本発明は、駆動装置に関し、特に、複数の差動機構を有し動力源で発生した動力の動力伝達経路を切り替え可能な駆動装置に関するものである。
従来、車両には動力源で発生した動力を伝達する駆動装置が設けられており、例えば、このような駆動装置を搭載するハイブリッド車両では、複数の出力軸を有し、走行負荷に応じて出力軸を切り替えることで、電気パス比率を低下(言い換えれば、エンジン直行比率を増加)させ、これにより、燃費の向上(燃料消費量の低減)を図ったハイブリッドシステムが提案されている。このハイブリッド車両は、内燃機関に加えて電動機やモータジェネレータを動力源として備えた車両であって、内燃機関を可及的に効率の良い状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキ力の過不足を電動機もしくはモータジェネレータで補い、さらには減速時にエネルギの回生をおこなうことにより、内燃機関による排気ガスを低減し、同時に燃費の向上を図るように構成された車両である。
このような従来の駆動装置として、例えば、特許文献1に記載のハイブリッド車の駆動装置は、複数組の差動機構からなる動力分配機構に、動力源と、出力部材と、第1モータジェネレータとが連結され、さらに前記動力分配機構におけるいずれかの回転要素の回転を選択的に阻止することにより前記動力源と出力部材との間の回転数比を前記動力源が前記出力部材より低速で回転するオーバードライブ状態に固定するブレーキが設けられている。そして、このハイブリッド車の駆動装置は、第1モータジェネレータがトルクを入出力することにより前記回転数比を連続的に変化させる状態(無段変速状態)では、前記動力源および第1モータジェネレータならびに出力部材の間でのトルクの伝達に複数の差動機構が寄与しないように構成されている。
ところで、上述した特許文献1に記載されているハイブリッド車の駆動装置では、第1モータジェネレータがトルクを入出力することにより前記回転数比を連続的に変化させる状態(無段変速状態)では、前記動力源および第1モータジェネレータならびに出力部材の間でのトルクの伝達に複数の差動機構が寄与しないように構成することで、動力伝達効率を向上させ、また小型化を図っているが、このような駆動装置が適用される車両においては、例えば、さらなる燃費の向上が望まれており、さらなる動力損失の低減が望まれていた。
そこで本発明は、動力損失を低減することができる駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による駆動装置は、複数の差動機構を含んで構成され、動力源から出力部材への動力の伝達経路を運転状態に応じて切り替え可能な動力伝達経路切替手段と、前記動力源の動力を利用して圧送手段により潤滑媒体を圧送し当該潤滑媒体を前記複数の差動機構に供給可能であると共に、前記複数の差動機構において伝達する前記動力が少ない前記差動機構への前記潤滑媒体の供給量を低減可能な供給手段と、前記動力の伝達に寄与しない前記差動機構を他の前記差動機構から切り離し可能な切離手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明による駆動装置では、前記供給手段は、前記切離手段により切り離された前記動力の伝達に寄与しない前記差動機構への前記潤滑媒体の供給を遮断することを特徴とする。
請求項3に係る発明による駆動装置では、前記動力伝達経路切替手段は、油圧部に供給される作動媒体の油圧により作動して前記動力の伝達経路を切り替えて前記出力部材に出力する前記動力を変速可能であり、前記供給手段は、前記潤滑媒体を前記作動媒体として前記油圧部に供給可能であると共に、前記動力伝達経路切替手段が前記動力の伝達に寄与しない場合における前記油圧部の油圧を低減可能であることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項4に係る発明による駆動装置は、複数の差動機構を含んで構成され、動力源から出力部材への動力の伝達経路を運転状態に応じて切り替え可能な動力伝達経路切替手段と、前記動力源の動力を利用して圧送手段により潤滑媒体を圧送し当該潤滑媒体を前記複数の差動機構に供給可能であると共に、前記複数の差動機構において伝達する前記動力が少ない前記差動機構への前記潤滑媒体の供給量を低減可能な供給手段とを備え、前記動力伝達経路切替手段は、油圧部に供給される作動媒体の油圧により作動して前記動力の伝達経路を切り替えて前記出力部材に出力する前記動力を変速可能であり、前記動力源は、内燃機関と2つのモータジェネレータとを含んで構成され、前記内燃機関及び一方の前記モータジェネレータが前記動力伝達経路切替手段を介して前記出力部材に連結され、他方の前記モータジェネレータが前記動力伝達経路切替手段を介さずに前記出力部材に連結され、前記供給手段は、前記潤滑媒体を前記作動媒体として前記油圧部に供給可能であると共に、前記動力伝達経路切替手段が前記動力の伝達に寄与しない場合における前記油圧部の油圧を低減可能であり、前記動力源のうち前記他方のモータジェネレータによる動力のみが前記出力部材に伝達される運転モード又は前記他方のモータジェネレータが電力の回生を行う運転モードである際に前記油圧部の油圧を低減することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項5に係る発明による駆動装置は、油圧部に供給される作動媒体の油圧により作動して動力源から出力部材への動力の伝達経路を運転状態に応じて切り替えて前記出力部材に出力する前記動力を変速可能な動力伝達経路切替手段と、前記動力源の動力を利用して圧送手段により前記作動媒体を圧送し当該作動媒体を前記油圧部に供給可能であると共に、前記動力伝達経路切替手段が前記動力の伝達に寄与しない場合における前記油圧部の油圧を低減可能な供給手段とを備え、前記動力源は、内燃機関と2つのモータジェネレータとを含んで構成され、前記内燃機関及び一方の前記モータジェネレータが前記動力伝達経路切替手段を介して前記出力部材に連結され、他方の前記モータジェネレータが前記動力伝達経路切替手段を介さずに前記出力部材に連結され、前記供給手段は、前記動力源のうち前記他方のモータジェネレータによる動力のみが前記出力部材に伝達される運転モード又は前記他方のモータジェネレータが電力の回生を行う運転モードである際に前記油圧部の油圧を低減することを特徴とする。
請求項6に係る発明による駆動装置では、前記供給手段は、前記動力伝達経路切替手段を搭載する車両に対する要求駆動力又は前記車両の車速に基づいて前記油圧部の油圧の低減量を調節することを特徴とする。
請求項7に係る発明による駆動装置では、前記供給手段は、前記油圧部の油圧を低減した状態で前記内燃機関の始動が要求される際に、前記内燃機関の始動前に予め前記油圧部の油圧の低減量を相対的に少なくすることを特徴とする。
請求項8に係る発明による駆動装置では、前記供給手段は、前記動力伝達経路切替手段を搭載する車両に対して、運転者から前記動力源のうち前記他方のモータジェネレータによる動力のみが前記出力部材に伝達される運転モードが要求された際に、前記油圧部の油圧の低減量を相対的に多くすることを特徴とする。
請求項9に係る発明による駆動装置では、前記動力伝達経路切替手段は、複数の差動機構の各回転要素の連結関係を切り替えるクラッチ及びブレーキを含んで構成され、前記油圧部に供給される前記作動媒体の油圧により前記クラッチ及び前記ブレーキの作動状態を切り替え可能であることを特徴とする。
本発明に係る駆動装置によれば、動力源の動力を利用して圧送手段により潤滑媒体を圧送し当該潤滑媒体を複数の差動機構に供給可能であると共に、複数の差動機構において伝達する動力が少ない差動機構への潤滑媒体の供給量を低減可能な供給手段を備えるので、供給手段が運転状態に応じて伝達する動力が少ない差動機構への潤滑媒体の供給量を低減することから、動力源の動力を利用して作動する圧送手段の負荷を低減することができ、この結果、動力損失を低減することができる。
本発明に係る駆動装置によれば、動力源の動力を利用して圧送手段により作動媒体を圧送し当該作動媒体を油圧部に供給可能であると共に、動力伝達経路切替手段が動力の伝達に寄与しない場合における油圧部の油圧を低減可能な供給手段を備えるので、動力伝達経路切替手段が動力の伝達に寄与しない場合における油圧部の油圧を供給手段が低減することから、動力源の動力を利用して作動する圧送手段の負荷を低減することができ、この結果、動力損失を低減することができる。
以下に、本発明に係る駆動装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係る駆動装置の概略構成図、図2は、本発明の実施例1に係る駆動装置における各モードを設定するためのクラッチ及びブレーキの作動状態を示す図表(作動図)、図3は、本発明の実施例1に係る駆動装置における潤滑油供給量低減制御を説明するフローチャートである。
なお、以下で説明する実施例では、本発明の駆動装置は、エンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)とモータトルクを発生するモータなどの電動機とを組み合わせて動力源とする、いわゆるハイブリッド車両に適用した場合を例として説明するがこれに限らない。
本実施例に係る駆動装置100は、電動機と内燃機関とを組み合わせて動力源とする、いわゆるハイブリッド車両に搭載され、動力源で発生した動力を出力部材に伝達するものである。このハイブリッド車両は、内燃機関に加えて電動機やモータジェネレータを動力源として備えた車両であって、内燃機関を可及的に効率の良い状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキ力の過不足を電動機もしくはモータジェネレータで補い、さらには減速時にエネルギの回生をおこなうことにより、内燃機関による排気ガスを低減し、同時に燃費の向上を図るように構成された車両である。そして、このハイブリッド車両に適用された駆動装置100は、複数の出力軸を有し、走行負荷などの運転状態に応じて動力伝達経路を切り替えて出力軸を切り替えることで、電気パス比率を低下(言い換えれば、エンジン直行比率を増加)させ、これにより、燃費の向上(燃料消費量の低減)を図っている。
具体的には、このハイブリッド車両に適用される駆動装置100は、図1に示すように、ハイブリッド形式のものであって、動力源として、内燃機関としてのエンジン(ENG)1と、発電機能のある少なくとも二台の電動機として第1モータジェネレータ(MG1)2、第2モータジェネレータ(MG2)3とを備えている。さらに、この駆動装置100は、動力分割機構4と、入力軸5と、第1出力軸6と、第2出力軸7と、減速機構8と、固定部9と、第3出力軸10と、第4出力軸11と、動力伝達経路切替手段としての変速機構15と、出力部材としての駆動軸16とを備える。
また、この駆動装置100は、動力源としてのエンジン1、第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3から駆動軸16への動力伝達経路を切り替えるための複数の係合機構として、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4及び第5クラッチC5が設けられている。これらのクラッチC1〜C5は、係合することによりトルクを伝達し、かつ、解放することによりトルクを遮断する機構であり、多板クラッチなどの摩擦式の係合機構やドグクラッチなど噛み合い式の係合機構によって構成することができる。本図の駆動装置100のクラッチC1〜C5は、噛み合い式のドグクラッチを適用した場合で図示している。したがって、駆動装置100は、各クラッチC1〜C5を適宜に係合・解放させることにより、多様な動力伝達状態を設定することができる。さらに、この駆動装置100は、第1モータジェネレータ2の第4出力軸11を固定するブレーキB1を備えている。
さらに、この駆動装置100は、コントローラ31と、蓄電装置32と、制御手段としての電子制御ユニット(ECU)33を備えている。
具体的には、内燃機関としてのエンジン1は、要は、燃料を燃焼して生じる熱エネルギをトルクなどの機械的エネルギの形で出力する熱機関であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、LPGエンジンなどがその一例である。
第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3は、電力が供給されて回転することによりトルクなどの機械的エネルギを出力する以外に、外力によって強制的に回転させられて起電力を生じるように構成されたものであり、永久磁石式の同期電動機がその一例である。
エンジン1は、動力分割機構4に連結され、第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3は、動力分割機構4に対して反力トルクを与え、あるいは出力するトルクをアシストするように、動力分割機構4との間でトルクを伝達するようになっている。なお、エンジン1と動力分割機構4との間に、ダンパーやトルクコンバータを介在させてもよい。
動力分割機構4は、エンジン1が出力した動力を第1モータジェネレータ2又は第2モータジェネレータ3のいずれか一方と出力側とに分割する作用をなすものであり、相互に差動回転する少なくとも三つの回転要素を備えた差動機構によって構成することができる。動力分割機構4をなす差動機構としては、ダブルピニオン型やシングルピニオン型の遊星歯車機構や遊星ローラ機構を採用することができ、ここでは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構により構成される。
すなわち、動力分割機構4は、回転要素として、サンギヤS4と、リングギヤR4と、キャリヤCa4とを有する。サンギヤS4は、外歯歯車として構成される。リングギヤR4は、サンギヤS4に対して同心円上に配置された内歯歯車として構成される。キャリヤCa4は、サンギヤS4に噛み合っているピニオンギヤ及びこのピニオンギヤとリングギヤR4とに噛み合っている他のピニオンギヤを自転自在、かつ、公転自在に保持するように構成されている。動力分割機構4は、これら3つの回転要素としてのサンギヤS4と、リングギヤR4と、キャリヤCa4とが相互に差動回転するように構成された差動歯車機構である。
動力分割機構4の回転要素であるリングギヤR4は、入力軸5を介してエンジン1が連結されている。エンジン1からの動力は、入力軸5を介してこのリングギヤR4に伝達される。なお、その連結の形態は、要は、エンジン1からリングギヤR4に動力を伝達できる形態であればよいので、両者が直線連結されていてもよく、あるいは、クラッチや流体継手などの伝動機構を介して連結されていてもよい。
動力分割機構4の回転要素であるサンギヤS4は、第1出力軸6が一体化されており、この第1出力軸6及び後述の第5クラッチC5を介して第1モータジェネレータ2又は第2モータジェネレータ3のいずれか一方、ここでは、第1モータジェネレータ2に連結されている。
動力分割機構4の回転要素であるキャリヤCa4は、第2出力軸7が一体化されており、この第2出力軸7を介して第1モータジェネレータ2又は第2モータジェネレータ3の他方、ここでは、第2モータジェネレータ3との間でトルクを伝達するように構成されている。
第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3及び動力分割機構4は、エンジン1の動力を動力分割機構4のリングギヤR4に入力する入力軸5と同一の軸線上に配列されている。第2モータジェネレータ3は、動力分割機構4よりエンジン1側に配置されている。そして、この第2モータジェネレータ3と動力分割機構4との間には、減速機構8が設けられている。
この減速機構8は、第2モータジェネレータ3が出力したトルクを増幅して動力分割機構4に伝達するためのものであり、したがって変速比もしくは減速比が「1」より大きい歯車機構もしくはローラ機構などによって構成されている。ここでは、減速機構8は、入力軸5の外周側にこの入力軸5と同一軸線上に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成される。
このシングルピニオン型の遊星歯車機構の減速機構8は、回転要素として、サンギヤS8と、リングギヤR8と、キャリヤCa8とを有する。サンギヤS8は、外歯歯車として構成される。リングギヤR8は、サンギヤS8に対して同心円上に配置された内歯歯車として構成される。キャリヤCa8は、サンギヤS8とリングギヤR8とに噛み合っているピニオンギヤを自転自在、かつ、公転自在に保持するように構成されている。減速機構8は、これら3つの回転要素としてのサンギヤS8と、リングギヤR8と、キャリヤCa8とが相互に差動回転するように構成された差動歯車機構である。なお、このギヤをローラに置き換えた機構が遊星ローラ機構である。
減速機構8の回転要素であるサンギヤS8は、第2モータジェネレータ3のロータ3Rに連結されている。減速機構8の回転要素であるキャリヤCa8は、ケーシング(不図示)などの固定部9に連結され、固定されている。さらに、減速機構8の回転要素であるリングギヤR8は、第2出力軸7を介して動力分割機構4のキャリヤCa4に連結されている。したがって、減速機構8は、サンギヤS8が入力要素、減速機構8のキャリヤCa8が固定要素、リングギヤR8が出力要素となっている。
ここで、第2モータジェネレータ3は、ステータ3Sと、ロータ3Rを有する。ステータ3Sは、固定部9に固定される。ロータ3Rは、このステータ3Sの内周側に配置され、減速機構8のサンギヤS8に連結されている。なお、第2モータジェネレータ3は、そのロータ3Rの位相を検出して信号を出力するレゾルバーなどのセンサ(不図示)を備えている。
したがって、減速機構8は、サンギヤS8の歯数とリングギヤR8の歯数との比であるギヤ比を「ρ」(<1)とすると、リングギヤR8がそのギヤ比ρに応じて減速されて回転し、そのトルクは、サンギヤS8に入力されたトルクをギヤ比ρに応じて増大されたものとなる。
第3出力軸10は、動力分割機構4の中心部を貫通し、かつ、入力軸5と同一軸線上に配置されている。この第3出力軸10は、動力分割機構4のキャリヤCa4もしくは第2出力軸7と一体化され、かつ、入力軸5の延長軸線上に配置されており、その外周側に第1モータジェネレータ2が同一軸線上に配置されている。
ここで、第1モータジェネレータ2は、ステータ2Sと、ロータ2Rを有する。ステータ2Sは、固定部9に固定される。ロータ2Rは、このステータ2Sの内周側に配置され、第4出力軸11と一体化して設けられている。第4出力軸11は、第1モータジェネレータ2の出力軸であり、いわゆるロータ軸である。第4出力軸11は、上述の第1出力軸6と同一軸線上に配置されている。そして、この第4出力軸11と第1出力軸6との間には、第5クラッチC5が設けられている。
ここで、第1出力軸6は、上述したように、動力分割機構4の回転要素であるサンギヤS4と一体的に構成されるものであり、動力分割機構4によって分割された動力が伝達される。そして、この第1出力軸6は、第3出力軸10の外周側に相対回転可能に配置されている。第4出力軸11は、この第1出力軸6と同一軸線上に配置されている。
第5クラッチC5は、第4出力軸11と第1出力軸6とを選択的に連結するものである。ここでは、この第5クラッチC5は、上述したように、噛み合い式のドグクラッチを適用した場合で図示している。すなわち、第1出力軸6と第4出力軸11とは、互いに対向する端部にそれぞれハブ12、ハブ13が一体に設けられる。このハブ12とハブ13とは、軸線方向に沿って互いに隣接すると共に、それぞれ、外周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。そして、第5クラッチC5は、このハブ12、ハブ13にスプライン嵌合するスリーブ14が設けられる。スリーブ14は、アクチュエータ(不図示)によって軸線方向に沿って往復移動可能に配置される。
したがって、第5クラッチC5は、スリーブ14をハブ12とハブ13との両方にスプライン嵌合する位置、すなわち係合位置に移動させることにより、動力分割機構4のサンギヤS4と一体の第1出力軸6と、第1モータジェネレータ2のロータ2Rと一体の第4出力軸11とをトルク伝達可能に連結することができる。また、第5クラッチC5は、スリーブ14を係合位置から軸線方向に沿って移動させて、ハブ12又はハブ13のいずれか一方のみにスプライン嵌合する解放位置に移動させることにより、動力分割機構4のサンギヤS4と一体の第1出力軸6と、第1モータジェネレータ2のロータ2Rと一体の第4出力軸11との連結を解くことができる。
なお、第5クラッチC5がいわゆる解放状態に制御され、動力分割機構4のサンギヤS4と一体の第1出力軸6と、第1モータジェネレータ2のロータ2Rと一体の第4出力軸11とが非連結状態になっている場合には、動力分割機構4のサンギヤS4がいずれの部材にも連結されていない状態、いわゆる、フリー状態となり、したがって、動力分割機構4のリングギヤR4にエンジン1のトルクを入力しても、サンギヤS4が空転するため、動力分割機構4のキャリヤCa4にエンジン1からのトルクが現れないようになっている。
変速機構15は、軸線方向に沿って第1モータジェネレータ2を挟んで動力分割機構4とは反対側に同一直線上に配置されている。この変速機構15は、駆動軸16に出力する動力を変速するためのものであって、入力回転数と出力回転数との比を複数に変化させることができるものである。ここで、駆動軸16は、第3出力軸10の延長軸線上に配置されている出力部材である。変速機構15は、この駆動軸16と動力分割機構4との間に設けられている。すなわち、変速機構15は、入力された動力を変速して、もしくは変速せずにそのまま駆動軸16に出力するものであり、少なくとも二つの変速状態を設定することができるように構成されている。変速機構15は、動力分割機構4のサンギヤS4又はキャリヤCa4のうち一方から入力された動力を変速して、もしくは変速せずに駆動軸16に出力する変速状態と、他方から入力された動力をそのまま、もしくは変速して駆動軸16に出力する変速状態とを設定できるように構成されている。
具体的には、変速機構15は、遊星歯車機構や遊星ローラ機構などの差動作用を有する機構によって構成することができ、複数の差動機構、ここでは、2つのシングルピニオン型の遊星歯車機構として、第1プラネタリギヤ17と第2プラネタリギヤ18とを有する。さらに、この変速機構15は、複数の変速状態あるいは入出力状態を設定するための複数の係合機構として、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4及び上述の第5クラッチC5、さらに、ブレーキ機構として、ブレーキB1を含んで構成される。ここでは、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4は、第5クラッチC5と同様に、噛み合い式のドグクラッチを適用した場合で図示している。
第1プラネタリギヤ17は、回転要素として、サンギヤS17と、リングギヤR17と、キャリヤCa17とを有する。サンギヤS17は、外歯歯車として構成される。リングギヤR17は、サンギヤS17に対して同心円上に配置された内歯歯車として構成される。キャリヤCa17は、サンギヤS17とリングギヤR17とに噛み合っているピニオンギヤを自転自在、かつ、公転自在に保持するように構成されている。第1プラネタリギヤ17は、これら3つの回転要素としてのサンギヤS17と、リングギヤR17と、キャリヤCa17とが相互に差動回転するように構成された遊星(差動)歯車機構である。
第1プラネタリギヤ17の回転要素であるサンギヤS17は、第3出力軸10が一体化されており、この第3出力軸10を介して動力分割機構4のキャリヤCa4もしくは第2出力軸7に連結されている。したがって、第1プラネタリギヤ17は、このサンギヤS17が入力要素となっている。
第1プラネタリギヤ17の回転要素であるリングギヤR17は、後述する第1クラッチC1を介してケーシング(不図示)などの固定部9に対して連結(固定)又は解放可能に設けられている。
第1プラネタリギヤ17の回転要素であるキャリヤCa17は、連結部材20が一体化されており、この連結部材20を介して後述する第2プラネタリギヤ18の回転要素であるキャリヤCa18に連結されている。また、この第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17は、駆動軸16に連結されている。したがって、第1プラネタリギヤ17は、このキャリヤCa17が出力要素となっている。
第2プラネタリギヤ18は、回転要素として、サンギヤS18と、リングギヤR18と、キャリヤCa18とを有する。サンギヤS18は、外歯歯車として構成される。リングギヤR18は、サンギヤS18に対して同心円上に配置された内歯歯車として構成される。キャリヤCa18は、サンギヤS18とリングギヤR18とに噛み合っているピニオンギヤを自転自在、かつ、公転自在に保持するように構成されている。第2プラネタリギヤ18は、これら3つの回転要素としてのサンギヤS18と、リングギヤR18と、キャリヤCa18とが相互に差動回転するように構成された差動歯車機構である。
第2プラネタリギヤ18の回転要素であるサンギヤS18は、第4出力軸11が一体化されており、この第4出力軸11を介して第1モータジェネレータ2のロータ2Rに連結されている。したがって、第2プラネタリギヤ18は、このサンギヤS18が入力要素となっている。
第2プラネタリギヤ18の回転要素であるリングギヤR18は、後述する第2クラッチC2を介してケーシング(不図示)などの固定部9に対して連結(固定)又は解放可能に設けられている。
第2プラネタリギヤ18の回転要素であるキャリヤCa18は、連結部材20が一体化されており、この連結部材20を介して上述の第1プラネタリギヤ17の回転要素であるキャリヤCa17に連結されている。また、この第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18は、連結部材20、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17を介して駆動軸16に連結されている。したがって、第2プラネタリギヤ18は、このキャリヤCa18が出力要素となっている。
そして、第1クラッチC1は、第1プラネタリギヤ17のリングギヤR17と固定部9とを選択的に連結するものである。第1クラッチC1は、円筒部21と、ハブ22と、スリーブ23とを含んで構成される。円筒部21は、第1プラネタリギヤ17のリングギヤR17と一体に設けられ、外周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。ハブ22は、固定部9に固定的に設けられ、外周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。スリーブ23は、この円筒部21とハブ22とにスプライン嵌合する。スリーブ23は、アクチュエータ(不図示)によって軸線方向に沿って往復移動可能に配置される。
したがって、第1クラッチC1は、スリーブ23を円筒部21とハブ22との両方にスプライン嵌合する位置、すなわち係合位置に移動させることにより、第1プラネタリギヤ17のリングギヤR17の回転を阻止することができる。また、第1クラッチC1は、スリーブ23を係合位置から軸線方向に沿って移動させて、円筒部21又はハブ22のいずれか一方のみにスプライン嵌合する解放位置に移動させることにより、第1プラネタリギヤ17のリングギヤR17の固定を解くことができる。
第2クラッチC2は、第2プラネタリギヤ18のリングギヤR18と固定部9とを選択的に連結するものである。第2クラッチC2は、円筒部24と、ハブ25と、スリーブ26とを含んで構成される。円筒部24は、第2プラネタリギヤ18のリングギヤR18と一体に設けられ、外周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。ハブ25は、固定部9に固定的に設けられ、外周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。スリーブ26は、この円筒部24とハブ25とにスプライン嵌合する。スリーブ26は、アクチュエータ(不図示)によって軸線方向に沿って往復移動可能に配置される。
したがって、第2クラッチC2は、スリーブ26を円筒部24とハブ25との両方にスプライン嵌合する位置、すなわち係合位置に移動させることにより、第2プラネタリギヤ18のリングギヤR18の回転を阻止することができる。また、第2クラッチC2は、スリーブ26を係合位置から軸線方向に沿って移動させて、円筒部24又はハブ25のいずれか一方のみにスプライン嵌合する解放位置に移動させることにより、第2プラネタリギヤ18のリングギヤR18の固定を解くことができる。
第3クラッチC3は、第1プラネタリギヤ17のリングギヤR17と、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17及び第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が一体化されている連結部材20とを選択的に連結するものである。第3クラッチC3は、第1クラッチC1の円筒部21とスリーブ23とを兼用すると共に、さらに、円筒部27を含んで構成される。円筒部27は、連結部材20と一体に設けられ、外周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。スリーブ23は、この円筒部27と上述の円筒部21とにスプライン嵌合する。
したがって、第3クラッチC3は、スリーブ23を円筒部27と円筒部21との両方にスプライン嵌合する位置、すなわち係合位置に移動させることにより、第1プラネタリギヤ17のリングギヤR17と、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17及び第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が一体化されている連結部材20とをトルク伝達可能に連結することができる。また、第3クラッチC3は、スリーブ23を係合位置から軸線方向に沿って移動させて、円筒部27又は円筒部21のいずれか一方のみにスプライン嵌合する解放位置に移動させることにより、第1プラネタリギヤ17のリングギヤR17と、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17及び第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が一体化されている連結部材20との連結を解くことができる。
第4クラッチC4は、第2プラネタリギヤ18のリングギヤR18と、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17及び第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が一体化されている連結部材20とを選択的に連結するものである。第4クラッチC4は、第2クラッチC2の円筒部24とスリーブ26とを兼用すると共に、さらに、第3クラッチC3の円筒部27を兼用して構成される。
したがって、第4クラッチC4は、スリーブ26を円筒部24と円筒部27との両方にスプライン嵌合する位置、すなわち係合位置に移動させることにより、第2プラネタリギヤ18のリングギヤR18と、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17及び第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が一体化されている連結部材20とをトルク伝達可能に連結することができる。また、第4クラッチC4は、スリーブ26を係合位置から軸線方向に沿って移動させて、円筒部24又は円筒部27のいずれか一方のみにスプライン嵌合する解放位置に移動させることにより、第2プラネタリギヤ18のリングギヤR18と、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17及び第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が一体化されている連結部材20との連結を解くことができる。
ここでさらに、この駆動装置100は、上述したように、第1モータジェネレータ2のロータ軸である第4出力軸11を固定するブレーキB1を備えている。さらに言えば、ブレーキB1は、動力分割機構4を増速機構として機能させるために動力分割機構4のサンギヤS4を選択的に固定するものである。このブレーキB1は、係合状態で第4出力軸11の回転を阻止し、解放状態で第4出力軸11の固定を解くように構成されたブレーキ機構であり、多板クラッチなどの摩擦式のブレーキ機構やドグクラッチなど噛み合い式のブレーキ機構によって構成することができる。本図の駆動装置100のブレーキB1は、噛み合い式のブレーキを適用した場合で図示している。
ブレーキB1は、ハブ28と、ハブ29と、スリーブ30とを含んで構成される。ハブ28は、第4出力軸11と一体に設けられ、外周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。ハブ29は、固定部9に固定的に設けられ、内周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。スリーブ30は、このハブ28とハブ29とにスプライン嵌合する。スリーブ30は、アクチュエータ(不図示)によって軸線方向に沿って往復移動可能に配置される。
したがって、ブレーキB1は、スリーブ30をハブ28とハブ29との両方にスプライン嵌合する位置、すなわち係合位置に移動させることにより、第4出力軸11の回転を阻止し固定することができる。このとき、上述の第5クラッチC5が係合状態にあることで、動力分割機構4のサンギヤS4を実質的に固定することができる。また、ブレーキB1は、スリーブ30を係合位置から軸線方向に沿って移動させて、ハブ28又はハブ29のいずれか一方のみにスプライン嵌合する解放位置に移動させることにより、第4出力軸11の固定を解くことができ、したがって、第4出力軸11に第5クラッチC5を介して連結される動力分割機構4のサンギヤS4の固定を解除することができる。
そして、ブレーキB1を係合させた場合、動力分割機構4を増速機構として機能させることができる。これにより、駆動軸16の回転数を増大させる運転状態であってもエンジン1の回転数を相対的に低く抑えることができる。また、動力損失の少ない走行モードの選択の幅が広くなる。
そして、上述した第1モータジェネレータ2及び第2モータジェネレータ3は、インバータなどのコントローラ31を介してバッテリーなどの蓄電装置32に接続されており、このコントローラ31によって制御されて電動機あるいは発電機として動作するように構成されている。さらに、第1モータジェネレータ2及び第2モータジェネレータ3の出力トルクや発電量(すなわち反力トルク)の制御、各クラッチC1〜C5及びブレーキB1を動作させることによる変速状態もしくは運転モードの制御などを行うためのECU33が設けられている。このECU33は、マイクロコンピュータを主体にして構成されたものであって、車速や要求駆動力、蓄電装置32の充電量SOC(State of Charge、蓄電状態)などの入力データおよび予め記憶しているデータを利用して演算を行い、その演算の結果を第1モータジェネレータ2及び第2モータジェネレータ3を制御するための指令信号としてコントローラ31に出力するように構成されている。また、ECU33は、いずれかのクラッチC1〜C5もしくはブレーキB1を動作させて所定の運転モードあるいは変速段を設定する指令信号を出力するように構成されている。
上記のように構成される駆動装置100は、車両に搭載され、変速機構15の第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4及び第5クラッチC5やブレーキB1の作動状態を適宜切り替えることで、動力源としてのエンジン1、第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3から駆動軸16への動力伝達経路を切り替えて出力軸を切り替えることができ、これにより、各種の運転モードあるいは変速段を設定することができる。図2は、各クラッチC1〜C5及びブレーキB1の作動状態と、それに応じて設定される運転モードあるいは変速段をまとめて例示している。図2において、各クラッチC1〜C5及びブレーキB1についての「○」印はトルクを伝達するように係合している係合状態であることを示し、「×」印はトルクの伝達を遮断するように解放している解放状態であることを示している。そして、図2において、「EV走行」モードは、エンジン1が動力を出力せずに第1モータジェネレータ2又は第2モータジェネレータ3が出力する動力で走行するモード、「非EV走行」モードは、少なくともエンジン1が出力する動力も利用して車両が走行するモードであることを示している。そして、駆動装置100は、各クラッチC1〜C5及びブレーキB1の作動状態に応じて、「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおいて、それぞれ、「1速」モード、「1−2速」モード、「2速」モード、「2−3速」モード、「3速」モード、「3−4速」モード及び「3速lock」モードに設定することができる。
そして、駆動装置100は、「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおける「1速」モード、「3速」モード及び「3速lock」モードでは、第3出力軸10、第1プラネタリギヤ17のサンギヤS17、キャリヤCa17を介して駆動軸16に動力が伝達され出力される。また、駆動装置100は、「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおける「2速」モードでは、第4出力軸11、第2プラネタリギヤ18のサンギヤS18、キャリヤCa18、連結部材20、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17を介して駆動軸16に動力が伝達され出力される。さらに、駆動装置100は、「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおける「1−2速」モード、「2−3速」モード及び「3−4速」モードでは、第3出力軸10及び第4出力軸11の両方を介して駆動軸16に動力が伝達され出力される。
ここで、この駆動装置100は、図1に示すように、さらに、動力分割機構4、減速機構8や変速機構15の第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18などの装置各部に潤滑媒体としての潤滑油を供給する供給手段としての潤滑油供給装置34を備える。この潤滑油供給装置34は、潤滑油を動力分割機構4、減速機構8や変速機構15の第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18などの装置各部に供給する油路35と、この油路35に接続され、貯留部(不図示)に貯留される潤滑油を吸入、加圧、吐出し圧送する圧送手段としてのオイルポンプ36と、動力分割機構4、減速機構8や変速機構15の第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18に潤滑油を供給するための油路にそれぞれ設けられる流量制御弁37、38、39、40を含んで構成される。
オイルポンプ36は、動力源の動力を利用して駆動するものであり、エンジン1のクランクシャフト(不図示)に連動して駆動する機械式ポンプや第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3で発電される電力により駆動する電動式ポンプを適用することができる。流量制御弁37は、減速機構8に潤滑油を供給する分岐油路37aに設けられ、流量制御弁38は、動力分割機構4に潤滑油を供給する分岐油路38aに設けられ、流量制御弁39は、第2プラネタリギヤ18に潤滑油を供給する分岐油路39aに設けられ、流量制御弁40は、第1プラネタリギヤ17に潤滑油を供給する分岐油路40aに設けられる。流量制御弁37、38、39、40は、各分岐油路37a、38a、39a、40aを開閉し油路開度を調節することで、動力分割機構4、減速機構8や変速機構15の第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18に供給される潤滑油の流量をそれぞれ調節し供給量を調節することができる。そして、このオイルポンプ36、流量制御弁37、38、39、40は、上述のECU33に電気的に接続されており、その駆動が制御されている。したがって、潤滑油供給装置34は、動力源の動力を利用してオイルポンプ36により潤滑油を圧送して、この潤滑油を減速機構8や変速機構15の第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18などの装置各部に供給することができる。
ところで、この駆動装置100は、例えば、第3出力軸10及び第1プラネタリギヤ17と、第4出力軸11及び第2プラネタリギヤ18との関係において、いずれか一方のみを出力側としてトルク(動力)を伝達する場合、他方は非出力側となりトルクの伝達に実質的には寄与しない。このとき、トルク伝達に寄与しない第1プラネタリギヤ17又は第2プラネタリギヤ18に対する潤滑油の必要供給量は、トルク伝達に寄与している際と比較して相対的に少量でも十分であるにもかかわらず、トルク伝達に寄与している際と同様の潤滑油供給量とすると、その分、オイルポンプ36に余分な負荷が作用し本来必要のないオイルポンプ損失が発生するおそれがあり、この結果、燃費の向上が抑制されるおそれがある。
そこで、本実施例の駆動装置100は、この潤滑油供給装置34が運転モードなどに応じて第1プラネタリギヤ17と第2プラネタリギヤ18とにおいて伝達する動力が少ない第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減することで、動力源の動力を利用して作動するオイルポンプ36の負荷を低減し、これにより、オイルポンプ損失を低減し、さらなる動力損失の低減を図り、さらなる燃費の向上を図っている。
例えば、駆動装置100は、図2で示した「EV走行」モードの「1速」モードの場合、第1クラッチC1を係合状態とし、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5及びブレーキB1を解放状態とする。すなわち、この駆動装置100は、「EV走行」モードの「1速」モードの場合、第5クラッチC5及びブレーキB1が解放状態とされることで、第1モータジェネレータ2がいわゆるフリー状態となり、第2モータジェネレータ3で発生する動力が出力側としての第3出力軸10、第1プラネタリギヤ17のサンギヤS17、キャリヤCa17を介して駆動軸16に伝達され出力される。このとき、非出力側の第2プラネタリギヤ18は、キャリヤCa18が連結部材20を介して第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17に連結されていることから、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17の回転に伴って従動するようにして回転しているものの、サンギヤS18とキャリヤCa18、リングギヤR18とキャリヤCa18との間で実質的に伝達されるトルク(動力)は大幅に低下する。このため、この第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量は、この第2プラネタリギヤ18がトルク伝達に寄与している際と比較して大幅に低減することができる。したがって、駆動装置100は、運転モードが「EV走行」モードの「1速」モードの場合、ECU33により供給量低減手段としての流量制御弁39の駆動を制御し分岐油路39aの開度を相対的に小さくして、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減することで、オイルポンプ36の負荷を低減することができ、これにより、オイルポンプ損失を低減することができ、動力損失を低減することができる。
同様に、駆動装置100は、図2で示した「非EV走行」モードの「1速」モード、「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおける「3速」モード及び「3速lock」モードでは、出力側として、第3出力軸10、第1プラネタリギヤ17のサンギヤS17、キャリヤCa17を介して駆動軸16に動力が伝達され出力される。このとき、非出力側の第2プラネタリギヤ18は、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17の回転に伴って従動するようにして回転しているものの、サンギヤS18とキャリヤCa18、リングギヤR18とキャリヤCa18との間で実質的に伝達されるトルク(動力)は大幅に低下する。したがって、駆動装置100は、ECU33により流量制御弁39の駆動を制御し分岐油路39aの開度を相対的に小さくして、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減することで、オイルポンプ36の負荷を低減することができる。
一方、駆動装置100は、図2で示した「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおける「2速」モードでは、出力側として、第4出力軸11、第2プラネタリギヤ18のサンギヤS18、キャリヤCa18、連結部材20、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17を介して駆動軸16に動力が伝達され出力される。このとき、非出力側の第3出力軸10、第1プラネタリギヤ17は、キャリヤCa17が第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18の回転に伴って従動するようにして回転しているものの、サンギヤS17とキャリヤCa17、リングギヤR17とキャリヤCa17との間で実質的に伝達されるトルク(動力)は大幅に低下する。したがって、駆動装置100は、運転モードが「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおける「2速」モードの場合、ECU33により供給量低減手段としての流量制御弁40の駆動を制御し分岐油路40aの開度を相対的に小さくして、第1プラネタリギヤ17への潤滑油の供給量を低減することで、オイルポンプ36の負荷を低減することができ、これにより、オイルポンプ損失を低減することができ、動力損失を低減することができる。
なお、駆動装置100は、図2で示した「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおける「1−2速」モード、「2−3速」モード及び「3−4速」モードでは、出力側として、第3出力軸10及び第4出力軸11の両方を介して駆動軸16に動力が伝達され出力される。この場合、第1プラネタリギヤ17と第2プラネタリギヤ18とのそれぞれに作用するトルクは、第1プラネタリギヤ17又は第2プラネタリギヤ18が非出力側になる場合と比較すると大きいものの、それぞれが単独で出力側となる場合と比較すると相対的に小さくなる。したがって、駆動装置100は、運転モードが「EV走行」モード及び「非EV走行」モードにおける「1−2速」モード、「2−3速」モード及び「3−4速」モードの場合、ECU33により第1プラネタリギヤ17及び第2プラネタリギヤ18へのトルク配分に応じて流量制御弁39及び流量制御弁40の駆動を制御し分岐油路39a及び分岐油路40aの開度を相対的に小さくして、第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減することで、オイルポンプ36の負荷を低減することができ、これにより、オイルポンプ損失を低減することができ、動力損失を低減することができる。すなわち、駆動装置100は、第1プラネタリギヤ17及び第2プラネタリギヤ18へのトルク配分に応じて第1プラネタリギヤ17及び第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を適正に設定することでオイルポンプ36の負荷を低減することができる。
次に、図3のフローチャートを参照して、本実施例に係る駆動装置100における潤滑油供給量低減制御を説明する。
まず、ECU33は、変速機構15の第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5及びブレーキB1の作動状態に基づいて現在の運転モードを判定し動力伝達の状態を判定する(S100)。すなわち、ECU33は、現在の運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1速」モード、「3速」モード、「3速lock」モードのいずれかであると判定した場合、動力が第3出力軸10(第1プラネタリギヤ17)側から出力されていると判定し、「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「2速」モードであると判定した場合、動力が第4出力軸11(第2プラネタリギヤ18)側から出力されていると判定し、「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1−2速」モード、「2−3速」モード、「3−4速」モードのいずれかであると判定した場合、動力が第3出力軸10と第4出力軸11との両方から出力されていると判定する。
そして、ECU33は、現在の運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1速」モード、「3速」モード、「3速lock」モードのいずれかであると判定し、動力が第3出力軸10(第1プラネタリギヤ17)側から出力されていると判定した場合(S100:第3出力軸側)、流量制御弁39の駆動を制御し分岐油路39aの開度を相対的に小さくして、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減する(S102)。なお、ここでは、このS102の前に既に第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量が低減されていた場合には、その低減されていた供給量を維持すればよい。次に説明するS104、S106の場合も同様である。
ECU33は、現在の運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「2速」モードであると判定し、動力が第4出力軸11(第2プラネタリギヤ18)側から出力されていると判定した場合(S100:第4出力軸側)、流量制御弁40の駆動を制御し分岐油路40aの開度を相対的に小さくして、第1プラネタリギヤ17への潤滑油の供給量を低減する(S104)。
ECU33は、現在の運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1−2速」モード、「2−3速」モード、「3−4速」モードのいずれかであると判定し、動力が第3出力軸10と第4出力軸11との両方から出力されていると判定した場合(S100:第3出力軸と第4出力軸の両方)、第1プラネタリギヤ17及び第2プラネタリギヤ18へのトルク配分に応じて流量制御弁39及び流量制御弁40の駆動を制御し分岐油路39a及び分岐油路40aの開度を相対的に小さくして、第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減する(S106)。
そして、ECU33は、S102、S104又はS106にて低減された潤滑油の供給量に応じてオイルポンプ36への出力指令値を低減し、オイルポンプ36の負荷を低減して(S108)、この制御を終了する。なお、ここでは、このS108の前に既にオイルポンプ36への出力指令値が低減されていた場合には、その低減されていた出力指令値を維持すればよい。
以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置100によれば、複数の差動機構としての第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18を含んで構成され、動力源としてのエンジン1、第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3から駆動軸16への動力の伝達経路を運転状態に応じて切り替え可能な変速機構15と、動力源の動力を利用してオイルポンプ36により潤滑油を圧送しこの潤滑油を複数の第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18に供給可能であると共に、第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18において伝達する動力が少ない第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減可能な潤滑油供給装置34とを備える。
したがって、潤滑油供給装置34が運転モードに応じて第1プラネタリギヤ17と第2プラネタリギヤ18とにおいて伝達する動力が少ない第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減することから、動力源の動力を利用して作動するオイルポンプ36の負荷を低減することができ、これにより、オイルポンプ損失を低減することができる。この結果、動力損失を低減することができ、さらなる燃費の向上を図ることができる。
図4は、本発明の実施例2に係る駆動装置の概略構成図、図5は、本発明の実施例2に係る駆動装置における各モードを設定するためのクラッチ及びブレーキの作動状態を示す図表(作動図)、図6は、本発明の実施例2に係る駆動装置における潤滑油供給量低減制御を説明するフローチャートである。実施例2に係る駆動装置は、実施例1に係る駆動装置と略同様の構成であるが、切離手段を有する点で実施例1に係る駆動装置とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
以上で説明した実施例1の駆動装置100(図1参照)では、例えば、非出力側の第2プラネタリギヤ18が実質的にトルク伝達に寄与していない場合でも、キャリヤCa18が連結部材20を介して第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17に連結されていることから、このキャリヤCa18は、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17の回転に伴って従動するようにして回転している。このため、駆動装置100では、第2プラネタリギヤ18が実質的にトルク伝達に寄与していない場合でも、トルク伝達に実質的に寄与しない第2プラネタリギヤ18に対しても最低限の潤滑油供給量は必要であり、その分、オイルポンプ36に負荷が作用することでオイルポンプ損失が発生するおそれがあり、この結果、燃費の向上が抑制されるおそれがある。
そこで、本実施例の駆動装置200は、図4に示すように、変速機構15が切離手段としての切り離しクラッチ、ここでは、第6クラッチC6を有することで、さらなるオイルポンプ36の負荷の低減を図り、動力損失の低減、燃費の向上を図っている。
第6クラッチC6は、動力の伝達に寄与しない差動機構としての第2プラネタリギヤ18を他の差動機構としての第1プラネタリギヤ17から切り離し可能なものであり、ここでは、分割された連結部材20の一方と他方とを選択的に連結するものである。ここで、分割された連結部材20の一方には第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17が連結され、他方には第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が連結されている。
ここでは、第6クラッチC6は、第5クラッチC5などと同様に噛み合い式のドグクラッチを適用した場合で図示している。すなわち、第6クラッチC6は、ハブ241と、ハブ242と、スリーブ243とを含んで構成される。ハブ241とハブ242とは、分割された一方の連結部材20と他方の連結部材20との互いに対向する端部にそれぞれ一体に設けられる。このハブ241とハブ242とは、軸線方向に沿って互いに隣接すると共に、それぞれ、外周面に軸線方向に沿ってスプラインが形成されている。スリーブ243は、このハブ241、ハブ242にスプライン嵌合し、アクチュエータ(不図示)によって軸線方向に沿って往復移動可能に配置される。
したがって、第6クラッチC6は、スリーブ243をハブ241とハブ242との両方にスプライン嵌合する位置、すなわち係合位置に移動させることにより、キャリヤCa17が連結された連結部材20とキャリヤCa18が連結された連結部材20とをトルク伝達可能に連結することができる。また、第6クラッチC6は、スリーブ243を係合位置から軸線方向に沿って移動させて、ハブ241又はハブ242のいずれか一方のみにスプライン嵌合する解放位置に移動させることにより、キャリヤCa17が連結された連結部材20とキャリヤCa18が連結された連結部材20との連結を解くことができる。
上記のように構成される駆動装置200は、変速機構15の第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第6クラッチC6及びブレーキB1の作動状態を適宜切り替えることで、動力源としてのエンジン1、第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3から駆動軸16への動力伝達経路を切り替えて出力軸を切り替えることができ、これにより、各種の運転モードあるいは変速段を設定することができる。図5は、各クラッチC1〜C6及びブレーキB1の作動状態と、それに応じて設定される運転モードあるいは変速段をまとめて例示している。
ここで、駆動装置200は、運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1速」モード、「3速」モード及び「3速lock」モードのいずれかである場合、第3出力軸10、第1プラネタリギヤ17のサンギヤS17、キャリヤCa17を介して駆動軸16に動力が伝達され出力される。このとき、非出力側の第2プラネタリギヤ18は、サンギヤS18とキャリヤCa18、リングギヤR18とキャリヤCa18との間で実質的に伝達されるトルク(動力)が大幅に低下する。
そして、駆動装置200は、運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1速」モード、「3速」モード及び「3速lock」モードのいずれかである場合、さらに、第6クラッチC6を解放状態にする。これにより、第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18に連結された連結部材20がキャリヤCa17に連結された連結部材20から解放され非連結となることから、この第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18は、第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17の回転に伴って従動するようにして回転することが防止される。すなわち、この場合、第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18は、トルク伝達に寄与せず、かつ、回転もしない。
この結果、駆動装置200は、運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1速」モード、「3速」モード及び「3速lock」モードのいずれかである場合、さらに、第6クラッチC6を解放状態にすることで、第2プラネタリギヤ18をトルク伝達に寄与させず、かつ、回転もさせないようにすることができるので、トルク伝達に実質的に寄与しない第2プラネタリギヤ18に対して最低限の潤滑油も供給する必要がない。したがって、駆動装置200は、運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1速」モード、「3速」モード及び「3速lock」モードのいずれかである場合、ECU33により第6クラッチC6を解放状態に制御し、流量制御弁39の駆動を制御し分岐油路39aを遮断して全閉とし、第6クラッチC6により第1プラネタリギヤ17から切り離された第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給を遮断する。これにより、オイルポンプ36の負荷をさらに低減することができ、この結果、オイルポンプ損失を低減することができ、さらなる動力損失の低減を図ることができる。
また、この駆動装置200は、上述のように、第6クラッチC6を解放状態にすることで、第2プラネタリギヤ18をトルク伝達に寄与させず、かつ、回転もさせないようにすることができることで、第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17の回転に伴って回転して第1プラネタリギヤ17の回転に対して抵抗として作用することを防止することができる。これにより、第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18が第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17の回転に伴って回転することによる動力損失も防止することができる。
次に、図6のフローチャートを参照して、本実施例に係る駆動装置200における潤滑油供給量低減制御を説明する。なお、ここでも図3での潤滑油供給量低減制御の説明と重複する記載はできるだけ省略する。すなわち、図6に示す潤滑油供給量低減制御のS100、S104乃至S108は、図3で説明した潤滑油供給量低減制御のS100、S104乃至S108と同様の処理である。
駆動装置200のECU33は、S100にて、現在の運転モードが「EV走行」モード又は「非EV走行」モードにおける「1速」モード、「3速」モード、「3速lock」モードのいずれかであると判定し、動力が第3出力軸10(第1プラネタリギヤ17)側から出力されていると判定した場合(S100:第3出力軸側)、第2プラネタリギヤ18のキャリヤCa18と第1プラネタリギヤ17のキャリヤCa17との切り離しクラッチである第6クラッチC6を解放状態にする(S201)。その後、ECU33は、流量制御弁39の駆動を制御し分岐油路39aを遮断して全閉とし、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給を遮断し(S202)、その後の処理を実行する。
以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置200によれば、潤滑油供給装置34が運転モードに応じて第1プラネタリギヤ17と第2プラネタリギヤ18とにおいて伝達する動力が少ない第1プラネタリギヤ17、第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給量を低減することから、動力源の動力を利用して作動するオイルポンプ36の負荷を低減することができ、これにより、オイルポンプ損失を低減することができる。この結果、動力損失を低減することができ、さらなる燃費の向上を図ることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置200によれば、動力の伝達に寄与しない差動機構としての第2プラネタリギヤ18を他の差動機構としての第1プラネタリギヤ17から切り離し可能な第6クラッチC6を備える。したがって、運転状態に応じて第6クラッチC6により動力の伝達に寄与しない第2プラネタリギヤ18を第1プラネタリギヤ17から切り離すことで、第2プラネタリギヤ18をトルク伝達に寄与させず、かつ、回転もさせないようにすることができるので、第2プラネタリギヤ18が第1プラネタリギヤ17の回転に対して抵抗として作用することを防止することができ、これにより、動力の伝達に寄与しない第2プラネタリギヤ18における動力損失を防止することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置200によれば、潤滑油供給装置34は、第6クラッチC6により切り離された動力の伝達に寄与しない差動機構としての第2プラネタリギヤ18への潤滑油の供給を遮断する。したがって、オイルポンプ36の負荷をさらに低減することができ、オイルポンプ損失をさらに低減することができる。この結果、さらなる動力損失の低減を図ることができ、さらなる燃費の向上を実現することができる。
なお、上述した実施例1の駆動装置100であれば、例えば、実施例2の切離手段としての第6クラッチC6を備えていないことから、実施例2の駆動装置200と比較して装置の大型化や製造コストの増加を抑制することができる。
図7は、本発明の実施例3に係る駆動装置が適用された車両の概略構成図、図8は、本発明の実施例3に係る駆動装置の第1モータジェネレータ、動力分割機構、変速機構及び出力部を含む断面図、図9は、本発明の実施例3に係る駆動装置の第2モータジェネレータ及び出力部を含む断面図、図10は、本発明の実施例3に係る駆動装置において図8の矢印A方向から見た主要構成要素の配置を説明する図、図11は、本発明の実施例3に係る駆動装置における各変速段を設定するためのクラッチ及びブレーキの作動状態を示す図表(作動図)、図12、本発明の実施例3に係る駆動装置における油圧低減量制御の一例を説明するフローチャートである。
実施例3に係る駆動装置は、実施例1に係る駆動装置と略同様の構成であるが、動力伝達経路切替手段の構成が異なり運転状態に応じて動力伝達経路切替手段の油圧部に供給される油圧を低減する点で実施例1に係る駆動装置とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
図7、図8、図9に示すように、本実施例に係る駆動装置300は、電動機と内燃機関とを組み合わせて動力源とする、いわゆるハイブリッド車両300Aに搭載され、動力源で発生した動力を出力部材に伝達するものである。なお、本実施例のハイブリッド車両300Aは、内燃機関と駆動輪とが車両前部に位置するいわゆるFFの駆動形式となっているがこれに限らない。
具体的には、このハイブリッド車両300Aに適用される駆動装置300は、ハイブリッド形式のものであって、動力源として、内燃機関としてのエンジン(ENG)301と、発電機能のある少なくとも二台の電動機として第1モータジェネレータ(MG1)302、第2モータジェネレータ(MG2)303とを備えている。さらに、この駆動装置300は、エンジン301と及び第1モータジェネレータ302がそれぞれ連結された動力分割機構304と、動力分割機構304からの動力が伝達される中間回転部材としての中間軸305と、中間軸305の回転を変速する動力伝達経路切替手段としての変速機構306と、変速機構306又は第2モータジェネレータ303から出力された動力を駆動輪308に伝達するための出力部307とを備える。さらに、この駆動装置300は、上述の駆動装置100(図1参照)と同様に、コントローラ31と、蓄電装置32と、制御手段としての電子制御ユニット(ECU)33とを備える。
この駆動装置300は、動力源としてのエンジン301、第1モータジェネレータ302、第2モータジェネレータ303から後述する出力部307の出力部材としてのカウンタドリブンギヤ320への動力伝達経路を切り替えるための複数の係合機構として、第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302が設けられている。したがって、駆動装置300は、これらの第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302を適宜に係合・解放させることにより、多様な動力伝達状態を設定することができる。
本実施形態の駆動装置300は、エンジン301及び一方のモータジェネレータとしての第1モータジェネレータ302が変速機構306を介して出力部材としてのカウンタドリブンギヤ320に連結される一方、他方のモータジェネレータとしての第2モータジェネレータ303が変速機構306を介さずに直接的に出力部材としてのカウンタドリブンギヤ320に連結される。
エンジン301は、上記で説明したエンジン1(図1参照)と同様に、燃料を燃焼して生じる熱エネルギをトルクなどの機械的エネルギの形で出力する熱機関である。第1モータジェネレータ302、第2モータジェネレータ303は、上記で説明した第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3(図1参照)と同様に、電力が供給されて回転することによりトルクなどの機械的エネルギを出力する以外に、外力によって強制的に回転させられて起電力を生じるように構成されたものである。第1モータジェネレータ302は、ステータ302Sと、ロータ302Rを有する(図8参照)。ステータ302Sは、ケーシングなどの固定部310に固定される。ロータ302Rは、ステータ302Sの内周側にこのステータ302Sと同軸に配置されている。ロータ302Rは、後述する動力分割機構304のサンギヤS304に連結されたロータ軸302Ax(第1モータジェネレータ302の出力軸)に設けられている。第2モータジェネレータ303は、ステータ303Sと、ロータ303Rを有する(図9参照)。ステータ303Sは、ケーシングなどの固定部310に固定される。ロータ303Rは、ステータ303Sの内周側にこのステータ303Sと同軸に配置されている。ロータ303Rは、後述する出力部307の第2ドライブギヤ319に連結されたロータ軸303Ax(第2モータジェネレータ303の出力軸)に設けられている。
ここで、本実施例の駆動装置300は、第1モータジェネレータ302、動力分割機構304及び変速機構306の回転軸線が共通の第1軸線Ax1上に配置されている(図10も参照)。一方、駆動装置300は、第2モータジェネレータ303の回転軸線が第1軸線Ax1とは異なる軸線であって、この第1軸線Ax1と平行な第2軸線Ax2上に変速機構306と軸線方向に関してオーバーラップした状態で配置されている(図10も参照)。つまり、第1モータジェネレータ302と第2モータジェネレータ303とは、別軸に配置されており、第2モータジェネレータ303は、軸線方向に対して動力分割機構304を挟んで第1モータジェネレータ302の反対側において変速機構306の半径方向の外側に配置されている。なお、第2モータジェネレータ303は、第1モータジェネレータ302と別軸に配置されているが、第1モータジェネレータ302と軸線方向に関してオーバーラップしていない。
動力分割機構304は、相互に差動回転する少なくとも三つの回転要素を備えた差動機構によって構成することができる。動力分割機構304は、エンジン301に連結された第1回転要素、第1モータジェネレータ302に連結された第2回転要素及び動力を出力する第3回転要素を有する。
すなわち、動力分割機構304は、回転要素として、サンギヤS304と、リングギヤR304と、キャリヤCa304とを有する。サンギヤS304は、外歯歯車として構成される。リングギヤR304は、サンギヤS304に対して同心円上、すなわち、同軸上に配置された内歯歯車として構成される。キャリヤCa304は、サンギヤS304とリングギヤR304とに噛み合っているピニオンギヤP304を自転自在、かつ、公転自在に保持するように構成されている。動力分割機構304は、これら3つの回転要素としてのサンギヤS304と、リングギヤR304と、キャリヤCa304とが相互に差動回転するように構成されたシングルピニオン型の差動(遊星)歯車機構である。
動力分割機構304の回転要素であるキャリヤCa304は、入力軸309を介してエンジン301が連結されている。エンジン301からの動力は、入力軸309を介してこのキャリヤCa304に伝達される。動力分割機構304の回転要素であるサンギヤS304は、第1モータジェネレータ302のロータ軸302Axが連結されている。第1モータジェネレータ302は、動力分割機構304よりエンジン301側に配置されている。第1モータジェネレータ302からの動力は、このサンギヤS304に伝達される。動力分割機構304の回転要素であるリングギヤR304は、中間軸305が連結されている。エンジン301からキャリヤCa304に伝達(入力)された動力及び第1モータジェネレータ302からサンギヤS304に伝達(入力)された動力は、リングギヤR304から中間軸305に伝達(出力)される。すなわち、動力分割機構304は、キャリヤCa304が上記第1回転要素、サンギヤS304が上記第2回転要素、リングギヤR304が上記第3回転要素にそれぞれ相当する。
ここで、上述のエンジン301からの入力軸309、中間軸305、第1モータジェネレータ302のロータ軸302Axとは、同軸に配置されており、したがって、入力軸309、中間軸305、第1モータジェネレータ302のロータ軸302Axは、第1軸線Ax1の回りに同軸で回転する。
変速機構306は、差動作用を有する複数の差動機構としての第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312を含んで構成され、油圧部313、314、315、316に供給される作動媒体、ここでは潤滑媒体として兼用される潤滑油の油圧により作動して動力源から出力部材としてのカウンタドリブンギヤ320への動力の伝達経路を運転状態に応じて切り替えてカウンタドリブンギヤ320に出力する動力を変速可能なものである。変速機構306は、軸線方向に沿って動力分割機構304を挟んでエンジン301、第1モータジェネレータ302とは反対側に同一直線上に配置されている。変速機構306は、動力分割機構304のリングギヤR304から中間軸305を介して入力されカウンタドリブンギヤ320に出力する動力を変速するためのものであって、入力回転数と出力回転数との比を複数に変化させることができるものである。この変速機構306は、複数の変速状態あるいは入出力状態を設定するための複数の係合機構として、上述した第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302を含んで構成される。
第1プラネタリギヤ311と第2プラネタリギヤ312とは、一部の回転要素が共用されることでラビニヨ型の遊星歯車機構をなす。第1プラネタリギヤ311は、1組のダブルピニオン型の遊星(差動)歯車機構をなす一方、第2プラネタリギヤ312は、1組のシングルピニオン型の遊星(差動)歯車機構をなす。
すなわち、第1プラネタリギヤ311は、回転要素として、サンギヤS311と、リングギヤR311と、キャリヤCa311とを有する。サンギヤS311は、後述する第2プラネタリギヤ312のサンギヤS312より小径の外歯歯車として構成される。リングギヤR311は、サンギヤS311に対して同心円上、すなわち、同軸上に配置された内歯歯車として構成される。キャリヤCa311は、リングギヤR311に噛み合っている第1ピニオンギヤP311−1及びこの第1ピニオンギヤP311−1とサンギヤS311とに噛み合っている第2ピニオンギヤP311−2を自転自在、かつ、公転自在に保持するように構成されている。第1プラネタリギヤ311は、これら3つの回転要素としてのサンギヤS311と、リングギヤR311と、キャリヤCa311とが相互に差動回転するように構成されたダブルピニオン型の遊星(差動)歯車機構である。
第2プラネタリギヤ312は、回転要素として、サンギヤS312と、リングギヤR312と、キャリヤCa312とを有する。サンギヤS312は、第1プラネタリギヤ311のサンギヤS311より大径の外歯歯車として構成される。リングギヤR312は、サンギヤS312に対して同心円上、すなわち、同軸上に配置された内歯歯車として構成される。キャリヤCa312は、サンギヤS312とリングギヤR312とに噛み合っているロングピニオンギヤP312を自転自在、かつ、公転自在に保持するように構成されている。第2プラネタリギヤ312は、これら3つの回転要素としてのサンギヤS312と、リングギヤR312と、キャリヤCa312とが相互に差動回転するように構成されたシングルピニオン型の遊星(差動)歯車機構である。
そして、第1プラネタリギヤ311と第2プラネタリギヤ312とは、第1プラネタリギヤ311のキャリヤCa311と第2プラネタリギヤ312のキャリヤCa312とが共通の部材で構成されていると共に、第1プラネタリギヤ311のリングギヤR311と第2プラネタリギヤ312のリングギヤR312とが共通の部材にて構成され、かつ、第2プラネタリギヤ312のロングピニオンギヤP312が第1プラネタリギヤ311の第1ピニオンギヤP311−1を兼ねることで、上述したようにラビニヨ型の遊星歯車機構をなす。なお、第1ピニオンギヤP311−1として兼用されるロングピニオンギヤP312は、軸線方向に沿った長さが第2ピニオンギヤP311−2より長く設定されている。
したがって、この第1プラネタリギヤ311と第2プラネタリギヤ312とが一部の回転要素を共用することで構成されるラビニヨ型の遊星歯車機構は、あわせて4つの回転要素RM1、RM2、RM3、RM4を有することとなる。すなわち、第1回転要素RM1は、第1プラネタリギヤ311のサンギヤS311により構成され、第2回転要素RM2は、第1プラネタリギヤ311のリングギヤR311と第2プラネタリギヤ312のリングギヤR312が互いに連結され言い換えれば共通の部材とされることで構成され、第3回転要素RM3は、第1プラネタリギヤ311のキャリヤCa311と第2プラネタリギヤ312のキャリヤCa312が互いに連結され言い換えれば共通の部材とされることで構成され、第4回転要素RM4は、第2プラネタリギヤ312のサンギヤS312により構成される。
第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302は、相互に差動回転可能な第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312の上記複数の回転要素、すなわち、第1回転要素RM1、第2回転要素RM2、第3回転要素RM3、第4回転要素RM4、中間軸305、固定部310などの間の連結関係を切り替えるものである。ここでは、第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302は、複数のセパレータプレートや複数のフリクションプレートからなる多板クラッチなどの摩擦式の係合機構が適用される。そして、第1クラッチC301は油圧部313に供給される潤滑油の油圧、第2クラッチC302は油圧部314に供給される潤滑油の油圧、第1ブレーキB301は油圧部316に供給される潤滑油の油圧、第2ブレーキB302は油圧部315に供給される潤滑油の油圧によりそれぞれ多板クラッチに押圧力が作用することでこれらの多板クラッチが摩擦係合可能である。
油圧部313、314、315、316は、それぞれ、油圧室と、押圧ピストンとを有し、ピストンが油圧室に供給される潤滑油の油圧に応じて各多板クラッチに押圧力を作用させることで、第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301、第2ブレーキB302の作動状態を係合状態と開放状態との間で切り替え可能であり、すなわち、第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312の複数の回転要素間の連結関係を切り替え可能である。
第1クラッチC301は、中間軸305と第1回転要素RM1(サンギヤS311)とを選択的に連結するものである。すなわち、第1クラッチC301は、中間軸305と第1回転要素RM1とを結合する係合状態とその結合を解放する解放状態とで動作可能である。
第2クラッチC302は、中間軸305と第3回転要素RM3(キャリヤCa311、キャリヤCa312)とを選択的に連結するものである。すなわち、第2クラッチC302は、中間軸305と第3回転要素RM3とを結合する係合状態とその結合を解放する解放状態とで動作可能である。なお、この第3回転要素RM3と固定部310との間には、ワンウェイクラッチ317が設けられている。ワンウェイクラッチ317は、第3回転要素RM3と固定部310との相対回転を一方向のみで許容するものであり、つまり、第3回転要素RM3は、このワンウェイクラッチ317により固定部310に対して一方向の回転のみが許容されている。
第1ブレーキB301は、固定部310と第4回転要素RM4(サンギヤS312)とを選択的に連結するものである。すなわち、第1ブレーキB301は、固定部310と第4回転要素RM4とを結合する係合状態とその結合を解放する解放状態とで動作可能である。
第2ブレーキB302は、固定部310と第3回転要素RM3(キャリヤCa311、キャリヤCa312)とを選択的に連結するものである。すなわち、第2ブレーキB302は、固定部310と第3回転要素RM3とを結合する係合状態とその結合を解放する解放状態とで動作可能である。
そして、変速機構306は、これら第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302の作動状態の組み合わせを変更することにより第1速から第4速までの4つの変速段を選択的に成立させることができる。図11は、第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302の作動状態と、それに応じて設定される変速機構306が成立させる変速段とをまとめて例示している。この図において、「○」印はトルクを伝達するように係合している係合状態を、「×」印はトルクの伝達を遮断するように解放している解放状態をそれぞれ示している。図示の通りに第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302の作動状態が切り替えられることにより段階的に変速比が異なる4つの変速段(1st、2nd、3rd、4th)が成立する。なお、変速段の切り替えは周知のように車速とアクセル操作量とに基づいて行われる。
出力部307は、変速機構306又は第2モータジェネレータ303から出力された動力を駆動輪308に伝達するものであり、第1ドライブギヤ318と、第2ドライブギヤ319と、出力部材としてのカウンタドリブンギヤ320と、差動装置321と、中間ギヤ322と、ドリブンギヤ323とを含んで構成される。
第1ドライブギヤ318は、変速機構306の出力回転要素をなす第2回転要素RM2(リングギヤR311、リングギヤR312)と連結されており、第2回転要素RM2から出力された動力が伝達される。
第2ドライブギヤ319は、第2モータジェネレータ303のロータ軸303Ax(図9参照)が連結されており、ロータ軸303Axから出力された動力が伝達される。
カウンタドリブンギヤ320は、第1ドライブギヤ318と第2ドライブギヤ319とが共通に噛み合うものであり、第1ドライブギヤ318又は第2ドライブギヤ319に入力された動力が伝達される。なお、本実施例の駆動装置300は、カウンタドリブンギヤ320を第1ドライブギヤ318と第2ドライブギヤ319とで共用することができるため、例えば、各ドライブギヤに対応する2つのカウンタドリブンギヤを軸線方向に並べる場合と比較して小型化を容易に達成できる。
差動装置321は、カウンタドリブンギヤ320を経由した動力を左右の駆動輪308に伝達するものである。カウンタドリブンギヤ320と差動装置321との間には、カウンタドリブンギヤ320と同軸かつ一体回転する中間ギヤ322が介在しており、この中間ギヤ322は差動装置321の固定部310(図8参照)に設けられたドリブンギヤ323と噛み合っている。なお、出力部307のこれらのギヤ群と差動装置321とは、共通の固定部310にて支持されている。
そして、上述した第1モータジェネレータ302及び第2モータジェネレータ303は、インバータなどのコントローラ31を介してバッテリーなどの蓄電装置32に接続されており、このコントローラ31によって制御されて電動機あるいは発電機として動作するように構成されている。さらに、第1モータジェネレータ302及び第2モータジェネレータ303の出力トルクや発電量の制御、第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301、第2ブレーキB302を動作させることによる変速状態もしくは運転モードの制御などを行うためのECU33が設けられている。このECU33は、マイクロコンピュータを主体にして構成されたものであって、車速や要求駆動力、蓄電装置32の充電量(SOC)などの入力データおよび予め記憶しているデータを利用して演算を行い、その演算の結果を第1モータジェネレータ302及び第2モータジェネレータ303を制御するための指令信号としてコントローラ31に出力するように構成されている。また、ECU33は、いずれかの第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301、第2ブレーキB302を動作させて所定の運転モードあるいは変速段を設定する指令信号を出力するように構成されている。
上記のように構成される駆動装置300は、ハイブリッド車両300Aに搭載され、変速機構306の第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301及び第2ブレーキB302の作動状態を適宜切り替えることで、動力源としてのエンジン301、第1モータジェネレータ302、第2モータジェネレータ303からカウンタドリブンギヤ320への動力伝達経路を切り替えて出力軸を切り替えることができ、これにより、各種の運転モードあるいは変速段を設定することができる。また、この駆動装置300は、第1モータジュネレータ302、動力分割機構304及び変速機構306が共通の第1軸線Ax1上に配置され、第2モータジェネレータ303が第1軸線Ax1と平行な第2軸線Ax2上に変速機構306と軸線方向に関してオーバーラップした状態で配置されているため、第1軸線Ax1上に第2モータジェネレータ303を配置する場合に比べて軸線方向の寸法を短縮することができる。これにより、例えば、FFの駆動形式の車両300Aへの搭載性を向上させることができる。また、第2モータジェネレータ303は、第1モータジェネレータ302と軸線方向に関してオーバーラップしていないため、一方のモータジェネレータの外径の設定が他方のモータジェネレータの外径に制約されることがない。したがって、第1モータジュネレータ302、第2モータジェネレータ303の外径を容易に拡大できる。さらに、変速機構306から出力された動力と第2モータジェネレータ303から出力された動力とが出力部307のカウンタドリブンギヤ320へ並列的に伝達されるため、第2モータジェネレータ303が変速機構306の変速操作に影響を受けることがない。したがって、変速機構306の変速時に第2モータジェネレータ303の回転数が変化することがない。
ここで、この駆動装置300は、図7に示すように、さらに、動力分割機構304や変速機構306の第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312などの装置各部に潤滑媒体としての潤滑油あるいは変速機構306の油圧部313、314、315、316などの装置各部に作動媒体としての作動油を供給する供給手段として、潤滑油供給装置334を備える。ここでは、潤滑媒体と作動媒体とが潤滑油(あるいは作動油)により兼用されることから、以下、特に断りのない限り、潤滑媒体、作動媒体ともに「潤滑油」であるものとして説明する。この潤滑油供給装置334は、動力源の動力を利用して圧送手段としてのオイルポンプ336により潤滑油を圧送し、少なくともこの潤滑油を作動媒体として油圧部313、314、315、316に供給可能かつこの潤滑油を潤滑媒体として第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312に供給可能である。
潤滑油供給装置334は、潤滑油を供給対象部、すなわち、動力分割機構304や変速機構306の第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312、油圧部313、314、315、316などの装置各部に供給するための通路である油路335と、この油路335に接続され、貯留部(不図示)に貯留される潤滑油を吸入、加圧、吐出し圧送する圧送手段としてのオイルポンプ336と、油路335から分岐し上記各供給対象部に潤滑油を供給するための分岐油路337a、338a、339a、340a、341a、342a、343aにそれぞれ設けられる流量制御弁337、338、339、340、341、342、343を含んで構成される。
オイルポンプ336は、動力源の動力を利用して駆動するものであり、エンジン301のクランクシャフト(不図示)や第1モータジェネレータ302、第2モータジェネレータ303のロータ軸302Ax、ロータ軸303Axの回転に連動して駆動する機械式ポンプや第1モータジェネレータ302、第2モータジェネレータ303で発電される電力により駆動する電動式ポンプを適用することができる。本実施例のオイルポンプ336は、図9に示すように、第2ドライブギヤ319の回転軸であり第2軸線Ax2上に配置されたドライブギヤ軸324に設けられている。ドライブギヤ軸324は、第2モータジェネレータ303の動力が出力されロータ軸303Axと一体回転する。このオイルポンプ336は、ドライブギヤ軸324の回転によって駆動される周知の機械式のトロコイド型オイルポンプである。したがって、このオイルポンプ336は、例えば、エンジン301の回転を減速してこのオイルポンプ336に伝達するための減速機構が不要となり、低車速から十分なオイルの吐出量を確保できる。
流量制御弁337は、動力分割機構304に潤滑油を供給する分岐油路337aに設けられ、流量制御弁338は、第1プラネタリギヤ311に潤滑油を供給する分岐油路338aに設けられ、流量制御弁339は、第2プラネタリギヤ312に潤滑油を供給する分岐油路339aに設けられ、流量制御弁340は、油圧部313に潤滑油を供給する分岐油路340aに設けられ、流量制御弁341は、油圧部314に潤滑油を供給する分岐油路341aに設けられ、流量制御弁342は、油圧部315に潤滑油を供給する分岐油路342aに設けられ、流量制御弁343は、油圧部316に潤滑油を供給する分岐油路343aに設けられる。流量制御弁337、338、339、340、341、342、343は、分岐油路337a、338a、339a、340a、341a、342a、343aを開閉し油路開度を調節することで、動力分割機構304、第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312、油圧部313、314、315、316に供給される潤滑油の流量をそれぞれ調節し供給量あるいは油圧を調節することができる。そして、このオイルポンプ336、流量制御弁337、338、339、340、341、342、343は、上述のECU33に電気的に接続されており、その駆動が制御されている。
ここで、本実施例の駆動装置300は、この潤滑油供給装置334が運転モードなどに応じて第1プラネタリギヤ311と第2プラネタリギヤ312とにおいて伝達する動力が少ない第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312への潤滑油の供給量又は変速機構306が動力の伝達に寄与しない場合における油圧部313、314、315、316の油圧を低減することで、動力源、ここでは、第2モータジェネレータ303の動力を利用して作動するオイルポンプ336の負荷を低減し、これにより、オイルポンプ損失を低減し、さらなる動力損失の低減を図り、さらなる燃費の向上を図っている。
具体的には、潤滑油供給装置334は、変速機構306が動力の伝達に寄与しない場合における油圧部313、314、315、316の油圧を低減可能である。すなわち、潤滑油供給装置334は、変速機構306が動力の伝達に寄与しない所定の運転モードの際に油圧部313、314、315、316の油圧を低減する。
本実施例の駆動装置300は、「EV走行」モードの際には、動力源のうちエンジン301及び第1モータジェネレータ302が動力をカウンタドリブンギヤ320に伝達せずに第2モータジェネレータ303が出力する動力のみで車両300Aを走行させる。つまり、駆動装置300は、「EV走行」モードの際には、動力源のうち第2モータジェネレータ303から出力される機械的動力のみをカウンタドリブンギヤ320、駆動輪308に伝達して駆動力を生じさせる。したがって、駆動装置300は、この「EV走行」モードの際には、変速機構306が動力の伝達に寄与しない。また、本実施例の駆動装置300は、「回生走行」モードの際には、第2モータジェネレータ303が発電機として作動することで電力の回生を行う。つまり、駆動装置300は、「回生走行」モードの際には、減速時や制動時にカウンタドリブンギヤ320などを介して駆動輪308の回転を第2モータジェネレータ303のロータ軸303Axに伝達させ、この回転を利用して第2モータジェネレータ303を発電機として機能させて発電(回生発電)を行うと共に駆動輪308に回生制動力を作用させ制動する。このとき、動力源のうちエンジン301及び第1モータジェネレータ302は、動力を出力しない。したがって、駆動装置300は、この「回生走行」モードの際には、変速機構306が動力の伝達に寄与しない。
なお、この駆動装置300は、エンジン301及第1モータジェネレータ302が変速機構306を介してカウンタドリブンギヤ320に連結される一方、第2モータジェネレータ303が変速機構306を介さずに直接的にカウンタドリブンギヤ320に連結されていることから、「EV走行」モード、「回生走行」モード中の変速ショックやいわゆるヘジテーション(応答性の悪化)を抑制することができる。
潤滑油供給装置334は、動力源のうち第2モータジェネレータ303による動力のみがカウンタドリブンギヤ320に伝達される運転モードである「EV走行」モード又は第2モータジェネレータ303が電力の回生を行う運転モードである「回生走行」モードである際に油圧部313、314、315、316の油圧を低減する。潤滑油供給装置334は、「EV走行」モード又は「回生走行」モードである際に、ECU33による制御により供給量低減手段としての流量制御弁340、341、342、343の駆動が制御され分岐油路340a、341a、342a、343aの開度を相対的に小さくして、油圧部313、314、315、316の油圧を低減することで、オイルポンプ336の負荷を低減することができ、これにより、オイルポンプ損失を低減することができ、動力損失を低減することができる。 またこれにより、変速機構306を構成する第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312の差動回転数の低減及び第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301、第2ブレーキB302の解放によるセパレータプレート、フリクションプレートなどの摩擦材の滑り量の低減を図ることができ、この結果、無負荷損失の低減を図ることができる。
また、駆動装置300は、「EV走行」モード又は「回生走行」モードである際には、変速機構306が動力の伝達に寄与せず、他の運転モードの場合と比較して第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312が伝達する動力も相対的に少なくなり、さらに言えば、第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312は、ともに実質的に動力の伝達に寄与しない。したがって、潤滑油供給装置334は、「EV走行」モード又は「回生走行」モードである際に、ECU33による制御により供給量低減手段としての流量制御弁338、339の駆動が制御され分岐油路338a、339aの開度を相対的に小さくして、第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312への潤滑油の供給量を両方とも低減することで、オイルポンプ336の負荷をさらに低減することができ、これにより、オイルポンプ損失をさらに低減することができ、動力損失をさらに低減することができる。
ところで、駆動装置300は、上記のように「EV走行」モード、「回生走行」モードである場合、すなわち、変速機構306が動力の伝達に寄与しない場合において油圧部313、314、315、316の油圧を低減している状態ではエンジン301は基本的には停止状態にある。そして、本実施例の潤滑油供給装置334は、「EV走行」モード、「回生走行」モードにおいて油圧部313、314、315、316の油圧が低減されエンジン301が停止した状態でこのエンジン301の始動が要求される際に、エンジン301の始動前に予め油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に少なくしている。潤滑油供給装置334は、油圧部313、314、315、316の油圧が低減された状態でエンジン301の始動が要求される際に、ECU33による制御により流量制御弁340、341、342、343の駆動が制御され分岐油路340a、341a、342a、343aの開度を相対的に大きくして、油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に少なくする。
エンジン301の始動要求の有無は、種々の公知の手法により判定されれば良く、例えば、判定手段としてのECU33により、車両300Aに対する運転者からのドライバ要求駆動力や車両300Aの車速などに基づいて判定すればよい。ECU33は、例えば、ドライバ要求駆動力に相当する値としてアクセル開度センサ33aにより検出したアクセル開度が予め設定された所定開度以上となった場合や車速センサ33bにより検出した車両300Aの車速が予め設定された所定速度以上となった場合にエンジン301の始動要求が生じたと判定することができる。そして、潤滑油供給装置334は、このようにエンジン301の始動要求が生じたと判定された場合に油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に少なくする。言い換えれば、ECU33は、ドライバ要求駆動力に相当する値としてアクセル開度又は車両300Aの車速に基づいて油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を設定し、潤滑油供給装置334は、アクセル開度又は車両300Aの車速に基づいて油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を調節するとよい。すなわち、潤滑油供給装置334は、アクセル開度が所定開度以上である場合又は車速が所定速度以上である場合には油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に少なくする一方、アクセル開度が所定開度未満であり車速が所定速度未満である場合には油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に多くするとよい。
これにより、この駆動装置300は、変速機構306が動力の伝達に寄与せず油圧部313、314、315、316の油圧が低減される「EV走行」モード又は「回生走行」モードからエンジン301の動力を用いて車両300Aを走行させる「エンジン走行」モードに移行する際に、この「エンジン走行」モードにおいて動力の伝達に寄与することとなる変速機構306の油圧部313、314、315、316の油圧の低減量をエンジン301の始動の前に予め少なくしておくことから、「EV走行」モード又は「回生走行」モードから「エンジン走行」モードへの切り替えを円滑に実行することができる。
なお、エンジン301の始動要求の有無は、例えば、判定手段としてのECU33により、蓄電装置32の充電量SOCやエンジン301の冷却水温度などに基づいて判定してもよい。ECU33は、例えば、蓄電装置32の充電量SOCが予め設定された所定量以下となった場合や冷却水温度センサ33cにより検出したエンジン301の冷却水温度が予め設定された所定温度以下となった場合にエンジン301の始動要求が生じたと判定してもよい。言い換えれば、ECU33は、蓄電装置32の充電量SOC又はエンジン301の冷却水温度に基づいて油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を設定し、潤滑油供給装置334は、蓄電装置32の充電量SOC又はエンジン301の冷却水温度に基づいて油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を調節してもよい。すなわち、潤滑油供給装置334は、蓄電装置32の充電量SOCが所定量以下である場合又はエンジン301の冷却水温度が所定温度以下である場合には油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に少なくする一方、蓄電装置32の充電量SOCが所定量を超えておりエンジン301の冷却水温度が所定温度を超えている場合には油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に多くするとよい。
また、この駆動装置300は、車両300Aに対して、運転者から動力源のうち第2モータジェネレータ303による動力のみがカウンタドリブンギヤ320に伝達される「EV走行」モードが要求された際に、潤滑油供給装置334が油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に多くする。すなわち、潤滑油供給装置334は、例えば、運転者によりEVスイッチ33dがONにされ、運転者が「EV走行」モードを積極的に要求し、「エンジン走行」モードへの移行を積極的には望んでいないような場合に、油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に多くする。したがって、駆動装置300は、「EV走行」モード又は「回生走行」モードから「エンジン走行」モードへの切り替えの際のヘジテーションに配慮する必要がないような運転状態である場合に、より積極的に油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を多くすることで、オイルポンプ336の負荷をさらに低減することができる。
次に、図12のフローチャートを参照して本実施例に係る駆動装置300における油圧低減量制御の一例を説明する。なお、この制御ルーチンは、ECU33により数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、ECU33は、種々の公知の手法により現在の運転モードが「EV走行」モード又は「回生走行」モードであるか否かを判定する(S300)。現在の運転モードが「EV走行」モード、「回生走行」モードのいずれでもないと判定された場合(S300:No)、この油圧低減量制御を終了する。
現在の運転モードが「EV走行」モード又は「回生走行」モードであると判定された場合(S300:Yes)、すなわち、油圧部313、314、315、316の油圧が低減されていると判定された場合、ECU33は、EVスイッチ33dがONであるか否かを判定する(S302)。EVスイッチ33dがOFFであると判定された場合には(S302:No)、ECU33は、現在の駆動装置300の運転状態が、エンジン301が始動する運転状態の近傍の運転状態であるか否かを判定する(S304)。ECU33は、例えば、ドライバ要求駆動力に相当する値としてアクセル開度センサ33aが検出したアクセル開度、車速センサ33bが検出した車両300Aの車速、蓄電装置32の充電量SOC、冷却水温度センサ33cが検出したエンジン301の冷却水温度などに基づいてエンジン301の始動要求の有無を判定し、現在の駆動装置300の運転状態が、エンジン301が始動する運転状態の近傍の運転状態であるか否かを判定すればよい。
現在の駆動装置300の運転状態が、エンジン301が始動する運転状態の近傍の運転状態であると判定された場合(S304:Yes)、ECU33は、油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を後述する油圧低減量P2より少ない油圧低減量P1に設定し(S306)、潤滑油供給装置334は、この油圧低減量P1に基づいて油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を調節して、この制御を終了する。
S302においてEVスイッチ33dがONであると判定された場合(S302:Yes)、又は、S304において 現在の駆動装置300の運転状態が、エンジン301が始動する運転状態の近傍の運転状態にないと判定された場合(S304:No)、ECU33は、油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を油圧低減量P1より多い油圧低減量P2に設定し(S308)、潤滑油供給装置334は、この油圧低減量P2に基づいて油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を調節して、この制御を終了する。
以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置300によれば、複数の差動機構としての第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312を含んで構成され、油圧部313、314、315、316に供給される作動媒体としての潤滑油の油圧により作動して動力源としてのエンジン301、第1モータジェネレータ302、第2モータジェネレータ303からカウンタドリブンギヤ320への動力の伝達経路を運転状態に応じて切り替えてカウンタドリブンギヤ320に出力する動力を変速可能な変速機構306と、動力源の動力を利用してオイルポンプ336により潤滑油を圧送しこの潤滑油を作動媒体として油圧部313、314、315、316に供給可能かつこの潤滑油を潤滑媒体として第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312に供給可能であると共に、第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312において伝達する動力が少ない第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312への潤滑油の供給量、変速機構306が動力の伝達に寄与しない場合における油圧部313、314、315、316の油圧を低減可能な潤滑油供給装置334とを備える。
したがって、潤滑油供給装置334が運転モードに応じて第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312において伝達する動力が少ない第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312への潤滑油の供給量、変速機構306が動力の伝達に寄与しない場合における油圧部313、314、315、316の油圧を低減することから、動力源の動力を利用して作動するオイルポンプ336の負荷を低減することができ、これにより、オイルポンプ損失を低減することができる。この結果、動力損失を低減することができ、さらなる燃費の向上を図ることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置300によれば、潤滑油供給装置334は、変速機構306を搭載する車両300Aに対するドライバ要求駆動力又は車両300Aの車速に基づいて油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を調節する。したがって、駆動装置300は、例えば、ドライバ要求駆動力に相当する値であるアクセル開度が所定開度以上である場合や車速が所定速度以上である場合に油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に少なくする一方、アクセル開度が所定開度未満であり車速が所定速度未満である場合に油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に多くする。これにより、駆動装置300は、ドライバ要求駆動力に相当する値であるアクセル開度や車速に応じて油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を適正に調節することができ、例えば、「EV走行」モード又は「回生走行」モードから「エンジン走行」モードへの切り替えを円滑に実行することができ、ドライバビリティを向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置300によれば、動力源は、エンジン301と第1モータジェネレータ302、第2モータジェネレータ303とを含んで構成され、エンジン301及び一方の第1モータジェネレータ302が変速機構306を介してカウンタドリブンギヤ320に連結され、他方の第2モータジェネレータ303が変速機構306を介さずにカウンタドリブンギヤ320に連結され、潤滑油供給装置334は、動力源のうち第2モータジェネレータ303による動力のみがカウンタドリブンギヤ320に伝達される「EV走行」モード又は第2モータジェネレータ303が電力の回生を行う「回生走行」モードである際に油圧部313、314、315、316の油圧を低減する。したがって、駆動装置300は、エンジン301及第1モータジェネレータ302が変速機構306を介してカウンタドリブンギヤ320に連結される一方、第2モータジェネレータ303が変速機構306を介さずに直接的にカウンタドリブンギヤ320に連結されていることから、「EV走行」モード、「回生走行」モード中の変速ショックやいわゆるヘジテーション(応答性の悪化)を抑制することができる。そして、この駆動装置300は、変速機構306が動力の伝達に寄与しない「EV走行」モード、「回生走行」モードである際に油圧部313、314、315、316の油圧が低減されることで、動力源の動力を利用して作動するオイルポンプ336の負荷を低減することができ、これにより、オイルポンプ損失を低減することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置300によれば、潤滑油供給装置334は、油圧部313、314、315、316の油圧を低減した状態でエンジン301の始動が要求される際に、エンジン301の始動前に予め油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に少なくする。したがって、駆動装置300は、「EV走行」モード又は「回生走行」モードから「エンジン走行」モードに移行する際に、油圧部313、314、315、316の油圧の低減量をエンジン301の始動の前に予め少なくしておくことから、「EV走行」モード又は「回生走行」モードから「エンジン走行」モードへの切り替えを円滑に実行することができる。この結果、この駆動装置300は、動力損失の低減とヘジテーション(応答性の悪化)の抑制とを両立することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置300によれば、潤滑油供給装置334は、変速機構306を搭載する車両300Aに対して、運転者から動力源のうち第2モータジェネレータ303による動力のみがカウンタドリブンギヤ320に伝達される「EV走行」モードが要求された際に、油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を相対的に多くする。したがって、駆動装置300は、「EV走行」モード又は「回生走行」モードから「エンジン走行」モードへの切り替えの際のヘジテーションに配慮する必要がないような運転状態である場合に、より積極的に油圧部313、314、315、316の油圧の低減量を多くすることで、オイルポンプ336の負荷をさらに低減することができ、これにより、オイルポンプ損失をさらに低減することができ、動力損失をさらに低減することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係る駆動装置300によれば、変速機構306は、第1プラネタリギヤ311、第2プラネタリギヤ312の各回転要素の連結関係を切り替える第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301、第2ブレーキB302を含んで構成され、油圧部313、314、315、316に供給される潤滑油の油圧により第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301、第2ブレーキB302の作動状態を切り替え可能である。したがって、駆動装置300は、潤滑油供給装置334が油圧部313、314、315、316に供給される潤滑油の油圧を調節して第1クラッチC301、第2クラッチC302、第1ブレーキB301、第2ブレーキB302を適宜に係合・解放させることにより、多様な動力伝達状態を設定することができ、動力源からカウンタドリブンギヤ320への動力の伝達経路を運転状態に応じて切り替えてカウンタドリブンギヤ320に出力する動力を適宜変速することができる。
なお、上述した本発明の実施例に係る駆動装置は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、駆動装置は、動力源として、エンジン1、第1モータジェネレータ2、第2モータジェネレータ3、あるいは、エンジン301、第1モータジェネレータ302、第2モータジェネレータ303を備えるものとして説明したが、これに限らず、例えば、電動機を3つ以上備えていてもよい。
また、以上の説明では、駆動装置の動力伝達経路切替手段は、複数の差動機構として、第1プラネタリギヤ17と第2プラネタリギヤ18の2つのプラネタリギヤあるいは第1プラネタリギヤ311と第2プラネタリギヤ312の2つのプラネタリギヤを備えるものとして説明したが、これに限らず、例えば、3つ以上のプラネタリギヤを備えていてもよい。
また、以上の説明では、動力伝達経路切替手段としての変速機構15は、2つのシングルピニオン型の遊星歯車機構として、第1プラネタリギヤ17と第2プラネタリギヤ18を有するものとして説明したが、これに限らず、ダブルピニオン型の遊星歯車機構や遊星ローラ機構などの差動作用を有する複数の差動機構によって構成することができる。動力伝達経路切替手段としての変速機構306は、1組のダブルピニオン型の第1プラネタリギヤ311と1組のシングルピニオン型の第2プラネタリギヤ312とがラビニヨ型の遊星歯車機構をなすものとして説明したが、それぞれが独立した遊星歯車機構を構成してもよい。
以上のように、本発明に係る駆動装置は、動力損失を低減することができるものであり、種々の駆動装置に用いて好適である。
本発明の実施例1に係る駆動装置の概略構成図である。
本発明の実施例1に係る駆動装置における各モードを設定するためのクラッチ及びブレーキの作動状態を示す図表である。
本発明の実施例1に係る駆動装置における潤滑油供給量低減制御を説明するフローチャートである。
本発明の実施例2に係る駆動装置の概略構成図である。
本発明の実施例2に係る駆動装置における各モードを設定するためのクラッチ及びブレーキの作動状態を示す図表である。
本発明の実施例2に係る駆動装置における潤滑油供給量低減制御を説明するフローチャートである。
本発明の実施例3に係る駆動装置が適用された車両の概略構成図である。
本発明の実施例3に係る駆動装置の第1モータジェネレータ、動力分割機構、変速機構及び出力部を含む断面図である。
本発明の実施例3に係る駆動装置の第2モータジェネレータ及び出力部を含む断面図である。
本発明の実施例3に係る駆動装置において図8の矢印A方向から見た主要構成要素の配置を説明する図である。
本発明の実施例3に係る駆動装置における各変速段を設定するためのクラッチ及びブレーキの作動状態を示す図表(作動図)である。
本発明の実施例3に係る駆動装置における油圧低減量制御の一例を説明するフローチャートである。
符号の説明
1、301 エンジン(動力源、内燃機関)
2、302 第1モータジェネレータ(動力源)
3、303 第2モータジェネレータ(動力源)
4、304 動力分割機構
5、309 入力軸
6 第1出力軸
7 第2出力軸
8 減速機構
9、310 固定部
10 第3出力軸
11 第4出力軸
12、13、22、25、28、29、241、242 ハブ
14、23、26、30、243 スリーブ
15、306 変速機構(動力伝達経路切替手段)
16 駆動軸(出力部材)
17、311 第1プラネタリギヤ(差動機構)
18、312 第2プラネタリギヤ(差動機構)
20 連結部材
21、24、27 円筒部
31 コントローラ
32 蓄電装置
33 ECU
33a アクセル開度センサ
33b 車速センサ
33c 冷却水温度センサ
33d EVスイッチ
34、334 潤滑油供給装置(供給手段)
35、335 油路
36、336 オイルポンプ(圧送手段)
37、38、39、40、337、338、339、340、341、342、343 流量制御弁
37a、38a、39a、40a、337a、338a、339a、340a、341a、342a、343a 分岐油路
100、200、300 駆動装置
305 中間軸
307 出力部
308 駆動輪
313、314、315、316 油圧部
317 ワンウェイクラッチ
318 第1ドライブギヤ
319 第2ドライブギヤ
320 カウンタドリブンギヤ(出力部材)
321 差動装置
322 中間ギヤ
323 ドリブンギヤ
324 ドライブギヤ軸
Ax1 第1軸線
Ax2 第2軸線
B1 ブレーキ
B301 第1ブレーキ
B302 第2ブレーキ
C1、C301 第1クラッチ
C2、C302 第2クラッチ
C3 第3クラッチ
C4 第4クラッチ
C5 第5クラッチ
C6 第6クラッチ(切離手段)
Ca4、Ca8、Ca17、Ca18、Ca304、Ca311、Ca312 キャリヤ
R4、R8、R17、R18、R304、R311、R312 リングギヤ
RM1 第1回転要素
RM2 第2回転要素
RM3 第3回転要素
RM4 第4回転要素
S4、S8、S17、S18、S304、S311、S312 サンギヤ