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JP5069082B2 - シリコン窒化物膜の製造方法、ガスバリア膜、薄膜素子 - Google Patents

シリコン窒化物膜の製造方法、ガスバリア膜、薄膜素子 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂基板等の低耐熱性の有機層を有する基体上に、水蒸気透過係数が低くガスバリア性の良好なシリコン窒化物膜を成膜する方法及び該方法により成膜されたシリコン窒化物膜を用いて得られたガスバリア膜、及び薄膜素子に関するものである。
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)に用いられる液晶表示素子や有機EL素子等分野では、軽量でフレキシブルな樹脂基板を採用したフレキシブルディスプレイへの展開が積極的になされている。樹脂基板は、ガラス基板等の無機基板に比してガスバリア性が劣るため、フレキシブルデバイスにおいては樹脂基板上に空気や水蒸気の混入を抑制するためのガスバリア膜等を備える構成が一般的となっている。ガスバリア膜としては、代表的なものとして、SiNxで表される窒化シリコン膜及びSiONxで表される酸窒化シリコン等のシリコン窒化物膜が挙げられる。
液晶表示素子の用途では、近年大型化が進んでおり、また、有機EL素子や有機太陽電池、CIGS太陽電池等においては、素子特性が水蒸気や酸素の影響を受けやすいことが知られている。従って、ガスバリア膜にはより高いガスバリア性が要求されてきている。ガスバリア性は、水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate: WVTR)により評価することができ、現在有機EL素子ではWVTR≦10−6g/m/dayとなる水蒸気透過率が要求されてきている。このように、高いガスバリア性が要求される分野においては、複数のシリコン窒化物膜を有機層を介して積層することにより所望の水蒸気透過率を達成する構成が報告されている。従って、素子構成及び小型化の観点から考慮すれば、積層数は少ない方が好ましく、現在1層あたり、WVTR≦10−3g/m/dayのガスバリア性が要求されている。
シリコン窒化物膜は、非晶質でありながら高密度、高比誘電率を有し、耐フッ酸エッチング性が高い等の性質を有するものである。従って、上記のガスバリア膜の用途に限らず、TFT素子等の層間絶縁膜やゲート絶縁膜、DRAMや不揮発性メモリのキャパシタ容量膜等、その用途は幅広い。そのため、用途に応じて、膜特性の良好なシリコン窒化物膜が得られるように、成膜方法及び成膜条件の好適化がなされている。
シリコン窒化物膜の成膜によく用いられる成膜方法の一つとして、減圧プラズマCVD法が挙げられる。かかる方法により成膜されたシリコン窒化物膜は、膜特性の面内均一性が高く、良質の膜を得ることができる。しかしながら、減圧にするためには原料ガスの供給量が制限しないといけないため、減圧プラズマCVD法では薄膜形成に必要な化学反応が原料ガスの供給量により律即され、成膜速度が制限される。このため、単位面積あたり1μm/min以上の成膜速度を期待することはできない。
そこで近年、原料ガスの供給量を増加させることができる大気圧下でのプラズマCVD法により良質のシリコン窒化物膜を成膜する方法が検討されている。大気圧下では、ガス分子の濃度を高くすることができるため、良好な成膜速度にて成膜することができる。一方、成膜速度が速いと不必要な化学反応やガス分子の凝集等の反応速度もあがるため、良質な膜を成膜することが難しい。
かかる背景下、大気圧下でのプラズマCVD法において、Hガスを含む原料ガスを用いることにより、良質なシリコン窒化物膜を成膜する方法が検討されている。原料ガス中にHガスを含むと、不必要な反応副生成物が少なくなる、膜中欠陥が低減されるなどの効果が得られるとされている。特許文献1には、減圧プラズマCVD法において用いられる成膜圧力よりもはるかに高い圧力下でのプラズマCVD法により、良質の膜を成膜する方法が開示されている。特許文献1には、原料ガス中のNHのSiHに対する割合を2以上、又は2以上20以下とし、かつ混合ガス中の水素の割合を5%以上とすることにより、減圧プラズマCVD法により成膜したシリコン窒化物膜にほぼ匹敵する膜質のシリコン窒化物膜を成膜できることが記載されている(段落[0024]等を参照。)。
特開2004−56152号公報
しかしながら、特許文献1では、FPD等で使用されるTFT素子等の電子デバイスのゲート絶縁膜等の用途のシリコン窒化物膜を対象としており、かかる用途では通常ガラス基板を用いるため、300℃以上の比較的高い基板温度での成膜が可能である。
プラズマ核融合学会誌 第76巻第8号やプラズマ核融合学会誌 第77巻 第7号等に記載されているように、一般に、基板温度が変化すると原料ガスの分解条件が変化することになるため、発生するガス比率が変化し、成膜される膜の膜質が変化すると考えられている。
更に基板温度が低いと、原料ガスから分解した飛来粒子が基板表面で充分にマイグレーションすることができなくなり、且つ、膜表面のシリコン窒化物が水素原子で終端されている確率が高くなるため、飛来粒子のマイグレーションがより抑制されてしまう。そのため、粒子が本来吸着されるべきサイトに到達できないうちに基板上に堆積されてしまうため、充分な結合ができずに緻密性の低い膜となりやすい。緻密性が低いと、膜組成が経時変化しやすく、電子デバイスのゲート絶縁膜として用いることができないと考えられている。このため上記用途では、基板温度300〜400℃で成膜をすることが一般的であり、特許文献1においても、実施例に記載されている基板温度は300℃となっている(表1〜表3を参照)。
上記したように、ガスバリア膜は、樹脂基板を有するデバイスに用いられ、その他有機層を備えたデバイスにも空気や水蒸気の混入を抑制するために用いられる。樹脂基板や有機層の耐熱温度はガラス基板等に比して低く、汎用性が高く安価なPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)基板等は150℃以下である。そのため、成膜時の基板温度も150℃以下とする必要があり、特許文献1の成膜方法をそのまま適用することができない。
また、ガラス基板の場合はガスバリア膜としての機能が不要であるため、特許文献1では、WVTR値等のガスバリア性に関する評価は一切行われていない。特許文献1では、Bond densityに着目した検討がなされているが、Bond densityを高くするほど膜ストレスが増加し、膜ストレスが増加しすぎると部分的な剥離やクラックが発生して逆にガスバリア性が低くなると考えられる。
実際、成膜温度を室温とし、原料ガス中の水素濃度を5%〜30%として特許文献1に記載の方法により成膜して得られたシリコン窒化物膜は、水素濃度5%では、成膜後大気保管にて12時間後には組成が変化することを本発明者が初めて確認した。また水素濃度10%では、大気保管では2週間後にも組成変化はみられなかったものの、温度40℃、湿度90%雰囲気下においては数週間で組成変化を生じることも確認した。水素濃度を30%まで上げれば、室温での成膜でも組成変化を生じない膜特性のものを得ることができるが、一方、水素濃度の増加により成膜速度が40%程度低下してしまうことも確認した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、薄膜素子のガスバリア膜として好適な、10−3g/m/day以下の水蒸気透過率を有し、かつ膜質の良好なシリコン窒化物膜を、有機層の耐熱温度以下の成膜温度で高効率に成膜可能なシリコン窒化物膜の成膜方法を提供することを目的とするものである。
本発明のシリコン窒化物の成膜方法は、プラズマを用いる化学気相成長法により、反応容器内に設置された少なくとも一層の有機層を有する基体上に、シリコン窒化物膜を成膜する方法であって、反応容器内に、SiH,NH3,H2,Heを含む原料ガスを、全ガス圧が大気圧となるように供給する工程と、基体の上方に設置された電極に電界を印加して電極と基体との間に電場を発生させ、この電場により電極と基体との間の原料ガスをプラズマ状態にする工程と、有機層の耐熱温度以下でプラズマ状態となった前記原料ガスを用いて基体上にシリコン窒化物膜を成膜する工程とを有し、原料ガス中のHの割合が13%以上20%以下であり、原料ガス中におけるNHのSiHに対する割合が13%以上24%以下であることを特徴とするものである。
本明細書において、大気圧とは100〜1000Torr(1Torr=約133.322Pa)と定義する。
また、本明細書において、シリコン窒化物膜とは、一般にSiNxで表される窒化シリコン膜及び酸窒化シリコン膜を含むものであり、化学量論比の組成のもの及び、水素原子等を含み化学量論比組成(例えば窒化シリコンの場合はSi3 4)以外の組成のものを含んでいる。
また、本明細書において、原料ガス中の各成分の割合の単位は、特に明記しない限り体積%である。
本発明のシリコン窒化物膜の成膜方法において、前記原料ガス中のHの割合は15%以上18%以下であることが好ましい。また、前記電極に印加される電界の電力密度は、250W/cm超450W/cm以下であることが好ましい。
本発明のシリコン窒化物膜の成膜方法では、膜厚が200nm以下において水蒸気透過率が10−3g/m/day以下となるシリコン窒化物膜を成膜することができる。
本明細書において、ガスバリア性は水蒸気透過率により評価を行う。水蒸気透過率は、測定温度40℃,相対湿度90%における値とする。
また、本発明のシリコン窒化物膜の成膜方法では、成膜速度が1μm/min以上にて成膜を実施することができる。
本発明のシリコン窒化物膜は、水蒸気透過率が10−3g/m/day以下であり上記本発明のシリコン窒化物膜の成膜方法により成膜されたものであることを特徴とするものである。
本発明のガスバリア膜は、少なくとも1層の上記本発明のシリコン窒化物膜と、少なくとも1層の有機膜とが交互に積層されてなることを特徴とするものである。
本発明のガスバリア膜は、水蒸気透過係数を10−6g/m/day以下とすることができる。
本発明の薄膜素子は、基板上に、上記本発明のガスバリア膜を備えたことを特徴とするものである。
本発明のシリコン窒化物膜の成膜方法は、大気圧下でのプラズマを用いる化学気相成長法により、少なくとも一層の有機層を有する基体上にシリコン窒化物膜を成膜する方法において、SiH,NH3,H2,Heを含む原料ガス中のHの割合を13%以上20%以下とし、かつ原料ガス中のNHのSiHに対する割合を13%以上24%以下としたものである。かかる成膜方法によれば、薄膜素子のガスバリア膜として好適な、10−3g/m/day以下の水蒸気透過率を有し、かつ膜質の良好なシリコン窒化物膜を、有機層の耐熱温度以下の成膜温度にて高効率に成膜することができる。
本発明によれば、例えば、膜厚が200nm以下であっても水蒸気透過率が10−3g/m/day以下のシリコン窒化物膜を成膜することができるので、本発明の成膜方法によって成膜されたシリコン窒化物膜と有機膜とを交互に積層したガスバリア膜においては、水蒸気透過率が10−6g/m/day以下のガスバリア性を達成することができる。
「シリコン窒化物膜の成膜方法」
本発明では、大気圧下においてプラズマを用いる化学気相成長法により(以下、大気圧プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法とする。)、反応容器内に設置された少なくとも一層の有機層を有する基体にシリコン窒化物膜を成膜する。一般に、大気圧プラズマCVD法では、成膜対象が設置された反応容器内に供給された原料ガス成分を、大気圧下においてプラズマ状態にして反応させ、成膜対象上に原料ガスの構成成分を含む機能性膜を成膜する。図1は、大気圧プラズマCVDによる成膜時の様子を模式的に示したものである。
本発明において、シリコン窒化物膜の成膜対象としては、少なくとも一層の有機層を有する基体であれば特に制限されないが、ここではフイルム状の樹脂基板を成膜対象とした場合を例に説明する。
本発明において成膜装置は特に制限されないが、フイルム状の樹脂基板を用いる場合は、ロールトゥロール方式とよばれる連続成膜法が、生産性の点で好ましいとされている。
図2は、ロールトゥロール方式を用いた連続成膜装置300の構成を示す概略図である。背景技術の項において述べたように、ガスバリア膜の用途では、高いガスバリア性が要求される分野においては、複数のシリコン窒化物膜を有機層を介して積層することにより所望の水蒸気透過率を達成する構成が一般的である。図2に示される構成は、有機層を成膜した後にシリコン窒化物膜(無機層)を連続的に成膜する場合の例である。ガスバリア膜の実施形態については後記する。
フイルム供給ロール310から供給されたフイルム状の樹脂基板10は、有機層塗布部320において樹脂基板10上に有機層の前駆体が成膜されたのち、硬化乾燥部330において前駆体中に含まれる有機溶剤等を揮発させて有機層が形成される。次いで無機層成膜部340においてシリコン窒化物膜を成膜され、巻き取りロール310により巻き取られる。有機層塗布部320、硬化乾燥部330、無機層成膜部340は、有機層及び無機層の層数に応じて適宜設置数又は構成を設定すればよい。
シリコン窒化物膜が成膜される無機層成膜部340には、大気圧プラズマCVD装置が設置されている。大気圧プラズマCVD装置の装置構成は特に制限されないが、本実施形態では回転電極方式の大気圧プラズマCVD装置100を用いる。大気圧プラズマCVD装置は、電極の構成により、回転電極方式と平行平板電極方式の2種類に大別される。
図3に示される大気圧プラズマCVD装置100は、ガス供給部117及びガス排気部118を備えた反応容器110内に、加熱ヒータ114を備えた可動性基板ステージ113と、高周波電源116により駆動される円筒型回転電極111を備えている。ガス排気部118には、循環ポンプ121により機能する粉体除去フィルター120を備えた循環ライン119が設けられている。大気圧プラズマCVD装置100では、電圧を印加することにより円筒型回転電極111と基板ステージ13上に設置された樹脂基板10との間に電場Pが発生し、電場Pによりガス供給部117から供給された原料ガスGがプラズマ化されて、樹脂基板10上に原料ガスGの構成元素を含む膜を成膜することができる。可動性基板ステージ113を動かすことにより、樹脂基板10は一定のテンションがかかった状態で移動されて連続的に成膜が実施される。
まず、大気圧プラズマCVD装置100の反応容器110に、SiH,NH,H及びHeを含む原料ガスGを、全ガス圧が大気圧となるように供給する。原料ガスG中には、成膜する膜の組成によって酸素や窒素等を含んでもよい。
次いで、円筒型回転電極111に電界を印加して円筒型回転電極111と樹脂基板10との間に電場Pを発生させ、この電場により円筒型回転電極111と樹脂基板10との間の原料ガスGをプラズマ状態にし、樹脂基板10の耐熱温度以下でプラズマ状態となった原料ガスGを用いて樹脂基板10上にシリコン窒化物膜1を成膜する。
また、図4は、平行平板電極方式の大気圧プラズマCVD装置の一例を示したものであある。大気圧プラズマCVD装置200は、ガス供給部217及びガス排気部218を備えた反応容器210内に、加熱ヒータ214を備えた第2平行平板電極212と、高周波電源216により電圧が印加される第1平行平板電極211を備えた構成としている。大気圧プラズマCVD装置200は、電極の構成が異なる以外は回転電極方式とほぼ同様の構成としているので、大気圧プラズマCVD装置100と同様にしてシリコン窒化物膜1を成膜することができる。
本発明では、薄膜素子のガスバリア膜として好適な、10−3g/m/day以下の水蒸気透過率(以下、WVTRとする。)を有するシリコン窒化物膜1を成膜する。従って、かかるWVTR値を有するようにシリコン窒化物膜の成膜条件を決定する。以下に、本発明における成膜条件について詳述する。
(成膜条件)
本発明者は、まずガスバリア性が良好なシリコン窒化物膜1のWVTRに影響を与える膜特性として膜厚及び膜密度に着目した。膜密度はガスバリア性に大きく影響を与えるファクターであり、膜中にクラック等の欠陥がなければ、膜厚が厚いほど、膜密度が高いほどそのガスバリア性は高くなると考えられる。しかしながら、上記したように、シリコン窒化物膜は無機膜であり、フレキシビリティが乏しいために、膜厚が厚くなるにつれて曲げ等の膜応力によってクラックが入りやすくなる。クラックが入ると、剥離しやすくなる、クラック部分から空気や水蒸気が透過できるようになる等の素子特性の低下を引き起こすため、膜応力によってクラックが入りにくい膜厚とする必要がある。かかる点から鑑みて、シリコン窒化物膜1の膜厚は200nm以下であることが好ましい。
膜厚が薄ければ、クラックの問題はなく、生産性も向上するが、一方、薄すぎると、エネルギー障壁が小さくなって空気中の水分子等が透過しやすくなってしまう。エネルギー障壁の程度は、膜密度によっても変化し、同じ膜厚であっても膜密度の高い膜であるほどエネルギー障壁は高くなる。
背景技術の項において述べたように、膜の緻密性が低いということは、膜中に空孔があることを示しており、単位膜厚あたりのガスバリア性が低くなり、同等のガスバリア性を得るには比較的厚膜にする必要がある。また、組成がSiNx からSiOzNyと経時変化しやすくなり、組成変化すると部分的に膜剥離等の不良が発生する。このため、ガスバリア性の点からは、膜密度は高い方が好ましいが、膜密度が高すぎても膜応力によるクラックが入りやすくなる。従って、膜応力によるクラックが入りにくく、良好なガスバリア性を示すエネルギー障壁を有するように、膜厚及び膜密度を決定することが好ましい。
本発明者は、シリコン窒化物膜において、良好なガスバリア性を示す膜厚と膜密度との組み合わせを検討した。
本明細書において、膜厚は日立(株)製、走査型電子顕微鏡「S−900型」でフイルムサンプルの超薄切片を観察することにより測定し、膜密度は、Siウエハーに無機層を成膜した評価用サンプルを用い、理学電気製ATX−Gを用いてX線反射率から算出した。
また、水蒸気透過率(WVTR)は、MOCON社製、「PERMATRAN−W3/31」(条件:40℃・相対湿度90%)を用いて測定した。また、このMOCON装置の測定限界である0.01g/m/day以下の値は、以下の方法を用いて補完する。
まず、ガスバリア膜上に直に金属Caを蒸着し、蒸着されたCaが内側になるようガスバリア膜とガラス基板を市販の有機EL用封止材で封止して測定試料を作製し、次にこの測定試料を上記温湿度条件に保持し、ガスバリア膜上の金属Caの光学濃度変化(水酸化あるいは酸化により金属光沢が減少することを利用)を測定した結果からWVTR値を算出した。
まず、膜密度の異なるシリコン窒化物膜を作製し、それぞれの膜密度のシリコン窒化物膜において、膜厚を異ならせたときのWVTR値を測定した。膜密度は、1.9±0.1g/cm,2.2±0.1g/cm,2.5±0.1g/cmとした。膜組成の変化しにくい膜密度を考慮した場合、膜密度は1.9g/cm(±0.1の誤差を含んでもよい。)以上であることが好適であると考えられる。また、膜密度2.5±0.1g/cmのものは膜厚120nmを超えるとWVTR値の評価工程の際にクラックが入ってしまうため測定することができなかったため、密度は2.5±0.1g/cm以下であることが好ましいと判断した。結果を図5に示す。
図5には、どの膜厚であっても、膜厚の増加につれてWVTR値が下がっていき、ある膜厚に達すると逆にWVTR値が増加する傾向が示されている。これは上記した、膜厚が薄すぎると、エネルギー障壁が小さくなって空気中の水分子等が透過しやすく、膜厚が厚くなるにつれて応力がかかり、その応力によってクラックが入りやすくなる傾向を示している。プロットされている膜厚の範囲内では、光学顕微鏡等を用いた目視観察では膜にクラックは発見されなかったが、応力により膜中に微小な空隙ができてWVTR値が増加しているものと考えられる。
次に、図5に示される結果に基づいて、WVTR値が10−3g/m/day以下となる膜厚と膜密度の範囲をプロットした(図6)。図6は、斜線で示される範囲内の膜厚及び膜密度を有するシリコン窒化物膜においては、WVTR値が10−3g/m/day以下となることを示している。図6における斜線で示される範囲において、膜厚t(nm)と膜密度d(g/cm)とは下記式(1)及び(2)を満足している。
1.9≦d≦2.5・・・(1)、
−700d+1930≦6t≦−700d+2530 ・・(2)
図6には、膜密度が高くなると、膜厚の薄さの許容範囲が広がることが示されている。生産性及びクラックの発生しやすさを考慮すれば、上記範囲内において、膜厚tは薄い方が好ましく、100nm以下であることが好ましい。
本発明のシリコン窒化物膜の成膜方法では、原料ガスにHガスが添加されている。背景技術の項において述べたように、大気圧プラズマCVD法によりシリコン窒化物膜を成膜する場合は、原料ガス中にHガスを含むと、不必要な反応副生成物が少なくなる、膜中欠陥が低減されるなどの効果が得られて膜質が良質になるとされている。これは、ラジカル化されてエネルギーが高くなった水素が成膜中の表面にぶつかることにより、不必要なサイトに物理吸着している成膜粒子や、不必要な化学反応により生成された副生成物等の膜欠陥の原因となるものが解離することにより、緻密膜化されるためと考えられる。
一方、原料ガスにHガスを含む場合、Hガスを含まない場合に得られる膜厚に比して、得られる膜の膜厚が薄くなることが知られている。上記のように、原料ガスにHガスを含む場合は緻密膜化するため、その分膜厚が薄くなってもよいが、同一条件での成膜によって得られる膜厚が薄くなることは、成膜速度が低下し、生産効率が悪くなることを意味する。従って、原料ガス中のHガス濃度は、良好な成膜速度において所望のWVTR値が得られるように決定する必要がある。
そこで本発明者は、原料ガス中のHガス濃度に対する膜厚及びWVTRへの影響をそれぞれ検討した。その結果を図7に示す。図7において、横軸は原料ガス中のHガス濃度(体積%)、縦軸は左側がHガス添加による膜厚の変化率(膜厚/Hガス無添加時の膜厚×100)、右側がWVTR値を示している。図7において、成膜温度をRT、成膜時の投入電力密度を250W/cmとし、Hガス濃度以外の原料ガスの組成は、SiH:0.05%、NH:1.0%、残りをHeガスとした。
図7には、Hガス濃度14%付近において、10−3g/m/day以下のWVTR値が得られることが示されている。従って、WVTRの観点からは、Hガス濃度は14%以上であればよい。
ガス濃度が増加するにつれて、膜厚変化率が上昇して成膜速度が低下する。従って、Hガス濃度の上限は、良好な成膜速度が保たれる膜厚変化率となるように決定すればよい。生産効率から鑑みて、成膜速度は1μm/min以上であることが好ましいとされており、Hガス無添加時の成膜速度を考慮すると、成膜速度は、Hガス無添加時における成膜速度の80%以上であることが好ましい。かかる成膜速度とするには、Hガス濃度は20%以下であればよく、より良い生産効率を実現するには18%以下であることが好ましい。
上記のように、WVTRの観点からは、Hガス濃度は14%以上であり、成膜速度の観点からはHガス濃度は20%以下、好ましくは18%以下である。ところで、Hガス濃度14%においては、成膜速度はHガス無添加時のほぼ9割を達成している。成膜速度は、Hガス無添加時の80%以上であればよいことを考慮すると、残りの10%分膜厚を増加することによってWVTRが達成されるのであれば、15%未満の濃度であってもよいことになる。かかる点を考慮にいれてHガス濃度の範囲を検討した結果、良好な成膜速度において10−3g/m/day以下のWVTR値が得られるHガス濃度は、13%以上20%以下であり、15%以上18%以下が好ましい。
上記Hガス濃度の好適化は、投入電力密度250W/cmにおいて行われているが、安定したプラズマ状態を形成可能な範囲であれば、投入電力密度の大きさに拘わらず適用することができる。250W/cmは、現在の大気圧プラズマCVD装置において安定したプラズマ状態を形成可能な投入電力密度のほぼ最小値となる。
投入電力密度は、Hガスがラジカル化された時に有するエネルギーの大きさを変化させるファクターであり、投入電力密度が高いほど大きなエネルギーを与えることになる。従って、投入電力密度が高いほど、同一のHガス濃度であってもより高いHガス添加による効果を得ることができ、好ましい。現在の大気圧プラズマCVD装置において安定したプラズマ状態を形成可能な投入電力密度の上限値はほぼ450W/cmとなる。
図8に、投入電力密度を250〜450W/cmとした時に、良好な成膜速度において10−3g/m/day以下のWVTR値が得られるHガスの濃度範囲を、メッシュ及び斜線を施して示す。斜線で示した部分は好ましい領域を示している。ここで、投入電力を変えた以外は図7における成膜条件と同様の条件とした。
図8に示されるように、良好な成膜速度で10−3g/m/day以下のWVTR値が得られるHガス濃度範囲は、投入電力密度が大きくなるにつれて下限値が小さくなって広がっている。従って、図8より、投入電力密度250W/cmの条件にて好適化した上記Hガスの濃度範囲は、投入電力密度250〜450W/cmの範囲において適用可能であることが確認される。
また、以上述べてきた成膜条件に関する全ての検討において、原料ガス中のHガス濃度以外の原料ガスの組成は、SiH:0.05%、NH:1.0%、残りをHeガスとしている。そこで更に、上記の成膜条件が適用可能な原料ガス中のSiHとNHの配合比を検討した。
SiHとNHの配合比以外の条件は、Hガスによる効果がより高くなる条件となるように、投入電力密度は450W/cm、Hガス濃度20%としてSiHとNHの配合比によるWVTRへの影響を検討した。Hガスによる効果がより高くなる条件にて好適化された成膜条件は、Hガスによる効果が低い範囲においては適用することができる。
結果を図9に示す。図9には、良好な成膜速度で10−3g/m/day以下のWVTR値が得られるSiHとNHの配合比は、14以上24以下であることが示されている。
以上説明したように、プラズマを用いる化学気相成長法により、反応容器内に設置された少なくとも一層の有機層を有する基体に、シリコン窒化物膜を成膜する方法において、原料ガス中のHの割合を13%以上20%以下とし、原料ガス中におけるNHのSiHに対する割合と13%以上24%以下とすることにより、薄膜素子のガスバリア膜として好適な、10−3g/m/day以下の水蒸気透過率を有し、かつ膜質の良好なシリコン窒化物膜を、樹脂基板の耐熱温度以下の成膜温度にて高効率に成膜することができる。
「シリコン窒化物膜、ガスバリア膜」
図10を参照して、上記本発明のシリコン窒化物膜の製造方法により製造されたシリコン窒化物膜を備えたガスバリア膜について説明する。図10は、ガスバリア膜3の厚み方向断面図である。
図10に示されるように、本実施形態のガスバリア膜3は、樹脂基板10上に形成され、少なくとも1層の、上記本発明のシリコン窒化物膜の製造方法により製造されたシリコン窒化物膜1と、少なくとも1層の有機膜2とが交互に積層された構成としている。本実施形態においては、ガスバリア膜3が樹脂基板10の上面に形成されているが、ガスバリア膜3は基板の下面に形成されていてもよいし、上面及び下面の両方に形成された構成としてもよい。
ガスバリア膜3において、シリコン窒化物膜1と有機膜2とは交互に積層されていればよく、樹脂基板10上に直接成膜される層及び最上層は特に制限されないが、樹脂基板10の表面に凹凸があるような場合は、その凹凸を緩和するために有機膜2が直接成膜されていることが好ましい。また、最上層は、ガスバリア膜3上に形成される層との密着性を考慮すれば、有機膜2であることが好ましい。
上記したように、シリコン窒化物膜1はフレキシビリティが乏しいため、膜応力によりクラックが入らないように膜厚が制限される。従って、得られるガスバリア性も制限されることになるが、図示されるように、有機膜2を介して積層することにより、シリコン窒化物膜1の層数分の膜厚を有するものと同等のガスバリア性を実現することができる。
有機膜2とシリコン窒化物膜1との境界面に働くせん断力:S (N/m2)は、本実施形態のように有機膜2の膜厚がシリコン窒化物膜1の膜厚より十分厚いものであれば(有機膜2の膜厚については後記する。)、その剛性が有機膜2>>シリコン窒化物膜1となり、ガスバリア膜3の伸びは有機膜2により決まる。このため、境界面に働くせん断力はシリコン窒化物膜1の剛性によりのみ決まり、かつ、シリコン窒化物膜1の上下に有機膜2を備えたサンドイッチ構造にすると上下で均等に支えるので、シリコン窒化物膜1に発生する応力は半分になり、シリコン窒化物膜1にかかるストレスを緩和することができる。このことからも、積層にする方が好ましい。
カスバリア膜3を構成するシリコン窒化物膜1の層数は特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。シリコン窒化物膜1の層数は、要求されるWVTR値に応じて適宜設計すればよく、シリコン窒化物膜1のWVTR値が10−3g/m/day程度であれば、シリコン窒化物膜1を2層程度備えることにより、有機EL素子のガスバリア膜として現在要求されているWVTR値10−6g/m/dayを実現することが可能となる。
樹脂基板10としては特に制限されず、使用目的等に応じて適宜選択することができる。具体的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等のポリエステル、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む)、メタクリル酸―マレイン酸共重合体、ポリスチレン、含フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、フルオレイン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレイン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
樹脂基板10の厚みは用途に応じて適宜選択され、特に制限されない。薄膜素子の用途において、樹脂基板10の典型的な厚みは1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。
樹脂基板10は、上面及び/又は下面に導電層やプライマー層等の各種機能層を備えたものであってもよい。機能層としては、特開2006−289627号の段落[0036]〜[0038]に示される層や、マット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防泥層、被印刷層等が挙げられる。
有機膜2は、曲げ等の膜応力によってシリコン窒化物膜1にかかるストレスを緩和する層である。有機膜2はかかる機能を有するものであればよいので、有機膜であれば特に制限されないが、通常樹脂層が用いられる。樹脂層としては、成膜が容易な熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、上記樹脂基板10で例示した樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
かかる有機膜2の成膜方法としては、真空成膜法や溶液塗布法等が挙げられる。真空成膜法としては、特に制限なく、蒸着法、プラズマCVD法等が挙げられる。
溶液塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法等の方法、また、米国特許第2681294号に記載されているホッパーを使用するエクストルージョンコート法等が挙げられる。かかる溶液塗布法において、有機膜2が樹脂層である場合は、樹脂を有機溶剤に溶解させた樹脂溶液を塗布し、その後乾燥させて有機膜2を形成してもよいし、樹脂の前駆体(例えばオリゴマーやモノマー等)を含む溶液を塗布し、その後重合させて有機膜2としてもよい。樹脂の前駆体を含む溶液中には、必要に応じて重合開始剤や連鎖移動剤等を含んでいてもよい。
モノマーを塗布した後に重合させることにより有機膜2を形成可能なモノマーとしては、各種メタクリレートモノマー、各種アクリレートモノマー等が挙げられる。メタクリレートモノマー及びアクリレートモノマーの好適な材料としては、米国特許第6083628号、米国特許第6214422号に記載されている化合物が挙げられる。
モノマーの重合方法は特に限定されず、加熱重合、光重合(紫外線重合及び可視光線重合を含む)、電子ビーム重合、プラズマ重合及びこれらの組み合わせが挙げられる。重合方法はモノマーの種類に応じて開始剤と共に適宜選択すればよい。
例えば、光重合を行う場合には、重合開始剤として光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア651,イルガキュア754nイルガキュア184,イルガキュア2959,イルガキュア907,イルガキュア369,イルガキュア379,イルガキュア819等),ダロキュアシリーズ(例えば、ダロキュアTPO,ダロキュア1173等),クオンタキュアPDO、サートマー社製エザキュアシリーズ(例えばエザキュアTZM,エザキュアTZT等)等が挙げられる。かかる重合開始剤を用いる場合は、紫外線照射により重合が進行する。紫外線照射には一般的に用いられる高圧水銀灯や低圧水銀灯等を用いればよい。
アクリレートモノマーやメタクリレートモノマーは、重合時に酸素の存在によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度又は酸素分圧を低くすることが好ましい。重合が不十分である場合、有機膜2に残存する未反応モノマー等により有機膜2が経時劣化しやすくなってしまう。従って、重合率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。ここで重合率とは、モノマー混合物中の全ての重合性基(アク密度はリレートモノマーではアクリロイル基、メタクリレートモノマーではメタクリロイル基)のうち反応した重合性基の比率を意味し、硬化した膜およびモノマー混合物の赤外吸収スペクトルにおける1720cm−1付近のカルボニル基に基づく吸収強度と810cm−1付近の炭素−炭素二重結合に基づく吸収強度の比から、以下の計算式1により算出することができる。
(計算式1)
硬化率(%)={(a×d−b×c)/a×d}×100
a:硬化膜の1720cm−1付近のピーク強度
b:硬化膜の810cm−1付近のピーク強度
c:モノマー混合物の1720cm−1付近のピーク強度
d:モノマー混合物の810cm−1付近のピーク強度
酸素濃度を低くする方法としては一般的な窒素置換法等が挙げられ、この場合、酸素濃度は2%以下とすることが好ましく、0.5%以下とすることがより好ましい。また、酸素分圧を低くする方法としては一般的な減圧法等を用いることができる。この場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。減圧法により光重合を行う場合、100Pa以下の減圧条件下では、照射する光のエネルギーは、2J/cm以上であることが好ましい。
有機膜2は、平滑性が高いことが好ましく、平均表面粗さRaが10μm角において10nm以下であることが好ましく、2nm以下であることがより好ましい。表面の平滑性は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定することができる。このとき、平滑性は1μm角の測定範囲に対する平均粗さRa(単位nm)で表した。装置は、SPI3800N/SPA400(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)、カンチレバーはSI−DF20を使用して、測定条件は操作周波数1Hz、X,Yデータ数256ラインとした。
また、有機膜2は、膜硬度が高いことが好ましく、鉛筆硬度のHB以上の硬度を有することが好ましく、H以上の硬度を有することがより好ましい。
有機膜2の膜厚は特に限定されないが、薄すぎると膜厚の均一性を得ることが難しくなり、また厚すぎるとフレキシビリティの高い有機膜であっても曲げ等の膜応力によってクラックが発生してしまう。かかる観点から、有機膜2の膜厚は300nm〜2μmであることが好ましく、500nm〜1μmであることがより好ましい。
シリコン窒化物膜1は、上記本発明のシリコン窒化物膜の製造方法により成膜されたものである。シリコン窒化物膜1は、上記シリコン窒化物膜の製造方法の実施形態において述べたように、薄膜素子のガスバリア膜として好適な膜厚200nm以下において10−3g/m/day以下の水蒸気透過率を有し、かつ膜質の良好な膜である。
既に説明したように、ガスバリア膜3において、最上層は有機膜2であることが好ましいが、最上層の有機膜2の上面に更に機能層を備えた構成としてもよい。かかる機能層としては、樹脂基板10の上面及び/又は下面に備えることのできる機能層と同様のものが例示できる。
本実施形態のガスバリア膜3は、樹脂基板10上に上記本発明のシリコン窒化物膜1と有機膜2とが交互に積層されたものである。本発明のシリコン窒化物膜1は、水蒸気透過率(WVTR)が10−3g/m/day以下であるので、かかるシリコン窒化物膜1を備えたガスバリア膜3は、良好なガスバリア性を有するものとなる。本実施形態のガスバリア膜3においては、シリコン窒化物膜1の層数を設計することにより所望のガスバリア性を有するものとすることができるので、本実施形態によれば、WVTRが10−6g/m/day以下のガスバリア性有するガスバリア膜3を提供することができる。
なお、本実施形態では図10に示されるようにガスバリア膜3において、有機膜2とシリコン窒化物膜1との境界が明確である構成について説明したが、有機膜2とシリコン窒化物膜1の境界(界面)は必ずしも明確である必要はなく、有機膜2を構成する有機化合物とシリコン窒化物膜1を構成する無機化合物とが混在している領域が存在してもよい。
かかる構成の場合は、シリコン窒化物膜1と有機膜2との機能が一体化されるため、ガスバリア膜3全体として所望のWVTR値となるように設計すればよい。例えば、有機化合物と無機化合物の割合が膜厚方向に連続的に変化するものであってもよい。例としては、“Journal of Vacuum Science and Technology A Vol. 23 p971−977(2005 American Vacuum Society, ”に記載の態様や、米国公開特許2004−46497号に開示されている有機層と無機層が界面を持たずに連続的に積層された構造等が挙げられる。このように有機化合物と無機化合物が混在する領域を設ける場合は、有機化合物の含有量が多い領域と無機化合物の含有量が多い領域が膜厚方向に交互に現れる構造を採用することが好ましい。
「薄膜素子」
図11を参照して、上記実施形態のガスバリア膜3を備えた薄膜素子の構成例について説明する。薄膜素子としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、電子ペーパ等の画像表示素子や、色素増感型太陽電池、タッチパネル等が挙げられるが、本実施形態では、有機EL素子を例に説明する。図11は、本実施形態の有機EL素子の構成を示す概略断面図である。
本実施形態の有機EL素子(薄膜素子)4は、上面及び下面に上記実施形態のガスバリア膜3を備えた樹脂基板10上に、下部電極11、有機EL層20、上部電極12、更に上面及び下面に上記実施形態のガスバリア膜3を備えた樹脂基板10を備えてなり、図示下方より画像等を表示するものである。
先に述べたように、有機EL素子の用途では、ガスバリア膜3は、WVTRが10−6g/m/day以下であることが好ましい。従って、本実施形態のガスバリア膜3は、かかるWVTR値を有するようにシリコン窒化物膜1の層数が設計されている。
下部電極11及び上部電極12の材料及び構成については、特開2006−289627号公報の段落[0042]〜[0048]に具体的に詳述されている。
また有機EL層20は、特開2006−289627号公報の段落[0049]〜[0058]に、有機化合物層として具体的に詳述されている。
本実施形態の有機EL素子4は、WVTRが10−6g/m/day以下のガスバリア膜3を備えたものであるので、素子内部への空気や水蒸気の混入を高レベルに抑制することができる。従って、素子特性が水蒸気や酸素の影響を受けやすい有機EL素子においても、水蒸気や酸素の混入による特性劣化を生じにくい、良好で信頼性の高い素子特性を実現することができる。
(設計変更)
上記実施形態では、少なくとも一層の有機層を有する基体として、樹脂基板を例に説明したが、基体はこれに限定されるものではない。例えば、無機層と有機層とが積層された基体や各種機能層や配線等を備えた基体等にも好ましく適用ことができる。
本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1)
図3に示される大気圧プラズマCVD装置100を用いてPENフイルム基板上にシリコン窒化物膜を成膜した。成膜条件は、投入電力密度250W/cm、RF周波数150MHz、圧力760Torr、原料ガス比率(体積%):SiH:0.05%、NH:1.0%、H:20%、He:78.95%、基板−電極間距離:800μm、膜厚100nm、基板温度をRTとした。ここで基板温度とは、基板ステージ温度をK熱電対でモニターした温度であり、RTは25±1℃の範囲とした。この時の成膜速度は6〜7μm/minであった。
得られたシリコン窒化物膜にはクラック等は観察されず、また膜密度を測定した結果膜密度2.4±0.1g/cmであった。
次に、シリコン窒化物膜についてWVTRの測定を行った。WVTRの測定は上記実施形態中で記載したように、MOCON社製、「PERMATRAN−W3/31」(条件:40℃・相対湿度90%)を用いて行い、金属Caの光学濃度変化による補完を行って算出した。その結果WVTR値は2×10-4g/m2/dayであった。
実施例1と成膜条件を変えて、PENフイルム基板上にシリコン窒化物膜を成膜した。成膜条件は、投入電力密度450W/cm、RF周波数150MHz、圧力760torr、原料ガス比率(体積%):SiH:0.05%、NH:1.0%、H:15%、He:83.95%、基板−電極間距離:800μm、膜厚100nm、基板温度はRTとした。この時の成膜速度は6.5〜7.5μm/minであった。
得られたシリコン窒化物膜にはクラック等は観察されず、また膜密度を測定した結果、2.3±0.1g/cm3であった。また、得られたシリコン窒化物膜について実施例1と同様にしてWVTRの測定を行った結果、WVTR値は4×10−4g/m/dayであった。
実施例1及び実施例2において得られた膜は、いずれも良好な成膜速度で得られた膜であり、WVTR値が10−3g/m/day以下のクラック等のない、良質なシリコン窒化物膜であった。従って、本発明の有効性が示された。
本発明のシリコン窒化物膜は、樹脂基板を用いた有機EL素子、液晶表示素子、電子ペーパ等の画像表示素子や、色素増感型太陽電池、タッチパネル等の薄膜素子のガスバリア膜に好ましく適用することができる。
大気圧プラズマCVD法における成膜時の様子を示す模式図 ロールトゥロール方式を用いた連続成膜装置の構成を示す概略図 本発明のシリコン窒化物膜の成膜方法に用いる回転電極方式の大気圧プラズマCVD装置の一例を示す概略図 本発明のシリコン窒化物膜の成膜方法に用いる平行平板方式の大気圧プラズマCVD装置の一例を示す概略図 膜密度の異なるシリコン窒化物膜における膜厚とWVTR値との関係を示す図 水蒸気透過率が10−3g/m/day以下となる膜厚と膜密度の範囲を示す図 原料ガス中のHガス濃度と、得られるシリコン窒化物膜の膜厚及びWVTRとの関係を示す図 10−3g/m/day以下のWVTR値が得られる投入電力密度とHガスの濃度の範囲を示す図 原料ガス中のSiHとNHの配合比と得られるシリコン窒化物膜のWVTRとの関係を示す図 本発明に係る一実施形態のガスバリア膜の構成を示す概略断面図 本発明に係る一実施形態の薄膜素子(有機EL素子)の構成を示す概略断面図
符号の説明
1 シリコン窒化物膜
2 有機膜
3 ガスバリア膜
4 薄膜素子(有機EL素子)
10 樹脂基板(基体)

Claims (7)

  1. プラズマを用いる化学気相成長法により、反応容器内に設置された少なくとも一層の有機層を有する基体上に、シリコン窒化物膜を成膜する方法であって、
    前記反応容器内に、SiH,NH,H及びHeを含む原料ガスを、該原料ガスの全ガス圧が大気圧となるように供給する工程と、
    前記基体の上方に設置された電極に、電力密度250W/cm 超450W/cm 以下の電界を印加して該電極と前記基体との間に電場を発生させ、該電場により前記電極と前記基体との間の前記原料ガスをプラズマ状態にする工程と、
    前記有機層の耐熱温度以下で、プラズマ状態となった前記原料ガスを用いて前記基体上に前記シリコン窒化物膜を成膜する工程とを有し、
    前記原料ガス中のHの割合が13%以上20%以下であり、前記原料ガス中におけるNHのSiHに対する割合が13%以上24%以下であることを特徴とするシリコン窒化物膜の成膜方法。
  2. 前記原料ガス中のHの割合が15%以上18%以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン窒化物膜の成膜方法。
  3. 成膜速度が1μm/min以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン窒化物膜の成膜方法。
  4. 反応容器内に、SiH ,NH ,H 及びHeを含む原料ガスを、該原料ガスの全ガス圧が大気圧となるように供給する工程と、
    前記反応容器内に設置された少なくとも一層の有機層を有する基体の上方に設置された電極に電界を印加して該電極と前記基体との間に電場を発生させ、該電場により前記電極と前記基体との間の前記原料ガスをプラズマ状態にする工程と、
    プラズマを用いる化学気相成長法により、前記有機層の耐熱温度以下で、プラズマ状態となった前記原料ガスを用いて前記基体上に前記シリコン窒化物膜を成膜する工程とを有し、
    前記原料ガス中のH の割合が13%以上20%以下であり、前記原料ガス中におけるNH のSiH に対する割合が13%以上24%以下であるシリコン窒化物膜の成膜方法により成膜されたシリコン窒化物膜であって、
    水蒸気透過率が10−3g/m/day以下であることを特徴とするシリコン窒化物膜。
  5. 少なくとも1層の請求項に記載シリコン窒化物膜と、少なくとも1層の有機膜とが交互に積層されてなることを特徴とするガスバリア膜。
  6. 水蒸気透過係数が10−6g/m/day以下であることを特徴とする請求項に記載のガスバリア膜。
  7. 基板上に、請求項5又は6に記載のガスバリア膜を備えたことを特徴とする薄膜素子。
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