以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明は、例えば図1乃至図3の何れかに示すような外観構成の視機能検査装置に適用される。この視機能検査装置が行う視機能検査としては、被験者の有効視野の広さを検査する視野検査、被験者が認知できる視差の精度を検査する立体差検査、被験者が右眼と左眼のそれぞれで認知する物体位置の相違等を検査する不同視及び不等像視検査などが挙げられる。
図1に示す視機能検査装置は、本体部3のスクリーン形成部2に凹部を被験者に向けたドーム型のスクリーン1が設けられ、当該スクリーン1に表示された映像を視認できる位置に被験者の顎台4を備える。この視機能検査装置は、視機能検査の実施者(医者など)が視機能検査の各種条件やスクリーン1に提示している映像等を表示するモニタ6及びキーボード等の操作デバイス7を備えた検査端末5を備えている。このような視機能検査装置は、被験者の視点位置とスクリーン1との距離が約30cm程度といったレンジとなる。そして、顎台4に被験者の顎を固定した状態で、図示しないプロジェクタなどによってスクリーン1に映像を表示させて、視機能検査を行う。
図2に示す視機能検査装置は、図1に示す視機能検査装置と同じように映像表示面がドーム型のスクリーン11を備える。このスクリーン11は、図1に示した視機能検査装置のスクリーン1よりも大きく構成されている。スクリーン形成部12と、本体部13と、顎台14と、モニタ16及び操作デバイス17を備えた検査端末5とを備えている。また、この視機能検査装置は、被験者が映像の見え方によって操作する被験者用操作デバイス18と、視機能検査装置の各種設定を行うための液晶ディスプレイ19及びキーパネル20とを備えている。
図3に示す視機能検査装置は、被験者と映像との距離を数メートル程度にして視機能検査を行うものである。この視機能検査装置も、映像表示面がドーム型のスクリーン21と、当該スクリーン21から数メートル程度離れて設けられる顎台14と、スクリーン21に映像を投影するプロジェクタ31とを備える。なお、この視機能検査装置は、上述の検査装置なども備えていることは勿論である。
このような視機能検査装置は、図4に示すように、被験者の視点位置からスクリーンにおける映像表示面までの距離(視点距離l)によって、映像表示面に映像によって表示された映像の表示単位からなる指標を見るための視角θ、視差dが決定される。被験者の視点位置の移動量は、被験者の視点位置の誤差が5%以下であるならば、視点位置の移動量は視点距離lの5%以下となり、同様に、被験者の視点位置の誤差が10%以下であるならば、視点位置の移動量は視点距離lの10%以下となる。
例えば、視点距離lが30cmの場合、視角θが200度のスクリーン上での視差は0.2908mmとなり、視点位置が3cmずれると、
tanθ=d/l=0.2908/(300+30)=tan(θ/3600)
となり、従って、視角θは181.819度となる。この視角θは、視角を200度で提示させる場合に、誤差が10%以下となることを示している。
このように被験者の視点位置が変化すると、スクリーンに表示された指標を見るための視角θが変化してしまうために、視機能検査装置においては、視機能検査を行うための視点位置を自動的に求め、視機能検査において推奨する視点位置を提示する。
この視機能検査装置40は、その機能的な構成を図5に示すように、スクリーンである映像提示部46から被験者までの距離を計測する距離測定部41と、映像提示部46に表示される表示単位の大きさを表すパラメータを入力する映像提示仕様入力部42と、視機能検査で必要な視角を入力する視角入力部43と、映像提示仕様入力部42によって入力した映像提示部46に表示される表示単位の大きさに基づいて、視角入力部43によって入力した視角で映像の表示単位を視認させるような映像提示部46から被験者までの距離を演算する距離演算部44と、距離演算部44により演算された距離と距離測定部41により測定された距離との差を求めて被験者に提示する提示部45と、映像提示部46とを備えている。
距離測定部41としては、赤外線センサ、超音波センサなどといった各種のセンサが用いられる。例えば、提示部45をプロジェクタによって構成した場合、当該プロジェクタの映像投影範囲の縦横比の計測を行うカメラや、投影範囲を計測する距離センサなどを組み合わせて用いることで、映像の投影範囲を自動で取得することもできる。
距離測定部41は、センサ取付位置から被験者までの距離に比例したセンサ検出値を距離演算部44に供給する。この距離測定部41は、被験者の眼の位置を、左右眼両眼の中心位置と左右眼のそれぞれの位置との間で切り替えて検出することもできる。この距離測定部41が左右眼の中心位置を検出するか、左右眼のそれぞれの位置を検出するかは、左右眼の中心を仮想視点位置と定めるモード、左右の眼間距離を入力して左右眼の位置を定めるモードなど、上述した検査端末5などによって設定可能である。
また、距離測定部41は、映像提示部46の映像表示面と被験者との間の距離だけでなく、映像表示面の中心位置と被験者の視点位置中心とが、映像表示面に向かって上下左右方向にずれていないかの情報についても、距離情報として検出できる。なお、被験者が動くと仮定される場合、赤外線カメラなどを用いて瞳孔中心をトラッキングし、眼の位置をリアルタイムで取得しても良い。
映像提示仕様入力部42には、映像提示部46に表示される表示単位の大きさを表すパラメータが検査端末5などから供給される。このパラメータとしては、映像提示部46のサイズと、当該映像提示部46における縦方向の有効画素数及び映像提示部46における横方向の有効画素数とが含まれる。これにより、映像提示部46のサイズと有効画素数との関係によって、縦方向における画素サイズ及び横方向における画素サイズが決定される。ここで、映像提示部46に映像を提示する提示部45としてプロジェクタを使用した場合には、プロジェクタの映像投影範囲と縦横の有効画素数とが必要となる。このような映像提示部46に提示される画素サイズが決定されると、被験者が1画素を認識するためにどれだけの視角θが必要かを求めることができる。
なお、映像提示仕様入力部42への入力情報は、上述した映像提示部46のサイズと有効画素数のみならず、例えば、検査端末5から映像表示面(投影面)でのピクセルサイズの大きさで代用することもできる。
視角入力部43には、例えば検査端末5から、被験者が視機能検査を行うために必要な視角θとして、例えば、「○○度」という指定情報が供給される。また、この視角θを特定する情報としては、視機能検査の検査名や検査精度に対応して所定の視角θが設定されている場合には、当該視機能検査の検査名や検査精度を入力する。これにより、視機能検査装置40は、被験者に対して行う視機能検査の検査名や検査精度の入力作業のみで、視角入力部43が、被験者にとって必要な視角θを求めることができる。例えば、立体視検査−スクリーニングでは、約400秒の視角θが必要であり、視力検査−視力1.0までに必要な視角θは、1分であり、このような視角θを視機能検査の検査名、検査精度と共に記憶しておく。
距離演算部44では、映像提示仕様入力部42によって入力された映像提示部46における1画素のサイズを特定するパラメータと、視角入力部43によって入力された視角θとを用いて、被験者が視角θで映像の表示単位を視認するための推奨視点位置を算出する。この被験者の推奨視点位置は、映像提示部46における映像表示面からの距離として算出されて、提示部45に供給される。例えば、検査精度が高く小さな視角θで映像を区別する視機能検査では、被験者の視点位置と映像提示部46の映像表示面との距離があまりに小さいと、当該検査精度が1画素よりも大きくなって視機能検査ができない。この場合には、距離演算部44は、映像提示部46の映像表示面から被験者の視点位置までの距離を長く計算することとなる。
また、距離演算部44は、演算された距離と距離測定部41により測定された距離との差を求めて、提示部45に出力する。
提示部45は、所謂プロジェクタ等からなり、距離演算部44から供給された距離差を映像提示部46によって被験者に提示する。このとき、提示部45は、音声や映像(文字・記号など)を用いて、被験者の視点位置から推奨視点位置までの距離を提示することができる。この提示部45によって提示される差分は、例えば、被験者の現在の視点位置と、推奨視点位置と、当該距離の差分というように、距離の差分以外の情報についても提示しても良い。この距離差分以外の情報としては、例えば、被験者の現在視点位置や映像表示面の中心から映像表示面に向かって上下左右方向へのずれなどが挙げられる。
以上のような視機能検査装置40は、例えば図6に示すように動作する。先ず視機能検査装置40は、ステップS1において、距離測定部41によって被験者から映像提示部46までの距離を測定し、ステップS2において、映像提示仕様入力部42によって映像提示部46における有効画素数を入力し、ステップS3において、視角入力部43によって視機能検査に必要な映像表示単位を視認する視角θを入力する。そして、視機能検査装置40は、ステップS4において、距離演算部44によって、ステップS2,ステップS3にて入力した有効画素数及び視機能検査に必要な視角θと、予め設定されている映像提示部46の映像表示面のサイズとから、被験者に提示できる1画素のサイズ(最小の映像細かさ)を算出する。
次に、視機能検査装置40は、ステップS5において、ステップS1にて計測した実際の被験者の視点位置から映像提示部46の映像表示面までの距離と、ステップS4にて算出した視機能検査で必要な1画素の細かさを実現するための被験者の推奨視点位置から映像表示面までの距離とを比較する。そして、双方の距離に差がある場合には、ステップS6において、提示部45によって、映像提示部46に距離差を表示させる。
次に、視機能検査装置40は、ステップS7において、被験者の推奨視点位置で視機能検査を行うこととなる。
このような視機能検査装置40によれば、提示部45が映像提示部46に提示できる1画素のサイズ(解像度)と、視機能検査に必要な視角θとから、視機能検査に必要な視角θを実現する推奨視点位置を求めて、当該推奨視点位置までの移動距離を提示することができる。これにより、映像提示部46に提示した距離差だけ被験者の視点位置を移動させることによって、視機能検査に必要となる網膜上での刺激(指標のサイズ)を一定に保たせて視機能検査を行わせることができる。これにより、設置場所などの状況に応じて映像の解像度や表示範囲の異なる提示部45及び映像提示部46を用いた場合でも、常に同じ精度を保って視機能検査を行うことができる。更に、この視機能検査装置40によれば、映像の解像度によらずに、視機能検査に必要な検査精度に応じて被験者の視点位置を変更すれば、更に高い検査精度も実現できることとなる。
また、この視機能検査装置40によれば、モニタやプロジェクタなどといった解像度で表現される映像を用いて視機能検査を行う場合であっても、スクリーンの設置場所などの条件を加味しながらも、被験者に提示したい映像を正確に提示して正確な視機能検査を実現できる。更に、この視機能検査装置40によれば、映像を提示するモニタやプロジェクタの解像度・位置・被験者の位置に依存することなく、被験者の視点位置を映像提示部46に対して修正させるのみで、所望とする視角θで映像の表示単位を識別させた状態で、視機能検査の指標を見させて視機能検査を行うことができる。
したがって、本発明によれば、様々な映像を用いて視機能検査を行うように設計しても、映像の解像度などによって、搭載できる視機能検査の種類が制限されることなく、様々な視機能検査を高い検査精度で行うことができる視機能検査装置40を提供できる。
なお、上述した視機能検査装置40は、映像提示部46に距離差を表示するものとしたが、推奨視点位置までの距離を提示するに際して、視機能検査の実施者がどの程度の誤差であれば許容して距離差として提示しないことなどを検査端末5の操作によって指定できるようにしても良い。この許容できる距離差としては、移動距離の単位であるメートル(長さ)によって直接的に指定する他に、視角θの単位である「度(角度)」を利用しても良い。
また、この視機能検査装置40は、提示部45としてプロジェクタを使用した場合には、1画素のサイズを決定するパラメータとして、映像提示部46のサイズ及び有効画素数の他に、当該プロジェクタの打ち込み角(プロジェクタの光投影面に対する光軸の傾き角)、画角、バックフォーカス、映像投影面までの距離、プロジェクタの解像度を使用することができる。
更に、提示部45及び映像提示部46によって、現状の被験者の視点位置と推奨視点位置までの距離及び方向を指定して、被験者の視点位置の移動を指示する方法としては、前後方向(映像表示面に近づく又は遠のく)だけでなく、視点位置が表示画面の中心にあるかどうか(映像表示面に向かって、上下左右方向のずれ)も提示することができる。
つぎに、上述したように構成された視機能検査装置40において、図7に示すように、映像提示部46の提示内容が予め定めた所定の範囲内に存在するか否かを判断する存在範囲判断部51を備える構成について説明する。
この視機能検査装置40において、所望の推奨視点位置と映像提示部46の映像表示面との距離となるように、被験者の視点位置を移動させる場合又は映像提示部46の映像表示面を移動させる場合、計測機器などに頼ることなく正確な位置移動を行うことは難しい。しかしながら、そのずれを個々の視機能検査の実施者の判断に任せていると、視機能検査の実施者で検査精度が大きく異なってしまうことがある。
そこで、この視機能検査装置40は、存在範囲判断部51によって、被験者の視点位置又は映像提示部46の映像表示面が存在する範囲を判断して、距離演算部44によって求められた範囲内に被験者の視点位置又は映像提示部46の映像表示面を位置させる。
存在範囲判断部51は、距離演算部44から供給された被験者の視点位置又は映像提示部46の映像表示面の位置を入力し、何れかが所定の誤差範囲内まで移動したかを判断する。存在範囲判断部51は、映像提示部46の映像表示面が固定である場合には、被験者の視点位置を特定できる装着物に取り付けられた位置を検出するセンサ機構を備える。一方、存在範囲判断部51は、被験者の視点位置を固定とする場合には、移動可能な映像提示部46の映像表示面に取り付けられた位置を検出するセンサ機構を備える。
例えば被験者の視点位置を変更させる場合、図8に示すように、ステップS3にて視機能検査に必要な視角θが入力された後のステップS11において、距離演算部44によって、推奨視点位置を演算する。すると、存在範囲判断部51は、ステップS12において、ステップS11において演算された推奨視点位置に被験者の視点位置が存在するか否かを判定する。存在範囲判断部51によって、推奨視点位置に被験者の視点位置が存在しない場合には、ステップS13において、推奨視点位置を提示して、被験者の視点位置が移動させたことを検知して、ステップS1に処理を戻す。ここで、この視機能検査装置40によるステップS1以降の距離測定タイミング、存在範囲判断部51による移動中の距離更新するタイミングとしては、被験者などによって定められた時間ごとであっても良く、被験者が推奨視点位置となったと認識した時に操作デバイスを操作させるタイミングなど、一定の信号入力タイミングであっても良い。
これによって、視機能検査装置40は、被験者の視点位置が推奨視点位置まで移動できなかった場合には、再度ステップS1以降の処理によって、被験者の視点位置を推奨視点位置に近づけていくことができる。
このような視機能検査装置40によれば、推奨視点位置と現状の被験者の視点位置とに距離差があり、推奨視点位置に移動させることができ、視機能検査の実施者によって距離差の精度のばらつきを抑制して、精度が一律な視機能検査を実現することができる。
また、この視機能検査装置40によれば、存在範囲判断部51によって被験者の視点位置が推奨視点位置となった後であっても、被験者の視点位置が推奨視点位置に安定して存在し続けるまで、所定タイミングで被験者の視点位置を計測し続けることが望ましい。これによって、被験者の視点位置が確実に推奨視点位置に留まり続ける状態で視機能検査を行っていることも、視機能検査の結果の付加情報として記憶することができ、視機能検査の信頼性を向上させることができる。
上述したように構成された視機能検査装置40において、図9に示すように、被験者の視点位置を推奨視点位置まで誘導する誘導部52を備え、存在範囲判断部51によって現状の被験者の視点位置が、推奨視点位置となっているかを判定すると共に、誘導部52によって被験者の視点位置を推奨視点位置の範囲内に誘導する構成を備えていても良い。
図9に示す誘導部52は、提示部45から映像提示部46に供給される映像信号を取得し、当該映像信号に、被験者の視点位置を誘導する映像を重畳させて、映像提示部46に表示させる。例えば、被験者の視点位置が推奨視点位置となるための距離及び方向を映像に重畳させて、映像提示部46によって表示させる。
この誘導部52は、提示部45がプロジェクタからなる場合には、当該プロジェクタに組み込まれて、プロジェクタに供給される映像信号に、被験者の視点位置を誘導する映像を重畳させるように信号処理を行う。また、映像提示部46がモニタであり提示部45が映像処理回路である場合には、誘導部52は、映像処理回路からモニタに供給される映像信号を加工することとなる。また、この誘導部52は、映像提示部46が音声出力機構(スピーカ)を有している場合には、当該スピーカに、被験者の視点位置を推奨視点位置に移動させる音声信号を供給することとなる。
このような視機能検査装置40は、図10に示すように、ステップS12において存在範囲判断部51が、被験者の視点位置が推奨視点位置の範囲内にないと判定した場合に、ステップS21において誘導部52によって、推奨視点位置とのずれを提示する。
これにより、この視機能検査装置40によれば、映像提示部46によって映像を見せながら、誘導部52によって、推奨視点位置まで移動させるような映像を提示して、現状の被験者の視点位置を誘導することができる。よって、この視機能検査装置40によれば、移動すべき移動量や向きを意識させることなく、直感的に誘導させることができ、特別な装置を必要とすることもない。
また、誘導部52としては、被験者自身の姿をカメラ等で撮影し、撮像した被験者の周囲状況に推奨視点位置を重畳させて映像提示部46へと提示することで、自己を推奨視点位置に合わせるように移動して、被験者の視点位置を推奨視点位置とすることができる。このとき、映像提示部46は、実際の状況をモデル化した映像を提示する3DCGのようなモデルを表示しても良く、映像内に矢印などの記号化された案内を表示しても良い。
更に、視機能検査装置40は、図11に示すように、映像提示部46と被験者との間の距離を自動的に変更する駆動部53を更に備えていても良い。この駆動部53は、映像提示部46又は被験者の立ち位置の少なくとも一方に設けられており、映像提示部46と被験者の視点位置との距離を変更するための機構からなる。例えば、映像提示部46を駆動させる場合、被験者や映像提示部46の支持機構、レール機構、レール上で被験者や映像提示部46を移動させるモータ機構などを備える。
この駆動部53は、図12に示すように、ステップS12において、存在範囲判断部51によって、現状の被験者の視点位置が、推奨視点位置の範囲内にないと判定された情報を受信すると、ステップS31において、現状の被験者の視点位置を推奨視点位置の範囲内とするように被験者及び/又は映像提示部46を移動させる。これによって、ステップS14においては、被験者又は映像提示部46を移動させて、ステップS12からの処理を繰り返す。
また、映像提示部46を移動させる方式としては、複数のアームを連結して映像提示部46を移動可能に構成し、アーム連結点に内蔵した回転アクチュエータ、アームの伸縮を行う直動アクチュエータを駆動して、被験者の視点位置と映像提示部46の映像表示面との相対位置を変更することもできる。これによって、映像提示部46を上下左右に移動させることもできる。
これにより、視機能検査装置40は、距離演算部44によって、推奨視点位置が演算された場合に、自動的に存在範囲判断部51によって現状の被験者の視点位置が推奨視点位置の範囲内にないことが求められて、ステップS31において、現状の被験者の視点位置を推奨視点位置の範囲内とすることができる。
したがって、この視機能検査装置40によれば、上述したように、映像提示部46によって、被験者の視点位置の推奨位置を提示するよりも、細かな被験者の視点位置の調整ができ、視機能検査に必要な視角を被験者に提示することができる。
更にまた、この視機能検査装置40は、図13に示すように、映像提示部46による映像の提示範囲を被験者との位置関係から被験者の視界に入る有効視野角を算出する被験者有効視野演算部54を更に備え、映像提示部46に有効視野角を提示しても良い。
ここで、視機能検査においては、実施する視機能検査の内容によって、映像提示部46の映像表示面において常に指標を提示しない領域であっても、被験者の視野を映像によって覆う必要がある視機能検査や、所定の範囲を走査するものがある。例えば、視野の30度内を走査する視機能検査がある。そのため、視機能検査装置40は、視機能検査によっては、視角θの細かさだけでなく、被験者の有効視野についても考慮が必要となる。
そこで、この視機能検査装置40は、視機能検査に必要な有効視野と視角θとを同時に満たしているかを自動的に判断して、被験者の視点位置などによって有効視野や視角θが異なる場合にも、視機能検査に合った視機能検査や視角θを実現する。
この被験者有効視野演算部54は、距離測定部41によって計測された実際の被験者の視点位置から映像提示部46の映像表示面までの距離と、映像提示仕様入力部42によって入力された映像提示部46に表示される1画素サイズを特定する情報と、視角入力部43によって入力された視角θが供給される。そして、被験者有効視野演算部54は、被験者の視点位置から映像提示部46の映像表示面までの距離が短いほど、提示部45によって提示する映像サイズが大きいほど、被験者の視野のうち映像が占める有効視野が広いことを演算する。また、被験者有効視野演算部54は、視角入力部43によって入力された視角θが細かいほど、小さい映像を映像提示部46の映像表示面に表示する必要があるので、被験者の視野のうち映像が示す有効視野が狭いことを判定する。
このような視機能検査装置40は、図14に示すように、ステップS5において、視機能検査に必要な視角θを実現するような現状の被験者の視点位置と推奨視点位置とを比較した後のステップS41において、現在の被験者の視点位置における有効視野角を被験者有効視野演算部54によって算出する。そして、視機能検査装置40は、ステップS15において、ステップS5にて比較した結果得た現状の被験者の視点位置と推奨視点位置との差分と共に、ステップS41にて演算した有効視野角を提示する。
これによって、視機能検査装置40は、視機能検査の実施者によって、視機能検査に必要な視角θを実現するような位置に現状の被験者の視点位置があるかを認識することができると共に、この視機能検査に必要な有効視野角が実現できているかを認識することができる。したがって、視機能検査装置40によれば、視角θを実現できても、有効視野角が実現できていないような視機能検査を行うことなく、正確な視機能検査を実現できる。
また、この視機能検査装置40は、ステップS42において、映像提示部46に視角θ及び有効視野角を表示するのみならず、視機能検査が走査する検査端末5などに、有効視野角が実現できていないことの警告を表示することによって、有効視野角が実現できていない視機能検査を回避することができる。逆に、視機能検査装置40は、有効視野角が人間の視野範囲を超える場合には、調整の必要がないことを明確に提示することができる。
更に、この視機能検査装置40によれば、検査端末5に対して有効視野角が実現できていないことを警告した時に、視機能検査の実施者に対して、視角θの精度を優先するか、有効視野角を優先するかを選択させるような表示を行って、操作デバイスの操作によって選択させても良い。そして、視機能検査装置40は、視角θよりも有効視野角を優先することが選択された場合には、視機能検査に必要な視角θを実現できる範囲で、視機能検査に必要な有効視野角を実現するように推奨視点位置を変更することができる。更に、視機能検査にとって必要な視角θと有効視野角との双方を実現するために、視角θ及び有効視野角を少しずつずらして、視機能検査の実施者が所望するような調整を行わせるようにしても良い。
更にまた、この視機能検査装置40は、図4に示した同様の構成によって、右眼と左眼とで別個の映像を視認させて行う視機能検査も行うことができる。この視機能検査装置40は、右眼と左眼で異なる映像を提示する手法として、単一の映像を、左右眼に対応する二つの右眼用映像と左眼用映像とに分離する。例えば、立体視用の平面ディスプレイ(レンチキュラーレンズや偏光フィルターを利用したもの)の他に、液晶シャッタ眼鏡を被験者に装着させて右眼用映像と左眼用映像とを交互に表示する時分割方式や、偏光眼鏡や分光眼鏡を利用した方式や、フレネルレンズなど光学系を用いて左右眼を分離するなどの様々な立体映像の表示方式の何れであっても良い。
更にまた、視機能検査装置40は、図15に示すように、立体映像を表示するために、右眼用映像と左眼用映像との視差を入力する視差入力部55を備えていても良い。この視差入力部55は、視機能検査の実施者が検査したい視差を設定するための操作デバイスによって構成しても良く、被験者が認知できている又は認知できていないと感じている視差を入力するための操作デバイスによって構成しても良い。また、視差量の指定は、視角(度)、奥行き位置(手前に○○cm)、映像表示面上での位置(水平方向に○○cm)などといった形式で選択できるようにしても良い。更に、視差入力部55は、被験者の眼間距離の設定を行い、両眼の中心位置として左右の視差を計算しても良く、左右眼それぞれの中心位置からの映像(網膜像を仮定して)から、そのずれを視差として計算するなどの詳細な設定を行っても良い。
この視差入力部55は、例えば検査端末5によって設定された右眼用映像と左眼用映像との視差を入力すると、この視差情報を提示部45に供給する。提示部45は、右眼用映像の映像信号及び左眼用映像の映像信号に対して、視差情報に応じた視差を設けて、映像提示部46の映像表示面に右眼用映像及び左眼用映像を表示させることによって、立体映像を提示する。
このような視機能検査装置40は、図16に示すように、ステップS1〜ステップS3の後のステップS51において、視差入力部55によって視差を入力して、ステップS4〜ステップS6において、所望の視角θを実現するために被験者の視点位置を推奨とする視点位置とする処理を行う。そして、視機能検査装置40は、提示部45によって、視差入力部55が設定した視差に基づいて右眼用映像と左眼用映像との間に視差を設ける画像処理を行う。次に、映像提示部46が、視差を設定した右眼用映像と左眼用映像とを表示することによって、立体視に関する両眼視検査を行うときに、当該両眼視検査に必要な視角θを実現するように現状の被験者の視点位置を推奨視点位置にすることができる。また、この視機能検査装置40によれば、立体映像を提示することによって、より日常に近い状態で視機能検査を行うことができる。
このような視機能検査装置40は、視機能検査において右眼と左眼とで認知できる視差を検査できると共に、被験者に視差の認知度合いを入力させることによって、映像の視差を自由に変更することもできる。
なお、この視機能検査装置40は、視差のみならず、右眼と左眼とのそれぞれで視認させる映像の色、輝度、コントラスト、ぼかし具合などを設定できるようにしても良い。この場合であっても、右眼と左眼とで、色、輝度、コントラスト、ぼかし具合をどの程度認知できるのかを検査することができる。また、この視機能検査装置40は、個々の被験者の右眼、左眼の状態に合わせて、右眼と左眼とで非対称に視差をつけた映像を提示するなど、より個人の視機能検査に適した映像の提示して、視機能検査を実施できる。
更にまた、この視機能検査装置40は、上記の両眼視検査を行えるものにおいて、図17に示すように、映像提示部46に提示した右眼用映像及び左眼用映像の表示態様を操作する映像操作部56を更に備えていても良い。この映像操作部56は、視機能検査の実施者が検査したい映像の表示態様を設定するための操作デバイスによって構成しても良く、被験者が認知できている又は認知できていないと感じている映像態様を入力するための操作デバイスによって構成しても良い。この映像の表示態様としては、映像提示部46における映像の表示位置、映像(指標)サイズ、色、輝度などが挙げられ、映像操作部56によって変更される。また、映像操作部56は、右眼と左眼とで別個の映像を提示している場合には、右眼と左眼とで別個に映像の表示態様を変更可能としても良い。
このような視機能検査装置40は、図18に示すように、ステップS1〜S3,ステップS51の次のステップS61において、視機能検査の実施者又は被験者によって映像操作部56が操作されることによって、右眼と左眼によって視認させるために、映像提示部46に提示する映像の設定を行う。これにより、提示部45は、映像操作部56の操作内容に従って、映像提示部46に提示する映像の態様を変更する。次に、映像提示部46が、映像の態様を設定した右眼用映像と左眼用映像とを表示しつつ、視機能検査に必要な視角θを実現するように現状の被験者の視点位置を推奨視点位置にすることができる。
また、この視機能検査装置40は、映像操作部56によって視機能検査の途中においても設定変更することもでき、ステップS61〜ステップS7を繰り返すことによって、映像態様を随時変更しながら、見え方の相違を検査することができる。また、映像操作部56を視機能検査の実施者に操作させてステップS61〜ステップS7を繰り返すことによって、視機能検査の検査内容によって映像の表示態様を連続して切り替えることもできる。
このような視機能検査装置40は、視機能検査において右眼と左眼とで認知できる映像の表示態様を検査できると共に、被験者に映像の表示態様の認知度合いを入力させることによって、映像の視差を自由に変更することもできる。
更にまた、上述した視機能検査装置40は、図19に示すように、映像提示部46の映像提示面の形状を入力する映像提示面形状入力部57と、映像提示面形状入力部57によって入力された映像提示面の形状に映像を提示した時に被験者の視点位置から歪み無く映像を視認させるように映像信号を補正する歪み補正部58とを備えていても良い。
映像提示面形状入力部57は、例えば図1乃至図3に示したようなドーム型のスクリーンの形状を、映像提示部46の映像提示面形状として入力する。この映像提示面形状入力部57は、CADデータを取り込むことによって映像提示部46の映像提示面形状を取り込んでも良く、図示しないカメラによって映像提示部46を撮像して解析を行うことによって映像提示部46の映像提示面形状を取得しても良く、超音波センサなどの距離計測デバイスで映像表示面を走査して映像提示面形状を取得しても良く、視機能検査の実施者の操作入力によって映像提示部46の映像提示面形状を取得しても良い。この映像提示面形状入力部57により取得した映像提示部46の映像提示面形状は、歪み補正部58に供給される。
歪み補正部58は、所定の被験者の視点位置から、映像提示面形状入力部57から供給された映像提示部46の映像提示面形状に表示された映像を見たときに、当該映像が歪み無く見えるように歪み補正パラメータを作成する。この歪み補正パラメータは、平面の映像を座標変換して、任意形状の映像提示面に投影しても歪み無く見えるようにするテーブルデータである。すなわち、このテーブルデータは、歪み補正が施されていない平面の映像の座標データと、歪みなく視認させるための映像データの座標データとの対応関係を示している。
提示部45は、歪み補正部58から歪み補正パラメータが供給されると、当該歪み補正パラメータに従って、平面の映像に対して座標変換処理を施して、歪み補正を施した映像データを作成して、映像提示部46に歪み補正後の映像を表示させる。
このような視機能検査装置40は、図20に示すように、ステップS1〜S6の処理と並列して、ステップS71にて映像提示面形状入力部57が映像提示部46の映像提示面形状を入力し、ステップS72にて歪み補正部58が歪み補正パラメータを生成する。そして、この視機能検査装置40は、ステップS71及びステップS72、ステップS1〜S6の処理後に、映像提示部46に映像を表示させる時に、提示部45によって、歪み補正パラメータに基づいた歪み補正処理を施して、視機能検査の映像を映像提示部46に提示する。
これによって、視機能検査装置40は、映像提示部46の映像提示面形状が平面でなく、任意形状である場合であっても、被験者の視点からは歪みのない映像を提示することができる。これにより、例えば、限られたスペースにおいて被験者の広い視野を確保して視機能検査を行いたい場合において、ドーム型のスクリーンを映像提示部46として用いる場合であっても、当該ドーム型のスクリーンに歪み無く映像を提示することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。