以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、図1,2に示すように、インストルメントパネル(以下、「インパネ」と省略する)4の下部側に装着されたグラブボックス13のグラブドア20内に搭載されて、助手席に着座した乗員Mの前方側に配設される膝保護用エアバッグ装置S1を例に採り、説明する。
なお、本明細書では、左右、前後、上下の各方向に関し、特に断らない限り、膝保護用エアバッグ装置S1を搭載したグラブドア20がグラブボックス13の開口14aを閉じている傾斜した状態(上端20a側を下端20b側より水平方向に沿って前方側に配置させた状態、図2参照)を基準とするもので、左右方向は、直進時の車両の左右方向に対応し、前後方向は、直進時の車両の前後の方向であって、グラブドア20の厚さ方向TDに沿う方向を基準とし、上下方向VDは、直進時の車両の上下の方向であって、グラブドア20の厚さ方向TDと直交する方向を基準とするものである(図3参照)。
第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1が配設されるグラブボックス13は、ボックスタイプ(若しくはドアタイプ)として、ポリプロピレン等の硬質合成樹脂から形成されるボックス本体14と、ボックス本体14の後部側の開口14aを開閉可能に塞ぐグラブドア20と、を備えて構成されている。ボックス本体14は、図2に示すように、下壁15、下壁15の上方で下壁15に対向するように配設される上壁16、下壁15と上壁16との左右両端を相互に連結して相互に左右方向で対向する左右の側壁17,17、及び、前壁18、を備えて、後部側に長方形状の開口14aを有した略直方体の箱形状としている。前壁18は、下壁15、上壁16、及び、左右の側壁17,17の前縁側に連結されて、開口14aに対向するように、略上下方向に沿って配設されている。そして、左右の側壁17,17には、下端の後端側に、グラブドア20の開閉時のヒンジ部を構成するヒンジピン19が配設されるとともに、ボディ1側に固定される図示しないブラケット部が配設されている。また、左右の側壁17には、上端の後端側に、グラブドア20を閉じた際にグラブドア20から突出するラッチを係止する図示しない係止凹部も、形成されている。
なお、上壁16には、インパネ4の連結部4aにボルト5止めされる連結片16aが配設されている。このボルト5止め部位は、装飾パネル6によって覆われている。また、グラブボックス13の下方には、アンダーカバー11が配設されている。
グラブドア20は、ボックス本体14の開口14aを閉じた際に、図示しないラッチを、ばね等の付勢手段により、左右の側壁17,17の係止凹部に挿入させることにより、略上下方向に沿って開口14aを塞いだ状態を維持されることとなる。そして、レバー36(図1参照)を引いて、ラッチを係止凹部から離脱させるように引き込ませれば、グラブドア20の上端20a側を、ヒンジピン19に軸支された下端20b側を回転中心として、後方側に回転させることができて、グラブドア20が開き、開口14aを開口させることとなる(図2の二点鎖線参照)。なお、グラブドア20の開き時には、下端20b付近に設けられた図示しない突片が、ボックス本体14に設けられたストッパに当接して、開き前の前面20c側を略水平方向に沿わせるようにして、配置されることとなる。また、ヒンジピン19の周囲には、グラブドア20の急激な開きを規制するダンパ機構が配設されている。
ちなみに、上記のヒンジピン19、レバー36、図示しないラッチ、突片、ストッパ、ダンパ機構等は、この種のグラブボックスにおいて公知の構成である。
実施形態のグラブドア20は、図2〜4に示すように、開口14aを閉口させるように閉じた際の後面20d側のアウタパネル部21と、前面20c側のインナパネル部27と、の間に、膝保護用エアバッグ装置S1を配設させている。実施形態の場合、アウタパネル部21とインナパネル部27とは、外周縁の端部を相互に突き合わせるように、上下方向に略沿って前後方向で相互に対向するように配設されるもので、それぞれの外表面側には、ひけや見切り線を覆うように、意匠性を考慮して、不織布やファブリック等からなる表皮37,38が貼着されている(図4参照)。
アウタパネル部21は、図4に示すように、グラブドア20の後面20d側における外表面側に配置されるもので、フィラー入りのポリプロピレン等の硬質合成樹脂から形成されている。アウタパネル部21における膝保護用エアバッグ装置S1の上下の部位には、インナパネル部27側に延びてインナパネル部27側に固着される多数の板状若しくは棒状の補強リブ22が、配設されている(図4参照)。また、アウタパネル部21における膝保護用エアバッグ装置S1の後方側の領域には、それぞれ、長方形板状とした上ドア部23と下ドア部24とが配設されている。上ドア部23と下ドア部24とには、周囲に、膨張するエアバッグ66に押されて破断する薄肉の破断予定部25が、形成されている。破断予定部25は、アウタパネル部21の前面側に、連続的若しくは断続的に形成される凹溝から構成されるもので、後方から見て、略「日」の字形状に形成されている(図1参照)。そして、上ドア部23は、前面側を後述するハウジング部31の上ドア部33に溶着され、膨張するエアバッグ66に押された際、破断予定部25を破断させて、周囲から分離されて、上ドア部33とともに、上開きで開くように構成されている。下ドア部24は、上ドア部23の下方に配置されて、前面側をハウジング部31の下ドア部34に溶着され、膨張するエアバッグ66に押された際、破断予定部25を破断させて、周囲から分離されて、下ドア部34とともに、下開きで開くように構成されている。
インナパネル部27は、図4に示すように、膝保護用エアバッグ装置S1の前方側に配置されるカバーパネル29と、その周囲のグラブドア20の前面側に配置される前面壁部28と、を備えて構成されている。カバーパネル29は、フィラー入りのポリプロピレン等の硬質合成樹脂から形成され、前面壁部28は、オレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成されている。実施形態の場合、アウタパネル部21とインナパネル部27とは、補強リブ22、上ドア部23、及び、下ドア部24の部位を利用した振動溶着により、結合され、カバーパネル29は、膝保護用エアバッグ装置S1をグラブドア20内に搭載した際に、適宜、接着剤やファスナ構造等を利用して、前面壁部28の結合溝28aに嵌合させて、前面壁部28に結合されている。なお、カバーパネル29は、前面壁部28に結合された際、前面壁部28とともに、グラブドア20の前面20c側を面一とするように、設定されている。
前面壁部28は、図4に示すように、膝保護用エアバッグ装置S1の上下左右と後方側とを覆うハウジング部31を、備える構成とされている。ハウジング部31は、膝保護用エアバッグ装置S1の上下左右を覆う筒状の周壁部32を備え、周壁部32の上下で対向する上壁部32aと下壁部32bとには、上下方向に貫通する複数の係止孔32cが、左右方向に沿って並設されている。これらの係止孔32cには、膝保護用エアバッグ装置S1のケース46の各係止爪49a,50aが挿入されて、係止爪49a,50aに周縁を係止されることとなる。
ハウジング部31における膝保護用エアバッグ装置S1の後方側には、上ドア部23や下ドア部24と同様に、それぞれ長方形板状とした上ドア部33と下ドア部34とが配設されている。上ドア部33は、上端側に開き時のヒンジ部33aとなるU字状に湾曲した部位を設けて、上開きで開くように構成されている。下ドア部34は、上ドア部33の下方に配設されるもので、下端側に開き時のヒンジ部34aとなるU字状に湾曲した部位を設けて、下開きで開くように構成されている。破断予定部35は、後方から見て、一文字状に形成されている。そして、上ドア部33と下ドア部34との左右両側は、ハウジング部31の周壁部32と分離されている。なお、上ドア部33の下端と下ドア部34の上端との間には、破断予定部35を設けずに、予め、隙間を設けるようにして、上下に分離させておいてもよい。
膝保護用エアバッグ装置S1は、図3〜5に示すように、エアバッグ66、インフレーター54、ケース46、及び、エアバッグカバー40、を備えて構成されている。なお、実施形態の場合、膝保護用エアバッグ装置S1は、助手席に着座した乗員Mの膝Kの前方において、膝頭と対向するような位置に、搭載されている。
エアバッグカバー40は、グラブドア20の後面20d側に配置される扉配設部41と、ケース46の周壁部48の周囲に配置される周壁部44と、を備えて構成されている。扉配設部41は、アウタパネル部21とインナパネル部27のハウジング部31との上ドア部23,33や下ドア部24,34、及び、その周縁の破断予定部25,35やヒンジ部33a,34a付近から構成されている。そして、このエアバッグカバー40の扉配設部41は、振動溶着により一体的に結合された上ドア部23,33相互からなる上扉部42と、振動溶着により一体的に結合された下ドア部24,34相互からなる下扉部43と、を備えて構成されている。そして、膨張するエアバッグ66に押されれば、図4の二点鎖線に示すように、上扉部42は、上ドア部23,33の周囲の破断予定部25,35を破断させて、上ドア部33のヒンジ部33aを回転中心として、上開きで開き、下扉部43は、下ドア部24,34の周囲の破断予定部25,35を破断させて、下ドア部34のヒンジ部34aを回転中心として、下開きで開くこととなる。エアバッグカバー40の周壁部44は、ハウジング部31の周壁部32から構成されている。
ケース46は、エアバッグ66の収納部位を構成するもので、折り畳まれたエアバッグ66とインフレーター54とを収納してグラブドア20内に取り付けられて、後部側にエアバッグ66の突出用開口46aを設けた箱形状としている。実施形態の場合、ケース46は、左右方向に沿った長尺状として、かつ、厚さ寸法を薄くした扁平な直方体形状とされるもので、板金素材をプレス加工して形成されて、略四角筒形状の周壁部48と、周壁部48の前面側を塞ぐように配置される前面壁47と、を備えて構成されている。
前面壁47は、略上下方向に沿って配設されるもので、実施形態の場合、周壁部48の上壁49近傍となる上端近傍部位に、後方側に向かって略「く」字形状に突出する突出部位47aを有し、この突出部位47aにおける下側の壁部を取付壁部47bとして、インフレーター54を取り付ける構成とされている。この突出部位47aは、前面壁47における左右の全域にわたって形成されるもので、ケース46の強度補強のために、配設されている。また、取付壁部47bには、インフレーター54の固定ボルト63を挿通可能な複数の挿通孔47cが、形成されている。周壁部48における上下で対向する上壁49及び下壁50には、インナパネル部27におけるハウジング部31の上壁部32aと下壁部32bとに設けられた係止孔32cに挿入されて、係止孔32cの周縁を係止する係止爪49a,50aが、形成されている。また、周壁部48における左右で対向する左壁51及び右壁52の所定箇所には、図示しないが、ケース46をアウタパネル部21に固定するための取付片が、形成されている。また、右壁52には、インフレーター54の本体部55の元部側の端部(元部端56a)をケース46から突出させる挿通孔52aが、形成されている(図5参照)。
エアバッグ66に膨張用ガスを供給するインフレーター54は、図4,5に示すように、外形形状を略円柱状として、軸方向を左右方向に沿わせるようにしてエアバッグ66内に配設されている。実施形態の場合、インフレーター54は、エアバッグ66における後述する膝保護エリア68の領域内に、配設されている。インフレーター54は、略円柱状の本体部55と、本体部55をケース46に固定する固定部59と、を備えている。本体部55は、略円柱状の大径部56と、大径部56の先端側に形成されて大径部56より小径とされる小径部57と、を備えて構成され、小径部57に、インフレーター54の作動時に膨脹用ガスを吐出する複数のガス吐出口57aを配設させている。大径部56における小径部57から離れた元部端56aの端面には、図5に示すように、所定のエアバッグ作動回路から延びるリード線RのコネクタCを結合させた図示しないターミナルが、配設されている。
固定部59は、実施形態の場合、本体部55の二倍弱の長さ寸法として左右方向に沿って延びる略長方形板状のベース部60と、本体部55における元部端56a近傍の外周側を固定する円環状のベルト部61と、本体部55における小径部57の外周側を覆うように配置される筒状のカバー部62と、を備えて構成され、ベース部60には、複数の固定ボルト63が、配設されている。実施形態の場合、ベース部60は、左右方向の幅寸法を、ケース46の左右方向の幅寸法より、若干、小さくするように、構成されて、固定ボルト63は、ベース部60における左右両端付近と左右方向の中央付近との3箇所に、配設されている。そして、実施形態の場合、インフレーター54とエアバッグ66とは、インフレーター54を膝保護エリア68の領域の内部に配置させたエアバッグ66を、エアバッグ66から突出している固定ボルト63を挿通孔47cから突出させるようにして、ケース46内に収納させ、挿通孔47cから突出している各固定ボルト63にナット64を締結させることにより、ケース46に取り付けられている。
エアバッグ66は、実施形態の場合、内部に膨脹用ガスを流入させて膨張可能な袋状のバッグ本体67と、バッグ本体67内に配置される展開抑制材ECとしての内テザー76と、を備えている。
バッグ本体67は、膨張完了時に、図1,3の二点鎖線に示すように、グラブドア20の後面20d側に設けられる上扉部42と下扉部43とが開いて形成される突出用開口46aから後方に突出して、グラブドア20の後面20dに沿うように膨張を完了させるもので、図6に示すように、膨張完了形状を、乗員Mの左右の膝Kを保護可能に、左右方向の幅寸法を大きくした横長の略長方形板状として、構成されている。詳細には、バッグ本体67は、膨張完了形状を、上側を幅広とした略台形形状とされている。また、バッグ本体67は、図6〜8に示すように、膨張完了時に、上端67a側に配置されて乗員Mの膝Kを保護する膝保護エリア68と、膝保護エリア68の下方に配置されて乗員Mの脛Lを保護する脛保護エリア69と、を備えている。実施形態の場合、膝保護エリア68と脛保護エリア69とは、内テザー76により区画されており、内テザー76は、バッグ本体67を平らに展開した状態において、上下方向の中央よりやや下方となる位置に、配置されている。すなわち、膝保護エリア68は、平らに展開した状態において、上下左右の幅寸法を、それぞれ、脛保護エリア69の上下左右の幅寸法より大きくするように、構成されている。
また、バッグ本体67は、図6〜8に示すように、相互に対向するように配置されて、膨張完了時に乗員M側となる乗員側壁部71と、膨張完了時にグラブドア20側となる車体側壁部72と、を備えている。実施形態の場合、バッグ本体67は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されており、外形形状を略同一とした乗員側壁部71と車体側壁部72との外周縁相互を縫着(結合)させて構成されている。車体側壁部72において、膝保護エリア68を構成する領域となる上下の中央付近であって、右縁付近となる部位には、インフレーター54における本体部55の元部端56aを突出可能な挿入孔73が、形成され、挿入孔73の左側の領域には、インフレーター54における固定部59の固定ボルト63を突出可能な複数の挿通孔74(実施形態の場合、3個)が、左右方向に沿って並設されている。すなわち、実施形態のバッグ本体67は、膝保護エリア68内にインフレーター54を収納させており、膝保護エリア68が、インフレーター54から吐出される膨張用ガスの上流側として、脛保護エリア69よりも、先に内部に膨張用ガスを流入させる構成とされている。
展開抑制材ECを構成する内テザー76は、バッグ本体67と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されている。内テザー76は、実施形態の場合、図6〜8に示すように、バッグ本体67内において、膝保護エリア68と脛保護エリア69とを区画するように、左右方向に沿って配置されるもので、膝保護エリア68と脛保護エリア69とを左右の略全域にわたって区画可能な長さ寸法に設定された帯状として、構成されている。実施形態の場合、内テザー76は、挿入孔73及び挿通孔74の近傍となる下方に、配設されている。詳細には、内テザー76は、バッグ本体67内に配置可能に、左右方向の長さ寸法を、平らに展開したバッグ本体67の幅寸法より若干小さく設定されて、幅方向側の両縁(前後の両縁)(連結縁76b,76c)のみを、バッグ本体67(乗員側壁部71,車体側壁部72)に縫着(結合)されている。また、内テザー76は、図9に示すように、左右方向(長さ方向)の中央付近であって、幅方向の中央付近に、長手方向を左右方向に沿わせた略長円状に開口したガス流出孔77を、有している。また、内テザー76の左右両端近傍であって、幅方向の中央付近には、それぞれ、円形に開口した補助流通孔78が、形成されている。各補助流通孔78は、開口面積を、ガス流出孔77より小さく設定されている。
そして、実施形態の場合、内テザー76は、連結縁76b,76c相互を一致させるように、長さ方向側に沿った折目を付けて二つ折りされた状態で、連結縁76b,76c近傍となる部位を、縫合糸T1を用いて縫着された状態で、バッグ本体67内に、配置されている。内テザー76を構成する基布76a,76a相互を縫着させる仮結合部位80は、図6,9に示すように、連結縁76b,76c近傍において、左右方向(長さ方向)の略全域にわたって配置されるとともに、左右方向(長さ方向)に沿った直線状として、両端を、連結縁76b,76c側に向けるように湾曲させた形状とされている。この仮結合部位80は、両端側に設けられた湾曲部位80a,80aの先端80b,80bを、バッグ本体67の左縁67c及び右縁67dや、内テザー76の各連結縁76b,76cを乗員側壁部71,車体側壁部72に縫着させている縫合部位81,81から、僅かに離すようにして、形成されている。仮結合部位80を構成する縫合糸T1は、バッグ本体67内に膨張用ガスが流入して、バッグ本体67の膨張完了前に、破断されて、仮結合部位80による内テザー76を構成する基布76a,76a相互の縫着状態を解除可能な強度に設定されている。詳細には、バッグ本体67の展開膨張時において、内テザー76に、連結縁76b,76c相互を離隔させるような張力が作用すれば、仮結合部位80における各湾曲部位80a,80aの先端80b,80b近傍部位に応力集中が生じ、この先端80b,80b側を構成している縫合糸T1が破断され、バッグ本体67の膨張に伴って、仮結合部位80が、破断された縫合糸T1を、順次、左右方向の中央側に向かって抜いたり、一度に複数箇所を破断させるようにして、内テザー76を構成する基布76a,76a相互の縫着状態を解除されることとなる。
すなわち、実施形態の内テザー76は、バッグ本体67の膨張初期においては、仮結合部位80により基布76a,76a相互を縫着されていることから、乗員側壁部71と車体側壁部72とを連結する連結部位の長さ(連結縁76b,76c間の離隔距離D1)を短くして、脛保護エリア69の厚さを規制し(図10のA参照)、バッグ本体67の膨張完了前に、仮結合部位80を構成する縫合糸T1を破断させて、基布76a,76a相互の縫着状態が解除されることから、乗員側壁部71と車体側壁部72とを連結する連結部位の長さ(連結縁76b,76c間の離隔距離D2)を長くすることとなって、脛保護エリア69の厚さ規制を解除されることとなる(図10のB参照)。すなわち、実施形態の内テザー76は、エアバッグ66(バッグ本体67)の膨張完了時にも、乗員側壁部71と車体側壁部72とを連結して膨張完了時の厚さを規制するもので(脛保護エリア69における膝保護エリア68との境界部位付近の厚さ寸法を離隔距離D2に規制するもので)、厚さ規制テザーとしての役目も果たしている。
さらに、実施形態の内テザー76は、左右方向の長さ寸法を、平らに展開したバッグ本体67の左右方向の幅寸法より若干小さく設定されて、膝保護エリア68と脛保護エリア69とを左右の略全域にわたって区画している構成である。また、実施形態では、縫合糸T1の破断前には、内テザー76に形成されるガス流出孔77は、仮結合部位80の下方に位置して閉塞されていることから、バッグ本体67の膨張初期において、縫合糸T1の破断前には、脛保護エリア69内にはほとんど膨張用ガスが流入しない。バッグ本体67の膨張完了前に、縫合糸T1が破断して、基布76a,76a相互の縫着状態が解除されれば、ガス流出孔77が開口されて、膝保護エリア68内に充満した膨張用ガスGが、ガス流出孔77を経て、脛保護エリア69内に流出されることとなる。なお、内テザー76の左右両端近傍に配置される補助流通孔78は、仮結合部位80における湾曲部位80aの近傍に形成されていることから、縫合糸T1の破断前にも閉塞されがたいが、開口面積を小さく設定されているため、仮に、縫合糸T1の破断前に、膝保護エリア68内に流入した膨張用ガスGが、補助流通孔78を経て、脛保護エリア69内に流入することとなっても、微量であり、脛保護エリア69を大きく膨張させるようなものではない。
次に、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1の車両への搭載について説明する。まず、固定ボルト63をエアバッグ66外に突出させるようにして、エアバッグ66内にインフレーター54の固定部59を収納し、エアバッグ66を折り畳む。このエアバッグ66の折り畳みは、車体側壁部72と乗員側壁部71とを重ねて平らに展開した状態から、上端67a側と下端67b側とをそれぞれ車体側壁部72側に向かって巻くようにロール折りして上下方向の幅寸法を縮め、さらに、左右方向の幅寸法を縮めるように、左右の縁を中央側に折り畳んで、行なわれる。そして、エアバッグ66の折り畳み完了後には、エアバッグ66の折り崩れを防止するように、図示しないラッピング材を周囲に巻いておく。
その後、各固定ボルト63を、ケース46における取付壁部47bの挿通孔47cから突出させつつ、折り畳まれたエアバッグ66をケース46内に収納させる。さらに、インフレーター54の本体部55を、ケース46の挿通孔52aを経て、エアバッグ66内に配置された固定部59のベルト部61内とカバー部62内とに挿入させて、各固定ボルト63にナット64を締結させれば、インフレーター54とエアバッグ66とをケース46に取り付けることができる。
次いで、ケース46を、カバーパネル29を取り外した状態のグラブドア20のハウジング部31における周壁部32(エアバッグカバー40の周壁部44)内に、挿入させて、ケース46の各係止爪49a,50aをエアバッグカバー40の周壁部44(ハウジング部31の周壁部32)における各係止孔32cに挿入させて、その周縁に係止させる。次いで、ケース46の所定箇所に形成されている図示しない取付片を、アウタパネル部21に固定させれば、膝保護用エアバッグ装置S1をグラブドア20に組み付けることができる。なお、グラブドア20は、予め、アウタパネル部21と、インナパネル部27のハウジング部31及び前面壁部28と、を、振動溶着で結合させておく。
膝保護用エアバッグ装置S1をグラブドア20に組み付けた後には、カバーパネル29を、膝保護用エアバッグ装置S1の前方側を覆うように、結合溝28aに嵌合させて、インナパネル部27の前面壁部28に結合させ、表皮37,38を貼着させれば、膝保護用エアバッグ装置S1を内蔵したグラブドア20を製造することができる。なお、表皮38は、アウタパネル部21とインナパネル部27との振動溶着前、あるいは、振動溶着後におけるカバーパネル29のインナパネル部27への結合前に、アウタパネル部21に貼着してもよい。
その後、グラブドア20をボックス本体14に組み付けて、ボックス本体14を車両に取り付けるとともに、ボックス本体14とインナパネル部27とに設けた図示しない挿通孔を経て、インフレーター54の本体部55にエアバッグ作動回路から延びるリード線Rを結線すれば、グラブボックス13とともに膝保護用エアバッグ装置S1を車両に搭載することができる。
第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、車両への搭載後、所定のエアバッグ作動回路からの作動信号が、リード線Rを経てインフレーター54の本体部55に入力されれば、インフレーター54が、本体部55のガス吐出口57aから膨脹用ガスを吐出する。すると、エアバッグ66が、内部に膨脹用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー40の上扉部42と下扉部43とを押して、上下方向に両開きで開かせ、ケース46の突出用開口46aから後方側へ突出し、さらに折りを解消しつつ展開膨張して、乗員Mの膝Kの前方側で膨張を完了させる(図1,3の二点鎖線及び図12参照)。
そして、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、膨張完了時のエアバッグ66の上端67a側に配置されて乗員Mの膝Kを保護する膝保護エリア68が、インフレーター54から吐出される膨張用ガスの上流側とされていることから、エアバッグ66の膨張初期に、インフレーター54から吐出される膨張用ガスGは、まず、膝保護エリア68内に流入して、膝保護エリア68を膨張させることとなる。そのため、膝保護エリア68を迅速に膨張させることができ、乗員Mの膝Kが近接した状態でエアバッグ66を膨張させる場合にも、乗員Mの膝Kの前方に、膨張した膝保護エリア68を迅速に配置させることができて、乗員Mの膝Kを円滑に保護することができる。
また、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、エアバッグ66が、エアバッグ66の膨張初期において、膝保護エリア68の下方に配置される脛保護エリア69の厚さを規制する展開抑制材ECとしての内テザー76を、有していることから、脛保護エリア69は、エアバッグ66の膨張初期に、展開抑制材ECとしての内テザー76によって厚さを規制された状態で展開することとなり、厚く膨張することを抑えられることとなる。
詳細に説明すれば、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、バッグ本体67内において膝保護エリア68と脛保護エリア69とを区画するように配置される内テザー76は、基布76a,76a相互を仮結合部位80によって縫着された状態として、バッグ本体67(乗員側壁部71,車体側壁部72)に連結される連結縁76b,76c間の離隔距離D1を縮められている。そのため、まず、エアバッグ66の膨張初期において、インフレーター54から吐出される膨張用ガスGが、膝保護エリア68内に流入し、膝保護エリア68が膨張する際には、膝保護エリア68と脛保護エリア69とを区画している内テザー76が、連結縁76b,76c間の離隔距離D1(乗員側壁部71と車体側壁部72とを連結する連結部位の長さ)を縮められた状態で、乗員側壁部71と車体側壁部72とを連結していることから、上流側の膝保護エリア68のみが、厚く膨張して、脛保護エリア69は、薄い状態で、折りを解消するように展開することとなる(図11参照)。そして、その後、膝保護エリア68が、縦断面を略円形とするように、厚く膨張し、内テザー76に、連結縁76b,76c相互を離隔させるような張力が作用すれば、基布76a,76a相互を縫着している仮結合部位80における各湾曲部位80a,80aの先端80b,80b近傍部位に応力集中が生じ、この先端80b,80b側を構成している縫合糸T1が破断され、バッグ本体67の膨張に伴って、破断された縫合糸T1を、順次、左右方向の中央側に向かって抜いたり、一度に複数箇所を破断させるようにして、内テザー76を構成する基布76a,76a相互の縫着状態が解除されることとなる。そして、内テザー76が、乗員側壁部71と車体側壁部72とを連結する連結部位の長さ(連結縁76b,76c間の離隔距離D2)を長くすることとなって、脛保護エリア69が厚さ規制を解除されると同時に、内テザー76に形成されるガス流出孔77及ぶ補助流通孔78,78が開口されて、脛保護エリア69内に膨張用ガスGが流入され、脛保護エリア69が膨張することとなる(図12参照)。
すなわち、実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、エアバッグ66の膨張初期に、まず、膝保護エリア68が厚く膨張し、その後、エアバッグ66の膨張完了前に、脛保護エリア69が膨張することとなることから、膝保護エリア68と脛保護エリア69とによって、膝Kと脛Lとを略同時に後方へ押圧することを的確に防止でき、ニースライド現象が発生することを的確に抑制することができる。
したがって、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、乗員Mの膝Kが近接して配置されていても、ニースライド現象の発生を的確に抑えることができて、かつ、乗員Mの膝Kを迅速に保護することができる。
また、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、膨張初期に、脛保護エリア69の厚さを規制している展開抑制材ECとしての内テザー76は、エアバッグ66の膨張完了前において、脛保護エリア69の厚さ規制を解除する構成であることから、通常着座位置に着座した乗員Mの膝Kを保護する場合には、厚く膨張した状態の脛保護エリア69と膝保護エリア68との上下に広い領域によって乗員Mの膝Kを受け止めることが可能となり、乗員の膝を安定してソフトに保護することができる。
さらに、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、展開抑制材ECが、エアバッグ66の内部に配置される内テザー76から、構成されていることから、エアバッグ66の膨張完了時に外部に露出せず、膨張完了時の乗員Mの膝Kを受け止める面(乗員側壁部71の表面)を平滑とすることができる。
さらにまた、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、内テザー76が、エアバッグ66の膨張完了時に乗員側壁部71と車体側壁部72とを連結して膨張完了時の厚さを規制可能な厚さ規制テザーとしても作用することから、エアバッグ66の膨張完了時の厚さ寸法を規制する厚さ規制用のテザーを別途設ける必要がなく、製造コストを低減させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、内テザーとして、エアバッグの膨張完了前に乗員側壁部と車体側壁部との連結を解除させることにより、脛保護エリアの厚さ規制を解除する構成のものを使用して、エアバッグ内に、厚さ規制用テザーを別途配設させる構成としてもよい。
さらにまた、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、内テザー76を、膝保護エリア68と脛保護エリア69とを区画する略帯状として、構成するとともに、内テザー76に、エアバッグ66の膨張完了前である厚さ規制解除時(仮結合部位80を構成する縫合糸T1の破断時)に開口して、膝保護エリア68内に流入した膨張用ガスGを脛保護エリア69側に流出可能なガス流出孔77を、配設させている構成である。そのため、実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1では、内テザー76による脛保護エリア69の厚さ規制時に、脛保護エリア69内に膨張用ガスGが流入することを抑えられることから、脛保護エリア69を、薄い状態で展開させることができて、脛保護エリア69を安定して厚さ規制することができ、エアバッグ66の膨張初期に、脛保護エリア69が乗員Mの脛Lを押圧することを的確に防止することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、内テザーとして、脛保護エリアと膝保護エリアとを断続的に区画するものを使用してもよい。また、内テザーの配置位置は、脛保護エリアと膝保護エリアとの境界部位に限られるものではなく、脛保護エリアの厚さを規制可能な構成であれば、脛保護エリアの領域内に、配置させる構成としてもよい。
実施形態では、内テザー76は、仮結合部位80で、基布76a,76a相互を縫着させることにより、厚さ規制時の連結縁76b,76cの離隔距離D1を縮められている構成であるが、展開抑制材ECとして、図13〜16に示すエアバッグ84のような内テザー86を使用してもよい。図13〜16に示すエアバッグ84では、内テザー86以外の部材であるバッグ本体67Aは、エアバッグ66におけるバッグ本体67と同様の構成であることから、同一の部材には同一の図符号の末尾に「A」を付して詳細な説明を省略する。
エアバッグ84において使用される内テザー86は、前述のエアバッグ66で使用される内テザー76と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されるもので、バッグ本体67A内において、膝保護エリア68Aと脛保護エリア69Aとを左右方向の略全域にわたって、区画するように、左右方向に沿って配置される帯状とされている。実施形態の場合、内テザー86は、バッグ本体67Aにおける挿入孔73Aの周縁と挿通孔74Aの周縁とを補強する補強布部87と、乗員側壁部71Aと車体側壁部72Aとを連結するテザー本体88と、を備えている(図15〜17参照)。
補強布部87は、バッグ本体67Aにおける車体側壁部72Aの内周側を覆うように構成されるもので、膝保護エリア68Aの下半分の領域を、左右方向に沿った略全域にわたって覆い可能な帯状として、幅方向の両縁側(上縁側と下縁側)を、車体側壁部72Aに縫着されて、挿入孔73Aの周縁と挿通孔74Aの周縁とを補強する構成である。補強布部87には、挿入孔73Aと挿通孔74Aとに対応した開口(図符号省略)が、それぞれ、形成されている。補強布部87の下縁側を車体側壁部72Aに縫着させる縫合部位90は、テザー本体88を車体側壁部72Aに連結させる連結部位を、構成しており、左右方向に沿った直線状として、左右方向の略全域にわたって連続的に形成されている。
テザー本体88は、補強布部87から連なるように構成され、膝保護エリア68Aと脛保護エリア69Aとを区画可能に、左右方向の長さ寸法を、平らに展開したバッグ本体67Aの左右方向の幅寸法より若干小さく設定されて、補強布部87から離れた側の縁部(連結縁88a)を、バッグ本体67Aの乗員側壁部71Aに縫着(結合)されている。また、テザー本体88における縫合部位90近傍の部位(車体側壁部72A側の部位)には、円形に開口したガス流出孔89が、配設されている。実施形態の場合、ガス流出孔89は、左右両端近傍に、それぞれ、2個ずつ、形成されている。そして、テザー本体88は、各ガス流出孔89の左右方向の内側となる部位を、それぞれ、縫合部位90から延びるように形成される仮結合部位91によって、車体側壁部72Aに縫着されている。仮結合部位91は、左右方向の内側に位置するガス流出孔89の内側には、二重線状に、形成されている。各仮結合部位91は、縫合部位90と略直交して上下方向(前後方向)に沿うように形成されるとともに、縫合部位90から離れた先端91aを、ガス流出孔89の下縁より下方となる位置に配置させるように、構成されている。すなわち、実施形態のテザー本体88では、ガス流出孔89は、周囲を縫合部位90と仮結合部位91とに囲まれて、閉塞されている構成である(図14,15,18のA参照)。また、仮結合部位91を構成する縫合糸T2は、バッグ本体67Aの膨張完了前に破断可能な強度に、設定されている。詳細には、バッグ本体67Aの展開膨張時において、テザー本体88に、仮結合部位91と連結縁88aとを離隔させるような張力が作用すれば、各仮結合部位91の先端91a側に応力集中が生じ、この先端91aを構成している縫合糸T2が破断され、各仮結合部位91が、バッグ本体67Aの膨張に伴って、破断された縫合糸T2を、順次、縫合部位90側に向かって抜いたり、一度に複数箇所を破断させるようにして、仮結合部位91によるテザー本体88と車体側壁部72Aとの縫着状態を解除することとなる(図18のB参照)。
すなわち、このエアバッグ84における内テザー86は、バッグ本体67Aの膨張初期においては、仮結合部位91により、部分的に、車体側壁部72Aと縫着されていることから、乗員側壁部71Aと車体側壁部72Aとを連結する連結部位の長さ(仮結合部位91の先端91aから連結縁88aまでの離隔距離D3)を短くして、脛保護エリア69Aの厚さを規制し(図19のA参照)、バッグ本体67Aの膨張完了前に、仮結合部位91を構成する縫合糸T2を破断させて、仮結合部位91によるテザー本体88と車体側壁部72Aとの縫着状態が解除されることから、乗員側壁部71Aと車体側壁部72Aとを連結する連結部位の長さ(縫合部位90から連結縁88aまでの離隔距離D4)を長くすることとなって、脛保護エリア69Aの厚さ規制を解除されることとなる(図19のB参照)。この内テザー86も、エアバッグ84(バッグ本体67A)の膨張完了時にも、乗員側壁部71Aと車体側壁部72Aとを連結して膨張完了時の厚さを規制することとなる(脛保護エリア69Aにおける膝保護エリア68Aとの境界部位の厚さ寸法を離隔距離D4に規制することとなる)。
そして、この内テザー86では、縫合糸T2の破断前には、テザー本体88に形成されるガス流出孔89は、図18のAに示すように、周囲を縫合部位90と仮結合部位91とに囲まれて、車体側壁部72Aによって外周側を覆われるとともに、周縁部位を膝保護エリア68A内に流入した膨張用ガスの内圧を受けて車体側壁部72A側に圧接されることにより、閉塞されていることから、バッグ本体67Aの膨張初期において、縫合糸T2の破断前には、脛保護エリア69A内にはほとんど膨張ガスが流入しない。バッグ本体67Aの膨張完了前に、縫合糸T2が破断して、仮結合部位91によるテザー本体88と車体側壁部72Aとの縫着状態を解除されれば、図18のB及び図19のBに示すように、ガス流出孔89が開口されて、膝保護エリア68A内に充満した膨張用ガスGが、ガス流出孔89を経て、脛保護エリア69A内に流出されることとなる。
このようなエアバッグ84を使用した膝保護用エアバッグ装置においても、膝保護エリア68Aが、インフレーターから吐出される膨張用ガスの上流側とされていることから、エアバッグ84の膨張初期に、膝保護エリア68Aを迅速に膨張させることができ、乗員の膝が近接した状態でエアバッグ84を膨張させる場合にも、乗員の膝の前方に、膨張した膝保護エリア68Aを迅速に配置させることができて、乗員の膝を円滑に保護することができる。
また、上記構成のエアバッグ84を使用した膝保護用エアバッグ装置では、バッグ本体67A内において膝保護エリア68Aと脛保護エリア69Aとを区画するように配置される内テザー86は、バッグ本体67Aの膨張初期において、仮結合部位91によって、部分的に車体側壁部72Aに縫着された状態として、バッグ本体67(乗員側壁部71A,車体側壁部72A)に連結される仮結合部位91の先端91aから連結縁88aまでの離隔距離D3を縮められている(図19のA参照)。そのため、まず、エアバッグ84(バッグ本体67A)の膨張初期において、インフレーターから吐出される膨張用ガスGが、膝保護エリア68A内に流入し、膝保護エリア68Aが膨張する際には、膝保護エリア68Aと脛保護エリア69Aとを区画しているテザー本体88が、乗員側壁部71Aと車体側壁部72Aとを連結する連結部位の長さ(仮結合部位91の先端91aから連結縁88aまでの離隔距離D3)を縮められた状態で、乗員側壁部71Aと車体側壁部72Aとを連結していることから、上流側の膝保護エリア68Aのみが、厚く膨張して、脛保護エリア69Aは、薄い状態で、折りを解消するように展開することとなる。そして、その後、膝保護エリア68Aが、縦断面を略円形とするように、厚く膨張し、内テザー86のテザー本体88に、仮結合部位91と連結縁88aとを離隔させるような張力が作用すれば、テザー本体88と車体側壁部72Aとを縫着している各仮結合部位91の先端91a近傍に応力集中が生じ、この先端91a側を構成している縫合糸T2が破断され、バッグ本体67Aの膨張に伴って、破断された縫合糸T2を、順次、縫合部位90側に向かって抜いたり、一度に複数箇所を破断させるようにして、仮結合部位91によるテザー本体88と車体側壁部72Aとの縫着状態が解除されることとなる(図18のB参照)。そして、図19のBに示すようにテザー本体88が、乗員側壁部71Aと車体側壁部72Aとを連結する連結部位の長さ(縫合部位90から連結縁88aまでの離隔距離D4)を長くすることとなって、脛保護エリア69Aが厚さ規制を解除されると同時に、テザー本体88に形成されるガス流出孔89が開口されて、脛保護エリア69A内に膨張用ガスGが流入され、脛保護エリア69Aが膨張することとなる。
すなわち、上記構成のエアバッグ84を使用した場合にも、エアバッグ84の膨張初期に、まず、膝保護エリア68Aが厚く膨張し、その後、エアバッグ84の膨張完了前に、脛保護エリア69Aが膨張することとなることから、膝保護エリア68Aと脛保護エリア69Aとによって、膝と脛とを略同時に後方へ押圧することを的確に防止でき、ニースライド現象が発生することを的確に防止することができる。
また、上記構成のエアバッグ84を使用した場合にも、内テザー86を、膝保護エリア68Aと脛保護エリア69Aとを区画する略帯状として、構成するとともに、内テザー86に、エアバッグ84の膨張完了前である厚さ規制解除時(仮結合部位91を構成する縫合糸T2の破断時)に開口して、膝保護エリア68A内に流入した膨張用ガスGを脛保護エリア69A側に流出可能なガス流出孔89を、配設させている構成であることから、内テザー86による脛保護エリア69Aの厚さ規制時に、脛保護エリア69A内に膨張用ガスGが流入することを抑えられ、脛保護エリア69Aを、薄い状態で展開させることができて、エアバッグ84の膨張初期に、脛保護エリア69Aが乗員の脛を押圧することを的確に防止することができる。
次に、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2について説明をする。第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2は、図20に示すように、エアバッグ94と、折り畳まれたエアバッグ94において脛保護エリア69Bを折り畳んで形成される下側折畳部102の外周側を覆う展開抑制材ECとしての外テザー97と、以外は、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1と同様の構成であり、同一の部材には同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。
エアバッグ94は、実施形態の場合、内部に配置される膨張完了時の厚さ規制用のテザー95以外は、前述のエアバッグ66におけるバッグ本体67と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「B」を付して、詳細な説明を省略する。エアバッグ94内に配置されるテザー(厚さ規制テザー)95は、図21,22に示すように、左右方向に沿った帯状として、前述の内テザー76と略同様の位置となる膝保護エリア68Bと脛保護エリア69Bとの境界部位において、乗員側壁部71Bと車体側壁部72Bとを連結し、膨張時の乗員側壁部71Bと車体側壁部72Bとの離隔距離を規制している。詳細には、テザー95は、長手方向を左右方向に沿わせた帯状として、短手方向側の両縁を、それぞれ、車体側壁部72B及び乗員側壁部71Bに縫着(結合)させることにより、車体側壁部72Bと乗員側壁部71Aとを連結している。実施形態の場合、テザー95は、エアバッグ94の左右方向側の縁部との間に、隙間を設けるようにして、配置されている。すなわち、実施形態のエアバッグ94では、脛保護エリア69Aは、テザー95とエアバッグ94の左右方向側の縁部との間の隙間から、内部に膨脹用ガスを流入させる構成である。
展開抑制材ECとしての外テザー97は、折り畳まれたエアバッグ94において、脛保護エリア69Bを折り畳んで形成される下側折畳部102の外周側を覆うもので、実施形態の場合、長手方向を上下方向に略沿わせた略帯状として、長手方向側の一端側の端部97aを、乗員側壁部71Bにおける膝保護エリア68Bと脛保護エリア69Bとの境界部位付近(テザー95付近)に連結(縫着)され、長手方向の他端側の端部97bを、車体側壁部72Bにおける膝保護エリア68Bと脛保護エリア69Bとの境界部位付近(テザー95付近)に連結(縫着)されて、下側折畳部102の車体側から乗員側にかけての外周側を覆うように、構成されている。実施形態の場合、外テザー97は、乗員Mの脛Lの位置に略対応するように、左右方向側に離れた2箇所に配設されている。また、外テザー97は、エアバッグ94と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されている。そして、外テザー97は、エアバッグ94の膨張完了前に、車体側壁部72Bとの連結部位(端部97b)から乗員側壁部71Bとの連結部位(端部97a)にかけての部位で、エアバッグ94への連結状態を解除可能に、構成されている。
さらに詳細に説明すれば、実施形態の外テザー97は、図21,22に示すように、それぞれ、長手方向を上下方向に略沿わせた帯状とされるとともに、下側折畳部102の車体側(前側)を覆うように配置されて上端98a(外テザー97の端部97bに対応)側を車体側壁部72Bに縫着される車体側布部98と、下側折畳部102の乗員側(後側)を覆うように配置されて上端99a(外テザー97の端部97aに対応)側を乗員側壁部71Bに縫着される乗員側布部99と、の下端98b,99b相互を、下側折畳部102の下方において、縫合糸T3を使用して縫着(結合)させるようにして、構成されている(図23のB参照)。車体側布部98と乗員側布部99との下端98b,99b相互を縫着させる仮結合部位100は、左右方向(幅方向)に沿った全域にわたって、直線状に、形成されている。また、仮結合部位100を構成する縫合糸T3は、エアバッグ94の膨張完了前に破断可能な強度に、設定されている。詳細には、エアバッグ94の展開膨張時において、下側折畳部102が、折りを解消しようと下方に向かって展開する際に、各車体側布部98,乗員側布部99を下方に引っ張るような張力が作用すれば、仮結合部位100の端部付近に応力集中が生じて、縫合糸T3が破断され、下側折畳部102の展開に伴って、破断された縫合糸T3を、順次、抜いたり、一度に複数箇所を破断させるようにして、仮結合部位100による車体側布部98と乗員側布部99との縫着状態を解除することとなる。
次に、このエアバッグ94の折り畳みについて説明をする。外テザー97を構成する車体側布部98と乗員側布部99とは、上端98a,99a側を、それぞれ、予め、エアバッグ94の乗員側壁部71B,車体側壁部72Bに縫着させておく。その後、エアバッグ94を折り畳む。具体的には、エアバッグ94は、挿通孔74Bから固定ボルト63を突出させるように内部にインフレーター54の固定部59を収納させて平らに展開した状態で、上下方向の幅寸法を縮める上下縮小折りと、左右方向の幅寸法を縮める左右縮小折りと、を経て折り畳まれる。
まず、平らに展開した状態のエアバッグ94において、図23のA,Bに示すように、テザー95より下方となる脛保護エリア69Bの領域を、下縁側を車体側壁部72B側に向かって巻くようにロール折りして、下側折畳部102を形成する。そして、下側折畳部102の外周側を覆うように配置させた外テザー97を構成する車体側布部98と乗員側布部99とを、下端98b,99b相互を、仮結合部位100を形成するように縫合糸T3を用いて縫着させる。同様に、テザー95より上方となる膝保護エリア68Bの領域を、上縁側を車体側壁部72B側に向かって巻くようにロール折りして、上側折畳部103を形成する(図23のB,24のA参照)。これらの上側折畳部103,下側折畳部102を、乗員側壁部71B側に載せるように折り返して、上下方向の幅寸法をケース46内に収納可能に縮められた上下縮小折りエアバッグ104を形成する(図24のA参照)。その後、図24のA及びBに示すように、上下縮小折りエアバッグ104の左右両縁側を、それぞれ、乗員側壁部71B側に載せるように、左右方向に沿った折目を付けて蛇腹折りすれば、エアバッグ94を折り畳むことができる。
このようにして折り畳まれたエアバッグ94は、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1と同様にして、車両に搭載することができる。
そして、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2においても、膨張完了時のエアバッグ94において、乗員Mの膝Kを保護する膝保護エリア68Bが、インフレーター54から吐出される膨張用ガスの上流側とされていることから、エアバッグ94の膨張初期に、インフレーター54から吐出される膨張用ガスGは、まず、膝保護エリア68B内に流入して、膝保護エリア68Bを膨張させることとなる。そのため、膝保護エリア68Bを迅速に膨張させることができ、乗員Mの膝Kが近接した状態でエアバッグ94を膨張させる場合にも、乗員Mの膝Kの前方に、膨張した膝保護エリア68Bを迅速に配置させることができて、乗員Mの膝Kを円滑に保護することができる。
また、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2では、エアバッグ94が、エアバッグ94の膨張初期において、膝保護エリア68Bの下方に配置される脛保護エリア69Bの厚さを規制する展開抑制材ECとしての外テザー97を、有していることから、脛保護エリア69Bは、エアバッグ66の膨張初期に、展開抑制材ECとしての内テザー76によって厚さを規制された状態で展開することとなり、厚く膨張することを抑えられることとなる。
詳細に説明すれば、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2では、折り畳まれたエアバッグ94において、脛保護エリア69Bを折り畳んで構成される下側折畳部102の外周側を覆う外テザー97は、車体側布部98と乗員側布部99との2枚構成とされ、この車体側布部98と乗員側布部99は、下側折畳部102の下方で、下端98b,99b側を、エアバッグ94の膨張完了前に破断可能な縫合糸T3により、相互に縫着されている。そのため、まず、エアバッグ94の膨張初期において、インフレーター54から吐出される膨張用ガスGが、膝保護エリア68B内に流入し、膝保護エリア68Bが膨張する際には、下側折畳部102の外周側を外テザー97が覆っていることから、下側折畳部102は、外テザー97により折りの解消を抑えられて、脛保護エリア69Bの膝保護エリア68Bとの境界部位の厚さ寸法が離隔距離D5に規制されて、上流側の膝保護エリア68Bのみが、厚く膨張することとなる(図25参照)。その後、テザー95の左右両側の隙間から、脛保護エリア69B内に膨張用ガスが流入し、下側折畳部102が、折りを解消しようと下方に向かって展開する際に、各車体側布部98,乗員側布部99を下方に引っ張るような張力が作用すれば、仮結合部位100の端部付近に応力集中が生じて、縫合糸T3が破断され、下側折畳部102の展開に伴って、破断された縫合糸T3を、順次、抜いたり、一度に複数箇所を破断させるようにして、仮結合部位100による車体側布部98と乗員側布部99との縫着状態が解除されることとなる。そして、脛保護エリア69Bが、膝保護エリア68Bとの境界部位の厚さ寸法を離隔距離D5より大きな離隔距離D6として、厚さ規制を解除されて、膨張することとなる(図26参照)。すなわち、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2においても、エアバッグ94の膨張初期に、まず、膝保護エリア68Bが厚く膨張し、その後、エアバッグ94の膨張完了前に、脛保護エリア69Bが膨張することとなることから、膝保護エリア68Bと脛保護エリア69Bとによって、膝Kと脛Lとを略同時に後方へ押圧することを的確に防止でき、ニースライド現象が発生することを的確に抑制することができる。
したがって、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2においても、乗員Mの膝Kが近接して配置されていても、ニースライド現象の発生を的確に抑えることができて、かつ、乗員Mの膝Kを迅速に保護することができる。
また、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2においても、膨張初期に、脛保護エリア69Bの厚さを規制している展開抑制材としての外テザー97は、エアバッグ94の膨張完了前において、脛保護エリア69Bの厚さ規制を解除する構成であることから、通常着座位置に着座した乗員Mの膝Kを保護する場合には、厚く膨張した状態の脛保護エリア69Bと膝保護エリア68Bとの上下に広い領域によって乗員Mの膝Kを受け止めることが可能となり、乗員の膝を安定してソフトに保護することができる。
さらに、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置S2では、展開抑制材ECとして、エアバッグ94の外周側を覆う外テザー97を配設させていることから、この外テザー97が、エアバッグ94の膨張完了時に外部に露出する構成であるものの、エアバッグ94内に配置される構成ではないことから、外周側に外テザーを連結させれば、従来使用されていたエアバッグを使用することができて、製造工数及びコストの増大を抑えることができる。また、外テザーの連結解除のタイミングによって、脛保護エリアの厚さ規制を解除する構成であることから、設計変形が容易となり、車両毎に、脛保護エリアの厚さ規制解除のタイミングを調整することも容易である。
なお、実施形態では、外テザー97として、車体側布部98と乗員側布部99との下端98b,99b相互を、縫合糸T3を用いて縫着させ、この縫合糸T3を破断させることにより、下端98b,99b相互の縫着を解除させて、脛保護エリア69Bの厚さ規制を解除する構成であるが、外テザーの構成はこれに限られるものではなく、例えば、中間部位に断続的に設けられたミシン目状の切れ目からなる破断予定部を設け、この破断予定部を破断させて脛保護エリアの厚さ規制を解除するような一枚布状のものから構成してもよく、また、外テザーとして、端部の車体側壁部もしくは乗員側壁部への連結を、接着剤等を利用して貼着させ、この貼着部位を剥離させることにより、脛保護エリアの厚さ規制を解除するような構成のものを使用してもよい。勿論、外テザーを、車体側布部と乗員側布部との2枚から形成する場合にも、車体側布部と乗員側布部との下端相互を、接着剤等を利用して貼着させる構成としてもよい。
また、実施形態では、外テザー97に外周側を覆われる下側折畳部102は、脛保護エリア69Bを下端側から車体側壁部72B側に向かって巻くようなロール折りによって、形成されているが、下側折畳部の折畳形状はこれに限られるものではなく、蛇腹折り等によって形成してもよい。
なお、実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1,S2では、インフレーター54を、エアバッグ66,84,94における膝保護エリア68,68A,68Bの領域内に収納させて、膨張完了時に厚く膨張する膝保護エリア68,68A,68Bによって、インフレーター54の後方を覆う構成であるが、膝保護エリアを膨張用ガスの上流側として膨脹用ガスを流す構成であれば、インフレーターの配置位置や構成は、これに限られるものではない。例えば、インフレーターとして、エアバッグの収納部位(ケース)から離れた領域に配置されて、流入パイプ等を利用して、エアバッグの膝保護エリアに連結されるようなインフレーターを使用してもよい。
また、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置S1,S2では、内テザー76,86やテザー95によって、エアバッグ66,84,94の膨張完了時の厚さを規制しているが、勿論、エアバッグとして、厚さ規制用のテザーを内部に配置させない構成のものを使用してもよい。しかしながら、乗員の膝の前方に円滑に展開させるためには、膨張完了時の厚さ寸法を規制する厚さ規制用のテザーを、エアバッグの内部に配置させる構成とすることが、好ましい。
なお、実施形態では、助手席の前方に配置されるグラブボックス13のグラブドア20内に収納される膝保護用エアバッグ装置S1,S2を例に採り説明したが、膝保護用エアバッグ装置の搭載位置はこれに限られるものではなく、膝保護エリアを上流側部位とするように、乗員の膝の前方に、折り畳まれたエアバッグを収納する収納部位を配設させるタイプの膝保護用エアバッグ装置であれば、本発明を適用できる。例えば、運転席に着座した運転者の膝の前方に配置されるコラムカバー内に収納される膝保護用エアバッグ装置や、後部座席の前方に搭載される膝保護用エアバッグ装置に、本発明を適用してもよい。