本発明の情報記録媒体は、高透過率と高反射率比とを実現でき、さらに良好な耐湿性及び繰り返し書き換え性能も実現できる情報層を提供することによって、大容量化が可能な情報記録媒体を提供することを目的としてなされた発明である。
上記目的のうち、高透過率及び高反射率比を達成するために、本発明者は、3層BD媒体において最も光の入射側に位置する情報層(L2)に着目し、光の入射側から、第2誘電体層、第2界面層、記録層、第1界面層、第1誘電体層、反射層、及び高屈折率層が順に配置された構成を有する情報層について、光学設計(計算)を行った。その結果、第2界面層及び第1界面層により透明な材料を適用すれば、Rc/Raをより大きくできることがわかった。実際に、第1界面層及び第2界面層にZr−Cr−Oを適用したL2と、第1界面層及び第2界面層に、より透明な材料を適用したL2とを試作して、Rc/Raを比較したところ、より透明な材料を適用したL2のRc/Raが大きくなることが確かめられた。この結果から、例えばL2の第1界面層及び第2界面層には、消衰係数が小さい(好ましくは消衰係数が0.1未満の)、新規な透明界面層が必要であるということが確かめられた。
ここで、Zr−Cr−Oを用いた界面層は、耐湿性及び繰り返し書き換え性能に優れた界面層であり、ZrO2が透明で熱的に安定した材料であり、Cr2O3がカルコゲン系の記録層との密着性に優れた材料である。しかしながら、Cr2O3の波長405nmの光における消衰係数は約0.2と大きいため、密着性に優れていても単独では使えない。また、ZrO2は透明な材料であるが、記録層との密着性が不足しているため、ある程度のCr2O3を添加する必要がある。カルコゲン系の記録層との優れた密着性を示す誘電体材料は非常に少なく、本発明者の実験によれば、Cr2O3の他にSiC、ZnS、Ge−N、Ga2O3及びIn2O3が挙げられる。ただし、SiCは波長405nmの光における消衰係数が0.3程度とCr2O3よりも大きく、ZnSは上述のようにSの拡散が生じる。また、Ge−Nは分解温度が700℃付近にあり、青紫色レーザでは繰り返し記録に耐えない。Ga2O3及びIn2O3は透明で密着性にも優れているが、価格が高い。よって、記録層との密着性を確保する材料としては、Cr2O3が最も好ましい材料である、との結論に至った。
上記の検討により、本発明者は、本発明の情報記録媒体の構成、すなわち、光の入射側から、第2界面層、記録層及び第1界面層をこの順に備え、第1界面層及び第2界面層が記録層に接して配置されており、前記第2界面層が、M1(但し、M1は、Nb、Y、Dy、Ti、Si及びAlから選ばれる少なくともいずれか一つの元素)とCrと酸素(O)とを含み、第1界面層が、M2(但し、M2は、Nb、Y、Dy、Ti、Si、Al、Zr及びHfから選ばれる少なくともいずれか一つの元素)とCrと酸素(O)とを含み、第1界面層及び第2界面層が、酸化物(Cr2O3)に換算した場合に50モル%以下となるような範囲でCrを含んでいる構成に到達した。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、以下の実施の形態では、同一の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
実施の形態1として、本発明の情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態1の情報記録媒体9の一部断面図を図1に示す。情報記録媒体9は、片面からのレーザビーム1の照射によって情報の記録再生が可能な多層情報記録媒体である。
情報記録媒体9は、基板8と、基板8上に中間層6、5、3等を介して順次積層された、第1情報層7、…、第N−1情報層4、及び第N情報層10を含むN層(NはN≧2を満たす整数)の情報層と、透明層2と、により構成されている。ここで、レーザビーム1の入射側である基板8側から数えて2番目からN番目までの情報層である、第2情報層(図示せず)、…、第N−1情報層4及び第N情報層10(以下、基板8側から数えてK番目(1≦K≦N)に配置されている情報層を「第K情報層」と記す。)は、光透過形の情報層である。
透明層2の材料は、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)もしくは遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂、または誘電体等からなり、使用するレーザビーム1に対して光吸収が小さいことが好ましく、短波長域において光学的に複屈折が小さいことが好ましい。透明層2の材料としては、特にアクリル系の樹脂が好ましい。また、透明層2は、透明な円盤状のポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンもしくはPMMA(polymethylmethacrylate)等の樹脂、またはガラスから成るシートもしくは板であってもよい。この場合、透明層2は、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)もしくは遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂、または粘着性のシート等によって第2誘電体層102に貼り合わせることが可能である。透明層2の厚さは、例えばNA=0.6の対物レンズを用いて記録再生を行う場合、0.55mm〜0.65mmの範囲内であることが好ましい。また、NA=0.85の対物レンズを用いて記録再生を行う場合、50μm〜120μmの範囲内であることが好ましい。
レーザビーム1の波長λは、高密度記録の場合、特に450nm以下であることが好ましい。レーザビーム1を集光した際のスポット径が、波長λによって決まってしまう(波長λが短いほど、より小さなスポット径に集光可能)ためである。また、λが350nm未満であると、透明層2等による光吸収が大きくなってしまう。よって、λは、350nm〜450nmの範囲内であることがより好ましい。
基板8は、透明な円盤状の基板である。基板8を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンもしくはPMMA等の樹脂、またはガラスを用いることができる。基板8の材料としては、転写性・量産性に優れ、低コストであることから、ポリカーボネートが特に有用である。
基板8の第1情報層7側の表面には、必要に応じてレーザビーム1を導くための案内溝が形成されていてもよい。他方、基板8の第1情報層7側と反対側の表面は、平滑であることが好ましい。基板8の厚さは、十分な強度が確保され、且つ情報記録媒体9の厚さが1.2mm程度となるよう、0.5mm〜1.2mmの範囲内であることが好ましい。なお、透明層2の厚さが0.6mm程度(NA=0.6で良好な記録再生が可能な厚さ)の場合、0.55mm〜0.65mmの範囲内であることが好ましい。また、透明層2の厚さが0.1mm程度(NA=0.85で良好な記録再生が可能)の場合、1.05mm〜1.15mmの範囲内であることが好ましい。
中間層6、5、3等は、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)もしくは遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂、または誘電体等からなる。中間層6、5、3等は、使用するレーザビーム1に対して光吸収が小さいことが好ましく、短波長域において光学的に複屈折が小さいことが好ましい。中間層6、5、3等の材料としては、特にアクリル系の樹脂が好ましい。
中間層6、5、3等は、情報記録媒体9の第N情報層10、第N−1情報層4、…及び第1情報層7のそれぞれのフォーカス位置を区別するために設ける層である。中間層6、5、3等の厚さは、対物レンズの開口数NAとレーザビーム1の波長λによって決定される焦点深度ΔZ以上であることが必要である。焦光点の強度の基準を無収差の場合の80%と仮定した場合、ΔZはΔZ=λ/{2(NA)2}で近似できる。λ=405nm、NA=0.85のとき、ΔZ=0.280μmとなり、±0.3μm以内は焦点深度内となる。そのため、この場合には、中間層6、5、3等の厚さは0.6μm以上であることが必要である。
隣接する2つの情報層間の距離、及び第N情報層10とこれから最も離れた第1情報層7との間の距離は、対物レンズを用いてレーザビーム1を集光することが可能である範囲となるようにすることが望ましい。したがって、中間層6、5、3等の厚さの合計は、対物レンズが許容できる公差内(例えば60μm以下)にすることが好ましい。
中間層6、5、3等において、レーザビーム1の入射側の表面には、必要に応じてレーザビーム1を導くための案内溝が形成されていてもよい。
この場合、片側からのレーザビーム1の照射のみにより、第K情報層(Kは1≦K<Nの整数)を、第N〜第(K+1)情報層を透過したレーザビーム1によって記録再生することが可能である。
なお、第1情報層から第N情報層のいずれかを、再生専用タイプの情報層(ROM(Read Only Memory))、あるいは1回のみ書き込み可能な追記型の情報層(R(Recordable))としてもよい。
以下、第N情報層10の構成について詳細に説明する。本実施の形態では、第N情報層10が、本発明の特徴的な構成を有する情報層、すなわち本発明の情報記録媒体における第L情報層に相当する。
第N情報層10は、レーザビーム1の入射側から順に配置された第2誘電体層102、第2界面層103、記録層104、第1界面層105、第1誘電体層106、反射層108、及び透過率調整層109を備える。なお、第2誘電体層102及び/または第1誘電体層106は、必要に応じて省略することも可能である。
第2誘電体層102は、誘電体からなる。この第2誘電体層102は、記録層104の酸化、腐食、及び変形等を防止する働きと、光学距離を調整して記録層104の光吸収効率を高める働きと、記録前後の反射光量の変化を大きくして信号強度を大きくする働きと、を有する。
第2誘電体層102を形成する材料として、例えばTiO2、ZrO2、HfO2、Zn
O、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、SnO2、Al2O3、Bi2O3、Cr2O3、Ga2O3、In2O3、Sc2O3、Y2O3、La2O3、Gd2O3、Dy2O3、Yb2O3、CaO、MgO、CeO2、及びTeO2等から選ばれる1または複数の酸化物を用いることができる。また、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、及びGe−Cr−N等から選ばれる1または複数の窒化物を用いることもできる。また、ZnS等の硫化物、SiC等の炭化物、LaF3及びCeF3等の弗化物、及びCを、第2誘電体層102の材料として用いることもできる。また、上記材料から選ばれる1または複数の材料の混合物を用いて、第2誘電体層102を形成することもできる。例えば、ZnSとSiO2との混合物であるZnS−SiO2は、第2誘電体層102の材料として特に優れている。ZnS−SiO2は、非晶質材料であり、屈折率が高く、成膜速度が速く、機械特性及び耐湿性が良好であることによる。
第2誘電体層102の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、記録層104が結晶相である場合とそれが非晶質相である場合との反射光量の変化が大きく、且つ記録層104での光吸収が大きく、且つ第N情報層10の透過率が大きくなる条件を満足するように、厳密に決定することができる。第2誘電体層102の膜厚は、20nm〜50nmの範囲内であることが望ましく、30nm〜40nmの範囲内にあることがより好ましい。
本発明の情報記録媒体の必須の構成要素である第2界面層103は、繰り返し記録によって第2誘電体層102と記録層104との間で生じる物質移動を防止する働きをする。また、第2界面層103は、記録層104の結晶化を促進または抑制する、結晶化能を調整する働きもする。第2界面層103は、光の吸収が少なく、記録の際に溶けない高融点な材料で、且つ、記録層104との密着性が良い材料から成ることが好ましい。記録の際に溶けない高融点な材料であることは、高パワーのレーザビーム1を照射した際に、溶けて記録層104に混入しないために必要な特性である。第2界面層103の材料が混入すると、記録層104の組成が変わり、書き換え性能が著しく低下する。また、記録層104と密着性が良い材料であることは、信頼性確保に必要な特性である。
第2界面層103は、M1(但し、M1は、Nb、Y、Dy、Ti、Si及びAlから選ばれる少なくともいずれか一つの元素である。本明細書において、以下に示すM1も同様である。)とCrと酸素(O)とを含んでいる。M1、Cr、及びOを含む材料を用いることにより、第2界面層103は、記録層104との優れた密着性と高透明性とを両立することができる。なお、第2界面層103は、M1、Cr、及びOを含んでいればよいが、M1、Cr、及びOを主成分として含んでいることが好ましい。本発明の効果をより確実に得るために、第2界面層103が、実質的にM1、Cr、及びOから形成されていてもよい。本明細書において、第2界面層103が、M1、Cr、及びOを主成分として含むとは、第2界面層103に含まれる全ての原子の合計を100原子%とした場合に、M1、Cr、及びOの原子の合計が80原子%以上、好ましくは90原子%以上であることをいう。また、第2界面層103が実質的にM1、Cr、及びOから形成される場合であっても、これら以外の元素(例えばSn)が微量に(例えば5原子%以下で)混入していてもよい。
CrとOとを含む材料は、記録層104の結晶化をより促進するため好ましく、その中でも、CrとOがCr2O3を形成した酸化物が、好ましい材料である。Cr2O3は記録層104との密着性が良い材料である。また、M1とOとを含む材料は、第2界面層103の透明性を高くすることができるため好ましく、その中でも、M1とOとがNb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2及びAl2O3を形成した酸化物が、好ましい材料である。Nb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2及びAl2O3は、透明性が高い材料である。また、上記の酸化物を混合してもよいが、その中でも特にTiO2とAl2O3とを1:1の割合で含むチタン酸アルミニウム(Al2TiO5)は、複合酸化物であり、融点が1860℃と熱的に安定で、且つレーザビーム1の波長の光に対する屈折率を高くできるため、第2界面層103用の材料として好ましい。第2界面層103は、上記の化合物や複合酸化物以外に、低酸化物(化学量論組成よりも酸素が少ない酸化物)や混合物を含んでもよい。
第2界面層103は、下記式(1):
M1aCrbO100-a-b(原子%) (1)
(但し、a及びbは、12<a<40、0<b≦25、且つ25<(a+b)≦40)で表される材料を含んでもよく、実質的にこの材料から形成されていてもよい。実質的にM1aCrbO100-a-b(原子%)で表される材料から形成されるとは、第2界面層103に含まれるM1、Cr、及びOの原子の合計が95原子%以上、好ましくは98原子%以上であることをいう。
また、第2界面層103は、下記式(3):
(D1)e(Cr2O3)100-e(モル%) (3)
(但し、D1はNb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2及びAl2O3から選ばれる少なくとも一つの酸化物であり、eは、50≦e<100を満たす。)で表される材料を含んでもよく、実質的にこの材料から形成されていてもよい。実質的に(D1)e(Cr2O3)100-e(モル%)で表される材料から形成されるとは、第2界面層103に含まれるD1及びCr2O3の酸化物の合計が95モル%以上、好ましくは98モル%以上であることをいう。これらの材料を含むことにより、記録層104との優れた密着性と高透明性とを両立した第2界面層103を提供でき、この第2界面層103を適用することにより、高反射率比と高透過率とを兼ね備えた第N情報層10を提供することができる。
ただし、第2界面層103に含まれるCr量は、酸化物(Cr2O3)に換算した場合に50モル%以下となるような範囲とする。第2界面層103に含まれるCr量が多すぎると第2界面層103の透明性が低下するため、Cr量の範囲がこのように設定される。
なお、本明細書において、「M1aCrbO100-a-b(原子%)」とは、「M1」原子、「Cr」原子及び「O」原子を合わせた数を基準(100原子%)として表された組成式であることを示している。さらに、「(D1)e(Cr2O3)100-e(モル%)」とは、eモル%の化合物D1と100−eモル%のCr2O3との混合物であることを示している。以下、同様の表記方法を同様の意味で用いる。
第2界面層103が、CrとOとがCr2O3を形成した酸化物を含む場合、記録層104との密着性を確保するため、第2界面層103中のCr2O3の含有量は10mol%以上であることがより好ましい。さらに、第2界面層103中のCr2O3の含有量は、第2界面層103での透明性をより高く保つため、30mol%以下であることがより好ましい。Cr2O3が多くなると光吸収が増加するため、上述のとおり透明性が低下する傾向にあるからである。
第2界面層103の膜厚は、第2界面層103での光吸収によって第N情報層10の記録前後の反射光量の変化が小さくならないように、0.5nm〜50nmの範囲内であることが望ましく、1nm〜15nmの範囲内にあることがより好ましい。
記録層104は、レーザビーム1の照射によって結晶相と非晶質相との間で相変化を起こす材料からなる。本実施の形態の情報記録媒体9において、記録層104が、Ge−Teを含み、且つGeを40原子%以上含んでいてもよい。この場合、記録層104の材料として、GeTe、(Ge−Sn)Te、GeTe−Sb2Te3、(Ge−Sn)Te−Sb2Te3、GeTe−Bi2Te3、(Ge−Sn)Te−Bi2Te3、GeTe−(Sb−Bi)2Te3、(Ge−Sn)Te−(Sb−Bi)2Te3、GeTe−(Bi−In)2Te3、及び(Ge−Sn)Te−(Bi−In)2Te3から選ばれるいずれか一つを含む材料を用いることができる。また、記録層104が、Sb−Ge及びSb−Teから選ばれる少なくともいずれか一つの材料を含み、且つSbを70原子%以上含んでいてもよい。この場合、(Sb−Te)−Ga、Sb−Ge、(Sb−Te)−Ge、(Sb−Te)−In、Sb−Mn−Ge、Sb−Sn−Ge、Sb−Mn−Sn−Ge、及び(Sb−Te)−Ag−Inから選ばれるいずれか一つを含む材料を用いることもできる。
第N情報層10は、レーザビーム1の入射側から第N情報層10より遠い側にある情報層に、記録再生の際に必要なレーザ光量を到達させるため、その透過率を高くする必要がある。このため、記録層104の膜厚は、9nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましい。
また、記録層104は、Teを含む層、Biを含む層、Geを含む層、Sbを含む層、Ge−Teを含む層、Sb−Geを含む層等から選ばれる少なくとも2種以上の層を積層してなる記録部として形成してもよい。例えば、結晶化速度が比較的速いBiを含む層と、アモルファス相が比較的安定なGe−Teを含む層とを積層する構造を含むことにより、相変化形情報記録媒体の記録感度及び消去性能を容易に調整することができる。なお、本明細書において、「(元素A)−(元素B)」で表される材料とは、元素Aと元素Bとを成分として含む材料のことであり、元素A及び元素Bの混合物または合金であることを意味する。
積層構造の例としては、Bi2Te3(3nm)/GeTe(4nm)、(Bi−In)2Te3(3nm)/(GeSn)Te(4nm)、GeTe−Bi2Te3(5nm)/(GeSn)Te(2nm)、Sb−Ge(4nm)/Sb−Te(3nm)等が挙げられる。もちろん、ここに挙げた材料以外の材料から成る層を使用する、あるいは層の膜厚をここに例示した膜厚以外の膜厚にする構造や、積層順を入れ替えた構造を採用することは可能である。例えば、上記において例示した膜厚を好ましい膜厚比としてとらえ、記録部の所望の膜厚に応じて、各々、例えば2〜4倍にしてもよい。
また、記録層104は、不可逆な相変化を起こす材料を用いて構成してもよく、例えばTe−O、Te−Pd−O、Bi−O、またはSb−Oで表される材料で形成することもできる。この場合、記録層104の膜厚は30nm以下であることが好ましい。
また、記録層104は、不可逆な合金化を起こす材料の積層膜(例えば、Cu/Si積層構造)としてもよい。
本発明の情報記録媒体の必須の構成要素である第1界面層105は、繰り返し記録によって第1誘電体層106と記録層104との間で生じる物質移動を防止する働きをする。また、第1界面層105は、記録層104の結晶化を促進または抑制する、結晶化能を調整する働きもする。第1界面層105は、光の吸収が少なく、記録の際に溶けない高融点な材料で、且つ、記録層104との密着性が良い材料から成ることが好ましい。記録の際に溶けない高融点な材料であることは、高パワーのレーザビーム1を照射した際に、溶けて記録層104に混入しないために必要な特性である。第1界面層105の材料が混入すると、記録層104の組成が変わり、書き換え性能が著しく低下する。また、記録層104と密着性が良い材料であることは、信頼性確保に必要な特性である。
第1界面層105は、M2(但し、M2は、Nb、Y、Dy、Ti、Si、Al、Zr及びHfから選ばれる少なくともいずれか一つの元素である。本明細書において、以下に示すM2も同様である。)とCrと酸素(O)とを含んでいる。M2、Cr、及びOを含む材料を用いることにより、第1界面層105は、記録層104との優れた密着性と高透明性とを両立することができる。なお、第1界面層105は、M2、Cr、及びOを含んでいればよいが、M2、Cr、及びOを主成分として含んでいることが好ましい。本発明の効果をより確実に得るために、第1界面層105が、実質的にM2、Cr、及びOから形成されていてもよい。本明細書において、第1界面層105が、M2、Cr、及びOを主成分として含むとは、第1界面層105に含まれる全ての原子の合計を100原子%とした場合に、M2、Cr、及びOの原子の合計が80原子%以上、好ましくは90原子%以上であることをいう。また、第1界面層105が実質的にM2、Cr、及びOから形成される場合であっても、これら以外の元素(例えばSn)が微量に(例えば5原子%以下で)混入していてもよい。
CrとOとを含む材料は、記録層104の結晶化をより促進するため好ましく、その中でも、CrとOとがCr2O3を形成した酸化物が、好ましい材料である。また、M2とOとを含む材料は、第1界面層105の透明性を高くすることができるため好ましく、その中でも、M2とOとがNb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2及びHfO2を形成した酸化物が、好ましい材料である。Nb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2及びHfO2は、透明性が高い材料である。また、上記の酸化物を混合してもよいが、その中でも特にSiO2とAl2O3とを2:3の割合で含むムライト(Al6Si2O13)は、複合酸化物であり、融点が1850℃と熱的に安定で、且つ屈折率を低くできるため、第1界面層105に好ましい材料である。また、上記の化合物や複合酸化物以外に、低酸化物(化学量論組成よりも酸素が少ない酸化物)や混合物を含んでもよい。
第1界面層105は、下記式(2):
M2cCrdO100-c-d(原子%) (2)
(但し、c及びdは、12<c<40、0<d≦25、且つ25<(c+d)≦40)で表される材料を含んでもよく、実質的にこの材料から形成されていてもよい。実質的にM2cCrdO100-c-d(原子%)で表される材料から形成されるとは、第1界面層105に含まれるM2、Cr、及びOの原子の合計が95原子%以上、好ましくは98原子%以上であることをいう。
また、第1界面層105は、下記式(4):
(D2)f(Cr2O3)100-f(モル%) (4)
(但し、D2は、Nb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2及びHfO2から選ばれる少なくとも一つの酸化物であり、fは、50≦f<100を満たす。)で表される材料を含んでもよく、実質的にこの材料から形成されていてもよい。実質的に(D2)f(Cr2O3)100-f(モル%)で表される材料から形成されるとは、第1界面層105に含まれるD2及びCr2O3の酸化物の合計が95モル%以上、好ましくは98モル%以上であることをいう。これらの材料を含むことにより、記録層104との優れた密着性と高透明性とを両立した第1界面層105を提供でき、この第1界面層105を適用することにより、高反射率比と高透過率とを兼ね備えた第N情報層10を提供することができる。
ただし、第1界面層105に含まれるCr量は、酸化物(Cr2O3)に換算した場合に50モル%以下となるような範囲とする。第1界面層105に含まれるCr量が多すぎると第1界面層105の透明性が低下するため、Cr量の範囲がこのように設定される。
第1界面層105が、CrとOとがCr2O3を形成した酸化物を含む場合、記録層104との密着性を確保するため、第1界面層105中のCr2O3の含有量は10mol%以上であることがより好ましい。さらに、第1界面層105中のCr2O3の含有量は、第1界面層105での透明性を高く保つため、30mol%以下であることがより好ましい。Cr2O3が多くなると光吸収が増加するため、上述のとおり透明性が低下する傾向にあるからである。
第1界面層105の膜厚は、第1界面層105での光吸収によって第N情報層10の記録前後の反射光量の変化が小さくならないように、0.5nm〜30nmの範囲内であることが望ましく、1nm〜10nmの範囲内にあることがより好ましい。
ここで、レーザビーム1が有する波長λの光に対して第2界面層103の屈折率をn2、第1界面層105の屈折率をn1としたとき、n1<n2の関係を満たすことが、第N情報層10の高反射率比と高透過率とを両立するために好ましい。Nb2O5、Y2O3、Dy2O3及びTiO2は屈折率が比較的高い材料であるため、第2界面層103にはこれらの材料が多く含まれることが好ましい。また、SiO2及びAl2O3は屈折率が比較的低い材料であるため、第1界面層105にはこれらの材料がより多く含まれることが好ましい。第1界面層105の屈折率n1と第2界面層103の屈折率n2との差は大きいことが好ましく、例えば0.2〜0.5の範囲であることが好ましい。
さらに、第2界面層103及び/または第1界面層105に含まれるCrの一部が、Ga及びInから選ばれる少なくともいずれか一つの元素で置換されていてもよい。CrがCr2O3の酸化物の状態で含まれる場合は、第2界面層103及び/または第1界面層105に含まれるCr2O3の一部が、Ga2O3及びIn2O3から選ばれる少なくともいずれか一つの酸化物で置換されていてもよい。これは、Ga2O3及びIn2O3が記録層104との密着性が良い材料であることによる。置換元素(Ga、In)の量が多くなりすぎると記録層104との密着性が低下する可能性があるため、置換元素の量はCr量を超えない範囲であることが好ましい。
第1誘電体層106は、光学距離を調整して記録層104の光吸収効率を高める働きと、記録前後の反射光量の変化を大きくして信号強度を大きくする働きとを有する。第1誘電体層106は、第2誘電体層102の材料と同様の系の材料を用いて形成することができる。また、第1誘電体層106の膜厚は、0.5nm〜30nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜20nmの範囲内であることがより好ましい。第1誘電体層106の膜厚をこの範囲内で選ぶことによって、記録層104で発生した熱を効果的に反射層108側に拡散させることができる。
反射層108は、記録層104に吸収される光量を増大させるという光学的な機能を有する。また、反射層108は、記録層104で生じた熱を速やかに拡散させ、記録層104を非晶質化しやすくするという熱的な機能をも有する。さらに、反射層108は、使用する環境から多層膜を保護するという機能も有する。
反射層108の材料としては、例えばAg、Au、Cu、及びAlといった、熱伝導率が高い単体金属を用いることができる。また、Al−Cr、Al−Ti、Al−Ni、Al−Cu、Au−Pd、Au−Cr、Ag−Cu、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Pd−Ti、Ag−Ru−Au、Ag−Cu−Ni、Ag−Zn−Al、Ag−Nd−Au、Ag−Nd−Cu、Ag−Bi、Ag−Ga、Ag−Ga−In、Ag−Ga−Cu、Ag−In、Ag−In−Sn、またはCu−Siといった合金を用いることもできる。特に、Agを50原子%以上含むAg合金は熱伝導率が大きいため、反射層108の材料として好ましい。反射層108の膜厚は、第N情報層10の透過率をできるだけ高くするため、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。反射層108の膜厚がこの範囲内にあることにより、その熱拡散機能が十分で、且つ第N情報層10の反射率を確保でき、さらに第N情報層10の透過率も十分となる。
透過率調整層109は、誘電体からなり、第N情報層10の透過率を調整する機能を有する。この透過率調整層109によって、記録層104が結晶相である場合の第N情報層10の透過率Tc(%)と、記録層104が非晶質相である場合の第N情報層10の透過率Ta(%)とを共に高くすることができる。具体的には、透過率調整層109を備える第N情報層10の透過率は、透過率調整層109が無い場合に比べて、2%〜10%程度上昇する。また、透過率調整層109は、記録層104で発生した熱を効果的に拡散させる機能も有する。
透過率調整層109の材料には、例えばTiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、Al2O3、Bi2O3、CeO2、WO3、Cr2O3、Ga2O3、及びSr−O等の酸化物を用いることができる。また、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、及びGe−Cr−N等の窒化物を用いることもできる。また、ZnS等の硫化物を用いることもできる。また、上記材料の混合物を用いることもできる。これらの中でも、特にTiO2、またはTiO2を含む材料を用いることが好ましい。これらの材料は屈折率が大きく(屈折率n=2.6〜2.8)、消衰係数も小さい(消衰係数k=0.0〜0.05)ため、第N情報層10の透過率を高める作用が大きくなる。
レーザビーム1が有する波長λの光に対する透過率調整層109の屈折率nt及び消衰係数ktは、第N情報層10の透過率Tc及びTaを高める作用をより大きくするため、2.0≦nt且つkt≦0.1を満たすことが好ましく、2.4≦nt≦3.0且つkt≦0.05を満たすことがより好ましい。
透過率調整層109の膜厚d1は、(3/32)λ/nt≦d1≦(5/32)λ/ntの範囲内であることが好ましい。レーザビーム1の波長λと透過率調整層109の屈折率ntとを、例えば350nm≦λ≦450nm、2.0≦nt≦3.0を満たすように選ぶと、d1の好ましい範囲は、9nm≦d1≦30nmとなる。d1をこの範囲内で選ぶことによって、第N情報層10の透過率Tc及びTaを共に高くすることができる。
第N情報層10の透過率Tc及びTaは、記録再生の際に必要なレーザ光量を、レーザビーム1の入射側から第N情報層10より遠い側にある情報層に到達させるため、45≦Tc且つ45≦Taを満たすことが好ましく、50≦Tc且つ50≦Taを満たすことがより好ましい。
第N情報層10の透過率Tc及びTaは、−5≦(Tc−Ta)≦5を満たすことが好ましく、−3≦(Tc−Ta)≦3を満たすことがより好ましい。Tc及びTaがこの条件を満たすことにより、レーザビーム1の入射側から第N情報層10より遠い側にある情報層の記録再生の際、第N情報層10の記録層104の状態による透過率の変化の影響が小さく、良好な記録再生特性が得られる。
第N情報層10において、記録層104が結晶相である場合のレーザビーム1についての反射率Rc(%)、及び記録層104が非晶質相である場合のレーザビーム1についての反射率Ra(%)は、Ra<Rcを満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録されていない初期の状態で反射率が高く、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc−Ra)を大きくして良好な記録再生特性が得られるように、Rc、Raは、0.1≦Ra≦1且つ1.5≦Rc≦5を満たすことが好ましく、0.1≦Ra≦0.7且つ1.5≦Rc≦3を満たすことがより好ましい。
情報記録媒体9は、以下に説明する方法によって製造できる。
まず、基板8(厚さが例えば1.1mm)上に(N−1)個の情報層(第1情報層7から第N−1情報層4)を、中間層(中間層6、5等)を介して順次積層する。各情報層は、単層膜、または多層膜からなる。各情報層を構成する各層は、成膜装置内で、材料となるスパッタリングターゲットを順次スパッタリングすることによって形成できる。また、中間層は、光硬化性樹脂(特にアクリル系の紫外線硬化性樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂を情報層上に塗布して、その後、基板8を回転させて樹脂を均一に延ばした後(スピンコート)、樹脂を硬化させることによって形成できる。なお、中間層がレーザビーム1の案内溝を備える場合には、溝が形成された基板(型)を硬化前の樹脂に密着させた後、基板8とかぶせた型(密着させた基板(型))とを回転させてスピンコートし、樹脂を硬化させた後、基板(型)をはがすことによって、中間層に案内溝を形成できる。中間層の形成方法は、上記のスピンコート法だけでなく、例えばスクリーン法、インクジェット法といった印刷技術を微細加工技術に応用して用いることもできる。
このようにして、基板8上に(N−1)個の情報層を、中間層を介して積層した後、さらに、中間層3(厚さが例えば10μm)を形成する。
続いて、中間層3上に第N情報層10を形成する。具体的には、中間層を介して積層された(N−1)個の情報層上にさらに中間層3を形成した基板8を、成膜装置内に配置し、中間層3上に透過率調整層109を成膜する。透過率調整層109は、透過率調整層109を構成する誘電体からなるスパッタリングターゲットを、希ガス雰囲気中、または希ガスと反応ガス(特にO2ガス)との混合ガス雰囲気中で高周波(RF)電源を用いてスパッタリングすることによって形成できる。なお、成膜速度を高めるため、透過率調整層109を構成する材料に導電性の材料を微量添加してスパッタリングターゲットに導電性を付加し、直流(DC)電源またはパルスDC電源を用いてスパッタリングすることもできる。また、透過率調整層109は、透過率調整層109を構成する金属からなるスパッタリングターゲットを、希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でDC電源、パルスDC電源、またはRF電源を用いて反応性スパッタリングすることによっても形成できる。
あるいは、透過率調整層109は、単独の誘電体の各々のスパッタリングターゲットを複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって、形成することもできる。また、透過率調整層109は、2以上の誘電体を組み合わせた2元系スパッタリングターゲットや3元系スパッタリングターゲット等を、複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって形成することもできる。これらのスパッタリングターゲットを使用する場合でも、スパッタリングは、希ガス雰囲気中、または希ガスと反応ガス(特にO2ガス)との混合ガス雰囲気中で実施することができる。
続いて、透過率調整層109上に、反射層108を成膜する。反射層108は、反射層108を構成する金属または合金からなるスパッタリングターゲットを、希ガス(例えば、Arガス)雰囲気中、または希ガスと反応ガス(例えば、O2ガス及びN2ガスから選ばれる少なくとも一つのガス)との混合ガス雰囲気中で、DC電源、パルスDC電源、またはRF電源を用いてスパッタリングすることによって形成できる。反射層108は金属または合金であるため、成膜速度を高められるDC電源またはパルスDC電源を用いてスパッタリングすることが好ましい。
続いて、反射層108上に、必要に応じて第1誘電体層106を成膜する。第1誘電体層106は、透過率調整層109と同様の方法で形成できる。
続いて、反射層108上(第1誘電体層106を設ける構成の場合は第1誘電体層106上)に、第1界面層105を成膜する。第1界面層105は、透過率調整層109と同様の方法で形成できる。第1界面層105は、上記式(2)、(4)のいずれかで表される材料を含む組成となるように、またはそれらの材料のみから成る組成となるように、組成を調整したスパッタリングターゲットを、一つの電源を用いてスパッタリングすることによって形成できる。例えば、(Al2O3)70(Cr2O3)30(モル%)の組成を有する第1界面層105を成膜する場合、(Al2O3)70(Cr2O3)30(モル%)の組成を有するスパッタリングターゲットを用意して、Arガス雰囲気中、或いはArとO2ガスとの混合ガス雰囲気中で成膜することにより、第1界面層105を形成することができる。実際に成膜した膜の組成が所望の組成になっているかは、例えばX線マイクロアナライザーによる組成分析により調べることが可能である。スパッタリング装置によって、膜中の酸化物の酸素が欠損しやすかったり、膜中の酸素が多くなったりして、所望の組成からずれることがある。このため、スパッタリングターゲットの組成をあらかじめ調整したり、Arガスに混合するO2ガスの量を調整したりすることで、所望の膜組成を得ることが可能である。
続いて、第1界面層105上に、記録層104を成膜する。記録層104は、例えば、Ge−Teを含み、且つGeを40原子%以上含むスパッタリングターゲット、または、Sb−Ge及びSb−Teから選ばれる少なくともいずれか一つの材料を含み、且つSbを70原子%以上含むスパッタリングターゲットを、一つの電源を用いてスパッタリングすることによって形成できる。また、記録層104は、例えばTeを含むスパッタリングターゲット、Biを含むスパッタリングターゲット、Geを含むスパッタリングターゲット、Sbを含むスパッタリングターゲット、Ge−Teを含むスパッタリングターゲット、Sb−Geを含むスパッタリングターゲット、及び、Sb−Teを含むスパッタリングターゲット等から選ばれる少なくとも2個以上のスパッタリングターゲットを、2個以上の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって形成することもできる。その場合には、使用するスパッタリングターゲットの種類及び数、ならびに電源の出力等に応じて、得られる記録層の組成が決定されることとなるので、それらを適宜選択して、所望の組成の記録層104が得られるように記録層を構成することが好ましい。このように2種以上のスパッタリングターゲットを使用することは、例えば、混合物のスパッタリングターゲットを形成することが困難である場合に有用である。
また、記録層104が2種以上の層を積層してなる記録部として形成される場合、例えばTeを含むスパッタリングターゲット、Biを含むスパッタリングターゲット、Geを含むスパッタリングターゲット、Sbを含むスパッタリングターゲット、Ge−Teを含むスパッタリングターゲット、Sb−Geを含むスパッタリングターゲット及びSb−Teを含むスパッタリングターゲット等から選ばれる少なくとも2個以上のスパッタリングターゲットを、2個以上の電源を用いて順次及び/または同時にスパッタリングすることによって形成することもできる。即ち、記録部を成膜するために、2つ以上のスパッタリングターゲットを使用して、スパッタリングを2回以上実施してもよく、または2つ以上のスパッタリングターゲットを同時にスパッタリングしてもよい。
スパッタリングの雰囲気ガスとしては、単層構造の記録層104を形成する場合、及び記録部としての記録層104を形成する場合のいずれにおいても、希ガス、または希ガスと反応ガス(例えば、N2ガス及びO2ガスから選ばれる少なくとも一種のガス)との混合ガスを用いることができる。また、スパッタリングに用いる電源も、DC電源、パルスDC電源、またはRF電源のいずれかを用いることが可能である。
続いて、記録層104上に、第2界面層103を成膜する。第2界面層103は、透過率調整層109と同様の方法で形成できる。第2界面層103は、上記式(1)、(3)のいずれかで表される材料を含む組成となるように、またはそれらの材料のみから成る組成となるように、組成を調整したスパッタリングターゲットを、一つの電源を用いてスパッタリングすることによって形成できる。例えば、(Nb2O5)70(Cr2O3)30(モル%)の組成を有する第2界面層103を成膜する場合、(Nb2O5)70(Cr2O3)30(モル%)の組成を有するスパッタリングターゲットを用意して、Arガス雰囲気中、或いはArとO2ガスとの混合ガス雰囲気中で成膜することにより、第2界面層103を形成することができる。実際に成膜した膜の組成が所望の組成になっているかは、例えばX線マイクロアナライザーによる組成分析により調べることが可能である。スパッタリング装置によって、膜中の酸化物の酸素が欠損しやすかったり、膜中の酸素が多くなったりして、所望の組成からずれることがある。このため、スパッタリングターゲットの組成をあらかじめ調整したり、Arガスに混合するO2ガスの量を調整したりすることで、所望の膜組成を得ることが可能である。
続いて、第2界面層103上に、必要に応じて第2誘電体層102を成膜する。第2誘電体層102は、透過率調整層109と同様の方法で形成できる。
最後に、第2界面層103上(第2誘電体層102を設ける構成の場合は第2誘電体層102上)に透明層2を形成する。透明層2は、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂を、第2界面層103(または第2誘電体層102)上に塗布してスピンコートした後、樹脂を硬化させることによって形成できる。また、透明層2として、透明な円盤状の基板を用いてもよく、基板は、例えば、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンもしくはPMMA等の樹脂、またはガラスから成る。この場合、透明層2は、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂を第2界面層103(または第2誘電体層102)上に塗布して、基板を第2誘電体層102上に密着させて、スピンコートした後、樹脂を硬化させることによって形成できる。また、基板に粘着性の樹脂を予め均一に塗布し、それを第2界面層103(または第2誘電体層102)に密着させることもできる。
なお、第2誘電体層102を成膜した後、または透明層2を形成した後、必要に応じて、記録層104の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録層104の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
以上のようにして、情報記録媒体9を製造できる。なお、本実施の形態においては、各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、またはMBE法等を用いることも可能である。また、第N情報層10以外の情報層を第N情報層10と同様に形成してもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2として、実施の形態1の本発明の多層情報記録媒体において、N=3、すなわち3層の情報層によって構成された情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態2の情報記録媒体14の一部断面図を図2に示す。情報記録媒体14は、片面からのレーザビーム1の照射によって情報の記録再生が可能な3層情報記録媒体である。
情報記録媒体14は、基板8と、基板8上に順次積層した、第1情報層11、中間層5、第2情報層12、中間層3、第3情報層13、及び透明層2と、により構成されている。基板8、中間層3、5、及び透明層2は、実施の形態1で説明したものと同様の材料を用いて形成することができる。また、それらの形状及び機能についても、実施の形態1で説明した、それらの形状及び機能と同様である。
以下、第1情報層11、第2情報層12、及び第3情報層13の構成について詳細に説明する。本実施の形態では、第2情報層12及び第3情報層13が本発明の情報記録媒体の第L情報層に相当する。ただし、第1情報層11も、第1界面層及び第2界面層に実施の形態1で説明した第1界面層105及び第2界面層103の構成をそれぞれ適用すれば、第L情報層として機能する。
第1情報層11は、レーザビーム1の入射側から順に配置された第2界面層203、記録層204、第1界面層205、及び反射層208を備える。なお、中間層5と第2界面層203との間に、第2誘電体層202を備えてもよい。また、第1界面層205と反射層208との間に、第1誘電体層206を備えてもよい。さらに、第1界面層205と反射層208との間(第1誘電体層206を設ける構成の場合は、第1誘電体層206と反射層208との間)に、さらなる界面層207(図2には示されていないが、本明細書では便宜上「界面層207」として説明する)を備えてもよい。第1情報層11について、情報の記録再生は、透明層2、第3情報層13、中間層3、第2情報層12、及び中間層5を透過したレーザビーム1によって行われる。
第2誘電体層202は、実施の形態1の第2誘電体層102の材料と同様の材料を用いて形成することができる。また、その機能についても、実施の形態1の第2誘電体層102と同様である。
第2誘電体層202の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、記録層204が結晶相である場合とそれが非晶質相である場合との反射光量の変化が大きくなる条件を満足するように、厳密に決定することができる。第2誘電体層202の膜厚は、50nm〜80nmの範囲内であることが望ましく、60nm〜70nmの範囲内にあることがより好ましい。
第2界面層203は、実施の形態1の第2界面層103と同様の材料を用いて形成することができる。また、その機能及び形状についても、実施の形態1の第2界面層103と同様である。また、第2界面層203は、酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、及び弗化物より選ばれる少なくとも一つを含む材料を用いて形成することもでき、その中でも、特にCrとOを含む材料(その中でも、CrとOとがCr2O3を形成した酸化物)、InとOを含む材料(その中でも、InとOとがIn2O3を形成した酸化物)、及びGaとOを含む材料(その中でも、GaとOとがGa2O3を形成した酸化物)を用いることが好ましい。また、第2界面層203は、これらの他に、Zr、Hf及びYから選ばれる少なくとも一つの元素をさらに含んでもよく、当該元素は酸化物として含まれることがより好ましい。ZrO2及びHfO2は、透明で、融点が約2700〜2800℃と高く、且つ酸化物の中では熱伝導率が低い材料で、情報記録媒体の繰り返し書き換え性能を良くする。また、Y2O3は透明な材料で、且つZrO2及びHfO2を安定化させる働きをする。また、この3種類の酸化物のいずれか1つまたは複数を混合することによって、第2界面層203を記録層204と部分的にまたは全体的に接して形成しても、繰り返し書き換え性能に優れ、信頼性の高い第1情報層11を実現できる。また、第2界面層203には、Cr、Ga、In、Zr、Hf、Y及びOの他に、さらにSiを含む材料を用いてもよい。Siを例えばSiO2として第2界面層203内に含ませることにより、透明性が高くなり、記録性能に優れた第1情報層11を実現できる。
記録層204は、実施の形態1の記録層104と同様の材料で形成することができる。記録層204の膜厚は、その材料が可逆的な相変化を起こす材料の場合、第1情報層11の記録感度を高くするために、6nm〜15nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内においても、記録層204が厚い場合には、熱の面内方向での拡散による隣接領域への熱的影響が大きくなる。また、記録層204が薄い場合には、第1情報層11の反射率が小さくなる。したがって、記録層204の膜厚は、8nm〜13nmの範囲内であることがより好ましい。また、記録層204を、不可逆な相変化を起こす材料(例えば、Te−Pd−O)を用いて構成する場合は、記録層204の膜厚は10nm〜40nmの範囲内であることが好ましい。
第1界面層205は、実施の形態1の第1界面層105の材料と同様の材料を用いて形成することができる。また、その機能及び形状についても、実施の形態1の第1界面層105と同様である。なお、第2界面層203と同様に、第1界面層205を、酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、及び弗化物より選ばれる少なくとも一つを含む材料を用いて形成することもでき、その中でも、Cr2O3、In2O3、Ga2O3、ZrO2、HfO2、Y2O3及びSiO2を含む材料を好適に用いることができる。
第1誘電体層206は、実施の形態1の第1誘電体層106の材料と同様の材料を用いて形成することができる。また、その機能及び形状についても、実施の形態1の第1誘電体層106と同様である。
反射層208は、実施の形態1の反射層108と同様の材料を用いて形成することができる。また、その機能についても、実施の形態1の反射層108と同様である。反射層208の膜厚は、熱拡散機能が十分となる30nm以上であることが好ましい。この範囲内においても、反射層208が200nmよりも厚い場合には、その熱拡散機能が大きくなりすぎて第1情報層11の記録感度が低下する。したがって、反射層208の膜厚は30nm〜200nmの範囲内であることがより好ましい。
反射層208と第1界面層205との間(第1誘電体層206を設ける構成の場合は反射層208と第1誘電体層206との間)に、さらなる界面層を配置してもよい。図2に示す情報記録媒体14においてこのような界面層が設けられる場合、当該界面層は、符号208で示される層と符号206で示される層との間に、符号207で示される層として形成してよい。この場合、界面層207を形成する材料としては、反射層208について説明した材料よりも熱伝導率の低い材料を用いることができる。反射層208にAg合金を用いた場合、界面層207の材料として、例えばAl、またはAl合金を用いることができる。
また、界面層207の材料としては、Cr、Ni、Si及びC等の元素や、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、SnO2、Al2O3、Bi2O3、Cr2O3、Ga2O3、In2O3、Sc2O3、Y2O3、La2O3、Gd2O3、Dy2O3、Yb2O3、CaO、MgO、CeO2、及びTeO2等の酸化物を用いることができる。また、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、及びGe−Cr−N等の窒化物を用いることもできる。また、ZnS等の硫化物、SiC等の炭化物、LaF3及びCeF3等の弗化物、及びCを用いることもできる。また、上記材料から選ばれる1または複数の材料の混合物を用いて、界面層207を構成することもできる。界面層207の膜厚は、3nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜50nmの範囲内であることがより好ましい。
第1情報層11において、記録層204が結晶相である場合のレーザビーム1についての反射率Rc1(%)、及び記録層204が非晶質相である場合のレーザビーム1についての反射率Ra1(%)は、Ra1<Rc1を満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録されていない初期の状態で反射率が高くなり、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc1−Ra1)を大きくして、良好な記録再生特性が得られるように、Rc1、Ra1は、1≦Ra1≦12且つ16≦Rc1≦48を満たすことが好ましく、1≦Ra1≦6且つ16≦Rc1≦32を満たすことがより好ましい。
第2情報層12は、レーザビーム1の入射側から順に配置された第2誘電体層302、第2界面層303、記録層304、第1界面層305、第1誘電体層306、反射層308、及び透過率調整層309を備える。なお、第2誘電体層302及び第1誘電体層306は、必要に応じて省略することも可能である。第2情報層12について、情報の記録再生は、透明層2、第3情報層13、及び中間層3を透過したレーザビーム1によって行われる。
第2情報層12を構成する、第2誘電体層302、第2界面層303、記録層304、第1界面層305、第1誘電体層306、反射層308、及び透過率調整層309は、それぞれ実施の形態1の第N情報層10の第2誘電体層102、第2界面層103、記録層104、第1界面層105、第1誘電体層106、反射層108、及び透過率調整層109と同様の材料を用いて形成することができる。また、それらの形状及び機能についても、実施の形態1で説明した、それらの形状及び機能と同様である。
第2情報層12において、記録層304が結晶相である場合のレーザビーム1についての透過率Tc2(%)、及び第2記録層304が非晶質相である場合のレーザビーム1についての透過率Ta2(%)は、記録再生の際に必要なレーザ光量を、レーザビーム1の入射側から第2情報層12より遠い側にある情報層に到達させるため、45≦Tc2且つ45≦Ta2を満たすことが好ましく、50≦Tc2且つ50≦Ta2を満たすことがより好ましい。
第2情報層12の透過率Tc2及びTa2は、−5≦(Tc2−Ta2)≦5を満たすことが好ましく、−3≦(Tc2−Ta2)≦3を満たすことがより好ましい。Tc2及びTa2がこの条件を満たすことにより、レーザビーム1の入射側から第2情報層12より遠い側にある情報層の記録再生の際、第2情報層12の記録層304の状態による透過率の変化の影響が小さく、良好な記録再生特性が得られる。
第2情報層12において、記録層304が結晶相である場合のレーザビーム1についての反射率Rc2(%)、及び記録層304が非晶質相である場合のレーザビーム1についての反射率Ra2(%)は、Ra2<Rc2を満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録されていない初期の状態で反射率が高くなり、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc2−Ra2)を大きくして、良好な記録再生特性が得られるように、Rc2、Ra2は、0.3≦Ra2≦4且つ5≦Rc2≦15を満たすことが好ましく、0.3≦Ra2≦3且つ5≦Rc2≦9を満たすことがより好ましい。
第3情報層13は、レーザビーム1の入射側から順に配置された第2誘電体層402、第2界面層403、記録層404、第1界面層405、第1誘電体層406、反射層408、及び透過率調整層409を備える。なお、第2誘電体層402及び第1誘電体層406は、必要に応じて省略することも可能である。
第3情報層13を構成する、第2誘電体層402、第2界面層403、記録層404、第1界面層405、第1誘電体層406、反射層408、及び透過率調整層409は、それぞれ、実施の形態1の第N情報層10の第2誘電体層102、第2界面層103、記録層104、第1界面層105、第1誘電体層106、反射層108、及び透過率調整層109と同様の材料を用いて形成することができる。また、それらの形状及び機能についても、実施の形態1で説明した、それらの形状及び機能と同様である。
第3情報層13において、記録層404が結晶相である場合のレーザビーム1についての透過率Tc3(%)、及び記録層404が非晶質相である場合のレーザビーム1についての透過率Ta3(%)は、記録再生の際に必要なレーザ光量を、レーザビーム1の入射側から第3情報層13より遠い側にある情報層に到達させるため、50≦Tc3且つ50≦Ta3を満たすことが好ましく、55≦Tc3且つ55≦Ta3を満たすことがより好ましい。
第3情報層13の透過率Tc3及びTa3は、−5≦(Tc3−Ta3)≦5を満たすことが好ましく、−3≦(Tc3−Ta3)≦3を満たすことがより好ましい。Tc3及びTa3がこの条件を満たすことにより、レーザビーム1の入射側から第3情報層13より遠い側にある情報層の記録再生の際、第3情報層13の記録層404の状態による透過率の変化の影響が小さく、良好な記録再生特性が得られる。
第3情報層13において、記録層404が結晶相である場合のレーザビーム1についての反射率Rc3(%)、及び第1記録層404が非晶質相である場合のレーザビーム1についての反射率Ra3(%)は、Ra3<Rc3を満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録されていない初期の状態で反射率が高くなり、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc3−Ra3)を大きくして、良好な記録再生特性が得られるように、Rc3、Ra3は、0.1≦Ra3≦1且つ1.5≦Rc3≦5を満たすことが好ましく、0.1≦Ra3≦0.7且つ1.5≦Rc3≦3を満たすことがより好ましい。
このようにRc1、Ra1、Rc2、Ra2、Rc3、Ra3、Tc2、Ta2、Tc3、Ta3、を設計することにより、第1情報層13、第2情報層14、第3情報層15からの実効反射光量を合わせる(例えば、実効反射率が2%)ことができる。
情報記録媒体14は、以下に説明する方法によって製造できる。
まず、基板8(厚さが例えば1.1mm)を用意し、成膜装置内に配置する。
続いて、基板8上に第1情報層を形成する。具体的には、まず、基板8上に、反射層208、第1界面層205、記録層204、及び第2界面層203をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層208と第1界面層205の間に界面層207を成膜してもよい。また、必要に応じて反射層208と第1界面層205との間に第1誘電体層206を成膜してもよい。さらに、必要に応じて中間層5と第2界面層203との間に第2誘電体層202を成膜してもよい。
基板8上に反射層208を成膜するとき、基板8にレーザビーム1を導くための案内溝が形成されている場合には、案内溝が形成された側に反射層208を成膜する。反射層208は、実施の形態1の反射層108と同様の方法で形成できる。
続いて、反射層208上に、必要に応じて界面層207を成膜する。界面層207は、実施の形態1の反射層108、または透過率調整層109と同様の方法で形成できる。
続いて、反射層208上(界面層207を設ける構成の場合は界面層207上)に、必要に応じて第1誘電体層206を成膜する。第1誘電体層206は、実施の形態1の透過率調整層109と同様の方法で形成できる。
続いて、反射層208上(第1誘電体層206を設ける構成の場合は第1誘電体層206上、第1誘電体層206を設けず且つ界面層207を設ける構成の場合は界面層207上)に、第1界面層205を成膜する。第1界面層205は、実施の形態1の第1界面層105と同様の方法で形成できる。
続いて、第1界面層205上に、記録層204を成膜する。記録層204は、その組成に応じたスパッタリングターゲットを用いて、実施の形態1の記録層104と同様の方法で形成できる。
続いて、記録層204上に、第2界面層203を成膜する。第2界面層203は、実施の形態1の第2界面層103と同様の方法で形成できる。
続いて、第2界面層203上に、必要に応じて第2誘電体層202を成膜する。第2誘電体層202は、実施の形態1の透過率調整層109と同様の方法で形成できる。
このようにして、第1情報層11を形成する。
続いて、第1情報層11の第2界面層203上(第2誘電体層202を設ける構成の場合は第2誘電体層202上)に、中間層5(厚さが例えば25μm)を形成する。中間層5は、光硬化性樹脂(特にアクリル系の紫外線硬化性樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂を第2界面層203(または第2誘電体層202)上に塗布してスピンコートした後、樹脂を硬化させることによって形成できる。なお、中間層5がレーザビーム1の案内溝を備える場合には、溝が形成された基板(型)を硬化前の樹脂に密着させた後、樹脂を硬化させ、その後、基板(型)をはがすことによって案内溝を形成できる。中間層の形成方法は、上記のスピンコート法だけでなく、例えばスクリーン法、インクジェット法といった印刷技術を微細加工技術に応用して用いることもできる。
なお、第2界面層203または第2誘電体層202を成膜した後、または、中間層5を形成した後に、必要に応じて、記録層204の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録層204の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
続いて、中間層5上に第2情報層12を形成する。具体的には、まず、中間層5上に、透過率調整層309、反射層308、第1界面層305、記録層304、及び第2界面層303をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層308と第1界面層305との間に第1誘電体層306を成膜してもよい。また、必要に応じて、第2界面層303を成膜した後、第2誘電体層302を成膜してもよい。これらの各層は、それぞれ、実施の形態1で説明した第N情報層10の透過率調整層109、反射層108、第1誘電体層106、第1界面層105、記録層104、第2界面層103、及び第2誘電体層102と同様の方法で形成できる。
このようにして、第2情報層12を形成する。
続いて、第2情報層12の第2界面層303上(第2誘電体層302を設ける構成の場合は第2誘電体層302上)に、上述の中間層5と同様の方法により、中間層3(厚さが例えば18μm)を形成する。
なお、第2界面層303または第2誘電体層302を成膜した後、または中間層3を形成した後に、必要に応じて、記録層204及び/または記録層304の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録層204及び/または記録層304の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
続いて、中間層3上に第3情報層13を形成する。具体的には、まず、中間層3上に、透過率調整層409、反射層408、第1界面層405、記録層404、及び第2界面層403をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層408と第1界面層405との間に第1誘電体層406を成膜してもよい。また、必要に応じて第2界面層403を成膜した後、第2誘電体層402を成膜してもよい。これらの各層は、それぞれ、実施の形態1で説明した第N情報層10の透過率調整層109、反射層108、第1誘電体層106、第1界面層105、記録層104、第2界面層103、及び第2誘電体層102と同様の方法で形成できる。
このようにして、第3情報層13を形成する。
最後に、第3情報層13の第2界面層403上(第2誘電体層402を設ける構成の場合は第2誘電体層402上)に、透明層2(厚さが例えば57μm)を形成する。透明層2は、実施の形態1で説明した方法で形成できる。
なお、第2界面層403または第2誘電体層402を成膜した後、または透明層2を形成した後に、必要に応じて、記録層204、記録層304、及び/または記録層404の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録層204、記録層304、及び/または記録層404の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
以上のようにして、情報記録媒体14を製造できる。なお、本実施の形態においては、各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、またはMBE法等を用いることも可能である。
(実施の形態3)
実施の形態3として、実施の形態1の多層情報記録媒体において、N=4、すなわち4層の情報層によって構成された情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態3の情報記録媒体19の一部断面図を図3に示す。情報記録媒体19は、片面からのレーザビーム1の照射によって情報の記録再生が可能な4層情報記録媒体である。
情報記録媒体19は、基板8と、基板8上に順次積層した、第1情報層15、中間層6、第2情報層16、中間層5、第3情報層17、中間層3、第4情報層18、及び透明層2と、により構成されている。基板8、中間層3、5、6、及び透明層2は、実施の形態1及び2で説明したものと同様の材料を用いて形成することができる。また、それらの形状及び機能についても、実施の形態1及び2で説明した、それらの形状及び機能と同様である。
以下、第1情報層15、第2情報層16、第3情報層17及び第4情報層18の構成について詳細に説明する。本実施の形態では、第2情報層16、第3情報層17及び第4情報層18が本発明の情報記録媒体の第L情報層に相当する。ただし、第1情報層15も、第1界面層及び第2界面層に実施の形態1で説明した第1界面層105及び第2界面層103の構成をそれぞれ適用すれば、第L情報層として機能する。
第1情報層15は、レーザビーム1の入射側から順に配置された第2界面層503、記録層504、第1界面層505、及び反射層508を備える。なお、中間層6と第2界面層503との間に、第2誘電体層502をさらに備えてもよい。また、第1界面層505と反射層508との間に、第1誘電体層506をさらに備えてもよい。さらに、第1界面層505と反射層508との間(第1誘電体層506を設ける構成の場合は、第2誘電体層506と反射層508との間)に、さらなる界面層(図3には示されていないが、本明細書では便宜上「界面層507」として説明する)を備えてもよい。第1情報層15について、情報の記録再生は、透明層2、第4情報層18、中間層3、第3情報層17、中間層5、第2情報層16、及び中間層6を透過したレーザビーム1によって行われる。
第1情報層15を構成する、第2誘電体層502、第2界面層503、記録層504、第1界面層505、第1誘電体層506、界面層507、及び反射層508は、それぞれ、実施の形態2の第1情報層11の第2誘電体層202、第2界面層203、記録層204、第1界面層205、第1誘電体層206、界面層207、及び反射層208と同様の材料を用いて形成することができる。また、それらの形状及び機能についても、実施の形態2で説明した、それらの形状及び機能と同様である。
第1情報層15において、記録層504が結晶相である場合のレーザビーム1についての反射率Rc1(%)、及び記録層504が非晶質相である場合のレーザビーム1についての反射率Ra1(%)は、Ra1<Rc1を満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録されていない初期の状態で反射率が高くなり、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc1−Ra1)を大きくして、良好な記録再生特性が得られるように、Rc1、Ra1は、1≦Ra1≦12且つ16≦Rc1≦48を満たすことが好ましく、1≦Ra1≦6且つ16≦Rc1≦32を満たすことがより好ましい。
第2情報層16は、レーザビーム1の入射側から順に配置された第2界面層603、記録層604、第1界面層605、反射層608、及び透過率調整層609を備える。なお、中間層5と第2界面層603の間に、第2誘電体層602をさらに備えてもよい。また、第1界面層605と反射層608の間に、第1誘電体層606をさらに備えてもよい。第2情報層16について、情報の記録再生は、透明層2、第4情報層18、中間層3、第3情報層17、及び中間層5を透過したレーザビーム1によって行われる。
第2情報層16を構成する、第2誘電体層602、第2界面層603、記録層604、第1界面層605、第1誘電体層606、反射層608、及び透過率調整層609は、それぞれ、実施の形態1の第N情報層10の第2誘電体層102、第2界面層103、記録層104、第1界面層105、第1誘電体層106、反射層108、及び透過率調整層109と同様の材料を用いて形成することができる。また、それらの形状及び機能についても、実施の形態1で説明した、それらの形状及び機能と同様である。
第2情報層16において、記録層604が結晶相である場合のレーザビーム1についての透過率Tc2(%)、及び記録層604が非晶質相である場合のレーザビーム1についての透過率Ta2(%)は、記録再生の際に必要なレーザ光量を、レーザビーム1の入射側から第2情報層16より遠い側にある情報層に到達させるため、55≦Tc2且つ55≦Ta2を満たすことが好ましく、60≦Tc2且つ60≦Ta2を満たすことがより好ましい。
第2情報層16の透過率Tc2及びTa2は、−5≦(Tc2−Ta2)≦5を満たすことが好ましく、−3≦(Tc2−Ta2)≦3を満たすことがより好ましい。Tc2及びTa2がこの条件を満たすことにより、レーザビーム1の入射側から第2情報層16より遠い側にある情報層の記録再生の際、第2情報層16の記録層604の状態による透過率の変化の影響が小さく、良好な記録再生特性が得られる。
第2情報層16において、記録層604が結晶相である場合のレーザビーム1についての反射率Rc2(%)、及び記録層604が非晶質相である場合のレーザビーム1についての反射率Ra2(%)は、Ra2<Rc2を満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録されていない初期の状態で反射率が高くなり、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc2−Ra2)を大きくして、良好な記録再生特性が得られるように、Rc2、Ra2は、0.3≦Ra2≦4且つ5≦Rc2≦15を満たすことが好ましく、0.3≦Ra2≦3且つ5≦Rc2≦9を満たすことがより好ましい。
第3情報層17は、レーザビーム1の入射側から順に配置された第2界面層703、記録層704、第1界面層705、反射層708、及び透過率調整層709を備える。なお、中間層3と第2界面層703の間に、第2誘電体層702をさらに備えてもよい。また、第1界面層705と反射層708との間に、第1誘電体層706をさらに備えてもよい。第3情報層17について、情報の記録再生は、透明層2、第4情報層18、及び中間層3を透過したレーザビーム1によって行われる。
第3情報層17を構成する、第2誘電体層702、第2界面層703、記録層704、第1界面層705、第1誘電体層706、反射層708、及び透過率調整層709は、それぞれ、実施の形態1の第N情報層10の第2誘電体層102、第2界面層103、記録層104、第1界面層105、第1誘電体層106、反射層108、及び透過率調整層109と同様の材料を用いて形成することができる。また、それらの形状及び機能についても、実施の形態1で説明した、それらの形状及び機能と同様である。
第3情報層17において、記録層704が結晶相である場合のレーザビーム1についての透過率Tc3(%)、及び記録層704が非晶質相である場合のレーザビーム1についての透過率Ta3(%)は、記録再生の際に必要なレーザ光量を、レーザビーム1の入射側から第3情報層17より遠い側にある情報層に到達させるため、60≦Tc3且つ60≦Ta3を満たすことが好ましく、65≦Tc3且つ65≦Ta3を満たすことがより好ましい。
第3情報層17の透過率Tc3及びTa3は、−5≦(Tc3−Ta3)≦5を満たすことが好ましく、−3≦(Tc3−Ta3)≦3を満たすことがより好ましい。Tc3及びTa3がこの条件を満たすことにより、レーザビーム1の入射側から第3情報層17より遠い側にある情報層の記録再生の際、第3情報層17の記録層704の状態による透過率の変化の影響が小さく、良好な記録再生特性が得られる。
第3情報層17において、記録層704が結晶相である場合のレーザビーム1についての反射率Rc3(%)、及び記録層704が非晶質相である場合のレーザビーム1についての反射率Ra3(%)は、Ra3<Rc3を満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録されていない初期の状態で反射率が高くなり、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc3−Ra3)を大きくして、良好な記録再生特性が得られるように、Rc3、Ra3は、0.1≦Ra3≦1且つ1.5≦Rc3≦6を満たすことが好ましく、0.1≦Ra3≦0.7且つ1.5≦Rc3≦3.5を満たすことがより好ましい。
第4情報層18は、レーザビーム1の入射側から順に配置された第2界面層803、記録層804、第1界面層805、反射層808、及び透過率調整層809を備える。なお、透明層2と第2界面層803の間に、第2誘電体層802をさらに備えてもよい。また、第1界面層805と反射層808との間に、第1誘電体層806をさらに備えてもよい。
第4情報層18を構成する、第2誘電体層802、第2界面層803、記録層804、第1界面層805、第1誘電体層806、反射層808、及び透過率調整層809は、それぞれ、実施の形態1の第N情報層10の第2誘電体層102、第2界面層103、記録層104、第1界面層105、第1誘電体層106、反射層108、及び透過率調整層109と同様の材料を用いて形成することができる。また、それらの形状及び機能についても、実施の形態1で説明した、それらの形状及び機能と同様である。
第4情報層18において、記録層804が結晶相である場合のレーザビーム1についての透過率Tc4(%)、及び記録層804が非晶質相である場合のレーザビーム1についての透過率Ta4(%)は、記録再生の際に必要なレーザ光量を、レーザビーム1の入射側から第4情報層18より遠い側にある情報層に到達させるため、60≦Tc4且つ60≦Ta4を満たすことが好ましく、65≦Tc4且つ65≦Ta4を満たすことがより好ましい。
第4情報層18の透過率Tc4及びTa4は、−5≦(Tc4−Ta4)≦5を満たすことが好ましく、−3≦(Tc4−Ta4)≦3を満たすことがより好ましい。Tc4及びTa4がこの条件を満たすことにより、レーザビーム1の入射側から第4情報層18より遠い側にある情報層の記録再生の際、第4情報層18の記録層804の状態による透過率の変化の影響が小さく、良好な記録再生特性が得られる。
第4情報層18において、記録層804が結晶相である場合のレーザビーム1についての反射率Rc4(%)、及び記録層804が非晶質相である場合のレーザビーム1についての反射率Ra4(%)は、Ra4<Rc4を満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録されていない初期の状態で反射率が高くなり、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc4−Ra4)を大きくして、良好な記録再生特性が得られるように、Rc4、Ra4は、0.1≦Ra4≦0.8且つ1.2≦Rc4≦3を満たすことが好ましく、0.1≦Ra4≦0.5且つ1.2≦Rc4≦2を満たすことがより好ましい。
このようにRc1、Ra1、Rc2、Ra2、Rc3、Ra3、Rc4、Ra4、Tc2、Ta2、Tc3、Ta3、Tc4、Ta4、を設計することにより、第1情報層15、第2情報層16、第3情報層17、第4情報層18からの実効反射光量を合わせる(例えば、実効反射率が1.5%)ことができる。
情報記録媒体19は、以下に説明する方法によって製造できる。
まず、基板8(厚さが例えば1.1mm)を用意し、成膜装置内に配置する。
続いて、基板8上に第1情報層15を形成する。具体的には、まず、基板8上に、反射層508、第1界面層505、記録層504、及び第2界面層503をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層508と第1界面層505との間に界面層507を成膜してもよい。また、必要に応じて反射層508と第1界面層505との間に第1誘電体層506を成膜してもよい。さらに、必要に応じて中間層6と第2界面層503との間に第2誘電体層502を成膜してもよい。これらの各層は、それぞれ、実施の形態2で説明した、第1情報層11の反射層208、界面層207、第1誘電体層206、第1界面層205、記録層204、第2界面層203、及び第2誘電体層202と同様の方法で形成できる。
このようにして、第1情報層15を形成する。
続いて、第1情報層15の第2界面層503上(第2誘電体層502を設ける構成の場合は第2誘電体層502上)に、中間層6(厚さが例えば10μm)を形成する。中間層6は、光硬化性樹脂(特にアクリル系のに紫外線硬化性樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂を第2界面層503上(または第2誘電体層502上)に塗布してスピンコートした後、樹脂を硬化させることによって形成できる。なお、中間層6がレーザビーム1の案内溝を備える場合には、溝が形成された基板(型)を硬化前の樹脂に密着させた後、樹脂を硬化させ、その後、基板(型)をはがすことによって案内溝を形成できる。中間層の形成方法は、上記のスピンコート法だけでなく、例えばスクリーン法、インクジェット法といった印刷技術を微細加工技術に応用して用いることもできる。
なお、第2界面層503または第2誘電体層502を成膜した後、または中間層6を形成した後、必要に応じて、記録層504の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録層504の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
続いて、中間層6上に第2情報層16を形成する。具体的には、まず、中間層6上に、透過率調整層609、反射層608、第1界面層605、記録層604、及び第2界面層603をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層608と第1界面層605との間に第1誘電体層606を成膜してもよい。また、必要に応じて中間層5と第2界面層603との間に第2誘電体層602を成膜してもよい。これらの各層は、それぞれ、実施の形態1で説明した、第N情報層10の透過率調整層109、反射層108、第1誘電体層106、第1界面層105、記録層104、第2界面層103、及び第2誘電体層102と同様の方法で形成できる。
このようにして、第2情報層16を形成する。
続いて、第2情報層16の第2界面層603上(第2誘電体層602を設ける構成の場合は第2誘電体層602上)に、上述の中間層6と同様の方法により、中間層5(厚さが例えば20μm)を形成する。
なお、第2界面層603または第2誘電体層602を成膜した後、または中間層5を形成した後、必要に応じて、記録層504及び/または記録層604の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録層504及び/または記録層604の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
続いて、中間層5上に第3情報層17を形成する。具体的には、まず、中間層5上に、透過率調整層709、反射層708、第1界面層705、記録層704、及び第2界面層703をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層708と第1界面層705との間に第1誘電体層706を成膜してもよい。また、必要に応じて中間層3と第2界面層703との間に第2誘電体層702を成膜してもよい。これらの各層は、それぞれ、実施の形態1で説明した、第N情報層10の透過率調整層109、反射層108、第1誘電体層106、第1界面層105、記録層104、第2界面層103、及び第2誘電体層102と同様の方法で形成できる。
このようにして、第3情報層17を形成する。
続いて、第3情報層17の第2界面層703上(第2誘電体層702を設ける構成の場合は第2誘電体層702上)に、上述の中間層6と同様の方法により、中間層3(厚さが例えば15μm)を形成する。
なお、第2界面層703または第2誘電体層702を成膜した後、または中間層3を形成した後、必要に応じて、記録層504、記録層604、及び/または記録層704の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録層504、記録層604、及び/または記録層704の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
続いて、中間層3上に第4情報層18を形成する。具体的には、まず、中間層3上に、透過率調整層809、反射層808、第1界面層805、記録層804、及び第2界面層803をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層808と第1界面層805との間に第1誘電体層806を成膜してもよい。また、必要に応じて透明層2と第2界面層803との間に第2誘電体層802を成膜してもよい。これらの各層は、それぞれ実施の形態1で説明した、第N情報層10の透過率調整層109、反射層108、第1誘電体層106、第1界面層105、記録層104、第2界面層103、及び第2誘電体層102と同様の方法で形成できる。
このようにして、第4情報層18を形成する。
最後に、第2界面層803上(第2誘電体層802を設ける構成の場合は第2誘電体層802上)に、透明層2(厚さが例えば55μm)を形成する。透明層2は、実施の形態1で説明した方法で形成できる。
なお、第2界面層803または第2誘電体層802を成膜した後、または透明層2を形成した後、必要に応じて、記録層504、記録層604、記録層704、及び/または記録層804の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録層504、記録層604、記録層704、及び/または記録層804の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
以上のようにして、情報記録媒体19を製造できる。なお、本実施の形態においては、各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、またはMBE法等を用いることも可能である。
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態1、2及び3として説明した本発明の情報記録媒体の記録再生方法について説明する。
本発明の情報記録媒体の記録再生方法に用いられる記録再生装置34の一例について、その一部の構成を図4に模式的に示す。図4に示す記録再生装置34は、情報記録媒体33を回転させるためのスピンドルモータ29と、半導体レーザ31、及び半導体レーザ31から出射されるレーザビーム1を集光する対物レンズ30を備える光学ヘッド32とを備える。情報記録媒体33は、実施の形態1〜3の情報記録媒体であり、複数の情報層(例えば第1情報層11、第2情報層12及び第3情報層13)を備える。対物レンズ30は、レーザビーム1を情報層上に集光する。
情報記録媒体への情報の記録、消去、及び上書き記録は、レーザビーム1のパワーを、高パワーのピークパワー(Pp(mW))と低パワーのバイアスパワー(Pb(mW))との間で変調させることによって行う。ピークパワーのレーザビーム1を照射することによって、記録層の局所的な一部分が非晶質相にされ、その非晶質相が記録マークとなる。記録マーク間では、バイアスパワーのレーザビーム1が照射され、結晶相(消去部分)が形成される。なお、ピークパワーのレーザビーム1を照射する場合には、パルスの列で形成する、いわゆるマルチパルスとするのが一般的である。なお、マルチパルスは、ピークパワー及びバイアスパワーのパワーレベルだけで2値変調されてもよいし、バイアスパワーよりさらに低パワーのクーリングパワー(Pc(mW))及びボトムパワー(PB(mW))を加えて、0mW〜ピークパワーの範囲のパワーレベルによって3値変調、または4値変調されてもよい。
また、情報信号の再生は、再生パワーのレーザビーム1を照射することによって得られる情報記録媒体からの信号を検出器で読みとることにより実施する。再生パワー(Pr(mW))は、ピークパワー及びバイアスパワーのパワーレベルよりも低く、そのパワーレベルでのレーザビーム1の照射によって、記録マークの光学的な状態が影響を受けず、且つ情報記録媒体から記録マーク再生のための十分な反射光量が得られるパワーに設定される。
対物レンズ30の開口数NAは、レーザビーム1のスポット径を0.4μm〜0.7μmの範囲内に調整するため、0.5〜1.1の範囲内であることが好ましく、0.6〜0.9の範囲内であることがより好ましい。レーザビーム1の波長は、450nm以下(より好ましくは、350nm〜450nmの範囲内)であることが好ましい。情報を記録する際の情報記録媒体の線速度は、再生光による結晶化が起こりにくく、且つ十分な消去性能が得られる2m/秒〜15m/秒の範囲内であることが好ましく、6m/秒〜10m/秒の範囲内であることがより好ましい。情報記録媒体の種類等に応じて、ここで例示していない波長、対物レンズの開口数、及び線速度を使用してよいことはいうまでもない。例えば、レーザビーム1の波長は、650〜670nmであってよい。また、NA>1の光学系を用いて記録再生してもよい。光学系としてはソリッドイマージョンレンズ(SIL)やソリッドイマージョンミラー(SIM)を使用することができる。この場合、中間層と透明層は5μm以下で形成してよい。
3つの情報層を備えた情報記録媒体14(図2参照)において、第1情報層11で記録を行う際には、レーザビーム1の焦点を記録層204に合わせ、透明層2、第3情報層13、中間層3、第2情報層12及び中間層5を透過したレーザビーム1によって記録層204に情報を記録する。再生は、記録層204によって反射され、中間層5、第2情報層12、中間層3、第3情報層13及び透明層2を透過してきたレーザビーム1を検出して行う。第2情報層12で記録を行う際には、レーザビーム1の焦点を記録層304に合わせ、透明層2、第3情報層13、中間層3を透過したレーザビーム1によって情報を記録する。再生は、記録層304によって反射され、中間層3、第3情報層13及び透明層2を透過してきたレーザビーム1を検出して行う。第3情報層13で記録を行う際には、レーザビーム1の焦点を記録層404に合わせ、透明層2を透過したレーザビーム1によって情報を記録する。再生は、記録層404によって反射され、透明層2を透過してきたレーザビーム1を検出して行う。
なお、基板8、中間層3、5、6に、レーザビーム1を導くための案内溝が形成されている場合、情報は、レーザビーム1の入射側から近い方の溝面(グルーブ)に行われてもよいし、遠い方の溝面(ランド)に行われてもよい。また、グルーブとランドの両方に情報を記録してもよい。この場合、グルーブのみに情報を記録することが好ましい。
この記録再生装置を用いて、情報記録媒体の性能を次のようにして評価できる。信号強度は、レーザビーム1を0〜Pp(mW)の間でパワー変調し、マーク長0.168μm(3T)と0.446μm(8T)の信号を同じグルーブに連続10回交互記録し、最後に3T信号を上書きした場合の3T信号の周波数での信号振幅(carrier level)と雑音振幅(noise level)の比(CNR(Carrier to Noise Ratio))をスペクトラムアナライザーで測定することによって、評価できる。なお、CNRが大きいほど信号強度が強い。
また、消去性能は、レーザビーム1を0〜Pp(mW)の間でパワー変調し、マーク長0.168μm(3T)と0.446μm(8T)の信号を同じグルーブに連続10回交互記録し、11回目に3T信号を上書きした場合の3T信号の信号振幅と、さらにその後8T信号を上書きした場合の3T信号の信号振幅の差を、3T信号の消去率としてスペクトラムアナライザーで測定することにより評価できる。なお、消去率が大きいほど、消去性能が良い。
なお、Pp、Pb、Pc、及びPBは、信号振幅と消去率が最も大きくなるように決定する。
(実施の形態5)
実施の形態5として、本発明の第2界面層及び第1界面層の成膜に用いられるスパッタリングターゲットの実施の形態について、以下に説明する。
第2界面層の成膜に用いられる本実施の形態のスパッタリングターゲットは、M1とCrとを含む。第1界面層の成膜に用いられる本実施の形態のスパッタリングターゲットは、M2とCrと含む。これらを用いると、希ガスと反応ガス(特にO2ガス)とを導入することにより、M1とCrとOとを含む第2界面層と、M2とCrとOとを含む第1界面層とを形成することができる。さらに、上記のスパッタリングターゲットにさらにOを含めるスパッタリングターゲットを用いることもできる。このようなスパッタリングターゲットを用いることにより、希ガスのみ、または希ガスと微量の反応ガス(特にO2ガス)との混合ガスを導入することにより、第2界面層及び第1界面層が形成できる。
また、高速成膜において、情報記録媒体の、例えば反射率の個体ばらつきや、ジッタの媒体面内ばらつきを小さく抑えることができる。より高速な成膜を行い、ばらつきをより小さくするように、本スパッタリングターゲットは、密度(粉末の充填率を示し、全く隙間無く粉末が充填されている状態を100%と定義する)が高いことが好ましい。好ましくは80%以上で、より好ましくは90%以上である。
次に、本実施の形態のスパッタリングターゲットの製造方法の一例を説明する。
例えば、M1とCrとを含むスパッタリングターゲットの製造方法について説明する。所定の粒径を有する高純度な材料M1の粉末及び材料Crの粉末を準備し、これらを所定の混合比になるように秤量して混合し、ホットプレス装置に入れる。ホットプレス装置を必要に応じて真空にし、所定の高い圧力と高い温度の条件下で、所定時間保持して、混合粉末を焼結させる。混合を十分に行うことにより、スパッタリングターゲットの面内・厚み方向の組成が均一になる。また、圧力、温度及び時間の条件を最適化することにより、充填性が向上し、高密度なスパッタリングターゲットを製造することが可能になる。このようにして、M1とCrとを所定の組成比で含むスパッタリングターゲットが完成する。焼結後、必要に応じてIn等の半田を用いて、例えば表面が平滑な銅板に接着してもよい。こうすることにより、スパッタリング装置に取り付けてスパッタリングすることができる。
同様に、M2とCrとを含むスパッタリングターゲットも、所定の粒径を有する高純度な材料M2の粉末、及び材料Crの粉末を準備して、上記の方法で製造することができる。
あるいは、上記のスパッタリングターゲットを製造する際には、所定の粒径を有する高純度な材料M1−Crの粉末、及び材料M2−Crの粉末を準備してもよく、いずれの粉末の組み合わせでも、上記の方法でスパッタリングターゲットを製造できる。
同様に、製造するスパッタリングターゲットがOを含む場合には、所定の粒径を有する高純度な材料M1−Oの粉末、材料M2−Oの粉末、及び材料Cr−Oの粉末を準備して、上記の方法でスパッタリングターゲットを製造することができる。
第2界面層及び第1界面層を作製する方法としては、上記スパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法を用いて成膜を行うことが望ましい。スパッタリング法を用いた場合、多層膜を積層するための量産用の成膜装置が既に市場に提供されており、比較的容易に良好な膜質の薄膜が得られるという利点がある。
ここで、本実施の形態において用いられるスパッタリング装置の一例について説明する。図5にはスパッタリング装置を用いて成膜する様子が示されている。図5に示すように、このスパッタリング装置では、真空容器35に排気口36を通して真空ポンプ(図示せず)が接続され、真空容器35内を高真空に保つことができるようになっている。ガス供給口37からは、一定流量のガスを供給できるようになっている。基板39(ここでの基板とは、膜を堆積させるための基材のことである。)は陽極38に載置されている。真空容器35を接地することにより、真空容器35及び基板39が陽極に保たれている。スパッタリングターゲット40は陰極41に接続されており、スイッチ(図示せず)を介して電源42に接続されている。陽極38と陰極41との間に所定の電圧を加えることにより、スパッタリングターゲット40から放出された粒子により基板39上に薄膜が形成できる。
本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、図2の情報記録媒体14を作製し、第3情報層13の第1界面層405及び第2界面層403の材料と、第1界面層405及び第2界面層403の屈折率及び消衰係数と、第3情報層13の反射率比Rc3/Ra3と、第3情報層13の透過率Tc3と、第3情報層13のCNRと、第3情報層13の消去率と、第3情報層13の耐湿性との関係を調べた。具体的には、第1界面層405及び第2界面層403の材料が異なる第3情報層13を含む情報記録媒体14のサンプル1−1から1−6、サンプル2−1から2−6、サンプル3−1から3−6、サンプル4−1から4−6、サンプル5−1から5−6、サンプル6−1から6−6、サンプル7−1から7−3を作製し、第1界面層405及び第2界面層403の屈折率と消衰係数、第3情報層13の反射率比Rc3/Ra3、第3情報層13の透過率Tc3、第3情報層13のCNR、第3情報層13の消去率、及び第3情報層13の耐湿性を確認した。
サンプルは以下のようにして製造した。まず、基板8として、レーザビーム1を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1.1mm)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に、第1情報層11を積層した。反射層208としてAg−Pd−Cu層(厚さ:100nm)、第1誘電体層206として(SiO2)25(In2O3)50(ZrO2)25層(厚さ:10nm)、第1界面層205として(Cr2O3)50(ZrO2)50層(厚さ:5nm)、記録層204としてGe45Sb4Te51層(厚さ:11nm)、第2界面層203として(Cr2O3)50(ZrO2)50層(厚さ:5nm)、第2誘電体層202として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:60nm)を、順次スパッタリング法によって積層した。
上記の各層をスパッタリングする成膜装置は、それぞれ反射層208を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1誘電体層206を成膜する(SiO2)25(In2O3)50(ZrO2)25スパッタリングターゲット、第1界面層205を成膜する(Cr2O3)50(ZrO2)50スパッタリングターゲット、記録層204を成膜するGe−Sb−Te合金スパッタリングターゲット、第2界面層203を成膜する(Cr2O3)50(ZrO2)50スパッタリングターゲット、第2誘電体層202を成膜する(ZnS)80(SiO2)20スパッタリングターゲットを備えていた。なお、スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径200mm、厚さ6mmであった。
反射層208の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとして、DC電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。第1誘電体層206の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。第1界面層205の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。記録層204の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2界面層203の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。第2誘電体層202の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2500Wで行った。
次に、第2誘電体層202上にアクリル系の紫外線硬化性樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着させて回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。その結果、レーザビーム1を導く案内溝が第2情報層12側に形成された、厚さ25μmの中間層5を得た。
その後、中間層5の上に、第2情報層12を積層した。透過率調整層309として(TiO2)60(Bi2O3)40層(厚さ:20nm)、反射層308としてAg−Pd−Cu層(厚さ:9nm)、第1誘電体層306としてAl2O3層(厚さ:10nm)、第1界面層305として(Cr2O3)40(Al2O3)60層(厚さ:5nm)、記録層304としてGe45Sb3In1Te51層(厚さ:7nm)、第2界面層303として(Cr2O3)30(Al2O3)70層(厚さ:5nm)、第2誘電体層302として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:40nm)を、順次スパッタリング法によって積層した。
上記の各層をスパッタリングする成膜装置は、それぞれ透過率調整層309を成膜する(TiO2)60(Bi2O3)40スパッタリングターゲット、反射層308を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1誘電体層306を成膜するAl2O3スパッタリングターゲット、第1界面層305を成膜する(Cr2O3)40(Al2O3)60スパッタリングターゲット、記録層304を成膜するGe−Sb−In−Te合金スパッタリングターゲット、第2界面層303を成膜する(Cr2O3)30(Al2O3)70スパッタリングターゲット、第1誘電体層302を成膜する(ZnS)80(SiO2)20スパッタリングターゲットを備えていた。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径200mm、厚さ6mmであった。
透過率調整層309の成膜は、ArとO2の混合ガス雰囲気(全体に対して3%の割合のO2ガス)で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。反射層308の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとして、DC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第1誘電体層306の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。第1界面層305の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。記録層304の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2界面層303の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。第2誘電体層302の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2500Wで行った。
次に、第2誘電体層302上にアクリル系の紫外線硬化性樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着させて回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。その結果、レーザビーム1を導く案内溝が第3情報層13側に形成された、厚さ18μmの中間層3を得た。
その後、中間層3の上に、第3情報層13を積層した。透過率調整層409として(TiO2)60(Bi2O3)40層(厚さ:15nm)、反射層408としてAg−Pd−Cu層(厚さ:8nm)、第1誘電体層406としてAl2O3層(厚さ:6nm)、第1界面層405(厚さ:5nm)、記録層404としてGe45In1Bi3Te51層(厚さ:6nm)、第2界面層403(厚さ:5nm)、第2誘電体層402として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:35nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
上記の各層をスパッタリングする成膜装置は、それぞれ透過率調整層409を成膜する(TiO2)60(Bi2O3)40スパッタリングターゲット、反射層408を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1誘電体層406を成膜するAl2O3スパッタリングターゲット、第1界面層405を成膜するスパッタリングターゲット、記録層404を成膜するGe−In−Bi−Te合金スパッタリングターゲット、第2界面層403を成膜するスパッタリングターゲット、第2誘電体層402を成膜する(ZnS)80(SiO2)20スパッタリングターゲットを備えていた。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径200mm、厚さ6mmであった。
透過率調整層409の成膜は、ArとO2の混合ガス雰囲気(全体に対して1%の割合のO2ガス)で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。反射層408の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとして、DC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第1誘電体層406の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。第1界面層405の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。記録層404の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2界面層403の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて投入パワー3000Wで行った。第2誘電体層402の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2500Wで行った。
最後に、アクリル系の紫外線硬化性樹脂を第2誘電体層402上に塗布し回転させて、均一な樹脂層を形成した後、紫外線を照射して樹脂を硬化させることにより、厚さ57μmの透明層2を形成した。その後、記録層204、記録層304、及び記録層404をレーザビームで結晶化させる初期化工程を行った。以上のようにして、第1界面層405、及び第2界面層403の材料が異なる複数のサンプルを製造した。
なお、第1界面層405及び第2界面層403の屈折率及び消衰係数を測定するサンプルは、ポリカーボネート基板上に屈折率及び消衰係数測定用の石英基板(長さ12mm×幅18mm、厚さ1.1mm)を貼り付け、その石英基板を貼り付けたポリカーボネート基板上に、第1界面層405または第2界面層403となる材料を膜厚が20nm程度となるように、スパッタリング法によって成膜することにより準備した。屈折率及び消衰係数の測定にはエリプソメータを用いた。
このようにして得られたサンプルについて、図4の記録再生装置34を用いて、情報記録媒体14の第1情報層11、第2情報層12、及び第3情報層13の反射率を測定した。このとき、レーザビーム1の波長は405nm、対物レンズ30の開口数NAは0.85、測定時のサンプルの線速度は7.4m/s、再生パワーは1.0mWとした。また、反射率はグルーブで測定した。
第3情報層13の透過率(Tc3)については、第2情報層12のみを成膜したサンプルの反射率(Rc0)をあらかじめ測定し、その反射率とサンプル1−1から1−6、サンプル2−1から2−6、サンプル3−1から3−6、サンプル4−1から4−6、サンプル5−1から5−6、サンプル6−1から6−6、サンプル7−1から7−3の第2情報層12の反射率(Rc2)とから計算(Rc2=Rc0×Tc3×Tc3)して求めた。
また、第3情報層13のCNR及び消去率を測定する際の記録マーク長は、0.168μm(3T)及び0.446μm(8T)とした。
さらに、第3情報層13の耐湿性については、作製したサンプルを温度85℃、相対湿度85%RHの条件で加速試験し、試験後の状態を光学顕微鏡で観察することにより判定した。
各サンプルについて、第1界面層405の材料及び第2界面層403の材料を(表1−1)、(表2−1)、(表3−1)、(表4−1)、(表5−1)、(表6−1)及び(表7−1)に示す。また、各サンプルについて、第1界面層405の屈折率と消衰係数、第2界面層403の屈折率と消衰係数、第3情報層13の反射率比Rc3/Ra3、第3情報層13の透過率Tc3、第3情報層13のCNR、第3情報層13の消去率、第3情報層13の耐湿性、及び総合評価を、(表1−2)、(表2−2)、(表3−2)、(表4−2)、(表5−2)、(表6−2)及び(表7−2)に示す。なお、耐湿性については、温度85℃、相対湿度85%RHの条件で、200hr加速後まで腐食・剥離が発生しなかった場合を○、200hr加速後に腐食・剥離が発生したが、100hr加速後までは発生しなかった場合を△、100hr加速後に腐食・剥離が発生した場合を×とした。総合評価は、透過率が50%以上、CNRが50dB以上、及び耐湿性が△〜○の全てを満たす場合を○、透過率が50%未満、CNRが50dB未満、または耐湿性が×のいずれかを満たす場合を×とした。
この結果、第1界面層405及び第2界面層403に、Cr2O3を含まないNb2O5、Y2O3、Dy2O3、Al2O3、TiO2、Al6Si2O13及びAl2TiO5を用いた、比較例としてのサンプル1−1、2−1、3−1、4−1、5−1及び6−1では、消衰係数が0.01程度と小さく、第3情報層13の反射率比Rc3/Ra3も6以上と大きく、CNRも50dB以上と良好であったが、耐湿性が悪く、総合評価も×であった。また、第1界面層405及び第2界面層403に、Cr2O3を60モル%含む材料を用いた比較例としてのサンプル1−6、2−6、3−6、4−6、5−6及び6−6では、耐湿性は良好であったが、消衰係数が0.1以上と大きく、第3情報層13の反射率比Rc3/Ra3も6以下と小さく、CNRも50dB未満と悪く、総合評価も×であった。第1界面層405及び第2界面層403に、Cr2O3を5モル%から50モル%含む材料を用いた、本発明の実施例としてのサンプル1−2から1−5、2−2から2−5、3−2から3−5、4−2から4−5、5−2から5−5及び6−2から6−5では、消衰係数が0.1未満と小さく、反射率比Rc3/Ra3も6以上と大きく、CNRも50dB以上と良好で、且つ耐湿性も良好であり、総合評価も○であった。以上の結果から、第1界面層405及び第2界面層403に含まれるCr2O3の量は、50モル%以下とすることがわかった。
また、サンプル6−2から6−5では、第1界面層405の屈折率(n1)が第2界面層403の屈折率(n2)よりも小さいため、第3情報層13の反射率比Rc3/Ra3を大きくすることができ、CNRを向上させることができた。同様に、サンプル7−1から7−3でも、Cr2O3の量が同じサンプル1−4、2−4、3−4、4−4及び5−4よりも、第3情報層13の反射率比Rc3/Ra3を大きくすることができ、CNRを向上させることができた。以上の結果から、第1界面層405の屈折率(n1)が第2界面層403の屈折率(n2)よりも小さいことが好ましいことがわかった。
なお、第1情報層11の第1界面層205及び第2界面層203、及び第2情報層12の第1界面層305及び第2界面層303において、上記と同様の実験を行ったところ、第3情報層13と同様の結果が得られた。
(実施例2)
実施例2では、図3の情報記録媒体19を作製し、第4情報層18の第1界面層805及び第2界面層803の材料と、第1界面層805及び第2界面層803の屈折率及び消衰係数と、第4情報層18の反射率比Rc4/Ra4と、第4情報層18の透過率Tc4と、第4情報層18のCNRと、第4情報層18の消去率と、第4情報層18の耐湿性との関係を調べた。具体的には、第1界面層805及び第2界面層803の材料が異なる第4情報層18を含む情報記録媒体19のサンプル8−1から8−11を作製し、第1界面層805及び第2界面層803の屈折率及び消衰係数と、第4情報層18の反射率比Rc4/Ra4と、第4情報層18の透過率Tc4と、第4情報層18のCNRと、第4情報層18の消去率と、第4情報層18の耐湿性とを確認した。
サンプルは以下のようにして製造した。まず、基板8として、レーザビーム1を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1.1mm)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に、第1情報層15を積層した。反射層508としてAg−Pd−Cu層(厚さ:100nm)、第1誘電体層506として(SiO2)25(In2O3)50(ZrO2)25層(厚さ:10nm)、第1界面層505として(Cr2O3)50(ZrO2)50層(厚さ:5nm)、記録層504としてSb77Te15Ge8層(厚さ:12nm)、第2界面層503として(Cr2O3)50(ZrO2)50層(厚さ:5nm)、第2誘電体層502として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:45nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
上記の各層をスパッタリングする成膜装置は、それぞれ反射層508を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1誘電体層506を成膜する(SiO2)25(In2O3)50(ZrO2)25スパッタリングターゲット、第1界面層505を成膜する(Cr2O3)50(ZrO2)50スパッタリングターゲット、記録層504を成膜するSb−Te−Ge合金スパッタリングターゲット、第2界面層503を成膜する(Cr2O3)50(ZrO2)50スパッタリングターゲット、第2誘電体層502を成膜する(ZnS)80(SiO2)20スパッタリングターゲットを備えていた。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径200mm、厚さ6mmであった。
反射層508の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとして、DC電源を用いて投入パワー2000Wで行った。第1誘電体層506の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。第1界面層505の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。記録層504の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2界面層503の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。第2誘電体層502の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて投入パワー2500Wで行った。
次に、第2誘電体層502上にアクリル系の紫外線硬化性樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着させて回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。その結果、レーザビーム1を導く案内溝が第2情報層16側に形成された、厚さ10μmの中間層6を得た。
その後、中間層6の上に、第2情報層16を積層した。透過率調整層609としてTiO2層(厚さ:20nm)、反射層608としてAg−Pd−Cu層(厚さ:8nm)、第1界面層605として(Cr2O3)40(Al2O3)60層(厚さ:10nm)、記録層604としてGe45Sb4Te51層(厚さ:6nm)、第2界面層603として(Cr2O3)40(Al2O3)60層(厚さ:5nm)、第2誘電体層602として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:45nm)を、順次スパッタリング法によって積層した。
上記の各層をスパッタリングする成膜装置は、それぞれ透過率調整層609を成膜するTiO2スパッタリングターゲット、反射層608を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1界面層605を成膜する(Cr2O3)40(Al2O3)60スパッタリングターゲット、記録層604を成膜するGe−Sb−Te合金スパッタリングターゲット、第2界面層603を成膜する(Cr2O3)40(Al2O3)60スパッタリングターゲット、第2誘電体層602を成膜する(ZnS)80(SiO2)20スパッタリングターゲットを備えていた。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径200mm、厚さ6mmであった。
透過率調整層609の成膜は、ArとO2の混合ガス雰囲気(全体に対して3%の割合のO2ガス)で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。反射層608の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとして、DC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第1界面層605の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて投入パワー3000Wで行った。記録層604の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2界面層603の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。第2誘電体層602の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2500Wで行った。
次に、第2誘電体層602上にアクリル系の紫外線硬化性樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着させて回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。その結果、レーザビーム1を導く案内溝が第3情報層17側に形成された、厚さ20μmの中間層5を得た。
その後、中間層5の上に、第3情報層17を積層した。透過率調整層709として(TiO2)60(Bi2O3)40層(厚さ:20nm)、反射層708としてAg−Pd−Cu層(厚さ:7nm)、第1界面層705として(Cr2O3)40(Al2O3)60層(厚さ:10nm)、記録層704としてSb86Ge14層(厚さ:5nm)、第2界面層703として(Cr2O3)40(Al2O3)60層(厚さ:5nm)、第2誘電体層702として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:40nm)を、順次スパッタリング法によって積層した。
上記の各層をスパッタリングする成膜装置は、それぞれ透過率調整層709を成膜する(TiO2)60(Bi2O3)40スパッタリングターゲット、反射層708を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1界面層705を成膜する(Cr2O3)40(Al2O3)60スパッタリングターゲット、記録層704を成膜するSb−Ge合金スパッタリングターゲット、第2界面層703を成膜する(SiO2)25(Cr2O3)50(ZrO2)25スパッタリングターゲット、第2誘電体層702を成膜する(ZnS)80(SiO2)20スパッタリングターゲットを備えていた。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径200mm、厚さ6mmであった。
透過率調整層709の成膜は、ArとO2の混合ガス雰囲気(全体に対して1%の割合のO2ガス)で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。反射層708の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとして、DC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第1界面層705の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。記録層704の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2界面層703の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。第2誘電体層702の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2500Wで行った。
次に、第2誘電体層702上にアクリル系の紫外線硬化性樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着させて回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。その結果、レーザビーム1を導く案内溝が第4情報層18側に形成された、厚さ15μmの中間層3を得た。
その後、中間層3の上に、第4情報層18を積層した。透過率調整層809として(TiO2)60(Bi2O3)40(厚さ:15nm)、反射層808としてAg−Pd−Cu層(厚さ:6nm)、第1誘電体層806としてAl2O3層(厚さ:6nm)、第1界面層805(厚さ:5nm)、記録層804としてGe45In1Bi3Te51層(厚さ:4.5nm)、第2界面層803(厚さ:5nm)、第2誘電体層802として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:35nm)を、順次スパッタリング法によって積層した。
上記の各層をスパッタリングする成膜装置は、それぞれ透過率調整層809を成膜する(TiO2)60(Bi2O3)40スパッタリングターゲット、反射層808を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1誘電体層806を成膜するAl2O3スパッタリングターゲット、第1界面層805を成膜するスパッタリングターゲット、記録層804を成膜するGe−In−Bi−Te合金スパッタリングターゲット、第2界面層803を成膜するスパッタリングターゲット、第2誘電体層802を成膜する(ZnS)80(SiO2)20スパッタリングターゲットを備えていた。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径200mm、厚さ6mmであった。
透過率調整層809の成膜は、ArとO2の混合ガス雰囲気(全体に対して1%の割合のO2ガス)で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。反射層808の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとして、DC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第1誘電体層806の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2000Wで行った。第1界面層805の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。記録層804の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、パルスDC電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2界面層803の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー3000Wで行った。第2誘電体層802の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.13Paとして、RF電源を用いて、投入パワー2500Wで行った。
最後に、アクリル系の紫外線硬化性樹脂を第2誘電体層802上に塗布し回転させることによって、均一な樹脂層を形成した後、紫外線を照射して樹脂を硬化させることによって、厚さ55μmの透明層2を形成した。その後、記録層504、記録層604、記録層704、及び記録層804をレーザビームで結晶化させる初期化工程を行った。以上のようにして、第1界面層805及び第2界面層803の材料が異なる複数のサンプルを製造した。
なお、第1界面層805及び第2界面層803の屈折率及び消衰係数については、実施例1で行った方法と同様の方法により測定した。
このようにして得られたサンプルについて、図4の記録再生装置34を用いて、情報記録媒体19の第1情報層15、第2情報層16、第3情報層17、及び第4情報層18の反射率を測定した。このとき、レーザビーム1の波長は405nm、対物レンズ30の開口数NAは0.85、測定時のサンプルの線速度は7.4m/s、再生パワーは1.0mWとした。また、反射率はグルーブで測定した。
第4情報層18の透過率(Tc4)については、第3情報層17のみを成膜したサンプルの反射率(Rc0)をあらかじめ測定し、その反射率とサンプル8−1から8−11の第3情報層17の反射率(Rc3)とから計算(Rc3=Rc0×Tc4×Tc4)して求めた。
また、第4情報層18のCNR及び消去率を測定する際の記録マーク長は、0.168μm(3T)及び0.446μm(8T)とした。
また、第4情報層18の耐湿性については、作製したサンプルを温度85℃、相対湿度85%RHの条件で加速試験し、試験後の状態を光学顕微鏡で観察することにより判定した。
各サンプルについて、第1界面層805の材料及び第2界面層803の材料を、(表8−1)に示す。また、各サンプルについて、第1界面層805の屈折率及び消衰係数、第2界面層803の屈折率及び消衰係数、第4情報層18の反射率比Rc4/Ra4、第4情報層18の透過率Tc4、第4情報層18のCNR、第4情報層18の消去率、及び第4情報層18の耐湿性を、(表8−2)に示す。なお、耐湿性については、温度85℃、相対湿度85%RHの条件で、200hr加速後まで腐食・剥離が発生しなかった場合を○、200hr加速後に腐食・剥離が発生したが、100hr加速後までは発生しなかった場合を△、100hr加速後に腐食・剥離が発生した場合を×とした。総合評価は、透過率が50%以上、CNRが50dB以上、及び耐湿性が△〜○の全てを満たす場合を○、透過率が50%未満、CNRが50dB未満、または耐湿性が×のいずれかを満たす場合を×とした。
この結果、第1界面層805において、Cr2O3の量が30モル%程度で、残りがNb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2及びHfO2から選ばれた混合物であり、且つ第2界面層803において、Cr2O3の量が30モル%程度で、残りがNb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2及びAl2O3から選ばれた混合物であるサンプル8−1から8−8では、消衰係数が0.03以下と小さく、反射率比Rc4/Ra4も7以上と大きく、CNRも50dB以上と良好で、且つ耐湿性も良好であり、総合評価も○であった。また、Cr2O3の一部をGa2O3及び/またはIn2O3で置き換えたサンプル8−9から8−11においても、消衰係数が0.03以下と小さく、反射率比Rc4/Ra4も7以上と大きく、CNRも50dB以上と良好で、且つ耐湿性も良好であり総合評価も○であった。
以上の結果から、第1界面層805が、Nb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2及びHfO2から選ばれる少なくとも一つの酸化物と50モル%以下のCr2O3とを含み、第2界面層803が、Nb2O5、Y2O3、Dy2O3、TiO2、SiO2及びAl2O3から選ばれる少なくとも一つの酸化物と50モル%以下のCr2O3とを含むことが好ましいことがわかった。また、Cr2O3の一部をGa2O3及び/またはIn2O3で置き換えてもよいことがわかった。
なお、第1情報層15の第1界面層505及び第2界面層503と、第2情報層16の第1界面層605及び第2界面層603と、第3情報層17の第1界面層705及び第2界面層703において、上記と同様の実験を行ったところ、第4情報層18と同様の結果が得られた。