以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係る回路基板の製造方法について説明する。図1は、本発明に係る回路基板の製造方法における各工程を説明するための模式断面図である。
はじめに、図1(a)に示すように、絶縁基材1の表面に樹脂被膜2を形成させる。なお、この工程は、被膜形成工程に相当する。
次に、図1(b)に示すように、前記樹脂被膜2の外表面を基準として前記樹脂被膜2の厚み分を超える深さの凹部を形成して回路溝3を形成させる。また、前記回路溝3によって、後述する無電解めっきによって無電解めっき膜6が形成される部分、すなわち、電気回路7が形成される部分が規定される。また、回路溝3には、電気回路6のうち細線状のライン部9を形成するための回路溝3と、表面実装部品(図示省略)を実装するパッド部8を形成するための回路溝3とが含まれ、前者の回路溝3を浅く、後者の回路溝3を深く形成する。これにより、ライン部9に比べて面積の広いパッド部8を絶縁基材1から剥離しにくくすることができるものである。なお、この工程は、回路溝形成工程に相当する。
次に、図1(c)に示すように、前記回路溝3の表面及び前記回路溝3が形成されなかった前記樹脂被膜2の表面にめっき触媒又はその前駆体5を被着させる。なお、この工程は、触媒被着工程に相当する。
次に、図1(d)に示すように、前記絶縁基材1から前記樹脂被膜2を除去させる。そうすることによって、前記絶縁基材1の、前記回路溝3が形成された部分の表面にのみめっき触媒又はその前駆体5を残留させることができる。一方、前記樹脂被膜2の表面に被着されためっき触媒又はその前駆体5は、前記樹脂被膜2に担持された状態で、前記樹脂被膜2とともに除去される。なお、この工程は、被膜除去工程に相当する。
次に、前記樹脂被膜2が除去された絶縁基材1に無電解めっきを施す。そうすることによって、前記めっき触媒又はその前駆体5が残存する部分にのみ無電解めっき膜6が形成される。すなわち、図1(e)に示すように、前記回路溝3が形成された部分に、電気回路7となる無電解めっき膜6が形成される。そして、この電気回路7は、この無電解めっき膜6からなるものであってもよいし、前記無電解めっき膜6にさらに無電解めっき(フィルアップめっき)を施して、さらに厚膜化させたものであってもよい。具体的には、例えば、図1(e)に示すように、前記回路溝3全体を埋めるように無電解めっき膜6からなる電気回路7を形成させ、前記絶縁基材1と前記電気回路7との段差をなくすようにするのが好ましいが、図2(e)に示すように段差があってもよい。この場合、前記絶縁基材1の外表面と前記電気回路7(特にパッド部8)の表面との段差(高低差)は0〜4μmであることが好ましい。パッド部8の厚みは略均一であることが好ましい。これにより、表面実装部品(図示省略)を傾くことなく安定的に実装することができるものである。また、図2(e)に示すように、ライン部9の厚みとパッド部8の厚みは略等しいことが好ましい。電気回路7の厚みが略均一であることによって、インピーダンスの設計をすることが比較的容易になるものである。なお、この工程は、めっき処理工程に相当する。
上記各工程によって、図1(e)に示すような回路基板10が形成される。このように形成された回路基板10は、前記絶縁基材1上に高精度に前記電気回路7が形成されたものである。具体的には、この回路基板10は、絶縁基材1に電気回路7を露出するように埋設して形成されたものであり、前記電気回路7のパッド部8の最も厚い部分の厚みと最も薄い部分の厚みとの差が最も厚い部分の厚みに対して20%以下(下限は0%)となっている。このように、パッド部8の表面が略平坦であることによって、表面実装部品を傾くことなく安定的に実装することができるものである。
以下、本実施形態の各構成について、説明する。
<被膜形成工程>
被膜形成工程は、上述したように、絶縁基材1の表面に樹脂被膜2を形成させる工程である。
(絶縁基材)
前記被膜形成工程において用いる絶縁基材1は、回路基板10の製造に用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、樹脂を含む樹脂基材等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、回路基板10の製造に用いられうる各種有機基板を構成する樹脂であれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、回路基板10の製造に用いられうる各種有機基板を構成するエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、難燃性を付与するために、臭素化又はリン変性した、上記エポキシ樹脂、窒素含有樹脂、シリコーン含有樹脂等も挙げられる。また、前記エポキシ樹脂としては、上記各エポキシ樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記各樹脂で絶縁基材1を構成する場合、一般的に、硬化させるために、硬化剤を含有させる。前記硬化剤としては、硬化剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ジシアンジアミド、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミノトリアジンノボラック系硬化剤、シアネート樹脂等が挙げられる。前記フェノール系硬化剤としては、例えば、ノボラック型、アラルキル型、テルペン型等が挙げられる。さらに難燃性を付与するため、リン変性したフェノール樹脂、リン変性したシアネート樹脂等も挙げられる。また、前記硬化剤としては、上記各硬化剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、特に限定されないが、レーザ加工により回路溝3を形成する場合には、100〜400nm波長領域でのレーザ光の吸収率が良い樹脂等を用いるのが好ましい。例えば、ポリイミド樹脂等を挙げることができる。
また、前記絶縁基材1には、フィラーを含有していてもよい。前記フィラーとしては、無機微粒子であっても、有機微粒子であってもよく、特に限定されない。フィラーを含有することで、レーザ加工部にフィラーが露出し、フィラーの凹凸によるめっきと樹脂との密着性をあげることが可能である。
前記無機微粒子を構成する材料としては、具体的には、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリカ(SiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化チタン(TiO2)等の高誘電率充填材;ハードフェライト等の磁性充填材;水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、水酸化アルミニウム(Al(OH)2)、三酸化アンチモン(Sb2O3)、五酸化アンチモン(Sb2O5)、グアニジン塩、ホウ酸亜鉛、モリブテン化合物、スズ酸亜鉛等の無機系難燃剤;タルク(Mg3(Si4O10)(OH)2)、硫酸バリウム(BaSO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、雲母等が挙げられる。前記無機微粒子としては、上記無機微粒子を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの無機微粒子は、熱伝導性、比誘電率、難燃性、粒度分布、色調の自由度等が高いことから、所望の機能を選択的に発揮させる場合には、適宜配合及び粒度設計を行って、容易に高充填化を行うことができる。また特に限定されないが、絶縁基材1の厚み以下の平均粒径のフィラーを用いるのが好ましく、平均粒径0.01〜10μmのフィラーを用いるのがより好ましく、平均粒径0.05〜5μmのフィラーを用いるのが最も好ましい。
また、前記無機微粒子は、前記絶縁基材1中での分散性を高めるために、シランカップリング剤で表面処理してもよい。また、前記絶縁基材1は、前記無機微粒子の、前記絶縁基材1中での分散性を高めるために、シランカップリング剤を含有してもよい。前記シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、エポキシシラン系、メルカプトシラン系、アミノシラン系、ビニルシラン系、スチリルシラン系、メタクリロキシシラン系、アクリロキシシラン系、チタネート系等のシランカップリング剤等が挙げられる。前記シランカップリング剤としては、上記シランカップリング剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記絶縁基材1は、前記無機微粒子の、前記絶縁基材1中での分散性を高めるために、分散剤を含有してもよい。前記分散剤としては、具体的には、例えば、アルキルエーテル系、ソルビタンエステル系、アルキルポリエーテルアミン系、高分子系等の分散剤等が挙げられる。前記分散剤としては、上記分散剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記有機微粒子としては、具体的には、例えば、ゴム微粒子等が挙げられる。
また、前記絶縁基材1の形態としては、特に限定されない。具体的には、シート、フィルム、プリプレグ、及び三次元形状の成形体等が挙げられる。前記絶縁基材1の厚みは、特に限定されない。具体的には、シート、フィルム、プリプレグの場合には、例えば、10〜200μmであることが好ましく、20〜100μm程度であることがより好ましい。また、前記絶縁基材1としては、シリカ粒子等の無機微粒子を含有してもよい。
(樹脂被膜)
前記樹脂被膜2は、前記被膜除去工程で除去可能なものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、有機溶剤やアルカリ溶液により容易に溶解しうる可溶型樹脂や、後述する所定の液体(膨潤液)で膨潤しうる樹脂からなる膨潤性樹脂被膜2等が挙げられる。これらの中では、正確な除去が容易である点から膨潤性樹脂被膜2が特に好ましい。また、前記膨潤性樹脂被膜2としては、例えば、前記液体(膨潤液)に対する膨潤度が50%以上であることが好ましい。なお、前記膨潤性樹脂被膜2には、前記液体(膨潤液)に対して実質的に溶解せず、膨潤により前記絶縁基材1表面から容易に剥離するような樹脂被膜2だけではなく、前記液体(膨潤液)に対して膨潤し、さらに少なくとも一部が溶解し、その膨潤や溶解により前記絶縁基材1表面から容易に剥離するような樹脂被膜2や、前記液体(膨潤液)に対して溶解し、その溶解により前記絶縁基材1表面から容易に剥離するような樹脂被膜2も含まれる。
前記樹脂被膜2の形成方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、前記絶縁基材1の表面に、樹脂被膜2を形成しうる液状材料を塗布した後、乾燥させる方法や、支持基板に前記液状材料を塗布した後、乾燥することにより形成される樹脂被膜2を絶縁基材1の表面に転写する方法等が挙げられる。なお、液状材料を塗布する方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、従来から知られたスピンコート法やバーコータ法等が挙げられる。
前記樹脂被膜2の厚みとしては、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。一方、前記樹脂被膜2の厚みとしては、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。前記樹脂被膜2の厚みが厚すぎる場合には、前記回路溝形成工程におけるレーザ加工又は機械加工によって形成される回路溝の精度が低下する傾向がある。また、前記樹脂被膜2の厚みが薄すぎる場合は、均一な膜厚の樹脂被膜2を形成しにくくなる傾向がある。
次に、前記樹脂被膜2として好適な膨潤性樹脂被膜2を例に挙げて説明する。
前記膨潤性樹脂被膜2としては、膨潤液に対する膨潤度が50%以上である樹脂被膜2が好ましく用いられうる。さらに、膨潤液に対する膨潤度が100%以上である樹脂被膜2がより好ましい。なお、前記膨潤度が低すぎる場合には、前記被膜除去工程において膨潤性樹脂被膜2が剥離しにくくなる傾向がある。
前記膨潤性樹脂被膜2の形成方法は、特に限定されず、上述した樹脂被膜2の形成方法と同様の方法であればよい。具体的には、例えば、前記絶縁基材1の表面に、膨潤性樹脂被膜2を形成しうる液状材料を塗布した後、乾燥させる方法や、支持基板に前記液状材料を塗布した後、乾燥することにより形成される膨潤性樹脂被膜2を絶縁基材1の表面に転写する方法等が挙げられる。
前記膨潤性樹脂被膜2を形成しうる液状材料としては、例えば、エラストマーのサスペンジョン又はエマルジョン等が挙げられる。前記エラストマーの具体例としては、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体等のジエン系エラストマー、アクリル酸エステル系共重合体等のアクリル系エラストマー、及びポリエステル系エラストマー等が挙げられる。このようなエラストマーによれば、サスペンジョン又はエマルジョンとして分散されたエラストマー樹脂粒子の架橋度又はゲル化度等を調整することにより所望の膨潤度の膨潤性樹脂被膜2を容易に形成することができる。
また、前記膨潤性樹脂被膜2としては、特に、膨潤度が膨潤液のpHに依存して変化するような被膜であることが好ましい。このような被膜を用いた場合には、前記触媒被着工程における液性条件と、前記被膜除去工程における液性条件とを異なるものにすることにより、触媒被着工程におけるpHにおいては膨潤性樹脂被膜2は絶縁基材1に対する高い密着力を維持し、被膜除去工程におけるpHにおいては容易に膨潤性樹脂被膜2を剥離させることができる。
さらに具体的には、例えば、前記触媒被着工程が、例えば、pH1〜3の範囲の酸性めっき触媒コロイド溶液(酸性触媒金属コロイド溶液)中で処理する工程を備え、前記被膜除去工程がpH12〜14の範囲のアルカリ性溶液中で膨潤性樹脂被膜2を膨潤させる工程を備える場合には、前記膨潤性樹脂被膜2は、前記酸性めっき触媒コロイド溶液に対する膨潤度が60%以下、さらには40%以下であり、前記アルカリ性溶液に対する膨潤度が50%以上、さらには100%以上、さらには500%以上であるような樹脂被膜2であることが好ましい。
このような膨潤性樹脂被膜2の例としては、所定量のカルボキシル基を有するエラストマーから形成されるシートや、プリント配線板のパターニング用のドライフィルムレジスト(以下、DFRとも呼ぶ)等に用いられる光硬化性のアルカリ現像型のレジストを全面硬化して得られるシートや、熱硬化性やアルカリ現像型シート等が挙げられる。
カルボキシル基を有するエラストマーの具体例としては、カルボキシル基を有するモノマー単位を共重合成分として含有することにより、分子中にカルボキシル基を有する、スチレン−ブタジエン系共重合体等のジエン系エラストマー;アクリル酸エステル系共重合体等のアクリル系エラストマー;及びポリエステル系エラストマー等が挙げられる。このようなエラストマーによれば、サスペンジョン又はエマルジョンとして分散されたエラストマーの、酸当量,架橋度またはゲル化度等を調整することにより所望のアルカリ膨潤度を有する膨潤性樹脂被膜2を形成することができる。エラストマー中のカルボキシル基はアルカリ水溶液に対して膨潤性樹脂被膜2を膨潤させて、絶縁基材1表面から膨潤性樹脂被膜2を剥離する作用をする。また、酸当量とは、1当量のカルボキシル基当たりのポリマー重量である。
カルボキシル基を有するモノマー単位の具体例としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、及びマレイン酸無水物等が挙げられる。
このようなカルボキシル基を有するエラストマー中のカルボキシル基の含有割合としては、酸当量で100〜2000、さらには100〜800であることが好ましい。酸当量が小さすぎる場合には、溶媒または他の組成物との相溶性が低下することにより、めっき前処理液に対する耐性が低下する傾向がある。また、酸当量が大きすぎる場合には、アルカリ水溶液に対する剥離性が低下する傾向がある。
また、エラストマーの分子量としては、1万〜100万、さらには、2万〜6万であることが好ましい。エラストマーの分子量が大きすぎる場合には剥離性が低下する傾向があり、小さすぎる場合には粘度が低下するために膨潤性樹脂被膜2の厚みを均一に維持することが困難になるとともに、めっき前処理液に対する耐性も悪化する傾向がある。
また、DFRとしては、所定量のカルボキシル基を含有する、アクリル系樹脂;エポキシ系樹脂;スチレン系樹脂;フェノール系樹脂;ウレタン系樹脂等を樹脂成分とし、光重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物のシートが用いられうる。このようなDFRの具体例としては、特開2000−231190号公報、特開2001−201851号公報、特開平11−212262号公報に開示されたような光重合性樹脂組成物のドライフィルムを全面硬化させて得られるシートや、アルカリ現像型のDFRとして市販されている、例えば、旭化成株式会社製のUFGシリーズ等が挙げられる。
さらに、その他の膨潤性樹脂被膜2の例としては、カルボキシル基を含有する、ロジンを主成分とする樹脂(例えば、吉川化工株式会社製の「NAZDAR229」)やフェノールを主成分とする樹脂(例えば、LEKTRACHEM社製「104F」)等が挙げられる。
膨潤性樹脂被膜2は、絶縁基材1表面に樹脂のサスペンジョン又はエマルジョンを従来から知られたスピンコート法やバーコータ法等の塗布手段を用いて塗布した後、乾燥する方法や、支持基板に形成されたDFRを真空ラミネータ等を用いて絶縁基材1表面に貼りあわせた後、全面硬化することにより容易に形成することができる。
また、前記樹脂被膜2としては、上記のものに加えて、以下のようなものが挙げられる。例えば、前記樹脂被膜2を構成するレジスト材料としては、以下のようなものが挙げられる。
前記樹脂被膜2を構成するレジスト材料に必要な特性としては、例えば、(1)後述の触媒被着工程で、樹脂被膜2が形成された絶縁基材1を浸漬させる液体(めっき核付け薬液)に対する耐性が高いこと、(2)後述の被膜除去工程、例えば、樹脂被膜2が形成された絶縁基材1をアルカリに浸漬させる工程によって、樹脂被膜2(レジスト)が容易に除去できること、(3)成膜性が高いこと、(4)ドライフィルム(DFR)化が容易なこと、(5)保存性が高いこと等が挙げられる。
めっき核付け薬液としては、後述するが、例えば、酸性Pd−Snコロイドキャタリストシステムの場合、全て酸性(pH1〜2)水溶液である。また、アルカリ性Pdイオンキャタリストシステムの場合は、触媒付与アクチベーターが弱アルカリ(pH8〜12)であり、それ以外は酸性である。以上のことから、めっき核付け薬液に対する耐性としては、pH1〜11、好ましくはpH1〜12に耐えることが必要である。なお、耐えうるとは、レジストを成膜したサンプルを薬液に浸漬した際、レジストの膨潤や溶解が充分に抑制され、レジストとしての役割を果たすことである。また、浸漬温度は、室温〜60℃、浸漬時間は、1〜10分間、レジスト膜厚は、1〜10μm程度が一般的であるが、これらに限定されない。
被膜除去工程に用いるアルカリ剥離の薬液としては、後述するが、例えば、NaOH水溶液や炭酸ナトリウム水溶液が一般的である。そのpHは、11〜14であり、好ましくはpH12から14でレジスト膜が簡単に除去できることが望ましい。NaOH水溶液濃度は、1〜10%程度、処理温度は、室温〜50℃、処理時間は、1〜10分間で、浸漬やスプレイ処理をすることが一般的であるが、これらに限定されない。
絶縁材料上にレジストを形成するため、成膜性も重要となる。はじき等がない均一性な膜形成が必要である。また、製造工程の簡素化や材料ロスの低減等のためにドライフィルム化されるが、ハンドリング性を確保するためにフィルムの屈曲性が必要である。また絶縁材料上にドライフィルム化されたレジストをラミネーター(ロール、真空)で貼り付ける。貼り付けの温度は、室温〜160℃、圧力や時間は任意である。このように、貼り付け時に粘着性が求められる。そのために、ドライフィルム化されたレジストはゴミの付着防止も兼ねて、キャリアフィルム、カバーフィルムでサンドイッチされた3層構造にされることが一般的であるが、これらに限定されない。
保存性は、室温での保存できることがもっとも良いが、冷蔵、冷凍での保存ができることも必要である。このように低温時にドライフィルムの組成が分離したり、屈曲性が低下して割れたりしないようにすることが必要である。
レジスト材料の樹脂組成は、メイン樹脂(バインダー樹脂)を必須成分とし、オリゴマー、モノマー、フィラーやその他添加剤の少なくとも1種類を添加してもよい。
また、前記樹脂被膜2としては、(a)分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有するカルボン酸又は酸無水物の少なくとも1種類以上の単量体と(b)前記(a)単量体と重合しうる少なくとも1種類以上の単量体を重合させることで得られる重合体樹脂又は前記重合体樹脂を含む樹脂組成物からなるものが挙げられる。
前記樹脂組成物としては、メイン樹脂として前記重合体樹脂を必須成分とし、オリゴマー、モノマー、フィラーやその他添加剤の少なくとも1種類を添加してもよい。メイン樹脂は熱可塑的性質を持ったリニア型のポリマーが良い。流動性、結晶性などをコントロールするためにグラフトさせて枝分かれさせることもある。その分子量としては、数平均分子量で1000〜500000程度であり、5000〜50000が好ましい。分子量が小さすぎると、膜の屈曲性やめっき核付け薬液耐性(耐酸性)が低下する傾向がある。また、分子量が大きすぎると、アルカリ剥離性やドライフィルムにした場合の貼り付け性が悪くなる傾向がある。さらに、めっき核付け薬液耐性向上やレーザー加工時の熱変形抑制、流動制御のために架橋点を導入してもよい。
メイン樹脂の組成としては、(a)分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有するカルボン酸または酸無水物の単量体と(b)(a)単量体と重合しうる単量体を重合させることで得られる。公知技術としては、例えば、特開平7−281437号公報、特開2000−231190号公報、及び特開2001−201851号公報に記載のもの等が挙げられる。(a)の一例として、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル、アクリル酸ブチル等が挙げられ、単独、もしくは2種類以上を組み合わせても良い。(b)の例としては、非酸性で分子中に重合性不飽和基を(一個)有するものが一般的であり、その限りではない。めっき工程での耐性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert.−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。また、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類や(メタ)アクリロニトリル、スチレンまたは重合可能なスチレン誘導体等が挙げられる。また、上記の重合性不飽和基を分子中に一個有するカルボン酸または酸無水物のみの重合によっても得ることができる。さらには、3次元架橋できるように、重合体に用いる単量体に複数の不飽和基を持つ単量体を選定する、分子骨格にエポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、ビニル基などの反応性官能基を導入することができる。樹脂中にカルボキシル基が含まれる場合、樹脂中に含まれるカルボキシル基の量は、酸当量で100〜2000が良く、100〜800が好ましい。ここで酸当量とはその中に1当量のカルボキシル基を有するポリマーの重量をいう。その酸当量が低すぎる場合、溶媒または他の組成物との相溶性の低下やめっき前処理液耐性が低下する傾向がある。また、酸当量が高すぎる場合、剥離性が低下する傾向がある。また、(a)単量体の組成比率は、5〜70重量%である。
モノマーやオリゴマーとしては、めっき核付け薬液への耐性やアルカリで容易に除去できるようなものであれば何でも良い。またドライフィルム(DFR)の貼り付け性を向上させるために粘着性付与材として可塑剤的に用いることが考えられる。さらに各種耐性をあげるための架橋剤を添加してもよい。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert.−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。また、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類や(メタ)アクリロニトリル、スチレンまたは重合可能なスチレン誘導体等も挙げられる。また、上記の重合性不飽和基を分子中に一個有するカルボン酸または酸無水物のみの重合によっても得ることができる。さらに、多官能性不飽和化合物を含んでも良い。上記のモノマーもしくはモノマーを反応させたオリゴマーのいずれでも良い。上記のモノマー以外に他の光重合性モノマーを二種類以上含むことも可能である。このモノマーの例としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、ウレタン基を含有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記のモノマーもしくはモノマーを反応させたオリゴマーのいずれでも良い。
さらに、フィラーを含有してもよい。フィラーは特に限定されないが、具体的には、例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、酸化亜鉛、タルク、マイカ、ガラス、チタン酸カリウム、ワラストナイト、硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、有機フィラー等が挙げられる。またレジストの厚みは、一般的に1〜10μmと薄いため、フィラーサイズも小さいものが好ましい。平均粒径が小さく、粗粒をカットしたものを用いることが良いが、分散時に砕いたり、ろ過で粗粒を除去することもできる。
その他の添加剤としては、例えば、光重合性樹脂(光重合開始剤)、重合禁止剤、着色剤(染料、顔料、発色系顔料)、熱重合開始剤、エポキシやウレタンなどの架橋剤等が挙げられる。
本発明のプリント板加工プロセスでは、例えば、レーザ加工が用いられる場合があるが、レーザ加工の場合、レジスト材料にレーザによるアブレーション性を付与することが必要である。レーザ加工機は、例えば、炭酸ガスレーザーやエキシマレーザー、UV−YAGレーザなどが選定される。これらのレーザ加工機は、種々の固有の波長を持っており、この波長に対して吸収率の高い材料にすることで、生産性を向上させることができる。そのなかでもUV−YAGレーザは微細加工に適しており、レーザ波長は3倍高調波355nm、4倍高調波266nmであるため、レジスト材料としては、これらの波長に対して、吸収率が高いことが望ましい。一方、吸収率がある程度低い材料の方が好ましい場合もある。具体的には、例えば、UV吸収率の低い樹脂被膜2を用いると、UV光が樹脂被膜2を透過するので、下地の絶縁基材1の加工にエネルギーを集中させることができる。すなわち、レーザ光の吸収率によって利点が異なるので、状況に応じてレーザ光の吸収率を調整した樹脂被膜2を用いるのが好ましい。
<回路溝形成工程>
回路溝形成工程は、絶縁基材1に回路溝3を形成する工程である。
前記回路溝3を形成する方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、前記樹脂被膜2が形成された絶縁基材1に、前記樹脂被膜2の外表面側から、レーザ加工、及びダイシング加工等の切削加工や型押加工等の機械加工等を施すことにより、所望の形状及び深さの回路溝3を形成させる方法等が挙げられる。高精度の微細な回路を形成する場合には、レーザ加工を用いることが好ましい。レーザ加工によれば、レーザの出力等を変化させることにより、切削深さ等を自由に調整することができる。よって、回路溝3の底面を平坦に形成することができ、絶縁基材1の外表面と回路溝3の底面とを平行にすることができる。また、型押加工としては、例えば、ナノインプリントの分野において用いられるような微細樹脂型による型押加工が好ましく用いられうる。
また、前記回路溝3として、細線状のライン部9を形成するための回路溝3や、表面実装部品を実装するパッド部8を形成するための回路溝3のほか、ビアホール等を形成するための貫通孔(図示省略)を形成してもよい。
この工程により、前記回路溝3の形状、深さ及び位置等が規定される。
前記回路溝形成工程で形成される回路溝3の幅は特に限定されない。なお、レーザ加工を用いた場合には、線幅20μm以下のような微細な回路(ライン部9)も容易に形成できる。また、回路溝3の深さは、フィルアップめっきにより、電気回路7と絶縁基材1とに段差をなくした場合には、本実施形態で形成する電気回路6の深さとなる。
<触媒被着工程>
触媒被着工程は、前記回路溝3の表面及び前記樹脂被膜2の表面にめっき触媒又はその前駆体5を被着させる工程である。このとき、貫通孔(図示省略)が形成されている場合、貫通孔内壁表面にもめっき触媒又はその前駆体5を被着される。
前記めっき触媒又はその前駆体5は、前記めっき処理工程において無電解めっきにより無電解めっき膜6を形成したい部分にのみ無電解めっき膜6を形成させるために付与される触媒である。めっき触媒としては、無電解めっき用の触媒として知られたものであれば特に限定なく用いられうる。また、予めめっき触媒の前駆体5を被着させ、樹脂被膜2の除去後にめっき触媒を生成させてもよい。めっき触媒の具体例としては、例えば、金属パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)等、または、これらを生成させるような前駆体等が挙げられる。
めっき触媒又はその前駆体5を被着させる方法としては、例えば、pH1〜3の酸性条件下で処理される酸性Pd−Snコロイド溶液で処理した後、酸溶液で処理するような方法等が挙げられる。具体的には、例えば、次のような方法が挙げられる。
はじめに、回路溝3が形成された絶縁基材1の表面に付着している油分等を界面活性剤の溶液(クリーナー・コンディショナー)中で所定の時間湯洗する。次に、必要に応じて、過硫酸ナトリウム−硫酸系のソフトエッチング剤でソフトエッチング処理する。そして、pH1〜2の硫酸水溶液や塩酸水溶液等の酸性溶液中でさらに酸洗する。次に、濃度0.1%程度の塩化第一錫水溶液等を主成分とするプリディップ液に浸漬して絶縁基材1表面に塩化物イオンを吸着させるプリディップ処理を行う。その後、塩化第一錫と塩化パラジウムを含む、pH1〜3の酸性Pd−Snコロイド等の酸性めっき触媒コロイド溶液にさらに浸漬することによりPd及びSnを凝集させて吸着させる。そして、吸着した塩化第一錫と塩化パラジウムとの間で、酸化還元反応(SnCl2+PdCl2→SnCl4+Pd↓)を起こさせる。これにより、めっき触媒である金属パラジウムが析出する。
なお、酸性めっき触媒コロイド溶液としては、公知の酸性Pd−Snコロイドキャタリスト溶液等が使用でき、酸性めっき触媒コロイド溶液を用いた市販のめっきプロセスを用いてもよい。このようなプロセスは、例えば、ローム・アンド・ハース電子材料株式会社からシステム化されて販売されている。
このような触媒被着処理によって、前記回路溝3の表面及び前記樹脂被膜2の表面にめっき触媒又はその前駆体5を被着させることができる。
<被膜除去工程>
被膜除去工程は、前記触媒被着工程を施した絶縁基材1から前記樹脂被膜2を除去する工程である。
前記樹脂被膜2を除去する方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、所定の溶液(膨潤液)で前記樹脂被膜2を膨潤させた後に、前記絶縁基材1から前記樹脂被膜2を剥離させる方法、所定の溶液(膨潤液)で前記樹脂被膜2を膨潤させ、さらに一部を溶解させた後に、前記絶縁基材1から前記樹脂被膜2を剥離させる方法、及び所定の溶液(膨潤液)で前記樹脂被膜2を溶解させて除去する方法等が挙げられる。前記膨潤液としては、前記樹脂被膜2を膨潤させることができるものであれば、特に限定されない。また、前記膨潤又は溶解は、前記樹脂被膜2で被覆された前記絶縁基材1を前記膨潤液に所定時間浸漬させること等によって行う。そして、その浸漬中に超音波照射することにより除去効率を高めてもよい。なお、膨潤させて剥離するときには、軽い力で引き剥がしてもよい。
また、前記樹脂被膜2として、前記膨潤性樹脂被膜2を用いた場合について、説明する。
前記膨潤性樹脂被膜2を膨潤させる液体(膨潤液)としては、前記絶縁基材1、及び前記めっき触媒又はその前駆体5を実質的に分解又は溶解させることなく、前記膨潤性樹脂被膜2を膨潤又は溶解させることができる液体であれば特に限定なく用いられうる。また、前記膨潤性樹脂被膜2を容易に剥離される程度に膨潤させうる液体が好ましい。このような膨潤液は、膨潤性樹脂被膜2の種類や厚みにより適宜選択されうる。具体的には、例えば、膨潤性樹脂被膜2がジエン系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びポリエステル系エラストマーのようなエラストマーから形成されている場合には、例えば、1〜10%程度の濃度の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液が好ましく用いられうる。
なお、触媒被着工程において上述したような酸性条件で処理するめっきプロセスを用いた場合には、膨潤性樹脂被膜2が、酸性条件下においては膨潤度が50%未満であり、アルカリ性条件下では膨潤度が50%以上であるような、例えば、ジエン系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びポリエステル系エラストマーのようなエラストマーから形成されていることが好ましい。このような膨潤性樹脂被膜2は、pH12〜14であるようなアルカリ水溶液、例えば、1〜10%程度の濃度の水酸化ナトリウム水溶液等により容易に膨潤し、剥離する。なお、剥離性を高めるために、浸漬中に超音波照射してもよい。また、必要に応じて軽い力で引き剥がすことにより剥離してもよい。
膨潤性樹脂被膜2を膨潤させる方法としては、膨潤液に、膨潤性樹脂被膜2で被覆された絶縁基材1を所定の時間浸漬する方法が挙げる。また、剥離性を高めるために、浸漬中に超音波照射することが特に好ましい。なお、膨潤のみにより剥離しない場合には、必要に応じて軽い力で引き剥がしてもよい。
<めっき処理工程>
めっき処理工程は、前記樹脂被膜2を除去した後の前記絶縁基材1に無電解めっき処理を施す工程である。
前記無電解めっき処理の方法としては、部分的にめっき触媒又はその前駆体5が被着された絶縁基材1を無電解めっき液に浸漬して、めっき触媒又はその前駆体5が被着された部分のみに無電解めっき膜(めっき層)を析出させるような方法等が用いられうる。
無電解めっきに用いられる金属としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。これらの中では、Cuを主成分とするメッキが導電性に優れている点から好ましい。また、Niを含む場合には、耐食性や、はんだとの密着性に優れる点から好ましい。
無電解めっき膜6の膜厚は、特に限定されない。具体的には、例えば、0.1〜10μm、さらには1〜5μm程度であることが好ましい。特に、前記回路溝3の深さを深くすることにより、膜厚の厚いめっきであって、断面積が大きい金属配線を容易に形成することができる。この場合には、金属配線の強度を向上させることができる点から好ましい。
めっき処理工程により、絶縁基材1表面のめっき触媒又はその前駆体5が残留する部分のみに無電解めっき膜6が析出する。そのために、回路溝3を形成したい部分のみに正確に導電層を形成することができる。一方、回路溝3を形成していない部分に対する無電解めっき膜6の析出を抑制することができる。従って、狭いピッチ間隔で線幅が狭いような微細な回路を複数本形成するような場合でも、隣接する回路間に不要なめっき膜が残らない。そのために、短絡の発生やマイグレーションの発生を抑制することができる。
<デスミア処理工程>
また、本発明に係る回路基板の製造方法において、前記めっき処理工程を施した後、具体的には、フィルアップめっきを施す前又は施した後に、デスミア処理を施すデスミア処理工程をさらに備えていてもよい。デスミア処理を施すことによって、無電解めっき膜6に付着してしまった不要な樹脂を除去することができる。また、得られた回路基板10を備える多層回路基板を想定した場合、前記絶縁基材1の、無電解めっき膜6が形成されていない部分の表面を粗し、前記回路基板10の上層等との密着性を向上させることができる。さらに、ビア底にデスミア処理を施してもよい。そうすることによって、ビア底に付着してしまった不要な樹脂を除去することができる。また、前記デスミア処理としては、特に限定されず、公知のデスミア処理を用いることができる。具体的には、例えば、過マンガン酸溶液等に浸漬する処理等が挙げられる。
上記のような工程を経て、図1(e)に示すような回路基板10が形成される。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
厚み100μmのエポキシ樹脂の絶縁基材1(パナソニック電工(株)製のR1766)の表面に2μm厚のスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)の樹脂被膜2を形成した(図1(a)参照)。なお、樹脂被膜2の形成は、前記エポキシ樹脂の絶縁基材1の主面に、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)のメチルエチルケトン(MEK)サスペンジョン(日本ゼオン(株)製、酸当量600、粒子径200nm、固形分15%)を塗布し、80℃で30分間乾燥することにより行った。
そして、樹脂被膜2が形成されたエポキシ樹脂の絶縁基材1に対して、レーザー加工により、幅20μm、深さ20μmのライン部9形成用の略長方形断面の回路溝3を形成すると共に、縦5000μm、横5000μm、深さ30μmのパッド部8形成用の平面視矩形状かつ略長方形断面の回路溝3を形成した(図1(b)参照)。いずれの回路溝3の底面も平坦であった。なお、レーザー加工にはUV−YAGレーザーを備えたESI社製のMODEL5330を用いた。
次に、回路溝3が形成されたエポキシ樹脂の絶縁基材1をクリーナーコンディショナー(界面活性剤溶液、pH<1:ローム&ハース電子材料(株)製C/N3320)中に浸漬し、その後、水洗した。そして、過硫酸ナトリウム−硫酸系のpH<1のソフトエッチング剤でソフトエッチング処理した。そして、PD404(シプレイ・ファーイースト(株)製、pH<1)を用いてプリディップ工程を行った。そして、塩化第一錫と塩化パラジウムを含むpH1の酸性Pd−Snコロイド溶液(CAT44、シプレイ・ファーイースト(株)製)に浸漬することにより、無電解銅めっきの核となるパラジウムをスズ−パラジウムコロイドの状態でエポキシ樹脂の絶縁基材1に吸着させた。
次に、pH<1のアクセラレータ薬液(ACC19E、シプレイ・ファーイースト(株)製)に浸漬することにより、めっき触媒又はその前駆体5としてパラジウム核を発生させた(図1(c)参照)。そして、エポキシ樹脂の絶縁基材1を、pH14の5%水酸化ナトリウム水溶液中に超音波処理しながら10分間浸漬した。これにより、表面のSBR樹脂被膜2は膨潤し、きれいに剥離された(図1(d)参照)。このとき、エポキシ樹脂の絶縁基材1表面にSBR樹脂被膜2の断片等が残っていなかった。そして、エポキシ樹脂の絶縁基材1を無電解めっき液(CM328A,CM328L、CM328C、シプレイ・ファーイースト(株)製)に浸漬させて無電解銅めっき処理を行った。
無電解銅めっき処理により、無電解めっき膜6として厚み3〜5μmの無電解銅めっき膜が析出し、電気回路7を構成するパッド部8及びライン部9を形成することができた(図1(e)参照)。なお、無電解銅めっき処理されたエポキシ樹脂の絶縁基材1表面をSEM(走査型顕微鏡)により観察したところ、切削加工された部分のみに、正確に無電解めっき膜6が形成されていた。また、上記のように形成された回路基板10は、絶縁基材1に電気回路7を露出するように埋設して形成されたものであり、電気回路7のパッド部8の最も厚い部分の厚みと最も薄い部分の厚みとの差は最も厚い部分の厚みに対して5%であった。また、絶縁基材1の外表面と電気回路7(パッド部8)の表面との段差(高低差)は0〜1.5μmであった。
(実施例2)
スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)のメチルエチルケトン(MEK)サスペンジョン(日本ゼオン(株)製、酸当量600、粒子径200nm、固形分15%)の代わりに、カルボキシル基含有重合体(日本ゼオン(株)製、酸当量500、重量平均分子量25000、固形分20%)を用いた以外、実施例1と同様に行った。
このとき、pH14の水酸化ナトリウム5%水溶液に対する膨潤度は1000%であった。一方、pH1の塩酸5%水溶液に対する膨潤度は30%であった。
なお、膨潤性樹脂被膜2の膨潤度は、以下のように求めた。
離型紙上に膨潤性樹脂被膜2を形成するために塗布したSBRサスペンジョンを塗布し、80℃で30分間乾燥した。これにより2μm厚の樹脂被膜2を形成した。そして、形成された樹脂被膜2を強制的に剥離することにより、試料を得た。
そして、得られた試料0.02g程度を秤量した。このときの試料重量を膨潤前重量m(b)とする。そして、秤量された試料を20±2℃の水酸化ナトリウム5%水溶液10ml中に15分間浸漬した。また、別の試料を同様にして、20±2℃の塩酸5%水溶液(pH1)10ml中に15分間浸漬した。
そして、遠心分離器を用いて1000Gで約10分間遠心分離処理を行い、試料に付着した水分等を除去した。そして、遠心分離後の膨潤した試料の重量を測定し、膨潤後重量m(a)とした。得られた、膨潤前重量m(b)及び膨潤後重量m(a)から、「膨潤度SW=(m(a)−m(b))/m(b)×100(%)」の式から、膨潤度を算出した。なお、その他の条件は、JIS L1015 8.27(アルカリ膨潤度の測定方法)に準じて行った。
このとき、pH14の水酸化ナトリウム5%水溶液に対する膨潤度は750%であった。一方、pH1の塩酸5%水溶液に対する膨潤度は3%であった。
以上のように、膨潤性樹脂被膜2を剥離することにより、絶縁基材1表面の回路形成したい部分のみにめっき触媒を被着させることができる。従って、めっき触媒を被着させた部分のみに正確に無電解めっき膜6が形成される。また、膨潤性樹脂被膜2は膨潤作用により容易に剥離させることができるために、被膜除去工程も容易かつ正確に行うことができる。