以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。以下に述べる実施形態は、この発明による熱交換器を、フロン系冷媒を使用するカーエアコンのエバポレータに適用したものである。
なお、以下の説明において、図1および図2の上下、左右を上下、左右というものとする。また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1および図2はエバポレータの全体構成を示し、図3〜図9はエバポレータの要部の構成を示す。
図1〜図3に示すように、エバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製冷媒入出用ヘッダタンク(2)(第1のヘッダタンク)とアルミニウム製冷媒ターン用ヘッダタンク(3)(第2のヘッダタンク)との間に熱交換コア部(4)が設けられたものである。
冷媒入出用ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する冷媒入口ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置する冷媒出口ヘッダ部(6)と、両ヘッダ部(5)(6)を相互に連結一体化する連結部(7)とを備えている。冷媒入出用ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)にアルミニウム製冷媒入口管(8)が接続され、同じく冷媒出口ヘッダ部(6)にアルミニウム製冷媒出口管(9)が接続されている。
冷媒ターン用ヘッダタンク(3)は、前側に位置しかつ冷媒入口ヘッダ部(5)に対向する第1中間ヘッダ部(11)と、後側に位置しかつ冷媒出口ヘッダ部(6)に対向する第2中間ヘッダ部(12)と、両ヘッダ部(11)(12)を相互に連結一体化する連結部(13)とを備えており、両ヘッダ部(11)(12)と連結部(13)とにより排水樋(14)が形成されている。冷媒入出用ヘッダタンク(2)および冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の周壁の横断面形状は同一であり、互いに上下逆向きに配置されている。
熱交換コア部(4)は、左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管(15)からなる熱交換管群(16)が、前後方向に並んで複数列、ここでは2列配置され、各熱交換管群(16)の隣接する熱交換管(15)どうしの間の通風間隙、および各熱交換管群(16)の左右両端の熱交換管(15)の外側にそれぞれコルゲートフィン(17)が配置されて熱交換管(15)にろう付され、さらに左右両端のコルゲートフィン(17)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(18)が配置されてコルゲートフィン(17)にろう付されることにより構成されている。そして、前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上下両端は冷媒入口ヘッダ部(5)および第1中間ヘッダ部(11)に接続され、後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上下両端部は冷媒出口ヘッダ部(6)および第2中間ヘッダ部(12)に接続されている。
熱交換管(15)はアルミニウム押出形材で形成されたベア材からなり、幅方向を前後方向に向けて配置されるとともに幅方向に並んだ複数の冷媒通路を有する扁平状である。コルゲートフィン(17)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを用いて波状に形成されたものであり、波頂部、波底部および波頂部と波底部とを連結する水平状連結部よりなり、連結部に複数のルーバが前後方向に並んで形成されている。コルゲートフィン(17)は、前後の熱交換管群(16)を構成する前後両熱交換管(15)に共有されており、その前後方向の幅は前側熱交換管(15)の前側縁と後側熱交換管(15)の後側縁との間隔とほぼ等しくなっている。そして、コルゲートフィン(17)の波頂部および波底部は、前後の熱交換管(15)にろう付されている。コルゲートフィン(17)の前側縁は前側熱交換管(15)の前側縁よりも若干前方に突出している。なお、1つのコルゲートフィンが前後両熱交換管群(16)に共有される代わりに、両熱交換管群(16)の隣り合う熱交換管(15)どうしの間にそれぞれコルゲートフィンが配置されていてもよい。
なお、熱交換管(15)としては、アルミニウム押出形材製のものに代えて、アルミニウム製電縫管の内部にインナーフィンを挿入することにより複数の冷媒通路を形成したものを用いてもよい。また、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより形成され、かつ連結部を介して連なった2つの平坦壁形成部と、各平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁より隆起状に一体成形された側壁形成部と、平坦壁形成部の幅方向に所定間隔をおいて両平坦壁形成部よりそれぞれ隆起状に一体成形された複数の仕切壁形成部とを備えた板を、連結部においてヘアピン状に曲げて側壁形成部どうしを突き合わせて相互にろう付し、仕切壁形成部により仕切壁を形成したものを用いてもよい。この場合、コルゲートフィンはベア材からなるものを用いる。
図2〜図5に示すように、冷媒入出用ヘッダタンク(2)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されかつすべての熱交換管(15)が接続されたプレート状の第1部材(21)と、アルミニウム押出形材から形成されたベア材よりなりかつ第1部材(21)の上側を覆う第2部材(22)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されかつ両部材(21)(22)の左右両端にろう付されたアルミニウム製左右両端部材(23)(24)とよりなり、右端部材(24)の外面に、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)に跨るように、前後方向に長いアルミニウム製のジョイントプレート(25)がろう付されている。ジョイントプレート(25)に、冷媒入口管(8)および冷媒出口管(9)が接続されている。
第1部材(21)は、冷媒入口ヘッダ部(5)の下部を形成する下方膨出状の第1ヘッダ形成部(26)と、冷媒出口ヘッダ部(6)の下部を形成する下方膨出状の第2ヘッダ形成部(27)と、第1ヘッダ形成部(26)の後側縁部と第2ヘッダ形成部(27)の前側縁部とを連結しかつ連結部(7)の下部を形成する連結壁(28)とよりなる。第1ヘッダ形成部(26)は、水平平坦状の底壁(29)と、底壁(29)の前後両側縁部に一体に形成された前後両側壁(31)(32)とからなる。前側壁(31)は、底壁(29)の前縁に連なりかつ上方に向かって前方に傾斜した傾斜部(31a)と、傾斜部(31a)の上縁に連なって上方に伸びた垂直部(31b)とよりなる。後側壁(32)は、底壁(29)の後縁に連なりかつ上方に向かって後方に傾斜している。前側壁(31)の上端は後側壁(32)の上端よりも上方に位置している。第2ヘッダ形成部(27)は、第1ヘッダ形成部(26)とは左右対称形であって、水平平坦状の底壁(33)と、底壁(33)の後側縁部および前側縁部に一体に形成された後側壁(34)および前側壁(35)とからなる。後側壁(34)は、底壁(33)の後縁に連なりかつ上方に向かって後方に傾斜した傾斜部(34a)と、傾斜部(34a)の上縁に連なった垂直部(34b)とよりなる。前側壁(35)は、底壁(33)の前縁に連なりかつ上方に向かって前方に傾斜している。後側壁(34)の上端は前側壁(35)の上端よりも上方に位置している。そして、第1ヘッダ形成部(26)の後側壁(32)上縁と第2ヘッダ形成部(27)の前側壁(35)上縁とが連結壁(28)により一体に連結されている。
第1部材(21)の両ヘッダ形成部(26)(27)に、それぞれ前後方向に長い複数の管挿通穴(36)が、左右方向に間隔をおきかつ左右方向に関して同一位置に来るように形成されている。第1ヘッダ形成部(26)の管挿通穴(36)は前側壁(31)の傾斜部(31a)から後側壁(32)にかけて形成され、第2ヘッダ形成部(27)の管挿通穴(36)は後側壁(34)の傾斜部(34a)から前側壁(35)にかけて形成されている。両ヘッダ形成部(26)(27)の管挿通穴(36)に、熱交換コア部(4)の前後両熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上端部が挿入され、第1部材(21)のろう材層を利用して第1部材(21)にろう付されており、これにより前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上端部が冷媒入口ヘッダ部(5)に、後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上端部が冷媒出口ヘッダ部(6)にそれぞれ連通状に接続されている。第1部材(21)の連結壁(28)に、左右方向に長い複数の排水用貫通穴(37)が左右方向に間隔をおいて形成されている。また、第1部材(21)の連結壁(28)に、複数の固定用貫通穴(38)が、排水用貫通穴(37)からずれた位置に来るように左右方向に間隔をおいて形成されている。ここでは、排水用貫通穴(37)と固定用貫通穴(38)とが交互に形成されている。
第2部材(22)は、冷媒入口ヘッダ部(5)の上部を形成する上方膨出状の第1ヘッダ形成部(41)と、冷媒出口ヘッダ部(6)の上部を形成する上方膨出状の第2ヘッダ形成部(42)と、第1ヘッダ形成部(41)の後側縁部と第2ヘッダ形成部(42)の前側縁部とを連結しかつ第1部材(21)の連結壁(28)にろう付されて連結部(7)の上部を形成する連結壁(43)とよりなる。第1ヘッダ形成部(41)および第2ヘッダ形成部(42)の横断面形状は、それぞれ下方に開口するとともに、前後方向中央部が上方に突出した横断面略U字状であり、前後両側壁(41a)(42a)と、前後両側壁(41a)(42a)の上端部どうしを一体に連結しかつ上方に突出した横断面円弧状の頂壁(41b)(42b)とを備えている。第1ヘッダ形成部(41)の前側壁(41a)の下端部内面に、下方に突出しかつ前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の前側縁部上端が当接するストッパ部(44)が、全長にわたって一体に形成されている。第2ヘッダ形成部(42)の後側壁(42a)の下端部内面に、下方に突出しかつ後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の後側縁部上端が当接するストッパ部(45)が、全長にわたって一体に形成されている。
第2部材(22)の第1ヘッダ形成部(41)のストッパ部(44)と後側壁(41a)の下端部とは、冷媒入口ヘッダ部(5)内を上下2つの空間(5a)(5b)に区画する水平な第1分流制御壁(41c)により連結されている。第1分流制御壁(41c)下面の後側縁部には、下方に突出しかつ前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の後側縁部上端が当接するストッパ部(46)が、全長にわたって一体に形成されている。また、第2部材(22)の第2ヘッダ形成部(42)のストッパ部(45)と前側壁(42a)の下端部とは、第1分流制御壁(41c)と同一高さ位置において、冷媒出口ヘッダ部(6)内を上下2つの空間(6a)(6b)に区画する水平な第2分流制御壁(42c)により連結されている。第2分流制御壁(42c)下面の前側縁部には、下方に突出しかつ後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の前側縁部上端が当接するストッパ部(47)が、全長にわたって一体に形成されている。第2部材(22)の4つのストッパ部(44)(45)(46)(47)の下面は同一高さ位置にある。
第2部材(22)の第1分流制御壁(41c)にはその左端から切り欠き(48)が形成されている。また、第1分流制御壁(41c)における切り欠き(48)寄りの部分および右端寄りの部分にはそれぞれ分流調整穴(49)が貫通状に形成されている。第2部材(22)の第2分流制御壁(42b)の後側部分における左右両端部を除いた部分には、左右方向に長い複数の長円形冷媒通過穴(51A)(51B)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されている。中央部の長円形冷媒貫通穴(51A)の長さは他の長円形冷媒貫通穴(51B)の長さよりも短く、隣り合う熱交換管(15)間に位置している。
第2部材(22)の連結壁(43)における第1部材(21)の排水用貫通穴(37)と合致した位置にそれぞれ左右方向に長い排水用貫通穴(52)が形成され、同じく連結壁(43)下面における第1部材(21)の固定用貫通穴(38)と合致した位置にそれぞれ固定用貫通穴(38)に嵌め入れられた複数の突起(53)が形成されている。第1部材(21)と第2部材(22)とは、突起(53)が固定用貫通穴(38)に挿通させられてかしめられることにより両部材(21)(22)が仮止めされた状態で、第1部材(21)のろう材層を利用して、両部材(21)(22)の第1ヘッダ形成部(26)(41)の前側壁(31)(41a)どうし、第2ヘッダ形成部(27)(42)の後側壁(34)(42a)どうし、および連結壁(28)(43)どうしがそれぞれろう付されている。
そして、第1部材(21)の第1ヘッダ形成部(26)と第2部材(22)の第1ヘッダ形成部(41)とによって、両端が開口した中空状の入口ヘッダ部本体(54)が形成され、第1部材(21)の第2ヘッダ形成部(27)と第2部材(22)の第2ヘッダ形成部(42)とによって、両端が開口した中空状の出口ヘッダ部本体(55)が形成されている。
左端部材(23)は、入口ヘッダ部本体(54)の左端開口を閉鎖する前キャップ(23a)と、出口ヘッダ部本体(55)の左端開口を閉鎖する後キャップ(23b)とが連結部(23c)を介して一体化されたものである。左端部材(23)の前キャップ(23a)には、入口ヘッダ部本体(54)内に嵌め入れられる右方突出部(56)が一体に形成され、同じく後キャップ(23b)には、出口ヘッダ部本体(55)の第2分流制御壁(42b)よりも上側の空間(6a)内に嵌め入れられる上側右方突出部(57)と、第2分流制御壁(42b)よりも下側の空間(6b)内に嵌め入れられる下側右方突出部(58)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。また、左端部材(23)の前後両側縁と上縁および下縁との間の連接部に、それぞれ右方に突出して両部材(21)(22)に係合する係合爪(59)が一体に形成されている。左端部材(23)は、自身のろう材層を利用して両部材(21)(22)にろう付されている。そして、第1分流制御壁(41c)の切り欠き(48)の左端開口が左端部材(23)の前キャップ(23a)により閉じられ、これにより入口ヘッダ部(5)の上下両空間(5a)(5b)を左端部において相互に連通させる連通穴(61)が形成されている。なお、ここでは連通穴(61)は、切り欠き(48)の左端開口を左端部材(23)の前キャップ(23a)により閉じることによって形成されているが、これに代えて、切り欠きを形成せず、第1分流制御壁(41c)の左端部に貫通穴を形成することにより連通穴が設けられていてもよい。
右端部材(24)は、入口ヘッダ部本体(54)の右端開口を閉鎖する前キャップ(24a)と、出口ヘッダ部本体(55)の右端開口を閉鎖する後キャップ(24b)とが連結部(24c)を介して一体化されたものである。右端部材(24)の前キャップ(24a)には、入口ヘッダ部本体(54)の第1流制御壁(41c)よりも上側の空間(5a)内に嵌め入れられる上側左方突出部(62)と、第1分流制御壁(41c)よりも下側の空間(5b)内に嵌め入れられる下側左方突出部(63)とが上下に間隔をおいて一体に形成され、同じく後キャップ(24b)には、出口ヘッダ部本体(55)の第2分流制御壁(42b)よりも上側の空間(6a)内に嵌め入れられる上側左方突出部(64)と、第2分流制御壁(42b)よりも下側の空間(6b)内に嵌め入れられる下側左方突出部(65)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。右端部材(24)の前キャップ(24a)の上側左方突出部(62)の突出端壁に冷媒入口(66)が形成され、同じく後キャップ(24b)の上側左方突出部(64)の突出端壁に冷媒出口(67)が形成されている。右端部材(24)の前後両側縁と上縁との間の連接部、前キャップ(24a)の下縁部および後キャップ(24b)の下縁部に、それぞれ左方に突出して両部材(21)(22)に係合する係合爪(68)が一体に形成されている。
また、右端部材(24)の連結部(24c)の上端における前後方向の中央部に上方に突出した第1係合雄部(71)が一体に形成され、同じく連結部(24c)の下端における前後方向の中央部に下方に突出した第2係合雄部(72)が一体に形成されている。第2係合雄部(72)は、エバポレータ(1)を製造するにあたって、右端部材(24)をジョイントプレート(25)に組み合わせる前の状態においては、右側方に突出している。さらに、右端部材(24)の下縁部の前後両端部には、それぞれ切り欠き(80)が形成されている。右端部材(24)は、自身のろう材層を利用して両部材(21)(22)にろう付されている。
ジョイントプレート(25)は、アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより形成されたものであって、右端部材(24)の冷媒入口(66)に通じる短円筒状冷媒流入口(73)と、同じく冷媒出口(67)に通じる短円筒状冷媒流出口(74)とを備えている。冷媒流入口(73)および冷媒流出口(74)は、それぞれ円形貫通穴と、貫通穴の周囲に右方突出状に一体に形成された短円筒状部とよりなる。
ジョイントプレート(25)における冷媒流入口(73)と冷媒流出口(74)との間の部分には、上下方向に伸びる短絡防止用のスリット(75)が形成されるとともに、スリット(75)の上下両端に連なって略台形状の貫通穴(76)(77)が形成されている。また、ジョイントプレート(25)における上側貫通穴(76)の上方部分および下側貫通穴(77)の下方部分は、それぞれ左方に突出するようにU字状に屈曲されて第1および第2係合雌部(78)(79)が形成されている。第1係合雌部(78)には、右端部材(24)の第1係合雄部(71)が下方から挿通させられて第1係合雌部(78)に係合させられているとともに、第2係合雌部(79)には、右端部材(24)の第2係合雄部(72)が上方から挿通させられて第2係合雌部(79)に係合させられている。右端部材(24)の第2係合雄部(72)は、右側方に突出した状態で下側の貫通穴(77)に通された後に下方に曲げられることによって、第2係合雌部(79)に上方から挿通させられることになる。また、第1係合雌部(78)は、右端部材(24)の連結部(24c)における第1係合雄部(71)の前後両側部分に係合している。さらに、ジョイントプレート(25)の下縁の前後両端部には、それぞれ左方に突出した係合爪(81)が一体に形成されているとともに、この係合爪(81)が右端部材(24)の下縁に形成された切り欠き(80)内に嵌った状態で右端部材(24)に係合している。このように、ジョイントプレート(25)は、左右方向、上下方向および前後方向の移動が阻止されるように右端部材(24)に係合させられた状態で、右端部材(24)のろう材層を利用して右端部材(24)にろう付されている。
ジョイントプレート(25)の冷媒流入口(73)に、冷媒入口管(8)の一端部に形成された縮径部が差し込まれてろう付され、同じく冷媒流出口(74)に、冷媒出口管(9)の一端部に形成された縮径部が差し込まれてろう付されている。図示は省略したが、冷媒入口管(8)および冷媒出口管(9)の他端部には、両管(8)(9)に跨るように膨張弁取付部材が接合されている。
図2、図3、図6および図7に示すように、冷媒ターン用ヘッダタンク(3)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつすべての熱交換管(15)が接続されたプレート状の第1部材(82)(構成部材)と、アルミニウム押出形材から形成されたベア材よりなりかつ第1部材(82)の下側を覆う第2部材(83)(構成部材)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつ両部材(82)(83)の左右両端にろう付されたアルミニウム製左右両端部材(84)(85)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成され、かつ右端部材(85)の外面に、第1中間ヘッダ部(11)および第2中間ヘッダ部(12)にまたがるようにろう付された前後方向に長い連通部材(86)とよりなり、連通部材(86)を介して第1中間ヘッダ部(11)と第2中間ヘッダ部(12)とが右端部で相互に通じさせられている。
第1部材(82)は、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第1部材(21)と同一形状であって、両部材(21)(82)は上下逆向きに配置されている。冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の第1部材(82)において、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第1部材(21)との同一部分には同一符号を付して説明を省略する。ここで、第1ヘッダ形成部(26)は第1中間ヘッダ部(11)の上部を形成し、第2ヘッダ形成部(27)は第2中間ヘッダ部(12)の上部を形成する。また、第1部材(82)の第1ヘッダ形成部(26)の後側壁(32)と第2ヘッダ形成部(27)の前側壁(35)と連結壁(28)とによって、両側面が上方に向かって前後方向外方に傾斜した排水樋(14)が形成されている。
第2部材(83)は、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第2部材(22)とほぼ同一形状であって同一の押出形材から形成されており、両部材(83)(22)は上下逆向きに配置されている。冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の第2部材(83)における冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第2部材(22)との相違点は、第1分流制御壁(41c)が全体に切除されている点と、第2分流制御壁(42c)の後側部分に、長円形冷媒通過穴(51A)(51B)の代わりに、複数の円形冷媒通過穴(87)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されており、隣り合う円形冷媒通過穴(87)間の間隔が右端部から遠ざかるにつれて徐々に大きくなっている点である。なお、隣り合う円形冷媒通過穴(87)間の間隔は、すべて等しくなっていてもよい。冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の第2部材(83)において、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第2部材(22)との同一部分には同一符号を付して説明を省略する。そして、第2分流制御壁(42c)により、第2中間ヘッダ部(12)内が上下2つの空間(12a)(12b)に区画されている。
第1部材(82)と第2部材(83)とは、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第1部材(21)および第2部材(22)と同様にしてろう付されている。また、第1部材(21)の管挿通穴(36)に熱交換コア部(4)の前後両熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が挿入され、第1部材(82)のろう材層を利用して第1部材(82)にろう付されており、これにより前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が第1中間ヘッダ部(11)に、後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が第2中間ヘッダ部(12)にそれぞれ連通状に接続されている。
そして、第1部材(82)の第1ヘッダ形成部(26)と第2部材(83)の第1ヘッダ形成部(41)とによって、両端が開口した中空状の第1中間ヘッダ部本体(88)が形成され、第1部材(82)の第2ヘッダ形成部(27)と第2部材(83)の第2ヘッダ形成部(42)とによって、両端が開口した中空状の第2中間ヘッダ部本体(89)が形成されている。したがって、第1中間ヘッダ部(11)と第2中間ヘッダ部(12)とが一体化されて冷媒ターン用ヘッダタンク(3)が形成されており、両中間ヘッダ部本体(88)(89)が、上下方向(熱交換管(15)の長さ方向)に分割された2つの部材(82)(83)により形成されている。
左端部材(84)は、第1中間ヘッダ部本体(88)の左端開口を閉鎖する前キャップ(84a)と、第2中間ヘッダ部本体(89)の左端開口を閉鎖する後キャップ(84b)とが連結部(84c)を介して一体化されたものであり、前キャップ(84a)には、第1中間ヘッダ部本体(88)内に嵌め入れられる右方突出部(91)が一体に形成され、同じく後キャップ(84b)には、第2中間ヘッダ部本体(89)の第2分流制御壁(42c)よりも上側の空間(12a)内に嵌め入れられる上側右方突出部(92)と、第2分流制御壁(42c)よりも下側の空間(12b)内に嵌め入れられる下側右方突出部(93)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。また、左端部材(84)の前後両側縁と上縁および下縁との間の連接部に、それぞれ右方に突出して両部材(82)(83)に係合する係合爪(94)が一体に形成されている。左端部材(84)は、自身のろう材層を利用して両部材(82)(83)にろう付されている。
右端部材(85)は、第1中間ヘッダ部本体(88)の右端開口を閉鎖する前キャップ(85a)と、第2中間ヘッダ部本体(89)の右端開口を閉鎖する後キャップ(85b)とが連結部(85c)を介して一体化されたものであり、前キャップ(85a)には、第1中間ヘッダ部本体(88)内に嵌め入れられる左方突出部(95)が一体に形成され、同じく後キャップ(85b)には、第2中間ヘッダ部本体(89)の第2分流制御壁(42c)よりも上側の空間(12a)内に嵌め入れられる上側左方突出部(96)と、第2分流制御壁(42c)よりも下側の空間(12b)内に嵌め入れられる下側左方突出部(97)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。また、右端部材(85)の前キャップ(85a)の上縁および後キャップ(85b)の上縁には、それぞれ切り欠き(98)が形成されている。
右端部材(85)の前キャップ(85a)の左方突出部(95)の突出端壁に、第1中間ヘッダ部(11)から冷媒を流出させる冷媒流出口(104)が形成され、同じく後キャップ(85b)の下側左方突出部(97)の突出端壁に、第2中間ヘッダ部(12)の第2分流制御壁(42c)よりも下側の空間(12b)内に冷媒を流入させる冷媒流入口(105)が形成されている。また、後キャップ(85b)の下側左方突出部(97)における冷媒流入口(105)の周縁部の下側部分に、第2中間ヘッダ部(12)内方に向かって上方に傾斜または湾曲、ここでは湾曲したガイド部(106)が一体に形成されている。右端部材(85)は、自身のろう材層を利用して両部材(82)(83)にろう付されている。
図8〜図10に示すように、連通部材(86)は左右方向外方から見て右端部材(85)とほぼ同形同大であり、右端部材(85)の前キャップ(85a)から後キャップ(85b)に至り、かつ内部が冷媒流出口(104)と冷媒流入口(105)とを通じさせる連通路(108)となった外方膨出部(107)(左右方向外方への膨出部)を有している。なお、右端部材(85)の前キャップ(85a)および後キャップ(85b)における切り欠き(98)が形成された上端部が、連通部材(86)の上縁よりも上方に突出しており、両部材(85)(86)はこの部分の形状のみが異なっている。
連通部材(86)の上縁の前後両端部に、それぞれ左右方向内方(冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の長さ方向内方)に突出し、右端部材(85)の切り欠き(98)を通るとともに、両中間ヘッダ部本体(88)(89)に至る係合爪(111)が形成されており、係合爪(111)は右端部材(85)と、両中間ヘッダ部本体(88)(89)、すなわち第1部材(82)の第1ヘッダ形成部(26)および第2ヘッダ形成部(27)の頂壁(29)(33)に係合した状態で、自身のろう材層を利用して右端部材(85)および第1部材(82)の両ヘッダ形成部(26)(27)の頂壁(29)(33)にろう付されている。また、連通部材(86)の下縁と前後両縁との間の湾曲部に、それぞれ左右方向内方(冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の長さ方向内方)に突出し、両中間ヘッダ部本体(88)(89)に至る係合爪(112)が形成されており、係合爪(112)は右端部材(85)と、両中間ヘッダ部本体(88)(89)、すなわち第2部材(83)の第1ヘッダ形成部(41)および第2ヘッダ形成部(42)の底壁(41b)(42b)に係合した状態で、自身のろう材層を利用して右端部材(85)および第2部材(83)の両ヘッダ形成部(41)(42)の底壁(41b)(42b)にろう付されている。
上述したエバポレータ(1)は、入口管(8)および出口管(9)を除いたすべての部品を組み合わせて仮止めし、仮止めした全部品を一括ろう付されることにより製造される。
エバポレータ(1)を製造するにあたって、冷媒ターン用ヘッダタンク(3)を形成する第1部材(82)、第2部材(83)、左右両端部材(84)(85)および連通部材(86)の仮止めは、以下に述べる方法で行われる。
まず、第2部材(22)の突起(53)を第1部材(21)の固定用貫通穴(38)に挿通させてかしめることにより両部材(21)(22)を仮止めする。両部材(21)(22)の仮止め体は、両端が開口した筒状の第1中間ヘッダ部本体(88)および第2中間ヘッダ部本体(89)を備えている。ついで、左端部材(84)の前キャップ(84a)の右方突出部(91)を第1中間ヘッダ部本体(88)内に嵌め入れるとともに、後キャップ(84b)の上側右方突出部(92)を第2中間ヘッダ部本体(89)の第2分流制御壁(42c)よりも上側の空間(12a)内に、同じく下側右方突出部(93)を下側の空間(12b)内にそれぞれ嵌め入れる。ついで、上側の係合爪(94)を下方にかしめるとともに、下側の係合爪(94)を上方にかしめることにより、左端部材(84)を第1部材(82)と第2部材(83)との仮止め体に仮止めする。
ついで、右端部材(85)の前キャップ(85a)の左方突出部(95)を第1中間ヘッダ部本体(88)内に嵌め入れるとともに、後キャップ(85b)の上側左方突出部(96)を第2中間ヘッダ部本体(89)の第2分流制御壁(42c)よりも上側の空間(12a)内に、同じく下側左方突出部(97)を下側の空間(12b)内に嵌め入れる。ついで、連通部材(86)を右端部材(85)に沿わせ、上側の係合爪(111)を右端部材(85)の切り欠き(98)に通して右端部材(85)に係合させるとともに、両中間ヘッダ部本体(88)(89)、すなわち第1部材(82)の第1ヘッダ形成部(26)および第2ヘッダ形成部(27)の頂壁(29)(33)に係合させる。これと同時に、下側の係合爪(112)を右端部材(85)に係合させるとともに、両中間ヘッダ部本体(88)(89)、すなわち第2部材(83)の第1ヘッダ形成部(41)および第2ヘッダ形成部(42)の底壁(41b)(42b)に係合させる。その後、上側の係合爪(111)を下方にかしめるとともに、下側の係合爪(112)を上方にかしめることにより、右端部材(85)および連通部材(86)を第1部材(82)と第2部材(83)との仮止め体に仮止めする。
こうして、冷媒ターン用ヘッダタンク(3)を形成する第1部材(82)、第2部材、左右両端部材(84)(85)および連通部材(86)が仮止めされる。
エバポレータ(1)は、コンプレッサおよび冷媒冷却器としてのコンデンサとともに、フロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
上述したエバポレータ(1)においては、コンプレッサのオン時には、コンプレッサ、コンデンサおよび膨張弁を通過した気液混相の2相冷媒が、冷媒入口管(8)からジョイントプレート(25)の冷媒流入口(73)および右端部材(24)の前キャップ(24a)の冷媒入口(66)を通って冷媒入出用ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)の上側空間(5a)内に入る。冷媒入口ヘッダ部(5)の上側空間(5a)内に入った冷媒は左方に流れ、連通穴(61)を通って下側空間(5b)内に入るとともに、第1分流制御壁(41c)の分流調整穴(49)を通って下側空間(5b)内に入る。
下側空間(5b)内に入った冷媒は、分流して前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の冷媒通路内に流入する。熱交換管(15)の冷媒通路内に流入した冷媒は、冷媒通路内を下方に流れて冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(11)内に入る。第1中間ヘッダ部(11)内に入った冷媒は、第1中間ヘッダ部(11)内を右方に流れ、右端部材(85)の前キャップ(85a)の冷媒流出口(104)、連通部材(86)の外方膨出部(107)内の連通路(108)および後キャップ(85b)の冷媒流入口(105)を通ることにより、流れ方向を変えるようにターンして第2中間ヘッダ部(12)の下側空間(12b)内に入る。
第2中間ヘッダ部(12)の下側空間(12b)内に入った冷媒は左方に流れ、第2分流制御壁(42c)の円形冷媒通過穴(87)を通って上側空間(12a)内に入り、分流して後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の冷媒通路内に流入する。熱交換管(15)の冷媒通路内に流入した冷媒は、流れ方向を変えて冷媒通路内を上方に流れて冷媒出口ヘッダ部(6)の下側空間(6b)内に入り、第2分流制御壁(42c)の冷媒通過穴(51A)(51B)を通って上側空間(6a)内に入る。
冷媒出口ヘッダ部(6)の上側空間(6a)内に入った冷媒は右方に流れ、右端部材(24)の後キャップ(26b)の冷媒出口(67)およびジョイントプレート(25)の冷媒流出口(74)を通り、冷媒出口管(9)に流出する。
そして、冷媒が前後両熱交換管群(16)の熱交換管(15)の冷媒通路を流れる間に、熱交換コア部(4)の通風間隙を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
上記実施形態においては、冷媒入出用ヘッダタンク(2)が上、冷媒ターン用ヘッダタンク(3)が下となっているが、これとは逆に、冷媒入出用ヘッダタンク(2)が下、冷媒ターン用ヘッダタンク(3)が上にくるように用いられる場合がある。また、上記実施形態においては、両ヘッダタンク(2)(3)の冷媒入口ヘッダ部(5)と第1中間ヘッダ部(11)との間、および冷媒出口ヘッダ部(6)と第2中間ヘッダ部(12)との間にそれぞれ1つの熱交換管群(16)が設けられているが、これに限るものではなく、両ヘッダタンク(2)(3)の冷媒入口ヘッダ部(5)と第1中間ヘッダ部(11)との間、および冷媒出口ヘッダ部(6)と第2中間ヘッダ部(12)との間にそれぞれ1または2以上の熱交換管群(16)が設けられていてもよい。
さらに、上記実施形態においては、この発明による熱交換器が、フロン系冷媒を使用するカーエアコンのエバポレータに適用されているが、これに限定されるものではなく、コンプレッサ、冷媒冷却器としてのガスクーラ、中間熱交換器、膨張弁およびエバポレータを有しかつCO2冷媒のような超臨界冷媒を使用するカーエアコンを備えた車両、たとえば自動車において、カーエアコンのエバポレータに適用されることがある。