以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係る電荷制御剤は、上記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する。当該化合物は、立体配座がコーン型又はパーシャルコーン型の配座異性体を特定の比率で含む。まず、一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)中のR1〜R4で示される、「炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、n−ノニル基、イソノニル基、1−メチルオクチル基、2−エチルヘプチル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、n−ウンデシル基、1,1−ジメチルノニル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基を挙げることができる。
一般式(1)中のR1〜R4で示される、「炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基」は置換基を有していてもよい。「置換基」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、エポキシアルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基を挙げることができる。具体的な「置換基」の例として、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアシル基、炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシカルボニル基、炭素原子数1〜6のエポキシアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、スチリル基、ピリジル基、ピリドインドリル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基を挙げることができる。これらの置換基は、さらに上記例示した置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)中のR1〜R4で示される、「芳香族炭化水素基」又は「芳香族複素環基」としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、トリアジル基、ピリミジル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基を挙げることができる。
一般式(1)中のR1〜R4で示される、「芳香族炭化水素基」又は「芳香族複素環基」は置換基を有していてもよい。「置換基」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、エポキシアルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基を挙げることができる。具体的な「置換基」の例として、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、スチリル基、ピリジル基、ピリドインドリル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基を挙げることができる。これらの置換基は、さらに上記例示した置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)中のR1〜R4は、無置換の炭素原子数4〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基を置換基として有する炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族複素環基であることが好ましい。また、一般式(1)中のR1〜R4は、無置換の炭素原子数10〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基を置換基として有する炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族複素環基であることがより好ましい。さらに、一般式(1)中のR1〜R4は、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を置換基として有する炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが特に好ましい。
一般式(1)中のR5〜R8で示される、「炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、n−ノニル基、イソノニル基、1−メチルオクチル基、2−エチルヘプチル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、n−ウンデシル基、1,1−ジメチルノニル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基を挙げることができる。
一般式(1)中のR5〜R8で示される、「炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基」は置換基を有していてもよい。「置換基」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、エポキシアルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基を挙げることができる。具体的な「置換基」の例として、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアシル基、炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシカルボニル基、炭素原子数1〜6のエポキシアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、スチリル基、ピリジル基、ピリドインドリル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基を挙げることができる。これらの置換基は、さらに上記例示した置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)中のR5〜R8で示される、「芳香族炭化水素基」又は「芳香族複素環基」としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ピリジル基、トリアジル基、ピリミジル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基を挙げることができる。
一般式(1)中のR5〜R8で示される、「芳香族炭化水素基」又は「芳香族複素環基」は置換基を有していてもよい。「置換基」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、エポキシアルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基を挙げることができる。具体的な「置換基」の例として、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、スチリル基、ピリジル基、ピリドインドリル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基を挙げることができる。これらの置換基は、さらに上記例示した置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)中のR5〜R8は、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族複素環基であることが好ましい。また、一般式(1)中のR5〜R8は、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族複素環基であることがより好ましい。また、一般式(1)中のR5〜R8は、無置換の炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが更に好ましく、無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが特に好ましい。
一般式(1)中のX1〜X4は、硫黄原子、スルフィニル基又はスルホニル基とすることができ、中でも硫黄原子であることが好ましく、X1〜X4のすべてが硫黄原子であることが特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、4つのベンゼン環を含む16員環構造を有しており、立体配座が変化する際に大きな障壁となっている。したがって、一般式(1)で表される化合物には、立体配座が下記式(1A)〜(1D)で表されるコーン型、パーシャルコーン型、1,2−オルタネート型及び1,3−オルタネート型である4種の配座異性体(回転異性体ともいう)が存在する(例えば、非特許文献1参照)。
コーン型の配座異性体は、X
1〜X
4を含む環状構造により形成される平面に対して、R
1〜R
4の全てが、同一の方向(例えば、上側)に存在するような立体配座を有する。コーン型の配座異性体は、一般式(1A)又は図1に示す構造式で表すことができる。
パーシャルコーン型の配座異性体は、X
1〜X
4を含む環状構造により形成される平面に対して、R
1〜R
4のうち1個のみが他の3個と異なる方向(例えば、R
2が下側で、残りのR
1、R
3及びR
4が上側)に存在する立体配座を有する。パーシャルコーン型の配座異性体は、一般式(1B)又は図2に示す構造式で表すことができる。
1,2−オルタネート型の配座異性体は、X
1〜X
4を含む環状構造により形成される平面に対して、R
1〜R
4の隣り合う2個が他の2個と異なる方向(例えば、R
2及びR
3が下側で、かつR
1及びR
4が上側)に存在する立体配座を有する。1,2−オルタネート型の配座異性体は、一般式(1C)又は図3に示す構造式で表すことができる。
1,3−オルタネート型の配座異性体は、X
1〜X
4を含む環状構造により形成される平面に対して、R
1〜R
4の向い合せの2個が他の2個と異なる方向(例えば、R
2及びR
4が下側で、かつR
1及びR
3が上側)に存在する立体配座を有する。1,3−オルタネート型の配座異性体は、一般式(1D)又は図4に示す構造式で表すことができる。
本発明者らは、一般式(1)で表される化合物において、上述の4種の配座異性体の全量に対する、コーン型立体配座の配座異性体とパーシャルコーン型立体配座の配座異性体との合計量が50モル%以上である場合、上記化合物を含有する電荷制御剤、トナー及び重合トナーは、帯電特性及び環境安定性の点で優れていることを見出した。
なお、X1〜X4がスルフィニル基の場合、さらにスルフィニル基に由来する立体異性体を生じる。しかしながら、本実施形態に係る化合物は、4つのベンゼン環を含む16員環構造に対する立体配座が重要であるため、スルフィニル基の立体化学に由来する立体異性体を区別して判断する必要はない。
一般式(1)で表される化合物には、コーン型立体配座、パーシャルコーン型立体配座、1,2−オルタネート型立体配座及び1,3−オルタネート型立体配座の4種の立体配座異性体が存在する。本実施形態において、一般式(1)で表される化合物の50モル%以上が、コーン型立体配座又はパーシャルコーン型立体配座であることが好ましい。また、コーン型立体配座又はパーシャルコーン型立体配座として存在する一般式(1)で表される化合物の比率は、55モル%以上、60モル%以上、65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、85モル%以上又は90モル%以上であってもよい。また、上記割合の上限は特に制限はないが、例えば、100%であってよい。コーン型立体配座又はパーシャルコーン型立体配座である一般式(1)で表される化合物の含有量(モル%)の算出方法としては、例えば、高速液体クロマトグラフ(以下、HPLCと略称する)のピーク面積から算出する方法が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であってもよい。
一般式(2)中、R
1〜R
4は、相互に同一でも異なってもよく、無置換の炭素原子数10〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基を置換基として有する炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族複素環基を示し、R
5〜R
8は、相互に同一でも異なってもよく、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族複素環基を示し、X
1〜X
4のすべては、硫黄原子を示す。
上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される化合物であってもよい。
一般式(3)中、R
1〜R
4は、相互に同一でも異なってもよく、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を置換基として有する炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R
5〜R
8は、相互に同一でも異なってもよく、無置換の炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、X
1〜X
4のすべては、硫黄原子を示す。
本実施形態に係る一般式(1)で表される化合物のコーン型又はパーシャルコーン型の配座異性体は、対応するフェノール誘導体を公知の環化反応、又は該環化反応に続く酸化反応(例えば、特許文献23〜24参照)を行うことによって対応する環状フェノール硫化物前駆体を製造し、続いて、公知のO−アルキル化反応などを行うことによって製造することができる(例えば、非特許文献1参照)。また、R5〜R8で示される基は、ヨウ素原子又は臭素原子などのハロゲン原子で置換された、対応する環状フェノール硫化物前駆体にSuzukiカップリング等のクロスカップリング反応を行うことによって、所望の基を導入することができる。
本実施形態に係る一般式(1)で表される化合物は、例えば、非特許文献1に記載の方法により製造することができる。一般式(1)で表される化合物に対応するR1〜R4が全て水素原子である化合物を用いて、反応条件を適宜選択することにより、所望の化合物を選択的に製造することができる。例えば、テトラヒドロフラン(以下、THFとも略称する)とN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFとも称する)の9:1(v/v)混合溶液中で、水素化ナトリウムと臭化ベンジルを用いて還流下、2時間反応させることで、コーン型の立体配座を有する配座異性体を主生成物として得ることができる。また、以下の(A)〜(C)の3工程を経て、パーシャルコーン型の立体配座を有する配座異性体を主生成物として得ることができる。
(A)アセトン中で、炭酸ナトリウムと臭化ベンジルを用いて還流下、反応させる工程、
(B)DMF中で、水素化ナトリウムと臭化ベンジルを用いて0℃にて反応させる工程、
(C)アセトン中、炭酸セシウムと臭化ベンジルを用いて還流下、反応させる工程。
一般式(1)で表される化合物の4種の配座異性体は、例えば、HPLCによって、各種配座異性体を分離することができる。したがって、分離された各種配座異性体を所望の比率で混ぜ合わせ、一般式(1)で表される化合物の50モル%以上がコーン型立体配座又はパーシャルコーン型立体配座の配座異性体となるように調整して、電荷制御剤に適用することも可能である。
本実施形態に係る電荷制御剤は、電荷制御特性、耐環境性、及び耐久性に優れており、重合トナーに用いた場合に、カブリがなく、画像濃度、ドット再現性、細線再現性が良好な画像を得ることができる。
本実施形態において、電荷制御剤の体積平均粒径を0.1μm〜20μmの範囲内に調整して用いることが好ましく、0.1μm〜10μmの範囲内に調整して用いることが特に好ましい。上記体積平均粒径が0.1μmより小さいと、トナー表面に出現する該電荷制御剤が極めて少なくなり目的の電荷制御効果が得られにくくなる傾向にあり、また20μmより大きいと、トナーから欠落する電荷制御剤が増加し、機内汚染などの悪影響が出やすくなる傾向にあるため好ましくない。
また、本実施形態に係る電荷制御剤を重合トナーに用いる場合は、体積平均粒径を1.0μm以下に調整して用いるのが好ましく、0.01μm〜1.0μmの範囲内に調整して用いるのが特に好ましい。上記体積平均粒径が1.0μmを超えると、最終的に得られる電子写真用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能又は信頼性の低下を招く場合がある。一方、上記平均粒径が上記範囲内にあると上記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能及び信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
本実施形態に係る電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、予めトナー粒子の内部に添加する方法と、予めトナー粒子を製造し、トナー粒子の表面に添加する方法がある。トナー粒子の内部に添加する方法としては、例えば、結着樹脂に該電荷制御剤を着色剤等とともに添加し、混練後、粉砕する方法(粉砕トナー)、又は、重合性の単量体モノマーに該電荷制御剤を添加し、重合してトナーを得る方法(重合トナー)をあげることができる。トナー粒子の内部に添加する場合、電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、一般式(1)で表される化合物が、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましい。一方、トナー粒子の表面に添加する場合、電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、一般式(1)で表される化合物が、0.01〜5質量部となるように添加することが好ましく、0.01〜2質量部となるように添加することがより好ましい。また、メカノケミカル的にトナー粒子表面に固着させるのが好ましい。
また本実施形態に係る電荷制御剤は、既知の他の負帯電性の電荷制御剤と併用することができる。併用する好ましい電荷制御剤としては、アゾ系鉄錯体又は錯塩、アゾ系クロム錯体又は錯塩、アゾ系マンガン錯体又は錯塩、アゾ系コバルト錯体又は錯塩、アゾ系ジルコニウム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のクロム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体の亜鉛錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のアルミ錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のジルコニウム錯体又は錯塩があげられる。上記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸がより好ましい。更にホウ素錯体又は錯塩、負帯電性樹脂型電荷制御剤などがあげられる。
本実施形態に係る電荷制御剤と他の電荷制御剤とを併用する場合の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、本実施形態に係る電荷制御剤以外の電荷制御剤は0.1〜10質量部が好ましい。
本実施形態のトナーに使用される結着樹脂としては、公知のものであればいずれも使用できる。結着樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリレート系単量体、メタクリレート系単量体等のビニル重合体、又はこれらの単量体2種類以上からなる共重合体など;ポリエステル系重合体;ポリオール樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;テルペン樹脂;クマロンインデン樹脂;ポリカーボネート樹脂;石油系樹脂などがあげられる。上記共重合体は、架橋剤を加えて製造したものを用いてもよい。
上記ビニル重合体と共重合体を形成するスチレン系単量体、アクリレート系単量体及びメタクリレート系単量体について、以下に例示するがこれらに限定されるものではない。
スチレン系単量体としては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体があげられる。
アクリレート系単量体としては、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステルがあげられる。
メタクリレート系単量体としては、メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステルがあげられる。
ビニル重合体と共重合体を形成する他のモノマーとして、以下の(1)〜(18)を用いてもよい。(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(6)メチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)ビニルナフタレン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体など;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸モノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸ジエステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との混合酸無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシ基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマー。
本実施形態に係るトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体又はその共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
ビニル基を2個有する架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等のアルキレンジオールのジアクリレート化合物又は対応するジメタクリレート化合物;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等のオキシアルキレンジオールのジアクリレート化合物又は対応するメタアクリレート化合物があげられる。
また、芳香族基又はエーテル結合を有するジオールのジアクリレート化合物、又は対応するジメタクリレート化合物を用いてもよい。例えば、ポリエステル型ジアクリレート類(商品名:MANDA(日本化薬株式会社製))があげられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート等のポリオールのアクリレート又は対応するメタクリレート;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等のアリルエステル又はアミドがあげられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部用いることができ、特に0.03〜5質量部用いることが好ましい。これらの架橋剤のうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼンが好ましい。)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類があげられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリレート系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
本実施形態において、ビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2’,4’−ジメチル−4’−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジエトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレートなどがあげられる。
結着樹脂がスチレン−アクリレート系樹脂の場合、樹脂成分のTHFに可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)による分子量分布で、分子量3千〜5万(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量10万以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。またTHF可溶分は、分子量分布10万以下の成分が50%〜90%となるような結着樹脂も好ましい。更に好ましくは、分子量5千〜3万の領域に、最も好ましくは分子量5千〜2万の領域にメインピークを有するのがよい。
結着樹脂がスチレン−アクリレート系樹脂などのビニル重合体の場合、その酸価は、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが更に好ましい。
ポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものがあげられる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又はビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどがあげられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるために3価以上のアルコールを併用することが好ましい。3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどがあげられる。
上記ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物などがあげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリト酸、ピロメリト酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、トリマー酸(商品名:エンポール三量体酸)、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステルなどがあげられる。
結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのがトナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分は、分子量10万以下の成分が60%〜100%となるような結着樹脂も好ましい。また、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在することがより好ましい。
本実施形態において、結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたGPCによって測定される。上記分子量は、例えば、HLC−8220GPC装置(東ソー社製)で測定した、標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価が、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが更に好ましい。なお、酸価とは、結着樹脂1g中の遊離脂肪酸を中和するために必要な水酸化カリウムの質量を意味し、JIS K−0070に準拠して測定される。
また、水酸基価は、30mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g〜25mgKOH/gであることがより好ましい。なお、水酸基価とは、結着樹脂1g中の水酸基を無水酢酸を用いてアセチル化した際に生じる酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムの質量を意味し、JIS K−0070に準拠して測定される。
本実施形態において、非晶性のポリエステル樹脂と結晶性のポリエステル樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。この場合、それぞれの樹脂の相溶性を考慮に入れて材料を選択することが好ましい。
非晶性のポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分、好ましくは芳香族多価カルボン酸と多価アルコール成分とから合成されるものが好適に用いられる。
結晶性のポリエステル樹脂は2価カルボン酸成分、好ましくは脂肪族ジカルボン酸と2価アルコール成分とから合成されるものが好適に用いられる。
本実施形態に係るトナーに使用できる結着樹脂として、上記ビニル重合体及び/又はポリエステル系樹脂中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物などがあげられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有するもの、又はアクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類があげられる。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gである樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
本実施形態において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、又は結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め算出しておく。試料の粉砕品0.5g〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをW(g)とする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(mL)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(mL)を加え溶解する。
(3)0.1mol/Lの水酸化カリウム(KOH)のエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時の水酸化カリウム溶液の使用量をS(mL)とし、同時にブランクを測定し、この時の水酸化カリウム溶液の使用量をB(mL)とし、以下の式(1)で算出する。ただし、fは水酸化カリウム濃度のファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W (1)
トナーの結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が好ましくは35℃〜80℃、特に好ましくは40℃〜75℃である。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなる。またTgが80℃を超えると、定着性が低下する傾向にある。
本実施形態の重合トナーにおいて、軟化点が80℃〜140℃の範囲内である結着樹脂が好適に用いられる。結着樹脂の軟化点が80℃未満であると、定着後及び保管時のトナー及びトナーの画像安定性が悪化する場合がある。一方、軟化点が140℃を超えると、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
本実施形態において使用できる磁性体としては、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、又は(2)鉄、コバルト、ニッケルのような金属、あるいは、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金、及び(3)これらの混合物などがあげられる。
磁性体として具体的に例示すると、Fe3O4、γ−Fe2O3、ZnFe2O4、Y3Fe5O12、CdFe2O4、Gd3Fe5O12、CuFe2O4、PbFe12O、NiFe2O4、NdFe2O、BaFe12O19、MgFe2O4、MnFe2O4、LaFeO3、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉などがあげられる、上述した磁性体を単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。特に好適な磁性体は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライトなどの磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。異種元素を例示すると、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウムなどがあげられる。好ましい異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムから選択される。異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
上記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させpH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加し、pHを調整することにより、粒子表面に析出させることができる。
上記磁性体の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部とすることができ、20〜150質量部とすることが好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径は0.1μm〜2μmであることが好ましく、0.1μm〜0.5μmであることがより好ましい。個数平均粒径は透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザーなどで測定することにより求めることができる。
また、磁性体としては、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20エルステッド〜150エルステッド、飽和磁化50emu/g〜200emu/g、残留磁化2emu/g〜20emu/gのものが好ましい。
上記磁性体は、着色剤としても使用することができる。本実施形態に係る着色剤としては黒色トナーの場合、黒色又は青色の染料又は顔料粒子があげられる。黒色又は青色の顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルーなどがある。黒色又は青色の染料としてはアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料などもあげられる。
カラー用トナーとして使用する場合には、着色剤として、次の様なものがあげられる。マゼンダ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基性染料、レーキ染料、ナフトール染料、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物を利用できる。具体的には、顔料系のマゼンダ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35などがあげられる。
上記顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
染料系マゼンタ着色剤としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I,デイスパースレッド9、C.I.ソルべントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.デイスパースパイオレット1等の油溶染料、C.I.べーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレツト1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料があげられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的にあげると、顔料系のシアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料があげられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物を利用できる。具体的には、イエロー用顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20などがあげられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダンスレンブリリアントオレンジGKなどをあげることができる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどをあげることができる。緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどをあげることができる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などをあげることができる。上記の着色剤の使用量は結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部とすることが好ましい。
本実施形態のトナーは、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。本実施形態において、キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイトなどのキャリアも樹脂コートキャリアも使用することができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。該被覆材に使用する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリレート系樹脂、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体などのアクリレート系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が好ましい。他にもアイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などのキャリアの被覆(コート)材として使用できる樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、単独で、又は複数を組合わせて用いることができる。
また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆材で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解若しくは懸濁させて、塗布したキャリアコアに付着せしめる方法、あるいは単に粉体状態で混合する方法が適用できる。樹脂コートキャリアに対する樹脂被覆材の割合は、適宜決定すればよいが、樹脂コートキャリアに対して0.01質量%〜5質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.1質量%〜1質量%がよい。
2種以上の混合物の被覆(コート)剤で磁性体を被覆する使用例としては、(1)酸化チタン微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したものがあげられる。
上記樹脂中、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、又はシリコーン樹脂が好ましく用いられ、特にシリコーン樹脂が好ましい。
含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸−2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20:60:5〜30:10:50)との混合物があげられる。
シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより生成された変性シリコーン樹脂があげられる。
キャリアコアの磁性材料としては、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物、鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらの合金を用いることができる。またこれらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムがあげられる。好ましい磁性材料として、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトがあげられる。
キャリアの抵抗値は、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して106Ω・cm〜1010Ω・cmとすることがよい。キャリアの粒径は4μm〜200μmとすることができるが、好ましくは、10μm〜150μmであり、より好ましくは20μm〜100μmである。特に、樹脂コートキャリアは、50%粒径が20μm〜70μmであることが好ましい。
2成分系現像剤ではキャリア100質量部に対して、本実施形態に係るトナー1〜200質量部で使用することが好ましく、キャリア100質量部に対して、トナー2〜50質量部で使用することがより好ましい。
本実施形態のトナーは更に、ワックスを含有していてもよい。本実施形態において、用いられるワックスは次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したものがあげられる。
ワックスの例としては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;ノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレン又はアクリレート等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物があげられる。
好ましく用いられるワックスとしては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン;放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス;ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法などにより合成される合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基等の官能基を有する炭化水素系ワックス;炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物;これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸等のビニルモノマーでグラフト変性したワックスがあげられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたもの、又は低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物若しくはその他の不純物を除去したものを好ましく用いられる。
本実施形態において使用するワックスは、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために融点が50℃〜140℃であることが好ましく、更には70℃〜120℃であることがより好ましい。50℃未満では耐ブロッキング性が低下する傾向があり、140℃を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなる。
また、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
可塑化作用を有するワックスの種類としては、例えば融点の低いワックス、又は分子の構造上に分岐のあるワックス、若しくは極性基を有する構造のワックスがあげられ、離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックス、分子の構造では、直鎖構造のワックス、又は、官能基を有さない無極性のワックスがあげられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃となる組み合わせ、及び、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせなどがあげられる。
2種のワックスを選択する場合は、同様の構造を有するワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。このとき、融点の差が10℃〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくく、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくい。この場合、少なくとも一方のワックスの融点が70℃〜120℃であることが好ましく、70℃〜100℃であることがより好ましい。融点がこの範囲にあると、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向がある。
また、ワックスは、相対的に、枝分かれ構造のもの、官能基等の極性基を有するもの、又は主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のもの、官能基を有さない無極性のもの、又は未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましいワックスの組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ;ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ;アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ;フイシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ;フィッシャートロプシュワックスとポリオレフィンワックスの組み合わせ;パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ;カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせがあげられる。
いずれの場合においてもトナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて70℃〜110℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70℃〜110℃の領域に最大ピークを有することがより好ましい。このことより、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなる。
本実施形態のトナーにおいて、これらのワックスの総含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。
本実施形態では、ワックスの融点は、DSCにおいて測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度である。
本実施形態においてワックス又はトナーのDSC測定は、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で行うことが好ましい。測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。本実施形態においては、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
本実施形態のトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。例えば、カーボンブラック、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、及びこれらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した、処理シリカ,処理酸化チタン,処理アルミナがあげられる。なかでも、微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤又はシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカが更に好ましい。流動性向上剤の粒径は、平均一次粒径として0.001μm〜2μmであることが好ましく、0.002μm〜0.2μmであることがより好ましい。
好ましい微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。AEROSIL(日本アエロジル株式会社製、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84:Ca−O−SiL(CABOT株式会社製、以下同じ)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5、Wacker HDK(WACKER−CHEMIEGMBH株式会社製、以下同じ)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40:D−CFineSilica(ダウコーニング株式会社製):Fransol(Fransil株式会社製)。
更には、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体としては、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30%〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化処理は、例えば、シリカ微粉体と反応又は物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的又は物理的に処理する方法により行うことができる。中でも、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法が好ましい。
有機ケイ素化合物としては、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位にそれぞれケイ素原子に結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサンなどがあげられる。更に、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルがあげられる。これらは1種単独で、又は2種以上の混合物で用いられる。
流動性向上剤は、個数平均粒径が5nm〜100nmになるものがよく、更に好ましくは5nm〜50nmがよい。BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上のものが好ましく、60m2/g〜400m2/gのものがより好ましい。表面処理された微粉体としては、20m2/g以上が好ましく、特に40m2/g〜300m2/gがより好ましい。これらの微粉体の適用量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.03〜8質量部である。
本実施形態のトナーには、感光体・キャリアーの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上などを目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチル、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモンなど、又は、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などの添加剤を必要に応じて添加することができる。また、これらの無機微粉体は必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンなどの滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウムなどの研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物などの処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
本実施形態において、電荷制御剤を上記のような添加剤及びトナーと一緒に、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ナウターミキサー、V型ミキサー、W型ミキサー、スーパーミキサーなどの混合機により充分に混合攪拌し、トナー粒子表面に均一に外添処理することにより目的とする静電荷現像用トナーを得ることもできる。
本実施形態のトナーは熱的にも安定であり電子写真プロセス時に熱的変化を受けることがなく、安定した帯電特性を保持することが可能である。また、どのような結着樹脂にも均一に分散することから、フレッシュトナーの帯電分布が非常に均一である。そのため、本実施形態のトナーは未転写、回収トナー(廃トナー)においても、フレッシュトナーと較べて飽和摩擦帯電量、帯電分布とも変化はほとんど認められない。一方、本実施形態の静電荷像現像用トナーから出る廃トナーを再利用する場合は、脂肪族ジオールを含むポリエステル樹脂を結着樹脂に選択する方法、金属架橋されたスチレン−アクリレート共重合体を結着樹脂とし、これに多量のポリオレフィンを加えた方法でトナーを製造することによってフレッシュトナーと廃トナーの格差を更に小さくすることができる。
本実施形態に係るトナーは、既知の製造法によって製造することができる。製造方法について例示すると、結着樹脂、電荷制御剤、着色剤などの上述したトナー構成材料をボールミルなどの混合機により十分混合し、得られた混合物を熱ロールニーダ等の加熱混練装置により良く混練し、冷却固化し、粉砕後、分級して得る方法(粉砕法)が好ましい。
また上記混合物を溶媒に溶解させ噴霧により微粒化、乾燥、分級して得る方法でも製造できる。更に、結着樹脂を構成すべき単量体に所定の材料を混合して乳化又は懸濁液とした後に、重合させてトナーを得る重合法によるトナー製造法、コア材及びシェル材から成るいわゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材若しくはシェル材、又はこれらの両方に所定の材料を含有させる方法によっても製造できる。更に必要に応じ所望の添加剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサー等の混合機により十分に混合することにより、本実施形態に係るトナーを製造することができる。
上記粉砕法による本実施形態に係るトナーの製造法を更に詳しく説明すると、初めに結着樹脂と着色剤、電荷制御剤、その他必要な添加剤を均一に混合する。混合には既知の攪拌機、例えばヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミルなどを用いることができる。得られた混合物を、密閉式のニーダー、あるいは1軸又は2軸の押出機を用いて、熱溶融混練する。混練物を冷却後に、クラッシャー又はハンマーミルを用いて粗粉砕し、更にジェットミル、高速ローター回転式ミルなどの粉砕機で微粉砕する。更に風力分級機、例えばコアンダ効果を利用した慣性分級方式のエルボジェット、サイクロン(遠心)分級方式のミクロプレックス、DSセパレーターなどを使用し、所定の粒度にまで分級を行う。更に外添剤などをトナー表面に処理する場合は、トナーと外添剤を高速攪拌機、例えばヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどで攪拌混合する。
また、本実施形態に係るトナーは、懸濁重合法又は乳化重合法によっても製造できる。懸濁重合法においては、まず、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、電荷制御剤、更に必要に応じて架橋剤、分散安定剤その他の添加剤を、均一に溶解又は分散させて、単量体組成物を調製する。その後、この単量体組成物と分散安定剤を、連続相(例えば、水相)中に適当な攪拌機又は分散機、例えばホモミキサー、ホモジナイザー、アトマイザー、マイクロフルイダイザー、一液流体ノズル、気液流体ノズル、電気乳化機などを用いて分散させる。好ましくは、重合性単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度、温度、時間を調整し、造粒する。同時に重合反応を40℃〜90℃で行い、所望の粒径を有するトナー粒子を得ることができる。得られたトナー粒子を洗浄し、ろ別した後、乾燥する。トナー粒子の製造後の外添処理は上記記載の方法が使用できる。
乳化重合法で製造すると、上述の懸濁重合法により得られる粒子と比べ、均一性には優れるものの平均粒子径が0.1μm〜1.0μmと極めて小さいため、場合によっては乳化粒子を核として重合性単量体を後添加して粒子を成長させる、いわゆるシード重合による方法、又は、乳化粒子を適当な平均粒径にまで合一、融着させる方法で製造することもできる。
これらの重合法による製造は、粉砕工程を経ないためトナー粒子に脆性を付与させる必要がなく、更に従来の粉砕法では使用することが困難であった低軟化点物質を多量に使用できることから材料の選択幅を広げることができる。トナー粒子表面に疎水性の材料である離型剤又は着色剤が露出しにくく、このためトナー担持部材、感光体、転写ローラー及び定着器への汚染が少なくすることができる。
本実施形態に係るトナーを重合法によって製造することによって、画像再現性、転写性、色再現性等の特性を更に向上させることができる。また、微小ドットに対応するためにトナーの粒径を小径化し、比較的容易に粒度分布がシャープなトナーを得ることができる。
本実施形態に係るトナーを重合方法で製造する際に使用する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体があげられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体又は多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン系重合性単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートメチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート等のアクリレート系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ジエチルフォスフェートメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等のメタクリレート系重合性単量体;不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン類があげられる。
本実施形態に係るトナーを重合方法で製造する際に使用する重合開始剤は有機過酸化物など、公知のものが使用できるが、水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素があげられる。
重合開始剤は重合性単量体100質量部に対して0.5〜20質量部の添加量が好ましく、単独又は併用してもよい。重合トナーを製造する際に使用する分散剤としては、例えば無機系酸化物としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどがあげられる。有機系化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンなどがあげられる。これらの分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部を使用することが好ましい。
これら分散剤は市販のものをそのまま使用してもよいが細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒体中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることもできる。
上記重合法で得られるトナーは、特別な処理をしない粉砕法によるトナーに較べ、トナー粒子の凹凸の度合いが小さい傾向にあり、不定形であるために静電潜像担持体とトナーとの接触面積が増加し、トナー付着力が高くなり、結果として機内汚染が少なく、より高画像濃度、より高品位な画像を得られやすい。
また、粉砕法によるトナーにおいても、トナー粒子を、水中に分散させ加熱する湯浴法、熱気流中を通過させる熱処理法、又は機械的エネルギーを付与して処理する機械的衝撃法などの方法によりトナー表面の凹凸の度合いを小さくすることができる。凹凸の度合いを小さくするために有効な装置としては、乾式メカノケミカル法を応用したメカノフージョンシステム(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ジェットミル、ローターとライナーを有する混合装置であるハイブリダイザー(奈良機械製作所株式会社製)、高速撹拌羽を有する混合機であるヘンシェルミキサーなどがあげられる。
上記トナー粒子の凹凸の度合いを示す値の一つとして、平均円形度をあげることができる。平均円形度(C)とは、下式(2)により円形度(Ci)を求め、更に下式(3)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を測定された全粒子数(m)で除した値を意味する。
上記円形度(Ci)は、フロー式粒子像分析装置(例えば、東亜医用電子株式会社製FPIA−1000)を用いて測定する。測定方法としては、ノニオン界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mLにトナー約5mgを分散させた分散液を調整し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜20000個/μLとして、上記フロー式粒子像分析装置を用い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の円形度分布を測定する。
上記平均円形度の値は、0.955〜0.995が好ましく、0.960〜0.985がより好ましい。平均円形度がこの範囲になるようにトナー粒子を調整すると、転写残トナーの増加を招くという現象が生じにくく、再転写を起こしにくい傾向にある。
本実施形態に係るトナーの場合、画像性とトナーの生産性の面から、例えばミクロンサイザー(例えば、株式会社セイシン企業製)などのレーザー式粒度分布測定機を使用した測定において、粉砕トナーの場合、トナーの粒子径が体積基準の平均粒径で2μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、3μm〜12μmの範囲内であることがより好ましい。15μmを超える平均粒径になると解像度又は鮮鋭性が鈍くなる傾向にあり、また、2μm未満の平均粒径では解像性は良好となるものの、トナー製造時の歩留まりの悪化によるコスト高の問題、又は機内でのトナー飛散、皮膚浸透などの健康への障害が生じる傾向がある。
一方、重合トナーの場合では3μm〜9μmの範囲内であることが好ましく、4μm〜8.5μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜8μmの範囲内であることが特に好ましい。体積平均粒径が4μmより小さいと、トナー流動性が低下し、各粒子の帯電性が低下しやすく、また帯電分布が広がるため、背景へのかぶり、又は現像器からのトナーこぼれ等が生じやすくなる。また4μmより小さいと、格段にクリーニング性が困難となる場合がある。体積平均粒径が9μmより大きいと、解像度が低下するため、十分な画質が得られなくなり、近年の高画質要求を満たすことが困難となる場合がある。
また、本実施形態に係る重合トナーは、下記の方法により測定される粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積及び数のそれぞれについて小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を体積D16%、累積50%となる粒径を体積D50%、累積84%となる粒径を体積D84%と定義したときに、(D84%/D16%)×1/2より算出される体積平均粒度分布指標(GSDv)は、1.15〜1.30であることが好ましく、1.15〜1.25であることがより好ましい。
トナーの粒度分布に関して、本実施形態に係るトナーの場合、例えばコールターカウンター(コールター株式会社製TA−II)による粒度測定により、2μm以下の粒子含有量が個数基準で10%〜90%であることが好ましく、12.7μm以上の粒子の含有量が体積基準で0%〜30%であることがより好ましい。
また、粒径均一性の高い(体積平均粒径/個数平均粒径が1.00〜1.30)ものが望ましい。
本実施形態に係る静電荷現像用トナーの場合、トナーの比表面積は、脱吸着ガスを窒素としたBET比表面積測定において、1.2m2/g〜5.0m2/gであることが好ましい。より好ましくは1.5m2/g〜3.0m2/gである。比表面積の測定は、例えばBET比表面積測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、FlowSorb II2300)を使用し、50℃で30分間トナー表面の吸着ガスを脱離後、液体窒素により急冷して窒素ガスを再吸着し、更に再度50℃に昇温し、このときの脱ガス量から求めた値と定義する。
本実施形態に係るトナーの場合、見かけ比重(かさ密度)は、例えばパウダーテスター(例えば、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定した。非磁性トナーの場合は0.2g/cm3〜0.6g/cm3が好ましく、磁性トナーの場合は磁性粉の種類及び含有量にもよるが0.2g/cm3〜2.0g/cm3が好ましい。
本実施形態に係るトナーの場合、非磁性トナーの場合の真比重は0.9g/cm3〜1.2g/cm3が好ましく、磁性トナーの場合は磁性粉の種類及び含有量にもよるが0.9g/cm3〜4.0g/cm3が好ましい。トナーの真比重は、次のようにして算出される。トナー1.000gを精秤し、これを10mmΦの錠剤成型器に入れ、真空下で200kgf/cm2(1961N/cm2)の圧力をかけながら圧縮成型する。この円柱状の成型物の高さをマイクロメーターで測定し、これより真比重を算出する。
トナーの流動性は、例えば、安息角測定装置(例えば、筒井理化株式会社製)による流動安息角と静止安息角により定義する。流動安息角は本実施形態に係る電荷制御剤を使用した静電荷現像用トナーの場合、5度〜45度のものが好ましい。また静止安息角は10度〜50度のものが好ましい。
本実施形態に係るトナーは、粉砕型トナーの場合の形状係数(SF−1)の平均値が100〜400が好ましく、形状係数2(SF−2)の平均値が100〜350が好ましい。
本実施形態において、トナーの形状係数を示すSF−1、SF−2とは、例えばCCDカメラを備えた光学顕微鏡(例えば、オリンパス株式会社製BH−2)を用い、1000倍に拡大したトナー粒子群を一視野に30個程度となるようサンプリングし、得られた画像を画像解析装置(例えば、ニレコ株式会社製ルーゼックスFS)に転送し、同作業をトナー粒子に対し約1000個となるまで繰り返し行い形状係数を算出した。形状係数(SF−1)と形状係数2(SF−2)はそれぞれ以下の式(4)及び(5)によって算出する。
SF−1=((ML2×π)/4A)×100 (4)
(式中、MLは粒子の最大長、Aは一粒子の投影面積を示す。)
SF−2=(PM2/4Aπ)×100 (5)
(式中、PMは粒子の周囲長、Aは一粒子の投影面積を示す。)。
SF−1は粒子の歪みを表し、粒子が球に近いものほど100に近く、細長いものであるほど数値が大きくなる。またSF−2は粒子の凹凸を表し、粒子が球に近いものほど100に近く、粒子の形が複雑であるほど数値が大きくなる。
本実施形態に係るトナーは、トナーの体積抵抗率が、非磁性トナーの場合は1×1012Ω・cm〜1×1016Ω・cmが好ましく、また磁性トナーの場合は磁性粉の種類及び含有量にもよるが、1×108Ω・cm〜1×1016Ω・cmのものが好ましい。この場合のトナーの体積抵抗率は、トナー粒子を圧縮成型し直径50mm、厚み2mmの円盤状の試験片を作製し、これを固体用電極(例えば、安藤電気株式会社製SE−70)にセットし、高絶縁抵抗計(例えば、ヒューレットパッカ−ド株式会社製4339A)を用いて、直流電圧100Vを連続印加した時の1時間経過後の値と定義する。
本実施形態に係るトナーは、トナーの誘電正接が、非磁性トナーの場合は1.0×10−3〜15.0×10−3のものが好ましく、また磁性トナーの場合は磁性粉の種類及び含有量にもよるが、2×10−3〜30×10−3のものが好ましい。この場合のトナーの誘電正接は、トナー粒子を圧縮成型し、直径50mm、厚み2mmの円盤状の試験片を作製し、これを固体用電極にセットし、LCRメーター(例えば、ヒューレットパッカ−ド株式会社製4284A)を用いて、測定周波数1kHz、ピークトゥーピーク電圧0.1kVで測定した時に得られる誘電正接値(Tanδ)と定義する。
本実施形態に係るトナーは、トナーのアイゾット衝撃値が0.1kg・cm/cm〜30kg・cm/cmであることが好ましい。この場合のトナーのアイゾット衝撃値とは、トナー粒子を熱溶融し板状の試験片を作製し、これをJIS規格K−7110(硬質プラスチックの衝撃試験法)に準じて測定する。
本実施形態に係るトナーは、トナーのメルトインデクス(MI値)が10g/10min〜150g/10minであることが好ましい。この場合のトナーのメルトインデクス(MI値)とは、JIS K−7210(A法)に準じて測定するものである。この場合、測定温度が125℃、荷重を10kgf(98N)とする。
本実施形態に係るトナーは、トナーの溶融開始温度が80℃〜180℃であることが好ましく、4mm降下温度が90℃〜220℃であることが好ましい。この場合のトナー溶融開始温度は、トナー粒子を圧縮成型し直径10mm、厚み20mmの円柱状の試験片を作製し、これを熱溶融特性測定装置、例えばフローテスター(例えば、株式会社島津製作所製CFT−500C)にセットし、荷重20kgf/cm2(196N/cm2)で測定した時の溶融が始まりピストンが降下し始める値と定義する。また同様の測定で、ピストンが4mm降下したときの温度を4mm降下温度と定義する。
本実施形態に係るトナーは、トナーのガラス転移温度(Tg)が35℃〜80℃であることが好ましく、40℃〜75℃であることがより好ましい。この場合のトナーのガラス転移温度は、示差熱分析(以後、DSCと略称する)装置を用いて測定し、一定温度で昇温後、急冷し、再昇温したときに現れる相変化のピーク値より求めるものと定義する。トナーのTgが35℃を下回ると、耐オフセット性及び保存安定性が低下する傾向にあり、80℃を超えると画像の定着強度が低下する傾向がある。
本実施形態に係るトナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて70℃〜120℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましい。
本実施形態に係るトナーは、トナーの溶融粘度が1000ポイズ〜50000ポイズであることが好ましく、1500ポイズ〜38000ポイズであることがより好ましい。この場合のトナー溶融粘度は、トナー粒子を圧縮成型し直径10mm、厚み20mmの円柱状の試験片を作製し、これを熱溶融特性測定装置、例えばフローテスター(株式会社島津製作所製CFT−500C)にセットし、荷重20kgf/cm2(196N/cm2)で測定した時の値と定義する。
本実施形態に係るトナーの溶媒溶解残分は、THF不溶分として0質量%〜30質量%、酢酸エチル不溶分として0質量%〜40質量%及びクロロホルム不溶分として0質量%〜30質量%のものが好ましい。ここでの溶媒溶解残分は、トナー1gをTHF、酢酸エチル及びクロロホルムの各溶剤100mLに均一に溶解又は分散させ、この溶液又は分散液を減圧ろ過し、ろ液を乾燥させ定量し、この値からトナー中の有機溶剤への不溶解物の割合を算出した値とする。
本実施形態に係るトナーは画像形成方法の1つである1成分現像方式に使用することができる。1成分現像方式とは、薄膜化させたトナーを潜像担持体に供給して潜像を現像する方式である。トナーの薄膜化は、通常、トナー搬送部材、トナー層厚規制部材及びトナー補給補助部材を備え、かつ該補給補助部材とトナー搬送部材並びにトナー層厚規制部材とトナー搬送部材とがそれぞれ当接している装置を用いて行われる。
本実施形態に係るトナーを2成分現像法について適用する場合について具体的に説明する。2成分現像方式とは、トナーとキャリア(帯電付与材及びトナー搬送材としての役割を持つもの)を使用する方式であり、キャリアは上述した磁性材又はガラスビーズが使用される。現像剤(トナー及びキャリア)は、攪拌部材によって攪拌される事により、所定の電荷量を発生させ、マグネットローラーなどによって現像部位にまで搬送される。マグネットローラー上では磁力により、ローラー表面に現像剤が保持され、現像剤規制板などにより適当な高さに層規制された磁気ブラシを形成する。現像剤は現像ローラーの回転に伴って、ローラー上を移動し、静電荷潜像保持体と接触又は一定の間隔で非接触状態で対向させ、潜像を現像可視化する。非接触状態での現像の場合は、通常、現像剤と潜像保持体の間に直流電界を生じさせる事によりトナーが一定間隔の空間を飛翔する駆動力を得ることができるが、より鮮明な画像に現像するために、交流を重畳させる方式にも適用することができる。
また、更に本実施形態において使用する電荷制御剤は、静電粉体塗装用塗料における電荷制御剤(電荷増強剤)としても好適である。すなわち、この電荷増強剤を用いた静電塗装用塗料は、耐環境性、保存安定性、特に熱安定性と耐久性に優れ、塗着効率が100%に達し、塗膜欠陥のない厚膜を形成することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明をなんら制限するものではない。以下の実施例及び比較例において、「部」は全て「質量部」を表す。
[実施例1]
一般式(1)で表される化合物のコーン型若しくはパーシャルコーン型などの配座異性体の純度、組成比などの分析はHPLCによって行った。HPLC測定条件は下記のとおりである。
装置:株式会社島津製作所製LC−10A、カラム:野村化学株式会社製Develosil ODS−HG−5、内径4.6、カラム長250mm、カラム温度:40℃、移動相:THF/メタノール/水/トリフルオロ酢酸=450/400/150/2(v/v/v/v)、流速:1.0mL/分、測定波長:296nm、注入量:1μL、サンプル濃度:1000mg/L。
これらの化合物の精製はカラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土等による吸着精製、溶媒による再結晶又は晶析法などによって行った。また、化合物の同定は、NMR分析によって行なった。
[合成実施例1(組成物Aの合成)]
攪拌機、冷却管および温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、一般式(1)においてR1〜R4の全てが水素原子、R5〜R6の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物45.5g、DMF70mL、THF620mL、を加え、室温で水素化ナトリウム(オイル中、60%(w/w)含有)40.4gを攪拌しながら加え、さらに0.5時間攪拌した。臭化ベンジル172gを滴下しながら加えて加熱し、還流下で2時間攪拌した。室温まで放冷した後、水100mLを加え、30分攪拌した。THFを減圧下で留去した後、水300mL、クロロホルム400mLを加え、分液操作によって有機層を採取した。有機層を希塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固することによって一般式(1)においてR1〜R4の全てがベンジル基、R5〜R8の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物の組成物Aである黄色固体68gを得た。HPLC分析の結果、組成物Aの組成比は、コーン型立体配座の配座異性体が70%、パーシャルコーン型立体配座の配座異性体が9%、1,3−オルタネート型立体配座の配座異性体が6%であった。
[実施例2]
[合成実施例2(組成物Bの合成)]
攪拌機、冷却管および温度計を備えた5Lの4つ口フラスコに、一般式(1)においてR1〜R4の全てが水素原子、R5〜R8の全てがtert−ブチル基、X1〜X4が硫黄原子である化合物100g、アセトン3L、臭化ベンジル190g、炭酸ナトリウム118gを加えて加熱し、50℃で48時間攪拌した。室温まで放冷し、濃縮することによって析出する結晶をろ過によって採取し、水で洗浄した後、クロロホルム1Lに溶解した。希塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮することによって一般式(1)においてR1とR3がベンジル基、R2とR4が水素原子、R5〜R8の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物の白色結晶Iを90g(収率73%)得た。HPLC分析の結果、syn−1,3型の立体異性体(例えば、非特許文献1参照)が97.8%であった。
得られた白色結晶IについてNMRスペクトルを測定して構造を同定した。
1H−NMR(CDCl3)で以下の60個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=0.79(18H)、1.34(18H)、5.49(4H)、6.96(4H)、7.24(2H)、7.30−7.33(4H)、7.62(4H)、7.68(4H)、7.97(2H)
得られた白色結晶I89.7g、DMF1.8Lを、攪拌機、冷却管および温度計を備えた5Lの4つ口フラスコに加え、室温で水素化ナトリウム(オイル中60%(w/w)含有)5.46gを攪拌しながら加え、さらに0.5時間攪拌した。5℃まで冷却した後、臭化ベンジル17.2gを加え、さらに4.5時間攪拌した。水2Lを滴下しながら加え、さらに0.5時間攪拌した。析出する結晶をろ過により採取し、クロロホルム3.9Lに溶解した後、希塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮することによって黄色オイル98gを得た。続いて、カラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/クロロホルム)によって精製した後、メタノールを用いた晶析を行い、さらに、メタノールを用いて洗浄した後、減圧乾燥することによって一般式(1)においてR1〜R4の1個が水素原子、残りの3個がベンジル基であって、R2の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物の白色結晶IIを54.6g(収率56%)得た。HPLC分析の結果、純度は99.4%あった。
得られた白色結晶IIについてNMRスペクトルを測定して構造を同定した。
1H−NMR(CDCl3)で以下の66個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=0.85(18H)、1.25(9H)、1.27(9H)、5.12−5.17(4H)、5.37(2H)、6.96−6.97(4H)、7.14−7.15(3H)、7.25−7.36(8H)、7.48−7.50(4H)、7.55(2H)、7.60(2H)、7.71(1H)
得られた白色結晶II50g、アセトン4L、炭酸セシウム81.8g、臭化ベンジル40.7gを攪拌機、冷却管および温度計を備えた5Lの4つ口フラスコに加え加熱し、還流下で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、析出する結晶をろ過により採取し、水で洗浄した。クロロホルムに溶解し、希塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮することによって一般式(1)においてR1〜R4の全てがベンジル基、R5〜R8の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物の組成物B54g(収率99%)を黄色オイルとして得た。HPLC分析の結果、組成物Bの組成比は、コーン型立体配座の配座異性体が13%、パーシャルコーン型立体配座の配座異性体が85%であった。
[実施例3]
[合成実施例3(コーン型の配座異性体の合成)]
実施例1で合成した組成物A68gをクロロホルム500mLに溶解し、カラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/クロロホルム)によって精製した後、メタノールを用いた晶析を行い、さらに、メタノールを用いて洗浄した後、減圧乾燥することによって一般式(1)においてR1〜R4の全てがベンジル基、R5〜R8の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物であって、コーン型立体配座の配座異性体(純度98.8%)である白色結晶III36g(収率52.8%)を得た。
得られた白色結晶IIIについてNMRスペクトルを測定して構造を同定した。
1H−NMR(CDCl3)で以下の72個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=1.06(36H)、5.24(8H)、7.16−7.18(12H)、7.22(8H)、7.47−7.48(8H)
[実施例4]
[合成実施例4(パーシャルコーン型の配座異性体の合成)]
実施例2で合成した組成物B54gをカラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/クロロホルム)によって精製した後、メタノールを用いた晶析を行い、さらに、メタノールを用いて洗浄した後、減圧乾燥することによって一般式(1)においてR1〜R4の全てがベンジル基、R5〜R8の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物であって、パーシャルコーン型立体配座の配座異性体(純度99.1%)である白色結晶IV45.2g(収率84.4%)を得た。
得られた白色結晶IVについてNMRスペクトルを測定して構造を同定した。
1H−NMR(CDCl3)で以下の72個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=0.74(9H)、0.85(18H)、1.22(9H)、4.82(2H)、4.92(2H)、5.08(2H)、5.11(2H)、6.91(2H)、7.07(3H)、7.32(15H)、7.61(2H)、7.68(4H)、7.77(2H)
[比較例1]
[比較合成例1(比較組成物Cの合成)]
攪拌機、冷却管および温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、一般式(1)においてR1〜R4の全てが水素原子、R5〜R6の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物84.0g、DMF800mL、炭酸カリウム102gを加え、これに室温下、塩化ベンジル112.3gを滴下しながら加えて加熱し、100℃で8時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応液を希塩酸3Lに加え、析出する粗晶をろ過によって採取した。水による分散洗浄、続いてメタノールによる分散洗浄を繰り返した後、乾燥することによって一般式(1)においてR1〜R4の全てがベンジル基、R5〜R8の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物の組成物Cである類白色結晶118g(収率98.2%)を得た。HPLC分析の結果、組成物Cの組成比は、コーン型立体配座の配座異性体が1%、パーシャルコーン型立体配座の配座異性体が16%、1,2−オルタネート型立体配座の配座異性体が4%、1,3−オルタネート型立体配座の配座異性体が77%であった。
[比較例2]
[比較合成例2(1,3−オルタネート型の配座異性体の合成)]
比較合成例1で合成した組成物C118gを、加熱しながらTHF600mLに溶解した後、室温まで冷却した。析出する結晶をろ過によって採取し、THFで洗浄した後、乾燥することによって一般式(1)においてR1〜R4の全てがベンジル基、R5〜R8の全てがtert−ブチル基、X1〜X4の全てが硫黄原子である化合物であって、1,3−オルタネート型の配座異性体(純度99.1%)である白色板状結晶V58.4g(収率46.3%)を得た。
得られた白色板状結晶VについてNMRスペクトルを測定して構造を同定した。
1H−NMR(CDCl3)で以下の72個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=0.84(36H)、5.07(8H)、7.01(8H)、7.06(8H)、7.14(12H)
合成実施例1〜4及び比較合成例1〜2について、各配座異性体の含有量を表1に示す。なお、表中、「モル比」とは、一般式(1)で表される化合物の4種の配座異性体のうち、コーン型立体配座及びパーシャルコーン型立体配座の配座異性体の合計を4種の配座異性体のモル数で除した値であり、下記式(6)により算出できる。
(モル比)=(コーン型立体配座の配座異性体のモル数+パーシャルコーン型立体配座の配座異性体のモル数)/(コーン型立体配座の配座異性体のモル数+パーシャルコーン型立体配座の配座異性体のモル数+1,2−オルタネート型立体配座の配座異性体のモル数+1,3−オルタネート型立体配座の配座異性体のモル数)×100(%) (6)
[実施例5]
[非磁性トナー1の製造]
スチレン−アクリレート系共重合体樹脂(三井化学株式会社製、商品名CPR−100、酸価0.1mgKOH/g)91部、組成物A1部、カーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名MA−100)5部及び低分子量ポリプロピレン(三洋化成株式会社製、商品名ビスコール550P)3部を130℃の加熱混合装置(2軸押出混練機)によって溶融混合した。冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで微粉砕し、分級して体積平均粒径9±0.5μmの非磁性トナーを得た。
[非磁性トナー1の評価]
このトナーをノンコート系のフェライトキャリア(パウダーテック株式会社製F−150)と4対100質量部(トナー:キャリア)の割合で混合振とうしてトナーを負に帯電させた後、ブローオフ粉体帯電量測定装置で温度25℃、湿度50%の雰囲気下で飽和帯電量の測定を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリアー(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても、同様に評価した。結果は表2にまとめて示した。
さらに、高温高湿下(30℃、85%RH)での環境安定性を評価した。環境安定性は高温高湿下における飽和帯電量の温度25℃、湿度50%の雰囲気下の飽和帯電量に対する低下率により以下の4段階で評価した。結果は表2にまとめて示した。
◎:安定(飽和帯電量低下率が5%未満である)
○:やや安定(飽和帯電量低下率が5%以上10%未満である)
△:やや不安定(飽和帯電量低下率が10%以上15%未満である)
×:不安定(飽和帯電量低下率が15%以上である)
[実施例6]
[非磁性トナー2の製造と評価]
実施例5の製造方法において、組成物Aを組成物Bに代え、非磁性トナー2を調製し、ブローオフ粉体帯電量測定装置で温度25℃、湿度50%の雰囲気下で飽和帯電量の測定を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリアー(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても、同様に評価した。さらに環境安定性を評価した。結果は表2にまとめて示した。
[実施例7]
[非磁性トナー3の製造と評価]
実施例5の製造方法において、組成物Aを白色結晶III(コーン型の配座異性体)に代え、非磁性トナー3を調製し、ブローオフ粉体帯電量測定装置で温度25℃、湿度50%の雰囲気下で飽和帯電量の測定を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリアー(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても、同様に評価した。さらに環境安定性を評価した。結果は表2にまとめて示した。
[実施例8]
[非磁性トナー4の製造と評価]
実施例5の製造方法において、組成物Aを白色結晶IV(パーシャルコーン型の配座異性体)に代え、非磁性トナー4を調製し、ブローオフ粉体帯電量測定装置で温度25℃、湿度50%の雰囲気下で飽和帯電量の測定を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリアー(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても、同様に評価した。さらに環境安定性を評価した。結果は表2にまとめて示した。
[比較例3]
[比較非磁性トナー1の製造と評価]
実施例5の製造方法において、組成物Aを組成物Cに代え、比較非磁性トナー1を調製し、ブローオフ粉体帯電量測定装置で温度25℃、湿度50%の雰囲気下で飽和帯電量の測定を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリアー(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても、同様に評価した。さらに環境安定性を評価した。結果は表2にまとめて示した。
[比較例4]
[比較非磁性トナー2の製造と評価]
実施例5の製造方法において、組成物Aを白色板状結晶V(1,3−オルタネート型の配座異性体)に代え、比較非磁性トナー2を調製し、ブローオフ粉体帯電量測定装置で温度25℃、湿度50%の雰囲気下で飽和帯電量の測定を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリアー(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても、同様に評価した。さらに環境安定性を評価した。結果は表2にまとめて示した。
以上の結果から明らかなように、実施例5〜8では、帯電量が高くなり、優れた環境安定性を示すことが分かった。
[実施例9]
[樹脂分散液の調製]
ポリエステル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、DIACRON ER−561)80部、酢酸エチル320部、イソプロピルアルコール32部を混合し、ホモジナイザー(株式会社美粒製、泡レスミキサー NGM−0.5TB)を用いて、5000rpm〜10000rpmで攪拌しながら0.1質量%のアンモニア水を適量滴下して転相乳化させ、さらにエバポレーターで減圧しながら脱溶剤を行って、樹脂分散液を得た。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径は0.2μmであった(樹脂粒子濃度はイオン交換水で調整して20質量%とした)。
[電荷制御剤分散液の調製]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、ソルボンT-20(東邦化学工業株式会社製)0.2部、イオン交換水17.6部を混合溶解し、さらに実施例1で合成した組成物A2.0部、ジルコニアビーズ(ビーズの粒子径0.65mmφ、15mL相当量)を加えて、ペイントコンディショナー(UNION N.J.(USA)社製、Red Devil No.5400−5L)で3時間分散させた。篩いを用いてジルコニアビーズを除き、イオン交換水で調整して10質量%の電荷制御剤分散液とした。
[重合トナーの調製]
温度計、pH計、攪拌機を備えた反応容器に前記樹脂分散液125部、20質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液1.0部、イオン交換水125部を加え、液温を30℃に制御しながら、回転数150rpmで30分撹拌した。1質量%の硝酸水溶液を添加してpHを3.0に調整し、さらに5分間撹拌した。ホモジナイザー(IKAジャパン社製、ウルトラタラックスT−25)で分散させながら、ポリ塩化アルミニウム0.125部を加え、液温を50℃まで昇温させた後、さらに30分間分散させた。前記樹脂分散液62.5部、前記電荷制御剤分散液4.0部を加えた後、1質量%の硝酸水溶液を添加してpHを3.0に調整し、さらに30分間分散した。攪拌機を用いて400rpm〜700rpmで撹拌しながら、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液8.0部を加え、トナーの体積平均粒子径が9.5μmとなるまで撹拌を継続した。液温を75℃まで昇温させた後、さらに2時間撹拌し、体積平均粒子径が6.0μmとなり、粒子形状が球形化したことを確認した後、氷水を用いて急速冷却させた。ろ過によって採取し、イオン交換水で分散洗浄を行った。分散洗浄は、分散後のろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで繰り返した。その後、40℃の乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナーを166メッシュ(目開き90μm)の篩いで篩分して評価用トナーとした。
[評価]
得られた評価用トナー2部、ノンコート系のフェライトキャリア(パウダーテック株式会社製F−150)100部の割合で混合して振とうし、トナーを負に帯電させた後、ブローオフ粉体帯電量測定装置で温度25℃、湿度50%の雰囲気下で飽和帯電量の測定を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリアー(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても、同様に評価した。さらに環境安定性を評価した。結果は表3にまとめて示した。
[実施例10]
実施例9の製造方法において、組成物Aに代えて組成物Bを用いて電荷制御剤分散液を調製した以外は、実施例9と同様の条件でトナーを作製し、飽和帯電量の測定を行った。さらに環境安定性を評価した。結果は表3にまとめて示した。
[実施例11]
実施例9の製造方法において、組成物Aに代えて白色結晶III(コーン型の配座異性体)を用いて電荷制御剤分散液を調製した以外は、実施例9と同様の条件でトナーを作製し、飽和帯電量の測定を行った。さらに環境安定性を評価した。結果は表3にまとめて示した。
[実施例12]
実施例9の製造方法において、組成物Aに代えて白色結晶IV(パーシャルコーン型の配座異性体)を用いて電荷制御剤分散液を調製した以外は、実施例9と同様の条件でトナーを作製し、飽和帯電量の測定を行った。さらに環境安定性を評価した。結果は表3にまとめて示した。
[比較例5]
実施例9の製造方法において、組成物Aに代えて組成物Cを用いて電荷制御剤分散液を調製した以外は、実施例9と同様の条件でトナーを作製し、飽和帯電量の測定を行った。さらに環境安定性を評価した。結果は表3にまとめて示した。
[比較例6]
実施例9の製造方法において、組成物Aに代えて白色板状結晶V(1,3−オルタネート型の配座異性体)を用いて電荷制御剤分散液を調製した以外は、実施例9と同様の条件でトナーを作製し、飽和帯電量の測定を行った。さらに環境安定性を評価した。結果は表3にまとめて示した。
[比較例7]
実施例9の製造方法において、電荷制御剤分散液を加える操作を省略した以外は、実施例9と同様の条件でトナーを作製し、飽和帯電量の測定を行った。結果は表3にまとめて示した。
以上の結果から明らかなように、50モル%以上がコーン型立体配座又はパーシャルコーン型立体配座の配座異性体である一般式(1)で表される化合物を有効成分として含有する電荷制御剤を用いた重合トナーでは、帯電量が高くなり、優れた環境安定性を示すことが分かった。