以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
[1]水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法:
本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法は、少なくとも共役ジエン単位を含む重合体に、アルコキシシリル基と保護されていてもよい第1級アミノ基とが結合された、共役ジエン部分のビニル結合含量が20〜70%の共役ジエン系重合体を、その共役ジエン部分の水素添加率が50%以上になるように水素添加して、水添ジエン系重合体を得、得られた水添ジエン系重合体に、金属ハロゲン化合物と酸性基を有する有機化合物(以下、「有機酸性化合物」と記す場合がある)とのうちの少なくとも一方の化合物を反応させることにより、水添共役ジエン系重合ゴムを得る工程を備えた水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法である。
上記した工程を備えた製造方法により、ムーニー粘度が高く、形状安定性に優れた、即ち、コールドフローの低い水添共役ジエン系重合ゴムを簡便に製造することができる。更に、このようにして得られる水添共役ジエン系重合ゴムは、ゴム組成物を得る際の加硫処理が容易であるとともに、優れたゴム組成物、及びそのゴム組成物を架橋して得られた架橋ゴム組成物からなるゴム成形品を良好に得ることができる。
[1−1]共役ジエン系重合体:
本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法において、ベースポリマーとして用いられる共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン単位を含む重合体に、アルコキシシリル基と保護されていてもよい第1級アミノ基とが結合された、共役ジエン部分のビニル結合含量が20〜70%の共役ジエン系重合体である。
即ち、この共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン単位を含む重合体(以下、「ジエン系重合体」ということがある)が、特定の変性剤(例えば、第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有する化合物)によって変性された、アルコキシシリル基と保護されていてもよい第1級アミノ基とを含む重合体(共役ジエン系重合体)である。
なお、少なくとも共役ジエン単位を含む重合体(ジエン系重合体)は、共役ジエン化合物の単独重合体、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体であることが好ましい。このような共役ジエン系重合体は、ヒステリシスロス特性、耐摩耗性、及び破壊特性に優れている。
共役ジエン系重合体に結合された保護されていてもよい第1級アミノ基(以下、単に「第1級アミノ基」ということがある)の含有量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・重合体である。同含有量は、更に好ましくは1〜100mmol/kg・重合体であり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・重合体である。
ここで、「mmol/kg・重合体」は、ポリマー成分の全質量(kg)に対する、第1級アミノ基のモル数(mmol)を意味する。なお、上記したポリマー成分の全質量とは、製造時又は製造後、添加される老化防止剤等の添加剤を含まないポリマー成分のみの質量を意味する。
第1級アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
また、重合体に結合する第1級アミノ基の数が200mmol/kg・重合体を超えると、ゴム組成物とした場合に、カーボンブラックやシリカ等のフィラー(補強剤)との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化することがある。一方、第1級アミノ基の数が0.5mmol/kg・重合体未満では、フィラーとの相互作用が得られ難くなる。
また、重合体に結合するアルコキシシリル基の含有量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・重合体である。同含有量は、更に好ましくは1〜100mmol/kg・重合体であり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・重合体である。
アルコキシシリル基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合終了末端に導入されていることが好ましい。
また、重合体に結合するアルコキシシリル基の数が200mmol/kg・重合体を超えると、ゴム組成物とした場合に、カーボンブラックやシリカ等のフィラー(補強剤)との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化することがある。一方、アルコキシシリル基の数が0.5mmol/kg・重合体未満では、フィラーとの相互作用が得られ難くなる。
また、本実施形態の製造方法に用いられる共役ジエン系重合体は、上記したように共役ジエン部分のビニル結合含量が20〜70%であることが必要である。共役ジエン部分のビニル結合含量が20%未満のものであると耐低温特性が著しく低下する。一方、共役ジエン部分のビニル結合含量が70%を超えると、防振性が低下する。ここで、本明細書において「ビニル結合含量」とは、赤外分析法を使用し、ハンプトン法により算出される1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計含量である。
なお、特に限定されることはないが、この共役ジエン系重合体の共役ジエン部分のビニル結合含量は、30〜60%であることが好ましく、35〜45%であることが更に好ましい。
また、特に限定されることはないが、本実施形態の製造方法に用いられる共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、20万〜170万であることが好ましく、20万〜60万であることが更に好ましく、20万〜40万であることが特に好ましい。
上記重量平均分子量が20万未満あると、高い防振性能の発現が困難となるおそれがある。一方、170万超であると、粘度が高過ぎて加工性が低下し、練り不良の傾向にあり、防振性を十分に発揮させることが困難となるおそれがある。ここで、本明細書において、「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用したポリスチレン換算の値である。
共役ジエン系重合体に用いられる、少なくとも共役ジエン単位を含む重合体は、共役ジエン化合物の単独重合体、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体を用いることが好ましい。具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)を好適例として挙げることができる。
このような共役ジエン系重合体は、例えば、共役ジエン化合物、あるいは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを含む炭化水素溶媒中に、有機アルカリ金属と有機アルカリ土類金属との少なくとも一方を含む開始剤を添加してアニオン重合させて重合体を得、得られた重合体に、保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物を添加してリビング重合体末端に反応させることによって得ることができる。より具体的な方法としては、例えば、下記反応(I)を挙げることができる。
反応(I):共役ジエン化合物、あるいは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを含む炭化水素溶媒中に、有機アルカリ金属と有機アルカリ土類金属との少なくとも一方を含む開始剤を添加してアニオン重合させて重合体を得、得られた重合体の重合活性末端に下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物とのうちの少なくとも一方を反応させる。
但し、一般式(1)において、R1は炭素数1〜12のアルキレン基であり、R2及びR3は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基であり、R4、R5及びR6は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基であるかあるいはそれらの2つは互いに結合してそれらが結合しているケイ素原子を含む環を形成してもよく、gは1〜2の整数であり、fは1〜10の整数である。
但し、一般式(2)において、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の定義は前記一般式(1)に同じであり、eは1〜2の整数である。
上記反応(I)によれば、一段反応で容易に第1級アミノ基とアルコキシシリル基を同時に導入することができ、更に、高い導入率を得ることが可能である。
上記一般式(1)及び一般式(2)において、R1の炭素数1〜12のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、及びプロピレン基を挙げることができる。
また、R2、R3、R4、R5及びR6としての炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、及びプロピル基を挙げることができる。
また、アリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、及びナフチル基を挙げることができる。
また、R4、R5、及びR6の2つが結合してそれらが結合しているケイ素原子を含む環を形成している場合には、4〜7員環であることが好ましい。
また、アミノ基を保護するための保護基としては、アルキルシリル基を挙げることができる。アルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、及びエチルメチルフェニルシリル基を挙げることができる。
保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、及びN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。なお、好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、又は1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
リビング重合体末端(例えば、P−Li+)と、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランとの反応は、下記反応式(3)で表すことができる。
なお、上記反応式(3)における、Pは、共役ジエン単位を含む重合体(具体的には、共役ジエン化合物の重合体、あるいは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体)を示している。
同様に、リビング重合体末端(例えば、P−Li+)と、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンとの反応は、下記反応式(4)で表すことができる。
また、上記した1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンは、2分子のリビング重合体末端と反応することができ、そのときには下記反応式(5)で表すことができる。
また、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法に用いられる共役ジエン系重合体は、例えば、共役ジエン化合物、あるいは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを含む炭化水素溶媒中に、下記一般式(6)又は一般式(7)で表されるリチウムアミド開始剤を添加してアニオン重合させて重合体を得、得られた重合体を、下記一般式(8)で表されるアルコキシシラン化合物を添加してリビング重合体末端に反応させることによって得ることができる。
但し、一般式(6)において、R1、R4、R5、及びR6の定義は前記一般式(1)に同じである。
但し、一般式(7)において、R1の定義は前記一般式(1)に同じであり、R7及びR8は、各々独立に水素又は炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基であり、dは1〜7の整数である。
但し、一般式(8)において、R2及びR3の定義は前記一般式(1)に同じであり、Xはハロゲン原子であり、cは0〜2の整数であり、bは1〜4の整数である〔但し、c+bは2〜4の整数である〕。
このようにして得られる共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物、あるいは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物、及び場合により共重合可能な第3モノマーとを重合して得られた重合体である。
共役ジエン系重合体を構成する共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
共役ジエン単位の含有量としては、全単量体中に60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることが更に好ましく、90〜100質量%であることが特に好ましい。例えば、60質量%未満では、ヒステリシスロスが大きくなることがある。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ビニルピリジン及びこれらの混合物等を挙げることができる。
これらのうち、スチレンが特に好ましい。このような芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、全単量体中に40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。40質量%超であると防振特性が悪化するおそれがある。
また、第3モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、及びアクリル酸ヒドロキシエチル等を挙げることができる。第3モノマーに由来する構造単位の含有量は、全単量体中に40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。40質量%超であると防振特性が悪化するおそれがある。
[1−1A]共役ジエン系重合体の調製方法:
次に、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法に用いられる共役ジエン系重合体を調製する方法(第一の方法)について説明する。
共役ジエン系重合体を得るための、重合反応、及び第1級アミノ基(保護された第1級アミノ基)とアルコキシシリル基とを有する化合物との反応は、通常、0〜120℃の温度範囲で行われ、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。
保護された第1級アミノ基を脱保護させるための加水分解は、80〜150℃の温度範囲で行うことが好ましく、90〜120℃の温度範囲で行うことが更に好ましい。また、保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物の2倍モル以上の水あるいは酸性水等を添加し、10分間以上反応させることにより行われることが好ましい。なお、反応時間は30分以上であることが更に好ましい。重合方式は、バッチ重合方式又は連続重合方式のいずれでもよい。
重合に使用される有機アルカリ金属及び有機アルカリ土類金属の開始剤の例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、1,4−ジリチオブタンなどのアルキレンジリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、リチウムナフタレン、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウムt−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム等を挙げることができる。
また、上記開始剤としての有機アルカリ金属は、第2級アミン化合物又は第3級アミン化合物との反応生成物として、共役ジエンと芳香族ビニル化合物の共重合に使用することができる。上記第2級アミン化合物又は第3級アミン化合物と反応させる有機アルカリ金属としては、有機リチウム化合物が好ましい。より好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムを挙げることができる。
開始剤の使用量は、共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物、及び他の化合物の合計量1gに対して、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子換算で、0.002〜0.1ミリモルであることが好ましく、0.005〜0.03ミリモルであることが更に好ましい。
有機アルカリ金属と反応させる第2級アミン化合物の例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジアリルアミン、モルホリン、ピペラジン、2,6−ジメチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジン、1−エチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1−ベンジルピペラジン、ピペリジン、3,3−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、アゼチジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、5−ベンジルオキシインドール、3−アザスピロ[5,5]ウンデカン、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、カルバゾール等を挙げることができる。
また、有機アルカリ金属と反応させる第3級アミン化合物の例としては、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン、ベンジルジプロピルアミン、ベンジルジブチルアミン、(o−メチルベンジル)ジメチルアミン、(m−メチルベンジル)ジメチルアミン、(p−メチルベンジル)ジメチルアミン、N,N−テトラメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘプタメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘキサメチレン−o−トルイジン、N,N−トリメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレンベンジルアミン、N,N−ヘキサメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−テトラメチレン(p−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(p−メチルベンジル)アミン等を挙げることができる。
また、重合には、必要に応じて、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α−メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物及び/又はトリエチルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのブチルエーテル等の第3級アミン化合物を、重合系中に添加して、共役ジエン系重合体の共役ジエン部分のミクロ構造(ビニル結合含量)を調整することができる。
炭化水素溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらのうち、シクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
炭化水素溶媒の使用量は、共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物、及び他の化合物の合計濃度が、5〜30質量%となる量が好ましく、7〜20質量%となる量が更に好ましい。
共役ジエン系重合体を製造する際において、使用する開始剤の反応性を向上させようとする場合、あるいは重合体中に導入される芳香族ビニル化合物をランダムに配列するか又は芳香族ビニル化合物の単連鎖を付与させようとする場合に、重合開始剤とともにカリウム化合物を添加してもよい。
重合開始剤とともに添加されるカリウム化合物としては、例えば、カリウムイソプロポキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−アミロキシド、カリウム−n−ヘプタオキシド、カリウムベンジルオキシド、カリウムフェノキシドに代表されるカリウムアルコキシド、カリウムフェノキシド;イソバレリアン酸、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸、安息香酸、フタル酸、2−エチルヘキサン酸等のカリウム塩;ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸のカリウム塩;亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジラウリル等の、有機亜リン酸部分エステルのカリウム塩等が用いられる。
これらのカリウム化合物は、開始剤のアルカリ金属1グラム原子当量あたり、0.005〜0.5モルの量で添加することが好ましい。0.005モル未満では、カリウム化合物の添加効果(開始剤の反応性向上、芳香族ビニル化合物のランダム化又は単連鎖付与)が現れないことがあり、一方0.5モルを超えると、重合活性が低下し、生産性を大幅に低下させることになるとともに、重合体末端を官能基で変性する反応を行う際の変性効率が低下する。
共役ジエン系重合体を製造する際には、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物(以下、「アミノ基含有アルコキシシラン化合物」ということがある)と併用してカップリング剤を添加することも可能である。カップリング剤の具体例は、以下のとおりである。なお、このカップリング剤は、上記したアミノ基含有アルコキシシラン化合物によって共役ジエン系重合体を生成する段階で(具体的には、アミノ基含有アルコキシシラン化合物よりも前に)添加される。
すなわち、アミノ基含有アルコキシシラン化合物と併用して、重合活性末端に反応させるカップリング剤としては、(a)イソシアナート化合物とイソチオシアナート化合物との少なくとも一方の化合物、(b)アミド化合物とイミド化合物との少なくとも一方の化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物とピリジル置換ビニル化合物との少なくとも一方の化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物、並びに(g)スズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。
これらの化合物のうち、(a)成分であるイソシアナート化合物又はチオイソシアナート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメリックタイプのジフェニルメタンジイソシアナート(C−MDI)、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3,5−ベンゼントリイソシアナート、フェニル−1,4−ジイソチオシアナート等を好適例として挙げることができる。
(b)成分であるアミド化合物又はイミド化合物としては、コハク酸アミド、フタル酸アミド、N,N,N’,N’−テトラメチルフタル酸アミド、オキサミド、N,N,N’,N’−テトラメチルオキサミドなどのアミド化合物、コハク酸イミド、N−メチルコハクイミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミドなどのイミド化合物等を好適例として挙げることができる。
(c)成分であるピリジル置換ケトン化合物又はピリジル置換ビニル化合物としては、ジベンゾイルピリジン、ジアセチルピリジン、ジビニルピリジン等を好適例として挙げることができる。
(d)成分であるケイ素化合物としては、ジブチルジクロロケイ素、メチルトリクロロケイ素、メチルジクロロケイ素、テトラクロロケイ素、トリエトキシメチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド等を好適例として挙げることができる。
(e)成分であるエステル化合物としては、アジピン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル等を好適例として挙げることができる。
(f)成分であるケトン化合物の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラエチル(4,4’−ジアミノ)−ベンゾフェノン、N,N−ジメチル−1−アミノベンゾキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノベンゾキノン、N,N−ジメチル−1−アミノアントラキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノアントラキノン等を好適例として挙げることができる。
(g)成分であるスズ化合物としては、テトラクロロスズ、テトラブロムスズ、トリクロロブチルスズ、トリクロロメチルスズ、トリクロロオクチルスズ、ジブロムジメチルスズ、ジクロロジメチルスズ、ジクロロジブチルスズ、ジクロロジオクチルスズ、1,2−ビス(トリクロロスタニル)エタン、1,2−ビス(メチルジクロロスタニルエタン)、1,4−ビス(トリクロロスタニル)ブタン、1,4−ビス(メチルジクロロスタニル)ブタン、エチルスズトリステアレート、ブチルスズトリスオクタノエート、ブチルスズトリスステアレート、ブチルスズトリスラウレート、ジブチルスズビスオクタノエート、ジブチルスズビスステアレート、ジブチルスズビスラウレート等を好適例として挙げることができる。
アミノ基含有アルコキシシラン化合物と併用して、重合活性末端に反応させるこれらの化合物は、一種単独で使用することも、あるいは二種以上を併用して用いることもできる。
上記カップリング剤の使用量は、開始剤のアルカリ金属1グラム原子当量あたり、カップリング剤中のカップリング可能な置換基の量として1モル以下であることが好ましく、0.1〜0.5モル以下であることが更に好ましい。例えば、1モルを超えると、上記一般式(1)で表される化合物と上記一般式(2)で表される化合物とのうちの少なくとも一方を反応させる際の反応率が低下し、期待する性能が得られないことがある。
次に、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法に用いられる共役ジエン系重合体を製造する他の方法(第二の方法)について説明する。共役ジエン系重合体を製造する他の方法としては、炭化水素溶媒中で、共役ジエン、あるいは共役ジエンと芳香族ビニル化合物を、上記一般式(6)又は上記一般式(7)で表されるリチウムアミド開始剤を用いて、アニオン重合させて重合体を得、得られた重合体を、上記一般式(8)で表されるアルコキシシラン化合物を添加してリビング重合体末端に反応させる。
第1級アミノ基が保護されたリチウムアミド開始剤による重合反応、及びアルコキシシラン化合物との反応は、例えば、0〜120℃の温度範囲で行われ、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。保護された第1級アミノ基を脱保護させるための加水分解は、例えば、80〜150℃、好ましくは90〜120の温度範囲で、第1級アミノ基が保護されたリチウムアミド開始剤の2倍モル以上の水あるいは酸性水等を添加し、10分間以上、好ましくは30分間以上反応させることにより行うことができる。重合方式は、バッチ重合方式又は連続重合方式のいずれでもよい。
なお、以下に説明すること以外の事項は、上記した方法(第一の方法)にて記載した事項がそのままあるいは当業者に自明の変更を加えて適用されると理解されるべきである。
上記一般式(6)で表されるリチウムアミド開始剤としては、例えば、3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−プロピルリチウム、3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−2−メチル−1−プロピルリチウム、3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−2,2−ジメチル−1−プロピルリチウム、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−ブチルリチウム、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−ペンチルリチウム、8−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−オクチルリチウムを挙げることができる。
また、上記一般式(7)で表されるリチウムアミド開始剤としては、例えば、3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、2−メチル−3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、2,2−ジメチル−3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、4−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−ブチルリチウム、6−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−ヘキシルリチウム等を挙げることができる。
また、上記リチウムアミド開始剤は、対応するハライドと有機リチウム化合物を炭化水素溶媒中で反応させた合成体を使用してもよい。なお、ハライドと有機リチウムの反応は、重合リアクターと別の反応容器にて予め行ってもよい。
更に、上記式(8)で表されるアルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラトルイロキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリフェノキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリブトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジフェノキシジクロロシランを挙げることができる。
なお、これまでに説明した共役ジエン系重合体としては、例えば、本出願人による国際出願にかかる国際公開公報、WO 03/029299 A1に記載された共役ジオレフィン(共)重合ゴムを好適に用いることができる。
[1−2]水素添加(水添ジエン系重合体の調製):
本実施形態の水添ジエン系重合ゴムの製造方法においては、これまでに説明した共役ジエン系重合体を、水素添加して、水素添加率が50%以上の水添ジエン系重合体を得る。このように水素添加することによって、耐熱性が向上するという利点がある。また、水素添加率が低いと、ゴム組成物の伸びが悪くなることもある。
上記したアルコキシシリル基と保護されていてもよい第1級アミノ基とが結合された共役ジエン系重合体を水素添加する方法、及び反応条件については特に制限はなく、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、20〜150℃、0.1〜10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下とすることができる。なお、水素添加率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力、反応時間等を変えることにより適宜決定することができる。
水添触媒としては、例えば、チタン(Ti)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ハフニウム(Hf)、レニウム(Re)、白金(Pt)等の原子を含む化合物を挙げることができる。
より具体的な水添触媒としては、上記したTi、Zr、Hf、Co、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Re等の原子を含むメタロセン系化合物;Pd、Ni、Pt、Rh、Ruなどの金属原子をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒;Ni、Coなどの金属原子の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機アルミニウム等の還元剤とを組み合わせた均一系チーグラー型触媒;Ru、Rhなどを含む有機金属化合物又は錯体;水素を吸蔵させたフラーレンやカーボンナノチューブ等を挙げることができる。
これらのうち、Ti、Zr、Hf、Co、Niのいずれかの原子を含むメタロセン化合物は、不活性有機溶媒中、均一系で水素添加反応を行うことができる観点から好ましい。更に、Ti、Zr、Hfのいずれかを含むメタロセン化合物が好ましい。特に、チタノセン化合物とアルキルリチウムとを反応させた水添触媒は、安価で工業的に特に有用な触媒であるので好ましい。
水添ジエン系重合体の水素添加率は、50%以上であり、70%超であることが好ましく、72%以上であることが更に好ましい。水素添加率が50%未満であると、耐熱性が低下する。なお、水素添加率の上限については特に制限されないが、実質的には93%以下である。ここで、本明細書において「水素添加率」とは、四塩化炭素溶液を溶媒として使用し、270MHz、1H−NMRスペクトルによって算出される値である。
上記水添ジエン系重合体は、その分子量分布(Mw/Mn)が、1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜3.5であることが更に好ましく、1.0〜3.0であることが特に好ましい。上記分子量分布が3.0超であると、高い防振性能の発現が困難となるおそれがある。なお、分子量分布は、数平均分子量(Mn)に対する、重量平均分子量(Mw)の比で表されるが、本明細書にいう「数平均分子量(Mn)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算分子量である。
なお、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法においては、上記水添触媒を活性化させる活性剤として、有機アルカリ金属及び有機アルカリ土類金属の水添触媒活性剤を用いることができる。このような水添触媒活性剤としては、例えば、n−ブチルリチウム等を挙げることができる。
[1−3]水添共役ジエン系重合ゴムの調製:
次に、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法においては、以上のようにして得られた水添ジエン系重合体に、金属ハロゲン化合物と有機酸性化合物とのうちの少なくとも一方の化合物を反応させることにより、水添共役ジエン系重合ゴムを得る。
このように構成することによって、ムーニー粘度が高く、形状安定性に優れた水添共役ジエン系重合ゴムを製造することができる。本実施形態の製造方法によって得られる水添共役ジエン系重合ゴムは、重合体に結合されたアルコキシシリル基を通じて、分子間の相互作用が強くなっていると考えられる。
なお、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法においては、金属ハロゲン化合物と有機酸性化合物とのうちの少なくとも一方の化合物を反応させた後、水添ジエン系重合体の製造における公知の脱溶媒(例えば、スチームストリッピング等)、乾燥操作により、水添共役ジエン系重合ゴムを回収することができる。
水添ジエン系重合体に、金属ハロゲン化合物と有機酸性化合物とのうちの少なくとも一方の化合物を反応させる方法としては、特に制限はなく、例えば、重合体を含む溶液中に上記化合物を直接添加、又は、溶液に溶解させた状態で添加し、その混合物を混合することによって反応させることができる。なお、上記化合物を添加した後、重合体を回収する際のスチームストリッピング等によって反応させることもできる。
この反応時における温度については特に制限はないが、10〜150℃であることが好ましく、80〜120℃であることが更に好ましい。
なお、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法においては、上述した有機アルカリ金属や有機アルカリ土類金属等の開始剤を用いて共役ジエン系重合体を得た場合には、得られた共役ジエン系重合体に、上記開始剤としての有機アルカリ金属及び有機アルカリ土類金属と、水素添加時に加えられる水添触媒活性剤としての有機アルカリ金属及び有機アルカリ土類金属に含まれる有機基の総モル数に対して、ハロゲン原子と酸性基との総モル数が0.5〜10倍となる量の化合物を反応させることが好ましい。このように構成することによって、化合物との反応が十分に行われる。
例えば、反応させる化合物に含まれるハロゲン原子と酸性基との総モル数が少なすぎると、水添ジエン系重合体と上記した化合物との反応が十分に行われず、ムーニー粘度が高く、形状安定性に優れた水添共役ジエン系重合ゴムを得ることが困難になる。また、反応させる化合物に含まれるハロゲン原子と酸性基との総モル数が10倍を超えると、遊離したハロゲン化水素の発生量が増加したり、また、反応器を腐食して生産上問題となったり、水添ジエン系共重合体中に残留することで防振特性が悪化する等のおそれがある。
なお、金属ハロゲン化合物のみを反応させる場合は、ハロゲン原子のモル数が0.5〜10倍となる量の金属ハロゲン化合物を反応させることが好ましく、また、有機酸性化合物のみを反応させる場合には、その酸性基のモル数が0.5〜10倍となる量の有機酸性化合物を反応させることが好ましい。
なお、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法においては、上記有機基の総モル数に対する、ハロゲン原子と酸性基との総モル数の割合が、0.8〜5.0であることが更に好ましく、1.0〜2.0であることが特に好ましい。
[1−3A]金属ハロゲン化合物:
本実施形態の水添共役ジエン系重合体の製造方法において、上記した水添ジエン系重合体と反応させるために用いられる金属ハロゲン化合物は、加水分解によってハロゲン化水素を発生するものを用いることが好ましい。このような金属ハロゲン化合物を用いることによって、水添ジエン系重合体と金属ハロゲン化合物との反応を良好に行うことができる。
また、金属ハロゲン化合物としては、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、及びジルコニウム(Zr)からなる群より選択される少なくとも一種の金属原子を含むものを用いることが好ましい。
具体的には、例えば、トリメチルシリルクロライド、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、四塩化ケイ素、メチルジクロロシラン、四塩化スズ、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、塩化亜鉛、四塩化チタン、チタノセンジクロライド、四塩化ジルコニウム、及びジルコノセンジクロライドからなる群より選択される少なくとも一種の化合物を挙げることができる。
[1−3B]有機酸性化合物:
本実施形態の水添共役ジエン系重合体の製造方法において、上記した水添ジエン系重合体と反応させるために用いられる有機酸性化合物とは、酸性基を有する有機化合物のことである。このような有機酸性化合物としては、酸性リン酸エステル化合物、カルボン酸化合物、及びスルホン酸化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を用いることができる。
なお、このような有機酸性化合物の具体例としては、リン酸ブチル、リン酸ジブチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリデシルポリオキシエチレングリコレート、リン酸ビス(トリデシルポリオキシエチレングリコレート)、リン酸ノニルフェニルポリオキシエチレングリコレート、及びリン酸ビス(ノニルフェニルポリオキシエチレングリコレート)からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を挙げることができる。
また、カルボン酸化合物としては、例えば、ステアリン酸、酢酸、安息香酸、マレイン酸、プロピオン酸、オレイン酸、乳酸、ギ酸を挙げることができ、スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸を挙げることができる。
[2]水添共役ジエン系重合ゴム:
次に、本発明の水添共役ジエン系重合ゴムの実施形態について説明する。本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムは、これまでに説明した水添共役ジエン系重合ゴムの製造方法によって得られた水添共役ジエン系重合ゴムである。このような水添共役ジエン系重合ゴムは、ムーニー粘度が高く、形状安定性に優れ、加工性が良好なものである。
本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は、35〜150であることが好ましく、40〜120であることが更に好ましい。ムーニー粘度(ML1+4,125℃)が35未満であると、破壊特性をはじめとするゴム物性が低下する傾向にある。一方、ムーニー粘度(ML1+4,125℃)が150を超えるものであると、作業性が悪くなり、配合剤とともに混練りすることが困難になることがある。
[3]水添共役ジエン系重合ゴム組成物:
本発明の水添共役ジエン系重合ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」ということがある)の一実施形態は、ゴム成分と、フィラーとを含有し、このゴム成分として、少なくとも上述した本発明の水添共役ジエン系重合ゴムを含み、前記ゴム成分100質量部に対して、上記フィラーを5〜200質量部含有する水添共役ジエン系重合ゴム組成物である。なお、ゴム成分に対するフィラーの含有割合が5質量部未満であると、強度が十分に得られないことがあり、一方、上記フィラーの含有割合が200質量部を超えると、防振特性が悪化することがある。
以下、本実施形態の水添共役ジエン系重合ゴム組成物を構成する各成分について更に詳細に説明する。詳細について説明する。
[3−1]ゴム成分:
本実施形態のゴム組成物には、上記したように、ゴム成分として、本発明の一実施形態である、前述の水添共役ジエン系重合ゴム(以下、「本水添共役ジエン系重合ゴム」ということがある)を含んでいる。
このゴム成分には、一種類の本水添共役ジエン系重合ゴムが含有されていても、二種類以上の本水添共役ジエン系重合ゴムが含有されていてもよい。また、本水添共役ジエン系重合ゴム以外にも、他のゴム成分が含有されていてもよい。他のゴム成分としては、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、及びハロゲン化ブチルゴム、並びにこれらの混合物等を挙げることができる。
なお、本実施形態のゴム組成物におけるゴム成分としては、上記した本水添共役ジエン系重合ゴムを、全ゴム成分中に対して、20質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことが更に好ましく、80質量%以上含むことが特に好ましい。
[3−2]フィラー:
本実施形態のゴム組成物は、上記ゴム成分以外に、フィラーを含有する。なお、このフィラーとは、ゴム組成物に用いられる補強剤のことである。
本実施形態のゴム組成物におけるフィラーの含有割合としては、上記したように、ゴム成分としての本水添共役ジエン系重合ゴム100質量部に対して、5〜200質量部であるが、補強性とそれによる諸物性の改良効果の観点から、5〜100質量部であることが好ましく、5〜70質量部であることが特に好ましい。
なお、本実施形態のゴム組成物は、このフィラーが、シリカ及びカーボンブラックのうちの少なくとも一種であることが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各グレードのカーボンブラックを挙げることができる。
また、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上であり、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを用いることにより、例えば、ゴム組成物のグリップ性能、及び耐破壊特性の改良効果は大きくなる。なお、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが特に好ましい。カーボンブラックは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカの具体例としては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。これらのうち、耐破壊特性の改良効果、ウェットグリップ性、及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。シリカは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のゴム組成物に、フィラーとしてシリカを含有させる場合、補強効果を更に向上させるために、シランカップリッグ剤を配合することが好ましい。このシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン;
3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等を挙げることができる。
これらのうち、補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。なお、これらのシランカップリング剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類等により異なるが、シリカ100質量%に対して、1〜20質量%とすることが好ましく、3〜15質量%とすることが更に好ましい。1質量%未満であると、カップリング剤としての効果が十分に発揮され難くなる傾向にある。一方、20質量%超であると、ゴム成分がゲル化し易くなる傾向にある。
本実施形態のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、ゴム工業界で通常用いられている各種の薬品や添加剤等を加えることができる。本実施形態のゴム組成物に加えることのできる各種薬品や添加剤等としては、例えば、加硫剤、加硫助剤、加工助剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を挙げることができる。
加硫剤としては、通常、硫黄が使用され、その使用量は、原料ゴム(ゴム成分)100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが好ましく、0.5〜2質量部であることが更に好ましい。加硫助剤及び加工助剤としては、一般的にステアリン酸が用いられ、その使用量は、原料ゴム(ゴム成分)100質量部に対して、0.5〜5質量部である。
また、加硫促進剤は、特に限定されないが、好ましくはM(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジサルファイド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系加硫促進剤を挙げることができ、その使用量は、原料ゴム(ゴム成分)100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部であり、0.2〜3質量部であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、ロールをはじめとする開放式混練機、バンバリーミキサーをはじめとする密閉式混練機等の混練機を使用し、混練することによって製造することができる。
[4]ゴム成形品:
次に、本発明のゴム成形品の一実施形態について説明する。本実施形態のゴム成形品は、前述の本発明の水添共役ジエン系重合ゴム組成物(以下、「本水添共役ジエン系重合ゴム組成物」ということがある)を架橋して得られた架橋ゴム組成物からなるものである。本実施形態のゴム成形品は、防振ゴムとしての性能に優れている。
本水添共役ジエン系重合ゴム組成物を使用してゴム成形品を製造するには、先ず、本水添共役ジエン系重合ゴム組成物に対して、架橋剤(過酸化物等)、及び必要に応じて架橋助剤(硫黄等)等を添加し、配合ゴム組成物を得る。得られた配合ゴム組成物を所定形状に成形しつつ架橋を行うことにより、本実施形態のゴム成形品を製造することができる。
本実施形態のゴム成形品は、例えば、防振ゴム類;ダイヤフラム、ロール、ラジエータホース、エアーホース等の各種ホース類やホースカバー類;パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、O−リング、オイルシール等のシール類;ベルト、ライニング、ダストブーツ等として好適である。本実施形態のゴム成形品としては、特に、防振ゴムとして好適に使用される。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び評価方法を以下に示す。
[ビニル結合含量(%)]:赤外分析法を使用し、ハンプトン法により、1,2−ビニル結合、及び3,4−ビニル結合の合計含量を算出して、ビニル結合含量(%)とした。
[水素添加率]:四塩化炭素溶液を溶媒として使用し、270MHz、1H−NMRスペクトルから算出した。
[変性反応前ピーク分子量]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(HLC−8120GPC(商品名(東ソー社製)))を使用して得られたGPC曲線の、多官能単量体、シリカと反応し得る化合物、及びカップリング剤との反応により分子量が増加したポリマーを除いたポリマー部分に相当する山の部分の頂点に相当する保持時間から、ポリスチレン換算で求めた。
[ムーニー粘度(ML1+4,125℃)]:JIS K6300に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度125℃の条件で求めた。
[コールドフロー(C/F)]:圧力3.5ポンド/平方インチ、温度50℃で重合体を1/4インチオリフィスに通して押し出すことによりコールドフロー(C/F)を測定した。定常状態にするために、10分間放置後、押し出し速度を測定し、値を毎分のミリグラム数(mg/min)で示した。なお、コールドフロー値は、その値が小さいほど、形状安定性(貯蔵安定性)が良好であることを示す。
[ゴム組成物の特性の評価及び測定]:
(i)[配合ムーニー粘度]:加硫前の配合ゴムを測定用試料とし、JIS K6300に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度125℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど加工性が良好である。
(ii)[引張応力(引張破断強度(TB)、引張破断伸び(EB))]:JIS K6251に準拠し、3号型試験片を使用して、測定温度23℃、引張速度500mm/minの条件で測定した(常態物性)。
(iii)「静動比」:加硫ゴムについて、JIS K6394に準拠し、ブロック状の試験片を作製し、この試験片について、温度25℃の条件で70Hz、動的歪1%、及び0.1Hz、動的歪10%での動的弾性率をそれぞれ測定し、下記式により算出される値として求めた。なお、静動比は、1に近いほど防振特性に優れていることを示している。
式:静動比=(70Hz時の動的弾性率)/(0.1Hz時の動的弾性率)
(実施例1)
窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン(28kg)、テトラヒドロフラン(38.5g)、開始剤としてのn−ブチルリチウム(1.30g)及び1,3−ブタジエン(2500g)を添加し50℃から断熱重合を行い重合体(ジエン系重合体)を得た。
その後、系内に変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(4.90g)を加えて80℃で60分反応させた。次いで、系内に水素ガスを0.4MPa−Gaugeの圧力で供給し、20分間撹拌し、ジエン系重合体の末端にある未反応のリチウムを水素と反応させて変性反応を停止させた。
このようにして重合活性末端に変性剤を導入した共役ジエン系重合体(即ち、上記ジエン系重合体に、アルコキシシリル基と保護されていてもよい第1級アミノ基とが結合された重合体)を得た。この共役ジエン系重合体のビニル結合含量は38%であった。また、この共役ジエン系重合体の変性反応前ピーク分子量は、28万であった。
その後、水素ガス供給圧力を0.7MPa−Gauge、反応溶液を90℃にし、チタノセンジクロリドを主体とする水添触媒を加えて水素添加反応を行った。変性させたジエン系重合体における水素の吸収が、目的の水添率となる積算量に達した時点で、反応容器内を窒素置換した。このようにして、水添ジエン系重合体を得た。なお、水添ジエン系重合体は、水素添加率が91%であった。本実施例においては、水素添加時に、水添触媒活性剤として、n−ブチルリチウム(0.87g)を加えた。
得られた水添ジエン系重合体を含む重合体溶液に、金属ハロゲン化合物として四塩化ケイ素(2.26g)を添加し、次に、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールで乾燥することにより水添共役ジエン系重合ゴム(実施例1)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。
なお、四塩化ケイ素2.26gは、n−ブチルリチウム(有機アルカリ金属)2.17g(開始剤+水素触媒活性剤)に含まれる有機基の総モル数に対して、塩素原子の総モル数が2.29倍(Cl/Liモル比2.29)となる量である。
(実施例2)
金属ハロゲン化合物として四塩化ケイ素3.14gを添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により水添共役ジエン系重合ゴム(実施例2)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。
(実施例3)
窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン(28kg)、テトラヒドロフラン(52.3g)、n−ブチルリチウム(1.60g)及び1,3−ブタジエン(2500g)を添加し50℃から断熱重合を行い重合体(ジエン系重合体)を得た。
その後、系内に変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(6.32g)を加えて80℃で60分反応させた。次いで、系内に水素ガスを0.4MPa−Gaugeの圧力で供給し、20分間撹拌し、ジエン系重合体の末端にある未反応のリチウムを水素と反応させて変性反応を停止させた。このようにして重合活性末端に変性剤を導入した共役ジエン系重合体(即ち、上記ジエン系重合体に、アルコキシシリル基と保護されていてもよい第1級アミノ基とが結合された重合体)を得た。この共役ジエン系重合体のビニル結合含量は40%であった。また、この共役ジエン系重合体の変性反応前ピーク分子量は、23万であった。
その後、水素ガス供給圧力を0.7MPa−Gauge、反応溶液を90℃にし、チタノセンジクロリドを主体とする水添触媒を加えて水素添加反応を行った。変性させたジエン系重合体における水素の吸収が、目的の水添率となる積算量に達した時点で、反応容器内を窒素置換した。このようにして、水添ジエン系重合体を得た。なお、水添ジエン系重合体は、水素添加率が88%であった。本実施例においては、水素添加時に、水添触媒活性剤として、n−ブチルリチウム(0.87g)を加えた。
得られた水添ジエン系重合体を含む重合体溶液に、金属ハロゲン化合物として四塩化ケイ素(2.68g)を添加し、次に、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールで乾燥することにより水添共役ジエン系重合ゴム(実施例3)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。なお、四塩化ケイ素2.52gは、n−ブチルリチウム(有機アルカリ金属)2.47g(開始剤+水素触媒活性剤)に含まれる有機基の総モル数に対して、塩素原子の総モル数が2.29倍(Cl/Liモル比2.29)となる量である。
(実施例4)
金属ハロゲン化合物の代わりに、有機酸性化合物として、城北化学工業社製のブチルアシッドホスフェート(商品名「JP−504」)2.42gを添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により水添共役ジエン系重合ゴム(実施例4)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。
(実施例5)
金属ハロゲン化合物として、ジエチルアルミニウムクロライド1.60gを添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により水添共役ジエン系重合ゴム(実施例5)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。
(実施例6)
窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン(28kg)、テトラヒドロフラン(51.1g)、開始剤としてのn−ブチルリチウム(1.30g)及び1,3−ブタジエン(2500g)を添加し50℃から断熱重合を行い重合体(ジエン系重合体)を得た。
その後、系内に変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(4.90g)を加えて80℃で60分反応させた。次いで、系内に水素ガスを0.4MPa−Gaugeの圧力で供給し、20分間撹拌し、ジエン系重合体の末端にある未反応のリチウムを水素と反応させて変性反応を停止させた。
このようにして重合活性末端に変性剤を導入した共役ジエン系重合体(即ち、上記ジエン系重合体に、アルコキシシリル基と保護されていてもよい第1級アミノ基とが結合された重合体)を得た。この共役ジエン系重合体のビニル結合含量は43%であった。また、この共役ジエン系重合体の変性反応前ピーク分子量は、25万であった。
その後、水素ガス供給圧力を0.7MPa−Gauge、反応溶液を90℃にし、チタノセンジクロリドを主体とする水添触媒を加えて水素添加反応を行った。変性させたジエン系重合体における水素の吸収が、目的の水添率となる積算量に達した時点で、反応容器内を窒素置換した。このようにして、水添ジエン系重合体を得た。なお、水添ジエン系重合体は、水素添加率が84%であった。本実施例においては、水素添加時に、水添触媒活性剤として、n−ブチルリチウム(0.87g)を加えた。
得られた水添ジエン系重合体を含む重合体溶液に、金属ハロゲン化合物として四塩化ケイ素(2.26g)を添加し、次に、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールで乾燥することにより水添共役ジエン系重合ゴム(実施例)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。
(実施例7)
窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン(28kg)、テトラヒドロフラン(19.6g)、開始剤としてのn−ブチルリチウム(1.30g)及び1,3−ブタジエン(2500g)を添加し50℃から断熱重合を行い重合体(ジエン系重合体)を得た。
その後、系内に変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(4.90g)を加えて80℃で60分反応させた。次いで、系内に水素ガスを0.4MPa−Gaugeの圧力で供給し、20分間撹拌し、ジエン系重合体の末端にある未反応のリチウムを水素と反応させて変性反応を停止させた。
このようにして重合活性末端に変性剤を導入した共役ジエン系重合体(即ち、上記ジエン系重合体に、アルコキシシリル基と保護されていてもよい第1級アミノ基とが結合された重合体)を得た。この共役ジエン系重合体のビニル結合含量は34%であった。また、この共役ジエン系重合体の変性反応前ピーク分子量は、26万であった。
その後、水素ガス供給圧力を0.7MPa−Gauge、反応溶液を90℃にし、チタノセンジクロリドを主体とする水添触媒を加えて水素添加反応を行った。変性させたジエン系重合体における水素の吸収が、目的の水添率となる積算量に達した時点で、反応容器内を窒素置換した。このようにして、水添ジエン系重合体を得た。なお、水添ジエン系重合体は、水素添加率が84%であった。本実施例においては、水素添加時に、水添触媒活性剤として、n−ブチルリチウム(0.87g)を加えた。
得られた水添ジエン系重合体を含む重合体溶液に、金属ハロゲン化合物として四塩化ケイ素(2.26g)を添加し、次に、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールで乾燥することにより水添共役ジエン系重合ゴム(実施例)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表1に示す。
(比較例1)
表2に示すように、実施例1における重合体(ジエン系重合体)の代わりに、JSR社製のエチレン/プロピレン/ジエン系共重合体(EPDM、商品名「EP57」)を使用し、水素添加、及び金属ハロゲン化合物との反応を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法によって、重合ゴム(共役ジエン系重合ゴム)を製造した。得られた共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表2に示す。
(比較例2)
四塩化ケイ素を用いずに、金属ハロゲン化合物との反応を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により水添共役ジエン系重合ゴム(比較例2)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表2に示す。
(比較例3)
四塩化ケイ素を用いずに、金属ハロゲン化合物との反応を行わなかったこと以外は、実施例3と同様の方法により水添共役ジエン系重合ゴム(比較例3)を得た。得られた水添共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表2に示す。
(比較例4)
共役ジエン系重合体に水素添加を行わなかったこと以外は、比較例3と同様の方法により共役ジエン系重合ゴム(比較例4)を得た。得られた共役ジエン系重合ゴムの各種物性値等を表2に示す。
(ゴム組成物(加硫物)の調製)
実施例1〜7によって得られた水添共役ジエン系重合ゴム、及び比較例1〜4によって得られた水添共役ジエン系重合ゴム(共役ジエン系重合ゴム)を用いて、ゴム組成物(加硫物)を調製した。このゴム組成物の配合処方を表3に示す。
具体的な調製方法は、乾燥直後のそれぞれ水添共役ジエン系重合ゴム(共役ジエン系重合ゴム)100部に対して、亜鉛華5部、ステアリン酸0.5部、シリカ30部、カップリング剤3部、SRFカーボン5部、及び軟化剤40部を添加し、容量250mlのプラストミルを使用して、150℃で5分間混練することにより混合物を得た。得られた混合物に対して、架橋剤5部、及び架橋助剤0.2部を添加し、オープンロールで50〜70℃、5分間混練することにより、ゴム組成物を得た。
なお、A練りは100℃×50rpmで約3分間行い、その際のダンプの計器温度は約140℃、実温度は約150℃であった。また、A練り後の配合ゴムに硫黄と加硫促進剤を追加してから行う練り(「B練り」ともいう)は、70℃×60rpmで1分間行った。更に、加硫は160℃で30分間行った。得られたゴム組成物(加硫物)の加工性、引張破断強度(TB)、引張破断伸び(EB)、及び静動比について評価を行った。結果を表4及び表5に示す。
(結果)
実施例1〜7によって得られた水添共役ジエン系重合ゴムは、同一の水添ジエン系重合体を用いた比較例2及び3によって得られた水添共役ジエン系重合ゴムと比較して、ムーニー粘度が高く、且つコールドフローの値が低い(形状安定性が優れている)ものであった。また、得られたゴム組成物については、加工性(配合ムーニー粘度)が大幅に改良(上昇)される一方で、その他の特性については、特段の変化(下降)は見られなかった。
また、本実施例のゴム組成物は、同程度のムーニー粘度とコールドフロー値の他ポリマーを用いた比較例1の共役ジエン系重合ゴムと比較して、防振特性(静動比)が良好であることが分かる。
また、水素添加を行っていない比較例4のゴム組成物は、水素添加を行った実施例3及び比較例3のゴム組成物と比較した場合、防振ゴムとして必要な強度と伸びが得られないものであった。