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JP5483695B2 - ひび割れ抑制型吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に、土木・建築業界で使用される、ひび割れ抑制型吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法に関する。
トンネル掘削等露出した地山の崩落を防止するために急結剤をコンクリートに配合した急結性吹付けコンクリートによる吹付け工法が行われている(特許文献1参照)。この工法は、通常、掘削工事現場に設置した、セメント、骨材、及び水の計量混合プラントでコンクリートを調製し、アジテータ車で運搬し、コンクリートポンプで圧送し、途中に設けた合流管で、他方から圧送した急結剤と混合し、急結性吹付コンクリートとして地山面に所定の厚みになるまで吹付ける工法である。
近年、吹付け工法に用いるコンクリートは、フライアッシュや高炉スラグといった微粉末の使用、水密性の向上や高強度化を目的として多量のセメントの使用および低水セメント比の配合を用いる場合が増加している。このようなコンクリート配合では、流動性を確保するために減水剤を併用している。吹付け施工は、ポンプ圧送や空気搬送方式でコンクリートを吹き飛ばし施工することから、流動性が高いほど圧送性は良好となり、得られる急結性吹付けコンクリートの品質も向上すると考えられる。
しかしながら、減水剤による流動性のコントロールは、少なすぎれば十分な流動性が得られず、多すぎると材料分離を起こし、ポンプ圧送性に支障がある場合や、吹き付けたコンクリートの付着性も低下させる場合があり、適度な使用範囲を見極める必要があった。
また、耐久性を維持するためには、二次覆工を施工するまでの間、または二次覆工を施工しないシングルシェル構造とする場合は、乾燥によるひび割れの発生を抑制する必要があった。
曲げじん性などの力学的性能の向上やコンクリート片のはく落防止のため、短繊維が使用されている。(特許文献2参照)。また、短繊維の使用例としては、収縮ひび割れの抑制を目的として、補修用のモルタルに使用されている(特許文献3、4参照)。
しかしながら、トンネル建設工事のように、粉じん対策として集塵設備がある場合は常に吹付け面に風が作用するような環境下となり、従来のような繊維を混入しても施工初期段階からの乾燥収縮に対するひび割れを十分に抑制することができない場合があった。
従来の繊維には、繊維径が太く1本の繊維で構成されるモノフィラメントタイプや、1本の繊維自体が100ミクロン以下と細く、接着成分によって束状にまとめられた収束タイプがある。このような繊維以外にフィブリル化した繊維も知られている(特許文献5、6参照)。特許文献5は、パルプ状多分岐極細繊維を配合した補修モルタルに関するものであり、コテ塗りを行ったときの厚付け性や抗ダレ性について記述しているが、圧縮空気を使ってコンクリートを吹き付ける施工の材料に適用したものではない。また、特許文献6は、アンカー等の素子を定着するためフィブリル化した繊維を使用し、水とセメント成分が分離するのを防止するものであるが、吹付け工法への適用についての記載はない。
特公昭60−4149号公報 特開2002−193653号公報 特開2005−82434号公報 特開2009−114002号公報 特開2003−292361号公報 特開2008−138360号公報
本発明は、急結剤を添加する前のコンクリートの材料分離抵抗性を向上させる技術に関するものである。特に、減水剤を多く使用する低水セメント比の吹付けコンクリートにおいて、高い流動性を示すコンクリートでも材料分離抵抗性を有し、良好なポンプ圧送性を実現でき、従来の高分子繊維を使用するよりも繊維使用量を低減しても、施工直後からのひび割れ抵抗性も改善できる吹付け材料および吹付け工法を提供する。
すなわち、本発明は、(1)セメント、骨材、水、フィブリル化した高分子繊維、および急結剤を含有してなる急結性吹付けコンクリートであって、フィブリル化した高分子繊維が、繊維径0.5〜20μm、繊維長4〜40mmで、急結剤を除くコンクリート1m3中0.001〜2体積%であることを特徴とするひび割れ抑制型吹付け材料、(2)減水剤を含有する(1)のひび割れ抑制型吹付け材料、(3)急結剤を除くコンクリートのスランプフローが40〜65cmである(1)又は(2)のひび割れ抑制型吹付け材料、(4)(1)〜(3)のいずれかのひび割れ抑制型吹付け材料において、急結剤を除くコンクリートを吹付け機で圧送し、吹き付ける途中で急結剤を合流混合することを特徴とする吹付け工法、である。
本発明の吹付け材料を用いることで、流動性が高いコンクリートを用いても材料分離が起きにくく、ポンプ圧送性に優れたコンクリートを得ることができ、従来の高分子繊維よりも繊維量を低減しても、急結剤を混合して吹き付けたコンクリートは施工直後からのひび割れ抵抗性を大幅に改善できる。従って、低コストで、高性能な吹付け部材を得ることが可能となる。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
本発明で使用するセメントは、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱などの各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、またはシリカを混合した各種混合セメント、ブレーン比表面積で2000cm/gを越える石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などを混合したフィラーセメント、ならびに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)などのポルトランドセメントが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上が使用可能である。
本発明で使用する骨材は、特に限定するものではなく、コンクリートの性能に悪影響を及ぼさない範囲でいずれも使用できる。例えば、川、山(陸)、海から産出する天然骨材や、人工的に製造した人工骨材、重量骨材が挙げられる。
本発明のフィブリル化した高分子繊維とは、繊維の表面から、ごく短い繊維の束(フィブリル)が出ている外部フィブリル化と繊維を構成する各膜層を緩ませて、柔らかくする内部フィブリル化によって得られる高分子繊維である。どちらのタイプも使用できるが、好ましくは、外部フィブリル化によって多分岐状とした繊維の使用が好ましい。種類としては、パルプ繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、およびポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維がある。これらを1種又は2種以上併用して使用してもよい。これらの中で、密度が小さくコンクリート圧送時の大幅な抵抗増加が起きにくいポリエチレン繊維の使用が好ましい。
フィブリル化した高分子繊維の繊維径は、0.5〜20μmが好ましい。0.5μm未満では、製造上の機械的エネルギーが大きくコスト高となり不経済であり、20μmを越えると、低添加におけるひび割れ低減効果が小さくなる場合がある。
フィブリル化した高分子繊維の繊維長は、4〜40mmが好ましい。4mm未満では、材料分離抵抗性を付与できない場合があり、40mmを越えると練混ぜ時にファイバーボールが発生しやすくなる。
フィブリル化した高分子繊維の添加量は、セメント、骨材、水、フィブリル化した高分子繊維や減水剤を含有するコンクリート(急結剤を除く)1m中0.001〜2体積%が好ましく、0.01〜1体積%がより好ましい。0.001体積%未満では、材料分離抵抗性を付与できない場合があり、2体積%を越えると、コンクリートの流動性を保持するのが困難になる場合がある。
本発明で使用する急結剤とは、セメントの凝結を促進しコンクリートに急結性を付与する作用を示すものである。一般的に市販されている急結剤が使用可能である。例えば、カルシウムアルミネート類を含有する急結剤や、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルミン酸塩を含有する急結剤や、硫酸アルミニウムを含有する急結剤である。カルシウムアルミネート類は、CaOとAlを主成分とするものであり、ナトリウム、カリウム、及びリチウム等のアルカリ金属塩が一部固溶したもの、SiOを含有するもの、SOを含有するものも含まれる。カルシウムアルミネート類、アルカリ金属アルミン酸塩、硫酸アルミニウムのいずれか含有する急結剤であることが好ましい。
本発明の急結剤の使用量は、セメント100部に対して、2〜15部が好ましく、3〜10部がより好ましい。2部未満では、十分な急結力を得ることができず、15部を超えると長期強度発現を阻害する場合がある。
本発明で使用する減水剤とは、コンクリートに流動性を付与するものであり、市販されている減水剤(AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤)であれば使用できる。
減水剤の種類としては、ポリカルボン酸系、メラミン系、ナフタレンスルホン酸系、リグニンスルホン酸系の減水剤が挙げられる。これらの中で、低添加で高い流動性を得やすいポリカルボン酸系の減水剤の使用が好ましい。
減水剤の使用量は特に限定するものではないが、急結性吹付けコンクリートの強度発現性に悪影響を与えない範囲で使用すればよい。使用する骨材やセメントによっても変化するが、概ねセメントに対して0.5〜3部の範囲で使用する。0.5部未満では、十分な流動性を得ることができない場合があり、3部を越えると強度発現性を阻害する場合がある。
本発明のコンクリートのワーカビリティーは、特に限定するものではないが、スランプフローで測定できないレベル(スランプ値で計測可)の硬さのコンクリートも使用できる。減水剤を加えて、高い流動性を出したコンクリートとしては、スランプフローで40〜65cmの範囲が好ましい。65cmを越えると、コンクリートが軟らかすぎて吹き付けたときの付着性が低下する場合がある。
本発明の吹付け方法は、特に限定するものではないが、圧送されてくるコンクリートに急結剤を吹き付け直前で合流混合して吹き付ける方法であればよい。コンクリートの圧送方式は、たとえば、練り混ぜたコンクリートをホッパーに詰め空気搬送する方式や、練り混ぜたコンクリートをホッパーに詰めピストンポンプでコンクリート圧送し、途中で圧縮空気を導入して空気搬送する方式など何れでもよい。
急結剤は、粉状および液状いずれも使用可能であり、粉状の場合は空気圧送する添加システムを用いればよく、液状の場合はプランジャー方式やピストン方式の液体圧送ポンプを使用すればよい。液状急結剤を添加する場合はコンクリートと合流する手前で圧縮空気を導入してミスト状にしてコンクリートと混合してもよい。
本発明では、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、膨張材、高分子エマルジョン、凝結調整剤、アクリル酸エステルを成分とする可塑剤、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体などの各種添加剤、セメントに加える以外の量の高炉水砕スラグ微粉末、高炉徐冷スラグ微粉末、石灰石微粉末、フライアッシュ、シリカフューム、さらに、γ−ケイ酸2カルシウム、粘土鉱物、セッコウ類などの混和材料などからなる群のうちの1種又は2種以上を、併用することが可能である。
「実験例1」
表1に示す配合のコンクリートに、表2、3に示す種類と量(体積%)の繊維を混合し、0.9mのコンクリートを製造した。このコンクリートを吹付け圧力0.4MPa、設定吐出量10m/hの条件下で、コンクリート圧送機「MKW−25SMT」によりポンプ圧送した。急結剤を合流するY字管から3m後方の位置で圧縮空気を導入してコンクリートを空気搬送した。Y字管の一方より、セメント100部に対して7部となるように急結剤を空気圧送しコンクリートに合流混合させ急結性吹付けコンクリートとして吹き付けた。急結剤添加前のコンクリートについては、スランプフローとVロートの流下時間を測定した。急結剤を添加して吹き付けた急結性コンクリートについては、圧縮強度とひび割れ抵抗性を測定した。結果を表2、3に示す。
(使用材料)
粗骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂利、表乾状態、比重2.66、最大寸法10mm
細骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂利、表乾状態、比重2.62、最大寸法5mm
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
高性能減水剤:ポリカルボン酸塩系、市販品
急結剤:カルシウムアルミネート系、市販品
繊維A:ポリエチレンフィブリル化繊維(外部フィブリル化によって多分岐状とした繊維)、三井化学社製、銘柄ケミベストFDSS−2相当品(平均繊維長を6mmに調整したもの)、繊維径5〜15μm、密度0.98g/cm
繊維B:フィブリル化していないポリエチレン繊維、東洋紡績社製、銘柄ダイニーマSK−71相当品(繊維長6mmに調整したもの)、繊維径5〜15μm、密度0.97g/cm
繊維C:フィブリル化していないビニロン繊維、クラレ社製、銘柄RECS−2、繊維長6mm、繊維径14μm、密度1.3g/cm、収束タイプ、
繊維D:繊維Cを繊維長2mmにカットした繊維、密度1.3g/cm
(測定方法)
スランプフロー:JIS A 1150に準拠した。スランプコーンを抜いたときの広がったコンクリートの直径を測定。
Vロート:JSCE−F 512−2007に準拠した。Vロートをコンクリートが通過する時間を測定。
圧縮強度:材齢24時間の圧縮強度は、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から急結性吹付けコンクリートで被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から圧縮強度を算出した。材齢28日の圧縮強度は、幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に急結性吹付けコンクリートを吹付け、採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。
ひび割れ抵抗性:コンクリート製のL型壁を利用し、厚み10cmとなるように1m程度の面積に急結性吹付けコンクリートを吹き付けた。吹付け終了直後から風速5mの風を20日間送風し、ひび割れが発生する時期を確認した。
Figure 0005483695
Figure 0005483695
Figure 0005483695
「実験例2」
表1に示す配合のコンクリートに表4に示す繊維を0.1体積%となるように混合し0.9mのコンクリートを製造した以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
(使用材料)
繊維E:ポリエチレンフィブリル化繊維(外部フィブリル化によって多分岐状とした繊維)、三井化学社製、銘柄ケミベストFDSS−2相当品(平均繊維長を2mmに調整したもの)、繊維径5〜15μm
繊維F:ポリエチレンフィブリル化繊維(外部フィブリル化によって多分岐状とした繊維)、三井化学社製、銘柄ケミベストFDSS−2相当品(平均繊維長を12mmに調整したもの)、繊維径5〜15μm
繊維G:ポリエチレンフィブリル化繊維(外部フィブリル化によって多分岐状とした繊維)、三井化学社製、銘柄ケミベストFDSS−2相当品(平均繊維長を30mmに調整したもの)、繊維径5〜15μm
繊維H:ポリエチレンフィブリル化繊維(外部フィブリル化によって多分岐状とした繊維)、三井化学社製、銘柄ケミベストFDSS−2相当品(平均繊維長を40mmに調整したもの)、繊維径5〜15μm
Figure 0005483695
本発明の吹付け材料を用いることで、流動性が高いコンクリートを用いても材料分離が起きにくく、ポンプ圧送性に優れたコンクリートを得ることができ、従来の高分子繊維よりも繊維量を低減しても、急結剤を混合して吹き付けたコンクリートは施工直後からのひび割れ抵抗性を大幅に改善できる。従って、フィブリル化されていない高分子繊維を用いてひび割れ対策を行うよりも低コストで、高性能な吹付け部材を得ることが可能となることから、土木分野でのトンネル工事において広範に使用することができる。

Claims (4)

  1. セメント、骨材、水、フィブリル化した高分子繊維、および急結剤を含有してなる急結性吹付けコンクリートであって、フィブリル化した高分子繊維が、繊維径0.5〜20μm、繊維長4〜40mmで、急結剤を除くコンクリート1m中0.001〜2体積%であることを特徴とするひび割れ抑制型吹付け材料。
  2. 減水剤を含有することを特徴とする請求項1記載のひび割れ抑制型吹付け材料。
  3. 急結剤を除くコンクリートのスランプフローが40〜65cmであることを特徴とする請求項1又は2記載のひび割れ抑制型吹付け材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のひび割れ抑制型吹付け材料において、急結剤を除くコンクリートを吹付け機で圧送し、吹き付ける途中で急結剤を合流混合することを特徴とする吹付け工法。
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