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JP5386961B2 - 析出強化型複相熱延鋼板 - Google Patents

析出強化型複相熱延鋼板 Download PDF

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JP5386961B2 JP2008315702A JP2008315702A JP5386961B2 JP 5386961 B2 JP5386961 B2 JP 5386961B2 JP 2008315702 A JP2008315702 A JP 2008315702A JP 2008315702 A JP2008315702 A JP 2008315702A JP 5386961 B2 JP5386961 B2 JP 5386961B2
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Description

本発明は、強度と延性とを両立させた析出強化型熱延鋼板に関し、特に、1180MPa以上の引張り強度を維持しつつ、複雑形状部品に形成するための優れた加工性が要求される自動車部品の用途に好適な熱延鋼板に関する。
燃費の向上や資源節減の観点により自動車部品の軽量化が進むにつれ、その素材となる鋼板には一層の高強度化が要求されつつある。一方、自動車部品、特に自動車足回り部品の形状は複雑化する傾向にあり、その素材となる鋼板は優れた加工性および形状凍結性を有することが必須となる。
そのため、自動車部品用鋼板は優れた強度と加工性とを兼備することが不可欠となるが、両者は一般に相反する関係にあるため、強度と加工性を両立させることは容易ではない。
例えば、複相鋼(DP鋼)ではフェライトを含有することにより高い伸び(高延性)を達成できるものの、複相組織であるために自動車足回り部品の成形時に必要となる伸びフランジ性に乏しい。
一方、フェライトを含有しないベイナイト単相鋼は、伸びフランジ性は良好であるが延性に乏しい。
上記問題を解決するための技術としては、主相を高延性の確保に好適なフェライト単相とし、主たる強化機構として微細析出物による析出強化を用いる技術が知られている。例えば、特許文献1および特許文献2には、TiおよびMoを適量含有する熱延鋼板の製造にあたり、Ar3変態点直上のオーステナイト域で仕上げ圧延を終了し、巻き取り温度を570℃以上700℃以下とすることにより、ほぼフェライト単相である母相に、10nm未満の微細かつ熱的安定性を有する析出物を分散させた、引張り強度が800MPa、更には900MPaを超える、強度と延性或いは伸びフランジ性に優れる熱延鋼板の製造方法が開示されている。上記方法によると、析出強化量を高精度に制御することによって種々の強度レベルの熱延鋼板を、工業的安定性をもって提供することが可能であるとされ、これらの熱延鋼板は既に一部商品化されている。
特開2003−89848号公報 特開2002−322539号公報
しかしながら、上記の技術によってもなお、延性を確保しながら更なる高強度化を図ることは容易ではない。特に、析出物の増量を図る目的で鋼に含有する合金元素を増やせば、近年に見られる合金元素高騰の影響を強く受けるため、熱延鋼板を工業的に安定して製造することが困難となる。
一方、例えば特許文献3および特許文献4には、焼戻しマルテンサイトや焼戻しベイナイト相を主相とし、第二相として残留オーステナイト相を分散させた複相鋼板において、高強度と伸びフランジ性の両立を図る技術が開示されている。
しかしながら、これらの複相鋼板においては、TRIP効果による優れた均一伸びと、数10%以上の伸びフランジ性が安定して得られるものの、引張り強度は高々800MPa程度に留まっている。
特開2003−73773号公報 特開2005−336526号公報
本発明は、上記現状を鑑みなされたものであり、組織強化と析出強化との適当な組み合わせにより、高価な合金元素を多量に含有することなく、従来のフェライト析出強化型熱延鋼板にみられる課題を解決し、1180MPa以上の強度と優れた延性とを兼備する高強度熱延鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、引張り強度1180MPa以上の鋼種に関し、強度と加工性(特に、延性および伸びフランジ性)の両立に必須となる組織形態を適正に制御する方法について、他の強化機構(析出強化、結晶粒微細化強化等)とのバランスを考慮しつつ鋭意検討した。その結果、フェライトを母相とする組織に微細析出物を析出させて高強度化を図ろうとする場合、熱延鋼板製造プロセスの制約上、炭化物による析出強化能を高めるための高炭素化および高合金化に限界があるため、十分な強度が得られないことが判明した。
また、ベイナイト単相では、1180MPa以上の引張り強度を達成することが困難であることも判明した。
このため、本発明者らは、微細析出物を析出させたフェライト相を主相とし、組織強化を図る上で極めて有効なベイナイト相を第二相とする複相組織について検討した。その結果、外径が10nm未満のMX析出物で強化されたフェライトを主相とし、第二相としてベイナイト相を体積分率で30%以上45%以下存在させた後、焼戻し処理を施してベイナイト相を適正な強度に制御することにより、鋼板の強度と延性を所望の範囲に調整し得ることを見出した。
また、上記の如き組織を有する熱延鋼板を工業的に安定して製造する方法についても検討した。
熱延鋼板の組織をフェライト+ベイナイト二相組織とするための従来方法においては、例えば、オーステナイト温度域(A3変態点以上)で仕上げ圧延を終了した後、特定の冷却速度でMs点(マルテンサイト変態開始温度)以上Bs点(ベイナイト変態開始温度)以下に冷却して巻き取る工程を経る。更に、特開2003−171736号公報には、上記ベイナイトを焼戻す方法として、連続焼鈍やめっき工程においてA1変態点以上に加熱する方法が開示されているが、この方法では、焼戻し処理によって第二相であるベイナイト相にセメンタイトの析出およびその粗大化、並びに、転位密度減少による硬度低下(強度低下)が危惧される。
しかしながら、本発明者らは、適正な組成範囲に制御した鋼を、オーステナイト温度域で仕上げ圧延を終了した後、オーステナイト相とフェライト相の二相域まで速やかに冷却し、極短時間保持後にベイナイト変態温度域に冷却して巻き取り、更に、従来よりも低温域(550〜650℃)において3時間程度の焼戻し処理を施すことにより、従来危惧されていた強度低下とは逆の現象、すなわち強度上昇効果と延性向上効果が得られることを知見した。
一例として、0.05質量%C-0.01質量%Si-1.4質量%Mn-0.10質量%Ti-0.20質量%Moを主要成分とする鋼について、熱延条件を変化させることにより鋼組織がそれぞれフェライト単相組織、ベイナイト単相組織およびマルテンサイト単相組織であるフェライト鋼、ベイナイト鋼およびマルテンサイト鋼の熱延鋼板を用意した。これらを620℃で1時間焼戻した場合における、焼戻し前後での機械的特性の変化について調査した結果を図1に示す。
図1より明らかであるように、上記焼戻し条件の下、フェライト鋼では焼戻し前後においてTS(引張り強度)、EL(破断伸び)共に殆ど変化が観られないのに対し、ベイナイト鋼およびマルテンサイト鋼では、焼戻しによる引張り強度TSの値の上昇効果が認められ、特にベイナイト鋼においてその効果が著しい。更に、マルテンサイト鋼では焼戻し前後においてEL値に全く変化が観られないのに対し、ベイナイト鋼では焼戻し処理を施すことによりEL値に大きな改善が観られる。本現象は、620℃という温度でのベイナイト相中の炭化物形態の変化(M3C→MC)に対応するものであり、MCとM3Cの析出が競合する鋼種系においては、本発明の焼戻し条件下で、最終的にはMC析出が安定であることを示している。
なお、本発明の組成を有する鋼についても同様の現象が確認されている。
熱延鋼板の組織がベイナイト単相組織である場合において焼戻し後に機械的特性の向上効果が確認される理由は、ベイナイト中の微細炭化物が、セメンタイトからより微細なMX析出物に変化するためである。以上の結果より、ベイナイト単相組織の延性はフェライト単相組織には及ばないものの、ベイナイト単相組織に適切な焼戻し処理を施し、その機械的特性を制御することにより、強度−延性バランスに優れた組織が得られることがわかる。
次に、フェライト相および焼戻しベイナイト相中に存在するMX析出物に関し、優れた強度−延性バランスを有する熱延鋼板を得るために必要となるMX析出物の大きさ・析出状態、およびその製造方法について調査した。先に提示した特許文献1および特許文献2に記載のとおり、仕上げ圧延終了後の冷却工程において、オーステナイト→フェライト変態中にMX析出物を相界面析出させることによりフェライト相中のMX析出物の外径を10nm未満とすることが、フェライト相の強度−延性バランスを確保する上で有効であることは既知である。
一方、通常ベイナイト相はセメンタイト(Fe3Cの他、Feの一部が他の金属元素に置換したものを含むM3Cの析出物)の析出を伴うが、先述のとおり、ベイナイト相に適切な条件で焼戻し処理を施すことによりM3CはMCへと変化し、強度と延性の向上効果が得られる。ここで、強度と延性の向上効果が確認された焼戻し処理後のベイナイト単相組織について、TEM(透過電子顕微鏡)による組織観察を行った結果、焼戻し処理後のベイナイト単相組織には、母相と一定方位関係を有する整合析出した板状析出物が存在し、その外径はフェライト相中のMX析出物の外径と同じく10nm未満であることが確認された。
そこで、焼戻しベイナイト相とフェライト相とを含む複相組織であって、フェライト相および焼戻しベイナイト相が共に外径10nm未満のMX析出物を含有する熱延鋼板の製造方法について検討した。その結果、適正な組成範囲に制御した鋼を、オーステナイト温度域で仕上げ圧延を終了した後、オーステナイト相とフェライト相の二相域まで速やかに冷却し、極短時間保持後にベイナイト変態温度域に冷却して巻き取り、更に、従来よりも低温域(550〜650℃)において3時間程度の焼戻し処理を施すことにより、所望の複相組織を再現性よく得られることが明らかになった。また、上記方法により得られた熱延鋼板の主相はフェライト相であり、焼戻しベイナイト相の体積分率が30%以上45%以下であることを確認した。
なお、本発明においてMX析出物とは、金属元素MとしてTi、Nb、V、Mo、W等、XとしてCあるいはNもしくはこれらの両方により構成されるNaCl型の結晶構造を有する析出物であり、析出強化機構に最も有効な析出物はMCである。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨構成は次のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.10%以上0.16%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.5%以上1.8%以下、Al:0.5%以下およびN:0.001%以上0.005%以下を含有し、更に、Ti:0.14%以上0.2%以下およびNb:0.25%以上0.40%以下の少なくとも一種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、体積分率で30%以上45%以下の焼戻しベイナイト相と、フェライト相とを含む複相組織を有し、フェライト相および焼戻しベイナイト相は共に外径が10nm未満のMX析出物(但し、Mは金属元素、Xは炭素または窒素を意味する)を含有することを特徴とする熱延鋼板。
(2) 上記(1)に記載の熱延鋼板において、更にV:0.12%以上0.20%以下、Mo:0.25%以上0.40%以下 およびW:0.50%以上0.80%以下の中から選択される少なくとも一種以上を含有することを特徴とする熱延鋼板。
優れた延性を有する微細析出物を析出させたフェライト相を主相、組織強化を図る上で極めて有効なベイナイト相を第二相とする複相組織熱延鋼板に対し、適切な後熱処理(焼戻し処理)を施すことにより、合金元素量を抑制しつつも1180MPa以上の引張り強度と15%以上の破断伸びを有する、強度−延性バランスが極めて良好な熱延鋼板が得られる。
以下、本発明の鋼組成の限定理由、および組織分率の限定理由について説明する。また、本発明の鋼組織を得るための焼戻し条件については、鋼組成、熱延条件等によって変動するため一義的に特定することはできないが、一般的な好適条件を開示する。以下、鋼組成に関し、質量%を単に「%」と記す。
(鋼組成の限定理由)
C:0.10%以上0.16%以下
CはMX析出強化を実現する上で必須の元素である。特に、同時に含有するMX析出物形成元素を全量析出させるためには、これらMX析出物形成元素の合計と原子比で等量以上のCを含有する必要がある。また、フェライトを主相、ベイナイト相を第二相とする本発明においては、広いオーステナイト+フェライト二相域を確保し得るC含有量が必要である。但し、過剰な含有はスラブ再加熱温度域での未固溶MX析出物が増加するとともに、二相域でのMX析出物の粗大化を促進するため、C含有量の上限を0.16%とする。一方、C含有量の下限は、フェライト域においてMXの析出を確保する観点から0.10%とした。
Si:0.5%以下、Al:0.5%以下
SiおよびAlは製鋼時の脱酸元素として有効である上、フェライト中に固溶して鋼強度を向上させるため、含有することが望ましい。しかしながら、SiおよびAlの含有量がそれぞれ0.5%を超えると、変態温度が上昇し、圧延後の二相域温度を確保することが困難となるため、SiおよびAlの含有量の上限を0.5%とする。
Mn:0.5%以上1.8%以下
Mnは、固溶強化による母相の強度向上に有効である上、オーステナイト安定化元素として鋼の変態点制御に欠かせない元素である。また、本発明においてMnは、オーステナイト相とフェライト相の二相域を確保する上で極めて重要な元素である。しかしながら、1.8%超の含有はA3変態点の低下を招き、オーステナイトからフェライトへの変態時におけるMXの相界面析出が抑制され、フェライト相の析出強化が不十分となるため、Mn含有量の上限を1.8%とした。
N:0.001%以上0.005%以下
NもMX析出強化を実現する上で有効な元素であるが、一般にオーステナイト域で安定なMN析出物を形成する傾向が強く、この安定なMN析出物はスラブ加熱温度域でのオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制する重要な役割を果たす。これらの効果は、TiやNbなどのMX形成元素を含有する限りにおいてはNを0.001%以上含有すれば十分に得られる。一方、過剰なNの含有は多量のMX形成元素を窒化物として固着してしまい、本発明で活用する極微細MX析出物の析出量を相対的に低下させてしまう。このため、N含有量の上限は一般的な製鋼プロセスで達成可能な0.005%以下程度に抑制する。
Ti:0.14%以上0.2%以下およびNb:0.25%以上0.40%以下の少なくとも一種
TiはMXの微細析出物により析出強化を達成するのに必須の元素であり、特にオーステナイト域で非常に安定なTiNを形成し、オーステナイト結晶粒の粗大化抑制に有効に働く。Ti含有量の下限は、N含有量に応じて原子比でNと同等以上とすることが必須である。このため、N含有量の上限を0.005%とする本発明鋼種では0.02%程度は必須となる。更に、熱延後の炭化物を主体とするMXを効果的に析出させる場合においては、TiやNbは他のMX形成元素に比して圧倒的に有効な元素であり、特にTiはコスト的にも最も優位な元素である。しかしながら、Cに対して原子比で等量のTiを含有した場合、その非常に強い炭化物形成能のためにスラブ製造段階で粗大なTiCを形成し、スラブ再加熱時の溶体化が困難になる。特に本発明鋼種のように変態組織を利用するC含有量が高い鋼種においては、C含有量の30%程度を固定する程度の原子比でTiを含有することが望ましい。以上の理由により、微細MX析出促進効果が得られる範囲として0.14%以上0.20%以下とした。また、Tiの代わりに、或いは、Tiと共にNbを含有することも可能であり、この場合には上記Tiと同様の理由によりNbの含有量を0.25%以上0.40%以下とする。なお、TiとNbを共に含有する場合には、TiとNbの合計含有量をTi+Nb:0.2%以上0.3%以下とすることが好ましい。
更に、上記基本成分に加えて、必要に応じて以下の元素を含有することができる。
V:0.12%以上0.20%以下、Mo:0.25%以上0.40%以下およびW:0.50%以上0.80%以下の中から選択される少なくとも一種
MX析出物の形成を促進し、本発明鋼の必須元素であるTiまたはNbに加えて、V、Mo、Wを含有することも、MXの微細析出物による析出強化を図る上で有効である。これらの元素はTiやNbが含有されていない鋼において、単独でのMX析出物形成能は小さいものの、MXの微細析出物の析出総量を高める元素としては極めて有効である。これらの元素もC含有量の30%を固定するのに必要な程度の原子比で含有することが望ましく、各々の含有量は、例えばVの場合0.12%以上0.20%以下、Moの場合0.25%以上0.40%以下およびWの場合0.50%以上0.80%以下である。
(焼戻しベイナイト組織分率の限定理由)
次に、フェライトに対する焼戻しベイナイト相の体積分率を30%以上45%以下に限定した理由について説明する。0.15質量%C-0.3Si質量%-1.5Mn質量%-0.12Ti質量%-0.18V質量%を主要成分とする鋼を、熱間圧延後の中間保持温度を675℃〜780℃の間で変化させ、最終巻き取り温度:880℃、焼戻し条件:600℃×2hで二相組織熱延鋼板とし、この熱延鋼板からL方向(圧延方向)の試験片を作製して機械的特性TSおよび破断伸びELを測定した。焼戻し後ベイナイト相の体積分率については、L断面(試料を圧延方向に平行に切断した断面)の研磨試料を3%硝酸−メタノール溶液でエッチングし、3000倍のSEM(走査型電子顕微鏡)組織写真5視野について焼戻しベイナイト相の面積率の平均値を求め、この面積率から換算した。その結果、図2に示すように、焼戻しベイナイト相の体積分率が高くなると共にTSは上昇し、ELは減少しており、TS≧1180MPa、EL≧15%を満足する熱延鋼板における焼戻しベイナイト相の体積分率は、30%以上45%以下であることが明らかになった。したがって、本発明における熱延鋼板の焼戻しベイナイト組織分率を、体積分率で30%以上45%以下に限定した。
(焼戻しベイナイト相とフェライト相の双方中におけるMX析出物の限定理由)
本発明においては、フェライト相と焼戻しベイナイト相の双方に、外径10nm未満のMX析出物をともに析出させることが重要である。前述のように、主相はフェライト相であり、フェライト相強化のためには炭化物を主体とするMX析出物の微細分散が好ましいのは従前のとおりであり、本発明においてはプロセス上、熱間仕上げ圧延終了後の冷却工程におけるγ→α変態に伴う相界面析出現象によってこの状態を実現することができる。一方、第2相のベイナイト相はそのままでは、M3Cを含有しており、このままでは十分な強度と伸びを達成できない。しかしながら、ベイナイト相を低温域で適切に焼戻すことにより、既析出のM3Cの全量もしくは一部がより微細なMX析出物に変化し、強度と伸びの向上が初めて図られる。また、TS≧1180MPa、EL≧15%を満足する図2の熱延鋼板について、焼戻しベイナイト相に含まれる析出物をTEM観察したところ、外径が10nm未満のMX析出物が確認された。このため、本発明では鋼を構成する主相フェライト並びに第2相ベイナイト双方に外径10nm未満のMX析出物を存在させることが重要である。
なお、本発明において活用するMX析出物は、NaCl型の結晶構造を有し、一般的にフェライトもしくはベイナイト相に対してBaker-Nuttingの方位関係で析出するものであり、その結晶学的な制約により、析出初期には球状ではなく、最大厚み2nm程度の板状もしくは円板状形態を呈する。このため、析出物のサイズを特定する上では、円板直径もしくは、板状の対角線長さを析出物の外径と定義する。
本発明鋼の組織を得るための製造方法(焼戻し条件)としては、一例として以下の方法が挙げられる。先述の成分組成を有する鋼を溶製して鋼片(インゴット、スラブ、薄スラブを含む)とし、オーステナイト単相域で熱間圧延を終了した後、フェライト+オーステナイト二相域まで速やかに冷却し、極短時間保持後にベイナイト変態温度域に冷却する。次いで、ベイナイト組織の強度を調整するための焼戻し温度域に再加熱保持後、空冷によって熱延鋼板とする。また、オーステナイト+フェライト二相域で熱間圧延を終了し、速やかにベイナイト変態温度域に冷却した後、焼戻し処理を施しても良い。
(鋼片加熱条件)
鋼スラブなどの鋼片は、一旦冷却後に所定温度(スラブ加熱温度)に再加熱してから熱間圧延を施す場合、或いは、鋼片が前記所定温度より低温となる前に直ちに熱間圧延を施す場合の何れであってもよい。また、鋼片が完全に冷却する前に前記所定温度まで短時間加熱して熱間圧延を施してもよい。スラブ加熱温度は炭化物を再固溶させるため(或いは析出成長させないため)、1100〜1200℃程度が好適である。また、未固溶Ti系炭化物を残存させないためには、この温度での保持時間は30分以上とすることが望ましい。
(仕上げ圧延終了温度)
仕上げ圧延終了温度の最適化は、伸びおよび伸びフランジ性の確保と圧延荷重を低減する上で重要であり、本発明においては700℃〜900℃とすることが望ましい。700℃未満では実質的にフェライト単相となり、第二相による組織強化を活用することができない。また、熱延中においてMXの歪誘起析出によってMXが粗大化し易く、フェライト粒の析出強化も不十分となる。一方、圧延温度の上昇に伴い圧延時の荷重が低下して加工性は安定化する。また、オーステナイト単相域またはオーステナイト+フェライト二相域で熱延を終了することで、オーステナイト相からフェライト相への変態時の相界面析出によってMX析出物の微細分散が実現する。更に、仕上げ圧延終了後、速やかにベイナイト変態温度域に過冷することにより未変態オーステナイト領域がベイナイト変態する。但し、一般的な製造ラインで高温の仕上げ圧延温度を確保することは容易でないことから、上限温度をオーステナイト単相域でも低めの900℃とすることが望ましい。
(仕上げ圧延終了後の冷却条件)
本発明では、主相フェライト組織中にMX析出物を微細分散させると共に、本発明の第二相を得るためのベイナイト相を確保することが必須である。そのため、オーステナイト単相域で圧延を終了した場合には、オーステナイト+フェライト二相域まで空冷して極短時間保持後、十分な冷却速度でMs点以上Bs点以下に冷却して未変態オーステナイト領域をベイナイト相とする必要がある。一方、オーステナイト+フェライト二相域で圧延を終了した場合には、速やかに冷却してベイナイト相とすることが重要である。なお、実際の製造性を考慮すると、オーステナイト単相域で熱間仕上げ圧延を終了した後、水量制御によって冷却速度を変化させて所望の二相組織を得ることが望ましい。
(焼戻し条件)
主相フェライト+焼戻しベイナイト相の複相組織を実現するためには、仕上げ圧延終了後Bs点以下に過冷された鋼板に適切な条件で焼戻し処理を施す必要があるが、その条件は600〜650℃×3h以内とすることが望ましい。焼戻し温度が600℃未満ではベイナイト組織中でセメンタイトの析出が優先し、本発明の効果を奏するための必須要件、すなわち、焼戻しベイナイト相中に整合析出させるべきMX析出物の形成が困難となる。一方、焼戻し温度が650℃を超えると、フェライト相内の微細なMX析出物が粗大化して強度低下を招く。また、焼戻し時間は焼戻し温度に依存するが、焼戻し温度が下限温度600℃である場合においても、焼戻し温度に3h以上保持することは生産効率の著しい低下を招く。なお、焼戻し処理は、オンラインでの巻き取り処理、または巻き取り後のバッチ焼鈍の何れかで実施すればよい。
本発明の熱延鋼板には、表面処理や表面被覆処理を施したものも含む。特に、本発明の熱延鋼板は溶融亜鉛系めっき被膜を形成した表面処理鋼板の下地鋼板として好適である。すなわち、本発明の熱延鋼板は良好な加工性を有することから、溶融亜鉛系めっき被膜を形成しても良好な加工性を維持することができる。ここで、溶融亜鉛系めっきとは、亜鉛および亜鉛を主体とした(約80質量%以上の亜鉛を含有する)溶融めっきであり、亜鉛の他にAl、Crなどの合金元素を含んだものも含む。また、溶融亜鉛系めっきを施したままのものも、めっき後に合金化処理を施したものも含む。
表1に示す成分組成を有する鋼片を、1100〜1250℃に加熱し、熱間圧延工程によって仕上げ圧延終了温度800℃で板厚3.5mmとする圧延を施した後、730℃まで空冷して5s保持後、380℃まで急冷した。その後、この鋼板を600℃〜650℃の加熱炉に挿入し、1〜3h保持したのち、加熱炉から取り出して空冷した。
Figure 0005386961
得られた鋼板を酸洗後、L断面組織の光学顕微鏡観察およびTEMによる析出物観察を行った。TEM観察には鋼板の板厚1/4位置から試料を採取し、電解研磨による薄膜試料を調整し、フェライト内および焼戻しベイナイト内のMX析出物の析出状況を観察した。ベイナイト相の体積分率は、先述のSEM組織写真より求められるベイナイト相の面積率から換算した。
また、上記鋼板の機械的特性に関しては、JIS Z 2201板状試験片13A号の規定に従い圧延方向の引張り試験片を作製し、JIS Z 2241 引張り試験方法により引張り強度および破断伸びを測定した。また、フェライト相および焼戻しベイナイト相中への微細MX析出物(外径が10nm未満のMX析出物)の有無については、TEM観察により確認した。具体的には、各試料から電解研磨法により薄膜試料を作製し、フェライト相および焼戻しベイナイト相の[001]晶帯軸入射からの観察により、微細MX析出物の有無を確認した。
表2に結果を示す。表2の微細MX析出物の観察結果ついては、観察した視野内に存在する析出物のうちの80%以上が外径10nm未満である場合を「○」とした。
Figure 0005386961
表2に示すとおり、焼戻しベイナイト相分率、MX析出物の外径が適正範囲にある本発明鋼は、1180MPa以上の引張り強度と15%以上の破断伸びとを兼ね備え、強度−延性バランスに優れた機械的特性を有する。
特に、軽量化、製造コスト低減の観点で、更なる高強度・高成形性鋼板の安定的製造が望まれる中、本発明が提供する析出強化型複相熱延鋼板は、特に自動車分野等において強度と共に成形性が要求される部材用の素材として利用できる。
(a)及び(b)は、それぞれ焼戻し処理前後におけるフェライト鋼、ベイナイト鋼およびマルテンサイト鋼の引張強さ及び伸びの変化を示す図である。 主相であるフェライト相に対する焼戻しベイナイト相の体積分率が、鋼の引張り強度TSおよび伸びELに及ぼす影響を示す図である。 本発明鋼の加工熱処理プロセスを示す図である。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C:0.10%以上0.16%以下、
    Si:0.5%以下、
    Mn:0.5%以上1.8%以下、
    Al:0.5%以下および
    N:0.001%以上0.005%以下
    を含有し、更に、
    Ti:0.14%以上0.2%以下およびNb:0.25%以上0.40%以下の少なくとも一種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、体積分率で30%以上45%以下の焼戻しベイナイト相と、フェライト相とを含む複相組織を有し、フェライト相および焼戻しベイナイト相は共に外径が10nm未満のMX析出物(但し、Mは金属元素、Xは炭素または窒素を意味する)を含有することを特徴とする熱延鋼板。
  2. 請求項1に記載の熱延鋼板において、更に
    V:0.12%以上0.20%以下、
    Mo:0.25%以上0.40%以下および
    W:0.50%以上0.80%以下
    の中から選択される少なくとも一種以上を含有することを特徴とする熱延鋼板。
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