以下、本発明の一実施形態を図1〜図41に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。ところで、転写ベルト2040上でトナー画像の移動する方向は「副方向」と呼ばれ、該副方向に直交する方向(ここでは、Y軸方向)は「主方向」と呼ばれている。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
この光走査装置2010は、一例として図2及び図3に示されるように、2つの光源ユニット(LU1、LU2)、2つのシリンドリカルレンズ(121、122)、ポリゴンミラー14、2つのfθレンズ(151、152)、2つの偏光分離デバイス(161、162)、2つの反射ミラー(171、172)、複数の折り返しミラー(18a、18b1、18b2、18c1、18c2、18d)、4つのアナモフィックレンズ(19a、19b、19c、19d)及び不図示の走査制御装置を有している。そして、これらは、光学ハウジング2300(図2では図示省略、図3参照)の所定位置に組み付けられている。
光学ハウジング2300には、4つの出射窓(21a、21b、21c、21d)が設けられている。各出射窓には、ガラス製あるいは樹脂製の透明部材が取り付けられている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源ユニットLU1と光源ユニットLU2は、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。そして、光源ユニットLU1における主走査対応方向を「m1方向」とし、光源ユニットLU2における主走査対応方向を「m2方向」とする。
また、シリンドリカルレンズ121の光軸方向を「w1方向」、シリンドリカルレンズ122の光軸方向を「w2方向」とする。
光源ユニットLU1は、一例として図4に示されるように、2つの光源(10a、10b)、及び2つのコリメートレンズ(11a、11b)を有している。
光源10a及び光源10bは、いずれも同等の半導体レーザを有する光源である。そして、光源10a及び光源10bは、一例として図5に示されるように、それらの半導体レーザから出射される光束の偏光方向が互いに直交するように回路基板上に配置されている。すなわち、2つの光源のうちの一方の光源は他方の光源に対して直交する姿勢で配置されている。ここでは、光源10aからP偏光が出射され、光源10bからS偏光が出射されるものとする。
図4に戻り、コリメートレンズ11aは、光源10aから出射された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。なお、以下では、光源10aから出射された光束を光束LBaともいう。
コリメートレンズ11bは、光源10bから出射された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。なお、以下では、光源10bから出射された光束を光束LBbともいう。
光源ユニットLU2は、一例として図6に示されるように、2つの光源(10c、10d)、及び2つのコリメートレンズ(11c、11d)を有している。
光源10c及び光源10dは、いずれも同等の半導体レーザを有する光源である。そして、光源10c及び光源10dは、一例として図7に示されるように、それらの半導体レーザから出射される光束の偏光方向が互いに直交するように回路基板上に配置されている。すなわち、2つの光源のうちの一方の光源は他方の光源に対して直交する姿勢で配置されている。ここでは、光源10cからS偏光が出射され、光源10dからP偏光が出射されるものとする。
図6に戻り、コリメートレンズ11cは、光源10cから出射された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。なお、以下では、光源10cから出射された光束を光束LBcともいう。
コリメートレンズ11dは、光源10dから出射された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。なお、以下では、光源10dから出射された光束を光束LBdともいう。
図2に戻り、シリンドリカルレンズ121は、光源ユニットLU1からの各光束(LBa、LBb)を、ポリゴンミラー14の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ122は、光源ユニットLU2からの各光束(LBc、LBd)を、ポリゴンミラー14の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー14は、一例として4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー14は、Z軸方向に平行な軸回りに等速回転し、各シリンドリカルレンズからの光束をXY平面に平行な面内で等角速度的に偏向する。
ここでは、シリンドリカルレンズ121からの光束はポリゴンミラー14の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ122からの光束はポリゴンミラー14の+X側に偏向される。なお、ポリゴンミラー14の偏向反射面で偏向された光束が経時的に形成する光線束面は、「偏向面」と呼ばれている(特開平11−202252参照)。ここでは、偏向面はXY面に平行である。
fθレンズ151は、ポリゴンミラー14の−X側であって、ポリゴンミラー14で偏向されたシリンドリカルレンズ121からの光束の光路上に配置されている。
偏光分離デバイス161は、一例として図8に示されるように、ビームスプリッタ1610、及び2つの偏光子(1611、1612)を有している。
ビームスプリッタ1610は、fθレンズ151の−X側であって、fθレンズ151を介した光束(光束LBaと光束LBb)の光路上に配置されている。このビームスプリッタ1610は、入射する光束を、その偏光方向を維持した状態で、一部を透過させ、残りを反射する。
ビームスプリッタ1610は、一例として図9に示されるように、Y軸方向を長手方向とする板状のビームスプリッタであり、ガラス板あるいは透明樹脂板等の透明な基板の+X側の面にビーム分離面が形成されている。このビーム分離面は、互いに異なる屈折率を有する少なくとも2種類の誘電体膜が積層されている面、すなわち、いわゆる誘電体多層膜面である。ここでは、TaOとSiOとが交互に積層されている。
また、基板の−X側の面(ビーム分離面と反対側の面、裏面)には、反射防止膜がコーティングされている。これにより、ビーム分離面を透過した光束の一部が基板の−X側の面で反射し、不要な反射光となるのを抑制できる。
ビームスプリッタ1610は、ビーム分離面が偏向面に対して45°傾斜した状態で配置されている。
ビームスプリッタ1610に入射する光束LBaが、図10に示されている。この光束LBaは、偏向角によらずZ軸と電界ベクトルが平行な直線偏光である。光束LBaの入射面は、主光線がX軸と平行な場合、すなわち偏向角が0°の場合はZ軸に平行であるが、偏向角の絶対値が大きくなるにつれて、Z軸に対して傾斜するようになる。
入射面と平行な偏光成分はP偏光成分、これと直交する偏光成分はS偏光成分である。そこで、ビームスプリッタ1610に入射する光束LBaは、偏向角が0°のときはP偏光成分のみであるが、偏向角の絶対値が大きくなるにつれて、P偏光成分が減少し、S偏光成分が増加する。
ところで、ビームスプリッタ1610への光束の入射角は、偏向角が0°のときに45.0°、偏向角が+40°及び−40°のときに57.2°である。そこで、例えば、感光体ドラムの表面を光走査をする際の偏向角が±40°の範囲内にある場合には、偏光分離デバイス161における有効入射角範囲は45.0°〜57.2°である。
また、偏光方向がZ軸と平行であるとき、入射面と偏光方向とのなす角は、偏向角が0°のときに0°、偏向角が+40°のときに32.7°である。一方、偏光方向がZ軸に垂直であるとき、入射面と偏光方向とのなす角は、偏向角が0°のときに90°、偏向角が+40°のときに57.2°である。
以下では、便宜上、偏光方向がZ軸と平行な光束を光束Aといい、この偏光方向が入射面となす角をθ1とする。また、偏光方向がZ軸と垂直な光束を光束Bといい、この偏光方向が入射面となす角をθ2とする。
ここで、ビームスプリッタの透過率とビームスプリッタを透過した光における電界ベクトルの方向との関係、及びビームスプリッタの反射率とビームスプリッタで反射された光における電界ベクトルの方向との関係について述べる。なお、ビーム分離面でのP偏光成分の透過率をTp、P偏光成分の反射率をRp、S偏光成分の透過率をTs、S偏光成分の反射率をRsとする。また、ここでは、光学的位相差については考慮しない。
(1)TpとTsが等しい場合:
この場合は、ビームスプリッタに入射した光束は、ビームスプリッタを透過する際に、電界ベクトルの方向は変化しない。そこで、例えば、ビームスプリッタに光束Aが入射すると、ビームスプリッタを透過した光束は、Z軸方向に電界ベクトルを有する直線偏光である。
(2)TpとTsが異なる場合:
この場合は、ビームスプリッタに入射した光束は、ビームスプリッタを透過する際に、電界ベクトルの方向が回転する。極端な例として、Tsが0の場合、ビームスプリッタを透過した光束は、P偏光成分のみとなる。
(3)RpとRsが等しい場合:
この場合は、ビームスプリッタに入射した光束は、ビームスプリッタで反射される際に、電界ベクトルの方向は変化しない。
(4)RpとRsが異なる場合:
この場合は、ビームスプリッタに入射した光束は、ビームスプリッタで反射される際に、電界ベクトルの方向が回転する。
ところで、実際のビームスプリッタでは、Tp=Ts、Rp=Rsの関係がすべての入射角で成立することは困難である。
本実施形態では、ビーム分離面が偏向面に対して45°傾斜している。この場合、θ1は0°から45°までの値を、θ2は90°から45°までの値をとりうる。偏向角0°でθ1は0°、θ2は90°である。偏向角90°はありえないが、これに近い条件ではθ1、θ2とも45°に近づく。
図11には、ビームスプリッタ1610におけるTs及びTpとθ1との関係について計算した結果が示されている。そして、TsとTpの差の絶対値|Ts−Tp|は、図12に示されるように、θ1が45°に近いほど値が小さくなっている。このような、ビーム分離面の透過率の特性は、誘電体多層膜の膜厚及び屈折率を調整することで、実現することができる。
図13には、ビームスプリッタ1610におけるRs及びRpとθ2との関係について計算した結果が示されている。そして、RsとRpの差の絶対値|Rs−Rp|は、図14に示されるように、θ1が45°に近いほど値が小さくなっている。このような、ビーム分離面の反射率の特性は、誘電体多層膜の膜厚や屈折率を調整することで、実現することができる。
なお、図15に示されるように、|Ts−Tp|がθ1に対して変化せず、また、図16に示されるように、|Rs−Rp|がθ2に対して変化しない従来のビームスプリッタ(ビームスプリッタAという)を比較例とする。
図17には、ビームスプリッタ1610(実施例)及びビームスプリッタA(比較例)について、それぞれ反射光におけるゴースト光の比率(%)とθ1との関係について計算した結果が示されている。この計算では、ビームスプリッタで反射された光束の進行方向に、光束Aを遮光し、光束Bを透過させる偏光子が配置され、光束Bが信号光となる構成を想定している。この場合、偏光子からの光束Aの漏れ光がゴースト光となる。なお、P偏光とS偏光の光学的位相差は0としている。さらに、ビームスプリッタでの光吸収、及び基板の裏面での反射は考慮していない。
これによると、ビームスプリッタAでは、θ1が大きくなるにつれて、ゴースト光の比率は単調に増加している。一方、ビームスプリッタ1610では、ゴースト光の比率は、θ1が30°をこえた付近から小さくなり、ゴースト光の発生が抑制されていることがわかる。
図18は、図17における横軸をθ1から偏向角に変換したものである。実際の光走査装置では、偏向角の範囲は−40°〜+40°程度が一般的である。これによると、ビームスプリッタ1610では、偏向角が大きい高偏向角側でのゴースト光の発生が、ビームスプリッタAよりも大幅に抑えられているのが確認できる。
図19には、ビームスプリッタ1610(実施例)及びビームスプリッタA(比較例)について、それぞれ透過光におけるゴースト光の比率(%)とθ2との関係について計算した結果が示されている。この計算では、ビームスプリッタを透過した光束の進行方向に、光束Bを遮光し、光束Aを透過させる偏光子が配置され、光束Aが信号光となる構成を想定している。この場合、偏光子からの光束Bの漏れ光がゴースト光となる。なお、P偏光とS偏光の光学的位相差は0としている。さらに、ビームスプリッタでの光吸収、基板の裏面での反射は考慮していない。
これによると、ビームスプリッタAでは、θ2が大きくなるにつれて、ゴースト光の比率は単調に増加している。一方、ビームスプリッタ1610では、ゴースト光の比率は、θ2が30°をこえた付近から小さくなり、ゴースト光の発生が抑制されていることがわかる。
図20は、図19における横軸をθ2から偏向角に変換したものである。これによると、ビームスプリッタ1610では、偏向角が大きい高偏向角側でのゴースト光の発生が、ビームスプリッタAよりも大幅に抑えられているのが確認できる。
上記比較例において、|Ts−Tp|または|Rs−Rp|が、それぞれθ1、θ2に対して変化しないにもかかわらず、ゴースト光がθ1、θ2に対して変化するのは、ビーム分離面に入射するP偏光成分とS偏光成分の強度比がθ1、θ2に対応して変化するためである。例えば、光束Aが、θ1が限りなく0°に近くθ2が限りなく90°に近い状態で入射するとき、透過光はほぼP偏光成分のみでS偏光成分はほとんど含まれない。従って、|Ts−Tp|または|Rs−Rp|の大きさにかかわらず偏光回転量はきわめて小さい。一方、θ1、θ2が45°に近い条件では、射出光のP偏光成分とS偏光成分の強度比は1:1に近く、TsとTpの差またはRsとRpの差が偏光回転量に影響しやすくなる。そのためゴースト光も発生しやすくなる。
上記計算では、ビームスプリッタから出力される光束に含まれるS偏光成分とP偏光成分との間の光学的位相差が0としたが、次に、ビームスプリッタから出力される光束に含まれるS偏光成分とP偏光成分との間に光学的位相差が存在する場合について説明する。
(A)ビームスプリッタで反射された光束に含まれるS偏光成分とP偏光成分との間に光学的位相差δ(rs,rp)がある場合:
この場合に、直線偏光の光束がビームスプリッタに入射し、ビームスプリッタで反射されると、その反射された光束は楕円偏光となる。極端な例として光学的位相差の大きさが波長の1/4であり、S偏光成分とP偏光成分の強度が等しい場合は円偏光となる。
ここでは、ビームスプリッタで反射された光束に含まれる光束Aは、遮光する必要があるが、楕円偏光になっていると、遮光できない成分が含まれることとなり、それがゴースト光となる。そこで、光学的位相差についても制御する必要がある。
なお、ここでも、ビーム分離面が偏向面に対して45°傾斜しているものとする。
図21には、ビームスプリッタ1610について、|δ(rs,rp)|とθ1との関係について計算した結果が示されている。θ1が45°に近いほど|δ(rs,rp)|が小さくなっている。この光学的位相差の特性は、誘電体多層膜の膜厚及び屈折率を調整することで、実現することができる。
なお、図22に示されるように、|δ(rs,rp)|がθ1に対して変化しない従来のビームスプリッタ(ビームスプリッタBという)を比較例とする。
図23には、ビームスプリッタ1610(実施例)及びビームスプリッタB(比較例)について、それぞれ反射光におけるゴースト光の比率(%)とθ1との関係について計算した結果が示されている。この計算では、ビームスプリッタで反射された光束の進行方向に、光束Aを遮光し、光束Bを透過させる偏光子が配置され、光束Bが信号光となる構成を想定している。この場合、偏光子からの光束Aの漏れ光がゴースト光となる。また、Ts、Tp、Rs及びRpは、全て50%としている。さらにビームスプリッタでの光吸収、基板の裏面での反射は考慮していない。
これによると、ビームスプリッタBでは、θ1が大きくなるにつれて、ゴースト光の比率は単調に増加している。一方、ビームスプリッタ1610では、ゴースト光の比率は、θ1が20°をこえた付近から小さくなり、θ1が約22°以上では、ビームスプリッタBよりもゴースト光発生が抑制されていることがわかる。
図24は、図23における横軸をθ1から偏向角に変換したものである。ビームスプリッタ1610では、偏向角が大きい高偏向角側でのゴースト光の発生が、ビームスプリッタBよりも大幅に抑えられているのが確認できる。
(B)ビームスプリッタを透過した光束に含まれるS偏光成分とP偏光成分との間に光学的位相差δ(ts,tp)がある場合:
この場合に、直線偏光の光束がビームスプリッタに入射し、ビームスプリッタを透過すると、その透過した光束は楕円偏光となる。
ここでは、ビームスプリッタを透過した光束に含まれる光束Bは、遮光する必要があるが、楕円偏光になっていると、遮光できない成分が含まれることとなり、それがゴースト光となる。そこで、光学的位相差についても制御する必要がある。
なお、ここでも、ビーム分離面が偏向面に対して45°傾斜しているものとする。
図25には、ビームスプリッタ1610について、|δ(ts,tp)|とθ2との関係について計算した結果が示されている。θ2が45°に近いほど光学的位相差の大きさが小さくなっている。この光学的位相差の特性は、誘電体多層膜の膜厚及び屈折率を調整することで、実現することができる。
なお、図26に示されるように、|δ(ts,tp)|がθ2に対して変化しない従来のビームスプリッタ(ビームスプリッタCという)を比較例とする。
図27には、ビームスプリッタ1610(実施例)及びビームスプリッタC(比較例)について、それぞれ透過光におけるゴースト光の比率(%)とθ2との関係について計算した結果が示されている。この計算では、ビームスプリッタを透過した光束の進行方向に、光束Bを遮光し、光束Aを透過させる偏光子が配置され、光束Aが信号光となる構成を想定している。この場合、偏光子からの光束Bの漏れ光がゴースト光となる。また、Ts、Tp、Rs及びRpは、全て50%としている。さらにビームスプリッタでの光吸収、基板の裏面での反射は考慮していない。
これによると、ビームスプリッタCでは、θ2が大きくなるにつれて、ゴースト光の比率は単調に増加している。一方、ビームスプリッタ1610では、ゴースト光の比率は、θ2が20°をこえた付近から小さくなり、θ2が約22°以上では、ビームスプリッタCよりもゴースト光発生が抑制されていることがわかる。
図28は、図27における横軸をθ2から偏向角に変換したものである。これによると、ビームスプリッタ1610では、偏向角が大きい高偏向角側でのゴースト光の発生が、ビームスプリッタCよりも大幅に抑えられているのが確認できる。
実用的な観点からは、感光体の露光を想定した場合、ゴースト光の比率は1%以下が基準となる。ビームスプリッタ1610では、図24及び図28から明らかなように、走査光学装置における偏向角をほぼカバーする範囲(−40°〜+40°)で上記基準を満足している。
上記比較例において、δ(rs,rp)またはδ(ts,tp)が、それぞれθ1、θ2に対して変化しないにもかかわらず、ゴースト光がθ1、θ2に対して変化するのは、ビーム分離面に入射するP偏光成分とS偏光成分の強度比がθ1、θ2に対応して変化するためである。例えば、光束Aが、θ1が限りなく0°に近くθ2が限りなく90°に近い状態で入射するとき、透過光はほぼP偏光成分のみでS偏光成分はほとんど含まれない。従って、δ(rs,rp)またはδ(ts,tp)の大きさにかかわらず楕円率はきわめて小さい。一方、θ1、θ2が45°に近い条件では、射出光のP偏光成分とS偏光成分の強度比は1:1に近く、δ(rs,rp)またはδ(ts,tp)が楕円偏光化に大きく影響する。そのためゴースト光が発生しやすくなる。
ここまでの解析では、θ1、θ2が45°のときに|Ts−Tp|、|Rs−Rp|、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が最小値をとる場合についてシミュレーション結果を述べた。しかしながら、これらの最小値は、有効入射角範囲に対応して適宜変更すべきである。その場合でもθ1、θ2が45°に最も近くなる条件で最小値をとるように設計するのが望ましい。
例えば、前述のとおり実際の光走査装置では、偏向角の範囲は−40°〜+40°が一般的であり、入射角に直すと、45°から57.2°である。この場合θ1は、入射角が45°のときに0°、入射角が+57.2°のときに32.7°である。一方、θ2は、入射角が45°のときに90°、入射角が57.2°のときに57.3°である。そこでθ1=32.7°、θ2=57.3°のときに、|Ts−Tp|、|Rs−Rp|、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が最小値をとるように設計するのが好適である。
θ1については、0°から32.7°に変化するにつれ、θ2については90°から57.3°に変化するにつれ、|Ts−Tp|、|Rs−Rp|、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が小さくなるよう設計することがゴースト光を抑える上で効果的である。実用的にはこのように単調減少せずとも、傾向として小さくなるよう設計すれば十分な場合もある。
図29には、|δ(rs,rp)|とθ1との関係についての変形例が示されている。この変形例は、破線で示される上記図21の場合と異なり、位相差はθ1に対して単調減少していない。この光学的位相差の特性は、誘電体多層膜の膜厚及び屈折率を調整することで、実現することができる。
図30には、図29の変形例に対応して、反射光におけるゴースト光の比率(%)とθ1との関係について計算した結果が示されている。この計算では、ビームスプリッタで反射された光束の進行方向に、光束Aを遮光し、光束Bを透過させる偏光子が配置され、光束Bが信号光となる構成を想定している。この場合、偏光子からの光束Aの漏れ光がゴースト光となる。また、Ts、Tp、Rs及びRpは、全て50%としている。さらにビームスプリッタでの光吸収、基板の裏面での反射は考慮していない。上記図23における実施例が破線で示されている。
この場合、ゴースト光比率は、上記実施例と比較すると、θ1が0〜10°の範囲ではほとんど違いはなく、40〜45°の範囲では違いがあるものの、もともとの位相差が十分小さいため問題になるほどのゴースト光とはなっていない。
図31は、図30における横軸をθ1から偏向角に変換したものである。このように、特にθ1が0°に近い範囲、あるいは十分|Ts−Tp|、|Rs−Rp|、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が小さい範囲であれば、実用的には位相差が単調減少せずとも、傾向として小さくなるように設計すれば十分な場合もある。その場合でも少なくとも、有効入射角範囲内で、前記角度θ1及び角度θ2が45°または45°に最も近い場合の|Ts−Tp|及び|Rs−Rp|の少なくとも一方の値が、45°から最も遠い場合の値より小さいことが必要である。
ここまでは、ビームスプリッタ1610のビーム分離面が偏向面に対して45°傾斜した状態で配置されている場合について解析した。実際にはレイアウト上の都合から45°以外に配置する場合もありうる。たとえばビーム分離面を、偏向面に対して60°傾斜した状態で配置した場合、偏向角範囲を同様に−40°〜+40°とすると、入射角は30°から48.4°である。この場合θ1は、入射角が30°のときに0°、入射角が+48.4°のときに48.1°である。一方θ2は、入射角が30°のときに90°、入射角が48.4°のときに41.9°である(図32参照)。
そこで、θ1=θ2=45°のときに、|Ts−Tp|、|Rs−Rp|、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が最小値をとるように設計するのが好適である。θ1=45°のゴースト光比率は、図33の実線上の点P2に示される。また、図33では、P1位置がθ1=0°、P3位置がθ1=48.1°のゴースト光比率である。P2位置でのゴースト光が、P1位置以外では最も小さいことが確認できる。図33には、破線にて図22の位相差を用いた比較例を同時に示している。
図34は、図33における横軸をθ1から偏向角に変換したものである。
同様にビーム分離面を、偏向面に対して30°傾斜した状態で配置した場合を考える。この場合、偏向角範囲を−40°〜+40°とすると、入射角は60°から67.5°である。この場合θ1は、入射角が60°のときに0°、入射角が+67.5°のときに20.4°である。一方θ2は、入射角が60°のときに90°、入射角が67.5°のときに69.6°である(図35参照)。
そこで、θ1=20.4°、θ2=69.6°のときに、|Ts−Tp|、|Rs−Rp|、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が最小値をとるように設計するのが好適である。θ1=20.4°のゴースト光比率は、図36の実線上の点P2に示される。また、図36では、P1位置がθ1=0°のゴースト光比率である。P2位置でのゴースト光が、P1位置以外では最も小さいことが確認できる。図36には、破線にて図22の位相差を用いた比較例を同時に示している。
図37は、図36における横軸をθ1から偏向角に変換したものである。
図8に戻り、偏光子1611は、ビームスプリッタ1610の−X側であって、ビームスプリッタ1610を透過した光束の光路上に配置されている。偏光子1612は、ビームスプリッタ1610の−Z側であって、ビームスプリッタ1610で反射された光束の光路上に配置されている。
各偏光子として、ヨウ素あるいは二色性染料で染色された膜を、一軸方向に延伸して得られる一般的な偏光フィルムを使用することができる。ここでは、偏光子1611は、一例として図38に示されるように、偏光フィルム1611aが、ガラス板等の2枚の透明基板(1611b、1611c)で両側から挟み込まれた構造をしている。この場合は、波面収差特性を格段に向上させることができる。なお、より高い消光比が必要なときには、各偏光子として、ワイヤーグリッド偏光子、及び金属分散型偏光フィルム等を用いても良い。そして、偏光子1612は、偏光子1611と同様な構造をしている。
偏光子1611は、その透過軸方向がZ軸に平行となるように配置されている。そこで、一例として図39に示されるように、ビームスプリッタ1610を透過した光束LBaの大部分は、偏光子1611を透過する。一方、ビームスプリッタ1610を透過した光束LBbの大部分は、偏光子1611で遮光される。従って、偏光子1611は、ビームスプリッタ1610を透過した光束から光束LBaのみを選択的に透過させることができる。
偏光子1612は、その透過軸方向がY軸に平行となるように配置されている。そこで、一例として図39に示されるように、ビームスプリッタ1610で反射された光束LBbの大部分は、偏光子1612を透過する。一方、ビームスプリッタ1610で反射された光束LBaの大部分は、偏光子1612で遮光される。従って、偏光子1612は、ビームスプリッタ1610で反射された光束から光束LBbのみを選択的に透過させることができる。
ところで、偏光分離デバイス161は、偏光子からの反射光が多く発生するため、この反射光がノイズ光とならないようにすることが望ましい。ここでノイズ光とは、ゴースト光が所定の感光体ドラム以外の別の感光体ドラムに向かう光をさしていたのに対して、ゴースト光を含みさらに別の感光体ドラム以外の方向にも向かう光をも含んだ光のことをいう。
ノイズ光がもたらす不都合として、(1)光源に偏光分離デバイスからの反射光が到達し、光出力の不安定化を招く、(2)所定の受光部材(ここでは、感光体ドラム)以外の受光部材(ここでは、他の感光体ドラム)に、ゴースト光として光が漏れる、の2つがあげられる。(1)の対策として、偏光子から出射される有効光以外の光が光源に戻らないよう、偏光子を入射光に対して傾けて配置することが効果的である。また、(2)に対しては、偏光子から出射される有効光以外の光を遮光する遮光部材を設けるのが好ましい。
本実施形態では、一例として図40に示されるように、偏光子1611はZ軸に対して角度α傾斜して配置され、偏光子1612はX軸に対して角度β傾斜して配置されている。また偏光子1611及び1612からの反射光は、遮光部材711及び遮光部材712で吸収されるようになっている。
図3に戻り、偏光分離デバイス161を透過した光束(ここでは、光束LBa)は、折り返しミラー18a、アナモフィックレンズ19a及び出射窓21aを介して感光体ドラム2030aの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
このように、fθレンズ151と偏光分離デバイス161と折り返しミラー18aとアナモフィックレンズ19aは、「Kステーション」の走査光学系である。
一方、偏光分離デバイス161で−Z方向に反射された光束(ここでは、光束LBb)は、反射ミラー171で−X方向に反射された後、折り返しミラー18b1、折り返しミラー18b2、アナモフィックレンズ19b及び出射窓21bを介して感光体ドラム2030bの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
このように、fθレンズ151と偏光分離デバイス161と反射ミラー171と折り返しミラー18b1と折り返しミラー18b2とアナモフィックレンズ19bは、「Cステーション」の走査光学系である。
すなわち、fθレンズ151と偏光分離デバイス161は、2つの画像形成ステーションで共有されている。
図2に戻り、fθレンズ152は、ポリゴンミラー14の+X側であって、ポリゴンミラー14で偏向されたシリンドリカルレンズ122からの光束の光路上に配置されている。
偏光分離デバイス162は、一例として図41に示されるように、ビームスプリッタ1620、及び2つの偏光子(1621、1622)を有している。
ビームスプリッタ1620は、fθレンズ152の+X側であって、fθレンズ152を介した光束(光束LBcと光束LBd)の光路上に配置されている。このビームスプリッタ1620は、上記ビームスプリッタ1610と同様なビームスプリッタである。
偏光子1621はビームスプリッタ1620の+X側であって、ビームスプリッタ1620を透過した光束の光路上に配置されている。偏光子1622はビームスプリッタ1620の−Z側であって、ビームスプリッタ1620で反射された光束の光路上に配置されている。
偏光子1621は、上記偏光子1611と同様な偏光子であり、偏光子1622は、上記偏光子1612と同様な偏光子である。
そこで、偏光分離デバイス162を透過する光束は、そのほとんどが光束LBdであり、偏光分離デバイス162で反射される光束は、そのほとんどが光束LBcである。
図3に戻り、偏光分離デバイス162で−Z方向に反射された光束(ここでは、光束LBc)は、反射ミラー172で+X方向に反射された後、折り返しミラー18c1、折り返しミラー18c2、アナモフィックレンズ19c及び出射窓21cを介して感光体ドラム2030cの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
このように、fθレンズ152と偏光分離デバイス162と反射ミラー172と折り返しミラー18c1と折り返しミラー18c2とアナモフィックレンズ19cは、「Mステーション」の走査光学系である。
一方、偏光分離デバイス162を透過した光束(ここでは、光束LBd)は、折り返しミラー18d、アナモフィックレンズ19d及び出射窓21dを介して感光体ドラム2030dの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
このように、fθレンズ152と偏光分離デバイス162と折り返しミラー18dとアナモフィックレンズ19dは、「Yステーション」の走査光学系である。
すなわち、fθレンズ152と偏光分離デバイス162は、2つの画像形成ステーションで共有されている。また、各折り返しミラーは、各画像形成ステーションでの光路長が互いに等しくなるように設けられている。
本実施形態では、fθレンズは、ポリゴンミラーと偏光分離デバイスの間に設けられている。そして、2つの光路が、Z軸方向に関してほぼ重なっているため、fθレンズを2つのステーションで共用化することができる。
走査制御装置は、各光源に対応した光源制御回路を有している。そして、光源10a及び光源10bに対応した光源制御回路は、光源ユニットLU1の回路基板上に実装されている。また、光源10c及び光源10dに対応した光源制御回路は、光源ユニットLU2の回路基板上に実装されている。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る偏光分離デバイス161では、ビームスプリッタ1610によって本発明のビームスプリッタが構成され、偏光子1611によって本発明の第1の偏光子が構成され、偏光子1612によって本発明の第2の偏光子が構成されている。また、偏光分離デバイス162では、ビームスプリッタ1620によって本発明のビームスプリッタが構成され、偏光子1621によって本発明の第1の偏光子が構成され、偏光子1622によって本発明の第2の偏光子が構成されている。
そして、偏光分離デバイス161では、光束LBaが第1光束であり、光束LBbが第2光束である。また、偏光分離デバイス162では、光束LBdが第1光束であり、光束LBcが第2光束である。
以上説明したように、本実施形態に係る偏光分離デバイス161によると、光束LBa及び光束LBbがそれぞれ入射角を変化させながら入射するビーム分離面を有するビームスプリッタ1610と、ビームスプリッタ1610を透過した光束の光路上に配置され、光束LBaを透過させる偏光子1611と、ビームスプリッタ1610で反射された光束の光路上に配置され、光束LBbを透過させる偏光子1612とを備えている。
そして、ビーム分離面に入射する際の光束LBaの入射面と光束LBaの偏光方向とのなす角度θ1(0≦θ1≦90)、及びビーム分離面に入射する際の光束LBbの入射面と光束LBbの偏光方向とのなす角度θ2(0≦θ2≦90)が、45°に近いほど、ビーム分離面は、|Ts−Tp|及び|Rs−Rp|が小さい分離特性を有している。
また、ビーム分離面は、角度θ1及び角度θ2が45°に近いほど、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が小さい分離特性を有している。
この場合には、光束LBaと光束LBbの分離特性を従来よりも向上させることができる。
また、本実施形態に係る偏光分離デバイス162によると、光束LBc及び光束LBdがそれぞれ入射角を変化させながら入射するビーム分離面を有するビームスプリッタ1620と、ビームスプリッタ1620を透過した光束の光路上に配置され、光束LBdを透過させる偏光子1621と、ビームスプリッタ1620で反射された光束の光路上に配置され、光束LBcを透過させる偏光子1622とを備えている。
そして、ビーム分離面に入射する際の光束LBdの入射面と光束LBdの偏光方向とのなす角度θ1(0≦θ1≦90)、及びビーム分離面に入射する際の光束LBcの入射面と光束LBcの偏光方向とのなす角度θ2(0≦θ2≦90)が、45°に近いほど、ビーム分離面は、|Ts−Tp|及び|Rs−Rp|が小さい分離特性を有している。
また、ビーム分離面は、角度θ1及び角度θ2が45°に近いほど、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が小さい分離特性を有している。
この場合には、光束LBcと光束LBdの分離特性を従来よりも向上させることができる。
また、各ビームスプリッタ(1610、1620)は、いずれも、透明な基板を有し、ビーム分離面は、透明な基板の一側の面で、互いに異なる屈折率を有する少なくとも2種類の誘電体膜が積層されている面である。そして、透明な基板の他側の面には、反射防止膜がコーティングされている。
また、偏光子1611は、透過軸方向がZ軸方向となるように配置され、偏光子1612は、透過軸方向がY軸方向となるように配置されている。これにより、偏光子1611での透過率が最大となる直線偏光に対して、偏光子1612での透過率は最小となる。
同様に、偏光子1621は、透過軸方向がZ軸方向となるように配置され、偏光子1622は、透過軸方向がY軸方向となるように配置されている。これにより、偏光子1621での透過率が最大となる直線偏光に対して、偏光子1622での透過率は最小となる。
さらに、各偏光子は、偏光フィルムが2枚の透明基板(1611b、1611c)で両側から挟み込まれた構造をしている。
そして、本実施形態に係る光走査装置2010によると、互いに偏光方向が異なる2つの光束を出力する光源ユニット(LU1、LU2)と、光源ユニットからの各光束を偏向面内で等角速度的に偏向するポリゴンミラー14と、偏光分離デバイス(161、162)を含み、ポリゴンミラー14で偏向された各光束を偏光分離デバイスで分離し、対応する感光体ドラムの表面に個別に集光する走査光学系とを備えている。
この場合は、各偏光分離デバイスにおいて、互いに偏光方向が異なる2つの光束の分離特性が従来よりも向上しているため、ゴースト光の発生を従来よりも低減することができる。そこで、高コスト化及び大型化を招くことなく、ゴースト光の発生を安定的に抑制することが可能である。
また、fθレンズと偏光分離デバイスは、2つの画像形成ステーションで共有されているため、小型化を図ることができる。
また、各光源ユニットでは、2つの光源のうちの一方の光源が他方の光源に対して直交する姿勢で配置されているため、偏光の直交状態を得るための光学素子が不要となり低コスト化を図ることができる。
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、小型で、高品質の画像を描画することが可能となる。
なお、上記実施形態において、各光源ユニットでは、互いに直交する2つの光源を設ける代わりに、1つの光源を設け、該光源の偏光方向を時間的に切り換えても良い。この場合、光源からポリゴンミラー14にいたる光路上に、λ/2の光学的位相差をアクティブに発生させる液晶等を含む光学素子を設けると良い。これにより、光源の個数が減少し、小型化及び低コスト化を図ることができる。
また、上記実施形態では、ビーム分離面が誘電体多層膜で構成される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ビーム分離面がワイヤーグリッドで構成されても良い。但し、優れた波面収差特性を必要とする場合には、上記実施形態のように誘電体多層膜で構成するのが好ましい。
また、上記実施形態では、偏光分離デバイスのビームスプリッタが板状の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、偏光分離デバイスのビームスプリッタが、断面形状が直角二等辺三角形である三角柱状の2つの透明な部材でビーム分離面を挟み込んだキュービック構造であっても良い。但し、上記実施形態のように、基板の片面にビーム分離面を形成した構造のほうが、簡単な工程で製造できる点で有利である。
また、上記実施形態において、偏光分離デバイスのビームスプリッタでの透過光の強度と反射光の強度の差、すなわち|Ts+Tp|と|Rs+Rp|の差についても小さいことが好ましい。これにより、感光体ドラム間での光量補正が容易あるいは不要となる。
また、上記実施形態において、偏光分離デバイスを構成する偏光子を出射窓に取り付けても良い。これにより、出射窓に取り付けられる前記透明部材が不要となり、部品点数を減らすことができる。また、光源から出射され感光体ドラムに向かう光束の光路上に介在する光学素子の数を減らすことができる。さらに、走査光学系内に偏光子が配置される領域を確保する必要がなくなる。
また、上記実施形態において、偏光分離デバイスを構成する偏光子をアナモフィックレンズと一体化させても良い。この場合には、アナモフィックレンズの平面部分に偏光子を設けるのが好ましい。
また、上記実施形態では、偏光分離デバイスを構成するビームスプリッタと偏光子は、その間に他の光学素子を介在させずに配置する場合について説明したが、偏光状態を変化させることがなければ、ビームスプリッタと偏光子の間に他の光学素子を介在させても良い。
また、上記実施形態において、一例として図42に示されるように、ポリゴンミラー14とfθレンズとの間に偏光分離デバイスを配置しても良い。但し、光束LBa用のfθレンズ15aと、光束LBb用のfθレンズ15bと、光束LBc用のfθレンズ15cと、光束LBd用のfθレンズ15dが必要となる。この場合には、各fθレンズを光束の偏光状態、光路長、結像位置、走査長に適したレンズ形状とすることができる。
また、上記実施形態では、角度θ1及び角度θ2が45°に近いほど、ビーム分離面が、|Ts−Tp|及び|Rs−Rp|が小さい分離特性を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。ビーム分離面が、|Ts−Tp|及び|Rs−Rp|の少なくとも一方が小さい分離特性を有していれば良い。
また、上記実施形態では、角度θ1及び角度θ2が45°に近いほど、ビーム分離面が、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|が小さい分離特性を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。ビーム分離面が、|δ(ts,tp)|及び|δ(rs,rp)|の少なくとも一方が小さい分離特性を有していれば良い。
また、上記実施形態では、各光源が1つの発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各光源が複数の半導体レーザを有しても良い。また、各光源が複数の発光部を持つ半導体レーザアレイを有しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として4つの感光体ドラムを有するカラープリンタ2000について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、2つの感光体ドラムを有するプリンタであっても良い。この場合には、1つの光源ユニットが用いられることとなる。