JP5128541B2 - 中空糸膜モジュールの製造方法および中空糸膜モジュール中間品 - Google Patents
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Description
このような平型の中空糸膜モジュールを用いて、高汚濁性水の濾過を行う場合には、通常、この中空糸膜モジュールを複数並設して中空糸膜ユニットを構成し、この中空糸膜ユニットを濾過槽内において散気管の上方に浸漬する。そして、長期間安定に濾過処理を実施するために、エアースクラビング洗浄を行いながら吸引濾過を行う。
例えば特許文献2の請求項1などには、ハウジングに細長いスリットを形成し、このスリットにシート状の中空糸膜束を挿入した状態で、スリットの周縁にのみ固定用の樹脂を充填し固化させることによって、各中空糸膜の端面の開口状態を維持したまま、中空糸膜束とハウジングとを固定する方法が開示されている。
特許文献3の請求項2などには、凹み部が形成された中空中子をハウジング(集水管)内に設置し、中空糸膜の編織物の先端を凹み部に入れた状態でハウジング内を固定用の樹脂で満たして硬化させた後、中空中子の凹み部と、そこに充填され硬化した樹脂および中空糸膜の編織物を共に切断することにより、中空中子内で中空糸膜の端面を開口させる方法が記載されている。また、特許文献3の図5などには、中空糸膜の端部同士を予め樹脂で固定し、ついで、中空糸膜の端部を樹脂とともに切断して端面を開口させた後、これをハウジングに挿入して再度樹脂で固定する、2段階の固定工程を有する方法が開示されている。
また、このように中空中子を使用して製造された中空糸膜モジュールは、中空中子の外側にも樹脂が充填され、中空糸膜モジュールの幅方向に樹脂層が2層形成された形態となる。このように幅方向に樹脂層があると、中空糸膜束の厚みよりも、その分だけハウジングの厚みが大きくなってしまう。このような中空糸膜モジュールは、エアースクラビング洗浄性を向上させる観点や、中空糸膜ユニットとする際の容積効率向上の観点から、好適ではなかった。
また、特許文献3の図5に記載されている方法は、固定工程を2段階有するため、生産性が良好ではなかった。
前記ハウジングは、内壁体以外の部分が形成されたハウジング本体に、別途製造された内壁体用部材を接合して製造されたものが好ましい。
その場合、前記ハウジング本体にその厚み方向に0.5〜10mm突き出た係止部が形成され、前記内壁体用部材には鍔部が形成され、前記係止部に前記鍔部が係止されるとともに、前記係止部と前記鍔部とが接合される形態が好ましい。
前記切断工程での前記固定用樹脂のショアA硬度は40〜90Aであることが好ましい。
本発明の中空糸膜モジュール中間品は、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の少なくとも一方の端部がハウジングの挿入口から前記ハウジング内の底部側まで挿入され、前記ハウジング内に固定用樹脂で固定された平型の中空糸膜モジュール中間品であって、前記ハウジングの前記底部は、外壁体と内壁体とを備えた二重構造である。
図1は本発明の製造方法で製造された平型の中空糸膜モジュールの一例を示す(a)斜視図と、(b)要部の拡大断面図である。
この中空糸膜モジュール10は、複数本の中空糸膜がシート状に束ねられたシート状の中空糸膜束11と、この中空糸膜束11の両端部(長さ方向の端部)に接続された2つのハウジング12とを有して概略構成されている。
この例のハウジング12は管状であり、図1(b)に示すように、シート状の中空糸膜束11が挿入されるスリット状の挿入口12aが長手方向に沿って形成され、長手方向に対して垂直方向の断面(以下、垂直断面という。)がU字形とされている。図1(b)は、この垂直断面を示すものである。
中空糸膜束11は、ハウジング12の底部13側に挿入口12aから挿入され、その端面11aは、ハウジング12内で開口した状態で、固定用樹脂14により固定されている。具体的には、ハウジング12の底部13と中空糸膜束11の端面11aと固定用樹脂14とで囲まれて、ハウジング12の長手方向に形成された中空部分が、処理水が集水される液流路15とされ、中空糸膜束11の端面11aはこの液流路15内で開口している。また、この例のハウジング12には、液流路15に集水された処理水を回収するための集水口16が底部13の一部分に形成されている。
なお、図中符号17は、次に説明する中空糸膜モジュール10の製造方法に由来して、固定用樹脂14と液流路15とを隔てるように長手方向に沿って延在する垂直断面L字形の2列の隔離壁17である。
まず、図2に示すようなハウジング12を用意する。このハウジング12は、長手方向に沿うスリット状の挿入口12aが形成されて垂直断面がU字形とされ、長手方向の両端部が開口した管状のものである。挿入口12aに対向する部分、すなわち、底部13は、ハウジング12の全長に亘って外壁体13aと内壁体13bとを備えた二重構造になっていて、外壁体13aと内壁体13bとの間には、垂直断面がU字形の中空の空隙層13cが形成されている。また、底部13に連続して、一対の側面18a、18bを有し、これら側面18a、18bの上端が挿入口12aを構成している。また、外壁体13aには、処理水を回収するための集水口16が予め形成されている。
ここで、固定用樹脂14は、詳しくは次に説明するが、この後の切断工程において中空糸膜束11と内壁体13bとともに切断されて、その一部が中空糸膜束11の端部や内壁体13bの一部とともに切除されるものである。よって、固定用樹脂14は、このように一部が切除された後であっても、十分に中空糸膜束11を固定できるように充填されることが必要である。そのような観点から、固定用樹脂14は、図3に示すように、ハウジング12の上端近傍、すなわち挿入口12aの近傍まで充填されることが好ましい。しかしながら、上述のように切除した後であっても、十分に中空糸膜束11を固定できる限りは、必ずしも挿入口12aの近傍まで充填されなくてもよい。
また、シート状の中空糸膜束11の端部は、ハウジング12の挿入口12aから二重構造とされた底部13側まで挿入される際、内壁体13bに突き当たるまで挿入されることが、固定用樹脂14の使用量を低減できる観点で好ましいが、未硬化の固定用樹脂14が中空糸膜間に行き渡り易くする観点から、必ずしも突き当たるまで挿入されなくてもよい。
このようにすることによって、中空糸膜束11の端面11aを液流路15内で開口させ、各中空糸膜の中空部と液流路15とを連通させることができる。また、切除されなかった部分の内壁体13bは、隔離壁17として、ハウジング12内に残存する。
このようにして、図1の中空糸膜モジュール10が製造される。
切断具の他の例としては、図6に示すように、柄部21の両側面の上端に、刃部22の両側端部が掛け渡されて、溶接、ロウ付け、はんだ付け等で固定された切断具20も例示できる。
なお、切断工程には、刃先が先端側22aに位置するように刃部22が固定された押し切り用の切断具を使用し、この切断具をハウジング12の一方の端部から空隙層13cに押し込み、切断する方法を採用してもよいが、引き切りであれば、外壁体13aと内壁体13bとがガイドとなり、刃の進行を安定させることができる点で好適である。
また、固定用樹脂14は内壁体13bの内側にのみ充填され、外側には充填されないために、外壁体13aに予め集水口16を形成していたとしても、その集水口16が固定工程で充填された固定用樹脂14によって閉塞されてしまうことはない。よって、集水口16を従来のようにハウジング12の長手方向の両端部だけでなく、底部13にも設けることができ、中空糸膜モジュール10の設計の自由度が高い。
また、このような製造方法では、固定用樹脂14による中空糸膜束11のハウジング12への固定工程は2段階ではなく、1回のみであり、その点からも生産性が優れている。
ハウジング12のサイズ(図1中に示す長さL、高さH、外幅W1、内幅W2など)には特に制限はなく、中空糸膜モジュール10の使用目的や処理条件、使用される中空糸膜束11のサイズなどに応じて設定することが可能である。
また、ハウジングの形状としては、その垂直断面がU字形のものに限定されず、例えば特開2002−177744号公報に開示されているようなH型、円形(環)、多角形などの垂直断面を有するものでもよい。
内壁体13b以外の部分が形成されたハウジング本体23に、内壁体用部材24を一体化する場合には、図示のように、内壁体用部材24としては、長手方向の両端部が閉塞され、上端に全周に亘って鍔部24aが形成され、垂直断面がU字形である管状のものを製造する。一方、ハウジング本体23としては、内壁体用部材24の鍔部24aが係止する段差などの係止部23aを両内面に備えたものを製造する。そして、係止部23aに鍔部24aが係止されるように、内壁体用部材24をハウジング本体23内に配置する。
また、ここで形成される係止部23は、内壁体用部材24をハウジング本体23に位置ずれしない程度に接合する観点から、ハウジング本体23に、その厚み方向に0.5以上10mm以下の範囲で突き出て形成されることが好ましい。すなわち、図中W3で示される部分の長さが0.5〜10mmであることが好ましい。また、内壁体用部材24のハウジング本体23への固定強度や、中空糸膜ユニットとする際の容積率を向上させる観点から、1mm以上5mm以下がより好ましい。さらに好ましくは2mm以上3mm以下である。
また、図7の例では、ハウジング本体23に形成される係止部23aとして、段差を例示したが、鍔部24aが係止されるものであれば制限はなく、例えば、凸起状のものでもよいし、鍔部24aが嵌合されるスリットなどでもよい。
中空糸膜の孔径、有効長、内外径、膜厚にも特に制限はなく、中空糸膜モジュール10の使用目的や処理条件などに応じて設定することが可能である。
固定用樹脂14を充填する際の固定用樹脂14の粘度(初期粘度)としては、中空糸膜間の隙間を埋める観点からは小さい方がよい。一方、初期粘度が小さすぎると、各中空糸膜の中空部が固定用樹脂で閉塞されやすくなる。これらの観点から、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは200mPa・s以上、さらに好ましくは250mPa・s以上であり、また、好ましくは3000mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下、さらに好ましくは1000mPa・s以下である。
なお、切断工程の際に、固定用樹脂14を加熱して一時的にその硬度を下げることで、その硬度を上記範囲内としてもよい。あるいは、固定用樹脂14の硬化反応の途中であれば、その時点での固定用樹脂14の硬度は、完全に硬化反応が終了した時点の硬度よりも小さいため、それを利用して、硬化反応の途中で、切断工程を行ってもよい。このような方法によれば、固定用樹脂14の強度と加工性とを両立させることも可能となる。
また、切断工程では、図4中の切断線Aに沿って切断し、中空糸膜束11の開口した端面11aが液流路15側に突出する形態としたが、図8に示すように、中空糸膜束11の開口した端面11aが液流路15側に突出しない形態としてもよい。ただし、切断工程での切断しやすさからは、図1のように、端面11aが液流路15側に突出した形態に仕上げる方が好ましい。
次のようにして図1に示す平型の中空糸膜モジュール10を製造した。
ポリフッ化ビニリデンからなる多孔質の中空糸膜(三菱レイヨン・エンジニアリング(株)製、外径2.8mm)を緯糸として、幅1000mm、長さ500mmとした編地を5枚積層して、シート状の中空糸膜束(厚み:15mm)11を得た。
一方、図7に示す形態の内壁体用部材(ポリエチレンテレフタレート製)24と、ハウジング本体(長さL:620mm、高さH:75mm、外幅W1:30mm、内幅W2:26mm、PVC製)23とを別々に製造した。ついで、内壁体用部材24をハウジング本体23内に配置し、鍔部24aと係止部(段差)23aとを接合し、ハウジング12を製造した。具体的には、予め鍔部24aには、ポリ塩化ビニル樹脂管用接着剤(積水化学工業(株)製、エスロン、N731HG)をその下面の全周に塗布しておき、塗布後速やかに、内壁体用部材24の内面に形成された係止部24aに鍔部24aが係止されるように配置し、圧着した。
なお、各部分のサイズは以下の通りである。
W3:2mm
D1:1mm
Dep:31mm
D2:2mm
ついで、中空糸膜モジュール中間品全体を50℃に加温し、図5に示す切断具20の柄部21をハウジング12の一方の端部から空隙層13cに挿入し、他方の端部から突出させ、突出した部分のうち、柄部21の根元部を把持して、刃部22が図4に示す切断線Aに沿って固定用樹脂14と中空糸膜束11と内壁体13bとを長手方向に沿って切断していくように、手前に引き込んだ。このようにしてハウジング12の長手方向に沿って全長に亘って進行させ、引き切った。その結果、中空糸膜束11の端面11aは開口して、液流路15と連通した。また、切除されなかった部分の内壁体13bは、隔離壁17として、ハウジング12内に残存した。なお、切断工程での固定用樹脂14のショアA硬度は、76Aであった。
その後、2つのプラグ材(PVC製)を用意し、これらをハウジング12の開口している両端部に嵌め込み、液密に接着して固定した。接着には、ポリ塩化ビニル樹脂管用接着剤(積水化学工業(株)製、エスロン、N731HG)を使用した。
また、中空糸膜束11の厚み:15mmに対して、ハウジング12の内幅:26mmであり、ハウジングの厚みを小さく抑えることができた。
固定用樹脂14として、二液硬化型ウレタン樹脂(主剤:Araldite 3006SR、硬化剤:Araldite 2032、HUNTSMAN製、初期粘度:500mPa・s、硬度:70A)を使用した以外は、実施例1と同様にして図3に示すような中空糸膜モジュール中間品を製造した。なお、切断工程での固定用樹脂14のショアA硬度は、70Aであった。
こうして得られた中空糸膜モジュール中間品は、加温しなくても、実施例1と同様にして安定に切断工程を行うことができた。
その後、実施例1と同様にして、中空糸膜モジュール10を製造した。
また、中空糸膜束11の厚み:15mmに対して、ハウジング12の内幅:26mmであり、ハウジングの厚みを小さく抑えることができた。
図7(b)に示したハウジング本体23の代わりに、図9(a)に示すハウジング本体(長さL:620mm、高さH:75mm、外幅W1:26mm、内幅W2:22mm、W3:2mm、D1:1mm、Dep:31mm、D2:2mm、PVC製)23’を用い、これに図7(a)に示す内壁体用部材24を接合して図9(b)に示すハウジング12’を製造し、これを用いた以外は、実施例1と同様にし中空糸膜モジュールを製造した。
このようにして製造された中空糸膜モジュールでは、ハウジング12’の底部に設けられていた集水口16から処理水を回収することができた。
また、中空糸膜束11の厚み:15mmに対して、ハウジング12’の内幅:22mmであり、ハウジングの厚みを小さく抑えることができた。
11 中空糸膜束
11a 中空糸膜束の端面
12、12’ ハウジング
12a 挿入口
13 底部
13a 外壁体
13b 内壁体
14 固定用樹脂
23、23’ ハウジング本体
24 内壁体用部材
Claims (5)
- 複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の少なくとも一方の端部がハウジングの挿入口から前記ハウジング内に挿入され、固定用樹脂で固定された平型の中空糸膜モジュールの製造方法であって、
外壁体と内壁体とを備えた二重構造の底部が形成されたハウジングの前記底部側まで、前記中空糸膜束の端部を前記挿入口から挿入した後、固定用樹脂を前記ハウジング内に充填して硬化させ、前記端部をハウジング内に固定し、中空糸膜モジュール中間品を製造する固定工程と、
前記端部と前記固定用樹脂と前記内壁体とを前記中空糸膜の径方向に一括して切断し、前記中空糸膜の端面を前記ハウジング内で開口させる切断工程とを有する、中空糸膜モジュールの製造方法。 - 前記ハウジングは、内壁体以外の部分が形成されたハウジング本体に、内壁体用部材を接合して製造された、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記ハウジング本体にその厚み方向に0.5〜10mm突き出た係止部が形成され、前記内壁体用部材には鍔部が形成され、前記係止部に前記鍔部が係止されるとともに、前記係止部と前記鍔部とが接合された、請求項2に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記切断工程での前記固定用樹脂のショアA硬度が40〜90Aである、請求項1ないし3のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の少なくとも一方の端部がハウジングの挿入口から前記ハウジング内の底部側まで挿入され、前記ハウジング内に固定用樹脂で固定された平型の中空糸膜モジュール中間品であって、
前記ハウジングの前記底部は、外壁体と内壁体とを備えた二重構造である、中空糸膜モジュール中間品。
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