図1〜図5において、200は電力変換装置、10は上部ケース、11は金属ベース板、12は筐体、13は冷却水入口配管、14は冷却水出口配管、420はカバー、16は下部ケース、17は交流配線ケース、18は交流配線、19は冷却水流路、20は制御回路基板で制御回路172を保持している。21は外部との接続のためのコネクタ、22は駆動回路基板でドライバ回路174を保持している。300はパワーモジュール(半導体モジュール部)で2個設けられており、それぞれのパワーモジュールにはインバータ回路144が内蔵されている。700は積層導体板、800はOリング、304は金属ベース、188は交流コネクタ、314は直流正極バスバー、316は直流負極バスバー、500はコンデンサモジュール、502はコンデンサケース、504は正極側コンデンサ端子、506は負極側コンデンサ端子、514はコンデンサセル、をそれぞれ表す。
本実施形態に係る電力変換装置200は、大きく構成要素を分けると、直流電力と交流電力との変換を行うパワーモジュール(半導体モジュール部)300と、直流電源の電圧平滑用のコンデンサモジュール500と、パワーモジュール300などを冷却するための冷却水流路19とから構成される。図1に示すように、本実施形態に係る電力変換装置200の外観は、上面あるいは底面が略長方形の筐体12と、前記筐体12の短辺側の外周の1つに設けられた冷却水入口配管13および冷却水出口配管14と、前記筐体12の上部開口を塞ぐための上部ケース10と、前記筐体12の下部開口を塞ぐための下部ケース16とを固定して形成されたものである。筐体12の底面図あるいは上面図の形状を略長方形としたことで、車両への取り付けが容易となり、また生産し易い効果がある。
前記電力変換装置200の長辺側の外周にはモータジェネレータ192や194との接続を助けるための3組の交流配線ケース17が設けられている。前記電力変換装置200の長辺側の外周にはモータジェネレータ192や194との接続を助けるための2組の交流配線ケース17が設けられる。交流配線18は、パワーモジュール300とモータジェネレータ192,194とを電気的に接続して、該パワーモジュール300から出力される交流電流を該モータジェネレータ192,194へ伝達する。
コネクタ21は、筐体12に内蔵された制御回路基板20に接続されており、外部からの各種信号を該制御回路基板20に伝送する。直流負極側接続端子部510と直流正極側接続端子部512は、バッテリ136とコンデンサモジュール500とを電気的に接続する。ここで本実施形態では、コネクタ21は、前記筐体12の短辺側の外周面の一方側に設けられる。一方、直流負極側接続端子部510と直流正極側接続端子部512は、前記コネクタ21が設けられた面とは反対側の短辺側の外周面に設けられる。つまり、コネクタ21と直流負極側接続端子部510が離れた配置となっている。これにより、直流負極側接続端子部510から筐体12に侵入し、さらにコネクタ21まで伝播するノイズを低減することでき、制御回路基板20によるモータの制御性を向上させることができる。
図2は、本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成を各構成要素に分解した斜視図である。筐体12の中ほどに冷却水流路19が設けられ、前記冷却水流路19の上部には流れの方向に並んで2組の開口部400と402が形成されている。前記2組の開口部400と402がそれぞれパワーモジュール300で塞がれる様に2個のパワーモジュール300が前記冷却水流路19の上面に固定されている。各パワーモジュール300には放熱のためのフィン305が設けられており、各パワーモジュール300のフィン305はそれぞれ前記冷却水流路19の開口部400と402から冷却水の流れの中に突出している。
前記冷却水流路19の下側にはアルミ鋳造を行いやすくするための開口部404が形成されており、前記開口部404はカバー420で塞がれている。前記カバー420は、発熱しない支持部410の位置で流路断面積を最大とし急激な断面積変化による圧力損失を低減させるため、テーパ形状となっており、圧力損失を下げることによって冷却効率を向上させている。また前記冷却水流路19の下側には補機用のインバータ装置43が取り付けられている。前記補機用のインバータ装置43は、インバータ回路144と同様の回路が内蔵されており、前記インバータ回路144を構成しているパワー半導体素子を内蔵したパワーモジュールを有している。補機用のインバータ装置43は前記内蔵している前記パワーモジュールの放熱金属面が前記冷却水流路19の下面に対向するようにして、前記冷却水流路19の下面に固定されている。
さらに前記冷却水流路19の下部に放熱作用を為す下部ケース16が設けられ、前記下部ケース16にはコンデンサモジュール500が、コンデンサモジュール500の金属材からなるケースの放熱面が前記下部ケース16の面に対向するようにして前記下部ケース16の面に固定されている。この構造により冷却水流路19の上面と下面とを利用して効率良く冷却することができ、電力変換装置全体の小型化に繋がる。
入出口配管13,14からの冷却水が冷却水流路19を流れることによって、併設されている2個のパワーモジュール300が有する放熱フィンが冷却され、前記2個のパワーモジュール300全体が冷却される。冷却水流路19の下面に設けられた補機用のインバータ装置43も同時に冷却する。
さらに冷却水流路19が設けられている筐体12が冷却されることにより、筐体12の下部に設けられた下部ケース16が冷却され、この冷却によりコンデンサモジュール500の熱が下部ケース16および筐体12を介して冷却水に熱的伝導され、コンデンサモジュール500が冷却される。
詳細は後述するが、本実施形態では、パワーモジュール300の直流正極バスバー314,直流負極バスバー316は、コンデンサモジュール500の正極側コンデンサ端子504,負極側コンデンサ端子506にそれぞれ電気的及び機械的に筐体12内で接続されている。この接続のための貫通孔406が形成されている。
パワーモジュール300の上方には制御回路基板20と駆動回路基板22とが配置され、駆動回路基板22にはドライバ回路174が搭載され、制御回路基板20にはCPUを有する制御回路172が搭載される。また、駆動回路基板22と制御回路基板20の間には金属ベース板11が配置され、金属ベース板11は両基板22,20に搭載される回路群の電磁シールドの機能を奏すると共に駆動回路基板22と制御回路基板20とが発生する熱を逃がし、冷却する作用を有している。このように冷却水流路19の中央部に冷却水流路19を設け、その一方の側に車両駆動用のパワーモジュール300を配置し、また他方の側に補機用のインバータ装置43を配置することで、少ない空間で効率良く冷却でき、電力変換装置全体の小型化が可能となる。また筐体中央部の冷却水流路19の主構造を筐体12と一体にアルミ材の鋳造で作ることにより、冷却水流路19は冷却効果に加え機械的強度を強くする効果がある。またアルミ鋳造で作ることで筐体12と冷却水流路19とが一体構造となり、熱伝導が良くなり冷却効率が向上する。
駆動回路基板22には、金属ベース板11を通り抜けて、制御回路基板20の回路群との接続を行う基板間コネクタ23が設けられている。また、制御回路基板20には外部との電気的接続を行うコネクタ21が設けられている。コネクタ21により電力変換装置の外の、例えばバッテリとして車に搭載されているリチウム電池モジュールとの信号の伝送が行われ、リチウム電池モジュールから電池の状態を表す信号やリチウム電池の充電状態などの信号が送られてくる。前記制御回路基板20に保持されている制御回路172との信号の授受を行うために前記基板間コネクタ23が設けられており、図示を省略しているが信号線と基板間コネクタ23を介して制御回路基板20からインバータ回路のスイッチングタイミングの信号が駆動回路基板22に伝達され、駆動回路基板22で駆動信号であるゲート駆動信号を発生し、パワーモジュールのゲート電極にそれぞれ印加される。
筐体12の上部と下部には開口が形成され、これら開口はそれぞれ上部ケース10と下部ケース16が例えばねじ等で筐体12に固定されることにより塞がれる。筐体12の中央に冷却水流路19が設けられ、前記冷却水流路19にパワーモジュール300やカバー420を固定する。このようにして冷却水流路19を完成させ、水路の水漏れ試験を行う。水漏れ試験に合格した場合に、次に前記筐体12の上部と下部の開口から基板やコンデンサモジュール500を取り付ける作業を行うことができる。このように中央に冷却水流路19を配置し、次に前記筐体12の上部と下部の開口から必要な部品を固定する作業が行える構造を為しており、生産性が向上する。また冷却水流路19を最初に完成させ、水漏れ試験の後その他の部品を取り付けることが可能となり、生産性と信頼性の両方が向上する。
図3は冷却水流路19を有する筐体12のアルミ鋳造品に冷却水入口配管と出口配管を取り付けた図であり、図3(A)は筐体12の斜視図、図3(B)は筐体12の上面図、図3(C)は筐体12の下面図である。図3に示す如く筐体12と前記筐体12の内部に設けられた冷却水流路19が一体に鋳造されている。筐体12の上面あるいは下面は略長方形の形状を為し、長方形の短辺の一方側筐体側面に冷却水を取り入れるための冷却水入口配管13が設けられ、同じ側面に冷却水出口配管14が設けられている。
前記冷却水入口配管13から冷却水流路19に流入した冷却水は、矢印418の方向である長方形の長辺に沿って流れ、長方形の短辺の他方側側面の手前近傍で矢印421のように折り返し、再び長方形の長辺に沿って矢印422の方向に流れ、出口孔403から流出する。冷却水流路19の行き側と帰り側にそれぞれ2個ずつの開口部400と402とが形成されている。前記開口にはパワーモジュール300がそれぞれ固定され、各パワーモジュール300の放熱のためのフィンがそれぞれの開口から冷却水の流れの中に突出する構造となっている。前記筐体12の流れの方向すなわち長辺に沿った方向にパワーモジュール300が並べて固定され、この固定により前記各パワーモジュール300により冷却水流路19の開口を例えばOリング800などで完全に塞ぐことができるように、支持部410が筐体と一体成形されている。この支持部410は略中央に位置し、支持部410に対して冷却水の出入り口側の方に1つのパワーモジュール300が固定され、また前記支持部410に対して冷却水の折り返し側の方に他の1つのパワーモジュール300が固定される。図3(B)に示すねじ穴412は前記出入り口側のパワーモジュール300を冷却水流路19に固定するために使用され、この固定により開口部400が密閉される。またねじ穴414は前記折り返し側のパワーモジュール300を冷却水流路19に固定するために使用され、この固定により開口部402が密閉される。このように冷却水流路19の行き側と帰り側両方を跨ぐようにパワーモジュール300を配置することで、インバータ回路144を金属ベース304の上に高密度で集積できるため、パワーモジュール300の小型化が可能となり電力変換装置200の小型化にも大きく寄与する。
前記出入り口側のパワーモジュール300は冷却水入口配管13からの冷たい冷却水と出口側に近いため暖められた冷却水で冷やされることとなる。一方前記折り返し側のパワーモジュール300は少し温められた冷却水により冷却されるが、出口孔403近くの冷却水よりは温度が低くなる。結果として折り返し冷却通路と2つのパワーモジュール300の配置関係は、2つのパワーモジュール300の冷却効率が均衡した状態となるメリットがある。
前記支持部410はパワーモジュール300の固定のために使用され、開口部400や402の密閉のために必要である。さらに前記支持部410は筐体12の強度の強化に大きな効果がある。冷却水流路19は上述の通り折り返し形状であり、行き側流路と帰り側流路を隔てる隔壁408が設けられ、この隔壁408が前記支持部410と一体に作られている。隔壁408は単に行き側流路と帰り側流路を隔てる作用の他に、筐体の機械的な強度を高める作用をしている。また折り返し通路間の熱の伝達通路としての作用を為し、冷却水の温度を均一化する作用を為す。冷却水の入口側と出口側との温度差が大きいと冷却効率のムラが大きくなる。ある程度の温度差は仕方ないが、前記この隔壁408が前記支持部410と一体に作られていることで冷却水の温度差を抑える効果がある。
図3(C)は前記冷却水流路19の裏面を示しており、前記支持部410に対応した裏面に開口部404が形成されている。この開口部404は、筐体の鋳造により形成する前記支持部410と筐体12一体構造の歩留まりを向上するためのものである。開口部404の形成により、鋳造品では、前記支持部410と冷却水流路19の底部との二重構造が無くなり、鋳造し易く、生産性が向上する。
前記冷却水流路19の側部と長方形の長辺との間に通路の上側と下側とを貫通する貫通孔406を形成している。前記冷却水流路19を挟んで両側に電気部品が取り付けられるため、前記両側の電気部品の電気的な接続が必要となる。貫通孔406は冷却水流路19の両側の電気部品の電気的な接続を行うための孔である。
図3に示す筐体構造は鋳造生産特にアルミダイキャスト生産に適した構造をしている。すなわち冷却水流路19と筐体12との一体構造を完成に近い形状で製造できる効果がある。矢印421で示す水路の折り返し部分を開口部402の一部としていることで折り返し部分の一体鋳造が可能となった。すなわち開口部402にパワーモジュール300を固定することで折り返し通路が完成する。さらに折り返し通路を冷却に利用できることで、良い小型化が可能となっている。冷却水流路19周辺は開口面に対して略垂直であり、前記隔壁408の側面も略垂直である。このような形状とすることで、上面に開口部400および402にパワーモジュール300を固定子、裏面にカバー420を固定することで水路が完成する。この時点で水路の水漏れの検査を行い、次に部品の取り付けを行うことで不良品を早く取り除き生産性を向上できる効果がある。
冷却水流路19の上面開口にパワーモジュール300を固定し、裏面開口にカバー420を固定した状態を図4に示す。筐体12の長方形の一方の長辺側において、筐体12の外に交流電力線186および交流コネクタ188が突出している。
冷却水流路19の上面開口にパワーモジュール300を固定し、さらに裏面開口にカバー420を固定した状態を図6に示す。筐体12の長方形の一方の長辺側において、筐体12の外に交流電力線186および交流コネクタ188が突出している。
図4において、筐体12の長方形の他方の長辺側内部に前記貫通孔406が形成されており、前記貫通孔406を通してパワーモジュール300と接続される積層導体板700の一部が見えている。補機用インバータ装置43は、直流正極側接続端子部512が接続された筐体12の側面の近傍に配置される。また、この補機用インバータ装置43の下方(冷却水流路19がある側とは反対側)にコンデンサモジュール500が配置される。補機用正極端子44と補機用負極端子45は、下方(コンデンサモジュール500が配置された方向)に突出し、コンデンサモジュール500側の補機用正極端子532と補機用負極端子534にそれぞれ接続される。これにより、コンデンサモジュール500から補機用インバータ装置43までの配線距離が短くなるので、コンデンサモジュール500側の補機用正極端子532及び補機用負極端子534から金属製の筐体12を介して制御回路基板20に侵入するノイズを低減することができる。
また、補機用インバータ装置43は冷却水流路19とコンデンサモジュール500との隙間に配置され、さらに該補機用インバータ装置43の高さはカバー420の高さと同程度となっている。そのため、補機用インバータ装置43を冷却するとともに電力変換装置200の高さの増加を抑えることができる。
また図4には冷却水入口配管13と冷却水出口配管14が螺子により固定されている。図4の状態で冷却水流路19の水漏れ検査を実施できる。この検査に合格したものに、上記補機用インバータ装置43が取り付けられ、さらにコンデンサモジュール500が取り付けられる。
図5は必要な部品および配線を行った状態を示す電力変換装置200の断面図(図4のA−A断面基準)であり、基本的な構造は図1から図4に基づいて、既に説明したとおりである。筐体12の断面における上下方向の中央部には筐体12と一体にアルミダイキャストで作られた2つの冷却水流路19が設けられ、冷却水流路19の上面側に形成された開口にパワーモジュール300が設置されている。図5の左側が行き側の第1流路19aで右側が折り返し側の第2流路19bである。行き側および折り返し側の冷却水流路19は上述のとおりそれぞれ開口が設けられ、前記開口はパワーモジュール300の放熱のための金属ベース304で行き側および折り返し側両方に跨るように塞がれ、前記金属ベース304に設けられた放熱のためのフィン305が冷却水の流れのなかに前記開口から突出している。前記冷却水流路19の下面側には補機用のインバータ装置43が固定されている。
図5の左側に断面が直方体形状すなわちバスバー形状の交流電力線186がパワーモジュール300内部から伸びて交流コネクタ188を形成している。図5の右側には貫通孔406が形成されており、パワーモジュール300の直流正極/負極バスバー314,316が、直流用正極バスバー702と直流用負極バスバー706を介してコンデンサモジュール500から伸びてきた正極導体板507と負極導体板505と直接に電気的及び機械的に接続している。筐体12の略中央を長方形の長辺方向に往復する冷却水流路19が配置され、前記冷却水の流れ方向と略垂直の方向に交流コネクタ188と直流正極/負極バスバー314,316が配置される構造となっているので電気配線が整然と配置され、電力変換装置200の小型化に繋がっている。さらにパワーモジュール300の直流側の正極/負極導体板315,317および交流電力線186がパワーモジュール300の外に突出して接続端子を形成しているため構造がたいへん簡単で、また他の接続導体が使用されていないため小型化になっている。この構造により生産性が向上し、信頼性も向上する。パワーモジュール300の直流正極/負極バスバー314,316とコンデンサモジュール500の正極側/負極側コンデンサ端子504,506が接続する貫通孔406は、前記冷却水流路19とは筐体12内部の枠体で隔絶している構造であり、信頼性が向上する。
筐体12の下側開口には熱伝導性に優れるアルミ製の下部ケース16が設けられている。下部ケース16にはコンデンサモジュール500の金属製コンデンサケース502が固定されている。前記下部ケース16は筐体12を介して冷却水流路19を流れる冷却水で冷却されるため、コンデンサモジュール500の内部で発生した熱は前記下部ケース16を通して放熱する。
発熱量の大きいパワーモジュール300を冷却水流路19の一方の面に固定すると共にパワーモジュール300のフィン305が冷却水流路19の開口から水路内に突出するようにして効率良く冷却し、次に放熱量の大きい補機用インバータ装置43を冷却水流路19の他方の面で冷却し、さらに次に発熱量が大きいコンデンサモジュール500を筐体12および下部ケース16を介して冷却する構造としている。このように放熱量の多さにあわせた冷却構造としているので、冷却効率や信頼性が向上すると共に、電力変換装置200をより小型化することができる。
さらに補機用インバータ装置43を冷却水流路19のコンデンサモジュール500側面に固定しているので、補機用インバータ装置43の平滑用コンデンサとしてコンデンサモジュール500を使用でき、この場合配線距離が短くなる効果がある。また配線距離が短いことからインダクタンスを小さくできる効果がある。
冷却水流路19の一方の面に固定された、この例では上方、パワーモジュール300のさらに上方には、図2のドライバ回路174を保持した駆動回路基板22が配置され、さらにその上方には放熱および電磁シールドの作用をする金属ベース板11を介在させて制御回路基板20がコネクタ21を付設して配置されている。なお制御回路基板20には図2の制御回路172が搭載されている。上部ケース10を筐体12に固定することによって、本実施形態に係る電力変換装置200が構成される。
上述のように、制御回路基板20とパワーモジュール300との間に駆動回路基板22を配置しているので、制御回路基板20からインバータ回路の動作タイミングが駆動回路基板22に伝えられ、それに基づいて駆動回路基板22でゲート信号が作られ、パワーモジュール300のゲートにそれぞれ印加される。このように電気的な接続関係に沿って制御回路基板20や駆動回路基板22を配置しているので、電気配線が簡素化でき、電力変換装置200の小型化に繋がる。
冷却水流路19の一方の面にパワーモジュール300を固定し、他方の面に補機用インバータ装置43を固定することで、冷却水流路19でパワーモジュール300と補機用インバータ装置43を同時に冷却する。この場合、パワーモジュール300は放熱のためのフィンが冷却水流路19の冷却水と直接、接するのでより冷却効果が大きい。さらに冷却水流路19で筐体12を冷却し、筐体12に下部ケース16や金属ベース板11を固定することで下部ケース16や金属ベース板11を介して冷却する。下部ケース16にはコンデンサモジュール500の金属ケースが固定されるので下部ケース16と筐体12を介してコンデンサモジュール500が冷却される。さらに金属ベース板11を介して制御回路基板20や駆動回路基板22を冷却する。このように中央に冷却水流路19を設け、一方に金属ベース板11を設け、他方に下部ケース16を設けることで、電力変換装置200を構成するのに必要な部品を発熱量に応じ、効率良く冷却することができる。また電力変換装置200の内部に部品が整然と配置されることとなり、小型化が可能となる。
さらに中央部の冷却水流路19にパワーモジュール300を取り付けた状態で水漏れのテストを行うことが可能となり、テストを終えてから筐体12の上と下とから必要な部品を固定できるので、生産性に優れている。
本発明の実施形態に係る電力変換装置の特徴についてさらに説明する。本実施形態に係る電力変換装置の全体積層構成と冷却構造では、主たる発熱体であるパワーモジュール300は、冷却水流路19を流れる冷却水によって直接冷却され、発熱体であるコンデンサモジュール500は冷却水流路19を間にしてパワーモジュール300とサンドイッチ構造となっており、このサンドイッチの積層構造によって電力変換装置の薄型化,小型化が図られている。
電力変換装置の放熱機能を果たす放熱体は、第1に冷却水流路19であるが、この他にも金属ベース板11がその機能を奏している(放熱機能を果たすために金属ベース板11を設けている)。金属ベース板11は、電磁シールド機能を果たすとともに、制御回路基板20や駆動回路基板22からの熱を受けて、筐体12に熱を伝導し、冷却水流路19の冷却水で放熱される。さらに、下部ケース16も熱伝導性の良い材料でできていて、コンデンサモジュール500からの発熱を受け、冷却水流路19に熱を伝導し、冷却水流路19の冷却水で放熱される。また、冷却水流路19の下部カバー15側である他方の側には、車内用エアコン,オイルポンプ、他用途のポンプ用として用いる、比較的小容量の補機用インバータ装置43を設置してもよい。この補機用インバータ装置43からの発熱は、前記筐体12の中間枠体を通して冷却水流路19の冷却水で放熱される。
このように、本実施形態に係る電力変換装置は、放熱体が3層の積層体を形成しており、すなわち、金属ベース板11,冷却水流路19,下部ケース16という積層構造であり、これらの放熱体はそれぞれの発熱体(パワーモジュール300,回路基板20,22,コンデンサモジュール500)に隣接して階層的に設置される。階層構造の中央部には、主たる放熱体である冷却水流路19が存在し、金属ベース板11と下部ケース16は筐体12を通して冷却水流路19の冷却水に熱を伝える構造となっている。筐体12内に3つの放熱体(冷却水流路19,金属ベース板11,下部ケース16)が収容されて、放熱性を向上させるとともに薄型化,小型化に寄与している。
図11(a)は、本実施形態に関するパワーモジュール300の上方斜視図であり、図11(b)は、当該パワーモジュール300の上面図である。図12は、本実施形態に関するパワーモジュール300の直流端子の分解斜視図である。図13は、直流バスバーの構造を分かりやすくするため、パワーモジュールケース302を一部透明にした断面図である。図12(a)は、パワーモジュール300の構成部品である金属ベース304及び3つの上下アーム直列回路のうち1つ、を抜き出した図である。図12(b)は、金属ベース304,回路配線パターン及び絶縁基板334の分解斜視図である。
302はパワーモジュールケース、304は金属ベース、305はフィン(図13参照)、314は直流正極バスバー、316は直流負極バスバー、318は絶縁紙(図12参照)、320U/320Lはパワーモジュールの制御端子、328は上アーム用のIGBT、330は下アーム用のIGBT、156/166はダイオード、334は絶縁基板(図13参照)、334kは絶縁基板334上の回路配線パターン(図13参照)、334rは絶縁基板334下の回路配線パターン337(図13参照)、をそれぞれ表す。
パワーモジュール300は、大きく分けて、例えば樹脂材料のパワーモジュールケース302内の配線を含めた半導体モジュール部と、金属材料例えばCu,Al,AlSiCなどからなる金属ベース304と、外部との接続端子(直流正極バスバー314や制御端子320U等)と、から構成される。そして外部と接続する端子として、パワーモジュール300は、モータと接続するためのU,V,W相の交流端子159と、コンデンサモジュール500と接続する直流正極バスバー314及び直流負極バスバー316とを有している。
また、前記半導体モジュール部は、絶縁基板334の上に上下アーム用のIGBT328,330,ダイオード156/166等が設けられて、レジン又はシリコンゲル(不図示)によって保護されている。絶縁基板334はセラミック基板であっても良いし、さらに薄い絶縁シートであってもよい。
図11(b)は、金属ベース304に固着された熱伝導性の良いセラミックからなる絶縁基板334の上に、上下アーム直列回路が具体的にどのような配置で設置されているかを示す配置構成図とその機能を示す説明図である。図11(b)に示すIGBT328,330とダイオード327,332はそれぞれ2つのチップを並列接続して上アーム,下アームを構成し、上下アームに通電可能な電流容量を増やしている。
図12に示すように、パワーモジュール300に内蔵された直流端子313は、絶縁紙318を挟んで、直流負極バスバー316,直流正極バスバー314の積層構造を為す(図12の点線部)。また、直流負極バスバー316,直流正極バスバー314の端部を互いに反対方向に屈曲させ、積層導体板700とパワーモジュール300とを電気的に接続するための負極接続部316a及び正極接続部314aを形成する。積層導体板700との接続部314a(又は、316a)が2つ設けられることにより、負極接続部316a及び正極接続部314aから3つの上下アーム直列回路までの平均距離をほぼ等しくなるので、パワーモジュール300内の寄生インダクタンスのバラツキを低減することができる。
また、直流正極バスバー314,絶縁紙318,直流負極バスバー316を積層して組み立てたときに、負極接続部316aと正極接続部314aが互いに反対方向に屈曲した構造を為す。絶縁紙318は、負極接続部316aに沿って曲げ、正極,負極の端子の絶縁沿面距離を確保する。絶縁紙318は、耐熱が必要なときは、ポリイミドやメタ系アラミド繊維,トラッキング性を高めたポリエステルなどを複合したシートを用いる。また、ピンフォールなどの欠陥を考慮して、信頼性を高めるときは2枚重ねする。また、破れたり、裂けたりすることを防ぐために、コーナー部にアールを設けたり、端子のエッジが絶縁紙に触れないよう、打ち抜き時のダレ面を絶縁紙に面する方向にする。本実施例では、絶縁物として絶縁紙を用いたが、他の例として、端子に絶縁物をコーティングしてもよい。寄生インダクタンスを低減するため、例えば、600V耐圧のパワーモジュールのときは、正極,負極間の距離を0.5mm以下とし、絶縁紙の厚さは、その半分以下とする。
また、直流正極バスバー314及び直流負極バスバー316は、回路配線パターン334Kと接続するための接続端314K,316Kを有する。それぞれの接続端314K,316Kは、各相(U,V,W相)に対して2つ存在する。これにより、後述するように、各相のアーム毎に2つの小ループ電流経路を形成した回路配線パターンと接続することができる。また、各接続端314K,316Kは、回路配線パターン334Kの方向に向かって突出し、かつ回路配線パターン334Kとの接合面を形成するために、その先端部が屈曲している。接続端314K,316Kと回路配線パターン334Kは、はんだなどを介して接続されるか、もしくは直接金属どうしを超音波溶接により接続される。
パワーモジュール300、特に金属ベース304は、温度サイクルによって膨張及び収縮する。この膨張及び収縮によって、接続端314K,316Kと回路配線パターン334Kの接続部は、亀裂又は破断するおそれが生じる。そこで、本実施形態に係るパワーモジュール300では、図12に示すように、直流正極バスバー314と直流負極バスバー316が積層されることにより形成される積層平面部319が、絶縁基板334を搭載した側の金属ベース304の平面に対して、略平行となるように構成されている、これにより、積層平面部319は、前述の膨張及び収縮により発生する金属ベース304の反り返りに対応した反り返り動作が可能となる。そのため、積層平面部319に一体に形成された接続端314K,316Kの剛性は、金属ベース304の反り返りに対して、小さくすることができる。したがって、接続端314K,316Kと回路配線パターン334Kとの接合面の垂直方向に加わる応力を緩和することができ、この接合面の亀裂又は破断を防止することができる。
なお、本実施形態に係る積層平面部319は、金属ベース304の幅方向及び奥行き方向の両方の反り返りに対応して反り返り動作が可能となるように、積層平面部319の幅方向の長さを130mm、奥行き方向の長さを10mmとして、奥行き方向の長さを大きめにしている。また、直流正極バスバー314と直流負極バスバー316のそれぞれの積層平面部319の厚さは、反り返り動作をしやすいように1mmと比較的薄く設定されている。
図13に示されるように、金属ベース304は、冷却水流路に浸されて冷却水へ効率良く放熱するために、絶縁基板334の反対側にフィンの形状305を有している。また、金属ベース304は、その一方の面にインバータ回路を構成するIGBTやダイオードを実装し、該金属ベース304の外周に樹脂製のパワーモジュールケース302を備える。金属ベース304の他方の面にフィン305がロウ付け又は、金属ベース304とフィン305が鍛造により一体成型される。金属ベース304とフィン305が鍛造により一体成型されることによって、パワーモジュール300の生産性が向上するとともに、金属ベース304からフィン305までの熱伝導率を向上させ、IGBT及びダイオードの放熱性を向上させることができる。また、金属ベース304のビッカース硬度を60以上とすることで、温度サイクルによって生ずる金属ベース304のラチェット変形を抑制し、金属ベース304と筐体12とのシール性を向上させることができる。さらに、図13(a)に示す如く上下アームにそれぞれ対応してフィン305が設けられており、これらのフィン305は往復する冷却水流路19の開口から水路内に突出する。金属ベース304のフィン305周辺の金属面は前記冷却水流路19に設けられた開口を閉じるために使用される。
なお、本実施形態のフィン305形状はピン型であるが、他の実施形態として、冷却水の流れ方向に沿って形成されたストレート型であってもよい。フィン305形状にストレート型を用いた場合には、冷却水を流すための圧力を低減させることができ、一方ピン型を用いた場合には冷却効率を向上させることができる。
金属ベース304の一方の面には、絶縁基板334が固定され、絶縁基板334にはんだ337より、その上に上アーム用のIGBT328や上アーム用のダイオード156さらに下アーム用のIGBT330や下アーム用のダイオード166のチップが固定される。
図6は冷却水流路の行き側と帰り側を繋ぐUターン部における、半導体素子とフィンレイアウトの相対位置関係を示した図である。
図15にて後述するが、パワーモジュール300内のインバータ単相回路は、直流正極端子側にIGBTとダイオードの対で構成される上アーム,直流負極端子側に別のIGBTとダイオードの対で構成される下アームの2群からなり、上アームと下アームを繋げている中間電極から交流電力を取り出している。モータの制御などに用いられる3相回路の場合は、前記上下アームが3組存在し、3相それぞれに直流電力を供給している。そのため、パワーモジュール300内に、上下アームを繋げるための配線や直流電力を前記IGBTに供給するための配線等を配置するスペースが必要となる。
前述の配線は、IGBTやダイオードに比して、冷却する必要性が乏しい。パワーモジュール300内の部品においては、IGBTやダイオードに対する冷却性能の向上が最も必要とされる。一方、冷却性能の低下を抑えながら電力変換装置の小型化を図る必要があり、特に冷却水が流れる流路面積を低減することができれば、電力変換装置の小型化かつ流路全体の圧力損失を低減することができる。
そこで本実施形態においては、前記IGBT328,330やダイオード156,166は、金属ベース304を介して第1流路及び第2流路と対向するように分かれて配置され、さらに直流正極バスバー314及び直流負極バスバー316は、金属ベース304を介して前記第1流路と前記第2流路との間の反対側に配置される。ここで本実施形態において、第1流路とは流路19の入口からUターン部424までの往路を意味し、一方、第2流路とはUターン部424から流路19の出口まで復路を意味する。なお、第1流路及び第2流路は、略直線状の流路が2つ並列に形成されたものであってもよい。
上記の配置関係となることにより、図6に示されるように、冷却水が流れない隔壁408と重なる位置に直流正極バスバー314及び直流負極バスバー316(図6の一点鎖線)が設置され、また冷却水と直接接触するフィン305と重なる位置にIGBT及びダイオードが設置される。そのため、最も冷却する必要があるIGBTやダイオードの発生熱は当該IGBTの直下に形成されたフィン305へ伝熱され、一方、直流正極バスバー314及び直流負極バスバー316の発生熱は金属ベース304を介してフィン305へ伝熱される。これにより、発熱素子の冷却性能の低下を抑えながら電力変換装置の小型化を図ることができる。さらに、流路面積の増大を抑えることができるので、電力変換装置の小型化かつ流路全体の圧力損失を低減することができる。
また、パワーモジュール300の一辺側に形成された交流端子159は、フィン305と重なる位置に配置されておらず、流路形成体19Cと重なる位置に設置される。これにより、発熱素子の冷却性能の低下を抑えながら電力変換装置の小型化を図ることができる。
U字型の冷却水流路を用いた場合、冷却水が流路入口からUターン部まで流れる間に、図6に示されるようなバイパス流423が発生してしまうおそれがある。そのため、Uターン部付近に配置された発熱素子を冷やすための必要量の冷却水が輸送されず、当該発熱素子の冷却が十分でなくなるおそれがある。特に、冷却水流路の行き側と帰り側を跨ぐように形成された開口を板材(本実施形態においては金属ベース304)で塞ぐことにより完成される冷却水流路を用いた場合には、前述のバイパス流423が発生するおそれがある。
そこで本実施形態では、隔壁408にOリング800を設け、好ましくは図6に示されるようにOリング800をバイパス流423の流れ方向に対して二重構造となるように当該Oリング800を折り曲げて隔壁408に設置する。これにより、シール性能が向上しバイパス流423を防止できるため、Uターン部まで冷却水を輸送して、Uターン部に配置された半導体素子の冷却促進することができる。なお本実施形態ではシール材をOリング800としているが、Oリングの代わりに樹脂材・液状シール・パッキンなどを代用しても良い。
また、パワーモジュール固定用のねじ穴414aを隔壁408に設けることにより、パワーモジュールの金属ベース304の許容たわみ量を上げ、ポンプの駆動による冷却水の水圧によるたわみ量を下げることができる。これにより、隔壁408と金属ベース304間のシール性が向上し、バイパス流423を抑制することができる。特に、バイパス流423の流れ方向に対して二重構造であるOリング800において、当該二重構造の間に挟まれるようにねじ穴414aを形成すると、装置全体の大型化を抑えながらシール性能の向上を図ることができる。
本発明の実施形態は、IGBT328/330がダイオード156/166よりも隔壁408から離れた場所に配置されているため、Uターン部での流れの慣性力(遠心力)を利用することにより、Uターン下流部のベクトル421bがコーナー部への方向に成分を持つようになるため、局所的に冷却性能が落ちる部位の冷却促進をすることが可能となる。
さらに本実施形態では、図6に示されるように、隔壁408の末端部424に凹部を形成することで、Uターン上流部およびUターン下流部のベクトル421a/421bがコーナー部への方向に成分を持つようになるため、液が淀みやすい部位でも冷却促進が可能となる。
また、本実施形態ではフィン305をピン型の形状とし、かつ当該フィン305を隔壁408の末端部424の近傍からUターン部の端部の近傍まで形成している。つまり図6のAA線よりも矢印方向側にフィン305を形成している。一方Uターン部末端にフィンが存在しない隙間を設けることにより、末端部424に向かって送液することが可能となる(Uターン上流部のベクトル421a)。これにより、Uターン部の冷却効率の低下を防ぎ、Uターン部にIGBT328,330やダイオード156,166を配置することができる。そのため流路面積を低減することができ、その結果、電力変換装置の小型化かつ流路全体の圧力損失を低減することができる。
なお、Uターン部へ冷却水を送液するために、ピンフィンの代わりに平板フィンのようなガイドベーンを用いても良いが、平板フィンでは冷却性能が低いことと、行き側と帰り側を繋ぐためのスペース確保のために小型化が困難という課題があるため、ピンフィンのような無指向性のヒートシンクがUターン部には有利である。
本発明の実施形態に係る電力変換装置は、ハイブリッド用の自動車や純粋な電気自動車に適用可能であるが、代表例として、本発明の実施形態に係る電力変換装置をハイブリッド自動車に適用した場合の制御構成と電力変換装置の回路構成について、図14と図15を用いて説明する。図14はハイブリッド自動車の制御ブロックを示す図である。
本発明の実施形態に係る電力変換装置では、自動車に搭載される車載電機システムの車載用電力変換装置、特に、車両駆動用電機システムに用いられ、搭載環境や動作的環境などが大変厳しい車両駆動用インバータ装置を例に挙げて説明する。車両駆動用インバータ装置は、車両駆動用電動機の駆動を制御する制御装置として車両駆動用電機システムに備えられ、車載電源を構成する車載バッテリ或いは車載発電装置から供給された直流電力を所定の交流電力に変換し、得られた交流電力を車両駆動用電動機に供給して車両駆動用電動機の駆動を制御する。また、車両駆動用電動機は発電機としての機能も有しているので、車両駆動用インバータ装置は運転モードに応じ、車両駆動用電動機の発生する交流電力を直流電力に変換する機能も有している。変換された直流電力は車載バッテリに供給される。
なお、本実施形態の構成は、自動車やトラックなどの車両駆動用電力変換装置として最適であるが、これら以外の電力変換装置、例えば電車や船舶,航空機などの電力変換装置、さらに工場の設備を駆動する電動機の制御装置として用いられる産業用電力変換装置、或いは家庭の太陽光発電システムや家庭の電化製品を駆動する電動機の制御装置に用いられたりする家庭用電力変換装置に対しても適用可能である。
図14において、ハイブリッド電気自動車(以下、「HEV」と記述する)110は1つの電動車両であり、2つの車両駆動用システムを備えている。その1つは、内燃機関であるエンジン120を動力源としたエンジンシステムである。エンジンシステムは、主としてHEVの駆動源として用いられる。もう1つは、モータジェネレータ192,194を動力源とした車載電機システムである。車載電機システムは、主としてHEVの駆動源及びHEVの電力発生源として用いられる。モータジェネレータ192,194は例えば同期機あるいは誘導機であり、運転方法によりモータとしても発電機としても動作するので、ここではモータジェネレータと記すこととする。
車体のフロント部には前輪車軸114が回転可能に軸支されている。前輪車軸114の両端には1対の前輪112が設けられている。車体のリア部には後輪車軸(図示省略)が回転可能に軸支されている。後輪車軸の両端には1対の後輪が設けられている。本実施形態のHEVでは、動力によって駆動される主輪を前輪112とし、連れ回される従輪を後輪とする、いわゆる前輪駆動方式を採用しているが、この逆、すなわち後輪駆動方式を採用しても構わない。
前輪車軸114の中央部には前輪側デファレンシャルギア(以下、「前輪側DEF」と記述する)116が設けられている。前輪車軸114は前輪側DEF116の出力側に機械的に接続されている。前輪側DEF116の入力側には変速機118の出力軸が機械的に接続されている。前輪側DEF116は、変速機118によって変速されて伝達された回転駆動力を左右の前輪車軸114に分配する差動式動力分配機構である。変速機118の入力側にはモータジェネレータ192の出力側が機械的に接続されている。モータジェネレータ192の入力側には動力分配機構122を介してエンジン120の出力側及びモータジェネレータ194の出力側が機械的に接続されている。尚、モータジェネレータ192,194及び動力分配機構122は、変速機118の筐体の内部に収納されている。
モータジェネレータ192,194は、回転子に永久磁石を備えた同期機であり、固定子の電機子巻線に供給される交流電力がインバータ装置140,142によって制御されることによりモータジェネレータ192,194の駆動が制御される。インバータ装置140,142にはバッテリ136が電気的に接続されており、バッテリ136とインバータ装置140,142との相互において電力の授受が可能である。
本実施形態では、モータジェネレータ192及びインバータ装置140からなる第1電動発電ユニットと、モータジェネレータ194及びインバータ装置142からなる第2電動発電ユニットとの2つを備え、運転状態に応じてそれらを使い分けている。すなわち、エンジン120からの動力によって車両を駆動している場合において、車両の駆動トルクをアシストする場合には第2電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン120の動力によって作動させて発電させ、その発電によって得られた電力によって第1電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させる。また、同様の場合において、車両の車速をアシストする場合には第1電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン120の動力によって作動させて発電させ、その発電によって得られた電力によって第2電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させる。
また、本実施形態では、バッテリ136の電力によって第1電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させることにより、モータジェネレータ192の動力のみによって車両の駆動ができる。さらに、本実施形態では、第1電動発電ユニット又は第2電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン120の動力或いは車輪からの動力によって作動させて発電させることにより、バッテリ136の充電ができる。
バッテリ136はさらに補機用のモータ195を駆動するための電源としても使用される。補機としては例えばエアコンディショナーのコンプレッサを駆動するモータ、あるいは制御用の油圧ポンプを駆動するモータであり、バッテリ136からインバータ装置43に直流電力が供給され、インバータ装置43で交流の電力に変換されてモータ195に供給される。前記インバータ装置43はインバータ装置140や142と同様の機能を持ち、モータ195に供給する交流の位相や周波数,電力を制御する。例えばモータ195の回転子の回転に対し進み位相の交流電力を供給することにより、モータ195はトルクを発生する。一方、遅れ位相の交流電力を発生することで、モータ195は発電機として作用し、モータ195は回生制動状態の運転となる。このようなインバータ装置43の制御機能はインバータ装置140や142の制御機能と同様である。モータ195の容量がモータジェネレータ192や194の容量より小さいので、インバータ装置43の最大変換電力がインバータ装置140や142より小さいが、インバータ装置43の回路構成は基本的にインバータ装置140や142の回路構成と同じである。
インバータ装置140や142およびインバータ装置43さらにコンデンサモジュール500は電気的に密接な関係にある。さらに発熱に対する対策が必要な点が共通している。また装置の体積をできるだけ小さく作ることが望まれている。これらの点から以下で詳述する電力変換装置は、インバータ装置140や142およびインバータ装置43さらにコンデンサモジュール500を電力変換装置の筐体内に内蔵している。この構成により、小型で信頼性の高い装置が実現できる。
またインバータ装置140や142およびインバータ装置43さらにコンデンサモジュール500を一つの筐体に内蔵することで、配線の簡素化やノイズ対策で効果がある。またコンデンサモジュール500とインバータ装置140や142およびインバータ装置43との接続回路のインダクタンスを低減でき、スパイク電圧を低減できると共に、発熱の低減や放熱効率の向上を図ることができる。
次に、図15を用いてインバータ装置140や142あるいはインバータ装置43の電気回路構成を説明する。尚、図14,図15に示す実施形態では、インバータ装置140や142あるいはインバータ装置43をそれぞれ個別に構成する場合を例に挙げて説明する。インバータ装置140や142あるいはインバータ装置43は同様の構成で同様の作用を為し、同様の機能を有しているので、ここでは、代表例としてインバータ装置140の説明を行う。
本実施形態に係る電力変換装置200は、インバータ装置140とコンデンサモジュール500とを備え、インバータ装置140はインバータ回路144と制御部170とを有している。また、インバータ回路144は、上アームとして動作するIGBT328(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)及びダイオード156と、下アームとして動作するIGBT330及びダイオード166と、からなる上下アーム直列回路150を複数有し(図15の例では3つの上下アーム直列回路150,150,150)、それぞれの上下アーム直列回路150の中点部分(中間電極169)から交流端子159を通してモータジェネレータ192への交流電力線(交流バスバー)186と接続する構成である。また、制御部170はインバータ回路144を駆動制御するドライバ回路174と、ドライバ回路174へ信号線176を介して制御信号を供給する制御回路172と、を有している。
上アームと下アームのIGBT328や330は、スイッチング用パワー半導体素子であり、制御部170から出力された駆動信号を受けて動作し、バッテリ136から供給された直流電力を三相交流電力に変換する。この変換された電力はモータジェネレータ192の電機子巻線に供給される。
インバータ回路144は3相ブリッジ回路により構成されており、3相分の上下アーム直列回路150,150,150がそれぞれ、バッテリ136の正極側と負極側に電気的に接続されている直流正極バスバー314と直流負極バスバー316の間に電気的に並列に接続されている。
本実施形態では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBT328や330を用いることを例示している。IGBT328や330は、コレクタ電極153,163,エミッタ電極(信号用エミッタ電極端子155,165),ゲート電極(ゲート電極端子154,164)を備えている。IGBT328,330のコレクタ電極153,163とエミッタ電極との間にはダイオード156,166が図示するように電気的に接続されている。ダイオード156,166は、カソード電極及びアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT328,330のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT328,330のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT328,330のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。スイッチング用パワー半導体素子としてはMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい、この場合はダイオード156やダイオード166は不要となる。
上下アーム直列回路150は、モータジェネレータ192の電機子巻線の各相巻線に対応して3相分設けられている。3つの上下アーム直列回路150,150,150はそれぞれ、IGBT328のエミッタ電極とIGBT330のコレクタ電極163を接続する中間電極169,交流端子159を介してモータジェネレータ192へのU相,V相,W相を形成している。上下アーム直列回路同士は電気的に並列接続されている。上アームのIGBT328のコレクタ電極153は正極端子(P端子)157を介してコンデンサモジュール500の正極側コンデンサ電極に、下アームのIGBT330のエミッタ電極は負極端子(N端子)158を介してコンデンサモジュール500の負極側コンデンサ電極にそれぞれ電気的に接続(直流バスバーで接続)されている。各アームの中点部分(上アームのIGBT328のエミッタ電極と下アームのIGBT330のコレクタ電極との接続部分)にあたる中間電極169は、モータジェネレータ192の電機子巻線の対応する相巻線に交流コネクタ188を介して電気的に接続されている。
コンデンサモジュール500は、IGBT328,330のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制する平滑回路を構成するためのものである。コンデンサモジュール500の正極側コンデンサ電極にはバッテリ136の正極側が、コンデンサモジュール500の負極側コンデンサ電極にはバッテリ136の負極側がそれぞれ直流コネクタ138を介して電気的に接続されている。これにより、コンデンサモジュール500は、上アームIGBT328のコレクタ電極153とバッテリ136の正極側との間と、下アームIGBT330のエミッタ電極とバッテリ136の負極側との間で接続され、バッテリ136と上下アーム直列回路150に対して電気的に並列接続される。
制御部170はIGBT328,330を作動させるためのものであり、他の制御装置やセンサなどからの入力情報に基づいて、IGBT328,330のスイッチングタイミングを制御するためのタイミング信号を生成する制御回路172と、制御回路172から出力されたタイミング信号に基づいて、IGBT328,330をスイッチング動作させるためのドライブ信号を生成するドライブ回路174とを備えている。
制御回路172は、IGBT328,330のスイッチングタイミングを演算処理するためのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記述する)を備えている。マイコンには入力情報として、モータジェネレータ192に対して要求される目標トルク値,上下アーム直列回路150からモータジェネレータ192の電機子巻線に供給される電流値、及びモータジェネレータ192の回転子の磁極位置が入力されている。目標トルク値は、不図示の上位の制御装置から出力された指令信号に基づくものである。電流値は、電流センサ180から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。磁極位置は、モータジェネレータ192に設けられた回転磁極センサ(不図示)から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。本実施形態では3相の電流値を検出する場合を例に挙げて説明するが、2相分の電流値を検出するようにしても構わない。
制御回路172内のマイコンは、目標トルク値に基づいてモータジェネレータ192のd,q軸の電流指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電流指令値と、検出されたd,q軸の電流値との差分に基づいてd,q軸の電圧指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電圧指令値を、検出された磁極位置に基づいてU相,V相,W相の電圧指令値に変換する。そして、マイコンは、U相,V相,W相の電圧指令値に基づく基本波(正弦波)と搬送波(三角波)との比較に基づいてパルス状の変調波を生成し、この生成された変調波をPWM(パルス幅変調)信号としてドライバ回路174に出力する。
ドライバ回路174は、下アームを駆動する場合、PWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する下アームのIGBT330のゲート電極に、上アームを駆動する場合、PWM信号の基準電位のレベルを上アームの基準電位のレベルにシフトしてからPWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する上アームのIGBT328のゲート電極にそれぞれ出力する。これにより、各IGBT328,330は、入力されたドライブ信号に基づいてスイッチング動作する。
また、制御部170は、異常検知(過電流,過電圧,過温度など)を行い、上下アーム直列回路150を保護している。このため、制御部170にはセンシング情報が入力されている。例えば各アームの信号用エミッタ電極端子155,165からは各IGBT328,330のエミッタ電極に流れる電流の情報が、対応する駆動部(IC)に入力されている。これにより、各駆動部(IC)は過電流検知を行い、過電流が検知された場合には対応するIGBT328,330のスイッチング動作を停止させ、対応するIGBT328,330を過電流から保護する。上下アーム直列回路150に設けられた温度センサ(不図示)からは上下アーム直列回路150の温度の情報がマイコンに入力されている。また、マイコンには上下アーム直列回路150の直流正極側の電圧の情報が入力されている。マイコンは、それらの情報に基づいて過温度検知及び過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全てのIGBT328,330のスイッチング動作を停止させ、上下アーム直列回路150(引いては、この回路150を含む半導体モジュール)を過温度或いは過電圧から保護する。
インバータ回路144の上下アームのIGBT328,330の導通および遮断動作が一定の順で切り替わり、この切り替わり時のモータジェネレータ192の固定子巻線の電流は、ダイオード156,166によって作られる回路を流れる。
上下アーム直列回路150は、図示するように、Positive端子(P端子,正極端子)157,Negative端子(N端子158,負極端子),上下アームの中間電極169からの交流端子159,上アームの信号用端子(信号用エミッタ電極端子)155,上アームのゲート電極端子154,下アームの信号用端子(信号用エミッタ電極端子)165,下アームのゲート端子電極164、を備えている。また、電力変換装置200は、入力側に直流コネクタ138を有し、出力側に交流コネクタ188を有して、それぞれのコネクタ138と188を通してバッテリ136とモータジェネレータ192にそれぞれ接続される。また、モータジェネレータへ出力する3相交流の各相の出力を発生する回路として、各相に2つの上下アーム直列回路を並列接続する回路構成の電力変換装置であってもよい。