを、本発明を開発する過程で生じた結果とともに用いて、アミノ酸変異によって切断機能の一以上の特徴に観察可能な違いをもたらす可能性が高いと思われるタンパク質の領域を同定することができた。このようにして、領域を標的とすることもできるが、異なるアミノ酸の変異は、そのタンパク質の近傍または直近であっても、異なる作用を与えることが考えられた。例えば、A502K置換によって、Taq4MのRNA依存型切断活性は顕著に増加するが、502位から僅か3アミノ酸しか離れていない499位のアミノ酸をGからKに変えると、殆ど改善が見られなかった。実施例から分かるように、本発明に係る方法は、候補領域において数個のアミノ酸を、単独または併合して変異させ、その後、実施例1で提供されているスクリーニング法を用いてこの変異の効果を迅速に測定するというものである。
これらのタンパク質のポリメラーゼドメインで見られるサム領域、パーム領域、およびハンド領域以外で、5'ヌクレアーゼおよびヌクレオチドドメインに特異的な領域を調べた。さまざまな5'ヌクレアーゼおよびヌクレオチドドメインに関する比較研究は、アミノ酸配列が酵素によって劇的に変化していても、殆どの酵素に共通する構造的特徴があることを示している。これらの特徴の2つは、ヘリックス-ヘアピン-ヘリックスモチーフ(H-h-H)、および、アーチまたはループ構造である。H-h-Hモチーフは、非配列特異的なDNA結合を仲介すると考えられている。これは、ヌクレアーゼ、N-グリコシラーゼ、リガーゼ、トポイソメラーゼ、およびポリメラーゼなど、タンパク質の14ファミリーで見つかっている(Dohertyら、Nucl. Acid. Res., 24: 2488 [1996])。DNA鋳型-プライマーに結合しているラットDNAポリメラーゼpolβの結晶学的構造は、polβ H-h-Hモチーフの骨格の窒素と、DNA二本鎖プライマーのリン酸水素との間で非特異的水素結合が起こることを示している(Pelletierら、Science 264: 1891 [1994])。TaqポリメラーゼおよびTthポリメラーゼの5'ヌクレアーゼドメインのH-h-Hドメインが、同様にして機能するため、酵素のHhH領域における変異は、活性を変更しないと考えられる。モチーフの形や構造を変えるために変異を導入することができ、または、モチーフの電荷を変えて、基質に対する親和性を高めたり低下することができる。
真核生物、真性細菌、古細菌、およびファージなど多様な由来生物から得られる多くの5'ヌクレアーゼに共通するもう一つの構造は、アーチまたはループドメインである。バクテリオファージT5の5'エキソヌクレアーゼの結晶構造は、1本は正電荷をもち、もう1本は疎水性残基を含む2本のヘリックスによって形成される明確なアーチを示した(Ceskaら、Nature 382: 90 [1995])。興味深いことに、Lys83、Arg86、およびTyr82という3個の残基がT5とTaqの間で保存されているが、それらはすべてアーチの中にある。これらは、TaqDNAポリメラーゼのLys83、Arg86、およびTyr82に対応する。Taq(5'ヌクレアーゼ)の結晶構造も決定されている(Kimら、Nature 376: 612 [1995])。
メタノコッカス・ヤンナシイに由来するフラップエンドヌクレアーゼ-1の結晶構造も、このようなループモチーフを示す(Hwangら、Nat. Struct. Biol., 5: 707 [1998])。Mja FEN-1分子の骨格の結晶構造は、T5のエキソヌクレアーゼ、Taqの5'エキソヌクレアーゼ、およびT4 RNaseHと重ね合わせることができる。これらすべてに共通する興味深い特徴は長いループである。FEN-1のループは、多数の正に荷電した残基と芳香族残基からなり、一本鎖DNA分子を収容するのに十分な大きさをもつ穴を形成する。T5エキソヌクレアーゼで対応する領域は、らせん状アーチを形成する3本のヘリックスである。T5エキソヌクレアーゼにおいて、らせん状アーチによって形成される穴の大きさは、Mj FEN-1のL1ループによって形成される穴の半分よりも小さい。T4 RNaseH、またはTaq 5'エキソヌクレアーゼにおいて、この領域の秩序が乱れる。アーチの領域は金属に結合するものもあれば、核酸基質に接触するアーチの領域もある。polファミリーのDNAポリメラーゼから6個の5'ヌクレアーゼドメインのアミノ酸配列の配列比較を行なうと、10個の酸性残基を含む、6個の高度に保存された配列モチーフがあるのが分かる(Kimら、Nature 376: 612 [1995])。
アーチ領域における改変の効果を調べた。Taqポリメラーゼにおいて、アーチ領域は、アミノ酸の80〜95位および96〜109位によって形成されている。このアーチ領域で部位特異的変異誘発法を行なった。FENおよびポリメラーゼの5'ヌクレアーゼのアミノ酸配列の配列比較を行なったところ、P88E、P90EおよびG80Eという3個のアミノ酸置換変異を設計することが示唆された。これらの置換を、Taq4Mポリメラーゼ変異体を親となる酵素として、この上で行なった。その結果、図22に示すHP基質およびX基質に対するバックグラウンド活性は、すべての変異体で非常に強く抑制されたが、適正な基質(IdTおよびIrT、図24)に対する所望の5'ヌクレアーゼ活性も低下する。TaqポリメラーゼとTthポリメラーゼの間の配列相同性にも関わらず、HP基質およびX基質に対しては全く異なった活性を示す。また、TaqポリメラーゼとTthポリメラーゼのアーチ領域の配列比較をすると、広範な配列同同領域と僅かな違いが明らかになる。これらの違いによって、L109FおよびA110Tという変異の設計がもたらされ、Taq4Mを用いてTaq4M L109F/A110Tが作成され、変異Taq4M L109F/A110T/A502K/G504K/E507K/T514Sを用いてTaq4Mを作成した。これら2つの変異は、Taq4M酵素を徹底的に変えて、バックグラウンドの基質特異性に関してはよりTth酵素に似たものとなったが、DNA基質およびRNA基質に対する5'ヌクレアーゼ活性はほとんど変わっていない。
4)指向的無作為変異誘発法
上記したように、物理学的研究および分子モデリングを、単独あるいは併合して用いて、アミノ酸変異によって切断機能の一つ以上の特徴に目に見える違いをもたらす可能性が高いと思われるタンパク質の領域を同定することができる。前節では、変異特異的アミノ酸、およびアミノ酸の組み合わせを選択するために、この情報の利用法について説明した。改変された機能をもつ酵素を作成するもう一つの方法は、変異を無作為に導入することである。このような変異は、当技術分野において既知の多数の方法によって導入することができ、好適なヌクレオチドが誤って取り込まれるような条件下で行なわれるPCR増幅法(REF)、縮重領域をもつプライマーを使用する増幅法(すなわち、ある塩基位置では、それぞれ異なるが、同じ反応において、それ以外では同じオリゴヌクレオチドが異なった塩基をもつ)、および化学合成などがあるが、これらに限定されない。多くの無作為変異誘発法が当技術分野において知られており(Del Rioら、Biotechniques、 17: 1132 [1994])、本発明に係る酵素の生産に取り入れることができる。本明細書に含まれる変異誘発法の具体的な方法についての考察は、単に一例として提示されているものに過ぎず、制限的なものではない。全体のタンパク質のある特定の領域だけを変異させるように無作為変異誘発を行なうとき、「指向的無作為変異誘発」と表現することができる。実験例に記載されているとおり、指向的無作為変異誘発法を適用して、その前に作成された酵素変異体のHhHおよびサム・ドメインを変異させた。本方法の実施例を提示するために、これらのドメインを選んだのであって、指向的無作為変異誘発を特定のドメイン、または一つのドメインに限定するものではない。本方法は、いかなるドメインまたはタンパク質全体にも適用することができる。このようにして改変されたタンパク質を、実施例1記載のスクリーニング反応において、図22および図24に図解した被検基質を用いて切断活性を試験した。結果を表6および表7に示す。
親であるTaqSSまたはTthDN H785A変異体を用いて、HhH領域に対して無作為変異誘発法を行なった。作成された8変異体のうちのいずれも、親酵素と較べて改善を示したものはなかった(表6)。実際、198〜205位の残基間の領域を変異させると、DNA基質およびRNA基質に対して約2〜5倍低い活性を示し、この領域が基質の認識にとって本質的な領域であることを示唆している。サム領域における変異誘発によって、5'ヌクレアーゼ活性が、DNA標的では20〜100%、RNA標的では約10%向上した新しい変異が得られた(表7)。
異なったサブドメインのそれぞれにおいて、多数のアミノ酸が、基質との接触において役割を果たす。これらの変異誘発は、基質結合を変えることによって基質特異性を変えることができる。さらに、基質に直接には接触しない核酸に導入された変異も、より長い範囲で、または一般的なコンフォメーション改変効果によって基質特異性を変えることもできる。これらの変異は、当技術分野において既知の方法である、無作為変異誘発法、部位特異的変異誘発法、およびキメラタンパク質作成法などであるが、これらに限定されない方法のいずれかによって導入することができる。
上記したように、無作為変異誘発させる多くの方法が当技術分野において知られている。本明細書記載の指向的無作為変異誘発法に適用できる方法を、全遺伝子に適用することができる。さらに別の有用なキメラ構築物を、分子育種法(例えば、米国特許第5,837,458号、ならびに国際公開公報第00/18906号、国際公開公報第99/65927号、国際公開公報第98/31837号、および国際公開公報第98/27230号を参照されたい。これらは、その全体が参照として本明細書に組み入れられる)を用いて作成することができる。選択した変異誘発法とは関係なく、本明細書記載の迅速スクリーニング法は、組換え分子の大集団の中で有益な変異を同定する迅速かつ効果的な方法を提供する。これによって、無作為変異誘発処理法が、有益な改良点をもつ改変5'ヌクレアーゼの大集団を作成するための扱いやすく実際的なツールになる。実施例として使用される酵素に対して用いるクロニーング法および変異誘発を行なうための方法を、他の熱安定性および非熱安定性のA型ポリメラーゼに適用することができる。なぜなら、これらの酵素間ではDNA配列の類似性が非常に高いからである。当業者は、配列の違いによって、例えば、キメラを作成するためには異なった制限エンドヌクレアーゼを使用することが必要になるなど、クロニーング法を変える必要がありうることを理解すると思われる。現存する選択的部位を選択することや、変異誘発によって選択的部位を導入することは、十分に確立した方法であり、当業者に既知である。
酵素の発現および精製をさまざまな分子生物学的方法によって行なうことができる。下記の実施例は、そのような方法の一つを教示する。しかし、本発明は、クロニーング、タンパク質発現、または精製する方法によって限定されるものでないことを理解すべきである。本発明は、核酸構築物を適当な宿主細胞の中で発現させうることを想定している。さまざまなプロモーターおよび3'配列を、遺伝子構造物に結合させて、効率的な発現を達成するために、遺伝子の数多くの方法を利用することができる。。
5)部位特異的変異誘発
本発明のいくつかの態様において、適当な技術(例えば、上記した技術の一つ以上のものであるが、これらに限定されない)のいずれかを用いて、異種性ドメインをもつ、改良された切断酵素(配列番号:221)を作成する。したがって、いくつかの態様において、部位特異的変異誘発法(例えば、トランスフォーマー部位特異的(Transformer Site Directed)変異誘発キット(クローンテック(Clonetech))など市販のキットを用いるプライマー特異的変異誘発法)を用いて、本発明に係る切断酵素をコードする核酸を生成させるために、核酸配列全体にわたって複数の変異を作出することができる。いくつかの態様において、複数のプライマー特異的変異誘発工程を並行して行なって、本発明に係る切断酵素をコードする核酸を作成することができる。
いくつかの態様において、複数のプライマー特異的変異誘発工程を、核酸配列の選択された部位に対して行ない、本発明に係る切断酵素の選択した部位に変異を作出する。別の態様において、選択された部位に変異をもつ核酸を、別の選択された部位に変異をもつ核酸と組換え(例えば、クロニーング、分子育種法、または、当技術分野において既知の他の組換え法のいずれかによって)、それによって、複数の選択された部位に変異をもち、本発明に係る切断酵素をコードする核酸を作出する。上記のいずれかの方法であって、部位特異的変異誘発法および無作為変異誘発法を含むが、これらに限定されない方法のいずれか、または、該方法を組み合わせた方法によって、選択された部位のそれぞれにおける変異を導入することができる。
例えば、本発明の例示的態様の一つにおいて、配列番号:104の核酸配列(配列番号:104の構築については、実施例7を参照のこと)に対して複数のプライマー特異的変異誘発を行なうことによって、配列番号:222の核酸配列(配列番号:221の切断酵素をコードする核酸配列)を作成する。いくつかの態様において、別個の変異誘発反応を用いて各変異を導入する。得られた核酸(配列番号:222)がすべての変異を含むよう、連続して反応を行なう。本発明の別の例示的態様において、上記したように、配列番号:111のヌクレアーゼ部位(例えば、図6に図解されている)に複数のプライマー特異的変異誘発を行なうことによって、配列番号:222の核酸配列を作成する。次に、実施例4記載の組換え法を用いて、変異ヌクレアーゼ部位を、配列番号:104の「ポリメラーゼ」部位にNotI部位にて結合させ、配列番号:222をもち、配列番号:221の切断酵素をコードする一個の核酸を作成する。変異誘発した後、結果的に得られる改変ポリペプチドを産生させて、適当なアッセイ法(例えば、実施例1および6に記載されている方法であるが、それらに限定されない)を用いて、切断活性を調べる。いくつかの態様においては、適当な方法を用いて、配列番号:221の切断酵素をコードする核酸配列(例えば、配列番号:222)をさらに改変する。
V. RNA標的のINVADERアッセイ法による検出反応の設計
RNA標的検出のINVADERアッセイ法の設計に関する方法は、特定のアッセイ法の要件に応じて変化する。例えば、ある態様においては、検出するもしくは解析するRNAは、被検試料中に低レベルで存在し、従って高感度(すなわち、検出限界もしくはLODが低い)であることが好ましい。他の態様においては、RNAは豊富に存在し、検出アッセイ法の感度が特に高い必要はない。ある態様においては、検出するRNAが試料中の検出を意図しない他のRNAと類似しており、アッセイ法が高選択性であることが好ましい。他の態様においては、単一反応で複数の類似したRNAが検出されることが好ましく、従ってこれらの類似したRNA間の差に関して選択性を示さないアッセイ法を提供する。
ある態様では、反応において標的RNA分子に関連したDNA分子を検出しないことが特に好ましい。ある態様においては、適切にスプライシングされたmRNAのみが選択された検出標的部位を提供するようなRNAスプライス部位(splice junction)に対するINVADERアッセイ用のプローブセットを設計することによって、これが達成される。他の態様においては、DNAが二重鎖のまま(例えば、核酸を加熱しない、または変性条件にしない)であり、従って、INVADERアッセイ反応において標的として働くことのないように試料を操作する。他の態様においては、核がインタクトな条件下で細胞を溶解することによって、アッセイ法による検出のために溶解液に細胞質mRNAを放出させるが、ゲノムDNAの検出を阻止、および防止する。
ある態様においては、INVADERアッセイ法を、配列(例えば、変異、SNP、特定のスプライス部位)に特定変異を含む全RNAの検出もしくは定量に利用する。このような態様においては、ハイブリダイズするINVADERアッセイ法のプローブ・セットに関する部位の選択において、検出する塩基もしくは配列位置が決定因子となる。他の態様においては、全RNAの有無もしくは量を示すために、RNA標的のいかなる部分を用いることもできる(例えば、遺伝子発現解析における場合のように)。この場合、プローブ・セットは、INVADERアッセイ法における標的としての最大性能が得られるように選択したRNAの部分を、標的とする(例えば、プローブ・ハイブリダイゼーションに関して特にアクセス可能であることが分かっている部位)。INVADERアッセイ法のプローブ設計に関する説明を、以下の節に分ける。
i.アクセス可能性に基づく標的部位の選択
ii. 選択性に基づく標的部位の選択
iii. オリゴヌクレオチド設計
a. 標的特異的領域: 長さおよび融解温度
b. 非相補領域
c. 折り畳みおよび二量体解析
iv. アッセイ性能の評価
v. 設計およびアッセイ法の最適化
i.アクセス可能性に基づく標的部位の選択
検出に関する部位の選択について考慮すべきは、アッセイ法のプローブ・セットのハイブリダイゼーションにおける標的部位の利用可能性である。効率的なハイブリダイゼーションを可能とするRNAの領域に関する予備知識なしに、与えられたRNA標的についてランダムに選択した相補的オリゴヌクレオチドを単純に利用することは、アプローチとしては非効果的なこともある。例えば、ランダムな設計に基づくアンチセンス・オリゴヌクレオチドを含む標的RNAによって試験した18〜20種から、遺伝子発現を有意に阻害するオリゴヌクレオチドが1種類得られると推定されている(Sczakiel, Fronteirs in Biosciences 5:194 [2000]; Patzelら、Nucleic Acids Res., 27:4328 [1999]; Peymanら、Biol. Chem. Hoppe-Seyler 367:195 [1995]; Moniaら、Nature Med., 2:668 [1996])。RNAの二次構造および三次構造は、RNAの標的領域に対するオリゴヌクレオチドの結合能に影響を与える主要な原因であると考えられている(Vickersら、Nucleic Acids Res., 28:1340 [2000]; Limaら、Biochemistry 31:12055 [1992]; Uhlenbeck, J. Mol. Biol., 65:25 [1972]; FreierおよびTinoco、Biochemistry 14:3310 [1975])。これは、RNAのいかなる構造モチーフをも切断し、代わりに相補的DNAオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするハイブリダイゼーションの動力学および熱力学によるものである(Patzelら、Nucleic Acids Res., 27:4328 [1999]; Mathewsら、RNA 5:1458 [1999])。従って、ハイブリダイゼーションに関して「アクセス可能な」RNAの領域を同定できれば、オリゴヌクレオチドの効果的な設計と選択にとって重要である。
RNAにおいて、アクセス可能な領域を同定するために利用可能な複数の実験的および理論的な方法がある。これらは、RNaseHフットプリンティング(Hoら、Nature Biotechnology 16:59 [1998]; Mateevaら、Nucleic Acids Res., 25:5010 [1997]; Mateevaら、Nature Biotechnology 16:1374 [1998])、オリゴヌクレオチド・ライブラリーの相補的アレイ(Southernら、Nucleic Acids Res., 22:1368 [1994]; MirおよびSouthern、Nature Biotechnology 17:788 [1999])、ランダム・ヘキサマーによる内部ガイド配列を含むリボザイム・ライブラリー(CampbellおよびCech、RNA 1:598 [1995]; Lanら、Science 280:1593 [1998])、ならびにRNAおよびDNA構造予測コンピューター・プログラム(Sczaldel, Frontiers in Biosciences 5:194 [2000]; Patzelら、Nucleic Acids Res., 27:4328 [1999]; Zuker, Science 244:48 [1989]; Waltonら、Biotechnol. Bioeng., 65:1 [1999])の利用を含む。最近、ハイブリダイゼーションに関して、RNA中のアクセス可能な部位を同定するためにプライマー伸長を利用した新しい方法が開発された。標的核酸(例えば、mRNA標的核酸)を、縮重配列の3'の領域を含む複数のプライマーと接触させ、プライマー伸長反応を実施する。標的核酸がRNA分子であれば、伸長反応に利用する好ましい酵素は、RNA鋳型のDNAコピーを生産する逆転写酵素である。標的核酸における折り畳み構造の有無は、伸長反応の開始および/もしくは効率に影響を与える。プライマーの伸長産物を解析して、アクセス可能な部位のマップを作製する。例えば、プライマーが、折り畳み構造に関係する配列と相補的であれば、特定の伸長産物が生じない。プライマーがハイブリダイゼーションできず、伸長産物の生産が起こらない標的核酸の領域は、アクセス不能な部位であると考えられる。対照的に、伸長産物があれば、標的核酸のアクセス可能な領域にプライマーが結合できたことを示す。本明細書においては、このような方法を、「ランダム・オリゴヌクレオチド・ライブラリーによる逆転写」もしくは「RT-ROL」と呼ぶ(HT Allawiら、RNA 7(2):314-27 [2001])。RT-ROLもしくはアレイ・ハイブリダイゼーション等の物理的測定の利用によって、RNA鎖上の部位におけるアクセス可能性の最も直接的な証拠が得られる。一般に、アクセス可能な領域に対するINVADERアッセイ法は、RNA鎖のアクセス可能性のより低い領域に対するアッセイ法よりも、与えられたRNAの量に対しより強いシグナルを生成する。まれなRNA(例えば、INVADERアッセイ反応当たり約5,000から10,000コピー未満)の検出に関しては、あるいは可能な限り最良の(すなわち、最も低い)検出限界が望まれるアッセイにおいては、RT-ROLもしくは別の物理的分析法を用いてRNA構造を解析することによってアッセイ法の設計を始めるのが有益である。
他の態様においては、LODの低いアッセイ法を構築することよりも、アッセイ法の設計が簡単であることのほうが、特に重要である。構造予測ソフトウェアを用いれば、RNAのどの部分が単一鎖となっており、プローブ・ハイブリダイゼーションに関してよりアクセス可能であるかを簡単に調べることができる。まず手始めに、検出するRNA配列を電子ファイルに入力する。これは、手作業で入力することもできるし、ファイル(例えば、配列データファイルもしくはワード・プロセッサー用のファイル)からインポートすることもできる。ある態様においては、該配列をGenBankまたはEMBL等のデータベースからダウンロードする。次に、mfold(Zucker, Science 244:48 [1989])、OligoWalk(Mathewsら、RNA 5:1458 [1999])およびそれら両方の変形(Sczakiel, Frontiers in Biosciences 5:194 [2000]; Patzelら、Nucleic Acids Res., 27:4328 [1999]; Waltonら、Biotechnol Bioeng., 65:1 [1999])等のプログラムを用いてRNA配列を解析することができる。
標的RNA構造の予測に関するmfold解析
mfold解析の出力を利用した複数の方法によって、RNA標的分子のアクセス可能な領域の同定を支援することができる。一態様においては、内部鎖の塩基対形成に対する関与が最も低い領域を同定するために、mfold プログラムを用いて、「SSカウント」ファイルを作製する。別の態様においては、mfold プログラムを用いて、「.ct」 ファイルを作製する。このファイルは、OligoWalk解析を実施する時に「RNAStructure3.5」で入力情報として利用する。好ましい態様においては、いずれかに利用する目的で、検出する配列をmfoldに入力する。好ましい態様においては、mfold解析で用いる設定としては、以下のようなものを含む。
・折り畳み温度:37℃(INVADER反応の実施温度が、これと同一温度でない場合でも)
・準至適%:5
・折り畳み数:50
・ウインドウ・パラメーター:既定
・対をなす塩基の最大距離:無制限
・バッチ折り畳みを選択する
・準備が終了した段階で、結果を送付するe-メール・アドレスを入力する
・解像度:高い
・構造フォーマット: 塩基
・塩基数頻度:既定
・構造の回転角:0
・構造に関するコメント: SSカウント
・1M NaCl(オーストラリアmfold インターネット・サイトのみ)
結果の準備が終了した時点で、結果に関するウェブ・アドレスを含むe-メールのメッセージを送付する。以降のINVADERアッセイ法のプローブの設計分析に必要なファイルはSSカウントファイルのみであり、次にこれを、結果を含むページからダウンロードする。ヒト・ユビキチンのGenBankエントリーコード(#4506712)を用いたmfold解析の例を下記に示す。
アクセス可能部位を同定するためのSSカウント分析
次に、エクセルのスプレッドシート・ファイルにSSカウント・ファイルをインポートして、以下の選択肢から選択を行う。データの種類= 区切< Nextを押す>; 区切=選択(x)スペース;(x)複数の区切りを一回の<Nextを押す>で処理する。データ・ファーマットのカラム=一般。これらの選択肢を選択することによって、エクセルの3カ所のデータ・カラムにインポートされる(図39)。第一のカラムの最初の行は、該パラメーターの下でmfoldが見つけ出す安定構造の総数である。ユビキチンの例では、12種類の構造が見いだされた。
第一のカラムの残りは、1から番号付けされたRNAヌクレオチドの位置である。第二のカラムは、生のSSカウント数であり、対応する塩基が二次構造の一部として存在する不対塩基の数を表す。第3のカラムは、解析したRNAの配列であり、番号付けした各位置の塩基を識別する。より少ない構造体(すなわち、カラム2でより多い数に対応するカラム3に示した塩基)に関連した塩基を調べることによって、内部鎖が不対塩基である確率がより高く、従って、INVADERアッセイ法を利用して検出ができる可能性の高いmRNA(カラム1における位置番号で識別される)の領域を同定することができる。
データの見方の一つとして、RNAの10ヌクレオチドからなる鎖(Ave(10) 指数)に関するランニング平均値SSカウントを算出し、塩基対位置(例えば、 図48を参照のこと)に対するAve(10)指数を図にする。
別のプロットとしては、mfoldによって見いだされる構造体の総数の割合(%)として表されるAve(10) 指数に対するヌクレオチド位置をグラフ化する(図39)。生のSSカウントの表では、Ave(10) 指数のより高いRNA領域は、予測折り畳み構造の数が少ないものに相関する。Ave(10)指数をチャートもしくはグラフにすることで、データの複雑度を低減でき、より長い非構造性である確率の高いRNA部分を見つけだすことができる。例えば、ユーザーは、ランニング平均値のグラフから、INVADERアッセイ法のプローブ設計に好適な領域の主なピーク面積をすべて取り出すことができる。このようにして、SSカウントの候補リストを作製する。ヒトのユビキチンの例では、主たるピークが1つ、それ以外のピーク約6つ見いだされる(図39)。
次の工程では、各ピーク面積内の生の(すなわち、ランニング平均値ではない)SSカウント・データに戻って参照し、ランニング平均値の値が変化する残基を同定する。これは、局所的 「ターン」 であり、一般的に、アッセイ法のプローブ・セットの切断部位に位置する良好な候補残基である。例えば、ヒト・ユビキチンでは、全体的にアクセス可能な領域内にある小さな局所的ターンに残基G119が 見いだされる(図40)。この位置に切断部位を有するINVADERアッセイ法のプローブ・セットは、このRNAの検出において良好な性能を示す。G114はより高い %Ave(10)値を有しているが、切断部位をG114に設定しも、検出がより良好となるものではなかった。本発明を特定の機構に限定することなく、また本発明の実施に機構の理解は不必要であるが、G119の位置に比較して、この領域のプローブまたはINVADERオリゴヌクレオチドに対するアクセス可能性がより低いことが、その原因である可能性が高い。
アクセス可能な部位の同定に関するRNAStructure3.5を利用したOligoWalk構造予測
ある態様においては、ソフトウェア 「RNAStructure」(Mathewsら、RNA 5:1458 [1999])のモジュールであるプログラムOligoWalkを利用して、オリゴヌクレオチド結合に関しアクセス可能性のより高い部位の選択を行う。OligoWalkでは、RNAの二次構造予測(Zucker, Science 244:48 [1989])のmfold に基づくアルゴリズムにおいて、RNAおよびDNA、ならびにそれらのハイブリッドに熱力学パラメーターのセットを利用する(AllawiおよびSantaLucia、Biochemistry 36:10581 [1997]; Mathewsら、J. Mol. Biol, 288:911 [1999]; Sugimotoら、Biochemistry 34:11211 [1995])。OligoWalkは、RNA標的もしくはアンチセンス・オリゴヌクレオチドにおいて、いかなる構造モチーフをも切断する熱力学を考慮することによって、アンチセンス・オリゴマーのRNAに対するハイブリダイゼーション全体の熱力学を推定し、アンチセンス・オリゴヌクレオチドの設計において最も好適なRNA標的の領域を予測する設計となっている。標的に対するオリゴマーの親和性は、自己構造化オリゴマーおよびオリゴマー-標的複合体に結合する標的の全ギッブス自由エネルギー変化として表される。この自由エネルギーは、通常、負の数であり、好適な結合を表し、「kcal/mol」単位で表現される。シグナル・プローブの検体特異的領域の長さにおける平均値と類似した8〜15塩基のオリゴヌクレオチド・サイズを用いてOligoWalk 解析を実施する。RNAの長さに対し全結合エネルギーをプロットし、グラフのピークと谷を得る。負の最小値は、一般的にオリゴヌクレオチドの結合に関して最も好適な部位を示す。最もアクセス不能な領域は、正の結合エネルギー値を有し、一般的にアッセイ法のプローブを設計するには好ましくない部位である。
好ましい態様においては、RNAStructure3.5のOligoWalkモジュールを用いて、以下の設定を用いた8塩基の OligoWalkを実施し、結合エネルギーを決定する。
・破壊的局所構造
・準至適構造を含む
・オリゴ長:8ヌクレオチド
・オリゴの濃度:100nM
・オリゴの種類:DNA
・全標的RNAのウオークを実施
これらのパラメーターをセットしたら、折り畳み(mfoldの「.ct」 出力ファイル)を行う配列のファイルを選択し開く。配列の折り畳みを実施すれば、出力メニューを用いて報告書を作製することができる。報告書をエクセルにインポートし、上記で作製したデータをプロットする。好ましい態様においては、OligoWalk データを、SSカウント・データと共にグラフ化する。自由エネルギー最小値(すなわち、負の最大数)を示す領域は、通常、ハイブリダイゼーションに関してアクセス可能である可能性が高い。好ましい態様においては、プローブ・オリゴヌクレオチドの3'末端および標的結合領域の大部分は標的RNAのアクセス可能な領域に相補する。特に好ましい態様においては、対応するINVADERオリゴヌクレオチドに関する結合部位の大部分は、同一のアクセス可能な領域に存在する。別の好ましい態様においては、INVADERオリゴヌクレオチドに関する結合部位は、近傍のアクセス可能な領域に存在する。
通常、アクセス可能性のより低い部位にINVADERオリゴヌクレオチドが結合する位置に設定できる。本発明を特定の機構に限定することなく、一般的に、INVADERオリゴヌクレオチドは、INVADERアッセイ反応で用いるプローブ・オリゴヌクレオチドよりも長いことが知られている。なぜならば、通常、反応温度で標的に結合したままの状態を保つように設計し、対応するプローブよりも、約12〜15℃高いTmを有するように選択するためである。従って、INVADERオリゴヌクレオチドは、局所的標的構造をより容易に切断するため、標的結合部位のアクセス可能性に対する依存性がより低くなる。
INVADERアッセイ法のオリゴヌクレオチドを設計するために、アクセス可能な部位から選択を行う場合には、該部位の塩基組成も考慮する。アッセイ・オリゴヌクレオチドに関する結合部位のいずれかの部位において、一列に同一のヌクレオチドの繰り返しが4もしくは5ヌクレオチドを超えるもの(例えば、...AAAA...または...CCCC...) は、アッセイ法におけるプローブ・セットの性能を低下させる(例えば、バックグラウンドを増加させる、もしくは特異性を低下させることによって)ことが知られている。従って、好ましい態様においては、通常、4塩基あるいはそれ以上の繰り返しを含むものをさける。プローブ・セットにおけるオリゴヌクレオチドの長さに対する塩基組成の影響についても考慮する。多くの場合、ATに富んだ配列を標的とする場合には、与えられた温度で反応させるときに、A-TおよびG-C塩基の分布がより均一である配列を標的とするオリゴヌクレオチドの長さと比較して、より長いオリゴヌクレオチドを用いる必要がある。より長いオリゴヌクレオチドは、内部鎖構造および二量体構造を形成する傾向がある。従って、検出領域が可能であれば、標的領域のA-T塩基およびG-C塩基の分布がほぼ同一である(すなわち、約50%のG-C含量)ことが好ましい。特に好ましい態様においては、結合部位を通じて、A-TおよびG-Cの位置分布が均一に分布する(例えば、半分がすべてA-Tで、残りの半分が全部G-Cであるというようなことがないもの)。
ii.選択性に基づく標的部位の選択
ある態様においては、相同の高いもしくは密接に関連したRNA標的(すなわち、配列が非常に類似した標的)を調べためにプローブ・セットを設計する。このような態様においては、例えば、MEGALIGN(DNAstar Madison, WI)等の並列化プログラムを用いて、RNAもしくは相同なcDNA配列を比較する。
ある態様においては、スプライス部位を検出するプローブ・セットを設計することによって選択性が得られる。NCBIのウェブ・サイト(BLAST2配列)でBLASTメニューを利用した並列化プログラム(例えば、 MEGALIGN)を用いて、cDNAと遺伝子配列を並列化することによってスプライス部位を同定することができる。また、スプライス部位は、GenBankの報告(イントロン/エクソン部位)にリストされていることも多い。プローブおよびINVADERオリゴヌクレオチドがコード鎖(mRNA)に相補的であり、通常、切断部位ができる限るスプライス部位に近くなるように、INVADERアッセイ法のオリゴヌクレオチド・セットを設計する。ある態様においては、mRNA内の異なるスプライス部位のアクセス可能性を、上記のようにして解析する。好ましい態様においては、プローブ・セットを設計して、同一RNA標的内の他のスプライス部位のアクセス可能性と比較してアクセス可能性がより高い一カ所以上のスプライス部位を検出する。
標的RNAに関連したRNAの検出を排除する設計の態様においては、標的を区別する他の類似した配列と比較して標的RNAに独特な塩基を同定する目的で配列を検討する。通常、特有な塩基は、プローブ・オリゴヌクレオチドの標的特異的領域の5'末端にハイブリダイズするように配置する。ある態様においては、二つの隣接する塩基が、関連したRNAと比較して標的に独特である。標的RNAの適当にアクセス可能な部分に、二つの特有な塩基が隣接して存在すれば、プローブおよびINVADERオリゴヌクレオチド・セットを設計する周囲の部位にこれらの塩基を利用することが好ましい。ある態様においては、プローブとの間に形成される二つの塩基対間にプローブの切断部位が存在するように、これら二つの特有な塩基を配置する。他の態様においては、特有な塩基の一方が、INVADERオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション部位の最後部に存在する(すなわち、INVADERオリゴヌクレオチド の3'末端の最後から2番目の残基と塩基対形成する位置)。
ある態様においては、標的RNAと類似しているが同一ではないRNAの検出を、アッセイが含むように設計する。アッセイが包括的検出を行うように設計されている場合には、比較する配列を調べて、完全な相同性を有する部位を同定する。同一種もしくは種間で相同な配列を検出する目的でこのような設計を行うことができる。通常、プローブ・オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション標的として、最も相同な領域を選択する。通常、ある程度の変異は許容され得る。例えば、それが、プローブの標的特異的領域の5'末端にハイブリダイズする塩基でない場合が該当する。ある態様においては、INVADERアッセイ法のオリゴヌクレオチドにおいて縮重した塩基の利用によって、変異が生じる(例えば、合成プローブ、INVADERおよび/もしくはスタッカー・オリゴヌクレオチド内の位置に塩基の混合物を用い、該混合物が、関連する標的RNAの集合に存在する特異的塩基の混合物を相補するように選択する)。
iii.オリゴヌクレオチド設計
a.標的特異的領域: 長さおよび融解温度
オリゴヌクレオチドの設計に関して上記の節I(a)に記載したように、ある態様においては、検体特異的領域の長さは、反応を実施する温度によって決まる。所望の位置(例えば、標的RNAにおける変異の位置もしくはスプライス部位、またはOligoWalk解析において自由エネルギーの値が低い部位)から出発して、算出した至適反応温度(Tmプラス酵素および他の反応条件効果を補償する塩の補正分)が所望の反応温度に一致するまで、ASRの長さを1塩基対ずつ増加させる反復法を用いる。通常、スタッキング・オリゴヌクレオチドを用いない場合には、算出したTmが約60℃であり、スタッキング・オリゴヌクレオチドを用いた場合には(スタッキング・オリゴヌクレオチドは、通常、隣接するプローブオリゴヌクレオチドのTmを約5〜15℃上昇させる)、Tmが約50〜55℃であるASRとなるように、プローブを選択する。変異もしくはスプライス部位の位置が出発点となる場合には、プローブの3'末端に付加する。あるいは、プローブの3'末端が最もアクセス可能な部位に位置する場合には、5'方向に付加する。スタッカー・オリゴヌクレオチドを用いる態様においては、スタッカー・オリゴヌクレオチドの5'塩基に対し安定なスタッキング相互作用をするインターフェイスを有する3'塩基を含むようにプローブを設計することが好ましい。同軸スタッキングの安定性は、スタッキング塩基の同一性に大きく依存する。全体的には、同軸スタッキングの定性の傾向は、以下の順に従って減少する:
Figure 0005661071
スタッカーを利用する他の態様においては、安定性のより低いスタッキング相互作用が好ましい。このような場合には、プローブの3'塩基および/もしくはスタッカーの5'塩基を、スタッキング相互作用がより不安定になるように選択する。ある態様においては、プローブの3'塩基および/もしくはスタッカーの5'塩基を、標的鎖に関してミスマッチを有し、スタッキング相互作用の強度を低下させるように選択する。
INVADERオリゴヌクレオチドの設計にも、同一原理を用いる。簡単に説明すると、N位から出発して、次に、INVADER-標的ハイブリッドの安定性がプローブのそれを上回る(および、従って、計画したアッセイ反応温度)まで、残基N-1から開始する標的RNAに相補的な付加的残基を上流方向に付加する。好ましい態様においては、INVADER-標的ハイブリッドの安定性は、プローブのそれを12〜15℃上回る。通常、75℃に近いTmとなるようにINVADERオリゴヌクレオチドを選択する。INVADERCREATOR(Third Wave Technologies, Madison, WI)もしくはオリゴヌクレオチド5.0等のソフトウェアを利用して、このような計算の支援を行うこともできる。
スタッキング・オリゴヌクレオチドを用いる場合には、類似した設計原理を利用する。通常、プローブ・オリゴヌクレオチドの3'末端に隣接した部位でハイブリダイズし、形成したスタッカー/標的ヘリックスが、プローブ/標的ヘリックスと同軸的にスタック可能に、スタッキング・オリゴヌクレオチドを設計する。天然の塩基を用いた場合の計算において算出したTmが約60〜65℃となるように、配列を選択する。しかしながら、通常、2'-O-メチル・ヌクレオチドのみを用いてスタッキング・オリゴヌクレオチドを合成し、従って、75℃に近い実際のTmに関しては、実際のTmは算出したものより塩基当たり約0.8℃高くなる。
ある態様においては、第二の反応にARRESTORオリゴヌクレオチドを含む。第一のプローブと第二の標的鎖間の相互作用を排除する目的で、第二の反応において第一の反応に由来する残存非切断プローブを隔離するために、ARRESTORオリゴヌクレオチドを利用する。ARRESTORオリゴヌクレオチドは、通常、2'-O-メチル化されており、個々のプローブの標的特異的領域すべてに対し本質的に相補的である部分、およびプローブのフラップ領域(例えば、+1塩基からアームの5'末端方向へカウントした6ヌクレオチド)の少なくとも一部と相補的である部分を含む。
b.非相補領域
プローブの5'アームの選択
プローブの非相補的アームが存在する場合には、これを好適に選択し(上記の方法による反復工程で)、第二の反応を特定の反応温度で実施することができる。第二の反応においては、第二のプローブは通常繰り返し利用され、切断した5'アーム(INVADERオリゴヌクレオチドとして働く)を第二の標的鎖に安定に結合させることが必要である。
INVADERオリゴヌクレオチドの3'末端のミスマッチの選択
好ましい態様においては、INVADERオリゴヌクレオチドの3'塩基は、標的鎖と相補的ではなく、以下の優先順位(INVADERオリゴヌクレオチド3'塩基/標的塩基としてリストしてある)で選択する。
標的中のC:C/C>A/C>T/C>G/C
標的中のA:A/A>C/A>G/A>T/A
標的中のG:A/G>G/G>T/G>C/G
標的中のU:C/U>A/U>T/U>G/U
c.折り畳みおよび二量体解析
ある態様においては、標的RNAの非存在下における分子間および内部分子の可能な構造形成に関して、INVADERアッセイ法に利用するオリゴヌクレオチドを検討する。通常、これは、予測される分子間および内部分子の相互作用が少ないプローブのアッセイ法にとって好ましい。ある態様においては、このような解析に、プログラム OLIGO(例えば、 OLIGO 5.0, Molecular Biology Insights, Inc., Cascade, CO)を利用する。他の態様においては、解析にプログラム mfold を利用する。さらに別の態様においては、二量体解析にRNAStructureプログラムを利用することができる。次の節では、INVADERアッセイ法のオリゴヌクレオチドの解析に関するこれらのプログラムの使用について、順次説明を行う。
プローブ構造および相互作用の予測に関するOLIGO 5.0 解析
OLIGO 5.0を用いたINVADERオリゴヌクレオチドの解析は、以下の工程を含む。メニューの選択はすべて、大文字で示す。
1.OLIGO 5.0 を開始して、解析する個々のmRNAに関する配列ファイルを開く。以下の選択からなるメニューを用いて行う。
・FILE->NEWを選択
・利用可能な最長の配列をペーストする
・ACCEPT & QUIT(F6)を選択
2.プログラムの設定を既定値にする
FILE->RESET->ORIGINAL DEFAULTSを選択
3.プローブ・オリヌクレオチドを同定する
・16ヌクレオチド程度のOLIGO LENGTHを選択する(ctrl-L キーを用いてこの選択肢メニューを開く)。
・3'末端が切断部位の候補残基のところに来るまで、Current Oligoの5'末端を示すカーソルを動かす。
・二量体およびヘアピン形成の程度を大まかに決定するために、ANALYSE->DUPLEX FORMATION->CURRENT OLIGO(ctrl-D)を選択。
・検査領域の長さが所望の反応温度に対応することを確認する(例えば、 発明の詳細な説明のI(c)、反応条件の最適化に記載の方法によるTmの計算を利用することによる)。
・OLIGO 5.0「LOWER」のボタンを選択して、アンチセンス配列をコピーする(これは、実際のプローブ・オリゴヌクレオチドの検体特異的領域となり、RNA鎖に対してアンチセンスである)。
・データベース・ファイルへのインポート。
・コンピューター・メモリに保存する。
4.INVADERオリゴヌクレオチドを同定する
・工程3で同定したプローブ・オリゴヌクレオチドに隣接する配列を選択する。
・OLIGO LENGTHに関して、約24 ヌクレオチドを選択する。
・検査領域の長さが所望の反応温度に対応することを確認する(例えば、発明の詳細な説明のI(c)、反応条件の最適化に記載の方法によるTmの計算を利用することにより、INVADERオリゴヌクレオチドについては約75℃である)。OLIGO 5.0「LOWER」のボタンを選択して、対応するアンチセンス配列(これは、実際のINVADERオリゴヌクレオチドの検体特異的領域である)をコピーする。
・データベース・ファイルへのインポート。
・コンピューター・メモリに保存する。
5.切断したアーム配列の付加と INVADERオリゴヌクレオチドのミスマッチ配列
・上流プライマーとしてのプローブ・オリゴヌクレオチドをエクスポートする。
・下流プライマーとしてのINVADERオリゴヌクレオチドをエクスポートする。
・候補アーム配列(例えば、上記のようにして選択したもの)を付加するために、EDIT UPPER PRIMER を実行する。
・アーム配列が新たな二次構造(上記のようにして解析したもの)を形成しないことを確認する。
・切断部位(上記に示したこのミスマッチ塩基に関する指針に従い選択したもの)に重複する3'ミスマッチのヌクレオチドに付加するために、EDIT LOWER PRIMERを実行する。
・「印刷/保存の選択肢」のボックスにおいて、上流プライマーおよび下流プライマーをすべて選択する。
・上流(プローブ)および下流(INVADER) オリゴヌクレオチドの PRINT ANALYSIS、ならびに安定な二次構造を欠いていることを確認する。
・プログラムを停止する前に、mRNA 配列およびオリゴヌクレオチド配列のデータベース・ファイルの両方を保存する。
通常、-6ΔGよりも安定性の低い、分子内部形成を有することが検出されたオリゴヌクレオチドが好ましい。安定性のより低い構造は、CLEAVASE酵素の基質となりづらいので、このような構造の切断はバックグラウンド・シグナルに寄与する可能性は低い。親和性が互いに低いプローブおよびINVADERオリゴヌクレオチドは、標的への結合により利用可能であり、最高のサイクリング効率が得られる。
二量体化プローブ(すなわち、プローブ分子が別のプローブ分子とハイブリダイズしたプローブ)のTmは、標的とハイブリダイズしたプローブのTmよりも理想的に低く、INVADERアッセイ反応を通常実施する高い温度でプローブが選択的に標的配列にハイブリダイズすることができる。同様に、自身もしくはプローブ分子にハイブリダイズした INVADERオリゴヌクレオチドのTmは、INVADERオリゴヌクレオチド/標的のTmよりも低くなくてはならない。二量体のTm(すなわち、プローブ/プローブおよびプローブ/INVADERオリゴヌクレオチド)は25℃もしくはそれ以下であり、予定の反応温度で形成する確率を低下させることが好ましい。
これらの複合体のそれぞれに関する融解温度は、上記の発明の詳細な説明のI(c)の反応条件の最適化に記載の方法、あるいはOLIGOソフトウェアを用いて決定することができる。上記に概説した工程に従いRNAの部位およびINVADERアッセイ法のオリゴヌクレオチド・セットの候補を複数選択した後、好ましい選択規則に応じた程度、例えば、SSカウントの平均値プロット(ピーク、谷、それ以外)における位置、ならびにプローブおよびINVADERオリゴヌクレオチド相互作用のエネルギー予測に従い、候補オリゴヌクレオチド・セットのランク付けを実施することができる。ある態様においては、該ランク付けしたプローブ・セットを、ランクの順に試験し、RNA INVADERアッセイにおいて好適な性能を有する1つあるいは複数のセットを同定する。他の態様においては、複数の上位ランクのセット(例えば、2つ、3つもしくはそれ以上)を選択して試験し、好適なもしくは所望の性能を有する1つまたは複数のセットを迅速に同定する。
プローブ構造 Mfold 解析と相互作用予測
プローブの解析とINVADERオリゴヌクレオチドの相互作用は、マイケル・ズーカー(Michael Zuker)によるDNAのmfoldを用いて実施することができる。mfoldは、Rensselaer Polytechnic Instituteのbioinfo.math.rpi.edu/〜mfold/dna/forml.cgiから入手可能である。既定のイオン条件は変えず、温度を37℃に選択し、%準至適設定を75に設定して、解析を実施する。プログラムを用いて各配列(例えば、プローブ、 INVADERオリゴヌクレオチド、スタッカー等)の折り畳みを行い、単分子構造の形成(例えば、ヘアピン)の確認を実施する。mfoldによって算出された単分子構造に関するエネルギーは、さらに計算をすることなくそのまま利用することができる。
オリゴヌクレオチド配列(5'から3')に続けて、小型の安定なヘアピンを形成する配列
Figure 0005661071
、さらに続けて、同一のオリゴヌクレオチド配列、再び5'から3'を入力することによって、与えられたオリゴヌクレオチドの2分子構造形成を評価する。これらのTが一本鎖のままであり、このスペーサーにおけるCとGの並びが塩基対を形成するために必要な束縛値を入力する。強制的に塩基対を形成させるためには、コマンド「F」を利用し、塩基対の形成を禁止するためにはコマンド「P」を用いる。塩基対の強制もしくは禁止の位置は5'末端からカウントする。例えば、目的の配列が20量体であれば、以下を入力する。
F 21 0 5 {これによって、C21からC25までのCが塩基対を作る}
P 26 0 4 {これによって、T26からT29までのTが一本鎖を作る}
F 30 0 5 {これによって、G30からG34までのGが塩基対を作る}
得られた構造を調べ、総計(すなわち、可能な構造熱力学値 = mfold構造熱力学値 − コア・ヘアピンの熱力学値)から中央のスペーサー・ヘアピンの安定性(すなわち、熱力学的測定値)を減ずることで、個々の安定性を推定することができる。ある態様においては、試験配列によって中央のヘアピンと形成した二量体間の最近隣間相互作用は、便宜上、本計算において無視する。さらに正確な解析には、この相互作用を考慮することが必要となる。
Figure 0005661071
によって形成したコア・ヘアピンは、以下の熱力学量を有する:
ΔG=-5.3;ΔH=-37.8;ΔS=-104.8。
以下のプローブ配列を用いて、この過程を示す。
Figure 0005661071
該オリゴヌクレオチド配列の2分子構造は、以下の工程を用いてmfold解析で検討する。
1.ボックス型mfold 配列において:
Figure 0005661071
2.束縛性のボックス型において:
P 36 0 4
F 31 0 5
F 40 0 5
結果(1つを示す):
Figure 0005661071
二重鎖安定性を評価するために:
Figure 0005661071
ヘアピン単独の熱力学的値を、完成した構造に関する値から減じる:
Figure 0005661071
Tm(℃)= {ΔH / [ΔS + R ln(CT/4)]} − 273.15であり、Rがガス定数1.987(cal/Kmol)、lnが自然対数、およびCTが一本鎖の総モル濃度である。この計算式を用いた場合には、該構造の非ヘアピン部分Tmの計算値は46.1℃である。
上記の方法はコア・ヘアピン配列
Figure 0005661071
に対してのみ限定して利用されるものではなく、いずれの安定なヘアピン配列にも利用しうる。例えば、
Figure 0005661071
しかしながら、異なるヘアピン配列を用いた場合には、mfoldを用いてその安定性を算出する必要があり、その熱力学量を以降の計算で利用する必要がある。
オリゴヌクレオチドの相互作用予測のためのRNAStructure
RNAStructureプログラムを用いることによっても、二量体形成を評価することができる。 mfoldとは異なり、RNAStructureでは、可能な総てのオリゴヌクレオチド-オリゴヌクレオチド相互作用を計算することが可能であり、出力 .ct ファイルを提供する。次に、RNAStructureまたはRNAvis(1997, P. Rijk, University of Antwerp(UIA)、インターネット上ではrma.uia.ac.be/rnavisで利用可能である)等の.ct閲覧プログラムを用いて構造を可視化し、最近隣モデル(Borerら、1974)およびDNA最近隣パラメーター(Allawi & SantaLucia, 1997)を用いて二量体形成の安定性を評価する。
例えば、配列
Figure 0005661071
の性質を評価するために、二量体形成に関する「RNAStructure」のDNAフォールド・インターモレキュラー・モジュールを用いて、該配列をファイル(例えば、プローブ配列)に保存し、以下のパラメーターを設定する:
配列ファイル1:probe.seq
配列ファイル2:probe.seq
CTファイル:dimer.ct
最大%エネルギー差:50
最大構造数:20
ウインドウサイズ:変化させず
計算終了後、RNAStructureの「view」モジュールを用いて、得られた .ct ファイルを見ることができる。通常、該.ct ファイルには複数の構造が含まれる。「view」モジュールを用いて、個々のものを閲覧する。上記のように、RNAStructureに従い試験配列が形成しうる二量体の1つを以下に示す:
Figure 0005661071
最近隣モデル(すなわち、DNA最近隣およびミスマッチ・パラメーター [Allawi & SantaLucia, 1997]を用いる)に従い、1MのNaClおよび100μMのプローブ濃度におけるこの二重鎖の安定性は、
Figure 0005661071
である。
配列ファイル1および2を入れ替えることによって、RNAStructureを用いて、INVADERアッセイ反応に存在する総てのDNAオリゴヌクレオチド対の間における二量体形成の可能性を評価することができる。
iv.アッセイ性能の評価
上記の指針に従い選択したプローブ・セットを、INVADERアッセイ法で試験し、その性能を評価することができる。特定の所望の反応温度もしくはその付近の温度で実施するようにオリゴヌクレオチドを設計するが、与えられた設計において最高の性能が、正確に目的の温度で得られないこともある。従って、新しいINVADERアッセイ法のプローブ・セットを評価する場合には、設計温度を中心として約10から15℃の範囲にわたって複数の異なる反応温度でINVADERアッセイ法の性能を調べることが有益である。便宜上、一定量のRNA(例えば、反応当たり2.5アトモルのインビトロ転写産物)および一定時間(例えば、第一および第二の反応それぞれについて1時間)を用いて温度勾配サーマル・サイクラーで、温度の最適化を実施することができる。温度勾配試験によって、設計したプローブ・セットが最高の性能を発揮する(例えば、バックグラウンド・シグナルと比較した最高レベルの標的特異的シグナルは、通常、複数のゼロ標的バックグラウンド・シグナルもしくは「折り畳みゼロ」と表現する)温度が明らかになる。
結果を検討して、測定した最適温度が操作における設定温度にどのくらい近いかを調べることができる。ある態様においては、前もって選択した温度もしくはそれに近い温度で働くプローブ・セットを含むことが好ましい。測定した最適温度が所望の反応温度より高い場合には、プローブ/標的のTmを減少させ得る方法(例えば、一塩基以上短くする、あるいは一塩基以上ミスマッチ塩基を含むように改変する)で、プローブの設計を変えることができる。スタッカー・オリゴヌクレオチドを利用せず、反応温度が所望の反応温度と比較して、その差が7℃を超える場合であって、性能(例えば、折り畳みゼロ)が許容可能である態様においては、プローブ・オリゴヌクレオチドに3'ミスマッチを用いることによって、アッセイ法の性能を変化させることなく反応温度の低下が可能となる。
異なる量の標的RNA(例えば、既知濃度の対照RNAのインビトロ転写産物)で反応を実施することによって、LODを決定できる。好ましい態様においては、設計したアッセイにおいてLODは0.05アトモル未満である。特に好ましい態様においては、設計したアッセイにおいてLODは0.01アトモル未満である。設計したアッセイ法のLODを低下させることに関する上記の指針と同一指針を利用して、設計したアッセイ法のLODを上昇させることができる(すなわち、標的RNAの存在により感受性の低くするために)。例えば、同一反応中で豊富なRNAおよびまれなRNAを検出することが好ましいこともある。このような反応では、豊富なRNAに関して生成するシグナルを減弱させ、まれな種に由来するシグナルより強くならないようにすることが好ましい。ある態様においては、シグナルの生成を低下させる(例えば、少なくとも0.5アトモル(これ未満ではない)のLOD)プローブ・セットを設計することによって、これを達成できる。ある態様においては、単一工程の INVADERアッセイ法を用いて、試料中の豊富な標的を検出し、同一試料中の豊富ではない検体に関しては、節IIに記載の方法でシグナルを増幅する連続的なINVADER反応を用いる。好ましい態様においては、異なる検体に関して単一工程および連続的なINVADERアッセイ反応を単一反応で実施する。
ある態様においては、既知量の標的に関するシグナルの蓄積を、異なる長さの時間反応させて測定する時間経過反応を実施する。この測定によって、直線的範囲、すなわち、時間および標的RNAの出発レベルに関する与えられたアッセイ法の設計を用いて正確な定量的測定が可能な範囲を得ることができる。
v.設計およびアッセイ法の最適化
設計したアッセイが上記の好ましい性能の基準を満たさない場合もある。INVADERアッセイ反応における性能の複数の変数について、本明細書に記載する。RNA標的の検出に関するINVADERアッセイ法の性能を最適化する場合には、これら変数を単独もしくは組み合わせて用いることができる。例えば、ある態様においては、スタッカー・オリゴヌクレオチドを用いる。本発明を特定の作用機構に限定することなく、ある態様においては、プローブもしくはINVADERオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの性質(例えば、Tm)を変化させることによって、スタッカー・オリゴヌクレオチドはアッセイ性能を改善することができる。ある態様においては、より短いプローブの利用を可能とすることによって、スタッカー・オリゴヌクレオチドが性能の改善に寄与する。他の態様においては、標的核酸の折り畳み構造を変化させることによって、スタッカー・オリゴヌクレオチドが性能の改善に寄与する。さらに別の態様においては、スタッカー・オリゴヌクレオチドの活性の促進は、これらの機構およびその他の機構を組み合わせて含むことができる。
他の態様においては、標的部位を移動させることができる。ある態様においては、アクセス可能であることが疑われる部位に沿ってシフトする複数のプローブ・セットを試験することによって反応を最適化する。好ましい態様においては、このようなプローブ・セットは、アクセス可能な部位に沿って1〜2塩基増加シフトさせる。アクセス可能な部位があらかじめコンピューター解析によってのみ予測されている場合の態様においては、アクセス可能な部位の物理的検出を利用して、プローブ・セットの設計を最適化する。好ましい態様においてはアクセス可能な部位を検出するRT-ROL法を用いる。ある態様においては、プローブ・セットの設計に関する最適化には、標的部位を新たに同定したアクセス可能な部位にシフトさせることが必要である。
例えば、アクセス可能な部位は同定されているが、プローブ・セットの性能が低い態様においては、プローブの5'アームの設計を変化させることによって、標的とする部位を変化させることなくアッセイ性能を改善することができる。他の態様においては、ARRESTORオリゴヌクレオチドの長さを変化させる(例えば、プローブの5'アーム領域と相補的な部分の長さを増加させる)ことによって、バックグラウンド・シグナルを減少させ、プローブ・セットの性能を高めることができる。
オリゴヌクレオチド設計における他の変数を利用してアッセイ法の性能を変化させることもできる。ある種の改変を行い、プローブ・セットの設計の理想的操作温度を好ましい温度範囲へシフトさせることもできる。例えば、より短いオリゴヌクレオチドの利用とミスマッチの導入は、通常Tmを低下させ、設計したオリゴヌクレオチドの理想的操作温度を低下させる。逆に、より長いオリゴヌクレオチドの利用とスタッキング・オリゴヌクレオチドの使用は、通常、Tmを増加させ、設計したオリゴヌクレオチドの理想的操作温度を増加させる。
他の変数を用いて、アッセイ法におけるオリゴヌクレオチドの性能における他の局面を変化させることもできる。例えば、塩基類似体もしくは修飾塩基の利用によって、オリゴヌクレオチドの酵素認識を変化させることができる。ある態様においては、このような修飾塩基を用いて、ヌクレアーゼによる切断からオリゴヌクレオチドのある領域を保護することもできる。他の態様においては、修飾塩基の利用は、切断位置にはないオリゴヌクレオチドの切断構造構成能に影響し得る(例えば、プローブの切断を可能にするINVADERオリゴヌクレオチドとして作用する)。これらの修飾塩基は、「ブロッカー」または「ブロッキング」修飾と呼ばれる。ある態様においては、アッセイ・オリゴヌクレオチドは2'-O-メチル修飾を含む。他の態様においては、アッセイ・オリゴヌクレオチド は、3'末端修飾(例えば、NH2、3'ヘキサノール、3'リン酸、3'ビオチン)を含む。
さらに別の態様においては、反応成分を変化させることによって、アッセイ法の性能に影響を与えることができる。例えば、オリゴヌクレオチドの濃度を変える。オリゴヌクレオチドの濃度は、反応の複数の局面に影響を与え得る。複合体の融解温度が、部分的に複合体成分の濃度の関数であるため、オリゴヌクレオチド成分の濃度変動を、反応最適化の一局面として用いることができる。本発明の方法においては、ARRESTORオリゴヌクレオチドを用いて、INVADERアッセイ反応における第一のプローブ・オリゴヌクレオチドの利用度を調節することができる。ある態様においては、ARRESTORオリゴヌクレオチドを排除することもできる。酵素濃度、塩および二価イオン濃度および二価イオンの種類を含む他の反応成分を変化させることもできる。
VI. RNA INVADERアッセイ法を実施するためのキット
ある態様においては、本発明は、本発明を実施するために必要な成分のうちの1つ以上を含むキットを提供する。例えば、本発明は、切断アッセイ法を実施するのに必要な本発明の酵素および/または反応成分を保存、または配送する(例えば、INVADERアッセイ)キットを提供する。該キットは、酵素もしくはアッセイ法に必要なもしくは所望のいずれかの構成要素、またはそれら総てを含むことができる。このような要素としては、試薬自体、緩衝液、対照試薬(例えば、組織試料、陽性および陰性対照としての標的オリゴヌクレオチド等)、固体支持体、ラベル、文字および/もしくは絵による説明書、ならびに製品情報、阻害剤、標識および/もしくは検出試薬、包装に係わる環境調節材(例えば、氷、乾燥剤等)等が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。ある態様においては、キットは、必要な構成要素のサブセットを提供するが、残りの構成要素はユーザーが供給する仕様となっている。ある態様においては、該キットは、各容器が納品する構成要素のサブセットを含む2種類以上の異なる容器を含む。例えば、第一の容器(例えば、箱)は、酵素(例えば、好適な保存用緩衝液および容器に入った構造特異的な切断酵素)を含み、第二の箱はオリゴヌクレオチド(例えば、INVADERオリゴヌクレオチド、プローブ・オリゴヌクレオチド、対照標的オリゴヌクレオチド等)を含む。ある態様においては、1種類以上の反応成分は、予め分注した形態(すなわち、再測定もしくは再分注の必要のない方法の一工程で使用する目的で予め測定済みのもの)で提供される。ある態様においては、選択した反応成分を混合し、予め一緒に分注する。好ましい態様においては、予め分注した反応成分は、予め分注されて、反応容器(反応チューブもしくは、例えば、マイクロタイタープレートのウェルが挙げられるがこれらのみに限定されない)に入った形態で提供される。特に好ましい態様においては、予め分注した反応成分を反応容器の底に乾燥させる(例えば、乾燥もしくは凍結乾燥)。
さらに、ある態様においては、本発明は、キットもしくは試薬を、本発明の方法の用途に関する顧客に納品する方法を提供する。本発明の方法は、特定のグループの顧客に限定するものではない。実際、本発明の方法は、生物学的および医学的コミュニティの多くのセクターにおける顧客にキットもしくは試薬を提供する用途がある。このような顧客としては、学術的研究室の顧客、バイオテクノロジーおよび医学的産業の顧客、ならびに政府の研究室の顧客が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。本発明の方法は、キットもしくは試薬を顧客に提供する、マーケティング、販売、配送および学術(これらのみに限定されない)を含むすべての局面に関して提供を行うものである。
本発明のある態様においては、キットもしくは試薬を顧客に納品する前に、品質管理(QC)および/または品質保証(QA)に関する実験を実施する。このようなQCおよびQAの技術は、通常、産業的利用に類似した実験における試薬の試験を含む(例えば、本明細書に記載のものと類似したアッセイ法を用いる)。試験は、製品の保持期限と広い範囲の溶液および/もしくは反応条件(例えば、温度、pH、光等)に対する耐性能を調べる実験を含むこともある。
本発明のある態様においては、販売前に、本発明の組成物および/もしくは方法は、顧客に開示および/もしくは示される(例えば、印刷物もしくはウェブサイトによる広告、デモ等)その際、本発明の用途あるいは機能もしくは本発明の成分を示す。しかしながら、ある態様においては、販売されている製品に含まれる1種もしくは複数の成分の含有もしくは使用については、顧客に告知しない。このような態様においては、例えば、それがなぜどうのようにして働くのかに関する知識によってではなく(すなわち、キットもしくは反応混合物の成分をユーザーが知る必要はない)、製品(例えば、キット)の改善された、および/もしくは所望の機能によって 販売を進める。従って、本発明は、ユーザーがシステムの成分もしくは機構について知識があるなしに係わらず、ユーザーに利用可能なキット、試薬もしくはアッセイ法を作製するものである。
従って、ある態様においては、 販売およびマーケティング活動は、本発明の方法および組成物の新規および/もしくは改善された性質に関する情報を提供することである。他の態様においては、マーケティングの材料としてこのような機構に関する情報を提供しない。ある態様においては、最も需要に見合ったアッセイ成分もしくは配送システムの種類に関して情報を得る目的で顧客から情報を収集する。このような情報は、キットの成分の設計およびマーケティング活動の設計において有用である。
VII. 直接検出のためINVADERアッセイ法および特異的RNA検体の測定
本発明の方法、組成物およびシステムを用いて検出もしくは測定するmRNAの具体例を以下に示す。
ハウスキーピング対照
通常、試験試料中に予測可能な量もしくは不変量のRNAを含む場合には、このようなRNAが検出アッセイ法における有用な対照標的となる。このような対照は、アッセイ法が適切に機能しているかについての確認、および別のRNAの試験結果を比較もしくは測定して、その結果を説明する助けとなる標準として利用できる等の複数の有用性を示すものであるが、これらのみに限定されるものではない。以下の遺伝子のmRNAは、本発明の方法において特定の用途がある。
ヒト・ユビキチンおよびマウス/ラット・ユビキチン
ユビキチン・システムは、選択的タンパク質分解の主な経路である。本システムによる分解は、DNA修復、細胞周期の進行、シグナル伝達、転写、および抗原提示等の各種の細胞機能を補助する。また、ユビキチン経路は、間違った折り畳みを起こした、間違った配置の、あるいはその他の異常なタンパク質を除去する。この経路では、保存性の高い76アミノ酸のタンパク質であるユビキチン(E1)が基質タンパク質の特定のリジン残基に共有結合することが必要である。
ヒト、ラット、およびマウスのグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)
GAPDHは解糖および糖新生経路における重要な酵素である。このホモ4量体の酵素は、補助因子と無機リン酸の存在下でD-グリセルアルデヒド-3-リンを1,3-ジホスホグリセレートに変換する酸化的リン酸化を触媒する。GAPDHについて、各種の多様な生物学的性質が報告されている。これらには、エンドサイトーシス、mRNAの制御、tRNAのエクスポート、DNA複製、DNA修復および神経のアポプトーシス等の機能が含まれる。
サイトカイン
現在も構成員が増え続けている 免疫系の細胞間でシグナルを伝達する制御タンパク質のファミリーが同定されている。これらのタンパク質はサイトカインと呼ばれ、造血系および免疫系の細胞の増殖および分化、ならびに生理活性を制御することが分かっている。骨髄、末梢血、胎児肝およびその他のリンパ性もしくは造血性器官由来の標的細胞に対し、サイトカインは広範な生物学的活性示す。本発明ではサイトカインの発現を検出する方法を記載する。このようなサイトカインとしては、下記のサイトカイン・ファミリーの例示的構成員が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
ヒト・オンコスタチンM
オンコスタチンMは、特定の腫瘍由来および正常細胞株の増殖を制御する単一鎖からなる分泌性ポリペプチド・サイトカインである。複数種類の細胞が、オンコスタチンMタンパク質に結合することが明らかになっている。複数種類の腫瘍細胞の増殖を阻害することが分かっているが、カポジ肉腫の細胞の増殖を刺激することも示されている。
ヒト・トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)
トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)は、様々な異なるタイプの細胞において増殖、分化および形態形成を含む各種の反応を引き起こす構造的に関連したサイトカインのファミリーの構成員である。脊椎動物では、TGF-β1からTGF-β5と呼ばれる、少なくとも5種類の異なるTGF-βの型のものが同定されている。これらは、アミノ酸配列の同一性の程度が高い(60〜80%)。TGF-β1は、最初に正常なラット腎臓細胞に足場非依存性増殖を誘導する誘導能があるものとして特徴付けがなされたが、多くのタイプの細胞に対する効果は、分裂抑制性である。これは、正常および形質転換された上皮、内皮、繊維芽細胞、神経、リンパ系および造血系細胞を含む多くのタイプの細胞に強い増殖阻害性を示す。さらに、TGF-βは、細胞外マトリックスの形成および細胞-マトリックスの接着工程の制御において中心的な役割を演じる。
ヒト・単球化学誘引性タンパク質-1(MCP-1)
このファミリーのサイトカインに属するものとして、ケモカインもしくはインタークラインとも呼ばれる新興の走化性サイトカインのグループが同定された。ケモカインの二つのサブファミリーとしては、染色体上の位置およびシステイン残基の構成に基づいて、αおよびβが知られている。
βサブファミリータンパク質をコードするヒトの遺伝子は、第17染色体(マウスの対応遺伝子は、マウスの第11染色体にクラスターを形成している。この染色体は、ヒトの第17染色体に対応する)に位置する。サブファミリーにおける相同性は種内で28〜45%の範囲であり、種間で22〜55%である。構成員の例としては、ヒトのタンパク質であるMCP-1(単球化学誘引性タンパク質-1)が挙げられる。MCP-1は単球特異的に複数の効果を示す。これは、インビトロにおけるヒト単球に対する強力な化学誘引物質であり、細胞質内の遊離のカルシウム増加と単球の呼吸バーストを促進する。MCP-1は、単球媒介性の制腫瘍性活性を活性化し、腫瘍障害活性を誘導することが報告されている。MCP-1は、慢性関節リウマチおよび肺胞炎等の組織炎症過程における単球浸潤を媒介する重要な因子であることが知られている。本因子は、進行性の粥状硬化性病巣への単球-マクロファージの動員において基本的役割を担っている。
ヒト腫瘍壊死因子α(TNF-α)
腫瘍壊死因子α(TNF-α、またカケクチンとも呼ばれる)は、宿主防衛の役割を担う重要なサイトカインである。サイトカインは、感染、侵入、傷害もしくは炎症に反応して、主にマクロファージおよび単球によって産生される。TNF-αの誘導物質の例としては、細菌性エンドトキシン、細菌、ウイルス、リポ多糖(LPS)およびGM-CSF、IL-1、IL-2およびIFN-γを含むサイトカインが挙げられる。
サイトカインの防御効果にもかかわらず、TNF-αの過剰発現は疾患状態、特に、感染性、炎症性および自己免疫性疾患を生じることが多い。この工程はアポプトーシス経路を含むことがある。敗血症症候群、細菌性髄膜炎、脳性マラリアおよびADIS等の感染性疾患;慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患(クローン病を含む)、サルコイドーシス、多発性硬化症、川崎症候群、移植片対宿主疾患および移植拒絶反応(同種異系移植)等の自己免疫性疾患;および成人呼吸窮迫症候群、うっ血性心不全、急性肝不全および心筋梗塞等の臓器不全状態において、血漿TNF-αが高レベルとなることが知られている。TNF-αが関係する他の疾患としては、ぜんそく、虚血による脳傷害、非インスリン依存型糖尿病、インスリン依存型糖尿病、肝炎、アトピー性皮膚炎および膵臓炎が挙げられる。さらに、TNF-α阻害剤は、癌の予防に有用であることが示唆されている。TNF-α発現の上昇は、肥満にも一定の役割を果たしている。TNF-αがヒトの脂肪細胞で発現し、通常、肥満に相関して発現が増加することが知られている。
ヒト・インターロイキンー6(IL-6)
IL-6は、Bリンパ球分化因子、インターフェロンβ2、26Kdタンパク質、ハイブリドーマ/プラスマ細胞腫増殖因子、肝細胞刺激因子等で呼ばれるサイトカインに対する標準名である。
IL-6は、活性化B細胞が抗体産生細胞に分化するのを誘導する。T細胞に関しては、IL-6は、マイトジェンによって刺激されたT細胞がIL-2を産生し、特定のT細胞株もしくは胸腺細胞上にIL-2受容体を発現誘導する。造血系細胞に関しては、IL-6は、IL-3の存在下で協同的に造血系幹細胞の増殖を誘導する。さらに、最近、IL-6はトロンボポエチン様の働きをすることが報告された。
各種の細胞がIL-6を産生する。リンパ球がIL-6を産生し、またポリ(I)-ポリ(C)およびシクロヘキシミドで刺激したヒト繊維芽細胞がIL-6を産生する。ポリ(A)-ポリ(U)で刺激したマウスの細胞は、マウスのIL-6を産生する。刺激の誘導因子は多様であり、IL-1、TNFおよびINF-β等の既知のサイトカイン、PDGFおよびTGF-β等の増殖因子、LPS、PMA、PHA、コレラトキシン等が挙げられる。さらに、ヒト血管内皮細胞、マクロファージ、ヒトのオリゴブラストーマ等もIL-6を産生することが報告されている。さらに、誘導物質を用いて細胞を刺激し、その後細胞をベラパミル、シクロヘキシミドもしくはアクチノマイシンD等の代謝阻害剤で処理することによっても、生産性をさらに促進させることが可能なことが知られている。
ヒト・インターロイキン1β(IL-1β)
インターロイキン-1(IL-1)は、TおよびBリンパ球の活性化に重要であり、および多くの炎症過程を媒介する。2種類の異なった分子種のIL-1が単離されており、発現している。これらはIL-1βおよびIL-1αと呼ばれる。ヒト単球で産生されたmRNAおよびタンパク質レベルのいずれにおいても、IL-1βが主要な型である。これらヒトIL-1の二つの分子種では、アミノ酸の相同性は26%しかない。ポリペプチド配列が異なっているにもかかわらず、IL-1の二つの分子種は構造的に類似しており、IL-1分子の離れた領域にアミノ酸の相同性が限定される。また、二つの分子種のIL-1は、発熱の誘導、徐波睡眠および好中球増加症、TおよびBリンパ球活性化、繊維芽細胞の増殖、特定の細胞に対する細胞障害性、コラゲナーゼの誘導、肝性急性期タンパク質の合成およびコロニー刺激因子およびコラーゲン生産増加を含む同一の生物学的性質を有する。また、IL-1は内皮細胞を活性化し、白血球の接着性を増加させ、PGI2およびPGE2(プロスタグランジン)放出、ならびに血小板活性化因子、凝血促進活性因子およびプラスミノーゲン活性化因子阻害因子の合成を促す。明らかに、IL-1は局所性および全身性宿主反応において中心的な役割を演じている。インビボにおけるIL-1の生物学的効果の多くは、ピコモル(pg)濃度で起こるので、IL-1産生は宿主防衛機構の基本的な特徴を備えていると考えられる。
ヒト・インターロイキン2(IL-2)
インターロイキン-2(IL-2)は、Tリンパ球の主たる増殖因子である。ヘルパーTリンパ球の活性を制御することによって、IL-2は体液性および細胞性免疫反応を促進する。細胞障害性CD8 T細胞およびNK細胞を刺激することによって、このサイトカインは、腫瘍およびウイルス感染に対する防衛機構に関与する。IL-2は、転移性メラノーマおよび腎腺癌の治療に利用される。IL-2は、多種類の癌の臨床治験に利用されている。また、HIVに感染した患者にも用いられ、CD4の総数を有意に増加させる。ヒトIL-2は、133アミノ酸(aa)を含むタンパク質であり、4つのαヘリックスが各種の長さのループでつながって、3次元構造をとる。IL-2Rは、三本の鎖、すなわちα、βおよびγから構成される。IL-2Rαは、受容体IL-2RβおよびIL-2Rγの親和性を制御し、IL-2シグナルの伝達に重要である。IL-2Rの該3本の鎖と相互作用するIL-2の異なる分子領域が決定されている。より具体的には、IL-2のNH2末端領域(残基 1〜30)およびヘリックスAがIL-2/IL-2Rβ相互作用を制御することが分かっている。
ヒト・インターロイキン8(IL-8)
ヒトIL-8は、好中球活性化タンパク質、好中球遊走因子(NCF)およびT細胞遊走因子等、様々の名称をもつサイトカインである。適当な刺激に応じて複数種類の細胞がIL-8を分泌する。活性化された単球およびマクロファージ、ならびに胎児性繊維芽細胞がIL-8を分泌する。
IL-8は、好中球の遊走を誘導し、好中球の脱顆粒、超酸化物イオンの放出および単層内皮細胞への接着等の機能を活性化することが知られている。白血球の病巣への浸潤を含む状態に関しては、複数の既知の状態が存在する。肺嚢胞性線維症、特発性肺線維症、成人呼吸窮迫症候群、サルコイドーシスおよび膿胸等の等の肺疾患;乾癬等の皮膚疾患;慢性関節リウマチ;および炎症性腸疾患(クローン病)等が挙げられる。
ヒトIL-8のアミノ酸配列については、Matsushimaらが国際公開公報第89/08665号に記載している。さらに最近では、単球由来のIL-8はN末端で明らかに様々な工程を受け、Matsushimaらが初めて開示したIL-8は、実際にはN末端に付加的な7または5アミノ酸を有する因子の二つの分子種であること(Yoshimuraら、Mol Immunol 26:87 [1989])が明らかになっている。単球由来の全IL-8の内訳は、最長の分子種が約8%、次に長い分子種が約47%、および最も短い分子種が約45%である。
ヒト・インターロイキン10(IL-10)
最近発見されたリンフォカインであるインターロイキン10(IL-10)は、元々はインターフェロン-γの合成阻害因子として記載されていたものであり、体液性の免疫反応の主たるメディエーターであると考えられている。互に排他的であることが多い2種類の免疫反応は、体液性(抗体を媒介する)および遅延型過敏症である。
これら二つの異なる免疫反応は2種類のヘルパーT細胞クローンによって起こるものであると考えられている。すなわち、Th1およびTh2ヘルパーT細胞であり、これらは異なったサイトカイン分泌パターンを示す。マウスTh1細胞クローンは、インターフェロン-γおよびIL-2を分泌し、選択的に遅延型過敏反応を誘導する。Th2細胞クローンは、IL-4、IL-5およびIL-10を分泌し、体液性の反応を助ける。免疫反応における対照性の理由は、Th1細胞クローンの分泌したインターフェロン-γが、インビトロでTh2クローンの増殖を阻害し、Th2細胞クローンの分泌したIL-10が、Th1細胞クローンがサイトカイン分泌を阻害する。従って、2種類のTヘルパー細胞は、相互に阻害性であり、2種類の対照的免疫反応の基盤を提供する。
IL-10はマウスおよびヒトT 細胞の双方からクローニングされ配列の決定がなされている。いずれの配列も、178アミノ酸のポリペプチドコードするオープン・リーディング・フレームを含みN末端は18アミノ酸の疎水性のリーダー配列を含み、アミノ酸配列の相同性は73%である。
ヒト・インターロイキン4(IL-4)
インターロイキン-4(IL-4、これはB細胞刺激因子もしくはBSF-1としても知られている)は、元々、表面免疫グロブリンに対する低濃度の抗体に応答してB細胞増殖を刺激する能力を有するものとして特徴付けられた。さらに最近では、IL-4が、T細胞、肥満細胞、顆粒細胞、巨核球および赤血球の増殖共刺激を含む広範な生物学的活性を有することが示された。さらに、IL-4は複数のIL-2およびIL-3依存性細胞株の増殖を刺激し、休止期B細胞上のクラスII主要組織適合複合体分子の発現を誘導し、刺激されたB細胞からのIgE及びIgG1イソ型の分泌を促進する。マウスおよびヒトIL-4は、組換えDNA技術および天然のマウスタンパク質の均一精製によって明確に特徴付けが行われている。
初代細胞および哺乳動物由来のインビトロ細胞に発現するIL-4に対する特異的細胞表面受容体が、IL-4の生物学的活性を媒介する。IL-4は該受容体に結合し、さらに各種の免疫エフェクター細胞に生物学的シグナルを伝達する。
ヒト・インターフェロンγ(IFN-γ)
インターロイキン同様、インターフェロンはサイトカインのクラスに属し、各種のものが存在する。すなわち、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターフェロン-ω、およびインターフェロン-τ等である。インターフェロン-γは糖タンパク質であり、そのアミノ酸配列は1982年に明らかにされた。成熟条件では、インターフェロン-γは143アミノ酸を有し、分子量は63から73キロダルトンである。
非糖鎖付加型タンパク質の三次および四次構造は1991年に明らかにされた。これによれば、インターフェロン-γはホモ二量体として存在し、一方の単量体のC末端が他方の単量体のN末端近傍に位置するように単量体は互いに逆向きに配向している。これらの単量体はいずれも、6つのα-ヘリックスを有する。非特異的抗ウイルス性、抗増殖性および特に免疫調節性効果を有することから、インターフェロンγは、免疫インターフェロンとも呼ばれる。Tヘルパー-リンパ球におけるその産生は、マイトジェンおよび抗原によって刺激される。発現したインターフェロン-γの効果は、まだ正確には明らかにされていないが、鋭意研究がすすめられている。特に、インターフェロン-γは、マクロファージの活性化、およびクラス2の組織適合性抗原の合成を誘導する。インビトロでは、インターフェロン-γの活性は、通常、インターフェロン-γ処理によるウイルス誘導性細胞変性効果の低下によって調べる。抗原非特異的抗ウイルス性、抗増殖性および免疫調節性活性を有するので、例えば、腎臓腫瘍および慢性肉芽腫症のヒトに対する治療薬として好適である。
チトクロームP450
チトクロームP-450という用語は、薬剤、発癌剤、および環境化学物質等のゼノバイオティックス、ならびにステロイドおよびプロスタグランジン等の複数のクラスのエンドバオティックスの代謝に最も重要な酵素のファミリーを表す(小胞体上に位置し、肝臓および小腸の細胞では該タンパク質の濃度は高い)。チトクロームP450ファミリーの構成員のレベルはまちまちであり、その発現および活性は、化学的環境、性別、発達段階、栄養、および年齢等の変数によって制御される。
200種類以上のチトクロームP450遺伝子が同定されている。これらのP450遺伝子には複数の分子種が存在し、それぞれは上記の化合物のクラスにおける個々の化学物質に対して特異性を示す。薬剤であっても発癌剤であってもよいが、基質が2種類以上のチトクロームP450によって代謝される場合もある。チトクロームP450の遺伝的多型によって、特定の薬剤およびその他の化学的化合物の生体内変換能が異なる形質的に異なった亜集団が生じる。
本発明は、チトクロームP450 のmRNAを検出する方法を提供する。このようなチトクロームとしては、ヒトCYP 1A1、ヒトCYP 1A2、ヒトCYP 2B1、ヒトCYP 2B2、ヒトCYP 2B6、ヒトCYP 2C19、ヒトCYP 2C9、ヒトCYP 2D6、ヒトCYP 3A4、ヒトCYP 3A5、ヒトCYP 3A7、ラットCYP 2E1、ラットCYP 3A1、ラットCYP 3A2、ラットCYP 4A1、ラットCYP 4A2、およびラットCYP 4A3が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
以下の実施例によって発明の好ましい特定の態様および局面を説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
本開示においては、 以下の略語を用いる。Afu(アルカエグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus));Mth {メタバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)};Mja(メタノコッカス・ヤンナシイ(Methanococcus jannaschii));Pfu(ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus));Pwo(ピロコッカス・ウォエセイ(Pyrococcus woesei));Taq(サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus));Taq DNAP、DNAP Taq、およびTaq Pol I(サーマス・アクアティカスDNAポリメラーゼI);DNAPStf(DNAポリメラーゼのストフェル断片);DNAPEcl(大腸菌のDNAポリメラーゼI);Tth(サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus));Ex.(実施例(Example));Fig.(図(Figure));℃(摂氏);g(重力場); hr(時間(hour));min(分(minute));オリゴ(olio)(オリゴヌクレオチド(oligonucleotide));rxn(反応);vol(容積);w/v(重量対容積);v/v(容積対容積);BSA(ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin));CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);DNA(デオキシリボ核酸);p(プラスミド);μl(マイクロリットル); ml(ミリリットル);μg(マイクログラム);mg(ミリグラム);M(モル);mM(ミリモル);μM(マイクロモル);pmoles(ピコモル);amoles(アトモル);zmoles(ゼプトモル);nm(ナノメートル); kdal(キロダルトン);OD(光学密度); EDTA(エチレンジアミン四酢酸);FITC(フルオレセイン・イソチオシアネート);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム); NaPO4(リン酸ナトリウム);NP-40(ノニデットP-40);トリス(トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン); PMSF(フェニルメチルスルフォニルフルオリド);TBE(トリス-ホウ酸-EDTA、すなわち、HClではなくホウ酸で滴定したトリス緩衝液でEDTAを含む);PBS(リン酸緩衝食塩水);PPBS(1mM のPMSFを含むリン酸緩衝食塩水);PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動);Tween(ポリオキシエチレン-ソルビタン);ATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection), Rockville, MD);Coriell(Coriell Cell Repositories, Camden, NJ);DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellculturen, Braunschweig, Germany);Ambion(Ambion, Inc., Austin, TX); Boehringer(Boehringer Mannheim Biochemical, Indianapolis, IN);MJ Research(MJ Research, Watertown, MA);Sigma(Sigma Chemical Company, St. Louis, MO); Dynal(Dynal A.S., Oslo, Norway);Gull(Gull Laboratories, Salt Lake City, UT);Epicentre(Epicentre Technologies, Madison, WT);Lampire(Biological Labs., Inc., Coopersberg, PA);MJ Research(MJ Research, Watertown.MA);National Biosciences(National Biosciences, Plymouth, MN);NEB(New England Biolabs, Beverly, MA;Novagen(Novagen, Inc., Madison, WI);Promega(Promega, Corp., Madison, WT);Stratagene(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA);Clonetech(Clonetech, Palo Alto, CA);Pharmacia(Pharmacia, Piscataway, NJ);Milton Roy(Milton Roy, Rochester, NY);Amersham(Amersham International, Chicago, IL);およびUSB(U.S. Biochemical, Cleveland, OH);Glen Research(Glen Research, Sterling, VA);Coriell(Coriell Cell Repositories, Camden, NJ);Gentra(Centra, Minneapolis, MN);Third Wave Technologies(Third Wave Technologies, Madison, WI);PerSeptive Biosystems(PerSeptive Biosystems, Framington, MA);Microsoft(Microsoft, Redmond, WA);Qiagen(Qiagen, Valencia, CA);Molecular Probes(Molecular Probes, Eugene, OR);VWR(VWR Scientific);Advanced Biotechnologies(Advanced Biotechnologies, INC., Columbia, MD);およびPerkin Elmer(PE Biosytems and Applied Biosystems, Foster City, CAとしても知られている).
実施例1
5'ヌクレアーゼ活性に関する迅速コロニー・スクリーニング
天然の5'ヌクレアーゼおよび本発明の酵素は各種の機能に関して直接試験することができる。このようなものとしては、RNAもしくはDNA標的に対する5'ヌクレアーゼ活性、および標的検出反応に存在し得る構造を代表する別の基質を用いたバックグラウンド特異性が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。好適な試験構造を有する核酸分子の例については、図18A〜Dおよび図21〜24に模式的に示した。下記のスクリーニング技術は、5'ヌクレアーゼを迅速かつ効率的に特徴付ける、および新規の5'ヌクレアーゼが改善されたもしくは所望の活性を有するか否かを決定する目的で開発した。RNAもしくはDNA標的に関し改善されたサイクリング速度を示す酵素、もしくは標的非依存性切断の低下した酵素は、より詳細に調べる意義がある。通常、ランダム変異誘発によって得られた改変タンパク質は、図18Aおよび図18Bに示す基質を用いて迅速コロニー・スクリーニングにより試験した。次に、迅速タンパク質抽出を実施し、タンパク質抽出液を用いて別の構造に関する活性試験(例えば、図18C〜Dに示す)を行った。酵素の改善された活性に関する初期スクリーニングもしくは以降のスクリーニングおよび特徴付けは、図21〜図24に図示したような他の切断複合体を用いて実施した。このような試験切断構造を形成させるために用いた特定の配列によって、本発明の範囲が限定されるものではない。迅速スクリーニングに関し同様の構造を形成させる類似の核酸を、どのように設計・作製するかは、当業者であれば理解できる。
このような順序で試験することによって、全試験回数を減らし時間と試薬を節約できる。酵素機能を試験する試験の順序によって、本発明が限定されるものではない。次に、RNAもしくはDNA標的に対し合理的サイクリング速度を示す変異体を一晩培養し、迅速タンパク質抽出を行う。あるいは、切断試験のサブセットもしくは試験全部を同時に実施することもできる。
便宜上、個々のタイプの迅速スクリーニングを別々のマイクロタイタープレート上で実施することもできる。例えば、RNA INVADER活性試験に、1プレートを準備し、DNA INVADER活性試験に1プレートを用意する。1プレートで90個程度の異なるコロニーをスクリーニングすることができる。スクリーニングしたコロニーは、もともとの(天然の)5'ヌクレアーゼのクローン、変異誘発反応(例えば、単一プレートから得る多くのコロニー)もしくは各種の反応(複数のプレートから選択したコロニー)に由来するもの等の各種起源に由来するものであってもよい。
理想的には、同一の調製試薬を用いて、変異体として陽性対照および陰性対照を同一プレートに載せて実施する。良好な陽性対照の例としては、未改変酵素を含むコロニー、もしくは活性を新しい変異体と比較するためにあらかじめ改変されている酵素が挙げられる。例えば、Taq DN RX HT構築物(下記)について変異誘発反応を実施した場合には、未改変Taq DN RX HT構築物を、酵素活性に対する変異誘発の効果を比較するための標準として選択する。また、別の対照酵素を迅速スクリーニング試験に組み込むこともできる。例えば、Tth DN RX HT(下記;他で特記しない限り、以下に記載の TaqPol酵素およびTthPol酵素は、DN RX HT 誘導体を表す)を、Taq DN RX HTと共に酵素活性の標準として組み込むこともできる。これによって、改変した酵素を異なる活性を有する2種類の既知の酵素と比較することができる。バックグラウンド反応レベル(すなわち、比較するヌクレアーゼ以外の起源による切断もしくはプローブ分解)を調べるために、陰性対照も実施すべきである。良好な陰性対照のコロニーとしては、クローニングおよび変異誘発に利用するベクターのみを含むもの、例えば、pTrc99Aベクターのみを含むコロニーが挙げられる。
初期迅速スクリーニングの特異的変異誘発反応で選択されたコロニーの数に影響を与える2つの因子としては、以下が挙げられる:
(1)変異誘発反応で得られたコロニーの総数;(2)変異生成反応が部位特異的であるか、あるいはランダムに遺伝子全体もしくは遺伝子の領域にわたって分布するか。例えば、プレートに存在するのが高々5〜10コロニーであれば、すべてのコロニーを試験することは容易である。数百のコロニーが存在するのであれば、これらのサブセットを解析することもできる。通常、部位特異的変異誘発反応では10〜20コロニーを試験し、単一ランダム変異誘発反応では通常、80〜100またはそれ以上のコロニーを試験する。
記載されるように、これらの実験例に記載された改変5'ヌクレアーゼは下記に詳述される方法で試験した。
A. 迅速スクリーニング;RNA標的に対するINVADER活性(図18A)
2x基質混合物を調製した。これは20mM MOPS、pH7.5、10mM MgSO4、200mM KCl、2μM FRET-プローブオリゴ(配列番号:223)
Figure 0005661071
1μM INVADERオリゴ(配列番号:224)
Figure 0005661071
および4nM RNA標的(配列番号:225)
Figure 0005661071
を含む。5μlの2x基質混合物を96ウェルマイクロタイタープレートの試料用ウェルの各々に分注した(ロープロフィール MULTIPLATE 96, M.J. Research, Inc.)。
単一コロニー(変異体、陽性対照および陰性対照のコロニー)を取り、細胞懸濁液を調製した。各々を20μlの水に懸濁した。96ウェルマイクロタイタープレートを用いてコロニー当たり1ウェルで、簡便に実施することができる。
最終反応条件が10mM MOPS、pH7.5、5mM MgSO4、100mM KCl、1μM FRET-プローブオリゴ、0.5μM INVADERオリゴ、および2nM RNA標的となるように、5μlの細胞懸濁液を適当な試験ウェルに添加した。ウェルを10μlの透明な(clear)CHILLOUT 14(M.J. Research, Inc.) 液体ワックスで覆い、試料を85℃3分加熱し、次に59℃で1時間保温した。保温後、Cytofluor蛍光プレート読み取り装置を用い、以下のパラメータでプレートの測定を行った:励起485/20、発光530/30。
B. 迅速スクリーニング;DNA標的に対するINVADER活性(図18B)
2x基質混合物を調製した。これは20mM MOPS、pH7.5、10mM MgSO4、200mM KCl、2μM FRET-プローブオリゴ(配列番号:223)
Figure 0005661071
1μM INVADERオリゴ(配列番号:224)
Figure 0005661071
1nM DNA標的(配列番号:226)
Figure 0005661071
を含む。5μlの2x基質混合物を96ウェルマイクロタイタープレートの試料用ウェルの各々に分注した(MJ ロープロフィール)。
単一コロニー(変異体、陽性対照および陰性対照のコロニー)を取り、細胞懸濁液を調製した。通常は、96ウェルマイクロタイタープレートを用い、各々を20μlの水に懸濁した。
最終反応条件が10mM MOPS、pH7.5、5mM MgSO4、100mM KCl、1μM FRET-プローブオリゴ、0.5μM INVADERオリゴ、および0.5nM DNA標的となるように、5μlの細胞懸濁液を適当な試験ウェルに添加した。ウェルを10μlの透明なCHILLOUT 14(M.J. Research, Inc.) 液体ワックスで覆い、試料を85℃3分加熱し、次に59℃で1時間保温した。保温後、Cytofluor蛍光プレート読み取り装置を用い、以下のパラメータでプレートの測定を行った:励起485/20、発光530/30、ゲイン40、ウェル当たりの読みが10。
C. 迅速タンパク質抽出(細胞の粗溶解物)
RNAもしくはDNA INVADERアッセイ法で陽性もしくは予想と異なる結果を与えた変異体については、さらに、解析を行った。具体的には、X構造もしくはヘアピン基質(それぞれ図18CおよびD)に対するバックグラウンド活性に関して解析を行った。上記のように、迅速コロニー・スクリーニングを利用することができる。基質を単純に変えることで、バックグラウンドもしくは異常な酵素活性に関する試験を実施できる。別の方法では、陽性クローンを一晩小規模培養し、迅速タンパク質抽出を行い、別のタンパク質機能に関してこの細胞の粗溶解物を試験する。利用しうる迅速タンパク質抽出法の一例を下記に詳述する。2〜5mlのLB(プラスミドを選択するために適当な抗生剤を含む;例えば、Maniatisの分冊1〜3を参照のこと)に、残りの容積の20μl水-細胞懸濁液を接種し、37℃で一晩保温した。約1.4mlの培養物を、1.5mlの微量遠心チューブに移し、室温で3〜5分間最高速度で微量遠心して(例えば、エッペンドルフ5417卓上型微量遠心機で14,000rpm)、細胞をペレットにした。上清を除き、細胞ペレットを100μlのTES緩衝液(pH7.5)(シグマ)に懸濁した。リゾチーム(プロメガ)を最終濃度0.5μg/μlで添加し、試料を室温で30分間保温した。次に、試料を70℃で10分間加熱して、リゾチームを不活性化した。最高速度で5分微量遠心し、細胞デブリスをペレットにした。上清を除き、この細胞の粗溶解物を以下の酵素活性アッセイ法に用いた。
D. 迅速スクリーニング:バックグラウンド特異性X構造の基質(図18C)
上記で詳述した条件下で反応を実施した。1μlの細胞粗溶解物を9μlの反応成分に添加して、最終容積を10μlとした。最終濃度は、10mM MOPS、pH7.5、5mM MgSO4、100mM KCl、1μM FRET-プローブオリゴ(配列番号:223)、0.5μM X構造 INVADERオリゴ(配列番号:227)
Figure 0005661071
および0.5nMのDNA標的(配列番号:226)であった。ウェルを10μlの透明なCHILLOUT 14(M.J. Research, Inc.) 液体ワックスで覆い、反応液を85℃3分加熱し、次に59℃で1時間保温した。保温後、Cytofluor蛍光プレート読み取り装置を用い、以下のパラメータでプレートの測定を行った:励起485/20、発光530/30、ゲイン40、ウェル当たりの読みが10。
E. 迅速スクリーニング:バックグラウンド特異性ヘアピン基質(図18D)
上記で詳述した条件下で反応を実施した。1μlの細胞粗溶解物を9μlの反応成分に添加して、最終容積を10μlとした。最終濃度は、10mM MOPS、pH7.5、5mM MgSO4、100mM KCl、1μM FRET-プローブオリゴヌクレオチド(配列番号:223)、および0.5nMのDNA標的(配列番号:226)であった。ウェルを10μlの透明なCHILLOUT 14(M.J. Research, Inc.) 液体ワックスで覆い、反応液を85℃3分加熱し、次に59℃で1時間保温した。1時間保温後、Cytofluor蛍光プレート読み取り装置を用い、以下のパラメータでプレートの測定を行った:励起485/20、発光530/30、ゲイン40、ウェル当たりの読みが10。
F. IrTIおよびIdT標的を用いた活性測定(図24)
10mM MOPS、pH 7.5、0.05%Tween 20、0.05%ノニデットP-40、10 μg/ml tRNA、100mM KCl、および5mM MgSO4を含む10μlの反応液で、5'ヌクレアーゼ活性のアッセイ法を実施した。プローブ濃度(配列番号:167)は2mMであった。基質(IrTI(配列番号:228)またはIdT(配列番号:229)の最終濃度はそれぞれ、10nMまたは1nMであった)、および実施例3の方法で調製した約20ngの酵素を、上記の反応緩衝液と混合し、CHILLOUT(MJ Research) 液体ワックスを重層した。反応液の反応温度57℃にして、MgSO4を添加することによって開始し、10分間保温した。次に、10mMのEDTAおよび0.02%のメチルバイオレット(シグマ)を含む95%のホルムアミドを10μl添加することによって反応を停止した。7M尿素を含む45mMトリス-ホウ酸、pH8.3、1.4mM EDTAを含む緩衝液中で20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)で電気泳動を実施する直前に、試料を90℃で1分間加熱した。他で特記しない限り、レーン当たり各1μlの停止反応液を添加した。次に、ゲルを505nmのフィルターを用いたFMBIO-100蛍光性ゲルスキャナー(日立)上で走査した。FMBIO 解析ソフトウェア(バージョン6.0(日立))を用い、非切断のおよび切断基質と一致しているバンドの強さから切断産物の分画を決定した。切断産物の分画は、20%を上回らなかったため、おおよその切断初速度を測定することができた。回転率はこれらの反応条件(1/分)で標的分子当たり、分当たりに生成した切断シグナル・プローブ数として定義した。
G. X構造(X)およびヘアピン(HP)標的による活性測定(図22)
10mM MOPS、pH7.5、0.05%Tween 20、0.05%ノニデットP-40、10 μg/ml tRNA、100mM KCl、および5mM MgSO4を含む10μlの反応液で、5'ヌクレアーゼ活性のアッセイ法を実施した。ヘアピン構造形成(22A、配列番号:230および231)もしくはX構造形成(22B、配列番号:230〜232)に関する各オリゴを最終濃度1μmで添加した。実施例3の方法で調製した約20ngの試験酵素を上記の反応緩衝液と混合し、CHILLOUT(MJ Research) 液体ワックスを重層した。反応液の反応温度60℃にして、MgSO4を添加することによって開始し、10分間保温した。次に、10mMのEDTAおよび0.02%のメチルバイオレット(シグマ)を含む95%のホルムアミドを10μl添加することによって反応を停止した。7M 尿素を含む45mMトリス-ホウ酸、pH8.3、1.4mM EDTAを含む緩衝液中で20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)で電気泳動を実施する直前に、試料を90℃で1分間加熱した。他で特記しない限り、レーン当たり各1μlの停止反応液を添加した。次に、ゲルを505nmのフィルターを用いたFMBIO-100蛍光性ゲルスキャナー(日立)上で走査した。FMBIO 解析ソフトウェア(バージョン6.0(日立))を用い、非切断のおよび切断基質と一致しているバンドの強さから切断産物の分画を決定した。切断産物の分画は、20%を上回らなかったため、おおよその切断初速度を測定することができた。回転率はこれらの反応条件(1/分)で標的分子当たり、分当たりに生成した切断シグナル・プローブ数として定義した。
H. ヒトIL-6標的による活性測定(図10)
10mM MOPS、pH7.5、0.05%Tween 20、0.05%ノニデットP-40、10 μg/ml tRNA、100mM KCl、および5mM MgSO4を含む10μlの反応液で、5'ヌクレアーゼ活性のアッセイ法を実施した。IL-6 DNA基質、0.05nM IL-6 DNA標的(配列番号:163)、各1μMのプローブ(配列番号:162)およびINVADER(配列番号:161)オリゴヌクレオチドを含む反応液を、60℃30分間反応させた。IL-6 RNA標的の濃度が1nMであり、反応の実施が57℃で60分間であることを除いて、同一条件下で、IL-6 RNA標的(配列番号:160)を含む反応を実施した。各反応は、実施例3の方法で調製した約20ngの試験酵素を含んでいた。
I. r25量体の合成標的による活性測定(図23)
r25量体の合成標的(配列番号:233)を含む反応を、r25量体標的の濃度が5nMであり、反応の実施が58℃で60分間であることを除いて、同一条件(10mM MOPS、pH7.5、0.05%Tween 20、0.05%ノニデットP-40、10μg/ml tRNA、100mM KClおよび5mM MgSO4)下で、各1μMのプローブ(配列番号:234)およびINVADER(配列番号:235)オリゴヌクレオチド存在下で実施した。各約20ngの試験酵素を反応液に添加した。酵素は実施例3の方法で調製した。
上記の試験はいずれも、改変を加えて酵素活性の至適条件を得ることができる。例えば、酵素滴定を実施して、最大切断活性および最小バックグラウンド・シグナルを得る至適酵素濃度を決定することもできる。限定するものではないが、一例を挙げれば、多くの変異体酵素を10ng、20ngおよび40ngの量で試験した。同様に、温度滴定を本試験に利用することもできる。タンパク質構造を改変することによって、温度要件を変えることができるので、温度の範囲を試験して問題とする変異体に最適な条件を同定すことができる。
このようなスクリーニングで得られた結果(約20ngの変異体酵素を用いる)を表3〜8および図12、図14、図15、図19および図25に示す。
実施例2
DNAポリメラーゼおよび変異体ポリメラーゼの5'ヌクレアーゼのクローニングおよび発現
A. サーマス・アクアティカスおよびサーマス・サーモフィラスのDNAポリメラーゼ
1. TaqPolおよびTthPolクローニング
サーマス属の真性細菌由来のA型DNAポリメラーゼは、タンパク質配列の同一性が非常に高く(DNAStar, WIのDNA解析ソフトウェアのLipman-Pearson 法を用いて、重合ドメインで90%)、重合アッセイ法およびヌクレアーゼ・アッセイ法のいずれにおいても類似した挙動を示す。従って、このクラスの代表として、サーマス・アクアティカス(TaqPol)、サーマス・サーモフィラス(TthPol)およびサーマス・スコトダクタスのDNAポリメラーゼ遺伝子を用いた。他の真性細菌のポリメラーゼ遺伝子としては、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、マイコバクテリウム-スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)、サーマス・サーモフィラス、サーマス種、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、サーモサイフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)、およびバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。これらはいずれも好適である。
a. TaqPol の初期単離:変異体TaqA/G
Taq DNAポリメラーゼ遺伝子は、配列番号:236および237に記載のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、サーマス・アクアティカスのYT-1株(Lawyerら、上記)のゲノムDNAからポリメラーゼ連鎖反応により増幅した。得られたDNA断片は、コード配列の5'末端に制限エンドヌクレアーゼEcoRIの認識配列、コード配列の3'末端にBglII配列を有する。BglIIで切断することによって、BamHIで得られる末端に適合する5'オーバーハングもしくは「接着末端」が得られる。PCRで増幅したDNAは、EcoRIとBamHIで消化した。ポリメラーゼ遺伝子のコード領域を含む2512bpの断片をゲルによって精製した後、誘導性プロモーターを含むプラスミドに連結した。
本発明の一態様においては、ハイブリッドtrp-lac(tac)プロモーターを含むpTTQ18ベクターを用いた(M.J.R. Stark, Gene 5:255 [1987])。tacプロモーターは、大腸菌のlacリプレッサータンパク質の制御下にある。抑制をかけることで、細菌の増殖が所望のレベルに達するまで遺伝子産物の合成を抑制し、その時点で特異的誘導物質、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することによって抑制を解除する。このようなシステムによって、形質転換体の増殖を遅くする、または阻害する外来性タンパク質の発現を制御することができる。
合成Ptac等の特に強い細菌性プロモーターがマルチコピー・プラスミド上に存在する場合には、適正なに抑制ができない。毒性の高いタンパク質をこのようなプロモーターの制御下に配置した場合には、誘導物質の非存在下であっても少量の漏出発現が起こり、これは細菌にとって有害となり得る。本発明の別の態様においては、クローニングした遺伝子の産物の合成を抑制する別の選択肢を考える。プラスミド・ベクター系列 pET-3に含まれているバクテリオファージT7の非細菌性プロモーターを利用して、クローニングした変異体 Taqポリメラーゼ遺伝子を発現させる(StudierおよびMoffatt、J. Mol. Biol., 189:113 [1986])。このプロモーターは、T7RNAポリメラーゼによってのみ転写を開始する。BL21(DE3)pLYS等の好適な株においては、ファージT7 RNAポリメラーゼ遺伝子は、細菌のゲノムに含まれ、lacオペレータの支配下にある。このような構成の利点は、複数コピーの遺伝子(プラスミド上)の発現が、単一コピーとして存在するので容易に抑制できるT7 RNAポリメラーゼの発現に完全に依存することである。
好適な誘導性プロモーターを有するベクターには2つの例がある。他については当業者に公知である。なお、本発明の改善型ヌクレアーゼは発現システムの選択によって限定されるものではない。
pTTQ18ベクターへの連結に関しては、Taq ポリメラーゼのコード領域(下記の理由で mutTaqと呼ばれる;配列番号:238)を含むPCR産物のDNAをEcoRIとBglIIで消化し、標準的「接着末端」の条件(Sambrookら、「分子クローニング(Molecular Cloning)」, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, pp. 1.63-1.69 [1989])で、この断片をプラスミド・ベクター pTTQl8のEcoRI/BamHI部位に連結した。この構築物の発現によって、天然タンパク質の最初の2残基(Met-Arg)がベクター由来の3残基(Met-Asn-Ser)で置換されているが、PCR産物のタンパク質配列の残りに関しては変更のない(配列番号:239)翻訳融合産物が得られる。大腸菌JM109 株を構築物で形質転換し、天然タンパク質を発現する細菌の増殖を抑制する不完全抑制条件下で形質転換体をプレートに播種した。このようなプレーティング条件によって、増幅工程におけるTaqポリメラーゼの不正確性によって生じる等の、元々存在する変異を含む遺伝子が単離できる。
この増幅/選択プロトコールを用いて、変異したTaq ポリメラーゼ遺伝子(mutTaq)を含むクローンを単離した。まず、形質によって変異体を検出した。細胞粗抽出液中の温度安定性の5'ヌクレアーゼ活性は正常であったが、重合活性はほとんど無かった(おおよそ野生型 Taq ポリメラーゼ活性の1%未満)。プライマー伸長反応によってポリメラーゼ活性を決定した。10mM MOPS、pH7.5、5mM MgSO4、100mM KClを含む10μlの緩衝液中で反応を行った。各反応では、40ngの酵素を用いて、10μMポリ(A)286もしくは1μMポリ(dA)273鋳型のいずれか、45μMのdTTPおよび5μMのFl-dUTPの存在下で60℃30分間、10μM(dT)25-30プライマーから伸長を行った。10μlの停止溶液(95%ホルムアミド、10mM EDTA、0.02%メチルバイオレット色素)で反応を停止した。試料(3μl)を15%アクリルアミド変性ゲル(架橋19:1)で分画し、Fl-dUTPを取り込んだ分画を、505nmの発光フィルターを備えるFMBIO-100蛍光ゲルスキャナー(日立)を用いて定量した。
組換え遺伝子のDNA配列解析によれば、2カ所のアミノ酸置換(ヌクレオチド1394位のAからGへの変化は、アミノ酸465位のGluをGlyに変化させる(天然の核酸およびアミノ酸配列に従い番号付けされている:配列番号:153および157);およびヌクレオチド2260位の別のAからGへの変化は、アミノ酸754位のGlnをArgに変化させる)により、ポリメラーゼ・ドメインに変異が生じていた。GlnからGlyへの変異は非保存的位置にあり、またGluからArgへの変異は、実質的に既知のA型ポリメラーゼ総てに保存されているアミノ酸を変化させるので、後者の変異はこのタンパク質の合成活性を低下させる原因の1つとなる可能性が高い。構築物のヌクレオチド配列は配列番号:39に記載されている。この配列がコードする酵素をTaq A/Gと表す。
b. TthPolの初期単離
細菌種サーマス・サーモフィラス(Tth)由来のDNAポリメラーゼ酵素の生産は、このタンパク質の遺伝子を発現ベクターにクローニングし、大腸菌細胞で過剰発現させることによって実施した。1バイアルのATCC(ATCC#27634)の乾燥サーマス・サーモフィラス株HB-8からゲノムDNAを調製した。DNAポリメラーゼ遺伝子を以下のプライマーを用いてPCRにより増幅した。
Figure 0005661071
得られたPCR産物を、制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびSalIで消化し、EcoRI/SalI消化したプラスミド ベクターpTrc99G(実施例2C1に記載する)に挿入することによってプラスミド pTrcTth-1を作製した。このTth ポリメラーゼ構築物は、5'オリゴヌクレオチドが偶然欠落して1残基のヌクレオチドを欠いている。その結果、ポリメラーゼ遺伝子は読み枠からはずれた。以下のオリゴヌクレオチドを用いて実施例4および5に記載の方法に従い、pTrcTth-1に部位特異的変異導入を行い、この間違いを修正した。
Figure 0005661071
これにより、プラスミド pTrcTth-2を作製した。TthPolのタンパク質および該タンパク質をコードする核酸配列は、それぞれ配列番号:243および244に示した。
c. 組換えタンパク質の大規模調製
Taq DNAポリメラーゼの調製プロトコール(Engeikeら、Anal. Biochem., 191:396 [1990])に基づく以下の技術を利用して、組換えタンパク質を次のように精製した。pTrc99A TaqPolまたはpTrc99GTthPolのいずれかを含む大腸菌細胞(JM109株)を100mg/mlのアンピシリンを含む3mlのLBに接種し、37℃で16時間培養した。一晩培養したものを総て、100mg/mlのアンピシリンを含む200mlまたは350mlのLBに接種し、37℃で激しく振盪しながら培養し、A600が0.8に達したところでIPTG(1Mストック溶液)を最終濃度1mMで添加した。培養を37℃で16時間継続した。
誘導を行った細胞をペレットにし、細胞ペレットの重さを計った。等容量の2x DG緩衝液(100mM トリス-HCl、pH7.6、0.1mM EDTA)を付加し、振盪してペレットを懸濁させた。50mg/mlのリゾチーム(シグマ)を最終濃度1mg/mlで 添加し、細胞を室温で15分間保温した。ボルテックスをしながら、デオキシコール酸(10%溶液)を滴下し、 最終濃度を0.2%とした。1容量のH2Oおよび1容量の2x DG緩衝液を添加し、得られた混合物の粘性を減らすために、混合物を氷上で2分間超音波処理した。超音波処理後、3M(NH42SO4 を最終濃度0.2Mで添加し、可溶化物を4℃で20分間、14,000xgで遠心した。上清を取り、70℃で60分間保温した。この時点で、10%ポリエチレンイミン(PEI)添加して0.25%とした。氷上で30分間保温後、混合物を4℃で20分間、14,000xgで遠心した。この時点で、上清を取り、(NH42SO4を添加し、次のようにしてタンパク質を沈殿させた。
2容量の3M(NH42SO4を添加しタンパク質を沈殿させた。混合物を室温で一晩16時間保温し、4℃で20分間、14,000xgで遠心した。タンパク質ペレットを0.5mlのQ緩衝液(50mMトリス-HCl、pH8.0、0.1mM EDTA、0.1%Tween 20)に懸濁した。Mja FEN-1の調製に関しては、固形の(NH42SO4を最終濃度3Mで添加した(〜75%飽和)。混合物を氷上で30分間保温し、上記のようにしてタンパク質をスピンダウンし、懸濁した。
懸濁したタンパク質調製物を、A279を調べて定量し、透析して100 μg/ml BSAを含む50%グリセロール、20mMトリス-HCl、pH8.0、50mM KCl、0.5%Tween20、0.5%ノニデットP-40で保存した.
B. サーマス・フィリフォルミスおよびサーマス・スコトダクタスのDNAポリメラーゼ
1. サーマス・フィリフォルミスおよびサーマス・スコトダクタスのクローニング
DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellculturen, Braunschweig, Germany、菌株#4687)から得たサーマス・フィリフォルミス(Tfi)凍結乾燥品1バイアルに、1mlのCastenholz培地(DSMZ培地86)を加え、予め50℃に加温した500mlのCastenholz培地に接種した。激しく振盪しながら、70℃で48時間保温して培養した。培養後、8000xgで10分間遠心して細胞を回収した。細胞ペレットを10mlのTE(10 mM トリス-HCL、pH 8.0,1mM EDTA)に懸濁し、1mlを取り分け、細胞を-20℃で凍結した。1mlを融解し、リゾチームを添加して1mg/mlとし、 細胞を23℃で30分間保温した。20%のSDS溶液(ドデシル硫酸ナトリウム)を最終濃度0.5%で添加した後、緩衝化フェノールで抽出した。水相をさらに、1:1フェノール-クロロホルムで抽出し、最後にクロロホルムで抽出した。10分の1容量の3M酢酸ナトリウム(pH5.0)および2.5容量のエタノールを水相に添加して混合した。DNAを20,000xgで5分間遠心することによってペレットにした。DNAペレットを70%エタノールで洗浄し、風乾した。これを200μlのTEに再懸濁し、直接増幅に用いた。サーマス・スコトダクタス(Tsc, ATCC#51532)を培養し、サーマス・フィリフォルミスに関して上記した方法でゲノムDNA を調製した。
TfiのDNAポリメラーゼI遺伝子(GenBankアクセッション番号AF030320)を単一断片として増幅することができなかった。そこで、2つの異なる断片を発現ベクター pTrc99aにクローニングした。2つの断片は、PCRオリゴヌクレオチドにおけるTfi DNAポリメラーゼのオープン・リーディング・フレーム(ORF)の1308位にサイレント変異を導入することによって作製したNotI部位を重複・共有している。Advantage cDNA PCRキット(Clonetech)と以下のオリゴヌクレオチドを用いて、この遺伝子の3'側の半分を増幅した。
Figure 0005661071
反応によるPCR産物の長さは約1200塩基対であった。制限酵素NotIおよびSalIで切断し、得られたDNAをNotIおよびSalIで切断したpTrc99aに連結し、pTrc99a-Tfi3'を作製した。遺伝子の5'側の半分を上記の方法で以下に記載の2つのプライマー用いて増幅した。
Figure 0005661071
得られた1300塩基対の断片を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、EcoRIおよびNotIで切断したpTrc99a-Tfi3'に連結して、pTrc99a-TfiPol(配列番号:249(対応するアミノ酸配列を配列番号:250に示した))を作製した。
Advantage cDNA PCRキット(Clonetech)と以下の2つのプライマーを用いて、サーマス・スコトダクタスのDNAポリメラーゼI遺伝子を増幅した。
Figure 0005661071
PCR産物を制限酵素EcoRIおよびSalIで切断し、EcoRIおよびSalIで切断したpTrc99aに連結し、pTrc99a-TscPol(配列番号:253(対応するアミノ酸配列を配列番号:254に示した))を作製した。
2.サーマス・フィリフォルミスおよびサーマス・スコトダクタスの発現と精製
タンパク質発現は、プラスミドをプロテアーゼ欠損大腸菌株 BL21(Novagen)もしくは株 JM109(Promega Corp., Madison, WI)に形質転換した。100μg/mlのアンピシリンを含むLBを含むフラスコに、LBプレートの単一コロニーもしくは適当な株の凍結ストックを接種した。激しく振盪しながら37℃で数時間培養した後、培養液に200μlの1Mイソプロピルガラクトシド(IPTG)を添加して誘導を行った。37℃で16時間培養を継続した後、回収を行った。8000xgで15分間遠心して、細胞をペレットにした後、細胞ペレットを5mlのTEN(10mM トリス-HCl、pH8.0、1mM EDTA、100mM NaCl)に懸濁した。50mg/mlのリゾチームを100μl添加して、細胞を室温で15分間保温した。デオキシコール酸(10%)を最終濃度0.2%で添加した。よく混合した後に、混合物の粘性を減らすために、細胞可溶化物を氷上で2分間超音波処理した。4℃で15分間、20,000xgで遠心することにより、細胞デブリスをペレットにした。上清を除き、10%ポリエチルイミン(PEI)を0.25%添加した後、70℃で30分間保温した。氷上で30分間保温後、混合物を4℃で20分間、20,000xgで遠心した。この時点で、酵素を含む上清を取り、1.2gの硫安を添加し、4℃で1時間保温してタンパク質を沈殿させた。4℃で10分間、20,000xgで遠心することによってタンパク質をペレットにした。4mlのHPLC緩衝液A(50mM トリス-HCl、pH8.0、1mM EDTA)にペレット再懸濁した。Econo-Pacヘパリン・カートリッジ(バイオラッド)およびDionex DX 500 HPLC装置を用いた親和性クロマトグラフィーによって、タンパク質をさらに精製した。簡単に説明すると、該カートリッジをHPLC緩衝液Aで平衡化し、酵素抽出液をカラムに添加し、同一緩衝液中のNaCl(0〜2M)の直線的勾配で溶出した。純粋なタンパク質は、0.5と1Mの間のNaClで溶出する。酵素ピークを採取し、50%グリセロール、20mM トリス-HC1、pH8、50mM KCl、0.5%Tween20、0.5%ノニデットP40、100mg/ml BSAで透析した。
C. ポリメラーゼ活性が低下し、5'ヌクレアーゼ活性が不変であるポリメラーゼ変異体の作製
節Cで作製した変異体は、すべて、実施例2A1Cに記載の方法で発現させて精製した。
1.修飾 TaqPol 遺伝子:TaqDN
TaqDNと呼ぶ重合活性の欠損したTaq DNAポリメラーゼ変異体を構築した。TaqDN ヌクレアーゼは、野性型のアスパラギン酸残基785位に代わりにアスパラギン残基を含む(D785N)。
Taq A/G をコードする遺伝子から、TaqDN ヌクレアーゼをコードするDNAを、2回の部位特異的変異誘発法によって構築した。まず、Taq A/G遺伝子(配列番号:238)の1397位のGおよび2264位のGをそれぞれAに変化させ、野性型TaqPol 遺伝子を作製した。第2回目の変異誘導では、2356位のGをAに変化させることによって、野生型 TaqPol 遺伝子をTaq DN 遺伝子に変換した。これらの操作は、次のように実施した。
2段階法によって、Taq A/G ヌクレアーゼコードするDNAを、pTTQ18プラスミドからpTrc99A プラスミド(Pharmacia)に再クローニングした。まず、pTrc99A のマップ中の270位のGを除去してpTrc99Aベクターを改変し、pTrc99Gクローニング・ベクターを作製した。この段階で、pTrc99A プラスミドDNAをNcoIで切断し、4種類のdNTPの存在下で37℃15分間、大腸菌ポリメラーゼIのクレノウ断片を用いて3'の陥凹端の平滑末端化を行った。65℃で10分間保温することによってクレノウ断片を不活性化し、プラスミドDNAをEcoRIで切断した。再び、4種類のdNTPの存在下で37℃15分間、末端をクレノウ断片を用いて平滑末端化した。次に、65℃で10分間保温して、クレノウ断片を失活させた。プラスミドDNAをエタノール沈殿し、ライゲーションによって再び環化した。これを用いて、大腸菌JM109 細胞(Promega)を形質転換した。プラスミドDNAを、単一コロニーから単離し、pTrc99A のマップにおける270位のGを欠失をDNAシーケンシングによって確認した。
第二の工程において、EcoRIおよびSalIを用いて、Taq A/G ヌクレアーゼをコードするDNAをpTTQ18プラスミドから取り出し、Taq A/Gヌクレアーゼ遺伝子を含む該DNA断片を1%アガロースゲルで分離し、Geneclean IIキット(Bio 101, Vista, CA)で単離した。精製した断片を、EcoRIおよびSalIで切断したpTrc99G ベクターに連結した。連結混合物を用いて、大腸菌 JM109コンピテント細胞(Promega)を形質転換した。プラスミドDNAを単一コロニーから単離し、Taq A/G ヌクレアーゼ遺伝子の挿入物を、EcoRIおよびSalIを用いた制限酵素分析によって確認した。
pTrcAG Taq A/Gヌクレアーゼ遺伝子を含むプラスミドDNAをpTrc99Aベクターにクローニングし、QIAGEN Plasmid Maxiキット(QIAGEN、Chatsworth、CA)を用いて、製造元のプロトコールに従い、一晩培養したを200mlのJM109から精製した。2種類の変異誘発用プライマーE465(配列番号:255)(Integrated DNA Technologies, Iowa)およびR754Q(配列番号:256)(Integrated DNA Technologies, Iowa)、ならびに選択プライマーであるトランス・オリゴヌクレオチド AlwNI/SpeI(Clontech, Palo Alto, CA, カタログ番号6488-1)を利用して、TRANSFORMER 部位特異的変異誘発キット(Clontech, Palo Alto, CA)のプロトコールに従い、pTrcAG プラスミドDNAに変異を導入して、復帰した野性型TaqPol 遺伝子(pTrcWT)を作製した。
野性型TaqPol 遺伝子を含む pTrcWT プラスミドDNAを、pTrc99A ベクターにクローニングし、QIAGEN Plasmid Maxiキット(QIAGEN、Chatsworth、CA)を用いて、製造元のプロトコールに従い、一晩培養したを200mlのJM109から精製した。次に、変異誘発用プライマーD785N(配列番号:257)(Integrated DNA Technologies)および選択プライマーであるスイッチ・オリゴヌクレオチド SpeI/AlwNI(Clontech, Palo Alto, CA, カタログ番号6373-1)を用いて、TRANSFORMER 部位特異的変異誘発キット(Clontech, Palo Alto, CA)のプロトコールに従い、pTrcWTに変異を誘発して、Taq DN ヌクレアーゼをコードするDNAを含むプラスミドを作製した。Taq DN ヌクレアーゼをコードするDNAを配列番号:258に、Taq DN ヌクレアーゼのアミノ酸配列を配列番号:259に示した。
2. 改変 TthPol遺伝子: Tth DN
上記のTthPolに変異を誘発することで Tth DN構築物を作製した。上記の部位特異的変異誘発により、787位にアスパラギン酸をコードする配列を、アスパラギンをコードする配列に変化させた。pTrcTth-2の変異誘発は以下のオリゴヌクレオチドを利用して実施した:
Figure 0005661071
これにより、プラスミド pTrcTthDNを作製した。変異体タンパク質、およびタンパク質をコードする核酸配列は、それぞれTthDN 配列番号:261および262とした。
3. Taq DN HTおよびTth DN HT
6残基のアミノ酸ヒスチジンを含むタグ(His-タグ)を、Taq DNおよびTth DNのカルボキシル末端に付加した。TRANSFORMER部位・部位特異的変異誘発キット(Clontech)用いて、製造元の説明書に従い、部位特異的変異誘発を実施した。プラスミド pTaq DNおよびpTth DNに用いた変異用オリゴヌクレオチドは、
配列117-067-03、
Figure 0005661071
配列136-037-05である。
いずれの変異誘発反応にも、選択プライマーであるトランスオリゴ AlwNI/SpeI(Clontech, カタログ番号6488-1)を用いた。得られた変異体遺伝子をTaq DN HT(配列番号:265、核酸配列;配列番号:266、 アミノ酸配列)およびTth DN HT(配列番号:267、核酸配列;配列番号:268、アミノ酸配列)と名付けた。
4. Taq DN HTおよびTth DN HTの精製
実施例2B2のようにして、Taq DN HTおよびTth DN HT タンパク質を大腸菌株 JM109で発現させた。硫安沈殿および遠心後、タンパク質ペレットを0.5mlのQ緩衝液(50mM トリス-HCl、pH8.0、0.1mM EDTA、0.1% Tween 20)に懸濁した。His-結合樹脂および緩衝液キット(Novagen)を用いて製造元の説明書に従い、親和性クロマトグラフィーにより、さらにタンパク質を精製した。1mlのHis-結合樹脂をカラムに移し、カラム 容積の3倍の滅菌水で洗浄した。5容量の1x チャージ緩衝液を載せ、3容量の1x 結合緩衝液で平衡化させた。4mlの1x 結合緩衝液をタンパク質試料に付加し、試料溶液をカラムに添加した。3mlの1x 結合緩衝液および3mlの1x 洗浄緩衝液で洗浄した後、結合したヒス-タグタンパク質を1mlの1x 溶出緩衝液で溶出した。次に、純粋な酵素を50%グリセロール、20mM トリス-HC1、pH8.0、50mM KCl、0.5%Tween20、0.5%ノニデットP40、100μg/ml BSAで透析した。279nmの吸収を測定し、酵素濃度を決定した。
実施例3
DNAポリメラーゼ・ドメインのN末端部分を転移することにより、TaqPolにTthPolのRNA依存性5'ヌクレアーゼ活性を付与することができる
A. DNAもしくはRNA標的鎖のいずれかを有する基質の構造の調製および精製
PerSeptive Biosystemsの装置を用いて標準なホスホアミダイト化学(Glen Research)により、下流プローブ(配列番号:162)および上流プローブ(配列番号:161)、ならびにIL-6 DNA(配列番号:163)(図10)標的鎖を合成した。 5'末端をビオチンで標識した合成RNA-DNAキメラ IrT 標的(図20A)を、2'-ACE RNA 化学(Dharmacon Research)を用いて合成した。製造元の説明書に従い酸触媒性加水分解で2'-保護基を除いた。5'末端が5'-フルオレセイン(F1)または5'-テトラクロロ-フルオレセイン(TET)で標識された下流のプローブを、Resource Q カラム(Amersham-Phannacia Biotech)を用いた逆相HPLCによって精製した。ヒトIL-6 cDNA(Mayら、Proc. Natl. Acad. Sci., 83:8957 [1986]に記載のヌクレオチド64〜691の配列)のクローン化した断片を、Megascriptキット(Ambion)を用いてT7 RNA ポリメラーゼでランオフ転写させることにより、648ヌクレオチド IL-6 RNA標的(配列番号:160)(図10)を合成した。最終的に、20%変性ポリアクリルアミドゲルによる分離後、主たるバンドを切り出し溶出させることにより、全オリゴヌクレオチドを精製した。260nmの吸収を測定し、オリゴヌクレオチド濃度を決定した。10mM MOPS、pH7.5、0.05%Tween20、0.05%NP-40および10 μg/ml tRNAを含む緩衝液中でビオチン標識した IrT 標的を、5倍過剰のストレプトアビジン(Promega)とともに室温10分間保温した。
B. キメラ作製のための制限酵素部位導入
下記のキメラタンパク質作製に用いた制限酵素部位は、便宜的に選択した。以下の例における制限酵素部位を、機能ドメインの結晶構造その他の解析で示された周囲の領域(図6、図7および図19参照)に配置するように設計した。天然もしくは部位特異的変異誘発法により作製した異なる部位を用いて、他の関連した生物由来のA型ポリメラーゼ遺伝子についても、同様な構築物を作製することができる。タンパク質機能に関していずれの変異もサイレントであることが好ましい。核酸配列およびタンパク質のアミノ酸配列を調べることによって、核酸配列に対応するアミノ酸配列に何らの影響も与えない変異を導入することができる。所望の核酸変異がアミノ酸に影響を与える場合には、新しいアミノ酸が置換したものと同一もしくは類似した性質になるように変化させることもできる。このような選択肢が可能でなければ、変異体酵素の機能を試験することによって、核酸の変化がタンパク質の活性、特異性もしくは機能に変化をもたらしたか否かについて調べることができる。本発明の改善した酵素を作製するために選択したもしくは導入した特定の制限酵素部位によって、本発明が限定されるものではない。
C. Tth DN RX HTおよびTaq DN RX HTの作製
変異誘発を実施し、特有な制限酵素部位を、Taq DN HTおよびTth DN HT 酵素の両方のポリメラーゼ・ドメイン中の3カ所に付加的に導入した。Clonetech のTransformer部位特異的変異誘発キットを用いて、製造元の説明書に従い、部位特異的変異誘発を実施した。記載される全ての変異誘発反応に、2種類の異なる選択プライマーであるトランスオリゴ AlwNI/SpeIまたはスイッチオリゴSpeI/AlwNI(Clontech, Palo Alto CA カタログ番号6488-1またはカタログ番号6373-1)のうちのいずれか一方を用いた。与えられた反応に利用する選択オリゴは、ベクター中の制限酵素部位の選択に依存する。変異誘発用プライマーは、いずれも標準的な合成化学で合成した。得られたコロニーは大腸菌株 JM109で発現した。
それぞれTaq DN HTおよびTth DN HT 遺伝子のセンス鎖に対応する変異誘発用プライマー
Figure 0005661071
を用いて、NotI部位(アミノ酸の328位)を生成させた。センス鎖変異プライマー
Figure 0005661071
を用いて、BstI(アミノ酸382位)およびNdeI(アミノ酸443位)部位を両方の遺伝子に導入した。変異体プラスミドを過剰発現し、Qiagen QiaPrep Spin Mini Prepキット(カタログ番号27106)を用いて精製した。DNAシーケンシングおよび制限酵素マッピングを用いて、制限酵素部位の存在に関してベクターを試験した。これらの構築物をTth DN RX HT(DNA配列、配列番号:273;アミノ酸配列、配列番号:274)およびTaq DN RX HT(DNA配列、配列番号:275;アミノ酸配列、配列番号:276)と名付けた。
D. キメラ
両遺伝子共通な制限エンドヌクレアーゼ部位EcoRI(E)およびBamHI(B);クローニング・ベクター部位SalI(S);および部位特異的変異誘発法により両遺伝子の相同な位置に導入した新規の部位NotI(N)、BstBI(Bs)、NdeI(D)で得られる相同なDNA断片を交換することによって、図19に示すキメラ構築物を作製した。これらキメラ酵素の作製においては、2種類の異なるDNA断片を一緒に連結して最終構築物を得る。プラスミド・ベクターおよびTaqまたはTth(または両方の一部)配列の一部を含むより大きいDNA断片を「ベクター」と呼ぶ。TaqまたはTth(または両方の一部)ポリメラーゼの配列を含むより小さいDNA断片を、「挿入物」と呼ぶ。
制限酵素はいずれもNew England BiolabsまたはPromegaから購入した。製造元の説明書に従い、添付の緩衝液を用いて反応を実施した。個々の酵素の至適温度で、反応当たり約500ngのDNAを20μlの容積で反応させた。酵素が反応緩衝液条件および反応温度に関して適合すれば、同時に2種類以上の酵素を単一反応(二重消化物)に用いた。緩衝液条件に関して酵素が不適合である可能性があれば、最も低い塩条件を必要とする酵素を最初に用いた。この反応が終了した後に、第二の酵素にとって至適もしくはより良い緩衝液条件に変え、第二の反応を実施した。これは、基礎分子生物学(Maniatis, 上記)の技術分野では公知の、通常利用される制限酵素消化の手順である。
連結効率が最適となるように、制限酵素消化した断片をゲルで単離した。2μlの10xローディング色素(50% グリセロール、1x TAE、0.5% ブロモフェノール・ブルー)を20μlの反応に添加した。全容量を添加し、100mlのアガロースゲル溶液当たり1μlの1%臭化エチジウム溶液を含む1%の1x TABアガロースゲルで泳動した。消化した断片をUV光下で可視化し、適当な断片(サイズで決定する)ゲルからを切り出した。次に、Qiagen Gel Extractionキット(カタログ番号28706)を用いて製造元の説明書に従い、これらの断片を精製した。
New England Biolabs(カタログ番号202L)のT4 DNAリガーゼ酵素を反応当たり400ユニットおよび添付の反応緩衝液用いて、10μlの容積でライゲーションを行った。Qiagenで精製した断片(各DNAは、約20〜50ngであるが、ゲルによる単離からの回収に依存する)のれぞれについて、1μlでライゲーション反応を室温で1時間実施した。次に、大腸菌株 JM 109をライゲーション産物で形質転換し、形質転換体の選択に関して100μg/mlのアンピシリンを含むLB等の適当な増殖・選択培地に播種した。
各連結反応に関して、所望の構築物の有無について6つの形質転換体を調べた。プラスミドDNAを精製し、QiaPrep Spin Mini Prepキットを用いて製造元の説明書に従い単離した。DNAシーケンシングおよび制限酵素マッピングを用いて、構築物を確認した。
キメラ酵素の発現および精製については、以下のように実施した。プラスミドを大腸菌株 JM109(Promega)に形質転換した。JM109の対数増殖期の培養物(200ml)を0.5mMのIPTG(Promega)で誘導し、さらに16時間培養した後、回収した。ペレットにした細胞を5mlの10mMトリス-HCl、pH8.3、1mM EDTA、0.5mg/mlリゾチーム中で、室温15分間保温することによって溶解し、可溶性タンパク質を含む粗抽出液を調製した。可溶化物を5mlの10mM トリス-HCl、pH7.8、50mM KCl、1mM EDTA、0.5%Tween20、0.5%ノニデットP-40と混合し、72℃で30分間加熱した。12,000xgで5分間遠心して、細胞のデブリスを除いた。タンパク質の最終精製は、Econo-Pacヘパリン・カートリッジ(Bio-Rad)およびDionex DX 500 HPLC装置を用いた親和性クロマトグラフィーで行った。簡単に説明すると、該カートリッジを50mM トリス-HCl、pH 8、1mM EDTAで平衡化し、酵素抽出液を同一の緩衝液に対して透析した。これをカラムに添加して、同一の緩衝液中のNaCl(0〜2M)の直線濃度勾配で溶出した。HPLC精製したタンパク質を透析し、50%(vol/vol)グリセロール、20mM トリス-HCl、pH8.0、50mM KCl、0.5%Tween 20、0.5%ノニデットP-40およびl00μg/ml BSAにて保存した。この酵素をSDS-PAGEで均一になるまで精製し、279nmの吸収を測定して酵素濃度を決定した。
1. TaqTth(N)およびTthTaq(N)の構築
この2種類の酵素のポリメラーゼ・ドメインを含む改変を、まず実施した。制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびNotIを用いてそれぞれの遺伝子を切断することによって、ポリメラーゼ・ドメイン(タンパク質のC末端部分)からヌクレアーゼ・ドメイン(タンパク質のN末端)を分離した。 Tth DN RX HT 遺伝子由来の約900塩基対の断片をTaq DN RX HT 遺伝子の相同な部位にクローニングした。また、Taq DN RX HT 遺伝子由来の約900塩基対の断片をTth DN RX HT 遺伝子の相同な部位にクローニングした。これにより、Taq DN RX HT 5'ヌクレアーゼ・ドメインおよびTth DN RX HT ポリメラーゼ・ドメインを含む(N)(DNA配列、配列番号:69;アミノ酸配列、配列番号:2)ならびにTth DN RX HT 5'ヌクレアーゼ・ドメインおよびTaq DN RX HT ポリメラーゼ・ドメインを含むTthTaq(N)(DNA配列、配列番号:70;アミノ酸配列、配列番号:3)の2種類のキメラが得られた。
2. TaqTth(N-B)の構築
Taq DN RX HT構築物を酵素NdeIおよびBamHIで切断し、上記の方法で、より大型のベクター断片をゲルにより単離した。また、Tth DN RX HT構築物をNdeIおよびBamHIで切断し、より小型の(約795塩基対)Tth断片をゲルで単離・精製した。上記の方法で、Tth NdeI-BamHI挿入物をTaq NdeI-BamHIベクターに連結し、TaqTth(N-B)(DNA配列、配列番号:71;アミノ酸配列、配列番号:4)を作製した。
3. TaqTth(B-S)の構築
Taq DN RX HT構築物を酵素BamHIおよびSalIで切断し、上記の方法で、より大型のベクター断片をゲルにより単離した。また、Tth DN RX HT構築物をBamHIおよびSalIで切断し、より小型の(約741塩基対)Tth断片をゲルで単離・精製した。上記の方法で、Tth BamHI-SalI挿入物をTaq BamHI-SalIベクターに連結し、TaqTth(B-S)(DNA配列、配列番号:72;アミノ酸配列、配列番号:5)を作製した。
4. TaqTth(N-D)の構築
Taq DN RX HT構築物を酵素NotIおよびNdeIで切断し、上記の方法で、より大型のベクター断片を単離した。また、Tth DN RX HT構築物をNotIおよびNdeIで切断し、より小型の(約345塩基対) Tth 断片をゲルで単離・精製した。上記の方法で、Tth NotI-NdeI挿入物をTaq NotI-NdeIベクターに連結し、TaqTth(N-D)(DNA配列、配列番号:73;アミノ酸配列、配列番号:6)を作製した。
5. TaqTth(D-B)の構築
Taq DN RX HT構築物を酵素NdeIおよびBamHIで切断し、上記の方法で、より大型のベクター断片を単離した。また、Tth DN RX HT構築物NdeIおよびBamHIで切断し、より小型の(約450塩基対)Tth 断片をゲルで単離・精製した。上記の方法で、Tth NdeI-BamHI挿入物をTaq NdeI-BamHIベクターに連結し、TaqTth(D-B)(DNA配列、配列番号:74;アミノ酸配列、配列番号:7)を作製した。
6. TaqTth(Bs-B)の構築
Taq DN RX HT構築物を酵素BstBIおよびBamHIで切断し、上記の方法で、より大型のベクター断片を単離した。また、Tth DN RX HT構築物をBstBIおよびBamHIで切断し、より小型の(約633塩基対) Tth 断片をゲルで単離・精製した。上記の方法で、Tth NdeI-BamHI挿入物をTaq NdeI-BamHIベクターに連結し、 TaqTth(Bs-B)(DNA配列、配列番号:75;アミノ酸配列、配列番号:8)を作製した。
7. TaqTth(N-Bs)の構築
Taq DN RX HT構築物を酵素 NotIおよびBstBIで切断し、上記の方法で、より大型のベクター断片を単離した。また、Tth DN RX HT構築物をNotIおよびBstBIで切断し、より小型の(約162塩基対) Tth 断片をゲルで単離・精製した。上記の方法で、Tth NotI-BstBI挿入物をTaq NotI-BstBIベクターに連結し、TaqTth(N-Bs)(DNA配列、配列番号:76;アミノ酸配列、配列番号:9)を作製した。
8. TthTaq(B-S)の構築
Tth DN RX HT構築物を酵素BamHIおよびSalIで切断し、上記の方法で、より大型のベクター断片を単離した。また、Taq DN RX HT構築物をBamHIおよびSalIで切断し、より小型の(約741塩基対)Tth断片をゲルで単離・精製した。Taq BamHI-SalI挿入物をTth BamHI-SalIベクターに連結し、TthTaq(B-S)(DNA配列、配列番号:77;アミノ酸配列、配列番号:10)を作製した。
9. Tth Taq(N-B)の構築
Tth DN RX HT構築物を酵素 NotIおよびBamHIで切断し、上記の方法で、より大型のベクター断片を単離した。また、Taq DN RX HT構築物をNotIおよびBamHIで切断し、より小型の(約795塩基対)Tth断片をゲルで単離・精製した。Taq NotI-BamHI挿入物をTth NotI-BamHIベクターに連結し、 TthTaq(N-B)(DNA配列、配列番号:78;アミノ酸配列、配列番号:11)を作製した。
これらキメラタンパク質の切断活性の特徴付けを、実施例1(A節)に記載した方法で行い、RNA標的に対する切断サイクリング速度の比較を図12に示した。「発明の説明」でさらに説明されるように、これらのデータは、TaqPolの一部を含むキメラタンパク質に対するTthPol様のRNA依存性切断活性の付与においては、TthPol タンパク質の中央3分の1に見いだされる要素が重要であることを示す。
実施例4
RNA依存性5'ヌクレアーゼ活性に影響を与える改変が、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性にも影響を与えるとは限らない
TthPolは、TaqPolより活性の高いRNA鋳型依存性DNAポリメラーゼであることが知られている(MyersおよびGelfand、Biochemistry 30:7661 [1991])。サーマスDNA Pol I 酵素のRNA鋳型依存性5'ヌクレアーゼ活性が、RNA依存性ポリメラーゼ活性に関与するか否かを調べる目的で、ポリメラーゼ欠損型TaqPolおよびTthPolの作製に利用したD785NおよびD787N変異を、それぞれ逆にした。TaqTth(N)(DNA配列、配列番号:79;アミノ酸配列、配列番号:12)、TaqTth(N-B)(DNA配列、配列番号:80;アミノ酸配列、配列番号:13)、TaqTth(B-S)(DNA配列、配列番号:81;アミノ酸配列、配列番号:14)キメラおよびTaqPol(W417L/G418K/ E507Q)(DNA配列、配列番号:82;アミノ酸配列、配列番号:15)変異体タンパク質は同様にポリメラーゼ活性を回復した。
選択したキメラもしくは変異体酵素に天然の非DN配列のBamHIからSalI までの断片を挿入することによって、上記の酵素変異体はいずれも、ポリメラーゼ機能を回復した。例えば、該変異体構築物 TaqTth(N-B)を制限酵素 BamHI(アミノ酸の約593位)および制限酵素SalI(アミノ酸の約840位)で切断する。実施例3Dの方法で、より大きいベクター断片をゲルによって精製した。また、天然の TaqPol構築物を制限エンドヌクレアーゼBamHIおよびSalIで切断し、天然のアミノ酸配列を含むより小さい挿入断片をゲルによって精製した。次に、挿入断片を実験例3Dに詳述するベクターに連結した。
ポリ(dA)もしくはポリ(A)鋳型の存在下で、フルオレセイン標識したdUTPでdT25-35オリゴヌクレオチド・プライマーを伸長させることによって、これらのタンパク質のポリメラーゼ活性を評価した。10mM MOPS、pH7.5、5mM MgSO4、100mM KClを含む10μl緩衝液中でプライマー伸長反応を実施した。10μMポリ(A)286もしくは1μMポリ(dA)273鋳型、ならびに45μM dTTPおよび5μM Fl-dUTP存在下で、40ngの酵素を用いて、60℃で30分間10μMの(dT)25-30プライマーを伸長させた。10μlの停止溶液(95% ホルムアミド、 10mM EDTA、0.02% メチルバイオレット色素)を用いて反応を停止した。試料(3μl)を15%アクリルアミド変性ゲルで分画し、Fl-dUTPを取り込んだ分画を、上記の505nmのフィルターを備えたFMBIO-100蛍光性ゲル・スキャナー(日立)を用いて定量した。
図16に示すように、本実験で用いた構築物ではいずれもDNA依存性ポリメラーゼの活性が非常に類似していたが、TthPol、TaqTth(N)およびTaqTth(B-S)のRNA依存性ポリメラーゼ活性はTaqPol、 TaqTth(N-B)およびTaqPol W417L/G418K/E507Q変異体の活性より、少なくとも6倍高い。これらの解析結果から、TthPolの高いRNA依存性DNAポリメラーゼ活性は、ポリメラーゼ・ドメイン(おおよそ、アミノ酸593〜830)のC末端側半分で決まり、RNA依存性5'ヌクレアーゼおよびポリメラーゼ活性は互いに独立であって、異なる領域によって制御されると結論付けることができる。
実施例5
キメラの検索から得られた情報によるTaq DN RX HTの特異的点突然変異体
キメラの検索(実施例3、上記)によれば、RNA依存性5'ヌクレアーゼの高い活性を決定するTthPol 配列の部分は、おおよそアミノ酸382および593の間に位置するBstBI-BamHI領域を含むことが示唆される。Tth DN RX HTおよびTaq DN RX HT(それぞれ配列番号:165および164)のBstBIおよびBamHI領域にあるアミノ酸配列を比較すると、僅か25残基の差が見いだされるに過ぎない(図13)。これらの中では、12アミノ酸の変化が保存性であり、13残基の違いが電荷の変化を生じる。キメラ酵素の解析により、Tth DN RX HT のBstBI-NdeI領域およびNdeI-BamHI領域の両方に重要な変異が存在することが示唆されることから、部位特異的変異誘発法を用いて、Tth DN RX HT 特異的アミノ酸を、それぞれTaqTth(D-B)およびTaqTth(N-D)のBstBI-NdeI領域およびNdeI-BamHI領域に導入した。
単回もしくは2回のアミノ酸変異誘発により、6つのTth DN RX HT 特異的置換をTaqTth(D-B)のBstBI-NdeI領域に導入した。同様に、12種類のTth DN RX HT 特異的アミノ酸変異を、TaqTth(N-D)のNdeI-BamHI領域の相同な位置に導入した。
いずれの変異誘発反応に関しても充分な出発材料を得るために、QIAGEN Plasmid Maxiキット(QIAGEN, Chatsworth, CA)を用い製造元のプロトコールに従って、一晩培養した200mlの JM109から、プラスミドDNAを精製した。いずれの部位特異的変異も、Transformer部位特異的変異誘発法キット(Clontechを用いて) 製造元のプロトコールに従って導入した。各部位に用いた変異誘発用プライマーの特異的配列情報は、下記に示した。記載される全ての変異誘発反応に、異なる2種類の選択プライマーの一方、トランスオリゴ AlwNI/SpeIもしくはスイッチオリゴ SpeI/AlwNI(Clontech, Palo Alto, CA カタログ番号6488-1またはカタログ番号6373-1)を使用した。与えられた反応に利用する選択オリゴは、ベクター中の制限酵素部位の選択に依存する。変異誘発用プライマーは、いずれも標準的な合成化学で合成した。大腸菌株 JM109でコロニーを得た。
1. TaqTth(D-B) E404H(DNA配列、配列番号:83;アミノ酸配列、配列番号:16)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99A TaqTth(D-B)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、E404H変異を導入した。
2. TaqTth(D-B) F413H/A414R(DNA配列、配列番号:84;アミノ酸配列、配列番号:17)の構築
DNA変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99A TaqTth(D-B)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、F413HおよびA414R変異を導入した。
3. TaqTth(D-B) W417L/G418K(DNA配列、配列番号:85;アミノ酸配列、配列番号:18)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99A TaqTth(D-B)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、W417LおよびG418K変異を導入した。
4. TaqTth(D-B) A439R(DNA配列、配列番号:86;アミノ酸配列、配列番号:19)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99A TaqTth(ND-B)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、A439R変異を導入した。
5. TaqTth(N-D)L451R(DNA配列、配列番号:87;アミノ酸配列、配列番号:20)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、L415変異を導入した。
6. TaqTth(N-D) R457Q(DNA配列、配列番号:88;アミノ酸配列、配列番号:21)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、L415Q変異を導入した。
7. TaqTth(N-D) V463L(DNA配列、配列番号:89;アミノ酸配列、配列番号:22)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、V463L変異を導入した。
8. TaqTth(N-D) A468R(DNA配列、配列番号:90;アミノ酸配列、配列番号:23)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、A468R変異を導入した。
9. TaqTth(N-D) A472E(DNA配列、配列番号:91;アミノ酸配列、配列番号:24)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、A472E変異を導入した。
10. TaqTth(N-D) G499R(DNA配列、配列番号:92;アミノ酸配列、配列番号:25)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTfh(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、G499R変異を導入した。
11. TaqTth(N-D) E507Q(DNA配列、配列番号:93;アミノ酸配列、配列番号:26)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、E507Q変異を導入した。
12. TaqTth(N-D) Y535H(DNA配列、配列番号:94;アミノ酸配列、配列番号:27)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、Y535H変異を導入した。
13. TaqTth(N-D) S543N(DNA配列、配列番号:95;アミノ酸配列、配列番号:28)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、S543N変異を導入した。
14. TaqTth(N-D) I546V(DNA配列、配列番号:96;アミノ酸配列、配列番号:29)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、I546V変異を導入した。
15. TaqTth(N-D) D551S/I553V(DNA配列、配列番号:97;アミノ酸配列、配列番号:30)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いてpTrc99AtaqTth(N-D)DNAの部位特異的変異誘発を実施し、D551SおよびI553V変異を導入した。
16. TaqDN RX HT W417L/G418K/E507Q(DNA配列、配列番号:98;アミノ酸配列、配列番号:31)の構築
TaqTth(D-B)W417L/G418K をTaqTth(N-D) E507Qと組み合わせることによって、TaqDN RX HT W417L/G418K/E507Q の三重変異体を作製した。TaqTth(D-B)W417L/G418Kを制限酵素NdeIおよびBamHIで切断し、実施例3に詳述した方法で、より大型のベクター断片を単離した。また、TaqTth(N-D) E507Q構築物をNdeIおよびBamHIで切断し、実施例3詳述した方法で、小型の(約795塩基対) 断片をゲルで単離・精製した。実施例3詳述した方法で、NdeI-BamHI挿入物をゲルで精製したベクターに連結した。
17. TaqDN RX HT W417L/E507Q(DNA配列、配列番号:99;アミノ酸配列、配列番号:32)の構築
上記のTaqDN RX HT W417L/G418K/E507Qから出発し、変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、部位特異的変異誘発反応を実施し、アミノ酸418位のKを、野生型アミノ酸Gに戻した。Transformer部位特異的変異誘発キット(Clonetech)を用いて製造元の説明書に従い、実験例4に記載する方法で部位特異的変異誘発を実施した。
18. TaqDN RX HT G418K/E507Q(DNA配列、配列番号:100;アミノ酸配列、配列番号:33)の構築
上記のTaqDN RX HT W417L/G418K/E507Qから出発し、変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、部位特異的変異誘発反応を実施し、アミノ酸417位のLを、野生型アミノ酸Wに戻した。Transformer部位特異的変異誘発キット(Clonetech)を用いて製造元の説明書に従い、実験例4に記載する方法で部位特異的変異誘発を実施した。
実施例3に詳述する方法で、変異体タンパク質の発現および精製を行い、これらタンパク質の切断活性の特徴付けは、実施例1A節)に記載する方法で実施した。RNA標的に対する、これら変異体タンパク質の選択の切断サイクリング速度の比較を図14に示した。「発明の説明」でさらに、説明されるように、これらのデータは、RNA依存性活性(すなわち、 Tth のD-BおよびN-D部分)を独立に高めることのできないTthPolの部分との組み合わせでTaqPolの一部を含むキメラタンパク質に対するTthPol様のRNA依存性切断活性を付与するためには、領域417/418およびアミノ酸507のアミノ酸が重要であることを示す。「発明の説明」に記載されているように、W417L、 G418KおよびE507Q 置換のみを含む Taq DN RX HT 変種を作製した。実施例1に記載の方法で、IL-6 RNA基質に対する Tth DN RX HTの切断速度を比較することによって、これらの変異がTaq DN RX HT 活性をTfh DN RX HT レベルまで充分増加させることを明らかにした。図15、Taq DN RX HT W417L/G418K/E507QおよびTaq DN RX HT G418K/E507Q変異体がTth DN RX HT より1.4倍高い活性を有し、Taq DN RX HTよりも4倍高い活性を示すが、Taq DN RX HT W417L/E507Q変異体がTaq DN RX HTより3倍高い酵素活性を有することを表している。これらの結果は、TthPolのK418およびQ507は、TaqPolと比較してより高いRNA依存性5'ヌクレアーゼ活性を提供する、特に重要なアミノ酸であることを示している。
実施例6
Taq DN RX HT G418K/E507Q 5'ヌクレアーゼのRNA依存性5'ヌクレアーゼとしての性質は、最適な塩および温度に関してTth DN RX HTに類似している
G418K/E507Q変異が、RNA標的の切断速度の増加に加えて、Taq DN RX HT変異体に有意な性質の変化をもたらしたか否かを調べる目的で、温度と塩濃度および二価イオンが異なるアッセイ条件下で、RNA鋳型依存性5'ヌクレアーゼ・アッセイ法によって、 Taq DN RX HT G418K/E507Q(配列番号:33)、Taq DN RX HT(配列番号:276)、およびTth DN RX HT(配列番号:274) 酵素を比較した。図20Aに示すように、本試験で用いる上流のDNAおよび基質の鋳型RNA鎖は、単一IrT分子(配列番号:166)に結合させた。標識した下流のプローブ(配列番号:167)は大過剰であった。標的RNA鎖の5'末端をビオチン-ストレプトアビジン複合体でブロッキングし、反応中に酵素によって非特異的分解が起こることを防いだ(Lyamichevら、Science 260:778 [1993], Johnsonら、Science 269:238 [1995])。図20Bに、Taq DN RX HT G418K/E507Q、Taq DN RX HTおよびTth DN RX HTの切断速度を温度の関数としてプロットした。黒丸はTaq DN RX HT酵素を表す。白丸はTth DN RX HT酵素を表し、XsはTaq DN RX HT G418K/E507Q 酵素を表す。IrT基質に対する TthおよびTaq DN RX HT 酵素の活性の差は、実施例1に記載された切断アッセイ法で試験した場合のIL-6 RNA基質における差よりさらに大きい。G418K/E507Q変異は、Taq 酵素の活性を10倍以上増加させ、Tth 酵素と比較して25%増加させる。3種類の酵素はいずれも、切断シグナル増幅反応および同一の至適温度に関する典型的な温度プロフィールを示す。同一条件下では、IrT(配列番号:168)に対するDNA基質類似体のいずれにおいても、G418K/E507Q変異は、Taq DN RX HTのDNA依存性5'ヌクレアーゼ活性に対して有意な効果を示さなかった。
IrT基質に対するTaq DN RX HT G418K/E507Q、Taq DN RX HTおよびTth DN RX HTの5'ヌクレアーゼ活性における、KClおよびMgSO4濃度の効果については、図20CおよびDに示した。いずれの酵素の活性も類似した塩依存性を示し、至適KCl濃度は、Taq DN RX HT G418K/E507QおよびTth DN RX HTについては100mMであり、Taq DN RX HTについては50mMであった。いずれの酵素に対しても至適MgSO4濃度は、約8mMであった。図20のデータの解析によれば、Taq DN RX HT G418K/E507Qの性質は、Taq DN RX HTよりもTth DN RX HTの性質により近く、RNA標的に対する基質の認識において、G418K/E507Q変異が重要な役割を占めることを示唆する。
RNA対DNA標的の存在下で5'ヌクレアーゼ活性が低下する機構を明らかにするために、過剰のIrT基質(配列番号:166)および下流のプローブ(配列番号:167)を用い、一定の酵素濃度で、これら3種類の酵素のミカエリス定数(Km)および最大触媒速度(kcat)を決定した。これらの測定に関しては、10μlの反応液の組成としては、10mM MOPS、pH7.5、0.05%Tween20、0.05%ノニデットP-40、10μg/ml tRNA、4mM MgCl2、1nMの酵素(Taq DN RX HT, Tth DN RX HTまたはTaq DN RX HT G418K/E507Q)およびIrT 標的および下流のプローブの等モル混合物異なる濃度(0.125μM、0.25μMおよび0.5μMまたは1μM)で含む。各酵素および各基質濃度における切断の動力学は46℃で測定した。反応は、10mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレット(Sigma)を含む95%のホルムアミドを10μl添加することによって停止した。停止した消化反応液の各1μlを、45mM トリス-ホウ酸、pH 8.3、1.4mM EDTA緩衝液中で、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)を用いて分画した。ゲルは、585nmフィルターを用いたFMBIO-100蛍光性ゲルス・キャナー(日立)上で走査した。切断産物の分画(FMBIO 解析ソフトウェア(バージョン6.0(日立)を用いて非切断のおよび切断基質に対応するバンドの強度から決定した)を、反応時間の関数としてプロットした。初期切断速度は、切断動力学の直線部から決定し、切断産物濃度を酵素濃度および反応時間(分の単位で)で除したものと定義した。IrT基質に対する各酵素のミカエリス定数Kmおよび最大触媒速度kcatを基質濃度の関数としての切断初速度のプロットから決定した。
これら3種類の酵素は類似したKm値(200〜300nMの範囲)およびkcat値を有し、Taq DN RX HTおよびTth DN RXHTに関してはおおよそ4分-1、Taq DN RX HT G418K/E507Qに関してはおおよそ9分-1であることが明らかになった。G418K/E507Q変異はTaq DN RX HTのkcatを2倍位以上増加させるが、Kmに対してほとんど効果を示さないことは、変異によって切断により適切な位置に基質を配置するよりも、むしろ単純に結合定数を増加させることを示唆する。
実施例7
RNA依存性5'ヌクレアーゼ活性をさらに改善するための分子モデリングの利用
A. 点変異体
機能の変化した酵素を得るために、予め決まった位置の部位特異的変異誘発法もしくはランダム変異誘発法で配列に変異を導入した。キメラ試験の結果、関係する開示文献および分子モデリングに基づいて、部位特異的変異誘発の位置を選択した。上記で説明した二つのTth DN RX HT 酵素およびTaq DN RX HT 酵素から、それぞれさらに7種類の変異体酵素および20種類の変異体酵素を作製した。いくつかの変異体酵素は、複数の変異誘発法反応によって得た。すなわち2カ所以上の変異を導入して最終産物を得た。他で特記しない限り、実施例2C2に記載のTth DN RX HT構築物(配列番号:273)または実施例2C1に記載のTaq DN RX HT構築物(配列番号:275)を用いて変異反応を実施した。いずれの変異誘発反応に関しても充分な出発材料を得るために、QIAGEN Plasmid Maxiキット(QIAGEN, Chatsworth, CA)を用いて製造元のプロトコールに従って、一晩培養した200mlのJM109からプラスミドDNAを精製した。いずれの部位特異的変異も、Transformer部位特異的変異誘発法キット(Clontech)を用いて製造元のプロトコールに従って導入した。記載される全ての変異誘発反応に、2種類の異なる選択プライマーであるトランスオリゴ AlwNI/SpeIまたはスイッチオリゴSpeI/AlwNI(Clontech, Palo Alto CA カタログ番号6488-1またはカタログ番号6373-1)のうちのいずれか一方を用いた。与えられた反応に利用する選択オリゴは、ベクター中の制限酵素部位の選択に依存する。部位特異的変異誘発およびランダム変異誘発の変異誘発用プライマーは、いずれも標準的な合成化学で合成した。それぞれの反応に関して得られたコロニーは大腸菌株 JM109で発現した。ランダム突然変異誘発法を以下に説明する。
変異体は、実施例1に詳述される迅速スクリーニング・プロトコールで試験した。次に、より詳細な分析が必要な場合、もしくはより大規模なタンパク質調製が必要な場合には、実施例3に詳述される方法で、変異体タンパク質を発現および精製した。
1. Tth DN RX HT H641A、Tth DN RX HT H748A、Tth DN RX HT H786Aの構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、pTrc99A Tth DN RX HT DNAの部位特異的変異誘発を実施し、H641A変異(DNA配列、配列番号:101;アミノ酸配列、配列番号:34)を導入した。あるいは、変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、H748A変異体(DNA配列、配列番号:102;アミノ酸配列、配列番号:35)を作製した。あるいは、変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、H786A変異体酵素(DNA配列、配列番号:103;アミノ酸配列、配列番号:36)を作製した。
2. Tth DN RX HT(H786A/G506K/Q509K)の構築
上記で作製した変異体 Tth DN RX HT H786Aから出発して、変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、部位特異的変異誘発を実施し、「TthAKK」(DNA配列、配列番号:104;アミノ酸配列、配列番号:37)と命名した変異体を作製した。
3. Taq DN RX HT(W417L/G418K/E507Q/H784A)の構築
突然変異誘発性オリゴヌクレオチド
Figure 0005661071
を用いて、部位特異的変異誘発反応を実施し、H784A変異を導入し、「Taq4M」(DNA配列、配列番号:105;アミノ酸配列、配列番号:38)と命名した変異体を作製した。
4. Taq4M H639A、Taq4M R587A、Taq4M G504KおよびTaq4M G80Eの構築
プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq4M変異体に部位特異的変異誘発を実施し、Taq 4M H639A変異体(DNA配列、配列番号:106;アミノ酸配列、配列番号:39)を作製した。また、プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq 4M R587A(DNA配列、配列番号:107;アミノ酸配列、配列番号:40)を作製した。また、プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq 4M G504K(DNA配列、配列番号:108;アミノ酸配列、配列番号:41)を作製した。また、プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq 4M G80E変異体(DNA配列、配列番号:109;アミノ酸配列、配列番号:42)を作製した。
5. Taq 4M P88E/P90EおよびTaq 4M L109F/A110Tの構築
上記のTaq 4M から出発して、部位特異的変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、部位特異的変異誘発を実施し、P88E/P90E変異(DNA配列、配列番号:110;アミノ酸配列、配列番号:43)を作製した。また、プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、L109F/A110T変異(DNA配列、配列番号:111;アミノ酸配列、配列番号:44)を作製した。
6. Taq DN RX HT(W417L/G418K/G499R/A502K/I503L /G504K/ E507K/H784A)の構築
まず構築物 Taq4M(Taq W417L/G418K/G504K/E507Q/H784A)を鋳型として用いて、2種類のPCR反応を実施した。プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、620塩基対のPCR断片が得られた。プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、別の510塩基対のPCR産物が得られた。この2種類のPCR産物は、外側のプライマー158-84-01および330-06-03を用いて最終的に組換えPCR増幅を実施すると1182塩基対産物が得られるような重複を有している。製造元の説明書に従い、組換えPCR産物を制限酵素 NotIおよびBamHIで消化して、793塩基対の断片を得た。また、元のプラスミド Taq4Mを同一の酵素で消化して、用いた連結用ベクターとして用いた。いずれのDNA断片も、連結前に、TAEアガロースゲルによって精製した。断片をベクターに連結し、JM109 細胞を形質転換した。このようにして、変異G499R、A502K、I503LおよびE507K、ならびに制限エンドヌクレアーゼ部位、AgeIを導入した。この構築物を「Taq 8M」(DNA配列、配列番号:112;アミノ酸配列、配列番号:45)と命名した。
B. ランダム変異誘発
ランダム変異誘発法で機能が変化した多数の酵素を作製した。ランダム変異誘発法において標的とするタンパク質領域は、分子モデリングのデータおよび文献情報に基づいて選択した。異なる変異誘発用プライマーを用いて、タンパク質の異なる領域に変異を導入した。上記のTaq変異体である Taq 4M G504K(Taq DN RX HT W417L/G418K/G504K/E507Q/H784A/)(配列番号:108)にランダム突然変異誘発を実施し、他で特記しない限り、Taq8M(配列番号:112)について変異誘発反応で作製した変異体PCR断片の相同領域を交換した。
また、上記のTth DN RX HT H786A(配列番号:103)について、ランダム突然変異誘発を実施した。Tth DN RX HT H786A 鋳型から作製した変異体PCR断片相同領域、もとのTth DN RX HT H786Aのものと交換した。
1.アミノ酸残基500〜507位または513〜520位におけるランダム変異体
第一の変異オリゴヌクレオチド:
Figure 0005661071
を、
Figure 0005661071
と共に用いて、Taq ポリメラーゼ変異体Taq DN RX HT W417L/G418K/G504K/E507Q/H784A(配列番号:108)のアミノ酸の500位から507位にランダムな残基を導入した。括弧内の塩基の91%のみが不変であり、残りの9%の塩基が他の3種類の塩基の混合物となるようにプライマー 535-054-01を合成することによって、これを達成した。このオリゴの最初の不変な配列は、G499R、A502KおよびQ507K変異を含む。
500〜507の領域に変異を導入する目的で、プライマー535-054-01およびプライマー158-84-01、およびAdvantage cDNA PCRキット(Clonetech)、また上記のTaq変異体を標的としてPCR反応に用いた。次に、このPCR断片を1%TAEアガロースゲルで泳動し、切り出して、QIAquick Gel Extractionキット(Qiagen, Valencia CA, カタログ番号28706)で精製した。精製した断片をNotIおよびAgeIで切断し、NotIおよびAgeIで直鎖状にしたpTaq8Mに連結した。JM109大腸菌細胞(Promega)を得られた産物で形質転換した。下に記載した方法で、クローンを試験した。
第二の突然変異オリゴヌクレオチド(異なる反応中で用いられる):
Figure 0005661071
を、
Figure 0005661071
と共に用いて、アミノ酸513-520のランダムな残基に導入した。また、プライマー535-054-02の括弧内の塩基は、91%のみが野性型で、おのおの3%が残りの3種類のヌクレオチドである。
513-520の領域に変異を導入する目的で、プライマー 535-054-02およびプライマー535-054-02、ならびに鋳型として上記のTaq DN RX HT W417L/G418K/G504K/ E507Q/H784A(配列番号:108)をPCR反応に用いた。上記のようにして、得られたPCR断片を精製し、制限酵素 AgeIおよびBamHIで切断した。次に、切断した断片を、AgeIおよびBamHIで直鎖状にしたTaq8M構築物に連結した。連結産物でJM109大腸菌細胞を形質転換した。実施例1に記載した方法で、クローンを試験した。これらから作製した変異体は、以下のものである。Taq DN RX HT W417L/G418K/G499R/A502K/K504N/E507K/H784A(Ml-13)(DNA配列、配列番号:113;アミノ酸配列、配列番号:46)。Taq DN RX HT W417L/G418K/G499R/L500I/A502K/G504K/Q507H/H784A(Ml-36)(DNA配列、配列番号:114;アミノ酸配列、配列番号:47)。Taq DN RX HT W417L/G418K/G499R/A502K/I503L/G504K/E507K/T514S/H784A.(M2-24)(DNA配列、配列番号:115;アミノ酸配列、配列番号:48)。Taq DN RX HT W417L/G418K/G499R/A502K/I503L/G504K/E507K/ V518L/H784A(M2-06)(DNA配列、配列番号:116;アミノ酸配列、配列番号:49)。
2. TthDN RX HT H786A ランダム変異誘発法
TthDN RX HT H786A(配列番号:36)酵素のヘリックス-ヘアピン-ヘリックス領域の変異体を作製する目的で、鋳型としてH786A(配列番号:103)変異体を用いて異なる2種のPCR上記反応を実施した。組換えPCR上記反応が実施可能に、2種のPCR産物を重複させる(Higuchi、「PCR技術(PCR Technology)」, H. A. Eriich編、Stockton Press、New York. pp6l-70 [1989])。次に、断片の末端およびTthDN H786A 配列内に位置する制限酵素部位を用いて、この最終的なPCR産物を、TthDN H786A変異体の相同領域と交換した。
上記のTthDN H786A から出発して、プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、620塩基対のPCR断片が得られた。Advantage cDNA PCRキット(Clontech)を用いて製造元の説明書に従い、PCR反応を実施した。このPCR産物は、アミノ酸1〜194位を含む。この反応によっては、変異は何も導入されないが、EcoRI制限酵素部位が5'末端に存在する。
上記のTthDN RX HT H786Aから出発して、変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、787塩基対のPCR断片を作製した。PCR反応は上記のように実施した。この断片は、変異誘発用プライマー604-08-05によりランダム変異を含む。配列の91%が野性型で、残りの9%が残りの3種類の塩基を均等に有するように、このプライマーの括弧内の塩基を合成した。
この2種類の断片は重複を有しており、組換えPCR反応で結合させた。プライマー390-76-08および209-74-02を添加し、製造元の説明書に従いAdvantage cDNA PCRキット(Clontech)を用いた。1380塩基対の産物は、この反応で生成した。
製造元の説明書に従い、組換えPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、986塩基対の断片を得た。同一の酵素で切断することによって、TthDN RX HT H786A を調製した。次に、断片をベクターに連結し、JM109 細胞を形質転換した。この反応セットから作製した新規の変異体は以下のものを含む。TthDN RX HT H786A/P197R/K200R(DNA配列、配列番号:117;アミノ酸配列、配列番号:50)。TthDN RX HT H786A/K205Y(DNA配列、配列番号:118;アミノ酸配列、配列番号:51)。TthDN RX HT H786A/G203R(DNA配列、配列番号:119; アミノ酸配列、配列番号:52)。
3. Taq DN RX HT W417L/G418K/H784A L109F/A110T/G499R/A502K/I503L/G504K/E507K/T514S(Taq SS)の構築
上記のTaq DN RX HT W417L/G418K/G499R/A502K/I503L/G504K/E507K/T514S/H784A(配列番号:115)変異体から出発し、プライマー:
Figure 0005661071
を適当な選択プライマーと共に用い、部位特異的変異誘発反応を実施して、L109FおよびA110T変異を導入し、この「TaqSS」(DNA配列、配列番号:120;アミノ酸配列、配列番号:53)と命名した酵素を作製した。
4. Taq DN RX HT W417L/G418L/H784A P88E/P90E/G499R/A502K/I503L/G504K/E507K/T514Sの構築
上記のTaq DN RX HT W417L/G418K/G499R/A502K/I503L/G504K/E507K/T514S/H784A(配列番号:115)変異体から出発し、プライマー:
Figure 0005661071
を適当な選択プライマーと共に用い、部位特異的変異誘発反応を実施し、P88EおよびP90E変異を導入して、この酵素(DNA配列、配列番号:121;アミノ酸配列、配列番号:54)を作製した。
5. TaqSS ランダム変異誘発法
ランダム突然変異生成を用いて、TaqSS変異体(配列番号:120)のヘリックス-ヘアピン-ヘリックス・ドメインに付加的変化を導入する。上記の実施例9の方法で、変異誘発を実施した。第一の工程では、重複を有する異なる2種類のPCR産物を生成させた。オリゴ390-76-08(配列番号:314)および
Figure 0005661071
を利用して、PCR産物の一方は、断片にEcoRI部位を導入したが変異は導入しなかった。第二のPCR産物では、変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびプライマー209-74-02(配列番号:316)を利用した。この断片は、ランダム点突然変異を含み、組換えPCRを第一の断片と組み合わせた場合には、制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、同様にEcoRIおよびNotIで切断したTaqSS構築物に連結した。次に、連結した構築物でJM109を形質転換した。下記のようにして、コロニーをスクリーニングした。この変異誘発で得た酵素は以下のものを含む。TaqSS K198N(DNA配列、配列番号:112;アミノ酸配列、配列番号:55)。TaqSS A205Q(DNA配列、配列番号:123;アミノ酸配列、配列番号:56)。TaqSS I200M/A205G(DNA配列、配列番号:124;アミノ酸配列、配列番号:57)。TaqSS K203N(DNA配列、配列番号:125;アミノ酸配列、配列番号:58)。TaqSS T204P(DNA配列、配列番号:126;アミノ酸配列、配列番号:59)。
6. TaqSS R677Aの構築
酵素のアーチ領域およびポリメラーゼ領域の両方に配列変異を導入する目的で、TaqSSに別の特異的点突然変異を導入した。オリゴ:
Figure 0005661071
を用いて、上記のように、部位特異的変異誘発を実施して、TaqSS R677A変異体(DNA配列、配列番号:127;アミノ酸配列、配列番号:60)を作製した。
7. TaqTthAKK(DNA配列、配列番号:128;アミノ酸配列、配列番号:61)およびTthTaq5M(DNA配列、配列番号:129;アミノ酸配列、配列番号:62)の構築
Tth DN RX HT(H786A/G506K/Q509K)(配列番号:104;ここではTthAKKと略記される)またはTaq 4M G504(配列番号:108;ここではTaq 5Mと略記される)を制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびNotIで切断して、キメラ変異体 TaqTthAKKおよびTthTaq5M を作製した。実施例3Dに詳述した方法で、より小さい挿入断片とより大きいベクター断片をゲルによって精製した。実施例3Dに記載の方法で、二つの変異体間で挿入断片を交換し連結した。構築物配列のスクリーニングおよび確認は、実施例3Dで実施した。
実施例8
他のポリメラーゼのRNA依存性 5'ヌクレアーゼ活性の改善
TaqPoI/TthPolの組換え、変異誘発法およびモデリングから得た情報を用いて、別のDNAポリメラーゼについて同様な変異を作製し、これらの酵素の切断活性に対する効果を検討した。実施例2に記載の方法で、サーマス・フィリフォルミス(TfiPol)およびサーマス・スコトダクタス(TscPol)のDNAポリメラーゼをクローニングし、精製した。これら2種類のタンパク質の変異誘発について下記に説明する。
A. TfiPolDN2Mの構築
QuikChange部位特異的変異誘発キット(Stratagene)を用いて製造元のプロトコールに従い、pTrc99a-TfiPol(配列番号:249)の変異誘発を実施した。以下の2種類のオリゴヌクレオチドを用いて、P420K変異を導入した:
Figure 0005661071
以下の2種類のオリゴヌクレオチドを用いて、E507Q変異を導入した:
Figure 0005661071
以下の2種類のオリゴヌクレオチドを用いて、D785N変異を導入した:
Figure 0005661071
これら3種類の変異をすべて含むプラスミドを、pTrc99a-TfiPolDN2M(DNA配列、配列番号:130;アミノ酸配列、配列番号:63)と命名した。
B. TscPolDN2Mの構築
QuikChange部位特異的変異誘発キット(Stratagene)を用いて製造元のプロトコールに従い、pTrc99a-TscPol(配列番号:253)の変異誘発を実施した。以下の2種類のオリゴヌクレオチドを用いて、E416K変異を導入した:
Figure 0005661071
以下の2種類のオリゴヌクレオチドを用いて、E505Q変異を導入した:
Figure 0005661071
以下の2種類のオリゴヌクレオチドを用いて、D783N変異を導入した:
Figure 0005661071
これら3種類の変異をすべて含むプラスミドを、pTrc99a-TscPolDN2M(DNA配列、配列番号:131;アミノ酸配列、配列番号:64)と命名した。
C. Tsc、Tfi、TthおよびTaq変異体のキメラ
1. TfiTth AKK(DNA配列、配列番号:132;アミノ酸配列、配列番号:65)、TscTthAKK(DNA配列、配列番号:133;アミノ酸配列、配列番号:66)、TfiTaq5M(DNA配列、配列番号:134;アミノ酸配列、配列番号:67)およびTscTaq5M(DNA配列、配列番号:135;アミノ酸配列、配列番号:68)の構築
Tth DN RX HT(H86A/G506K/Q509K)(ここではTthAKKと略記される、配列番号:104)またはTaq 4M G504(ここではTaq 5Mと略記される;配列番号:108)およびTfi DN 2M(配列番号:130)またはTsc DN 2M(配列番号:131)間でキメラ酵素を作製する目的で、部位特異的変異誘発法により、別の制限エンドヌクレアーゼ部位をTfiおよびTsc と命名した変異体に導入した。突然変異誘発プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Tfi DN 2Mのアミノ酸の1位にEcoRI部位およびアミノ酸の331位にNotI 部位を導入した。変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Tsc DN 2Mのアミノ酸の1位にEcoRI部位およびアミノ酸の327位にNotI 部位を導入した。Advance cDNA PCRキット(Clonetech)を用いて製造元の説明書に従い、標的としてTfi DN 2Mまたは Tsc DN 2Mを用いて対応するプライマーでPCR反応を行った。1017塩基対のPCR産物をEcoRIおよびNotIの両方で切断し、実施例3Dの方法でゲルによって精製した993塩基対の挿入断片を得た。また、変異体 Taq4M G504K(配列番号:108)およびTm DN RX HT(H786A/G506K/Q509K)(配列番号:104)をEcoRIおよびNotIで切断し、より大きいベクター断片を上記のようにゲルで単離した。実施例3Dに詳述される方法で、ライゲーションを行い、新しい構築物のスクリーニングおよび確認を実施した。
実施例9
改善したRNA依存性5'ヌクレアーゼ活性を有する別の酵素
Tfi DN 2M(ΔN)の生成
後のクローニング工程を促進するため、TfiPolDN2M 遺伝子(実施例8Aに記載の配列番号:130)のポリメラーゼ領域から内因性制限酵素部位(NotI)を除き、特有なNotI部位をより有利な位置に挿入した。
内因性NotI部位は次のように除いた。変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
とQUIKCHANGE 部位特異的変異誘発キット(Stratagene)用い、製造元の説明書に従って実施した。新しい構築物を、Tfi DN 2M(ΔN)(DNA配列、配列番号:340;アミノ酸配列、配列番号:341)と命名した。
Tfi DN 2M(N)、Tsc DN 2M(N)の調製
Tfi DN 2M(ΔN)(配列番号:340)に特有なNotI部位(アミノ酸の328位)を導入する目的で、プライマー:
Figure 0005661071
と、鋳型としてTfi DN 2M(ΔN)(配列番号:340)をPCR上記反応で用いた。得られたPCR断片を精製し、制限酵素 NotIおよびSalIで切断した。次に、切断した断片を、NotIおよびSalIで消化して構築物 TfiTthAKK(実施例8Cに記載の配列番号:132)に連結した。新しい構築物は、Tfi DN 2M(N)(DNA配列、配列番号:345;アミノ酸配列、配列番号:346)と命名した。
変異体 TscPol DN 2M(上記の実施例8Bに記載されている)にNotI制限エンドヌクレアーゼ部位を導入する目的で、プライマー:
Figure 0005661071
と、鋳型としてTscPolDN2M(配列番号:131)を用いてPCRを実施した。次に、PCR産物をNotI-SalIで消化した断片を、NotIおよびSalIで消化したTscTmAKK ベクター(配列番号:133)にサブクローニングした。得られた構築物を、Tsc DN 2M(N)(DNA配列、配列番号:347;アミノ酸配列、配列番号:348)と命名した。
Tfi DN 2M(N)AKKおよびTsc DN2M(N)AKKの調製
「AKK」変異セット(G504K/E507K/H784A/D785N)を導入する目的で、Tfi DN 2M(N)変異体(DNA配列、配列番号:345)の部位特異的変異誘発を実施した。プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Tfi 2M(N)AKK変異体(DNA配列、配列番号:358;アミノ酸配列、配列番号:359)を作製した。この構築物を「TfiAKK」と命名した。
TscDN 2M(N)構築物(DNA配列、配列番号:347)に、「AKK」変異セット(G502K/E505K/H782A/D783N)を導入する目的で、プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Tsc2M(N)AKK(DNA配列、配列番号:346;アミノ酸配列、配列番号:365)を作製した。この構築物を、「Tsc AKK」と命名した。
組換えPCRによる点突然変異体の構築
TthAKK(P195A)およびTthAKK(P195K)の構築
TthAKK構築物のヌクレアーゼ・ドメインにおけるアミノ酸の195位(P195AまたはP195K)に変異を導入する目的で、変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびプライマー:
Figure 0005661071
をPCR反応に用いて、787塩基 対の断片を調製した。プライマー:
Figure 0005661071
と、同一鋳型を反応に用いて別のPCR断片を得た。
この2種類の断片は重複を有しており、組換えPCR反応で結合させた。外側のプライマー390-076-08および209-074-02を添加し、製造元の説明書に従いAdvantage cDNA PCRキット(Clontech)を用いた。この反応によって1380塩基対の産物が生成した。
組換えPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、986塩基対の断片を得た。同一の酵素で切断してTthAKK構築物を調製した。次に、断片をベクター連結し、JM109 細胞を形質転換した。この反応セットから作製した新規の変異体は、TthAKK(P195A)(DNA配列、配列番号:373;アミノ酸配列、配列番号:374)およびTthAKK(P195K)(DNA配列、配列番号:375;アミノ酸配列、配列番号:376)を含む。
TthAKK(N417K/L418K)の構築
同一の方法を用いて、TthAKK(N417K/L418K)を構築した。変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
2種類の重複PCR断片を生成させた。該2種類の産物を組み合わせ、外側のプライマー700-10-03および158-084-01で増幅した。組換えPCR産物を、制限酵素 NotIおよびBamHIで切断し、NotI/BamHIで予め切断した TthAKK構築物に連結した。この変異体を、TthAKK(N417K/L418K)(DNA配列、配列番号:379;アミノ酸配列、配列番号:380)と命名した。
部位特異的変異誘発による別の TthAKK点突然変異体の構築
TthAKK(P255L)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TthAKK構築物に部位特異的変異誘発を実施し、TthAKK(P255L)(DNA配列、配列番号:383;アミノ酸配列、配列番号:384)を作製した。
TthAKK(F311Y)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TthAKK構築物に部位特異的変異誘発を実施し、TthAKK(F311Y)(DNA配列、配列番号: 387;アミノ酸配列、配列番号: 388)を作製した。
TthAKK(N221H/R224Q)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TthAKK構築物に部位特異的変異誘発を実施し、TthAKK(N221H/R224Q)(DNA配列、配列番号:391;アミノ酸配列、配列番号:392)を作製した。
TthAKK(R251H)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TfhAKK構築物に部位特異的変異誘発を実施し、TthAKK(R251H)(DNA配列、配列番号:395;アミノ酸配列、配列番号:396)を作製した。
TthAKK(P2S5L/R251H)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TthAKK(P255L)構築物に部位特異的変異誘発を実施し、TthAKK(P255L/R251H)(DNA配列、配列番号:399;アミノ酸配列、配列番号:400)を作製した。
Tth AKK L429V(DNA配列、配列番号:401;アミノ酸配列、配列番号:402)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上にパーム領域のランダム変異誘発を実施し、パーム領域にランダム変異を導入した。ブラケットは、表記の91%の塩基と3%のその他すべての塩基の合成を示す。
Tth AKK E425V(DNA配列、配列番号:405;アミノ酸配列、配列番号:406)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上にパーム領域のランダム変異誘発を実施し、パーム領域にランダム変異を導入した。ブラケットは、表記の91%の塩基と3%のその他すべての塩基の合成を示す。
TthAKKL422N/E425K(DNA塩基配列番号:407;アミノ酸配列、配列番号:408)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上にパーム領域のランダム変異誘発を実施し、パーム領域にランダム変異を導入した。ブラケットは、表記の91%の塩基と3%のその他すべての塩基の合成を示す。
Tth AKK L422F/W430C(DNA配列、配列番号:409;アミノ酸配列、配列番号:410)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Tth AKK DNAパーム領域のランダム変異誘発を実施し、パーム領域にランダム変異を導入した。ブラケットは、表記の91%の塩基と3%のその他すべての塩基の合成を示す。
Tth AKK A504F(DNA配列、配列番号:411;アミノ酸配列、配列番号:412)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上に部位特異的飽和変異誘発を実施し、A504 アミノ酸にランダム変異を導入した。
Tth AKK A504V(DNA配列、配列番号:415;アミノ酸配列、配列番号:416)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上に部位特異的飽和変異誘発を実施し、A504 アミノ酸にランダム変異を導入した。
Tth AKK A504S(DNA配列、配列番号:417;アミノ酸配列、配列番号:418)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上に部位特異的飽和変異誘発を実施し、A504 アミノ酸にランダム変異を導入した。
Tth AKK S517G(DNA配列、配列番号:419;アミノ酸配列、配列番号:420)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上に部位特異的飽和変異誘発を実施し、S517アミノ酸にランダム変異を導入した。
Tth AKK A518L(DNA配列、配列番号:423;アミノ酸配列、配列番号:424)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上に部位特異的飽和変異誘発を実施し、A518アミノ酸にランダム変異を導入した。
Tth AKK A518R(DNA配列、配列番号:426;アミノ酸配列、配列番号:427)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Tth AKK構築物上に部位特異的飽和変異誘発を実施し、A518アミノ酸にランダム変異を導入した。
Taq5M L451R(DNA配列、配列番号:428;アミノ酸配列、配列番号:429)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を使用して、Taq 5M構築物上に部位特異的変異誘発を実施し、Taq 5M 酵素にL451R変異を導入した。
Tth AKK A504K(DNA配列、配列番号:431;アミノ酸配列、配列番号:432)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Tth AKK構築物上に部位特異的変異誘発を実施し、Tth AKK 酵素にA504K変異導入した。
Tth AKK H641A(DNA配列、配列番号:435;アミノ酸配列、配列番号:436)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Tth AKK構築物上に部位特異的変異誘発を実施し、Tth AKK 酵素にH641A変異導入した。
Tth AKK T508P(DNA配列、配列番号:439;アミノ酸配列、配列番号:440)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Tth AKK構築物上に部位特異的変異誘発を実施し、Tth AKK 酵素にT508P変異導入した。
TthAKK 酵素およびα-ペプチド間のキメラ融合におけるキメラと変異
コロニーのブルー・ホワイト・スクリーニング(Wuら、Nucleic Acids Research, 24:1710 [1996])基づく、完全長融合タンパク質の発現が不可能となる変異(フレームシフト、欠失、挿入等を含む)の検出のために、TthAKK-lacZ-α-ペプチドのキメラ・融合を構築した。
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TthAKK DNAに部位特異的変異誘発を実施し、TthAKKのC末端の6xHisタグの後のSalI部位にlacZ αペプチドが挿入されたpTthAKK-Lを調製した。プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、まず、pCRII-TOPO ベクター(Invitrogen)から、αペプチド(201アミノ酸を有する)をPCRで増幅した次に、PCR産物を、制限酵素SalIで消化し、同一の酵素で消化した pTthAKK-L ベクターに連結して、キメラ構築物 TthAKK-αペプチド(DNA配列、配列番号:481;アミノ酸配列、配列番号:482)を作製した。挿入物の方向をシーケンシングによって確認した。
TthTscAKKおよびTthTfiAKK 酵素の構築
TthAKK構築物を酵素EcoRIおよびNotIで切断し、より小さい挿入断片をゲルで単離した。また、TscAKKもしくはTfiAKK構築物を、EcoRIおよびNotIで切断し、より大型の断片をゲルで単離して精製した。 Tth挿入物(ヌクレアーゼ ドメイン)をTscAKKおよびTfiAKK ベクター(ポリメラーゼ・ドメイン)に連結し、TthTscAKK(DNA配列、配列番号:447;アミノ酸配列、配列番号:448)およびTthTfiAKK(DNA配列、配列番号:449;アミノ酸配列、配列番号:450)キメラ構築物を作製した。
基質特異性を改善するためのTth ポリメラーゼFT変異
Taq(FT)TthAKKの構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて TaqTthAKK構築物に部位特異的変異誘発を実施して、L107F/A108T変異を導入し、Taq(FT)TthAKK(DNA配列、配列番号:484;アミノ酸配列、配列番号:485)を作製した。
Tfi(FT)TthAKKの構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TfiTthAKK構築物に部位特異的変異誘発を実施して、L107F/V108T変異を導入し、Tfi(FT)TthAKK(DNA配列、配列番号:349;アミノ酸配列、配列番号:488)を作製した。
Tfi(FT) DN 2M(N)およびTsc(FT) DN 2M(N)変異体
Tfi DN 2M(N)変異体(DNA配列、配列番号:345)のNotIおよびSalI断片を単離し、予めNotI-SalIで消化した Tfi(FT)TthAKK(DNA配列、配列番号:349;アミノ酸配列、配列番号:488)に挿入することによって、L107F/V108T変異を導入して、Tfi(FT) DN 2M(N)変異体(DNA配列、配列番号:350;アミノ酸配列、配列番号:351)を得た。このTscに基づく構築物にL107FまたはE108T変異を付加する目的で、同一の方法を実施した。Tsc DN 2M(N)変異体(DNA配列、配列番号:348)をNotIおよびSalIで切断した断片を、予めNotI-SalIで消化した Tsc(FT)TthAKK(DNA配列、配列番号:491)ベクターに挿入し、Tsc(FT) DN 2M(N)変異体(DNA配列、配列番号:352;アミノ酸配列、配列番号:353)を作製した。
Tfi(FT) AKKおよび Tsc(FT) AKKの構築
上記のTfi(FT)DN2M(N)構築物(DNA配列、配列番号:350)から出発し、プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、部位特異的変異誘発法により変異(H784A、G504KおよびE507K)の「AKK」セットを導入した。得られた変異体構築物は、Tfi(FT)AKK(DNA配列、配列番号:366;アミノ酸配列、配列番号:367)と命名した。
同様に、プライマー:
Figure 0005661071
を用い、鋳型としてTsc(FT)DN2M(N)変異体(DNA配列、配列番号:352)を用いて、部位特異的変異誘発反応を実施し、Tsc(FT)AKK変異体(DNA配列、配列番号:368;アミノ酸配列、配列番号:369)を作製した。
Tsc(FT)TthAKKの構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TscTthAKK構築物に部位特異的変異誘発を実施し、L107F/E108T変異を導入して、Tsc(FT)TthAKK(DNA配列、配列番号:454;アミノ酸配列、配列番号:491)を作製した。
Taq(FT)TscAKKおよびTaq(FT)TfiAKK 酵素の構築
Taq(FT)TthAKK構築物を酵素EcoRIおよびNotIで切断し、より小さい挿入断片をゲルで単離した。また、TscAKKもしくはTfiAKK構築物を、EcoRIおよびNotIで切断し、より大型の断片をゲルで単離して精製した。 Taq(FT)挿入物(ヌクレアーゼ・ドメイン)をTscAKKおよびTfiAKK ベクター(ポリメラーゼ・ドメイン)に連結し、 Taq(FT)TscAKK(DNA配列、配列番号:443;アミノ酸配列、配列番号:444)およびTaq(FT)TfiAKK(DNA配列、配列番号:445;アミノ酸配列、配列番号:446)キメラ構築物を作製した。
TaqEFT-Tth(AKK)(DNA配列、配列番号:501;アミノ酸配列、配列番号:502)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(FT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:484)に部位特異的変異誘発を実施し、K70E変異を導入した。
Taq(EFT)TthAKKの酵素活性を改善するための付加的変異
TaqEFT-Tth(AKK)-A/Ml(DNA配列、配列番号:505;アミノ酸配列、配列番号:506)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、G4EA変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-B/M2(DNA配列、配列番号:509;アミノ酸配列、配列番号:510)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、H29F変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-C/M3(DNA配列、配列番号:513;アミノ酸配列、配列番号:514)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、K57R変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-D/M5(DNA配列、配列番号:517;アミノ酸配列、配列番号:518)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、S125T変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-E/M6(DNA配列、配列番号:521;アミノ酸配列、配列番号:522)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、R206L変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-F/M7(DNA配列、配列番号:525;アミノ酸配列、配列番号:526)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、R269GおよびR271K変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-G/M8(DNA配列、配列番号:529;アミノ酸配列、配列番号:530)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、E290G、S291G、P292E、A294PおよびL295R変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-H/M9(DNA配列、配列番号:533;アミノ酸配列、配列番号:534)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tm(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、A328C変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-I/M10(DNA配列、配列番号:537;アミノ酸配列、配列番号:538)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、Taq(EFT)-Tth(AKK) DNA(配列番号:501)に部位特異的変異誘発を実施し、E210K変異を導入した。
TaqEFT-Tth(AKK)-Ml-9(DNA配列、配列番号:541;アミノ酸配列、配列番号:542)の構築
鋳型として構築物 TaqEFT-Tth(AKK)(配列番号: 501)を用い、また以下の変異誘発用プライマー対を用いて、異なる7種類のPCR反応を実施した。
PCR反応1では:
Figure 0005661071
を用いて、108塩基対の断片を得た。PCR反応2では:
Figure 0005661071
を用いて、117塩基対の断片を得た。PCR反応3では:
Figure 0005661071
を用いて、237塩基対の断片を得た。PCR反応4では:
Figure 0005661071
を用いて、276塩基対の断片を得た。PCR反応5では:
Figure 0005661071
を用いて、288塩基対の断片を得た。PCR反応6では:
Figure 0005661071
を用いて、113塩基対の断片を得た。PCR反応7では:
Figure 0005661071
を用いて、157塩基対の断片を得た。これら7種のPCR産物は、重複を有しており、プライマー非存在下でのPCR増幅により適当な1005塩基対の産物を生じ、K70E、G4EA、H29F、K57R、S125T、R206L、R269G、R271K、E290G、S291G、P292E、A294P、L295RおよびA328C変異が導入される。外側のプライマー: 1044-038-1(配列番号:507)および1044-038-18(配列番号:536)を用いて産物をさらに増幅し、pPCR-Script-Ampにクローニングした。プライマー: 1044-038-1(配列番号:507)および1044-038-18(配列番号:536)を用いて、この構築物から、再び、ヌクレアーゼ・ドメインを増幅し、EcoRIおよびNotIで消化した。消化したPCR産物を、EcoRIおよびNotIで消化したTaqEFT-Tth(AKK)構築物に連結し、タンパク質発現およびスクリーニングを目的として、JM109を形質転換した。
TaqEFT-Tth(AKK)-Ml-10(DNA配列、配列番号:543;アミノ酸配列、配列番号:544)の構築
鋳型として構築物 TaqEFT-Tth(AKK)(配列番号: 501)を用い、また以下の変異誘発用プライマー対を用いて、異なる7種類のPCR反応を実施した。PCR反応1では:
Figure 0005661071
を用いて、108塩基対の断片を得た。PCR反応2では:
Figure 0005661071
を用いて、117塩基対の断片を得た。PCR反応3では:
Figure 0005661071
を用いて、237塩基対の断片を得た。PCR反応4では:
Figure 0005661071
を用いて、299塩基対の断片を得た。PCR反応5では:
Figure 0005661071
を用いて、228塩基対の断片を得た。PCR反応6では:
Figure 0005661071
を用いて、113塩基対の断片を得た。PCR反応7では:
Figure 0005661071
を用いて、157塩基対の断片を得た。これら7種のPCR産物は、重複を有しており、プライマー非存在下でのPCR増幅により適当な1005塩基対の産物を生じ、K70E、G4EA、H29P、K57R、S125T、R206L、E210K、R269G、R271K、E290G、S291G、P292E、A294P、L295RおよびA328C変異が導入される。外側のプライマー: 1044-038-1(配列番号:507)および1044-038-18(配列番号:536)を用いて産物をさらに増幅し、pPCR-Script-Ampにクローニングした。プライマー: 1044-038-1(配列番号:507)および1044-038-18(配列番号:536)を用いて、この構築物から、再び、ヌクレアーゼ・ドメインを増幅し、EcoRIおよびNotIで消化した。消化したPCR産物を、EcoRIおよびNotIで消化したTaqEFT-Tth(AKK)構築物に連結し、タンパク質発現およびスクリーニングを目的として、JM109を形質転換した。
基質特異性をさらに改善するためのFEN 酵素のK69E変異
Tth(K69E)AKK、Taq(K69E)TthAKK、Tfi(K69E)TthAKKおよびTsc(K69E)TthAKKおよび変異体の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、TthAKK、TaqTthAKK、TfiTthAKKおよびTscTthAKK DNAに部位特異的変異誘発を実施し、K69E変異を導入して、Tth(K69E)AKK(DNA配列、配列番号:452;アミノ酸配列、配列番号:494)、Taq(K69E)ThAKK、(DNA配列、配列番号:495;アミノ酸配列、配列番号:496)、Tfi(K69E)TthAKK(DNA配列、配列番号:497;アミノ酸配列、配列番号:498)およびTsc(K69E)TthAKK(DNA配列、配列番号:499;アミノ酸配列、配列番号:500)変異体酵素を作製した。
Tsc(167-334)TthAKKの構築
2種の重複PCR断片を作製した。プライマー:
Figure 0005661071
および鋳型として Tth(K69E)AKK(DNA配列、配列番号:452)を用いた。またプライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてTsc(K69E)TthAKK(DNA配列、配列番号:454)を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー390-76-08および209-074-02で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、同一の酵素で切断して調製したベクター TthAKKに連結し、Tsc(167-333)TthAKK構築物(DNA配列、配列番号:455;アミノ酸配列、配列番号:456)を得た。
Tsc(222-334)TthAKKの構築
2種の重複PCR断片を作製した。プライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてTth(K69E)AKK(DNA配列、配列番号:452)を用いた。またプライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてTsc(K69E)TthAKK(DNA配列、配列番号:454)を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー390-76-08および209-074-02で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、同一の酵素で切断して調製したベクター TthAKK に連結し、Tsc(222-334)TfhAKK構築物(DNA配列、配列番号:459;アミノ酸配列、配列番号:460)を得た。
Tfi(222-334)TthAKKの構築
2種の重複PCR断片を作製した。プライマー:
Figure 0005661071
および鋳型として Tth(K69E)AKK(DNA配列、配列番号:452)を用いた。またプライマー:
Figure 0005661071
および鋳型として Tfi(K69E)TthAKK(DNA配列、配列番号:497)を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー390-76-08および209-074-02で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、同一の酵素で切断して調製したベクターTthAKK に連結し、Tfi(222-334)TthAKK構築物(DNA配列、配列番号:463;アミノ酸配列、配列番号:464)を得た。
Tfi(167-334)TthAKKの構築
2種の重複PCR断片を作製した。プライマー:
Figure 0005661071
および鋳型として Tth(K69E)AKK(DNA配列、配列番号:452)を用いた。またプライマー:
Figure 0005661071
および鋳型として Tfi(K69E)TthAKK(DNA配列、配列番号:498)を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー390-76-08および209-074-02で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、同一の酵素で切断して調製したベクター TthAKK に連結し、Tfi(167-333)TthAKK構築物(DNA配列、配列番号:467;アミノ酸配列、配列番号:468)を得た。
Tsc(lll-334)TthAKKの構築
2種の重複PCR断片を作製した。プライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてTth(K69E)AKK(DNA配列、配列番号:452)を用いた。またプライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてTsc(K69E)TthAKK(DNA配列、配列番号:499)を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー390-76-08および209-074-02で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、同一の酵素で切断して調製したベクター TthAKK に連結し、Tsc(167-333)TthAKK構築物(DNA配列、配列番号:471;アミノ酸配列、配列番号:472)を得た。
Tsc(l-167)TthAKKの構築
2種の重複PCR断片を作製した。プライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてTsc(K69E)TthAKK(DNA配列、配列番号:499)を用いた。またプライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてTth(K69E)AKK(DNA配列、配列番号:452)を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー390-76-08および209-074-02で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで切断し、同一の酵素で切断して調製したベクター TthAKKに連結し、Tsc(l-167)TthAKK構築物(DNA配列、配列番号:475;アミノ酸配列、配列番号:476)を得た。
AfuFEN 酵素の改変
pAfuFENの構築
プラスミド pAfuFEN1は、米国特許出願第09/684,938号および国際公開公報第98/23774号(いずれもその全文が本明細書に参照として組み入れられる)に記載の方法で調製した。簡単に説明すると、DSMZ(DSMZ #4304)から得た1バイアル(おおよそ5mlの培養物)のA.フルギダス(A. fulgidus)菌から、DNA XTRAXキット(Gull Laboratories, Salt Lake City, UT)を用いて、製造元のプロトコールに従い、ゲノムDNAを調製した。最終DNAペレットを100μlのTE(10mMトリス-HC1、pH8.0、1mM EDTA)に再懸濁した。1μlマイクロリットルのDNA溶液を用いて、ADVANTAGE cDNA PCRキット(Clonetech)によりPCRを実施した。PCRは製造元の推奨に従い実施した。
NcoI部位を生成する1塩基対の置換含むことをを除外して、5'末端のプライマーは、Afu FEN-1 遺伝子の5'末端と相補的である。SalI部位を生成する2塩基の置換を含むことを除外して3'末端 プライマーは、FEN-1 ORFの下流にあるAfu FEN-1 遺伝子の3'末端と相補的である。5'および3'末端プライマーの配列は、それぞれ、
Figure 0005661071
である。得られた断片のクローニングは、PfuFEN1 遺伝子に関する米国特許出願第5,994,069号(様々な目的で本明細書にその全文が組み入れられる)に記載される方法で実施し、プラスミド pTrc99-AFFENlを作製した。発現を目的として、精製を簡便に進めるためにヒスチジン・テールを付加しpTrc99-AFFENlを改変して、pTrcAfuHisプラスミドを構築した。このヒスチジン・テールを付加する目的で、標準PCRプライマーによる部位特異的変異誘発法を用いて、pTrc99-AFFENlコード領域の最後のアミノ酸コドンと停止コドン間に6残基のヒスチジンをコードする配列を挿入した。得られたプラスミドを pTrcAfuHisと命名した。次に、上記のようにしてタンパク質を発現させ、Ni++ 親和性 カラムに結合して精製した。
Afn(Y236A)、A46-5の構築
鋳型AfuFEN(配列番号:556)から2種の重複PCR断片を作製した。これには、プライマー:
Figure 0005661071
およびプライマー:
Figure 0005661071
を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー700-10-03および390-076-08で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素NcoIおよびSalIで切断し、同一の酵素で切断して調製したAfuFEN構築物にライゲートし、 Afu(Y236A)構築物(DNA配列、配列番号:549;アミノ酸配列、配列番号:550)を得た。
Afu(Y236R)、A56-9の構築
鋳型AfuFENから2種の重複PCR断片を作製した。これには、プライマー:
Figure 0005661071
およびプライマー:
Figure 0005661071
を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー700-10-03および390-076-08で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素NcoIおよびSalIで切断し、同一の酵素で切断して調製したAfuFEN構築物にライゲートし、 Afu(Y236R)構築物(DNA配列、配列番号:552;アミノ酸配列、配列番号:553)を得た。
2. FEN酵素およびサーマスポリメラーゼ誘導体のキメラ
以下の酵素構築物は、AfuFEN 酵素のポリメラーゼ・ドメインおよびサーマスポリメラーゼのポリメラーゼ・ドメインの部分を組み合わせた。これらの組み合わせは、分子モデリングで得られる情報に基づいて設計した。
Afu336-Tth296(AKK)、AT1-1の構築
2種の重複PCR断片を作製した。第一の断片は、鋳型としてAfuFEN構築物(配列番号:556)を用い、プライマーとして
Figure 0005661071
を用いて作製した。第二の断片は、鋳型としてTthAKK(配列番号:558)を用い、プライマーとして
Figure 0005661071
を用いて作製した。二つの産物は配列重複領域を含み、組み合わせて、組換えPCR反応で外側のプライマー390-076-08および390-076-09で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素BspEIおよびSalIで切断し、同一の酵素で切断して調製したAfuFEN構築物に連結し、Afu336-Tth296(AKK)構築物(DNA配列、配列番号:559;アミノ酸配列、配列番号:560)を得た。
Afu328-Tth296(AKK)、AT2-3の構築
2種の重複PCR断片を作製した。第一のものには、プライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてAfuFEN(DNA配列、配列番号:556)を用い、第二のものには、プライマー:
Figure 0005661071
および鋳型としてTthAKK(DNA配列、配列番号:558)を用いた。2種の産物を組み合わせて、外側のプライマー390-076-08および390-076-09で増幅した。組換えPCR産物を制限酵素BspEIおよびSalIで切断し、同一の酵素で切断して調製したベクター pAfuFEN にライゲートし、 Afu336-Tth296(AKK)構築物(DNA配列、配列番号:563;アミノ酸配列、配列番号:564)を得た。
Afu336-Taq5Mの構築
Taq5M構築物(配列番号:41)を酵素NotIおよびSalIで切断し、より小さい挿入断片をゲルで単離した。また、Afu336-Tth296(AKK)構築物(DNA配列、配列番号:559)を同一の制限酵素で切断し、より大きいベクター断片を精製した。次に、挿入物(Taq5Mのポリメラーゼ・ドメイン)ベクターに連結し、Afu336-Taq5M構築物(DNA配列、配列番号:565;アミノ酸配列、配列番号:566)を作製した。
Afii336-TaqDNの構築
TaqDNHT構築物を酵素NotIおよびSalIで切断し、より小さい挿入断片をゲルで単離した。また、Afu336-Tth296(AKK)構築物(DNA配列、配列番号:559)を同一の制限酵素で切断し、より大きいベクター断片を精製した。次に、挿入物(TaqDN ポリメラーゼ・ドメイン)をベクターに連結し、 Afu336-Taq5M構築物(DNA配列、配列番号:567;アミノ酸配列、配列番号:568)を作製した。
サーマスポリメラーゼのランダム・キメラ化
DNAシャフリングの原理に基づいて(VolkovおよびArnold、Methods in Enzymology 328:456 [2000])サーマスポリメラーゼのランダム・キメラ化により、ランダム変異誘発法で機能が変化した多数の酵素を作製した。以下のキメラ作製には下記の方法を用いた。
プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、ランダム・キメラ化を実施する目的の遺伝子をPCR増幅し、おおよそ1.4kbpの鋳型を作製した。約2μgのDNA鋳型を同一の比率で混合し、次に15℃で約1分間DNaseI(0.33U)により消化して、サイズが50〜200bpの断片を調製した。4%アガロースゲルでDNA断片を精製し、QIAEXII ゲル抽出キット(QIAGEN)を用いて製造元の説明書に従い抽出した。断片の再アセンブリー反応(PCRプログラム:94℃3分、94℃30秒-52℃1分-72℃2分+5秒/サイクルで40サイクル、72℃4分)を実施するために、精製した断片(10μl)を10μlの2xPCRプレ混合物液(5倍希釈、クローン化Pfu緩衝液、各0.4mMのdNTP、0.06U/μlのクローン化Pfu DNAポリメラーゼ, STRATAGENEカタログ番号600153、添付の緩衝液)に添加した。次に、ネステッド・プライマー対:
Figure 0005661071
を利用して、再アセンブル産物(10倍希釈を1μl)をPCRで増幅した。これは、CLONTECH GC melt cDNA PCRキット(カタログ番号K1907-Y)を用いて、製造元の説明書に従って実施した。精製したPCR産物を制限酵素EcoRIおよびNotIで消化し、次に同一の酵素で切断して調製した TthAKK構築物に連結し、連結混合物でJM109 コンピテント細胞を形質転換し、酵素活性に関してコロニーをスクリーニングした。
1. ランダム・キメラS26およびS36の作製
これらのキメラ酵素を作製するために用いた鋳型は、TthAKK、TaqTthAKK、TscTthAKKおよびTfiTthAKK構築物のヌクレアーゼ・ドメインであった。第一の活性スクリーニングに基づいて、2種類のクローンで活性の改善が認められた。次に、ランダム・キメラ S26(DNA配列、配列番号:571;アミノ酸配列、配列番号:572)およびS36(DNA配列、配列番号:573;アミノ酸配列、配列番号:574)の配列を決定し、単離した。
2. S26およびS36の基質特異性を改善するためのL107F/E108T、 L109F/V110TおよびK69E変異の導入
S26(FT)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、pS26 DNAに部位特異的変異誘発を実施し、L107F/E108T変異を導入し、S26(FT)(DNA配列、配列番号:575;アミノ酸配列、配列番号:576)を作製した。
S36(FT)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、pS26 DNAに部位特異的変異誘発を実施し、L109F/V110T変異を導入し、S36(FT)(DNA配列、配列番号:577;アミノ酸配列、配列番号:578)を作製した。
S26(K69E)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、pS26 DNAに部位特異的変異誘発を実施し、K69E変異を導入し、S26(K69E)(DNA配列、配列番号:579;アミノ酸配列、配列番号:580)を作製した。
S26(FT/K69E)の構築
変異誘発用プライマー:
Figure 0005661071
を用いて、S26(FT)DNAに部位特異的変異誘発を実施し、K69E変異を導入し、S26(FT/K69E)(DNA配列、配列番号:581;アミノ酸配列、配列番号:582)を作製した。
3. さらに別のランダムなキメラ、 N3D7、N1A12 N1C4およびN2C3
これらのキメラ酵素を作製するために用いた鋳型は、Tth(K69E)AKK、Taq(K69E)TthAKK、Tsc(K69E)TthAKK、およびTfi(K69E)TthAKK構築物のヌクレアーゼ・ドメインであった。第一の 活性スクリーニングに基づいて、4種類のクローンは、活性が改善されていることが示された。次に、ランダム・キメラ N3D7(DNA配列、配列番号:583;アミノ酸配列、配列番号:584)、N1A12(DNA配列、配列番号:585;アミノ酸配列、配列番号:586)、N1C4(DNA配列、配列番号:587;アミノ酸配列、配列番号:588)およびN2C3(DNA配列、配列番号:589;アミノ酸配列、配列番号:590)の配列を決定し、それぞれ単離した。
実施例10
酵素の上流オリゴヌクレオチドの存在依存性に関する試験
構造特異的ヌクレアーゼを連続する侵襲的切断反応に利用する場合には、(1)上流のオリゴヌクレオチドの非存在下、および(2)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブ・オリゴヌクレオチド間の重複の非存在下では、酵素がプローブ切断能をほとんど有しないことが好ましい。図26a〜eは、用いることのできる複数の構造を表す。これらのタイプの構造それぞれについて酵素の活性を調べる。構造a(図26a)は、上流のオリゴヌクレオチドの非存在下でプローブ・オリゴヌクレオチドをバクテリオファージM13 DNA(図26のM13配列は配列番号:217に示す)上の標的部位と共に並列したものを示す。構造b(図26b)は、標識したプローブ(標識は星印で表す)と重複する領域を含まない上流のオリゴヌクレオチド含む。構造c、dおよびe(図26c〜e)では、上流オリゴヌクレオチドは、下流のプローブ・オリゴヌクレオチドに対しそれぞれ、1、3もしくは5ヌクレオチドの重複を含み、これらの構造はそれぞれ好適な侵襲的切断構造を表す。これらの構造それぞれについて、酵素 Pfu FEN-1の活性を試験した。いずれの反応も2回ずつ実施した。
各反応は、Tween20およびノニデットP-40をそれぞれ0.05%含む10mM MOPS(pH7.5)、7.5mM MgCl2の10μl中に、1μMの5'TET 標識プローブ・オリゴヌクレオチド 89-15-1(配列番号:212)、50nM上流オリゴヌクレオチド(オリゴ 81-69-2 [配列番号:216]、オリゴ 81-69-3 [配列番号:215]、オリゴ 81-69-4 [配列番号:214]、オリゴ 81-69-5 [配列番号:213]のいずれか、または上流オリゴヌクレオチドを含まない)、1フェムトモルM13標的DNA、10mg/ml tRNAおよび10ngのPfu FEN-1を含む。
最終容積8μlに酵素およびMgCl2以外の全成分を混合して、10μlのCHILLOUT 液体ワックスを重層した。試料を反応温度69℃まで加熱した。2μlの容積でPfu FEN-1およびMgCl2を添加することによって、反応を開始した。69℃で30分間保温後、10μlの95%ホルムアミド、10mM EDTA、0.02%メチルバイオレットで反応を停止した。電気泳動の直前に試料を90℃で1分間加熱し、45mMトリス-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTA緩衝液中で7M尿素を含む20%の変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)により泳動した。次に、FMBIO-100 Hitachi FMBIO 蛍光撮影装置でゲルを解析した。得られた像を図27に示す。
図27において、「a」のレーンは、上流のオリゴヌクレオチド(構造a)非存在下で実施した反応で生成した産物を含み、レーン「b」はプローブ/標的二重鎖(構造b)を切断しない上流のオリゴヌクレオチド含む。レーン「c」、「d」および「e」 は、プローブ/標的二重鎖を、それぞれ1、3および5塩基を切断する上流のオリゴヌクレオチドを用いて実施した反応において生成した産物を含む。非切断のプローブおよび切断産物のサイズ(ヌクレオチドの)は、図27の像の左に示した。構造aおよび構造bを利用した場合には、プローブの切断は検出不能であった。対照的に、侵襲的切断構造(構造 c〜e)を用いたときには、切断産物が生成した。Pfu FEN-1 酵素がプローブの特異的な切断のための上流の重複オリゴヌクレオチドを必要とすることを、このデータは示している。
構造a〜eを切断する酵素の試験が可能かを調べることによって、酵素が連続する侵襲的切断反応に好適に利用可能かを検討できる(図26a〜eに示す特異的オリゴヌクレオチド配列は試験反応に利用する必要がないことは、当業者であれば理解しうる。これらの構造は単に好適な試験構造を例示したものである)。好ましい酵素であれば、構造aおよび構造bをほとんどあるいは全く切断しない。また、構造c〜eを特異的に切断する(すなわち、侵襲的切断構造を形成するために用いたオリゴヌクレオチド間の重複の程度から期待されるサイズの切断産物を生成する)。
実施例11
第二の侵襲的切断反応において感度の全体的な増加を可能とする第一の侵襲的切断反応の産物の利用
上記の「発明の説明」に記載したように、第一の反応の産物を用いて第二の侵襲的切断を実施し、第二の反応における切断構造を完成させることによって、侵襲的切断反応の検出感度を増加し得る。本実施例では、第一の侵襲的切断反応で切断されたプローブを利用することによって、表記のように、第二の侵襲的切断反応に利用する組み込まれたINVADERオリゴヌクレオチドおよび標的分子を形成させる。
第一のプローブが内部相補性を含み、第一の侵襲的切断反応において切断された場合に、産物(「切断プローブ1」)が組み込まれたINVADERオリゴヌクレオチドを含む標的鎖を形成可能に設計する。新たに成形された標的/INVADER分子にハイブリダイズすると、該反応において目的の部位で切断される第二のプローブを提供する。連続する侵襲的切断の性能によるシグナル利得を示すため、上に記載する標準的侵襲的切断アッセイ法を同時に実施した。
いずれの反応も二重に実施した。各標準(すなわち、非連続)侵襲的切断反応は、10mM MOPS(pH7.5)、8mM MgCl2、それぞれ0.05%Tween20およびノニデットP-40を含む10μlに、1μMの5'フルオレセイン標識プローブ・オリゴ:
Figure 0005661071
および
10nMの上流オリゴ:
Figure 0005661071
ならびに10から100アトモルのM13標的DNA、10mg/ml tRNAおよび10ngのPfu FEN-1を含む。容積7μlに酵素およびMgCl2以外の全成分を混合して、10μlのCHILLOUT液体ワックスを重層した。試料を反応温度62℃まで加熱した。2μlの容積でPfu FEN-1およびMgCl2を添加することによって、反応を開始した。62℃で30分間保温後、10μlの95%ホルムアミド、10mM EDTA、0.02%メチルバイオレットで反応を停止した。
各連続する侵襲的切断反応は、10mM MOPS(pH7.5)、8mM MgCl2、それぞれ0.05%Tween20およびノニデットP-40を含む10μlに、1μMの5'フルオレセイン標識オリゴヌクレオチド:
Figure 0005661071
10nMの上流オリゴヌクレオチド:
Figure 0005661071
ならびに1μMの5'フルオレセイン標識オリゴヌクレオチド 106-32(第二のプローブもしくは「プローブ 2」、5'Fl-TGTTTTGACCT CCA-3';配列番号:593)、1から100アトモルのM13標的DNA、10mg/ml tRNAおよび10ngのPfu FEN-1を含む。容積8μlに酵素およびMgCl2以外の全成分を混合して、10μlのCHILLOUT液体ワックスを重層した。試料を反応温度62℃まで加熱した。(この温度は、プローブ1が第一の標的にアニーリングする最適温度である)。2μlの容積でPfu FEN-1およびMgCl2を添加することによって、反応を開始した。62℃で15分間保温後、温度を58℃に下げ(この温度は、この温度は、プローブ2が第二の標的にアニーリングする最適温度である)、試料をさらに15分間保温した。10μlの95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.02%メチルバイオレットで反応を停止した。
電気泳動の直前に、標準および連続する侵襲的切断反応の双方の試料を90℃で1分間加熱した。45mMのトリス-ホウ酸緩衝液(pH8.3)、1.4mM EDTA中で、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)で泳動した。次に、分子ダイナミックス FluorImager 595でゲルを解析した。得られた像を図28aに示す。各産物のバンドの蛍光強度を測定したグラフを図28bに示す。
図28aにおいて、レーン1〜5は、標的を含まない(レーン1)、および10アトモルの標的(レーン2および3)または100アトモルの標的(レーン4および5)を含む標準侵襲的切断反応において生成した産物を含む。非切断のプローブは、パネルのほぼ下半分の各レーンにおいて、暗いバンドとして観察され、切断産物は、パネルの下に近いより小さい黒いバンドとして観察される。切断産物の位置を図28aの左に矢印で表した。レーン1〜5に観察される灰色のラダー・バンドは、プローブの熱分解によるものであって、標的DNAの有無には関係しない。残りのレーンは、1アトモルの標的(レーン6および7)、10アトモルの標的(レーン8および9)および100アトモルの標的(レーン10および11)を含む連続する侵襲的切断反応において生成した産物を示す。非切断の第一のプローブ(プローブ 1;標識した 「1非切断」)が、パネルの上部付近に観察され、切断された第一のプローブは「1: 切断」として表される。同様に、非切断、および切断された 第二のプローブは、それぞれ「2: 非切断」および「2: 切断」として表される。
図28bのグラフでは、標準反応(「系列1」)で生成した産物の量を連続反応の第二の工程(「系列2」)で生成した産物の量と比較する。標的DNAを欠いた反応において測定したバックグラウンドの蛍光レベルを、各測定から差し引いた。100アトモルの標的DNAを含む標準侵襲的切断アッセイ法のシグナルは、1アトモルの標的を含む連続する侵襲的切断アッセイ法のシグナルとほとんど同程度であることが、グラフ下の表から分かる。このことは、第二の切断構造を含むことが、アッセイ感度を100倍から200倍増加させることを示す。本酵素を用いてわずか30分実施した標準アッセイ法では、10アトモルの標的の存在下で検出可能な産物を生成しないが、このシグナル増加によって、連続する侵襲的切断アッセイ法を用いたアトモル以下のレベルでの標的核酸の検出が容易になる。
連続する侵襲的切断アッセイで標的の量が10倍もしくは100倍減少した場合には、同一比率でシグナル強度が減少した。系列として反応を実施した場合であっても、侵襲的切断アッセイ法の定量性が保持されており、感度と定量性の双方を有する核酸検出法を提供することを示す。
本実施例においては、用いた2種のプローブは異なる至適ハイブリダイゼーション温度(すなわち、与えられた反応条件で最大の回転率を与える実験的に決定される温度)を有しているが、同一の至適ハイブリダイゼーション温度を有し、保温中の温度シフトが不必要となるように、プローブを選択(すなわち、設計)することもできる。
実施例12
連続する侵襲的切断反応終了後の産物は、以降の同様な反応を汚染することはない
「発明の説明」に記載したように、連続する侵襲的切断反応で起こる複数の侵襲的切断事象の連続的性質は、ポリメラーゼ連鎖反応および類似した倍加アッセイ法の反復的性質と対照的に、第二の切断反応における新しいシグナル生成に第一の切断反応の産物が関与しないので、連続する侵襲的切断反応が、類似反応の産物の汚染を受けないことを意味している。新規に構成した反応に大量の終結反応物を添加する場合には、持ち込み標的の量によって生じたバックグラウンドは、既に切断された持ち込みのプローブの量と合わさる。本実施例においては、第一の反応における、かなりの大部分が第二の反応に持ち込まれて有意なシグナルを生成するはずであることが示される。
上記のようにして、100アトモルの標的DNAを用いて、最初のもしくは第一の連続する侵襲的切断反応を実施した。第一の反応の一部を導入し、他の標的DNAは全く含まないようにすることを除いて実施例11に記載の方法で、5種の反応からなる第二のセットを調製した。これらの第二の反応を、上記のように開始し、保温した。0%、0.01%、0.1%、1%または10%の第一の反応物を含む。100アトモルの標的を含む対照反応も、第二のセットに含まれる。上記の方法で、反応を停止し、電気泳動によって分画して可視化した。得られた像を図29に示す。第一のプローブ、非切断の第二のプローブおよび切断第二のプローブは、それぞれ、左に「1:切断」、「2: 非切断」および「2:切断」として示した。
図29においては、レーン1は、第一の反応の結果示す。パネルの下に蓄積した産物が示される。レーン2は、さらに増幅することなく汚染のレベルのから期待されるシグナルのレベルを示すために、同一反応の1:10希釈を表している。レーン3〜7は、不純物として添加した、それぞれ0%、10%、1%、0.1%または0.01%の第一の反応物を含む連続する切断反応の結果を示す。また、レーン8は、連続的反応におけるシステムの活性を確認するために100アトモルの標的DNAを添加した対照反応を示す。前もって切断されたもの10%を移し(レーン2)、レーン1の反応から移した標的の10%をさらに増幅させる場合には、レーン4のシグナル・レベルは期待通りであった。さらに希釈した場合のいずれのレベルにおいても、シグナルはバックグラウンドから容易に区別されない。これらのデータは、1つの反応から別の反応に大量に移すと検出可能であるが、エアロゾルもしくは設備汚染から期待される少量による相互汚染が、容易に偽陽性の結果により誤謬をもたらすことはないことを示している。これらのデータは、1つの反応の産物が故意に新鮮な試料に持ち込まれるときには、これらの産物は新しい反応において関与せず、反応で生成する標的依存性のシグナルのレベルに影響を与えないことも示している。
実施例13
侵襲的切断によるヒト・サイトメガロウイルスDNAの検出
上記の実施例では、ヒトゲノムDNAの存在下で少量のウィルスDNAを検出する侵襲的切断反応の検出能を示した。本実施例では、図30に示すヒト・サイトメガロウイルス(HCMV)の主要最初期遺伝子の3104〜3061の領域を標的とするプローブおよびINVADERオリゴヌクレオチドを設計した。図30では、INVADERオリゴ(89-44;配列番号:219)およびフルオレセイン(Fl)標識プローブ・オリゴ(89-76;配列番号:218)は、ウィルスDNA(配列番号:2220)のヌクレオチド3057〜3110に対応するHCMVゲノムの領域にそってアニーリングすることが示される。本実施例で用いるプローブは、ポリピリミジン・プローブであり、本明細書に記載されるように、ポリピリミジン・プローブの利用によって、プローブ・オリゴの熱解離によって生じるバックグラウンド・シグナルが減少する。
ゲノム・ウィルスDNAはAdvanced Biotechnologies, Incorporated(Columbia, MD)から購入した。Advanced Biotechnologiesによれば、該DNAは、1マイクロリットル当たり170アトモル(1x108コピー)の濃度であると推定されている(しかしながら、保証されるものではない)。同一反応を4回実施した。各反応は、10mM MOPS(pH7.5)、6mM MgCl2および各0.05%のTween20およびノニデットP-40の10μl中に、1μMの5'フルオレセイン標識プローブ・オリゴヌクレオチド89-76(配列番号:218)、100nMの INVADERオリゴヌクレオチド89-44(配列番号:219)、1ng/mlヒトゲノムDNA、および図31の各レーンの上に記載された量の標的HCMVのDNAについての5つののうちの一つ、および10ngの Pfu FEN-1 を含む。最終容積7μlに、標識プローブ、酵素およびMgCl2以外の全成分を混合して、10μlのCHILLOUT液体ワックスを重層した。試料を反応温度95℃まで5分間加熱した後、62℃に冷やした。3μlの容積でプローブ、Pfu FEN-1およびMgCl2を添加することによって、反応を開始した。62℃で60分間保温後、10μlの95%ホルムアミド、10mM EDTA、0.02%メチルバイオレットで反応を停止した。電気泳動の直前に、標準および連続する侵襲的切断反応の双方の試料を90℃で1分間加熱した。45mMのトリス-ホウ酸緩衝液(pH8.3)、1.4mM EDTA中で、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)で泳動した。次に、分子ダイナミックス FluorImager 595でゲルを解析した。
得られた像を図31に示す。複製反応は、レーンの各セット(0-170アトモル)の上に示されている反応の標的HCMV DNA含有量を含む4レーンからなるグループで泳動した。パネルの上3分の1に非切断のプローブ(「非切断89-76」)が観察され、パネルの下3分の2に切断産物(「切断89-76」)が観察される。蓄積された切断産物の強度は、反応における標的DNAの量に比例することが分かる。さらに、該反応では、ヒトゲノムDNAのバックグラウンド中であってもプローブが非切断である標的DNAを含まない(「標的を含まない」)ことが明確である。図31に示す各反応は10ngのヒトゲノムDNAを含むが、ゲノムDNAを最大で200ng含む場合には、蓄積された産物の量にわずかに影響がある。反応混合液10μl当たり200ngは、シグナル蓄積が有意に減少することなく耐性であるゲノムDNAの最大量であった。なお、この量は、尿0.2ml中のDNA(通常、新生児に対してHCMVの試験に用いる量)よりも多く、約5μlの全血に見いだされる量に相当する。
これらの結果は、標準(すなわち、非連続)侵襲的切断反応がウィルスDNAの検出に関する高感度で、特異的かつ再現性のある手段であることを示している。1.7アトモルの標的の検出は、大雑把に106コピーのウイルスの検出と等価である。これは、先天的に感染した新生児の0.2mlsの尿中のウイルス・ゲノムの数と等価である(0.2mls当たり102から106ゲノムに等価である;Stagnoら、J. Infect. Dis., 132;568 [1975])。連続する侵襲的切断アッセイ法の利用によって、より少ない数のウィルスDNA分子の検出も可能となり、異種性DNAをさらに大量に含む血液中での検出が容易になる(ml当たり101から105ウイルス粒子;Pectorら、J. Clin. Microbiol., 30:2359 [1992])。
上記から、本発明が核酸配列および核酸配列中の変異の検出ならびに特徴付けを可能とする試薬および方法を提供することが明らかである。 本発明の INVADER部位特異的切断反応および連続的INVADER部位特異的切断反応は、直接検出アッセイ法の利点(例えば、容易な定量性および持ち込み汚染のリスクが最小であること)を二重もしくは三重オリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーション・アッセイ法の特異性と組み合わせた理想的な直接検出法を提供する。
「発明の説明」に記載されるように、連続する侵襲的切断反応の利用においては、残存し、第二の標的と相互作用する、および結合に関して切断プローブと競合する、もしくは生成した構造の低レベル切断によりバックグラウンドを生じる非切断の初期もしくは第一のプローブの問題が存在する。このことを、図32および33に模式的に示した。図32に示した反応では、第二の切断反応に関するINVADERオリゴヌクレオチドを形成する第一の切断構造を生じる切断産物を利用する。第二の標的、第二のプローブおよび非切断の第一のプローブ間で成形された構造を工程2aに示す右手型構造として図32に示す。この構造は、5'ヌクレアーゼによって、非常に低効率で(すなわち、大抵の反応条件では 約1%未満)認識され切断される。しかし、得られた産物は、特異的産物と区別が困難なため、偽陽性の結果を与えることがある。実施例11に記載のように、切断された第一のプローブが組み込まれたINVADER/標的(IT)分子を生じるときには、同一の効果が得られる。好ましくない複合体の形成を工程2aに示す右手型構造として図33に模式的に示す。
これらの連続的INVADERアッセイ法、各々に関し、各種の組成でARRESTORオリゴヌクレオチドを添加することにより行った改善を、以下の実施例に示す。これらARRESTORオリゴヌクレオチドは、系列の第一の切断反応に由来する残存非切断プローブに結合するように設計されており、このことによってその効力が高まり、また以降の反応における非特異的バックグラウンドが低減する。
実施例14
「ARRESTOR」オリゴヌクレオチドは複数連続する侵襲的切断アッセイ法の感度を改善する
本実施例では、ITプローブ・システム33を用いたシグナル生成に対するARRESTORオリゴヌクレオチド含有の効果を示す。第一の切断反応中に標的核酸を認識する部分において、ARRESTORオリゴヌクレオチドが第一のプローブにハイブリダイズする。ARRESTORオリゴヌクレオチドの添加効果を検討することに加えて、相補性の異なる距離で、第二のIT構造を構成する 第一のプローブの領域へと伸長するARRESTORオリゴヌクレオチドを利用することの効果についても調べた。各セットの反応条件における非特異的バックグラウンド・レベル(すなわち、標的核酸に関係しない)を示す目的で、一定の濃度範囲で標的DNAを含む反応もしくは標的DNAを欠いた反応において、これらの効果を比較した。
これらの反応の標的DNAは、血清型adw株の完全長のB型肝炎ウイルスゲノムを含む断片である。ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、プラスミド pAM6(ATCC #45020D)から本材料を調製した。PCRは、ベクターに基づくフォワードプライマー、オリゴ番号:
Figure 0005661071
およびリバースプライマー、オリゴ番号:
Figure 0005661071
を用いて実施し、完全長のHBV挿入物である約3.2kbのアンプリコンを増幅した。サイクリングの条件は、95℃5分のプラスミド変性後、95℃30秒-60℃40秒-72℃4分を30サイクルであり、その後最終伸長を72℃10分間実施した。得られたアンプリコンをpAM6#2と命名し、2MのNH4OAcに調整して、イソプロパノール沈殿で回収した。真空で乾燥した後、DNAを10mMトリス pH.0、0.1mM EDTA中で溶解した。濃度を、既知濃度の標準と比較しながらINVADERアッセイしOD200で測定した。
INVADER反応は次のように実施した。「A」、「B」、 「C」、「D」および「E」と名付けた5種類のマスター混合液を調製した。いずれの混合液も、混合液8μlにつき、12.5mM MOPS、pH7.5、500フェムトモルの第一のINVADERオリゴ #218-55-05(配列番号:596)、10ngのヒトゲノムDNA(Novagen)および30ngのAfuFEN1酵素を含む。混合物Aは付加HBVゲノムのアンプリコンDNA含まない。混合物Bは、600分子のHBVゲノム・アンプリコンDNA pAM6 #2を含む。混合物Cは、6,000分子の pAM6 #2を含む。混合物Dは、60,000分子のpAM6 #2を含む。混合物Eは、600,000の分子 pAM6 #2を含む。混合液を反応チューブに分注した(8μl/チューブ)。 混合物Aを、チューブ1、2、11、12、21および22へ分注した。混合物Bを、チューブ 3、4、13、14、23および24へ分注した。混合物Cを、チューブ5、6、15、16、25および26へ分注した。混合物Dを、チューブ7、8、17、18、27および28へ分注した。混合物Eを、チューブ9、10、19、20、29および30へ分注した。試料を95℃で4分間保温し、HBVゲノムのアンプリコンDNAを変性させた。 次に、反応を67℃に冷却し、各2μlに37.5mM MgCl2および2.5ピコモルの218-95-06(配列番号:579)を含む2μlの混合物を各試料に添加した。試料67℃で60分間保温した。3種の反応マスター混合液を調製した。いずれの混合液も、各2μl混合物に10ピコモルの第二のプローブ・オリゴヌクレオチド #228-48-04(配列番号:598)を含む。混合液2Aは、他のオリゴヌクレオチドを含まず、 混合物2Bは、5ピコモルの「ARRESTOR」 オリゴ # 218-95-03(配列番号:599)を含み、混合物2Cは5ピコモルの「ARRESTOR」 オリゴ # 218-95-01(配列番号:600)を含む。67℃で60分間保温(上記の第一の反応)後、2μlの第二の反応混合物を各試料に添加した。混合液2Aを試料 #1-10に添加した。混合液2Bを、試料 #11-20に、 混合液2Cを試料 #21-30に添加した。温度を52℃に調整し、試料を52℃で30分間保温した。次に、10μlの95%ホルムアミド、5mMのEDTAおよび0.02%の クリスタルバイオレットの溶液を添加することによって反応を停止した。いずれの試料も95℃で2分間加熱し、45mMトリス-ホウ酸(pH8.3)および1.4mMのEDTAの緩衝液中で、4μlの各試料を7M尿素を含む20% 変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)で電気泳動によって分画した。Molecular Dynamics Fluoroimager 595を用い、励起488、発光530 で、結果を画像化した。得られた像を図34に示す。
図34において、パネルAは、第二の反応にARRESTORオリゴヌクレオチドを含まない場合の標的の滴定結果を示す。パネルBは、第一のプローブの非標的相補的領域に2ヌクレオチド伸長したARRESTORオリゴヌクレオチドを用いて標的滴定した結果を示す。パネルCは、第一のプローブの非標的相補的領域へ4ヌクレオチド伸長したARRESTORオリゴヌクレオチドを用いて同様の標的滴定を行った結果を示す。各パネルの下に近い位置に第二の切断反応の産物がバンドとして観察される。各パネルの最初の2レーン(すなわち、1および2、11および12、ならびに21および22)は、標的DNAを含まず、産物のバンドと一緒に移動するシグナルは、各セットの条件下での非特異的バックグラウンドを表している。
バックグラウンド・シグナルはいずれも減少し、ARRESTORオリゴヌクレオチドのいずれかの分子種を含むことで予測可能性が高まることが、これらのパネルを視覚的に調べることで分かる。標的を含まない対照レーンにおけるバックグラウンドを低下させることに加えて、より希釈した標的量を含む反応におけるバックグラウンドを減少させることで、反応に含まれる標的をより正確に反映するシグナルを与えることができ、従って複数の連続する侵襲的切断反応の定量的範囲を改善できる。
これらの条件下で第二の切断反応にARKESTORオリゴヌクレオチドを含むことの影響を定量するために、最大量の標的を含む反応に由来する平均的な産物のバンド・シグナル(すなわち、レーン9および10、 レーン19および20、ならびに レーン29および30のシグナルの平均値)を各パネルの標的を含まない対照レーンの平均シグナルと比較して、各条件セットにおける「折り畳みバックグラウンド(fold over background)」、バックグラウンドに対するシグナル増幅因子を決定する。ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まない反応の場合には、パネルAでは、折り畳みバックグラウンド は5.3、パネルBでは、折り畳みバックグラウンド12.7およびパネルCでは、折り畳みバックグラウンド13.4であり、本システムにおいて、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含む場合には、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まない反応に対して少なくともシグナル特異性が二倍になり、少なくともシステムの本態様においては、非標的相補的領域に向かって僅かに伸長した ARRESTORオリゴヌクレオチドは、僅かではあるがより効果的であることを示している。これは、オリゴヌクレオチドを使用によって、これらの反応の特異性が高まる利点、すなわち低レベルの標的核酸では、特に恩典を有するという利点を明らかに示している。
実施例15
「ARRESTOR」オリゴヌクレオチドは、バックグラウンド・シグナルを増加させることなく、より高濃度の第一のプローブを利用し得る
侵襲的切断反応におけるプローブ濃度を増加させることによって、与えられた標的DNAの量に関して生成するグナルの量を劇的に増加させることができる。この説明は特定の機構に限定するものではないが、プローブ濃度の増加が、切断プローブを非切断コピーによって置換する速度を増加させることにより、切断反応の見かけの回転率を増加させるものであると考えられる。残念なことに、以前は、本効果を複数の連続的INVADERアッセイ法の第一の切断反応に適用することができなかった。なぜならば、残存する非切断第一のプローブが第二の標的にハイブリダイズ可能であり、切断された分子と競合するので、第二の反応の効力が低下してしまうためである。第一のプローブの濃度の上昇は、この問題を悪化させる。さらに、上記のようにして得られた複合体は、低レベルで切断され得るので、バックグラウンドへの寄与があるのである。従って、第一のプローブの増加は、第二の反応を遅くする効果とこのような非標的特異的バックグラウンド・レベルを増加させる効果の二重に負の効果を示す。ARRESTORオリゴヌクレオチドを用いて、残存する第一のプローブを隔離するもしくは中和することにより、これら第二の反応にこの濃度促進効果を適用できる。
この効果を明らかにするために、2種類の反応を実施した。第一の反応では、一定範囲の濃度の第一のプローブを用いて、反応を実施したが、第二の反応には、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含めなかった。第二の反応では、同一濃度のプローブを用いたが、第二の反応にARRESTORオリゴヌクレオチドを添加した。
いずれの反応も2回ずつ実施した。第一のINVADER反応は最終容積10μlで行い、10mM MOPS、pH7.5、7.5mM MgCl2、500 fmの第一のINVADER(218-55-05;配列番号:596);30ngのAfuFEN1酵素および10ngのヒトゲノムDNAを含む。偶数番号の反応はいずれも100ゼプトモルのHBV pAM6 #2 アンプリコンを含む(図35AおよびB参照)。反応は、10ピコモル、20ピコモル、50ピコモル、100ピコモル、もしくは150ピコモルの第一のプローブ(218-55-02; 配列番号:601)を含む。MOPS、標的およびINVADERオリゴヌクレオチドを混合して最終容積7μlにした。試料を95℃5分間加熱変性して、67℃に冷却した。5分間の変性の間に、MgCl2、プローブおよび酵素を混合した。3μlのMgCl2、プローブおよび酵素の混合物を上記の最終濃度で添加することによって、第一のINVADER反応を開始した。反応液を67℃で30分保温した。次に、反応を52℃に冷却し、各第一のINVADER反応に、4μlの総容積で以下の第二の反応成分を加えた。すなわち、2.5ピコモルの第二の標的(オリゴ番号218-95-04;配列番号:602);10ピコモルの第二のプローブ(オリゴ番号 228-48-04;配列番号:598)である。ARRESTORオリゴヌクレオチドを含む反応は、40ピコモル、80ピコモル、200ピコモル、400ピコモルもしくは600ピコモルのARRESTORオリゴヌクレオチド(オリゴ番号 218-95-01;配列番号:600)を含み、この混合物を含む各反応に第一のプローブの量に対して4倍モル過剰に加えた。次に反応を52℃で30分間保温した。反応は、10mM EDTAおよび0.02%クリスタルバイオレットを含む95%のホルムアミド溶液を10μl添加することによって停止した。試料はいずれも95℃で1分間加熱し、4μlの各試料を、45mMトリス-ホウ酸(pH8.3)および1.4mMのEDTAを含む緩衝液中で、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)の電気泳動によって分画した。Molecular Dynamics Fluoroimager 595(励起488、 発光530)を用いて、結果を画像化した。ARRESTORオリゴヌクレオチドを含む、または含まない反応に関して得られた像を、それぞれ図35Aおよび図35Bに示した。第二のプローブの切断産物が、各パネルの下付近にバンドとして観察される。
図35Aでは、レーンのセット1および2は、第一のプローブを10ピコモル含み、セット3および4は、20ピコモル、セット5および6は50ピコモル、セット7および8は100ピコモル、ならびにセット9およ10は150ピコモル含む。第一のプローブ量の増加によって、標的を含まないレーン(奇数)においてはバックグラウンドを僅かに増加させる組み合わせ効果を示すが、標的(偶数番号のレーン)の存在下では特異的シグナルが減少し、プローブを増加させることによってシグナルを増加させるアプローチをこれらの連続的な反応に適用することが不可能であることを示す「折り畳みバックグラウンド」の尺度とみなす反応の特異性を低下させることが、視覚的検索により分かる。
図35Bでは、レーンのセット1および2は10ピコモルの第一のプローブを含み、セット3および4は20ピコモル、セット5および6は50ピコモル、セット7および8は100ピコモル、ならびにセット9および10は150ピコモルを含む。さらに、各反応は第二の切断反応前に添加した4倍モル過剰のARRESTORオリゴヌクレオチドを含む。標的を含まないレーン(奇数)におけるバックグラウンドはいずれの場合にも低いが、標的の存在下における(偶数番号のレーン)特異的シグナルは、第一のプローブの量の増加にともなって増加し、本標的レベルにおける「折り畳みバックグラウンド」感度をより増大させることが、視覚的検索によって分かる。
これらの効果を定量的に比較するために、非特異的および特異的な切断由来の産物の蛍光シグナルを測定した。結果をグラフで図35Cに示す。用いた第一のプローブの量と比較して、反応中に切断された第二のプローブの割合(%)の尺度としてグラフ化して示す。標的を含まない反応に由来するプロットを調べることによって、ARRESTORオリゴヌクレオチドの非存在下におけるバックグラウンドが、一般的に、およそ2倍高く、いずれもプローブ量の増加に伴って僅かに増加することを調べた。しかしながら、特異的シグナルは、二つの反応セット間ではより劇的に違いがある。第一のプローブが増加すると非ARRESTORオリゴヌクレオチド反応のシグナルは定常的に減少するが、ARRESTORオリゴヌクレオチド反応のシグナルは増加し続ける。試験した第一のプローブ濃度が最も高い時には、非ARRESTORオリゴヌクレオチド反応はバックグラウンドに対して1.7倍の特異的シグナルを有するに過ぎず、ARRESTORオリゴヌクレオチド反応では、バックグラウンド対して6.5倍のシグナルを有する100ゼプトモル(60,000コピー)の標的が検出され、従って、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含む場合には、連続する侵襲的切断反応が改善される。
実施例16
骨格の改変は、3'-アミンを含まないすべて天然の「ARRESTOR」オリゴであるARRESTORオリゴヌクレオチドの性能を改善する
上記2つの実施例に示した反応では、2'O-メチルリボース骨格を用いて構築し、3'末端ヌクレオチドに陽性電荷のアミン基を含まないARRESTORオリゴヌクレオチドを用いた。第一のプローブ/ARRESTORオリゴヌクレオチド複合体と相互作用する酵素が特異的に減少するように修飾を施した。2'O-メチル修飾したオリゴヌクレオチドは、5'ヌクレアーゼによる切断に対して幾分耐性であり、アンチセンスを利用している場合にはヌクレアーゼで緩やかに分解されることが、本発明の開発中に明らかとなった(例えば、Kawasakiら、J. Med. Chem., 36:831 [1993]を参照のこと)。
オリゴヌクレオチドの3'端にアミノ基が存在する場合には、直接的な侵襲的切断能が減少する。このようにしてARRESTORオリゴヌクレオチドが切断構造を形成する可能性を低減する目的で、本実施例および他の実施例に記載する実験において、アミノ基を含むように設計した。
最初の設計のARRESTORオリゴヌクレオチド(「ブロッカー」と記載することもある)はこれらの修飾を含まず、これらの分子が連続する侵襲的切断アッセイ法のバックグラウンド切断を低下させる利点を提供することは何ら見いだされなかった。実際のところ、おそらく別の切断構造に対する要素を提供することによって予期しない部位に切断を誘起し、バックグラウンドに寄与することもあると考えられる。これらの反応におけるバックグラウンド・ノイズに対する、天然および修飾ARRESTORオリゴヌクレオチドの効果を、実施例では検討した。
ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まない同一の反応に対する比較によって、すべて天然のARRESTORオリゴヌクレオチド(すなわち、塩基類似体もしくは修飾を含まないARRESTORオリゴヌクレオチド)の効力を検討した。いずれの反応も2回ずつ次のように実施した。それぞれを8μlに12.5mMのMOPS(pH7.5)、500フェムトモルの第一のINVADERオリゴヌクレオチド #218-55-05(配列番号:596)、 10ngのヒトゲノムDNA(Novagen)および30ngのAfuFEN1酵素含む2種類のマスター混合液を調製した。混合物AはHBVゲノムのアンプリコンDNA含まず、混合物Bは600,000 分子のHBVゲノム・アンプリコン DNA pAM6 #2を含む。混合液を以下のように、8μl/チューブで反応チューブに分注した。混合物Aを、チューブ1、2、5および6に、混合物Bをチューブ3、4、7および8に分注した。試料を95℃で4分間保温し、HBVゲノムのアンプリコンDNAを変性させた。次に、反応を67℃に冷却し、各2μlに37.5mM MgCl2および10ピコモルの 218-55-02B(配列番号:603)を含む2μlの混合物を各試料に添加した。次に、試料を67℃で30分間保温した。各3μlに10ピコモルの第二のプローブ・オリゴ #228-48-04N(配列番号:604)および2.5ピコモルの第二の標的 オリゴヌクレオチド #218-95-04(配列番号:602)を含む2種類の第二の反応マスター混合液を調製した。混合液2Aは、他のオリゴヌクレオチドを含まず、混合物2Bは50ピコモルの天然 「ARRESTOR」 オリゴヌクレオチド #241-62-02(配列番号: 605)を含む。最初67℃で30分間保温した後、温度を52℃に調整して、3μlの第二の反応混合物を各試料に以下のようにして添加した。混合液2Aを試料#1〜4に添加した。混合液2Bを試料#5〜8に添加した。次に、試料を52℃で30分間保温した。反応は、10mM EDTAおよび0.02%クリスタルバイオレットを含む95%のホルムアミド溶液を10μl添加することによって停止した。
いずれの試料も95℃で2分間加熱し、4μlの各試料を、45mMトリス-ホウ酸(pH8.3)および1.4mMのEDTAを含む緩衝液中で、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)の電気泳動によって分画した。Molecular Dynamics Fluoroimager 595(励起488、 発光530)を用いて、結果を画像化した。得られた像を図36Aに示した。
ARRESTORオリゴヌクレオチドに対する各種の修飾の効果を比較するために、塩基はすべて天然であるが、3'末端にアミンを含む ARRESTORオリゴヌクレオチド、2'O-メチル・ヌクレオチドおよび3'末端にアミンを含む3'部分を有するARRESTORオリゴヌクレオチド;およびすべて2'O-メチル・ヌクレオチドを含み、3'末端にアミンを含むARRESTORオリゴヌクレオチドを用いて反応を実施した。これらを、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まない反応と比較した。反応は次のように実施した。2種のマスター混合液を調製した。いずれの混合液も、各7μlが14.3mMのMOPS(pH7.5)、500フェムトモルの第一のINVADERオリゴ #218-55-05(配列番号:596)および10ngのヒトゲノムDNA(Novagen)を含む。混合物AはHBVゲノムのアンプリコンDNA含ます、混合物Bは600,00分子のHBVゲノム・アンプリコンDNA pAM6 #2を含む。混合液を7μl/チューブで反応チューブに分注した。混合物Aをチューブ 1、2、5、6、9、10、13および14に、混合物Bをチューブ 3、4、7、8、11、12、15および16に分注した。試料を95℃で4分加熱してHBVのDNAを変性させた。次に、反応を67℃に冷却し、3μl当たり25mMのMgCl2、25ピコモル 218-55-02B(配列番号:603)および30ngのAfuFEN1酵素を含む3μlの混合物を各試料に添加した。次に、試料を67℃で30分間保温した。4種の反応マスター混合液を調製した。いずれの混合液も、3μl中に10ピコモルの第二のプローブ・オリゴヌクレオチド #228-48-04B(配列番号:606)および2.5ピコモルの第二の標的オリゴヌクレオチド #218-95-04(配列番号:602)を含む。混合液2Aは他のオリゴヌクレオチドを含まず、混合物2Bは100ピコモルの天然およびアミンARRESTORオリゴヌクレオチド # 241-62-01(配列番号:607)を含み、混合物2Cは100ピコモルの部分的にO-メチルおよびアミンを含むオリゴヌクレオチド # 241-62-03(配列番号:608)を含み、混合物2Dはに100ピコモルのすべてO-メチルおよびアミンであるオリゴヌクレオチド # 241-64-01(配列番号:609)を含む。最初に67℃で30分間保温した後、温度を52℃に調整し、3μlの第二の反応混合物を以下のようにして各試料に添加した。混合物2Aを試料#1〜4に添加した。混合液2Bを試料#5〜8に添加した。混合物2Cを試料#9〜12に添加した。また、混合物2Dを試料#13〜16に添加した。試料を52℃で30分間保温した。次に、反応は、10mM EDTAおよび0.2%クリスタルバイオレットを含む95%のホルムアミド溶液を10μl添加することによって停止した。
いずれの試料も95℃で2分間加熱し、4μlの各試料を、45mMトリス-ホウ酸(pH8.3)および1.4mMのEDTAを含む緩衝液中で、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)の電気泳動によって分画した。Molecular Dynamics Fluoroimager 595(励起488、 発光530)を用いて、結果を画像化した。得られた像を図36Bに示した。
図36Aにおいて、左側のパネルは、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まない反応を示し、右側のパネルは、すべてが天然であるARRESTORオリゴヌクレオチドを含む反応のデータを示す。各パネルの最初の2レーンは標的を含まない対照であり、第二のセットのレーンは標的を含む。各パネルの下4分の1に切断産物が見える。特異的反応産物が泳動された位置を左右に矢印で示した。
これらのデータを調べた結果、ARRESTORオリゴヌクレオチドの非存在下で実施した複数回の反応は、質的に再現性を示し、標的が存在する時にのみ有意な切断が起こることが分かった。対照的に、反応が別の非修飾オリゴヌクレオチドを含む場合には、複数レーン間で大きく異なっていた(例えば、レーン5および6には同一の反応物を含むが、顕著に異なる結果を生じた)。 すべて天然であるARRESTORオリゴヌクレオチドを添加した場合には、これらの標的を含まないレーンでは、むしろバックグラウンドが減少し、他の部位における切断が増加した(すなわち、パネルを挟む矢印で示したもの以外のバンド)。このような理由で、図36Bに示す効果を有する上記のような修飾を利用した。
図36Bの最初の4レーンは、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まず、HBV標的(それぞれ、レーン1および2、ならびにレーン3および4)を含むあるいは含まない二重反応の産物を示す。次の4つのレーン5、6、7および8は、3'末端アミンを有する天然ARRESTORオリゴヌクレオチドを用いた。レーン9、10および11、12では、2'O-メチル・ヌクレオチドを含む3'部分と3'末端にアミンを有するARRESTORオリゴヌクレオチドを用いた。レーン13、14および15、16では、すべて2'O-メチル・ヌクレオチドであり、3'末端アミンを有するARRESTORオリゴヌクレオチドを用いた。各パネルの下に3分の1に第二のプローブの切断産物が観察される。
これらのデータの視覚的検索によって、天然ARRESTORオリゴヌクレオチドの3'末端にアミンを付加することによって、図36Aに見られる異常切断が抑制されるが、本ARRESTORオリゴヌクレオチドは、 非ARRESTORオリゴヌクレオチドの対照と比較して反応の性能を改善しないことが分かる。対照的に、ARRESTORオリゴヌクレオチドに 2'O-メチル・ヌクレオチドを利用することによって、置換が部分的なものであっても、完全なものであっても、バックグラウンドが減少する。このような修飾の相対効果を定量する目的で、同時に移動する産物のバンドそれぞれからの蛍光を測定し、二重複製レーンのシグナルを平均し、標的核酸を含む各反応について「折り畳みバックグラウンド」を算出した。
ARRESTORオリゴヌクレオチドを省略した場合には、標的特異的シグナル(レーン3、4)は、標的を含まないバックグラウンドに対して27倍であり、天然ARRESTORオリゴヌクレオチドおよびアミンでは、バックグラウンドに対し17倍のシグナル与えた。部分的な2'O-メチルおよびアミンでは、バックグラウンドに対し47倍のシグナル与えた。すべて2'O-メチルおよびアミンである場合には、バックグラウンドに対し33倍のシグナル与えた。
これらの図面は、いずれの修飾も複数の連続する侵襲的切断アッセイ法の特異性に対して有効であることを示している。また、部分的であれ完全にであれ2'O-メチル置換骨格の利用はこれらの反応の特異性を顕著に改善することも示している。本発明の各種の態様において、修飾の数がいずれであれ、ARRESTORオリゴヌクレオチドもしくはヌクレアーゼに耐性第一の標的を形成する複合体の修飾によって同様に促進が起こるようにする。
実施例17
複数の連続する侵襲的切断アッセイ法におけるシグナル増強に対するARRESTORオリゴヌクレオチドの長さの効果
「発明の説明」に記載されるように、ARRESTORオリゴヌクレオチドの至適長さは、INVADER反応他の核酸要素の設計、特に、第一のプローブの設計に依存する。本実施例では、2種類の異なる第二のプローブを用いたシステムでARRESTORオリゴヌクレオチドの長さの相違の効果を調べた。第一のプローブ・オリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得るこれらのARRESTORオリゴヌクレオチドを並列させた模式図を図37Cに示す。この図では、標的核酸を認識する第一のプローブの領域を下線で示した。下線付けされていない部分、および下線で示された部分の第一の塩基は、第一の切断で遊離する部分であり、第二もしくは以降の切断構造に関与し続ける。
いずれの反応も2回ずつ実施した。INVADER反応は最終容積10μlで行い、10mM MOPS、pH7.5、mM MgCl2、500フェムトモルの第一のINVADER 241-95-01(配列番号:610)、25ピコモルの第一のプローブ 241-95-02(配列番号:611)、30ngのAfuFEN1酵素、および10ngのヒトゲノムDNAを含む。また、1アトモルのHBVアンプリコン pAM 6 #2を含むこともある。MOPS、標的DNA、およびINVADERオリゴヌクレオチドを混合して最終容積7μlにした。試料を95℃5分間加熱変性して、67℃に冷却した。5分間の変性の間に、MgCl2、プローブおよび酵素を混合した。3μlのMgCl2、プローブ、および酵素の混合物を上記の最終濃度で添加することによって、第一のINVADER反応を開始した。反応液を67℃で30分保温した。次に、反応を52℃に冷却し、各第一のINVADER反応に、3μlのの総容積で以下の第二の反応成分を加えた。すなわち、2.5ピコモルの第二の標的241-95-07(配列番号:612);10ピコモルの第二のプローブ 228-48-04(配列番号:598)または228-48-04N(配列番号:604)および241-95-03(配列番号:613)、241-95-04(配列番号:614)、241-95-05(配列番号:615)または241-95-06(配列番号:616)のいずれかの100ピコモルのARRESTORオリゴヌクレオチドである。ARRESTORオリゴヌクレオチドの効果に関する対照として、ARRESTORオリゴヌクレオチドを省略した反応を用いた。
反応を52℃で34分間保温し、次に、反応は、10mM EDTAおよび0.02%クリスタルバイオレットを含む95%のホルムアミド溶液を10μl添加することによって停止した。試料はいずれも95℃で1分間加熱し、4μlの各試料を、45mMトリス-ホウ酸(pH8.3)および1.4mMのEDTAを含む緩衝液中で、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)の電気泳動によって分画した。Molecular Dynamics Fluoroimager 595(励起488、 発光530)を用いて、結果を画像化した。より短い、およびより長い第二のプローブを含む反応に関して得られた像を、それぞれ図37Aおよび図37Bに示した。
各々の図において、各レーンの下半分にバンドとして切断産物が観察される。各図の最初の4レーンは、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まず、HBV標的を含むあるいは含まない(それぞれレーンのセット1および2)二重反応の産物であり、次の4レーンのセット3および4では最も短いARRESTOR 241-95-03(配列番号:613)を用いた。レーン5および6では、241-95-04(配列番号:614) を用いた。レーン7および8では、241-95-05(配列番号:615)を用いた。レーン9および10では、241-95-06(配列番号:616)を用いた。
問題としている主たるバックグラウンドは、「標的を含まない」対照レーン(奇数;このバンドは、各ゲル・パネルの下に近い標的特異的シグナルと一緒に移動する)バンドである。最も短いARRESTORオリゴヌクレオチドが、このバックグラウンドを抑制することにおいて最も効果が低く、ARRESTORオリゴヌクレオチドが以降の切断反応に関与する部分へさらに伸長した時に効力が増すことが、見て分かる。このような効果の差があったとしても、これらのデータから、ARRESTORオリゴヌクレオチドの設計の許容範囲が広いことが分かる。長さの選択は、ARRESTORオリゴヌクレオチドを用いた反応を実施する際の温度、第一のプローブと標的との間、ならびに第一のプローブと第二の標的との間で形成する二重鎖の長さ、および反応中の異なる核酸種の相対濃度によって影響を受ける。
実施例18
複数の連続する侵襲的切断アッセイ法におけるシグナル増強に対するARRESTORオリゴヌクレオチド濃度の効果
これらの切断反応にARRESTORオリゴヌクレオチドを含むことの効果を検討する際には、第一のプローブが過剰の濃度である時のARRESTORオリゴヌクレオチド濃度が、非特異的もしくは特異的シグナルの収率に影響を与えるか否か、ARRESTORオリゴヌクレオチドの長さが一つの因子となるか否かを調べることが焦点であった。これら2種の変数については、以下の実施例で調べた。
いずれの反応も2回ずつ実施した。第一のINVADER反応は最終容積10μlで行い、10mM MOPS、pH7.5、7.5mM MgCl2、500フェムトモルの第一のINVADER 241-95-01(配列番号:610)、25ピコモルの 第一のプローブ 241-95-02(配列番号:611);30ngのAfuFEN1酵素、および10ngのヒトゲノムDNAを含む。標的DNAを含む場合には、上記のHBVアンプリコン pAM 6 #2を1アトモル含む。MOPS、標的およびINVADERオリゴヌクレオチドを混合して最終容積7μlにした。試料を95℃5分間加熱変性して、67℃に冷却した。5分間の変性の間に、MgCl2、プローブおよび酵素を混合した。3μlのMgCl2、 プローブおよび酵素の混合物を上記の最終濃度で添加することによって、第一のINVADER反応を開始した。反応液を67℃で30分保温した。次に、反応を52℃に冷却し、各第一のINVADER反応に、以下の第二の反応成分を加えた。すなわち、2.5ピコモルの第二の標的241-95-07(配列番号:612)、10ピコモルの第二のプローブ 228-48-04(配列番号:598)、また、50、100、もしくは200ピコモルのARRESTORオリゴヌクレオチド 241-95-03(配列番号:613)または241-95-05(配列番号:615)を含むこともある。総容積は3μlであった。次に、反応を52℃で35分間保温した。反応は、10mM EDTAおよび0.02%クリスタルバイオレットを含む95%のホルムアミド溶液を10μl添加することによって停止した。試料はいずれも95℃で1分間加熱し、4μlの各試料を、45mMトリス-ホウ酸(pH8.3)および1.4mMのEDTAを含む緩衝液中で、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(架橋19:1)の電気泳動によって分画した。Molecular Dynamics Fluoroimager 595(励起488、 発光530)を用いて、結果を画像化した。得られた像を、複合化像として、図38に示した。
各2重の反応をゲルの隣接したレーンに添加して、単一レーン番号とした。奇数番号のレーンはいずれも標的を含まない対照である。レーン1および2は、ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まない。レーン3〜8は、より短いARRESTORオリゴヌクレオチド241-95-03(配列番号:613)を含む反応の結果を示す。レーン9〜14は、より長いARRESTORオリゴヌクレオチド241-95-05(配列番号:615)を含む反応の結果を示す。各パネルの下3分の1に第二の反応の切断産物が観察できる。これらのデータを目視で検索する(すなわち、バックグラウンドのバンドに対するの特異的産物の比較)ことによって、それぞれのARRESTORオリゴヌクレオチドが、いずれの濃度においても有効であることが分かる。
ARRESTORオリゴヌクレオチドの長さおよび濃度の相対効果を定量するために、同時に移動する産物のバンドの各々を測定し、二重レーンのシグナルを平均し、「折り畳みバックグラウンド」(シグナル+標的/シグナル−標的)を標的核酸を含む各反応について算出した。ARRESTORオリゴヌクレオチドを含まない反応では、バックグラウンドに対し約27倍のシグナルを得た。より短いARRESTORオリゴヌクレオチドを50、100もしくは200ピコモル含む場合には、それぞれ、バックグラウンドに対し42倍、51倍および60倍の産物を生成した。このことは、最も低い濃度の短いARRESTOR は、より長いARRESTORオリゴヌクレオチド(例えば、上記の実施例を参照)よりも効果が低いことを示し、ARRESTORオリゴヌクレオチドの濃度を増加させることによって、ARRESTORオリゴヌクレオチド:第一のプローブ比を増加させ、これを補償することが可能となる。
対照的に、50、100もしくは200ピコモルでより長いARRESTORオリゴヌクレオチドを含む場合には、それぞれバックグラウンドに対して、60倍、32倍および24倍の産物が生成した。最も低い濃度において、より短いARRESTORオリゴヌクレオチドと比較した時のこのより長いARRESTORオリゴヌクレオチドの効果は、上記の実施例と合致した。しかしながら、濃度が増加すると、特異的産物の収率は減少した。このことは、第二の切断反応の要素と競合する効果を示唆するものである。
このデータは、複数の特異的反応の設計において、ARRESTORオリゴヌクレオチドを好適に利用できることを示している。濃度の選択は、ARRESTORオリゴヌクレオチドを用いた反応を実施する際の温度、第一のプローブと標的との間、ならびに第一のプローブと第二の標的との間、および第一のプローブとARRESTORオリゴヌクレオチド間で形成する二重鎖の長さによって影響を受ける。
本明細書に記載されるHBV以外の標的核酸オリゴヌクレオチドの選択(例えば、オリゴヌクレオチドの組成および長さ)、および本明細書に記載されるモデルに従う切断反応条件の最適化については、分子生物学的方法における、当業者に公知の通常の方法および通常的な実施に従う。
切断構造を作り出すためには、上流のINVADERオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブ・オリゴヌクレオチド間に重複を必要とする酵素も存在することを、実施例10は示している(図27)。それが、INVADERオリゴヌクレオチド中の重複塩基でしかないとしても(例えば、図30に示すHCMVプローブを有する場合)、INVADERオリゴヌクレオチドの3'末端のヌクレオチドは、標的鎖と相補的である必要はないことも明らかとなった。重複の要件によって、核酸試料中の単一塩基多型(SNP)もしくは変異の検出に簡便性の基礎を与えることができる。
単一塩基の変異を検出するためには、少なくとも2種のオリゴヌクレオチド(例えば、プローブとINVADERオリゴヌクレオチド)が標的核酸に対し縦列にハイブリダイズして、反応中のCLEAVASE 酵素が認識する重複構造を形成する。不対合「フラップ」は、プローブの5'端に含まれる。酵素は該重複を認識して、不対合フラップを切断し、標的特異的産物としてこれを遊離する。重複構造に強い選択性を有する酵素、すなわち、非重複構造を切断するよりも、かなり高い頻度で重複構造を切断する酵素としては、アルカエグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)およびピロコッカス・フリオサス由来のFEN-1 酵素が挙げられ、このような酵素は、変異およびSNPの検出に特に好ましい。
実施例19
mRNA INVADERアッセイ法を実施するためのキット
ある態様においては、本発明は、本発明を実施するために必要な成分のうちの1つまたは複数を含むキットを提供する。例えば、本発明は、切断アッセイ法を実施するのに必要な本発明の酵素および/もしくは反応成分(例えば、INVADERアッセイ法)を保存、もしくは配送するためのキットを提供する。一例として、しかしながら本発明のキットを成分の特定の配置もしくは組み合わせに限定することなく、本発明を実施するためのキットの一態様を、以下の節に記載する。
ある態様においては、本発明のキットは、以下の試薬を提供する:
Figure 0005661071
本発明の方法に好適に利用される第一のオリゴヌクレオチドおよび第二のオリゴヌクレオチドの例を図41に示す。表記のオリゴヌクレオチドは本発明の複数の方法および変法に利用されるが、これらのINVADERアッセイ法のオリゴヌクレオチド・セットは本発明のキットにおいて特定の用途がある。図41に示すオリゴヌクレオチド・セットを個々のセットとして利用し、個々の標的RNAを検出することができる。あるいは、単一反応において2つもしくはそれ以上の検体あるいは対照を検出するために二重もしくは複数の反応において、組み合わせることができるこれらのプローブ・セット(例えば、オリゴヌクレオチドおよび/もしくはその配列)の設計は、本明細書に提供される反応の設計および最適化に関する指針を用いて、DNA検出アッセイ法の用途に利用し得る。本発明の検出アッセイおよびキットに利用される別のオリゴヌクレオチドを図47に示す。
ある態様においては、本発明のキットは、本発明の方法を実施するためにユーザーによって供給される付加的な要素(例えば、試薬、提供元、および/もしくは設備)のリストを提供する。例えば、このような付加的な要素のリストを特定の要素に限定するものではないが、このようなリストの態様の1つとしては、以下ものが挙げられる。
・RNase不含H2O(例えば、DEPC処理したもの)
・透明なCHILLOUT-14 液体ワックス(MJ Research)もしくはRNase不含の光学グレードの鉱油(Sigma、カタログ番号M-5904)
・リン酸緩衝食塩水(MgCl2およびCaCl2不含)
・96ウェルポリプロピレン・マイクロプレート(MJ Research、カタログ番号MSP-9601)
・0.2mlの薄壁チューブ
・サーマシール(Thermaseal)ウェル・テープ(例えば、 GeneMate、カタログ番号T-2417-5)
・多チャネル・ピペット(0.5〜10μl、2.5〜20μl、20〜200μl)
・サーマル・サイクラーまたはその他の加熱源(例えば、実験室用乾燥器または加温ブロック)
・蛍光マイクロプレート読み取り装置(好適なプレート読み取り装置は、光学フィルターを備え、以下の性質を有したトップ・リーディング型のもの)
Figure 0005661071
ある態様においては、本発明のキットは、本発明の方法の実施を容易にするためにユーザーによって供給される選択的な要素(例えば、試薬、提供元、および/もしくは設備)のリストを提供する。例えば、このような選択的な要素のリストを特定の要素に限定するものではないが、このようなリストの態様の1つとしては、以下ものが挙げられる。
・tRNA 溶液、20ng/μl(Sigma, R-5636)
・1x停止液(10mM トリス-HCl、pH8、10mM EDTA)
・黒色不透明の96ウェルマイクロプレート(例えば、 COSTAR、カタログ番号3915)
・電動反複ピペット(250μl)
キットのある態様においては、詳細なプロトコールが提供される。好ましい態様においては、INVADERアッセイ反応の調製プロトコール(例えば、処方、反応混合物の好ましい作製法)が提供される。 特に好ましい態様においては、反応混合物の調製プロトコールは、本発明の方法の実施の際の失敗のリスクを低減するためにコンピュータもしくはグラフの支援を含む(例えば、複数反応に必要な試薬の容量計算を容易にする表、および多数のアッセイ反応を含む複数ウェルのアッセイ・プレートの配置を支援する指針となるプレートのレイアウト)。このようなプロトコールを、特定の成分もしくは形態に限定するものではないが、一例として、本発明のキットは以下のプロトコールを含む。
I. mRNA INVADERアッセイ法の詳細なプロトコール
1.各実験の実施に関するマイクロプレート・レイアウトの計画を立てる。40試料、6つの標準、標的を含まない対照のマイクロプレート・レイアウトの例を図40に示す。標的を含まない対照の組成(tRNA担体または1x細胞溶解緩衝液1)および定量用の標準は絶対的定量に必要である。
2.単一アッセイもしくは2重アッセイ用の第一の反応混合液を調製する。アッセイ(X容積)に必要な反応組成の容積を算出するために、反応の数(試料および対照の両方)に1.25 を掛ける[x容積(μl)=反応数 x 1.25]。最後の試薬を添加した後、第一の反応混合液を簡単にボルテックスして混合液をよく混ぜる。第一の反応混合液からマイクロプレート当たり5μlを取り分ける(本工程では、電動反複ピペットが推薦される)。
第一の反応混合液
単一アッセイ・フォーマット
Figure 0005661071
二重アッセイ・フォーマット
Figure 0005661071
3.標的を含まない対照、標準、もしくは試料(全RNAもしくは細胞可溶化物)をそれぞれ5μl適当なウェルに添加し、1〜2回ピペッティングして混合する。各反応に10μlの透明なCHTLLOUTまたは鉱油を重層する。サーマシールウェル・テープでマイクロプレートを密封する。
4.サーマル・サイクラーまたは乾燥器中で反応を90℃で60分間保温する。
5.第一の反応を保温しながら、単一もしくは2重アッセイ用の第二のFRET反応混合液を準備する。反応の数(試料および対照の両方)に1.25を掛けて[X容積(μl)=反応数x1.25]、必要な組成容積(X容積)を算出する。第二のFRET反応液の一部を、複数の0.2ml薄壁チューブまたは8連ストリップ(12反応の列には70μl/チューブで充分である)に添加する。
第二のFRET反応混合液
単一アッセイ・フォーマット
Figure 0005661071
二重アッセイ・フォーマット
Figure 0005661071
6.第一の反応の保温が終了した後、マイクロプレートの密封を解除し、多チャネル・ピペットを用いてウェル当たり5μlの第二のFRET反応混合液を添加する。1〜2回ピペッティングして混合する。マイクロプレートをウェル・テープで再び密封し、製品情報シートに表記されるように、マイクロプレートを60℃で60分または90分保温する。第二の反応の保温時間は異なってもよい。詳細については、「mRNA INVADERアッセイ法の操作手順に関する注意」の節2を参照のこと。
7.2種類の方法(直接測定または停止と移し替え)のうちのいずれかを用いて、反応を測定することができる。
注意:マイクロプレートの測定を実施する前に、マイクロプレートの密封を解除する。
直接測定法
・この方法ではアッセイ法のダイナミックレンジを拡大するために複数のデータ・セットを取得することができる。第二のINVADER反応中に、トップ・リーディング型の蛍光マイクロプレート読み取り装置で直接マイクロプレートの測定を行うことができる。
・PerSeptive Biosystem Cytofluor 4000装置に推薦される設定を以下に示す。
Figure 0005661071
注意:至適ゲインの設定は装置毎に異なるので、最良のシグナル/バックグラウンド比(標的を含まない対照のシグナルで除した試料の生のシグナル)、または標的を含まない対照試料の測定値(約100RFU)を与えるようにゲインを調整する。光源としてキセノンランプを使用する蛍光マイクロプレート読み取り装置は一般的に、より高いRFUを与える。マイクロプレートの直接測定については、製造元の推奨に従い調整を行うために、蛍光マイクロプレート読み取り装置の探針の高さ、およびプレートがどのように配置されているかを知る必要がある。
停止と移し替え法
1. RNase不含H2Oを含むIX 停止液(l0mM トリス-HCl(pH8)、l0mM EDTA)を調製する。多チャネル・ピペットを用いて、ウェル当たり100μlを添加する。
2. 希釈した反応液100μlを黒色マイクロプレート(例えば、COSTAR(Corning)、カタログ番号3915)に移し替える。
3.直接測定法と同一のパラメーターを用いて、マイクロプレートの測定を行うが、標的対照試料の測定値が約100RFU(上記の「注意」を参照のこと)となるようにゲインを調整しておく。
ある態様においては、補助的方法, 例えば、付加的な試薬の調製、または本発明の方法に利用する試料の調製のための補助的方法に関するプロトコール等補足文書を提供する。好ましい態様においては、補足文書には、熟練していない、あるいは経験のないユーザーでも該方法およびキットを使いこなすことができるように指針および注意事項のリストが含まれる。特に好ましい態様においては、補足文書は、問題解決の指針、例えば、ユーザーが遭遇しうる問題を記述した指針、およびこのような問題を解決するもしくは避けるためのユーザー支援をする解決法もしくは訂正の示唆を与える指針を含む。
このような補足文書を特定の内容に限定するものではないが、例えば、本発明のキットは以下の方法および指針を含む。
II. RNaseの汚染の防止
試料調製および試験中のRNaseの汚染を防止するため、一態様においては、ユーザーに以下の注意事項に注意を払うように告知する。
・試料および試薬への接触を避けるために、常時使い捨て手袋を着用する。
・相互汚染を防止するために、試料およびアッセイ試薬の調製では、薄壁ポリプロピレン・チューブおよびエアロゾル障壁を備えたピペット・チップを含む保証済みRNase不含使い捨て製品を使用する。
・試料および/もしくは試薬の希釈にはRNase不含(DEPC処理した)H2Oを使用する。
・アッセイ法の準備中は、RNA試料および対照を氷上に保持する。
III. 試料および対照の調製
注意:標準と試料の両方を反応当たり5μlの添加に相当する濃度に希釈する。
例1:5アトモルの標準の濃度 は1アトモル/μlである。 1アトモル=10-18=602,000分子。
例2:100ngの試料の濃度は20ng/μlである。
A. 対照の調製
標的を含まない対照:
全RNAフォーマット:tRNA担体(20ng/μl)
細胞可溶化物フォーマット:1x細胞溶解緩衝液1(10x細胞溶解緩衝液1を1xRNase不含H2Oで希釈する)
陽性対照:
RNA標準(Std)(100アトモル/μlのインビトロ転写産物)
1. 陽性対照をtRNA担体(全RNA試料を用いる場合)、あるいは1x細胞溶解緩衝液1[10x細胞溶解緩衝液1を 1xRNase不含H2Oで希釈する](細胞可溶化物の試料を用いる場合)で希釈してRNA標準を調製する。各キットに含まれる製品情報シートには、推薦される標準の試験濃度および調製法を示す。
2.各実施においては新しい標準のセットを用いて行うことが推薦される。反応の準備中は、標準を氷上に保持する。
B. 全RNA試料の調製
1.全RNAは、細胞または組織から、選択した調製法に関する製造元の説明書に従い調製する。推薦される方法としては、TRIZOL(Life Technologies, Rockville, MD)、RNEASY(Qiagen, Valencia, CA)およびRNA WIZ(Ambion, Austin, TX)が挙げられる。
2.全RNA試料をRNase不含H2Oで適当な濃度に希釈する。
C. 細胞可溶化物試料の調製 - 96ウェルマイクロプレートによる
注意:本細胞可溶化物による検出法では、96ウェル組織培養マイクロプレートで培養した付着細胞を用いる。通常、ウェル当たり10,000〜40,000細胞を播種する。細胞の種類および/もしくはmRNAの発現レベルに依存して、異なる播種密度が必要なこともある。より詳細にについては、「手順の注意」を参照のこと。高い発現を示す細胞では、細胞可溶化物のシグナルを減弱させるために以下の方法を用いることができる:
・ウェル当たり少ない細胞数で播種する。
・反応に添加する前に、細胞可溶化物を1x細胞溶解緩衝液1で希釈する(例えば、2.5μl可溶化物 + 2.5μlの1x細胞溶解緩衝液1)。
・第二のFRET反応混合液を添加した後、推薦される60〜90分の代わりに、15〜30分間マイクロプレートの反応を測定する。
1.10x細胞溶解緩衝液1をRNase不含H2Oで1x濃度に希釈する。
2.多チャネル・ピペットを用いて、単層細胞を乱さないように慎重に付着細胞のウェルから培地を除く。
3.細胞を200μlのPBS(MgCl2およびCaCl2不含)で1回洗浄し、多チャネル・ピペットで残存するPBSを慎重に除く。
4.ウェル当たり40μlの1x細胞溶解緩衝液1を添加する。細胞を室温で3〜5分間溶解する。
5.多チャネル・ピペットを用いて、各可溶化物試料を25μlを慎重に96ウェルマイクロプレートに移す。ウェルの底から細胞試料を移すことは避ける。
6.各可溶化物試料に10μlの透明なCHILLOUTまたは鉱油を重層する(加熱性のふたを備えるサーマル・サイクラーを用いる場合には、重層の必要はない)。
7. サーマシールウェル・テープでマイクロプレートを密封する。細胞のヌクレアーゼを不活性化する目的で、直ちにサーマル・サイクラーまたは乾燥器中で可溶化物を75〜80℃で15分間加熱する。
8.加温加温工程中に、反応の準備を進める。説明についてはmRNA INVADERアッセイ法の詳細なプロトコール(上記)を参照のこと。
9.熱失活の工程後、直ちに可溶化物試料を反応マイクロプレートに添加する。あるいは、後の試験のために可溶化物試料を-70℃の冷凍庫に急速に移してもよい(長期安定性については明らかではなく、各細胞の種類によって異なる)。
IV. mRNA INVADERの操作手順に関する注意
アッセイ法
1.RNA試料の種類およびRNA試料の量に関する最適化
組織または細胞から調製した全RNA試料を用いてアッセイ法の性能を最適化する。mRNA INVADERアッセイ法の性能に関して、複数の全RNA調製法/キットの確認を行った。
・TRIZOL(Life Technologies, Rockville, MD)
・RNeasy(Qiagen, Valencia, CA)
・RNA WIZ(Ambion, Austin, TX)
シグナル生成を阻害することのあるゲノムDNAのレベルを最小にする方法またはキットを使用することが重要である。最大の検出限界とダイナミックレンジを与える全RNA試料の量を決定するために(通常、1〜200ngであるが、遺伝子の発現レベルに依存する)、予備実験の実施が推奨される。
また、複数の細胞種の可溶化物試料を用いて、アッセイ法の確認を行った。96ウェル組織培養マイクロプレートにおける推薦される細胞密度は、ウェル当たり10,000〜40,000細胞であるが、細胞種および目的遺伝子の発現レベルに依存する。与えられた細胞株および/もしくはモニターする遺伝子に関する予備実験の実施が推奨される。このような実験では、異なるレベルの細胞密度および/もしくは1x細胞溶解緩衝液1で可溶化物試料の希釈することを含む(例えば、5μlの試料を添加する場合に、1μlの可溶化物試料と4μlの1x細胞溶解緩衝液1を混合することによって、1μlの試験レベルを調製する)。
2.ダイナミックレンジの調整:第二の反応の保温時間を変える
ほとんどの検体では、第二の反応の保温時間の長さはプロトコールに示した時間で充分である。しかしながら、第二のFRET試薬添加後の時間を変えて、反応マイクロプレートを測定することによって、直線的検出範囲(シグナル/バックグラウンド<15〜25)を調整することができる。例えば、高発現の試料では15〜30分で検出されることが多い。直接測定法(mRNA INVADERアッセイ法の詳細なプロトコールの工程7)では、早期の測定によって試験試料が充分なシグナルを与えないのであれば、反応マイクロプレートをさらに保温することができるので、第二の反応の時間を簡単に最適化できる。
第二の反応の蛍光シグナルの時間経過を追跡することによって、アッセイ法のダイナミックレンジを拡大することもできる。複数の時間点における直接測定によって、低コストの装置の利用が可能となる。あるいは、実時間蛍光装置を用いて、他のmRNA定量法と同程度のダイナミックレンジを達成することもできる。
3.ダイナミックレンジの調整:試料レベルを変える
FRET検出法によってアッセイが非常に単純化されるが、終点測定法を用いた場合には、通常、ダイナミックレンジは対数スケールで2〜3に限定される。しかしながら、mRNA INVADERアッセイ法のシグナルは、標的レベルおよび時間の両方に対し直線的に生成するものなので、対数スケール3を超えるダイナミックレンジ(例えば、高発現の遺伝子には必要である)の拡大法として最も簡単なものは、全RNA試料のレベルを調整することである。規格化した試料シグナルを用いて、遺伝子発現比の変化(処理した試料のシグナルを未処理の試料のシグナルで除す)を高い信頼性で算出することができる。標準曲線で決まる直線的検出範囲内のシグナルを与える試料のレベルを試験することによって、これを達成することができる。例えば、高レベルに誘導した試料の誘導比は次のようにして計算する。
誘導比 =(1ngの処理試料の正味のシグナル x 100)/100ngの未処理の試料の正味のシグナル
V. 問題解決指針
Figure 0005661071
付録A
mRNA INVADER単一アッセイ用ワークシート
mRNA INVADERアッセイ法
・試料および対照を調製する。
・第一の反応混合液を調製する。簡単にボルテックスし、ウェル当たり5μlで分注する。
・ウェル当たり5μlの試料もしくは対照を添加し、1〜2回ピペッティングする。
・ウェル当たり10μlの CHILLOUTまたは鉱油を添加する。
・第一の反応を60℃で90分間保温する。
・第二のFRET反応混合液を調製し、簡単にボルテックスを行う。
・多チャネル・ピペットを用いて、ウェル当たり5μlで分注し、1〜2回ピペッティングする。
・第二の反応を60℃で90分間保温する。
・蛍光マイクロプレート読み取り装置(FAM 色素: Ex. 485 nm/Em. 530 mn)でマイクロプレートを測定する。
第一の反応混合液
Figure 0005661071
第二のFRET反応混合液
Figure 0005661071
付録B
mRNA INVADER 2重アッセイ用ワークシート
mRNA INVADERアッセイ法
・試料および対照を調製する。
・第一の反応混合液を調製する。ウェル当たり5μlで分注する。
・ウェル当たり5μlの試料もしくは対照を添加し、1〜2回ピペッティングする。
・ウェル当たり10μlの CHILLOUTまたは鉱油を添加する。
・第一の反応を60℃で90分間保温する。
・第二のFRET反応混合液を調製し、簡単にボルテックスを行う。
・多チャネル・ピペットを用いて、ウェル当たり5μlで分注し、1〜2回ピペッティングする。
・第二の反応を60℃で90分間保温する。
・蛍光マイクロプレート読み取り装置(FAM 色素: Ex. 485 nm/Em. 530 nm;赤色色素: Ex. 560nm/Em. 620nm)でマイクロプレートを測定する。
第一の反応混合液
Figure 0005661071
第二のFRET反応混合液
Figure 0005661071
(表2)
Figure 0005661071
(表3) ポリメラーゼの領域Aにおける計画的変異
A.DNA活性表
Figure 0005661071
B.RNA活性表
Figure 0005661071
(表4) 計画的アーチ変異
DNA活性表
Figure 0005661071
RNA活性表
Figure 0005661071
(表5) アーチ/サム組み合わせ
DNA活性表
Figure 0005661071
RNA活性表
Figure 0005661071
(表6) ヘリックス-ヘアピン-ヘリックスのランダム変異誘発
DNA活性表
Figure 0005661071
RNA活性表
Figure 0005661071
(表7) ランダム・サム変異
DNA活性表
Figure 0005661071
RNA活性表
Figure 0005661071
(表8) キメラ変異体
A.DNA活性表
Figure 0005661071
B.RNA活性表
Figure 0005661071
本明細書に上記した刊行物および特許は、いずれも本明細書に参照として組み入れられる。本発明の範囲と精神から逸脱することなく、記載される本発明の方法およびシステムから様々な改変および変更が可能であることは、当業者であれば理解しうる。本発明は特に好ましい態様との関連において記載されているが、本発明の主張をそのような特定の態様にのみに限定することは適切ではない。実際、当業者には明らかである本発明の実施に関して記載された方法の各種の改変は、特許請求の範囲に含まれるものである。

Claims (14)

  1. 配列番号:37のアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  2. 配列番号:35、36および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むリペプチド。
  3. 請求項1または2記載のポリペプチドをコードする核酸。
  4. 核酸が、配列番号:104のヌクレオチド配列を含む核酸である、請求項3記載の核酸。
  5. 核酸が、配列番号:102、103および119からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸である、請求項3記載の核酸。
  6. 請求項3乃至5のいずれか一項記載の核酸を含む発現ベクター。
  7. 請求項6記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  8. 請求項1または2記載のポリペプチドを含むキット。
  9. DNA部分および少なくとも1個のRNA成分を含む少なくとも1個の核酸切断基質をさらに含む、請求項8記載のキット。
  10. 標識されたオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項8または9記載のキット。
  11. 核酸を切断する方法であって、
    a)i)請求項1または2記載のポリペプチドと、
    ii)基質核酸を含む試料と
    を提供する工程、および
    b)該基質核酸を該ポリペプチドに曝露する工程
    を含む方法。
  12. 基質核酸の該ポリペプチドへの曝露によって、少なくとも1つの切断産物が産生される、請求項11記載の方法。
  13. c)切断産物を検出する工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
  14. 基質核酸を含む試料が細胞可溶化物を含む、請求項11乃至13のいずれか一項記載の方法。
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