(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
(画像形成装置の構成)
図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略的な構成を例示的に示す図である。画像形成装置は、電子写真方式を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像を重ね合わせることでフルカラー画像を得ることが可能である。尚、本発明の趣旨は、カラー画像形成装置に限定されるものではなく、電子写真方式を用いるモノクロ画像形成装置においても適用可能であることはいうまでもない。
画像形成部800は、給紙部821、感光体822(Y、M、C、K)、帯電スリーブ823(Y、M、C、K各色)、トナー容器825(Y、M、C、K各色)、現像スリーブ826(Y、M、C、K)を有する。また、画像形成部800は、中間転写体827、転写ローラ828、加熱定着装置830、を有する。
尚、感光体822、帯電スリーブ823、トナー容器825、現像スリーブ826は、Y、M、C、K各々ひとつのユニットにまとめられたオールインワンカートリッジ801(Y、M、C、K)となっている。オールインワンカートリッジ801(Y、M、C、K)を以下、「カートリッジ801(Y、M、C、K)」ともいう。カートリッジ801(Y、M、C、K)は、それぞれ着脱が可能な構成になっている。
イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色におけるカートリッジ801(Y、M、C、K)の帯電スリーブ823(Y、M、C、K)により、感光体822(Y、M、C、K)は帯電される。帯電された感光体822上(Y、M、C、K)に、画像処理部(非図示)が変換した露光時間に基づいてスキャナ部824(Y、M、C、K)から露光光(レーザー)を照射し、感光体822(Y、M、C、K)上に静電潜像が形成される。
この静電潜像を、トナー容器825(Y、M、C、K)からのトナーを使って、現像スリーブ826(Y、M、C、K)にて感光体822(Y、M、C、K)上に各色のトナー像を形成する。そして、各色のトナー像を中間転写体827に4色重ね合わせることで多色トナー像を形成する。中間転写体827に形成された多色トナー像を転写ローラ828とで挟み込み、加圧することで、記録材811へ多色トナー像(以下、単に「トナー像」ともいう。)を転写する。そして、記録材811上の多色トナー像を加熱定着装置830にて定着し、記録材811は排出トレイ(非図示)に排出される。中間転写体827上に残ったトナーはクリーナ829にて除去(クリーニング)され、クリーニングされた廃トナーはクリーナ容器(非図示)に蓄えられる。
以下、下記(1)乃至(7)の流れで実施形態を詳細に説明していく。
(1)「まず、本実施形態に係る、静的偏差特性、動的偏差特性の技術的意義について説明を行なう。
(2)次に、図1を用いて、水平同期信号と画像クロックとの同期を取る際の量子化誤差量を減少させる機能、及びライン間の画像形成にズレを抑制する機能を備えた画像形成装置の機能について説明を行なう。
(3)次に、水平同期信号と画像クロックとの同期を取る際の量子化誤差量の低減に関して、図1における水平同期高周波クロック生成部20の詳細な構成について説明を行なう。
(4)次に、図3A、図3Bを用いて、画像形成装置により実現される、動作結果について説明を行なう。
(5)次に、図4を用いて、動的偏差特性の補正処理に係る説明として、図1におけるリアルタイム偏差検出部75が、どのようにして、BD信号を検出しているかを説明する。尚、BD信号とはレーザビームを主走査方向に書き出す光走査開始タイミングの同期を取るための、画像書込み領域外で検出される同期信号のことを指す。
(6)次に、図5を用いて、どのようにして、動的偏差特性を補正し、任意逓倍数分周部30が、補正された画像クロックを出力しているかについて説明を行う。
(7)そして、任意逓倍数分周部30が、補正後の画像クロックを生成されるまでに至る演算処理について具体的に更に詳しく説明する。
(1)静的偏差特性及び動的偏差特性について
(a)静的偏差特性について
感光体上に画像処理部で展開した画素データを正確にドットとして形成させるには、形成画素ドットの位置や幅径を正確に再現するように光走査を実行する必要がある。しかし、画像形成装置において、スキャナ部824等を含む光走査光学系は、再現性精度に各種公差が組み込まれるため、高精度の組立ての実現には工夫が必要である。
例えば、走査光学レンズ等には走査倍率や片倍率と呼ばれるレンズ自体の精度公差やレンズ系の装置に組み付ける時に決定される精度誤差が生じ得る。また、ポリゴンミラーに於ける各面長には面分割誤差という各面長を均一に製造しても分割時の精度誤差が生じて、面毎の面長さに誤差バラツキが現れる。これら製造過程で決定されてしまう先天性の精度誤差の要因を画像形成装置の静的偏差特性という。つまり、製造機器毎に精度誤差値は異なるものの、同一装置内では一定の精度誤差値であるものを指す。画素ドットを一律同等の遷移時間(画像クロック)で画像形成すると、静的偏差特性により、例えば、走査光学系レンズの特性や、ポリゴンミラー面の面分割誤差による特性がそのまま感光体上に形成されることとなる。このため、形成画素ドット毎に位置や幅径を補正する必要がある。つまり、画像形成装置に走査光学系が組み込まれると、感光体に対するレンズ系の補正値は、画像形成装置に応じ異なるが、同じ画像形成装置内ではほぼ固定化される。走査光学レンズ系の走査倍率や片倍率を補正するためには、偏差変換部が補正データに基づき、静的偏差特性を打ち消すような補正をすればよい。
(b)動的偏差特性について
一方、光走査光学系において、レーザーの走査速度(光走査速度)は、形成すべき画素ドットの位置補正や幅径補正に最も重要なパラメータとなり、形成画像の揺れに対する優劣を左右する。光走査速度は同一の画像形成装置であっても、例えば、光走査速度を司る根源はモータの回転を利用しているため、モータの回転速度の速度偏差が光走査速度に影響を与える。つまり、モータ回転速度が一定速度で回転するように制御されていても、周期性を持った回転ムラが生じる。その結果、光走査速度の変動はリアルタイムなものとなる。つまり光走査速度はリアルタイムで変化する。この特性は装置特有の情報として、静的偏差特性に分類される。しかし、特性は、例えば上述の面分割誤差のようにどのポリゴンミラーを用いるかによって特定することはできず、本実施形態では、ポリゴンミラーの各面と1対1に対応していない意味で動的偏差特性という。以下では、動的偏差特性に起因する精度をリアルタイムで検出して、その検出結果に応じて、動的偏差特性を打ち消す補正を以下に説明する。
動的偏差特性は、潜在的に様々な静的偏差特性に起因する。例えば、走査光学系にある静的偏差特性である、光走査光学系を構成するポリゴンミラーの軸出し公差、ポリゴンミラーの面分割誤差、ポリゴンミラーの軸回転に対する重量配分等々が挙げられる。この条件下でポリゴンミラーを一定速度で回転させるモータ回転動作を加えて光走査を実行した場合、ポリゴンミラーの回転速度の速度ムラ(偏差)が、各々の静的偏差特性の値に応じて、様々な速度偏差の値へと増長し得るのである。静的偏差特性を有する物体にある動作を加えることにより、様々な複数要因に基づき相乗合算された結果が、光走査速度として現れ、微少な偏差を有する光走査速度の変化となって生じ得るのである。実際のポリゴンミラーには、粘土等の重さバランス調整のためのバランサーと呼ばれる物を適所に設置し、調整することで光走査速度の変動を調整している。しかし、より良好な画質を目指す画像形成装置においては、形成画素ドットの位置や幅径をより忠実に表現するために、画素ドット毎の光走査速度に応じた画素ドット形成を補正する必要がある。
(2)次に、図1を用いて、水平同期信号と画像クロックとの同期を取る際の量子化誤差量を減少させる機能、及びライン間の画像形成にズレを抑制する機能を備えた画像形成装置の機能について説明を行なう。
(画像形成装置の機能構成)
(画像クロックとBD信号との位相合せに生じる量子化誤差量の低減)
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。BD信号(同期信号)は、感光体上に形成するライン間の画素ドット配列の位相を揃えるための基準信号であり、ライン領域指示部10に入力される。ライン領域指示部10は、後述するライン終了(ラインEND)信号をもう一つの入力信号とし、BD信号の入力(受信)に基づき立ち上がり、ラインEND信号の入力(受信)に基づき立ち下がる制御信号を生成する。
ライン領域指示部10は、ライン毎の画素ドット配列位相を揃えると共にライン中の画像情報(以降、ビデオ信号と称す)の許容範囲を示すビデオイネーブル信号を生成する。後述にて詳しく説明するが、同期信号入力手段として機能するライン領域指示部10への同期信号(BD信号)の入力に応じて基準クロックが出力され始めるのである。ライン領域指示部10は、ビデオイネーブル信号を水平同期高周波クロック生成部20に入力する。
水平同期高周波クロック生成部20は、レーザー光の走査開始に同期して、基準となる基準クロック(以下、源発クロックともいう)を生成する生成手段(基準クロック出力手段)として機能する。水平同期高周波クロック生成部20は、入力されたビデオイネーブル信号に基づいて画像クロック生成のための源となる基準クロック(源発クロック)を生成する。水平同期高周波クロック生成部20は、後述する図2に例で示されるようなデジタルゲート回路の伝達遅延を利用したDDL回路で構成されている。ビデオイネーブル信号が水平同期高周波クロック生成部20に入力されると、BD信号に位相同期した基準クロック(源発クロック)の発振が開始される。
基準クロック(源発クロック)の発振開始までには、ビデオイネーブル信号の前縁を基準にDLL回路において、一定の伝達遅延時間が生じる。この場合、クロックジッタ成分となる伝達遅延のバラツキ成分は、同じ周波数のデジタルゲート回路で構成し、基準クロック(源発クロック)1周期を繰り返し生成するためにクロックジッタ成分は殆ど生じない。一例として、源発クロック1周期の繰り返しにおいて、実際には約1/1000程度のジッタ成分しか計測されていない。
水平同期高周波クロック生成部20から出力される基準クロック(源発クロック)は、次ラインのBD信号が入力される前に、任意逓倍数分周部30と、ライン経過位置認知カウンタ部40に入力される。水平同期高周波クロック生成部20は、不図示の光走査位置検出部で認知される感光体上の1ラインの走査終了を示す信号により、基準クロック(源発クロック)の生成を終了する。
次ラインのBD信号によりライン間でのライン同期が取られる。ライン間で形成される画素ドット配列位相はライン毎に発生するBD信号で位相同期が取られ、且つ、クロックジッタ成分の殆ど無い良好な基準クロック(源発クロック)が水平同期高周波クロック生成部20で生成される。
良好な画像形成のためには、感光体上に形成される画素ドットの良好な配列とライン毎の位相合せによるライン間のずれを補正する必要がある。
本実施形態の画像形成装置では、発生するBD信号に対してクロックを発生させ、ライン終了時にクロック発振を停止させるように構成しているため、ライン毎の同期取り時に発生する量子化誤差を極力抑えることが可能になる。
水平同期高周波クロック生成部20から出力される源発クロックは、任意逓倍数分周部30に入力されるとともにライン経過位置認知カウンタ部40に入力される。水平同期高周波クロック生成部20は、出力する源発クロックの周波数を微調整して出力する周波数調整回路を備える。
任意逓倍数分周部30は、源発クロックの周波数を、設定された画像クロック周波数に収束するように任意の整数値で分周して画像クロックとして出力することが可能である。任意逓倍数分周部30は、設定された逓倍数に基づき源発クロックを分周して、画素単位の画像形成のタイミングを制御するための画像クロックを生成する。
画像形成部76は、任意逓倍数分周部30により出力(補正)された画素単位の画像形成のタイミングを制御するための画像クロックに基づいて、画像形成を実行することが可能である。
CPU55は、ライン毎に算出した1ライン分の形成画素ドットの位置を補正する補正データをクロックレート指示FIFOメモリ部50に形成画素ドット毎に蓄積する。クロックレート指示FIFOメモリ部50は、実際のライン形成時に形成画素ドット毎に、補正データを分周整数値情報格納部35に書き込む。任意逓倍数分周部30は、分周整数値情報格納部35に画素ドット毎(画素単位ごと)に書込み、更新された補正データに基づき任意の整数値で源発クロックの分周を実行し、画像クロックを出力する。任意逓倍数分周部30は、分周整数値情報格納部35に書き込まれた補正データに基づき、画像クロック1周期の遷移時間量や位相タイミングを補正することが可能である。この詳細は図3を参照して後に説明する。
一方、ライン経過位置認知カウンタ部40は、源発クロックをカウントするカウンタとして機能することが可能であり、予め設定された値にカウント値が到達するとタイミング信号を発することが可能である。更に、ライン経過位置認知カウンタ部40は、主走査方向のラインを走査する光によって形成される画素ドットに於ける各種タイミングを検出して偏差変換部にフィードバックする機能も兼ね備えている。
ライン経過位置認知カウンタ部40により発せられるラインエンド(END)信号は、先に説明したとおり、ライン領域指示部10に入力される。ライン経過位置認知カウンタ部40により発せられるタイミング信号は、UNBL指示部80と、Laser APC指示部85を介してレーザードライバー95(以下、Laserドライバー95ともいう)とに入力される。
UNBL指示部80には、BD信号とライン経過位置認知カウンタ部40により出力されるタイミング信号が入力される。UNBL指示部80は、BD信号の受信タイミングを捉えるために受光素子前において、走査光を発光させ、BD信号が入力されたらレーザーの発光を停止させる制御タイミング信号であるアンブランキング信号を発生させる。以下の説明では、アンブランキング信号を「UNBL信号」と示すものとする。UNBL信号は、レーザードライバー95に入力される。
Laserドライバー95は、走査光源であるレーザーの光量を制御することが可能である。ライン毎に光量制御を実行する場合に、感光体上の1ライン分の走査を終了し、次ラインの走査に移行する際に、タイミングの検出用として、ライン経過位置認知カウンタ部40により発せられるタイミング信号が利用可能である。
装置偏差メモリ部60は、上述で説明した動的偏差特性を記憶する。尚、この装置偏差メモリ部60に記憶された動的偏差特性は後述の図3B(a)に例示される通りであるが、後述にてポリゴン回転速度ムラとして詳しく説明する。
図1において、リアルタイム偏差検出部75は、ポリゴンミラー面の面角速度や反射面状態や各種要因に応じて変動する光走査速度偏差量を検出することが可能である。尚、リアルタイム偏差検出部の詳細は後述する、図4及び図5A、Bを用いて具体的に説明する。リアルタイム偏差検出部75は、検出結果を偏差変換部70に入力する。
偏差変換部70は、リアルタイム偏差検出部75により検出されたデータ(例えば、源発クロックに基づくBD信号幅)に基づいて、偏差を補正するためのデータ(例えば、時間換算値)を換算データとしてCPU55に転送する。ここで、BD信号幅とは、後述の図4(b)にも示されるようにBD信号の立ち上がりから立下りまでのパルス数に対応する。なおBD信号の立ち上がり、立下りを区別できれば良く、このBD信号の立ち上がり及び立下りを検出する為にローアクティブで回路を構成しても良いし、廃アクティブで回路を構成しても良い。画像形成装置のシーケンス制御と連動させて、リアルタイム偏差検出部75はポリゴンミラー面毎に偏差のデータを収集することができる。なお、BD信号幅とは、実際のメートルを単位とした長さのことを指すのではなく、源発クロック数に換算することができるものであり、時間長に相当する。実際のメートル単位でのBD信号幅は変動するものではない。
CPU55は、動的偏差特性情報に基づき、1ライン分の形成画素ドットの位置を補正する補正データをクロックレート指示FIFOメモリ部50に形成画素ドット毎に蓄積する。
CPU55は、偏差(動的偏差特性情報)を補正するために、逓倍数を画素単位に変更する補正データを生成或いは出力する補正手段として機能することが可能である。
任意逓倍数分周部30は、分周整数値情報格納部35に画素ドット毎(画素単位ごとに)に書込み、更新された補正データに基づき任意の整数値で源発クロックの分周を実行する。この際、源発クロックの分周には、動的偏差特性情報に基づく補正データが反映されたものとなる。偏差の補正データを任意逓倍数分周部30により生成される画像クロックの1周期毎(画素単位ごと)に反映することで、形成画素ドットは、1ライン内の配列と、ライン間の位相において、相対的に良好な位置に形成される。この際、CPU55は、補正データに基づき補正された画像クロックにより走査光学系を制御する制御手段として機能することが可能である。
(3)次に、水平同期信号と画像クロックとの同期取り時の量子化誤差量の低減に関して、図1における水平同期高周波クロック生成部20の詳細な構成について説明を行なう。
(水平同期高周波クロック生成部20の構成例)
次に図2を用いて水平同期高周波クロック生成部20のDLL回路部について説明をする。図2(a)は、一般的なデジタルマルチバイブレータ回路で、同回路は、入力がハイレベルになると、ゲート伝達遅延時間後に源発クロックの発振を開始する。この伝達遅延時間はゲート回路のトランジスタの構成で決定することができる。図2(a)の構成は、NANDゲート回路とORゲート回路を組み合わせたものである。また、図2(b)は、NOTゲート回路とORゲート回路を組み合わせた構成例である。水平同期高周波クロック生成部20は、DLL回路により、BD信号の入力の前縁(例えば、図3A(c)の前縁部分305)に同期を取って、ゲート伝達遅延時間後、源発クロックの発振を開始する。CPU55は、1ライン画像の書き終わりにより、ラインEND信号に基づくUNBL信号が次にハイレベルになると、水平同期高周波クロック生成部20を制御して、源発クロックの発振を停止させることが可能である。
図2(a)、(b)に示すDLL回路は、例示的であり、例えば、図2(c)〜(e)に示すような回路構成によりゲート伝達遅延を利用してDLL回路を構成できることは言うまでもない。例えば、図2(e)に示すようにゲート伝達遅延特性の異なる回路を並列に複数段設け、水平同期高周波クロック生成部20の制御の下に動作する信号セレクタ回路201を有する構成とすることも可能である。図2(e)の構成によれば、信号セレクタ回路201によりゲート伝達遅延(遅延時間)の異なる源発クロックの周波数を選択して、出力することが可能である。
ゲート伝達遅延を利用すれば、BD信号に同期させて源発クロックの発振、停止を制御することができる。しかも同一のゲート回路で構成されているのであれば、ライン毎に発生するBD信号により発振開始する源発クロックの伝達遅延時間は、ほぼ同時間であるため、ライン毎の位相バラツキは殆ど無視できる値である。つまり、ゲート伝達遅延のバラツキによる源発クロック周波数の周期ジッタの発生は低減されるのである。
しかし、DLL回路の場合、源発クロックの周波数を所望の値に設定する(微調整)ところに課題がある。そのため、図2(a)〜(e)に示す回路構成の次段に任意逓倍数分周部30とは別であるが同等な構成で分周することで、微調整した源発クロックの周波数を生成することが可能である。
(4)次に、図3A、図3Bを用いて、本実施形態における画像形成装置により実現される、動作結果について説明を行なう。
図3Aは、画素ドットを形成する補正制御のタイミングを例示的に示す図である。図3Aにおいて、UNBL(アンブランキング)信号は、1ライン画像の書き終わりによりオンとなり、UNBL指示部80から出力される出力信号である。BD信号を検出した時点でUNBL信号はオフとなる。図3Aに示すように源発クロックは、ライン画像の書き始めであるBD信号を起点に1ライン画像の書き終わりで発振は停止する(図3A(a))。
図3A(b)は、図3A(a)の参照番号301におけるタイミングに着目した未補正時のタイミングチャートを示す。図3A(c)は、図3A(a)の参照番号301におけるタイミングに着目した補正実行時のタイミングチャートを示す。
水平同期高周波クロック生成部20から出力される源発クロックは、任意逓倍数分周部30で8逓倍の分周を受けた画像クロックとなる。図3Aの例では、逓倍数を「8」としているが、本発明の趣旨は、この逓倍数に限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、画像形成装置の仕様によるPWM変調ビット数や位置補正、ドット幅径補正等の条件に即して任意に決定することが可能である。逓倍数を「8」とすると、源発クロックの8倍が1画像クロックとなる。BD信号に基づき生成された源発クロックを分周により8倍した画像クロックが任意逓倍数分周部30により出力される。
nラインに於いて、初めの3画素ドットの形成を実行し、次のn+1ラインで、同様に初めの3画素ドットの形成を実行して1ドット縦線を形成する。図3A(b)、(c)において、第1画素ドット、第3画素ドットに対応する部分が空白となり、ハッチングで示した部分(第2画素ドット)が、1ドット縦線を形成する部分に相当する。ポリゴンスキャナーの光走査速度の偏差により、例えば、nラインとn+1ラインとの間で、1/8ドット(源発クロック1パルスに相当)のライン間画素ドットズレ302が第2画素ドットで発生したとする。
補正実行時において、画素ドットを形成しない余白部分(第1画素ドット)に対応した画像クロック303を生成するために、源発クロック1パルス分だけ短くするように、第1画素ドットの逓倍数を制御する。すなわち、任意逓倍数分周部30は、未補正時の逓倍数8を逓倍数7に変更するように制御することで、nライン及びn+1ラインにおける画像クロックの立ち上がりのタイミングを一致させることができる。これにより、未補正時に発生したライン間画素ドットズレ302を補正の実行により解消することができる。
図3(c)では、逓倍数を8から7に小さくする変更の例を示した。この例に限定されず、任意逓倍数分周部30は画素ドットを形成しない余白部分に対応した画像クロック303の逓倍数を、例えば逓倍数8を逓倍数9に増加(変更)させることで、n+1ラインにおける画像クロックの出力を遅延させる制御も可能である。
また、CPU55の制御の下、PWM変調と組み合わせることで、1/n(n≧2の整数)ドットの単位で画素ドットの位置補正を実行することができる。また、PWMの本来の機能により、形成する画素ドットのドット幅を補正することも可能であり、これらを組み合わせて、形成する画素ドットの位置を補正することもできる。以上、図3A(a)〜(c)は、画素単位毎に独立して一つの画素の位置を補正する場合について述べた。
また、以下に、図3B(a)〜(c)を用いて、図3Aとは別の、画素ドットを形成する補正制御のタイミングを説明する。
まず図3B(a)であるが、ここに示されるポリゴン回転速度ムラ(実測の回転速度ムラ)は、本発明を容易に説明するために想定した、一例である。必ずしもポリゴン回転速度周期は固定的な値ではなく、装置によって或いは環境によって或いは日時によって変動し得る。
図3B(a)に示す正弦波(Sin波)は、ポリゴン回転速度ムラを示し、対応するポリゴン面番号は、その時点でのポリゴンミラーの走査面を割振ったものである。図3B(a)では6面のポリゴンに対し7面分でポリゴン回転速度ムラ、一周期となる場合の位相関係にある場合で説明する。本質的には、ポリゴン回転速度ムラは、ポリゴンミラー面との位相関係に於いては非同期関係に動作するため、必ずしも図に示すような位相関係になるわけではなく、ランダムな位相関係を保つものである。図3B(a)では、一のポリゴン回転速度ムラのタイミングに対し、ランダムに対応するポリゴン面の中の一の場合における位相関係を示したものである。図中(1)で示すポリゴン回転速度ムラの部分は、ポリゴン回転速度の設定値から徐々に速い回転に変化している。その結果、図3B(b)の(1)に示すように一定速度であった場合を示す点線で囲った距離より縮んだ1ライン画像が形成されるようになる。更に、個々の画素は源発クロックの所定の固定逓倍数であるため、個々の画素長さは同様に徐々に小さくなってしまう。つまり、(1)のポリゴン回転速度ムラの場合、形成ドットはライン終了部分では、小さくなって形成され、且つ、形成ライン全体の画像長さは縮んでしまうのである。同様に図中(2)で示すポリゴン回転速度ムラの部分は、ポリゴン回転速度の(1)の終端のポリゴン回転速度から引き続き、更に徐々に速く変化し、ピークを迎えた後、逆にポリゴン回転速度が徐々に遅くなる。その結果、図3Bの(2)に示すように一定速度であった場合を示す点線で囲った距離より、更に縮んだ1ライン画像が形成されるようになる。個々の画素は、源発クロックの所定固定逓倍数であるため、ライン全体の中央部分の画素長さが一番小さく形成され、両側に向かって徐々に広まった画素ドットとなる。(2)のポリゴン回転速度ムラの場合、(1)で示した形成ドットのリズムとはまったく異なったライン画像形成となってしまうのである。
図3B(b)では、(2)以降の(3)〜(7)までのポリゴン回転速度ムラ一周期分のライン毎の走査リズム違いを表現する。図から見ても判るように各ラインの画像長さは、図3B(a)で示す、ポリゴン回転速度ムラの具合に応じてSin波のように変化していくのである。つまり、従来のように源発クロックの逓倍数を一律固定値で画像クロックにしていては、ポリゴン回転速度ムラがそのまま画像に現われてしまう場合があって、ポリゴン回転速度ムラが目立たない値のものを使用するために選別する場合もあったのである。本実施例によれば、このようなことをせずとも高品位の画像を得ることが出来る。
以上述べた場合に対応する制御を図3B(c)に示す。図3Aで述べる場合と同様に、画像クロックを生成する為の源発クロックの設定標準逓倍数を仮に8にした場合を説明する。各々の画素は8逓倍を基準にしている。そしてCPU55はポリゴン回転速度に応じて逓倍数を設定する。
つまり、規定走査速度時は8逓倍で生成された画像クロックにより画素ドット形成を実行する。図3B(a)の(1)で示すようなポリゴン回転速度変化の場合は、図3B(c)の(1)で示すように、徐々に逓倍数値をその速度偏差傾きに対応させながら補正制御すれば良い。つまり、ポリゴン回転速度の変化具合は走査速度の変化具合に反映する為、その変化具合に伴なって、画像クロックを生成する源発クロックの逓倍数を補正すればよい。つまり、図3B(a)の(1)〜(7)のポリゴン回転速度ムラの場合は、図3B(c)の(1)〜(7)のように逓倍数を補正しながら画像形成を実行すれば良好な画像になるのである。これにより、ライン間の同期ズレを解消し、良好な画像形成が可能になる。
(5)次に、図4を用いて、動的偏差特性の補正処理に係る説明として、図1におけるリアルタイム偏差検出部75が、どのようにして、BD信号幅(源発クロック数)を検出しているかを説明する。
図4及び図5を参照して、動的偏差情報をリアルタイム(ポリゴン面周期とは非同期に)で検出し、形成する画素ドットの位置補正或いは幅径補正を行なうことを説明する。図4(a)において、参照番号100は受光素子、参照番号110は感光体(図8の参照番号822に対応する)、参照番号120はレーザーを照射することが可能なレーザー光源である。参照番号130はスキャナ装置であり、光走査用回転体である多面体のポリゴンミラー140(回転走査機構)と、ポリゴンミラー140を所定の回転速度で回転させるモーターとを備える。レーザー光源120から照射されるレーザー光はポリゴンミラー140により反射されて、感光体110に導かれる。受光素子100は、感光体110の近傍に配置されており、レーザー光が感光体110に導かれる直前のタイミングで、レーザ光を受光することが可能である。受光素子100がレーザー光を受光すると、その検出信号としてBD信号を出力する。このBD信号出力は、図1、図2中に示される「BD信号」に対応する。
ポリゴンミラー140の各面の面長距離が誤差ゼロ(静的偏差=0)で、回転速度が一定速度で回転している(動的偏差=0)場合、BD信号に伴う源発クロックと感光体110上の位置は常に一定の位置を示すことが可能である。すなわち、ライン間で位置ズレを起こすことなく、画素ドットの形成が可能になる。源発クロックで分周された画像クロックに基づくタイミングによれば、照射されたレーザー光によって形成される感光体110上の画素ドットは、全てのラインに於いて、同一の位置に形成される。
しかし、動的偏差特性として、ポリゴンミラー140(回転走査機構)の回転偏差が生じると、同一の信号幅のBD信号を検出することができない。
図4(b)は、動的偏差が生じる場合の源発クロックと、各ライン(n+0〜n+6)におけるBD信号幅の関係を例示的に示す図である。動的偏差特性については上に説明した通りである。
リアルタイム偏差検出部75は、水平同期高周波クロック生成部20から出力される源発クロック数をカウントし、BD信号幅(検知信号(源発クロック)のパルス数)を検出することができる。リアルタイム偏差検出部75は、この検出結果を偏差変換部70に入力する。偏差変換部70は、入力された源発クロック数(BD信号幅(検知信号(源発クロック)のパルス数))を時間換算し、その変換結果を換算データとしてCPU55に転送する。本実施形態においては、このリアルタイム偏差検出部75によって検出される源発クロック数に基づき、動的偏差特性に応じた任意逓倍数分周部30による源発クロックの分周が行なわれるのである。詳細は後述する。
(6)次に、図5を用いて、どのようにして具体的に、動的偏差特性を補正し、任意逓倍数分周部30が、補正された画像クロックを出力しているかについて説明を行う。
CPU55は、BD信号幅(検知信号(源発クロック)のパルス数)に対応する時間換算値に対応する補正データ生成し、ルックアップテーブルに格納する。尚、このルックアップテーブルはポリゴンミラー140(回転走査機構)の面数を「6」とした場合、最初の測定面データをn+0面とし、n+1、n+2・・、n+5と面数(N)に応じて分類することができる。
図5(b)において、スキャナ装置130のポリゴンミラー140(回転走査機構)は、面数が6の場合を例示している。ポリゴンミラー140(回転走査機構)が回転すると、ポリゴンミラーの回転周波数は図5(a)に示されるように上昇していき、その後、クロック周波数に回転周波数(回転速度)は収束する。
しかし、先にも説明したようにバランサーで調整しても或る時間周期で、或る範囲速度で偏差が生じる。この変動は先に説明した動的偏差特性である。
図5(c)では、その偏差部分を一周期で区切り拡大した状態が示されている。ポリゴンミラーの回転周波数(速度)はポリゴンの面周期より比較的長周期で回転速度が速まったり、遅くなったりする偏差が生じる。つまり、ポリゴンミラーの回転周波数(速度)はポリゴンミラー140(回転走査機構)の各面の切り替わり周期よりも異なる長周期で速度上昇、速度下降する。
リアルタイム偏差検出部75は、画像形成装置が動作する特定のタイミングで、源発クロック数をカウントし、BD信号幅(検知信号(源発クロック)のパルス数)を検出する。そして、偏差変換部70は、入力された源発クロック数(BD信号幅(検知信号(源発クロック)のパルス数))を時間換算し、その変換結果を換算データとしてCPU55に転送する。CPU55は、入力された時間換算から、動的偏差特性情報を求めることができる。そして、CPU55は、動的偏差特性情報の補正データを特定し、ポリゴンミラー140の各面に対し、その都度、1ライン分の形成画素ドットの位置を補正する補正データをクロックレート指示FIFOメモリ部50に格納する。
より具体的にCPU55は、装置偏差メモリ部60に予め格納された補正実行時ルックアップテーブルから入力された時間換算のデータに応じた補正データをクロックレート指示FIFOメモリ部50に形成画素ドット毎に蓄積する。クロックレート指示FIFOメモリ部50は、実際のライン形成時に形成画素ドット毎に、補正データを分周整数値情報格納部35に書き込む。任意逓倍数分周部30は、分周整数値情報格納部35に画素ドット毎に書込み更新された補正データに基づき任意の整数値で源発クロックの分周を実行し、画像クロックを出力する。任意逓倍数分周部30から出力される画像クロックは、補正データを反映したものであり、かかる画像クロックに基づき画像形成を実行することにより、ライン間の同期ズレを解消し、良好な画像形成が可能になる。
尚、本補正制御で述べているBD信号のパルス幅(ある源発クロック数に相当する時間)は、BD信号を受信する受光素子の生信号を計測して時間に相当する。同一の受光素子面長に走査する光の受光時間は、光の走査速度に比例して受光時間が決定される。つまり、受光素子から発するBD信号のパルス幅の違いには、光走査速度の違いが現われるのである。このとき、ポリゴン回転速度ムラのように画像1ラインを走査する時間(BD信号周期)よりも長い周期時間である場合、1ライン中での走査ムラの変化は比較的なだらかである。このため、1ライン中の一部分の傾きを特定できれば、全ライン分の変化具合が演算できるのである。このとき、図4(b)に示すように、BD信号の終了時点の時間位相は、ポリゴン回転速度ムラの一周期の位相と同様になる。
(7)以下、任意逓倍数分周部30が、補正後の画像クロックを生成されるまでに至る演算処理について説明する。
具体的には、ライン画像(1主走査ラインに亘って記録される画像)の伸び縮みを演算(本発明で述べる動的偏差特性の演算方法)して、源発クロックの逓倍数を補正して画像クロック周期時間長を割出す手段について説明する。
一般的に、ポリゴンミラーを駆動するモータは、サーボ制御等により一定回転になるように回転速度制御が或る範囲内で行なわれる。しかし、実際には、上述の動的偏差特性の説明で述べたことが要因となり、図3B(a)に示すような、ポリゴン回転速度ムラが生じる。
図3B(a)に示すポリゴン回転速度周期は、機器に組み込む光学箱と呼ばれる光走査系ユニットで定まるもので、ポリゴンミラーの回転を司る個々のモータとその制御系回路によって、ポリゴン回転速度の変化偏差量(ピーク値)と幅(周波数)が決まる。
つまり、ポリゴン回転速度ムラと称される変化偏差量(ピーク値)と幅(周波数)は、機器に取付ける個々の光学箱ユニット特有の値となる。機器に取付けてしまえば、作動中の温度変化等で多少の違いはあるものの、大筋ではこのポリゴンミラーの回転速度ムラは固定的で変動しないものであり、上記の光学箱ユニット特有の周期を繰り返す結果となって一定リズムのまま、画像に現れる。故障や不具合の発生等は除き、通常は制御のバラツキ程度の違いはあるものの、無視できるぐらいの誤差であり、大局では変わらないものである。
従って、今述べてきた機器に取付けた光学箱ユニット特有のポリゴンミラーの回転速度ムラ情報を計測して静的偏差特性として予め、取付けた装置偏差メモリ部60に格納しておく。すなわち、装置偏差メモリ部60には、図3B(a)に例示されたSin波(1周期時間量における速度変化)のポリゴンミラーの回転速度ムラ情報が予め記憶されている。そして、この装置偏差メモリ部60に予め記憶されたSin波を用いて以下の如くCPU55は、補正逓倍数を設定する。
1.まず、リアルタイム偏差検出部75は、水平同期高周波クロック生成部20から出力される源発クロック数をカウントすることで、BD信号の幅時間長を検出する。ここでは便宜上BDl(n)とする。nは面数を示す。そしてCPU55は、ポリゴンミラーが複数回転する中で検出されたBDl(n)に基づき、それらの平均をBDlaveとして算出し、装置偏差メモリ部60に記憶しておく。このBDlaveは、例えば、画像形成装置起動時に事前に計測されていたり、或いは、工場において計測された値を理想値として事前に装置偏差メモリ部60に記憶されているものとする。
2.CPU55は、そしてBDl(n)のうち所定周期ごと検出される最大値の平均をBDlmaxとして求め装置偏差メモリ部60に記憶しておく。なお、BDlmaxの算出タイミングもBDlaveのそれと同様とする。そして、求められたBDlaveとBDlmaxとより、以下の式でBDl(n)のサインカーブを正規化する為の係数を求める。
BDreg=1÷(BDlmax−BDlave) ・・・(1)
3.また、装置偏差メモリ部60には、予め図3B(a)に示されるSin波が記憶されている。なお、後述のBDl(n)と比較するために振幅を±1にして正規化されている。
4.そして、(2)式の関係より(3)式が得られる。
(BDl(n)−BDave)×BDreg=y=sinθ ・・・(2)
θ=sin−1((BDl(n)−BDave)×BDreg)・・・(3)
5.一方、図4(b)のBD信号の幅時間長の変化を記録しておき、その変化量をΔBDl(n)とする。
図3B(b)に示すように、走査1ラインの長さの伸張は、図4(b)に示すBD信号幅(パルス時間幅(源発クロック数))に表れる。BD信号の元となるビームを検出する受光素子の素子幅(具体的には5mm角チップで受光する素子幅)と1ラインの走査長は伴に変化する長さではない。つまり、走査速度偏差量が同様な比率でBD信号幅となって表れる。つまり、図5に示されるSin波に近似できるポリゴン回転速度ムラ(動的偏差特性)と同様の変動が、BD信号の幅に表れている。よって、BD信号幅の量変化の遷移具合からポリゴン回転速度ムラの位相を特定することができ、また、ポリゴン回転速度がそのライン長において、どのように変化していくかをリアルタイムに予測できる。
6.そして、以下の演算によりCPU55はリアルタイムにθを求める。
・ΔBDl(n)>0であれば(3)式から得られる位相のうち(−1/2)π<θ<(1/2)πの範囲の値をθとする。
・ΔBDl(n)=0、且つΔBDl(n−1)>0であれば(3)式から得られるθ=(1/2)πとする。
・ΔBDl(n)=0、且つΔBDl(n−1)<0であれば(3)式から得られるθ=(−1/2)πとする。
ΔBDl(n)<0であれば(3)式から得られる位相のうち(1/2)π<θ<(−3/2)πの範囲の値をθとする。
7.また、θの区分を所定間隔で各区間に区切り、その各区間に対して予め、逓倍数の配列を割り当てた配列テーブルを、装置偏差メモリ部60は事前に記憶している。
8.CPU55は、配列テーブルを装置偏差メモリ部60より読込み、5.の演算で求めたθを、配列テーブルに照らし合わせる。そして、θがどの区間に含まれるかを特定し、それに対して割り当てられた逓倍数の配列値を読込み、1ライン分の形成画素ドットの位置を補正する補正データを生成する。更にCPU55は、この生成した配列値を補正データとして、クロックレート指示FIFOメモリ部50に形成画素ドット毎に蓄積する。その結果が図3B(c)に示されている。
また、BD信号のパルス幅時間量の変化から、ポリゴン回転速度の変化具合を推察するためのサンプリング時間は、プリント動作を開始するための予備動作として、プリンタ本体はポリゴン回転を指示して設定走査速度まで立ち上げる。そして、ポリゴン回転速度が設定値まで到達する事でスキャナレディ信号を発し、光走査速度が一定値範囲でロックされた事を示す。後は給紙され、画像形成に動作を開始し、所定枚数プリントしたら停止するのである。このスキャナレディ信号を発してから、画像形成開始までに要する時間は最低でも数秒ある。この数秒の時間は、BD信号(1ラインあたりの所要時間)にとって数千発相当であるため、ポリゴン回転速度変化具合をサンプリングし、演算し、確認する制御を実行させるには十分な時間となっている。よって問題なくBD信号幅の量変化の遷移具合からポリゴン回転速度周期がそのライン長にとってどのように変化していくかが推察する事ができるのである。
(第1実施形態の効果)
以上、述べてきたように、図2に示された回路により、源発クロックを起動させるので、水平同期信号と画像クロックとの同期取り時の量子化誤差量を減少させることができる。
また、前記量子化誤差量を減少させた上で、リアルタイム偏差検出部75により検出されるBD信号幅に応じて、画像クロックを生成する為の逓倍数が設定され、より正確にライン間の同期ズレを解消し、良好な画像形成が可能になる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、まず、図2で述べた水平同期高周波クロック生成部20の構成例におけるデジタルゲート回路の伝達遅延を利用したDDL回路で構成される伝達遅延方式発振回路21の動作を図6で詳しく説明する。そして、次に本実施形態での特徴である源発クロックの周波数安定化補正手段について図7を用いて説明する。
また、図6は、本実施形態における源発クロックの周波数安定化補正手段を容易に説明するためのDDL回路特性を説明する、動作タイミングを例示的に示す図である。
図6(a)は、ライン領域指示部10から出力されるビデオ信号の許容範囲を示すビデオイネーブル信号に基づき、源発クロック生成する水平同期高周波クロック生成部20の中の伝達遅延方式発振回路21との具体的回路例を示すものである。なお、ビデオイネーブル信号は、図6(b)において、Video−Enableと表現されている。
図6(b)に示す如く、ビデオイネーブル信号がイネーブル(図中のVideo−Enableがハイレベルになっている領域)に変化すると、伝達遅延方式発振回路21はマルチバイブレータ発振をBD信号の前縁に同期して発振を開始する。また、ビデオイネーブル信号がディセーブル(図中のVideo−Enableがロウレベルになっている領域)に変化すると、伝達遅延方式発振回路21の発振動作は停止する。この発振周波数は、図6(a)に示すようにNANDゲート回路の有する信号伝達所要時間である伝達遅延aと、ORゲート回路の有する信号伝達所要時間である伝達遅延bとの信号伝達の繰返しで、図6(c)に示す如く発振生成されるものである。この伝達遅延時間は、既に公知であるため、特に図示しないが、ゲート回路を構成する回路形態やICを構成する基本トランジスタへの印加電圧量や浮遊容量により決定されるものである。尚、伝達遅延時間には熱的要因もあるが、本装置走査光学系の場合の各ライン間の相対的位置ズレの影響についてのものであって、1ライン中の極少ない走査時間と熱的変動とではその時間差スケールが違いすぎて熱の影響は問題にならないため説明は省略する。本実施形態は、図6(a)に示す回路構成で伝達遅延方式発振回路21が構成されている。この伝達遅延方式発振回路21に供給する供給電源電圧に応じて発振出力される源発クロックの周波数が決定される仕組みにより、図6(c)に示す如く、伝達遅延aと伝達遅延bとでマルチバイブレータ発振を繰り返す事になるのである。
次に、源発クロックの周波数安定化補正手段について図7を用いて説明する。図7は、前述した水平同期高周波クロック生成部20の別形態である構成例を示す図であり、基本的には図2(a)で示す一般的なデジタルマルチバイブレータ回路を用いている。
水平同期高周波クロック生成部20は、前述した伝達遅延方式発振回路21と周波数安定化補正回路22で構成されるものである。上述した如く、伝達遅延方式発振回路21から出力される源発クロックの周波数をリアルタイムで検知して、伝達遅延方式発振回路21への供給電源電圧をアナログ的に補正制御することを目的としている。この目的を達成するためには、図7に示される周波数安定化補正回路22に限定されるものではない。つまり、周波数電圧変換回路23により、伝達遅延方式発振回路21から出力される源発クロック周波数の一周期時間は電圧値に変換される。電圧比較器24は、予め決定している源発クロックの設定周波数値相当の基準電圧値と変換された電圧とをリアルタイムに比較する。なお、基準電圧値は、本実施形態では特に述べないが、CPU55にて設定可能であって、装置の環境や状態に応じて、或いは、形成画像の補正等により、CPU55が補正制御可能なように構成されているものである。
電圧比較器24は、源発クロック周波数が高いか、低いかをデジタルに判断して、一段階毎にアナログ電圧値で供給電源発生器26に出力する。その結果、供給電源発生器26は、伝達遅延方式発振回路21に所望の電圧値を供給する。本実施形態でいう、周波数安定化補正回路22は、設定周波数値にダイレクトで一気に補正をかけるのではなく、検出した時点で設定周波数値より高いか、低いかを判定する。そしてその判定により、供給電圧値を予め設定した所望の値を1ステップとして、電圧値を変化させ続ける、所謂、収束補正制御を実施している。その事で、源発クロックの急激な周波数変化を抑制し、源発クロックの数百倍〜数十倍の画像クロック変動を徐々に和らげ、形成画像の位置補正が人間の目で見て気が付きにくいようにすることを目的とした補正制御なのである。
(第2実施形態の効果)
以上のように、本実施形態で示す伝達遅延方式発振回路21と周波数安定化補正回路22で水平同期高周波クロック生成部20を構成すれば、DLL回路の源発クロックの周波数を所望の値を選別する(微調整)と言う課題は解決できる。そして、発振クロック周波数値を装置の出荷時調整する事無く、自動的に一律の工程で扱えるようになるのである。
その結果、CPU55で極微調整可能な、安定した周波数値を有する源発クロックが水平同期高周波クロック生成部20から任意逓倍数分周部30に出力される。そして、任意逓倍数分周部30から出力される画像クロックは、補正データを反映したものであり、かかる画像クロックに基づき画像形成を実行することにより、ライン間の同期ズレを解消し、良好な画像形成が可能になる。