以下、図面に基づいて、端末代行装置の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、端末代行装置は実施形態の構成には限定されない。
<端末代行の概要>
図1は、端末代行サービスの概要を示す図である。図1に示す端末代行サービスは、モバイルIPv6を提供するネットワーク上で実行されるアプリケーションとして、SIP
が選択されている場合の例である。
図1に示す端末代行サービスは、モバイルIPv6を実装するネットワーク上で提供される。端末代行サービスは、HA10、代表MN20、MN端末30、MN端末40、SIPサーバ3、及びCN50によって実現される。これらの装置は、いずれもIPv6を実装する。HA10、代表MN20、MN端末30、MN端末40は、IPv6ネットワーク1に接続する。IPv6ネットワーク1は、IPv6を実装するネットワーク機器(IPv6ルータ等)で構成されるネットワークである。IPv6ネットワーク1は、図1においては、例えば、企業や大学のネットワークなどの比較的大規模なネットワークや、ビルなどの建物の単位で構成される小規模のネットワークなどであってもよい。
SIPサーバ3及びCN50は、公衆ネットワーク2に接続する。公衆ネットワーク2
は、例えば、インターネット、PSTN(Public Switched Telephone Networks)等を含むネットワークである。
図1は、IPv6ネットワーク1に接続するMN端末30及びMN端末40が、SIPサーバ3によって通信相手のCNとVoIP通信を行う場合を示す。
代表MN20は、HA10が属するホームリンクに配置される。代表MN20は、HA10に位置登録されていないMNの情報をHA10から取得する。取得した位置登録されていないMNの情報に基づいて、代表MN20は、位置登録されていないMNを代行して、HA10への位置登録を行う。これらのMNのHA10への位置登録が完了すると、代表MN20は、SIPサーバ3へこれらのMNの位置登録を行う。
代表MN20が、HA10に位置登録されていないMNの代行でモバイルIPv6の位置登録を行い、さらに、SIPサーバ3にもSIPの位置登録を行う。このことによって、例えば、MN30がホームリンクからフォーリンリンクに移動する間(図1中パターン1)や、ネットワークには接続しているものの、電源が入っておらず起動していない状態(図1中パターン2)の場合にも、MN30に対する着信に応答することができる。
<第1実施形態>
図2は、端末代行サービスの第1実施形態の構成例を示す図である。図2に示すシステムで端末代行サービスは提供される。このシステムは、モバイルIPv6を実行する、HA10、代表MN20、MN30、及びMN40と、SIPサーバ3と、CN50とを含む。HA10、代表MN20、MN30、及びMN40はIPv6ネットワーク1に接続する。SIPサーバ3及びCN50は、公衆ネットワーク2に接続する。公衆ネットワーク2は、例えば、PSTN(Publish Switched Telephone Network)やインターネット、IPv6ネットワーク1を管理している管理者とは別の管理者によるプライベートネットワーク等を含む。
HA10は、モバイルIPv6のホームリンクに接続し、MNのHoAとCoAとの対応付け等のMNの情報を管理したり、MNのHoA宛のパケットを中継したりする。HA10は、ルータがプログラムを実行することで実現されてもよいし、HAとしての独立した機器として実現されてもよい。
MN30及びMN40は、モバイルIPv6を実行する端末である。MN30及びMN40は、HA10にモバイルIPv6の位置登録を行うことによって、モバイルIPv6のサービスを受けることができる。CN50は、MN30及びMN40の通信相手である。MN30、MN40、及びCN50は、パーソナルコンピュータや携帯電話など、SIPを実行するアプリケーションプログラムを実装するコンピュータで実現される。
SIPサーバ3は、少なくともSIPプロトコルにおけるProxyサーバとRegistryサーバとの役割を担うサーバである。MN30、MN40、及びCN50は、SIPサーバ3に自身の情報を登録(位置登録)することで、SIPサービスを受けることができる。MN30、MN40、及びCN50は、SIPサーバに、SIPのREGISTERメッセージを送信することで、自身をSIPサーバ3に登録してもらう(SIPの「位置登録」)。
代表MN20は、HA10が接続するホームリンク上に設定される。代表MN20は、HA10が管轄するモバイルIPv6ネットワークに接続するMN30及びMN40の代行処理を行う。代表MN20は、ルータ等のネットワーク機器やコンピュータ端末がプログラムを実行することで実現されてもよいし、代表MN20として独立した機器として実現されてもよい。
図3は、HA10の構成例を示す図である。HA10は、ユーザ状態管理部11と、ユーザ情報格納部11Aと、位置登録制御部12と、ルーティング制御部13と、ユーザ登録状態制御部14とを含む。
ユーザ状態管理部11は、HA10自身が管轄するモバイルIPv6ネットワーク(ホームリンク及びフォーリンリンク)に接続するMNの状態を管理する。ユーザ状態管理部11は、ユーザ情報格納部11Aに格納されるMNに関する情報の管理を行う。
ユーザ情報格納部11Aには、HA10自身が管轄するモバイルIPv6ネットワークに接続するMNに関する情報が含まれる。具体的には、加入者データ(図示せず)、及びバインディングキャッシュ100等を保持する。加入者データには、HA10が管轄するネットワークに接続するMNの識別子(例えば、IPv6アドレス(HoA)、メールアドレス等)や、該MNのユーザの情報等が含まれる。
HA10が、MN30、MN40、及び代表MN20からバインディング登録要求(BU(Binding Update))を受信すると、このBUに基づいて、バインディングキャッシュ100がユーザ状態管理部11によって生成される。バインディングキャッシュ100は、BUの送信元であるMN毎に生成され、該MNの「HoA」と、代表MN20の「代表MN識別子」が含まれる。「代表MN識別子」は、MNの代行をする代表MN20からBUを受信した場合に登録される。MN自身からBUを受信した場合には、「代表MN識別子」は登録されない(若しくは、「Null」が格納される)。「代表MN識別子」は、代表MNのHoAもしくはCoAであってもよいし、その他、代表MN20に独自に付された識別子であってもよい(メールアドレス等)。
さらに、バインディングキャッシュ100には、例えば、「CoA」、「生存時間」、「代行位置登録フラグ」等が格納される。「CoA」とは、BUによって通知されたMNのCoAである。「生存時間(lifetime)」とは、該MNの位置登録が有効である時間を示す。生存時間が0になる(若しくは満了する)と、該MNのバインディングキャッシュ100が削除され、該MNの位置登録が無効となり、IPv6ネットワーク1から離脱したと見なされる。「代行位置登録フラグ」とは、受信したBUが、MN自身からのBUか、もしくは代表MN20による代行のBUかを示すフラグである。「代表位置登録フラグ」に「ON」(若しくは「ON」を示す「1」)が格納されている場合には、受信したBUが代表MN20による代行であることを示す。「代表位置登録フラグ」に「OFF」(若しくは「OFF」を示す「0」)が格納されている場合には、受信したBUがMN自身によるものであることを示す。
ユーザ状態管理部11は、代表MN20から位置未登録ユーザ情報要求を受信すると、位置未登録MNリストを生成する。位置未登録ユーザ情報要求とは、代表MN20からHA10に送信される、位置登録されていないMNについての情報を要求するメッセージである。位置未登録MNリストは、ユーザ情報格納部11Aに格納されている加入者データ(図示せず)とバインディングキャッシュ100とを参照して生成される。具体的には、バインディングキャッシュ100が生成されていないMNの識別子(HoA等)を、加入者データ(図示せず)から抽出して生成される。位置未登録MNリストは、位置未登録ユーザ情報要求の応答として(位置未登録ユーザ情報応答)、代表MN20に送信される。
位置登録制御部12は、MN30、MN40、及び代表MN20からBUを受信した場合に、これらの端末との間にモバイルIPv6トンネルを形成するために、ユーザ認証を行う。認証が成功した場合には、位置登録制御部12は、ユーザ情報管理部11に対して、バインディングキャッシュ100を生成し、位置登録処理を行うように指示する。ユーザ状態管理部11から、バインディングキャッシュ100の生成完了の通知を受けると、位置登録制御部12は、位置登録が正常に行われたことを示す、バインディング登録要求応答(BA(Binding Acknowledgement))をBUの送信元のMNに送信する。HA10への位置登録が完了すると、HA10とMNとの間にはモバイルIPv6トンネルが形成される。
ルーティング制御部13は、HA10とMNとの間に形成されたモバイルIPv6トンネルのゲートウェイの役割を果たす。具体的には、外部のネットワークの端末であるCN50から、MN30又はMN40のHoAを宛先IPアドレスとするパケットを受信する場合に、ルーティング制御部13は、そのパケットをモバイルIPv6トンネルに流すためにカプセル化する。このとき、宛先IPアドレスがMN30又はMN40のCoAであるIPヘッダを受信したパケットに付加してカプセル化する。また、MN30、MN40、及び代表MN20からCN50へ送信されるパケットを中継する場合には、モバイルIPv6トンネルを通ってきた、カプセル化されたパケットのIPヘッダをはずし、パケットを取り出す。このとき、カプセル化されているパケットのIPヘッダの送信元IPアドレスは、MN30、MN40のCoAである。カプセル化を外されたパケットの送信元IPアドレスは、MN30又はMN40のHoAになる。
ユーザ登録状態制御部14は、端末代行サービスにかかるパケットの処理を行う。例えば、代表MN20から位置未登録ユーザ情報要求を受信した場合に、ユーザ状態管理部11に位置未登録MNリストを生成するよう指示を出す。ユーザ状態管理部11から、位置未登録MNリスト受信すると、位置未登録MNリストを含んだ位置未登録ユーザ情報応答を、代表MN20に送信する。例えば、MN30が代表MN20によって代行で位置登録されている場合に、MN30自身からBUを受信すると、代表MN20に代行終了通知を送信し、代表MN20にMN30の位置登録の代行の停止を指示する。
HA10のユーザ状態管理部11、位置登録制御部12、ルーティング制御部13、ユーザ登録状態制御部14は、CPUによって実現される。また、ユーザ情報格納部11Aは、RAM(Randam Access Memory)やFlashメモリ等の記録媒体によって実現される。
図4は、代表MN20の構成例を示す図である。代表MN20は、ユーザ代行登録部21と、SIP代行クライアント部22と、モバイルIPv6代行クライアント部23と、代行MN情報格納部24とを備える。
ユーザ代行登録部21は、端末代行サービスにかかるパケットの処理を行う。ユーザ代行登録部21は、HA10に位置登録されていないMNの代行処理をモバイルIPv6代
行クライアント部23とSIP代行クライアント部22とに指示する。例えば、ユーザ代行登録部21は、定期的(例えば、分単位)に、HA10に対して位置未登録ユーザ情報要求を送信し、その応答(位置未登録ユーザ情報応答)として位置未登録MNリストを取得する。例えば、ユーザ代行登録部21は、位置未登録MNリストに基づいて、IPv6代行クライアント部23及びSIP代行クライアント部22に、位置登録を行う様に指示する。
モバイルIPv6代行クライアント部23は、MNの代行でモバイルIPv6にかかるパケットの処理を行う。例えば、ユーザ代行登録部21からの指示を受けて、HA10に対して位置登録を要求するためのバインディング登録要求(BU)を送信する。
SIPクライアント代行部22は、MNの代行でSIP(VoIP通信)に関するパケットの処理を行う。例えば、SIPサーバ3への位置登録を行う際には、SIPサーバ3へSIPのREGISTERメッセージを送信する。
代行MN情報格納部24は、モバイルIPv6登録リスト200と、代行アプリケーション登録データ204とを格納する。モバイルIPv6登録リスト200は端末代行サービスに加入しているMN毎に用意される。モバイルIPv6登録リスト200には、例えば、端末代行サービスに加入しているMNの「HoA」と、そのMNが現在端末代行サービスにより位置登録されているか否かを示す「代行状態」とを格納する。モバイルIPv6登録リスト200は、代行アプリケーション登録データ204と関連付けられている。
代行アプリケーション登録データ204には、端末の代行を行うアプリケーションに関する情報が格納される。代行アプリケーション登録データ204には、例えば、「CoAとHoAとの対応付け」と、「生存時間(lifetime)」と、「代行アプリケーション」との情報が格納される。「CoAとHoAとの対応付け」とは、端末代行サービスに加入しているMNのHoAとCoAとの対応付けである。このときのMNのCoAは、代表MN20がそのMNの代行を行う場合に、代表MN20のアドレスプールから払い出して、HA10にそのMNのCoAとして通知するアドレスである。「lifetime」とは、代表MN20がHAに通知する、そのMNのバインディングキャッシュ100がHA10に保持される時間である。即ち、HA10のバインディングキャッシュ100に格納される「lifetime」と同一のものである。「代行アプリケーション」とは、代表MN20がMNの代行を行うアプリケーションである。第1実施形態では、代表MN20が代行するアプリケーションはSIPであるので、「代行アプリケーション」には「SIP」が格納される。
さらに、代行アプリケーション登録データには、「代行アプリケーション」に応じて、そのアプリケーションを代行するために必要な情報が格納される。SIPが代行アプリケーションの場合には、例えば、SIPの詳細情報として「SIPサーバ3のアドレス」と、「代行するMNのSIP URL」と、代行するMNのユーザ認証時の「パスワード(PWD)」とを格納する。
代行MN情報格納部24は、不在着信履歴リスト206を更に格納する。不在着信履歴リスト206は、代表MN20がSIPを代行アプリケーションとする場合に、代行するMNに対する着信履歴の情報を保持する。詳しくは、後述する。
代表MN20のユーザ代行登録部21、SIP代行クライアント部22、モバイルIPv6代行クライアント部23はCPUによって実現される。代行MN情報格納部24は、RAMやFlashメモリなどの記録媒体によって実現される。
図5は、MN30の構成例を示す図である。尚、MN40、及びCN50も同様の構成を有する。MN30は、モバイルIPv6クライアント部31と、SIPクライアント部32と、ユーザ制御部33とを含む。モバイルIPv6クライアント部31は、モバイルIPv6に関する処理を行う。SIPクライアント部32は、SIPのクライアントとして処理を行う。ユーザ制御部33は、モバイルIPv6クライアント部31とSIPクライアント部32とを制御し、処理の指示を行う。
MN30のモバイルIPv6クライアント部31、SIPクライアント部32、及びユーザ制御部33はCPUによって実現される。
<<位置登録の代行シーケンス>>
図6は、位置登録の代行処理のシーケンスの例を示す図である。図6は、代表MN20がモバイルIPv6でのHA10への位置登録と、SIPのSIPサーバ3への位置登録との代行処理を行う場合の例を示す。
代表MN20のユーザ代行登録部21は、定期的に(例えば、分単位)、HA10に位置未登録ユーザ情報要求を送信する(OP1)。代表MN20から位置未登録ユーザ情報要求を受信すると、HA10のユーザ登録状態制御部14は、ユーザ状態管理部11に対し、位置未登録MNリストの生成を指示する(OP2)。
位置未登録MNリストの生成を指示されると、ユーザ状態管理部11は、ユーザ情報格納部11に格納される情報に基づいて、位置登録されていないMNのHoAを収集し、位置未登録MNリストを生成する(OP3)。位置未登録MNリストは、ユーザ登録状態制御部14を介して、位置未登録ユーザ情報応答に含まれて、代表MN20に送信される(OP4)。
代表MN20のユーザ代行登録部21が位置未登録MNリストを受信すると、ユーザ代行登録部21は、位置未登録MNリストからモバイルIPv6登録リスト200に格納されているMN(端末代行サービスに加入しているMN)を抽出する。次に、抽出したMNのモバイルIPv6の位置登録を開始する。
例えば、MN30の位置登録を行う場合を例とする。ユーザ代行登録部21は、モバイルIPv6代行クライアント部23を起動し、MN30のモバイルIPv6の位置登録を行うことを指示する(OP5)。モバイルIPv6代行クライアント部23は、バインディング登録要求(BU)に「代行位置登録フラグ=ON、HoA=MN30のHoA、CoA=代表MN20から払いだされたMN30のCoA」を設定して、HA10に送信する(OP6)。尚、このときBUに設定されるCoA(=代表MN20から払いだされたMN30のCoA)とは、代表MN20が保持するアドレスプールからMN30に払い出すアドレスであって、実際のMN30のCoAとは異なる(MN30は、移動中等でネットワークにログインしていない、即ち、移動先のネットワーク(フォーリンリンク)でCoAを取得していない状態であるため)。即ち、モバイルIPv6代行クライアント部23が設定するCoAは、実際にはホームリンクに接続していないMNを、HA10から見た場合に、ホームリンクに接続しているように見せかけるためのアドレスである。尚、BUは、IPv6で規定されているメッセージである。
代表MN20からMN30を代行するBUを受信すると、HA10の位置登録制御部12は、モバイルIPv6トンネル形成のためのユーザ認証を行う(OP7)。ユーザ認証が成功すると、位置登録制御部12は、ユーザ状態管理部11にバインディングキャッシュの生成を指示する(OP8)。
ユーザ状態管理部11は、OP6において受信した代表MN20からのBUに基づいて、バインディングキャッシュ100を生成する(OP9)。このとき生成されるMN30のバインディングキャッシュ100には、「代表MN=代表MN20の識別子、CoA=代表MNから払いだされたMN30のCoA、代行位置登録フラグ=ON」が登録される。バインディングキャッシュ100の生成が完了すると、登録完了の旨を位置登録制御部12に通知する(OP10)。
位置登録完了を受け付けると、位置登録制御部12は、位置登録完了を示すバインディング登録要求応答(BA:OK)を、代表MNに送信する(OP11)。
代表MN20がBAを受信すると、代表MN20とHA10との間にモバイルIPv6トンネルが形成される。代表MN20のユーザ代行登録部21は、引き続き、SIP代行クライアント部22を起動し、MN30のSIPサーバ3への位置登録を開始する(OP12)。ユーザ代行登録部21は、代行アプリケーション登録データ204から、MN30のSIPサーバ3への位置登録に必要な情報を読み出し、SIP代行クライアント部22に渡す。
SIP代行クライアント部22は、ユーザ代行登録部21からの情報を、SIPのREGISTERメッセージに格納して、SIPサーバ3に送信する(OP13)。このとき、SIPのREGISTERメッセージは、モバイルIPv6代行クライアント部23において、モバイルIPv6トンネルのためのカプセル化がなされる。モバイルIPv6トンネルのためのカプセル化をされたパケットは、宛先IPアドレスがHA10のインターフェースアドレスであり、送信元IPアドレスがMN30のCoA(代表MN20から払いだされたアドレス)である。このカプセル化されたパケットが、HA10のルーティング制御部13において、カプセル化が外され、宛先IPアドレスがSIPサーバ3のアドレス、送信元IPアドレスがMN30のHoAとなり、SIPサーバ3に送信される(OP14)。
SIPサーバ3からの位置登録完了のメッセージ(REGISTERに対するOKメッセージ)は、MN30のHoAを宛先IPアドレスとしてHA10に受信される(OP15)。HA10のルーティング制御部13において、カプセル化がなされ、宛先IPアドレスがMN30のCoA(代表MN20から払いだされたアドレス)であるIPヘッダが付加される。このパケットを代表MN20が受信すると、モバイルIPv6代行クライアント部23において、カプセル化が外され、SIP代行クライアント部22に渡され、MN30に関する位置登録の代行が完了する(OP16)。その旨は、ユーザ代行登録部21に通知される(OP17)。
SIPサーバ3への位置登録状態を維持するため、この後、SIP代行クライアント部22は定期的にSIPサーバ3へREGISTERメッセージを送信する。
代表MN20は、OP5からOP17までの処理を位置未登録MNリストから抽出したMNの分だけ繰り返し行う。
一方、通信相手のCN50は、SIPサーバ3に対して位置登録(REGISTER)の処理を行う。
尚、OP6においてBUに設定される内容、及び、OP9においてバインディングキャッシュ100に登録される内容について、CoA、位置登録代行フラグ、位置登録状態等についてのみ説明した。これ以外のパラメータ(例えば、lifetime等)は、適宜、設定及び登録される。
<<不在着信の代行シーケンス>>
図7は、不在着信の代行処理のシーケンスの例を示す図である。図7は、図6の位置登録の代行処理が行われた後、CN50からMN30に宛てて、SIPの着信要求が行われた場合の、代表MN20による不在着信の代行処理のシーケンスを示す。尚、図6において、代表MN20が、HA10にMN30の代行で位置登録を行ったことにより、図7では、HA10と代表MN20との間には、モバイルIPv6トンネルが形成されている。
CN50のユーザ制御部53は、SIPクライアント部52を起動し、MN30に宛ててSIPの発信を行うよう指示する(OP21)。SIPクライアント部52は、IPヘッダの宛先IPアドレスをMN30のHoAにして、SIPのINVITEメッセージを送信する(OP22)。
CN50からのSIPのINVITEメッセージは、SIPサーバ3を通じて、HA10に転送される。SIPのINVITEメッセージは、HA10のルーティング制御部13においてカプセル化がなされ、モバイルIPv6トンネルを通じて、MN30の代行処理を行う代表MN20に届く(OP23)。
MN30へのSIPのINVITEメッセージは、モバイルIPv6代行クライアント部23において、モバイルIPv6トンネルのためのカプセル化が外され、SIP代行クライアント部22に渡される(OP24)。
SIP代行クライアント部22は、SIPのINVITEメッセージを受信すると、不在着信履歴リスト206を更新する(OP25)。不在着信履歴リスト206には、SIPのINVITEメッセージに格納される情報をもとに、着信端末であるMN毎に、発信元端末と着信日時とが記録される。図7の場合は、不在着信履歴リスト206のMN30に、発信元端末としてCN50(INVITEメッセージ中の送信元SIP URL情報に基づく)と着信日時とが格納される。
SIP代行クライアント部22は、SIPのINVITEメッセージのレスポンスをSIPサーバ3に送信する(OP26)。このときのSIPのレスポンスは、「コード486:Busy Here」であり、MN30が着信できない状態であることを示す。SIPのレスポンスは、モバイルIPv6代行クライアント部23でカプセル化され、HA10のルーティング制御部13で、カプセル化が外され、更にSIPサーバ3を経由してCN50に届く。
<<第1実施形態の作用効果>>
第1実施形態では、MNの代行を行う代表MN20を設け、代表MN20が位置登録を行っていない(位置登録が無効になっている)MNを代行してHA10に位置登録を行った。これによって、MNが移動中や、起動されていない場合等でも、MNを代行して応答することができる。特に、SIPなどのアプリケーションを実装するネットワークにおいては、従来では、MNがHA10に位置登録していない場合には、MNはSIPサーバ3にも位置登録(ログイン)することができず、SIPの着信要求に対する不在着信をすることもできなかった。しかし、代表MN20がHA10への位置登録の代行処理完了後に、続けて、SIPサーバ3に位置登録(ログイン)することによって、移動中のMN(SIPサーバにログインできない状態のMN)の代わりに代表MN20が不在着信を行うことができる。
また、代表MN20が、不在着信の履歴を記録することにより、MNに不在着信履歴リスト206を通知することができる。
第1実施形態では、SIPサーバ3やSIPプロトコルについては、その機能を変更、追加することなく、標準機能のままで用いることができる。従って、既存のSIPサーバ3の設定を変えることなく、第1実施形態のサービスを実現することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態の不在着信の代行処理に加え、単にSIPのレスポンスを返信するだけではなく、一旦通話中の状態にし(音声通信セッションを確立させ)、音声ガイダンスにより、CN50のユーザが音声伝言を残すことを実現する。第2実施形態では、第1実施形態と相違する箇所についてのみ説明し、重複する箇所については、その説明を省略する。
第2実施形態において、代表MN20は、代行MN情報格納部24に音声ガイダンスファイル210と音声記録ファイル220とを、更に格納する。音声ガイダンスファイル210は、代表MN20が代行するMN宛にSIPの着信があった場合の応答として流すための音声ファイルである。例えば、音声ガイダンスファイル210は、「ただいま電話に出ることができません。」というような音声を格納するファイルである。音声記録ファイル220は、SIPの発信端末のユーザが伝言を残した場合に、音声を記録するファイルである。
代表MN20のSIP代行クライアント部22は、代表MN20が代行するMNに対してSIPの着信があった場合には、音声ガイダンスファイル210の音声を流す(例えば、IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答装置)等を備えており、着信時に起動させる)。また、SIP代行クライアント部22は、必要に応じて、発信端末からの音声記録を行い、音声記録ファイル220として代行MN情報格納部24に格納する。
図8は、端末代行サービスの第2実施形態の不在着信の代行処理のシーケンスの例を示す図である。図8は、図7と同様に、図6において説明した位置登録の代行処理が行われた後、CN50からMN30に宛てて、SIPの着信要求が行われた場合の、代表MN20による不在着信の代行処理のシーケンスを示す。
第1実施形態の図7のOP21〜OP25と同様にして、CN50からMN30へSIPの発信が行われ、代表MN20が不在着信履歴リスト206を更新するまでの処理が行われる(OP31〜OP35)。
不在着信履歴リスト206を更新すると、SIP代行クライアント部22は、SIPのINVITEメッセージのレスポンスをCN50に送信する(OP36)。このときのSIPのINVITEメッセージのレスポンスは、呼出が成功したことを示す「コード200:OK」である。SIPのレスポンスは、モバイルIPv6代行クライアント部23でカプセル化され、HA10のルーティング制御部13で、カプセル化が外され、更にSIPサーバ3を経由してCN50に届く。
CN50に、SIPのレスポンスが届くと、音声通信するためのRTP(Real−time Transport Protocol)のセッションが確立される。即ち、CN50と代表MN20とが通話状態になる。
RTPのセッションが確立されると、代表MN20のSIPクライアント部22は、音声ガイダンスファイル210を再生する(OP37)。音声ガイダンスは、例えば、IVR等により再生され、CN50のユーザに伝言を残すことを促す。CN50のユーザが伝
言を残すことを希望する場合は、CN50から送信されるRTPパケットによりCN50のユーザの音声を音声記録ファイル220に格納する(OP38)。
SIP代行クライアント部22は、RTP切断条件(例えば、一定時間経過、伝言記録終了を示すダイアル信号の受信等)を契機に、SIPのセッション終了を示すSIPのBYEメッセージをCN50に送信する(OP39)。SIPのBYEメッセージは、モバイルIPv6代行クライアント部23でカプセル化され、HA10のルーティング制御部13で、カプセル化が外され、更にSIPサーバ3を経由してCN50に届く。
SIPのBYEメッセージを受信すると、CN50は、SIPのBYEメッセージに対するレスポンスをMN30のHoAに送信する(OP40)。SIPサーバ3、HA10を経由してSIPのレスポンスを代表MN20が受信すると、SIPのセッションが切断され通話が終了する。
<<第2実施形態の作用効果>>
第2実施形態では、第1実施形態の不在着信の代行に加え、音声ガイダンスによる応答と音声による伝言を行った。これによって、SIPの発信端末のユーザに対して、SIPによる単なる不在通知だけではなく、不在理由を録音した音声ガイダンスを流すことも可能であり、きめ細かい対応を行うことができる。
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態に加え、代表MN20が代行していたMN30がモバイルIPv6ネットワークに接続開始した場合の、端末代行サービスの停止処理を実現するものである。さらに、端末代行サービス停止に伴い、MN30に不在着信履歴を通知することも実現する。第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と相違する所についてのみ説明し、重複する箇所については、その説明を省略する。
図9は、端末代行サービスの停止処理のシーケンスの例を示す図である。図9は、図6で説明した位置登録の代行の後、図7又は図8で説明した不在着信の代行処理を代表MN20が行い、さらにその後、代表MN20が代行していたMN30が移動を経て、モバイルIPv6に位置登録を行う場合の例を示す。
MN30が、例えば、ホームリンクからフォーリンリンクに移動が完了すると、MN30は、移動先のフォーリンリンクのルータからCoAを取得する。CoAを取得すると、CoAをHA10に通知するために、MN30はモバイルIPv6の位置登録を行う(OP51)。具体的には、MN30のユーザ制御部33がモバイルIPv6クライアント部31に対して、HA10に位置登録のBUを送信するように指示する。指示を受けたモバイルIPv6クライアント部31は、BUをHA10に送信する(OP52)。このときHA10に送信されるBUは、「代行位置登録フラグ=OFF、HoA=MN30のHoA、CoA=MN30のCoA(フォーリンリンクでMN30が取得したアドレス)」が設定される。
MN30からのBUを受信すると、HA10の位置登録制御部12は、MN30のユーザ認証を行う(OP53)。ユーザ認証が成功すると、MN30のバインディングキャッシュ100の生成をユーザ状態管理部11に指示する(OP54)。
ユーザ状態管理部11は、MN30のバインディングキャッシュ100の登録をチェックし、代行による位置登録中か否かを確認する(OP55)。これは、ユーザ情報格納部11Aに格納されるMN30のバインディングキャッシュ100中の「代行位置登録フラグ」を確認することで、代行による位置登録中か否か確認できる。「代行位置登録フラグ
」が「ON」である場合には、代表MN20による代行で位置登録がなされている。「代行位置登録フラグ」が「OFF」である場合には、代行はされておらずMN30自身が位置登録を行ったことを示す。
MN30のバインディングキャッシュ100が登録されていない、又は、登録されているMN30のバインディングキャッシュ100の「代行位置登録フラグ」が「OFF」である場合には、ユーザ状態管理部11は、MN30のバインディングキャッシュ100の生成を行う(OP56)。位置登録制御部12は、MN30に、位置登録が完了したことを示すBAを送信する(OP57)。MN30がBAを受信すると、MN30の位置登録処理が終了する。
OP55において、登録されているMN30のバインディングキャッシュ100の「代行位置登録フラグ」が「ON」である場合、すなわち、MN30の位置登録が代表MN20により代行されている場合には、ユーザ状態管理部11はユーザ登録状態制御部14にその旨を通知する(OP58)。通知を受けたユーザ登録状態制御部14は、バインディングキャッシュ100の登録情報から代表MN20にMN30の代行終了通知を送信する(OP59)。このときの代表MN20への代行終了通知のパケットのIPヘッダの宛先IPアドレスには、代表MN20のCoA(代表MN20がMN30に払い出したアドレス)を用いてもよい。若しくは、代表MN20の識別子として登録されるアドレスを用いてもよい。
代行終了通知を受信すると、代表MN20のユーザ代行登録部21は、SIP代行クライアント部22に、MN30のSIPの位置登録を停止するように指示するSIP位置登録停止処理要求を送信する(OP60)。SIP代行クライアント部22は、SIP位置登録停止処理要求を受けると、MN30のSIPの位置登録を停止する処理を行う(OP61)。SIPの位置登録停止処理とは、SIP代行クライアント部22が、SIPサーバ3に対する定期的なREGISTERメッセージの送信を停止することである。MN30のSIPの位置登録停止処理が完了すると、SIP代行クライアント部22は、ユーザ代行登録部21にSIP位置登録停止処理の完了を示すSIP位置登録停止処理要求応答を送信する。
MN30のSIP位置登録停止処理要求応答を受信すると、ユーザ代行登録部21は、モバイルIPv6代行クライアント部23に、MN30のモバイルIPv6位置登録停止要求を送信する(OP62)。MN30のモバイルIPv6位置登録停止要求を受信すると、モバイルIPv6代行クライアント部23は、HA10にBUを送信する(OP63)。このとき送信されるBUには、「代行位置登録フラグ=OFF、HoA=MN30のHoA、Lifetime=0、MN30の不在着信履歴リスト」が設定される。Lifetimeを0とすることによって、HA10内のMN30のバインディングキャッシュ100が削除される。MN30の不在着信履歴リスト206は、代行MN情報格納部24に格納される不在着信履歴リスト206に基づいて設定される。
代表MN20からBUを受信すると、HA10の位置登録制御部12は、代表MN20に対し、BA(OK)を送信する(OP64)。
BAを受信すると、代表MN20のモバイルIPv6代行クライアント部23の、MN30のモバイルIPv6の位置登録停止処理が完了する。モバイルIPv6代行クライアント部23は、ユーザ代行登録部21にMN30のモバイルIPv6の位置登録停止要求応答を通知する(OP65)。
MN30のモバイルIPv6位置登録停止要求応答を受信すると、ユーザ代行登録部2
1は、HA10に、MN30の代行処理が完了したことを示す代行終了通知応答(OK)を送信する(OP66)。代行終了通知応答を受信すると、HA10の位置登録制御部12は、ユーザ状態管理部11に、バインディングキャッシュ100の更新を指示する(OP67)。ユーザ状態管理部11は、バインディングキャッシュ100を更新する(OP68)。代表MN20からのBUに基づいてMN30のバインディングキャッシュ100を一旦削除する。これは、OP63において、代表MN20から送信されたBUのLifetimeが0であることにより実行される。次に、ユーザ状態管理部11は、OP52で受信したMN30からのBUに基づいて、MN30のバインディングキャッシュ100を生成する。バインディングキャッシュ100を生成すると、ユーザ状態管理部11は、位置登録制御部12に、バインディングキャッシュ100の生成完了を通知する。
位置登録制御部12は、MN30に対してモバイルIPv6位置登録完了を示すBA(OK)を送信する(OP69)。このとき、位置登録制御部12は、OP63において代表MN20から送信されたBUに含まれる、MN30の不在着信履歴リスト206をBAに含めて送信する。
<<第3実施形態の作用効果>>
MN30から位置登録要求(BU)を受信すると、HA10が代表MN20に対して、代行終了通知を送信し、代表MN20が位置登録の停止処理を行うことによって、スムーズにMN30に位置登録を引き継ぐことができる。また、モバイルIPv6の位置登録の停止処理時に、代表MN20がBUにMN30の不在着信履歴リスト206を含めてHA10に送信し、更に、MN30の不在着信履歴リスト206をHA10がMN30へのBAに含めて送信することによって、着信履歴の通知を速やかに行うことができる。
SIPの位置登録停止処理において、代表MN20は、SIPサーバ3へのREGISTERメッセージの定期送信を停止する。このとき、SIPサーバ3には、代表MN20がMN30の代行で行った位置登録の情報が残ったままになる。このSIPサーバ3に残る情報は、MN30がSIPサーバ3に位置登録を行う場合の情報と全く同じものである。従って、SIPサーバ3からすると、図9のOP69の処理の後にMN30からSIPのREGISTERメッセージを受信した場合でも、SIPセッションタイマが満了していない(SIP登録状態が継続している)場合は、新規な位置登録ではなく、継続の位置登録とみなされる。すなわち、SIPサーバ3からすると、代表MN20がMN30の代行で位置登録を行った時点から継続して、MN30がSIPサーバ3に位置登録(ログイン)しているようにしか見えない。従って、代表MN20からMN30へのSIPサーバ3の位置登録の引き継ぎが、SIPサーバ3に影響なく行われる。
<第4実施形態>
第4実施形態では、第1実施形態から第3実施形態において、MN単位で端末代行サービスを行っていたことに代えて、モバイルIPv6ユーザをグループ化し、グループ単位で端末代行サービスを提供することを実現する。第4実施形態では、モバイルIPv6ユーザのグループ化としてCUG(Closed User Group)を用いる場合について説明する。尚、第4実施形態では、第1実施形態から第3実施形態と相違する所についてのみ説明し、重複する箇所については、その説明を省略する。
CUGは、複数のMNをグループ化したものである。グループ化する方法としては、例えば、企業であればMNのユーザが所属する部署ごとでも良いし、あるアプリケーションによるサービスの加入者等でグループ化してもよい。CUGには、グループを代表するCUG代表MNが存在する。
第4実施形態において、端末代行サービスの加入契約はCUG毎になされる。CUGが
端末代行サービスに加入している場合には、そのCUGの全MNに対して端末代行サービスが実施される。CUG代表MNがネットワークに接続している場合には、CUG代表MNは、代表MN20からCUG内の全MNの不在着信リスト206を受信し、保持する。第3実施形態では、各MNが、ネットワークに復帰したときに、代表MN20からHA10を通じて自身の不在着信履歴リスト206を取得していた(図9:OP69)。第4実施形態では、予めネットワークに接続しているCUG代表MNが、代表MN20から、CUG内の全MNの不在着信履歴リストを取得し、CUG内のMNは、ネットワークに接続したときにCUG代表MNから自身の不在着信履歴リスト206を取得する。
図10は、第4実施形態における代表MN20の構成例を示す図である。代表MN20は、代行MN情報格納部24に、代行CUGリスト205をさらに格納する。代行CUGリスト205には、「CUG識別子」と「加入フラグ」とが格納される。「CUG識別子」とは、CUGを識別するためものである。例えば、MN30とMN40とをグループAとすると、「CUG識別子」は「グループA」となる。CUGを特定することができれば、CUG識別子はいか様に設定してもよい。「加入フラグ」とは、CUGが端末代行サービスに加入しているか否かを示すフラグである。「加入フラグ」が「ON」の場合には、該CUGは端末代行サービスに加入契約していることを示す。「加入フラグ」が「OFF」の場合には、該CUGは端末代行サービスに加入契約していないことを示す。
代行MN情報格納部24に格納される、端末代行サービスに加入しているMN毎に用意されるモバイルIPv6登録リスト200には、「HoA」、「代行状態」に加え、さらに、「CUG識別子」が格納される。「CUG識別子」には、該MNが属するCUGのCUG識別子が格納される。MNがCUGに属さない場合には、「CUGグループ」には何も設定されない(「Null」が格納されてもよい)。モバイルIPv6登録リスト200に含まれる「CUG識別子」は、代行CUGリスト205に含まれる「CUG識別子」と関連付けられている。
<<位置登録の代行処理>>
図11は、第4実施形態の位置登録の代行のシーケンスの例を示す図である。図11は、代表MN20がCGUグループに属するMNの代行で位置登録を行う場合の例である。
代表MN20のユーザ代行登録部21は、第1実施形態の図6のOP1〜OP4と同様にして、定期起動により、HA10から位置未登録MNリストを取得する(OP71〜OP74)。
代表MN20のユーザ代行登録部21が位置未登録MNリストを受信すると、ユーザ代行登録部21は、位置未登録MNリストからモバイルIPv6登録リスト200に格納されているMN(端末代行サービスに加入しているMN)を抽出する。さらに、その抽出したMNのモバイルIPv6登録リスト200内の「CUG識別子」を参照し、モバイルIPv6登録リスト200内の「CUG識別子」と関連付けられている代行CUGリスト205の「CUG識別子」の「加入フラグ」を参照する。「加入フラグ」が「ON」であれば、そのMNが属するCUGは端末代行サービスに加入していることを示すので、ユーザ代行登録部21は、そのMNの位置登録の代行処理を行う。即ち、位置未登録MNリストに含まれ、且つ、属するCUGが端末代行サービスに加入している(「加入フラグ」が「ON」)MNについて、代表MN20は、位置登録の代行を行う。
代表MN20は、第1実施形態の図6のOP5〜OP17と同様にして、抽出されたCUGグループに属する、位置未登録のMNの位置登録(モバイルIPv6とSIPとの双方への)位置登録を行う(OP75〜OP84)。
<<着信履歴の通知>>
図12は、第4実施形態の着信履歴通知のシーケンスの例を示す図である。図12は、図1において、MN30とMN40とがCUGグループAに属しており、CUGグループAは、端末代行サービスに加入している場合の例である。さらに、MN30は、CUGグループAのCUG代表MNであるとする。図12では、CUGグループAのCUG代表MNであるMN30はネットワークに接続しており(MN30は端末代行サービスを受けていない状態)、代表MN20から、CUGグループAの位置登録代行を受けているMNについて、着信履歴を取得する場合の例を示す。
MN30は、ネットワークに接続して位置登録を完了している状態であるとする。MN30は、自身がCUGのグループAのCUG代表MNであることを代表MN20に登録する(OP91)。MN30のユーザ制御部33は、代表MN20に対して、自身をCUGグループAのCUG代表MNとして登録するためのCUG代表MN登録を送信する(OP92)。このときのCUG代表MN登録には、パラメータとしてグループ識別子等が格納される。
MN30から、CUG代表MN登録を受信すると、代表MN20のユーザ代行登録部21は、MN30をCUGグループAのCUG代表MNとして登録する(OP93)。例えば、代行CUGリスト205に、「CUG代表MN」のフィールドを追加するなどしてもよい。又は、モバイルIPv6登録リスト200に「CUG代表フラグ」なるものを追加して、CUG代表MNには、「CUG代表フラグ」を「ON」にするなどしてもよい。
MN30をCUGグループAのCUG代表MNとして登録した後、代表MN20が位置登録を代行するCUGグループA内のMNであるMN40への着信があると、第1実施形態又は第2実施形態で説明した不在着信の代行が行われる(OP94)。
例えば、CUGグループAに属するMN40は、代表MN20によって位置登録を代行されているとする。さらに、MN40に対してVoIPの着信があり、代表MN20が不在着信を代行したとする。
代表MN20のユーザ代行登録部21は、定期的に、SIP代行クライアント部22に対して、端末代行サービス加入のCUGグループの着信履歴収集を指示する着信履歴収集要求を送信する(OP95)。着信履歴収集要求のパラメータはグループ識別子である。例えば、ユーザ代行登録部21は、CUGのグループAについて、着信履歴収集要求をSIP代行クライアント部22に送信する。
SIP代行クライアント部22は、着信履歴収集要求を受信すると、指定されたCUG内の位置登録の代行を行っているMNについて、代行MN情報格納部24から不在着信履歴リスト206を読み出す(OP96)。読み出された不在着信履歴リスト206はユーザ代行登録部21へ着信履歴収集要求応答に含まれて送信される(OP97)。OP95〜OP97は、指定されたCUG内の位置登録を代行しているMNの分だけ繰り返される。例えば、SIPクライアント部22は、CUGのグループAについて着信履歴収集要求を受信すると、代行MN情報格納部24から、MN40の不在着信履歴リスト206を読み出し、ユーザ代行登録部21に送信する。
不在着信履歴リスト206が、指定したCUG内の位置登録を代行するMNの分だけ集まったら、ユーザ代行登録部21は、CUG着信履歴通知として、そのCUGのCUG代表MNに送信する(OP98)。例えば、CUGのグループAのMN40の不在着信履歴リスト206を、グループAのCUG代表MNであるMN30に、CUG着信履歴通知に含めて送信する。
CUG着信履歴通知を受信すると、CGU代表MNであるMN30は、CUG着信履歴通知応答を代表MN20に送信する(OP99)。このときのCUG着信履歴通知応答には、「OK」が格納される。
「OK」が格納されているCUG着信履歴通知応答を受信すると、代表MN20のユーザ代行登録部21は、SIP代行クライアント部22に、送信済みの不在着信履歴リスト206を削除することを要求する着信履歴削除要求を送信する(OP100)。
SIP代行クライアント部22は、着信履歴削除要求を受信すると、送信済みの不在着信履歴リスト206を削除する(OP101)。例えば、SIP代行クライアント部22は、着信履歴削除要求を受信すると、送信済みのMN40の不在着信履歴リスト206を削除する。削除が完了すると、着信履歴削除要求応答をユーザ代行登録部21に送信する(OP102)。
尚、CUG代表MNが保持するCUGグループに属するMNの着信履歴は、該MNが実際に位置登録を行う際に、先にネットワークに接続していたCUG代表MNから通知してもよい。または、該MNのユーザがWebアクセス等によりCUG代表MNにログインし、Web画面上から該MNの着信履歴をユーザが参照できるようにしてもよい。例えば、MN40がネットワークに接続したときに、それを検出したMN30(CUG代表MN)が、保持しているMN40の不在着信履歴リスト206を送信する。また、例えば、MN40がネットワークに接続し、MN40からWebアクセスによりMN30にログインし、MN40のユーザがWeb画面を操作して、MN40の不在着信履歴リスト206を取得してもよい。
<<第4実施形態の作用効果>>
第4実施形態では、モバイルIPv6ユーザをCUG毎にグループ化されたMNに対して、端末代行サービスを適用した。これによって、例えば、ユーザをアプリケーション毎、もしくは、サービス毎にCUGにグループ化して、端末代行サービスを提供することができる。
第4実施形態では、定期的に、CUG内の位置登録を代行するMNの不在着信履歴リスト206が、CUG代表MNに送信され、削除されるので、代表MN20のメモリにとって負荷が軽くて済む。
<第5実施形態>
第5実施形態では、第1実施形態とは、位置未登録MNリストの取得方法が異なる。第1実施形態では、代表MN20がHA10に対して、定期的に要求することで、位置未登録MNリストを取得していた。これに代えて、第5実施形態では、HA10が定期的に位置未登録MNリストを生成し、代表MN20に送信する。尚、第5実施形態では、第1実施形態から第4実施形態と相違する箇所のみ説明し、重複する箇所は、その説明を省略する。
図13は、第5実施形態の位置登録の代行処理のシーケンスの例を示す図である。HA10のユーザ登録状態制御部14は、定期的に、ユーザ状態管理部11に対して、位置未登録ユーザ情報要求を送信する(OP110)。位置未登録ユーザ情報要求を受信すると、ユーザ状態管理部11は、位置未登録MNリストを生成する(OP111)。位置未登録MNリストを生成すると、ユーザ状態管理部11は、ユーザ登録状態制御部14に位置未登録ユーザ情報応答として送信する(OP112)。ユーザ登録状態制御部14は、位置未登録MNリストを位置未登録ユーザ通知に含めて、代表MN20に送信する(OP1
13)。位置未登録ユーザ通知を受信すると、代表MN20のユーザ代行登録部21は、位置未登録ユーザ通知応答をHA10に送信する(OP114)。
以降、第1実施形態の位置登録の代行シーケンスのOP5〜OP17と同様にして、代表MN20は、位置未登録MNリストに含まれる端末代行サービス加入MNの分だけ、位置登録の代行を繰り返す(OP115〜OP122)。
<第6実施形態>
第6実施形態では、端末代行サービスをMNからの要求によって開始する点が、第1実施形態と相違する。第6実施形態では、第1実施形態から第5実施形態と相違する箇所のみ説明し、重複する箇所は、その説明を省略する。
図14は、第6実施形態の位置登録の代行処理のシーケンスの例を示す図である。図14では、MN30がホームリンクから移動する前に、代表MN20に対して、端末代行サービスを実施するように要求する場合の例を示す。
MN30は、代表MN20に対して、VoIP不在着信要求を送信する(OP131)。このときのVoIP不在着信要求には、SIPサーバ3に位置登録を行う際に必要な情報(MN30のHoA、SIPサーバ3のアドレス、MN30のSIP URL、パスワード等)が格納される。なお、このとき、MN30が既にHA10にモバイルIPv6の登録を行っている場合には、HA10に対して「Lifetime=0」としたBUを送信する(図示せず)。
VoIP不在着信要求を受信した代表MN20のユーザ代行登録部21は、第1実施形態の図6で説明したOP5〜OP17と同様にして、MN30のHA10への位置登録、及び、MN30のSIPサーバ3への位置登録を行う(OP132〜OP139)。
SIPサーバ3への位置登録が完了したら、代表MN20のユーザ代行登録部21は、MN30に対して、位置登録完了を示すVoIP不在着信要求応答(OK)を送信する(OP140)。VoIP不在着信要求応答を受信すると、MN30は、移動を開始する。
<第7実施形態>
第7実施形態では、代表MN20がMNを代行して位置登録を行った後、そのMNへの着信要求の不在着信の代行処理をしている間に、そのMNがネットワークに接続し、位置登録を行った場合の処理について説明する。第7実施形態では、第1実施形態から第6実施形態と相違する箇所のみ説明し、重複する箇所はその説明を省略する。
図15は、端末代行サービス実施中に、代表MN20が代行しているMNから位置登録が行われた場合の処理のシーケンスの例を示す図である。図15は、代表MN20がMN30を代行して位置登録を行った後に、MN30への着信要求があり、代表MN20が不在着信の代行処理をしている間に、MN30から位置登録が行われた場合の例を示す。図15では、代表MN20はMN30の位置登録の代行を完了し、更に、MN30への着信要求の不在着信の代行処理をしている(不在着信の代行実施中)とする。
MN30が、例えば、ホームリンクからフォーリンリンクに移動が完了すると、移動先のフォーリンリンクからMN30はCoAを取得する(OP150)。CoAを取得すると、CoAをHA10に通知するために、MN30はモバイルIPv6の位置登録を行う。MN30のユーザ制御部33がモバイルIPv6クライアント部31に対して、HA10に位置登録のBUを送信するように指示する(OP151)。指示を受けたモバイルIPv6クライアント部31は、BUをHA10に送信する(OP152)。
MN30からのBUを受信すると、HA10の位置登録制御部12は、MN30のユーザ認証を行う(OP153)。ユーザ認証が成功すると、位置登録制御部12は、ユーザ状態管理部11に、MN30のバインディングキャッシュ100の生成を指示する(OP154)。
ユーザ状態管理部11は、MN30のバインディングキャッシュ100の生成の指示を受けると、MN30のバインディングキャッシュ100の登録をチェックし、代行による位置登録中か否かを確認する(OP155)。図15では、MN30は代表MN20による位置登録中であるので、ユーザ状態管理部11はユーザ登録状態制御部14にその旨を通知する(OP156)。通知を受けたユーザ登録状態制御部14は、代表MN20にMN30の代行終了通知を送信する(OP157)。尚、MN30が代行による位置登録中ではない場合は、第3実施形態の図9のOP56〜OP57の処理を行う。
HA10からMN30の代行終了通知を受信すると、代表MN20のユーザ代行登録部21は、SIP代行クライアント部22に、MN30のSIP位置登録停止処理要求を送信する(OP158)。SIP位置登録停止処理要求を受信すると、SIP代行クライアント部22は、MN30の不在着信の代行処理中の状態であると判断する(OP159)。SIP代行クライアント部22は、ユーザ代行登録部21に対して、「不在着信の代行処理中」を示すエラーをSIP位置登録停止処理要求応答として送信する(OP160)。
エラーを示すSIP位置登録停止処理要求応答を受信すると、ユーザ代行登録部21は、MN30の代行着信中であることを示す代行終了NG応答をHA10に送信する(OP161)。尚、代表MN20がMN30の代行着信中でない場合には、第3実施形態で説明した図9のOP61〜OP69の処理を行う。
代行終了NGを受信すると、HA10の位置登録制御部12は、MN30に対して、BA(NG、不在着信の代行処理中)を送信する(OP162)。MN30は、BAを受信すると、位置登録できない状態であるので、位置登録処理を終了する。
その後、所定時間経過後、再度MN30が位置登録処理を開始した際に、代表MN20が不在着信の代行処理を行うVoIP通信が終了していれば、第3実施形態で説明した端末代行サービスの停止処理が行われる。
第7実施形態では、代表MN20においてMN30の不在着信の代行処理中に、MN30がモバイルIPv6の位置登録を行ってきた場合に、HA10を通じてMN30に不在着信の代行処理中であることを通知する(MN30にモバイルIPv6の位置登録が不可であることを通知する)。このことによって、不在着信の代行処理を中断することなく、MN30の不在着信履歴リスト206を収集することが可能となる。
<第8実施形態>
第7実施形態で、代表MN20がMN30の不在着信の代行処理中に、MN30がモバイルIPv6の位置登録を行った場合に、HA10を通じて、MN30に位置登録が不可であることを通知した。第8実施形態では、これに代えて、MN30が位置登録を行ってきた場合に、不在着信の代行処理が完了するまで、MN30の処理を保留する。即ち、MN30に位置登録不可通知を行い、MN30の位置登録処理を終了させるのではなく、不在着信の代行処理が完了するのを待って、MN30の位置登録を行う。このような処理を「待ち合わせ処理」と称する。尚、第8実施形態では、第1実施形態から第7実施形態と相違する箇所のみ説明し、重複する箇所についてはその説明を省略する。
図16は、不在着信の代行処理中に、代表MN20が代行するMNから位置登録が行われた場合の処理のシーケンスの例を示す図である。図16は、代表MN20がMN30を代行して位置登録を行った後に、MN30へ着信要求があり、代表MN20が不在着信の代行処理をしている間に、MN30から位置登録が行われた場合の例を示す。図16では、代表MN20はMN30の位置登録の代行を完了し、更に、MN30への着信要求の不在着信の代行処理をしているとする。
第7実施形態で説明した図15のOP150〜OP157と同様にして、MN30がIPv6位置登録処理を開始し、HA10が代表MN20にMN30の代行終了通知を送信する(OP170〜OP177)。
HA10からMN30の代行終了通知を受信すると、代表MN20のユーザ代行登録部21は、SIP代行クライアント部22に対して、MN30のSIP位置登録停止処理要求を送信する(OP178)。SIP位置登録停止処理要求を受信すると、SIP代行クライアント部22は、MN30の不在着信の代行処理中の状態であると判断する(OP179)。SIP代行クライアント部22は、ユーザ代行登録部21に対して、「不在着信の代行処理中」のエラーを示すSIP位置登録停止処理要求応答を送信する(OP180)。
ユーザ代行登録部21は、「不在着信の代行処理中」のエラーを示すSIP位置登録停止処理要求応答を受信してから、一定時間経過すると(OP181)、再度、SIPクライアント代行部22に、MN30のSIP位置登録停止処理要求を送信する(OP182)。再度、MN30のSIP位置登録停止処理要求を受信すると、SIP代行クライアント部はMN30に対する不在着信の代行処理の状態を判定する(OP183)。MN30に対する不在着信の代行処理中である場合には(OP183:Y)、SIP代行クライアント部22は、ユーザ代行登録部21に対して、「不在着信の代行処理中」のエラーを示すSIP位置登録停止処理要求応答を送信する(OP184)。SIP代行クライアント部22は、一定時間経過すると(OP181)、ユーザ代行登録部21にMN30のSIP位置登録停止処理要求を送信する(OP182)。
OP183において、MN30に対する不在着信の代行処理中ではない場合には(OP183:N)、MN30に対する不在着信の代行処理が完了したことを示す。SIP代行クライアント部22は、MN30に対する不在着信の代行処理が完了したことを確認すると、MN30のSIP位置登録停止処理を行う(OP185)。SIP代行クライアント部22は、ユーザ代行登録部21に対して、MN30のSIP位置登録停止処理が完了したことを示すSIP位置登録停止処理要求応答を送信する(OP186)。
SIP位置登録停止処理要求応答を受信すると、ユーザ代行登録部21は、モバイルIPv6代行クライアント部23に、MN30のモバイルIPv6の位置登録停止要求を送信する(OP187)。MN30のモバイルIPv6位置登録停止要求を受信すると、モバイルIPv6代行クライアント部23は、HA10にBUを送信する(OP188)。このとき送信されるBUには、「代行位置登録フラグ=OFF、HoA=MN30のHoA、Lifetime=0、不在着信履歴リスト」が設定される。
代表MN20からBUを受信すると、HA10の位置登録制御部12は、代表MN20に対し、BA(OK)を送信する(OP189)。
BAを受信すると、代表MN20のモバイルIPv6代行クライアント部23の、MN30のモバイルIPv6の位置登録停止処理が完了する。モバイルIPv6代行クライア
ント部23は、ユーザ代行登録部21にMN30のモバイルIPv6の位置登録停止処理の完了を示すモバイルIPv6位置登録停止要求応答を送信する(OP190)。
MN30のモバイルIPv6位置登録停止要求応答を受信すると、ユーザ代行登録部21は、HA10に、MN30の代行処理が完了したことを示す代行終了通知応答(OK)を送信する(OP191)。代行終了通知応答を受信すると、HA10の位置登録制御部12は、ユーザ状態管理部11に、バインディングキャッシュ100の更新を指示する(OP192)。ユーザ状態管理部11は、バインディングキャッシュ100を更新する(OP193)。バインディングキャッシュ100を更新すると、ユーザ状態管理部11は、位置登録制御部12に、バインディングキャッシュ100の生成完了を通知する。
位置登録制御部12は、MN30に対してモバイルIPv6位置登録完了を示すBA(OK)を送信する(OP194)。このとき、位置登録制御部12は、OP63において代表MN20から送信されたBUに含まれる、MN30の着信履歴をBAに含めて送信する。
<<第8実施形態の作用効果>>
第8実施形態では、代表MN20がMN30に対する不在着信の代行処理を行っているときに、MN30からのモバイルIPv6位置登録が発生すると、代表MN20は、MN30に対する不在着信の代行処理が完了するのを待って、代行位置登録の停止処理を行う、待ち合わせ処理を実行する。これによって、代表MN20のMN30に関する不在着信の代行処理を中断することなく、更に、MN30のモバイルIPv6位置登録処理を中断することなく(位置登録不可とすることなく)、MN30の不在着信履歴リスト206を収集することができる。また、代表MN20からMN30への位置登録の引き継ぎもスムーズに行われる。
<第9実施形態>
第1実施形態から第8実施形態では、モバイルIPv6を用いる環境で端末代行サービスを実現することについて説明した。第9実施形態では、モバイルIPv6に代えて、モバイルIPv4を用いる環境で端末代行サービスを実現することについて説明する。尚、第9実施形態では、第1実施形態から第8実施形態までと相違する箇所についてのみ説明し、重複する箇所については、その説明を省略する。
図17は、モバイルIPv4を用いて端末代行サービスを実現する場合の構成例を示す図である。図17におけるHA10B、代表MN20B、MN30B、MN40B、CN50B、及びSIPサーバ3Bは、いずれも、IPv4のみを実装する。
モバイルIPv4を用いた場合の、モバイルIPv6を用いた場合との相違点は、以下の点である。
(1)フォーリンリンク上にFA(Foreign Agent)60を備える。
(2)MNのCoAは、FA60から取得する。
IPv6を用いる場合は、MNのCoAは、フォーリンリンクのIPv6ルータから、プレフィックス情報を取得し、そのプレフィックス情報に基づいて、MNがCoAを自動生成する。IPv4を用いる場合には、MAはICMPによってFAよりCoAを取得する。
具体的には、例えば、MN30Bは、フォーリンリンクに接続した場合に、ICMPのAgent Solicitationを送信する。FA60からICMPのAgent
Advertisementを受信することで、MN30BはCoAを取得する。
(3)位置登録は、FA60経由でHA10Bに対して行う。
IPv6を用いる場合は、MNは、位置登録要求(BU)をHAに送信し、HAから位置登録応答(BA)を受信することで、位置登録を行った。
IPv4の場合は、MN30Bは、まず、FA60に対して位置登録メッセージ(Registration Request)を送信する。FA60は、位置登録メッセージをHA10Bに転送する。HA10Bから位置登録応答メッセージ(Registration Response)をFA60経由で受信することで、MN30は位置登録を行う。
(4)代表MN20Bは、例えばMN30の位置登録を代行する場合には、まず、HA10Bに対して、位置登録メッセージを送信し、MN30のモバイルIPv4位置登録を行う。モバイルIPv4位置登録後、代表MN20Bは、SIPサーバ3Bに対して、MN30のSIP位置登録を行う。
上記(1)から(4)以外の点については、アドレスをIPv4形式となるのみで、モバイルIPv4を用いて端末代行サービスを実現することができる。
<その他>
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
モバイルIPサービスの提供を受ける移動端末の処理を代行する端末代行装置であって、
前記移動他末の移動先で接続される移動先ネットワーク上の気付けアドレスと前記移動端末の移動先に拘わらず設定される固有ネットワーク上の固有アドレスとの関係を管理する管理装置に対して、前記気付けアドレスが未登録の移動端末について、自身が管理するアドレスの中から前記移動端末の気付けアドレスに代わる代行アドレスを割り当てて、前記移動端末の固有アドレスに関連付けて登録する登録代行部と、
前記登録代行部によって前記管理装置への前記代行アドレスの登録完了した場合に、前記気付けアドレスと前記固有アドレスとの関係にしたがって実行されるべき処理に代えて、前記代行アドレスと前記固有アドレスとの関係にしたがって代行処理を実行するアプリケーション代行部と、
を備える端末代行装置。
(付記2)
前記管理装置に対して、前記気付けアドレスが未登録の移動端末のリストを受信する未登録リスト受信部と、
前記代行処理の対象となるべき対象移動端末のリストを記憶する対象移動端末記憶部と、
前記対象移動端末のリストを基に、前記管理装置から受信した前記未登録の移動端末のリストから、前記代行処理の対象となる対象移動端末を抽出する対象移動端末抽出部と、をさらに備える付記1に記載の端末代行装置。
(付記3)
前記管理装置に対して、前記気付けアドレスが未登録の移動端末のリストを要求する未登録リスト要求部と、をさらに備える付記1に記載の端末代行装置。
(付記4)
未登録リスト受信部は、前記管理装置からの送信要求にしたがって、前記気付けアドレスが未登録の移動端末のリストを受信する付記2に記載の端末代行装置。
(付記5)
前記アプリケーションはSIPであって、
前記ネットワークはSIPサーバを備え、
前記アプリケーション代行部は、前記代行アドレスと前記固有アドレスとの関係にしたがって、前記SIPサーバへ、前記気付けアドレスが未登録の移動端末の位置登録要求を送信する
付記1に記載の端末代行装置。
(付記6)
前記アプリケーション代行部は、前記気付けアドレスが未登録の移動端末への着信要求を受信した場合に、前記着信要求の送信元へ、前記気付けアドレスが未登録の移動端末の応答不可を含む前記着信要求の応答を送信する
付記5に記載の端末代行装置。
(付記7)
前記アプリケーション代行部は、前記気付けアドレスが未登録の移動端末への着信要求を受信した場合に、前記着信要求の送信元へ、前記気付けアドレスが未登録の移動端末の応答不可を含む前記着信要求の応答を送信し、前記着信要求の送信元の情報を着信履歴として格納する
付記6に記載の端末代行装置。
(付記8)
前記アプリケーション代行部は、前記気付けアドレスが未登録の移動端末への着信要求を受信した場合に、音声通信を確立し、前記着信要求の発信元に対して、前記気付けアドレスが未登録の移動端末の応答不可を通知する音声ガイダンスを再生送信し、前記着信要求の発信元からの音声パケットを記録する
付記5に記載の端末代行装置。
(付記9)
前記気付けアドレスが未登録の移動端末が前記管理装置に対して、前記気付けアドレスと前記固有アドレスとの関連付けを登録する場合に、
前記アプリケーション代行部は、前記SIPサーバへの、前記気付けアドレスが未登録の移動端末の位置登録要求の送信を停止し、
前記登録代行部は、前記管理装置に対して、前記気付けアドレスが未登録の移動端末の前記代行アドレスと前記固有アドレスとの登録の削除要求を送信する
付記5に記載の端末代行装置。