以下に、本発明の実施形態に係る携帯通信装置、R/W装置、及び、共振周波数の調整方法の一例を、図面を参照しながら、以下の順で説明する。なお、以下に示す例では、携帯通信装置として、移動通信端末を用いた例を説明する。なお、ここでいう移動通信端末は、いわゆる携帯電話端末と称されるものであり、無線電話用の基地局と無線通信を行う端末装置である。
1.第1の実施形態:移動通信端末及び共振周波数の調整方法の基本例
2.第2の実施形態:共振周波数をオフセット調整する構成例
3.第3の実施形態:送受信共用アンテナを用いる構成例
4.第4の実施形態:R/W装置における共振周波数の調整例
5.各種応用例
<1.第1の実施形態>
[移動通信端末の構成]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る移動通信端末の概略構成を示す。なお、図1には、説明を簡略化するため、ICカード機能及びR/W機能の両機能に必要な構成(以下、非接触通信部という)のみを示す。ただし、非接触通信部以外の構成は、従来の移動通信端末と同様に構成することができる。また、本実施形態では、非接触通信部内の受信回路系(ICカード機能)の共振周波数(受信共振周波数)を調整する例を説明する。
非接触通信部100は、受信回路1と、送信回路2(送信部)と、周波数調整回路3と、送受信特性調整回路4と、起動信号出力部5と、記憶部6と、制御回路7(制御回路部)とを備える。各部の機能は次の通りである。
受信回路1は、主に、ICカード機能を果たす回路部である。受信回路1は、後述するように内部に受信アンテナを備え、外部のR/W装置から送信される信号(Sg1)を受信アンテナで受信して、該受信信号を復調して受信情報を得る。また、本実施形態では、受信回路1内の受信アンテナは、送信回路2内の後述する送信アンテナと電磁結合しており、送信アンテナから送信される受信共振周波数を調整するための調整信号Sg3を受信する。なお、受信回路1の具体的な内部構成については、後で図面を参照しながら詳述する。
送信回路2は、主に、R/W機能を果たす回路部である。送信回路2は、後述するように内部に送信アンテナを備え、その送信アンテナにより、外部の例えば非接触ICカードやICカード機能を有する外部の移動通信端末等の非接触データキャリアに所定の情報を含む信号(Sg2)を送信する。
また、送信回路2は、周波数調整回路3に接続されており、周波数調整回路3から入力される調整信号Sg3のレベル(振幅)を可変する機能を備える。そして、送信回路2は、周波数調整回路3から入力される調整信号Sg3を所定の出力レベルに調整し、該レベル調整された調整信号Sg3を受信回路1に送信する。なお、送信回路2の具体的な内部構成については、後で図面を参照しながら詳述する。
周波数調整回路3は、調整信号Sg3を生成し、その調整信号Sg3を受信回路1及び送信回路2に出力する。なお、周波数調整回路3の具体的な内部構成については、後で図面を参照しながら説明する。
送受信特性調整回路4は、共振周波数調整時における受信回路1の受信特性及び送信回路2の送信特性が最適になるように、受信回路1の受信特性及び送信回路2の送信特性をそれぞれ調整する。具体的には、共振周波数調整時の動作が、外部の機器(例えば非接触ICカード、ICカード機能付き移動通信端末等)に影響を及ぼさないように送信回路2の送信特性を調整する。また、共振周波数調整時に、受信回路1での受信信号が過大にならないように受信回路1の受信特性を調整する。
例えば、送受信特性調整回路4の出力端子は送信回路2に接続されており、送受信特性調整回路4は、共振周波数調整時の調整信号Sg3の信号レベル、変調手法、符号化手法等を通常動作時とは変える。また、送受信特性調整回路4の出力端子は受信回路1に接続されており、送受信特性調整回路4は、例えば、共振周波数調整時の受信回路1の感度を示すQ値(Quality factor)を低下させる。
起動信号出力部5は、所定の条件になれば、動作モードを、ICカード機能又はR/W機能の通常動作のモード(以下、ノーマルモードという)から、受信共振周波数を調整するモード(以下、調整モードという)に移行する旨の起動信号を制御回路7に出力する。
なお、本実施形態における共振周波数の調整処理は、例えば、移動通信端末の工場出荷時だけでなく、出荷後にも行うことができる。ただし、出荷後、移動通信端末をR/Wとして用いている場合には、共振周波数の調整を非接触通信時に適宜実施してもよい。
具体的には、出荷後、調整モードに移行する際(共振周波数の調整を実施する際)に用いる条件としては、例えば次に示す条件等を用いることができる。
(1)日付及び/又は曜日。
(2)時間。
(3)周囲環境(例えば、温度、湿度等)。
(4)移動通信端末への電源投入時。
(5)通信エラーの発生時。
(6)搬送波を検出した時(ただし、R/W機能を動作させて通信を開始した際に、自信で生成した搬送波を自身のアンテナで検出した場合も含む)。
(7)搬送波を一定期間検出し、その後、搬送波が検出されなくなった時。
なお、上記起動条件(1)〜(7)のうち、起動条件(1)〜(4)に関する情報は、移動通信端末内の例えばメイン制御部(不図示)等から起動信号出力部5に入力される。一方、起動条件(5)〜(7)に関する情報は、非接触通信部100内の制御回路7から入力される。
上記起動条件(1)及び(2)等については、ユーザにより設定できるようにしてもよい。例えば、調整モードの実施時間として、ICカード機能及び/又はR/W機能の使用頻度の比較的高い通勤時間を避けて深夜に設定すれば、通勤時に通信動作と調整モードとが重ならなくなり、使い勝手がよくなる。また、例えば、調整モードの所定期間毎に行うように設定すれば、上述した経時変化による共振周波数のずれを抑制することができる。
また、上記起動条件(5)で調整モードを起動する場合、起動信号出力部5は、例えば通信エラーフラグを検出して通信エラーを認識する。この場合、通信(ノーマルモード)を強制的に終了して調整モードに移行するようにしてもよい。なお、本実施形態の調整モードでは、受信アンテナのQ値を低下させて外部R/W装置の送信信号の影響を低減する。しかしながら、通信エラー発生時に強制的に調整モードに移行する場合には、外部R/W装置の送信信号の影響をより小さくするために、受信アンテナのQ値をより一層小さくすることが好ましい。これにより、より安定した調整が可能になる。
さらに、上記起動条件(7)で、調整モードが起動するように設定されている場合には、例えば、移動通信端末のICカード機能を使用して、例えば駅の改札等を通った後に次の通信に備えて受信共振周波数の調整が行われる。
なお、上記起動条件(7)において、搬送波が検出されなくなったことを検知するための手法としては、例えば、通信終了時に通信終了のフラグが立つような構成にしておき、そのフラグを検出して通信終了を検出する手法を用いることができる。また、別の手法として、例えば搬送波が一定期間検出されれば、通信が行われていると判断し、伝送波が検出されなくなった時間を通信終了時と判断して調整モードに移行するようにしてもよい。なお、例えば、現在、駅の改札等で利用されているICカード機能では、0.1秒程度で通信が終了するので、例えば0.1秒×0.5=0.05秒以上の間、搬送波が検出されたならば、通信実行中と判断すればよい。
記憶部6は、共振周波数の調整モードで得られた結果(例えば制御電圧等の最適条件)を記憶する。また、記憶部6は、記憶された最適条件を、制御回路7を介して送受信特性調整回路4に出力する。そして、送受信特性調整回路4は、この最適条件に基づいて、受信回路1及び/又は送信回路2の共振特性を設定する。
なお、記憶部6はさらに、有線通信/無線通信(例えばウエブ等)により、記憶した最適条件を外部の記憶装置に出力する機能を備えていてもよい。この場合、記憶部6は、外部記憶装置に記憶された最適条件を読み出して送受信特性調整回路4に出力することも可能になる。
制御回路7は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、受信回路1の出力信号を内部で演算処理し、その結果を送信回路2及び周波数調整回路3に出力する。具体的には、制御回路7は、受信回路1の出力信号の信号レベルが所定の閾値以下となるように出力信号に対して所定の演算処理及び制御を行う。
また、制御回路7は、起動信号出力部5から出力される命令信号(起動信号)に基づいて、非接触通信部100の動作モードをノーマルモード及び調整モード間で切り替える。そして、制御回路7は、非接触通信部100を構成する各部に対して、調整モード時の動作の実施を指示する旨の命令信号に出力する。
また、制御回路7は、調整モード動作時に、送受信特性調整回路4を介して受信回路1に、受信アンテナの共振周波数を調整するための制御信号(例えば直流信号、交流信号、PWM(Pulse Width Modulation)信号等)を出力する。
具体的には、受信アンテナ(受信回路1)内の可変共振コンデンサに印加する制御電圧を変化させることにより、受信アンテナの共振周波数を変化させる場合には、制御回路7は、送受信特性調整回路4を介して受信回路1に制御電圧を出力する。また、受信回路1内の受信アンテナの共振周波数を、互いに容量の異なる複数のコンデンサを切り替えて調整する場合には、制御回路7は、送受信特性調整回路4を介して受信回路1に複数のコンデンサの切替信号を出力する。
さらに、制御回路7は、調整モード時に取得した検出データ及び最適な設定条件データを記憶部6または外部の記憶装置に出力する。
[受信回路、送信回路及び周波数調整回路の構成]
次に、本実施形態の受信回路1、送信回路2、及び、周波数調整回路3の内部構成を、図2を参照しながら説明する。なお、図2は、本実施形態の受信回路1及び送信回路2の概略構成図である。また、図2には、受信回路1及び送信回路2と、周波数調整回路3、送受信特性調整回路4及び制御回路7との接続関係も示す。
まず、受信回路1の内部構成について説明する。受信回路1は、受信部10と、整流回路11と、ノーマルモード回路部12と、調整モード回路部13(調整信号検出回路)とを備える。
受信部10は、共振コイル31と、2つの可変容量コンデンサ33及び34(第1及び第2可変容量コンデンサ)と、2つの定容量コンデンサ32及び35(第1及び第2定容量コンデンサ)とを備える。さらに、受信部10は、3つの電流制限抵抗37〜39(第1電流制限抵抗〜第3電流制限抵抗)を備える。
第1可変容量コンデンサ33及び第2可変容量コンデンサ34は、制御回路7から送受信特性調整回路4を介して印加される制御電圧Vcに応じて、その容量が変化する静電容量素子である。なお、本実施形態では、第1可変容量コンデンサ33及び第2可変容量コンデンサ34として、制御電圧Vcが増大すると、容量が減少する可変容量コンデンサを用いる。
一方、第1定容量コンデンサ32及び第2定容量コンデンサ35は、入力信号の種類(交流または直流)及びその信号レベルに関係なく、その容量はほとんど変化しない静電容量素子である。なお、第1定容量コンデンサ32及び第2定容量コンデンサ35は、制御回路7側から入力される制御電流と、受信信号電流との干渉による影響を抑制するためのバイアス除去用コンデンサとして作用する。
また、本実施形態では、第1定容量コンデンサ32、第1可変容量コンデンサ33、第2可変容量コンデンサ34及び第2定容量コンデンサ35を、この順で直列接続し、一つの共振コンデンサ36を構成する。そして、この直列接続されたコンデンサ群からなる共振コンデンサ36と共振コイル31とを並列接続して共振回路、すなわち、受信アンテナ30を構成する。本実施形態では、この共振回路の電磁誘導作用により、外部のR/W装置からの送信信号Sg1、又は、送信回路2からの共振周波数調整用の調整信号Sg3を受信する。
第1電流制限抵抗37〜第3電流制限抵抗39は、制御回路7側から入力される制御電流と、受信信号電流との干渉による影響を抑制するための抵抗である。第1電流制限抵抗37の一方の端子は、第1可変容量コンデンサ33及び第2可変容量コンデンサ34間の接続部に接続され、他方の端子は、送受信特性調整回路4の出力端子に接続される。すなわち、本実施形態では、第1可変容量コンデンサ33及び第2可変容量コンデンサの容量制御用の制御電圧Vcは、制御回路7から送受信特性調整回路4及び第1電流制限抵抗37を介して印加される。また、第2電流制限抵抗38の一方の端子は、第1定容量コンデンサ32及び第1可変容量コンデンサ33間の接続部にそれぞれ接続され、他方の端子は接地される。さらに、第3電流制限抵抗39の一方の端子は、第2可変容量コンデンサ34及び第2定容量コンデンサ35間の接続部に接続され、他方の端子は接地される。
整流回路11は、図示しないが、例えば整流用ダイオードと整流用コンデンサとからなる半波整流回路等で構成され、受信アンテナ30で受信した交流電圧を直流電圧に整流して出力する。
ノーマルモード回路部12は、ICカード機能の通常動作を行う際に機能する回路部である。ノーマルモード回路部12は、ローパスフィルタ回路41と、2値化処理部42と、信号処理部43と、電源レギュレータ44とを備える。
ローパスフィルタ回路41、2値化処理部42及び信号処理部43は、整流回路11の出力端子からこの順で接続される。ローパスフィルタ回路41、2値化処理部42及び信号処理部43からなる回路群は、復調回路を構成しており、受信アンテナ30で受信した外部機器からの送信信号をこの回路群で復調する。また、電源レギュレータ44は、受信回路1の駆動電力を蓄えて安定化させ、電力を所定の各部に供給する。
調整モード回路部13は、受信アンテナ30の共振周波数の調整(調整モード)時に機能する回路部である。調整モード回路部13は、主に、ハイパスフィルタ回路51と、2値化処理部52と、調整値検出部53と、設定値記憶部54(目標値記憶部)と、エラーアンプ55とで構成される。なお、後述するように、本実施形態の調整モードでは、調整信号Sg3(キャリア)及びその受信信号間の位相差、調整信号Sg3及びその受信信号間の電圧比、又は、調整信号Sg3の振幅値(電圧レベル)に基づいて、共振周波数のずれを調整する。
ハイパスフィルタ回路51は、受信アンテナ30に接続され、受信アンテナ30で受信した調整信号Sg3のキャリア成分に対応する電圧信号(受信電圧)を抽出する。そして、ハイパスフィルタ回路51の出力端子は、2値化処理部52に接続されており、抽出されたキャリア成分の電圧信号を2値化処理部52に出力する。
2値化処理部52は、ハイパスフィルタ回路51で抽出された電圧信号に対して2値化処理を施す。この結果、2値化処理部52からは、キャリア成分の矩形波信号が出力される。このように、ハイパスフィルタ回路51で抽出された電圧信号に対して2値化処理を施すことにより、復調されたキャリア成分の電圧信号の振幅を一定にすることができる。また、2値化処理部52の出力端子は、調整値検出部53に接続されており、2値化処理部52は、2値化処理を施したキャリア成分の電圧信号を調整値検出部53に出力する。
調整値検出部53は、共振周波数のずれを補正する際に用いる調整パラメータ(調整値)を算出する。本実施形態では、調整値検出部53は、調整信号Sg3の送信状態(例えば、送信電圧や位相など)に関する情報を含む調整パラメータを算出する。具体的には、調整値検出部53は、調整信号Sg3及びその受信信号間の位相差φ、調整信号Sg3及びその受信信号間の電圧比VR、又は、調整信号Sg3の振幅値(送信電圧Vt)を算出する。
また、調整値検出部53の2つの入力端子は、それぞれ、2値化処理部52及び周波数調整回路3内の後述する調整信号生成部61に接続される。調整値検出部53の一方の入力端子には、2値化処理部52から、調整信号Sg3の受信信号(電圧信号)が入力され、他方の入力端子には、調整信号生成部61から調整信号Sg3が入力される。そして、調整値検出部53は、入力された調整信号Sg3と、その受信信号とに基づいて、上述した各種調整パラメータを算出する。
さらに、調整値検出部53の出力端子は、エラーアンプ55に接続され、算出した各種調整パラメータをエラーアンプ55に出力する。また、調整値検出部53は、制御回路7に接続され、共振周波数が所望の共振周波数に調整された際には、受信アンテナ30に現在印加されている制御電圧Vcの値を維持する旨(調整モードを終了する旨)のホールド信号を制御回路7に出力する。
設定値記憶部54は、調整値検出部53で算出される各種調整パラメータの最適値(目標値)が予め格納される。また、設定値記憶部54には、上記各種調整パラメータの好適な調整許容範囲も予め格納される。すなわち、設定値記憶部54には、各種調整パラメータの好適な調整範囲に関する情報が格納される。
なお、上記各種調整パラメータの目標値は、例えば、用途等に応じて適宜設定される。具体的には、受信信号及び送信信号間の電圧比VR、位相差φ、又は、送信電圧Vtの目標値は、例えば、受信アンテナ30及び送信アンテナ20間の距離、各アンテナのサイズ等に応じて変化する。すなわち、対象とする移動体通信端末の送受信系の構成により変化するので、本実施形態では、上記各種調整パラメータの目標値を、移動体通信端末の例えば機種毎等に予め測定し、その測定結果を設定値記憶部54に格納する。また、上記各種調整パラメータの調整許容範囲は、例えば、用途、共振周波数の必要とする調整精度等に応じて適宜設定される。
エラーアンプ55は、調整値検出部53から入力される上記各種調整パラメータのいずれかと、それに対応する設定値記憶部54に格納された目標値とを比較し、受信アンテナ30の共振周波数(受信共振周波数)の調整が必要か否かを判定する。受信アンテナ30の共振周波数調整が必要である場合、すなわち、調整値検出部53から入力される調整パラメータの値が所定の目標範囲に入っていない場合には、エラーアンプ55は、エラー信号ΔVを生成する。
また、エラーアンプ55は、制御回路7に接続され、生成したエラー信号ΔVを制御回路7に出力する。なお、制御回路7は、エラーアンプ55から入力されるエラー信号ΔVに基づいて、送受信特性調整回路4を制御して制御電圧Vcを増減し、これにより、受信アンテナ30の共振周波数を調整する。
次に、送信回路2の内部構成について簡単に説明する。送信回路2は、送信アンテナ20と、送信アンテナ20に所定の送信信号を出力する2つのドライバ23とを備える。本実施形態では、受信回路1の共振周波数のみを調整するので、送信アンテナ20を、共振コイル21と、定容量の共振コンデンサ22とで構成し、両者を並列接続する。
次に、周波数調整回路3の内部構成について簡単に説明する。周波数調整回路3は、調整信号生成部61と、調整信号出力部62とを備える。
調整信号生成部61は、共振周波数の調整モード時に送信回路2から受信回路1に送信する所定周波数(キャリア周波数)の調整信号Sg3を生成する。また、調整信号生成部61の出力端子は、調整信号出力部62及び受信回路1内の調整値検出部53に接続され、調整信号生成部61は、生成した調整信号Sg3を調整信号出力部62及び調整値検出部53に出力する。
調整信号出力部62は、調整信号生成部61から入力された調整信号Sg3の正相信号、及び、逆相信号を生成し、各信号の振幅レベルを所定の振幅レベルに調整する。また、調整信号出力部62は2つの出力端子を有し、一方の出力端子から正相の調整信号Sg3を出力し、他方の出力端子から逆相の調整信号Sg3を出力する。そして、調整信号出力部62の2つの出力端子が送信回路2内の2つのドライバ23にそれぞれ接続され、調整信号出力部62は、正相の調整信号Sg3を一方のドライバ23に出力し、逆相の調整信号Sg3を他方のドライバ23に出力する。
[共振周波数の調整原理]
本実施形態の移動通信端末における非接触通信部100の受信回路1の共振周波数の調整原理(受信共振周波数のずれの補正原理)を、図面を参照しながら説明する。
上述のように、本実施形態では、調整値検出部53から出力される調整信号Sg3及びその受信信号間の位相差φ、調整信号Sg3及びその受信信号間の電圧比VR、又は、調整信号Sg3の送信電圧Vtに基づいて、受信回路1の共振周波数を調整する。以下では、本発明者らが行った検証実験に基づいて、上記各種調整パラメータのいずれかを用いることにより、受信共振周波数を最適な値に調整できることを説明する。
いま、図3に示すような検証実験システムを考える。なお、図3は、本発明者らが行った検証実験で用いた測定システムの概略ブロック構成図である。検証実験の測定システム200は、送信アンテナ201と、受信アンテナ202と、制御電圧電源203と、抵抗204と、調整信号生成装置205と、検出器206とで構成される。なお、送信アンテナ201と受信アンテナ202とは電磁結合している。
図3には図示しないが、送信アンテナ201及び受信アンテナ202は、上述した本実施形態の送信アンテナ20及び受信アンテナ30と同様の構成とする。なお、制御電圧電源203と受信アンテナ202との間に設けられた抵抗204は、制御電圧電源203からの出力信号と受信アンテナ202で受信する信号との干渉を除去するために設けたものであり、この例では1MΩの抵抗を用いる。
また、図3に示す測定システム200では、検出器206としてオシロスコープを用い、送信アンテナ201に印加される送信信号(調整信号に対応)の電圧波形、及び、受信アンテナ202で受信した受信信号の電圧波形を検出器206で観測する。
なお、図3に示す測定システム200では、受信アンテナ202の可変共振コンデンサに印加する制御電圧Vcが0Vであるときには共振周波数が13.3MHzとなるように設計されている。また、図3に示す測定システム200では、制御電圧Vcが2.2Vであるときには共振周波数が13.56MHzとなるように設計されている。
しかしながら、測定システム200では、制御電圧電源203(直流電源)及び検出器206の測定プローブの容量(10pF程度)が受信アンテナ202の共振回路に並列接続された構成になり、この容量は共振周波数に影響を及ぼす。さらに、測定システム200では、送信アンテナ201と受信アンテナ202との磁気的結合の影響がある。それゆえ、これらの影響により、実際には、図3に示す測定システム200の共振周波数は、上記設計値より低下し、制御電圧Vc=0Vのときで、11.15MHzになっていた。
上述のような測定システム200において、以下のような検証実験を行った。ただし、以下の検証実験は、送信アンテナ201及び受信アンテナ202の配置位置を受信電圧が最大となる位置に固定して行った。
(1)検証実験1
測定システム200において、検出器206で、送信アンテナ201に印加される所定のキャリア周波数の送信信号の電圧波形、及び、受信アンテナ202で受信される受信信号の電圧波形を観測すると、図4に示すような波形が観測される。なお、図4に示す特性の横軸は時間であり、縦軸は電圧レベルである。また、図4中の特性101が受信信号の電圧波形であり、特性102が送信信号の電圧波形である。
検証実験1では、図4に示す電圧波形から、受信電圧Vr、送信電圧Vt,並びに、受信信号及び送信信号間の位相差φを算出する。そして、この算出処理を、送信信号のキャリア周波数を変化させながら繰り返し行い、キャリア周波数と、受信電圧Vr、送信電圧Vt,並びに、受信信号及び送信信号間の位相差φとの関係を調べた。なお、ここでいう、受信電圧Vr及び送信電圧Vtは、各電圧波形(正弦波)のピーク・トゥ・ピーク値である(図4参照)。
なお、測定システム200では、上述のように、送信アンテナ201と受信アンテナ202とは電磁結合している。それゆえ、キャリア周波数に応じて受信電圧Vrが変化すると、送信側から見た受信側のインピーダンスも変化するので、送信信号の送信電圧Vtもまたキャリア周波数に応じて変動する。
図5に、受信アンテナ202に印加する制御電圧Vcを0Vとしたときの上記検証実験1の結果を示す。なお、図5に示す特性では、横軸にキャリア周波数をとり、縦軸に電圧レベル(受信電圧Vrあるいは送信電圧Vt)、又は、位相差φをとる。
図5に示す結果から明らかなように、受信電圧Vrは、送信信号のキャリア周波数(送信周波数)が増加すると上昇し、約11.15MHzで最大となる。その後、さらにキャリア周波数が増加すると、受信電圧Vrは低下する。
一方、送信電圧Vtは、キャリア周波数が増加すると上昇し、約10.9MHzで最大となる。次いで、さらにキャリア周波数が増加すると、送信電圧Vtは低下し、約11.5MHzで最小となる。その後、さらにキャリア周波数が増加すると、送信電圧Vtは再度上昇する。
また、受信信号及び送信信号間の位相差φは、キャリア周波数が増加すると、単調増加する。そして、受信電圧Vrが最大となるキャリア周波数(=約11.15MHz:受信共振周波数)では、受信信号及び送信信号間の位相差φは、約64degであった。なお、図5には示さないが、上記検証実験1では、受信電圧Vrと送信電圧Vtとの電圧比VR(=Vr/Vt)が最大となるのは、受信電圧Vrが最大となるキャリア周波数(約11.15MHz)より150kHz高い値、すなわち、約11.3MHzであった。
(2)検証実験2
次に、検証実験2について説明する。上記検証実験1で示したように、図3に示す測定システム200では、制御電圧Vc=0Vのとき、受信電圧Vtは、キャリア周波数約11.15MHzで最大となる。すなわち、測定システム200において制御電圧Vc=0Vとしたときの受信アンテナ202の共振周波数は約11.15MHzとなる。
検証実験2では、受信アンテナ202の共振条件を制御電圧Vc=0V及び共振周波数11.15MHzに固定し、送信アンテナ201に印加する送信信号の出力電圧レベルを変化させ、その影響を調べた。
具体的には、制御電圧Vc=0V及び共振周波数11.15MHzの条件において、調整信号生成装置205の出力電圧レベルをピーク・トゥ・ピーク値で、0.5V〜6.0Vの範囲で変化させた際の受信信号及び送信信号の各種パラメータの変化を調べた。なお、ここでは、パラメータとして、受信電圧Vr、送信電圧Vt、受信電圧Vrと送信電圧Vtとの電圧比VR(=Vr/Vt)、並びに、受信信号及び送信信号間の位相差φを算出した。
図6に、検証実験2の結果を示す。図6に示す特性では、横軸に調整信号生成装置205の出力電圧レベルをとり、縦軸に電圧レベル(受信電圧Vrあるいは送信電圧Vt)、電圧比VR、又は、位相差φをとる。
図6から明らかなように、受信電圧Vr及び送信電圧Vtはともに、調整信号生成装置205の出力電圧レベルが増加すると単調増加する。一方、調整信号生成装置205の出力電圧レベルの変化に対する位相差φ及び電圧比VRの変化量は非常に小さな値となる。すなわち、位相差φ及び電圧比VRは、調整信号生成装置205の出力電圧レベルの変化の影響を受け難いことが分かる。これは、以下の理由によるものである。
位相差φに関しては、受信信号が共振を利用して得られるので受信信号の歪みが非常に小さく、調整信号生成装置205の出力電圧レベルが変化しても受信信号の位相がほとんど変化しないためである。一方、電圧比VRに関しては、受信電圧Vr及び送信電圧Vtがともに、調整信号生成装置205の出力電圧レベルに対して単調増加するため、両者の比(電圧比VR)を求めることにより、各電圧の変化量が相殺されるためである。
上述した検証実験1及び2から、受信電圧Vrと送信電圧Vtとの電圧比VR(=Vr/Vt)、並びに、受信信号及び送信信号間の位相差φが、調整信号生成装置205から出力される送信信号(調整信号)の振幅変動にほとんど依存しないことが分かる。すなわち、電圧比VR及び位相差φは、受信電圧Vr及び送信電圧Vtの変動の影響をほとんど受けない。それゆえ、本実施形態において、受信共振周波数を調整する際に用いる調整パラメータとして電圧比VR又は位相差φを用いた場合には、調整信号Sg3(送信信号)の受信電圧Vr及び送信電圧Vtの変動に関係なく、受信共振周波数を調整することができる。
(3)検証実験3
検証実験3では、キャリア周波数を上記検証実験1及び2で用いた11.15MHzから調整すべき共振周波数(ここでは、11.3MHzとする)にシフトして調整信号生成装置205から送信信号を出力した。そして、受信側では、受信アンテナ202内の可変コンデンサに印加する制御電圧Vcを0〜3Vの範囲で変化させ、受信信号及び送信信号の上述した各種パラメータを測定した。
図7に、検証実験3の結果を示す。図7に示す特性では、横軸に制御電圧Vcをとり、縦軸に電圧レベル(受信電圧Vrあるいは送信電圧Vt)、電圧比VR、又は、位相差φをとる。
図7から明らかなように、受信電圧Vrは、所定の制御電圧Vcで最大となる。一方、送信電圧Vtは、制御電圧Vcが増加すると単調増加する。また、位相差φは制御電圧Vcが増加すると単調減少する。さらに、電圧比VRは受信電圧Vrが最大となる付近(受信共振周波数付近)の制御電圧Vcの範囲においては単調減少であるが、制御電圧Vcが低い領域(共振周波数のずれが大きい領域)では、ほぼ平坦な特性となった。
図7に示す結果から、測定システム200において、受信アンテナ202の共振周波数を11.3MHzにするためには、制御電圧Vcを2.25Vにする必要があることが分かる。また、このときの送信電圧Vtは1.03Vであり、位相差φは64degであり、そして、電圧比VRは7.78であった。
上記検証実験1及び3の結果から明らかなように、測定システム200において、キャリア周波数を変化させても、受信電圧Vrが最大となるとき(受信アンテナ202の共振周波数が所望の値になったとき)の位相差φ(=64deg)が同じであることが分かる。
この結果をより具体的に示したのが、図8である。なお、図8に示す特性では、横軸にキャリア周波数(送信周波数)をとり、縦軸に電圧レベル(受信電圧Vrあるいは送信電圧Vt)、又は、位相差φをとる。また、図8中の特性111が制御電圧Vc=0Vのときの受信電圧Vrの変化特性であり、特性121が制御電圧Vc=2.25Vのときの受信電圧Vrの変化特性である。また、図8中の特性112が制御電圧Vc=0Vのときの送信電圧Vtの変化特性であり、特性122が制御電圧Vc=2.25Vのときの送信電圧Vtの変化特性である。さらに、図8中の特性113が制御電圧Vc=0Vのときの位相差φの変化特性であり、特性123が制御電圧Vc=2.25Vのときの位相差φの変化特性である。
図8の結果からも明らかなように、制御電圧Vcの大きさに関係なく、受信電圧Vrが最大となるときの受信信号及び送信信号間の位相差φは略同じになる。すなわち、同じ送受信系では、制御電圧Vcを変えて受信電圧Vrが最大となるときのキャリア周波数(受信共振周波数)を変化させても、受信電圧Vrが最大となるときの受信信号及び送信信号間の位相差φは略同じになる。
さらに、図9に、位相差φと受信電圧Vr(受信レベル)との相関特性を示す。なお、図9に示す特性では、横軸に位相差φをとり、縦軸に受信レベルをとる。また、図9中の三角印で示す相関特性が制御電圧Vc=0Vのときの特性であり、図9中の丸印で示す相関特性が制御電圧Vc=2.25Vのときの特性である。
図9に示す位相差φと受信電圧Vrとの相関特性から明らかなように、制御電圧Vc=0Vのときの相関特性と制御電圧Vc=2.25Vのときの相関特性とが、ほぼ同じ曲線上に乗ることが分かる。この結果からもまた、受信電圧Vrが最大となるときの位相差φが制御電圧Vcの大きさに依存しないことが分かる。すなわち、図7〜9の検証結果から、位相差φを共振周波数の調整パラメータとして用いた場合は、調整モード時に送信信号のキャリア周波数を掃引する必要がなくなる。
また、図10に、図8中の送信電圧Vtの特性のみを抽出して拡大した図を示す。図10から明らかなように、制御電圧Vcの大きさに関係なく、受信電圧Vrが最大となるときの(受信アンテナ202の共振周波数における)送信電圧Vtが一定(図10に示す特性を有する送受信系の例では約1.03V)であることが分かる。
上述した検証実験1〜3の結果から、調整信号Sg3を用いて受信アンテナ30の共振周波数を調整する際の調整パラメータとして、受信信号及び送信信号間の電圧比VR、位相差φ、又は、送信電圧Vtを用いた場合には、次のことが言える。
図6に示すように、調整信号Sg3の送信電圧Vt及び受信電圧Vrが変動しても、電圧比VR又は位相差φは略一定である。それゆえ、調整パラメータとして、受信信号及び送信信号間の電圧比VR又は位相差φを用いた場合には、調整信号Sg3の送信電圧Vt及び受信電圧Vrの変動の影響を受けることなく、受信アンテナ30の共振周波数を調整することができる。また、この場合、各アンテナのQ値の変化の影響も受け難くなる。
また、調整パラメータとして受信信号及び送信信号間の位相差φ、又は、送信電圧Vtを用いた場合には、制御電圧Vcの大きさに関係なく受信アンテナ30の共振周波数を調整することができる。
以上のことから、調整パラメータとして受信信号及び送信信号間の電圧比VR、位相差φ、又は、送信電圧Vtを用いた場合には、調整条件の変動の影響を受け難くなり、受信アンテナ30の共振周波数を所望の値に精度良く、容易に調整することが可能になる。
それゆえ、本実施形態では、予め、受信アンテナ30において共振周波数を所望の共振周波数に調整した(受信電圧Vrが最大となる)ときの受信信号及び送信信号間の電圧比VR、位相差φ、又は、送信電圧Vt(目標値)を測定しておく。そして、受信信号及び送信信号間の電圧比VR、位相差φ、又は、送信電圧Vtがそれぞれ対応する目標値になるように受信アンテナ30に印加する制御電圧Vcを調整する。本実施形態では、このような原理で受信アンテナ30の共振周波数のずれを補正する。
[共振周波数の調整手法]
次に、本実施形態の移動通信端末における受信回路1の共振周波数(受信共振周波数)の調整手法の具体的な処理手順を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する調整モードにおける各種調整処理中に、例えば外部のR/W装置等からの信号を受信した場合には、調整モードを中止し、外部機器からの信号の受信処理を行う。すなわち、本実施形態の移動通信端末では、調整モードより、ノーマルモードを優先して行う。
(1)調整手法1
調整手法1では、受信回路1(受信アンテナ30)の共振周波数の調整パラメータとして受信電圧Vrと送信電圧Vtとの電圧比VR(=Vr/Vt)を用いる。そして、電圧比VRが所定の目標値VR0(設定値)になるように制御電圧Vcを調整することにより、受信共振周波数を最適値に調整する。
具体的には、調整モードにおいて、所望の受信共振周波数と同じ値のキャリア周波数の調整信号Sg3を送信回路2から受信回路1に送信し、その際の受信電圧Vrと送信電圧Vtとの電圧比VRを測定する。そして、この動作を受信回路1の共振コンデンサ36に印加する制御電圧Vcを変化させながら繰り返し、電圧比VRが所望の値(例えば、図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では7.78)になるように制御電圧Vcを調整する。
ここで、受信共振周波数の調整手法1の処理手順を、図11を参照しながらより詳細に説明する。なお、図11は、調整手法1の具体的な処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御回路7は、動作モードを共振周波数の調整モードに設定し、受信部10(受信アンテナ30)に印加する制御電圧Vcを0Vに設定する(ステップS1)。また、この際、制御回路7は、受信アンテナ30のQ値を下げて、外部R/W装置から出力される送信信号の影響を低減する。
次いで、エラーアンプ55は、設定値記憶部54から、電圧比VRの目標値VR0及びその調整許容範囲ΔVR0を取得する(ステップS2)。
次いで、送信回路2は、所定のキャリア周波数(受信共振周波数と同じ周波数)の調整信号Sg3を受信回路1に送信する(ステップS3)。なお、例えば、非接触ICカード等の用途でこの調整手法1を適用する場合には、キャリア周波数は13.56MHzとなる。
次いで、受信回路1内の調整モード回路部13は、調整信号Sg3の送信信号及び受信信号を検出する(ステップS4)。具体的には、調整値検出部53は、受信部10、並びに、調整モード回路部13内のハイパスフィルタ回路51及び2値化処理部52を介して調整信号Sg3の受信信号を検出する。また、調整値検出部53は、調整信号生成部61から直接、調整信号Sg3の送信信号を検出する。
そして、調整値検出部53は、検出した調整信号Sg3の受信信号及び送信信号からそれぞれ、調整信号Sg3の受信電圧Vr及び送信電圧Vt(送信状態に関する情報)を求め、両者の電圧比VR(=Vr/Vt)を算出する(ステップS5)。
次いで、エラーアンプ55は、ステップS5で算出した電圧比VRと、その目標値VR0とを比較し、電圧比VRが、VR0−ΔVR0より大きく、かつ、VR0+ΔVR0より小さいか否かを判定する(ステップS6)。
ステップS6において、電圧比VRが上記判定条件(VR0−ΔVR0<VR<VR0+ΔVR0)を満たさない場合には、ステップS6はNO判定となる。この場合、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内に調整されていないので、エラーアンプ55は、エラー信号ΔVを制御回路7に出力する。
そして、制御回路7は、入力されたエラー信号ΔVに基づいて、制御電圧VcをΔVcだけ増加させる(ステップS7)。なお、制御電圧Vcの増加分(ΔVc)は、一定値としてもよいし、ステップS7で算出した電圧比VRとその目標値VR0との差に応じて、変化させてもよい。
次いで、受信回路1は、制御電圧Vcを増加した状態で調整信号Sg3を受信し、調整値検出部53は、その際の調整信号Sg3の受信電圧Vrを検出する(ステップS8)。
次いで、制御回路7は、ステップS8で検出した調整信号Sg3の受信電圧Vrが制御電圧Vcの増加前のそれより増加しているか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、制御回路7は、ステップS8で検出した調整信号Sg3の受信電圧Vrと、制御電圧Vcの増加前の受信電圧Vrとを比較して、受信電圧Vrが増加傾向にあるか否かを判定する。なお、ステップS9で、調整信号Sg3の受信電圧Vrがしているか否かを判定する理由は、次の通りである。
本実施形態では、ステップS6において、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内に調整されていない場合(VR0−ΔVR0<VR<VR0+ΔVR0)、ステップS7で制御電圧Vcを増加させる。しかしながら、この時点で、制御電圧Vcの増加処理が正しい処理か否かを判別することができない。また、制御電圧Vcに対する電圧比VRの変化量は、例えば図7に示すように目標値(共振周波数)近傍以外では小さいので、電圧比VRの変化に基づいて、ステップS7における制御電圧Vcの増加処理の正誤判定を正確に行うことは難しい。
それゆえ、本実施形態では、ステップ9における制御電圧Vcの増加処理の正誤判定を、制御電圧Vcに対して比較的、変化量が大きい受信電圧Vrを用いて行う。
次いで、ステップS9において、受信電圧Vrが増加していると判定された場合には、ステップS9はYES判定となる。この場合、制御電圧Vcを増加させる方向に制御電圧Vcの最適値が存在することを意味する(図7参照)。すなわち、ステップS9がYES判定の場合には、ステップS7における制御電圧Vcの増加処理が正しい処理であることを意味するので、制御電圧Vcを増加させた状態でステップS4に戻り、ステップS4以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS9において、受信電圧Vrが増加していないと判定された場合には、ステップS9はNO判定となる。この場合、制御電圧Vcを増加させる方向に制御信号Vcの最適値が存在しないすることを意味するので、制御回路7は、制御電圧Vcを2ΔVcだけ減少させる(ステップS10)。すなわち、ステップS9がNO判定の場合には、制御電圧Vcを前回の電圧比VRの算出時における制御電圧Vcより減少させる。その後、ステップS4に戻り、ステップS4以降の処理を繰り返す。
なお、ステップS10で、制御電圧Vcを2ΔVcだけ減少させる理由は、次の通りである。増加前の制御電圧Vcが最適値(受信電圧Vrが最大となる制御電圧Vc)付近の値である場合、ステップS10で制御電圧VcをΔVcだけ減少させると、制御電圧Vcが最適値付近に戻る。しかしながら、この場合、ノイズ等の影響により受信電圧Vrがその最大値付近でハンチング状態となり、制御電圧Vcが最適値か否かの判断が困難になる。それゆえ、本実施形態では、ステップS10で、制御電圧Vcを2ΔVcだけ減少させて制御電圧Vcを増加前の値より確実に小さくして、上述したハンチング状態の問題を解消する。
また、本実施形態では、ステップS10において、制御電圧Vcを2ΔVcだけ減少させる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。ステップS10における制御電圧Vcの減少量が、制御電圧Vcが前回の電圧比VRの算出時における制御電圧Vcより小さくなり、かつ、上述したハンチング状態が発生しないような減少量であれば任意の値に設定することができる。
調整手法1では、上述したステップS4〜S10の処理を、電圧比VRがステップS6の判定条件(VR0−ΔVR0<VR<VR0+ΔVR0)を満たすまで、すなわち、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内になるまで繰り返す。
そして、ステップS6において、電圧比VRが上記判定条件を満たす場合には、ステップS6はYES判定となる。この場合、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内に調整されたことになるので、調整値検出部53は、制御回路7に調整モードを終了する旨のホールド信号を出力する。そして、制御回路7は、入力されたホールド信号に基づき、現在の制御電圧Vcを維持するとともに、その値を記憶部6又は設定値記憶部54に格納する(ステップS11)。なお、ホールド信号は、例えばエラーアンプ55から出力してもよい。
次いで、送信回路2は、調整信号Sg3の送信を停止し(ステップS12)、受信共振周波数の調整処理を終了する。受信共振周波数の調整パラメータとして調整信号Sg3の受信電圧と送信電圧との電圧比VRを用いた場合、上述のようにして、受信共振周波数の調整を行い、受信共振周波数のずれを補正する。
(2)調整手法2
上記調整手法1では、制御電圧Vcの初期値を0Vとする例を説明したが、本発明はこれに限定されない。調整手法2では、上記調整手法1のステップS11において記憶部6又は設定値記憶部54に格納した制御電圧Vcを、次回の受信共振周波数の調整処理時における制御電圧Vcの初期値Vc0とする。この初期値を用いて受信共振周波数の調整処理を行った場合、制御電圧Vcが最適値に近い状態から調整を開始することができるので、受信共振周波数の調整処理時間を短縮することが可能になる。
ここで、受信共振周波数の調整手法2を、図12を参照しながら具体的に説明する。なお、図12は、調整手法2の具体的な処理手順を示すフローチャートである。また、図12に示すフローチャートにおいて、図11に示すフローチャートと同じ処理ステップには同じ符号を付して示す。
調整手法2では、まず、エラーアンプ55は、記憶部6又は設定値記憶部54から、制御電圧Vcの初期値Vc0を読み出す(ステップS21)。次いで、制御回路7は、受信部10(受信アンテナ30)に印加する制御電圧Vcを初期値Vc0に設定する(ステップS22)。その後は、上記図11に示すフローチャートで説明した調整手法1のステップS2以降の処理と同様の処理を行い、受信共振周波数を所望の範囲内に調整する。
(3)調整手法3
調整手法3では、受信共振周波数の調整パラメータとして受信信号及び送信信号間の位相差φを用いる。そして、位相差φが所定の目標値φ0(設定値)になるように制御電圧Vcを調整することにより、受信共振周波数を最適値に調整する。
具体的には、調整モードにおいて、所望の受信共振周波数と同じ値のキャリア周波数の調整信号Sg3を送信回路2から受信回路1に送信し、その際の受信信号及び送信信号間の位相差φを測定する。そして、この動作を受信回路1の共振コンデンサ36に印加する制御電圧Vcを変化させながら繰り返し、位相差φが所望の値(例えば、図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では64deg)になるように制御電圧Vcを調整する。
ここで、受信共振周波数の調整手法3の処理手順を、図13を参照しながらより詳細に説明する。なお、図13は、調整手法3の具体的な処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御回路7は、動作モードを共振周波数の調整モードに設定し、受信部10(受信アンテナ30)に印加する制御電圧Vcを0Vに設定する(ステップS31)。また、この際、制御回路7は、上記調整手法1と同様に、受信アンテナ30のQ値を下げて、外部R/W装置の影響を低減する。
次いで、エラーアンプ55は、設定値記憶部54から、位相差φの目標値φ0及びその調整許容範囲Δφ0を取得する(ステップS32)。
次いで、送信回路2は、所定のキャリア周波数(受信共振周波数と同じ周波数)の調整信号Sg3を受信回路1に送信する(ステップS33)。そして、受信回路1内の調整モード回路部13は、上記調整手法1と同様にして、調整信号Sg3の送信信号及び受信信号を検出する(ステップS34)。
次いで、調整値検出部53は、検出した調整信号Sg3の受信信号及び送信信号から、両者の位相差φを算出する(ステップS35)。
次いで、エラーアンプ55は、ステップS35で算出した位相差φと、その目標値φ0とを比較し、位相差φが、φ0−Δφ0より大きく、かつ、φ0+Δφ0より小さいか否かを判定する(ステップS36)。
ステップS36において、位相差φが上記判定条件(φ0−Δφ0<φ<φ0+Δφ0)を満たさない場合には、ステップS36はNO判定となる。この場合、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内に調整されていないので、エラーアンプ55は、エラー信号ΔVを制御回路7に出力する。そして、制御回路7は、入力されたエラー信号ΔVに基づいて、制御電圧VcをΔVcだけ増加させる(ステップS37)。
次いで、受信回路1は、増加後の制御電圧Vcが印加された状態で調整信号Sg3を受信し、調整値検出部53は、その際の調整信号Sg3の受信電圧Vrを検出する(ステップS38)。
次いで、制御回路7は、上記調整手法1と同様にして、ステップS38で検出した調整信号Sg3の受信電圧Vrが制御電圧Vcの増加前のそれより増加しているか否かを判定する(ステップS39)。
ステップS39において、受信電圧Vrが増加していると判定された場合には、ステップS39はYES判定となる。この場合、制御電圧Vcを増加させる方向に制御電圧Vcの最適値が存在することを意味する(図7参照)ので、制御電圧Vcを増加させた状態でステップS34に戻り、ステップS34以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS39において、受信電圧Vrが増加していないと判定された場合には、ステップS39はNO判定となる。この場合、制御電圧Vcを増加させる方向に制御信号Vcの最適値が存在しないすることを意味するので、制御回路7は、制御電圧Vcを2ΔVcだけ減少させる(ステップS40)。その後、ステップS34に戻り、ステップS34以降の処理を繰り返す。
調整手法3では、上述したステップS34〜S40の処理を、位相差φがステップS36の判定条件(φ0−Δφ0<φ<φ0+Δφ0)を満たすまで、すなわち、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内になるまで繰り返す。
そして、ステップS36において、位相差φが上記判定条件を満たす場合には、ステップS36はYES判定となる。この場合、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内に調整されたことになるので、調整値検出部53は、制御回路7に調整モードを終了する旨のホールド信号を出力する。そして、制御回路7は、入力されたホールド信号に基づき、現在の制御電圧Vcを維持するとともに、その値を記憶部6又は設定値記憶部54に格納する(ステップS41)。
次いで、送信回路2は、調整信号Sg3の送信を停止し(ステップS42)、受信共振周波数の調整処理を終了する。受信共振周波数の調整パラメータとして調整信号Sg3の受信信号及び送信信号間の位相差φを用いた場合、上述のようにして、受信共振周波数の調整を行い、受信共振周波数のずれを補正する。
調整手法3では、共振周波数の調整パラメータとして位相差φを用いるので、上述のように、送信電圧Vtの変動やアンテナのQ値の変化の影響を受け難い。なお、移動通信端末をICカードとして利用する場合には、受信アンテナ30のQ値の変化の影響があり、R/Wとして利用する場合には送信アンテナ20のQ値の変化の影響がある。
また、調整手法3では、制御電圧Vcの初期値を、上記調整手法1と同様に、0Vとする例を説明したが、本発明はこれに限定されない。調整パラメータとして位相差φを用いる場合にも、上記調整手法2と同様に、制御電圧Vcの初期値として前回の調整時に記憶部6又は設定値記憶部54に記憶した制御電圧Vc0を用いてもよい。この場合には、図12に示す調整手法2のフローチャートにおいて、調整パラメータを電圧比VRから位相差φに置き換えればよい。
(4)調整手法4
調整手法4では、受信共振周波数の調整パラメータとして送信電圧Vtを用いる。そして、送信電圧Vtが所定の目標値Vt0(設定値)になるように制御電圧Vcを調整することにより、受信共振周波数を最適値に調整する。
具体的には、調整モードにおいて、所望の受信共振周波数と同じ値のキャリア周波数の調整信号Sg3を送信回路2から受信回路1に送信し、その際の送信電圧Vtを測定する。そして、この動作を受信回路1に印加する制御電圧Vcを変化させながら繰り返し、送信電圧Vtが所望の値(例えば、図5〜10に示す特性を有する送受信系の例ではピーク・トゥ・ピーク値で1.03V)になるように制御電圧Vcを調整する。
ここで、受信共振周波数の調整手法4の処理手順を、図14を参照しながらより詳細に説明する。なお、図14は、調整手法4の具体的な処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御回路7は、動作モードを共振周波数の調整モードに設定し、受信部10(受信アンテナ30)に印加する制御電圧Vcを0Vに設定する(ステップS51)。また、この際、制御回路7は、上記調整手法1と同様に、受信アンテナ30のQ値を下げて外部R/W装置の影響を低減する。
次いで、エラーアンプ55は、設定値記憶部54から、送信電圧Vtの目標値Vt0及びその調整許容範囲ΔVt0を取得する(ステップS52)。
次いで、送信回路2は、所定のキャリア周波数(受信共振周波数と同じ周波数)の調整信号Sg3を受信回路1に送信する(ステップS53)。そして、受信回路1内の調整モード回路部13は、上記調整手法1と同様にして、調整信号Sg3の送信信号及び受信信号を検出する(ステップS54)。
次いで、調整値検出部53は、検出した調整信号Sg3の送信信号から、送信電圧Vtを算出する(ステップS55)。
次いで、エラーアンプ55は、ステップS55で算出した送信電圧Vtと、その目標値Vt0とを比較し、送信電圧Vtが、Vt0−ΔVt0より大きく、かつ、Vt0+ΔVt0より小さいか否かを判定する(ステップS56)。
ステップS56において、送信電圧Vtが上記判定条件(Vt0−ΔVt0<Vt<Vt0+ΔVt0)を満たさない場合には、ステップS56はNO判定となる。この場合、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内に調整されていないので、エラーアンプ55は、エラー信号ΔVを制御回路7に出力する。そして、制御回路7は、入力されたエラー信号ΔVに基づいて、制御電圧VcをΔVcだけ増加させる(ステップS57)。
次いで、受信回路1は、増加後の制御電圧Vcが印加された状態で調整信号Sg3を受信し、調整値検出部53は、その際の調整信号Sg3の受信電圧Vrを検出する(ステップS58)。
次いで、制御回路7は、上記調整手法1と同様にして、ステップS58で検出した調整信号Sg3の受信電圧Vrが制御電圧Vcの増加前のそれより増加しているか否かを判定する(ステップS59)。
ステップS59において、受信電圧Vrが増加していると判定された場合には、ステップS59はYES判定となる。この場合、制御電圧Vcを増加させる方向に制御電圧Vcの最適値が存在することを意味する(図7参照)ので、制御電圧Vcを増加させた状態でステップS54に戻り、ステップS54以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS59において、受信電圧Vrが増加していないと判定された場合には、ステップS59はNO判定となる。この場合、制御電圧Vcを増加させる方向に制御信号Vcの最適値が存在しないすることを意味するので、制御回路7は、制御電圧Vcを2ΔVcだけ減少させる(ステップS60)。その後、ステップS54に戻り、ステップS54以降の処理を繰り返す。
調整手法4では、上述したステップS54〜S60の処理を、送信電圧VtがステップS56の判定条件(Vt0−ΔVt0<Vt<Vt0+ΔVt0)を満たすまで、すなわち、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内になるまで繰り返す。
そして、ステップS56において、送信電圧Vtが上記判定条件を満たす場合には、ステップS56はYES判定となる。この場合、受信アンテナ30の共振周波数が所望の範囲内に調整されたことになるので、調整値検出部53は、制御回路7に調整モードを終了する旨のホールド信号を出力する。そして、制御回路7は、入力されたホールド信号に基づき、現在の制御電圧Vcを維持するとともに、その値を記憶部6又は設定値記憶部54に格納する(ステップS61)。
次いで、送信回路2は、調整信号Sg3の送信を停止し(ステップS62)、受信共振周波数の調整処理を終了する。受信共振周波数の調整パラメータとして調整信号Sg3の送信電圧Vtを用いた場合、上述のようにして、受信共振周波数の調整を行い、受信共振周波数のずれを補正する。
なお、調整手法4では、制御電圧Vcの初期値を、上記調整手法1と同様に、0Vとする例を説明したが、本発明はこれに限定されない。調整パラメータとして送信電圧Vtを用いる場合にも、上記調整手法2と同様に、制御電圧Vcの初期値を前回の調整時に記憶部6又は設定値記憶部54に記憶した制御電圧Vc0を用いてもよい。この場合には、図12に示す調整手法2のフローチャートにおいて、調整パラメータを電圧比VRから送信電圧Vtに置き換えればよい。
上記共振周波数の調整手法では、制御電圧Vcの増減判定を調整信号Sg3の受信電圧Vrを用いて行う例を説明したが、本発明はこれに限定されない。図7に示す位相差φ及び電圧比VRのように、調整パラメータが制御電圧Vcに対して単調減少又は単調増加となる場合には、受信電圧Vrによる制御電圧Vcの増減判定を用いなくても共振周波数の調整が可能である。例えば、測定した位相差φと目標値φ0とを比較し、前者が後者より大きい場合には制御電圧VcをΔVだけ増加し、前者が後者より小さい場合には、制御電圧VcをΔVだけ減少させることにより、位相差φを目標範囲φ0±Δφ0に収束させることができる。
共振周波数の調整に受信電圧Vrを用いない場合、調整手法4では、調整信号Sg3の送信信号をモニタすればよいので、送信系(送信機能部)と受信系(受信機能部)とを分離して共振周波数を調整することが可能である。それゆえ、調整手法4は、上記送信機能部を外部の受信共振周波数の調整ツールに設け、その調整ツールにより移動通信端末の受信共振周波数を調整する際にも適用可能である。この場合、移動通信端末の組み立て後においても、調整ツールにより、簡単に受信共振周波数が調整できる。
さらに、調整手法4では、調整信号Sg3の受信信号をモニタする必要がなく、受信信号を外部機器に出力する必要がない。それゆえ、調整手法4では、共振周波数調整時のシステムをより簡易にすることができる。
上述のように、本実施形態の移動通信端末では、ICカード機能及びR/W機能の両方を有する非接触通信部100の受信回路1の共振周波数のずれを、非接触通信部100内の送信回路2から送信される所定の調整信号Sg3を用いて調整する。すなわち、本実施形態では、例えば環境変化、部品の経時変化等の様々な要因により非接触通信部100の受信アンテナ30の共振周波数がずれても、自身の端末内で容易に受信アンテナ30の共振周波数を調整することができる。それゆえ、本実施形態によれば、例えば環境変化、部品の経時変化等の様々な要因に対する耐性に優れ、常に安定した通信特性を得ることができる。
また、本実施形態のように受信共振周波数の調整パラメータとして、受信信号及び送信信号間の電圧比VR、位相差φ、又は、送信電圧Vtを用いた場合、調整条件の変動の影響を受け難くなる。
さらに、本実施形態の受信共振周波数の調整手法では、受信電圧及び/又は送信電圧の波形を観測できればよいので、共振周波数の調整パラメータの検出が容易になり、より短い時間で実施することができる。また、本実施形態では、電圧測定のためのネットワークアナライザのような高価な専用測定器を必要が無く、調整コストを大幅に減少することができる。
なお、本実施形態では、調整信号Sg3及び/又はその受信信号の電圧に基づいて、共振周波数を調整する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、調整信号Sg3及び/又はその受信信号の電流に基づいて、共振周波数を調整してもよい。ただし、この場合には、電流波形測定用の抵抗を用いる必要がある。それゆえ、装置の簡易性の点では、上記実施形態のように電圧に基づいて、共振周波数を調整することが好ましい。
また、本実施形態では、受信共振周波数を変化させるために、制御電圧Vcを印加することにより容量が変化する可変容量コンデンサを用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。共振コンデンサ36を容量が互いに異なる複数の定容量コンデンサで構成し、共振コイル31に接続する定容量コンデンサを制御回路7により切替制御することにより、受信共振周波数を調整してもよい。この場合、例えば、図11中のステップS1、S7、S10及びS11における制御電圧Vcの初期設定、増減及び記憶等の処理を、定容量コンデンサの切替制御信号の初期設定、変更及び記憶等の処理にそれぞれ変更すればよい。
<2.第2の実施形態>
第2の実施形態では、調整信号Sg3のキャリア周波数と受信回路1の共振周波数とが異なる場合における受信共振周波数の調整手法(以下、オフセット調整という)を説明する。
なお、本実施形態では、受信共振周波数の調整手法は上記第1の実施形態と異なるが、移動通信端末及び非接触通信部の構成は、上記第1の実施形態(図1及び2)と同様である。それゆえ、ここでは、移動通信端末の各部の説明は省略し、受信共振周波数のオフセット調整の手法についてのみ説明する。ただし、本実施形態における受信共振周波数のオフセット調整は、制御回路7で制御する。
また、本実施形態では、オフセット調整の際、対象となる送受信回路系における下記の参照データ1又は2を用いるので、下記参照データ1又は2を予め用意し、設定値記憶部54に格納する。なお、下記参照データ1又は2を、非接触通信部100内の記憶部6に格納してもよい。
参照データ1:制御電圧Vcと、受信共振周波数のシフト量Δfとの関係を示す参照データ。
参照データ2:受信信号及び送信信号間の位相差φと、キャリア周波数との関係を示す参照データ。
図15は、制御電圧Vcと受信共振周波数のシフト量Δfとの関係を示す参照データ1であり、横軸が制御電圧Vcであり、縦軸が制御電圧Vc=0V時の受信共振周波数に対する受信共振周波数のシフト量Δfである。なお、図15に示す参照データ1は、上記第1の実施形態で説明した各種検証実験で用いた測定システム200により測定したものである。この参照データ1は、後述のオフセット調整手法1で用いる。
図16は、受信信号及び送信信号間の位相差φと送信信号(調整信号)のキャリア周波数との関係を示す参照データ2であり、横軸が位相差φであり、縦軸がキャリア周波数である。また、図16中の特性141は、制御電圧Vc=0Vのときの参照データ2であり、特性142は、制御電圧Vc=2.25Vのときの参照データ2である。なお、図16に示す参照データ2もまた、上記第1の実施形態で説明した各種検証実験で用いた測定システム200により測定したものである。この参照データ2は、後述のオフセット調整手法2で用いる。
なお、図16から明らかなように、位相差φとキャリア周波数との関係を示す特性は制御電圧Vcにより変化するが、制御電圧Vc=0Vのときの特性141と、制御電圧Vc=2.25Vのときの特性142とが略同じ曲線(3次曲線)となることが分かる。すなわち、位相差φとキャリア周波数との関係は制御電圧Vcにより変化するが、位相差φの変化に対するキャリア周波数の変化量は、制御電圧Vcに関係なく略同じであることが分かる。それゆえ、本実施形態において、後述のオフセット調整手法2を行う場合には、所定の制御電圧Vc(例えば0V)における参照データ2を予め用意し、設定値記憶部54に格納する。
[オフセット調整手法1]
まず、図15に示す制御電圧Vcと受信共振周波数のシフト量Δfとの関係を示す参照データ1を用いた、受信共振周波数のオフセット調整手法1を、図17を参照しながら説明する。なお、図17は、オフセット調整手法1の処理手順を示すフローチャートである。
ただし、ここでは、11.3MHzのキャリア周波数の調整信号Sg3(送信信号)を用いて、受信アンテナ30の共振周波数を11.4MHzに合わせる例を説明する。
まず、非接触通信部100は、共振周波数の調整モードにおいて、キャリア周波数11.3MHzの調整信号Sg3を用いて、受信共振周波数を11.3MHzに調整する。この際、例えば上記第1の実施形態の調整手法2(図13)に示す処理手順に従って、制御回路7は、キャリア周波数11.3MHzで位相差φが所定の目標値(図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では、64deg)となるように制御電圧Vcを調整する。
そして、制御回路7は、キャリア周波数11.3MHzで位相差φが所定の目標値となるときの制御電圧Vcを測定する(ステップS71)。図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では、共振周波数が11.3MHzで位相差φ=64degとなる制御電圧Vcは2.25Vとなる。
次いで、制御回路7は、ステップS71で測定した制御電圧Vc(=2.25V)を記憶する(ステップS72)。なお、ステップS71で測定した制御電圧Vcは、設定値記憶部54に記憶してもよいし、例えば、記憶部6や制御回路7内のRAM等に一時的に記憶してもよい。
次いで、制御回路7は、図15に示すような参照データ1を設定値記憶部54から読み出し、ステップS71で測定した制御電圧Vc(=2.25V)における共振周波数のシフト量Δfを算出する(ステップS73)。図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では、ステップS71において制御電圧Vc=2.25Vが得られるので、ステップS73では、共振周波数のシフト量Δf=260kHzが得られる。
次いで、この例では、11.3MHzを11.4MHzにオフセット調整するので、制御回路7は、受信共振周波数の全シフト量ΔfO=Δf+0.1MHzを計算する(ステップS74)。図5〜10に示す例では、図15に示すような参照データ1から全シフト量ΔfO=360kHzが得られる。
次いで、制御回路7は、ステップS64で算出された全シフト量ΔfO(=360kHz)となる制御電圧Vcを図15に示す参照データ1から算出する(ステップS75)。図15に示す参照データでは、ステップS75において、制御電圧Vc=2.7Vが得られる。これは、いま対象とする送受信系(図5〜10に示す特性を有する送受信系)が、制御電圧Vc=2.7Vに設定することにより共振周波数が360kHzシフトする送受信系であることを意味する。
そして、制御回路7は、受信アンテナ30に印加する制御電圧Vcを、ステップS75で算出した制御電圧Vc(=2.7V)に設定する(ステップS76)。この結果、受信アンテナ30の共振周波数は、キャリア周波数11.3MHzより0.1MHz高い11.4MHzとなる。
オフセット調整手法1では、このようにして、受信アンテナ30の共振周波数を所望の値にオフセット調整する。
[オフセット調整手法2]
次に、図16に示す位相差φとキャリア周波数との関係を示す参照データ2を用いた、受信共振周波数のオフセット調整手法2を、図18を参照しながら説明する。なお、図18は、オフセット調整手法2の処理手順を示すフローチャートである。
ただし、ここでも、11.3MHzのキャリア周波数の調整信号Sg3(送信信号)を用いて、受信アンテナ30の共振周波数を11.4MHzに合わせる例を説明する。また、ここでは、参照データ2として図16中の制御電圧Vc=0Vの参照データ2(特性141)を用いてオフセット調整する例を説明するが、本発明はこれに限定されない。例えば、図16中の制御電圧Vc=2.25Vの参照データ2(特性142)を用いてオフセット調整してもよい。
まず、制御回路7は、図16に示す位相差φとキャリア周波数との関係を示す参照データ2を設定値記憶部54から読み出す。そして、制御回路7は、受信電圧Vrが最大となる位相差φ(図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では、64deg)におけるキャリア周波数(共振周波数)fmを参照データ2から算出する(ステップS81)。図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では、図16に示す参照データ2から、位相差φ=64degにおけるキャリア周波数fm=11.15MHzが得られる。
なお、オフセット調整手法2では、上記ステップS71を実行するために、対象となる移動通信端末の送受信系において、予め、図9に示す検証実験3の結果3に示すようなデータを取得し、受信電圧Vrが最大となる位相差φを算出する。そして、その算出結果を、例えば設定値記憶部54に記憶しておく。
次いで、この例では、受信共振周波数をキャリア周波数からプラス0.1MHzだけオフセット調整するので、制御回路7は、fm+0.1MHzを計算する(ステップS82)。図7及び8に示す特性を有する送受信系の例では、fm+0.1MHz=11.25MHzとなる。
次いで、制御回路7は、ステップS82で算出された周波数(=fm+0.1MHz)となる位相差φを図16に示す参照データ2から算出する(ステップS83)。図5〜10に示す特性を有する送受信系の例(fm+0.1MHz=11.25MHz)では、図16に示す参照データ2から位相差φ=80degが得られる。
次いで、制御回路7は、キャリア周波数11.3MHzの調整信号Sg3を用いて、例えば、上記第1の実施形態で説明した調整手法2(図13)に従って、受信共振周波数の調整を行う。ただし、この際、受信共振周波数の調整パラメータとなる位相差φの目標値をステップS83で算出した位相差φに設定して調整を行い、最適な制御電圧Vcを測定する(ステップS84)。図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では、位相差φの目標値を80degに設定する。この場合、この例で用いた送受信系では、上記オフセット調整手法1と同様に、制御電圧Vcは2.7Vとなる。
次いで、制御回路7は、受信アンテナ30に印加する制御電圧Vcの値を、ステップS84で測定された制御電圧Vcの値に設定する(ステップS85)。図5〜10に示す特性を有する送受信系の例では、制御電圧Vcを2.7Vに設定する。この結果、受信アンテナ30の共振周波数は、キャリア周波数11.3MHzより0.1MHz高い11.4MHzとなる。
オフセット調整手法2では、このようにして、受信アンテナ30の共振周波数を所望の値にオフセット調整する。
上述のように、本実施形態では、共振周波数の調整パラメータとして、受信信号及び送信信号間の位相差φを用いるので、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態の受信共振周波数の調整手法では、調整信号Sg3のキャリア周波数と、受信共振周波数が異なっていても調整可能になる。
<3.第3の実施形態>
上記第1及び第2の実施形態では、非接触通信部100内において、送信アンテナ20と受信アンテナ30とを別個に設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。非接触通信部内において、受信アンテナと送信アンテナとを一つのアンテナで共用する場合にも、本発明は適用可能である。第3の実施形態では、非接触通信部内において、受信アンテナと送信アンテナとを一つのアンテナで共用する場合の構成例を説明する。
[送受信回路の構成]
図19に、本実施形態における非接触通信部内の送受信共用回路の概略構成を示す。なお、本実施形態の送受信共用回路80は、上記第1の実施形態の受信回路1及び送信回路2を一体化した構成になる。それゆえ、図19において、上記第1の実施形態(図2)と同様の構成には同じ符号を付して示す。また、図19には、送受信共用回路80と、周波数調整回路3、送受信特性調整回路4及び制御回路7との接続関係も示す。
送受信共用回路80は、送受信共用アンテナ81と、整流回路11と、ノーマルモード回路部12と、調整モード回路部13と、所定の送信信号を出力するドライバ23とを備える。送受信共用アンテナ81以外の構成は、上記第1の実施形態と同様の構成である。それゆえ、ここでは、送受信共用アンテナ81の構成のみを説明する。
送受信共用アンテナ81は、主に、共振コイル82と、2つの定容量コンデンサ83及び85(第1及び第2定容量コンデンサ)と、可変容量コンデンサ84とで構成される。
可変容量コンデンサ84は、制御回路7から送受信特性調整回路4を介して印加される制御電圧Vcに応じて、その容量が変化する静電容量素子である。なお、本実施形態では、制御電圧Vcが増大すると、容量が減少する可変容量コンデンサを用いる。
一方、第1定容量コンデンサ83及び第2定容量コンデンサ85は、入力信号の種類(交流または直流)及びその信号レベルに関係なく、その容量がほとんど変化しない静電容量素子である。なお、第1定容量コンデンサ83及び第2定容量コンデンサ85は、制御回路7側から入力される制御電流と、受信信号電流との干渉による影響を抑制するためのバイアス除去用コンデンサとして作用する。
また、本実施形態では、第1定容量コンデンサ83、可変容量コンデンサ84及び第2定容量コンデンサ85を、この順で直列接続し、一つの共振コンデンサ86を構成する。そして、この直列接続されたコンデンサ群からなる共振コンデンサ86と共振コイル82とを並列接続して共振回路、すなわち、送受信共用アンテナ81を構成する。
共振コンデンサ86及び共振コイル82間の両接続部はそれぞれ、対応するドライバ23に接続され、共振コンデンサ86及び共振コイル82間の一方の接続部は、整流回路11及び調整モード回路部13に接続される。
また、第1定容量コンデンサ83及び可変容量コンデンサ84間の接続部、並びに、可変容量コンデンサ84及び第2定容量コンデンサ85間の接続部は、それぞれ、第1電流制限抵抗87並びに第2電流制限抵抗88を介して送受信特性調整回路4に接続される。なお、第1電流制限抵抗87及び第2電流制限抵抗88は、制御回路7側から入力される制御電流と、受信信号電流との干渉による影響を抑制するために設けられる。
また、本実施形態では、送受信共用アンテナ81内の共振コンデンサ86として、印加される制御電圧Vcに応じて容量が変化する可変容量コンデンサを用いる例を説明するが、本発明はこれに限定されない。共振コンデンサ86を容量が互いに異なる複数の定容量コンデンサで構成し、共振コイル82に接続する定容量コンデンサを制御回路7により切替制御することにより、共振コンデンサ86の容量を調整してもよい。
本実施形態では、送信信号はドライバ23を介して共振コイル82の両端に印加される。また、調整モードでは、ドライバ23を介して共振コイル82の両端に印加された調整信号Sg3(受信信号)は、調整モード回路部13に直接送られる。すなわち、本実施形態では、受信共振周波数の調整モードでは、調整信号Sg3の受信信号は、電磁結合を介さず直接受信回路側に送信される。それゆえ、本実施形態では、受信共振周波数の調整モード時に安定した受信特性が得られる。
また、本実施形態では、調整信号生成部61の出力端子が、調整モード回路部13に接続され、調整信号Sg3の送信信号は、直接調整モード回路部13に送られる。
上述のように、本実施形態の移動通信端末では、送信アンテナと受信アンテナとが共用になっただけあり、その他の構成は、例えば上記第1の実施形態と同様である。それゆえ、調整モード時の送受信共用回路80(送受信共用アンテナ81)の共振周波数の調整は、上記第1の実施形態と同様に行うことができる。
ただし、本実施形態では、上述のように、調整信号Sg3の受信信号は、電磁結合を介さず直接、調整モード回路部13に送られる。それゆえ、本実施形態では、上記第1の実施形態で用いた共振周波数の3つの調整パラメータ(電圧比VR、位相差φ又は送信電圧Vt)のうち、受信電圧Vrと送信電圧Vtとの電圧比VRは常に1となるので、利用することができない。
すなわち、本実施形態では、共振周波数の調整パラメータとして受信信号及び送信信号(調整信号Sg3)間の位相差φ又は送信電圧Vtを用いて、共振周波数の調整を行う。具体的には、本実施形態では、例えば、図13に示す位相差φを用いた調整手法3、又は、図14に示す送信電圧Vtを用いた調整手法4に従って送受信共用アンテナ81の共振周波数を調整する。それゆえ、本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、本実施形態において、送受信共用アンテナ81の共振周波数をオフセット調整する場合には、上記第2の実施形態(図17又は18に示す処理手順)と同様にして、オフセット調整を行う。この場合には、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、送受信共用アンテナ81を受信アンテナとして用いる際の共振周波数(受信共振周波数)と、送信アンテナとして用いる際の共振周波数(送信共振周波数)とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
送受信共用アンテナ81の受信共振周波数と送信共振周波数とが同じである場合には、上記第1及び第2の実施形態と同様(ただし、図11及び12に示す電圧比VRを用いた調整手法1及び2は除く)にして、受信共振周波数を調整する。これにより、同時に、送信共振周波数も調整することができる。一方、送受信共用アンテナ81の受信共振周波数と送信共振周波数とが異なる場合には、受信共振周波数及び送信共振周波数に対して、別個に調整を行えばよい。
また、本実施形態のように、送受信共用アンテナ81で送信アンテナと受信アンテナとを兼用することにより、アンテナを1つ減らすことができ、部品コストを低下させることができる。また、本実施形態では、アンテナを1つ減らすことができるので、アンテナの実装スペースをより小さくすることができる。
<4.第4の実施形態>
上記第1〜3の実施形態では、本発明の共振周波数の調整手法を、ICカード機能及びR/W機能の両機能を備える移動通信端末に適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。R/W装置の送信アンテナの共振周波数も、例えば構成部品の経時変化や周囲環境の変化等により送信アンテナの共振周波数がずれる。第4の実施形態では、R/W装置に本発明の共振周波数の調整手法を適用し、送信アンテナの共振周波数(送信共振周波数)を調整する例を説明する。
本実施形態のR/W装置内の外部の非接触ICカードと通信を行う非接触通信部の構成は、上記第1の実施形態の非接触通信部(図1)と実質、同じ構成である。ただし、R/W装置はICカード機能を持たないので、後述のR/W装置内の受信回路では、外部R/W装置と通信を行わない。すなわち、R/W装置内の受信回路は、図1中の外部R/W装置からの送信信号Sg1を受信する機能は備えていない。
図20に、本実施形態のR/W装置における受信回路及び送信回路の概略構成を示す。なお、図20には、受信回路1及び送信回路2と、周波数調整回路3、送受信特性調整回路4及び制御回路7との接続関係も示す。
また、図20に示すR/W装置における受信回路及び送信回路において、上記第3の実施形態の送受信共用回路80(図19)と同じ構成には、同じ符号を付して示す。図20と、図19との比較から明らかなように、本実施形態のR/W装置における受信回路1及び送信回路2の構成は、第3の実施形態の送受信共用回路80の構成とほぼ同じ構成となる。
受信回路1は、整流回路11と、ノーマルモード回路部91と、調整モード回路部13(調整信号検出部)とを備える。ノーマルモード回路部91は、R/W装置が外部の非接触ICカードと通信を行った際に、非接触ICカードの応答を読み取る回路部である。なお、整流回路11及び調整モード回路部13は、上記第1の実施形態(図2)のそれらと同様の構成である。
送信回路2(送信部)は、送信アンテナ90と、送信アンテナ90に所定の送信信号を出力するドライバ23とを備える。なお、ドライバ23は、上記第1の実施形態(図2)のドライバと同様の構成である。
送信アンテナ90は、主に、共振コイル82と、2つの定容量コンデンサ83及び85(第1及び第2定容量コンデンサ)と、可変容量コンデンサ84とで構成される。また、本実施形態では、第1定容量コンデンサ83、可変容量コンデンサ84及び第2定容量コンデンサ85を、この順で直列接続し、一つの共振コンデンサ86を構成する。そして、この直列接続されたコンデンサ群からなる共振コンデンサ86と共振コイル82とを並列接続して共振回路、すなわち、送信アンテナ90を構成する。
なお、本実施形態の共振コイル82及び各コンデンサの構成は、上記第3の実施形態(図19)のそれらと同様の構成である。すなわち、可変容量コンデンサ84は、制御回路7(制御回路部)から送受信特性調整回路4を介して印加される制御電圧Vcに応じて、その容量が変化する静電容量素子で構成する。また、第1定容量コンデンサ83及び第2定容量コンデンサ85は、入力信号の種類(交流または直流)及びその信号レベルに関係なく、その容量はほとんど変化しない静電容量素子で構成する。
また、上記第3の実施形態と同様に、共振コンデンサ86及び共振コイル82間の両接続部はそれぞれ、対応するドライバ23に接続され、共振コンデンサ86及び共振コイル82間の一方の接続部は、整流回路11及び調整モード回路部13に接続される。さらに、第1定容量コンデンサ83及び可変容量コンデンサ84間の接続部、並びに、可変容量コンデンサ84及び第2定容量コンデンサ85間の接続部は、それぞれ、第1電流制限抵抗87並びに第2電流制限抵抗88を介して送受信特性調整回路4に接続される。
また、本実施形態では、送信アンテナ90内の共振コンデンサ86として、印加される制御電圧Vcに応じて容量が変化する可変容量コンデンサを用いる例を説明するが、本発明はこれに限定されない。共振コンデンサ86を容量が互いに異なる複数の定容量コンデンサで構成し、共振コイル82に接続する定容量コンデンサを制御回路7により切替制御することにより、共振コンデンサ86の容量を調整してもよい。
本実施形態では、送信信号はドライバ23を介して共振コイル82の両端に印加される。また、送信共振周波数の調整モードでは、周波数調整回路3(調整信号生成部61)からドライバ23を介して共振コイル82の両端に印加された調整信号Sg3(受信信号)は、調整モード回路部13に直接送られる。すなわち、本実施形態の調整モードでは、調整信号Sg3の受信信号は、電磁結合を介さず直接、受信回路1側に送信される。
また、本実施形態では、調整信号生成部61の出力端子が、調整モード回路部13に接続され、調整信号Sg3の送信信号は、直接調整モード回路部13に送られる。
上述のように、本実施形態では、調整信号Sg3の受信信号が電磁結合を介さず直接、受信回路1側に送信される構成になっただけであり、その他の構成は、例えば上記第1の実施形態と同様である。それゆえ、本実施形態のR/W装置においても、上記各種実施形態で説明した共振周波数の調整手法を用いて、送信共振周波数のずれを補正することができる。
ただし、本実施形態では、上記第3の実施形態と同様に、調整信号Sg3の受信信号は、電磁結合を介さず直接、調整モード回路部13に送られる。それゆえ、本実施形態においても、上記第3の実施形態と同様に、共振周波数の調整パラメータとして、受信電圧Vrと送信電圧Vtとの電圧比VRを利用することができない。
したがって、本実施形態においても、上記第3の実施形態と同様に、共振周波数の調整パラメータとして受信信号及び送信信号(調整信号Sg3)間の位相差φ又は送信電圧Vtを用いて、送信共振周波数の調整を行う。具体的には、本実施形態では、例えば、図13に示す位相差φを用いた調整手法3、又は、図14に示す送信電圧Vtを用いた調整手法4に従って送信アンテナ90の共振周波数を調整する。
上述のように、本実施形態のR/W装置においても、上記各種実施形態と同様に、自身の装置内で生成した調整信号Sg3を受信回路1側に送信し且つその調整信号Sg3を受信回路1で受信して、送信共振周波数のずれを補正する。それゆえ、本実施形態においても、様々な要因により送信共振周波数がずれても、その送信共振周波数のずれを自身の装置内で容易に調整することができ、安定した通信特性を得ることができる。
なお、上記第1〜4の実施形態では、受信アンテナの及び/又は送信アンテナの共振コンデンサの容量を調整して共振周波数を調整したが、本発明はこれに限定されない。共振コイルのインダクタンスを調整して共振周波数を調整してもよい。この場合、共振コイルとして可変コイルを用いてもよいし、インダクタンスが互いに異なる複数のコイルを用い、共振周波数のずれ量に応じて共振コンデンサに接続するコイルを切り替える構成にしてもよい。さらに、共振コイルのインダクタンス及び共振コンデンサの容量の両方を調整して共振周波数を調整してもよい。
<5.各種応用例>
上述した各種実施形態における受信アンテナ及び/又は送信アンテナの共振周波数の調整手法は、上述した移動通信端末やR/W装置以外にも様々な用途に適用可能である。例えば、上記第1〜3の実施形態で説明した共振周波数の調整手法は、ICカード機能及びR/W機能の両機能を備える携帯通信装置であれば、任意の装置に適用可能であり、同様の効果が得られる。
また、上記各種実施形態における共振周波数の調整手法は、例えば、非接触給電装置にも適用することができる。上記各種実施形態の共振周波数調整手法を非接触給電装置に適用した場合には、給電効率を向上させることができる。
さらに、上記各種実施形態における共振周波数調整手法は、例えば、移動通信端末内の送受信機能を備えるLSI(Large-scale Integration)の周波数調整ツールにも適用することができる。特に、共振周波数の調整パラメータとして、調整信号Sg3の送信電圧Vtを用いた場合には、例えば、移動通信端末の生産ラインで受信共振周波数の調整が可能になる。
より具体的に説明すると、共振周波数の調整パラメータとして調整信号Sg3の送信電圧Vtを用いた場合、上述のように、調整信号Sg3の送信機能部と、調整信号Sg3の受信機能部とを分離することができる。すなわち、調整信号Sg3の送信機能部(例えば送信回路2、周波数調整回路3等)を外部の装置に設けることができる。
それゆえ、上述した調整信号Sg3の送信機能部を、例えば、移動通信端末の受信アンテナモジュールの生産ラインに設けることにより、生産の途中で移動通信端末の受信共振周波数を調整することが可能になる。