発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLEDランプは、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末などのバックライト、屋内外広告など、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。さらに、LEDランプは、長寿命で信頼性が高く、また低消費電力、耐衝撃性、高速応答性、高純度表示色、軽薄・短小化の実現などの特徴を有することから、産業用途のみならず一般照明用としても脚光を浴びている。このようなLEDランプを種々の用途に適用する場合、白色発光を得ることが重要となる。
LEDランプで白色発光を実現する代表的な方式としては、(1)青、緑および赤の各色に発光する3つのLEDチップを使用する方式、(2)青色発光のLEDチップと黄色ないし橙色発光の蛍光体とを組合せる方式、(3)紫外線発光のLEDチップと青色、緑色および赤色発光の三色混合蛍光体(以下、RGB蛍光体と示す。)を組合せる方式、の3つが挙げられる。これらのうち、一般的には(2)の方式が広く実用化されている。
上記した(2)の方式を適用したLEDランプの構造としては、LEDチップを装備したカップ型のフレーム内に蛍光体を混合した透明樹脂を流し込み、これを固化させて蛍光体を含有する樹脂層を形成した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、高輝度化を目的として、基板(ボード)上に搭載された多数のLEDチップの上に、蛍光体を混合した透明樹脂を塗布し蛍光体含有樹脂層を形成したチップオンボード(COB)構造も開発されている。さらに、蛍光体を混合した透明樹脂をシート状に成形して成る蛍光体含有樹脂シートを、LEDチップが配置されたフレームに固定し、色むらやカップ間の色差を低減する技術も提案されている。
近年、一般照明用としてのLEDランプにおいて、演色性と呼ばれる色の見え方が重視されている。演色性は、自然光に近い照明を基準光にして光源による色の見え方を評価したものであり、演色評価数で示される。演色評価数は、JISに定められている試験色を、試料光源と基準光でそれぞれ照明したときの色ずれの大きさを数値化したものであり、基準光で見たときを100とし、色ずれが大きくなるにしたがって数値が小さくなり、100に近いほど演色性が良好である。
演色評価数には、平均演色評価数Raと特殊演色評価数Riがあり、平均演色評価数Raは、試験No.1〜No.8の演色評価数値の平均値として表される。また、特殊演色評価数Riでは、試験No.iの演色評価数の個々の数値が使用される。
現在主流となっている白色LEDは、青色発光のLEDチップと黄色ないし橙色発光の蛍光体とを組合せる方式であり、この方式のLEDでは、赤み成分が不足しているため演色性が十分ではなかった。そのため、黄色ないし橙色発光の蛍光体に加えて、窒化物系や硫化物系などの赤色発光の蛍光体を配合することにより、演色性を向上させることが行われている。
すなわち、Raの高いいわゆる高演色タイプのLEDランプでは、LEDチップからの青色光により発光する黄色蛍光体からの黄色光に、赤色蛍光体からの赤色光(例えば、主波長620nm)を合せて演色性に優れた白色光を合成することが行われている。
しかし、このような高演色タイプのLEDランプでは、赤色蛍光体が、LEDチップからの波長460nmの青色光だけでなく、黄色蛍光体から発光される黄色光も吸収して励起に使用するため、光の取り出し効率が大幅に低減するという問題があった。
そこで、これに対する対策として、赤色蛍光体(あるいは橙色蛍光体)とともに緑色蛍光体を混合して用いたLEDランプが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、赤色蛍光体の主波長を選択する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。赤色領域は、通常600nm以上で一般に670nmであるが、幅広く主波長780nmまでの領域が選択される。
特開2001−148516公報
特開2004−327518公報
特開2005−322674公報
しかしながら、特許文献2に記載されたLEDランプにおいては、緑色蛍光体からの緑色光も励起光として使用される場合が多いため、発光効率およびRaの十分な向上には繋がらなかった。
また、特許文献3に記載されたLEDランプでは、発光効率の低下を少なくしかつRa向上を考慮した場合、主波長の選定を厳密に行う必要があった。そのうえ、Ca2Sr5N8:Eu、CaAlSiN3:Euなどの窒化物系赤色蛍光体は、結晶成長が行われにくく、またその他の窒化物系赤色蛍光体においても、粒径が効率低下に大きく影響するため、幅広い波長範囲の中から最も良好な波長を選定し、さらに蛍光体粒径を厳密に設定する必要があった。蛍光体の粒径が小さいと、発光効率が上がらないばかりでなく、LEDチップからの青色発光とこの青色により励起され発光した黄色系発光の光路がいずれもふさがれ、光取り出し効率が低下することになる。
一般照明用のLEDランプとしては、3波長蛍光ランプのRa(80〜85)値が指標となり、発光効率の低下が少なくかつRa80〜85を実現した発光装置が求められている。
本発明の目的は、発光効率の向上を実現し、かつ高演色性でRaの調整が可能な発光装置を提供することにある。
請求項1記載の発光装置は、青色光を放射する発光ダイオードチップを有する発光素子と;透明樹脂と、前記発光ダイオードチップから放射された青色光により励起されて主波長が540nm以上585nm未満で半値幅が70〜110nmの可視光を発光するシリケート系蛍光体(A)の1種と、前記発光ダイオードチップから放射された青色光により励起されて主波長が585nm以上630nm以下で半値幅が70〜110nmの光を発光するシリケート系蛍光体(B)の1種以上を、半値幅の小さい蛍光体を半値幅の大きい蛍光体より多く有する蛍光体とをそれぞれ含有し、前記発光素子を覆うように配置された蛍光体含有樹脂層と;を具備し、平均演色評価数Raが80〜85であり、特殊演色評価数R9が9〜85であることを特徴としている。
また、請求項2記載の発光装置は、請求項1記載の発光装置において、前記蛍光体は、前記シリケート系蛍光体(A)の1種と、半値幅が前記シリケート系蛍光体(A)の半値幅より小さい前記シリケート系蛍光体(B)の2種以上をそれぞれ有することを特徴としている。
また、請求項3記載の発光装置は、請求項1または2の発光装置において、前記蛍光体含有樹脂層は、さらに、主波長が630nmを超えて半値幅が前記シリケート系蛍光体(A)の半値幅より大きい窒化物系蛍光体を、前記窒化物系蛍光体と前記シリケート系蛍光体(B)との合計で、前記シリケート系蛍光体(A)より多く有することを特徴としている。
さらに、請求項4記載の発光装置は、請求項1ないし3のいずれか1項記載の発光装置において、前記発光素子はワイヤボンディング接続構造を有しており、前記透明樹脂に対する前記蛍光体の配合割合は、2種類以上の蛍光体の合計で10〜20重量%であり、かつ前記蛍光体含有樹脂層の厚さ(光路長)は0.3〜1.2mmであることを特徴としている。
またさらに、請求項5記載の発光装置は、請求項1ないし4のいずれか1項記載の発光装置において、前記発光素子はフリップチップ接続構造を有しており、前記透明樹脂に対する前記蛍光体の配合割合は、2種類以上の蛍光体の合計で10〜20重量%であり、かつ前記蛍光体含有樹脂層の厚さ(光路長)は0.15〜1.2mmであることを特徴としている。
上記した請求項1ないし請求項5記載の発明において、特に指定しない限り、用語の定義および技術的意味は以下の通りである。
発光素子は、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものである。本発明で用いられる発光素子としては、例えば、青色発光タイプのLEDチップや紫外発光タイプのLEDチップなどが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではなく、蛍光体を励起して可視光を発光させることが可能な発光素子であれば、発光装置の用途や目的とする発光色などに応じて種々の発光素子を使用することができる。
蛍光体は、このような発光素子から放射された光(例えば青色光)により励起されて可視光を発光し、この可視光と発光素子から放射される光との混色によって所望の発光色を得るものである。
本発明における蛍光体としては、主波長における半値幅が70〜110nmの発光スペクトルを有する蛍光体の2種類以上を混合して使用する。半値幅は、ピークの1/2の高さにおけるスペクトルの広がり幅(波長)をいう。主波長における半値幅が70nm未満の発光スペクトルを有する蛍光体を使用したのでは、2種類以上の蛍光体を混合しても高演色性の発光を得ることができない。また、半値幅が110nmを超える発光スペクトルを有する蛍光体を使用した場合は、高い発光効率を実現することが難しい。
なお、本発明においては、主波長が540〜585nmの黄色光ないし橙色光を発光する蛍光体を黄色系蛍光体と記載し、主波長が585nmを超え630nm以下の橙色光ないし赤橙色光を発光する蛍光体を橙色系蛍光体と記載するが、特に発光の主波長を記載して蛍光体を特定する場合は、主波長が520〜540nmの緑色光ないし黄緑色光を発光する蛍光体を、黄色系蛍光体に含める場合もある。
蛍光体含有樹脂層は、蛍光体を保持する層であり、透明樹脂に前記した2種類以上の蛍光体を混合したものを、発光素子を覆うように塗布し固化することにより形成される。透明樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの液状透明樹脂を適用することができる。発光効率の向上を図るために、蛍光体の透明樹脂に対する配合割合は、2種類以上の蛍光体の合計で10〜20重量%とし、かつ光路長に相当する蛍光体含有樹脂層の厚さは、発光素子の電極接続がワイヤボンディングによりなされている場合は、0.3〜1.2mmとすることが好ましい。また、発光素子がフリップチップ電極接続構造を有する場合、蛍光体含有樹脂層の厚さ(光路長)は0.15〜1.2mmとすることが好ましい。
平均演色評価数Raは、試験色を試料光源と基準光で照明したときの色ずれの大きさを数値化したものである。Raが80以上で3波長蛍光ランプに相当する一般照明装置として十分に高い演色性を有する。
請求項1記載の発光装置によれば、半値幅が70〜110nmの可視光を発光する2種類以上の蛍光体を有しているので、発光効率の低下が少なく、かつ高演色性の発光を得ることができる。また、蛍光体の発光色(主波長)を変えることでRaの値の調整も容易に行うことができる。
請求項1記載の発光装置によれば、LEDチップと、このLEDチップからの青色光により半値幅70〜110nmの黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体の2種類以上を有しているので、高い発光効率を維持しつつRa80〜85の高演色性を実現することができる。
請求項1記載の発光装置によれば、LEDチップと、このLEDチップからの青色光により主波長540〜585nmで半値幅70〜110nmの黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体と、主波長が585nmを超え630nm以下で半値幅70〜110nmの橙色光ないし赤みがかった橙色光を発光する橙色系蛍光体をそれぞれ有しているので、高い発光効率を維持しつつRa80〜85の高演色性を実現することができる。
請求項4記載の発光装置によれば、透明樹脂に対する蛍光体の配合割合を10〜20重量%としたうえで、蛍光体含有樹脂層の厚さ(光路長)を0.3〜1.2mmに調整することによって、発光素子がワイヤボンディング接続された発光装置の発光効率をさらに向上させることができる。
請求項5記載の発光装置によれば、透明樹脂に対する蛍光体の配合割合を10〜20重量%としたうえで、蛍光体含有樹脂層の厚さ(光路長)を0.15〜1.2mmに調整することによって、発光素子がフリップチップ接続された発光装置の発光効率をさらに向上させることができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の発光装置をLEDランプに適用した第1の実施形態の構成を示す断面図である。また、図2は、図1に示すLEDランプの複数個を、例えば一平面上に3行3列のマトリックス状に配置したLEDモジュールの一例を示す平面図であり、図3は、図2のA−A線断面図である。
図1に示すLEDランプ1は、発光素子として、青色発光タイプのLEDチップ2を有している。このLEDチップ2は、回路パターン3を有する基板4上に搭載されている。基板4としては、放熱性と剛性を有するアルミニウム(Al)やニッケル(Ni)、ガラスエポキシ樹脂などから成る平板が用いられ、この基板4上に電気絶縁層5を介して陰極側と陽極側の回路パターン3が形成されている。回路パターン3は、CuとNiの合金やAuなどから構成されている。
そして、LEDチップ2の底面電極が一方の電極側の回路パターン3の上に電気的に接続され、上面電極が他方の電極側の回路パターン3に、金線のようなボンディングワイヤ6を介して電気的に接続されている。
基板4上には、凹部7を有する樹脂製などのフレーム8が設けられている。フレーム8は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPA(ポリフタルアミド)、PC(ポリカーボネート)などの合成樹脂から構成され、凹部7内にLEDチップ2が配置されている。
そして、LEDチップ2が収容された凹部7内には、主波長の半値幅が70〜110nmの可視光を発光する2種類以上の蛍光体を、透明樹脂に混合し分散させた蛍光体含有樹脂が充填されており、LEDチップ2はこのような蛍光体含有樹脂層9により覆われている。透明樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが用いられる。蛍光体含有樹脂層9は、透明樹脂に蛍光体を添加・混合した後、この蛍光体含有樹脂をLEDチップ2が配置された凹部7にディスペンサなどを用いて充填し、加熱硬化させることにより形成される。
発光効率を向上させるために、蛍光体の透明樹脂に対する配合割合は、2種類以上の蛍光体の合計で10〜20重量%とすることが好ましい。より好ましくは13〜15重量%とする。また、この実施形態のように、LEDチップ2がボンディングワイヤ6を介して回路パターン3に接続された構造(ワイヤボンディング接続構造)では、光路長に相当する蛍光体含有樹脂層9の厚さは0.3〜1.2mmとし、より好ましくは0.5〜0.9mmとする。蛍光体含有樹脂層9の厚さが0.3mm未満である場合には、発光に供される蛍光体の量が少なくなるため、発光効率の低下を招く。また、蛍光体含有樹脂層9がボンディングワイヤ6の上端部まで十分に覆うことが難しく、ボンディングワイヤ6が露出しやすくなるため、好ましくない。一方、蛍光体含有樹脂層9の厚さが1.2mmを超えると、LEDチップ2から放射される光が蛍光体含有樹脂層9の上部まで届きにくく、蛍光体含有樹脂層9中の蛍光体の全量を十分に励起しにくくなり、所望の光量を得ることが困難になる。なお、必要かつ十分な量の蛍光体を確保し発光効率の低下を抑制するために、凹部2の深さ(凹部2の開口端から底面までの距離)は通常1.0mm程度となっていることが多いが、その場合には、蛍光体含有樹脂層9の厚さは凹部2の深さ以下に制限されることになる。
蛍光体としては、LEDチップ2から放射される青色光により励起されて、主波長の半値幅が70〜110nmの可視光を発光する蛍光体の2種類以上が使用される。半値幅が前記範囲を外れるブロードな発光ピーク、あるいはシャープすぎる発光ピークを有する蛍光体を使用した場合には、効率が高くかつ高演色性の発光を得ることができない。すなわち、主波長における半値幅が70nm未満の発光スペクトルを有する蛍光体を使用した場合は、2種類以上の蛍光体を混合しても高演色性の発光を得ることができない。また、半値幅が110nmを超える発光スペクトルを有する蛍光体を使用した場合は、高い発光効率を実現することが難しい。さらに、半値幅が70〜110nmの可視光を発光する蛍光体を1種類だけ使用した場合にも、演色性が低下するので、効率が高くかつ高演色性の発光を得ることが難しい。
第1の実施形態のLEDランプ1においては、LEDチップ2からの青色光により励起されて、主波長の半値幅が70〜110nmの黄色光から橙色光間の光を発光する黄色系蛍光体の2種類以上を使用することにより、平均演色評価数Raが80〜85の高演色性を実現することができる。
また、主波長が520〜585nmで主波長の差が25〜65nmであり、かつ主波長における半値幅が70〜110nmの黄緑色光から橙色光間の光を発光する2種類の黄色系蛍光体を使用することにより、高い発光効率を維持しつつ高い演色性を実現することができる。
さらに、主波長が540〜585nmで半値幅が70〜110nmの黄色光から橙色光間の光を発光する黄色系蛍光体と、主波長が585nmを超え630nm以下で半値幅が70〜110nmの橙色光から赤みがかった橙色光間の光を発光する橙色系蛍光体とを組み合わせて使用することにより、Raが80〜85の高演色性を実現することができる。主波長が540〜585nmの黄色系蛍光体と主波長が585nmを超え630nm以下の橙色系蛍光体との配合比率は、3.5:1〜2.0:1の範囲で変えることができ、配合比を調整することにより、Raおよび色温度を調整することが可能である。
またさらに、前記した黄色系蛍光体(主波長が540〜585nmで半値幅が70〜110nm)の2種類以上と、前記した橙色系蛍光体(主波長が585nmを超え630nm以下で半値幅が70〜110nm)の1種類を組合せて使用することもできる。
主波長が585nmを超え630nm以下の橙色系蛍光体を使用する場合には、さらに主波長が600〜630nmの赤みがかった橙色光を発光する蛍光体を組合せて使用することができる。またさらに、主波長が510〜540nmで半値幅が70〜110nmの緑色光から黄緑色光間の光を発光する緑色蛍光体を、前記黄色系蛍光体または橙色系蛍光体あるいはこれら両方と組み合わせて使用することも可能である。
主波長が540〜585nmで半値幅が70〜110nmの黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体、および主波長が585nmを超え630nm以下で半値幅が70〜110nmの橙色光ないし赤橙色光を発光する橙色系蛍光体としては、AE2SiO4:Eu蛍光体(AEは、Sr、Ba、Caなどのアルカリ土類元素を示す。)や、Mg2SiO4:Eu蛍光体、Zn2SiO4:Eu蛍光体などのシリケート(珪酸塩)系蛍光体が挙げられ、これらの蛍光体の中から選択される。また、サイアロン系蛍光体(例えば、AEx(Si,Al)12(N,O)16:Eu)や酸化物系蛍光体の中から、前記主波長および半値幅を有する蛍光体を選択して使用することもできる。また、主波長が520〜585nmで半値幅が70〜110nmの黄緑色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体としても、前記したAE2SiO4:Eu蛍光体やMg2SiO4:Eu蛍光体、シリケート系蛍光体、サイアロン系蛍光体、酸化物系蛍光体の中から、前記主波長および半値幅を有する蛍光体を選択して使用することができる。
主波長が630nmを超え半値幅が70〜110nmの赤色光を発光する赤色蛍光体としては、CaAlSiN3:Eu蛍光体やSr2Si5N8:Eu蛍光体のような窒化物蛍光体が挙げられ、これらの蛍光体の中から選択して使用することができる。
第1の実施形態のLEDランプ1では、印加された電気エネルギーがLEDチップ2で主波長が例えば460nmの青色光に変換されて放射され、放射された青色光は、蛍光体含有樹脂層9中に含有された半値幅が70〜110nmの発光ピークを有する2種類以上の蛍光体で、より長波長の光に変換される。そして、LEDチップ2から放射される青色光とこれらの蛍光体の発光色とに基づく色である白色光がLEDランプ1から放出される。
そして、第1の実施形態のLEDランプ1においては、LEDチップ2から放射された青色光により励起されて半値幅が70〜110nmの可視光を発光する2種類以上の蛍光体を有しているので、効率の低下が少なくかつ演色性の高い発光を得ることができる。また、2種類以上の蛍光体として、主波長の異なる蛍光体を組み合せて使用することで、Raの値を容易に調整することができ、Ra80〜85の高演色性を実現することができる。
なお、LEDランプ1は白色発光ランプに限られるものではなく、白色以外の発光色を有するLEDランプ1を構成することも可能である。LEDランプ1で白色以外の発光、例えば中間色の発光を得る場合には、目的とする発光色に応じて種々の蛍光体が適宜に使用される。また、この実施形態では、フラットタイプSMD型のLEDランプ1を例に挙げて説明したが、特に限定されるものでなく、例えば砲弾型(または丸型)のLEDランプに適用することもできる。また、LEDランプ1をマトリックス状に複数配置した発光ダイオードモジュール21について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複数のLEDランプ1をそれぞれ1列状に形成してもよく、さらにLEDランプ1はそれぞれ単数でもよい。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の発光装置の第2の実施形態であるLEDランプの構成を示す断面図である。なお、図4において、第1の実施形態を示す図1と同様の構成要素については、同じ参照数字を用いて説明を省略する。
第2の実施形態では、LEDチップ2の電極との接続が、フリップチップ接続により行われている。すなわち、LEDチップ2は、電極形成面が下向き(フェースダウン)になるように基板4上に搭載され、電極パッドがはんだバンプ10を介して回路パターン3に電気接続されている。
そして、LEDチップ2が収容された凹部7内には、スペクトルの半値幅が70〜110nmである可視光を発光する2種類以上の蛍光体を、透明樹脂に混合し分散させた蛍光体含有樹脂が充填されており、LEDチップ2はこのような蛍光体含有樹脂層9により覆われている。蛍光体としては、第1の実施形態と同様な黄色系蛍光体と橙色系蛍光体を適宜組み合わせて使用することができる。
発光効率の向上を図るために、蛍光体の透明樹脂に対する配合割合は、2種類以上の蛍光体の合計で10〜20重量%とすることが好ましく、より好ましくは13〜15重量%とする。また、蛍光体含有樹脂層9の厚さ(光路長)は0.15〜1.2mmとし、より好ましくは0.5〜0.9mmとする。蛍光体含有樹脂層9の厚さが0.15mm未満である場合には、発光に供される蛍光体の量が少なくなるため、発光効率の低下を招く。一方、蛍光体含有樹脂層9の厚さが1.2mmを超えると、LEDチップ2から放射される光が蛍光体含有樹脂層9の上部まで届きにくく、蛍光体含有樹脂層9中の蛍光体の全量を十分に励起しにくくなり、所望の光量を得ることが困難になる。
第2の実施形態のLEDランプ1においても、LEDチップ2から放射された青色光により励起されて半値幅が70〜110nmの可視光を発光する2種類以上の蛍光体を有しているので、効率の低下が少なくかつ演色性の高い発光を得ることができる。また、2種類以上の蛍光体として、主波長の異なる蛍光体を組み合せて使用することで、Raの値を容易に調整することができ、Ra80〜85の高演色性を実現することができる。さらに、LEDチップ2の電極接続構造として、フリップチップ接続構造が適用されているので、LEDチップ2の上面への光の取出し効率が向上している。
(第3の実施形態)
図5および図6は、本発明の第3の実施形態に係わるLEDパッケージを形成する発光装置を示している。図5は、この発光装置の平面図であり、図6は、図5に示す発光装置をF−F線に沿って切断した縦断面図である。なお、図5および図6において、第1の実施形態に関する図面と同様の構成要素については同じ参照数字を用いて表している。
図5および図6に示す発光装置(LEDランプ)1は、パッケージ基板例えば装置基板4と、反射層31と、回路パターン3と、複数好ましくは多数のLEDチップ、例えば半導体発光素子2と、接着層32と、リフレクタ34と、蛍光体含有樹脂層9と、光拡散部材33とを備えて形成されている。蛍光体含有樹脂層9は封止部材としても機能する。
装置基板4は、金属または絶縁材、例えば合成樹脂製の平板からなり、発光装置1に必要とされる発光面積を得るために、所定形状例えば長方形状をなしている。装置基板4を合成樹脂製とする場合、例えば、ガラス粉末入りのエポキシ樹脂などで形成することができる。装置基板4を金属製とする場合は、この装置基板4の裏面からの放熱性が向上し、装置基板4の各部温度を均一にすることができ、同じ波長域の光を発する半導体発光素子2の発光色のばらつきを抑制することができる。なお、このような作用効果を奏する金属材料としては、10W/m・K以上の熱伝導性に優れた材料、具体的にはアルミニウムまたはその合金を例示することができる。
反射層31は、所定数の半導体発光素子2を配設し得る大きさであって、例えば、装置基板4の表面全体に被着されている。反射層31は、400〜740nmの波長領域で85%以上の反射率を有する白色の絶縁材料により構成することができる。このような白色絶縁材料としては、接着シートからなるプリプレグ(pre-preg)を使用することができる。このようなプリプレグは、例えば、酸化アルミニウムなどの白色粉末が混入された熱硬化性樹脂をシート基材に含浸させて形成することができる。反射層31はそれ自体の接着性により、装置基板4の表面となる一面に接着される。
回路パターン3は、各半導体発光素子2への通電要素として、反射層31の装置基板4が接着された面とは反対側の面に接着されている。この回路パターン3は、例えば各半導体発光素子2を直列に接続するために、装置基板4および反射層31の長手方向に所定間隔ごとに点在して2列に形成されている。一方の回路パターン3の列の一端側に位置する端側回路パターン3aには、給電パターン部3cが一体に連続して形成され、同様に他方の回路パターン3の列の一端側に位置する端側回路パターン3aには、給電パターン部3dが一体に連続して形成されている。
給電パターン部3c,3dは反射層31の長手方向一端部に並べて設けられ、互いに離間して反射層31により絶縁されている。これらの給電パターン部3c,3dのそれぞれに、電源に至る図示しない電線が個別に半田付けなどで接続されるようになっている。
回路パターン3は以下に説明する手順で形成される。まず、未硬化の前記熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグからなる反射層31を装置基板4上に貼付けた後、反射層31上にこれと同じ大きさの銅箔を貼付ける。次に、こうして得た積層体を加熱するとともに加圧して、熱硬化性樹脂を硬化させることによって、装置基板4と銅箔を反射層31に圧着し接着を完了させる。次いで、銅箔上にレジスト層を設けて、銅箔をエッチング処理した後に、残ったレジスト層を除去することによって、回路パターン3を形成する。銅箔からなる回路パターン3の厚みは例えば35μmである。
各半導体発光素子2は、例えば窒化物半導体を用いてなるダブルワイヤー型のLEDチップからなり、透光性を有する素子基板2b一面に半導体発光層2aを積層して形成されている。素子基板2bは、例えばサファイア基板で作られている。この素子基板2bの厚みは、回路パターン3より厚く、例えば90μmとする。
半導体発光層2aは、素子基板2bの主面上に、バッファ層、n型半導体層、発光層、p型クラッド層、p型半導体層を順次積層して形成されている。発光層は、バリア層とウェル層を交互に積層した量子井戸構造をなしている。n型半導体層にはn側電極が設けられ、p型半導体層上にはp側電極が設けられている。この半導体発光層2aは、反射膜を有しておらず、厚み方向の双方に光を放射できる。
図6に示すように、各半導体発光素子2は、装置基板4の長手方向に隣接した回路パターン3間にそれぞれ配置され、白色の反射層31の同一面上に接着層32により接着されている。具体的には、半導体発光層2aが積層された素子基板2bの一面と平行な他面が、接着層32により反射層31に接着されている。この接着により、回路パターン3および半導体発光素子2は反射層31の同一面上で直線状に並べられるので、この並び方向に位置した半導体発光素子2の側面と回路パターン3とは、近接して対向するように設けられている。
接着層32の厚みは、例えば5μm以下とすることができる。接着層32には、例えば5μm以下の厚みで光透過率が70%以上の透光性を有した接着剤、例えばシリコーン樹脂系の接着剤を好適に使用できる。
図5および図6に示すように、各半導体発光素子2の電極と半導体発光素子2の両側に近接配置された回路パターン3とは、ボンディングワイヤ6により接続されている。さらに、前記2列の回路パターン3列の他端側に位置された端側回路パターン3b同士も、ボンディングワイヤ6により接続されている。したがって、この実施形態の場合、各半導体発光素子2は直列に接続されている。
以上の装置基板4、反射層31、回路パターン3、各半導体発光素子2、接着層32、およびボンディングワイヤ6により、発光装置1の面発光源が形成されている。
リフレクタ34は、一個一個または数個の半導体発光素子2ごとに個別に設けられるものではなく、反射層31上の全ての半導体発光素子2を包囲する単一のものであり、例えば図5に示すように、長方形の枠で形成されており、半導体発光素子2は前記枠で形成された凹部7内に配置されている。リフレクタ34は反射層31に接着止めされていて、その内部に複数の半導体発光素子2および回路パターン3が収められているとともに、前記一対の給電パターン部3c、3dはリフレクタ34の外部に位置されている。
リフレクタ34は、例えば合成樹脂で成形することができ、その内周面は反射面となっている。リフレクタ34の反射面は、AlやNiなどの反射率の高い金属材料を蒸着またはメッキして形成することができる他、可視光の反射率の高い白色塗料を塗布して形成することができる。あるいは、リフレクタ34の成形材料中に白色粉末を混入して、リフレクタ34自体を可視光の反射率が高い白色にすることもできる。前記白色粉末としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウムなどの白色フイラーを用いることができる。なお、リフレクタ34の反射面は、発光装置1の照射方向に次第に開くように形成することが望ましい。
蛍光体含有樹脂層9は、前記第1の実施形態と同様に、透明樹脂に発光ピーク波長の半値幅が70〜110nmである可視光を発光する2種類以上の蛍光体を分散・混合した蛍光体含有樹脂により構成され、液状の蛍光体含有樹脂を、反射層31表面および一直線上に配列された各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6などを満遍なく埋めるようにして充填し、リフレクタ34内に固化させることにより形成されている。反射層31表面とボンディングワイヤ6との間に流れ込んだ液状の透明樹脂は、毛細管現象などにより各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6に行きわたり、その膜厚などがほぼ均一になっており、蛍光体も透明樹脂にほぼ均一に分散しているものと考えられる。なお、蛍光体含有樹脂層9を形成するために用いられる液状透明樹脂の粘度は、1Pa・S以上3Pa・S以下であればよく、2種以上の液状透明樹脂から成るものでも良い。
そして、蛍光体含有樹脂層9において、透明樹脂に対する蛍光体の配合割合は、2種類以上の蛍光体の合計で10〜20重量%となっている。また、光路長に相当する蛍光体含有樹脂層9の厚さは0.3〜1.2mmとなっている。
このように構成される第3の実施形態では、高い発光効率を維持しつつRa80〜85の高演色性を実現することができ、蛍光体の主波長を選択することでRaを調整することができる。さらに、反射層31からの反射もあるので、発光効率が向上する。
次に、本発明の実施例および比較例について記載する。
実施例2〜4、6、比較例1〜4、参考例1−1、1−5
青色LEDチップによる発光の主波長および半値幅が、表1に示す値を有する3種類の黄色系蛍光体(シリケート系蛍光体Y1,Y3とYAG系蛍光体Y2)、3種類の橙色蛍光体(シリケート系蛍光体O1,O2,O3)、および1種類の赤色蛍光体(窒化物系蛍光体R)をそれぞれ用意した。なお、これらの蛍光体の粒径は分級せず、上限45μmまでのものを用いた。
次に、実施例2〜4、6、参考例1−1、1−5においては、これらの蛍光体のうちの2種類以上を表2に示すように組み合わせて使用し、また比較例1〜4においては前記蛍光体の1種類を使用し、それぞれ図1に示す構成を有するLEDランプ1を作製した。
すなわち、各蛍光体をシリコーン樹脂中に表2に示す配合割合(シリコーン樹脂に対する配合割合;重量%)で混合し、分散させた。そして、得られた蛍光体含有シリコーン樹脂を、波長460nmの青色光を発光するLEDチップ2が配置された深さ1.0mm、開口径3mmのカップ(凹部7)内に、ディスペンサを用いて充填した後シリコーン樹脂を硬化させ、蛍光体含有樹脂9の厚さ(光路長)が1.0mmのLEDランプ1を作製した。
次いで、実施例2〜4、6、参考例1−1、1−5および比較例1〜4で得られたLEDランプ1をそれぞれ発光させ、瞬間分光光計MCPD−7000(大塚電子(株)社製)で発光スペクトルを測定した。そして、発光スペクトルから色温度と演色評価数(平均演色評価数Raおよび特殊演色評価数R9、R15)をそれぞれ算出した。また、ゴニオ法を用いて発光効率を測定した。これらの測定結果を表2に示す。なお、発光効率は、比較例3のLEDランプの効率を100%としたときの相対値である。
表2から明らかなように、実施例2〜4、6で得られたLEDランプ1では、半値幅が70〜110nmの黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体と、半値幅70〜110nmの橙色光ないし赤橙色光を発光する橙色系蛍光体とをそれぞれ含む2種類以上の蛍光体が使用されているので、高い発光効率を維持しつつ演色性を高めることができる。特に、実施例2〜4および実施例6のLEDランプ1では、Ra80以上の高い演色性を実現することができる。
参考例1〜5
発光の主波長が565nmで半値幅が95nmの黄色系蛍光体(シリケート系蛍光体)を、シリコーン樹脂中に10重量%の割合で混合し、分散させた。そして、得られた蛍光体含有シリコーン樹脂を、波長460nmの青色光を発光するLEDチップ2が配置された深さ1.0mm、開口径3mmのカップ(凹部7)内に、ディスペンサを用いて充填した後シリコーン樹脂を硬化させ、表3に示す蛍光体含有樹脂の厚さ(光路長)を有するLEDランプ1をそれぞれ作製した。
次いで、参考例1〜5で得られたLEDランプ1をそれぞれ発光させ、ゴニオ法を用いて発光効率を測定した。測定結果を表3および図7に示す。なお、発光効率は、蛍光体含有樹脂の厚さ(光路長)が0.7mmの参考例4のLEDランプの効率を100%としたときの相対値である。
表3および図7のグラフから、LEDチップ2の電極接続がワイヤボンディングによりなされているLEDランプ1では、蛍光体含有樹脂層9の厚さを0.3mm以上とした参考例2〜5において高い発光効率が得られ、蛍光体含有樹脂層9の厚さが0.3mm未満である参考例1では、大幅に発光効率が低下することがわかる。
この参考例は、半値幅が70〜110nmの範囲にある黄色系蛍光体の1種類を使用したLEDランプ1についての測定結果であるが、半値幅が70〜110nmの蛍光体の2種類以上を使用した場合も同様な結果が得られた。
1…LEDランプ、2…LEDチップ、3…回路パターン、4…基板、6…ボンディングワイヤ、7…凹部、8…フレーム、9…蛍光体含有樹脂層、10…はんだバンプ、21…LEDモジュール。