以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置を示す平面図である。本実施形態のアンテナ装置は、単一の放射器101をトリプルバンド動作させることを特徴とする。
図1において、放射器101は、所定の電気長を有する第1の放射導体1と、所定の電気長を有する第2の放射導体2と、所定の電気長を有する第3の放射導体3と、所定の位置で放射導体1,2を互いに接続するインダクタL1と、所定の位置で放射導体1,3を互いに接続するキャパシタC1と、所定の位置で放射導体2,3を互いに接続するキャパシタC2及びインダクタL2とを有する。キャパシタC2及びインダクタL2は、互いに並列接続される。放射器101において、放射導体1,2,3とキャパシタC1,C2とインダクタL1,L2とにより、中央の中空の部分を包囲する第1のループ(以下、「大ループ」という。)が形成され、放射導体2,3が互いに近接した部分と、キャパシタC2と、インダクタL2とにより、第1のループとは異なる共振周波数を有する第2のループ(以下、「小ループ」という。)が形成される。さらに、放射導体1上に給電点P1が設けられる。従って、大ループに沿って放射導体上に順に給電点P1、第1の位置、第2の位置、及び第3の位置が設けられ、第1の位置にインダクタL1が挿入され、第1の位置とは異なる第2の位置にインダクタL2及びキャパシタC2が互いに並列に挿入され、第1及び第2の位置とは異なる第3の位置にキャパシタC1が挿入されている。言い換えると、大ループに沿って、インダクタL1及びキャパシタC1を境界として一方の側(すなわち放射導体1上)に給電点P1が設けられ、他方の側(すなわち放射導体2,3の間)にインダクタL2及びキャパシタC2が設けられている。信号源Q1は、図1のアンテナ装置に接続された無線通信回路を概略的に示し、低域周波数帯に含まれる第1の周波数(以下、低域共振周波数f1という)、中域周波数帯に含まれ、第1の周波数よりも高い第2の周波数(以下、中域共振周波数f2という)、及び、高域周波数帯に含まれ、第2の周波数よりも高い第3の周波数(以下、高域共振周波数f3という)の無線周波信号を発生する。信号源Q1は、放射導体1上の給電点P1に接続されるとともに、放射器101に近接して設けられた接地導体G1上の接続点P2に接続される。放射器101において、低域共振周波数f1で励振するときの電流経路と、中域共振周波数f2で励振するときの電流経路と、高域共振周波数f3で励振するときの電流経路とはそれぞれ異なり、これにより、効果的にトリプルバンド動作を実現することができる。
本実施形態のアンテナ装置は、後述の実施例で説明するように、例えば、低域側共振周波数f1として900MHz帯の周波数を使用し、中域側共振周波数f2として1500MHz帯の周波数を使用し、高域側共振周波数f3として1900MHz帯の周波数を使用するが、これらの周波数に限定されるものではない。
図2は、本発明の第1の実施形態の比較例に係るアンテナ装置を示す平面図である。本願出願人は、特願2011−057555号において、単一の放射器をデュアルバンド動作させることを特徴とするアンテナ装置を提案し、図2はこのアンテナ装置を示す。図2の放射器200において、放射導体201,202とキャパシタC1とインダクタL1とにより、中央の中空の部分を包囲するループが形成される。従って、放射器200は、図1の放射導体2,3、インダクタL2及びキャパシタC2に代えて、放射導体202を備える。低域共振周波数f1及び高域共振周波数f2の無線周波信号を発生する信号源Q2は、放射導体201上の給電点P1に接続されるとともに、放射器200に近接して設けられた接地導体G1上の接続点P2に接続される。放射器200において、低域共振周波数f1で励振するときの電流経路は、高域共振周波数f2で励振するときの電流経路とは異なり、これにより、効果的にデュアルバンド動作を実現することができる。
以下、図3〜図6を参照して、本願発明のトリプルバンド動作について説明する。
図3は、図1のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流経路を示す図である。低い周波数成分を有する電流は、インダクタは通過できる(低インピーダンス)がキャパシタは通過しづらい(高インピーダンス)という性質がある。このため、アンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流I1は、放射導体1において給電点P1からインダクタL1に接続された点まで流れ、インダクタL1を通り、放射導体2においてインダクタL1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点まで流れ、インダクタL2又はキャパシタC2を通り、放射導体3においてキャパシタC1が接続された点まで流れる。電流I1がインダクタL2及びキャパシタC2のいずれを通るのかは、アンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときにおけるインダクタL2及びキャパシタC2のインピーダンスによって決まる(詳細後述)。図3では、電流I1がインダクタL2を流れる場合を示す。さらに、キャパシタC1の両端の電位差に起因して放射導体1においてキャパシタC1に接続された点から給電点P1まで電流が流れて、電流I1に接続される。このため、実質的には、電流I1はキャパシタC1も通るとみなすことができる。電流I1は、大ループにおいて、中央の中空の部分に近接した内側エッジを強く流れる。放射器101は、アンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するとき、図3に示すような電流経路で電流I1が流れ、インダクタL1と、キャパシタC1と、インダクタL2又はキャパシタC2と、大ループに沿った放射導体とが低域共振周波数f1で共振するように構成される。詳しくは、放射器101は、電流I1の電流経路における電気長の総和(すなわち、図1を参照すると、放射導体1において給電点P1からインダクタL1に接続された点までの電気長A1と、インダクタL1の電気長と、キャパシタC1の電気長と、放射導体2においてインダクタL1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A3又はA4と、インダクタL2又はキャパシタC2の電気長と、放射導体3においてインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点からキャパシタC1に接続された点までの電気長A6又はA7と、放射導体1においてキャパシタC1に接続された点から給電点P1までの電気長A2との和)が、低域共振周波数f1で共振する電気長になるように構成される。この共振する電気長は、例えば、低域共振周波数f1の動作波長の0.2〜0.25倍である。また、接地導体G1上の放射器101に近接した部分において、接続点P2に向かって電流I0が流れる。
アンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するとき、図3に示すような電流経路で電流I1が流れることにより、放射器101の大ループはループアンテナモードで、すなわち磁流モードで動作する。放射器101がループアンテナモードで動作することによって、小型形状でありながら長い共振長を確保できるので、アンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときでも良好な特性を実現できる。また、放射器101はループアンテナモードで動作するとき、高いQ値を有する。大ループにおいて中央の中空の部分が広がるほど(すなわち大ループの径が大きくなるほど)、アンテナ装置の放射効率が向上する。
図4は、図1のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの第1の電流経路を示す図である。アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流がインダクタL1及びキャパシタC1のいずれを通るのかは、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにおけるインダクタL1及びキャパシタC1のインピーダンスによって決まる(詳細後述)。図4では、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにインダクタL1を通る電流I2を示す。アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流I2は、放射導体1において給電点P1からインダクタL1に接続された点まで流れ、インダクタL1を通り、放射導体2においてインダクタL1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点まで流れ、次いで小ループに沿って流れる。電流I2がインダクタL2及びキャパシタC2のいずれに向かって流れるのかは、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにおけるインダクタL2及びキャパシタC2のインピーダンスによって決まる(詳細後述)。図4では、電流I2がインダクタL2に向かって流れる場合を示す。電流I2がインダクタL2を通ると、放射導体3においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点まで流れ、さらに、キャパシタC2を通り、放射導体2においてキャパシタC2に接続された点からインダクタL2に接続された点まで電流が流れて、電流I2に接続される。このとき、一部の電流I3は、小ループからキャパシタC1を通って給電点P1に向かって流れる。放射器101は、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するとき、図4に示すような電流経路で電流I2が流れ、大ループに沿った区間であって、給電点P1からインダクタL1を介して小ループの位置に至る区間と、小ループとを含む当該放射器101の部分が中域共振周波数f2で共振するように構成される。詳しくは、放射器101は、電流I2の電流経路における電気長の総和(すなわち、図1を参照すると、放射導体1において給電点P1からインダクタL1に接続された点までの電気長A1と、インダクタL1の電気長と、放射導体2においてインダクタL1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A3又はA4と、放射導体2においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点までの電気長A5と、インダクタL2及びキャパシタC2の電気長と、放射導体3においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点までの電気長A8との和)が、中域共振周波数f2で共振する電気長になるように構成される。この共振する電気長は、例えば、中域共振周波数f2の動作波長の0.25倍である。また、接地導体G1上の放射器101に近接した部分において、接続点P2に向かって電流I0が流れる。
図5は、図1のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの第2の電流経路を示す図である。図5では、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにキャパシタC1を通る電流I4を示す。アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流I4は、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点まで流れ、キャパシタC1を通り、放射導体3においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点まで流れ、次いで小ループに沿って流れる。電流I4がインダクタL2及びキャパシタC2のいずれに向かって流れるのかは、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにおけるインダクタL2及びキャパシタC2のインピーダンスによって決まる(詳細後述)。図5では、電流I4がキャパシタC2に向かって流れる場合を示す。電流I4がキャパシタC2を通ると、放射導体2においてキャパシタC2に接続された点からインダクタL2に接続された点まで流れ、さらに、インダクタL2を流れ、放射導体3においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点まで電流が流れて、電流I4に接続される。このとき、一部の電流I5は、小ループからインダクタL1を通って給電点P1に向かって流れる。放射器101は、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するとき、図5に示すような電流経路で電流I4が流れ、大ループに沿った区間であって、給電点P1からキャパシタC1を介して小ループの位置に至る区間と、小ループとを含む当該放射器101の部分が中域共振周波数f2で共振するように構成される。詳しくは、放射器101は、電流I4の電流経路における電気長の総和(すなわち、図1を参照すると、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点までの電気長A2と、キャパシタC1の電気長と、放射導体3においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A6又はA7と、放射導体3においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点までの電気長A8と、インダクタL2及びキャパシタC2の電気長と、放射導体2においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点までの電気長A5との和)が、中域共振周波数f2で共振する電気長になるように構成される。また、接地導体G1上の放射器101に近接した部分において、接続点P2に向かって電流I0が流れる。
アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するとき、図4又は図5に示すような電流経路で電流I2又はI4が流れることにより、放射器101の小ループはループアンテナモードで、すなわち磁流モードで動作し、さらに、放射器101の給電点P1から小ループまでの区間はモノポールアンテナモードで、すなわち電流モードで動作する。放射器101がループアンテナモード及び電流モードの「ハイブリッドモード」で動作することによって、小型形状でありながら十分な長さの共振長を確保できるので、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときでも良好な特性を実現できる。
図6は、図1のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図である。高い周波数成分を有する電流は、キャパシタは通過できる(低インピーダンス)がインダクタは通過しづらい(高インピーダンス)という性質がある。このため、アンテナ装置が高域側共振周波数f3で動作するときの電流I6は、大ループに沿った区間であって、キャパシタC1を含み、インダクタL2又はキャパシタC2を含み、インダクタL1を含まず、一端を給電点P1とする区間にわたって流れる。すなわち、電流I6は、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点まで流れ、キャパシタC1を通り、放射導体3においてインダクタL2又はキャパシタC2が接続された点まで流れ、インダクタL2又はキャパシタC2を通り、放射導体2においてインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点からインダクタL1に接続された点まで流れる。電流I6がインダクタL2及びキャパシタC2のいずれを通るのかは、アンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときにおけるインダクタL2及びキャパシタC2のインピーダンスによって決まる(詳細後述)。図6では、電流I6がキャパシタC2を流れる場合を示す。電流I6は大ループの外周を強く流れる。放射器101は、アンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するとき、図6に示すような電流経路で電流I6が流れ、大ループに沿った区間であって、給電点P1からキャパシタC1とインダクタL2又はキャパシタC2とを介してインダクタL1の位置に至る区間を含む当該放射器101の部分が高域共振周波数f3で共振するように構成される。詳しくは、放射器101は、電流I6の電流経路における電気長の総和(すなわち、図1を参照すると、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点までの電気長A2と、キャパシタC1の電気長と、放射導体3においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A6又はA7と、インダクタL2又はキャパシタC2の電気長と、放射導体2においてインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点からインダクタL1に接続された点までの電気長A3又はA4との和)が、高域共振周波数f3で共振する電気長になるように構成される。この共振する電気長は、例えば、高域共振周波数f3の動作波長の0.25倍である。接地導体G1上の放射器101に近接した部分において、接続点P2に向かって電流I0が流れる。
アンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するとき、図6に示すような電流経路で電流I6が流れることにより、放射器101はモノポールアンテナモードで、すなわち電流モードで動作する。なお、電流I6は、インダクタL2及びキャパシタC2を流れることなく、放射導体3においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2及びキャパシタC2に接続された点まで流れてもよい。この場合、放射器101は、アンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するとき、図6に示すような電流経路で電流I6が流れ、大ループに沿った区間であって、給電点P1からキャパシタC1を介して小ループの位置に至る区間を含む当該放射器101の部分が高域共振周波数f3で共振するように構成される。詳しくは、放射器101は、電流I6の電流経路における電気長の総和(すなわち、図1を参照すると、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点までの電気長A2と、キャパシタC1の電気長と、放射導体3においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A6又はA7との和)が、高域共振周波数f3の動作波長λ3の4分の1になるように構成される。
ここで、本実施形態のアンテナ装置の動作原理を説明する。以下、「L1」,「L2」によりインダクタL1,L2のインダクタンスを示し、「C1」,「C2」によりキャパシタC1,C2の容量を示す。
インダクタL1のインピーダンスZL1と、キャパシタC1のインピーダンスZC1とを、次式により示す。
また、インダクタL1の反射係数ΓL1と、キャパシタC1の反射係数ΓC1とを、次式により示す。
ここで、Z0は線路のインピーダンスであり、簡単化のために定数であるとする。
放射導体1における給電点P1からインダクタL1及びキャパシタC1までの電気長A1,A2を用いて、給電点P1から見たインダクタL1のインピーダンスZ’L1及び給電点P1から見たキャパシタC1のインピーダンスZ’C1を、近似的に次式により表すことができる。
ここで、γ=α±jβであり、αは減衰定数であり、βは位相定数である。正の放射抵抗が存在する場合、減衰定数αは0以上の値を有する。
低域共振周波数f1では|Z’L1|<|Z’C1|になり、従って、図3に示すように、電流I1は、給電点P1からキャパシタC1に向かってではなく、インダクタL1に向かって流れる。また、高域共振周波数f3では|Z’L1|>|Z’C1|になり、従って、図6に示すように、電流I6は、給電点P1からインダクタL1に向かってではなく、キャパシタC1に向かって流れる。一方、中域共振周波数f2では、|Z’L1|と|Z’C1|とがほぼ同じ値となり、インダクタL1及びキャパシタC1のいずれも、実質的に電流が通りやすい性質を有する。従って、中域共振周波数f2では、アンテナ装置の実際の構造(放射導体の電気長、インダクタのインダクタンス、キャパシタの容量)や実際の動作周波数に応じて、|Z’L1|<|Z’C1|と|Z’L1|>|Z’C1|とのいずれかが成り立ち、これに従って、電流は、低いインピーダンスの電流経路を選択するようにインダクタL1及びキャパシタC1のいずれかに向かって流れる(図4及び図5)。
上記のようにインダクタL1及びキャパシタC1のいずれかを通った電流は、さらに、小ループを構成するインダクタL2及びキャパシタC2のいずれかに向かって流れる。この電流がインダクタL2及びキャパシタC2のいずれに向かって流れるのかは、給電点P1からインダクタL1又はキャパシタC1に向かって流れる電流について説明した場合と同様に、インダクタL1又はキャパシタC1から見たインダクタL2のインピーダンスZ’L2と、インダクタL1又はキャパシタC1から見たキャパシタC2のインピーダンスZ’C2とに従って、低いインピーダンスの電流経路を選択するように決まる。インピーダンスZ’L2及びZ’C2は、数5及び数6と同様に、放射導体2,3上の電気長A3,A4,A6,A7と、インダクタL2のインダクタンスと、キャパシタC2の容量とに依存する。
ただし、インダクタL2及びキャパシタC2のインピーダンスがインダクタL1又はキャパシタC1のインピーダンスよりも大きいと、インダクタL2及びキャパシタC2において電流を遮断してしまう。このような電流の遮断は、アンテナ装置が低域共振周波数f1及び高域共振周波数f3で動作するときに望ましくない。従って、インダクタL1のインピーダンスZL1、キャパシタC1のインピーダンスZC1、インダクタL2のインピーダンスZL2、及びキャパシタC2のインピーダンスZC2の間において、次式の関係を満たすようにする。
このように、本実施形態のアンテナ装置によれば、放射器101は、低域共振周波数f1で動作するときには大ループに沿った電流経路を形成することでループアンテナモード(磁流モード)で動作し、中域共振周波数f2で動作するときには給電点P1から小ループまでの電流経路と小ループに沿った電流経路とを形成することでモノポールアンテナモード及びループアンテナモードのハイブリッドモードで動作し、高域共振周波数f3で動作するときには非ループ状の電流経路を形成することでモノポールアンテナモード(電流モード)で動作し、これにより効果的にトリプルバンド動作を実現する。従来技術では、低域共振周波数f1(動作波長λ1)で動作するときに(λ1)/4程度のアンテナ素子長が必要であったところ、本実施形態のアンテナ装置では、ループ状の電流経路を形成することにより、放射器101の縦横の長さを(λ1)/15程度まで小型化することができる。放射器101においてキャパシタC1及びインダクタL1の間の距離を離して大ループのサイズを大きくすると、アンテナ装置の放射効率が向上する。
放射器101は、低域共振周波数f1、中域共振周波数f2、及び高域共振周波数f3の少なくとも2つで励振されてもよい。このとき、図3に示す電流I1が流れる部分と、図4に示す電流I2が流れる部分又は図5に示す電流I4が流れる部分と、図6に示す電流I6が流れる部分とのうちの少なくとも2つが対応する周波数で共振するように構成されてもよい。放射器101をデュアルバンド動作させることにより、高い自由度でデュアルバンド動作を実現することができる。
ループ状の放射導体と、放射導体のループに沿って所定位置に挿入されたキャパシタ及びインダクタとを備えたアンテナ装置として、例えば特許文献3の発明があった。しかしながら、特許文献3の発明は、キャパシタ及びインダクタにより並列共振回路を構成し、この並列共振回路は、周波数に応じて基本モードと高次モードとのいずれかで動作する。一方、本願発明は、放射器101を動作周波数に応じてループアンテナモード及びモノポールアンテナモードのいずれかとして動作させるというまったく新規な原理に基づく。
図7は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図7のアンテナ装置は、インダクタL2及びキャパシタC2の位置を図1のアンテナ装置の場合と入れかえた放射器102を備えている。このような構成でも、図1のアンテナ装置と同様の効果をもたらすことができる。
図8〜図11は、本発明の第1の実施形態の第2〜第5の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図8〜図11のアンテナ装置では、給電点P1から離れた位置にインダクタL1があり、給電点P1付近にキャパシタC1がある。また、小ループ(すなわち、インダクタL2及びキャパシタC2)は、大ループに沿って、インダクタL1及びキャパシタC1の間の任意の位置に設けることができる。ただし、小ループは、大ループに沿って、インダクタL1及びキャパシタC1を境界としたときに給電点P1を含まない側に設けられる。図8及び図9のアンテナ装置は、小ループがキャパシタC1に近接して設けられた放射器103,104をそれぞれ備えている。放射器103,104の放射導体1a,2a,3aのうちで、小ループとキャパシタC1との間の放射導体3aは図1の放射導体3よりも短くなっている。図10及び図11のアンテナ装置は、小ループがインダクタL1に近接して設けられた放射器105,106をそれぞれ備えている。放射器105,106の放射導体1b,2b,3bのうちで、小ループとインダクタL1との間の放射導体2bは図1の放射導体2よりも短くなっている。このような構成でも、図1のアンテナ装置と同様の効果をもたらすことができる。本願発明者らは、図8〜図11のいずれの構成においてもトリプルバンド動作を実現できることを計算により確認した。高域共振周波数f3では、キャパシタC1を通り、インダクタL1にかけて電流が流れるので、アンテナ装置としての開放端が接地導体G1から離れている。そのため、高域共振周波数f3では、より放射抵抗が増加するという効果がある。
図12は、本発明の第1の実施形態の第6の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図1のアンテナ装置では、キャパシタC1がインダクタL1よりも給電点P1に近接するように図示していたが、このような構成に限定されるものではなく、図12のアンテナ装置は、インダクタL1がキャパシタC1よりも給電点P1に近接する放射器111を備えている。
図13は、図12のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流経路を示す図である。アンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流I11は、放射導体1において給電点P1からインダクタL1に接続された点まで流れ、インダクタL1を通り、放射導体3においてインダクタL1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点まで流れ、インダクタL2又はキャパシタC2を通り、放射導体2においてキャパシタC1が接続された点まで流れる。電流I11がインダクタL2及びキャパシタC2のいずれを通るのかは、アンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときにおけるインダクタL2及びキャパシタC2のインピーダンスによって決まる。図13では、電流I11がインダクタL2を流れる場合を示す。さらに、キャパシタC1の両端の電位差に起因して放射導体1においてキャパシタC1に接続された点から給電点P1まで電流が流れて、電流I11に接続される。放射器111は、電流I11の電流経路における電気長の総和(すなわち、図12を参照すると、放射導体1において給電点P1からインダクタL1に接続された点までの電気長A12と、インダクタL1の電気長と、放射導体3においてインダクタL1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A16又はA17と、インダクタL2又はキャパシタC2の電気長と、放射導体2においてインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点からキャパシタC1に接続された点までの電気長A13又はA14と、キャパシタC1の電気長と、放射導体1においてキャパシタC1に接続された点から給電点P1までの電気長A11との和)が、低域共振周波数f1の動作波長λ1の4分の1になるように構成される。また、接地導体G1上の放射器111に近接した部分において、接続点P2に向かって電流I0が流れる。
図14は、図12のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの第1の電流経路を示す図である。図14では、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにインダクタL1を通る電流I12を示す。アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流I12は、放射導体1において給電点P1からインダクタL1に接続された点まで流れ、インダクタL1を通り、放射導体3においてインダクタL1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点まで流れ、次いで小ループに沿って流れる。電流I12がインダクタL2及びキャパシタC2のいずれに向かって流れるのかは、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにおけるインダクタL2及びキャパシタC2のインピーダンスによって決まる。図14では、電流I12がインダクタL2に向かって流れる場合を示す。電流I12がインダクタL2を通ると、放射導体2においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点まで流れ、さらに、キャパシタC2を通り、放射導体3においてキャパシタC2に接続された点からインダクタL2に接続された点まで電流が流れて、電流I12に接続される。このとき、一部の電流I13は、小ループからキャパシタC1を通って給電点P1に向かって流れる。放射器111は、電流I12の電流経路における電気長の総和(すなわち、図12を参照すると、放射導体1において給電点P1からインダクタL1に接続された点までの電気長A12と、インダクタL1の電気長と、放射導体3においてインダクタL1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A16又はA17と、放射導体3においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点までの電気長A18と、インダクタL2及びキャパシタC2の電気長と、放射導体2においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点までの電気長A15との和)が、中域共振周波数f2の動作波長λ2の4分の1になるように構成される。また、接地導体G1上の放射器111に近接した部分において、接続点P2に向かって電流I0が流れる。
図15は、図12のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの第2の電流経路を示す図である。図15では、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにキャパシタC1を通る電流I14を示す。アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流I14は、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点まで流れ、キャパシタC1を通り、放射導体2においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点まで流れ、次いで小ループに沿って流れる。電流I14がインダクタL2及びキャパシタC2のいずれに向かって流れるのかは、アンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときにおけるインダクタL2及びキャパシタC2のインピーダンスによって決まる。図15では、電流I14がキャパシタC2に向かって流れる場合を示す。電流I14がキャパシタC2を通ると、放射導体3においてキャパシタC2に接続された点からインダクタL2に接続された点まで流れ、さらに、インダクタL2を流れ、放射導体2においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点まで電流が流れて、電流I14に接続される。このとき、一部の電流I15は、小ループからインダクタL1を通って給電点P1に向かって流れる。放射器111は、電流I14の電流経路における電気長の総和(すなわち、図12を参照すると、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点までの電気長A11と、キャパシタC1の電気長と、放射導体2においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A13又はA14と、放射導体2においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点までの電気長A15と、インダクタL2及びキャパシタC2の電気長と、放射導体3においてインダクタL2に接続された点からキャパシタC2に接続された点までの電気長A18との和)が、中域共振周波数f2の動作波長λ2の4分の1になるように構成される。また、接地導体G1上の放射器111に近接した部分において、接続点P2に向かって電流I0が流れる。
図16は、図12のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図である。アンテナ装置が高域側共振周波数f3で動作するときの電流I16は、大ループに沿った区間であって、キャパシタC1を含み、インダクタL2及びキャパシタC2を含まず、インダクタL1を含まず、一端を給電点P1とする区間にわたって流れる。すなわち、電流I16は、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点まで流れ、キャパシタC1を通り、放射導体2においてインダクタL2又はキャパシタC2が接続された点まで流れる。放射器111は、電流I16の電流経路における電気長の総和(すなわち、図12を参照すると、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点までの電気長A11と、キャパシタC1の電気長と、放射導体2においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A13又はA14との和)が、高域共振周波数f3の動作波長λ3の4分の1になるように構成される。なお、電流I16は、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点まで流れ、キャパシタC1を通り、インダクタL2又はキャパシタC2を通り、放射導体3においてインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点からインダクタL1に接続された点まで流れてもよい。この場合、放射器111は、電流I16の電流経路における電気長の総和(すなわち、図12を参照すると、放射導体1において給電点P1からキャパシタC1に接続された点までの電気長A11と、キャパシタC1の電気長と、放射導体2においてキャパシタC1に接続された点からインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点までの電気長A13又はA14と、インダクタL2又はキャパシタC2の電気長と、放射導体3においてインダクタL2又はキャパシタC2に接続された点からインダクタL1に接続された点までの電気長A16又はA17との和)が、高域共振周波数f3の動作波長λ3の4分の1になるように構成される。接地導体G1上の放射器111に近接した部分において、接続点P2に向かって電流I0が流れる。
図12のアンテナ装置もまた、図1のアンテナ装置と同様の効果をもたらすことができる。
図17は、本発明の第1の実施形態の第7の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図17のアンテナ装置は、インダクタL2及びキャパシタC2の位置を図12のアンテナ装置の場合と入れかえた放射器112を備えている。このような構成でも、図12のアンテナ装置と同様の効果をもたらすことができる。
図18〜図21は、本発明の第1の実施形態の第8〜第11の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図18〜図21のアンテナ装置では、給電点P1から離れた位置にキャパシタC1があり、給電点P1付近にインダクタL1がある。図18及び図19のアンテナ装置は、小ループがインダクタL1に近接して設けられた放射器113,114をそれぞれ備えている。放射器113,114の放射導体1a,2a,3aのうちで、小ループとインダクタL1との間の放射導体3aは図12の放射導体3よりも短くなっている。図20及び図21のアンテナ装置は、小ループがキャパシタC1に近接して設けられた放射器115,116をそれぞれ備えている。放射器115,116の放射導体1b,2b,3bのうちで、小ループとキャパシタC1との間の放射導体2bは図12の放射導体2よりも短くなっている。このような構成でも、図1のアンテナ装置と同様の効果をもたらすことができる。本願発明者らは、図18〜図21のいずれの構成においてもトリプルバンド動作を実現できることを計算により確認した。高域共振周波数f3では、キャパシタC1を通り、インダクタL1にかけて電流が流れるので、アンテナ装置としての開放端が接地導体G1に近づいている。そのため、図18〜図21のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するとき、図8〜図11のアンテナ装置に比べて放射抵抗が低下するという効果がある。
ここで、図22及び図23を参照して、放射導体の電気長を調整することの効果について説明する。図22は、図8のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図であり、図23は、本発明の第1の実施形態の第12の変形例に係るアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図である。図23の放射器121の放射導体1c,2c,3cのうちで、小ループとキャパシタC1との間の放射導体3cは図22の放射導体3aよりも長くなっている。給電点P1の付近は電流が強く集中するので、電流経路が例えば図22の放射導体3aを含む場合には、放射導体3aの電気長を増大させることにより電波が空間に放射されやすくなり、放射抵抗が増加するという格別の効果がある。例えば、図22に示すように、図8のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流I21は、キャパシタC1及びインダクタL2を通過してインダクタL1まで流れ、このとき、電流I21は、給電点P1に近い放射導体3aに強く集中し、インダクタL1の近く(開放端)では弱くなっている。よって、図23に示すように、放射器121において放射導体3cの電気長を大きくすることによって、放射抵抗を増大させ、整合をとりやすくすることができるという効果がある。また、図23のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作する場合であって、電流がキャパシタC1を通過して次いで小ループに沿って流れるように設計された場合には、大きな電気長を有する放射導体3cを設けたことにより、高域共振周波数f3のときと同様に、放射抵抗を増大させ、整合をとりやすくすることができるという効果がある。
キャパシタC1,C2及びインダクタL1,L2は、例えばディスクリートな回路素子を使用可能であるが、それに限定されるものではない。以下、図24〜図29を参照してキャパシタC1,C2及びインダクタL1,L2の変形例について説明する。
図24は、本発明の第1の実施形態の第13の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図24のアンテナ装置の放射器131は、図1の放射導体1,2,3及びキャパシタC1に代えて放射導体1d,2d,3dを備える。図24に示すように、放射導体1d,3dを互いに近接させて放射導体1d,3d間に所定の容量を生じさせることにより、放射導体1d,3d間に仮想的なキャパシタC11を形成してもよい。放射導体1d,3d間の距離を近接させるほど、また、近接する面積を増加させるほど、仮想的なキャパシタC11の容量は増加する。また、図25は、本発明の第1の実施形態の第14の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図25のアンテナ装置の放射器132は、図1の放射導体1,2,3及びキャパシタC1に代えて放射導体1e,2e,3eを備え、放射導体1e,3eの近接部によってキャパシタC12を形成する。図25に示すように、放射導体1e,3e間に生じる容量により仮想的なキャパシタC12を形成する際に、インターディジット型の導体部分(指状の導体が交互に嵌合した構成)を形成してもよい。図25のキャパシタC12によれば、図24のキャパシタC11よりも容量を増大させることができる。図24及び図25のアンテナ装置によれば、キャパシタC11,C12を誘電体基板上の導体パターンとして形成することができるので、コストの削減や、製造ばらつきの低減といった効果がある。放射導体の近接部によって形成されるキャパシタは、図24のような直線状の導体部分や、図25のようなインターディジット型の導体部分に限らず、他の形状の導体部分によって形成されてもよい。
図26は、本発明の第1の実施形態の第15の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図26のアンテナ装置の放射器133は、図1の放射導体1,2,3に代えて放射導体1f,2f,3fを備え、図1のキャパシタC1に代えてキャパシタC13,C14及び放射導体5を備える。本実施形態のアンテナ装置は、単一のキャパシタを備えることに限定されず、2つ又はそれより多くのキャパシタを含む多段構成のキャパシタを備えてもよい。図26において、図1のキャパシタC1に代えて、所定の電気長を有する放射導体5によって互いに接続されたキャパシタC13,C14が挿入されている。言い換えると、大ループに沿った異なる位置にキャパシタC13,C14がそれぞれ挿入されている。図26のアンテナ装置によれば、放射器上の電流分布を考慮してキャパシタを複数の異なる位置に挿入することができるので、設計の際に低域共振周波数f1、中域共振周波数f2、及び高域共振周波数f3の微調整が容易になるという効果がある。
図27は、本発明の第1の実施形態の第16の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図27のアンテナ装置の放射器134は、図1のインダクタL1に代えて、ストリップ導体によって形成されるインダクタL11を含む。図28は、本発明の第1の実施形態の第17の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図28のアンテナ装置の放射器135は、図1のインダクタL1に代えて、メアンダ状導体によって形成されるインダクタL12を含む。インダクタL11,L12を形成する導体の幅を細くするほど、また、導体の長さを長くするほど、インダクタL11,L12のインダクタンスは増加する。図27及び図28のアンテナ装置によれば、インダクタL11,L12を誘電体基板上の導体パターンとして形成することができるので、コストの削減や、製造ばらつきの低減といった効果がある。
図29は、本発明の第1の実施形態の第18の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図29のアンテナ装置の放射器136は、図1の放射導体1,2,3に代えて放射導体1g,2g,3gを備え、図1のインダクタL1に代えてインダクタL13,L14及び放射導体6を備える。本実施形態のアンテナ装置は、単一のインダクタを備えることに限定されず、2つ又はそれより多くのインダクタを含む多段構成のインダクタを備えてもよい。図29において、図1のインダクタL1に代えて、所定の電気長を有する放射導体6によって互いに接続されたインダクタL13,L14が挿入されている。言い換えると、大ループに沿った異なる位置にインダクタL13,L14がそれぞれ挿入されている。図29のアンテナ装置によれば、放射器上の電流分布を考慮してインダクタを複数の異なる位置に挿入することができるので、設計の際に低域共振周波数f1、中域共振周波数f2、及び高域共振周波数f3の微調整が容易になるという効果がある。
図24〜図29に示す変形例のキャパシタ及びインダクタを組み合わせてもよい。また、図24〜図29に示す変形例の構成を、小ループのインダクタL2及び/又はキャパシタC2に適用してもよい。
図30は、本発明の第1の実施形態の第19の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図30のアンテナ装置は、接地導体G1と、接地導体G1上に誘電体基板10を介して設けられたストリップ導体S1とからなるマイクロストリップ線路の給電線路を備える。図30のアンテナ装置の放射器141は、図1の放射器101と同様に構成される。本変形例のアンテナ装置は、アンテナ装置を低姿勢化するために平面構成を有してもよく、すなわち、プリント配線基板の裏面に接地導体G1を形成し、その表面にストリップ導体S1及び放射器141を一体的に形成してもよい。給電線路はマイクロストリップ線路に限らず、コプレーナ線路、同軸線路などでもよい。
図31は、本発明の第1の実施形態の第20の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図31のアンテナ装置は、ダイポールアンテナとして構成されている。図31のアンテナ装置は、図1の放射器101と同様にそれぞれ構成された、一対の放射器142,143を備える。すなわち、放射器142は、図1の放射器101と同様に構成され、放射導体1A,2A,3Aと、放射導体1A,2Aを互いに接続するインダクタL1Aと、放射導体1A,3Aを互いに接続するキャパシタC1Aと、放射導体2A,3Aを互いに接続するキャパシタC2A及びインダクタL2Aとを有する。また、放射器143は、図1の放射器101と同様に構成され、放射導体1B,2B,3Bと、放射導体1B,2Bを互いに接続するインダクタL1Bと、放射導体1B,3Bを互いに接続するキャパシタC1Bと、放射導体2B,3Bを互いに接続するキャパシタC2B及びインダクタL2Bとを有する。信号源Q1は、放射器142の給電点P1Aと放射器143の給電点P1Bとにそれぞれ接続される。本変形例のアンテナ装置は、ダイポール構成を有することでバランスモードで動作することができ、不要輻射を抑圧することができる。
図32は、本発明の第1の実施形態の第21の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図32のアンテナ装置は、6バンドのマルチバンドで動作可能なアンテナ装置として構成される。図32のアンテナ装置は、図1の放射器101と同様にそれぞれ構成された、一対の放射器144,145を備える。ただし、放射器144,145は、互いに異なる低域共振周波数と、互いに異なる中域共振周波数と、互いに異なる高域共振周波数とを有するように構成される。詳しくは、放射器144,145において、大ループに沿った放射導体(1A,2A,3A;1B,2B,3B)の電気長と、小ループに沿った放射導体(2A,3A;2B,3B)の電気長と、インダクタ(L1A;L1B)のインダクタンスと、キャパシタ(C1A;C1B)の容量と、インダクタ(L2A;L2B)のインダクタンスと、キャパシタ(C2A;C2B)の容量との少なくとも一部が、互いに異なる。信号源Q11は、放射導体1A上の給電点P1A及び放射導体1B上の給電点P1Bに接続されるとともに、接地導体G1上の接続点P2に接続される。信号源Q11は、低域共振周波数f1A及び中域共振周波数f2A及び高域共振周波数f3Aの無線周波信号を発生するとともに、低域共振周波数f1Aとは異なる別の低域共振周波数f1Bの無線周波信号と、中域共振周波数f2Aとは異なる別の中域共振周波数f2Bの無線周波信号と、高域共振周波数f3Aとは異なる別の高域共振周波数f3Bの無線周波信号とを発生する。放射器144は、低域共振周波数f1Aで動作するときにはループアンテナモードで動作し、中域共振周波数f2Aで動作するときにはモノポールアンテナモード及びループアンテナモードのハイブリッドモードで動作し、高域共振周波数f3Aで動作するときにはモノポールアンテナモードで動作する。また、放射器145は、低域共振周波数f1Bで動作するときにはループアンテナモードで動作し、中域共振周波数f2Bで動作するときにはモノポールアンテナモード及びループアンテナモードのハイブリッドモードで動作し、高域共振周波数f3Bで動作するときにはモノポールアンテナモードで動作する。これにより、本変形例のアンテナ装置は、6バンドのマルチバンドで動作することができる。本変形例のアンテナ装置によれば、さらに放射器を設けることにより、さらなるマルチバンド化が可能である。
図82は、本発明の第1の実施形態の第22の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図82のアンテナ装置は、小ループの中にさらにループを備えた多重ループの構成を有する。図82のアンテナ装置の放射器181は、図1の放射導体1,2,3に代えて放射導体1k,2k,3kを備え、さらに、小ループのインダクタL2と放射導体3kとの間において、所定の電気長を有する第4の放射導体7と、放射導体7,3kを互いに接続するインダクタL3及びキャパシタC3とを有する。キャパシタC3及びインダクタL3は、互いに並列接続される。放射器181において、放射導体1k,2k,3k,7とキャパシタC1,C2,C3とインダクタL1,L2,L3とにより、中央の中空の部分を包囲する第1のループが形成される。放射導体2k,3kが互いに近接した部分と、放射導体7と、キャパシタC2,C3と、インダクタL2,L3とにより、第1のループとは異なる共振周波数を有する第2のループが形成される。放射導体7,3kが互いに近接した部分と、キャパシタC3と、インダクタL3とにより、第1及び第2のループとは異なる共振周波数を有する第3のループが形成される。さらに、放射導体1k上に給電点P1が設けられる。信号源Q21は、3つ以上の周波数で無線周波信号を発生する。放射器181は、第1〜第3のループのいずれかを含む部分がそれぞれ所定周波数で共振するように構成される。なお、第3のループの中にさらにループを設けてもよい。図82のアンテナ装置によれば、複数のループを備えたことにより放射器181が異なる周波数で励振するときの電流経路はそれぞれ異なり、これにより、効果的にマルチバンド動作を実現することができる。
図3〜図6等を参照して説明した電流経路の電気長は、動作波長の4分の1に限定されず、例えば、正整数nに対して動作波長の(2n+1)/4倍になるように構成されてもよい。ただし、アンテナ装置の小型化の観点からは、動作波長の4分の1になるように構成されることが望ましい。
放射導体のそれぞれを、幅広のストリップ導体にて構成することにより、低域共振周波数f1、中域共振周波数f2、及び高域共振周波数f3のそれぞれにおいて広帯域動作を実現することができる。また、放射導体のそれぞれは、キャパシタC1、C2及びインダクタL1、L2の間に所定の電気長を確保することができるのであれば、図1等に示すストリップ形状に限らず任意の形状を有していてもよい。
信号源Q1の接続点P1は、放射導体1上であれば任意の位置に設けることができる。
必要に応じて、アンテナ装置と無線通信回路との間にさらに整合回路(図示せず)が接続されてもよい。
なお、アンテナ装置のサイズを削減するために、放射導体のいずれかを少なくとも1カ所で折り曲げてもよい。
図1等では接地導体G1を簡単化して図示しているが、実際には、接地導体G1は図49等に示すように所定の広がりを有して構成される。
また、さらなる変形例として、例えば板状又は線状の放射導体を含む放射器を接地導体と平行に設けて、放射器の一部を接地導体に短絡することにより、本実施形態に係るアンテナ装置を逆F型アンテナ装置として構成することもできる(図示せず)。放射器の一部を接地導体と短絡することで放射抵抗を高くする効果があるが、本実施形態に係るアンテナ装置の基本的な動作原理を損なうものではない。
本実施形態のアンテナ装置によれば、2つのループと、少なくとも2つのインダクタと、少なくとも2つのキャパシタとを備えたことにより、放射器を動作周波数に応じてループアンテナモード、ハイブリッドモード及びモノポールアンテナモードのいずれかとして動作させ、効果的にトリプルバンド動作を実現するとともに、アンテナ装置の小型化を達成することができる。
第2の実施形態.
図33は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置を示す平面図である。本実施形態のアンテナ装置は、図1の放射器101と同様の原理で構成された2つの放射器151,152を備え、これらの放射器151,152は別個の信号源Q1A,Q1Bによって独立に励振されることを特徴とする。
図33において、放射器151は、図1の放射器101と同様に構成され、放射導体1A,2A,3Aと、放射導体1A,2Aを互いに接続するインダクタL1Aと、放射導体1A,3Aを互いに接続するキャパシタC1Aと、放射導体2A,3Aを互いに接続するキャパシタC2A及びインダクタL2Aとを有する。信号源Q1Aは、放射導体1A上の給電点P1Aに接続されるとともに、放射器151に近接して設けられた接地導体G1上の接続点P2Aに接続される。放射器152もまた、図1の放射器101と同様に構成され、放射導体1B,2B,3Bと、放射導体1B,2Bを互いに接続するインダクタL1Bと、放射導体1B,3Bを互いに接続するキャパシタC1Bと、放射導体2B,3Bを互いに接続するキャパシタC2B及びインダクタL2Bとを有する。信号源Q1Bは、放射導体1B上の給電点P1Bに接続されるとともに、放射器152に近接して設けられた接地導体G1上の接続点P2Bに接続される。信号源Q1A,Q1Bは、例えばMIMO通信方式の送信信号である無線周波信号を発生し、同じ低域共振周波数f1の無線周波信号と、同じ中域共振周波数f2の無線周波信号と、同じ高域共振周波数f3の無線周波信号とを発生する。
放射器151,152は、好ましくは、所定の基準軸B1に対して対称に構成される。この基準軸B1に近接して放射導体1A,1B及び給電部(給電点P1A,P1B、接続点P2A,P2B)が設けられ、この基準軸B1から遠隔して放射導体2A,3A,2B,3Bが設けられる。2つの給電点P1A,P1B間の距離が小さいので、無線通信回路(図示せず)から引き回される給電線路を設置する面積を最小化することができる。また、アンテナ装置のサイズを削減するために、放射導体1A,2A,3A,1B,2B,3Bのいずれかを少なくとも1カ所で折り曲げてもよい。
図34は、本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。本変形例のアンテナ装置では、放射器151,152を対称に配置するのではなく、同じ向きで(すなわち非対称に)配置している。放射器151,152の配置を非対称にすることでそれらの指向性を非対称にし、各放射器151,152で送受信される信号間の相関を下げる効果がある。ただし、送信信号間及び受信信号間に電力差が生じるので、MIMO通信方式に係る送受信性能を最大化することはできない。なお、本変形例のアンテナ装置と同様に3つ以上の放射器を配置してもよい。
図35は、本発明の第2の実施形態の比較例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図35のアンテナ装置では、給電点を設けていない放射導体2A,2B及び放射導体3A,3Bが互いに近接するように配置している。給電点P1A,P1B間の距離を離すことで、各放射器151,152で送受信される信号間の相関を低減できる。ただし、各放射器151,152の開放端(すなわち放射導体2A,2B,3A,3Bの端部)が対向しているので、放射器151,152間の電磁結合は大きくなってしまう。
図36は、図33のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流経路を示す図である。図33のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するとき、例えば一方の信号源Q1Aのみを動作させる場合を考える。信号源Q1Aから入力される電流I31により放射器151がループアンテナモードで動作すると、放射器151によって発生される磁界により、放射器152において、電流I31と同じ向きの誘導電流である電流I32が流れ、この電流I32は信号源Q1Bまで流れる。接地導体G1上において、接続点P2Bから接続点P2Aにも電流I33が流れる。大きな電流I31が流れることにより、放射器151,152間の電磁結合が高くなる。また、図37は、図33のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流経路を示す図である。信号源Q1Aから入力される電流I34により放射器151がハイブリッドモードで動作すると、放射器151によって発生される磁界により、放射器152において、放射器152の小ループから給電点P1Bに向かう誘導電流である電流I35が流れ、この電流I35は信号源Q1Bまで流れる。放射器152の小ループにおいて、電流I35は、放射器151の小ループを電流I34が流れるときと同じ向きに流れる。接地導体G1上において、接続点P2Bから接続点P2Aにも電流I36が流れる。図38は、図33のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図である。放射器151において、信号源Q1Aから入力される電流I37は、放射器152からは遠隔した方向に流れ、従って、放射器151,152間の電磁結合は小さく、放射器152や信号源Q1Bに流れる誘導電流も小さい。
図33のアンテナ装置の構成は、基準線B1に対して完全対称に構成した場合である。この場合、2つの放射器151,152のそれぞれの電流分布が同じになるので、それらの放射パターンも同じになる。その結果、図36及び図37を参照して説明したように、図33のアンテナ装置が低域共振周波数f1又は中域共振周波数f2で動作するとき、放射器151,152間の電磁結合が高くなり、従って送受信される信号間の相関が高くなり、MIMO通信方式の送受信性能は低下する。しかしながら、MIMO通信方式の無線通信を行うためには、放射器151,152間の電磁結合を低下させる必要がある。これを改善したのが図39のアンテナ装置の構成である。放射器153のインダクタL1B及びキャパシタC1Bの位置を入れ替えることで、低域共振周波数f1及び中域共振周波数f2における電流の流れを2つの放射器151,153の間で非対称にし、これらの周波数では異なった放射パターンを得ることができる。その結果、送受信する信号の相関が低下し、MIMO通信方式の送受信性能は向上する。
図39は、本発明の第2の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。本変形例のアンテナ装置は、低域共振周波数f1及び中域共振周波数f2で動作するときの放射器151,152間の電磁結合を低減するために、図33の放射器152におけるキャパシタC1B及びインダクタL1Bの位置を入れかえた放射器153を備えている。従って、図39のアンテナ装置は、基準軸B1に対して互いに対称に構成された放射器151,153を備え、放射器153のインダクタL1Bは放射器151のキャパシタC1Aに対応する位置に設けられ、放射器153のキャパシタC1Bは放射器151のインダクタL1Aに対応する位置に設けられている。このように、放射器151,153間でキャパシタC1A,C1B及びインダクタL1A,L1Bの位置を非対称に構成したことにより、放射器151,153間の電磁結合を低減する。
図40は、図39のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流経路を示す図である。前述のように、低い周波数成分を有する電流は、インダクタは通過できるがキャパシタは通過しづらいという性質がある。従って、信号源Q1Aから入力される電流I31により放射器151がループアンテナモードで動作しても、放射器153において誘導される電流I41は小さくなり、また、放射器153から信号源Q1Bに流れる電流も小さくなる。このため、図39のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの放射器151,153間の電磁結合は小さくなる。また、図41は、図39のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流経路を示す図である。信号源Q1Aから入力される電流I34により放射器151がハイブリッドモードで動作しても、放射器153において誘導される電流I42は小さくなり、また、放射器153から信号源Q1Bに流れる電流も小さくなる。このため、図39のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの放射器151,153間の電磁結合も小さくなる。また、図42は、図39のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図である。この場合は、図38と同様に、放射器151,153間の電磁結合は小さい。
図39のアンテナ装置では、放射器151,153間でインダクタL1A,L1B及びキャパシタC1A,C1Bの位置が基準線B1に対して非対称になっているものの、小ループのインダクタL2A,L2B及びキャパシタC2A,C2Bの位置が基準線B1に対して対称になっている。従って、図39のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するとき、2つの放射器151,153の各小ループの電流分布が同じになるので、各小ループを流れる電流に起因した放射パターンも同じになる。このため、放射器151,153の各小ループ間に電磁結合が生じ、この電磁結合は、送受信される信号間の相関を高くするように寄与し、MIMO通信方式の送受信性能を低下させる。これを改善したのが図43のアンテナ装置の構成である。放射器154のインダクタL2B及びキャパシタC2Bの位置を入れ替えることで、中域共振周波数f2で動作するときの小ループにおける電流の流れを2つの放射器151,154の間で非対称にし、異なった放射パターンを得ることができる。その結果、送受信する信号の相関が低下し、MIMO通信方式の送受信性能は向上する。
図43は、本発明の第2の実施形態の第3の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図43のアンテナ装置は、図39の放射器153におけるキャパシタC2B及びインダクタL2Bの位置を入れかえた放射器154を備えている。従って、図43のアンテナ装置は、放射器154のインダクタL2Bは放射器151のキャパシタC2Aに対応する位置に設けられ、放射器154のキャパシタC2Bは放射器151のインダクタL2Aに対応する位置に設けられている。
図44は、図43のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流経路を示す図である。信号源Q1Aから入力される電流I31により放射器151がループアンテナモードで動作しても、放射器154において誘導される電流I51は小さくなり、また、放射器154から信号源Q1Bに流れる電流も小さくなる。このため、図43のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの放射器151,154間の電磁結合は小さくなる。また、図45は、図43のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流経路を示す図である。信号源Q1Aから入力される電流I34により放射器151がハイブリッドモードで動作しても、放射器154において誘導される電流I52は小さくなり、また、放射器154から信号源Q1Bに流れる電流も小さくなる。さらに、放射器154の小ループにおいて、電流I52は、放射器151の小ループを電流I34が流れるときと逆の向きに流れる。これにより、放射器151,154の各小ループ間の電磁結合は小さくなる。また、図46は、図43のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図である。この場合は、図38及び図42と同様に、放射器151,154間の電磁結合は小さい。
図43のアンテナ装置によれば、低域共振周波数f1、中域共振周波数f2、及び高域共振周波数f3のいずれにおいても、2つの放射器151,154において異なる電流経路を形成し、異なった放射パターンを得ることができる。その結果、送受信する信号の相関が低下し、MIMO通信方式の送受信性能は向上する。
図47は、本発明の第2の実施形態の第4の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。放射器155,156の形状を、給電点P1A,P1Bから遠ざかるにつれて放射器155,156間の距離が次第に増大するように構成することで、放射器155,156間の電磁結合を低減することができる。放射器155は、図33の放射器151の放射導体1A,2A,3Aに代えて放射導体1Aa,2Aa,3Aaを備え、放射器156は、図33の放射器152の放射導体1B,2B,3Bに代えて放射導体1Ba,2Ba,3Baを備えている。また、図47に示すように、放射導体のいずれかが突出した部分(例えば放射導体2Aa,2Baの上端)を有する場合には、アンテナ装置が高域共振周波数f3において動作するとき、電流は小ループからインダクタL1A,L1Bに向かってではなく、その突出した部分に向かって流れてもよい。
図48は、本発明の第2の実施形態の第5の変形例に係るアンテナ装置を示す平面図である。2つの放射器間の電磁結合を低下させることは、図39及び図43のようにインダクタ及びキャパシタの位置を非対称にすることによってのみならず、他の方法でも達成可能である。図48のアンテナ装置は、2つの放射器間の電磁結合を低下させるために、非対称な接地導体G2を備えている。また、図33のアンテナ装置において、放射器151,152の間で、対応するインダクタのインダクタンス及び対応するキャパシタの容量を互いに相違させたり、放射導体の電気長を互いに相違させたり、放射器151,152を互いに離隔させたりすることにより、2つの放射器151,152間の電磁結合を低下させることができる。また、2つの放射器は、必ず基準線に対して対称に設ける必要はなく、非対称に設けられてもよく、また、接地導体G1又はG2の任意の場所に接続されてもよい。以上説明したいずれの場合でも、トリプルバンド動作を損なうことはない。
第3の実施形態.
図83は、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置であって、図1のアンテナ装置を備えた無線通信装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施形態に係る無線通信装置は、例えば図83に示すように携帯電話機として構成されてもよい。図83の無線通信装置は、図1のアンテナ装置と、無線送受信回路71と、無線送受信回路71に接続されたベースバンド信号処理回路72と、ベースバンド信号処理回路72に接続されたスピーカ73及びマイクロホン74とを備える。アンテナ装置の放射器101の給電点P1及び接地導体G1の接続点P2は、図1の信号源Q1に代えて、無線送受信回路71に接続される。なお、無線通信装置として、ワイヤレスブロードバンドルータ装置や、M2M(マシン・ツー・マシン)目的の高速無線通信装置などを実施する場合には、スピーカ及びマイクロホンなどは必ずしも設けなくてもよく、無線通信装置による通信状況を確認するためにLED(発光ダイオード)などを用いることができる。図1他のアンテナ装置を適用可能な無線通信装置は、以上に例示したものに限定されない。
本実施形態の無線通信装置によれば、放射器101を動作周波数に応じてループアンテナモード、ハイブリッドモード及びモノポールアンテナモードのいずれかとして動作させることで、効果的にトリプルバンド動作を実現するとともに、無線通信装置の小型化を達成することができる。
以上説明した各実施形態及び各変形例を組み合わせてもよい。
以下、図49〜図55を参照して、本発明の第1の実施形態の第1の実施例に係るシミュレーション結果について説明する。
シミュレーションでは、FDTD法を用いてトランジェント解析を行った。給電点P1の反射エネルギーが入力エネルギーに対して−40dB以下となる点をしきい値として収束判定を行った。サブメッシュ法により、電流が強く流れる部分では細かくモデリングした。
図49は、第1の実施例に係るアンテナ装置を示す斜視図であり、図50は、図49の放射器161の詳細構成を示す展開図である。放射器161は、放射導体1h,2h,3hと、インダクタL1,L2と、キャパシタC1,C2とを備える。図50において、キャパシタC1は容量1.2pFを有し、インダクタL1はインダクタンス5.2nHを有し、キャパシタC2は容量5.0pFを有し、インダクタL2はストリップ導体により構成される。図50のB11線において、放射導体1hは−X方向に折り曲げられる。
図51は、図49のアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。計算結果によれば、第1の実施例のアンテナ装置は、f1=817MHz、f2=1272MHz、f3=2592MHzの3つの周波数で共振していることがわかる。
図52は、第1の実施例の比較例の放射器211の詳細構成を示す展開図である。図52の放射器211は、放射導体201a,202aと、インダクタL1と、キャパシタC1とを備える。放射器211は、小ループを持たないことを除いて図49の放射器161と同一の寸法で構成され、図49の放射器161に代えて接地導体G1上に設けられる。
図53は、図52のアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。計算結果によれば、比較例は、f1=837MHzとf3=2437MHzの2つの周波数で共振している。また、低域共振周波数f1、中域共振周波数f2、高域共振周波数f3における放射効率を比較すると、以下の表1となる。
表1によれば、第1の実施例及び比較例のアンテナ装置ともに、低域共振周波数f1及び高域共振周波数f3で共振し、高い放射効率を示している。しかしながら、比較例では、中域共振周波数f2=1272MHzで共振していないので、放射効率が−7.6[dB]という低い値を示している。一方、第1の実施例のアンテナ装置においては、トリプルバンド動作の効果により、中域共振周波数f2において−1.0[dB]という高い値を示している。
なお、第1の実施例及び比較例のアンテナ装置において、その寸法は同じであり、それぞれの低域共振周波数f1及び高域共振周波数f3もほぼ同じである。すなわち、本発明によれば、ループ状の放射導体を備え、低域共振周波数f1及び高域共振周波数f3でデュアルバンド動作可能なアンテナ装置(図2等を参照)において、ループ状の放射導体を多重分岐させることで、低域共振周波数f1及び高域共振周波数f3の特性を損なうことなく、中域共振周波数f2における共振を独立に設計可能であるという優れた効果を有していることが判る。
図54は、第1の実施例の変形例に係るアンテナ装置を示す斜視図である。図54のアンテナ装置では、図50の放射器161の放射導体2h,3hを、図50のB12線において−X方向に折り曲げている。
図55は、図54のアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。計算結果によれば、f1=855MHzのとき(−7.2dB)、f2=1273MHzのとき(−8.8dB)、f3=2690MHzのとき(−13.1dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。また、表2に示すように、折り曲げなしの場合と折り曲げありの場合との放射効率を比較すると、いずれも高い放射効率を実現できている。この結果より、本発明の実施形態に係るアンテナ装置は、小型化とトリプルバンド動作とを同時に実現することが可能であり、携帯無線端末装置の小型化や薄型化の要求にも対応できる優れた特性を有するといえる。
以下、図56〜図81を参照して、本発明の第1の実施形態の第2の実施例に係るシミュレーション結果について説明する。シミュレーションでは、FDTD法を用いて計算した。
図56は、第2の実施例に係るアンテナ装置を示す斜視図であり、図57は、図56の放射器171の詳細構成を示す上面図である。図56及び図57に示すアンテナ装置は、図8に示すアンテナ装置の実施例である。放射器171は、放射導体1i,2i,3iと、インダクタL1,L2と、キャパシタC1,C2とを備える。図57において、インダクタL1はインダクタンス3nHを有し、キャパシタC1は容量1pFを有し、インダクタL2は0.3mm×0.5mmの断面及び長さ5.5mmを有するストリップ導体にてなる細線インダクタであり、キャパシタC2は容量7pFを有する。
図58は、図56のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流経路を示す図である。図59は、図56のアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときに給電点P1から見たインダクタL1のインピーダンスZ’L1及び給電点P1から見たキャパシタC1のインピーダンスZ’C1を示すスミスチャートである。低域共振周波数f1=900MHz付近では、|Z’L1|<|Z’C1|であるので、電流I61はキャパシタC1ではなくインダクタL1を通過し、|Z’L2|<|Z’C2|であるので、電流I61はさらに、キャパシタC2ではなくインダクタL2を通過する。
図60は、図56のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流経路を示す図である。図61は、図56のアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときに給電点P1から見たインダクタL1のインピーダンスZ’L1及び給電点P1から見たキャパシタC1のインピーダンスZ’C1を示すスミスチャートである。中低域共振周波数f2=1500MHz付近では、|Z’L1|>|Z’C1|であるので、電流I62はインダクタL1ではなくキャパシタC1を通過し、|Z’L2|<|Z’C2|であるので、電流I62はさらに、インダクタL2を通過する。放射導体2i,3iの間の電位差によりキャパシタC2において電流が接続され、小ループに沿った電流経路が形成される。このとき、一部の電流I63は、小ループからインダクタL1に向かって流れる。
図62は、図56のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図である。図63は、図56のアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときに給電点P1から見たインダクタL1のインピーダンスZ’L1及び給電点P1から見たキャパシタC1のインピーダンスZ’C1を示すスミスチャートである。高域共振周波数f3=1900MHz付近では、|Z’L1|>|Z’C1|であるので、電流I64はインダクタL1ではなくキャパシタC1を通過し、|Z’L2|<|Z’C2|であるので、電流I64はさらに、キャパシタC2ではなくインダクタL2を通過する。
図64は、第2の実施例の第1の変形例に係るアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときの電流経路を示す図である。図64に示すアンテナ装置は、図21に示すアンテナ装置の実施例であり、図64に示すアンテナ装置の放射器172は、放射導体1j,2j,3jと、インダクタL1,L2と、キャパシタC1,C2とを備える。放射器172は、インダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2の位置以外は、図57の放射器171と同様に構成される。図65は、第2の実施例の第1の変形例に係るアンテナ装置が低域共振周波数f1で動作するときに給電点P1から見たインダクタL1のインピーダンスZ’L1及び給電点P1から見たキャパシタC1のインピーダンスZ’C1を示すスミスチャートである。低域共振周波数f1=900MHz付近では、|Z’L1|<|Z’C1|であるので、電流I71はキャパシタC1ではなくインダクタL1を通過し、|Z’L2|<|Z’C2|であるので、電流I71はさらに、キャパシタC2ではなくインダクタL2を通過する。
図66は、第2の実施例の第1の変形例に係るアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときの電流経路を示す図である。図67は、第2の実施例の第1の変形例に係るアンテナ装置が中域共振周波数f2で動作するときに給電点P1から見たインダクタL1のインピーダンスZ’L1及び給電点P1から見たキャパシタC1のインピーダンスZ’C1を示すスミスチャートである。中域共振周波数f2=1500MHz付近では、|Z’L1|>|Z’C1|であるので、電流I72はインダクタL1ではなくキャパシタC1を通過し、|Z’L2|<|Z’C2|であるので、電流I72はさらに、インダクタL2を通過する。放射導体2j,3jの間の電位差によりキャパシタC2において電流が接続され、小ループに沿った電流経路が形成される。このとき、一部の電流I73は、小ループからインダクタL1に向かって流れる。
図68は、第2の実施例の第1の変形例に係るアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときの電流経路を示す図である。図69は、第2の実施例の第1の変形例に係るアンテナ装置が高域共振周波数f3で動作するときに給電点P1から見たインダクタL1のインピーダンスZ’L1及び給電点P1から見たキャパシタC1のインピーダンスZ’C1を示すスミスチャートである。高域共振周波数f3=1800MHz付近では、|Z’L1|>|Z’C1|であるので、電流I74はインダクタL1ではなくキャパシタC1を通過し、|Z’L2|<|Z’C2|であるので、電流I74はさらに、キャパシタC2ではなくインダクタL2を通過する。
図70は、図56のアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。計算結果によれば、f1=883MHzのとき(−5.6dB)、f2=1417MHzのとき(−8.7dB)、f3=2001MHzのとき(−16.5dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図71は、第2の実施例の第2の変形例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。図71は、図9に示すアンテナ装置の実施例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す。図71に係るアンテナ装置の放射器は、インダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2の位置以外は、図57の放射器171と同様に構成される。計算結果によれば、f1=860MHzのとき(−5.1dB)、f2=1466MHzのとき(−6.5dB)、f3=1998MHzのとき(−15.4dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図72は、第2の実施例の第3の変形例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。図72は、図10に示すアンテナ装置の実施例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す。図72に係るアンテナ装置の放射器は、インダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2の位置以外は、図57の放射器171と同様に構成される。計算結果によれば、f1=885MHzのとき(−5.8dB)、f2=1448MHzのとき(−4.1dB)、f3=2003MHzのとき(−15.7dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図73は、第2の実施例の第4の変形例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。図73は、図11に示すアンテナ装置の実施例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す。図73に係るアンテナ装置の放射器は、インダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2の位置以外は、図57の放射器171と同様に構成される。計算結果によれば、f1=855MHzのとき(−5.1dB)、f2=1505MHzのとき(−9.2dB)、f3=1990MHzのとき(−15.8dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図74は、第2の実施例の第5の変形例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。図74は、図18に示すアンテナ装置の実施例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す。図74に係るアンテナ装置の放射器は、インダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2の位置以外は、図57の放射器171と同様に構成される。計算結果によれば、f1=970MHzのとき(−11.4dB)、f2=1435MHzのとき(−8.8dB)、f3=1795MHzのとき(−9.4dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図75は、第2の実施例の第6の変形例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。図75は、図19に示すアンテナ装置の実施例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す。図75に係るアンテナ装置の放射器は、インダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2の位置以外は、図57の放射器171と同様に構成される。計算結果によれば、f1=938MHzのとき(−10.7dB)、f2=1513MHzのとき(−14.3dB)、f3=1760MHzのとき(−8.9dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図76は、第2の実施例の第7の変形例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。図76は、図20に示すアンテナ装置の実施例に係るアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す。図76に係るアンテナ装置の放射器は、インダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2の位置以外は、図57の放射器171と同様に構成される。計算結果によれば、f1=975MHzのとき(−14.8dB)、f2=1440MHzのとき(−18.2dB)、f3=1760MHzのとき(−9.6dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図77は、第2の実施例の第1の変形例に係るアンテナ装置(図64)の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。計算結果によれば、f1=948MHzのとき(−11.5dB)、f2=1466MHzのとき(−6.9dB)、f3=1778MHzのとき(−9.9dB)の3つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図78は、第2の実施例の第1の比較例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図78のアンテナ装置の放射器221は、放射導体201b,202bと、インダクタL1と、キャパシタC1とを備える。図78のアンテナ装置は、小ループを持たないことを除いて図57のアンテナ装置と同一の寸法で構成され、図56の放射器171に代えて接地導体G1上に設けられる。
図79は、図78のアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。計算結果によれば、f1=893MHzのとき(−6.3dB)、f3=2013MHzのとき(−15.8dB)の2つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図80は、第2の実施例の第2の比較例に係るアンテナ装置を示す平面図である。図80のアンテナ装置の放射器222は、放射導体201c,202cと、インダクタL1と、キャパシタC1とを備える。図80のアンテナ装置は、インダクタL1とキャパシタC1の位置が入れ替わっていることの他は、図78のアンテナ装置と同様に構成される。
図81は、図80のアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示すグラフである。計算結果によれば、f1=985MHzのとき(−12.5dB)、f3=1745MHzのとき(−9.3dB)の2つの周波数で、整合が取れていることが確認できる。
図79及び図81を比較すると、給電点P1にインダクタL1が近いアンテナ装置と、給電点P1にキャパシタC1が近いアンテナ装置のいずれにおいても、デュアルバンド動作を実現できていることがわかる。ただし、共振周波数に差異があるが、これは、給電点P1からインダクタL1及びキャパシタC1までの電気長の違いによるものである。
図79及び図81と、図74及び図70とをそれぞれ比較すると、低域共振周波数f1と高域共振周波数f3の付近の反射係数S11の周波数特性は、類似した傾向を示していることが確認できる。このことから、インダクタL1及びキャパシタC1の位置ならびにインダクタンス及び容量が同じであれば、図78又は図80のアンテナ装置に小ループを追加しても、そのデュアルバンド動作を損なうことなく、新たに中域共振周波数f2で共振させることが可能であることがわかる。また、中域共振周波数f2は、インダクタL1及びキャパシタC1の位置に関わらずほぼ同じ周波数を実現できており、図74の場合はf2=1435MHz、図70の場合はf2=1417MHzを得た。この中域共振周波数f2のみを微調整したい場合は、キャパシタC2の値を調節すればよい。