以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施例である車両に搭載される車両制御システム10の構成図を示す。
本実施例の車両制御システム10は、コンピュータを主体に構成された自車両が前方障害物と衝突する可能性を予測するための電子制御ユニット(以下、車間制御ECUと称す)12を備えている。車間制御ECU12には、車体前端のバンパやフロントグリル等に配設されたレーダセンサ14が接続されている。レーダセンサ14は、例えばミリ波レーダやレーザレーダ等により構成されており、自車両前方の所定領域内に存在する障害物に応じた信号を車間制御ECU12に対して出力する。車間制御ECU12は、レーダセンサ14の出力信号に基づいて、自車両が走行するのに注意すべき前方障害物の有無を検出すると共に、かかる前方障害物が存在するときには自車両とその前方障害物との距離や位置などの相対関係を検出し、そして、その検出結果と車速センサなどを用いて検出される自車速とに基づいて両者の相対速度を検出する。
車間制御ECU12には、また、コンピュータを主体に構成された道路路面上に描かれた白線を検知するための電子制御ユニット(以下、白線検知ECUと称す)16が接続されている。白線検知ECU16には、白線認識カメラ18が接続されている。白線認識カメラ18は、車体前部のバンパーや車内ルームミラーのステイ等に配設されており、自車両前方の道路路面を所定長にわたって撮影することが可能である。白線認識カメラ18の撮影した映像信号は、白線検知ECU16に供給される。白線検知ECU16は、白線認識カメラ18から送られてくる映像信号について2値化処理,エッジ抽出等の特徴点抽出を行うことにより、その映像信号から道路路面上に描かれている車両前方に延びる走行レーン両側の境界線である白線を抽出し、自車両の走行する走行レーンの形状を認識する。そして、そのレーン形状に基づいて、自車両に対する白線の位置を検出し、自車両が走行する走行レーンの領域を検出する。
上記した車間制御ECU12と白線検知ECU16とは、互いに接続されている。白線検知ECUの認識した自車両の走行する走行レーンの形状情報は、車間制御ECU12に供給される。車間制御ECU12は、検出した前方障害物との相対関係と白線検知ECU16からの走行レーンの形状情報とに基づいて、自車両の走行する走行レーン上にその前方障害物が存在する確率(自車線確率)を算出する。
車間制御ECU12には、また、コンピュータを主体に構成された自車両の運転者の状態をモニタするためのドライバモニタECU20が接続されている。ドライバモニタECU20には、ドライバモニタカメラ22が接続されている。ドライバモニタカメラ22は、例えばステアリングコラムカバーの上面又はコンビネーションメータ内に配置されており、ステアリングホイールの表面に運転者がそのステアリングホイールを握るためかつコンビネーションメータを視認するために開口する開口部を通して、車両進行方向と正対する方向かつ車両運転者の頭部が存在する方向に指向されており、運転席に着座する車両運転者の顔をほぼ正面から撮影する。尚、夜間撮影のため、車両運転者の顔へ向けて赤外線を投光するランプを設けることとしてもよい。
ドライバモニタカメラ22の映像信号は、ドライバモニタECU20に供給される。ドライバモニタECU20は、ドライバモニタカメラ22から供給される映像信号について2値化処理や特徴点抽出処理を行うことにより、運転者の顔を映した画像を抽出し、その抽出画像から運転者の顔幅及び顔中心線を検出し、それらのパラメータから画像に映る顔の左右間隔比率を算出し、そして、その左右間隔比率から運転者の顔が向く方向(具体的には、車両進行方向に対して左側や右側)および車両正面からの角度(顔向き角度)θを検出する。ドライバモニタECU20の検出した車両運転者の顔向き方向および顔向き角度θの情報(尚、顔向き角度の情報に顔向き方向の情報を含め、車両正面方向を0°として−と+とで進行方向左側と右側とを区別することとすればよい。)は、車間制御ECU12に供給される。車間制御ECU12は、ドライバモニタECU20からの情報に基づいて、車両運転者が顔を向けた顔向き方向および顔向き角度θを検出する。
車両制御システム10は、また、エンジンECU30、ゲートウェイECU32、シートポジションセンサ34、乗員検知センサ36、ブレーキECU38、心拍センサ40、及びボデーECU42を備えている。上記した車間制御ECU12、並びに、これらのエンジンECU30、ゲートウェイECU32、シートポジションセンサ34、乗員検知センサ36、ブレーキECU38、心拍センサ40、及びボデーECU42は、それぞれ通信機能を有しており、互いにCAN通信線44を介して接続されており、CAN通信線44を通じて相互に情報を伝達することが可能となっている。
エンジンECU30は、車両に搭載されたエンジンの作動を制御するコンピュータを主体に構成された電子制御ユニットである。エンジンECU30には、車両使用者の操作可能なイグニションスイッチ(図示せず)が接続されている。エンジンECU30は、イグニションスイッチの状態を検知すると共に、そのイグニションスイッチのイグニションオフからの時間を計数し、イグニションオフからイグニションオンまでの時間(停車時間)を計数する。そして、そのイグニションオフからイグニションオンまでの停車時間を計数すると、その停車時間情報をCAN通信線44に送出する。
ゲートウェイECU32には、LAN通信線46を介してナビゲーションECU48が接続されている。ナビゲーションECU48は、例えばGPS衛星からの信号に基づいて自車両の位置を測位する。そして、その測位結果に基づいて、各種の処理(例えば、地図データベースに格納されている道路地図上における自車位置表示や経路案内など)を行うと共に、更に、高速道路におけるサービスエリアやパーキングエリアなどの運転者が車内で睡眠をとり得る場所(以下、睡眠可能場所と称す)の領域情報を予め格納した地図データベースを用いて、自車両がその睡眠可能場所に位置するか否かを判別する。ナビゲーションECU48は、自車両が睡眠可能場所に位置するか否かの判別結果情報をLAN通信線46に送出してゲートウェイECU32に供給する。ゲートウェイECU32は、LAN通信線46を通じてナビゲーションECU48からの上記した判別結果情報の供給を受けると、その情報を中継してCAN通信線44に送出する。
シートポジションセンサ34は、座席角度(シートリクライニング傾き)を操作により調整可能な運転者の座る運転席のシート座面とシートバックとの繋ぎ目に配設されており、そのシートリクライニング傾きに応じた信号を出力するセンサである。シートポジションセンサ34の出力は、CAN通信線44に送出される。また、乗員検知センサ36は、運転席のシート座面やシートバックに配設されており、例えば荷重により運転者が運転席に着座しているか否かに応じた信号を出力するセンサである。乗員検知センサ36の出力は、CAN通信線44に送出される。
ブレーキECU38は、車両のブレーキ制御を実行するコンピュータを主体に構成された電子制御ユニットである。ブレーキECU38には、車輪速センサ50が接続されている。車輪速センサ50は、各車輪に配設されており、車輪速に応じた信号を出力するセンサである。車輪速センサ50の出力は、ブレーキECU38に供給される。ブレーキECU38は、車輪速センサ50の出力に基づいて各車輪の車輪速を検出すると共に、車両に生じている車体速を検出する。ブレーキECU38は、検出した車輪速や車体速を車両の横滑りを制御するVSC制御や制動時における車輪ロックを回避するアンチロックブレーキ制御に利用すると共に、その検出した車輪速や車体速が予め定めた上限車速を超えているか否かを判別する。
心拍センサ40は、車両運転者が車両運転中に操作のために握るステアリングホイールの表面に配設されており、車両運転者の心拍数に応じた信号を出力するセンサである。心拍センサ40の出力は、CAN通信線44に送出される。
ボデーECU42には、警報表示ディスプレイ52及び警報ブザー54が接続されている。警報表示ディスプレイ52は、例えば車室内のインストルメントパネルに設けられたメータユニットを構成しており、後述の如くボデーECU42からの駆動指令に従って警報表示を行うことで車両運転者に対する注意喚起を視覚を通じて行う。また、警報ブザー54は、車室内に設けられたブザー警報器であり、後述の如くボデーECU42からの駆動指令に従ってブザー吹鳴を行うことで車両運転者に対する注意喚起を聴覚を通じて行う。
次に、本実施例の車両制御システム10の動作について説明する。
本実施例の車両制御システム10において、車間制御ECU12は、車両起動後(すなわち、アクセサリオンかつイグニションオン後)、運転者により自車両を先行車両に追従走行させることを要求する所定操作が行われたことを検知すると、以後、レーダセンサ14を作動させて先行車両を検知し、所定の車速域におけるセット車速以下の速度で、先行車両との車間距離を車速に比例した目標車間距離に保ちながら自車両をその先行車両に追従走行させる制御(車間距離制御)を実行する。この車間距離制御は、車間制御ECU12からCAN通信線44を介したエンジンECU30及びブレーキECU38への指令に従って適当にエンジン駆動及びブレーキ作動が行われて自車両が目標車間距離を維持しつつ先行車両に追従走行するように行われるものである。尚、この車間距離制御におけるセット車速の上限は、予め所定値(例えば100km/h)に設定されている。
車間制御ECU12は、上記の車間距離制御により自車両を先行車両に追従走行させる際の目標車間距離を、運転者によるスイッチ操作に従って多段階(例えば3段階;長モード、中モード、短モード)に設定することが可能である。通常、車両起動後の初期状態では、車間制御ECU12は、目標車間距離を中モードに設定して車間距離制御の実行を開始する。
上記の指令がエンジンECU30又はブレーキECU38に受信されると、そのエンジンECU30又はブレーキECU38からアクチュエータへそれぞれ駆動指令が行われることで、自車両が設定目標車間距離で先行車両に追従して走行することとなる。従って、上記の車間距離制御によれば、自車両を設定目標車間距離で先行車両に追従させて走行させることが可能となっている。
また、車間制御ECU12は、車両起動後、レーダセンサ14からの出力に基づいて自車両が走行するのに注意すべき前方障害物の存在有無を検出する。そして、前方障害物の存在を検知したときは、以後、その前方障害物との距離及び相対速度並びに自車両の走行レーンの位置及びその走行レーンに対する前方障害物の位置等に基づいて、現時点で自車両がその前方障害物と衝突する可能性(衝突可能性)を演算する。尚、自車両が前方障害物と衝突するまでの時間が短いほどその衝突可能性は高まるので、車間制御ECU12は、自車両と前方障害物との距離を両者の相対速度で割って求まる時間(衝突予測時間)に対応した値を衝突可能性として演算すればよく、この際、衝突可能性は、衝突予測時間が短いほど大きな値となる。
車間制御ECU12は、運転者が警報によって不快な思いをするのを抑えつつ衝突回避行動を有効にとることが可能な衝突可能性すなわち衝突までの時間(例えば、1.8秒や2秒)を、警報を開始するための基準しきい値レベル(衝突までの基準タイム)として予め記憶装置に格納しており、上記の如く自車両と前方障害物との衝突可能性を演算した際、その演算された衝突可能性(衝突予測時間)をこの基準しきい値レベル(基準タイム)と比較する。
そして、その比較結果から、衝突予測時間が基準タイムよりも長く衝突可能性が基準しきい値レベルに達していないときは、何ら指令を行わない一方、衝突予測時間が基準タイム以下となり衝突可能性が基準しきい値レベル以上となったときは、その時点から少なくとも衝突時まで運転者に対して警報がなされるように指令を行う(衝突警報制御)。この衝突警報制御は、車間制御ECU12からCAN通信線44を介したボデーECU42への指令に従って警報表示やブザー吹鳴が行われるように実行されるものである。
かかる指令がボデーECU42に受信されると、そのボデーECU42から警報表示ディスプレイ52及び警報ブザー54へそれぞれ駆動指令が行われることで、自車両と前方障害物との衝突回避又は衝突緩和のための操作を運転者に促すため、警報表示ディスプレイ52による警報表示が行われ、警報ブザー54によるブザー吹鳴が行われることとなる。従って、上記の衝突警報制御によれば、自車両が前方障害物に所定の地点まで接近して衝突しそうになったときに運転者に対して事前に警報を発することで、前方障害物との衝突回避や衝突緩和を促すことが可能となっている。
また、車間制御ECU12は、運転者が車両正面方向から顔を傾けるすなわち視線を外す脇見を行っているか否かを判別するための顔向き角度のしきい値θ0(例えば、±15°)を予め記憶装置に格納しており、車両起動後、ドライバモニタECU20からの出力に基づいて運転者の顔向き方向を含む顔向き角度θを検出し、そして、その検出した顔向き角度θを上記のしきい値θ0と比較することにより運転者の顔がほぼ車両正面を向いているか否かを判別する。
そして、その判別結果から、顔向き角度θがしきい値θ0の範囲内にあるときは、演算した衝突可能性を、上記した通常どおりの基準しきい値レベルと比較して衝突警報制御を行う一方、顔向き角度θがしきい値θ0の範囲外にあると判別するときは、運転者の顔が車両正面に向いていないと判断して、運転者への警報を開始するうえで前方障害物との衝突予測時間が至るべきしきい値タイムを上記の基準タイムよりも長くしたうえで、演算した衝突可能性を、上記した通常どおりの基準しきい値レベルから低下したしきい値レベルと比較して衝突警報制御を行う。尚、運転者の顔が車両正面に向いていない脇見の継続時間が長いほど、上記のしきい値レベルは、基準しきい値レベルに対してより低下されてもよい。
かかる構成においては、前方障害物との衝突前、衝突回避又は被害軽減のための警報表示ディスプレイ52による警報表示及び警報ブザー54によるブザー吹鳴の警報は、運転者が顔をほぼ車両正面に向けているときは運転者が通常衝突回避行動をとり得るタイミングを経過した時点で行われ、一方、運転者が顔を車両正面に向けていないときは運転者が通常衝突回避行動をとり得るタイミングを経過する前から行われる。従って、かかる処理によれば、前方障害物との衝突前、運転者が顔を車両正面に向けていない脇見時は、衝突回避又は被害軽減のための警報開始タイミングを、運転者が顔を車両正面に向けている非脇見時に比べて早めることができるため、できるだけ警報によって運転者に煩わしさを与えるのを抑制しつつ、運転者の脇見に起因した衝突回避行動が遅れるのを防止することが可能となっている。
また、車間制御ECU12は、車両起動後、運転者により自車両の走行レーンからの逸脱を防止することを要求する所定操作が行われたことを検知すると、以後、白線検知ECU16及び白線認識カメラ18を作動させて自車両の走行する走行レーンの領域を検出させ、自車両がその走行レーンから逸脱しそうになったときに運転者に対して警報を行う制御(車線逸脱警報制御)を実行する。この車線逸脱警報制御は、カメラ撮像画像からの自車両と走行レーンとの相対関係に基づいて数秒後(例えば1秒後)に自車両が走行中の走行レーンから逸脱すると判断された場合に、車間制御ECU12からCAN通信線44を介したボデーECU42への指令に従って警報表示やブザー吹鳴がわれるように実行されるものである。
上記の指令がボデーECU42に受信されると、そのボデーECU42から警報表示ディスプレイ52及び警報ブザー54へそれぞれ駆動指令が行われることで、走行レーンからの逸脱回避のための操作を運転者に促すため、警報表示ディスプレイ52による警報表示が行われ、警報ブザー54によるブザー吹鳴が行われることとなる。従って、上記の車線逸脱警報制御によれば、自車両が走行レーンの端に対して所定の地点まで達してその走行レーンから逸脱しそうになったときに運転者に対して事前に警報を発することで、そのレーン逸脱の回避を促すことが可能となっている。
また、ブレーキECU38は、車輪速センサ50による車輪速、ヨーレートセンサによるヨーレート、ステアリング操舵角センサによるステアリング操舵角、加速度センサによる加速度などの車両状態が所定の条件に合致するか否かを判別して、車両の横滑り傾向の有無を判定する。そして、車両が前輪又は後輪において横滑り傾向にあると判定されたときは、その傾向を緩和する方向の車体回りにモーメントが作用するように指令を行う(VSC制御)。このVSC制御は、ブレーキECU38からブレーキアクチュエータへの指令に従ってブレーキが作動され或いはブレーキECU38からCAN通信線44を介したエンジンECU30への指令に従って駆動が制御されるように行われるものである。
かかる指令がなされると、ブレーキが作動され或いはエンジンの出力が制御されることで、車両の横滑り傾向を緩和させるモーメントが作用することとなる。従って、上記のVSC制御によれば、車両状態が所定の条件に合致して車両が横滑り傾向になったときにその横滑り傾向を緩和する方向にモーメントを作用させることで、その横滑り傾向を緩和することが可能となっている。
このように本実施例の車両制御システム10においては、(1)車間距離制御により自車両を設定車間距離で先行車両に追従して走行させることで、また、(2)衝突警報制御により自車両が前方障害物に接近して衝突しそうになった際にその前方障害物との衝突回避や衝突緩和を促す警報を運転者に与えることで、また、(3)運転者の脇見時には衝突警報制御によって運転者に警報を与えるタイミングを早めることで、また、(4)車線逸脱警報制御により自車両が走行レーンの端に接近しその走行レーンから逸脱しそうになった際にそのレーン逸脱の回避を促す警報を運転者に与えることで、更に、(5)VSC制御により車両が横滑り傾向にあるときにその傾向を緩和するモーメントを車両に発生させることで、車両が走行するうえでの走行安全性を向上させることが可能となっている。
ところで、一般に、人は、睡眠から覚めた直後は、その覚醒度が低く覚醒状態が安定しないものである。このため、上記の如き車両の走行安全性を向上させる車両制御システム10の作動を、運転者が睡眠から目覚めた直後にあるか否かに関係なく一定の条件で行うものとすると、運転者が安定して覚醒しているときと運転者が睡眠から目覚めた直後の不安定に覚醒しているときとで、車両の走行安全性に違いが生まれるものとなるおそれがある。
また、通常、車両運転開始後に運転者が居眠りをしているのを検知するには、ある程度の時間が必要である。このため、運転者による車両の運転開始後にその居眠りの検知を開始して上記の車両制御システム10の作動をより安全側に設定するものとすると、車両がある程度の距離や時間を走行してから安全対策が施されることとなるので、その運転開始から運転者の居眠りが検知されるまでの間、実際には運転者が居眠りをしている状況でも安全対策が施されないものとなって、車両の走行安全性が高められないものとなってしまう。
そこで、本実施例の車両制御システム10は、車両運転開始前の運転者の睡眠を反映してその運転開始直後から車両の走行安全性を高めることとしている。以下、図2を参照して、本実施例の特徴部について説明する。図2は、本実施例の車両制御システム10において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
本実施例の車両制御システム10において、エンジンECU30は、イグニションスイッチのイグニションオフを検知した後、そのイグニションオフから次のイグニションオンまでの停車時間を計数し、その停車時間情報をCAN通信線44に送出する。また、ナビゲーションECU48は、イグニションオフ時において、自車両の位置を測位し、そして、自車両が運転者の車内で睡眠をとり得る睡眠可能場所に位置するか否かを判別し、その判別結果情報をLAN通信線46及びゲートウェイECU32を通じてCAN通信線44に送出する。
また、シートポジションセンサ34は、イグニションオフ時において、運転席のシートリクライニング傾きに応じた信号を出力してCAN通信線44に送出すると共に、乗員検知センサ36は、イグニションオフ時において、運転者が運転席に着座しているか否かに応じた信号を出力してCAN通信線44に送出する。更に、心拍センサ40は、イグニションオフ時において、運転者の心拍数に応じた信号を出力してCAN通信線44に送出する。
車間制御ECU12及びブレーキECU38は共に、CAN通信線44に送出される、エンジンECU30からのイグニションオフから次のイグニションオンまでの停車時間情報、ナビゲーションECU48からの自車両が睡眠可能場所に位置するか否かの判別結果情報、シートポジションセンサ34からのシートリクライニング傾き情報、乗員検知センサ36からの着座有無情報、及び心拍センサ40からの心拍数情報を受信する。
そして、上記の停車時間が所定時間Tbよりも長いか否か、自車両が睡眠可能場所に位置するか否か、シートリクライニング傾きが所定角度θaを超えるか否か、運転者が運転席に着座しているか否か、及び心拍数が所定数Ycを下回るか否かの5項目すべての条件が成立するか否かを判別して、運転者が車両停止中に睡眠しているか否かを検知する(ステップ100)。尚、上記の所定時間Tbは、イグニションオフ後に運転者が居眠りすると判断できる一般的な時間であり、予め設定されている。また、所定角度θaは、運転者が居眠りするときに運転席のシートバックが鉛直方向に対して傾く一般的な角度であり、予め設定されている。更に、所定数Ycは、運転者が居眠りするときに生ずる一般的な心拍数であり、予め設定されている。
車間制御ECU12及びブレーキECU38はそれぞれ、上記した条件のうち少なくとも一つが成立しないと判別した場合には、運転者が車両停止中に睡眠していると確定することはできないので、上記ステップ100の処理を繰り返し行う。一方、上記したすべての条件が成立すると判別した場合には、運転者が車両停止中に睡眠していると確定することができるので、その後、車両がイグニションオンされてその運転が開始された直後、車両制御システム10における作動レベルを、通常よりも安全側に設定する(ステップ102)。
具体的には、車間制御ECU12は、自車両を設定車間距離で先行車両に追従して走行させる車間距離制御を実行するが、上記の如く車両停止中において運転者の睡眠が検知された場合には、運転開始直後、その車間距離制御を実行する際の設定車間距離を、その睡眠が検知されない場合よりも長くする。例えば、車両停止中における運転者の睡眠が検知されない場合はその設定車間距離を中モードに設定する一方、その睡眠が検知された場合はその設定車間距離を長モードに設定する。
また、車間制御ECU12は、自車両が前方障害物と衝突する衝突可能性が基準しきい値レベルに達した場合に運転者に対して警報を行う衝突警報制御を実行するが、上記の如く車両停止中において運転者の睡眠が検知された場合には、運転開始直後、その衝突警報制御を実行する際に用いる衝突可能性のしきい値レベルを、その睡眠が検知されない場合よりも低くする。
また、車間制御ECU12は、前方障害物との衝突前、運転者の脇見時は、衝突回避又は被害軽減のための警報開始タイミングを非脇見時に比べて早める制御を実行するが、上記の如く車両停止中において運転者の睡眠が検知された場合には、運転開始直後、その警報開始タイミングを、その睡眠が検知されない場合よりも早める。
また、車間制御ECU12は、自車両が走行レーンの端に対して所定の地点まで達してその走行レーンから逸脱しそうになった場合に運転者に対して警報を行う車線逸脱警報制御を実行するが、上記の如く車両停止中において運転者の睡眠が検知された場合には、運転開始直後、その車線逸脱警報制御を実行する際に用いるしきい値タイミングを、その睡眠が検知されない場合よりも早める。
更に、ブレーキECU38は、車両が横滑り傾向にあるときにその傾向を緩和するモーメントを車両に発生させるVSC制御を実行するが、上記の如く車両停止中において運転者の睡眠が検知された場合には、運転開始直後、そのVSC制御を実行する際の作動開始条件を、その睡眠が検知されない場合よりも緩和する。
かかる構成によれば、車両停止中における運転者の睡眠検知後は、睡眠未検知後に比べて、運転開始直後、車間距離制御による自車両と先行車両との車間距離が長くされ、衝突警報制御での警報開始タイミングが早くされ、車線逸脱警報制御での警報開始タイミングが早くされ、更に、VSC制御の作動開始タイミングが早くされるので、車両の走行安全性を高めるシステムの作動レベルが安全側に設定される。
従って、本実施例の車両制御システム10によれば、車両停止中に運転者が車内で睡眠をとった場合、その後の車両運転開始直後において、走行安全性を高めるシステムの作動をその睡眠の影響を反映してより安全側で実行開始することができるため、車両運転開始前の運転者の睡眠を反映して運転開始直後から車両の走行安全性を高めるシステムの作動をより行い易くすることが可能となっており、車両の走行安全性をより向上させることが可能となっている。
更に、車間制御ECU12及びブレーキECU38は、上記ステップ102において、車両停止中に運転者の睡眠が検知されることにより、運転開始直後、車両制御システム10における作動レベルを通常よりも安全側に設定した後、その運転開始(走行開始)から現時点まで所定時間Tx以上が経過するか否かを判別する(ステップ104)。尚、この所定時間Txは、運転開始前に運転者が睡眠をとった後にその睡眠の影響が運転者から除去されると判断される運転開始からの最短時間であり、予め設定されている。
上記の判別の結果、運転開始から所定時間Tx以上が経過していない場合は、運転者が車両停止中の睡眠状態から完全に覚醒していると判断することはできないので、上記ステップ100の処理を繰り返し行う。一方、運転開始から所定時間Tx以上が経過している場合は、運転者が車両停止中の睡眠状態から完全に覚醒していると判断することができるので、次に、車両制御システム10における作動レベルを通常のデフォルト値やデフォルト制御に戻して各システムの制御を続行する(ステップ106)。例えば、車間距離制御の設定目標車間距離を中モードにし、衝突警報制御の警報開始タイミングを通常のタイミングとする。
このように本実施例の車両制御システム10において、車両停止中における運転者の睡眠に起因した車両運転開始後における作動レベルの安全側への設定は、運転開始後、運転者の睡眠の影響が残る期間だけ継続されるものであって、その期間の経過後は、その作動レベルは通常のものに戻る。従って、本実施例の車両制御システム10によれば、車両の走行安全性をより高めるための作動を運転開始直後から必要な期間だけ行い易くすることができ、その作動が不必要に長期間にわたって行い易くなるのを防止することが可能となっている。
尚、上記の実施例においては、車間距離制御、衝突警報制御、車線逸脱警報制御、又はVSC制御を実行するシステムが特許請求の範囲に記載した「走行安全性を向上させる車載システム」に相当していると共に、車間制御ECU12及びブレーキECU38が、上記図2に示すルーチン中ステップ100の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「停止時睡眠検知手段」が、ステップ102の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「安全側設定手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の実施例においては、車両停止中に運転者が睡眠しているか否かを判定するのに、車両停車時間の長さ、自車両の停車位置、シートリクライニング傾き、運転者の着座有無、及び心拍数の5項目すべての条件をモニタし、その条件すべてが成立する場合に運転者が車両停止中に睡眠していると判定するが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記の項目のうち何れか一つ以上の条件が成立する場合に運転者が車両停止中に睡眠していると判定することとしてもよいし、また、上記の項目以外の項目に関する条件を考慮して運転者が車両停止中に睡眠しているか否かの判定を行うこととしてもよい。
また、上記の実施例においては、車両制御システム10が走行安全性を高める処理として、車間距離制御、衝突警報制御、車線逸脱警報制御、及びVSC制御のすべてを行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの制御のうち何れか一つ以上の制御を行うこととすればよい。また、これらの制御以外に、例えば、単に運転者の顔向き角度が所定のしきい角度以上に大きくなった場合にその運転者に対して警報を行うシステムに適用することとしてもよい。かかる構成においては、運転者が車両停止中に睡眠をした場合における運転開始後の処理として、警報を行うべき顔向き角度のしきい角度を小さくすることとしてもよいし、また、警報を行うべき顔向き角度がしきい角度以上にある状態の継続時間のしきい時間を長くすることとしてもよい。更に、上記の制御以外に、例えば、車両の速度が所定の上限車速を超える場合にその速度をその上限車速に制限する処理(ブレーキ力の増加や駆動力の減少)を行うシステムに適用することとしてもよく、また、車間距離制御を行う際の上限車速に制限のあるシステムに適用することとしてもよい。かかる構成においては、運転者が車両停止中に睡眠をした場合における運転開始後の処理として上限車速を下げること(例えば100km/hから80km/hへの低下)とすればよい。
また、上記の実施例においては、所定の条件が成立することにより車両停止中に運転者が睡眠していることが検知された場合に、その後の運転開始後、走行安全性を高めるシステムの作動レベルを安全側に設定してその作動を行わせるが、所定の条件が成立して車両停止中に運転者が睡眠していることが検知された後、車両停止中にその条件が不成立となってその睡眠が検知されなくなってから車両運転が開始されるまでに、運転者の睡眠の影響が消滅するだけの時間が経過していた場合には、上記のシステムの作動レベルの安全側への設定を行わずに通常どおりの設定にすることとしてもよい。かかる構成においては、運転者の睡眠が検知されなくなってから所定時間が経過する前に車両運転が開始された場合にのみ、システムの作動レベルを安全側に設定するので、車両の走行安全性を高める処理を運転者の睡眠の影響が残り得る必要なときにだけ行い易くすることができ、車両運転開始前の運転者の睡眠を反映して車両の走行安全性をより高めることができる。