以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る半導体集積回路は、複数の基板上の各々に、半導体素子を有する層(以下、素子形成層とも表記する)を形成している。当該半導体素子を有する層を剥離して、一つの基板上に重ねて貼り合わせることによって本実施の形態にかかる半導体集積回路を作製する。基板から半導体素子を有する層を剥離するため、基板上に剥離層を形成し、剥離層上に半導体素子を有する層を形成する。また、重ねて貼り合わせた半導体素子を有する層は、貫通配線によって上層または下層と電気的に接続される。
本実施の形態では、本発明の半導体集積回路を作製する方法についての概要を、図1〜図3を用いて説明する。
図1(A)に示すように、第1の基板601上に、半導体素子を有する第1の素子形成層602を形成する。第1の素子形成層602は、半導体素子を有する層を積層させて形成される半導体集積回路の最下層となる。半導体集積回路を、第1の基板601上に作製する場合は第1の基板601上に剥離層を設けず、第1の素子形成層602を形成することができる。第1の素子形成層602を第1の基板601から剥離して他の基板上に貼り合わせ、半導体集積回路を形成する場合には、第1の基板601と第1の素子形成層602との間には剥離層を形成する。本実施の形態では、第1の基板601上に剥離層を設けず第1の素子形成層602を形成する例を示す。
次に、図1(B)に示すように、第2の基板603上に、剥離層604、及び半導体素子を有する第2の素子形成層605を形成する。第2の素子形成層605は、貫通配線のための開口部606を有する。同様に、第3の基板607上に、剥離層604、及び半導体素子を有する第3の素子形成層608を形成する。第3の素子形成層608は、第2の素子形成層605と同様、貫通配線のための開口部606を有する。
このようにして、半導体集積回路を形成するために必要な数だけ素子形成層を形成する。例えば、素子形成層を3層積層させる場合には、第1の基板、第2の基板、第3の基板上の各々に、第1の素子形成層から第3の素子形成層を形成する。なお、第2の素子形成層および第3の素子形成層は、貫通配線のための開口部を有する。
本実施の形態では、第1の基板601乃至第n(n≧2)の基板609上の各々に、第1の素子形成層602乃至第nの素子形成層610を形成し、n層の素子形成層を積層させて半導体集積回路を作製する例を示す(図1(B)参照)。ここで、第2の基板603乃至第nの基板609上に剥離層604を形成した上に、第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610を形成する。また、第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610は、貫通配線のための開口部606を有する。
次に、図1(C)に示すように、第2の基板603乃至第nの基板609上に形成された、第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610を剥離する。
そして、図2(A)に示すように、第2の基板603から剥離した第2の素子形成層605を、第1の素子形成層602上に貼り合わせる。そして、図2(B)に示すように、第2の素子形成層605に設けられた開口部606に導電性を有する材料を充填する。本実施の形態では、導電性を有する材料として導電性ペースト611を用いて、開口部606へ滴下する。導電性ペースト611が滴下された開口部606には、貫通配線612が形成され、(図2(C))第1の素子形成層602と第2の素子形成層605とを電気的に接続する。
同様に、図2(C)に示すように、第3の基板607から剥離した第3の素子形成層608を、第2の素子形成層605上に貼り合わせる。そして、図2(D)に示すように、第3の素子形成層608に設けられた開口部606に導電性ペースト611を滴下することで貫通配線612を形成し、第2の素子形成層605と第3の素子形成層608とを電気的に接続する。
上記の工程を繰り返し、最後に、図2(E)に示すように、第nの基板609から剥離した第nの素子形成層610を、第n−1の素子形成層613上に貼り合わせる。そして、図2(F)に示すように、第nの素子形成層610に設けられた開口部606に導電性ペースト611を滴下することで貫通配線612を形成し、第nの素子形成層610と第n−1の素子形成層613とを電気的に接続することで、複数の半導体素子を有する層を重ねて貼り合わせた半導体集積回路614を作製することができる(図2(G)参照)。なお、本明細書において接続されているとは、電気的に接続されていることと同義である。
第2の基板603から第2の素子形成層605を剥がし取るための境界を作る剥離層604は、積層時に物理的に密着性が低い積層関係を有する膜、または加熱やレーザ光照射、紫外線照射等、何らかの処理により性質が変化して脆弱化するような膜、もしくは積層された膜同士の密着性を低下することができる膜を用いる。そして、その密着性の低下した膜の界面から、第2の基板603と第2の素子形成層605とを剥離することができる。例えば、貴金属のように酸化し難い金属膜と酸化膜(例えば珪素の酸化膜)とは密着性が低いことが知られている。これを利用し、第2の基板603上に剥離層604として金属膜および珪素の酸化膜を積層し、その上に第2の素子形成層605を形成することによって、金属膜と珪素の酸化膜との界面で、第2の基板603から第2の素子形成層605を剥離することができる。
第2の基板603上に形成する剥離層604の材料、および第2の基板603から第2の素子形成層605を剥離する方法としては、下記のような例を挙げることができる。
(1)第2の基板603上に剥離層604として、単層もしくは積層の金属酸化膜を設ける。そして、加熱またはレーザ光照射等により剥離層604である金属酸化膜を脆弱化させ、第2の基板603と第2の素子形成層605とを剥離する。ここで、第2の基板603としてガラス基板や石英基板のように透光性を有する基板を用いた場合、基板裏面からレーザ照射を行うことができる。加熱またはレーザ照射により金属酸化膜が脆弱化するのは、当該金属酸化膜が結晶化されるためであると考えられる。
(2)第2の基板603上に剥離層604として水素を含む非晶質珪素膜を設ける。そして、加熱またはレーザ光の照射により剥離層604を脆弱化させる、または剥離層604をエッチングにより除去することで、第2の基板603と第2の素子形成層605とを剥離する。
(3)第2の基板603上に、(剥離層604を設けず)第2の素子形成層605を設ける。そして、第2の基板603を裏面から研磨して薄くするもしくは除去する、またはエッチングにより基板を除去することにより第2の素子形成層605を得る。例えば、第2の基板603として石英基板を用いた場合、HF溶液、HF蒸気、CHF3、またはC4F8とH2との混合ガス等を用いたエッチングで基板を除去することができる。また、第2の基板603としてシリコン基板を用いた場合には、NF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによるエッチングで基板を除去することができる。
(4)第2の基板603上に剥離層604として金属膜および金属酸化膜を積層して設ける。そして、加熱またはレーザ照射等により金属酸化膜を脆弱化させ、その後、剥離層604の一部をエッチングにより除去し、脆弱化された金属酸化膜と金属膜との界面において物理的に剥離する。剥離層604のエッチングは、例えば、剥離層604をタングステン(W)やモリブデン(Mo)等の金属を用いて形成した場合、アンモニア過水等の溶液、CCl4などを代表とする塩素系ガス、または、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガスとO2の混合ガス等を用いることができる。また、剥離層604をアルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の金属を用いて形成した場合、酸性溶液、またはCl2ガスをエッチングに用いることができる。なお、剥離層604として形成した金属酸化膜または非晶質珪素膜を脆弱化させる工程、または剥離層604をエッチングする工程を経ずに物理的に剥離することもできる。
剥離層を物理的に剥離する方法としては、例えば、第2の基板603端部に切り込みを入れ、第2の基板603と第2の素子形成層605との間に剥離するための切っ掛けを作り、そこから第2の素子形成層605を引き剥がすことができる。
ここでは、第2の基板603上に形成した剥離層604及び第2の素子形成層605の説明をした。その他に、上記方法を適用して、第2の基板603乃至第nの基板609上の各々に、剥離層604及び第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610を形成し、当該第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610を剥離することもできる。
また、上記第2の素子形成層605を第1の素子形成層602と接着し、第nの素子形成層610を第n−1の素子形成層613に接着する方法は、接着層を開口部606以外の部分に選択的に形成し、上下の層を接着することができる。接着層としては、絶縁性を有する無機化合物や有機化合物等を用い、単層もしくは積層構造で用いることができる。さらには、ポリイミドやエポキシ、アクリル等の有機化合物を主原料とする材料(例えば、それらを主原料とする永久性の厚膜レジスト、等)を使用することも可能である。また、接着層として異方性導電材料を用いても良い。異方性導電性材料を用いた場合には、接着層を選択的に形成する必要がなく好ましい。
開口部606は、上記で説明したように、導電性ペースト611を滴下して上下の層を電気的に接続し、貫通配線612を形成するために形成される。したがって、第nの素子形成層610の開口部606周辺、および第nの素子形成層610の開口部606の下に位置する第n−1の素子形成層613の最表面には導電層を形成し、導電性ペースト611を滴下したときに上下の層が電気的に接続する形状および構造とする。
また、導電性ペースト611の滴下として最も容易に考えられる方法としては、スピンコート法を用いて層上の全面に塗布する方法があげられる。この方法を適用する場合、必要であるなら、スピンコート法による導電性ペースト611の塗布後に、塗布した面を拭き、不要な導電性ペースト611を除去する工程を追加しても良い。また、インクジェットに代表されるような液滴吐出法、スクリーン印刷法等を用いて、開口部606に選択的に導電性ペースト611を滴下する方法を適用することもできる。
ここで導電性ペースト611とは、粒径が数十マイクロメートル以下の導電性粒子を有機樹脂に溶解又は分散させたものを指す。導電性粒子としては、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、およびチタン(Ti)、等の金属粒子、ハロゲン化銀の微粒子、またはカーボンブラック等を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤、及び被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、貫通配線612の形成にあたり、開口部606に導電性ペースト611を滴下した後には焼成することが好ましい。例えば、導電性ペースト611の材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下の粒子)を用いる場合、150〜300℃の温度範囲で焼成することにより導電性ペースト611を硬化させて貫通配線612を形成することができる。
また、上記で説明した工程では、各々の層を貼り合わせ、導電性ペースト611を滴下する工程を繰り返す例を示したが、この方法に限定されず、全部の層を積層させてから一度に導電性ペースト611を滴下して貫通配線612を形成しても良い。具体的には、図3(A)に示すように、第2の基板603乃至第nの基板609上に、第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610をそれぞれ形成し、図3(B)に示すように、第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610を剥離する。そして、図3(C)に示すように、第1の基板601上に形成されている第1の素子形成層602上に、第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610をすべて貼り合わせる。そして、図3(D)に示すように、第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610に形成されている開口部606に導電性ペースト611を滴下することで貫通配線612を形成し、積層させたすべての層を電気的に接続することができる。
この場合は、図3に示すように、第2の素子形成層605乃至第nの素子形成層610を重ね合わせたときに、各々の層に設けられた開口部606が略一致するように作製されている。なお、本明細書において、略一致とは、素子形成層を重ね合わせる際のアライメントの誤差を考慮したものであり、下層の素子形成層と、上層の素子形成層とが電気的に接続する範囲内において、各層に設けられた開口部の重なりにずれが生じても良い。
このように、上記で説明した方法を用いて半導体集積回路を作製することによって、基板を貫通するスルーホールを形成する工程や基板の裏面研磨の工程を経ずに貫通配線を形成することができるため、スループットを向上させることができる。また、基板の裏面研磨を行わないため、ゴミの発生を抑制でき、半導体素子および半導体集積回路の汚染を防止することができる。
さらに、基板を貫通するスルーホールを形成することなく、または、裏面研磨を行わずに、半導体素子を複数有する層を基板から剥離して積層するため、半導体素子を複数有する層を作製する基板を再利用することができる。これは、半導体集積回路を低コストで作製する一つの方法となる。
また、複数の半導体素子を有する層を基板から剥離して積層するため、半導体集積回路の厚さを薄くすることが可能である。さらには、可撓性を有する基板に半導体集積回路を作製する、または、半導体集積回路が基板を有さない構成とすることで、薄くて軽く、柔軟性を有する半導体装置を作製することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1で説明した半導体集積回路を構成する第1乃至第nの素子形成層を作製する方法、およびそれらの素子形成層を積層して半導体集積回路を作製する方法について、図4〜図10を用いて説明する。ここで、図4〜図9は基板断面図を示し、図10は基板上面図を示す。
まず、上記実施の形態1における第2乃至第nの素子形成層を作製する方法について説明する。はじめに、基板100の一方の面上に第1の絶縁層101を形成する。次に、第1の絶縁層101上に剥離層102を形成する。続いて、剥離層102上に第2の絶縁層103を形成する(図4(A)参照)。
基板100は、絶縁性の表面を有する基板であり、例えば、ガラス基板、石英基板、樹脂(プラスチック)基板、サファイア基板、上面に絶縁膜を有したシリコンウェハや金属板等である。好適には、基板100として、ガラス基板又はプラスチック基板を用いるとよい。ガラス基板やプラスチック基板は、1辺が1メートル以上で四角形状などの所望の形状のものを作製することが容易である。例えば、四角形状で、1辺が1メートル以上のガラス基板やプラスチック基板を用いると、作製する半導体集積回路が四角形状であるため生産性を大幅に向上させることができる。このような利点は、円形で、最大で直径が30センチメートル程度のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。
第1の絶縁層101及び第2の絶縁層103は、気相成長法(CVD法)やスパッタリング法等により、珪素の酸化物、珪素の窒化物、窒素を含む珪素の酸化物、酸素を含む珪素の窒化物などを材料として形成する。また、第1の絶縁層101及び第2の絶縁層103は積層構造であってもよい。第1の絶縁層101は、基板100からの不純物元素が上層に侵入してしまうことを防止する役目を担う。但し、第1の絶縁層101は、必要がなければ形成しなくても良い。
剥離層102は、スパッタリング法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)等から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは合金も含む化合物材料を含む層の、単層又は積層を形成する。なお、珪素を含む層に含まれる珪素は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれでもよい。
剥離層102が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、モリブデン、タングステンとモリブデンの混合物、タングステンの酸化物、タングステンの窒化物、タングステンの酸化窒化物、タングステンの窒化酸化物、モリブデンの酸化物、モリブデンの窒化物、モリブデンの酸化窒化物、モリブデンの窒化酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物のいずれかを含む層を形成する。
剥離層102を積層構造で形成する場合、例えば、1層目としてタングステン、モリブデン、またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層のいずれか1層を形成し、2層目として、タングステンの酸化物、窒化物、酸化窒化物、もしくは窒化酸化物、または、モリブデンの酸化物、窒化物、酸化窒化物、もしくは窒化酸化物、またはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物、もしくは窒化酸化物を形成することができる。これらの酸化物や酸化窒化物は、1層目の表面を酸素プラズマ処理、またはN2Oプラズマ処理することによって形成することができる。
剥離層102として、タングステン等の金属を含む層と当該金属の酸化物を含む層との積層構造を形成する場合、金属を含む層上に酸化珪素を含む層を形成することで、金属を含む層と酸化珪素を含む層との界面に当該金属の酸化物を含む層が形成されることを利用しても良い。
また、タングステン等の金属を含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、またはオゾン水等酸化力の強い溶液での処理等を行い、金属を含む層上に当該金属の酸化物を含む層を形成した後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、または窒化酸化珪素層を形成することができる。これは、上記金属の窒化物、酸化窒化物、および窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様である。なお、剥離層102は、後の工程で作製する導電層とエッチングの選択比がとれるような材料を選択することが好ましい。
次に、第2の絶縁層103上に複数の半導体素子96を形成する。半導体素子としてはトランジスタ、ダイオード、コンデンサ、バイポーラトランジスタ等が挙げられる。ここでは一例として、半導体素子として複数の薄膜トランジスタを形成した場合を示す(図4(B)参照)。
複数の半導体素子96の各々は、半導体層90、ゲート絶縁層91、第1の導電層92(ゲート電極ともいう)を有する。半導体層90は、ソース又はドレインとして機能する不純物領域93、94、およびチャネル形成領域95を有する。不純物領域93、94には、N型を付与する不純物元素(例えばリン(P)、砒素(As))、又はP型を付与する不純物元素(例えばボロン(B))が添加されている。不純物領域94は、低濃度不純物領域(LDD:Light Doped Drain領域)である。低濃度不純物領域を設けることによってオフ電流の発生を抑制することができる。
本実施の形態では、複数の半導体素子96の各々は、半導体層90上にゲート絶縁層91が設けられ、ゲート絶縁層91上に第1の導電層92が設けられたトップゲート型の構造を示している。しかし、複数の半導体素子96の構成は、特定の構成に限定されず様々な形態をとることができる。例えば、第1の導電層92上にゲート絶縁層91が設けられ、ゲート絶縁層91上に半導体層90が設けられたボトムゲート型や、半導体層90の上下にゲート絶縁層を介して導電層が設けられている構造であってもよい。このように、半導体層90の上下に第1の導電層92を設ける構造にすることにより、チャネル領域が増えるため、電流値を大きくする、または、空乏層ができやすくなるため、S値を小さくすることができる。また、複数の半導体素子96から選択された1つ又は複数の半導体素子は、ゲート電極が2つ以上あり、チャネル形成領域が2つ以上あるマルチゲート型の半導体素子であってもよい。マルチゲート構造にすることにより、オフ電流を低減する、または、トランジスタの耐圧を向上させて信頼性を良くする、または、飽和領域での動作時にドレインとソース間の電圧が変化してもドレインとソース間の電流があまり変化せずにフラットな特性にするなどの効果がある。さらに、チャネル形成領域(もしくはその一部)にソース電極やドレイン電極が重なっていてもよい。チャネル形成領域(もしくはその一部)にソース電極やドレイン電極が重なっている構造にすることにより、チャネル形成領域の一部に電荷がたまって、動作が不安定になることを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では複数の半導体素子96として薄膜トランジスタを作製する例を示すが、本発明においてトランジスタは様々な形態のトランジスタを適用させることが出来、適用可能なトランジスタの種類に限定はない。したがって、非晶質シリコンや多結晶シリコンに代表される非単結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)、半導体基板やSOI基板を用いて形成されるトランジスタ、MOS型トランジスタ、接合型トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を適用することができる。または、ZnO、a−InGaZnOなどの化合物半導体を用いたトランジスタ、有機半導体やカーボンナノチューブを用いたトランジスタ、その他のトランジスタを適用してもよい。なお、非単結晶半導体膜には水素またはハロゲンが含まれていてもよい。
また、半導体集積回路を構成する複数の半導体素子96は、トランジスタ、またはダイオード(PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、等を組み合わせた回路を構成する。例えば、トランジスタを、論理回路を構成するスイッチとして用いる場合、そのトランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。ただし、オフ電流が少ない方が望ましい場合、オフ電流が少ない方の極性のトランジスタを用いることが望ましい。オフ電流が少ないトランジスタとしては、LDD領域を設けているトランジスタやマルチゲート構造にしているトランジスタ等がある。
また、スイッチとして動作させるトランジスタのソース端子の電位が、低電位側電源(Vss、GND、0Vなど)に近い状態で動作する場合はNチャネル型を、反対に、ソース端子の電位が、高電位側電源(Vddなど)に近い状態で動作する場合はPチャネル型を用いることが望ましい。なぜなら、ゲートとソース間の電圧の絶対値を大きくできるため、トランジスタがスイッチとしての機能を果たし易くなるからである。なお、Nチャネル型とPチャネル型の両方を用いて、CMOS型のスイッチにしてもよい。CMOS型のスイッチにすると、スイッチを介して出力する電圧(つまりスイッチへの入力電圧)が、出力電圧に対して、高い場合や、低い場合など、状況が変化する場合においても、適切に動作させることが出来る。
さらに、基板上に設ける複数の半導体素子96は、トランジスタのみに限定されることなく、作製する半導体装置の機能によって様々な種類の素子を形成することができる。例えば、非接触で情報の送受信を行う半導体装置(例えばRFID、ICタグ等)を形成する場合には、基板上に、容量、抵抗、インダクタ、ダイオード、等の素子を形成することができる。また、データを記憶する機能を有する半導体装置(メモリ、または記憶装置とも言う)を形成する場合には、基板上にトランジスタ、および記憶素子を形成することができる。ここで記憶素子は、要求される半導体装置の特性に応じて様々な形状、機能を有する。例えば、有機物を有する層を二つの導電層で挟んだ形状の記憶素子や、浮遊ゲートを有するトランジスタ型の記憶素子を形成することが可能である。
次に、複数の半導体素子96上に、第4の絶縁層97を形成する(図4(B)参照)。第4の絶縁層97は、気相成長法、スパッタリング法、SOG(スピン オン グラス)法、液滴吐出法(例えば、インクジェット法)等の任意の成膜方法を用いて、珪素の酸化物、珪素の窒化物、ポリイミド、アクリル、シロキサン、オキサゾール樹脂等を材料に用いて形成する。シロキサンは、例えば、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)、フルオロ基、又は少なくとも水素を含む有機基とフルオロ基を用いたものである。オキサゾール樹脂は、例えば、感光性ポリベンゾオキサゾール等である。オキサゾール樹脂は、ポリイミド等の比誘電率(3.2〜3.4程度)と比較すると、比誘電率が低いため(2.9程度)、寄生容量の発生を抑制し、高速動作を行うことができる。
本実施の形態では、複数の半導体素子96上に、第4の絶縁層97として2層の絶縁層を形成する例を示すが、本発明はこの構成に制約されない。言い換えれば、複数の半導体素子96上に設けられる絶縁層の数は制約されない。絶縁層を単層で形成した場合、作製工程が簡略化される。一方、絶縁層を積層で形成した場合は、単層で形成した場合より半導体素子に加わる応力を緩和することができる。
次に、第4の絶縁層97にコンタクトホール104〜109を形成する(図4(C)参照)。コンタクトホール104〜109を形成する方法については特に限定されない。例えば、レジスト等により形成されたマスクを第4の絶縁層97上に設けた後、第4の絶縁層97をエッチングすることによってコンタクトホール104〜109を形成することができる。
また、第4の絶縁層97をエッチングすることによって、第2の絶縁層103の一部が露出するように開口部110を形成する。開口部110の形成は、コンタクトホール104〜109と同時に形成することもでき、別に形成することもできる。
開口部110をコンタクトホール104〜109と同時に形成する場合、上記コンタクトホール104〜109の形成と同時に、第4の絶縁層97をエッチングすることによって、第2の絶縁層103の一部が露出するように開口部110を形成する。
開口部110をコンタクトホール104〜109とは別に形成する場合、上記コンタクトホール104〜109の形成後に、第4の絶縁層97をエッチングすることによって、第2の絶縁層103の一部が露出するように開口部110を形成する。また、開口部110をコンタクトホール104〜109と別に形成する場合、後に示す工程で、第4の絶縁層97、およびコンタクトホール104〜109上に第2の導電層を形成した後、第4の絶縁層97、および第2の絶縁層103をエッチングすることによって、剥離層102の一部が露出するように開口部110を形成することもできる。
本実施の形態では、開口部110をコンタクトホール104〜109と同時に形成する例を示す。
開口部110を形成する方法については特に限定されない。例えば、上記コンタクトホール104〜109の形成と同様、レジスト等により形成されたマスクを第4の絶縁層97上に設けた後、第4の絶縁層97をエッチングすることによって開口部110を形成することができる。開口部110を形成するためのエッチング方法について特に限定はなく、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は両方を組み合わせた方法を用いてもよい。
なお、一般的なエッチング方法を適用することによって開口部110を形成すると、開口部側面が基板に対して70°〜80°程度の角度で形成されるが、本実施の形態では、エッチング条件を適度に設定することによって、開口部110の側面が基板に対して10°〜60°の角度であることが好ましい。より好ましくは、30°〜50°の角度になるように形成する。この角度にすることによって、後に形成する第2の導電層を開口部110の側面に形成することが容易となる。ただし、本発明の実施はこの構造に限定されるものではない。
続いて、第4の絶縁層97、コンタクトホール104〜109、および開口部110上に第2の導電層111〜116を形成する(図4(D)参照)。第2の導電層111〜115は、複数の半導体素子96の各々のソース(ソース領域、ソース電極ともいう)又はドレイン(ドレイン領域、ドレイン電極ともいう)に接続され、第2の導電層115の一部及び第2の導電層116は、開口部110の側面に形成される。
第2の導電層111〜116は、スパッタリング法等により、チタン、タングステン、クロム、アルミニウム、タンタル、ニッケル、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、イリジウム、ニオブ、鉛、白金、モリブデン、コバルト又はロジウム等から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料、又はこれらの元素を主成分とする酸化物や窒化物などの化合物材料で、単層又は積層で形成する。第2の導電層111〜116の積層構造の例を挙げると、例えば、チタン、アルミニウム、チタンの3層構造、チタン、窒化チタン、アルミニウム、チタン、窒化チタンの5層構造、チタン、窒化チタン、シリコンが添加されたアルミニウム、チタン、窒化チタンの5層構造等がある。第2の導電層111〜116を積層で形成することによって、ソース又はドレインとの接触抵抗を低くすることができる。さらに、第2の導電層111〜116に加わる応力を緩和することができる。
ここで、開口部110の説明として、図4(D)のA−Bに対応する上面図を図10(A)に示す。開口部110は、第4の絶縁層97および第2の絶縁層103上に第2の導電層160が形成されている。なお、第2の導電層160は、図4(D)の第2の導電層115及び116を上面から見たものに対応する。また、開口部110底面は、第2の導電層160と第4の絶縁層97に覆われておらず、第2の絶縁層103が露出した構造となっている。ここでは、開口部の底面に設けられている穴(第2の絶縁層103が露出した部分)は一つであるが、例えば、図10(B)に示すように底面に第2の導電層160を複数形成し、開口部110の底面をメッシュ状としてもよい。また、ここでは開口部110及びその底面の穴の形状は矩形状であるが、円形や多角形状等でもよい。なお、ここでの矩形状や多角形状とは、角部が丸まっている形状も含む。
なお、開口部110の大きさは、後の工程で用いる導電性を有する材料に含まれる導電性粒子の大きさや、開口部110を設けるときのエッチング工程に費やす時間などを考慮して形成すればよい。言い換えれば、後の工程で用いる導電性を有する材料に含まれる導電性粒子が開口部110を通過できる程度の大きさであり、かつ工程にかかる時間を考慮して開口部110の大きさを選択すればよい。なお具体的には、1μm以上であることが好ましい。また、半導体素子を形成するスペース等を考慮して、開口部110は50μm以下であることが望ましい。
上記工程により、第2の基板乃至第nの基板上に第2の絶縁層103、複数の半導体素子96、第4の絶縁層97、第2の導電層111〜116、および開口部110を有する、第2の素子形成層乃至第nの素子形成層を形成することができる。
次に、第4の絶縁層97と第2の導電層111〜116上に、第5の絶縁層117を選択的に形成する(図5(A)参照)。第5の絶縁層117は、開口部110上には形成しないため、第2の導電層115、116の一部は露出している。第5の絶縁層117は、半導体素子を有する層を貼り合わせるためにも機能するため、接着層とも記載する。また、第5の絶縁層117は接着層として用いるため、後の工程で行われる剥離の後、および他の層との貼り合わせの時に形成することもできる。本実施の形態では、剥離工程よりも前に第5の絶縁層117を形成する例を示す。
第5の絶縁層117は、下記のように様々な方法を用いて形成することができる。例えば、感光性の永久レジストをスリットコーターで作製し、露光と現像をすることによって形成することができる。また、永久レジストのドライフィルムを貼り付けた後、露光と現像をすることによって形成することもできる。または、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の樹脂により、5〜200μm、好適には15〜35μmの厚さでスクリーン印刷法、液滴吐出法等を用いて形成することもできる。なお、スクリーン印刷法、液滴吐出法を用いることによって第5の絶縁層117の膜厚を均一に形成することが可能である。好ましくは、スクリーン印刷法を用いるとよい。スクリーン印刷法は、作製時間を短縮することができ、装置が安価であるからである。なお、第5の絶縁層117を形成した後、必要に応じて、加熱処理を行う。
次に、開口部110の底面で露出している第2の絶縁層103、およびその下の剥離層102の一部をエッチング剤によって除去することによって、剥離層が除去された剥離層除去領域118を形成する(図5(A)参照)。ここでは、第2の絶縁層103、および剥離層102をエッチングによって除去する例を示すが、第2の絶縁層103のみを除去し、剥離層102を除去する工程を行わなくても良い。後の剥離工程が可能である場合、時間を短縮することができるため、剥離層102のエッチング工程を削減することが好ましい。
また、上記で示したように、第2の導電層を形成した後、または第5の絶縁層117を形成した後に開口部110を形成する場合は、開口部110を形成するときに第2の絶縁層103をエッチングにより除去することができるため、上記した第2の絶縁層103のエッチング工程を省略することができる。またこの場合は、開口部110を形成するときに、剥離層102の一部を除去し、剥離層除去領域118を形成することも可能である。
次に、第5の絶縁層117上に、支持基板130を設ける(図5(B)参照)。支持基板130は、第6の絶縁層120と接着層119が積層された基板である。接着層119は、加熱処理により接着力が低下する熱可塑性樹脂であり、例えば、加熱によって軟化する材料、加熱により膨張するマイクロカプセルや発泡剤を混入した材料、熱硬化性樹脂に熱溶融性や熱分解性を付与した材料、水の侵入による界面強度劣化やそれに伴って吸水性樹脂が膨張する材料を用いて形成される。本明細書において、第6の絶縁層120と接着層119とをあわせた支持基板を、熱剥離型の支持基板とも記載する。
また、熱剥離型の支持基板の代わりに、加熱処理によって接着力が低下するフィルムからなる熱剥離フィルムや、UV(紫外線)照射を行うことによって、接着力が低下するUV(紫外線)剥離フィルム等を用いてもよい。UVフィルムは、第6の絶縁層120とUV(紫外線)照射を行うことによって粘着力が弱くなる接着層119が積層されたフィルムである。
次に、支持基板130を用いて、基板100から第2の素子形成層乃至第nの素子形成層を剥離する(図5(C)参照)。基板100から、第nの素子形成層121の剥離は、剥離層102の内部又は剥離層102と第2の絶縁層103を境界として行われる。図5に図示する構成では、剥離層102と第2の絶縁層103の間を境界として剥離が行われた場合を示す。このように、支持基板130を用いることにより剥離工程を容易にかつ短時間で行うことができる。
次に、加熱処理を行って、支持基板130から第nの素子形成層121を分離する(図6(A)参照)。上述したように、支持基板130は、熱剥離型の基板であるため、加熱処理により支持基板130と第5の絶縁層117の間の接着力を低下させ、支持基板130から第nの素子形成層121を分離することができる。
続いて、半導体素子を有する第1の素子形成層122、および第2の素子形成層乃至第nの素子形成層121を積層することによって、複数の半導体素子を有する半導体集積回路を形成する(図6(B)参照)。図6(B)では、第1の素子形成層122乃至第nの素子形成層121(n=3)の3層を積層した構造を示す。しかし、本発明はこの構造に限定されるものではなく、素子形成層は、2層であってもよいし、3層以上であってもよく、実施者が使用目的にあわせて選択すればよい。
また、上記工程は、第1の素子形成層122と第2の素子形成層121とを積層させて貼り合わせた後、第2の素子形成層121と支持基板130とを分離することもできる。その後、第3乃至第nの素子形成層121を積層させてもよい。この場合は、素子形成層の貼り合わせの工程、および支持基板130との分離の工程を交互に繰り返し行うことになる。このように、上記で説明した半導体集積回路の作製方法は、作製が容易になるように工程順序を変えても良い。
ここで図6は、半導体素子を有する第1の素子形成層122が開口部を有し、さらに上記実施の形態1において図3で説明したように、第1の素子形成層122乃至第nの素子形成層(ここでは第nの素子形成層121(n=3))を積層して貼り合わせたときに、各層の開口部が略一致するように設けられている例を示す。この場合、第5の絶縁層117は開口部以外の場所に選択的に形成されている。
上記のように、複数の半導体素子を有する層が積層された半導体集積回路において、最下層である第1の素子形成層122は、上記で説明した上層となる第2の素子形成層乃至第nの素子形成層と同様の方法を適用して作製すれば良い。また、第1の素子形成層122は、剥離層102および開口部110を設けずに作製してもよい。
しかしながら、最下層である第1の素子形成層122は、上層となる第2の素子形成層乃至第nの素子形成層と同様、剥離層102および開口部110を設けて形成することもできる。例えば、第1の素子形成層122を、ガラス基板や半導体基板を用いて形成した後、基板から剥離し、プラスチック基板やフイルム等に貼り合わせることで、半導体集積回路を作製基板から他の基板へ移し替えることができる。このように、第1の素子形成層122を作製基板から他の基板へ移し替えることで、薄くて柔らかい半導体集積回路を形成することができる。
本実施の形態では、このように、最下層となる第1の素子形成層122の作製方法を図7を用いて説明する。第1の素子形成層122は、図5で説明した半導体素子を有する第2の素子形成層乃至第nの素子形成層と同様、基板上に複数の半導体素子96、第4の絶縁層97、コンタクトホール、および開口部を形成する。そして、コンタクトホール、および開口部上に第2の導電層111〜114及び第2の導電層140を形成する(図7(A)参照)。
次に、第4の絶縁層97と第2の導電層111〜114、第2の導電層140上に、第5の絶縁層141を選択的に形成する(図7(B)参照)。第5の絶縁層141は、上記第5の絶縁層117と同様、開口部143上には形成しないため、第2の導電層140の一部は露出している。第5の絶縁層141は、積層した素子形成層同士を接着する接着層としても機能する。
第1の素子形成層を形成する場合は、少なくとも剥離層102の一部が露出するように、剥離用の開口部78を形成する(図7(C)参照)。この工程は、処理時間が短い点から、レーザビームの照射により行うのが好ましい。レーザビームは、第5の絶縁層141の表面から、第1の絶縁層101、剥離層102、第2の絶縁層103、第4の絶縁層97、および第5の絶縁層141に対して照射される。そして、第2の絶縁層103、第4の絶縁層97、および第5の絶縁層141には、剥離用の開口部78が設けられる。図7(C)において図示する構成では、レーザビームが、第1の絶縁層101にまで達し、第1の絶縁層101、剥離層102、第2の絶縁層103、第4の絶縁層97、および第5の絶縁層141に剥離用の開口部78が形成された場合を示す。なお、レーザビームは、基板100まで達してもよい。
上記のレーザビームを照射する工程では、アブレーション加工が用いられる。アブレーション加工とは、レーザビームを照射した部分、つまり、レーザビームを吸収した部分の分子結合が光分解して切断され、気化する現象を用いた加工である。つまり、レーザビームを照射して、絶縁層を形成する分子の分子間結合を光分解で切断し、気化させることにより、剥離用の開口部78を形成している。
また、レーザビームは、紫外光領域である150〜380nmの波長の固体レーザを用いるとよい。好ましくは、150〜380nmの波長のNd:YVO4レーザを用いるとよい。その理由は、150〜380nmの波長のNd:YVO4レーザは、他の高波長側のレーザに比べ、光が絶縁層に吸収されやすく、アブレーション加工が可能であるからである。また、加工部の周辺に影響を与えず、加工性がよいからである。このように、剥離用の開口部78を設けることで、剥離工程を容易にすることができる。
なお、図7(C)で示す剥離用の開口部78は必ずしも設ける必要はなく、この工程を省略して図7(D)の工程に移ることもできる。
開口部78を形成する場合も、形成しない場合も、図7(B)で形成した第5の絶縁層141上に支持基板130を設ける(図7(D)参照)。支持基板130は、第6の絶縁層120と接着層119が積層された基板であり、本実施の形態では、上記で説明した熱剥離型の支持基板を用いる。
次に、支持基板130を用いて、基板100から第1の素子形成層122を剥離する。この剥離工程は、上記の第2の素子形成層乃至第nの素子形成層を形成する方法と同様な方法を用いれば良いため、ここでは省略する。そして、基板100から剥離した後、第1の素子形成層122を他の基板に貼り付けてもよい。
その後、上記で示したように、第1の素子形成層122上に第nの素子形成層121(n=2)を貼り合わせ、第nの素子形成層121(n=2)上に第nの素子形成層121(n=3)を貼り合わせる。本発明の半導体集積回路は、実施者の必要に応じ、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層のn個の素子形成層を貼り合わせて積層させることにより作製する。本実施の形態では、第1の素子形成層122乃至第nの素子形成層121(n=3)の3層を積層させて半導体集積回路を作製する(図6(B)参照)。
続いて、半導体素子を有する第1の素子形成層122乃至第nの素子形成層(図では第nの素子形成層121(n=3))を積層させた半導体集積回路に設けられた開口部124に導電性を有する材料を充填する。本実施の形態では、開口部124に、導電性ペースト125を滴下する(図8(A)参照)。導電性ペースト125としては、上記で説明したように、径が数マイクロメートル以下の導電性粒子を有機樹脂に溶解又は分散させたものを用いる。導電性粒子としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、及びBaのいずれか一つ以上の金属粒子、ハロゲン化銀の微粒子等、又はカーボンブラックを用いることができる。また有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤、及び被覆剤として機能する有機樹脂から選ばれた一つ又は複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。
また、例えば銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下の粒子)を有する導電性ペーストを用いる場合、150〜300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電層を得ることができる。これらの工程により、積層された複数の半導体素子を有する層が貫通配線126により電気的に接続された半導体集積回路を作製することができる(図8(B)参照)。
図8では、上記実施の形態1において図3で説明したように、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層を積層して貼り合わせたときに、各層の開口部が略一致するように設けられ、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層を積層させた後に導電性ペースト125を滴下して貫通配線126を形成する例を示した。しかし、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層を積層して貼り合わせたときに各層の開口部が必ずしも重なるように形成されている必要はなく、例えば上記実施の形態1において図2に示したような構成としても良い。この場合の例を図9に示す。
開口部124を重ならずに形成する場合は、開口部124の直下に位置する部分、例えば、第a層の開口部の直下に来る第a−1層の最上部には、第2の導電層127が形成されている(ここでaは2乃至n)。また、第a層の開口部124及び第a−1層の第2の導電層127上には第5の絶縁層を形成せず、それ以外の領域に選択的に第5の絶縁層が形成されている(図9(A)参照)。そして、図9(A)に示すように、第1の素子形成層122上に第2の素子形成層121を貼り合わせた後、導電性ペースト125を滴下することで貫通配線126を形成する。そして、図9(B)に示すように、第2の素子形成層121上に第3の素子形成層121を貼り合わせた後、導電性ペースト125を滴下することで貫通配線126を形成する。そして、第n層まで、素子形成層の貼り合わせと、導電性ペースト125の滴下による貫通配線126の形成とを交互に繰り返し行うことで半導体集積回路を作製することができる。
また、導電性ペースト125を焼成することにより硬化させて導電層を得る場合は、素子形成層の貼り合わせと導電性ペースト125の滴下を繰り返し、第1の素子形成層122乃至第nの素子形成層121をすべて積層させた後に焼成すれば良い。このようにして、積層された複数の半導体素子を有する第1の素子形成層122乃至第nの素子形成層121が貫通配線126により電気的に接続された半導体集積回路を作製することができる。
本実施の形態を用いて半導体集積回路を作製することによって、スルーホールを形成する工程や、スルーホールを形成するための基板の裏面研磨の工程を省略することができるため、半導体集積回路の作製工程にかかる時間を短縮することができる。また、基板にスルーホールを形成しないため、または、裏面研磨を行わないため、基板の材質が制限されず、基板を再利用することもできる。これによって、半導体集積回路の低コスト化を実現することができる。さらに、複数の半導体素子を有する層を基板から剥離して積層させるため、小さくて薄く、柔軟性に富んだ半導体集積回路を作製することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なる構成の半導体集積回路を作製する方法を図面を用いて説明する。本実施の形態では、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層を積層する際に、それぞれの素子形成層の間に導電性の材料を挟んでいる構成である点で、実施の形態2で示した構成とは異なる。
図11に、半導体集積回路を形成するための第1の素子形成層乃至第nの素子形成層の断面図を示す。ここで、第2の導電層111〜116を形成するまでの工程は、実施の形態2の図4(D)までの工程と同一であるため、ここでは説明は省略する。第4の絶縁層97と第2の導電層111〜116を覆うように選択的に第5の絶縁層150を形成する(図11(A)参照)。第5の絶縁層150は、半導体素子を有する第nの素子形成層153に設けられた開口部158上には形成しない。
ここで、開口部158を形成する方法を説明する。開口部158は、コンタクトホールを形成するときと同時に、第4の絶縁層97を除去して形成する。また、コンタクトホールに第2の導電層111〜116を形成した後に、開口部底面の第2の絶縁層103および剥離層102を除去することができる。または、第2の導電層111〜116および第4の絶縁層97上に第5の絶縁層150を形成した後に、開口部底面の第2の絶縁層103および剥離層102を除去しても良い。
続いて、第nの素子形成層153に設けられた開口部158に導電性ペースト125を滴下する(図11(B)参照)。導電性ペースト125は、上記実施の形態で説明したように、粒径が数ナノメートルから数マイクロメートルの導電性粒子を有機樹脂に溶解又は分散させたものを用いる。導電性ペースト125を滴下する工程によって貫通配線126を形成する(図11(C)参照)。
次に、少なくとも、剥離層102の一部が露出するような剥離用の開口部78を形成する(図12(A)参照)。この工程は、上記実施の形態で説明したように、レーザビームの照射により行うとよい。レーザビームは、第5の絶縁層150の表面から照射され、剥離用の開口部78は、少なくとも剥離層102の一部が露出するように形成される。図示する構成では、レーザビームが、第1の絶縁層101にまで達し、第1の絶縁層101、剥離層102、第2の絶縁層103、第4の絶縁層97、および第5の絶縁層150が分断された場合を示す。また、ここでは剥離層102の一部が露出するような剥離用の開口部78を形成する例を示すが、この工程を行わなくても後の剥離工程が可能である場合は開口部78を形成する必要はない。
次に、第5の絶縁層150上に、支持基板130を設ける(図12(B)参照)。支持基板130は、上記実施の形態で説明したように、第6の絶縁層120と接着層119が積層された基板であり、熱剥離型の基板である。なお、熱剥離型の基板の代わりに熱剥離フィルムやUV(紫外線)剥離フィルムを用いてもよい。
次に、支持基板130を用いて、基板100から第nの素子形成層153を剥離する(図12(C)参照)。第nの素子形成層153の剥離は、上記実施の形態で説明したように、剥離層102の内部又は剥離層102と第2の絶縁層103を境界として行われる。図示する構成では、剥離層102と第2の絶縁層103の間を境界として剥離が行われた場合を示す。このように、支持基板130を用いることにより剥離工程を容易にかつ短時間で行うことができる。
次に、加熱処理を行って支持基板130から第nの素子形成層153を分離する(図13(A)参照)。上述したように、支持基板130は、熱剥離型の基板であるため、加熱処理により支持基板130と第5の絶縁層150との間の接着力が低下し、支持基板130から複数の半導体素子を有する第nの素子形成層153が分離される。
続いて、第1の素子形成層154、および第2の素子形成層乃至第nの素子形成層153を、導電性材料155を介して積層することによって、複数の半導体素子を有する半導体集積回路を形成する(図13(B)参照)。このように、第1の素子形成層154とそれに積層する第nの素子形成層153を、導電性材料155を介して貼り合わせることによって、貫通配線126を介して上下の層を電気的に接続することができる。図面では、第1の素子形成層154乃至第nの素子形成層153(n=3)の3層を積層した構造を示す。しかし、本発明はこの構造に限定されるものではなく、素子形成層は2層であってもよいし、3層以上であってもよく、実施者が適宜選択すればよい。
ここで、第1の素子形成層154とそれに積層する第nの素子形成層153を接着するための導電性材料155としては、例えば、導電性粒子156を含むことによって導電性を有する接着剤や、導電性フイルムを用いる事ができる。特に、層(または基板)と垂直方向にのみ導電性を有し、平行方向には絶縁性を有する異方性の導電性を有する異方性導電材料を用いることが望ましい。ここで、異方性導電材料は、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)を熱硬化させたものや異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)を熱硬化させたものを用いることができる。これらの材料は、特定の方向(ここでは基板と垂直方向)のみに導電性を有する。異方性導電ペーストは、バインダ層と呼ばれ、主成分が接着剤である層中に、導電性の表面を有する粒子(以下、導電性粒子という)が分散した構造を有している。異方性導電膜は、熱硬化または熱可塑性の樹脂フィルムの中に導電性粒子が分散した構造を有している。なお、導電性粒子は、球状の樹脂にニッケル(Ni)や金(Au)等をメッキしたものを用いる。不要な部位での導電性粒子間の電気的短絡を防ぐために、シリカ等からなる絶縁性の粒子を混入してもよい。
このように、導電性材料155を用いて第1の素子形成層154とそれに積層する第nの素子形成層153を貼り合わせる方法は、実施の形態2で示した半導体集積回路を作製する方法と比べてアライメントの精度が低くてもよく、作製時間を短縮することが可能である。これは、導電性材料155を介して第a層に設けられた貫通配線126と、第a−1層に設けられた貫通配線126または第2の導電層157とが電気的に接続すれば良いためである(ここでaは2乃至n)。
また、半導体集積回路が有する複数の素子形成層のうち、最下層である第1の素子形成層154は、上記実施の形態で説明した方法を適用して作製することができる。例えば、上記で示した半導体素子を複数有する第2の素子形成層乃至第nの素子形成層153と同様に作製しても良い。また、図7に示すように、開口部を有し、開口部底面に第2の導電層が形成されるように作製しても良い。図13(B)の本例では図7に示した方法で作製された第1の素子形成層154を示す。さらには、図9で示したように、第1の素子形成層154は開口部を有さない構造とすることもできる。第1の素子形成層154の構成は、作製方法に応じて任意に選択する事ができる。
また、第1の素子形成層154を、基板100から剥離せずに半導体集積回路を作製する事ができる。このように、第1の素子形成層154を基板100から剥離しない場合には、第1の素子形成層154を形成する基板100上に剥離層102、支持基板130を設ける必要がなく、第5の絶縁層150を形成後に第2乃至第nの素子形成層を積層すればよい。
また、第1の素子形成層154を基板100から剥離した後、他の基板に貼り合わせ、その上に第2の素子形成層乃至第nの素子形成層を積層させることも可能である。このとき、第1の素子形成層154を貼り合わせる他の基板としては、薄く、可撓性を有するプラスチックのような基板(またはフイルムのようなもの)を用いることによって、薄くて軽く、可撓性を有する半導体集積回路を作製することができる。また、本例で図13(B)に示すように、基板100から剥離した第1の素子形成層154を、他の基板に貼り合わせることなくそのまま用いることもできる。
また、本実施の形態で示す半導体集積回路の作製方法を適用する場合、第1の素子形成層154とそれに積層する第nの素子形成層153の上に第5の絶縁層150を設けず、各層を積層させて貼り合わせることができる(図14(A)、(B)参照)。この場合、第2の導電層161〜166を形成した後に、開口部168に導電性を有する材料を充填して貫通配線126を形成し、導電性材料155を用いて第1の素子形成層154とそれに積層する第2乃至第nの素子形成層153を積層させて貼り合わせる。このように第5の絶縁層150を設けないことによって、第5の絶縁層150を形成する材料および工程を削減することができる。しかしながら第5の絶縁層150は、第1の素子形成層154とそれに積層する第nの素子形成層153の間に発生する寄生容量を低減させる役割を有するため、必要に応じて設けるか設けないかを決めることができる。
また、図13(B)では、第1の素子形成層154に設けられた開口部と、それに積層する第2乃至第nの素子形成層153にそれぞれ設けられた開口部158とが重なって形成され、そこに貫通配線129が形成されている。しかしながら本発明はこの例に限定されず、第1の素子形成層154とそれに積層する第2乃至第nの素子形成層153は異なる場所に開口部158を有することができる(図14(B)参照)。これは、上記実施の形態2で図9を用いて説明した方法と同様であり、開口部158を重なり合う場所に設けず形成する場合は、開口部158直下に位置する部分、すなわち、第a層の開口部158の直下に来る第a−1層の最上部は、第2の導電層157が形成される(ここでaは2乃至n)。そして、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層を導電性材料155を介して貼り合わせることで、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層が貫通配線129を介して電気的に接続された半導体集積回路を作製することができる。
また、本実施の形態および上記実施の形態では、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層は開口部がそれぞれ一つずつ設けられている例を図示した。しかしながら本発明はこの例に限定されず、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層はそれぞれ複数の開口部を有することができる(図14(B)参照)。この場合も、上記例と同様、開口部直下に位置する部分、例えば、第a層の開口部の直下に来る第a−1層の最上部は、開口部または第2の導電層が形成されている。そして、導電性材料155を介して、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層は電気的に接続されている。
さらに、本実施の形態および上記実施の形態では、開口部に導電性ペーストが充填されている例を図示している。しかしながら、導電性ペーストはその粘性や表面張力を任意に変えることによって、充填せずとも、上下の素子形成層を電気的に接続させることができる。したがって、導電性ペーストは必要量滴下すれば良い。
本実施の形態を用いて半導体集積回路を作製することによって、スルーホールを形成する工程や、基板の裏面研磨の工程を削除することができるため、作製時間を短縮することができる。また、基板を貫通するスルーホールを形成するために基板の裏面研磨を行わないため、基板の材質の選択に制限がなく、基板を再利用することができるため低コスト化を実現することができる。さらに、素子形成層同士の間には基板を有していないため、高集積化が可能である。
(実施の形態4)
本発明の半導体集積回路は、複数の半導体素子を有する。複数の半導体素子の各々は、半導体層、ゲート絶縁層となる絶縁層及びゲート電極となる導電層を有する。本実施の形態では、複数の半導体素子の各々が有する半導体層、およびゲート絶縁層となる絶縁層の作製方法の一例について説明する。
半導体素子の各々が有する半導体層は、スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により非晶質半導体層を形成する。次に、レーザ結晶化法、RTA(Rapid Thermal Anneal)法、ファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた結晶化方法などを用いて、非晶質半導体層を結晶化し、結晶化された半導体層を形成する。そして、結晶化された半導体層を所望の形状に加工する。
なお上記の作製方法のうち、好ましくは、熱処理を伴った結晶化法と、連続発振レーザ又は10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射する結晶化法とを組み合わせた方法を用いるとよい。連続発振レーザ又は10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射することで、結晶化された半導体層の表面を平坦なものとすることができる。結晶化された半導体層の表面を平坦化することにより、当該半導体層の上層のゲート絶縁層を薄膜化し、また、前記ゲート絶縁層の耐圧を向上させることができる。
また上記の作製方法のうち、好ましくは、連続発振レーザ又は10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを用いて結晶化を行うとよい。連続発振レーザ又は10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射しながら、一方向に走査して結晶化させた半導体層は、そのレーザビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向がチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)となるように半導体素子を配置し、なおかつ、ゲート絶縁層となる絶縁層の作製方法に下記の方法を採用することにより、特性のばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高い半導体素子を得ることができる。
複数の半導体素子の各々が含むゲート絶縁層としての絶縁層は、上記で作製した半導体層に対してプラズマ処理を行うことにより表面を酸化又は窒化することで形成するとよい。例えば、希ガス(He、Ar、Kr、Xeなど)と混合ガス(酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素など)を導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、プラズマの電子温度が1.5eV以下で電子密度が1×1011cm−3以上のプラズマ(以下、高密度プラズマと省略する。)を生成することができる。より詳しくは、電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下で、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下で行うことが好ましい。このような高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体層の表面を酸化又は窒化することにより、5〜10nmの絶縁層が半導体層表面に形成される。この5〜10nmの絶縁層をゲート絶縁層として用いるとよい。
なお、この場合の高密度なプラズマを用いた処理による反応は、固相反応であるため、当該ゲート絶縁層と半導体層との界面準位密度をきわめて低くすることができる。このような高密度プラズマ処理は、半導体層(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成されるゲート絶縁層の厚さのばらつきをきわめて小さくすることができる。また、結晶性シリコンの結晶粒界でも、強く酸化されることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で、半導体層の表面を酸化または窒化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応または窒化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低いゲート絶縁層を形成することができる。
なお、半導体素子が有するゲート絶縁層は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁層のみを用いてもよいし、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁層に加えて、プラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁層を積層させて形成してもよい。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁層をゲート絶縁層の一部又は全部に含む半導体素子は、その特性のばらつきを小さくすることができる。
また、半導体素子が有する半導体層、ゲート絶縁層、さらにはその他の絶縁層を、プラズマ処理を用いて形成する場合がある。このようなプラズマ処理は、電子密度が1×1011cm−3以上であり、プラズマの電子温度が1.5eV以下で行うことが好ましい。より詳しくは、電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下で、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下で行うことが好ましい。
プラズマの電子密度が高密度であり、被処理物(例えば、半導体層やゲート絶縁層等)付近での電子温度が低いと、被処理物に対するプラズマによる損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上と高密度であると、プラズマ処理を用いて、被処理物を酸化または窒化することよって形成される酸化物または窒化物は、CVD法やスパッタリング法等により形成された薄膜と比較して、膜厚等の均一性に優れ、緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1.5eV以下と低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して、低温度で酸化または窒化処理を行うことができる。例えば、ガラス基板の歪点よりも100度以上低い温度でプラズマ処理を行っても、被処理物を十分に酸化または窒化し、酸化物または窒化物を形成することができる。
(実施の形態5)
上記実施の形態で示した半導体集積回路を有する半導体装置に関し、図15を参照して説明する。
図15(A)に示す半導体装置300は、導電膜302が設けられた基板301上に上記実施の形態で示したいずれかの構造を有する半導体集積回路303が接着されることにより設けられている。ここでは、複数の半導体集積回路303a〜303dが導電膜302と電気的に接続するように基板301上に設けられている。基板301と半導体集積回路303a〜303dとの接着は、接着性樹脂312により行い、半導体集積回路303a〜303dと導電膜302との電気的な接続は、接着性樹脂312に含まれた導電性粒子311を介して行うことができる(図15(B)参照)。また、他にも、半導体集積回路303a〜303dと導電膜302との電気的な接続を、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤、ACP(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着剤、ACF(Anisotropic Conductive Film)等の導電性フィルムや半田接合等を用いて行うこともできる。
ここで、半導体装置300を構成する半導体集積回路303は、上記実施の形態で説明した方法を適用して作製したものである。半導体集積回路303a〜303dと導電膜302との電気的な接続は、図15(B)に示すように、半導体集積回路303の裏面(半導体素子が設けられた面の反対側の面)に露出した導電層214と導電膜302とが導電性粒子311を介して行うことができる。
また、半導体集積回路303a〜303dと導電膜302との接続は、半導体集積回路303a〜303dの表面に露出した導電層や、銀ペースト等を滴下して形成された貫通配線126を介して行ってもよい。この場合、半導体集積回路303a〜303dの最上層が導電膜302と接触するように、上下を反転させて基板301に貼り合わせることができる。また、ワイヤボンディングを用いて導電膜302と半導体集積回路303a〜303dとを接続させることも可能である。
なお、ここでは示していないが、半導体集積回路303を保護するために、半導体集積回路303上に絶縁膜や絶縁性のフィルム等を設けてもよい。
本実施の形態で示す半導体集積回路303a〜303dの各々は、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)、メモリ、ネットワーク処理回路、ディスク処理回路、画像処理回路、音声処理回路、電源回路、温度センサー、湿度センサー、赤外線センサー等から選択された1つまたは複数として機能する。
このように、本発明の半導体装置を構成する半導体集積回路は、その作製時に、スルーホールを形成する工程や基板の研磨の工程を省略することができるため、作製時間を短縮することができる。また、基板を貫通するスルーホールを設けるために基板の研磨を行わないため、基板の材質の選択に制限がなく、基板を再利用することができるため低コスト化を実現することができる。さらに、複数の半導体素子を有する層と層の間に基板を有していないため、装置の高集積化が可能である。そして、このような半導体集積回路を用いることによって、小型で安価な半導体装置を提供することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の半導体集積回路を用いた、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置(RFID(Radio Frequency Identification)、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ(Radio Frequency)、無線タグ、電子タグ、無線チップともよばれる)若しくは、IDフィルム、ICフィルム、RFフィルムへの適用例を図16を参照して示す。
本発明に係る半導体装置(RFID)は、アンテナとして機能する導電膜219と、半導体集積回路303とを別々に形成し、その後導電膜219と半導体集積回路303を接続することで作製する(図16参照)。
ここで用いる半導体集積回路303は、上記実施の形態3で作製例を示したように、第1の素子形成層154乃至第nの素子形成層153(図ではn=3)を積層して貼り合わせ、貫通配線126によって電気的に接続することにより、RFIDの電気回路(例えば、電源回路、復調回路、論理演算回路、等)を形成している。また、アンテナとして機能する導電膜219は基板221上に形成される。基板221としては、ガラス基板、または、プラスチックのように薄くて柔らかい基板やフィルム等を使用することができる。なお、IDフィルム、ICフィルム、RFフィルムは、厚さが100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下(一層の集積回路における半導体層の厚さは、200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは70nm以下)であるとよい。フィルムの厚さが上記の範囲程度であると、フィルムは可撓性を有し、機械的な衝撃に対して破損しにくいといった特徴を有している。
図16(A)において、基板221上に形成したアンテナとして機能する導電膜219を、半導体集積回路303が有する貫通配線126及び半導体素子205a〜205cに電気的に接続することで半導体装置が作製される。
本発明の半導体装置を作製する方法の一例として、例えば、第1の素子形成層154(最下層)を基板100から剥離せずに、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層を貼り合わせて接続することで、基板100上に半導体集積回路303を作製する。そして、基板221に設けられたアンテナとして機能する導電膜219と、基板100上に設けられた半導体集積回路303とを電気的に接続するように貼り合わせることで半導体装置を作製することができる。
また、上記のように貼り合わせた後、半導体集積回路303から基板100を剥離することによって、可撓性を有し、薄くて、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置を作製することができる(図16)。
さらには、基板100を剥離した後に、半導体集積回路303及びアンテナとして機能する導電膜219が設けられた基板221を、薄くて柔らかい基板やフイルム等に貼り合わせることも可能である。このように、他の基板に貼り合わせることによって半導体集積回路303やアンテナとして機能する導電膜219を汚染や衝撃から保護することができる。
基板221に設けられたアンテナとして機能する導電膜219は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用い、単層構造又は積層構造で形成する。
また、アンテナとして機能する導電膜219が設けられた基板221と半導体集積回路303との接着は、接着性樹脂312により行う(図16(A)参照)。ここで用いる接着性樹脂312は、上記実施の形態で説明した異方性導電材料を用いることが望ましい。接着性樹脂312として当該異方性導電材料を用いた場合、半導体集積回路303が有する貫通配線126及び半導体素子205a〜205cとアンテナとして機能する導電膜219との電気的な接続は、接着性樹脂312に含まれた導電性粒子311を介して行うことができる。
また、他にも、半導体集積回路303が有する貫通配線126及び半導体素子205a〜205cとアンテナとして機能する導電膜219との電気的な接続を、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や半田接合等を用いて行うこともできる。
また、アンテナとして機能する導電膜219を半導体集積回路303とは別に形成した後にそれらを電気的に接続する場合、第1の素子形成層154の下側の面、すなわち、第1の素子形成層が有する第2の絶縁層103側に設けられた導電層214と電気的に接続することも可能である(図16(B)参照)。
このように半導体集積回路303の下側の面(すなわち、半導体素子を有する第1の素子形成層の第2の絶縁層103側)に設けられた導電層214と、アンテナとして機能する導電膜219とを電気的に接続することにより、半導体集積回路の上側の面(すなわち、第nの素子形成層(最上層)の第5の絶縁層150側)に記憶素子やセンサ素子等、トランジスタとは異なり特殊な機能を有する他の半導体素子を設けることができる。
ここでは、半導体集積回路の上側の面に記憶素子を形成する例を示す(図16(B)参照)。詳細には、半導体集積回路を形成するために積層した半導体素子を有する第nの素子形成層(図面ではn=3)上に、第3の導電層380及び第7の絶縁層381を設け、前記第7の絶縁層381上に、第4の導電層231、記憶層232および第5の導電層233の積層構造で形成される記憶素子230を設けた例を示している。ここで、第3の導電層380は、第nの素子形成層153に設けられている第5の絶縁層150上に設ける。そして、第3の導電層380が第nの素子形成層に設けられている第2の導電層と接続するように形成することで、記憶素子230と半導体集積回路303を構成する半導体素子とが電気的に接続する構成を示している。
記憶層232としては、電気的作用、光学的作用または熱的作用等により、その性質や状態が変化する材料を用いることができる。例えば、ジュール熱による溶融、絶縁破壊等によりその性質や状態が変化し、第4の導電層231と第5の導電層233との間の電気的性質(例えば抵抗や容量)が変化する材料を用いて形成する。例えば、記憶層232に電流を流すことによって、第4の導電層231と第5の導電層233との間が短絡(ショート)する材料を用いることができる。このように電気特性を変化させるためには、記憶層232の厚さは5nm〜100nm、好ましくは10nm〜60nmとするとよい。
記憶層232を形成する材料としては、例えば、有機化合物を用いることができる。有機化合物は、液滴吐出法、スピンコート法または蒸着法等、比較的容易な成膜方法により形成することができる。記憶層232を形成する有機化合物としては、例えば、4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環と窒素の結合を有する)の化合物、ポリビニルカルバゾール(略称:PVK)やフタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物等を用いることができる。これらの材料は、正孔輸送性の高い物質である。
また、他にも有機化合物として、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。これらの材料は、電子輸送性が高い物質である。
さらに、上記のような金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等の化合物を用いることができる。
また、記憶層232は有機化合物の単層構造であっても、積層構造であってもよい。積層構造の場合、上記材料から選んで積層構造とすることができる。また上記有機化合物と、発光材料として用いられる有機化合物とを積層してもよい。発光材料として用いられる有機化合物には、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−イル)エテニル]−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)等がある。
また、上記発光材料を母体材料に分散させた材料を用いて記憶層232を形成してもよい。発光材料分散させる母体材料としては、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)などの金属錯体等を用いることができる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等を用いることができる。
このような有機化合物は、熱的作用等によりその性質を変化させるため、ガラス転移温度(Tg)が50℃から300℃、好ましくは80℃から120℃であるとよい。
また、上記の有機化合物に金属酸化物を混在させた材料を用いてもよい。なお、金属酸化物を混在させた材料とは、上記有機化合物または発光材料として用いられる有機化合物と、金属酸化物とが混合した状態、または積層された状態を含む。具体的には複数の蒸着源を用いた共蒸着法により形成された状態を含む。このような材料を有機無機複合材料と呼ぶことができる。
例えば、上記に示した正孔輸送性の高い有機化合物と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはバナジウム酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、レニウム酸化物、タングステン酸化物、ルテニウム酸化物、チタン酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物を用いると好ましい。また、上記に示した電子輸送性の高い有機化合物と、金属酸化物を混在させる場合には、当該金属酸化物としてリチウム酸化物、カルシウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、または、マグネシウム酸化物を用いると好ましい。
また、記憶素子を形成する記憶層232には、電気的作用、光学的作用又は熱的作用により、その性質が変化する材料を用いればよい。例えば、記憶層232に、光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープした共役高分子を用いることもできる。共役高分子として、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンエチニレン類等を用いることができる。また、光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、スルホニルアセトフェノン類、Fe−アレン錯体PF6塩等を用いることができる。
なお、ここでは、記憶層232を形成する材料として有機化合物を用いた例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、電気的作用、光学的作用、化学的作用、又は熱的作用等によって結晶状態と非晶質状態の間で可逆的に変化する材料や、第1の結晶状態と第2の結晶状態の間で可逆的に変化する材料等の相変化材料を用いることができる。また、非晶質状態から結晶状態にのみ不可逆的に変化する材料を用いることも可能である。
結晶状態と非晶質状態の間で可逆的に変化する材料とは、ゲルマニウム(Ge)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、硫黄(S)、酸化テルル(TeOx)、Sn(スズ)、金(Au)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、Co(コバルト)及び銀(Ag)から選択された複数を有する材料であり、例えば、Ge−Te−Sb−S、Te−TeO2−Ge−Sn、Te−Ge−Sn−Au、Ge−Te−Sn、Sn−Se−Te、Sb−Se−Te、Sb−Se、Ga−Se−Te、Ga−Se−Te−Ge、In−Se、In−Se−Tl−Co、Ge−Sb−Te、In−Se−Te、Ag−In−Sb−Te系材料が挙げられる。また、第1の結晶状態と第2の結晶状態の間で可逆的に変化する材料とは、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)及びテルル(Te)から選択された複数を有する材料であり、例えば、Ag−Zn、Cu−Al−Ni、In−Sb、In−Sb−Se、In−Sb−Teが挙げられる。この材料の場合、相変化は2つの異なる結晶状態の間で行われる。また、非晶質状態から結晶状態にのみ変化する材料とは、テルル(Te)、酸化テルル(TeOx)、パラジウム(Pd)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)及びビスマス(Bi)から選択された複数を有する材料であり、例えば、Te−TeO2、Te−TeO2−Pd、Sb2Se3/Bi2Te3が挙げられる。なお、上記の材料の記載において、Sb2Se3/Bi2Te3は、Sb2Se3を含む層とBi2Te3 を含む層が積層されているという意味である。
また、記憶素子を形成する第4の導電層231および第5の導電層233は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷法、液滴吐出法またはディスペンサ法等により形成することができる。そして、第4の導電層231および第5の導電層233を形成する材料としては、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)から選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金からなる単層構造または積層構造を用いることができる。他にも、ITO膜(インジウム錫酸化物膜)、珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、酸化亜鉛(ZnO)膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、第4の導電層231または第5の導電層233を積層構造とすると、配線としての抵抗も低くすることができる。
本発明に係る半導体装置は、上記例のように、半導体集積回路303上面に記憶素子を形成することができ、同様にセンサ素子などを形成することができる。このように、半導体集積回路303上面に記憶素子やセンサ素子を作製する場合は、半導体集積回路303を、アンテナとして機能する導電膜219が設けられた基板221に貼り付けた後、第nの素子形成層に設けられた第5の絶縁層215上に記憶素子やセンサ素子等を作製することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる半導体集積回路及び前記半導体集積回路を有する半導体装置の作製方法を、図17〜図19を用いて説明する。具体的には、半導体集積回路を構成するための素子形成層の各々が、異なる機能または異なる構成の半導体素子を有する場合について説明する。
本発明の半導体集積回路は、上記実施の形態で説明した薄膜トランジスタとして機能する半導体素子を有する層の他にも、他の機能を有する半導体素子(例えば、ダイオードや電界効果トランジスタ、抵抗素子、容量素子、記憶素子、センサ素子、等)を有する層を積層させて形成することができる。
このように、様々な種類の半導体素子を有する半導体集積回路の作製例を図17を用いて説明する。まず、図17(A)に示すように、第1の基板701上に剥離層702を形成し、剥離層702上に、ダイオード、電界効果トランジスタ、抵抗素子、容量素子、記憶素子、等、半導体プロセスを用いて作製される半導体素子を有する第1の素子形成層703を形成する。第1の素子形成層703に形成される半導体素子は、上記に例を挙げた半導体プロセスを用いて作製される半導体素子であり、ここでは、第1の素子形成層703に形成される半導体素子を素子群Aと記載する。
同様に、第2の基板704乃至第nの基板706上に、剥離層702、および素子群Bを有する第2の素子形成層705乃至素子群Xを有する第nの素子形成層707を形成する。また、第2の素子形成層705乃至第nの素子形成層707は、貫通配線を形成するための開口部708を有する。ここで、素子群B乃至素子群Xは、上記素子群Aと同様、上記半導体プロセスを用いて作製される半導体素子を含む。また、素子群A乃至素子群Xは、1種類の半導体素子を有しても良いし、複数種類の半導体素子を有しても良い。
次に、図17(B)に示すように、第1の素子形成層703乃至第nの素子形成層707を第1の基板701乃至第nの基板706から剥離する。剥離の方法は、上記実施の形態で説明した方法を適用すればよい。
次に、第1の素子形成層703を他の基板712に貼り合わせる。そして、第1の素子形成層703上に第2の素子形成層705を貼り合わせ、導電性ペーストを滴下することにより第1の素子形成層703と第2の素子形成層705とを接続する貫通配線710を形成する。同様にして、第3の素子形成層709乃至第nの素子形成層707を貼り合わせて貫通配線710を形成することにより、図17(C)に示すように、半導体集積回路711を形成することができる。
このように、異なる種類の素子群を有する層を積層させて半導体集積回路を作製する例を図18を用いて説明する。本例では、素子群Aとして薄膜トランジスタを有する第1の素子形成層、素子群Bとして上記実施の形態6で図16(B)を用いて説明した記憶素子を有する第2の素子形成層を作製する。
まず、図18(A)に示すように、第1の基板701上に剥離層702を形成し、剥離層702上に素子群A(薄膜トランジスタ)を有する第1の素子形成層703を形成する。同様に、図18(B)に示すように、第2の基板704上に剥離層702を形成し、剥離層702上に素子群B(記憶素子)を有する第2の素子形成層705を形成する。ここで、素子群Aを有する第1の素子形成層703は、上記実施の形態で説明した方法を適用して作製することができる。
素子群Bを有する第2の素子形成層705は、まず、剥離層702上に第2の絶縁層713を形成する。次に、第2の絶縁層上に導電性を有する層を成膜し、加工することで第3の導電層714を形成する。次に、第3の導電層上に絶縁性を有する層を成膜し、加工することで第3の絶縁層715を形成する。次に、第3の絶縁層上に記憶層716を形成する。そして、記憶層716上に導電性を有する第4の導電層717を形成する。これによって、第3の導電層714、記憶層716、及び第4の導電層717の積層構造で形成される記憶素子719を有する第2の素子形成層705を作製する。また、第2の素子形成層は、第1の素子形成層と接続するために開口部を有することもできる。
第3の導電層714及び第4の導電層717には、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いることができる。第3の導電層714は、スパッタ法、CVD法等を用いて成膜し、フォトリソグラフィ法によるレジストマスクの形成およびエッチング法による加工を行うことで形成することができる。また、第4の導電層717は、上記第3の導電層714と同様に形成することもできるが、メタルマスクを用いて任意の形状に成膜することで形成することが可能である。
記憶層716には、上記実施の形態6で説明した有機化合物を用いることができる。また、第2の絶縁層713および第3の絶縁層715は、気相成長法(CVD法)やスパッタリング法等により、珪素の酸化物、珪素の窒化物、窒素を含む珪素の酸化物、酸素を含む珪素の窒化物などを形成する。また、第3の絶縁層715は、気相成長法、スパッタリング法、SOG(スピン オン グラス)法、液滴吐出法(例えば、インクジェット法)等の任意の成膜方法を用いて、珪素の酸化物、珪素の窒化物、ポリイミド、アクリル、シロキサン、オキサゾール樹脂等を用いて形成することもできる。
このように形成した第1の素子形成層703及び第2の素子形成層705を剥離し、貼り合わせることで、図18(C)に示すように、半導体集積回路を形成することができる。各素子形成層の剥離、貼り合わせ、および貫通配線の形成は、上記実施の形態で説明した方法を適用することができる。なお、図18(C)では第2の素子形成層705の上面が第1の素子形成層703の上面と向かい合うように貼り合わせ、接着には異方性導電材料718を用いた例を示している。
このように、第1の素子形成層703及び第2の素子形成層705の最上層を導電層で形成し、異方性導電材料718を介してそれらの層を向かい合わせる様に接着することで、貫通配線を形成せずに、第1の素子形成層703と第2の素子形成層705との電気的接続を取ることができる。この方法は、作製する半導体集積回路が2つの素子形成層を積層して形成される場合に適用することが可能である。
また、上記例では、第1の素子形成層703及び第2の素子形成層705を第1の基板701及び第2の基板704から剥離して半導体集積回路を形成する例を示したが、第1の素子形成層703又は第2の素子形成層705のどちらか一方を剥離してもう一方の素子形成層の上に貼り合わせることも可能である。このとき、薄膜トランジスタを有する第1の素子形成層703を剥離して、第2の素子形成層705上に貼り合わせることもでき、この場合には第1の素子形成層にも開口部を形成してもよい。
逆に、記憶素子719を作製した第2の素子形成層705を剥離して第1の素子形成層703上に貼り合わせることもできる。記憶素子719を構成する第3の導電層714及び第4の導電層717をアルミニウム等の柔らかい金属を用いて形成し、記憶層716を有機化合物を用いて形成すれば、記憶素子719を有する第2の素子形成層705は非常に柔軟性を有する。したがって、記憶素子719を有する第2の素子形成層705を剥離する方が剥離時のダメージが少なく、信頼性の高い半導体集積回路を形成することができる。
また、第1の素子形成層703及び第2の素子形成層705に、薄膜トランジスタ及び記憶素子の両方を形成し、それらの層を重ね合わせて半導体集積回路を作製することも可能である。
さらに、図18(B)、(C)に示した記憶素子の構造において、記憶層716を形成する材料を、圧電性を有する材料に変えて形成することで、圧電素子を形成することができる。圧電素子は、外部から加えられた圧力に応じて、第3の導電層714と第4の導電層717間に電圧を生じるため、圧力センサ等として利用することができる。
圧電層を形成するための圧電性を有する材料としては、例えば水晶(SiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛((Pb、La)(Zr、Ti)O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、メタニオブ酸鉛(PbNb2O6)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlxNy)、酸化タンタル(Ta2O5)を用いることができる。圧電材料は、結晶中心を持たない絶縁体である。そして、結晶に応力を加えると、結晶の表面に正負の電荷が生じ、分極が発生する。これは正圧電効果と呼ばれる。逆に結晶に電圧を加えると歪みが発生する。これを逆圧電効果と呼ぶ。したがって圧電材料は交流電流を加えると、この逆圧電効果によって振動する。
このように、上記例のプロセスを用い、記憶層を圧電層に変えて、第1の素子形成層703と貼り合わせることで薄膜トランジスタ及び圧電素子を有する半導体集積回路を形成することができる。
圧電素子のように外界からの情報を検知するためのセンサ素子を有する半導体集積回路を形成する場合、センサ素子を有する層は、半導体集積回路を形成する最上層(第nの素子形成層)として形成することが好ましい。これは、半導体集積回路の最上層(最表面)にセンサ素子を配置することで、外界からの情報を感度良く検知することができるためである。また、センサ素子としては、圧電素子を用いた圧力センサの他にも、熱電素子を用いた温度センサや赤外線センサ、可動部分を有する構造体を用いた加速度センサや圧力センサ等、様々な構成のセンサを作製することが可能である。
また、記憶素子として機能する半導体素子を有する層を作製する例としては、上記例のように、二つの導電層の間に記憶層が設けられた記憶素子の他に、フローティングゲート(浮遊ゲート)を有する不揮発性メモリ、または薄膜トランジスタと同形状を有する破壊型の記憶素子等を作製することができる。ここでは、フローティングゲートを有する不揮発性メモリを有する半導体集積回路の例を、図19(A)を用いて説明する。
本例では、第1の基板として半導体基板を用い、第1の基板上にフローティングゲートを有する記憶素子720を作製することで、第1の素子形成層721を形成する。第1の素子形成層721が有する記憶素子720は、電荷保持領域であるフローティングゲートを有する。通常、薄膜トランジスタや電界効果トランジスタは、ゲート絶縁膜の上にゲート電極が形成されているが、記憶素子720はゲート絶縁膜(トンネル酸化膜とも記載する)の上にフローティングゲートが形成され、その上にさらに絶縁膜を挟んでゲート電極が形成されている。フローティングゲート(浮遊ゲート)を有する記憶素子720は、フローティングゲートに電荷を蓄えている、または、蓄えていないという2つの状態を用いて1ビットの記憶を実現する。
記憶素子720に書き込みを行う際には、2つの高濃度不純物領域のどちらか一方(ここではソース電極とする)を接地電圧として、ゲート電極及び高濃度不純物領域のもう一方(ここではドレイン電極とする)に高電圧をかける。すると、ソース電極からドレイン電極に向けて電子が流れるが、十分に高い電圧をかけた場合は、チャネル部を流れる電子が熱電子(ホットエレクトロン)となって、一部がトンネル酸化膜を通過してフローティングゲートに蓄積されていく。その後、フローティングゲートに十分に電子が蓄積された後でゲートを閉じても、フローティングゲートの電子はトンネル酸化膜に遮られて保持される。この状態は、フローティングゲートに蓄えられた電子によってトランジスタのスレッショルド電圧が引き上げられた状態となっており、低電圧でトランジスタを操作してもそのスイッチは閉じたままとなる。この状態が記憶素子720に情報が記憶された状態となる。逆に情報を消去する場合は、ゲート電極を接地電圧として、ソース電極を高電位に保つと、フローティングゲートから電子が徐々に放出され、情報が消去される。
次に、第2の基板としてガラス基板を用い、第2の基板上に剥離層、および薄膜トランジスタとして機能する半導体素子722、および開口部を有する第2の素子形成層723を形成する。この第2の素子形成層は上記実施の形態で説明した方法を適用して作製することができる。そして、第2の基板から第2の素子形成層723を剥離し、第1の基板上に形成された第1の素子形成層721上に、第2の素子形成層723の上面が第1の素子形成層721の上面と向かい合うように貼り合わせ、図19(A)に示す、記憶素子及びトランジスタとして機能する半導体素子を有する半導体集積回路を形成することができる。
なお、図19(A)では、接着には異方性導電材料724を用いた例を示している。このように、第1の素子形成層及び第2の素子形成層の最上層を導電層で形成し、異方性導電材料を介してそれらの層を向かい合わせる様に接着することで、貫通配線を形成せずに、第1の素子形成層721と第2の素子形成層723との電気的接続を取ることができる。
なお、本発明の実施の形態はこれに限られず、第2の素子形成層723に開口部を設け、該開口部に貫通配線を形成することで第1の素子形成層721と接続し、記憶素子及びトランジスタとして機能する半導体素子を有する半導体集積回路を形成しても良い。また、第1の素子形成層721に開口部を形成しても良い。
半導体素子722と不揮発性の記憶素子720は、形状は類似している点があるものの、作製プロセスが異なるため、別々の素子形成層に作製した後に、本発明を適用して貼り合わせて作製することによって、信頼性の高いものを作製できる。
また、上記例の様に、第1の素子形成層721は、半導体基板を用いてバイポーラトランジスタ、PN接合のダイオード、電界効果トランジスタ(FET)等を形成し、第2の素子形成層723乃至第nの素子形成層には薄膜トランジスタ等、ガラス基板上に形成することができる半導体素子を形成して貼り合わせることも可能である。例えば、センサ素子を有する半導体集積回路の場合、センサ素子からの出力を増幅させるためには、バイポーラトランジスタが有効である場合が多いため、素子形成層を貼り合わせて、CMOS回路とバイポーラトランジスタを組み合わせたBiCMOS回路を作製してもよい。
このような例を図19(B)に示す。第1の素子形成層725は、半導体基板上にバイポーラトランジスタとして機能する半導体素子726を有し、第2の素子形成層727および第3の素子形成層728には薄膜トランジスタとして機能する半導体素子729を有し、第4の素子形成層730には、可動部分を有するセンサ素子731を有する。
本例では、第1の基板として半導体基板を用い、第1の基板上にバイポーラトランジスタを作製することで、第1の素子形成層725を形成する。バイポーラトランジスタは、P型とN型の半導体を接合したもので、エミッタ・ベース・コレクタの3端子を有する。P型の両端をN型で挟んだNPN型、N型の両端をP型で挟んだPNP型があり、ベース−エミッタ間を流れる電流によって、コレクタ−エミッタ間の電流を制御する。ここで、エミッタ側の半導体の不純物濃度を高くすることで正常な動作ができる。
次に、第2の基板または第3の基板上に、剥離層、薄膜トランジスタとして機能する半導体素子729、および開口部を有する、第2の素子形成層727または第3の素子形成層728を形成する。第2の素子形成層727および第3の素子形成層728は上記実施の形態で説明した方法を適用して作製することができる。
次に、第4の基板上に剥離層、および可動部分を有してセンサ素子731として機能する構造体を形成する。構造体の作製方法は、まず、基板上に剥離層、絶縁層を順に形成し、その上に固定電極として機能する導電層732を形成する。次に、導電層732上に犠牲層を形成し、犠牲層上に構造層733を形成する。導電層732、犠牲層、構造層733は、公知の材料及び成膜方法を用いて形成することができる。構造層733は、導電性を有する層や絶縁性を有する層など複数種類の層を積層させて形成することができる。また、犠牲層は最終的に除去するため、他の層を構成する材料とエッチングの選択比がとれる材料を使用することが好ましい。
次に、第2の基板乃至第4の基板から第2の素子形成層727乃至第4の素子形成層730を剥離し、第1の基板上に形成された第1の素子形成層725上に貼り合わせ、貫通配線を形成する。そして、第4の素子形成層730に作製した構造体の可動部分を形成するために、犠牲層を除去する犠牲層のエッチングを行うことで、図19(B)に示す、バイポーラトランジスタとして機能する半導体素子726、およびセンサ素子731として機能する構造体を有する半導体集積回路を形成することができる。
また、本発明の半導体集積回路は、異なる工程を経て作製される半導体素子を別々に作製して貼り合わせることも可能である。例えば、Pチャネル型トランジスタを有する層と、Nチャネル型トランジスタを有する層とを異なる層に形成して貼り合わせることができる。
このように、上記に示した様々な素子形成層を自由に組み合わせて半導体集積回路を作製することができる。さらに、本実施の形態に示した半導体集積回路を用いて、例えば上記実施の形態で説明した、RFIDのような半導体装置を作製することができる。RFIDとして機能する半導体装置を作製する場合、本実施の形態の例にしたがって作製した半導体集積回路上に、別途形成したアンテナを貼り合わせれば良い。また、半導体集積回路を作製する工程において、第1の素子形成層乃至第n−1の素子形成層、および、アンテナを有する第n層を形成し、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層を積層させることによりRFIDとして機能する半導体装置を作製することも可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、ICカードとして機能する半導体装置の使用形態に関して図20を用いて説明する。
図20に示す半導体装置300は、上記実施の形態で作製された半導体集積回路323が基板321に接着されて設けられている。基板321上にはアンテナとして機能する導電膜322が形成され、半導体集積回路323に含まれる半導体素子と基板321上に設けられたアンテナとして機能する導電膜322が、電気的に接続される(図20(A)参照)。
ここで、半導体装置300を形成するために用いられる半導体集積回路323は、上記実施の形態で説明した方法を用いて形成されたものであり、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層(図ではn=3)を積層させて貼り合わせ、貫通配線を介して各層が電気的に接続されている。また、当該半導体集積回路323には、半導体装置を構成するための電気回路(例えば、電源回路、復調回路、論理演算回路、記憶回路等)が形成されている。
半導体集積回路323に含まれる半導体素子と、アンテナとして機能する導電膜322との電気的な接続は、半導体素子が設けられた側の上面、すなわち、半導体素子を有する第nの素子形成層153(半導体集積回路を形成する最上層であり、図では第3の素子形成層)の上の面に位置する第2の導電層140、又は貫通配線126と導電膜322を接続することにより行われる(図20(C)参照)。ここでは、半導体素子335に電気的に接続された貫通配線126と、アンテナとして機能する導電膜322とを、導電性を有する樹脂を用いて接続する例を示す。当該樹脂としては、上記実施の形態でも説明した異方性導電材料を用いることで、半導体集積回路とアンテナとして機能する導電膜とを、接着性樹脂312に含まれる導電性粒子311を介して電気的に接続することができる(図20(C)参照)。
また、アンテナとして機能する導電膜が形成された基板に半導体集積回路を接続した後に、その上から、保護層となるフイルムを貼り合わせることによって、半導体装置を保護することも可能である。
また、基板321としてプラスチック等の可撓性を有する基板を用いることにより、ICカードとして機能する半導体装置も湾曲させることができるため、付加価値を付けたICカードを提供することができる(図20(B)参照)。
(実施の形態9)
本実施の形態では、非接触でデータのやりとりが可能である半導体装置の動作に関して図21を参照して以下に説明する。
半導体装置80は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路81、電源回路82、リセット回路83、クロック発生回路84、データ復調回路85、データ変調回路86、他の回路の制御を行う制御回路87、記憶回路88およびアンテナ89を有している(図21)。
高周波回路81は、アンテナ89より信号を受信し、且つ、データ変調回路86から受信した信号をアンテナ89から出力する回路である。電源回路82はアンテナ89から入力された受信信号から電源電位を生成する回路である。また、リセット回路83はリセット信号を生成する回路であり、クロック発生回路84はアンテナ89から入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路である。そして、データ復調回路85は受信信号を復調して制御回路87に出力する回路であり、データ変調回路86は制御回路87から受信した信号を変調する回路である。
また、制御回路87としては、例えばコード抽出回路71、コード判定回路72、CRC判定回路73および出力ユニット回路74が設けられている。なお、コード抽出回路71は制御回路87に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路である。また、コード判定回路72は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容を判定する回路であり、CRC回路は判定されたコードに基づいて送信エラー等の有無を検出する回路である。
また、記憶回路88は1つに限定されず、複数設けてもよく、SRAM、フラッシュメモリ、ROMまたはFeRAM等や有機化合物層を記憶素子部に用いたものを用いることができる。
次に、本発明の非接触でデータの交信が可能な半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ89により無線信号が受信される。無線信号は高周波回路81を介して電源回路82に送られ、高電源電位(以下、VDDと記す)および低電源電位(以下、VSSと記す)が生成される。そしてVDDは半導体装置80が有する各回路に供給される。なお、半導体装置80を構成する複数の回路においては、VSSは共通であり、VSSはGNDとすることができる。
また、高周波回路81を介してデータ復調回路85に送られた信号は復調される(以下、復調信号)。さらに、高周波回路81を介してリセット回路83およびクロック発生回路84を通った信号及び復調信号は制御回路87に送られる。制御回路87に送られた信号は、コード抽出回路71、コード判定回路72およびCRC判定回路73等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記憶回路88内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置の情報は出力ユニット回路74を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装置80の情報はデータ変調回路86を通って、アンテナ89により無線信号として送信される。
このように、リーダ/ライタから半導体装置80に信号を送り、当該半導体装置80から送られてきた信号をリーダ/ライタで受信することによって、半導体装置のデータを読み取ることが可能となる。
また、半導体装置80は、各回路への電源電圧の供給を電源装置(例えば電池やバッテリー)を搭載せず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源装置を搭載して電磁波と電源により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
上記実施の形態で示した構成を用いることによって、折り曲げることが可能な半導体装置を作製することが可能となるため、曲面を有する物体に半導体装置を貼り付けて設けることが可能となる。
次に、可撓性を有する非接触でデータのやりとりが可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。図22(A)に示す表示部3210を含む携帯端末3220の側面には、リーダ/ライタ3230が設けられている。また、品物3240の側面には本発明の半導体装置3200が設けられる。品物3240が含む半導体装置3200にリーダ/ライタ3230をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。
また、図22(B)に示す例のように、品物3240をベルトコンベアにより搬送する際に、リーダ/ライタ3230と、品物3240に設けられた本発明の半導体装置3200を用いて、該品物3240の検品を行うことができる。
このように、物品を管理するシステムに半導体装置を活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。また、上記実施の形態で示したように、曲面を有する物体に本発明の半導体装置を貼り付けた場合であっても、半導体装置に含まれる半導体素子の損傷を防止し、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
また、上述した非接触データのやりとりが可能である半導体装置における信号の伝送方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式またはマイクロ波方式等を用いることができる。伝送方式は、実施者が使用用途を考慮して適宜選択すればよく、伝送方式に伴って最適なアンテナを設ければよい。
例えば、半導体装置における信号の伝送方式として、電磁結合方式または電磁誘導方式(例えば13.56MHz帯)を適用する場合には、磁界密度の変化による電磁誘導を利用するため、アンテナとして機能する導電膜を輪状(例えば、ループアンテナ)、らせん状(例えば、スパイラルアンテナ)に形成する。
また、半導体装置における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用することができる。その場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよく、例えば、アンテナとして機能する導電膜を線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ)またはリボン型の形状等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電膜の形状は線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
アンテナとして機能する導電膜は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電膜を形成する場合には、粒径が数十μm以下の導電性粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電性粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子またはカーボンブラックを用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電膜の形成にあたり、導電性のペーストを印刷した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下の粒子)を用いる場合、150〜300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電膜を得ることができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーはんだは、低コストであるといった利点を有している。
また、上述した材料以外にも、セラミックやフェライト等をアンテナに適用してもよいし、他にもマイクロ波帯において誘電率および透磁率が負となる材料(メタマテリアル)をアンテナに適用することも可能である。
また、電磁結合方式または電磁誘導方式を適用する場合であって、アンテナを備えた半導体装置を金属膜に接して設ける場合には、当該半導体装置と金属膜との間に透磁率を備えた磁性材料を設けることが好ましい。アンテナを備えた半導体装置を金属膜に接して設ける場合には、磁界の変化に伴い金属膜に渦電流が流れ、当該渦電流により発生する反磁界によって、磁界の変化が弱められて通信距離が低下する。そのため、半導体装置と金属膜との間に透磁率を備えた材料を設けることにより金属の渦電流を抑制し通信距離の低下を抑制することができる。なお、磁性材料としては、高い透磁率を有し高周波損失の少ない金属薄膜やフェライトを用いることができる。
また、アンテナを設ける場合には、同一基板上にトランジスタ等の半導体素子とアンテナとして機能する導電膜を設けてもよいし、半導体素子とアンテナとして機能する導電膜を別々の基板上に設けた後に、電気的に接続するように貼り合わせることによって設けてもよい。
なお、上述した半導体装置に封止処理を行うことも可能である。例えば、図23に示すように、半導体集積回路や半導体装置を第1のシート材337(フィルム、基板ともよぶ)と第2のシート材338を用いて封止処理を行うことができる。図23において、封止処理された半導体装置は、上記実施の形態6において図16(A)を用いて説明した半導体装置を示している。半導体装置は、半導体集積回路と、基板221上に形成されたアンテナとして機能する導電膜219が電気的に接続するように貼り合わせられている。
このような封止によって、外部から半導体素子へ混入する不純物元素や水分等を抑制することができる。封止に用いる第1のシート材337、第2のシート材338としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルム等を利用することができる。
また、フィルムは、最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、第1のシート材337と第2のシート材338の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。また、封止後に内部への水分等の侵入を防ぐために封止するシート材にシリカコートを行うことが好ましく、例えば、接着層とポリエステル等のフィルムとシリカコートを積層させたシート材を利用することができる。
また、フィルムの加熱処理を行う際には、第1のシート材と第2のシート材の熱膨張係数が同じものを用いることが好ましい。これは、加熱処理後のシート材の収縮率を同一にすることで、半導体装置が変形することや、半導体素子に異常な応力が加わることを防止するためである。
また、第1のシート材337、または、第2のシート材338として、静電気等を防止する帯電防止対策を施したフィルム(以下、帯電防止フィルムと記す)を用いることもできる。帯電防止フィルムとしては、帯電防止可能な材料を樹脂中に分散させたフィルム、及び帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルム等が挙げられる。帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、片面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよいし、両面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよい。さらに、片面に帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、帯電防止可能な材料が設けられた面をフィルムの内側になるように層に貼り付けてもよいし、フィルムの外側になるように貼り付けてもよい。なお、帯電防止可能な材料はフィルムの全面、あるいは一部に設けてあればよい。ここでの帯電防止可能な材料としては、金属、インジウムと錫の酸化物、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。また、他にも帯電防止材料として、側鎖にカルボキシル基および4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む樹脂材料等を用いることができる。これらの材料をフィルムに貼り付けたり、練り込んだり、表面にコーティングすることによって帯電防止フィルムとすることができる。帯電防止フィルムで封止を行うことによって、商品として取り扱う際に、外部からの静電気等によって半導体素子に悪影響が及ぶことを抑制することができる。
また、封止処理は、第1のシート材337または第2のシート材338のいずれか一方を用いてどちらか一方の面の封止を選択的に行ってもよい。他にも、第1のシート材337または第2のシート材338の代わりにガラス基板を用いて封止を行ってもよく、この場合、ガラス基板が保護膜として機能し、外部から半導体素子に侵入する水分や不純物元素を抑制することができる。
(実施の形態10)
本発明の半導体装置は、非接触でデータの送信と受信ができるという機能を活用することにより、図24に示すような様々な物品、様々なシステムに用いることができる。
物品とは、例えば、鍵(図24(A)参照)、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等)、書籍類、容器類(シャーレ等、図24(B)参照)、装身具(鞄や眼鏡等、図24(C)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図24(D)参照)、記録媒体(ディスクやビデオテープ等)、乗物類(自転車等)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、携帯端末等)等である。
本発明の半導体装置1120は、上記のような様々な形状の物品の表面に貼り付けたり、埋め込むことで、物品に固定することができる。
また、本発明の半導体装置を用いるシステムは、物流・在庫管理システム、認証システム、流通システム、生産履歴システム、書籍管理システム等である。本発明の半導体装置1120を用いることにより、システムの高機能化、多機能化、高付加価値化を図ることができる。
例えば、本発明の半導体装置1120を身分証明証の内部に設けておき、かつ、建物の入り口などに、リーダ/ライタ1121を設けておく(図24(E)参照)。リーダ/ライタ1121は、各人が所有する身分証明証内の認証番号を読み取り、その読み取った認証番号に関する情報を、コンピュータ1122に供給する。コンピュータ1122では、リーダ/ライタ1121から供給された情報に基づき、入室又は退室を許可するか否かを判断する。このように、本発明の半導体装置を用いることにより、利便性を向上させた入退室管理システムを提供することができる。なお、本明細書において、リーダ/ライタとは、リーダ機能及びライタ機能を有する装置のみでなく、リーダ機能またはライタ機能を有する通信装置を含む。
なお、本実施の形態の構成は他の実施の形態の構成と組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の使用形態について上記実施の形態とは異なる構造に関して図25〜図27を参照して説明する。具体的には、表示手段を有する半導体装置に関して説明する。
まず、表示手段として、画素部に発光素子を設けた場合に関して図25を参照して説明する。なお、図25(A)は本発明の表示手段を有する半導体装置の一例を示す上面図を示しており、図25(B)は図25(A)の鎖線a−b間及びc−d間で切断した断面図を示している。
図25(A)に示すように、本実施の形態で示す表示手段を有する半導体装置は、基板501上に設けられた走査線駆動回路502、信号線駆動回路503および画素部504等を有している。また、画素部504を基板501と共に挟むように対向基板506が設けられ、基板501と対向基板506は、シール材505により貼り合わされている。走査線駆動回路502、信号線駆動回路503および画素部504には、基板501上に上記実施の形態で示したいずれかの構造を有する半導体素子が設けられている。
走査線駆動回路502および信号線駆動回路503は、外部入力端子となるフレキシブルプリント配線基板507(flexible printed circuit:FPC)からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。図にはフレキシブルプリント配線基板507しか示されていないが、このフレキシブルプリント配線基板507にはプリント配線基盤が取り付けられていても良い。
また、ここでは信号線駆動回路503または走査線駆動回路502として、上記実施の形態で示したように、素子形成層を積層させた半導体集積回路を用いることができる。このように素子形成層を積層させて作製した半導体集積回路を設けることによって、信号線駆動回路503または走査線駆動回路502が占有する面積を小さくすることができるため、画素部504の面積を広く形成することが可能となる。
図25(B)は、図25(A)の鎖線a−b間とc−d間の断面の模式図を示しており、ここでは、基板501上に設けられた信号線駆動回路503と画素部504の構造を示している。信号線駆動回路503には、上記実施の形態で示したいずれかの構造を有するn型の半導体素子511aとp型の半導体素子511bとを組み合わせたCMOS回路を有する半導体集積回路510が形成されている。半導体集積回路510は、上記実施の形態で説明したいずれかの方法を適用し、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層(図では第2の素子形成層)を積層させて作製する。そして、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層に設けた開口部に導電性ペーストを滴下することにより貫通配線126を形成し、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層に設けられた複数のn型の半導体素子511a、またはp型の半導体素子511bを電気的に接続することにより、走査線駆動回路502、および信号線駆動回路503等を構成する。
また、走査線駆動回路502や信号線駆動回路503等の駆動回路は、CMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良く、上記実施の形態で示した本発明の半導体集積回路を適用することも可能である。また、本実施の形態では、基板501上に走査線駆動回路502や信号線駆動回路503等の駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板501上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
また、画素部504は、発光素子516と当該発光素子516を駆動するための半導体素子511cとを含む複数の画素により形成されている。半導体素子511cの構成については、特に限定されない。また、ここでは、半導体素子511cのソース領域またはドレイン領域に接続されている導電層512に接続するように第1の電極513が設けられ、当該第1の電極513の端部を覆うように絶縁層509が形成されている。絶縁層509は、複数の画素において隔壁として機能している。そして、第1の電極513上に発光層514が形成され、当該発光層514上に第2の電極515が形成されている。これら第1の電極513、発光層514および第2の電極515の積層構造により発光素子516が設けられている。
絶縁層509は、ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。また、絶縁層509の被覆性を良好なものとするため、その上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるように設ける。例えば、絶縁層509の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁層509の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。絶縁層509としては、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。他にも、絶縁層509としてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン等の有機材料やシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる単層または積層構造で設けることができる。
また、上記実施の形態で示したように、絶縁層509にプラズマ処理を行い、当該絶縁層509を酸化または窒化することによって、絶縁層509の表面を改質して緻密な膜を得ることも可能である。絶縁層509の表面を改質することによって、当該絶縁層509の強度が向上し開口部等の形成時におけるクラックの発生やエッチング時の膜減り等の物理的ダメージを低減することが可能となる。さらに、絶縁層509の表面が改質されることによって、当該絶縁層509上に設けられる発光層514との密着性等の界面特性が向上する。
また、第1の電極513および第2の電極515は、一方を陽極として用い、他方を陰極として用いる。
陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、インジウム錫酸化物膜、珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いてスパッタ法により形成した透明導電膜、酸化亜鉛(ZnO)膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、陽極を積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれる。
また、陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、または窒化カルシウム)を用いることが好ましい。なお、陰極として用いる電極を透光性とする場合には、電極として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(インジウム錫酸化物膜、珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いてスパッタ法により形成した透明導電膜、酸化亜鉛(ZnO)膜等)との積層を用いるのが良い。
ここでは第1の電極513を陽極として透光性を有するインジウム錫酸化物を用い、基板501側から光を取り出す構造とする。なお、第2の電極515に透光性を有する材料を用いることにより対向基板506側から光りを取り出す構造としても良いし、第1の電極513および第2の電極515を透光性を有する材料で設けることによって、基板501および対向基板506の両側に光りを取り出す構造(両面射出)とすることも可能である。
また、発光層514は、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)等による単層または積層構造を、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等によって形成することができる。
また、ここではシール材505で対向基板506を基板501と貼り合わせることにより、基板501、対向基板506、およびシール材505で囲まれた空隙508に発光素子516が備えられた構造になっている。なお、空隙508には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材505で充填される構成も含むものとする。
なお、シール材505にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、シール材505はできるだけ水分や酸素を透過しない材料を用いることが望ましい。また、対向基板506に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルフィルム、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
なお、本発明の表示手段を有する半導体装置としては、上述したように画素部に発光素子用いた構成に限られず、画素部に液晶を用いた半導体装置も含まれる。画素部に液晶を用いた場合の半導体装置を図26に示す。
ここで、図26に示す半導体装置は、図25(A)に示したものと同様の上面構造を有し、図25(A)における鎖線a−b間とc−d間の断面図を示している。図26に示す半導体装置は、上記例同様、基板501上に設けられた走査線駆動回路502、信号線駆動回路503および画素部504等を有している。また、画素部504を基板501と共に挟むように対向基板506が設けられ、基板501と対向基板506は、シール材505により貼り合わされている。走査線駆動回路502および信号線駆動回路503は、外部入力端子となるフレキシブルプリント配線基板507からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。
ここでは信号線駆動回路503または走査線駆動回路502として、上記実施の形態で示したように、素子形成層を積層させた半導体集積回路を用いる。
図26において、信号線駆動回路503には、上記実施の形態で示したいずれかの構造を有するn型の半導体素子511aとp型の半導体素子511bとを組み合わせたCMOS回路を有する半導体集積回路510が形成されている。半導体集積回路510は、上記実施の形態で説明したいずれかの方法を適用し、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層(図では第2の素子形成層)を積層させて作製する。そして、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層に設けた開口部に導電性ペーストを滴下することにより貫通配線126を形成し、第1の素子形成層乃至第nの素子形成層に設けられた複数のn型の半導体素子511a、p型の半導体素子511bを電気的に接続することにより、走査線駆動回路502、および信号線駆動回路503等を構成する。
また、図26に示すように、半導体装置の画素部504には、導電層512および第1の電極513を覆うように設けられた配向膜521と対向基板506側に設けられた配向膜523との間に液晶522が設けられている。そして、液晶522中に第1の電極513と第2の電極524との間の距離(セルギャップ)を制御するためにスペーサ525が設けられている。また、第2の電極524が対向基板506に設けられており、第1の電極513と第2の電極524間に設けられた液晶に加える電圧を制御することで、光の透過率を制御し、像の表示を行うことができる。
本実施の形態で示した半導体装置において、画素部の半導体素子511cは、半導体集積回路を構成する第1の素子形成層と同時に形成することができる。そして、半導体集積回路510が形成される部分のみに、第2の素子形成層乃至第nの素子形成層を積層させることによって走査線駆動回路502、または信号線駆動回路503等を形成することができる。このように、本実施の形態で示す表示手段を有する半導体装置の形態としては、画素部に発光素子で設けることもできるし、液晶で設けることもできる。
また、図25、図26では、基板上に走査線駆動回路や信号線駆動回路等の駆動回路を作り込んで形成するドライバー一体型を示したが、基板上に直接形成するのではなく基板に駆動回路を貼り合わせて形成することもできる。この場合の表示装置の一例に関して図27を参照して説明する。図27(A)は、外部に駆動回路を有する半導体装置の斜視図を示し、図27(B)は図27(A)におけるA−B間の断面の模式図を示している。
図27(A)に示すように本例の半導体装置は、上記例同様、基板501上に設けられた画素部504、および半導体集積回路によって形成される走査線駆動回路、信号線駆動回路等を有している。そして、画素部504を基板501と共に挟むように対向基板506が設けられ、基板501と対向基板506は、シール材505により貼り合わされている。
また、図27(B)に示すように、半導体装置は、基板501上に半導体集積回路531aが接着して設けられ、接続フィルムとして機能するフレキシブルプリント配線基板507上に半導体集積回路531bが接着して設けられている。画素部504と半導体集積回路531aとは、基板501上の第1の導電層532を介して接続されている。半導体集積回路531aと半導体集積回路531bとは、基板501上の第2の導電層533とフレキシブルプリント配線基板507上の第3の導電層534を介して接続されている。
このような、半導体集積回路531aと第1の導電層532、または、半導体集積回路531bと第3の導電層534との接続には、上記実施の形態でも説明した、導電性粒子311を含む接着性樹脂312で構成される異方性導電材料を用いることができる。また、上記の接続は異方性導電材料の他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤、ACP等の導電性を有する接着剤、ACF等の導電性を有するフィルムや半田接合等を用いて行うこともできる。
本発明の半導体集積回路を用いることによって、半導体装置の高集積化を実現することができ、作製工程にかかる時間を短縮することが可能となる。
(実施の形態12)
本発明により作製される電子機器について図28を参照しつつ説明する。
図28(A)に示すテレビジョン8001は、表示部8002や駆動回路等を含んでいる。上記実施の形態に示した半導体装置の構造や作製方法を表示部8002や駆動回路などに適用することによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つであるテレビジョンを作製することができる。
図28(B)に示す情報端末機器8101は、表示部8102や電子制御回路、入出力インターフェース等を含んでいる。上記実施の形態に示した半導体装置の構造や作製方法を表示部8102や電子制御回路などに適用することによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである情報端末機器を作製することができる。
図28(C)に示すビデオカメラ8201は、表示部8202や画像処理回路等を含んでいる。上記実施の形態に示した半導体装置の構造や作製方法を表示部8202や画像処理回路などに適用することによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つであるビデオカメラを作製することができる。
図28(D)に示す電話機8301は、表示部8302や無線通信回路等を含んでいる。上記実施の形態に示した半導体装置の構造や作製方法を表示部8302や無線通信回路などに適用することによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである電話機を作製することができる。
図28(E)に示す携帯型のテレビジョン8401は、表示部8402や駆動回路、無線通信回路等を含んでいる。上記実施の形態に示した半導体装置の構造や作製方法を表示部8402や駆動回路、無線通信回路などに適用することによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである携帯型のテレビジョンを作製することができる。またテレビジョンとしては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明を適用することができる。
なお、本発明に係る電子機器は、図28(A)〜(E)に限定されず、表示部や駆動回路部等に複数の半導体素子を含むものが含まれる。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適用することが可能である。また、本発明の半導体集積回路を用いることによって、半導体装置の高集積化を実現することができ、作製工程にかかる時間を短縮することが可能となる。本発明の半導体集積回路を電子機器に採用することで、高性能な電子機器を安価に提供することができる。
(実施の形態13)
また、本発明の半導体集積回路は、作製した基板から剥離することによって、可撓性を有する状態とすることができる。以下に、可撓性を有する半導体集積回路を含む半導体装置の具体例に関して図29を参照して説明する。
図29(A)はディスプレイ4101であり、支持台4102、表示部4103を含む。表示部4103は可撓性を有する基板を用いて形成されており、軽量で薄型のディスプレイを実現できる。また、表示部4103を湾曲させることも可能であり、支持台4102から取り外して湾曲した壁に沿ってディスプレイを取り付けることも可能である。上記実施の形態で示した半導体集積回路または半導体装置を、表示部4103や周辺の駆動回路等の集積回路に用いることによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである可撓性を有するディスプレイを作製することができる。このように、可撓性を有するディスプレイは、フラットな面はもちろん湾曲した部分にも設置することが可能となるため、様々な用途に用いることができる。
図29(B)は巻き取り可能なディスプレイ4201であり、表示部4202を含む。上記実施の形態で示した半導体集積回路または半導体装置を、表示部4202や駆動回路等の集積回路に用いることによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである、巻取りが可能で薄型の大型ディスプレイを作製することができる。巻き取り可能なディスプレイ4201は可撓性を有する基板を用いて形成されているため、表示部4202と共に折り畳んだり、巻き取ったりして持ち運ぶことが可能である。そのため、巻き取り可能なディスプレイ4201が大型である場合でも折り畳んだり、巻き取ったりして鞄に入れて持ち運ぶことができる。
図29(C)は、シート型のコンピュータ4401であり、表示部4402、キーボード4403、タッチパッド4404、外部接続ポート4405、電源プラグ4406等を含んでいる。上記実施の形態で示した半導体集積回路または半導体装置を、表示部4402や駆動回路、情報処理回路等の集積回路に用いることによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである、薄型またはシート型のコンピュータを作製することができる。表示部4402は可撓性を有する基板を用いて形成されており、軽量で薄型のコンピュータを実現できる。また、シート型のコンピュータ4401の本体部分に収納スペースを設けることによって表示部4402を本体に巻き取って収納することが可能である。また、キーボード4403も可撓性を有するように設けることによって、表示部4402と同様にシート型のコンピュータ4401の収納スペースに巻き取って収納することができ、持ち運びが便利になる。また、使用しない場合にも折り畳むことによって場所をとらずに収納することが可能となる。
図29(D)は、20〜80インチの大型の表示部を有する表示装置4300であり、操作部であるキーボード4302、表示部4301、スピーカー4303等を含む。また、表示部4301は可撓性を有する基板を用いて形成されており、キーボード4302を取り外して表示装置4300を折り畳んだり巻き取ったりして持ち運ぶことが可能である。また、キーボード4302と表示部4301との接続は無線で行うことができ、例えば、湾曲した壁に沿って表示装置4300を取り付けながらキーボード4302で無線によって操作することができる。
図29(D)に示す例では、上記実施の形態で示した半導体集積回路または半導体装置を、表示部4301や表示部の駆動回路、表示部とキーボードとの間の通信を制御する無線通信回路等の集積回路に用いている。これによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである、薄型の大型表示装置を作製することができる。
図29(E)は電子ブック4501であり、表示部4502、操作キー4503等を含む。またモデムが電子ブック4501に内蔵されていても良い。表示部4502は可撓性基板を用いて形成されており、折り曲げたり巻き取ったりすることができる。そのため、電子ブックの持ち運びも場所をとらずに行うことができる。さらに、表示部4502は文字等の静止画像はもちろん動画も表示することが可能となっている。
図29(E)に示す例では、上記実施の形態で示した半導体集積回路または半導体装置を、表示部4502や駆動回路、制御回路等の集積回路に用いている。これによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである、薄型の電子ブックを作製することができる。
図29(F)はICカード4601であり、表示部4602、接続端子4603等を含む。表示部4602は可撓性基板を用いて軽量、薄型のシート状になっているため、カードの表面に張り付けて形成することができる。また、ICカードが非接触でデータの受信が行える場合に外部から取得した情報を表示部4602に表示することが可能となっている。
図29(F)に示す例では、上記実施の形態で示した半導体集積回路または半導体装置を、表示部4602や無線通信回路等の集積回路に用いている。これによって、本発明の半導体装置の使用形態の一つである、薄型のICカードを作製することができる。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器や情報表示手段に用いることが可能である。
(実施の形態14)
本実施の形態は、上記実施の形態で説明したように、素子形成層を積層させ、各層を貫通配線によって接続する方法を適用して半導体集積回路を作製する具体的な例を説明する。詳細には、本実施の形態では揮発性メモリであるSRAMのメモリセルを例にとって半導体集積回路を作製する例を示す。
図30(A)には、SRAMのブロック図を示す。SRAM820は、メモリセルが行列に配置されるメモリセルアレイ821、指定したアドレスを解読するローデコーダ822及びカラムデコーダ823、カラムデコーダの出力からメモリセルアレイのアドレスを選択するセレクタ824、ならびにデータの読み書きを制御するR/W回路825を有する。
図30(B)には、メモリセルアレイを構成する1つのメモリセルをトランジスタレベルで示す。SRAMのメモリセルは、メモリセルを選択するための2つの選択トランジスタ801、802(N型トランジスタ)と、情報を記憶する二つのインバータ、すなわち二組のN型トランジスタ804、806およびP型トランジスタ803、805によって構成される。したがって、SRAMの1つのメモリセルは、4つのN型トランジスタおよび2つのP型トランジスタの6つのトランジスタを有する。
選択トランジスタ801は、高濃度不純物領域のどちらか一方(ソース電極、またはドレイン電極のどちらか一方)が、ビット線808に接続され、選択トランジスタ802は、高濃度不純物領域のどちらか一方(ソース電極、またはドレイン電極のどちらか一方)が、ビットb線809に接続されている。また、2つの選択トランジスタ801、802のゲート電極はワード線807に接続される。
また、選択トランジスタ801において、ビット線808と接続されていない方の高濃度不純物領域は、P型トランジスタ805およびN型トランジスタ806によって構成されるインバータの入力部、ならびに、P型トランジスタ803およびN型トランジスタ804によって構成されるインバータの出力部と接続される。また、選択トランジスタ802において、ビットb線809と接続されていない方の高濃度不純物領域は、P型トランジスタ805およびN型トランジスタ806によって構成されるインバータの出力部、ならびに、P型トランジスタ803およびN型トランジスタ804によって構成されるインバータの入力部と接続される。
次に、上記構成を有するメモリセルを、本発明を適用して作製する方法について図31を用いて説明する。図30(B)で示したメモリセルの回路図は、接続関係を有したまま下段にN型トランジスタのみを配置し、上段にP型トランジスタのみを配置して、図31(A)の様に書き換えることができる。
図31(A)に示される回路を、本発明を適用して作製した例を図31(B)に示す。図31(A)に示される回路図において、下段で示された部分をN型トランジスタを有する第1の素子形成層810で形成し、上段で示された部分をP型トランジスタを有する第2の素子形成層811で形成する。第2の素子形成層811には開口部を形成する。第1の素子形成層810と第2の素子形成層811とを積層して貼り合わせ、第2の素子形成層811の開口部に貫通配線813を形成することにより、第1の素子形成層810と第2の素子形成層811とを電気的に接続することができる。
図31(B)において、選択トランジスタ801およびN型トランジスタ804の高濃度不純物領域842、843が、貫通配線を介してP型トランジスタ803の高濃度不純物領域844と接続される。同様に、選択トランジスタ802およびN型トランジスタ806の高濃度不純物領域846、847が、貫通配線を介してP型トランジスタ805の高濃度不純物領域848と接続される。
ここで図31(B)は、各トランジスタのソース電極またはドレイン電極を構成する高濃度不純物領域の接続関係のみを示し、ゲート電極の接続関係は示していない。第2の導電層、または第3の導電層によって形成される配線の引き回しによって、図31(A)に示される接続関係にすることができる。
このようなSRAMを構成する半導体集積回路は、上記実施の形態で説明した方法を適用して作製することができる。
また、メモリセルにおいて、インバータを構成するN型トランジスタ804、806と、選択トランジスタ801、802とは、他の回路との接続関係や機能が異なる。例えば、選択トランジスタはビット線808およびビットb線809を介してセレクタと接続され、メモリセルに記憶されているデータの読み出しや書き込み時に動作する。一方、インバータを構成するN型トランジスタ804、806は、同じくインバータを構成するP型トランジスタ803、805、選択トランジスタ、および接地電圧を供給する配線と接続され、データの記憶保持のために機能する。このように、各トランジスタの機能に応じて半導体集積回路を形成する層の構成を決める例を、図32、図33を用いて説明する。
図32は当該半導体集積回路の等価回路図であり、図33はそのような回路構成を有する半導体集積回路の断面図である。以下の説明ではこれらの図面を参照して説明する。
選択トランジスタがビット線808、またはビットb線809を介して接続するセレクタが、図32(A)及び図33(A)に示す、N型トランジスタ816、818とP型トランジスタ817、819で構成されるアナログスイッチの場合、第1の素子形成層828にアナログスイッチを構成するP型トランジスタ817、819、第2の素子形成層829にアナログスイッチを構成するN型トランジスタ816、818を有するように形成する。さらに、ビット線808およびビットb線809を第1の素子形成層828に作製する。第2の素子形成層829のN型トランジスタ816、818と、第1の素子形成層828にあるビット線808およびビットb線809との接続は、貫通配線813により行うことができる。
さらに、図32(B)及び図33(B)で示すように第1の素子形成層828に選択トランジスタ801、802(N型トランジスタ)、第2の素子形成層829にインバータを構成するP型トランジスタ803、805、第3の素子形成層830にインバータを構成するN型トランジスタ804、806を有するように形成することができる。第1の素子形成層828、第2の素子形成層829、第3の素子形成層830の接続は貫通配線813によって行う。
このように、回路を形成するトランジスタを積層構造で作製することで回路面積を小さくすることができる。また、セレクタと選択トランジスタとを接続するビット線808及びビットb線809を第1の素子形成層828のみを用いて形成することで、配線長を短くすることができる。同様に、選択トランジスタと接続するカラムデコーダを第1の素子形成層828に形成することで、各回路とメモリセルとを接続する配線の長さを短くすることができる。このように、配線の長さを短くすることで、消費電力を低減し、動作速度を向上させることができる。
また、インバータを構成するN型トランジスタの高濃度不純物領域の一方は接地電圧(基準電圧、接地、0V、VSSとも呼ばれる)が供給され、インバータを構成するP型トランジスタの高濃度不純物領域の一方は電源電圧が供給される。したがって、第2の素子形成層には電源電圧が供給される配線が形成され、第3の素子形成層には接地電圧が供給される配線が形成される。これらの配線を異なる素子形成層に形成する。好ましくは、素子形成層を貼り合わせたときに配線が上下に重ならないように形成することで、配線間に生じる寄生容量を低減し、動作速度を向上させることができる。
このように、回路の動作を考慮して半導体集積回路を構成する各素子形成層を形成することができる。