ところで、特許文献1,2に示されるように、コネクタを有し、封止樹脂によって封止された従来の電子制御装置では、基板の厚さ方向に略垂直な方向において、コネクタにおける少なくとも相手方コネクタ(外部コネクタ)との嵌合部位が、基板の外周端よりも外側の位置となっている。このため、コネクタと相手方コネクタとの嵌合を確保するために、金型をコネクタのハウジングに接触させて(特許文献1の図3、特許文献2の図1(h)参照)、ハウジングにおける相手方コネクタとの嵌合部位が封止樹脂によって被覆されないようにしている。また、少なくとも基板における素子実装面側の金型を、コネクタ(ハウジング)のみと接触させている。
このように金型を接触させることで、ハウジングの嵌合部位が封止樹脂によって被覆されるのを抑制する場合には、封止樹脂のバリを防ぐために、一般に金型とハウジングとの間の公差がゼロからマイナス側とされる。したがって、回路基板やコネクタの寸法ばらつき、回路基板とコネクタとの実装ばらつきなどにより、金型がハウジングに強く当たって、ハウジングが破損する恐れがある。この場合、相手方コネクタとの嵌合を確保することができない。また、ハウジングに作用した応力により、端子と回路(例えば配線端部のランド)との接続部の信頼性が低下する恐れがある。
本発明は上記問題点に鑑み、相手方コネクタとの嵌合を確保し、端子と回路との接続部の信頼性低下を抑制することのできる電子制御装置の製造方法及び電子制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、素子が実装されて基板に構成された回路と、ハウジングに保持されたコネクタの端子とを電気的に接続し、回路との接続部を含む端子における回路側の露出部位、及び、端子との接続部を含む回路を、封止樹脂によって封止してなる電子制御装置の製造方法であって、基板として、一表面のみに素子が実装され、素子実装部位とは異なる部位に貫通孔を有する貫通基板を準備する準備工程と、相手方コネクタとの嵌合部位が貫通基板における素子実装面の裏面側に突出するようにコネクタを貫通孔に挿入して、ハウジングの外面と貫通基板との対向部位の少なくとも一部を、貫通孔を取り囲むように環状に接着固定した後、貫通孔を介して露出する端子における回路側の露出部位と回路とを電気的に接続して、貫通基板を含む基板とコネクタとを1つの構造体とする実装工程と、トランスファー成形機、若しくは、コンプレッション成形機を構成する一対の金型の一方に構造体を配置した後、一対の金型を型締めして加圧し、貫通基板の素子形成面側を、貫通孔を介して露出するコネクタの部位及び素子を含むように封止樹脂により被覆し、端子における回路側の露出部位、及び、回路を封止するモールド工程と、を備える。そして、準備工程では、実装工程後の状態で、貫通基板の厚さ方向に略垂直な方向において、コネクタのハウジングに隣接してその周囲を貫通基板が取り囲むように、所定位置に貫通孔を有する貫通基板を準備し、モールド工程では、貫通基板における素子実装面の裏面側の金型として、コネクタの突出部位に対応した凹部を有し、貫通基板の裏面における凹部の開口周囲部位に対向する部位と接触する金型を用い、コネクタのハウジングが、貫通孔に挿入される挿入部と、該挿入部の一端に連結され、貫通基板の素子実装面における貫通孔周囲に係止する鍔部とを有し、実装工程では、鍔部が貫通基板の素子実装面における貫通孔周囲に係止するように、挿入部を先頭としてコネクタを貫通基板の素子実装面側から貫通孔に挿入することを特徴とする。
このように本発明では、実装工程後の状態で、貫通基板の厚さ方向(以下、単に厚さ方向と示す)に略垂直な方向(以下、単に垂直方向と示す)において、コネクタのハウジングに隣接してその周囲を貫通基板が取り囲むように、所定位置に貫通孔を有する貫通基板を準備する。そして、貫通孔に挿入した状態でコネクタを貫通基板に固定し、貫通孔を介して貫通基板の素子実装面側に露出するコネクタの部位、すなわち、素子実装面側に露出するハウジングの部位及び端子における回路側の露出部位を、素子を含む回路とともに、貫通基板の素子実装面側を封止樹脂によって被覆することで封止する。したがって、モールド工程において、コネクタにおける素子実装面側の露出部位が金型と接触しない。また、上記した貫通基板を準備するとともに、貫通基板の裏面側の金型として、裏面側へのコネクタの突出部位に対応した凹部を有し、貫通基板の裏面における凹部の開口周囲部位に対向する部位と接触する金型を用いてモールド工程を実施する。したがって、貫通基板がストッパとなり、金型とコネクタの突出部位との強い接触が抑制される。これにより、ハウジングの破損を抑制して相手方コネクタとの嵌合を確保することができる。また、金型からハウジングが受ける応力により、端子と回路との接続部の信頼性が低下するのを抑制することができる。さらには、貫通基板の裏面側の金型として、上記したように貫通基板の裏面における凹部の開口周囲部位に対向する部位と接触する金型を用いるので、コネクタの突出部位に封止樹脂が付着するのを抑制することができる。また、コネクタにおけるハウジングの外面と貫通基板との対向部位の少なくとも一部を、貫通孔を取り囲むように環状に接着固定するので、貫通孔を介して貫通基板の素子実装面側から裏面側に封止樹脂が漏れ出し、コネクタの突出部位(相手側コネクタとの嵌合部位)に封止樹脂が付着するのを抑制することができる。これらによっても、相手方コネクタとの嵌合を確保することができる。
また、貫通基板の素子実装面にハウジングの鍔部を係止させるため、モールド工程において、貫通基板の素子実装面側を封止樹脂によって被覆する際に、加圧された封止樹脂がコネクタを素子実装面側から裏面側へ押しても、コネクタと貫通基板に対するコネクタの固定状態を確保することができる。したがって、モールド時におけるコネクタのがたつきを抑制して、相手方コネクタとの嵌合を確保し、端子と回路との接続部の信頼性の低下を抑制することができる。
請求項2に記載のように、実装工程では、少なくとも鍔部と貫通基板の素子実装面との対向部位を、貫通孔を取り囲むように接着固定すると良い。加圧された封止樹脂がコネクタを素子実装面側から裏面側へ押すと、接着部には圧縮力が作用する。これに対し、挿入部と貫通基板の貫通孔壁面との対向部位の接着部には、せん断力が作用する。したがって、鍔部と貫通基板の素子実装面との対向部位を環状に接着固定すると、モールド時におけるコネクタのがたつきをより効果的に抑制することができる。
請求項3に記載のように、モールド工程では、一対の金型に複数の構造体を配置し、封止樹脂により一括封止して1つの集合体とし、モールド工程後、集合体を任意の個数の構造体を含む大きさで切り離す分離工程を備えても良い。このように、所謂MAP(Mold Array Package)工法を用いて1つの集合体を形成し、集合体を任意の個数の構造体を含む大きさで切り離すことで、任意サイズの電子制御装置を得ることができる。
次に、請求項4に記載の発明は、素子が実装されて基板に構成された回路と、ハウジングに保持されたコネクタの端子とを電気的に接続し、回路との接続部を含む端子における回路側の露出部位、及び、端子との接続部を含む回路を、封止樹脂によって封止してなる電子制御装置の製造方法であって、基板として、一表面のみに素子が実装され、素子実装部位とは異なる部位に貫通孔を有する貫通基板を準備する準備工程と、相手方コネクタとの嵌合部位が貫通基板における素子実装面の裏面側に突出するようにコネクタを貫通孔に挿入して、ハウジングの外面と貫通基板との対向部位の少なくとも一部を、貫通孔を取り囲むように環状に接着固定した後、貫通孔を介して露出する端子における回路側の露出部位と回路とを電気的に接続して、貫通基板を含む基板とコネクタとを1つの構造体とする実装工程と、トランスファー成形機、若しくは、コンプレッション成形機を構成する一対の金型の一方に構造体を配置した後、一対の金型を型締めして加圧し、貫通基板の素子形成面側を、貫通孔を介して露出するコネクタの部位及び素子を含むように封止樹脂により被覆し、端子における回路側の露出部位、及び、回路を封止するモールド工程と、を備える。そして、準備工程では、実装工程後の状態で、貫通基板の厚さ方向に略垂直な方向において、コネクタのハウジングに隣接してその周囲を貫通基板が取り囲むように、所定位置に貫通孔を有する貫通基板を準備し、モールド工程では、貫通基板における素子実装面の裏面側の金型として、コネクタの突出部位に対応した凹部を有し、貫通基板の裏面における凹部の開口周囲部位に対向する部位と接触する金型を用いるとともに、一対の金型に複数の構造体を配置し、封止樹脂により一括封止して1つの集合体とし、モールド工程後、集合体を任意の個数の構造体を含む大きさで切り離す分離工程を備えることを特徴とする。
これによれば、請求項1に係る発明同様、モールド工程において、コネクタにおける素子実装面側の露出部位が金型と接触しない。また、貫通基板がストッパとなり、金型とコネクタの突出部位との強い接触が抑制されるため、ハウジングの破損を抑制して相手方コネクタとの嵌合を確保することができる。また、金型からハウジングが受ける応力により、端子と回路との接続部の信頼性が低下するのを抑制することができる。さらには、貫通基板の裏面側の金型として、上記したように貫通基板の裏面における凹部の開口周囲部位に対向する部位と接触する金型を用いるので、コネクタの突出部位に封止樹脂が付着するのを抑制することができる。また、コネクタにおけるハウジングの外面と貫通基板との対向部位の少なくとも一部を、貫通孔を取り囲むように環状に接着固定するので、貫通孔を介して貫通基板の素子実装面側から裏面側に封止樹脂が漏れ出し、コネクタの突出部位(相手側コネクタとの嵌合部位)に封止樹脂が付着するのを抑制することができる。これらによっても、相手方コネクタとの嵌合を確保することができる。また、所謂MAP(Mold Array Package)工法を用いて1つの集合体を形成し、集合体を任意の個数の構造体を含む大きさで切り離すことで、任意サイズの電子制御装置を得ることができる。
また、請求項5に記載のように、基板として、回路を構成する配線を有し、素子が実装された回路基板と、一表面のみに素子としての発熱素子が実装された金属板とを有し、準備工程では金属板のみを貫通基板とし、モールド工程では回路基板全体を封止樹脂によって被覆しても良い。これによれば、複数の基板を厚さ方向に多層配置するので、垂直方向において電子制御装置の体格を小型化することができる。また、金属板を貫通基板とするので、発熱素子の熱を貫通基板の裏面側から効率よく放熱させることができる。
次に、請求項6に記載の発明は、素子が実装されて基板に構成された回路と、ハウジングに保持されたコネクタの端子とを電気的に接続し、回路との接続部を含む端子における回路側の露出部位、及び、端子との接続部を含む回路を、封止樹脂によって封止してなる電子制御装置の製造方法であって、基板として、一表面のみに素子が実装され、素子実装部位とは異なる部位に貫通孔を有する貫通基板を準備する準備工程と、相手方コネクタとの嵌合部位が貫通基板における素子実装面の裏面側に突出するようにコネクタを貫通孔に挿入して、ハウジングの外面と貫通基板との対向部位の少なくとも一部を、貫通孔を取り囲むように環状に接着固定した後、貫通孔を介して露出する端子における回路側の露出部位と回路とを電気的に接続して、貫通基板を含む基板とコネクタとを1つの構造体とする実装工程と、トランスファー成形機、若しくは、コンプレッション成形機を構成する一対の金型の一方に構造体を配置した後、一対の金型を型締めして加圧し、貫通基板の素子形成面側を、貫通孔を介して露出するコネクタの部位及び素子を含むように封止樹脂により被覆し、端子における回路側の露出部位、及び、回路を封止するモールド工程と、を備える。そして、基板として、回路を構成する配線を有し、素子が実装された回路基板と、一表面のみに素子としての発熱素子が実装された金属板とを有し、準備工程では、金属板のみを貫通基板とするとともに、実装工程後の状態で、貫通基板の厚さ方向に略垂直な方向において、コネクタのハウジングに隣接してその周囲を貫通基板が取り囲むように、所定位置に貫通孔を有する貫通基板を準備し、モールド工程では、貫通基板における素子実装面の裏面側の金型として、コネクタの突出部位に対応した凹部を有し、貫通基板の裏面における凹部の開口周囲部位に対向する部位と接触する金型を用いるとともに、回路基板全体を封止樹脂によって被覆することを特徴とする。
これによれば、請求項1に係る発明同様、モールド工程において、コネクタにおける素子実装面側の露出部位が金型と接触しない。また、貫通基板がストッパとなり、金型とコネクタの突出部位との強い接触が抑制されるため、ハウジングの破損を抑制して相手方コネクタとの嵌合を確保することができる。また、金型からハウジングが受ける応力により、端子と回路との接続部の信頼性が低下するのを抑制することができる。さらには、貫通基板の裏面側の金型として、上記したように貫通基板の裏面における凹部の開口周囲部位に対向する部位と接触する金型を用いるので、コネクタの突出部位に封止樹脂が付着するのを抑制することができる。また、コネクタにおけるハウジングの外面と貫通基板との対向部位の少なくとも一部を、貫通孔を取り囲むように環状に接着固定するので、貫通孔を介して貫通基板の素子実装面側から裏面側に封止樹脂が漏れ出し、コネクタの突出部位(相手側コネクタとの嵌合部位)に封止樹脂が付着するのを抑制することができる。これらによっても、相手方コネクタとの嵌合を確保することができる。また、複数の基板を厚さ方向に多層配置するので、垂直方向において電子制御装置の体格を小型化することができる。また、金属板を貫通基板とするので、発熱素子の熱を貫通基板の裏面側から効率よく放熱させることができる。
また、請求項7に記載のように、基板として2つの金属板を有し、実装工程では、一方の金属板にメス型のコネクタを接着固定し、他方の金属板にメス型と対をなすオス型のコネクタを接着固定した後、2つの金属板の素子実装面が相対し、金属板の間に回路基板が配置されるように構造体を形成しても良い。これによれば、2つの金属板から、発熱素子の熱を効率よく放熱させることができる。また、厚さ方向の両端にコネクタを設けるので、一端側のみに全てのコネクタを設けるよりも、垂直方向において電子制御装置の体格を小型化することができる。
請求項8に記載のように、モールド工程後、メス型のコネクタとオス型のコネクタとを連結して、モールドした複数の構造体を、1つの多層構造体とするスタック工程を備えても良い。これによれば、メス型のコネクタとオス型のコネクタとの連結により、回路規模の大きな電子制御装置を形成することができる。
また、請求項9に記載のように、モールド工程では、貫通基板の裏面側の金型として、貫通基板の裏面に接触して貫通基板の裏面全体を封止樹脂から露出させる金型を用いても良い。これによれば、型構造を簡素化することができる。また、請求項10に記載のように、モールド工程では、貫通基板の裏面側の金型として、加圧時においても、コネクタの突出部位と離反する凹部を有した金型を用いると良い。これによれば、コネクタと金型が接触しないので、確実に、相手方コネクタとの嵌合を確保し、端子と回路との接続部の信頼性低下を抑制することができる。
請求項11に記載のように、基板として、回路を構成する配線を有し、一表面のみに素子が実装された1つの回路基板のみを有し、該回路基板を貫通基板としても良い。これによれば、電子制御装置の構成を簡素化することができる。また、厚さ方向において電子制御装置の体格を小型化することができる。
次に、請求項12に記載の発明は、回路を構成する素子が実装された基板と、端子がハウジングに保持されたコネクタと、回路との接続部を含む端子における回路側の露出部位及び端子との接続部を含む回路を被覆する封止樹脂部と、を備えた電子制御装置であって、基板として、一表面のみに素子が実装され、素子実装部位とは異なる部位に貫通孔を有する貫通基板を含み、コネクタは、貫通孔に挿入されて貫通基板の裏面側に突出された、相手方コネクタとの嵌合部位を含む突出部位を有し、垂直方向において、ハウジングに隣接してその周囲に貫通基板が位置するとともに、ハウジングの外面と貫通基板との対向部位の少なくとも一部が、貫通孔を取り囲むように環状に接着固定され、封止樹脂部は、貫通孔から露出されたコネクタの部位及び回路を含んで貫通基板の素子実装面を覆うように配置され、コネクタの突出部位及び貫通基板の裏面におけるコネクタの突出部位に隣接する周囲部位を含む部位が、封止樹脂部から露出され、コネクタのハウジングは、貫通孔に挿入された挿入部と、該挿入部の一端に連結され、貫通基板の素子実装面における貫通孔周囲に係止された鍔部とを有することを特徴とする。本発明に係る電子制御装置は、請求項1に記載の発明を用いて得られるものであり、その作用効果は、請求項1に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
また、請求項16に記載の発明は、回路を構成する素子が実装された基板と、端子がハウジングに保持されたコネクタと、回路との接続部を含む端子における回路側の露出部位及び端子との接続部を含む回路を被覆する封止樹脂部と、を備えた電子制御装置であって、基板として、一表面のみに素子が実装され、素子実装部位とは異なる部位に貫通孔を有する貫通基板を含み、コネクタは、貫通孔に挿入されて貫通基板の裏面側に突出された、相手方コネクタとの嵌合部位を含む突出部位を有し、垂直方向において、ハウジングに隣接してその周囲に貫通基板が位置するとともに、ハウジングの外面と貫通基板との対向部位の少なくとも一部が、貫通孔を取り囲むように環状に接着固定され、封止樹脂部は、貫通孔から露出されたコネクタの部位及び回路を含んで貫通基板の素子実装面を覆うように配置され、コネクタの突出部位及び貫通基板の裏面におけるコネクタの突出部位に隣接する周囲部位を含む部位が、封止樹脂部から露出され、基板として、回路を構成する配線を有し、素子が実装された回路基板と、一表面のみに素子としての発熱素子が実装された金属板とを有し、金属板のみが貫通基板とされ、回路基板全体が、封止樹脂部によって被覆されていることを特徴とする。本発明に係る電子制御装置は、請求項6に記載の発明を用いて得られるものであり、その作用効果は、請求項6に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
なお、請求項13〜15,17,20に記載の発明は、それぞれ請求項2,11,5,7,9に記載の発明を用いて得られるものであり、その作用効果は、請求項2,11,5,7,9に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
請求項18に記載のように、端子として、一端が回路基板側の回路と接続され、他端が金属板側の回路と接続された端子を有する構成としても良い。これによれば、回路基板の回路と金属板の回路とが電気的に接続されて単一の回路をなす構成とすることもできる。
請求項19に記載のように、端子として、金属板側の回路のみと接続された第1端子と回路基板側の回路のみと接続された第2端子とを有し、第2端子のほうが、第1端子よりも断面積が大きい構成としても良い。一般に、発熱素子を含む金属板側の回路と接続される端子(パワー系の端子)の断面積は、それ以外の端子(シグナル系の端子)の断面積よりも大きいが、上記構成とすることで、金属板上に、端子を介して回路基板が支持された多層構造をより安定化させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示す断面図である。図2は、貫通基板の概略構成を示す平面図である。
図1に示すように、電子制御装置100は、貫通基板11を少なくとも含む基板10と、貫通基板11に固定されたコネクタ30と、封止樹脂部50を有している。なお、本実施形態に係る電子制御装置100は、自動変速機など車載用の電子制御装置として好適である。
基板10は回路を構成する素子12が実装された基板であり、本実施形態では、基板10として、図1に示すように、回路を構成する素子12が一表面11a(以下、単に表面11aと示す)のみに実装され、素子の実装部位(回路の形成部位)とは異なる部位に貫通孔14を有する貫通基板11のみを有している。この貫通孔14は、コネクタ30の端子31における回路との接続部位を貫通基板11の表面11a側に露出させ、相手方コネクタとの嵌合部位を貫通基板11の裏面11b側に露出させた状態で、コネクタ30のハウジング32に隣接してその周囲に貫通基板11が位置するように、コネクタ30を貫通基板11に固定させるためのものである。そして、貫通孔14は、コネクタ30が貫通基板11に接着固定された状態で、貫通基板11の厚さ方向(以下、単に厚さ方向と示す)に略垂直な方向(以下、単に垂直方向と示す)において、コネクタ30のハウジング32に隣接してその周囲を貫通基板11が取り囲むように、換言すれば、後述するモールド工程において、コネクタ30における裏面11b側の突出部位への封止樹脂の付着を抑制すべく、貫通基板11の裏面11bにおけるハウジング32の周囲部位を金型が押さえるように、貫通基板11の所定位置に形成されている。
このような貫通基板11としては、素子12が一表面11a(以下、表面11aと示す)のみに実装された所謂回路基板を採用することができる。すなわち、セラミック、樹脂、回路構成面上に絶縁層が配置された金属などの基材の一表面のみに、マイコン、IC、抵抗、コンデンサ、スイッチング素子などの素子12が実装され、素子12とともに回路を構成する配線13が設けられたものを採用することができる。具体的には、図1に示すように、樹脂を基材とする平面略矩形状の貫通基板11の表面11aに、パワーMOSやIGBTなどの駆動時に発熱する発熱素子12a、コンデンサ12b、マイコン12cなどの素子12が実装されるとともに、素子12と電気的に接続されて回路を構成する配線13が設けられている。そして、表面11aにおける回路形成部位(素子12の実装部位及び配線13の形成部位)とは異なる部位に、裏面11bまで貫通する貫通孔14が形成されている。この貫通孔14は、表面11aに沿う平面形状が、コネクタ30を構成するハウジング32の挿入部32aに対応して、図2に示すように略矩形状とされ、その大きさが、挿入部32aを挿入し且つ接着固定できるように、挿入部32aよりも若干大きめとなっている。そして、このような貫通孔14が、図2に示すように、平面略矩形状の貫通基板11における互いに相対する両端付近にそれぞれ形成されている。なお、図1に示す符号11cは貫通基板11の端面を、図1及び図2に示す符号14aは貫通基板11における孔壁面を、図1に示す符号15は素子12と配線13とを電気的に接続するワイヤを、図1に示す符号16はコネクタ30の端子31と回路(素子12又は配線13)とを電気的に接続するワイヤを示している。
コネクタ30は、金属などの導電材料からなり、少なくとも一端が回路と接続される複数の端子31と、樹脂などの電気絶縁材料からなり、端子31を保持するハウジング32を有している。そして、貫通孔14に挿入された状態で、ハウジング32の外面と貫通基板11との対向部位の少なくとも一部が、貫通孔14を取り囲むように環状に接着されて、貫通基板11に固定されている。また、貫通基板11に接着固定された状態で、相手方コネクタとの嵌合部位を含む一部位が、貫通基板11の裏面11b側に突出されている。すなわち、コネクタ30は、相手方コネクタとの嵌合部位を含む突出部位30aを有している。また、コネクタ30(ハウジング32)の形状は、貫通基板11に接着固定された状態で、垂直方向において、コネクタ30のハウジング32に隣接してその周囲に貫通基板11が位置するように設定されている。
端子31としては、一端が貫通基板11の表面11a側に露出されて回路と接続され、他端が貫通基板11の裏面11b側に露出されて、相手方コネクタと接続される第1端子を少なからず含み、これにより、コネクタ30は、電子制御装置100内の回路と外部とを電気的に接続する機能を果たすようになっている。また、上記した第1端子とともに、両端が貫通基板11の表面11a側に露出されて回路と接続される、すなわち回路を構成する配線13と同様の機能を果たす第3端子を含んでも良い。
本実施形態では、端子31として第1端子のみを含んでいる。すなわち、図1に示すように、端子31における一端31aが、貫通基板11の表面11a側に露出されて、回路(素子12又は配線13)と接続されており、他端31bが、貫通基板11の裏面11b側に露出されて、相手方コネクタと嵌合可能となっている。また、ハウジング32が、貫通孔14に一部が挿入される挿入部32aと、挿入部32aの一端に連結され、貫通基板11の表面11aにおける貫通孔周囲に係止される環状の鍔部32b(換言すればフランジ部)を有している。挿入部32aは、表面11aに沿う貫通孔14の平面形状と略一致する外周形状を有するとともに、その大きさが貫通孔14よりも若干小さめとなっており、鍔部32bは、その外周端が、貫通孔14の平面形状と略一致するとともに貫通孔14よりも大きくされている。そして、鍔部32bと貫通基板11の表面11bとの対向部位、及び、挿入部32aと孔壁面14aとの対向部位にて、それぞれ貫通孔14を取り囲むように、貫通基板11に対してコネクタ30(ハウジング32)が環状に接着固定されている。なお、図1に示す符号30bは、コネクタ30における貫通基板11の表面11a側に露出された露出部位を示している。
封止樹脂部50は、回路との接続部(端部31a)を含む端子31における回路側の露出部位、及び、端子31との接続部を含む回路を封止すべく、貫通基板11の表面11a側に露出されたコネクタ30の露出部位30b及び回路を含んで、貫通基板11の表面11aを被覆する、熱硬化性樹脂からなる樹脂成形部である。また、少なくともコネクタの突出部位30a及び貫通基板1の裏面11bにおける突出部位30aに隣接する周囲部位は、この封止樹脂部50から露出されている。本実施形態では、図1に示すように、貫通基板11における表面11a全体及び端面11c全体が、エポキシ系樹脂からなる封止樹脂部50によって被覆され、コネクタ30の突出部位30aを含む貫通基板11の裏面11b全体が封止樹脂部50から露出されている。
次に、このように構成される電子制御装置100の製造方法の一例について説明する。図3は、電子制御装置の製造工程のうち、貫通基板の準備工程を示す断面図である。図4は、電子制御装置の製造工程のうち、実装工程を示す断面図である。図5は、電子制御装置の製造工程のうち、モールド工程を示す断面図である。
先ず、基板10としての貫通基板11を準備する準備工程を実施する。本実施形態に係る貫通基板11は、上記したように所謂回路基板であるので、周知の技術を用いて形成することができる。例えば、表面11aに配線13を有し、リフローはんだ付けやワイヤボンディングによって、素子12が表面11a上に実装されて配線13と電気的に接続された回路基板に対し、レーザ加工などによって所定位置に貫通孔14を形成することで、図3に示す貫通基板11を得ることができる。その際、貫通孔14の形成位置は、素子12及び配線13からなる回路形成部位とは異なり、垂直方向において、コネクタ30が固定された状態でハウジング32に隣接してその周囲を貫通基板11が取り囲む位置であればよい。なお、貫通孔14の形成タイミングは、上記例に限定されるものではなく、例えば素子12の実装前に貫通孔14を形成しても良い。
次に、貫通基板11にコネクタ30を接着固定するとともに、端子31と回路とを電気的に接続する実装工程を実施する。具体的には、回路との接続部位が貫通基板11の表面11a側に露出され、且つ、相手方コネクタとの嵌合部位が貫通基板11の裏面11b側に突出するようにコネクタ30を貫通孔14に挿入し、この状態で、ハウジング32の外面と貫通基板11との対向部位の少なくとも一部を、貫通孔14を取り囲むように環状に接着固定する。そして、貫通孔14を介して露出する端子31における回路側の露出部位(端部31a)と回路(素子12又は配線13)とを、ワイヤボンディングなどによって電気的に接続(例えば超音波を用いて接続)し、貫通基板11とコネクタ30とを、機械的且つ電気的に接続された1つの構造体17とする。
本実施形態では、コネクタ30のハウジング32が、挿入部32aと鍔部32bを有するので、鍔部32bが貫通基板11の表面11aにおける貫通孔周囲に係止するように、コネクタ30を、挿入部32aを先頭として貫通基板11の表面11a側から貫通孔14に挿入する。そして、鍔部32bと貫通基板11の表面11aとの対向部位を、貫通孔14を取り囲むように環状に接着固定するとともに、挿入部32aにおける貫通孔14内に配置された部位と貫通基板11の孔壁面14aとの対向部位を、貫通孔14を取り囲むように環状に接着固定する。この接着固定においては、例えば鍔部32bにおける表面11aとの対向面及び挿入部32aにおける貫通孔14内に配置される部位に、予め接着剤33を塗布しておくことで、コネクタ30を貫通基板11に接着固定することができる。
そして、得られた構造体17を、トランスファー成形機、若しくは、コンプレッション成形機を構成する一対の金型71,72の一方71(固定型)に配置した後、一対の金型71,72を型締めして加圧し、貫通基板11の表面11a側を、コネクタの露出部位30b及び回路を封止するように貫通基板11の表面11a側を封止樹脂によって覆うモールド工程を実施する。すなわち、封止樹脂部50を形成する。このモールド工程では、貫通基板11の裏面11b側の金型として、コネクタ30の突出部位30aに対応した凹部を有し、貫通基板11の裏面11bにおける凹部の開口周囲部位に対向する部位と接触する金型を用いる。
本実施形態では、トランスファー成形法を用いてモールド工程を実施する。また、基板10として1つの貫通基板11のみを有しており、固定型である下型71に対して、貫通基板11の裏面11bが対向するように構造体17を配置する。ここで、下型71は、対をなす上型72との間でキャビティ73を構成するキャビティ形成面として、貫通基板11の裏面11bと接触される平坦部71aと、該平坦部71aに対して凹み、コネクタ30の突出部位30aと所定のクリアランスを有して離反された凹部71bを有している。したがって、下型71に構造体17を配置した状態で、貫通基板11の裏面11bにおける凹部71bとの対向部位を除く部位、すなわち裏面11bのほぼ全面が、下型71の平坦部71aと接触し、コネクタ30の突出部位30aは下型71とは離反した状態となる。また、コネクタ30の突出部位30aと凹部71bとのクリアランスは、上型72と下型71の型締め後の加圧時においても、コネクタ30の突出部位30aが凹部71b(下型71)に接触しないように設定されている。さらには、上型72のキャビティ形成面は、コネクタ30の露出部位30b及び回路を封止すべく、貫通基板11の表面11a全面及び端面11c全面を封止樹脂部50が一体的に覆うように所謂鍋底形状となっており、構造体17とは離反されている。そして、図5に示すように、可動型である上型72を可動させて上型72と下型71の型締めし、加熱、加圧のもとに、樹脂材料を図示しないゲートを介してキャビティ73内に流し込み、樹脂材料を熱硬化させて封止樹脂部50を形成する。したがって、コネクタ30の露出部位30b及び回路を含む貫通基板11の表面11a全面は、封止樹脂部50によって被覆され、コネクタ30の突出部位30a及び貫通基板11の裏面11b全体が、封止樹脂部50から露出されたものとなる。以上により、図1に示した電子制御装置100を得ることができる。
次に、本実施形態に係る電子制御装置100及びその製造方法の特徴部分の効果について説明する。先ず、本実施形態では、垂直方向において、コネクタ30のハウジング32に隣接してその周囲を貫通基板11が取り囲むように、コネクタ30を固定するための貫通孔14を所定位置に有する貫通基板11を準備する。したがって、表面11a側に露出するハウジング32の部位(鍔部32b)に上型72を接触させなくとも、表面11a側に露出する端子31の部位(端部31aを含む)と回路とを封止樹脂部50によって封止することができる。また、コネクタ30の突出部位30aに対応した凹部71bと、貫通基板11の裏面11bにおける凹部71bの開口周囲部位に対向する部位と接触する平坦部71aを、キャビティ形成面として有する下型71を用いる。したがって、上型72と下型71の型締め時に、貫通基板11がストッパとなり、下型71とコネクタ30の突出部位30aとの強い接触が抑制される。これにより、ハウジング32の破損を抑制して、コネクタ30と相手方コネクタとの嵌合を確保することができる。また、下型71からハウジング32が受ける応力により、端子31(端部31a)と回路との接続部の信頼性が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、下型71が、キャビティ形成面として、貫通基板11の裏面11bにおける凹部71bの開口周囲部位に対向する部位と、コネクタ30の突出部位30aを取り囲んで環状に接触する平坦部71aを有している。したがって、貫通基板11の裏面11bと下型71の平坦部71aとの接触部位により、コネクタ30の突出部位30aが取り囲まれるので、コネクタ30の突出部位30aに樹脂材料が付着するのを抑制することができる。さらには、コネクタ30のハウジング32と貫通基板11との対向部位の少なくとも一部を、貫通孔14を取り囲むように環状に接着固定する。したがって、モールド工程において、貫通基板11の表面11a側から裏面11b側に貫通孔14を通じて樹脂材料が漏れ出し、コネクタ30の突出部位30aに付着するのを抑制することができる。これらによっても、コネクタ30と相手方コネクタとの嵌合を確保することができる。
以上から、本実施形態によれば、相手方コネクタとの嵌合を確保し、端子31と回路との接続部の信頼性低下を抑制することができる。特に本実施形態では、キャビティ73に樹脂材料を注入する加圧時において、下型71によって支持されていない貫通基板11の凹部71bに対応する部位に撓みが生じたとしても、凹部71bと突出部位30aのクリアランスにより、コネクタ30の突出部位30aと下型71が接触しないので、確実に、相手方コネクタとの嵌合を確保し、端子と回路との接続部の信頼性低下を抑制することができる。また、本実施形態では、貫通基板11の裏面11b全体を、封止樹脂部50から露出させるため、下型71を、キャビティ形成面として、平坦部71aと凹部71bのみを有する構造とすることができる。すなわち、型構造を簡素化することができる。
また、本実施形態では、コネクタ30のハウジング32が挿入部32aと鍔部32bを有し、貫通基板11の表面11a側から挿入部32aを先頭としてコネクタ30を貫通孔14に挿入し、鍔部32bが表面11aに係止した状態で、コネクタ30を貫通基板11に接着固定している。したがって、モールド工程において、加圧された樹脂材料がコネクタ30を表面11a側から裏面11b側へ押しても、ハウジング32の鍔部32bがアンカーとしての機能を果たすため、下型71のキャビティ形成面(凹部71b)との間にクリアランスを有しながらも、コネクタ30の位置ずれを抑制して、貫通基板11に対するコネクタ30の固定状態を確保することができる。すなわち、モールド時におけるコネクタ30のがたつきを抑制して、相手方コネクタとの嵌合を確保し、端子31と回路との接続部の信頼性の低下を抑制することができる。
特に本実施形態では、挿入部32aと鍔部32bを有するハウジング32を採用する構成において、鍔部32bと貫通基板11の表面11aとの対向部位を、貫通孔14を取り囲むように環状に接着固定している。ここで、加圧された樹脂材料がコネクタ30を表面11a側から裏面11b側へ押すと、鍔部32bと貫通基板11との接着部位には圧縮力が作用する。これに対し、挿入部32aと貫通基板11の孔壁面14aとの接着部位には、せん断力が作用する。したがって、本実施形態では、モールド時におけるコネクタ30のがたつきをより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、貫通基板11として回路基板を採用することで、基板10として1つの貫通基板11のみを有する構成としている。したがって、電子制御装置100の構成を簡素化することができる。また、厚さ方向において電子制御装置100の体格を小型化することができる。
なお、本実施形態では、下型71の凹部71bが、コネクタ30の突出部位30aとの間に所定のクリアランスを有する例を示した。しかしながら、下型71(凹部71bの壁面)が、コネクタ30の突出部位30aと接触する構成としても良い。このような構成としても、下型71の平坦部71aが貫通基板11の裏面11bと接するため、コネクタ30のみが下型71(金型71,72)と接する構成に比べて、下型71とコネクタ30の突出部位30aとの強い接触を抑制することができる。ただし、接触状態とすると、コネクタ30が、下型71から少なからず外力を受ける。したがって、例えば図6に示すように、下型71(凹部71bの壁面)とコネクタ30の突出部位30aとの間に緩衝部材74を配置し、下型71からコネクタ30に伝達される外力を低減するようにすることが好ましい。図6は、モールド工程の変形例を示す断面図である。
また、本実施形態では、貫通基板11の裏面11bにおける凹部71bとの対向部位を除く部位、すなわち裏面11bのほぼ全面が、下型71の平坦部71aと接触する例を示した。しかしながら、下型71としては、貫通基板11の裏面11bにおける、凹部71bの開口周囲部位との対向部位と、少なくとも接触すればよい。すなわち、コネクタ30の突出部位30aと貫通基板11の裏面11bにおける突出部位30aの周囲が、少なくとも封止樹脂部50から露出されていれば良い。これによれば、コネクタ30の突出部位30aへの樹脂材料の付着を抑制することができる。また、下型71とコネクタ30の突出部位30aとの強い接触を抑制することができる。
また、素子12が表面11aのみに実装された貫通基板11において、表面11a全面と端面11c全面が封止樹脂部50により被覆される例を示した。しかしながら、端面11cが露出される構成としても良い。また、コネクタ30の露出部位30b及び回路(素子12及び配線13)が封止樹脂部50によって被覆されればよいので、表面11aのうちの一部(例えば縁部)が封止樹脂部50から露出された構成としても良い。
また、本実施形態では、1つの構造体17が封止樹脂部50によって被覆されて、電子制御装置100が構成される例を示した。しかしながら、本実施形態では、上記したように、垂直方向において、コネクタ30のハウジング32に隣接してその周囲に貫通基板11が位置する、換言すれば、貫通基板11の端面11cよりも内側にコネクタ30が位置する。したがって、一対の金型71,72に複数の構造体17を配置し、樹脂材料により一括封止してモールドされた1つの集合体18とし、モールド工程後、集合体18を任意の個数の構造体17を含む大きさで切り離すことで、任意サイズの電子制御装置100を得るようにしても良い。例えば、図7に示す例では、集合体18が16個の構造体17を有しており、破線で囲まれた領域で切り分けることで、1つの構造体17を有する電子制御装置100a、2つの構造体17を有する電子制御装置100b、6つの構造体17を有する電子制御装置100cを得るようにしている。このように、所謂MAP(Mold Array Package)工法を用いて1つの集合体18を形成し、集合体18を任意の個数の構造体17を含む大きさで切り離すことで、任意サイズの電子制御装置を得ることができる。図7は、電子制御装置の製造工程のうち、分離工程を示す平面図である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図8〜図13に基づいて説明する。図8は、第2実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示す断面図である。図9は、貫通基板の概略構成を示す平面図である。図9においては、便宜上、封止樹脂部50を破線で示し、貫通基板11における除去部位を二点差線で示している。図10は、電子制御装置の製造工程のうち、貫通基板の準備工程を示す断面図である。図11は、電子制御装置の製造工程のうち、コネクタ実装工程を示す断面図である。図12は、電子制御装置の製造工程のうち、回路基板実装工程を示す断面図である。図13は、電子制御装置の製造工程のうち、モールド工程を示す断面図である。
第2実施形態に係る電子制御装置は、第1実施形態に示した電子制御装置と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態では、基板10として、回路基板に貫通孔14を設けてなる貫通基板11のみを有する例を示した。これに対し、本実施形態では、基板10として、回路基板とともに金属板を有し、貫通基板11として金属板を採用する点を特徴とする。
図8に示すように、電子制御装置100は、基板10として、素子12が表面11aのみに実装された貫通基板11と、回路基板19を有している。本実施形態に係る貫通基板11としては、アルミニウム、銅、鉄などからなる金属板の表面11aに、素子12としての発熱素子12aが実装されたものを採用することができる。この貫通基板11は、それぞれ1つの発熱素子12aが実装された複数の素子実装部11dと、貫通孔14を介してコネクタ30が固定されたコネクタ実装部11eとを有しており、本実施形態では、2つのコネクタ実装部11eの間に、4つの素子実装部11dが挟まれた配置となっている。そして、各実装部11d,11eは、貫通基板11を貫通する溝内に、封止樹脂部50を構成する樹脂材料が充填されてなる絶縁分離部11fにより、互いに絶縁分離されるとともに機械的に結合されている。そして、素子実装部11dには発熱素子12aがそれぞれ実装されており、コネクタ実装部11eには貫通孔14が設けられ、コネクタ30が、貫通孔14に挿入された状態で接着剤33を介して固定されている。なお、二点鎖線で囲まれた領域11gは、モールド工程後に除去された除去部位である。すなわち、本実施形態に係る貫通基板11は、所謂リードフレームであり、図9に示すように、素子実装部11dの一部、及び、コネクタ実装部11eの一部が、封止樹脂部50から露出されている。
回路基板19は、第1実施形態に示した貫通基板11としての回路基板とほぼ同様の構成となっている。異なる点は、貫通孔14を有しておらず、コネクタ30が実装されていない点、素子12の実装面が、回路基板19の表面19a(貫通基板11の表面11aとの対向面の裏面)の限定されない点、回路基板19全体が封止樹脂部50によって被覆される点、端子31が挿通されるスルーホール20を有する点である。本実施形態では、図8に示すように、回路基板19の表面19a及び裏面19bに素子12が実装されるとともに配線13が設けられ、これにより回路が構成されている。なお、図8に示す符号12dは、厚膜抵抗である。また、回路基板19における端面近傍には、表面19aから裏面19bを貫通するスルーホール20が、端子31に対応して設けられている。
本実施形態では、貫通基板11に固定されたコネクタ30が、端子31とて、上記した第1端子及び第3端子とともに第2端子も有している。詳しくは、一端31bが相手方コネクタと接続される端子(図8に示す端子31)として、他端31aがワイヤ16を介して発熱素子12aと電気的に接続される第1端子と、他端31aが回路基板19の回路と電気的に接続される第2端子を有している。また、両端が貫通基板11の表面11a側に露出されて回路と接続される第3端子(図示略)として、一端が発熱素子12aと接続され、他端が回路基板19に構成された回路(素子12又は配線13)と電気的に接続された端子を有している。これら第2端子及び第3端子は、より詳しくは、一端側が、コネクタ30のハウジング32から貫通基板11の表面11a側に露出されて、貫通基板11の上方に貫通基板11とは離れて位置する回路基板19まで延設され、回路基板19のスルーホール20を貫通して回路基板19の表面19a側に露出されている。そして、回路を構成する配線13端部のランドと、はんだ21を介して接合されている。なお、発熱素子12aが貫通基板11の素子実装部11dと電気的に接続された構造の場合、端子31の一端31aが素子実装部11dと電気的に接続された構成としても良い。
そして、図8に示すように、回路基板19の回路と接続された複数の端子31により、回路基板19が、貫通基板11上に支持されている。そして、コネクタ30の露出部位30b及び発熱素子12aを含む貫通基板11の表面11aの一部及び端面11cの一部と、回路基板19全体、すなわち、回路基板19に構成された回路全体が、封止樹脂部50によって一括被覆されている。
次に、このような電子制御装置100の製造方法について説明する。第1実施形態同様、先ず貫通基板11を準備する準備工程を実施する。本実施形態に係る貫通基板11は、上記したように所謂リードフレームであるので、周知の技術を用いて形成することができる。例えば金属からなる基材をプレス加工することで、図10に示すように、貫通孔14と絶縁分離用の溝部22が設けられ、素子実装部11d及びコネクタ実装部11eを有する貫通基板11を得ることができる。その際、貫通孔14の形成位置は、発熱素子12aからなる回路形成部位とは異なり、垂直方向において、コネクタ30が固定された状態でハウジング32に隣接してその周囲を貫通基板11が取り囲む位置であればよい。
次に、貫通基板11にコネクタ30を接着固定するとともに、端子31と回路とを電気的に接続する実装工程を実施する。本実施形態では、基板10として回路基板19を含むので、上記実装工程として、コネクタ実装工程と回路基板実装工程を含む。先ず図11に示すようにコネクタ実装工程を実施するが、この工程は、第1実施形態に示した実装工程とほぼ同じである。異なる点は、コネクタ30における複数の端子31の一部のみを、貫通基板11に構成された回路(発熱素子12a)と電気的に接続する点である。なお、本実施形態でも、第1実施形態同様に、ハウジング32として、挿入部32aと鍔部32bを有するコネクタ30を採用している。
コネクタ実装後、図12に示すように、回路基板19を貫通基板11に対して実装する。具体的には、回路基板19のスルーホール20を、対応する端子31(第2端子及び第3端子)が挿通し、表面19a側に一端(図12では端部31a)が露出するように、回路基板19をロボットアームなどにより把持して位置決めする。そして、回路基板19の表面19a側に露出する端子31の一端と、スルーホール20の開口周囲に設けられた配線13のランドとを、例えばレーザはんだ付けすることにより接合する。以上により、コネクタ30の端子31と貫通基板11、回路基板19がそれぞれ電気的に接続されるとともに、貫通基板11、回路基板19、及びコネクタ30が機械的に接続された1つの構造体23となる。
次に、得られた構造体23を、例えばトランスファー成形機を構成する一対の金型71,72の一方71(固定型)に配置した後、一対の金型71,72を型締めして加圧し、コネクタの露出部位30b及び回路(発熱素子12aと回路基板19の素子12及び配線13)を封止するように、貫通基板11の表面11a側を樹脂材料によって覆うモールド工程を実施する。すなわち、封止樹脂部50を形成する。このモールド工程は、第1実施形態に示すモールド工程とほぼ同じである。異なる点は、回路基板19全体を樹脂材料によって被覆する点、リードフレームとしての貫通基板11の端部(素子実装部11dとコネクタ実装部11eの一部と除去部位11g)を金型71,72にて挟んで、構造体23を安定化させる点である。このモールド工程により、貫通基板11の表面11a及び端面11cの一部と回路基板19全体が、封止樹脂部50によって一体的に被覆され、コネクタ30の露出部位30b及び回路が封止樹脂部50によって封止される。また、下型71の平坦部11aがストッパとなり、溝部22内にも樹脂材料が充填されて、絶縁分離部11fが形成される。
そして、貫通基板11のうち、封止樹脂部50から露出する除去部位11gを除去する分離工程を実施することにより、各素子実装部11dとコネクタ実装部11eを電気的に分離する。以上により、図8に示した電子制御装置100を得ることができる。
このように本実施形態に係る電子制御装置100及びその製法方法においても、第1実施形態に示した電子制御装置100及びその製法方法と同様の効果を期待することができる。
また、本実施形態では、複数の基板10(11,19)を厚さ方向に多層配置するので、垂直方向において電子制御装置100の体格を小型化することができる。また、金属板を貫通基板11とするので、発熱素子12aの熱を貫通基板11の裏面11b側から効率よく放熱させることができる。特に本実施形態では、図8に示すように、貫通基板11の裏面11b全面を、第1実施形態同様に封止樹脂部50から露出させているので、これにより放熱性を向上することができる。
また、本実施形態では、端子31として、一端が回路基板19側の回路と接続され、他端が貫通基板11側の回路(発熱素子12a)と接続された第3端子を含むので、回路基板19の回路と貫通基板11の回路とが電気的に接続されて単一の回路をなす構成とすることができる。
なお、本実施形態では、端子31として、貫通基板11側の回路のみと接続された第1端子と回路基板側の回路のみと接続された第2端子との断面積の関係については特に言及しなかった。しかしながら、一般には、発熱素子12aと接続される第1端子(パワー系の端子)のほうが、それ以外の端子(シグナル系の端子)の断面積よりも大きい。これに対し、例えば図14に示すように、第2端子31dのほうが、第1端子31cよりも断面積が大きい構成としても良い。このような構成とすると、貫通基板11上に、第2端子31dを介して回路基板19が支持された構造体23をより安定化させることができる。なお、本実施形態では、端子31として第3端子も含むので、第2端子31dとともに、第3端子のほうが第1端子31cの断面積よりも大きい構成としても良い。図14は、端子の変形例を示す断面図である。図14では、便宜上、封止樹脂部50を省略して図示している。
また、本実施形態では、貫通基板11の表面11a及び端面11cの一部が封止樹脂部50から露出される例を示した。しかしながら、第1実施形態同様、表面11a全面及び端面11c全面が、封止樹脂部50によって被覆される構成としても良い。
また、本実施形態では、第1実施形態で示した構成(図1、図3〜5参照)に、構造体23を適用する例を示した。しかしながら、第1実施形態に示した変形例(図6,7)に構造体23を適用しても良い。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図15及び図16に基づいて説明する。図15は、第3実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示す断面図である。図16は、電子制御装置の製造工程のうち、モールド工程を示す断面図である。
第3実施形態に係る電子制御装置は、第2実施形態に示した電子制御装置と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記各実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第2実施形態では、電子制御装置100が、基板10として、1つの貫通基板11と1つの回路基板19を有し、構造体23が貫通基板11と回路基板19の2層構造(2階建て構造)とされる例を示した。これに対し、本実施形態では、図15に示すように、基板10として、2つの貫通基板11と1つの回路基板19を有し、一方の貫通基板11には上記各実施形態同様、オス型のコネクタ30cが接着固定され、他方の貫通基板11には上記オス型と対をなすメス型のコネクタ30dが接着固定されている。そして、2つの貫通基板11は表面11aが相対され、貫通基板11の間に回路基板19が配置されていることを特徴とする。すなわち、構造体23が、3層構造(3階建て構造)となっている点を特徴とする。そして、両貫通基板11は、コネクタ30の露出部位30b及び発熱素子12aを含んで表面11a全面及び端面11cが封止樹脂部50によってそれぞれ被覆され、コネクタ30の突出部位30aを含む裏面11b全面が封止樹脂部50から露出されている。また、回路基板19全体が、封止樹脂部50によって被覆されている。
なお、図15に示す符号11hは、コネクタ30dにおける端子31の端部31aと回路基板19の裏面19bに設けられた配線13のランドとを、レーザはんだ付けするための、レーザ光照射用溝部であり、該溝部11hにも、絶縁分離部11f同様、樹脂材料が充填されている。このレーザ光照射用溝部11hは、本実施形態に示すように、コネクタ実装部11e内に貫通孔として設けられたものでも良いし、コネクタ実装部11eと該実装部11eに隣接する貫通基板11の端部領域とを、絶縁分離するように設けられたものでも良い。
このように、厚さ方向において、2つの貫通基板11の間に回路基板19を配置してなる3階建て構造の電子制御装置100を採用すると、2つの貫通基板11から、発熱素子12aの熱を効率よく放熱させることができる。また、厚さ方向の上下両側にコネクタ30(30c,30d)を設けるので、一方側のみに全てのコネクタ30を設けるよりも、垂直方向において電子制御装置100の体格を小型化することができる。
また、厚さ方向の一方側にオス型のコネクタ30cを有し、他方側にメス型のコネクタ30dを有するので、オス型のコネクタ30cとメス型のコネクタ30dとの連結により、複数の電子制御装置100を連結して、回路規模の大きな電子制御装置を形成することもできる。
なお、このような構成の電子制御装置100は、例えば以下のようにして形成することができる。先ず、上記した第2実施形態同様、貫通基板11を準備する。このとき、本実施形態では、コネクタ30の端子31が先に回路基板19の回路と接続される側の貫通基板11として、レーザ光照射用溝部11hを有するものを採用する。このレーザ光照射用溝部11hは、例えばプレス加工により、絶縁分離部11fを構成する溝部22とともに一括で形成することができる。なお、レーザ光照射用溝部11hの形成位置は、もう一方の貫通基板11に固定されたコネクタ30の端子31と回路基板19の回路とのレーザはんだ付け時に、レーザ光が端子31の端部31aと配線13のランドとのはんだ接合部に照射される位置であれば良い。本実施形態では、オス型のコネクタ30cが接着固定される側の貫通基板11において、2つの貫通孔14の並んだ方向における各貫通孔14よりも外側に、レーザ光照射用溝部11hを形成している。
次に、実装工程を実施する。コネクタ30としてのオス型のコネクタ30cを、対応する貫通基板11に接着固定し、コネクタ30cの端子31と回路基板19の回路とを電気的に接続することで、端子31によって回路基板19が貫通基板11上に支持された2階建て構造の構造体23を得るところまでは、第2実施形態と同じである。本実施形態では、上記工程とは別に、メス型のコネクタ30dを、対応する貫通基板11に接着固定しておく。そして、貫通基板11に固定されたコネクタ30dの端子31と、上記構造体23における回路基板19の回路とを電気的に接続する。詳しくは、回路基板19のスルーホール20を、対応する端子31(第2端子及び第3端子)が挿通し、裏面19b側に一端が露出するように、回路基板19をロボットアームなどにより把持して位置決めする。そして、回路基板19の裏面19b側に露出する端子31の一端と、スルーホール20の開口周囲に設けられた配線13のランドとのはんだ21による接合部位に、オス型のコネクタ30cを有する貫通基板11のレーザ光照射用溝部11hを通してレーザ光を照射し、はんだ付けする。これにより、回路基板19が端子31によって貫通基板11上に支持され、メス型のコネクタ30dを有する貫通基板11が、端子31によって回路基板19上に支持された3階建て構造の構造体23となる。
次に、モールド工程を実施する。本実施形態の場合、構造体23が、厚さ方向における上下両側に貫通基板11を有するので、上型72として、キャビティ形成面に、メス型のコネクタ30dを有する貫通基板11の裏面11bと接触される平坦部72aと、該平坦部72aに対して凹み、コネクタ30dの突出部位30aと所定のクリアランスを有して離反された凹部72bを有するものを採用する。なお、これら平坦部72a及び凹部72bが上型72における鍋底形状の底部を構成し、符号72cに示す部位が、鍋底形状の側壁部を構成している。したがって、このモールド工程により、第2実施形態同様、コネクタ30の露出部位30bと回路全体(発熱素子12a及び回路基板19)が封止樹脂部50によって一体的に被覆される。また、下型71の平坦部71a及び上型72の平坦部72aがそれぞれストッパとなり、溝部22やレーザ光照射用溝部11h内にも樹脂材料が充填される。
そして、貫通基板11のうち、封止樹脂部50から露出する除去部位11gがある場合には、この除去部位11gを除去して、各素子実装部11dとコネクタ実装部11eを電気的に分離する。以上により、図15に示した電子制御装置100を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
本実施形態においては、1つの貫通基板11が2つの貫通孔14を有し、2つのコネクタ30が接着固定される例を示した。しかしながら、貫通孔14及びコネクタ30の個数は上記例に限定されるものではない。
本実施形態においては、コネクタ30のハウジング32が、挿入部32aと鍔部32bを有する例を示した。しかしながら、ハウジング32の形態は、上記例に限定されるものではない。例えば、貫通基板11における裏面11b側から表面11a側に挿入固定されるものを採用しても良い。しかしながら、封止樹脂部50を形成する際の加圧された樹脂材料によるコネクタ30のがたつきを抑制するには、本実施形態に示したように構成とすることが好ましい。