JP5314129B2 - 音響再生装置及び音響再生方法 - Google Patents
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Description
本発明は、マルチチャンネルのオーディオ信号の再生技術に関する発明である。
デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)や、デジタルテレビ放送などで提供されるマルチチャンネルオーディオ信号は、各チャンネルのオーディオ信号が複数のスピーカーから出力されることで、受聴者が受聴できる。このように、スピーカーから再生された再生音を聴取できる空間は、受聴空間と呼ばれる。
マルチチャンネルオーディオ信号の各チャンネルのオーディオ信号を受聴空間の所定の位置に配置する複数のスピーカーから出力することで、立体感のある音響再生を実現することができる。しかしながら、受聴空間の制約により所定の位置にスピーカーを配置できない場合があり、このような場合でも立体感のある音響再生を実現する様々な音響再生方法が提案されている。
従来提案されている方法の一つとして、受聴者が受聴する位置である受聴位置に対して前方に割り当てられるチャンネルのオーディオ信号を、受聴位置に対して前方に配置するスピーカーから出力するとともに、受聴位置後方に割り当てられるオーディオ信号を、受聴者の耳元の近傍の両耳部もしくは頭部で支持するヘッドホンから出力する方法がある。ただし、ここで使用するヘッドホンは、ヘッドホン自体から出力されるオーディオ信号と同時に、前方に配置するスピーカーから出力されるオーディオ信号を受聴することが可能な開放型のヘッドホンである。あるいは、同様に受聴者の耳元に近接して配置されるスピーカーや音響デバイスであってもよい。このようにして、所定の位置にスピーカーを配置することができない限られた受聴空間でもマルチチャンネルオーディオ信号の受聴を可能にする音響再生方法がある。
上述する構成を用いた従来の音響再生方法の一例として、(特許文献1)に記載された多次元立体音場再生装置があり、図1にその構成図を示す。ここで示される多次元立体音場再生装置は、上述したように、前方に割り当てられるオーディオ信号FL、FRを、前方に配置するスピーカー5、6から出力すると同時に、後方に割り当てられるオーディオ信号SL、SRを耳元の近傍に配置するヘッドホン7、8から出力する。さらに、後方に割り当てられるオーディオ信号SL、SRに対し、再生信号生成手段において所望の遅延処理や位相調整処理、極性切替処理を施すことで、ヘッドホンを用いたことによる受聴者の頭内に音像が定位する知覚現象を緩和し、受聴者の頭部周囲の広がり感を増大するようにしている。
しかしながら、これまでの従来技術の立体音場再生装置では、受聴空間に定位する音像に関わらず、受聴位置後方に割り当てられるオーディオ信号のみを耳元の近傍に配置するヘッドホンから出力していた。そのため、前後の所定の位置に配置したスピーカーから出力することで得られる、音像の受聴空間における遠近感や移動感、前後方向にわたる音場の広がり感といった立体感が得られ難いという課題がある。
従って本発明の目的は、受聴空間の前後方向の遠近感や移動感、音場の広がり感を向上した音響再生装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、本発明の音響再生装置は、受聴空間のあらかじめ定められた複数の標準位置に複数のスピーカーを配置し、配置された前記複数のスピーカーを用いて再生されることを前提とした前記各スピーカーに対応するマルチチャンネルの入力オーディオ信号を、受聴位置の前方に配置されるスピーカーであって前方の前記標準位置に配置される前方スピーカーと、前記受聴位置の近傍に配置されるスピーカーであって前記標準位置のいずれにも該当しない位置に配置される耳元再生スピーカーとを用いて再生する音響再生装置であって、前記入力オーディオ信号が前記複数の標準位置に配置される前記複数のスピーカーを用いて再生したものと仮定した場合に受聴空間に音像が定位するか否かを前記入力オーディオ信号から推定する定位音源推定部と、前記定位音源推定部によって前記音像が定位すると推定された場合、定位する前記音像を表す信号である定位音源信号を算出し、前記各入力オーディオ信号に含まれる信号成分であって受聴空間における前記音像の定位に寄与しない信号成分である非定位音源信号を前記各入力オーディオ信号から分離する音源信号分離部と、前記定位音源信号で表される前記音像の定位位置を表すパラメータを、前記定位音源信号から算出する音源位置パラメータ算出部と、前記定位位置を表すパラメータを用いて、前記定位音源信号を、前記前方スピーカーと前記耳元再生スピーカーとのそれぞれに対して配分し、前記前方スピーカーに対して配分された前記定位音源信号と、前記前方の標準位置に配置されるスピーカーで再生されるべき入力オーディオ信号から分離された前記非定位音源信号とを合成して前記前方スピーカーに対して供給する再生信号を生成し、前記耳元再生スピーカーに対して配分された前記定位音源信号と、後方の前記標準位置に配置されるスピーカーで再生されるべき入力オーディオ信号から分離された前記非定位音源信号とを合成して前記耳元再生スピーカーに対して供給する再生信号を生成する再生信号生成部とを備える。
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
上記構成により本発明の音響再生装置は、受聴空間に音像を定位する定位音源信号を推定するとともに、受聴空間における音源位置パラメータを算出し、これにもとづいて前方に配置するスピーカーおよび耳元の近傍に配置するヘッドホンのそれぞれのチャンネルにエネルギーを配分するように定位音源信号を割り当てることにより、受聴空間の左右方向だけでなく、前後方向の遠近感や移動感、音場の広がり感を向上することができる。
このような構成により、本発明の音響再生装置は、従来技術と同様にスピーカーおよびヘッドホンのような耳元再生スピーカーを配置する構成としながら、受聴空間に定位する音像から左右方向だけではなく、前後方向の立体感も表すことができる再生信号を生成することができ、効果的な立体感を再現することができる音響再生装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態)
図2は、本発明の実施の形態における音響再生装置10の外観を示す図である。図2に示すように、本実施の形態の音響再生装置10の典型例は、マルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオアンプ、または、マルチチャンネルオーディオ信号を含んだコンテンツを再生するDVDシステムあるいはTVシステムにおいて前記オーディオアンプの機能を備えたセットトップボックスなどである。このDVDシステムあるいはTVシステムは、受聴位置に対して前方に配置される左のスピーカー5、右のスピーカー6と、受聴者の耳元の近傍に配置される図示しないヘッドホンの左右のスピーカーとからなる4つのスピーカーを備える。音響再生装置10は、規格で定められた位置に配置されることを想定した4つのスピーカーに割り当てられる入力オーディオ信号を、上記DVDシステムあるいはTVシステムの前方スピーカーとヘッドホンとからなる4つの各スピーカーに割り当て直し、4つのスピーカーが想定された本来の位置に配置されている場合と同様の臨場感で再生されるようにする、すなわち、同様の音像が定位するように再生させる装置である。図3は、本発明の実施の形態における音響再生装置10の構成図である。図3に示すように、音響再生装置10は、定位音源推定部1、音源信号分離部2、音源位置パラメータ算出部3、再生信号生成部4、スピーカー5、スピーカー6、ヘッドホン7およびヘッドホン8を備える。
図2は、本発明の実施の形態における音響再生装置10の外観を示す図である。図2に示すように、本実施の形態の音響再生装置10の典型例は、マルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオアンプ、または、マルチチャンネルオーディオ信号を含んだコンテンツを再生するDVDシステムあるいはTVシステムにおいて前記オーディオアンプの機能を備えたセットトップボックスなどである。このDVDシステムあるいはTVシステムは、受聴位置に対して前方に配置される左のスピーカー5、右のスピーカー6と、受聴者の耳元の近傍に配置される図示しないヘッドホンの左右のスピーカーとからなる4つのスピーカーを備える。音響再生装置10は、規格で定められた位置に配置されることを想定した4つのスピーカーに割り当てられる入力オーディオ信号を、上記DVDシステムあるいはTVシステムの前方スピーカーとヘッドホンとからなる4つの各スピーカーに割り当て直し、4つのスピーカーが想定された本来の位置に配置されている場合と同様の臨場感で再生されるようにする、すなわち、同様の音像が定位するように再生させる装置である。図3は、本発明の実施の形態における音響再生装置10の構成図である。図3に示すように、音響再生装置10は、定位音源推定部1、音源信号分離部2、音源位置パラメータ算出部3、再生信号生成部4、スピーカー5、スピーカー6、ヘッドホン7およびヘッドホン8を備える。
図3において、4チャンネルの入力オーディオ信号FL、FR、SL、SRは、定位音源推定部1と音源信号分離部2とに入力される。この入力オーディオ信号は、複数のチャンネルに対するオーディオ信号が含まれたマルチチャンネルのオーディオ信号である。
定位音源推定部1は、受聴空間に音像を定位する定位音源信号を4チャンネルの入力オーディオ信号FL、FR、SL、SRから推定する。
定位音源推定部1により、定位音源信号の有無を推定した結果は、音源信号分離部2、音源位置パラメータ算出部3に出力される。
音源信号分離部2は、定位音源推定部1による推定結果をもとに入力オーディオ信号から定位音源信号の信号成分を算出する。さらに、定位音源信号と、音像を定位しない非定位音源信号とを入力オーディオ信号から分離する。
音源位置パラメータ算出部3は、音源信号分離部2により分離された定位音源信号と非定位音源信号とから、受聴位置に対する受聴空間における定位音源信号の位置を表す音源位置パラメータを算出する。以下では、音源位置パラメータとして、受聴位置から定位音源信号までの距離と、受聴者の正面に対して定位音源信号の位置がなす角とを用いて説明するが、パラメータは距離と角度とに限定されない。それ以外にも、定位音源信号の位置を数学的に表現できるものであれば、ベクトルを用いて表現してもよいし、座標を用いて表現してもよい。
再生信号生成部4は、音源位置パラメータにもとづいて受聴位置に対して前方に配置するスピーカー5、スピーカー6と受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホン7、ヘッドホン8に定位音源信号を配分するとともに、分離した非定位音源信号と合成して再生信号を生成するものである。
スピーカー5およびスピーカー6は受聴位置に対して前方の左右に配置される。
ヘッドホン7およびヘッドホン8は受聴者の耳元の近傍の左右に配置され、本発明の耳元再生スピーカーの例である。ただし、ここで使用するヘッドホンは、ヘッドホン自体から出力されるオーディオ信号と同時に、前方に配置するスピーカーから出力されるオーディオ信号も受聴することが可能な開放型のヘッドホンとする。耳元再生スピーカーは、受聴者の耳元付近で再生音を出力する再生装置であり、ヘッドホンに限られることなく、受聴者の耳元に近接して配置されるスピーカーや音響デバイス等であってもよい。
以上のように構成された音響再生装置10は、入力オーディオ信号がすべて、標準位置に配置されるスピーカーを用いて再生したものと仮定した場合において、受聴空間に音像が定位するか否かを入力オーディオ信号とスピーカーの位置とから推定する定位音源推定部1と、受聴空間に定位した音像を表す定位音源信号と、受聴空間における音像定位に寄与しない入力オーディオ信号の信号成分である非定位音源信号とを入力オーディオ信号から分離する音源信号分離部2と、定位音源信号の定位する位置を表すパラメータを定位音源信号から算出する音源位置パラメータ算出部3と、定位する位置を表すパラメータにもとづいて定位音源信号をスピーカー5、スピーカー6、耳元再生スピーカーの一例であるヘッドホン7、ヘッドホン8に対して配分し、さらに、非定位音源信号とを合成して、スピーカー5、スピーカー6、ヘッドホン7、ヘッドホン8に対して供給する再生信号を再生信号生成部4により生成する。
以下の説明では、入力オーディオ信号は複数のチャンネルが入力されるマルチチャンネルであり、受聴位置に対して前方の左右と、受聴位置に対して後方の左右に割り当てられる4チャンネルで構成される場合を例に説明する。
入力オーディオ信号は、それぞれのチャンネルについて、時系列のオーディオ信号で表す。受聴位置に対して前方の左側となるチャンネルの信号をFL(i)、右側となるチャンネルの信号をFR(i)、受聴位置に対して後方の左側となるチャンネルの信号をSL(i)、右側となるチャンネルの信号をSR(i)で表す。
また、受聴位置に対して前方の左側に配置するスピーカー5へ供給する再生信号をSPL(i)、右側に配置するスピーカー6へ供給する再生信号をSPR(i)で表す。受聴者の耳元の近傍の左側に配置するヘッドホン7へ供給する再生信号をHPL(i)、右側に配置するヘッドホン8へ供給する再生信号をHPR(i)で表すものとする。
ここで、iは時系列のサンプルインデックスを表し、それぞれの再生信号の生成に関わる処理は所定の時間間隔のN個のサンプルからなるフレームを単位として施し、フレーム内のサンプルインデックスiを(0≦i<N)の正整数で表すものとする。なお、フレームの長さは、例えば、20m秒とする。なお、音響再生装置10において、1フレームをMPEG−2 AACの規格で定められたフレーム長、具体的には、サンプリング周波数44.1kHzでサンプリングされた1024サンプルとしておけば、音響再生装置10の前段でMPEG−2 AACを用いて符号化されたオーディオ信号を復号化し、音響再生装置10を用いて再生する場合に、信号処理の単位を変更する必要がなく処理負荷を低減できるという利点がある。また、このフレーム長は、場合に応じて、サンプリング周波数(44.1kHz)でサンプリングされた256サンプルを1フレームとしてもよいし、さらに独自に定めた長さを単位として1フレームと定めてもよい。
図4は、受聴位置に対して正面を角度の基準として、それぞれのチャンネルの入力オーディオ信号が割り当てられる配置を示す説明図である。図4において、チャンネルごとの入力オーディオ信号をFL、FR、SL、SRで示し、受聴位置に対して正面である角度の基準からの角度をそれぞれα、β、δ、εで示す。一般の再生環境では、入力オーディオ信号のうち対となるチャンネルのオーディオ信号FLとオーディオ信号FR、ならびにチャンネルの信号SLとチャンネルSRは角度の基準となる方向の延長線を対称軸として対称に配置するため、βは(−α)と等しく、εは(−δ)と等しい角度となる。
続いて、図3に示す本発明の実施の形態における音響再生装置10の詳細な動作について説明する。
定位音源推定部1は、マルチチャンネルの入力オーディオ信号のうちの一組の対となる2チャンネルのオーディオ信号から受聴空間に音像を定位する定位音源信号を推定する。
この動作の一例として、受聴位置に対して前方の左右に割り当てられるオーディオ信号の一組の対であるチャンネルのオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)から定位音源信号X(i)を推定する場合について示す。
オーディオ信号の2つのチャンネル間に相関の強い信号成分があるとき、この2つのオーディオ信号によって受聴空間に定位する音像が知覚される。定位音源推定部1は時系列のオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)の間の相関を表す相関係数C1を(式1)により算出する。続いて、定位音源推定部1は、算出した相関係数C1の値を所定の閾値TH1と比較し、相関係数C1が閾値TH1を超える場合には定位音源信号が存在するものと判定し、逆に相関係数C1が閾値TH1以下の場合は定位音源信号が存在しないと判定する。
ここで、(式1)により算出する相関係数C1は、(式2)に示す範囲の値となる。相関係数C1が1となる場合には、オーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)との間の相関が最も強く、オーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)は同相の同一信号である。また、相関係数C1は、0に近づいて小さくなるにしたがって、オーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)との間の相関は弱くなり、0となる場合はオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)との間には相関が全くない。
定位音源信号X(i)を推定する方法として、(式3)に示す条件で設定する所定の閾値TH1と、(式1)により算出する相関係数C1とを比較することで判定する。なお、相関係数C1が負の値の場合においても、0に近い値では正の場合と同様にオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)との間の相関は弱く、やはり定位音源信号は存在しないと判定する。相関係数C1が−1に近づくにしたがってオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)とは逆の相関が強くなり、相関係数C1が−1となる場合はオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)とは位相が反転しており、オーディオ信号FL(i)はオーディオ信号FR(i)の逆相のオーディオ信号(−FR(i))であることを示す。ただし、このように互いに逆相の信号が対となることは一般にはほとんどない条件である。本発明の実施の形態の音響再生装置10における音源信号推定部では、逆相の定位音源信号は存在しないものと判定する。
図5は、定位音源推定部1においてオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)とから算出する相関係数C1の値と、算出した相関係数C1と閾値TH1の比較にもとづいて定位音源信号X(i)の有無を判定する動作を示す説明図である。
図5(A)はオーディオ信号FL(i)の時系列の信号波形を、図5(B)はオーディオ信号FR(i)の時系列の信号波形を示す。横軸には時間を、縦軸には信号振幅を示す。
また、図5(C)は、定位音源推定部1において、(式1)によりフレームごとに算出する相関係数C1の値を示す。横軸には時間軸を、縦軸には算出する相関係数C1の値を示す。
本発明の実施の形態では、定位音源信号の有無を判定するための閾値TH1を0.5として説明する。閾値TH1が0.5である位置を図5(C)に破線で示す。
図5に示す例では、フレーム1およびフレーム2では、相関係数C1が閾値TH1以下であるので、定位音源信号X(i)が存在しないものと判定する。フレーム3およびフレーム4では閾値TH1を超えるため、定位音源信号X(i)が存在するものと判定する。
ただし、一組のオーディオ信号のいずれか一方のチャンネルが0である場合や、一方のチャンネルのエネルギーが他方に対して十分大きくなる場合には、一方のチャンネルのみで受聴空間に定位する音像が知覚される。このことから、(式4)に示すように、オーディオ信号FL(i)が0で、かつオーディオ信号FR(i)が0でない場合、またはオーディオ信号FR(i)が0で、かつオーディオ信号FL(i)が0でない場合には、0でない方のチャンネルのオーディオ信号FL(i)、またはオーディオ信号FR(i)を定位音源信号X(i)と見なすことができるため、定位音源信号X(i)が存在すると判定する。
また、(式5)に示すように、オーディオ信号FL(i)、またはオーディオ信号FR(i)のいずれか一方のエネルギーが、他方に対して十分に大きな値となる場合についても、エネルギーの大きいオーディオ信号を定位音源信号X(i)と見なすことができるため、定位音源信号X(i)が存在すると判定する。一例として、TH2を0.001と設定すると、エネルギー差は(−20log(TH2))で表されるため、(式5)においてオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)の間に60[dB]以上のエネルギー差があることを示す。
このように、定位音源推定部1は、入力オーディオ信号のうち、一組の対となる2つのチャンネルのオーディオ信号から定位音源信号を推定するように構成しても構わない。
次に、音源信号分離部2の動作について説明する。
音源信号分離部2は、定位音源推定部1で定位音源信号が存在すると判定された場合に、入力オーディオ信号を構成する各チャンネルのオーディオ信号に含まれる定位音源信号の信号成分を算出するとともに、受聴空間に音像を定位しない非定位音源信号を分離する。
一例として、オーディオ信号FL(i)およびオーディオ信号FR(i)に含まれる定位音源信号X(i)の信号成分X0(i)およびX1(i)を算出し、非定位音源信号FLa(i)およびFRa(i)を分離する場合を示す。
ここで、定位音源信号X(i)の成分のうち、オーディオ信号FL(i)の角度の方向の成分が信号成分X0(i)、オーディオ信号FR(i)の角度の方向の成分が信号成分X1(i)である。
ここで、定位音源推定部1で受聴空間に音像が定位すると判定された場合には、2つのオーディオ信号の間の相関が強く、同相の信号成分が含まれることを表す。一般に2つのオーディオ信号の同相の信号は和信号((FL(i)+FR(i))/2)によって得られるため、定数をaとすれば、オーディオ信号FL(i)に含まれる同相の信号成分X0(i)は、(式6)で示される。
例えば、(式7)で示されるオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)に同相の信号成分を表す和信号((FL(i)+FR(i))/2)と、オーディオ信号FL(i)との間の残差の総和Δ(L)を最小にするように定数aを算出する。そして、この定数aを用いて(式6)で示される信号成分X0(i)を定める。
さらに、オーディオ信号FL(i)と信号成分X0(i)のエネルギーの比にもとづいて、例えば(式8)に示す信号FLa(i)を受聴空間に音像を定位しない非定位音源信号として分離する。
また、同様にして、オーディオ信号FR(i)に含まれる定位音源信号X(i)の信号成分X1(i)についても、和信号((FL(i)+FR(i))/2)と、オーディオ信号FR(i)との間の残差の総和を最小にすることと、オーディオ信号FR(i)と信号成分X1(i)のエネルギーの比にもとづいて、非定位音源信号FRb(i)を分離することができる。すなわち、定数をbとすれば、オーディオ信号FR(i)に含まれる同相の信号成分X1(i)は、(式9)で示される。定数bの値は、(式10)の式から、和信号((FL(i)+FR(i))/2)と、オーディオ信号FR(i)との間の残差の総和Δ(R)を最小にするように算出される。非定位音源信号FRb(i)は、(式11)に示すように、オーディオ信号FR(i)と信号成分X1(i)のエネルギーの比にもとづいて、オーディオ信号FR(i)から分離される。
このようにして算出する定位音源信号X(i)の信号成分X0(i)およびX1(i)の受聴空間における関係を図6に示す。
図6において、FLおよびFRは、受聴空間に割り当てられるオーディオ信号FL(i)およびオーディオ信号FR(i)の方向を示す。受聴位置に対して正面を角度の基準として、オーディオ信号FLは左側に角度αで割り当てられており、オーディオ信号FRは右側に角度βで割り当てられる。X0およびX1は、信号成分X0(i)およびX1(i)のそれぞれのエネルギーを大きさとし、受聴位置からみた信号の到来方向を指すベクトルを示す。なお、定位音源信号X(i)の信号成分X0(i)およびX1(i)は、それぞれオーディオ信号FL(i)およびFR(i)に含まれる信号成分であるため、信号成分X0および信号成分X1の角度は、それぞれオーディオ信号FLおよびオーディオ信号FRと同一である。
このように、音源信号分離部2は、一つの組となる2つのチャンネルのオーディオ信号FL(i)とFR(i)の和信号と、この一つの組の一つのオーディオ信号FL(i)との間の誤差の二乗和を最小にすることで定位音源信号を分離するように構成しても構わない。オーディオ信号FL(i)とFR(i)の和信号と、オーディオ信号FR(i)との間の誤差の二乗和を最小にするように定位音源信号を分離しても構わない。
次に、音源位置パラメータ算出部3の動作について説明する。
音源位置パラメータ算出部3は、音源信号分離部2で分離される定位音源信号の信号成分にもとづいて、定位音源信号の位置を示す音源位置パラメータとして、定位音源信号の到来方向を指す方向ベクトルの角度と、受聴位置から定位音源信号までの距離を導くためのエネルギーを算出する。
定位音源信号X(i)の到来方向は、図6に示す2つの信号成分を示すベクトルX0およびX1の開き角と、それぞれの信号振幅からベクトルの合成で得られるため、定位音源信号X(i)を示すベクトルXの到来方向を指す角度をγとすると、(式12)の関係式が成り立つ。
なお、FLおよびFRを受聴位置に対して正面を基準として左右の等角度に配置するとき、すなわちβが(−α)であるとき、(式12)は(式13)のように表すことができる。
(式13)によれば、信号成分X0の信号振幅が信号成分X1より大きい場合は、γが正の値となり、受聴位置に対して前方の左に配置するスピーカー5に近い方向に音像が定位することを示す。逆に信号成分X1の信号振幅が信号成分X0より大きい場合は、γが負の値となり、受聴位置に対して前方の右に配置するスピーカー6に近い方向に音像が定位することを示す。また、信号成分X0と信号成分X1の信号振幅が等しい場合は、γが0となり、前方の左右に配置する2つのスピーカーから等距離の受聴位置正面の方向に音像が定位することを示す。
さらに、定位音源信号X(i)は、定位音源推定部1と音源信号分離部2の動作で説明したように、オーディオ信号FLおよびオーディオ信号FRに含まれる同相の信号成分X0(i)および信号成分X1(i)の合成であり、(式14)に示すようにエネルギーを保存する関係が成り立つ。これにより、(式14)を用いて、定位音源信号X(i)のエネルギーLを算出することができる。
次に、定位音源信号X(i)のエネルギーと、受聴位置から定位音源信号X(i)までの距離の関係を説明する。ここで、例えば定位音源信号を十分に小さい点音源と仮定すると、点音源から受聴位置までの距離とエネルギーとの間に、(式15)の関係式が成り立つ。(式15)において、R0は点音源からの基準距離を、Rは点音源からの別の受聴位置の距離を、L0は基準距離におけるエネルギーを、Lは受聴位置における定位音源信号のエネルギーをそれぞれ示す。
(式15)は、受聴位置を固定した2つの異なる点音源の一方を基準距離R0とし、他方の受聴位置までの距離をRとして適用すると、受聴位置からの基準距離R0と基準距離におけるエネルギーL0を所定の定数とすることにより、受聴位置から定位音源信号X(i)の定位位置までの距離Rを、エネルギーLにもとづいて算出することができる。ここで例えば、受聴位置からの基準距離R0を1.0[m]とし、基準距離におけるエネルギーを−20[dB]とする。
以上のようにして、音源位置パラメータ算出部3は、定位音源信号X(i)の位置を表すパラメータとして、定位音源信号X(i)の到来方向を示す角度γと、受聴位置から定位音源信号X(i)までの距離Rとを算出する。
なお、上述した定位音源推定部1、音源信号分離部2、および音源位置パラメータ算出部3の動作の説明では、オーディオ信号FL(i)とFR(i)とから、定位音源信号X(i)を推定し、その信号成分X0(i)とX1(i)とを算出し、非定位音源信号FLa(i)およびFRb(i)を分離し、定位音源信号X(i)の音源位置パラメータを算出する場合について説明したが、マルチチャンネルの入力オーディオ信号の他のいずれかのチャンネルの組み合わせにおいても、定位音源信号の推定と、信号成分の算出と非定位音源信号の分離、音源位置パラメータの算出をも同様にして行うことができる。
すなわち、定位音源推定部1は、オーディオ信号SL(i)とSR(i)とから音像が定位するか否かを判定し、音像が定位するフレームごとに定位音源信号Y(i)を推定し、非定位音源信号SLa(i)およびSRb(i)を分離する。具体的には、既出の(式1)〜(式14)の各数式において、各変数を適切に置き替えることによって、上述のオーディオ信号FL(i)とFR(i)とについてすでに説明した方法と同様にして、定位音源信号Y(i)を推定し、その信号成分Y0(i)とY1(i)とを算出し、非定位音源信号SLa(i)およびSRb(i)を分離することができる。
以下では、(式1)〜(式14)の各数式において、オーディオ信号FL(i)をオーディオ信号SL(i)に、オーディオ信号FR(i)をオーディオ信号SR(i)に、定位音源信号X(i)を定位音源信号Y(i)に、信号成分X0(i)を信号成分Y0(i)に、信号成分X1(i)を信号成分Y1(i)に、角度αを角度δに、角度βを角度εに、角度γを角度λに、非定位音源信号FLa(i)を非定位音源信号SLa(i)に、非定位音源信号FRbを非定位音源信号SRb(i)に、それぞれ置き替える。これにより、以下の(式16)〜(式27)が得られる。
まず、定位音源推定部1は、(式16)を用いてフレームごとに、オーディオ信号SL(i)とSR(i)との間の相関を表す相関係数C1を算出し、次いで、算出した相関係数C1が閾値TH1を超えるか否かを調べ、相関係数C1が閾値TH1を超えるフレームでは定位音源信号Y(i)が存在するものと判定する。定位音源推定部1によって定位音源信号Y(i)が存在すると判定された場合、音源信号分離部2は、(式18)を用いて、Δ(L)の値を最小にする定数aを算出する。次いで、算出したaを(式17)に代入して、定位音源信号Y(i)のオーディオ信号SL(i)に含まれる信号成分Y0(i)を算出する。
さらに、音源信号分離部2は、算出された信号成分Y0(i)と、オーディオ信号SL(i)とを(式19)に当てはめることによって非定位音源信号SLa(i)を算出し、オーディオ信号SL(i)から分離する。
同様にして、音源信号分離部2は、(式21)を用いて、Δ(R)の値を最小にする定数bの値を算出する。次いで、算出したbを(式20)に代入して、定位音源信号Y(i)のオーディオ信号SR(i)に含まれる信号成分Y1(i)を算出する。
音源信号分離部2は、算出された信号成分Y1(i)と、オーディオ信号SR(i)とを(式22)に当てはめることによって非定位音源信号SRb(i)を算出し、オーディオ信号SR(i)から分離する。
図7は、受聴位置に対して後方の左右の所定位置に配置されるスピーカーに割り当てられるオーディオ信号SL(i)とSR(i)とから定位音源信号Y(i)を推定し、音源信号分離部2で信号成分Y0(i)とY1(i)を算出する場合の、受聴空間における定位音源信号Y(i)と信号成分Y0(i)、Y1(i)の関係を示す説明図である。
図7において、SLおよびSRは、受聴空間に割り当てられるオーディオ信号SL(i)およびSR(i)の受聴位置からの方向を示し、受聴位置に対して正面を角度の基準として、SLは左側に角度δで割り当てられ、SRは右側に角度εで割り当てられる。Y0およびY1は、信号成分Y0(i)およびY1(i)のそれぞれのエネルギーを大きさとし、信号の到来方向を指すベクトルを示す。また、定位音源信号Y(i)の到来方向を示すベクトルYは信号成分Y0およびY1のベクトルの合成で得られ、ベクトルYの到来方向を指す角度をλで示す。これにより、オーディオ信号SL(i)とSR(i)によって受聴空間に定位する定位音源信号Y(i)の音源位置パラメータが算出される。
音源位置パラメータ算出部3は、定位音源信号Yの位置を表すパラメータとして、受聴位置に対する、定位音源信号Yの到来方向を示す角度λを、定位音源信号の信号成分のエネルギーY0、Y1と到来方向を示す角度δ、εにもとづいて算出する。角度λは、(式23)を用いて計算される。
これにおいて、角度δとεとの間にも、角度αおよびβと同様にδ=−εの関係があるので、(式23)は(式24)のように表すことができる。
定位音源信号Y(i)は、オーディオ信号SLおよびオーディオ信号SRに含まれる同相の信号成分Y0(i)および信号成分Y1(i)の合成であり、(式25)に示すようにエネルギーを保存する関係が成り立つ。これにより、(式25)を用いて、定位音源信号Y(i)のエネルギーLを算出することができる。
さらに、算出されたエネルギーLを(式15)に代入し、L0、R0に前述の初期値を代入することによって、定位音源信号Yまでの受聴位置からの距離Rを算出することができる。
なお、定位音源推定部1による判定において、相関係数C1が閾値TH1を超えない場合であっても、さらに、(式26)と(式27)とを用いて、オーディオ信号SL(i)とSR(i)とのいずれかのチャンネルが0である場合、または、一方のチャンネルのエネルギーが他方に対して十分大きくなる場合に該当するか否かを判定する。オーディオ信号SL(i)とSR(i)とが、(式26)と(式27)とのいずれかに該当する場合、オーディオ信号SL(i)とSR(i)とのうち0でない方、または、他方に対してエネルギーが十分に大きくなる方のオーディオ信号を定位音源信号Y(i)とする。
さらに、いずれかのチャンネルのオーディオ信号と推定した定位音源信号との組み合わせ、あるいは推定した2つの定位音源信号の組み合わせにおいても、定位音源信号の推定と、信号成分の算出、音源位置パラメータの算出を同様にして行うことができる。つまり、上述の説明ではオーディオ信号FLとFR、オーディオ信号SLとSRとの間で定位音源信号を算出したが、これを定位音源信号XとYとにも適応することができる。また、オーディオ信号FLとSLとの間においても、定位音源信号を算出することもできる。
すなわち、定位音源推定部1は、定位音源信号X(i)と定位音源信号Y(i)とから音像が定位するか否かを判定し、音源信号分離部2は、音像が定位するフレームごとに定位音源信号Z(i)を算出する。具体的には、既出の(式1)〜(式14)の各数式において、各変数を適切に置き替えることによって、上述のオーディオ信号FL(i)とFR(i)とについてすでに説明した方法と同様にして、定位音源信号Y(i)を推定し、その信号成分Y0(i)とY1(i)とを算出することができる。なお、音源信号分離部2は、さらに、定位音源信号X(i)と定位音源信号Y(i)との間で音像を定位しない非定位音源信号の信号成分、例えば、Xa(i)およびYb(i)を分離するとしてもよいが、後の処理を簡単にするために、ここでは処理を省略する。
以下では、(式1)〜(式14)の各数式において、オーディオ信号FL(i)を定位音源信号X(i)に、オーディオ信号FR(i)を定位音源信号Y(i)に、定位音源信号X(i)を定位音源信号Z(i)に、信号成分X0(i)を信号成分Z0(i)に、信号成分X1(i)を信号成分Z1(i)に、角度αを角度γに、角度βを角度λに、角度γを角度θに、それぞれ置き替える。これにより、以下の(式28)〜(式36)が得られる。
まず、定位音源推定部1は、(式28)を用いてフレームごとに、定位音源信号X(i)と定位音源信号Y(i)との間の相関を表す相関係数C1を算出し、次いで、算出した相関係数C1が閾値TH1を超えるか否かを調べ、相関係数C1が閾値TH1を超えるフレームでは定位音源信号Z(i)が存在するものと判定する。定位音源推定部1によって定位音源信号Z(i)が存在すると判定された場合、音源信号分離部2は、(式30)を用いて、Δ(L)の値を最小にする定数aを算出する。次いで、算出したaを(式29)に代入して、定位音源信号Z(i)の定位音源信号X(i)に含まれる信号成分Z0(i)を算出する。
同様にして、音源信号分離部2は、(式32)を用いて、Δ(R)の値を最小にする定数bの値を算出する。次いで、算出したbを(式31)に代入して、定位音源信号Z(i)の定位音源信号Y(i)に含まれる信号成分Z1(i)を算出する。
図8は、図6および図7で示したように上述の定位音源信号X(i)とY(i)から定位音源信号Z(i)を推定し、音源信号分離部2で信号成分Z0(i)とZ1(i)を算出する場合の、受聴空間の定位音源信号Z(i)と信号成分Z0(i)、Z1(i)の関係を示す説明図である。
図8において、XおよびYは、定位音源信号X(i)とY(i)の到来方向を示し、図6および図7に示すそれぞれの角度γおよび角度λと同一である。Z0およびZ1は、定位音源信号Z(i)が定位音源信号X(i)およびY(i)に含まれる信号成分であり、それぞれのエネルギーを大きさとし、信号の到来方向を指すベクトルを示す。また、定位音源信号Z(i)の到来方向を示すベクトルZは信号成分Z0およびZ1のベクトルの合成で得られ、ベクトルZの到来方向を指す角度をθで示す。これにより、定位音源信号X(i)とY(i)によって受聴空間に定位する定位音源信号Z(i)の音源位置パラメータが算出される。
音源位置パラメータ算出部3は、定位音源信号Zの位置を表すパラメータとして、受聴位置に対する、定位音源信号Zの到来方向を示す角度θを、定位音源信号Zの信号成分のエネルギーZ0、Z1と到来方向を示す角度γ、λにもとづいて算出する。角度θは、(式33)を用いて計算される。なお、ここでは、γ=−λが成立しないので、(式13)は使用しない。
定位音源信号Z(i)は、定位音源信号Xおよび定位音源信号Yに含まれる同相の信号成分Z0(i)および信号成分Z1(i)の合成であり、(式34)に示すようにエネルギーを保存する関係が成り立つ。これにより、(式34)を用いて、定位音源信号Z(i)のエネルギーLを算出することができる。
さらに、算出されたエネルギーLを(式15)に代入し、L0、R0に前述の初期値を代入することによって、定位音源信号Zまでの受聴位置からの距離Rを算出することができる。
なお、定位音源推定部1による判定において、相関係数C1が閾値TH1を超えない場合であっても、さらに、(式35)と(式36)とを用いて、定位音源信号X(i)と定位音源信号Y(i)とのいずれかが0である場合、または、一方の信号のエネルギーが他方に対して十分大きくなる場合のいずれかに該当するか否かを判定する。定位音源信号X(i)とY(i)とが、(式35)と(式36)とのいずれかに該当する場合、定位音源信号X(i)と定位音源信号Y(i)とのうち0でない方、または、他方に対してエネルギーが十分に大きくなる方の定位音源信号を定位音源信号Z(i)とする。
なお、ここでは、定位音源信号X(i)と定位音源信号Y(i)とで音像を定位しない信号成分を算出しないものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、定位音源信号X(i)と定位音源信号Y(i)とで音像を定位しない信号成分Xa(i)、Yb(i)を算出し、信号成分Xa(i)をFLとFRとに配分し、信号成分Yb(i)をSLとSRとに配分するとしてもよい。
このように、定位音源推定部1は、入力オーディオ信号のうち、一組の対となる2つのチャンネルのオーディオ信号FL、FRとから第一の定位音源信号Xを推定し、他の一組の対となる2つのチャンネルのオーディオ信号SL、SRとから第二の定位音源信号Yを推定し、第一の定位音源信号Xと第二の定位音源信号Yとから第三の定位音源信号Zを推定し、第三の定位音源信号Zを入力オーディオ信号の定位音源信号であると推定した。なお、これに対し、対となる2つのチャンネルのオーディオ信号はFLとFRの組、SLとSRの組のみではなく任意の組としても構わない。例えばFLとSL、およびFRとSRで組をなしても構わない。
また、定位音源推定部1は、所定の時間間隔からなるフレームを単位として、入力信号のうち対となる2つのチャンネルのオーディオ信号FL(i)、FR(i)との間の相関係数をフレームごとに算出し、相関係数が所定の値より大きくなる場合に、この2つのチャンネルのオーディオ信号から定位音源信号を推定した。
さらに、本実施の形態において、定位音源推定部1は、所定の時間間隔からなるフレームを単位として、第一の定位音源信号X(i)と第二の定位音源信号Y(i)との間の相関係数をフレームごとに算出し、相関係数が所定の閾値より大きくなる場合には、第一の定位音源信号X(i)と第二の定位音源信号Y(i)とから第三の定位音源信号Z(i)を推定した。
さらに、音源信号分離部2は、第三の定位音源信号Zを定める際に、第一の定位音源信号Xと第二の定位音源信号Yの和信号と、第一の定位音源信号Xとの間の誤差の二乗和を最小にすることで前記第三の定位音源信号Zを分離した。
また、音源信号分離部2は、第三の定位音源信号Zを定める際に、第一の定位音源信号Xと第二の定位音源信号Yの和信号と、第二の定位音源信号Yとの間の誤差の二乗和を最小にすることで前記第三の定位音源信号Zを分離した。
また、音源信号分離部2は、これら第三の定位音源信号Zを定めるのに、所定の時間間隔からなるフレームを単位として用いるように構成しても構わない。
また、音源位置パラメータ算出部3は、定位音源信号Xの位置を表すパラメータとして、受聴位置に対する、定位音源信号の到来方向を示す角度γを、定位音源信号の信号成分のエネルギーX0、X1と到来方向を示す角度α、βにもとづいて算出するように構成しても構わない。また、音源位置パラメータ算出部3は、前記定位音源信号の信号成分X0、X1のエネルギーにもとづいて、前記受聴位置から前記定位音源信号までの距離を算出するように構成しても構わない。定位音源信号Yについても同様に、また、定位音源信号Zについては、定位音源信号X、Yとから算出するように構成することができる。
次に、再生信号生成部4の動作について説明する。
再生信号生成部4は、最初に、音源位置パラメータにもとづいて、定位音源信号Z(i)のエネルギーを配分するように、受聴位置に対して前方に配置するスピーカーと、受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンに割り当てる定位音源信号を算出する。そして次に、割り当てた定位音源信号のエネルギーを配分するように、スピーカーおよびヘッドホンの左右のチャンネルに割り当てる定位音源信号を算出する。こうして割り当てた各チャンネルの定位音源信号に、予め音源信号分離部2で分離した、各チャンネルの非定位音源信号を合成して再生信号を生成する。
まず、受聴位置に対して前方に配置する対となるスピーカーと、受聴者の耳元の近傍に配置する対となるヘッドホンへ定位音源信号のエネルギーを配分するように、割り当てる音源信号を算出する動作について説明する。
図9は、音源位置パラメータのうちの到来方向を示す角度θにもとづいて、受聴位置に対して前方に配置するスピーカーへ、定位音源信号Z(i)のエネルギーを配分するための配分量F(θ)を示す説明図である。図9において、横軸は音源位置パラメータのうちの定位音源信号の到来方向を指す角度θを、縦軸は信号エネルギーの配分量を示す。なお、図中の実線は前方に配置するスピーカーへ配分量F(θ)を示し、破線は受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンへの配分量である(1.0−F(θ))を示す。
ここで、図9に示す関数F(θ)は、例えば(式37)で表すことができる。すなわち、図9に示す例では、定位音源信号Z(i)の到来方向を示す角度θが、受聴位置の正面の基準とする角度である場合、前方に配置するスピーカーへ全て配分することを示し、角度θが90度(π/2ラジアン)に近づくにしたがい配分量を減少することを示す。また、同様にして角度θが−90度(−π/2ラジアン)に近づくにしたがい配分量を減少することを示す。なお、角度θが90度(π/2ラジアン)より大きくなる場合や、−90度(−π/2ラジアン)より小さくなる場合については、定位音源信号Z(i)が受聴位置より後方に定位することを示すため、前方に配置するスピーカーへは配分しない。
ここで、(式37)に示すF(θ)が定位音源信号Z(i)のエネルギーの配分量であることから、(式38)に示すようにF(θ)の平方根値を係数として定位音源信号Z(i)に乗ずることで、前方に配置するスピーカーへ割り当てる定位音源信号Zf(i)を算出することができる。
さらに、受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンへ割り当てる定位音源信号Zh(i)は、(式39)に示すように(1.0−F(θ))の平方根値を定位音源信号Z(i)に乗ずることにより算出することができる。
しかしながら、定位音源信号Z(i)のエネルギーによっては、到来方向を示す角度θに関わらず、受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンへ割り当てることで、定位する音像をより明瞭に知覚することができる場合がある。すなわち、定位音源信号Z(i)のエネルギーが大きい場合である。定位音源信号Z(i)のエネルギーが大きい場合、音像が受聴位置の近くに定位するため、定位音源信号を前方に配置するスピーカーに割り当てるよりも、受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンへ割り当てた方が、受聴者は定位する音像をより明確に知覚することができる。
以下に、受聴位置からの定位音源信号Z(i)までの距離Rを考慮して、定位音源信号を割り当てる処理について説明する。
図10は、受聴空間の位置を示す音源位置パラメータのうちの、受聴位置から定位音源信号Z(i)までの距離Rにもとづいて、前方に配置するスピーカーおよび受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンへ、定位音源信号Z(i)のエネルギーを配分するための配分量G(R)を示す説明図である。
図10において、横軸は音源位置パラメータのうちの受聴位置から定位音源信号までの距離Rを、縦軸は信号エネルギーの配分量を示す。なお、図中の実線は前方に配置するスピーカーへの配分量G(R)を示し、破線は耳元の近傍に配置するヘッドホンへの配分量である(1.0−G(R))を示す。すなわち、図10に示す例では定位音源信号Z(i)の受聴位置からの距離Rが、前方に配置するスピーカーまでの距離R2以上となる場合には、前方に配置するスピーカーへ全て配分し、受聴位置からの距離が短くなるにしたがって徐々に配分量が減少することを示す。
なお、受聴位置からの距離Rにもとづくエネルギーの配分を行うために、例えば上述の到来方向を示す角度θにもとづくF(θ)と、受聴位置からの距離RにもとづくG(R)の乗算値の平方根値を、(式40)に示すように定位音源信号Z(i)に乗ずることによって、前方に配置するスピーカーへ割り当てる定位音源信号Zf(i)を算出することができる。
ただし、エネルギーを保存するために、受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンへ割り当てる定位音源信号Zh(i)を(式41)によって算出する。
次に、上述のようにして受聴位置に対して前方に配置する対となるスピーカーと、受聴者の耳元の近傍に配置する対となるヘッドホンへ割り当てた定位音源信号Zf(i)、Zh(i)を、前方に配置するスピーカーおよび耳元の近傍に配置するヘッドホンの左右のチャンネルへ割り当てる処理について説明する。
このように、再生信号生成部4は、定位音源信号Zの到来方向を示す角度θと受聴位置から定位音源信号までの距離RとにもとづくF(θ)、G(R)にしたがって、スピーカー5、スピーカー6と、ヘッドホン7、ヘッドホン8とに対して定位音源信号Zのエネルギーを配分するように構成しても構わない。
まず、前方に配置する対となるスピーカーへ割り当てる定位音源信号Zf(i)を、左右のチャンネルへ割り当てる処理を説明する。図11は音源位置パラメータのうちの到来方向を示す角度θにもとづいて、前方に配置されるスピーカーに割り当てた定位音源信号Zf(i)のエネルギーを左右のチャンネルへ配分するための配分量H1(θ)を示す説明図である。図11において、横軸は音源位置パラメータのうちの到来方向を示す角度θを示し、縦軸は左右チャンネルへの配分量を示す。なお、図中の実線は左チャンネルへの配分量H1(θ)を示し、破線は右チャンネルへの配分量である(1.0−H1(θ))をそれぞれ示す。ここで、図11に示す関数H1(θ)は、例えば(式42)で表すことができる。すなわち、図11に示す例では、定位音源信号Z(i)の到来方向を示す角度θが、受聴位置正面の基準である場合に左右のチャンネルへ半分ずつ配分することを示し、角度θが90度(π/2ラジアン)に近づくにしたがい配分量を増加することを示す。逆に、角度θが−90度(−π/2ラジアン)に近づくにしたがい配分量を減少することを示す。
ここで、(式42)に示すH1(θ)が定位音源信号Zf(i)のエネルギーの配分量であることから、(式43)に示すようにH1(θ)の平方根値を係数として定位音源信号Zf(i)に乗ずることで、左チャンネルのスピーカーへ割り当てる定位音源信号ZfL(i)を算出することができる。
さらに、右チャンネルのスピーカーへ割り当てる定位音源信号ZfR(i)は、(式44)に示すように(1.0−H1(θ))の平方根値を定位音源信号Zf(i)に乗ずることで算出することができる。
次に、受聴者の耳元の近傍に配置する対となるヘッドホンへ割り当てた定位音源信号Zh(i)を、左右のチャンネルへ割り当てる処理を説明する。図12は音源位置パラメータのうちの到来方向を示す角度θにもとづいて、受聴者の耳元の近傍に配置されるヘッドホンに割り当てる定位音源信号Zh(i)のエネルギーを左右のチャンネルへ配分するための係数を導出する関数H2(θ)の一例を示す説明図である。図12において、横軸は音源位置パラメータのうちの到来方向を示す角度θを示し、縦軸は左右チャンネルへの配分量を示す。なお、図中の実線は左チャンネルへの配分量H2(θ)を示し、破線は右チャンネルへの配分量である(1.0−H2(θ))を示す。ここで、図12に示す関数H2(θ)は、例えば(式45)で表すことができる。すなわち、図12に示す例では、定位音源信号Z(i)の到来方向を示す角度θが、受聴位置に対して正面である基準の位置である場合、左右のチャンネルへ半分ずつ配分することを示し、角度θが、90度(π/2ラジアン)に近づくにしたがい配分量を増加し、90度(π/2ラジアン)となる場合は左チャンネルへ全て配分する。さらに、90度(π/2ラジアン)から180度(πラジアン)に近づくにしたがい配分量を減少し、180度(πラジアン)となる場合は、左右のチャンネルへ半分ずつ配分することを示す。逆に、受聴位置正面の基準から−90度(−π/2ラジアン)に近づくにしたがい配分量を減少し、−90度(−π/2ラジアン)となる場合は左チャンネルへ全く配分しないことを示す。さらに、−90度(−π/2ラジアン)から受聴位置後方の正面の−180度(−πラジアン)に近づくにしたがい配分量を増加することを示す。
ここで、(式45)に示すH2(θ)が定位音源信号Zh(i)のエネルギーの配分量であることから、(式46)に示すようにH2(θ)の平方根値を係数として定位音源信号Zh(i)に乗ずることで、左チャンネルのヘッドホンへ割り当てる音源信号ZhL(i)を算出することができる。
さらに、右チャンネルのヘッドホンへ割り当てる定位音源信号ZhR(i)は、(式47)に示すように(1.0−H2(θ))の平方根値を定位音源信号Zh(i)に乗ずることで算出することができる。
最後に、上述のようにしてスピーカーおよびヘッドホンのそれぞれのチャンネルに配分した定位音源信号に、予め音源信号分離部2で分離するそれぞれのチャンネルの受聴空間に音像を定位しない非定位音源信号を合成して、スピーカーおよびヘッドホンへ供給する再生信号を生成する。すなわち、それぞれのチャンネルの再生信号は定位音源信号Z(i)と音源信号の到来方向を示す角度θ、受聴位置からの距離R、およびそれぞれのチャンネルの非定位音源信号にもとづいて(式48)で示すことができる。(式48)において、スピーカーおよびヘッドホンのそれぞれのチャンネルに配分する定位音源信号は、上述の(式43)および、(式44)、(式46)、(式47)を用いて算出する定位音源信号である。さらに、それぞれのチャンネルの受聴空間に音像を定位しない非定位音源信号は、FLa(i)、FRb(i)、SLa(i)、SRb(i)で示し、これらは上述する音源信号分離部2の動作の説明にある(式8)と同様にして算出する非定位音源信号である。ただし、定位音源信号の音源位置パラメータのうちの到来方向を示す角度θが(−π≦θ≦−π/2)もしくは(π/2≦θ≦π)である場合にヘッドホンへ割り当てられる定位音源信号ZhL(i)およびZhR(i)は、音源位置パラメータのうちの受聴位置から定位音源信号までの距離Rで定位する定位音源信号であり、これを受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンの左右チャンネルから出力するために、受聴者が知覚するエネルギーレベルを調整するための所定の係数K0を乗じてから合成する。また、SLa(i)およびSRb(i)は受聴位置後方の左右に割り当てられるオーディオ信号SL(i)およびSR(i)に含まれる非定位音源信号であり、これらを受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンの左右のチャンネルから出力するために、受聴者が知覚するエネルギーレベルを調整するための所定の係数Kを乗じてから合成する。
上記(式48)における所定の係数K0は、定位音源信号の音源位置パラメータにもとづいて、角度θが(−π≦θ≦−π/2)もしくは(π/2≦θ≦π)の場合に、定位音源信号の受聴位置からの距離Rに定位する定位音源信号を、受聴位置で聴取した場合の音圧レベル差が均等となるように調整する係数であり、例えば(式49)により算出されるようにしてもよい。また、所定の係数K1は、前方に配置するスピーカーと受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンとのそれぞれから出力される同一のオーディオ信号を、受聴位置で聴取した場合の音圧レベル差が均等になるように調整する係数であり、例えば、受聴位置からヘッドホンまでの距離R2と、受聴位置から前方に配置するスピーカーまでの距離R1とを用いて、(式50)により算出するようにしてもよい。
また、上記の所定の係数K0およびK1は音響再生装置10のスイッチを操作することによって受聴者が受聴者の聴覚能力にもとづいて調整可能としてもよい。
なお、上述した再生信号生成部4の動作の説明では、音源位置パラメータにもとづいて、最初にスピーカーとヘッドホンのそれぞれに割り当てる定位音源信号を算出し、その後にスピーカーおよびヘッドホンの左右のチャンネ
ルに割り当てる定位音源信号を算出しているが、最初に左右のチャンネルへ割り当てる定位音源信号を算出し、その後にスピーカーとヘッドホンのそれぞれに割り当てる定位音源信号を算出するようにしてもよい。
ルに割り当てる定位音源信号を算出しているが、最初に左右のチャンネルへ割り当てる定位音源信号を算出し、その後にスピーカーとヘッドホンのそれぞれに割り当てる定位音源信号を算出するようにしてもよい。
さらに、前方に配置するスピーカーおよび、受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンの音響再生の能率差によっても、受聴者が知覚するエネルギーレベルの差が生ずる場合がある。このため、音響再生の再生特性の様々な組み合わせに対して最適な再生信号を生成するため、(式48)により算出するそれぞれの再生信号に対して、例えば、ヘッドホンへ出力される再生オーディオ信号に(式50)に示すように所定の係数K2を乗ずることによって、受聴者が知覚するエネルギーレベルの差を補うように減衰量の調整を施すようにしてもよい。
ここで、所定の係数K2は、例えば音響再生の能率を表す一般的な指標である出力音圧レベルを用いて、前方に配置するスピーカーの出力音圧レベルをP0[dB/W]、ヘッドホンの出力音圧レベルをP1[dB/W]とした場合には、例えば(式51)用いて算出される。
また、上記の所定の係数K2についても音響再生装置10のスイッチを操作することによって受聴者が受聴者の聴覚能力にもとづいて調整可能としてもよい。
図13は、本発明の実施の形態における音響再生装置の動作を示すフローチャートである。音響再生装置10において、まず、定位音源推定部1は、受聴位置の前方に配置されるスピーカーに対して割り当てられるオーディオ信号FL(i)とオーディオ信号FR(i)との間で定位音源信号X(i)が定位するか否かを判定する(S1301)。
定位音源推定部1において定位音源信号X(i)が定位すると判定した場合(S1301でYes)、音源信号分離部2は、オーディオ信号FL(i)とFR(i)との同相信号を用いて、定位音源信号X(i)のFL方向の信号成分X0(i)と、FR方向の信号成分X1(i)を算出する(S1302)。
次いで、音源信号分離部2は、オーディオ信号FL(i)とFR(i)とに含まれる非定位音源信号FLa(i)、FRb(i)を算出し、オーディオ信号FL(i)とFR(i)とから分離する。さらに、音源信号分離部2は、算出した信号成分X0(i)と信号成分X1(i)とを合成して得られる定位音源信号X(i)の定位位置を示すパラメータを算出する(S1303)。このパラメータは、受聴位置から定位音源信号X(i)の定位位置までの距離R、および受聴位置の正面から定位位置までの角度γである。
定位音源推定部1において定位音源信号X(i)が定位しないと判定した場合(S1301でNo)、音源信号分離部2は定位音源信号X(i)=0とし、FLa(i)=FL(i)、FRb(i)=FR(i)とする(S1304)。
さらに、定位音源推定部1は、受聴者の後方の所定位置に配置されると想定されたスピーカーに対して割り当てられるオーディオ信号SL(i)とオーディオ信号SR(i)との間で定位音源信号Y(i)が定位するか否かを判定する(S1305)。
定位音源推定部1において定位音源信号Y(i)が定位すると判定した場合(S1305でYes)、音源信号分離部2は、オーディオ信号SL(i)とSR(i)との同相信号を用いて、定位音源信号Y(i)のSL方向の信号成分Y0(i)、SR方向の信号成分Y1(i)を算出する(S1306)。
次いで、音源信号分離部2は、オーディオ信号SL(i)とSR(i)とに含まれる非定位音源信号SLa(i)、SRb(i)を算出し、分離する。さらに、音源信号分離部2は、算出した信号成分Y0(i)と信号成分Y1(i)とを合成して得られる定位音源信号Y(i)の定位位置を示すパラメータを算出する(S1307)。このパラメータは、受聴位置から定位音源信号Y(i)の定位位置までの距離R、および受聴位置の正面から定位位置までの角度λである。
定位音源推定部1において定位音源信号Y(i)が定位しないと判定した場合(S1305でNo)、音源信号分離部2は定位音源信号Y(i)=0とし、SLa(i)=SL(i)、SRb(i)=SR(i)とする(S1308)。
また、定位音源推定部1は、ステップS1302で算出された定位音源信号X(i)とステップS1306で算出された定位音源信号Y(i)との間で定位音源信号Z(i)が定位するか否かを判定する(S1309)。
定位音源推定部1において定位音源信号Z(i)が定位すると判定した場合(S1309でYes)、音源信号分離部2は、定位音源信号X(i)と定位音源信号Y(i)との同相信号を用いて、定位音源信号Z(i)のX方向の信号成分Z0(i)、Y方向の信号成分Z1(i)を算出する。さらに、音源信号分離部2は、算出した信号成分Z0(i)と信号成分Z1(i)とを合成して得られる定位音源信号Z(i)の定位位置を示すパラメータを算出する(S1310)。このパラメータは、受聴位置から定位音源信号Z(i)の定位位置までの距離R、および受聴位置の正面から定位位置までの角度θである。
次いで、再生信号生成部4は、算出された定位音源信号Z(i)を、受聴者の前方に配置されるスピーカー5およびスピーカー6と、受聴者の耳元周辺に配置されるヘッドホン7およびヘッドホン8とに配分する(S1311)。受聴者の前方に配置されるスピーカーに割り当てられる定位音源信号Zf(i)は、(式40)に従って算出される。受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンへ割り当てる定位音源信号Zh(i)は(式41)に従って算出される。
定位音源推定部1において定位音源信号Z(i)が定位しないと判定した場合(S1309でNo)、再生信号生成部4はステップS1302で算出された定位音源信号X(i)を、受聴者の前方に配置されるスピーカー5およびスピーカー6の2つに割り当て、ステップS1306で算出された定位音源信号Y(i)を、受聴者の耳元周辺に配置されるヘッドホン7およびヘッドホン8の2つに割り当てる(S1312)。すなわち、受聴者の前方に配置されるスピーカーに割り当てられる定位音源信号Zf(i)は、Zf(i)=X(i)となり、受聴者の耳元の近傍に配置するヘッドホンへ割り当てる定位音源信号Zh(i)は、Zh(i)=Y(i)となる。
さらに、再生信号生成部4は、ステップS1311またはステップS1312において受聴者の前方に配置される2つのスピーカーに割り当てられた定位音源信号Zf(i)を、左右のスピーカー5およびスピーカー6に配分する(S1313)。すなわち、再生信号生成部4は、前方に配置される左チャンネルのスピーカー5へ割り当てる定位音源信号ZfL(i)を(式42)および(式43)に従って算出し、前方に配置される右チャンネルのスピーカーへ割り当てる定位音源信号ZfR(i)を(式44)に従って算出する。
次いで、再生信号生成部4は、ステップS1311またはステップS1312において受聴者の耳元周辺に配置される2つのヘッドホンに割り当てられた定位音源信号Zh(i)を、左右のヘッドホン7およびヘッドホン8に配分する(S1314)。すなわち、再生信号生成部4は、耳元周辺に配置される左チャンネルのヘッドホン7へ割り当てる音源信号ZhL(i)を(式45)および(式46)に従って算出し、耳元周辺に配置される右チャンネルのヘッドホン8へ割り当てる定位音源信号ZhR(i)を(式47)に従って算出する。
さらに、再生信号生成部4は、ステップS1313およびステップS1314で各スピーカーに配分された定位音源信号ZfL(i)、ZfR(i)、ZhL(i)およびZhR(i)と、ステップS1303およびステップS1307で算出された非定位音源信号FLa(i)、FRb(i)、SLa(i)およびSRb(i)とを(式48)および(式49)に従って合成し、スピーカー5に出力される再生信号SPL(i)、スピーカー6に出力される再生信号SPR(i)、ヘッドホン7に出力される再生信号HPL(i)、およびヘッドホン8に出力される再生信号HPR(i)を生成する(S1315)。
上述したように、本発明の音響再生装置10は、受聴空間に音像を定位する定位音源信号を受聴空間の左右方向だけでなく、前後方向についても考慮して定位音源信号を推定するとともに、受聴空間における位置を示す音源位置パラメータを算出し、これにもとづいてそれぞれのチャンネルにエネルギーを配分するように定位音源信号を各チャンネルに割り当てる。これにより、前後方向の再生音の広がりや受聴空間に定位する音像の移動といった立体感を向上した、より好ましい臨場感を得ることができる立体音響の再生を可能にする。
さらに、入力オーディオ信号から定位感が知覚され難い周波数の信号成分を予め除去することにより、定位音源信号の推定と、定位音源信号と非定位音源信号の分離、ならびに音源位置パラメータを算出するための処理の精度を向上することができる。
なお、上記実施の形態では、閾値TH1を0.5、閾値TH2を0.001、基準距離R0を1.0mとして、定位音源信号の推定方法、および受聴位置から定位音源信号までの距離の算出方法の一例を示したが、これらの数値は一例に過ぎず、実際にはシミュレーションなどによって、最適な数値を定めればよいものとする。
また、上述した本発明の音響再生装置10の構成ブロックのそれぞれの処理ステップを実現するソフトウエアプログラムをコンピュータやデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などで行うようにしてもよい。
以上、説明したように本発明の音響再生装置によれば、従来技術よりも前後方向の再生音の広がりや受聴空間に定位する音像の移動といった立体感を向上した立体音響の再生装置の提供を可能にする。
1 定位音源推定部
2 音源信号分離部
3 音源位置パラメータ算出部
4 再生信号生成部
5 スピーカー
6 スピーカー
7 ヘッドホン
8 ヘッドホン
10 音響再生装置
2 音源信号分離部
3 音源位置パラメータ算出部
4 再生信号生成部
5 スピーカー
6 スピーカー
7 ヘッドホン
8 ヘッドホン
10 音響再生装置
Claims (17)
- 受聴空間のあらかじめ定められた複数の標準位置に複数のスピーカーを配置し、配置された前記複数のスピーカーを用いて再生されることを前提とした前記各スピーカーに対応するマルチチャンネルの入力オーディオ信号を、受聴位置の前方に配置されるスピーカーであって前方の前記標準位置に配置される前方スピーカーと、前記受聴位置の近傍に配置されるスピーカーであって前記標準位置のいずれにも該当しない位置に配置される耳元再生スピーカーとを用いて再生する音響再生装置であって、
前記入力オーディオ信号が前記複数の標準位置に配置される前記複数のスピーカーを用いて再生したものと仮定した場合に受聴空間に音像が定位するか否かを前記入力オーディオ信号から推定する定位音源推定部と、
前記定位音源推定部によって前記音像が定位すると推定された場合、定位する前記音像を表す信号である定位音源信号を算出する音源信号分離部と、
前記定位音源信号で表される前記音像の定位位置を表すパラメータを、前記定位音源信号から算出する音源位置パラメータ算出部と、
前記定位位置を表すパラメータを用いて、前記定位音源信号を、前記前方スピーカーと前記耳元再生スピーカーとのそれぞれに対して配分し、前記前方スピーカーと前記耳元再生スピーカーに対して供給する再生信号を生成する再生信号生成部と
を備える音響再生装置。 - 前記音源信号分離部は、さらに、前記各入力オーディオ信号に含まれる信号成分であって受聴空間における前記音像の定位に寄与しない信号成分である非定位音源信号を前記各入力オーディオ信号から分離し、
前記再生信号生成部は、前記前方スピーカーに対して配分された前記定位音源信号と、前記前方の標準位置に配置されるスピーカーで再生されるべき入力オーディオ信号から分離された前記非定位音源信号とを合成して前記前方スピーカーに対して供給する再生信号を生成し、前記耳元再生スピーカーに対して配分された前記定位音源信号と、後方の前記標準位置に配置されるスピーカーで再生されるべき入力オーディオ信号から分離された前記非定位音源信号とを合成して前記耳元再生スピーカーに対して供給する再生信号を生成する
請求項1記載の音響再生装置。 - 前記再生信号生成部は、前記定位音源信号の前記定位位置から前記受聴位置までの到来方向を示す角度と、前記受聴位置から前記定位音源信号の定位位置までの距離とを用いて、前記前方スピーカーと、前記耳元再生スピーカーとに対して前記定位音源信号のエネルギーを配分するとともに、前記定位音源信号の到来方向を示す角度を用いて、前記前方スピーカーおよび前記耳元再生スピーカーのそれぞれの左右のチャンネルへ前記定位音源信号のエネルギーを配分する
請求項1に記載の音響再生装置。 - 前記再生信号生成部は、前記前方スピーカーと前記受聴位置との間の距離と、前記耳元再生スピーカーと前記受聴位置との間の距離との比、および前記音像の定位位置を表すパラメータの前記受聴位置までの距離と、前記耳元再生スピーカーと前記受聴位置との間の距離との比にもとづいて、前記耳元再生スピーカーに供給する前記再生信号に対して、所定の減衰係数を乗ずる
請求項1に記載の音響再生装置。 - 前記再生信号生成部は、前記前方スピーカーと、前記耳元再生スピーカーとのそれぞれのチャンネルへ配分する前記定位音源信号と、前記音源信号分離部で分離する非定位音源信号とを、受聴者の操作によって調整可能な所定の比率で合成して、前記再生信号を生成する
請求項2に記載の音響再生装置。 - 前記定位音源推定部は、前記入力オーディオ信号のうち、一組の対となる2つのチャンネルの入力オーディオ信号を用いて、前記音像が定位するか否かを推定する
請求項1に記載の音響再生装置。 - 前記定位音源推定部は、所定の時間間隔からなるフレームを単位として、前記入力オーディオ信号のうち対となる2つのチャンネルの入力オーディオ信号の間の相関係数をフレームごとに算出し、前記相関係数が所定の値より大きくなる場合に、当該2つのチャンネルの入力オーディオ信号から前記定位音源信号で表される音像が定位すると推定する
請求項6に記載の音響再生装置。 - 前記音源信号分離部は、前記一つの組となる2つのチャンネルの入力オーディオ信号の和信号と、前記一つの組のいずれか一つの入力オーディオ信号との間の誤差の二乗和を最小にすることで当該入力オーディオ信号に含まれる前記定位音源信号の信号成分を算出し、前記定位音源信号の信号成分を当該入力オーディオ信号から分離する
請求項6に記載の音響再生装置。 - 前記定位音源推定部は、前記入力オーディオ信号のうち、一組の対となる2つのチャンネルの入力オーディオ信号を用いて第一の定位音源信号で表される音像が定位するか否かを推定し、他の一組の対となる2つのチャンネルの入力オーディオ信号を用いて第二の定位音源信号で表される音像が定位するか否かを推定し、前記第一の定位音源信号と前記第二の定位音源信号とを用いて第三の定位音源信号で表される音像が定位するか否かを推定し、前記第三の定位音源信号を前記入力オーディオ信号全体によって定位される音像を表す定位音源信号であると推定する
請求項1に記載の音響再生装置。 - 前記定位音源推定部は、前記標準位置のうち前記受聴位置に対して前方の左右に割り当てられる2つのチャンネルの入力オーディオ信号から前記第一の定位音源信号で表される音像が定位されるか否かを推定し、前記標準位置のうち前記受聴位置に対して後方の左右に割り当てられる2つのチャンネルの入力オーディオ信号から前記第二の定位音源信号で表される音像が定位するか否かを推定し、前記第一の定位音源信号と前記第二の定位音源信号とから前記第三の定位音源信号で表される音像が定位するか否かを推定する
請求項9に記載の音響再生装置。 - 前記定位音源推定部は、所定の時間間隔からなるフレームを単位として、前記第一の定位音源信号と前記第二の定位音源信号との間の相関係数をフレームごとに算出し、前記相関係数が所定の閾値より大きくなる場合には、前記第一の定位音源信号と前記第二の定位音源信号とから第三の定位音源信号で表される音像が定位すると推定する
請求項9に記載の音響再生装置。 - 前記音源信号分離部は、前記第一の定位音源信号と前記第二の定位音源信号の和信号と、前記第一の定位音源信号および前記第二の定位音源信号のいずれか一方の定位音源信号との間の誤差の二乗和を最小にすることで前記第三の定位音源信号の、前記一方の定位音源信号に対応する信号成分を算出し、算出した前記信号成分を前記第一の定位音源信号および前記第二の定位音源信号の前記対応する定位音源信号から分離する
請求項9に記載の音響再生装置。 - 前記音源信号分離部は、前記入力オーディオ信号のエネルギーと、前記入力オーディオ信号に含まれる前記定位音源信号の信号成分のエネルギーとの比を用いて、前記非定位音源信号を前記入力オーディオ信号から分離する
請求項1に記載の音響再生装置。 - 前記音源位置パラメータ算出部は、前記定位音源信号で表される音像の定位位置を表すパラメータとして、前記受聴位置に対する、前記定位音源信号の到来方向を示す角度と、前記定位音源信号で表される音像の定位位置までの距離とを算出する
請求項1に記載の音響再生装置。 - 前記音源位置パラメータ算出部は、前記定位音源信号の位置を表す前記パラメータのうち、前記受聴位置に対して、前記定位音源信号が到来する方向を示す角度を、前記定位音源信号の信号成分のエネルギーと到来方向を示す角度とを用いて算出する
請求項1に記載の音響再生装置。 - 前記音源位置パラメータ算出部は、前記定位音源信号の位置を表す前記パラメータのうち、前記受聴位置から前記定位音源信号で表される前記音像の定位位置までの距離を、前記定位音源信号の信号成分のエネルギーを用いて算出する
請求項1に記載の音響再生装置。 - 受聴空間のあらかじめ定められた複数の標準位置に複数のスピーカーを配置し、配置された前記複数のスピーカーを用いて再生されることを前提とした前記各スピーカーに対応するマルチチャンネルの入力オーディオ信号を、受聴位置の前方に配置されるスピーカーであって前方の前記標準位置に配置される前方スピーカーと、前記受聴位置の近傍に配置されるスピーカーであって前記標準位置のいずれにも該当しない位置に配置される耳元再生スピーカーとを用いて再生する音響再生方法であって、
前記入力オーディオ信号が前記複数の標準位置に配置される前記複数のスピーカーを用いて再生したものと仮定した場合に、受聴空間に音像が定位するか否かを前記入力オーディオ信号から推定する定位音源推定ステップと、
前記定位音源推定ステップにおいて前記音像が定位すると推定された場合、定位する前記音像を表す信号である定位音源信号を算出し、前記各入力オーディオ信号に含まれる信号成分であって受聴空間における前記音像の定位に寄与しない信号成分である非定位音源信号を前記各入力オーディオ信号から分離する音源信号分離ステップと、
前記定位音源信号で表される前記音像の定位位置を表すパラメータを、前記定位音源信号から算出する音源位置パラメータ算出ステップと、
前記定位位置を表すパラメータを用いて、前記定位音源信号を、前記前方スピーカーと前記耳元再生スピーカーとのそれぞれに対して配分し、前記前方スピーカーに対して配分された前記定位音源信号と、前記前方の標準位置に配置されるスピーカーで再生されるべき入力オーディオ信号から分離された前記非定位音源信号とを合成して前記前方スピーカーに対して供給する再生信号を生成し、前記耳元再生スピーカーに対して配分された前記定位音源信号と、後方の前記標準位置に配置されるスピーカーで再生されるべき入力オーディオ信号から分離された前記非定位音源信号とを合成して、前記耳元再生スピーカーに対して供給する再生信号を生成する再生信号生成ステップと
を備える音響再生方法。
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