JP5271632B2 - 神経細胞死抑制作用をもつvi型コラーゲン - Google Patents
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Description
本明細書において、各種用語の意味は、下記の通り定義するものとする。
ここで使用される「VI型コラーゲン」という用語は、天然配列VI型コラーゲン及びVI型コラーゲン変異体を含む。ここに記載されるVI型コラーゲンは、組換え又は合成方法により調製しても種々の供給源から単離してもよい。
「変異体ポリヌクレオチド」とは、ポリペプチドが本来持っている活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子であり、ここに開示する全長天然配列VI型コラーゲンポリペプチドをコードする核酸配列に対して80%以上の配列同一性を有する。
「神経細胞死を抑制する」とは、神経細胞がアポトーシス又はネクローシスにより死滅するのを抑制することである。当業者であれば、トリパンブルー染色やTUNEL法(TUNEL: terminal deoxynucleotidyl transferase (TdT)-mediated dUTP-biotin nick end labeling)などを用いて神経細胞死の測定を行うことができる。また、全ての神経細胞の死を抑制しなくてもよく、神経細胞死を抑制しない場合と比較して、神経細胞死の50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%を抑制することを意味する。
「神経突起を伸展する」とは、神経細胞から樹状突起あるいは軸索が伸展することである。当業者であれば、形態学的手法や計測用ソフトウェアを用いて神経突起の伸展を測定することができる。また、神経突起の伸展の促進とは、神経突起の伸展を促進しない場合と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%以上、神経突起の伸展が増加することを意味する。
「神経の再生」とは、神経細胞死の抑制、神経細胞の増殖、神経突起の伸展、シナプス(再)形成、神経回路の(再)形成及び/又は標的器官の(再)支配が起こることである。また、神経再生の促進とは、神経再生を促進しない場合と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%以上、神経再生を誘導することを意味する。
「神経細胞とVI型コラーゲンの接触」とは、VI型コラーゲンが神経細胞に作用し得る状態をいい、作用しさえすれば、特に限定されるものではない。例えば、VI型コラーゲンは神経細胞に直接接着していなくてもよく、神経細胞の一部のみに接着していてもよく、もしくは神経細胞を取り囲む細胞に接着していてもよい。
「培養」とは、神経細胞(ここでは分化した神経細胞だけではなく、未分化な神経幹細胞、神経前駆細胞、神経芽細胞をも含む)を分化、増殖、成長及び/又は発育させることをいうが、神経細胞の培養条件については、対応する従来公知の培養条件の中から、適宜適切な条件を適用することができる。神経細胞に対応する培養条件は、当業者であれば、容易に選択し、選択した培養条件に基づいて培養を実施することができる。
ベクターは、組換えDNA手順に都合よく付すことのできるいずれのベクターであってもよく、またベクターの選択は当該ベクターを導入しようとする宿主細胞に依存することが多い。従って、ベクターは、自己複製ベクター、すなわちその複製が染色体複製から独立している染色体外物質として存在するベクターであってもよい。
ここでいう「プロモーター」とは、プロモーター配列の下流に存在するポリペプチドの発現を制御する配列のことをいう。ここでは特に大脳、小脳、脳幹、脊髄および末梢の体性あるいは自律神経節などの神経細胞を含む領域において発現させることが可能なプロモーターが望ましく、当業者であれば適切なプロモーターを選択することができる。
以下の本実施形態で用いられるVI型コラーゲンは、天然配列VI型コラーゲン及び/又はVI型コラーゲン変異体である。VI型コラーゲン変異体には、全長天然アミノ酸配列のN-又はC-末端において一又は複数(例えば、2、3・・・)のアミノ酸残基が付加、置換若しくは欠失されたVI型コラーゲンが含まれる。通常、VI型コラーゲン変異体は、ここに開示される全長天然アミノ酸配列、ここに開示された全長天然配列VI型コラーゲン配列と80%以上のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%以上のアミノ酸配列同一性、より好ましくは95%以上のアミノ酸配列同一性を有している。なお、以下に示す配列番号:1には、全長天然配列VI型コラーゲンα1サブユニットのアミノ酸配列が、配列番号:3には、全長天然配列VI型コラーゲンα2サブユニットのアミノ酸配列が、配列番号:5には、全長天然配列VI型コラーゲンα3サブユニットのアミノ酸配列が示されている。
本実施形態は、VI型コラーゲンを含む、神経細胞死抑制剤である。後述の実施例に示すように、VI型コラーゲンは神経細胞死抑制作用を有するため、それを含む神経細胞死抑制剤も、神経細胞死を抑制する。また、本実施形態の神経細胞死抑制剤は、含まれるコラーゲンの100%がVI型コラーゲンであることが好ましいが、100%であることを必須の条件とするものではなく、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%以上のVI型コラーゲンが含まれていればよい。
本実施形態は、VI型コラーゲンを含む、神経突起の伸展促進剤である。後述の実施例に示すように、VI型コラーゲンは神経突起の伸展促進作用を有するため、それを含む神経細胞死抑制剤も、神経突起の伸展を促進する。また、本実施形態の神経突起の伸展促進剤は、含まれるコラーゲンの100%がVI型コラーゲンであることが好ましいが、100%であることを必須の条件とするものではなく、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%以上のVI型コラーゲンが含まれていればよい。
本実施形態は、VI型コラーゲンを含む、神経再生促進剤である。後述の実施例に示すように、VI型コラーゲンは神経再生促進作用を有するため、それを含む神経細胞死抑制剤も、神経再生を促進する。また、本実施形態の神経再生促進剤は、含まれるコラーゲンの100%がVI型コラーゲンであることが好ましいが、100%であることを必須の条件とするものではなく、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%以上のVI型コラーゲンが含まれていればよい。
本実施形態は、ヒト生体外において神経細胞死を抑制する方法であって、神経細胞とVI型コラーゲンを接触させる工程を含む、神経細胞死を抑制する方法である。後述の実施例に示すように、VI型コラーゲンは神経細胞死抑制作用を有するため、それを神経細胞に接触させることにより、神経細胞死を抑制する。
本実施形態は、ヒト生体外において神経突起の伸展を促進する方法であって、神経細胞とVI型コラーゲンを接触させる工程を含む、神経突起の伸展を促進する方法である。後述の実施例に示すように、VI型コラーゲンは神経突起の伸展促進作用を有するため、それを神経細胞に接触させることにより、神経突起の伸展を促進する。
本実施形態は、ヒト生体外において神経再生を促進する方法であって、神経細胞とVI型コラーゲンを接触させる工程を含む、神経再生を促進する方法である。後述の実施例に示すように、VI型コラーゲンは神経再生促進作用を有するため、それを神経細胞に接触させることにより、神経再生を促進する。
また、本実施形態は、神経細胞を培養する方法であって、培養容器中で神経細胞とVI型コラーゲンを接触させる工程を含む、神経細胞を培養する方法である。後述の実施例に示すように、VI型コラーゲンは神経細胞死抑制作用を有するため、それを神経細胞の培養に用いて神経細胞に接触させることにより、神経細胞死を抑制する。また、後述の実施例では、VI型コラーゲンを被覆したプレートを用いて培養することにより神経細胞死を抑制しているが、VI型コラーゲンと神経細胞を接触させる方法はこれに限られるものではない。例えば、VI型コラーゲン又は可溶化したVI型コラーゲンを培地中に添加することや遺伝子導入することで神経細胞死を抑制することも可能である。
本実施形態で用いられるVI型コラーゲンは、医薬として用いずに、医療材料又は培養材料に用いるためにシート状にすることもできる。シート状にして培養容器を被覆することができる他に、神経損傷部位の神経細胞に接触するように、例えば損傷部位を被覆するようにして投与することにより、神経再生の足場として作用することができる。また、シート状にした本実施形態の剤は、神経細胞を含む組成物としても投与することができる。神経細胞を含む形態を採ることにより、神経移植などに用いることができ、神経再生を促進することができる。
本実施形態では、神経細胞死抑制作用、神経突起の伸展促進作用及び/又は神経再生促進作用を有する他の物質と併用することもできる。他の物質の例として、神経成長因子(NGF:nerve growth factor)などの神経栄養因子、ラミニンなどの細胞接着分子、エリスロポイエチンなどのホルモンなどが挙げられるが、神経細胞死抑制作用、神経突起の伸展促進作用及び/又は神経再生促進作用を有するものであれば、これらに限られるものではない。
外科的処置と組織調製
ウイスター系成体ラット(体重200−300グラム)をジエチルエーテルと抱水クロラール(腹腔内投与、100ミリグラム/キログラム)で麻酔した後、左坐骨神経を切断し、右坐骨神経は未処置のままにした。切断後3、5および7日後に左坐骨神経の近位側切断端と遠位側切断端および右坐骨神経幹を摘出し、使用時まで−80℃に保存した。慢性絞扼モデルラットの作製は、BennettとXie(1988)の方法によって行った。全ての処置は、金沢大学動物実験規程に従って行った。
全細胞RNAをChirwinら(1979)の方法によって左坐骨神経の近位側切断端と右坐骨神経幹から抽出し、ポリ(A)+RNAをプロメガ社 (Promega, Madison, WI)の キット(PolyATract mRNA Isolation System III) を使用して精製した。さらに、Diatchenkoら(1996)のサプレッション・サブトラクティブ・ハイブリダイゼーション・ポリメラーゼ鎖反応法(suppression subtractive hybridization PCR)法をクロンテック社のキット(PCR Select;Clontech Laboratories)によって行った。この際、左坐骨神経の近位側切断端、右坐骨神経幹由来cDNAをそれぞれドライバー、テスターとして用いた。左坐骨神経の近位側切断端で発現上昇している遺伝子のcDNA断片のプールを得て、制限酵素Sau3AIとNotIで消化した後、pGEM−3zf(+)(Promega社)をBamHIとNotIで切断して作製したベクターに組み込み、大腸菌コンピテント細胞(TOP10F’、Invitrogen社)を形質転換した。
クローン化したcDNAの塩基配列は、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems, Foster City, CA)の370A DNAシーケンサーを使用してダイデオキシ法にて決定した。得られた配列がコードするタンパクの同定は、BLASTプログラムを用いて 米国National Center for Biotechnology Information(NCBI)のデータベースと照合しながら行った。
左坐骨神経の近位側切断端と遠位側切断端および右坐骨神経幹からChomczynski とSacchi (1987)の方法によって抽出した全細胞RNA(各2μg)を1.0%アガロース−2.2Mホルムアミドゲルの電気泳動で分離した後、ナイロン膜(Zeta−Probe;Bio-Rad Laboratories社, Hercules, CA)に転写し、ラジオアイソトープ標識したcDNAとハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション液の組成は、50%ホルムアミド、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、5×SSC(1×SSC:は0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム)、250μg/mlサケ精子DNA、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%フィコールおよび0.1%ポリビニルピロリドンであった。一晩42℃でハイブリダイズさせた後、ナイロン膜を最終的に65℃の0.1%SDS含有0.1×SSCでリンスした。オートラジオグラフィーは−30℃で行い、増感スクリーンを用いた。バンドの黒化度の定量にはシオン・イメージ・プログラム(Scion Image program; Scion Corp., Frederick, MD)を使用した。
細胞外マトリックスの中から神経再生に関与する遺伝子を同定するために、切断したラット坐骨神経近位側切断端で発現上昇している遺伝子をクローニングした。135のcDNAクローンが単離され、そのうちECMの遺伝子をコードするものは、III型コラーゲン及びVI型コラーゲンのα1鎖、ルミカン、及びラミニンであった。さらに、RNAブロットハイブリダイゼーション分析を行ったところ、4.2kbのmRNAであるVI型コラーゲンが坐骨神経の近位側切断部及び遠位側切断部で発現していることが検出された。特に、近位側切断部では未処理の坐骨神経幹に比較して有意に発現上昇していることが確認された(図1A及びB)。
細胞培養
成体ラットの脊髄後根神経節(DRG:dorsal root ganglion)ニューロンの培養は、Rizzoら(1994)の方法に従った。L4とL5のDRGを摘出して結合組織を除去した後、コラゲナーゼ含有溶液、パパイン含有溶液中で酵素処理した。さらに、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM:Dulbecco’s modified Eagle’s medium:)とHanks’F−12培地を1:1で混合したものに10%牛胎児血清、1.5mg/mlトリプシンインヒビター、1.5mg/mlBSA、100U/mlペニシリンと0.1mg/mlストレプトマイシンを加えた溶液にDRGを移し、ピペッティングによって細胞を分散させた後、96穴のポリスチレンプレート(269620; Nunc社、Roskilde, Denmark)に蒔いた。ポリスチレンプレートは予めVI型コラーゲンで被覆したものとしないものとを用意した。
神経突起伸展の測定は、Turnerら(1989)の方法に従った。PC12細胞を0.125%(w/v)トリプシンと1mMEDTAを含むHanks緩衝塩類溶液で剥し、血清を含まないDMEMで洗滌したのち、96穴のポリスチレンプレート(269620; Nunc社)に蒔いた。穴は未処理のままか、ラミニン(50μg/ml)、ポリ−D−オルニチン(100μg/ml)、ポリ−L−リジン(50μg/ml)、I型コラーゲン(10μg/ml)、あるいはVI型コラーゲン(10μg/ml)溶液で一晩4℃で処理して被覆したものを使用した。細胞は一穴あたり2500個の密度で蒔き、NGFを250ng/mlになるように加えた。細胞体の直径の三倍以上の長さの神経突起を持つ細胞を陽性とし、培養を開始してから3時間、3、6、9、14日後にその数を比較した。
細胞死の測定は、トリパンブルー(0.4%)染色とTUNEL法によった。TUNEL法は、ロッシュ社のキット(In Situ Cell Death Detection Kit、POD; Roche, Penzberg, Germany)を用いてOsamuraら(2005)の記載に従って実施した。上述のように異なる基質で被覆したポリスチレンプレート上で培養したPC12細胞を4%パラホルムアミドで固定し、10mMトリス緩衝液(pH7.5)に溶かしたプロテイナーゼK(20μg/ml)で30分間処理した。続いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS: phosphate-buffered saline)で洗滌した後、内因性ペルオキシダーゼを不活性化するために3%過酸化水素を含むメタノールに室温にて30分間浸した。再度PBSで洗滌した後、膜透過性を高めるために0.1%クエン酸ナトリウムで希釈した0.1%トリトンX−100を加え、氷上で2分間反応させた。さらに、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT: terminal deoxynucleotidyl transferase)とフルオロレセイン標識UTPを含むTUNEL反応混合液と37℃で1時間反応させた。取り込まれたフルオロレセインを検出するために、HRP(horse-radish peroxidase)標識した抗フルオロレセイン抗体と反応させた後、3,3’−ジアミノベンチジンを発色基質として加えた。光学顕微鏡下で標本を観察するとともに、コンピューターに接続したカメラで視覚化した。
組織切片は、Feltsら(1997)が記載した方法に従って作製した。坐骨神経を切断してから3日後に、ラットをジエチルエーテルと抱水クロラールで深く麻酔し、心臓よりPBS、固定液(4%パラホルムアミド)の順に灌流した。左坐骨神経の近位側切断端と遠位側切断端および右坐骨神経幹を摘出し、同じ固定液(4%パラホルムアミド)に4℃で一晩浸して後固定を施した。さらに、30%ショ糖溶液に4℃で二晩浸して、耐凍性を高めた(cryoprotection)。組織標本は2−16μmの厚さに切り、ポリ−L−リジンで被覆したスライドガラスに載せた。切片をトリトンX−100、1%BSAおよび1%正常ヤギ血清を含むPBSで3時間ブロッキングしたあと、4℃で一晩ウサギポリクローナル抗VI型コラーゲン抗体(H−200;1:200希釈, Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)と反応させた。免疫反応性を検出するために、ニチレイ社のキット (Histofine Simple Stain MAX PO(M);Nichirei, Tsukiji, Japan)を添付された指示に従って使用した。発色後、切片を脱水、透徹し、カバーグラスを被せて光学顕微鏡下で観察した。
坐骨神経を切断してから3日後の組織から、上記と同様に20μm厚の切片を作製し、4℃で一晩ウサギ抗VI型コラーゲン抗体(H−200;1:200希釈; Santa Cruz Biotechnology)と反応させた。同時にマウスモノクローナル抗体として、S−100 タンパク抗体(1:200希釈;Sigma)、抗グリア線維性酸性タンパク(GFAP: glial fibrillary acidic protein)抗体(G−A−5;1:400希釈;Sigma)、抗シグナル制御タンパク(SIRP:signal regulatory protein)抗体(OX−41;1:50希釈;Chemicon International, Temecula, CA)、抗Thy1抗体(MRC OX−7;1:50希釈;Chemicon International)、抗ニューロフィラメント抗体(RT97;1:100希釈;Roche, Mannheim, Germany)、あるいは抗チロシン水酸化酵素抗体(Clone45;1:500希釈;BD Biosciences, Pharmingen, San Diego, CA)を加えて二重染色を行った。二次抗体にはフルオロレセイン・イソチオシアネート(FITC:flurorescein isothiocyanate)標識抗ウサギIgG抗体(1:500希釈;Molecular Probes, Eugene, OR)とテキサス・レッド標識抗マウスIgG抗体(1:500希釈;Molecular Probes)を用いて、4℃で3時間反応させた。切片の観察には共焦点レーザー顕微鏡(LSM5 PASCAL;Carl Zeiss, Gottingen, Germany)を使用し、得られた画像はアドビ・フォトショップ5.5版(Adobe Systems, San Jose, CA)を用いて補正した。
(VI型コラーゲンが神経突起伸展に与える影響)
VI型コラーゲンが神経突起の伸展に与える影響について、DRGニューロン、SCGニューロン、PC12細胞及びNSC34細胞を用いて試験した。図2に示すように、DRGニューロンにおいて、VI型コラーゲンを被覆したプレートに接着し、神経突起が伸展しているのが観察されたが、被覆処理していないプレートを用いた区では、プレートへの接着がほとんど見られず、最終的に細胞が凝集した。SCGニューロン、PC12細胞及びNSC34細胞においても同様の傾向が観察された。また、以下の実験は、細胞の安定性が優れているPC12細胞を用いて行った。
本発明者は、神経突起の伸展についての試験を行っている過程で、VI型コラーゲンを被覆したプレートを用いて培養した神経細胞が、他の物質で被覆したプレートを用いて培養した神経細胞又は被覆処理していないプレートで培養した神経細胞よりも細胞死を起こりにくいことを発見した。そこで、NGFの存在下、様々な物質でコートしたプレート上で神経細胞を培養した。図4Aは、トリパンブルー染色法を用いて神経細胞の生存率の定量分析を行った結果である。被覆処理していないプレートで神経細胞を培養した区(None区)では、46.0±8.1%(n=5)のみが生存していたのに対し、VI型コラーゲンを被覆したプレートで培養した区及びラミニンを被覆したプレートで培養した区(それぞれColVI区及びLaminin区)では、それぞれ88.5±3.1%(n=6、P<0.001)及び88.1±3.7%(n=6、P<0.001)と有意に生存率が増加した(図4A)。I型コラーゲンを被覆したプレートで培養した区、ポリ−L−リジンを被覆したプレートで培養した区及びポリ−D−オルニチンを被覆したプレートで培養した区(それぞれColI区、PLL区及びPORN区)では、神経細胞の生存率がそれぞれ62.7±3.0%(n=6)、48.5±3.8%(n=6)及び42.8±7.7%(n=6)であり、None区に対して有意差はみられなかった。
VI型コラーゲンの局在を調べるために、免疫ペルオキシダーゼ染色を行った。坐骨神経の近位側切断部では、軸索の周囲(図5aおよびb)、近位切断端の円形の細胞(図5c)、及び血管周囲(図5d)においてVI型コラーゲンの発現が検出された。また、遠位側切断部では、退行性変化が見られる領域の細胞においてVI型コラーゲンの発現が検出された(図5e)。また、健常な坐骨神経幹では、VI型コラーゲンの発現がほとんど検出されなかった(図5f)。
VI型コラーゲンが神経突起の伸展を強く促進すること、及び神経細胞死を抑制することから、VI型コラーゲンが損傷した部位の交感神経線維に局在しているかどうかを確認した。図8に示すように、VI型コラーゲンは交感神経線維に近接して蓄積されていることが観察された。
以上より、VI型コラーゲンが神経突起の伸展促進作用、神経細胞死抑制作用、神経再生促進作用を有することが明らかとなった。VI型コラーゲンは、実際の神経組織でも発芽、軸索伸展のための足場として働き、損傷後の再生過程に関与することが示唆される。
Claims (14)
- VI型コラーゲンを含む、神経細胞死抑制剤。
- VI型コラーゲンを含む、神経突起の伸展促進剤。
- VI型コラーゲンを含む、神経再生促進剤。
- ヒト生体外において神経細胞死を抑制する方法であって、神経細胞とVI型コラーゲンを接触させる工程を含む、神経細胞死を抑制する方法。
- ヒト生体外において神経突起の伸展を促進する方法であって、神経細胞とVI型コラーゲンを接触させる工程を含む、神経突起の伸展を促進する方法。
- ヒト生体外において神経再生を促進する方法であって、神経細胞とVI型コラーゲンを接触させる工程を含む、神経再生を促進する方法。
- 神経細胞を培養する方法であって、培養容器中で神経細胞とVI型コラーゲンを接触させる工程を含む、神経細胞を培養する方法。
- 前記培養容器が、VI型コラーゲンで被覆したものである、請求項5に記載の培養方法。
- VI型コラーゲン及び培養容器を含む、神経細胞培養キット。
- 前記培養容器が、VI型コラーゲンで被覆したものである、請求項9に記載の神経細胞培養キット。
- VI型コラーゲンを含む、神経再生のための医療材料。
- 前記VI型コラーゲンがシート状である、請求項11に記載の医療材料。
- 前記VI型コラーゲンがチューブ状である、請求項11に記載の医療材料。
- 前記VI型コラーゲンが生体適合素材に充填されたものである、請求項11に記載の医療材料。
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