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JP5512981B2 - 水性塗料組成物、及びこの組成物を用いた塗装方法 - Google Patents

水性塗料組成物、及びこの組成物を用いた塗装方法 Download PDF

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Description

本発明は、塗料の貯蔵安定性に優れ、しかも防食性、耐水性等に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物、及びこの組成物を用いた塗装方法に関する。
従来、建築内外装、橋梁、船舶、プラント施設、鉄塔などの構築物の金属面には、一般に、エポキシ樹脂系やアルキド樹脂系の錆止め塗料を塗装後、アルキド樹脂系塗料、アクリルアルキド樹脂系塗料、シリコンアルキド樹脂系塗料などの上塗り塗料が塗装されている(例えば、特許文献1参照)。一方、環境保全や作業環境の改善の面から、様々な塗料分野において、有機溶剤系塗料から水系塗料へと移行しつつあり、上記用途に適用する錆止め塗料においても水性化の検討が種々行なわれている。
しかしながら、これまで上記塗装に使用されてきた水性錆止め塗料は、得られる塗膜の光沢が低く着色に制限があり、また屋外においてチョーキングを起こし易く、上塗り塗料を塗装する必要があり、また高い防錆性を確保するためには防錆顔料を配合する必要があった。従来から防錆顔料としてはクロム酸系や鉛系の防錆顔料が使用されていたが、環境保全や安全性の面から使用が規制されており、これに代わる無公害型の防錆顔料としてリン酸系顔料、亜リン酸系顔料、モリブデン酸系顔料、ホウ酸系顔料、シアナミド系顔料などの各種の非クロム系防錆顔料が提案され、それらを用いた水性塗料も種々提案されている(例えば特許文献2〜特許文献5など)。
特開2001−293433号公報 特開2003−286437号公報 特開2001−19904号公報 特開2002−53769号公報 特開2005−279318号公報
しかしながらこのような非クロム系防錆顔料は、その特性として外部から進入する水分に溶解し、金属イオンやキレート力を持った様々なイオンを溶出することで防錆効果を発揮するものが多く、このような非クロム系防錆顔料を水性塗料中に配合すると溶出したイオン成分が水性塗料の安定性を阻害し増粘やゲル化を引き起こす場合があった。
本発明の目的は、塗料の貯蔵安定性に優れ、しかも防食性、耐水性等に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物、及びこの組成物を用いた塗装方法を提供することにある。
本発明は、(A)水性被膜形成性樹脂100質量部(固形分量)に対し、(B)一般式(1)
Figure 0005512981
[式中、Rは炭素数4〜22の1価の有機基を示す。Rは、炭素数4〜22の炭化水素基、炭素数4〜22のアシル基又は
Figure 0005512981
(式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を示し、nは0〜100の整数を示す。nが2以上のとき、複数のR同士は、同一でも、異なっていてもよい。)を示す。Rは炭素数2〜3のアルキレン基を示す。mは、2〜100の整数を示す。複数のR同士は、同一でも、異なっていてもよい。]で表される窒素含有化合物を1〜20質量部(固形分量)、及び(C)クロム及び鉛を含まない防錆顔料を1〜80質量部含有することを特徴とする水性塗料組成物、及びこの水性塗料組成物を金属基材表面又は金属基材上の旧塗装面に塗装することを特徴とする塗装方法、に関する。
本発明によれば、上記のような非クロム系防錆顔料を特定の窒素含有化合物と組合せて配合することによって、塗料の貯蔵安定性を損なうことなく、防食性、耐水性等に優れた塗膜を形成することが可能である。
本発明の水性塗料組成物は、水性被膜形成性樹脂(A)を必須成分として含有する。
水性被膜形成性樹脂(A)としては、特に制限なく従来公知の水性の被膜形成性樹脂を種々用いることができ、例えばエポキシ樹脂系、アルキド樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系及びシリコン樹脂系から選ばれる少なくとも1種であることが好適である。
これらのうち、得られる塗膜の防食性や耐水性の点から、また揮発性有機溶剤含有量(VOC)を少なくできる点から、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A1)が水性被膜形成性樹脂(A)として好適に使用できる。
水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A1)としては、例えば、脂肪酸(a)、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(b)、酸基含有重合性不飽和モノマー(c)、炭素数が4以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(d)およびその他の重合性不飽和モノマー(e)から誘導される構成単位を含有する樹脂が好適である。
脂肪酸(a)としては、炭化水素鎖の末端にカルボキシル基が結合した構造を有しているものが包含され、例えば、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸を挙げることができる。乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸は、厳密に区別できるものではないが、一般に、乾性油脂肪酸はヨウ素化が130以上の不飽和脂肪酸であり、半乾性油脂肪酸はヨウ素化が100以上且つ130未満の不飽和脂肪酸である。また、不乾性油脂肪酸は、一般に、ヨウ素価が100未満の不飽和脂肪酸である。乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸等が挙げられ、不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。また、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等を併用することもできる。
本発明においては、脂肪酸(a)としては、酸化硬化性に優れ且つ形成塗膜のガスバリヤー性にも優れることから、乾性油脂肪酸及び/又は半乾性油脂肪酸を使用するのが好適である。
エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(b)としては、1分子中に1個のエポキシ基と1個の重合性不飽和結合を有するものが包含され、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸基含有重合性不飽和モノマー(c)としては、1分子中に1個の酸基と1個の重合性不飽和結合を有するものが包含され、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を有する重合性不飽和モノマー;スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基及びリン酸塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の基を有する重合性不飽和モノマーが挙げられる。
炭素数が4以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(d)としては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及び「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学社製)などのC18−アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの重合性不飽和モノマー(d)の中、特に、少なくともその一部として、炭素数が6以上の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー及び/又はシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーを含んでなるものが好適である。
その他の重合性不飽和モノマー(e)は、以上に述べたモノマー(b)、(c)及び/又は(d)と共重合可能なモノマー成分であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のアルキルフッ素基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート等;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、さらにグリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8個のヒドロキシアルキルエステル、アリルアルコ−ル、上記(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性不飽和モノマー:分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2´,4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物;2−(2´−ヒドロキシ−5´−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、炭素数4〜7のビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなど)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物等が挙げられ、これらは形成される樹脂に望まれる性能などに応じて適宜選択し単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂は、以上に述べた脂肪酸(a)、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(b)、酸基含有重合性不飽和モノマー(c)、炭素数が4以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(d)およびその他の重合性不飽和モノマー(e)を共重合させることにより得ることができる。その際の各成分の使用割合は、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計量を基準にして、下記のとおりとすることができる。
成分(a):0.5〜45質量%、好ましくは3〜42質量%、特に好ましくは7〜40質量%、
成分(b):0.3〜20質量%、好ましくは1.5〜18.5質量%、特に好ましくは3.5〜16.5質量%、
成分(c):0.1〜5質量%、好ましくは0.3〜4.5質量%、特に好ましくは0.5〜4.0質量%、
成分(d):20〜95質量%、好ましくは25〜85質量%、特に好ましくは30〜75質量%、
成分(e):4.1〜79.1質量%、好ましくは10.2〜70.2質量%、特に好ましくは14〜69質量%。
上記脂肪酸変性アクリル樹脂は、好適には、まず、脂肪酸(a)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(b)とを付加反応させ、次いで得られる脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを、酸基含有重合性不飽和モノマー(c)、炭素数4以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(d)及びその他の重合性不飽和モノマー(e)と共重合させることにより製造することができる。
上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマーの製造において、脂肪酸(a)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(b)は、該脂肪酸(a)中のカルボキシル基対エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(b)中のエポキシ基との当量比が、一般に0.75:1〜1.25:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1の範囲内となるような割合で反応させるのが好適である。
上記脂肪酸(a)とエポキシ基を有する重合性不飽和モノマー(b)との反応は、通常の方法に従い、後述の重合禁止剤の存在下で、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸成分中のカルボキシル基とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー中のエポキシ基とが円滑に反応できるような条件下で行うことができ、通常、約100〜約180℃で約0.5〜約10時間加熱する条件で実施するのが適当である。
この反応において、例えば、N,N−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩等のエステル化反応触媒を用いることができ、さらに、反応に対して不活性な有機溶剤が存在していてもよい。
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物等の公知のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂は、例えば、上記の如くして得られる脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含む全重合性不飽和モノマーの混合物を必要に応じて乳化剤と共に水性媒体中に平均粒子径が500nm以下、例えば、平均粒子径が50〜500nm、特に75〜400nm、さらに特に100〜250nmの範囲内となるように分散しモノマー乳化物とした後、重合開始剤を添加して重合させることによって製造することができる。
乳化剤としては、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好適であり、該アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられ、また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
また、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤や、1分子中に該アニオン性基と重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤を使用してもよい。
該乳化剤は使用される全モノマーの合計量を基準にして0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜12質量%の範囲内で使用することができる。
上記重合開始剤としては、油溶性、水溶性のいずれのタイプのものであってもよく、油溶性の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられ、また、水溶性の開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4´−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2´−アゾビス[N−(2−カルボキシシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。
また、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂は、例えば、上記の如くして得られる脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを、酸基含有重合性不飽和モノマー(c)、炭素数が4以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(d)及びその他の重合性不飽和モノマー(e)と、有機溶剤中で重合開始剤の存在下に、通常の方法に従い溶液重合にて共重合させた後、得られる共重合体を中和剤で中和して水溶性化又は水分散化する方法、これをさらに水性媒体中で高エネルギーせん断能力を有する分散機により分散する方法によって製造することができ、さらに水及び乳化剤の存在下にて上記の全重合性不飽和モノマーをシード乳化重合する方法等によっても製造することができる。さらに、得られる共重合体の重量平均分子量を調整する目的から、連鎖移動剤の存在下で重合を行ってもよい。
その際の各モノマーの使用割合は、モノマーの合計量を基準にして、一般に、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーは0.8〜60質量%、好ましくは4.5〜55.5質量%、特に好ましくは10.5〜49.5質量%;モノマー(c)は0.1〜5質量%、好ましくは0.3〜4.5質量%、特に好ましくは0.5〜4.0質量%;モノマー(d)は20〜95質量%、好ましくは25〜85質量%、特に好ましくは30〜75質量%;モノマー(e)は4.1〜79.1質量%、好ましくは10.2〜70.2質量%、特に好ましくは14〜69質量%の範囲内とすることができる。
上記炭素数が4以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(d)は、形成塗膜の耐水性及び水性脂肪酸変性アクリル樹脂の製造安定性などの観点から、前述のとおり、少なくともその一部として、炭素数が6以上の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーを含んでなることが望ましい。かかる炭素数が6以上の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及び「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学社製)などのC18−アルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーは、成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量を基準にして、1〜30質量%、好ましくは3〜27質量%、さらに好ましくは5〜24質量%の範囲内で使用することが望ましい。
また、その他の重合性不飽和モノマー(e)は、少なくともその一部として、カルボニル基含有重合性不飽和モノマーを共重合成分として含んでなることが望ましい。カルボニル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなど)等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
その他の重合性不飽和モノマー(e)として、カルボニル基含有重合性不飽和モノマーを含んでなるものを使用することにより、後述のヒドラジン誘導体と併用することによって、脂肪酸(a)成分による酸化硬化に加えて、該カルボニル基とヒドラジン誘導体との補助架橋を進行させることができ、塗膜のガスバリヤー性をより一層向上させることができ、耐候性、耐水性等の塗膜物性に優れた塗料を得ることができる。また、このとき、脂肪酸(a)として、酸化硬化性の低い半乾性油脂肪酸/及び又は不乾性油脂肪酸を使用することもできる。
かかるカルボニル基含有重合性不飽和モノマーは、成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量を基準にして、0.5〜35質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%の範囲内で使用するのが適している。
また、その他の重合性不飽和モノマー(e)は、少なくともその一部として、ビニル芳香族化合物を含んでなることが望ましい。それによりモノマー同士の共重合性を向上させることができ、また、生成する脂肪酸変性アクリル樹脂に耐水性を付与することができる。かかるビニル芳香族化合物は、成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量を基準にして、1〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは12〜35質量%の範囲内で使用するのが好適である。
上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A1)は、一般に、1万〜50万、特に3万〜20万の範囲内の重量平均分子量を有することが望ましい。該樹脂の重量平均分子量が1万未満では、最終的に得られる塗膜の耐候性、耐水性が低下する場合があり、反対に50万を超えると、該樹脂の粒子の造膜性が低下し、水性塗料による塗膜のバリヤー性が低下する場合がある。ここで、重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィにより測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。該ゲルパーミュエーションクロマトグラフィに用いるカラムとしては、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製)を挙げることができる。
本発明において、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂を使用する場合には、これに加えてさらに、ヒドラジン誘導体を含むことが望ましい。該誘導体としては、具体的には、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドまたはイソフタル酸ジヒドラジド、ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジド等のヒドラジド基を有する化合物;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート及びそれにより誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド;該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルとポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物等のセミカルバジド基を有する化合物、ビスアセチルジヒドラゾン等のヒドラゾン基を有する化合物等が挙げられる。
上記ヒドラジン誘導体を本発明の水性塗料組成物に含有せしめることにより、形成塗膜が空気中の有害物質、例えばホルムアルデヒドを吸着除去することが可能となり有用であり、また、水性脂肪酸変性アクリル樹脂がカルボニル基を有する場合には、補助架橋のための架橋剤として作用することができる。ヒドラジン誘導体の配合量は、上記脂肪酸変性アクリル樹脂の樹脂固形分を基準にして、0.01〜10質量%、特に0.1〜5質量%の範囲内が望ましい。
本発明では上記水性被膜形成性樹脂(A)として、水性エポキシ樹脂(A2)が、形成被膜の防食性の点から好適に使用できる。
水性エポキシ樹脂(A2)は、例えば、エポキシ樹脂(f)を必要に応じて乳化剤などを用いて水分散化することによって得られる。
エポキシ樹脂(f)としては、分子中にエポキシ基を1個以上、好ましくは2個含有する重量平均分子量が200以上の樹脂であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/F型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール類と、エピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリンとを反応させてグリシジル基を導入してなるか又はこのグリシジル基導入反応生成物にさらにポリフェノール類を反応させて分子量を増大させてなる芳香族エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;エポキシ基含有重合性不飽和モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合させてなるエポキシ基含有アクリル系共重合体;エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂;エポキシ基を有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、目的に応じて、それぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。特に好適なエポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂を挙げることができる。
上記エポキシ樹脂(f)は、一般に200〜6000、特に300〜2000さらに特に350〜2000の範囲内の重量平均分子量及び一般に100〜3000、特に150〜1000、さらに特に175〜1000の範囲内のエポキシ当量を有することが好ましい。
上記水性エポキシ樹脂(A2)は、エポキシ樹脂(f)に前述の脂肪酸(a)を反応させることにより得られる脂肪酸変性エポキシ樹脂(A2−1)を水性化することのより得られるものであっても良い。
上記脂肪酸変性エポキシ樹脂(A2−1)において、脂肪酸(a)とエポキシ樹脂(f)の使用割合は、脂肪酸(a)のカルボキシル基とエポキシ樹脂(f)のエポキシ基との当量比が、0.75:1〜1.25:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1の範囲内であることが好適である。
上記脂肪酸変性エポキシ樹脂(A2−1)の水性化手法としては、特に限定されるものではないが、上記脂肪酸変性エポキシ樹脂に乳化剤を混合し、水性媒体中に分散する方法、上記脂肪酸変性エポキシ樹脂がカルボキシル基を有する場合には、該カルボキシル基を塩基性物質にて中和した後、水性媒体中に分散する方法、等が挙げられる。
上記乳化剤としては、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A1)の説明で列記した中から適宜選択できる。配合量としては、樹脂固形分に対して0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内が好適である。
また、上記水性エポキシ樹脂(A2)は、脂肪酸(a)及びエポキシ樹脂(f)を反応させてなる脂肪酸変性エポキシ樹脂に、重合性不飽和モノマー(g)を反応させてなる樹脂を水性化することにより得られるものであってもよい。
上記重合性不飽和モノマー(g)と反応させる前の脂肪酸変性エポキシ樹脂において、上記脂肪酸(a)とエポキシ樹脂(f)の使用割合は、脂肪酸(a)のカルボキシル基とエポキシ樹脂(f)のエポキシ基との当量比が、0.5:1〜1.3:1好ましくは0.5:1〜1.2:1の範囲内であることが好適である。
上記重合性不飽和モノマー(g)としては、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A1)における各重合性不飽和モノマーの説明で例示した中から適宜選択して使用できる。
上記重合性不飽和モノマー(g)においては、芳香族ビニルモノマーを含んでなることが望ましい。かかる芳香族ビニルモノマーとしては、前述と同様のものを使用でき、その使用割合としては一般に、重合性不飽和モノマー(g)中に1〜50質量%、好ましくは4〜45質量%、さらに好ましくは12〜35質量%が好適である。
また、重合性不飽和モノマー(g)は、水酸基含有重合性不飽和モノマーを含んでなることが望ましい。かかる水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、前述と同様のものを使用することができ、その使用割合としては、重合性不飽和モノマー(g)中、1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%の範囲内であることが望ましい。
脂肪酸変性エポキシ樹脂と重合性不飽和モノマー(g)との反応は、例えば、これらを重合開始剤等と混合し、60〜150℃程度の範囲内で通常1〜10時間程度加熱反応することにより行うことができる。この場合において、脂肪酸変性エポキシ樹脂と重合性不飽和モノマー(g)の使用割合は、脂肪酸変性エポキシ樹脂100質量部に対し重合性不飽和モノマー(g)が10〜2000質量部、好ましくは25〜1000質量部の範囲内であることが望ましい。
また、脂肪酸変性エポキシ樹脂と重合性不飽和モノマー(g)との反応を効率よく進行させるために、脂肪酸変性エポキシ樹脂がエポキシ基を、重合性不飽和モノマー(g)がカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを夫々含んでいてもよい。カルボキシル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等が挙げられ、重合性不飽和モノマー(g)中に0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%含有されることが望ましい。重合性不飽和モノマー(g)がカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含有すると、水分散性又は顔料分散性を向上させることもでき、好適である。
脂肪酸変性エポキシ樹脂と重合性不飽和モノマー(g)との反応において、水素引き抜きによるグラフト化反応とエポキシ基/カルボキシル基によるエステル化反応の順番は適宜選択することができ、また同時に行うことも可能である。
上記重合性不飽和モノマー(g)により変性された脂肪酸変性エポキシ樹脂の水性化方法としては、特に限定されるものではなく、該脂肪酸変性エポキシ樹脂に乳化剤を混合し、水性媒体中に分散する方法、該脂肪酸変性エポキシ樹脂がカルボキシル基を有する場合には、該カルボキシル基を塩基性物質にて中和した後、水性媒体中に分散する方法、等が挙げられる。また、水性化後に必要に応じて系中の有機溶剤を留去させ除去することもできる。
本発明において、上記水性エポキシ樹脂(A2)がエポキシ基を有する場合には、さらにアミン系硬化剤を用いることができる。アミン系硬化剤としては、2個以上のアミノ基を有する化合物が好ましく、特に限定されるものではないが、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、複素環式ポリアミン等やそれらのエポキシ付加物、マンニッヒ変性化物、ポリアミドの変性物を使用することが可能である。そのままでも使用しても、必要に応じて溶剤の除去等の精製工程を行っても良く、また水を加えて均一化しても良く、更に良好な水分散性を付与するために必要に応じ、酢酸等の有機酸によりアミノ基を中和して水分散を行っても良い。
本発明においては、得られる塗膜の防食性や耐水性の点から、また揮発性有機溶剤含有量(VOC)を少なくできるの点から、水性被膜形成性樹脂(A)として、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A1)及び水性エポキシ樹脂(A2)を、樹脂固形分比で100:0〜10:90、好ましくは95:5〜30:70(質量比)の範囲内で併用することもできる。
また本発明では上記水性被膜形成性樹脂(A)として、水性アルキド樹脂(A3)が、形成被膜の防食性や付着性の点から好適に使用できる。
水性アルキド樹脂(A3)は、例えば多塩基酸成分、多価アルコール成分及び油脂肪酸がエステル化されたアルキド樹脂を、従来公知の手法で水性化することによって得ることができる。
本発明の塗料組成物は、下記一般式(1)で表される窒素含有化合物(B)を必須成分として含有する。
Figure 0005512981
[式中、Rは炭素数4〜22の1価の有機基を示す。Rは、炭素数4〜22の炭化水素基、炭素数4〜22のアシル基又は
Figure 0005512981
(式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を示し、nは0〜100の整数を示す。nが2以上のとき、複数のR同士は、同一でも、異なっていてもよい。)を示す。Rは炭素数2〜3のアルキレン基を示す。mは、2〜100の整数を示す。複数のR同士は、同一でも、異なっていてもよい。]。
で示される炭素数4〜22の1価の有機基としては、例えば、炭素数4〜22の炭化水素基、炭素数4〜22のアシル基等を挙げることができる。
及びRで示されるアルキレン基としては、それぞれ直鎖状のアルキレン基であっても分岐状のアルキレン基であってもよい。またRで示されるアルキレン基は、炭素数2〜3であるのが好ましく、炭素数2であることが更に好ましい。
mは、2〜50の整数であるのが好ましく、2〜25の整数であるのがより好ましく、2〜15の整数であるのが更に好ましく、3〜10の整数であることが最も好ましい。nは、0〜50の整数であるのが好ましく、1〜25の整数であるのがより好ましく、2〜15の整数であるのが更に好ましく、3〜10の整数であることが最も好ましい。
窒素含有化合物(B)としては、上記一般式(1)で表される窒素含有化合物である限り、特に制限されない。該化合物(B)としては、例えば、以下に説明する窒素含有化合物(B1)〜(B4)を用いることが好ましい。
窒素含有化合物(B1)は、下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0005512981
[式中、Rは炭素数4〜22の炭化水素基を示す。R及びR、m及びnは、前記に同じ。]。
は、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、炭素数4〜22、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数8〜14のアルキル基又はアルケニル基であるのが望ましい。これらの内、炭素数6〜18、特に炭素数8〜14のアルキル基であることが、更に好ましい。
及びRは、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、それぞれ炭素数2〜3のアルキレン基であるのが好ましく、炭素数2のアルキレン基(エチレン基)であることが更に好ましい。
また、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、上記一般式(2)におけるアルキレンオキサイドの付加モル数の和(m+n)は、2〜100であるが、2〜50であるのが好ましく、3〜30であるのがより好ましく、4〜20であるのが更に好ましい。
窒素含有化合物(B1)は、例えば、脂肪酸又は脂肪酸エステルとアンモニアを加熱して脂肪族ニトリルをつくり、これを水素で還元して、脂肪族アミンを合成し、次いで該脂肪族アミンとアルキレンオキサイドを反応させることによって、製造することができる。
上記脂肪酸の具体例としては、例えば、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、椰子油脂肪酸、大豆油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等が挙げられ、上記脂肪酸エステルとしては、例えば、これら脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル等が挙げられる。
上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの内、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイドがより好ましい。上記脂肪族アミンとアルキレンオキサイドの反応の際には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物;ナトリウムメチラート;アミン等の塩基性触媒を、上記脂肪族アミンに対して0.01〜5モル%程度用いることが好ましい。
また、前記アルキレンオキサイドの付加モル数の和(m+n)の調整は、上記脂肪族アミンとアルキレンオキサイドの反応における、該脂肪族アミンと該アルキレンオキサイドの混合比(モル比)を調整することによって行うことができる。
窒素含有化合物(B2)は、一般式(3)で表される化合物である。
Figure 0005512981
[式中、Rは炭素数3〜21の炭化水素基を示す。R、R、m及びnは前記に同じ。但し、1≦m+n≦100である。]。
は、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、炭素数3〜21、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数8〜14のアルキル基又はアルケニル基であるのが望ましい。これらの内、炭素数6〜18、特に炭素数8〜14のアルキル基であることが、更に好ましい。
及びRは、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、それぞれ炭素数2〜3のアルキレン基であるのが好ましく、炭素数2のアルキレン基(エチレン基)であることが更に好ましい。
また、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、上記一般式(3)におけるアルキレンオキサイドの付加モル数の和(m+n)は、2〜100であるが、2〜50であるのが好ましく、3〜30であるのがより好ましく、4〜20であるのが更に好ましい。
上記窒素含有化合物(B2)は、例えば、脂肪酸又は脂肪酸エステルとアンモニアを反応させて、脂肪族アミドを合成し、得られた脂肪族アミドとアルキレンオキサイドを反応させることによって、製造することができる。上記脂肪酸やアルキレンオキサイドとしては、前述の(B1)の説明で列記したものが挙げられる。
また、前記アルキレンオキサイドの付加モル数の和(m+n)の調整は、前記脂肪族アミドと上記アルキレンオキサイドの反応における、該脂肪族アミドと該アルキレンオキサイドの混合比(モル比)を調整することによって行うことができる。例えば、上記脂肪族アミド1モルに、上記アルキレンオキサイドを20モル反応させることによって得られる窒素含有化合物(B2)のアルキレンオキサイドの平均付加モル数の和(m+n)は20である。
窒素含有化合物(B3)は、下記一般式(4)で表される化合物である。
Figure 0005512981
[式中、R及びRは、独立して、炭素数3〜21の炭化水素基を示す。R及びmは前記に同じ。]。
及びRは、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、それぞれ、炭素数3〜21、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数8〜14のアルキル基又はアルケニル基であるのが望ましい。これらの内、炭素数6〜18、特に炭素数8〜14のアルキル基であることが、更に好ましい。
は、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、炭素数2のアルキレン基(エチレン基)であることが好ましい。
また、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、上記一般式(4)におけるアルキレンオキサイドの付加モル数mは、2〜100であるが、2〜50であるのが好ましく、3〜30であるのがより好ましく、4〜20であるのが更に好ましい。
上記窒素含有化合物(B3)は、例えば、2級の脂肪族アミドにアルキレンオキサイドを反応させることによって、得ることができる。アルキレンオキサイドとしては、前述の(B1)の説明で列記したものが挙げられる。
アルキレンオキサイドの付加モル数mの調整は、上記脂肪族アミドへのアルキレンオキサイドの付加反応における、該脂肪族アミドと該アルキレンオキサイドの混合比(モル比)を調整することによって行うことができる。
窒素含有化合物(B4)は、下記一般式(5)で表される化合物である。
Figure 0005512981
[式中、R及びR10は、独立して、炭素数4〜22の炭化水素基を示す。R及びmは、前記に同じ。]。
及びR10は、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、それぞれ、炭素数4〜22、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数8〜14のアルキル基又はアルケニル基であるのが望ましい。これらの内、炭素数6〜18、特に炭素数8〜14のアルキル基であることが、更に好ましい。
は、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、炭素数2のアルキレン基(エチレン基)であることが好ましい。
また、塗料の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性の点から、上記一般式(5)におけるアルキレンオキサイドの付加モル数mは、2〜100であるが、2〜50であるのが好ましく、3〜30であるのがより好ましく、4〜20であるのが更に好ましい。
窒素含有化合物(B4)は、例えば、2級の脂肪族アミンにアルキレンオキサイドを反応させることによって、得ることができる。アルキレンオキサイドとしては、前述の(B1)の説明で列記したものが挙げられる。
本発明で用いる窒素含有化合物(B)は、分子量が100〜4,000程度であることが好ましく、200〜2,000程度であるのがより好ましく、300〜1,500程度であるのが更に好ましい。また、該化合物(B)は、HLB値が8〜18程度であるのが好ましく、10〜17程度であるのがより好ましく、13〜16程度であるのが更に好ましい。
窒素含有化合物(B)のHLB値は、質量分率に基づくグリフィン式:
HLB値=20×(MH/M)
(式中、MHは窒素含有化合物(B)中の親水基部分の分子量を示し、Mは窒素含有化合物(B)の分子量を示す。)によって算出される値である。
窒素含有化合物(B)の配合割合は、塗料の貯蔵安定性向上の観点から、水性被膜形成性樹脂(A)100質量部に対して、1〜20質量部程度であるのが好ましく、3〜20質量部程度であるのがより好ましく、3〜15質量部程度であるのが更に好ましい。
本発明においては窒素含有化合物(B)として、特に塗料の貯蔵安定性、形成塗膜の耐水性等の点から窒素含有化合物(B1)が好適である。
本発明の塗料組成物は、クロム及び鉛を含まない防錆顔料(C)を必須成分として含有する。
防錆顔料(C)としては、クロム及び鉛を含まない無公害型の防錆顔料であれば特に制限なく従来公知の防錆顔料を種々用いることができ、例えばMg、K、Ca、Ba、Zn及びAlから選ばれる少なくとも1種の金属の、リン酸塩、亜リン酸塩、ポリリン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸塩、メタホウ酸塩及びシアナミド塩から選ばれる少なくとも1種であることが防食性の点から望ましい。これらの具体例としては、例えば、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン・ケイ酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛カルシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、トリポリリン酸二水素アルミニウム、ポリリン酸亜鉛、ポリリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、シアナミド亜鉛、シアナミド亜鉛カルシウム、及びこれらの水和物などが挙げられる。これらは各種の表面処理がなされたものであっても良い。
本発明においては防錆顔料(C)として、特に防食性の点から、水抽出液の電気伝導度が0.05mS/cm以上、好ましくは0.10mS/cm以上、さらに好ましくは0.15mS/cm以上の亜リン酸塩を含むことが望ましい。
ここで水抽出液の電気伝導度(mS/cm)は、JIS K 5101−18:2004(顔料試験方法−第18部:電気抵抗率)に記載の方法に準じて、各防錆顔料を5質量%濃度になるように脱イオン水に加えて、40℃で5日間放置した後の水抽出液について測定されるものである。
防錆顔料(C)の配合割合は、塗料の貯蔵安定性や形成塗膜の防食性向上の観点から、水性被膜形成性樹脂(A)100質量部に対して、1〜80質量部程度であるのが好ましく、3〜70質量部程度であるのがより好ましく、3〜60質量部程度であるのが更に好ましい。
本発明ではさらに必要に応じて顔料分として、塗料分野で既知の着色顔料、体質顔料等を配合することができる。
本発明では、上記防錆顔料(C)を含む顔料成分を上記窒素含有化合物(B)と共に水性媒体中に分散して顔料分散液とすることが、顔料分散安定性、貯蔵安定性の向上の点から好適である。
また、本発明の水性塗料組成物は、さらにフラッシュラスト(点錆)抑制の点から、亜硝酸塩、フィチン酸塩、タンニン酸塩、及びポリアミン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を含むことができる。亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸アンモニウムなどが挙げられ、フィチン酸塩としては、例えば、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウムなどが挙げられ、タンニン酸塩としては、例えば、タンニン酸ナトリウム、タンニン酸カリウム等が挙げられ、ポリアミン化合物としては、例えば、はN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、及びこれらのアルカリ金属塩、モノアルキルアミンやポリアミン、第四級アンモニウムイオンなどをトリポリリン酸二水素アルミニウムなどの層状リン酸塩にインターカレートしてなる層間化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記の塩基性化合物の配合割合は、フラッシュラスト抑制の向上の観点から、水性被膜形成性樹脂(A)100質量部に対して、0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部の範囲内が適当である。
上記水性塗料組成物は、上記成分の他に必要に応じて、顔料分散剤、界面活性剤、硬化触媒、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤、アルデヒド捕捉剤、層状粘度鉱物、粉状もしくは微粒子状の活性炭、ポリアルキレングリコール変性アルキルシリケート等の低汚染化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
上記水性塗料組成物は、鉄、アルミニウム等の金属基材表面又は金属基材上の旧塗装面に適用することができ、旧塗膜としては、これら基材上に設けられたアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、アルキド樹脂などの塗膜が挙げられる。これらの被塗面には、本発明の水性塗料組成物を下塗り材として塗布した後、既知の水性上塗り材を塗布することも可能である。
本発明の水性塗料組成物は、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装、リシンガン、万能ガン等の方法で塗布することができ、また、乾燥方法としては、加熱乾燥、強制乾燥、常温乾燥のいずれであってもよい。本明細書では、40℃未満の乾燥条件を常温乾燥とし、40℃以上で且つ80℃未満の乾燥条件を強制乾燥とし、80℃以上の乾燥条件を加熱乾燥とする。本発明の水性塗料組成物の塗布量としては、例えば、50〜300g/mの範囲内とすることができる。
また、本発明の水性塗料組成物は、防食性に優れた下塗り材として使用できることに加え、耐候性を付与した上塗り材としても使用できる。そのため、本発明の水性塗料組成物は、基材に直接塗装することができ、かつ下上塗兼用の1コート仕上げが可能である。1コート仕上げとすることにより、塗装工程、塗装工期を短縮することが可能である。なお、各々の基材に適した下塗り塗膜[例えばブラストした鋼板にウォッシュプライマー、ジンクエポキシ系ショッププライマー等のプライマー類を塗布して形成させたプライマー塗膜;ビニルタール系、油性サビ止め、塩化ゴム系、エポキシ系等の下塗りプライマー類を塗布して形成した下塗りプライマー塗膜;プライマー及び下塗りプライマーの塗料を順次塗布して形成させた複層塗膜]を形成した基材に塗装することもできる。さらに、旧塗膜が形成された基材にも塗装することもできる。これらの場合、塗布方法は特に限定されず、上記と同様の塗布方法により塗布することができる。また、乾燥方法も特に限定されず、上記と同様の乾燥方法により乾燥することができる。塗布量としては、例えば、膜厚で25〜300μmの範囲内とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
脂肪酸変性モノマーの製造
製造例1
反応容器に下記の成分を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で反応させ、脂肪酸変性モノマー(a−1)を得た。エポキシ基とカルボキシル基の反応は残存カルボキシル基の量を測定することによりモニターした。反応が完了するまで約5時間を要した。
亜麻仁油脂肪酸 280部
グリシジルメタクリレート 142部
製造例2
反応させる成分を下記のものに変更する以外は製造例1と同様にして、脂肪酸変性モノマー(a−2)を得た。
大豆油脂肪酸 280部
グリシジルメタクリレート 142部
水性樹脂分散体の製造
製造例3
ガラスビーカーに下記の成分を入れ、ディスパーにて2000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて100MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が190nmのモノマー乳化物を得た。
モノマー乳化物組成
脂肪酸変性モノマー(a−1) 30.15部
スチレン 15部
ヒドロキシエチルメタクリレート 4.5部
i−ブチルメタクリレート 20.35部
t−ブチルメタクリレート 20部
2−エチルヘキシルアクリレート 8部
メタクリル酸 2部
「Newcol707SF」(注1) 10部
脱イオン水 85部
次いで、上記モノマー乳化物をフラスコへ移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ過硫酸アンモニウム1.0部を脱イオン水15部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコへ投入し、該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後過硫酸アンモニウム0.3部を脱イオン水2.7部へ溶解させた開始剤水溶液をフラスコに添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度40%、分散樹脂の平均粒子径が165nmの水性樹脂分散体(I−1)を得た。
(注1)「Newcol707SF」:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、有効成分30%
製造例4
モノマー乳化物の配合組成において脂肪酸変性モノマー(a−1)を脂肪酸変性モノマー(a−2)に変更する以外は上記製造例3と同様にして、水性樹脂分散体(I−2)を得た。
水性塗料組成物の製造(その1)
実施例1〜31及び比較例1〜5
容器に表1に記載の通り上水、分散剤、窒素含有化合物及び顔料の各成分を順次仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌を続け、各顔料ペーストを得た。その後、該各顔料ペーストに水性樹脂分散体等の水性被膜形成樹脂成分と添加剤を仕込み、各水性塗料組成物を得た。ついで各水性塗料組成物を下記評価試験(*1)〜(*3)に供して評価した。結果を表1に併せて示す。
尚、表1中の(注2)〜(注25)は下記の通りである。
(注2)「BYK-190」:商品名、ビックケミー社製、分散剤
(注3)「BLAUNON L220」:商品名、青木油脂工業社製、ポリオキシエチレンラウリルアミン、前記一般式(2)で、Rがラウリル基であり、R及びRがエチレン基であり、m+n=20である化合物。また、HLB値は16.2
(注4)「BLAUNON L230」:商品名、青木油脂工業社製、ポリオキシエチレンラウリルアミン、前記一般式(2)で、Rがラウリル基であり、R及びRがエチレン基であり、m+n=30である化合物。また、HLB値は17.5
(注5)「BLAUNON L210」:商品名、青木油脂工業社製、ポリオキシエチレンラウリルアミン、前記一般式(2)で、Rがラウリル基であり、R及びRがエチレン基であり、m+n=10である化合物。また、HLB値は13.6
(注6)「エソミンS25」:商品名、ライオンアクゾ社製、前記一般式(2)で、Rが大豆油脂肪酸残基であり、R及びRがエチレン基であり、m+n=15である化合物。また、HLB値は14.2
(注7)「エソミンC25」:商品名、ライオンアクゾ社製、前記一般式(2)で、Rが椰子油脂肪酸残基であり、R及びRがエチレン基であり、m+n=15である化合物。また、HLB値は15.4
(注8)「エソミンO20」:商品名、ライオンアクゾ社製、前記一般式(2)で、Rがオレイル基であり、R及びRがエチレン基であり、m+n=10である化合物。また、HLB値は12.5
(注9)「チタン白JR−605」:商品名、テイカ社製、チタン白
(注10)「EXPERT NP−1007」:商品名、東邦顔料社製、リン酸亜鉛/亜リン酸カルシウム、水抽出液の電気伝導度0.663mS/cm
(注11)「EXPERT NP−1020C」:商品名、東邦顔料社製、亜リン酸カルシウム、水抽出液の電気伝導度0.700mS/cm
(注12)「EXPERT NP−1102」:商品名、東邦顔料社製、亜リン酸アルミニウム、水抽出液の電気伝導度0.720mS/cm
(注13)「EXPERT NP−1530」:商品名、東邦顔料社製、亜リン酸亜鉛、水抽出液の電気伝導度3.000mS/cm
(注14)「EXPERT NP−1600」:商品名、東邦顔料社製、亜リン酸亜鉛、水抽出液の電気伝導度0.071mS/cm
(注15)「EXPERT NP−1802」:商品名、東邦顔料社製、亜リン酸マグネシウム、水抽出液の電気伝導度0.707mS/cm
(注16)「EXPERT NP−530」:商品名、東邦顔料社製、リン酸亜鉛、水抽出液の電気伝導度0.019mS/cm
(注17)「K-White140W」:商品名、テイカ社製、トリポリリン酸アルミニウム/酸化亜鉛、水抽出液の電気伝導度0.447mS/cm
(注18)「モデピクス301」:商品名、荒川化学工業社製、エポキシエステルエマルション、固形分濃度33質量%
(注19)「アデカレジンEM101-50」:商品名、アデカ社製、エポキシエマルション、固形分濃度50質量%
(注20)「エピリンク360」:商品名、エアプロダクト社製、ポリアミン系硬化剤、固形分濃度50質量%
(注21)「Worlee E330W」:商品名、WORLEE社製、アルキド樹脂エマルション、固形分濃度42質量%
(注22)「DICNATE1000W」:大日本インキ社製、商品名、金属ドライヤー、Co含有率3.6%
(注23)「TEXANOL」:イーストマンケミカル社製、商品名、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、造膜助剤
(注24)「アデカノールUH−420」:商品名、アデカ社製、増粘剤
(注25)「SNデフォーマー380」:商品名、サンノプコ社製、消泡剤
Figure 0005512981
Figure 0005512981
水性塗料組成物の製造(その2)
実施例32〜51及び比較例6、7
容器に表2に記載の通り上水、分散剤、窒素含有化合物及び顔料の各成分を順次仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌を続け、各顔料ペーストを得た。その後、該各顔料ペーストに水性樹脂分散体等の水性被膜形成樹脂成分と添加剤を仕込み、各水性塗料組成物を得た。ついで各水性塗料組成物を下記評価試験(*1)〜(*5)に供して評価した。結果を表2に併せて示す。
Figure 0005512981
評価試験方法
(*1)貯蔵安定性
実施例及び比較例で得られた各水性塗料組成物を容量が1Lの内面コート缶に1kg入れ、窒素封入した後、40℃で2週間貯蔵した。その後、室温に戻し、容器の中での状態を目視にて観察し、次の基準で評価した。
○:初期の状態のままであり、変化がない
△:顔料沈降もしくはブツが発生
×:ゲル化
(*2)耐水性
実施例及び比較例で得られた各水性塗料組成物を乾燥膜厚で40μmになるようにアプリケーターで無処理軟鋼板に塗装し、25℃で10日間養生させて膜を作成し、試験板とした。得られた各試験板を上水に3日間浸漬し、その後引き上げて各試験板に生じたサビ、フクレの発生程度について下記の基準で評価した。
○:サビ、フクレなどの異常が無い
△:サビ、フクレが少し発生
×:サビ、フクレが著しく発生
(*3)防食性
実施例及び比較例で得られた各水性塗料組成物を乾燥膜厚で40μmになるようにアプリケーターで無処理軟鋼板に塗装し、25℃で10日間養生させた後、塗膜面にカッターでクロスカットを入れたものを試験板とした。得られた各試験板を、JIS Z2371塩水噴霧試験に準じて、塩水噴霧に120時間曝した。その後、各試験板に生じたサビ、フクレの発生程度について下記の基準で評価した。
○:カット部の錆幅が1mm未満で、一般部にサビ、フクレなどの異常が無い
△:カット部の錆幅は1〜3mmであるが、一般部にサビ、フクレが少し発生
×:カット部の錆幅は3mmを超え、サビ、フクレが著しく発生
(*4)光沢
実施例及び比較例で得られた各水性塗料組成物を乾燥膜厚で40μmになるようにアプリケーターで無処理軟鋼板に塗装し、25℃で10日間養生させて膜を作成し、試験板とした。得られた試験板の60°グロスを測定した。
〇:60°グロス 50以上
×:60°グロス 50未満
(*5)光沢保持率
上記光沢評価試験で作成した試験板を、サンシャインカーボンアーク灯式試験機(スガ試験機社製)を用いて480時間促進耐候性試験を行った後、試験前後の60°グロスから光沢保持率(%)を下記式により算出した。
光沢保持率=(試験後60°グロス値/試験前60°グロス値)×100
〇:光沢保持率 60%以上
×:光沢保持率 60%未満

Claims (4)

  1. (A)水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A1)及び水性エポキシ樹脂(A2)を樹脂固形分比で95:5〜30:70(質量比)の範囲内で含む水性被膜形成性樹脂100質量部(固形分量)に対し、
    (B)一般式(1)
    Figure 0005512981
    [式中、Rは炭素数4〜22の1価の有機基を示す。Rは、炭素数4〜22の炭化水素基、炭素数4〜22のアシル基又は
    Figure 0005512981
    (式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を示し、nは0〜100の整数を示す。nが2以上のとき、複数のR同士は、同一でも、異なっていてもよい。)を示す。Rは炭素数2〜3のアルキレン基を示す。mは、2〜100の整数を示す。複数のR同士は、同一でも、異なっていてもよい。]で表される窒素含有化合物を1〜20質量部(固形分量)、及び
    (C)クロム及び鉛を含まない防錆顔料を1〜80質量部
    含有し、且つ防錆顔料(C)が、Mg、K、Ca、Ba、Zn及びAlから選ばれる少なくとも1種の金属の亜リン酸塩で、水抽出液の電気伝導度が0.05mS/cm以上の亜リン酸塩を含むことを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 窒素含有化合物(B)が、一般式(2)
    Figure 0005512981
    [式中、Rは炭素数4〜22の炭化水素基を示す。R及びR、m及びnは、前記に同じ。]で表される窒素含有化合物(B1)である請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 窒素含有化合物(B)のHLB値が8〜18の範囲内である請求項1又はに記載の水性塗料組成物。
  4. 金属基材表面又は金属基材上の旧塗装面に、請求項1ないしのいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗装方法。
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