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JP5160001B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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JP5160001B2
JP5160001B2 JP2001103388A JP2001103388A JP5160001B2 JP 5160001 B2 JP5160001 B2 JP 5160001B2 JP 2001103388 A JP2001103388 A JP 2001103388A JP 2001103388 A JP2001103388 A JP 2001103388A JP 5160001 B2 JP5160001 B2 JP 5160001B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolor Transistorで、 以下、IGBTと称す)や絶縁ゲート型サイリスタなどの半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータや通信機器の重要部分には、多数のトランジスタや抵抗等を電気回路を構成するように結びつけて、1チップ上に集積して形成した集積回路(以下、ICと称す)が多用されている。このようなICの中で、電力用半導体素子を含むものはパワーICと呼ばれている。
【0003】
IGBTは、MOSFETの高速スイッチィングおよび電圧駆動特性と、バイポーラ・トランジスタの低オン電圧特性をワンチップに構成した電力用半導体素子である。
IGBTは、汎用インバータ、ACサーボや無停電電源(UPS)、スイッチング電源などの産業分野をはじめ、電子レンジ、炊飯器、ストロボなどの民生機器分野への応用が拡大してきている。さらに、次世代への開発も進んでおり、新しいチップ構造を用いた、より低オン電圧のものが開発され、応用装置の低損失化や高効率化が図られてきている。
【0004】
IGBTの構造としては、パンチスルー型、ノンパンチスルー型、そしてフィールドストップ型等がある。そして、現在量産されているIGBTは、一部のオーディオ・パワー・アンプ用のpチャネル型を除いて、ほぼすべて、nチャネル型の縦型二重拡散構造となっている。以下に、nチャネル型IGBTを例に挙げて、各構造について説明する。
【0005】
パンチスルー型は、p+ エピタキシャル基板(p+ 基板)とn- 層(n活性層)の間にn+ 層(nバッファ層)を設け、n活性層中の空乏層がnバッファに到達する構造であり、IGBTで主流の基板構造である。例えば、耐圧600V系に対しては、n活性層の厚さは100μm程度で十分であるが、p+ 基板部分を含むと総厚さは300〜400μmになる。そこで、エピタキシャル基板を用いずに、安価なFZ基板(フローティングゾーン法で製作した半導体基板のこと)を用いて、チップの低コスト化を図った低ドーズ量の浅いp+ コレクタ層を形成したノンパンチスルー型やフィールドストップ型が開発されてきている。
【0006】
図10は、低ドーズ量の浅いp+ コレクタ層を採用したノンパンチスルー(NPT)型IGBTの断面構造である。低ドーズ量の浅いp型コレクタ層58(低注入のp+ コレクタ層)を採用したノンパンチスルー型は、エピタキシャル成長基板のようなp+ 基板を使わないので、基板総厚さはパンチスルー型よりも大幅に薄くなる。この構造では、p型コレクタ層58の濃度で、正孔の注入効率を制御できるので、ライフタイム制御を行わなくても高速スイッチングが可能であるが、オン電圧はn活性層(p型ベース層52とp型コレクタ層58に挟まれたFZ−n基板51)の厚みと比抵抗に依存するのでやや高い値となる。但し、前述のように、高価なp+ エピタキシャル基板は用いずに、安価なFZ基板を用いているため、チップの低コスト化が可能である。
【0007】
尚、図中の53はn型エミッタ層、54はゲート酸化膜、55はゲート電極、56は層間絶縁膜、57はエミッタ電極、59はコレクタ電極である。
図11は、フィールドストップ(FS)型IGBTの断面構造である。基本構造は、パンチスルー型IGBTと同じあるが、やはりp+ エピタキシャル基板は用いずに、FZ−n基板51を用いて基板の総厚さを150μm〜200μmとしている。パンチスルー型と同じくn活性層(p型ベース層52と、n型フィールドストップ層60に挟まれたFZ−n基板1)は600V耐圧に応じて100μm程度にしてあり、空乏化させる。そのため、n活性層下にはn+ 層(n型フィールドストップ層60で、n型バッファ層と同じ働きをする)を設ける。コレクタ側は、低ドーズ量の浅いp+ 拡散層を低注入のp型コレクタ層58として用いる。これにより、ノンパンチスルー型の場合と同様にライフタイム制御は不要である。
【0008】
また、オン電圧の低減を目的として、チップ表面に狭く深い溝を形成し、その側面にチャネルを形成したトレンチIGBTの構造をノンパンチスルー型IGBTやフィールドストップ型IGBTを組み合わせた構造のものもある。
図12は、従来のNPT−IGBTの製造方法であり、同図(a)から同図(d)は、主要工程の要部工程断面図である。
(1)FZ−n基板51aの表面側にゲート酸化膜54と多結晶シリコンからなるゲート電極55を堆積、加工し、その表面に層間絶縁膜56を堆積、加工し、絶縁ゲート構造が作られる。
(2)FZ−n基板51aに、p型ベー層52を形成した後に、このp型ベース層52内にn型エミッタ層53を形成する。
(3)n型エミッタ層53に接するようにアルミ・シリコン膜からなるエミッタ電極57を形成する。アルミ・シリコン膜は、安定した接合性を低抵抗配線を実現するために形成し、その後、熱処理をされる。さらに、図示しないが、エミッタ電極57を覆うようにポリイミド膜からなる絶縁保護膜を形成する。
(4)次に裏面側より、所望の厚さまでFZ−n基板をバックラップする(同図(a))。
(5)次に、高濃度のp型コレクタ層(p+ の拡散層)を形成するために、裏面61より、通常のボロンの室温イオン注入71を行い(同図(b))、その後、熱処理を行なう(同図(c))。
(6)その後、p型コレクタ層58上に、アルミニウム層、チタン層、ニッケル層および金層の4層からなる裏面電極膜でコレクタ電極59を形成する(同図(d))。最後に、図示しないが、
(7)エミッタ電極57の表面上には、アルミワイヤが超音波ワイヤボンディング装置により固着され、もう一方のコレクタ電極59は、半田層を介して固定部材に接続される。
【0009】
しかし、これらのFZ基板を用いた薄型のIGBT構造で所望の特性を得るためには、熱処理、拡散工程が重要な技術となる。
以下、熱処理、拡散工程に関連する上記の(3)のアルミニウム・シリコン膜と(5)の裏面イオン注入、熱処理工程について記載する。
先ず、(3)の工程に関しては、
エミッタ電極57を形成するアルミニウム・シリコン膜(シリコン含有量が1%以下)は、スパッタ方法により基板温度を150℃にして、膜厚を5μmとして成膜している。その後、熱処理は、電気炉で420℃、80minで実施する。熱処理を500℃を超える高温ですると、アルミニウム・シリコン中のシリコン原子が層間絶縁膜56との間に析出し、シリコン析出粒を起点とするワイヤボンディング時の加圧力で、層間絶縁膜55が破壊して、ゲート電極55とエミッタ電極57の間の耐圧劣化が発生したり、また、この耐圧劣化を防ぐために、ワイヤボンディング時の加圧力を弱めると、ワイヤとエミッタ電極57との接着性が低下したりする不都合が生じる。
【0010】
図13は、500℃を超える高温で熱処理を行なった場合のシリコン析出状態を示す。図中の75はシリコン析出粒である。
図14は、図12の状態でワイヤーボンディングを実施し、層間絶縁膜にクラックが発生し、ゲート−エミッタ間の短絡が起こる場合の状態を示している図である。シリコン析出粒75で、層間絶縁膜55に局部的にワイヤーボンディング時の加圧力が加わり、クラック76が発生する。
【0011】
図15に、シリコン析出粒径と耐圧不良率の関係、図16に、アルミニウム・シリコン膜の熱処理温度とシリコン析出粒径の関係を示す。シリコン析出粒径をが大きくなると、耐圧不良が増加し、シリコン析出粒径を1μm以下とするためには、熱処理温度を500℃以下にする必要があることがわかる。
次に、(5)の工程に関しては、
p型コレクタ層58であるp型拡散層(ここでは、不純物はボロン)は、正孔を効率良く注入させ、さらに(6)工程で形成するコレクタ電極59である裏面電極との良好なコンタクトを形成させるために、浅く高濃度である必要がある。ここでは、イオン注入はドーズ量1×1015cm-2、加速電圧45keVで注入を実施し、熱処理は、電気炉で420℃、1hrで低温拡散を実施している。この温度は、(3)の工程で決まっている。
【0012】
図17は、広がり抵抗法により求めたp型コレクタ層の濃度分布を示す。420℃、1hrの電気炉熱処理(電気炉アニール)では、ピーク濃度も5×1017cm-3以下と低く、図示しない、900℃、30minで電気炉熱処理(アニール)し充分に活性化した試料(イオン活性化率80%)と比較して、イオン活性化率は2%と非常に低い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
つぎに、前記した従来技術の問題点をまてめて説明する。
(1)アルミニウム・シリコン膜などアルミニウムを主成分として含む膜のアニール温度を、高温(>500℃)にすると、シリコン析出粒による耐圧劣化、またはコンタクト抵抗の増加を生じる。
(2)(1)を避けるために500℃以下の低温アニールすると、裏面拡散層(ここでは、p層)のイオン活性化率は1〜2%程度(ボロンのドーズ量が1×1015cm-2注入の場合)に留まって、良好な特性を有するデバイスを得ることができない。
【0014】
この発明の目的は、前記の課題を解決して、イオン注入層のイオン活性化率を高めて低オン電圧化を図り、耐圧低下とコンタクト抵抗の増加を防止できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、半導体基板の一方の面に第1主電極を形成した後、前記半導体基板の他方の面にイオン注入層を形成し、該イオン注入層上に第2主電極を形成する半導体装置の製造方法において、
前記イオン注入層を、冷却イオン注入と、該冷却イオン注入後、低温アニールすることで形成する製造方法とする。
【0016】
また、前記第1主電極を、アルミニウムを主成分とする金属膜で形成するものとする。
また、前記イオン注入層のドーズ量を、3×1013cm-2以上とする。
また、前記イオン注入層のドーズ量を、1×1014cm-2以上、1×1015cm-2未満とする。
【0017】
また、前記冷却イオン注入時の半導体基板の温度を、室温より低く、液体窒素温度(−196℃)以上の高い温度とする。
また、前記低温アニール温度を、300℃以上、500℃以下とする。
また、前記イオン注入層を、ボロン(元素記号:B)もしくはBF2 を冷却イオン注入することで、形成するとよい。
【0018】
前記のように、裏面のイオン注入層の形成に冷却イオン注入を用いて、その後、低温アニールを行なう。冷却イオン注入では、イオン注入時に欠陥の少ない層を形成することができ、そこに低温アニールを施すことにより、シリコン表面側形成層に影響を与えることなく、つまり、ワイヤボンディング時の層間絶縁膜の破壊(ゲート−エミッタ間の短絡)等の問題を生じることなく、裏面拡散層の活性化を図ることができる。
【0019】
裏面のイオン注入層の形成にボロンもしくはBF2 のイオン注入を用いて、その後、低温アニールを用いて行なう。ボロンのイオン注入では、冷却イオン注入時に連続的な非晶質層を形成することができ、そこに低温アニールを施すことにより、シリコン表面側形成層に影響を与えることなく、裏面拡散層の活性化を図ることができる。
【0020】
また、質量の大きなBF2 では室温イオン注入でも連続的な非晶質層が形成されるが、冷却イオン注入では、さらに、その非晶質層は、薄く形成される。また、ボロンの場合と比べて、BF2 の場合は、イオン注入層の厚さは薄く、イオン活性化率も高くできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の第1実施例の半導体装置の製造方法であり、同図(a)から同図(d)は、主要工程の要部工程断面図である。この半導体装置は、NPT−IGBTである。
(1)バックラップする前の半導体基板(FZ−n基板1a)の表面側にゲート酸化膜4(ここでは、SiO2 )と多結晶シリコン(ここでは、Poly−Si)からなるゲート電極5を堆積、加工し、その表面に層間絶縁膜6(ここでは、BPSG:ボロンリンガラス)を堆積、加工し、絶縁ゲート構造が作られる。
(2)FZ−n基板1aにp型ベー層2(p+ )を形成した後に、このp型ベース層2を形成した後にこのp型ベース層2内にn型エミッタ層3(n+ ) を形成する。
(3)n型エミッタ層3に接するようにアルミ・シリコン膜からなる表面電極(エミッタ電極7)を形成する。アルミ・シリコン膜は、安定した接合性を低抵抗配線を実現するために、その後、熱処理をされる。さらに、図示しないが、エミッタ電極7を覆うようにポリイミド膜からなる絶縁保護膜を形成する。
(4)次に裏面側より、所望の厚さまでFZ−n基板1aをバックラップする(同図(a))。
(5)つぎに、バックラップした半導体基板(FZ−n基板1)の裏面11より、ボロンの冷却イオン注入12を行い、イオン注入層13を形成し(同図(b))、その後で熱処理を行ない、高濃度のp型コレクタ層8(p+ の拡散層)を形成する。(同図(c))。
【0022】
このイオン注入は冷却イオン注入で、半導体基板(FZ−n基板1)の温度を液体窒素温度(−196℃)にしてイオン注入し、そのドーズ量は、後述するように、3×1013以上とする。好ましくは、1×1014以上で1×1015cm-2未満とするとよい。また、熱処理は、後述するように、電気炉アニールを行う。その温度は300℃から500℃の範囲で、時間は10分から5時間の範囲でよく、さらに、好ましくは、温度は400℃から450℃、時間は30分から1.5時間がよい。
(6)その後、p型コレクタ層8上に、アルミニウム層、チタン層、ニッケル層および金層の4層からなる裏面電極膜であるコレクタ電極9を形成する(同図(d))。
【0023】
最後に、図示しないが、
(7)表面電極膜(エミッタ電極7)の表面上には、アルミワイヤが超音波ワイヤボンディング装置により固着され、もう一方の裏面電極膜(コレクタ電極8)は、半田層を介して固定部材に接続される。
前記の(1)から(4)の工程と、(6)、(7)の工程は、従来技術で説明した内容と同じあるので説明は省く。前記の(5)の工程が、本発明の製造工程であり、その詳細をつぎに説明する。
【0024】
イオン注入の工程を、通常の室温での注入で行なうのではなく、冷却状態にて行なう。そして、低温アニールは、電気炉アニール(420℃、1hr)を実施する。
ここでは、その液体窒素温度(−196℃:絶対温度=77K)でイオン注入(冷却イオン注入)を実施し、電気炉で420℃、1hrアニールした場合と、室温でイオン注入(室温イオン注入)した従来例とを比較して説明する。
【0025】
冷却イオン注入12でボロンのイオン注入層13(p層)をドーズ量3×1013cm-2〜1×1015cm-2の範囲で、加速電圧45keVの条件で形成し、その後、電気炉アニールを420℃で、1hrした試料を作製する。
また、通常のイオン注入(室温イオン注入)でボロンのイオン注入層(p層)をドーズ量1×1013cm-2〜1×1015cm-2の範囲で、加速電圧45keVの条件で形成し、その後、電気炉アニールを420℃で、1hrした試料を作製する。
【0026】
これらの試料を広がり抵抗法(SR法)により濃度分布を測定する。ドーズが5×1013cm-2以上で、冷却イオン注入の方が室温イオン注入より、ピーク濃度が高くできる。また、拡散深さは、冷却イオン注入の方が室温イオン注入より、浅くできる。
図2は、ボロンのドーズ量が3×1014cm-2の場合の濃度分布図である。Aは冷却イオン注入であり、Bは室温イオン注入である。この図は、前記したドーズ量1×1013cm-2〜1×1015cm-2の範囲の内、代表例として、3×1014cm-2の場合を挙げた。Aのピーク濃度CPAの方が、Bのピーク濃度CPBよりも、高ピーク濃度となり、拡散深さはAの方が浅くなることが示されている。
【0027】
図3は、ボロンの注入ドーズ量に対するピーク濃度の関係を示す図である。Cは冷却イオン注入であり、Dは室温イオン注入である。冷却イオン注入(C)の方が、室温イオン注入(D)より、注入ドーズ量3×1013cm-2以上でピーク濃度を大きくできる。
図4は、ボロンの注入ドーズ量に対するシート抵抗の関係を示す図である。Cは冷却イオン注入であり、Dは室温イオン注入である。この図は、図3と対応しており、冷却イオン注入(C)の方が、室温イオン注入(D)より、注入ドーズ量3×1013cm-2以上で低抵抗化が図れる。
【0028】
図5は、ボロンの注入ドーズ量に対するイオン活性化率の関係を示す図である。Cは冷却イオン注入であり、Dは室温イオン注入である。冷却イオン注入(C)の方が、室温イオン注入(D)より、注入ドーズ量3×1013cm-2以上でイオン活性化率を大きくできる。また、冷却イオン注入(C)において、ドーズ量を1×1014cm-2以上で、1×1015cm-2未満とすると、イオン活性化率を15%以上にすることができる。
【0029】
前記したように、冷却イオン注入法を用いることで、p型コレクタ層8を形成するイオン注入層のイオン活性化率を、ドーズ量3×1013cm-2以上で、室温イオン注入法よりも高めることができる。また、ドーズ量1×1014cm-2以上で、1×1015cm-2未満とすることで、イオン活性化率を15%以上とすることができる。
【0030】
このように、p型コレクタ層8の高い活性化により、高いピーク濃度のp型コレクタ層8を形成することができる。その結果、p型コレクタ層8からの正孔の注入効率を高めることができて、オン電圧を低下させることができる。
また、冷却イオン注入により、高いイオン活性化率が得られ、そのため、アニール温度を下げることができるできて、エミッタ電極7を形成するアルミ・シリコン膜にシリコン析出粒が形成されず、ワイヤボンディング時の層間絶縁膜6の破壊やクラック等の発生を防止できる。
【0031】
また、高いイオン活性化率により、少ないドーズ量で、低いアニール温度で、IGBTのp型コレクタ層8とコレクタ電極9のオーミック性が改善できる。
また、従来と同一のドーズ量とした場合には、高濃度のp型コレクタ層8を形成することができて、p型コレクタ層8からベース層(FZ−n基板1)への正孔の注入効率を高め、IGBTのオン特性とスイッチング特性のトレードオフを改善することができる。
【0032】
また、前記した電気炉アニール(熱処理)の温度は、300℃から500℃の範囲で、時間は10分から5時間の間の組み合わせで決めてもよい。500℃を超えると、コレクタ電極9にシリコン析出粒が発生して好ましくない。また、300℃未満では、アニール効果が弱く、p型コレクタ層8とコレクタ電極9との接触抵抗が高くなり(オーミック性が良くない)、好ましくない。
【0033】
この温度と時間は、400℃から450℃、時間は30分から1.5時間の範囲で決めると、前記した高いイオン活性化率を得る点でさらに好ましい。
図6は、この発明の第2実施例の半導体装置の製造方法であり、同図(a)から同図(c)は主要工程の要部工程断面図である。この半導体装置は、FS−IGBT(フィールドストップ型IGBT)であり、ここで説明する内容は図1の(5)の工程である。
【0034】
FZ−n基板1の裏面11に、室温イオン注入14で、n型フィールドストップ層10なるリンのイオン注入層15を形成し(同図(a))、その後、冷却イオン注入16で、p型コレクタ層8となるボロンのイオン注入層17を形成し(同図(b))、その後、電気炉アニールして、n型フィールドストップ層10およびp型コレクタ層8を形成する(同図(c))。これにより、n型フィールドストップ層を有するFS−IGBTとすることができる。
【0035】
つぎに、この冷却イオン注入17の最適なドーズ量をつぎに説明する。
FS−IGBT(フィールドストップ型IGBT)に適用するために、先ず、n型フィールドストップ層を形成するために、リン(n層)を室温でイオン注入を、ドーズ量1×1013cm-2で、加速電圧240keV、室温(RT)で行い、その後、冷却イオン注入で、p型コレクタ層を形成するために、ボロンのイオン注入層(p層)をドーズ量3×1013cm-2〜1×1015cm-2の範囲で、加速電圧45keVで形成し、その後、電気炉アニールで420℃、1hrした試料を製作する。また、同条件でリンを注入した後に、通常の室温イオン注入を実施した場合の試料を製作する。
【0036】
両者を比較すると、冷却イオン注入の方が、室温イオン注入よりも、3×1013cm-2のドー量以上でボロン(p層)のピーク濃度を向上させることができ、活性化することできる。
このことから、第2実施例の場合も、第1実施例の場合のドーズ量の範囲が有効である。また、冷却イオン注入温度、低温アニール温度、時間およびp型コレクタ層の厚さについても、第1実施例と同様の範囲が有効である。
【0037】
図7は、ボロンのドーズ量が3×1014cm-2の場合の濃度分布図である。ここでは、前記したドーズ量1×1013cm-2〜1×1015cm-2の範囲の内、代表例として、3×1014cm-2の場合を挙げた。Eは冷却イオン注入であり、Fは室温イオン注入である。Eのピーク濃度CPAの方が、Fのピーク濃度CPBよりも、高ピーク濃度となり、拡散深さはEの方が浅くなることが示されている。
【0038】
前記の第1実施例および第2実施例は、イオン種がボロンの場合について、説明したが、質量の大きいBF2 に代えた場合も、ドーズ量、冷却イオン注入温度、低温アニール温度、時間について、同様の範囲で、同様の効果が期待される。但し、ここではBF2 はボロンより質量数が大きいため、加速エネルギーを60keVとしている。
【0039】
図8は、図2の条件で、BF2 の冷却イオン注入した場合の不純物濃度と拡散深さの関係を示す図である。拡散深さは、図2に示すボロンの場合の0.4μmに対して、0.2μmと浅くなる。また、不純物濃度もボロンの場合より高くなり、イオン活性化率が高くなる。参考までに、室温イオン注入した場合の不純物プロフィルを点線で示す。
【0040】
図9は、ボロンをイオン注入する場合のイオン注入層の様子を示す図で、同図(a)は室温イオン注入の場合、同図(b)は冷却イオン注入の場合である。
ボロンの室温イオン注入21では、イオン注入時に点欠陥が多いイオン注入層22が深い箇所まで形成される。点欠陥が多いために、その後の低温アニールで、数%の極めて低いイオン活性化率で、不純物層が形成される。
【0041】
一方、冷却イオン注入では、イオン注入時に点欠陥の少ない連続した非晶質層24を形成することができ、その後の低温アニールで、連続した非晶質層24が高いイオン活性化率で、不純物層に変化する。
この連続した非晶質層24は、3×1013cm-2以上のドーズ量で得ることができて、特に、1×1014cm-2以上のドーズ量で顕著となる。
【0042】
また、前記の非晶質層24は、ドーズ量が多くなると、非晶質層25のように表面層に形成される傾向があり、従って、ドーズ量が多くなるほど、不純物プロフィルの拡散深さは小さくなる。これは室温イオン注入には見られない傾向である。
質量の大きいBF2 の場合は、室温イオン注入でも連続した非晶質層が形成されるが、冷却イオン注入にすると、その非晶質層は表面層に形成され、非晶質層の厚さは、室温の場合より薄くなる。低温アニールでのイオン活性化率もボロンより高く、そのため、ピーク濃度は、ボロンの場合より高くなる。これらのことは、図8に示されている。
【0043】
前記した第1実施例および第2実施例についてまとめると、つぎのようになる。
(1)図9で説明したメカニズムによれば、室温より低い温度で、ボロンを冷却イオン注入すると、高いイオン活性化率が得られる。従って、現段階では、液体窒素温度(−196℃)で、顕著な効果が出ているが、−30℃程度以下でも高い活性化率が得られる可能性がある。そのため、冷却イオン注入の温度は、室温より低く、−196℃以上の高い温度とする。好ましくは、−30℃以下で、−196℃以上がよい。
(2)電気炉アニールの温度は300℃以上でアニール効果が現れ、500℃を超えるとエミッタ電極7のシリコンが析出して、耐圧が低下し始める。そのため、アニール温度は、300℃以上で、500℃以下とする。好ましくは、400℃以上で、450℃以下がよい。
(3)アニール時間は、アニール温度が高い程短い時間に設定しないと、やはり析出による耐圧低下が起こる。そのため、アニール温度が350℃の場合は5時間以内がよい。また500℃の場合で10分未満ではアニール効果が弱く、10分以上が必要となる。従って、アニール時間は、10分以上で、5時間以下とする。好ましくは、30分以上で、1.5時間以下がよい。
(4)(1)から(3)の条件の組み合わせることで、p型コレクタ層8の厚さは、0.3μmから0.5μmが得られる。
(5)BF2 の冷却イオン注入の場合も、ボロンの冷却イオン注入の場合と同様に、(1)項から(3)項の範囲で、同様の効果が期待できる。
【0044】
さらに、ここでは詳細な説明は省くが、電気炉アニールの代わりに、XeClエキシマレーザー(波長308nm、半値幅49ns)、XeFエキシマレーザー(波長351nm、半値幅14ns)、KrFエキシマレーザー(波長248、YAGの第二高調波を利用したレーザー(波長532nm)、YAGの第三高調波を利用したレーザー(波長355nm)等を用いることで、活性化率を向上させることができることは勿論である。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば、3×1013cm-2以上(好ましくは1×1014cm-2から1×1015cm-2未満)のドーズ量で、ボロン(B)やBF2 の冷却イオン注入を行うことで、高いイオン活性化率を得ることができる。
高いイオン活性化率により、少ないドーズ量で、低いアニール温度で、IGBTのコレクタ層とコレクタ電極のオーミック性が改善できる。
【0046】
また、冷却イオン注入により、アニール温度を下げることができるできて、エミッタ電極を形成するアルミ・シリコン膜にシリコン析出粒が形成されず、ワイヤボンディング時の層間絶縁膜の破壊やクラック等の発生を防止できる。
また、従来と同一のドーズ量とした場合には、高濃度のコレクタ層を形成することができて、コレクタ層からベース層への正孔の注入効率を高め、IGBTのオン特性とスイッチング特性のトレードオフを改善することができる。
【0047】
裏面のイオン注入層の拡散に、冷却イオン注入(と低温アニール)を施すことにより、表面側に影響を与えることなく、正孔を効率良く注入させ、かつ、コレクタ電極(裏面電極)との良好なコンタクタ形成を行なうことができる。これにより、裏面プロセスを必要とする電力用半導体素子を高い生産性で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の半導体装置の製造方法であり、(a)から(d)は、主要工程の要部工程断面図
【図2】ボロンのドーズ量が3×1014cm-2の場合の濃度分布図
【図3】ボロンの注入ドーズ量に対するピーク濃度の関係を示す図
【図4】ボロンの注入ドーズ量に対するシート抵抗の関係を示す図
【図5】ボロンの注入ドーズ量に対する活性化率の関係を示す図
【図6】この発明の第2実施例の半導体装置の製造方法であり、(a)から(c)は主要工程の要部工程断面図
【図7】ボロンのドーズ量が3×1014cm-2の場合のp層とn層を重ね合わせたときの濃度分布図
【図8】図2の条件で、BF2 の冷却イオン注入した場合の不純物濃度と拡散深さの関係を示す図
【図9】冷却イオン注入する場合のイオン注入層の様子を示す図で、(a)は室温イオン注入の場合、(b)は冷却イオン注入の場合の図
【図10】低ドーズ量の浅いp+ コレクタ層を採用したノンパンチスルー(NPT)型IGBTの断面構造図
【図11】フィールドストップ(FS)型IGBTの断面構造図
【図12】従来のNPT−IGBTの製造方法であり、(a)から(d)は、主要工程の要部工程断面図
【図13】500℃を超える高温で熱処理を行なった場合のシリコン析出状態図
【図14】層間絶縁膜にクラックが発生した図
【図15】シリコン析出粒径と耐圧不良率の関係を示す図
【図16】アルミニウム・シリコン膜の熱処理温度とシリコン析出粒径の関係を示す図
【図17】広がり抵抗法により求めたp型コレクタ層の濃度分布図
【符号の説明】
1 FZ−n基板(バックラップ後)
1a FZ−n基板(バックラップ前)
2 p型ベース層
3 n型エミッタ層
4 ゲート酸化膜
5 ゲート電極
6 層間絶縁膜
7 エミッタ電極
8 p型コレクタ層
9 コレクタ電極
10 n型フィールドストップ層
11 裏面
12 冷却イオン注入
13 イオン注入層
14 室温イオン注入(リン)
15 イオン注入層(リン)
16 冷却イオン注入(ボロン)
17 イオン注入層(ボロン)
A、C、E 冷却イオン注入品
B、D、F 室温イオン注入品

Claims (4)

  1. 半導体基板の一方の面に第1主電極を形成後、前記半導体基板の他方の面に、イオン注入層を形成し、該イオン注入層上に第2主電極を形成する半導体装置の製造方法において、
    ボロンもしくはBF 2 を冷却イオン注入することで、前記イオン注入層を形成するにあたり、
    ボロンもしくはBF 2 イオン注入時の半導体基板の温度を液体窒素温度でイオン注入する冷却イオン注入と、該冷却イオン注入後、該イオン注入工程に引き続いて300℃以上500℃以下で10分から5時間の範囲の低温アニールすることで前記イオン注入層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記第1主電極を、アルミニウムを主成分とする金属膜で形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記イオン注入層のドーズ量を、3×1013cm-2以上とすることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記イオン注入層のドーズ量を、1×1014cm-2以上、1×1015cm-2未満とすることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
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