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JP5659945B2 - 回転電機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機の制御装置に関する。
一般的に、ハイブリッド車両等の電動車両に搭載される回転電機は、永久磁石からなるロータと、U相、V相、W相のステータコイルを含むステータとから構成される三相同期型である。そして、ハイブリッド車両には、複数のスイッチング素子を含むインバータを用いて回転電機に印加する電圧を制御する制御装置が設けられている。
三相同期型回転電機の制御では、回転磁界を作るために、通常、電気角に依存する形でインバータのスイッチングパターンを作成する。例えば、同期PWM(Pulse Width Modulation)制御では、回転電機の電気角1周期あたりに3の倍数の搬送波(以下、キャリアとする)を導入し、回転電機の電気角とキャリアとを同期させた状態で、電圧指令の波形とキャリアの波形とを比較してスイッチング制御信号を作成する。同期PWM制御によれば、キャリアの周期数が減少しても、パルス幅電圧の正負対称性を確保し易いため、安定した制御が可能になる。
つまり、同期PWM制御によれば、キャリア周波数を低くすることができ、スイッチング損失、スイッチングによる発熱を低減することができる。このため、燃費性能を向上させることが可能になる。しかし、背反事項として、キャリア周波数を低下させると、電磁騒音が発生し易くなる。また、同一の周波数を使用することで、その周波数付近の騒音レベルが大きくなる。
本発明に関連する技術として、特許文献1には、素子温度上昇の抑制が必要な領域に限定して同期PWMを適用し、その必要がない領域ではキャリア周波数が高い非同期PWMを適用するように両者を使い分けることによって、電磁騒音の発生をなるべく避けた上でインバータでの温度上昇を抑制することが開示されている。
特許文献2には、キャリア周波数を組み合わせてPWM処理することでキャリア周波数に起因する特定の周波数成分を分散して、低騒音化することが開示されている。また、特許文献2には、出力電流が大きい高負荷状態ではキャリア周波数を低くし、出力電流が小さい低負荷状態では周波数を高くすることにより、スイッチング素子の導通回数を減らして損失を低減することが開示されている。
特開2010‐246207号公報 特開2006‐217776号公報
ところで、電動車両等の分野では、良好な制御性を維持しながら、電磁騒音を抑制すると共に、インバータのスイッチングによる発熱を抑制することについて、さらなる改良が求められている。つまり、上記特許文献の技術を含む従来の技術は、電磁騒音の抑制とスイッチングによる発熱の抑制との両立について、未だ改良の余地がある。
即ち、本発明の目的は、良好な制御性を維持しながら、電磁騒音の抑制とスイッチングによる発熱の抑制とをより高度に両立することが可能な回転電機の制御装置を提供することである。
本発明に係る回転電機の制御装置は、複数のスイッチング素子を含むインバータを用いて、回転電機に印加する電圧を制御する回転電機の制御装置において、電圧指令と搬送波との比較に基づいて、スイッチング素子のスイッチング制御信号を生成する信号生成部と、予め定められた同期数と、回転電機の回転数とに基づいて、搬送波の基準周波数を設定する搬送波制御部とを備え、搬送波制御部は、電流指令に基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数を整数倍した高周波数に切り換える一方、電流指令が高くなる高電流位相領域では、同じスイッチング素子に対応する高電流位相領域について、連続して高周波数に切り換えないことを特徴とする。
或いは、本発明に係る回転電機の制御装置は、複数のスイッチング素子を含むインバータを用いて、回転電機に印加する電圧を制御する回転電機の制御装置において、電圧指令と搬送波との比較に基づいて、スイッチング素子のスイッチング制御信号を生成する信号生成部と、予め定められた同期数と、回転電機の回転数とに基づいて、搬送波の基準周波数を設定する搬送波制御部とを備え、搬送波制御部は、電流指令に基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数を整数倍した高周波数に切り換える一方、電流指令が高くなる高電流位相領域では、基準周波数の2周期分連続して高周波数に切り換えないことを特徴とする。
上記構成によれば、インバータのスイッチング制御信号の生成に同期PWM制御を適用することで、低周波数の搬送波を用いて安定した回転電機の制御を行なうことができる。低周波数の搬送波を用いることで、インバータのスイッチング損失を低減することができる。そして、電流指令に基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数を整数倍した高周波数に切り換えることで、キャリア周波数を分散させ、低周波数の搬送波に起因する電磁騒音を抑制することができる。さらに、同じスイッチング素子に対応する高電流位相領域では、基準周波数を連続して高周波数に切り換えない、或いは電流指令が高くなる高電流位相領域では、基準周波数の2周期分連続して高周波数に切り換えないことで、電磁騒音を抑制しながら、スイッチング素子の発熱を抑制することができる。
また、搬送波制御部は、同期数と、電流指令の位相とに基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数を整数倍した高周波数に切り換えることが好ましい。当該構成によれば、スイッチング素子の発熱量が大きなところ、即ち高電流位相領域では、キャリア周波数が高くなることを防止し易くなる。一方、スイッチング素子の発熱量が小さなところでは、キャリアの切り換えを促進して電磁騒音の抑制を図ることができる。
また、搬送波制御部は、回転電機の回転数とトルクとに基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数を整数倍した高周波数に切り換えることが好ましい。当該構成によれば、例えば、回転電機の回転数とトルクとに基づいて騒音レベルが高くなる状態を予め特定しておき、高騒音レベルでは周波数の切り換え倍率を高く設定して騒音を抑制し、低騒音レベルでは切り換え倍率を低く設定してスイッチング素子の発熱を抑制できる。
本発明に係る回転電機の制御装置によれば、良好な制御性を維持しながら、電磁騒音の抑制とスイッチングによる発熱の抑制とをより高度に両立することが可能である。
本発明の実施形態である回転電機の制御装置及びそれを搭載する回転電機駆動システムの構成を示すブロック図である。 インバータの構成を示す図である。 本発明の実施形態である制御装置において、各相の電圧指令の波形と、キャリアとの関係を示す図である。 本発明の実施形態である制御装置において、W相の電流指令の波形及びW相の電圧指令の波形と、キャリアとの関係を示す図である。 本発明の実施形態である制御装置において、キャリア周波数の切り換えパターンを規定した配置マップを示す図である。 本発明の実施形態である制御装置において、回転電機の回転数と、回転電機のトルクと、キャリア周波数の規定倍率との関係を規定する倍率マップを示す図である。 本発明の実施形態である制御装置による制御の一例を示すフローチャートである。 電圧指令の波形とキャリアとの同期を説明するための図である。 電圧指令の波形とキャリアとの同期を説明するための図である。
以下、図面を用いて、本発明に係る回転電機の制御装置の実施形態につき、詳細に説明する。実施形態では、制御対象として、ハイブリッド車両(以下、HV車両とする)に適用されるモータ駆動システム10を例示して説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。HV車両は、例えば、2つの回転電機を備える。図1では、主に走行用モータとして機能するモータジェネレータ11(以下、単にモータ11とする)の制御に係る構成図を例示するが、主に発電機として機能するモータジェネレータについても同じ構成図が適用できる。
まず初めに、図1を参照し、モータ駆動システム10及び制御装置20の構成について詳細に説明する。また、図2〜図6を適宜参照する。
図1に、制御装置20を搭載したモータ駆動システム10の概略構成を示す。図1に示すように、モータ駆動システム10は、モータ11と、モータ11に電力を供給可能なバッテリ12と、交流・直流変換装置であるインバータ13と、バッテリ12の直流電圧を昇圧するコンバータ14と、モータ11の駆動を制御する制御装置20とを備える。また、モータ駆動システム10は、制御装置20によるモータ11の制御に必要な情報を検出するセンサとして、電流センサ18、回転角センサ19等を備える。
HV車両は、走行用動力源として、図示しないエンジンを備える。また、HV車両には、例えば、エンジンと2つの回転電機との間で動力を分配する動力分配機構、アクセル開度や車速、バッテリ12の充電率(SOC:State Of Charge)等に基づいて統合的に車両の走行機能を制御するHV制御装置、バッテリ12のSOC等を監視するバッテリ監視装置、車両の駆動制御に必要な情報を検出する各種センサ(例えば、アクセルポジションセンサ)等が搭載されている。
モータ11は、例えば、永久磁石からなるロータと、U相、V相、W相のステータコイルを含むステータとから構成される三相同期型回転電機である。モータ11は、バッテリ12から供給される電力により回転駆動される。具体的には、バッテリ12の直流電流がインバータ13によって三相交流電流に変換されてモータ11に供給される。例えば、モータ11の出力は、その回転軸が連結された動力分配機構等を介して駆動輪に伝達される。ゆえに、HV車両では、モータ11によりエンジンをアシストする走行又はモータ11のみを動力源とする所謂EV走行が可能である。また、モータ11は、回生制動時に発電機として機能する。
バッテリ12は、主としてモータ11に電力を供給する蓄電装置である。バッテリ12には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、及びリチウムイオン電池等の二次電池が適用される。バッテリ12には、効率的な使用、劣化防止等の観点から、所定のSOCを上下限値とする管理幅(例えば、20%〜80%)と、充放電の基準となる目標SOC(例えば、60%)が設定されている。
図2に、インバータ13の構成を示す。図2に示すように、インバータ13は、コンバータ14や図示しないリレー等を介して、バッテリ12の正極端子及び負極端子にそれぞれ接続される電力線及びアース線の間に並列に設けられる。インバータ13は、モータ11の各相に対応して、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17とを含む。各相上下アームは、複数のスイッチング素子を含み、例えば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q1,Q2を、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q3,Q4を、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q5,Q6をそれぞれ含む。また、スイッチング素子Q1〜Q6に対して、逆並列ダイオードD1〜D6がそれぞれ接続されている。
スイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、又は電力用バイポーラトランジスタ等の半導体素子を用いることができる。スイッチング素子Q1〜Q6のオン/オフは、制御装置20から出力されるスイッチング制御信号S1〜S6により制御される。
インバータ13は、例えば、モータ11のトルク指令値T*が正の場合には、スイッチング制御信号S1〜S6に基づいて、スイッチング素子Q1〜Q6をスイッチングして、バッテリ12の直流電圧を交流電圧に変換し、モータ11から正のトルクが出力されるように駆動制御する。一方、HV車両の回生制動時には、モータ11のトルク指令値T*が負に設定される。この場合には、インバータ13は、モータが発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンバータ14に供給する。コンバータ14は、その直流電圧を降圧した後、バッテリ12に供給する。
電流センサ18は、モータ11に流れる電流を検出するセンサである。なお、各相の電流Iu,Iv,Iwの瞬時値の和は零であるので、電流センサ18は2相分のモータ電流(例えば、V相電流Iv及びW相電流Iw)を検出するように配置すればよい。回転角センサ19は、モータ11のロータ回転角θを検出するセンサである。制御装置20では、ロータ回転角θに基づいて、モータ11の回転数を算出できる。
制御装置20は、例えば、HV制御装置からの出力要求に従ってモータ11の制御を行う電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)であり、CPU、入出力ポート、メモリ等を備える。制御装置20は、HV制御装置からの出力要求であるトルク指令値T*に従って、インバータ13のスイッチング動作を制御するスイッチング制御信号を生成し、インバータ13を用いてモータ11を制御する。この制御を実行するため、制御装置20は、電流指令生成部21と、PI演算部22と、第1座標変換部23と、PWM信号生成部24と、第2座標変換部25と、回転数演算部26と、キャリア制御部27とを備える。
制御装置20による制御手法として、同期PWM制御を適用する。ただし、通常の同期PWM制御と異なり、モータ11の回転速度とキャリアとの同期を維持しながら、電流指令に基づいて、キャリア周波数の一部を、より高い周波数に変更する。この点について、後ほど詳しく説明する。
PWM制御では、例えば、トルク指令値T*に応じた正弦波状の電圧指令と、三角波であるキャリアとを比較し、正弦波が三角波より大のときを1(ON)、小のときを0(OFF)とするパルス信号を生成する。なお、電圧指令は、モータ11の各相に対応して、相互に120°の位相差を有する正弦波信号として供給される。生成したパルス信号に基づいて、スイッチング素子Q1〜Q6をON/OFFすることで、各相に擬似正弦波電圧としてのパルス幅変調電圧が印加される。
図3に、モータ11の各相に対する電圧指令の波形と、キャリアとの関係を示す。図3に示すように、同期PWM制御では、モータ11の回転速度(回転周波数)と同期させて、モータ11の回転周波数の整数倍(少なくとも2倍以上)となるように、キャリア周波数が制御される。これは、キャリア制御部27の機能により実行される。キャリア制御部27は、キャリア周波数を分散して電磁騒音を抑制するため、基準周波数fcの一部を、基準周波数fcを整数倍した高周波数(以下、乗算周波数fhとする)に変更する。
ここで、基準周波数fcとは、予め定められた同期数と、モータ11の回転数(回転周波数)とに基づいて設定されるキャリア周波数である。同期数は、モータ11の電気角1周期(360°)に含まれるキャリア数として予め定められている。つまり、同期数は、電気角1周期に含まれる基準周波数fcのキャリア数であり、例えば、任意の3の倍数に設定できる。図3に示す例では、同期数が6である。換言すると、基準周波数fcは、同期数が6となるように、モータ11の回転数に基づいて設定される。また、電圧指令もモータ11の回転数に同期するため、同期数は、電圧指令1周期あたりの基準周波数fcのキャリア数と言うこともできる。
電流指令生成部21は、予め記憶されたテーブル等に従って、モータ11に対するトルク指令値T*と、モータ11の回転数Nmとに基づいて、電流指令Id*及びIq*を生成する。予め定められたテーブルとしては、各電流値についてモータ11の回転数及び出力トルクの関係を示すT‐N制御マップが例示できる。
なお、モータ11の回転数Nmは、回転数演算部26によって回転角センサ19で検出されたロータ回転角θに基づいて算出される。また、第2座標変換部25では、ロータ回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、電流センサ18で検出されたV相電流Iv、W相電流Iwに基づいて、d軸電流Id及びq軸電流Iqが算出される。
PI演算部22は、制御偏差に応じたd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を生成する機能を有する。具体的に、PI演算部22には、電流指令生成部21で生成されたd軸電流指令Id*及びq軸電流指令Iq*と、第2座標変換部25によって算出されたd軸電流Id及びq軸電流Iqとの偏差ΔId(ΔId=Id*−Id),ΔIq(ΔIq=Iq*−Iq)が入力される。そして、PI演算部22は、d軸電流偏差ΔId及びq軸電流偏差ΔIqのそれぞれについて、所定ゲインによるPI演算(比例積分演算)を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を生成する。
第1座標変換部23は、モータ11のロータ回転角θを用いた座標変換(2相→3相)を行って、PI演算部22で作成されたd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を、モータ11の各相に対応する電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換する機能を有する。
PWM信号生成部24は、上記のように、第1座標変換部23から供給される各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*と、キャリアとの比較に基づいて、例えば、インバータ13の6つのスイッチング素子Q1〜Q6をON/OFFさせるためのスイッチング制御信号S1〜S6を生成する。そして、インバータ13が、スイッチング制御信号S1〜S6に従ってスイッチングされることにより、モータ11にトルク指令値T*に従ったトルクを出力するための交流電圧が印加される。なお、PWM信号生成部24は、キャリア制御部27により設定された周波数(基準周波数fc又は乗算周波数fh)に従ってキャリアを発生させる。
キャリア制御部27は、PWM信号生成部24で使用されるキャリアの周波数を制御する機能を有する。キャリア制御部27は、キャリアの基準周波数fcを設定する基準周波数設定手段28と、電流指令に基づいて、キャリアの周波数を基準周波数fcよりも高い周波数の乗算周波数fhに切り換える周波数切り換え手段29とを有する。
基準周波数設定手段28は、モータ11の電気角1周期あたりのキャリア(基準周波数fcのキャリア)の数として予め定められた同期数と、モータ11の回転数とに基づいて、キャリアの基準周波数fcを設定する機能を有する。基準周波数設定手段28は、例えば、回転数演算部26からモータ11の回転数Nmを取得し、予め定められた同期数を用いて基準周波数fcを算出する。つまり、基準周波数設定手段28は、モータ11の回転速度に応じて基準周波数fcを変更設定する。なお、同機数は、基準周波数fcを設定する時点で定められているものであれば、モータ11の状態等に応じて変動してもよい。
周波数切り換え手段29は、電流指令に基づいて、キャリア周波数を、基準周波数fcを整数倍した乗算周波数fhに切り換える機能を有する。つまり、周波数切り換え手段29は、キャリア周波数を分散して、基準周波数fcと、基準周波数fcの整数倍の乗算周波数fhとを混在させる。これにより、周波数が低い基準周波数fcのキャリアに起因する騒音が分散されて騒音レベルが低下する。
周波数切り換え手段29は、電磁騒音の抑制とインバータ13のスイッチングによる発熱の抑制とを高度に両立する観点から、周波数切り換えのタイミング及び周波数の規定倍率Zを決定する。ここで、規定倍率Zとは、fh/fcを意味し、基準周波数fcを整数倍した乗算周波数fhに切り換える際の「整数」にあたる。周波数切り換え手段29は、同期数と、電流指令の位相(以下、単に電流位相とする)とに基づいて、基準周波数fcの1周期単位で周波数を切り換えることが好適である。また、周波数切り換え手段29は、モータ11の回転数(回転周波数)と、モータ11のトルクとに基づいて、規定倍率Zを変更することが好適である。
図4に、W相に対する電流指令及び電圧指令の波形と、キャリアとの関係を示す。図4に示す例では、ある電気角周期(第1の電気角周期とする)において、基準周波数fcと、乗算周波数fhとが、基準周波数fcの1周期おきに交互に繰り返されている。つまり、周波数切り換え手段29は、第1の電気角周期において、基準周波数fcの2周期に1回の割合で、基準周波数fcを乗算周波数fhに切り換えている。一方、第1の電気角周期に続く第2の電気角周期では、例えば、基準周波数fcから乗算周波数fhへの切り換えを実施しない。なお、規定倍率Zは、例えば、2倍又は3倍とすることが好適である。
周波数切り換え手段29は、インバータ13のスイッチングによる発熱を抑制するため、電流指令が高くなる高電流位相領域Rhでは、同じスイッチング素子に対応する高電流位相領域Rhについて、連続して乗算周波数fhに切り換えないことが好適である。つまり、モータ11の各相に対応するインバータ13のスイッチング素子はそれぞれ2つあるが、2つのうち一方のスイッチング素子(例えば、スイッチング素子Q6)に対応する高電流位相領域Rh(Q6)でキャリアを乗算周波数fhに切り換えた場合には、そのスイッチング素子Q6に対応する次の高電流位相領域Rh(Q6)では、基準周波数fcから乗算周波数fhへの切り換えを実施しない。
換言すると、同じ相の上アームについて、基準周波数fcから乗算周波数fhへの切り換え(以下、単に高周波数化とも称する)を実施した場合には、高電流位相領域Rhで再び高周波数化を実施するまでの間に、少なくとも1以上の高周波数化を実施しない高電流位相領域Rhを挟むことが好適である。一方、高電流位相領域Rh(Q6)で高周波数化を実施した後、それに続く高電流位相領域Rh(Q5)で高周波数化を実施してもよい。
また、周波数切り換え手段29は、インバータ13のスイッチングによる発熱を抑制するため、高電流位相領域Rhでは、基準周波数fcの2周期分連続して乗算周波数fhに切り換えないことが好適である。例えば、基準周波数fcの1周期おきに高周波数化を実施することで、高電流位相領域Rhにおいて、基準周波数fcの2周期分連続して基準周波数fcが乗算周波数fhに切り換わることを防止できる。一方、電流指令が低くなる低電流位相領域では、キャリア周波数を、基準周波数fcの2周期分連続して乗算周波数fhに切り換えてもよい。
なお、キャリア周波数の高周波数化を制限すべき高電流位相領域Rhとは、電流指令の振幅ピークにおける電流量を100とした場合に、その電流量の50%以上となる領域、又は70%以上となる領域、又は80%以上となる領域である。
図5に、キャリア周波数の切り換えパターンを規定した配置マップ(電気角1周期分)を示す。図5に示す配置マップは、同期数と、電流位相とを引数として、高周波数化を実施する基準周波数fcの対象周期を規定した2次元マップである。図5に示す配置マップでは、高周波数化を実施する基準周波数fcの対象周期を1として記憶し、高周波数化を実施しない基準周波数fcの対象周期を0として記憶しており、高周波数化を実施する2つの対象周期の間に3つの非実施周期を挟んでいる。配置マップは、例えば、同じスイッチング素子の隣り合う高電流位相領域Rhにおいて、1(実施)が連続しないように、また、高電流位相領域Rhにおいて、基準周波数fcの2周期分連続して1(実施)とならないように、1(実施)と0(非実施)とを規定することが好ましい。
周波数切り換え手段29は、図5に例示するような配置マップを用いて、キャリア周波数の切り換えを実行できる。周波数切り換え手段29は、例えば、制御装置20のメモリから同期数を読み出すと共に、回転角センサ19により検出されたロータ回転角θを取得して電流位相を導出し、同期数及び電流位相に基づいて配置マップからキャリア周波数の切り換えを実行する基準周波数fcの対象周期を特定する。
図6に、モータ11の回転数と、モータ11のトルクと、規定倍率Zとの関係を規定する倍率マップを示す。図6に示す倍率マップは、モータ11の回転数と、モータ11のトルクとを引数として、1倍、2倍、3倍の規定倍率Zを規定した2次元マップである。ここで、1倍とは、基準周波数fcを維持することを意味し、この倍率マップでは、例えば、モータ11のトルクが30Nm以下の範囲では、モータ11の回転数によらずキャリアの高周波数化を実施しない。
図6に示す倍率マップでは、モータ11のトルクが大きく(例えば、50Nm)、且つ回転数が低いほど(例えば、1000rpm)、規定倍率Zを高く設定している(Z=3)。一方、トルクが大きくても(例えば、40Nm)、回転数が大きい範囲(例えば、4000rpm以上)では、規定倍率Zを低く設定している(Z=1)。
図3〜図6に示すように、キャリア周波数の切り換えパターン及び規定倍率Zは、インバータ13の発熱が問題とならない範囲において、適宜変更することができる。例えば、図4,5に示す例では、W相の電流位相に基づいて、基準周波数fcの一部の高周波数化を実施しているが、U相又はV相の電流位相に基づいて、或いは複数の相の電流位相に基づいて、高周波数化を実施してもよい。また、図3,4に示す例では、基準周波数fcと乗算周波数fhとが、基準周波数fcの1周期おきに交互に繰り返されているが、例えば、第1の電気角周期では、基準周波数fcを全て乗算周波数fhに切り換え、第1の電気角周期に続く第2の電気角周期、又は幾つかの電気角周期では、高周波数化を実施しない切り換えパターンとしてもよい。
次に、図7を参照し、制御装置20によるキャリア周波数制御の一例について説明する。また、図8,9を適宜参照する。なお、以下では、U相の電圧指令(U相電圧)に基づいてキャリアの同期を実行し、W相の電流位相に基づいてキャリア周波数の切り換えを実行するものとして説明する。
図7に示すように、モータ11の回転速度とキャリアとの同期を図り、モータ11の回転数Nm(回転周波数)と同期数とに基づき基準周波数fcを設定する(S10〜S13)。S10〜S13の手順は、基準周波数設定手段28の機能により実行される。まず、回転角センサ19からモータ11のロータ回転角θを取得して、現在の電気角を導出する(S10)。続いて、現在の電気角からU相電圧が0となるゼロクロス位置までの相対角度を導出する(S11)。そして、現在の基準周波数fcを繰り返したときの余り時間を演算する(S12)。そして、余り時間からキャリア周波数(キャリアの端数)を再計算して基準周波数fcを決定する(S13)。
図8に示すように、現時点からゼロクロス位置まで進んだときに(モータ11の回転数がその間に変化しないことが前提)、ゼロクロス位置とキャリアの周期Tとが合致する場合には、補正量を0とする。即ち、基準周波数fcを変更しない。一方、図9に示すように、現時点からゼロクロス位置まで進んだときに(モータ11の回転数がその間に変化しないことが前提)、ゼロクロス位置とキャリアの周期とが合致しない場合には、キャリア周波数の補正が必要である。例えば、補正量が1/4である場合には、キャリアの周期Tが(1−1/4)Tとなり、周波数は逆数となる。補正後には、モータ11の回転数Nmと同期数とに基づき基準周波数fcを設定する。
続いて、モータ11の回転数Nmと、モータ11に対するトルク指令値T*とに基づいて、倍率マップから規定倍率Zを決定する(S14)。なお、トルク指令値T*が小さな範囲では、倍率マップの規定倍率Zを1として、キャリア周波数の切り換えを実施しない設定としてもよい。
続いて、キャリア周波数の切り換えパターンを規定した配置マップからキャリア周波数の切り換えを実施すべき電流位相か否かを確認して(S15)、例えば、配置マップが1(実施)である場合には、基準周波数fcに規定倍率Zを乗じて乗算周波数fhを決定する(S16)。つまり、基準周波数fcの実施対象周期について、キャリアの周波数を乗算周波数fhに設定する。一方、配置マップが0(非実施)である場合には、基準周波数fcの切り換えを行わない。つまり、基準周波数fcの高周波数化が禁止される。S14〜S16の手順は、周波数切り換え手段29の機能により実行される。
S15の手順は、例えば、次のように進行する。まず、電流指令生成部21で生成されたd軸電流指令Id*及びq軸電流指令Iq*と、ロータ回転角θからの電気角とあわせて、例えば、W相の電流位相を特定し、配置マップを用いて高周波数化の実施判定を行う。
なお、キャリア制御部27により設定されたキャリア周波数は、例えば、PWM信号生成部24に送信され、PWM信号生成部24において、そのキャリア周波数に従ったキャリアが出力される。
以上のように、制御装置20は、電流指令に基づいて、キャリア周波数を、基準周波数fcを整数倍した乗算周波数fhに切り換える一方、同じスイッチング素子の高電流位相領域Rhでは、連続して乗算周波数fhに切り換えない。また、高電流位相領域Rhでは、基準周波数fcの2周期分連続して乗算周波数fhに切り換えない。これにより、周波数の低い基準周波数fcを分散させて電磁騒音を抑制しながら、スチッチングによる発熱量が大きな高電流位相領域Rhでは高周波数化を大幅に制限してスイッチングによる発熱を抑制することができる。つまり、制御装置20によれば、良好な制御性を維持しながら、電磁騒音の抑制とスイッチングによる発熱の抑制とをより高度に両立することが可能である。
10 ハイブリッド車両(HV車両)、11 モータジェネレータ(モータ)、12 バッテリ、13 インバータ、14 コンバータ、15 U相上下アーム、16 V相上下アーム、17 W相上下アーム、18 電流センサ、19 回転角センサ、20 制御装置、21 電流指令生成部、22 PI演算部、23 第1座標変換部、24 PWM信号生成部、25 第2座標変換部、26 回転数演算部、27 キャリア制御部、28 基準周波数設定手段、29 周波数切り換え手段。

Claims (4)

  1. 複数のスイッチング素子を含むインバータを用いて、回転電機に印加する電圧を制御する回転電機の制御装置において、
    電圧指令と搬送波との比較に基づいて、スイッチング素子のスイッチング制御信号を生成する信号生成部と、
    予め定められた同期数と、回転電機の回転数とに基づいて、搬送波の基準周波数を設定する搬送波制御部と、
    を備え、
    搬送波制御部は、
    電流指令に基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数を整数倍した高周波数に切り換える一方、電流指令が高くなる高電流位相領域では、同じスイッチング素子に対応する高電流位相領域について、連続して高周波数に切り換えないことを特徴とする回転電機の制御装置。
  2. 複数のスイッチング素子を含むインバータを用いて、回転電機に印加する電圧を制御する回転電機の制御装置において、
    電圧指令と搬送波との比較に基づいて、スイッチング素子のスイッチング制御信号を生成する信号生成部と、
    予め定められた同期数と、回転電機の回転数とに基づいて、搬送波の基準周波数を設定する搬送波制御部と、
    を備え、
    搬送波制御部は、
    電流指令に基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数の1周期単位で基準周波数を整数倍した高周波数に切り換える一方、電流指令が高くなる高電流位相領域では、基準周波数の2周期分連続して高周波数に切り換えないことを特徴とする回転電機の制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の回転電機の制御装置において、
    搬送波制御部は、同期数と、電流指令の位相とに基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数を整数倍した高周波数に切り換えることを特徴とする回転電機の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の回転電機の制御装置において、
    搬送波制御部は、回転電機の回転数とトルクとに基づいて、搬送波の周波数を、基準周波数を整数倍した高周波数に切り換えることを特徴とする回転電機の制御装置。
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