[実施の形態1]
ウェハアライメントにおいて、EGA方式での位置ずれを計算する場合、10個のパラメータを利用する場合(すなわちショット内のスケーリングおよびローテーションおよびショット直交度をも考慮する方式)があるが、以下では、簡単に半導体ウェハのずれ成分について説明するため、ウェハに対するずれ成分を記述する以下の6パラメータを利用するEGA方式の計算について、簡単に説明する。
この場合、ウェハ全体のずれの成分としては、以下のものがある:シフト(オフセット;X方向およびY方向)、ウェハスケーリング(ウェハ倍率;X方向およびY方向)、ウェハローテーション、およびウェハ直交度。ショット領域の位置ずれも考慮する10パラメータを利用する場合には、さらに、ショットスケーリング、ショットローテーションおよびショット直交度のショット領域内の位置ずれも考慮される。
いま、半導体ウェハの特定ショット領域(サンプルショット領域)の設計上の配列座標を(Xn、Yn)(n=1、2、…、m)とする。また、この設計上の配列座標からのずれ(ΔXn、ΔYn)について、次式(1)で示されるような線形モデルを仮定する。
パラメータeおよびfは、設計上の配列座標位置からのずれと実際の配列座標の設計値からのずれ(計測値;Δxn、Δyn)との差である。したがって、この差成分の二乗和Eは、次式(2)で表わされる。
上式(2)における二乗和Eを最小とするように、パラメータa−fの値を求める。この場合、明らかに、ずれを示す式(1)は、線形近似式であり、ウェハの伸縮、回転およびシフトの線形成分が補正される。この線形成分補正値に対し、さらに、非線形成分の補正を施す。
図1(A)から図1(C)は、本発明との比較のための、従来の半導体ウェハの位置合わせ(ウェハアライメント)補正を行なう操作を示す図である。図1(A)において、半導体ウェハ1上に、複数のショット領域2がマトリクス状に配置される。ショット領域内には、複数の半導体チップがマトリクス状に配置される。このショット領域2に対し、露光工程においては、露光装置からのレチクルを介しての露光光の照射により、複数の半導体チップに対するパターンが転写される。
図1(A)においては、アライメントにおいて、オフセット補正を行なった後の、半導体ウェハ上の位置ずれの分布を示す。位置ずれ10は、ベクトル量である。このオフセット補正は、半導体ウェハの基準線が、平行移動によりずれているのを補正するために行なわれる。この単純なオフセット補正は、平行移動の補正であり、半導体ウェハ1上には大きな位置ずれ10が、まだ、存在する。
図1(B)は、このオフセット補正を行なった後に、上述のEGA方式に従った線形補正を行なった後の位置ずれの分布を示す図である。図1(B)において一点鎖線で示す位置ずれ10bは、プラス補正を行なう必要のある位置ずれを示し、すなわち露光時において、そのパターン照射位置を基準値に対しプラス方向に移動させるずれを示す。点線で示す位置ずれ10cは、マイナス補正を示し、基準値に対し、マイナス方向に移動させる補正を行なう位置ずれを示す。
従来、プロセスでの熱処理による伸縮としては、半導体ウェハ1が一様に歪んでいるとして、図1(C)に示すように、半導体ウェハ1に対し、一様歪みの補正を行なう。この場合、図1(C)に示すように、位置ずれ10dは、すべて許容値以下となっている。しかしながら、このような一様歪み補正を行なっても、半導体素子の製造工程においては、各種の熱処理が行なわれる。このため、熱処理により、歪みが大きくなり、このような一様歪み補正では、すべての位置ずれを許容値以下に収めることができず、正確な露光を行なうことができなくなる状態が生じる。以下、この処理工程と位置ずれとの関係について図2から図9を参照して説明する。ここで、図2から図9は、ウェハ番号♯1から♯8が付された半導体ウェハの、各処理後の位置ずれの分布を示す図である。
図2から図9において、半導体ウェハ20は、SOIウェハである。SOIウェハは、単結晶シリコン層をベースウェハとし、このベースウェハ上に絶縁膜(シリコン酸化膜)が形成される。このシリコン酸化膜上に、活性層となるシリコン単結晶層(SOI層)が活性用(バルク)ウェハとして形成される。この絶縁膜によりベースウェハと分離されたSOI層にトランジスタ等の素子を形成することにより、基板抵抗および基板容量などの影響を抑制して、高速の素子を実現する。
図2に示すウェハ番号♯1の半導体ウェハ(以下、適宜、SOIウェハと称す)20は、例えば1050℃の高温熱酸化処理後、この温度より低温での熱処理によりバルク活性層(SOI層)の活性化が行われる。この場合、図2に示すように、各ショット領域2において、位置ずれ量は小さく、この半導体ウェハ20の全面にわたって、その上部および右端部を除いて小さくかつ均一な位置ずれが生じているだけである。
図3に示すウェハ番号♯2の半導体ウェハ20は、高温(たとえば1050℃)の熱酸化処理を施した後、表面平坦化処理が行なわれる。この平坦化処理においては、酸化膜を成膜した後にCMP(ケミカル・メカニカル・ポリシング)による平坦化処理が行なわれる。この場合においても、ショット領域2における位置ずれは小さく、半導体ウェハ20全面にわたってショット領域2において均一に小さな位置ずれが生じているだけである。
図4に示す半導体ウェハ20(ウェハ番号♯3)は、高温(たとえば1000℃)の熱酸化処理を行なった後、表面平坦化処理が行なわれる。この場合においても、半導体ウェハ20の各ショット領域2において、その位置ずれはほとんど生じず、またその位置ずれも均一に分布している。
図5に示すウェハ番号♯4の半導体ウェハ20は、たとえば950℃での熱酸化処理を施した後、表面平坦化処理が行なわれる。この場合においても、各ショット領域2における位置ずれは少なく、また半導体ウェハ20全面にわたってほぼ均一な位置ずれが生じているだけである。
図6に示すウェハ番号♯5の半導体ウェハ20は、上記高温(例えば1050℃)処理を行なった後、表面平坦化等のプロセスを経て、例えば550℃の短時間熱処理を熱処理条件1(使用SOIウェハの温度分布を調整した条件)で施す。
この熱処理が複数回実行される場合、半導体ウェハ20においては、その中心部から直径方向に沿って大きな位置ずれが放射状に生じている。
図7に示すウェハ番号♯6の半導体ウェハ20においては、たとえば650℃での短時間熱処理を熱処理条件1(使用SOIウェハの温度分布を調整した条件)で施す。
この図7に示すウェハ番号♯6の半導体ウェハ20は、使用SOIウェハの温度分布の調整を行っていても、半導体ウェハ20の中心部から直径方向に沿って大きな位置ずれが生じている。
図8に示すウェハ番号♯7の半導体ウェハ20は、650℃での短時間熱処理を熱処理条件2(バルクウェハで温度分布を調整した条件)で施す。この図8に示すウェハ番号♯7においても、半導体ウェハ20においてその中心部から直径方向に沿って放射状に大きな位置ずれが生じている。
図9に示すウェハ番号♯8のバルクウェハでは、650℃での短時間熱処理を熱処理条件2(バルクウェハの温度分布を調整した条件)で施す。この場合、半導体ウェハ20における位置ずれは小さく、また、半導体ウェハ20において均一に位置ずれが分布している。
この図2から図8に示すように、熱処理工程後において大きな位置ずれが生じている。また、SOIウェハが、バルクウェハに比較して大きな位置ずれを生じている。
したがって、各熱酸化処理工程における半導体ウェハの歪みの影響が、後工程の半導体ウェハの位置ずれに対して顕著となるのが明確に見られる。
本発明においては、半導体ウェハの伸縮によるずれの成分を明確に示すスケーリングを、1つの補正成分として利用する。
図10は、半導体ウェハでの位置ずれの線形成分のスケーリングを、模式的に示す図である。図10において、半導体ウェハ25上には、基準層として、各下地ショット領域27が配置されている。この下地基準ショット領域27は、レチクルのパターンに対応し、下地基準ショット領域25は、半導体ウェハが歪を受けない場合の設計位置を示す。
半導体装置の製造工程において、この下地のショット領域27に正確に位置決めして、上層のパターンのショット領域29へのパターンの転写を行う必要がある。すなわち、熱処理などの処理後においては、半導体ウェハ25が伸縮する。図10においては、中心部から外周部に沿って膨張し、露光対象のショット領域29は、半導体ウェハ25の中心から外側に、下層の基準ショット領域27の外部に配置されている。このショット領域27および29を正確に位置合わせして、各ショット領域29にパターンの転写を実行する必要がある。
スケーリング値のXおよびY成分は、ΔX/XおよびΔY/Yで、それぞれ与えられる。ここで、ΔXおよびΔYは、設計上の配置位置XおよびYにおけるX成分およびY成分についてのずれ量(計測値x、yと設計値X、Yとの差)を示す。
図11は、図2から図9に示す半導体ウェハのスケーリング値を示す図である。図11において横軸にウェハ番号を示し、縦軸にスケーリング値(単位ppm)を示す。図11に示すように、ウェハ番号♯5、♯6および♯7においては、スケーリング値が大きくマイナス値を取っている。したがって、基準ショット領域が上層の露光対象のショット領域よりもすべて内側に入るため、半導体ウェハが大きく伸長していることが示されている。
これらのウェハ番号♯5から♯7の半導体ウェハは、先の図6から図8において示したように、熱酸化処理工程後の半導体ウェハである。したがって、この熱酸化などの熱処理を行なった後、半導体ウェハの伸縮歪(伸張)が大きくなっているのが明らかに見られる。残りのウェハ番号♯1から♯4および♯8については、スケーリング値は十分小さく、先の図2から図5および図9に示す位置ずれの分布に対応しており、許容範囲内であると考えられる。本発明においては、ウェハ番号♯5から♯7のようなウェハ歪みに対する位置合わせ補正を、スケーリング補正を非線形成分として用いて行なう。
図12は、半導体ウェハ20の静止座標系を位置ずれ量とともに示す図である。図12においては、極座標系が用いられ、縦方向に角度θ=0°(Y軸に対応)が取られ、横軸に角度θ=90°(X軸に対応)が取られる。この場合、半導体ウェハ20の中心部から直径方向に沿って歪み(位置ずれ)が延びているのがわかる。
図13は、図12に示す半導体ウェハ20の座標系における各スケーリング値の実測値を示す図である。図13において、横軸に角度θ(°)が示され、右側の縦軸に、長さRのスケーリング値ΔR/Rを、左側の縦軸に、極座標系の長さRのスケーリング値のX成分およびY成分ΔX/RおよびΔY/Rの値を示す。
図13において、曲線Iは、長さのスケーリング値ΔR/Rの測定値を示し、曲線IIが、スケーリング値のX成分ΔX/Rを示し、曲線IIIが、スケーリング値のY成分ΔY/Rを示す。
図13に示すように、各スケーリング値は、サイン(sin)曲線またはコサイン(cos)曲線に類似している。半導体ウェハ12の極座標の角度θは、半導体ウェハのシリコン単結晶層の結晶軸方向に対応する。
図14は、この半導体ウェハの(110)面におけるヤング率の結晶軸方位依存性を示す図である。
この図14に示すヤング率の曲線YGは、同じ長さR(図14において1.5)において、角度θのcos関数または余弦関数で近似される。したがって、図13に示すスケーリング値の分布曲線は、結晶軸方位性、すなわちヤング率を考慮した伸縮関数で近似することができる。従って、この結晶軸方位を考慮した伸縮関数を補正関数として利用することにより、スケーリング値の位置合わせずれ量の非線形成分の補正を行なうことができる。この場合、ヤング率の結晶軸依存性は、半導体ウェハ20全体にわたって均一である。したがって、半導体ウェハ上での局所領域におけるショット領域間の位置ずれの相関性を評価関数を用いて評価して補正関数を決定する必要はない。各ショット領域に対して同一の伸縮関数を補正関数として利用して、ショット領域の位置座標を補正関数に代入することにより、半導体ウェハの伸縮による非線形歪を補正することができる。
具体的に、EGA方式による補正において、線形成分の補正量を求める時に、各ショット領域に対して、さらに、以下に説明する補正関数を利用して非線形成分の補正を行なう。この非線形成分の補正関数について、以下に説明する。
図15は、この発明に従う非線形成分の補正関数を、半導体ウェハ上の位置とともに示す図である。結晶基板(半導体ウェハ)上の任意の点pのショット領域に対する補正関数は、一般的に、次式で表わされる。
ΔRp=f(R,θ)・・・(3)
上式(3)において、ΔRpは、任意の点pにおける基板(ウェハ)直径方向の延び量、Rは任意の点pの基板(半導体ウェハ)の中心からの距離、θは任意の点pの半導体ウェハ中心との角度を示す。関数f(R、θ)は、ヤング率を考慮したウェハ中心からの角度に依存する関数である。
補正値ΔRpは、半導体ウェハ上の任意の点pの位置座標により決定され、その周辺のショット領域との相関関係には全く左右されない。この補正値ΔRpは、XおよびY成分に展開することも可能である。上述のように、半導体ウェハ(結晶基板)における伸縮による位置ずれ量は、ヤング率の計算から導かれる関数として、次式で表わされる。
f(R,θ)=R・A・cosθ+R・B ・・・(4)
係数AおよびBは、材料およびプロセス処理温度等の処理レシピにより決定される値である。
図15においては、横軸が結晶軸<100>に対応し、X軸方向に対応付け、縦軸が結晶軸<010>に対応し、Y方向に対応付けられる。
極座標系表示においては、任意の点pの中心からの距離Rに対し、位置ずれ量ΔRが、決定される。したがって、この極座標表示を、XおよびY成分に変換することができる。この場合、位置ずれ量の成分ΔXおよびΔYは、それぞれ、次式で表わされる。
ΔX=ΔRp・cosθ、
ΔY=ΔR・sinθ。
上述の補正式(4)を用いて、各ポイントp(設計座標であり、静止座標系上の位置)に対し、長さRおよび角度θの設計値を挿入して、ポイントpに対するアライメントを補正を行なう。この操作により、結晶基板(半導体ウェハ)の伸縮に起因する位置ずれ量を、以下に説明するように小さくすることが可能となる。
図16から図18は、この製造プロセスにおける熱処理酸化を施した被加工基板(半導体ウェハ)のアライメント結果を示す図である。図16は、アライメント補正を行なわずに露光した加工対象の半導体ウェハの位置ずれの状態を示す図である。図16に示すように、アライメント補正を行なわない場合には、半導体ウェハ30において、場所によっては、0.2μm以上位置ずれが生じている。ここで、図16において、横方向の1マスの長さが0.1μmに対応しており、この横方向において2つのマス(ショット領域)以上にわたる位置ずれが生じている。この状態でのY方向の位置ずれ量として具体的に値を代入して計算により求めると、以下の結果が得られた。
|Mean|+3σ=0.033μm、
3σ=0.032μm
ここで、|Mean|は、Y方向の位置ずれ量の平均値を示す。
図17は、半導体ウェハの通常の線形成分補正を行なった後の加工対象の半導体ウェハの位置ずれの状態を示す図である。この図17において、横軸の1マスの長さは、0.02μmである。したがって、図16のアライメント補正なしの位置ずれの値に比べて、線形成分の位置ずれ補正を行なった場合、大幅に重ね合わせずれ量を抑制することができる。この線形成分の補正について、Y方向の位置ずれ量として具体的に値を代入して計算により求めると、以下の結果が得られた。
|Mean|+3σ=0.019μm、
3σ=0.018μm
このばらつきの度合いを示す分散値3σは十分小さく、位置ずれ量をかなりの程度補正しているのが見られる。
図18は、この線形成分の補正の後、さらに、上述の結晶軸方位を参照した伸縮関数を用いて非線形成分を補正した後の半導体ウェハの位置ずれの分布を示す図である。図18においても、この位置ずれ量の横方向のスケールは、0.02μmである。図18においては、一見すると図17の位置ずれ分布と大差がないように思われる。しかしながら、具体的に値を代入することによりY方向についての位置ずれ量を計算により求めると、以下の結果が得られた。
|Mean|+3σ=0.013μm、
3σ=0.012μm
したがって、図17に示す通常の線形成分の統計手法を用いた補正に比べて、約6nmアライメント精度を向上することができる。
したがって、図18に示すような、結晶軸方位を参照した伸縮関数、すなわちヤング率に基づいて導出される関数を用いて非線形成分を補正した場合、熱処理(熱酸化処理)による基板(半導体ウェハ)伸縮の影響を受けた被加工半導体ウェハのアライメント精度の劣化を大きく抑えることが可能となる。
このアライメント精度向上に伴い、処理レシピ、特に熱処理条件による半導体ウェハの伸縮を高精度で補正することができるため、アライメント精度確保のために歪を低減するために処理温度を制限する必要がなくなる。これにより、半導体製造プロセスにおける熱処理条件の選択範囲を広げることが可能となる。
図19は、この発明の一実施の形態に従う露光方法を実施するための露光装置50の概略構成を示す図である。この露光装置50は、一例として、ステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置である。ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置が用いられてもよい。
図19において、露光装置50は、被加工結晶性半導体ウェハWFを載置するウェハステージ100と、半導体チップの転写パターンが描画されたレチクル(フォトマスク)112を載置するレチクルステージ110と、このレチクル112を介してウェハステージ100上のウェハWFへ露光光を照射する照明系120と、照明系120からレチクル112を介して照射される露光光をウェハWFに照射する投影光学系130と、露光装置の位置合わせ等の各種制御および処理を実行する主制御系140を含む。
ウェハステージ100は、投影光学系130下部の図示しないベース上に配置される。ウェハステージ100上には、ウェハホルダ102が載置され、ウェハホルダ102上に、たとえば真空吸着等によりウェハWFが固定される。
ウェハホルダ102は、図示しない駆動部により、投影光学系130の光軸AXの直交面に対し任意方向に微小傾斜することができ、かつこの投影光学系PLの光軸AXの方向(Z方向)に対しても微小移動することができる。さらに、ウェハホルダ102は、光軸AX中心として微小回転動作も行なうこともできるように構成される。
ウェハステージ100は、走査方向(Y方向)の移動に加えて、半導体ウェハWF上の複数のショット領域をレチクル112の照明領域(照明系120により照明される)と対応する露光領域に位置決めすることが可能なように、走査方向(Y方向)に直交する非走査方向(X方向)に対しても移動可能とされる。
ウェハステージ100は、モータ等を含むウェハステージ駆動部104により、XYの二次元方向に駆動される。この二次元移動により、ウェハステージ100は、ウェハWF上の各ショット領域を走査露光する動作と、次のショット領域の露光開始位置まで移動する動作とを繰返すいわゆるステップ・アンド・スキャン動作を行なう。
ウェハステージ100上のXY平面内における位置は、ウェハステージ100上面に設けられた移動鏡106を介して、ウェハレーザ干渉計システム108によりたとえば1nm以下の分解能で常時検出される。ウェハステージ100が、XY方向に移動するため、移動鏡106は、Y方向と直交する反射面を有するY移動鏡と、X方向に直交する反射面を有するX移動鏡とを含む。これに対応して、ウェハレーザ干渉計システム108も、Y移動鏡に垂直に干渉計ビームを照射するY干渉計と、X移動鏡に垂直に干渉計ビームを照射するX干渉計とを含む。
このウェハステージ100上の移動位置を規定する静止座標系(直交座標系)が、ウェハレーザ干渉計システム108のY干渉計およびX干渉計の測長軸により規定される。
照明系120は、照度均一な光源および光軸補正系を含む。照明系120は、回路パターン等が描画されたレチクル112上のレチクルブラインドにより規定されたスリット状の照明領域部分を、照明光ILによりほぼ均一な照度で照射する。この露光用の照明光ILとしては、エキシマレーザ光などが用いられる。この照明系120の照射する照明光の種類は特に限定されない。
レチクルステージ110上には、レチクル112が、たとえば真空吸着により固定される。レチクルステージ110は、レチクルステージ駆動部(図示せず)により、レチクル112の位置決めのために、照明系120の光軸(投影光学系の光軸AXに一致する)に垂直なXY方面で駆動可能であり、また所定の走査方向(Y方向)に指定された走査速度で駆動することができる。レチクルステージ駆動部は、たとえば磁気浮上型の二次元リニアアクチュエータで構成される。
レチクルステージ110のステージ移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計124により、移動鏡126を介してnm(ナノメータ)オーダの分解能で常時検出される。レチクルレーザ干渉計124からのレチクルステージ110の位置情報CAは、ステージ制御系150へ供給され、また、ステージ制御系150を介して主制御系140に供給される。
ステージ制御系150は、主制御系140からの指示に従って起動され、レチクルステージ100のウェハレーザ干渉計システム108から供給される位置情報に基づいて、図示しないレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージ100を駆動して、その位置を制御する。
レチクル112の上部には、1対のレチクルアライメント系128が配置される。ただし、図19においては、1つのレチクルアライメント系128を示す。この1対のレチクルアライメント系128は、各々、照明光ILと同一波長の照明光により検出対象のマークを照明するための落射照明系と、その検出対象のマークの像を撮像するためのアライメント顕微鏡とを含む。アライメント顕微鏡は、結像光学系と撮像素子とを含んでおり、この撮像結果が主制御系140に供給される。通常、レチクル112からの検出光をレチクルアライメント系128に導くための、偏光ミラー(図示せず)が移動可能に配置される。露光シーケンスが開始されると、主制御系140からの指令に従って、図示ない駆動装置により、この偏光ミラーが、それぞれレチクルアライメント系128と一体的に照明光ILの光路外に退避される。
投影光学系130は、レチクルステージ100の図19に示す下部に配置される。この投影光学系130の光軸AXの方向は、XY平面と垂直なZ方向である。投影光学系130としては、通常、両側テレセントリックで所定の縮小倍率を有する屈折光学系が使用される。したがって、照明系120からの照明光ILにより、レチクル112の照明領域が照明されると、このレチクル112を通過した照明光ILにより、投影光学系130を介してレチクル112の照明領域内の回路パターンの縮小像(部分倒立像)が、表面にレジストが塗布されたウェハWF上に形成されてパターンの転写が行なわれる。
ウェハステージ100の移動位置を規定する静止座標系(ステージ座標系)上における位置情報(または速度情報)は、ステージ制御系150へ与えられ、さらに、このステージ制御系150から主制御系140へ供給される。ステージ制御系150では、主制御系140からの指示に従って、ウェハステージ100上の位置情報に基づいて、ウェハステージ駆動部104を介してウェハステージ100の位置の制御を行なう。
ウェハステージ100のウェハWF近傍には、基準マーク板152が固定的に配置される。基準マーク板152の表面は、半導体ウェハWFの表面と同じ高さに設定される。この基準マーク板152の表面には、いわゆるベースライン計測用の基準マーク、およびレチクルアライメント用の基準マーク、その他の基準マークが形成される。
投影光学系130の側面には、オフアクシス方式のアライメント顕微鏡154が設けられる。アライメント顕微鏡154は、所定の波長幅を有する照明光(たとえば白色光)を半導体ウェハWFに照射する。半導体ウェハ上のアライメントマークの像と、対物レンズ等によって半導体ウェハと対応する面内に配置された指標板上の指標マークの像とをCCDカメラ等の撮像素子の受光面上に結像して検出する。このアライメント顕微鏡154は、アライメントマーク(および基準マーク板152上の基準マーク)の撮像結果を、主制御系140へ供給する。このアライメント顕微鏡の検出中心と半導体ウェハのアライメントマークまでの距離が、通常、ベースラインと称される。
露光装置50においては、さらに、投影光学系130の最良結像面に向けて複数のスリット像を形成するための結像光束を光軸AXに対して斜め方向より供給する照明光学系(図示せず)と、その結像光束の半導体ウェハWFの表面での各反射光束をスリットを介して受光する受光光学系とからなる斜め入射方式の多点フォーカス検出系が、投影光学系130を支える支持部(図示せず)に固定される。ステージ制御系150は、この多点フォーカス検出系からの半導体ウェハ位置情報に基づいて、ウェハホルダ102を、Z方向および傾斜方向に駆動する。
主制御系140は、マイクロコンピュータまたはワークステーションを主要構成要素とし、露光装置の各構成要素を統括して制御する。
図20は、図19に示す露光装置50の第2層目以降の層の露光処理を行なう際の主制御系140の制御動作を示すフローチャートである。以下、図20を参照して、図19に示す露光装置の位置合わせ操作について説明する。
まず、図示しないレチクルローダにより、レチクルステージ110上に、レチクル112がロードされる。主制御系140は、レチクルアライメントおよびベースライン計測を行なう。すなわち、主制御系140は、ウェハ駆動装置104を介してウェハステージ100上の基準マーク板152を投影光学系130の直下に位置決めする。次いでレチクルアライメント系128を用いて、レチクル112上のレチクルアライメントマークと基準マーク板152上の第1の基準マークとの相対位置を検出する。この場合、基準マーク板152上には、1対のレチクルアライメントマークそれぞれに対応してレチクルアライメント用のマークが第1基準マークとして設けられている。
次いで、主制御系140は、ウェハステージ100を、所定量、たとえばベースライン量の設計値だけXY面内で移動させる。次いで、アライメント顕微鏡154を用いて、基準マーク板152上のベースライン計測用の第2基準マークを検出する。
主制御系140においては、このときに得られたアライメント顕微鏡154の検出中心と基準マーク板152上の第2基準マークとの相対位置関係および先に計測されたレチクルアライメントマークと基準マーク板152上の第1基準マークとの相対位置と、それぞれに対応するレーザ干渉計システム108との計測値に基づいてベースライン量、すなわちレチクルパターンの投影位置とアライメント顕微鏡154の検出中心との相対位置関係を計測する。
上述の一連の作業により、露光工程の準備作業が終了する。この後、図20に示すステップS1以降の処理フローが開始する。ここで、以下の条件を前提として、図20に示す露光工程が実行される。すなわち、同一ロット内の複数枚の半導体ウェハが、1つの作業単位として処理される。また、この1つのロット内のすべての半導体ウェハは、同一条件(処理レシピ)および同一工程で各種処理が施されている。さらに、ロット内のウェハ番号(i)は、図示しないカウンタのカウント値により設定され、このカウンタのカウント値が初期値“1”に設定されている。
まず、図示しないウェハローダにより、ウェハホルダ102上の露光処理完了のウェハと未露光の半導体ウェハとの交換が行なわれる(ステップS1)。ただし、最初のステップにおいては、処理対象の半導体ウェハが、1つのロット内の最初のウェハであり(i=1)、露光済みの半導体ウェハが存在しない。従って、単に、未露光の半導体ウェハWFが、ウェハホルダ102上にロードされる。
次いで、ウェハホルダ102上にロードされた半導体ウェハWFのサーチアライメントが行なわれる(ステップS2)。たとえば、半導体ウェハWFの中心に関してほぼ対称に周辺部に位置する少なくとも2つのサーチアライメントマークを、アライメント顕微鏡154を用いて検出する。これらのサーチアライメントマークの検出は、アライメント顕微鏡154の倍率を低倍率に設定して、各対応のサーチアライメントマークが、アライメント顕微鏡154の検出視野内に位置するように、ウェハステージ100を順次位置決めしつつ実行される。
アライメント顕微鏡154の検出結果(アライメント顕微鏡154の指標中心(アライメント顕微鏡の検出中心)と各アライメントサーチマークとの相対位置関係(ベースライン量))と各サーチアライメントマーク検出時のウェハ干渉計システム108の計測値とに基づいて、2つのサーチアライメントマークのステージ座標系(静止座標系)上の位置座標を求める。次いで、これらの2つのサーチアライメントマークの位置座標から、ウェハWFの残留回転誤差を算出する。この回転誤差がほぼ0となるように、ウェハホルダ102を、回転させる。これにより、半導体ウェハWFの、サーチアライメントが終了する。
次いで、カウンタのカウント値iが所定値k以上であるかの判定が行なわれる(ステップS3)。このカウンタのカウント値iは、ウェハのロット内番号を示しており、処理対象のウェハWFが、ロット内の第k枚目以降のウェハであるかが判定される。この所定値kは、1つのロット内のウェハ枚数の数を最大値として、2以上の適当な値に設定される。
上述のように、最初の半導体ウェハの場合、ロット先頭の半導体ウェハであり、初期設定により、i=1である。したがって、ステップS3における判断ブロックにおいては、判定結果は「NO」であり、制御処理は、次のステップS4に進む。
ステップS4においては、半導体ウェハWF上のすべてのショット領域の静止座標系における位置座標が計測される。すなわち、上述のステップS2でのサーチアライメント操作における各サーチアライメントマークの位置座標の計測と同様にして、半導体ウェハWF上のウェハアライメントマークの静止座標系(ステージ座標系)上における位置座標、すなわちショット領域の位置座標を求める。この場合、ウェハアライメントマークの検出は、高精度で行なう必要があり、アライメント顕微鏡154の倍率は、ステップS2のサーチアライメント時よりも高い倍率に設定される。
ステップS4において計測された各ショット領域の位置座標とそれぞれ対応の設計上の位置座標とに基づいて、先に述べたような最小二乗法等を用いた統計演算処理(EGA演算)を行なうと同時に以下に示す補正を行ない、パラメータa−fおよび追加の補正パラメータを算出する。これらのパラメータa−fは、半導体ウェハWF上の各ショット領域の配列に関連するローテーション、XおよびY方向のスケーリング、直交度、XおよびY方向のオフセットの6つのパラメータに対応する。これらの算出結果とショット領域の設計上の位置座標とに基づいて、全ショット領域の位置座標を算出する。この算出結果、すなわち半導体ウェハWF上の全ショット領域の位置座標が、図示しない内部メモリの所定領域に格納される(ステップS5)。この内部メモリは、通常、主制御系140内に設けられる。
半導体ウェハWF上のすべてのショット領域について、位置ずれ量の非線形成分補正量として、結晶軸方位を考慮した前述の伸縮関数f(R,θ)を読出す(ステップS6)。すなわち、上述のステップS5において算出された各ショット領域の位置座標に対してオフセット量を除き、それぞれ対応の設計上の位置座標との差を、位置ずれ量の線形成分として算出する。本発明においては、この非線形成分としては、各ショット領域に共通の補正関数f(R、θ)を用いて算出する。
次いで、この非線形成分として、前述の、半導体ウェハの結晶軸方向を考慮した伸縮関数を参照して、すべてのショット領域の位置ずれの非線形成分(補正値)を算出する(ステップS7)。すなわち、各ショット領域に対する非線形成分の補正を、前述の伸縮関数を用いて実行する。このステップS5において抽出される線形成分および非線形成分は、次式で表わされる:
ΔX(線形補正値)=x(線形補正位置)−X(設計値)、
ΔY(線形補正値)=y(線形補正位置)−Y(設計値).
ΔX(線形補正値)およびΔY(線形補正値)は、X成分およびY成分の計測値および設計値の差分値(オフセット値)である。x(線形補正位置)およびy(線形補正位置)は、それぞれEGA演算処理されて、パラメータが決定された後に設定される位置情報である。
この場合、非線形成分は、次式で表わされる。
ΔX(非線形成分)=x(計測値)−X(設計値)−ΔX(線形補正値)、
ΔY(非線形成分)=y(計測値)−Y(設計値)−ΔY(線形補正値).
ΔX(線形補正値)およびΔY(線形補正値)は、オフセット成分を示す。
x(計測値)およびy(計測値)が、前述の内部メモリに格納される。前述の特許文献1等においては、この半導体ウェハの非線形歪み、すなわち非線形成分の局所的な規則性および歪みの度合を評価する評価関数を用いて、非線形成分を補正する処理を行なっている。しかしながら、本発明においては、この半導体ウェハ上には、均一に、結晶軸方位に応じた伸縮が生じていると仮定する。したがって、ステップS6の演算処理の後、位置連量について線形成分と非線形成分とを分離することは特に要求されない。
本実施の形態1においては、ステップS7における非線形成分の補正値の算出は、前述の式(4)を用いて、各ショット領域の位置情報を極座標に変換して代入することにより行なわれる:
ΔR=R・A・cosθ+R・B …(4)
上述の式(4)は、極座標表示での非線形成分の補正値である。長さ方向の非線形補正成分ΔRを、XおよびY成分ΔXおよびΔYに変換することにより、非線形成分の補正値を各ショット領域に対して決定することができる。すなわち、各ショット領域に対し、上述の式(4)を用いて、設計上の位置座標XおよびYに対応する長さRおよび角度θを代入することにより、非線形補正値を求める。
したがって、このステップS7における非線形成分を算出するための演算処理は大幅に簡略化される。このように、ステップS7において、半導体ウェハWF上の全ショット領域の配列ずれの非線形成分のXおよびY成分を算出することができる。
次に、ステップS8において、伸縮関数による補正値を、ステップS5において算出された位置情報に加算して全ショット領域の位置座標算出を行なう。
次いで、ステップS8において算出した結果に基づいて、重ね合わせ補正位置を算出する(ステップS10)。すなわち、ステップS8において求められた非線形補正値を、EGA演算により求められた補正値ΔX(線形補正値)およびΔY(線形補正値)に対し加算することにより、非線形補正を施すことができ、各ショット領域に対する重ね合わせ位置補正を行うことができる。このステップS10においては、先のステップS4において算出されて内部メモリの所定領域に格納された全ショット領域の位置座標と、各ショット領域についてステップS5において算出された位置ずれ量の線形成分の補正値と、ステップS7において求められた非線形成分補正値とが合算されて、重ね合わせ補正位置が算出される。
また、ステップS10において、この重ね合わせ補正位置のデータと予め計測されたベースライン量とに基づいて、各ショット領域に対する重ね合わせ露光が実行される。この重ね合わせ露光においては、重ね合わせ補正位置データと予め計測されたベースライン量とに基づいて、半導体ウェハWF上の各ショット領域の露光開始のための走査開始位置にウェハWFが順次ステッピングされる。このステッピングと同期して、レチクルステージ110とウェハステージ100とを、走査方向に移動させ、レチクルパターンを半導体ウェハWF上に転写する。この動作を、半導体ウェハWF上の全ショット領域に対し繰返し実行される。これにより、ロット先頭(ロット内の第1枚目)の半導体ウェハWFに対する露光処理が完了する。
なお、ステップS6において、位置ずれ量として線形成分と非線形成分とを分離し、この非線形成分に対して、結晶軸方位を考慮したすなわちヤング率を参照した伸縮関数に基づいて算出が行われても良い。この場合、ステップS6において、半導体ウェハが一様に収縮しているとして、一様伸縮関数を用いて、非線形補正がさらに実行されてもよい。
半導体ウェハ上の各ショット領域についてのパターン転写が完了すると、次いで、1つのロットの半導体ウェハすべてについての露光処理が完了したかの判定が行なわれる(ステップS11)。ここでは、ロットの最初の半導体ウェハについての処理が行なわれているため(I=1)、ステップS12において、半導体ウェハ番号iが1つ増分され、再びステップS1に制御処理が戻る。
上述の処理が、半導体ウェハ番号iが所定数kに到達するまで繰返し実行される。半導体ウェハ番号iが所定数kに到達すると、パイロット(サンプル)ウェハについての位置合わせ処理が完了する。すなわち、ステップS3の判断ブロックにおいて、半導体ウェハが、所定数k以上露光処理されたと判定されると、次いで、ステップS9へ処理が移行する。このステップS9においては、半導体ウェハ上の全ショット領域ではなく、所定数のショット領域(図20においては、一例として8個のショット領域)を利用する8点EGAを用いて、全ショット領域の位置座標を算出する。すなわちアライメント顕微鏡154を利用して、半導体ウェハWF上の予め選択された所定数(8個)のショット領域に敷設されたウェハアライメントマークを計測する。これらのウェハアライメントマークの計測結果に基づいて、サンプルショットのステージ座標系(静止座標系)における位置座標を求める。この求めたサンプルショット領域の位置座標と各対応の設計上の位置座標とに基づいて、前述の最小二乗法を用いた統計演算処理(EGA演算処理)を実行する。これにより、各パラメータa−fが算出され、この算出結果と各ショット領域の設計上の位置座標とに基づいて、全ショット領域の位置座標を算出する。この後、ステップS9に移行する。この8点EGA演算処理時において、新たに結晶軸方位を参照した伸縮関数を用いて、新たに非線系成分の補正が行われても良い。ここでは、ロット内の半導体ウェハは、全て同じ処理レシピに従って同一のプロセスを受けているため、各ウェハの伸縮歪は同じであるとして、このステップS7において所定数の半導体ウェハに対して伸縮関数を用いて求められた非線形成分を利用する。
ステップS10においては、各ショット領域に対しては、内部メモリ内に格納された全ショット領域の位置座標(補正後の位置座標)とそれぞれのショット領域の位置ずれ量の非線形成分の補正値とに従って、各ショット領域について非線形成分および線形成分を含む位置ずれ量が補正された重ね合わせ補正位置を算出する。
次いで、ステップS10において、ロット内の半導体ウェハが終了するまで、このステップS12、S1、S2、S3、S9およびS10、およびS11の処理が繰返し実行される。
ステップS11において、1つのロットの半導体ウェハがすべて露光処理が完了したと判定されると、このロットに対する半導体ウェハの露光処理が終了する。
上述のように、本実施の形態においては、非線形成分の補正について、非線形成分を分離抽出して、半導体ウェハ上の局所的な位置ずれ(歪)の相互依存性を算出してはいない。単に、半導体ウェハの結晶軸方位に依存した、ヤング率を考慮した伸縮関数を利用して、すなわち、ウェハ全体にわたって規則的な規則に基づく伸縮が生じていると想定して補正を行なっているだけである。また、単なる線形補正のみならず、非線形成分の補正をも行なっており、正確なアライメントを実現することができる。
以上のように、この発明の実施の形態1に従えば、露光装置の露光の位置合わせ走査時において、非線形成分の補正として、半導体ウェハの結晶軸方位に応じた伸縮関数を参照して行なっている。したがって、線形補正に加えて、さらに精密に、位置合わせを行なうことが可能となる。また、この非線形成分の補正時においては、単に半導体ウェハの一様な(規則性のある)伸縮を想定しており、局所的な歪み/伸縮は考慮していない。したがって用いられるパラメータとしては、単に処理レシピに応じた定数が予め決定されていればよく、演算処理量を低減することができ、アライメント処理に要する時間を短縮することができる。
[実施の形態2]
半導体製造ラインにおいてリソグラフィ工程としては、露光を行なった後、現像(エッチング)を行なう工程がある。各回路パターン(層)ごとに、リソグラフィ工程が実行され、回路パターンが順次積層される。この場合、各露光装置において露光操作が行なわれた後、上層パターン作製時、露光装置において正確に、位置ずれ補正が行なわれているかを、重ね合わせ検査装置で実行する。この重ね合わせ検査装置において検出された位置ずれ情報が再び、露光装置にフィードバックされ、露光装置における位置ずれ量の補正が実行される。重ね合わせ検査装置においても、位置ずれ量の検査においては、上述のような統計演算処理が実行される。したがって、この上述の露光装置に対して説明した位置ずれ補正を、この重ね合わせ検査装置においても適用することができる。
図21は、この発明の実施の形態2に従う半導体製造ラインの構成を概略的に示す図である。図21に示す製造ライン200においては、複数の露光装置204a、204b…と、重ね合わせ検査装置205a、205b…が並列に設けられる。露光装置204aおよび204b…は、実施の形態1に示す位置ずれ補正機能を有する。同様、重ね合わせ検査装置205aおよび205bも、重ね合わせ検査時において、以下に説明するように、位置ずれ測定補正として、実施の形態1において説明した半導体ウェハの結晶軸方位に考慮した伸縮関数を用いて非線形成分の補正を行なう。
この半導体製造ライン200においては、生産管理システム206と、各種半導体製造工程の処理を実行する半導体製造装置207が設けられる。この半導体製造装置207は、成膜およびエッチングなどを行なうための装置を各工程ごとに含み、たとえばスパッタ装置、エッチング装置およびCVD(化学的気相成長)装置である。
生産管理システム206においては、アライメント補正部216と、データベース217とが設けられる。生産管理システム206のデータベース217は、それぞれ参照用端末208を介して半導体製造装置207、露光装置204a、204b…および重ね合わせ検査装置205a、205b…に結合される。データベース217には、アライメントデータが格納され、アライメント補正部216は、露光装置204a、204b…における補正値を、データベース217に含まれるアライメントデータを参照して生成する。
露光装置において位置合わせが行なわれたパターン間においては、位置合わせ(アライメント)を行なっているにもかかわらず、位置合わせずれが生じる。この原因としては、露光装置自身の機械的な誤差等種々の原因が存在する。したがって、露光装置204a、204b…には、このずれ量をなくすための補正値が設定される。同様、重ね合わせ検査装置205a、205b…は、このずれ量を検出し、このずれ量をなくすための補正値(「重ね合わせ検査補正値」と称す)を計算する。この重ね合わせ検査補正値が、アライメント補正部216に設定され、露光装置204a、204bにおける露光時のアライメントの初期補正値として利用される(図20のステップS1の前の初期設定時に、設定される)。
生産管理システム206が、露光装置204a、204b…に対し、ロット単位の露光補正値を設定する。この露光補正値に従って各露光装置204a、204b、・・・において露光工程が行なわれる。この露光工程時の露光装置における位置合わせ補正時においては、また、実施の形態1と同様の位置ずれ補正が実行される。
この半導体製造ライン200においては、半導体ウェハ220(WF)が順次ラインに沿って転送され、各種処理が行なわれ、最終的にこの製造ライン200からは、半導体ウェハ220上に半導体装置221(回路パターンが形成された半導体チップ)が形成される。従って、半導体装置の製造工程においては、複数層にわたって回路パターンを積層する。したがって、重ね合わせ検査装置205a、205bは、下層および上層の検査マーク(アライメントマーク)の位置関係から、既に形成された層(基準層)に対する新たな層のずれを測定する。
図22は、重ね合わせ検査装置において位置ずれ検査対象となる検査マーク(アライメント検査マーク)の位置関係を概略的に示す図である。この検査マーク(アライメント検査マーク)は、第1層(基準層)に形成される第1のアライメントマーク231と、このアライメントマーク231に整列して形成される第2のアライメントマーク232とを含む。通常、これらのアライメントマーク231および232は、それぞれ製造工程ごとに形成され、第2アライメントマーク232は、通常、ダイシング(スクライブ)ライン部に形成されるレジストにより形成される。下地の第1アライメントマーク231は、下地の回路パターン内のダイシングラインに形成される。これらのアライメントマーク231および232の位置ずれ量ΔAおよびΔBを用いて重ね合わせ位置ずれ量が検出される。
通常、この位置ずれ量としては、差分値の平均値(ΔA−ΔB)/2が用いられる。検査点は、図23(A)に示すように、半導体ウェハ220の所定数のショット領域(サンプルショット領域)230を用いて、測定が行なわれる。この場合、図23(B)に示すようにサンプルショット領域の四隅に配置される測定ポイント234に、図22に示す検査マーク231および232が形成される。ここで、図23(A)においては、各サンプルショット領域のウェハ上の位置座標を併せて示す(X座標は、−3から3、Y座標は、−3から3)。この座標によりショット領域が特定される。
この位置ずれ量の測定には、一般に、画像認識手法が用いられ、このアライメントマーク231および232を照射し、これらのアライメントマーク231および232からの反射光の強度から、アライメントマーク231および232のエッジを検出することにより行なわれる。この測定データが、重ね合わせ検査補正値として露光装置204a、204b、・・・に対する初期補正値としてアライメント補正部216に設定される。
このようにして得られる位置ずれ量の測定データは、測定誤差を含む。測定データの信頼性を向上させるために、測定データから測定誤差成分を検出して補正する。この位置ずれ量の測定データは、線形成分として、露光時の位置合わせと同様、オフセット、スケーリング、ローテーション、直交度等をウェハレベルの誤差成分として含み、また、ショット内の誤差成分としては、ショットローテーション、ショット倍率の要因を含む。一方、非線形成分は、測定誤差と、ステッピング、ヨーイング(Yawing(左右の振れ))、プロセス歪み等を含む。このプロセス歪みは、熱処理、表面研磨による平坦化の面内ばらつきなどによる半導体ウェハ面内のショット領域の配列が、ランダムにずれる現象を示す。非線形成分の測定誤差以外の要因によるずれ成分は、同一ロット内のウェハでは共通に存在する。
したがって、測定誤差成分は、測定された位置ずれ量から、線形成分と非線形ずれ成分とを除去することにより抽出することができる。この場合、線形成分の位置ずれ量を除去するためには、上述のような統計処理を用いてパラメータを導出する。また、非線形成分として、実施の形態1と同様、熱処理工程時において、半導体ウェハの結晶軸方位に応じた伸縮成分を考慮する。これらの線形成分と非線形ずれ成分とを除去し、測定誤差成分を抽出する。この測定誤差データが、所定値以下の場合には、重ね合わせ検査装置205aおよび205bにおける位置ずれ量の測定に対する測定位置補正データとして、アライメント補正部216に設定される。この測定位置補正データ(測定誤差データ)が、重ね合わせ検査装置における測定にフィードバックされて、測定誤差が低減される。一方、測定誤差データが所定値を超える場合には、種々の予め定められた異常処理操作が実行される。重ね合わせ検査補正値が、露光装置に対する位置合わせ補正データとして、アライメント補正部216に設定される。
上述のように、重ね合わせ検査装置において、露光および現像後において、設定された位置合わせにおいて誤差が生じているか判定する必要がある。この場合、線形成分および非線形成分両者を考慮する必要があり、下地層として、熱酸化処理およびイオン注入などの熱処理などが行なわれた半導体ウェハに対しては、単に結晶軸方位を考慮する伸縮関数を利用することにより、この測定誤差データ算出操作を簡略化することができる。
なお、図21に示す生産管理システム206においてアライメント補正部216およびデータベース217は、この製造ライン200に含まれる露光装置204、204b、および重ね合わせ検査装置205a、205b…に対するグローバルな補正部であり、個々の露光装置における位置合わせ補正および補正演算は各露光装置において実行される。また重ね合わせ検査装置205a、205b…においても、その重ね合わせのずれ量の算出は個々の検査装置において実行される。
なお、上述の説明においては、重ね合わせ検査補正値として重ね合わせ検査装置の測定データが用いられている。しかしながら、この重ね合わせ検査装置の測定データから測定誤差データが除去されたデータが、露光装置に対する重ね合わせ補正値として用いられてもよい。
以上のように、この発明の実施の形態2に従えば、製造ラインにおいて、露光装置および重ね合わせ検査装置両者において、そのずれ量の測定成分除去に、位置ずれ量の算出処理に要する時間を短縮化することができる。
なお、この図21に示す露光装置204a、204bは、ステッパ(ステップアンドリピート型露光装置およびステップアンドスキャン型露光装置)のいずれであってもよい。また、重ね合わせ検査装置205a、205bそれぞれにおいて、ロットの半導体ウェハの異常またはステッパ(露光装置)異常が生じた場合の処理は、種々の重ね合わせ検査装置の構成に応じて定められればよい。この重ね合わせ検査装置において位置ずれ量の算出時に、半導体ウェハの結晶軸方位に応じた伸縮関数、すなわち、ヤング率を反映した伸縮関数が、非線形成分補正関数として利用されればよい。
[実施の形態3]
図24から図36は、この発明の実施の形態3に従う半導体装置の製造工程を示す工程フロー断面図である。この図24から図36に示す工程フロー断面図においては、PチャネルMOSトランジスタ(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)とNチャネルMOSトランジスタがともに形成されるCMOS半導体装置の製造工程を示す。
図24において、半導体基板300上に、薄い酸化膜(下敷酸化膜)302が形成される。この酸化膜302上に、窒化膜304が形成される。
図25において、半導体装置のフィールド領域(素子分離領域)を規定する領域に、エッチング処理により、半導体基板300内部にまで到達する溝306を、窒化膜304および酸化膜302を介して形成する。
次いで、図26に示すように、窒化膜304をマスクとして、熱酸化処理を行なう。この熱酸化処理により、溝306の側壁および底部に熱酸化膜308を形成する。この熱酸化膜308を形成する熱酸化処理は、高温環境下で行なわれ、半導体ウェハに大きな伸縮歪が導入される。
次いで、図27に示すように、窒化膜304をマスクとして、たとえばCVD法(化学気相成長法)等を用いて、二酸化シリコンを溝306に堆積し、溝分離領域310a、310bおよび310cを形成する。これらの溝分離領域310a、310b、および310cにより、トランジスタを形成する活性領域が規定される。溝分離領域の形成後、半導体基板300表面の薄い酸化膜302および窒化膜304をエッチング除去して、基板表面を露出させる。
次いで、図28に示すように、分離領域310bおよび310cの間の領域に図示しないレジストを形成する。このレジストパターンの形成時に、前述の露光処理が行われ、現像により、所定領域にのみレジストを形成することができる。この図示しないレジストをマスクとして、イオン注入が行なわれる。これにより、素子分離領域310aおよび310bの間の基板領域に、不純物領域(ウェル領域)312が、第1導電型(N型)の活性領域312として形成される。この第1導電型の活性領域312は、トランジスタの基板領域として作用する(MOSトランジスタの場合)。
このイオン注入を行なった後、注入イオンの活性化のために、熱処理(アニール)が実行される。この熱処理は、半導体ウェハ(半導体基板300)の伸縮に影響する。
次いで、図29に示すように、不純物領域312を図示しないレジストによりマスクし、第2導電型のイオンの注入を行なう。これにより、素子分離領域310bおよび310cの間に、不純物領域(ウェル領域)314が第2導電型(P型)の活性領域として形成される。この不純物領域314の注入イオンの活性化のために、また、イオン注入後兄ーるが実行される。この熱処理が、また半導体ウェハの伸縮に影響する。
次いで、図30に示すように、不純物領域312および314それぞれの上の所定領域に、ゲート電極315aおよび315bが形成される。これらのゲート電極315aおよび315b下部には、ゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)が形成される。図28に示す工程においては、半導体基板300表面に、薄い犠牲絶縁膜が形成され、この犠牲絶縁膜を介して図28および図29に示すイオン注入が実行される。そして、図29に示すイオン注入より不純物領域314を形成した後に、新たにゲート絶縁膜が形成され、このゲート絶縁膜を、ゲート電極315aおよび315b形成時に、ゲート電極とともにエッチング処理してゲート絶縁膜およびゲート電極のパターニングが行なわれる。図30以降の素子断面図においては、ゲート電極絶縁膜は明確には示していないが、ゲート電極315aおよび315b下部には、ゲート絶縁膜が形成されている。
次いで、図31に示すように、不純物領域312を図示しないレジストによりマスクして、ゲート電極315bに対して自己整合的に、第1導電型(N型)のイオン注入が実行される。これにより、不純物領域314において、ソース/ドレインとなる高濃度不純物領域316aおよび316bが形成される。この高濃度不純物領域316aおよび316bのイオン注入後、再び注入イオンの活性化のために、熱処理が実行される。したがって、この場合にも、熱処理が、半導体ウェハ(半導体基板)の伸縮に影響する。
次いで、図32に示すように、不純物領域314を、図示しないレジストでマスクし、ゲート電極315aに対し、自己整合的に第2導電型(P型)のイオンの注入を実行する。これにより、第2導電型の不純物領域312表面に、ソース/ドレイン領域となる高濃度不純物領域318aおよび318bが形成される。このイオン注入における不純物領域318aおよび318b形成後、再び注入イオン種の活性化のために、熱処理が実行される。したがって、この場合においても、半導体ウェハの伸縮に影響する。
次いで、図33に示すように、基板表面上に絶縁膜を形成した後、たとえば異方性エッチングを施して、ゲート電極315aおよび315bの側壁に、側壁絶縁膜320aおよび320bを形成する。これらの側壁絶縁膜320aおよび320bの形成工程においては、たとえば反応性イオンエッチング(RIE)などの処理が行なわれ、高温での熱処理は行なわれないため、半導体ウェハの伸縮はそれほど大きくはない。
次いで、図34に示すように、不純物領域314を図示しないレジストでマスクし、不純物領域312において、この側壁絶縁膜320aおよびゲート電極315aに対して自己整合的にイオン注入を実行する。これにより、不純物領域312の高濃度不純物領域318aおよび318bよりも深くかつ狭い第2導電型の不純物領域322aおよび322bが形成される。
次いで、図35に示すように、不純物領域312を図示しないレジストでマスクし、不純物領域314において、側壁絶縁膜320bおよびゲート電極315bに対して自己整合的にイオン注入を実行する。これにより、不純物領域314の高濃度不純物領域316aおよび316bよりも深くかつ狭い第1導電型の不純物領域324aおよび324bが形成される。
図34および図35に示すようにゲート電極の側壁絶縁膜320aおよび320bに対し自己整合的にイオン注入を行なうことにより、いわゆるLDD(ライトリードープトドレイン)またはエクステンション構造が実現する。これにより、低濃度の不純物領域318a,318b,316a,316bにより、ゲート電極315aおよび315b直下の電界を低減し、ドレイン高電界に起因する素子破壊(ゲート絶縁膜の破壊)を防止する。
次いで、図36に示すように、層間絶縁膜326を、半導体装置全面に形成し、層間絶縁膜326の所定の領域にエッチング処理により貫通孔を形成する。この後、たとえばCVD法により、貫通孔に導電性材料を充填する。これにより、コンタクト(プラグ)328a、328bが、不純物領域318aおよび318bに対しそれぞれ電気的に接触するように形成され、また、不純物領域316aおよび316bに対しても、コンタクト(プラグ)328cおよび328dが、それぞれ電気的に接続されるように形成される。
この後、コンタクト(プラグ)328a−328dに対し、たとえばCVD法などを用いて、導電性の金属配線330a−330dが形成される。次いで、CVD法などにより導電膜を堆積した後、エッチングによりこの導電膜をパターニングして、コンタクト318a−318dそれぞれに電気的に接続される導電性配線330a−330dを形成する。導電性配線330a−330dは、電源ノードまたは信号線に電気的に接続される。これらの工程により、導電型の異なるMOSトランジスタ、すなわちPチャネルMOSトランジスタおよびNチャネルMOSトランジスタが形成される。
この半導体装置が利用される用途に応じて、多層の金属配線構造が用いられ、さらに上層にまで、配線が形成される。しかしながら、半導体ウェハの伸縮の影響の度合が大きな工程は、熱酸化処理工程および基板領域に対するイオン注入後の注入イオン種の活性化のためのドライブ用のアニール処理である。したがって、これらの熱処理工程後の半導体ウェハの露光工程において、本実施の形態1において説明した結晶軸方位を考慮した伸縮関数を用いて位置ずれの非線形成分を補正する。この補正は、特に高精度の位置合わせを必要とする工程で実施するのが好ましい。例えばフィールド形成工程(シリコン基板上に素子分離領域を形成することにより活性領域を規定する工程)においてシリコン基板上に活性領域で形成されたアライメントマークに対して,ゲート電極形成工程において、ゲート電極のパターニングのため、導電膜上に塗布されたレジストを露光する工程におけるアライメント(位置合わせ)に適用するのが好ましい。その後、レジストは現像され、ドライエッチング法などを用いて導電膜がパターニングされてゲート電極が形成される。また、同様に、基板上の活性領域のアライメントマークに対して不純物注入工程におけるレジストパターニングのための露光工程でのアライメントに適用することも可能である。また、ゲート電極形成工程においてゲート電極と同層(レイア)の導電膜により形成されたアライメントマークに対して、層間絶縁膜内に形成されるコンタクトホールのパターニングのため、同様にレジストの露光工程でのアライメントに適用することができる。これにより、位置ずれ量の補正を効果的に行なって、高精度のアライメント(位置合わせ)を実現することができ、半導体装置の歩留り向上および高性能化が実現できる。
また、半導体ウェハの熱歪という物理的現象を対象として補正を行っており、処理レシピに応じて伸縮関数の係数AおよびBを調整することにより、倍率(スケーリング)補正を行う事ができる。従って、位置合わせ精度を確保するために、処理温度を制限して歪を小さくすることは要求されない。これにより、熱処理工程の処理温度および処理時間の制限を小さくすることができ、製造工程の最適化を図ることができる。
また、上述の説明においては、主として熱処理に関してのウェハ伸縮に関して説明したが、ウェハ伸縮に関して影響を与える積層膜に対しても本発明は適用することができる。
図37は、この発明に従う半導体装置の半導体ウェハの断面構造を概略的に示す図である。この図37においては、半導体ウェハ355は、単結晶シリコン基板350と、この単結晶シリコン基板350上に形成される酸化膜(絶縁膜)352と、この酸化膜352上に形成されるシリコン単結晶層354とを含む。すなわち、この図37に示す半導体ウェハ355においては、シリコン単結晶層354、すなわち、SOI層にトランジスタ(SOIトランジスタ)が形成される。図24から図36に示す半導体装置の製造工程において、半導体基板300が、この図37に示すSOI層354に対応する。この場合、素子分離を行なうための溝分離構造においては、酸化膜352に到達するまで形成されて、完全溝分離(フル・トレンチ・アイソレーション)構造とされてもよく、また、図27から図36に示すように、溝が浅く形成されて、シャロートレンチ分離(STI)構造が用いられて、いわゆる部分トレンチ分離(PTI)構造が用いられてもよい。なお、SOIトランジスタのLDD構造においては、フル・トレンチアイソレーションの場合、高濃度ソース/ドレイン領域とゲート直下のチャネル領域との間に、低濃度の不純物領域が高電界緩和用の領域として配置される。
この図37に示すSOI構造の場合、酸化膜350により、下側の基板ウェハ層(シリコン単結晶基板)350が活性領域となるSOI層354と分離されている。したがって、熱処理後の熱の放散が抑制され、この単結晶シリコン基板350における熱歪みの度合が大きく、その伸縮の度合が大きくなると考えられる。したがって、この発明に従う伸縮関数を利用して非線形成分の位置合わせずれ量の補正を、このようなSOI層を有する半導体ウェハ355に適用することにより、より効果的に、位置合わせ精度を高くすることができる。
図38は、半導体ウェハの他の構成を示す図である。この図38に示す半導体ウェハは、バルク半導体基板360により形成される。この半導体基板360の表面に、トランジスタが形成される。トランジスタ形成部におけるトランジスタの形成工程は、図24から図36に示す工程と同じである。したがって、このバルク基板を半導体ウェハとして利用する場合においても、同じ製造工程が用いられ、熱処理が施される。したがって、バルク型半導体基板で構成される半導体ウェハにおいても熱処理により、基板の歪みが生じ、その結晶軸方位に応じた伸縮が生じる。従って、このようなバルク型の半導体ウェハに対しても、位置合わせ時の補正値として、基板の結晶軸方位を考慮した関数を利用して生成することにより、SOIウェハと同様、効果的に位置ずれを補正することができる。
また、図24から図36に示す製造工程においては、素子分離構造として溝分離構造が用いられている。しかしながら、素子分離のために、LOCOS膜(局所酸化膜)が用いられてもよい。この場合においても、局所酸化膜は、半導体基板(活性層が形成される基板領域)の局所的な熱酸化を行なって生成しており、高熱処理が施されるため、同様、熱歪みが生じる。したがって、この発明に従う結晶軸方位を考慮した伸縮関数を用いて位置ずれ量の非線形成分を補正することにより、高精度の位置決めを行なうことができる。
1 半導体ウェハ、2 ショット領域、10a−10d 位置ずれ量、24,25 半導体ウェハ、27 基準シャントショット領域、29 対象ショット領域、100 ウェハステージ、102 ウェハホルダ、110 レチクルステージ、112 レチクル、120 照明系、140 主制御系、200 製造ライン、204a,204b 露光装置、205a,205b 重ね合わせ検査装置、206 生産管理システム、216 アライメント補正部、217 データベース、220 半導体ウェハ、300 半導体基板、310a,310b,310c トレンチ分離領域、312,314 不純物領域、315a,315b ゲート電極、318a,318b,322a,322b,324a,324b 不純物領域、328a−328d コンタクト(プラグ)、330a−330d 導電配線、355 半導体ウェハ、360 バルク半導体基板。