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JP5050845B2 - 試験装置およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうための試験装置、該試験装置を用いる電力供給デバイスの安全性評価方法および非水系電解液二次電池に関する。
電力貯蔵供給デバイスとしては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウム電池等の各種電池の1次電池や2次電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ等のコンデンサ、燃料電池等の発電型電池などが開発され、工業的に広く用いられている。
上記のような電力貯蔵供給デバイスは、一般に高容量密度、高出力密度が求められる傾向にあり、より大きい電流において電力を貯蔵、供給することが望まれ、盛んに開発が進められている。
電力貯蔵供給デバイスの開発の際には、その安全性を評価するため、電力貯蔵供給デバイスに対して加熱、短絡等の操作を行ない、それによって電力貯蔵供給デバイスがどのような挙動を示すかを調査することがなされる。例えば、電力貯蔵供給デバイスに対して加熱を行ない、意図的に爆発等を起こさせる加熱評価試験などが挙げられる。
従来は、上記の電力貯蔵供給デバイスの安全性試験は放出形のブース内で行なわれていた。このような試験装置の例としては、宝泉社製 Li−Ion二次電池安全評価試験装置などが挙げられる。この試験装置では排気ダクトを有していて、安全性評価試験時にブース内でガスが発生した場合、そのガスを試験装置外に放出できるようになっている(非特許文献1参照)。
宝泉株式会社、製品カタログ、[online]、[平成16年10月28日検索]、インターネット<URL:http://www.hohsen.co.jp/jp/products/bat/23/index.html>
電力貯蔵供給デバイスについて安全性試験を行なった場合、電力貯蔵供給デバイスから排ガスが発生する場合がある。例えば、釘刺し試験、過充電試験、加熱試験などでは、電力貯蔵供給デバイスを意図的に爆発させてその安全性評価を行なうことがあるが、その際には、通常、電力貯蔵供給デバイスから急激に排ガスが発生する。
ところが、非特許文献1記載の試験装置をはじめ、従来の試験装置は上記のような排ガスを試験装置外に単に排出するように構成されていた。また、例えば「リチウムイオン電池(小型電池)の安全性に関する国際的な認証」UL1642などの電力貯蔵供給デバイスの試験についての認証規定にも、特に電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を特に密閉系に行なうべきであるとの記載はなく、一般的に、上記のような安全性試験はブース内が外部に開放された放圧系で行なうものと認識されていた。
しかしながら、電力貯蔵供給デバイスの大型化に伴い、安全性試験も大型の電力貯蔵供給デバイスで行われるようになってきており、それに応じて、電力貯蔵供給デバイスから生じる排ガスの量も増えてきている。排ガスの量が増えた場合、単に試験装置外に排出するのみでは排ガスが外部環境や生体に与える影響を無視しえず、排ガスを処理することが望まれる。また、高出力電池や大型電池では、特に高い安全性の確保が要求されているが、安全性の確保は困難である。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、排ガスの処理を可能としながら電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうことができるようにした試験装置を提供することを目的とする。また本発明は、短絡時や破壊時のガス発生が少なく、高い安全性を有する二次電池の提供を目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうための試験装置に排ガスを処理しうる排ガス処理部と、上記排ガスを該排ガス処理部に入る前に一時的に保持する排ガス保持部とを設け、排ガス処理部の処理能力に合わせて排ガスをゆっくりと排ガス処理部に送るようにすることにより、電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を安全に行なうことができるようになることを見出した。また、この安全性試験結果を用いて、より安全性の高い電力供給デバイスが作製できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明の要旨は、電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうための耐圧性を有するブースと、電力貯蔵供給デバイスから発生する排ガスを処理しうる排ガス処理部と、上記排ガスを、該ブースから該排ガス処理部に、該排ガス処理部の処理能力に応じて送出する排ガス送出部とを備えることを特徴とする、試験装置に存する(請求項1)。これにより、排ガスの処理を可能としながら電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうことができる。また、排ガス処理部の処理能力を超えないように発生した排ガスをブース内に一時的に保持させながら排ガス処理を行なうことができるので、排ガスを確実に無害化することができる。
このとき、該試験装置において、該ブースは、下記ブース耐圧A以上の耐圧性を有するように構成することが好ましい。これにより、試験の安全性を高めることができる。
特に、該試験装置は、該ブース内を不活性ガスで置換しうる不活性ガス置換部を備えると共に、該ブースが、下記ブース耐圧A以上の耐圧性を有するように構成することが好ましい(請求項2)。これにより、安全性試験を不活性ガス雰囲気下で行なう際に、急激に排ガスが発生したり、ブース内に排ガスを一時的に保持させたりしてもブースが破損等することは無く、試験の安全性を更に向上させることができる。
ブース耐圧A:薬量を、電力貯蔵供給デバイスの加熱時の総発熱量相当のTNT薬量にTNT収率を掛けた値として、ホプキンソンの3乗根則により求められる爆風圧に、安全率を掛けた圧力。
また、該試験装置において、該ブースは、下記ブース耐圧B以上の耐圧性を有するように構成することも好ましい。これによっても、試験の安全性を高めることができる。
特に、該試験装置は、該ブース内を空気で置換しうる空気置換部を備えると共に、該ブースが、下記ブース耐圧B以上の耐圧性を有するように構成することが好ましい(請求項3)。これにより、安全性試験を空気雰囲気下で行なう際に、急激に排ガスが発生したり、ブース内に排ガスを一時的に保持させたりしてもブースが破損等することは無く、試験の安全性を更に向上させることができる。
ブース耐圧B=初期圧×(Tb/T0)×安全率
(ただし、初期圧は安全性試験時の排ガス発生前のブース内圧を表わし、Tbは安全性試験時の燃焼火炎温度を表わし、T0は安全性試験時の排ガス発生前のブース内の雰囲気温度を表わす。)
さらに、該試験装置は、該ブース内を8kPa以下に減圧させうる減圧部を備えることが好ましい(請求項4)。これにより、該ブース内のガスを別のガスに置換する際に減圧を行ない、効率的にガスの置換を行なうことができるようになる。また、減圧下での安全性試験を行なうことができるようにすることも可能である。
また、該試験装置は、該ブース内の温度を低下させる冷却部(冷却媒ライン)を備えることが好ましい(請求項5)。これにより、低温下での安全性試験を行なうことが可能となる。
さらに、該試験装置は、上記排ガスを採取する排ガス採取部を備えることが好ましく(請求項6)、また、該排ガス採取部が採取した排ガスを分析する排ガス分析部を備えることが好ましい(請求項7)。これにより、安全性試験において発生する排ガスの組成分析を行なうことができるようになる。
さらに、該試験装置は、電力貯蔵供給デバイスの爆発が生じた場合に、上記爆発の爆風圧を測定する爆風圧センサを備えることが好ましい(請求項8)。
また、本発明の別の要旨は、上記試験装置(請求項1〜8)を用いて電力供給デバイスの安全性試験を行ない、該試験結果に基づいて、電力供給デバイスの安全性評価を行なうことを特徴とする、電力供給デバイスの安全性評価方法に存する(請求項9)。
この安全性評価方法における安全性試験は、釘刺し試験、過充電試験、加熱試験、外部短絡試験、落下試験、圧壊試験、過放電試験、熱衝撃試験、振動試験から選ばれるものが好ましい(請求項10)。
本発明の試験装置によれば、排ガスの処理を可能としながら電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうことができる。また、本発明の電力供給デバイスの安全性評価方法によれば、上記の試験装置を用いて電力供給デバイスの安全性を評価することが可能となる。また、本発明よれば、電池の破壊や内部短絡が起きた際にもガス発生が少なく、より安全性が高い非水系電解液二次電池を提供することができる。
本発明の第1実施形態及び第2実施形態としての試験装置を表わす模式的なブロック図である。 ホプキンソンの3乗根則における換算距離と爆風圧との関係を表わす相関図である。
符号の説明
1 ブース(排ガス保持部)
2 排ガス処理部
3 排ガス送出ライン(排ガス送出部)
4 室内ガス置換ライン(不活性ガス置換部、空気置換部)
5 減圧ライン(減圧部)
6 冷却ライン(冷却部)
7 排ガス採取ライン(排ガス採取部)
11 圧力センサ(爆風圧センサ)
21 フッ素吸着塔
22 水洗塔
23 活性炭処理槽
24 ブロア
25,26,27,31,35,43,52,71 配管
32,42,53,54,74,75 開閉弁
33 切替弁
34,41 ガスボンベ
51,73 真空ポンプ
72 サンプル容器
以下、実施形態を示して本発明について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
[I.試験装置]
[I−1.第1実施形態]
[I−1−1.電力貯蔵供給デバイス]
電力貯蔵供給デバイスとは、電力を貯蔵又は供給することが可能なデバイスを広く意味する。電力貯蔵供給デバイスの具体例としては、アルカリ電池、リチウム電池等の1次電池、鉛酸電池、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の非水系電解液二次電池を含む二次電池、燃料電池等の発電型電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなどが挙げられる。これらの電力貯蔵供給デバイスは、その安全性試験を行なう場合にしばしば排ガスを排出することがあり、本発明は、この排ガスを処理しつつ安全性試験を行なうようにするものである。
[I−1−2.排ガス]
電力貯蔵供給デバイスから排出される排ガスは、主に、電力貯蔵供給デバイスを構成する材料が反応、分解、或いは単に放出されること等により生じるものである。
その例を挙げると、例えば電力貯蔵供給デバイスの一種であるリチウムイオン電池の場合、電解液に使用している有機溶媒の蒸気、水蒸気、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、フッ化水素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、酸素などが排ガスとして生じうる。また、気体ではないものの、気相に分散するため気体同様に処理すべきものの例として、電解液のミストや、電極、集電体、電池の缶等それぞれの微細な破片及び粉塵、並びに、これらが熱分解した結果発生する固体(粉塵)などが挙げられる。これらは全て、排ガスとして処理すべきことが好ましい。
上記の排ガスは、主として以下のようなメカニズムにより発生しているものと推察される。即ち、電力貯蔵供給デバイスが高温にさらされると、構成部材が熱分解し、その分解熱によりさらに電力貯蔵供給デバイスの温度が上昇する。その結果、熱分解による排ガス発生が加速されていく、いわゆる熱暴走状態となる。この熱暴走状態では急激に熱分解や反応等が進行するため、それに伴う排ガスの発生速度も極めて速い。
なお、上記のように電力貯蔵供給デバイスが高温にさらされる原因としては、単に電力貯蔵供給デバイスが高温下におかれ全体的に加熱されることのみでなく、例えば、電力貯蔵供給デバイスの内部で短絡が生じ、電力貯蔵供給デバイス自身が有する放電のエネルギーや、電力貯蔵供給デバイスに接続されている充放電器のエネルギーが短絡部に集中して、ジュール熱によって局所的に高温になることなどが挙げられる。
また、電力貯蔵供給デバイスが電解液を用いている場合、熱によって電解液の気化が発生するため、その気化によっても排ガスは生じることとなる。例えば、リチウム一次電池や電気二重層キャパシタには通常は電解液として有機溶媒が使用されており、この有機溶媒が気化して排ガスとなる。また、例えばニッケル水素電池は電解液として水系溶媒を用いており、この場合、排ガスとして水素が発生する。なお、電解液のような液体を用いた電力貯蔵供給デバイスでは、蒸気圧が温度とともに上昇する。
さらに、電力貯蔵供給デバイスに用いられる電極は、一般に粉末や微小な粒子等を用いて作製される場合が多い。したがって、これらの粉末や粒子等は、熱分解反応時に、電力貯蔵供給デバイスの破損や破裂等にともなって粉末となり、気相に分散して排ガスとなる。
特に、電力貯蔵供給デバイスを大型化した場合、その構成部材の使用量も増加し、その比表面積が小さくなって除熱能力が低下して高温になりやすくなる。さらに、電力貯蔵供給デバイスを大型化した場合には電力貯蔵供給デバイス自身が有する電気エネルギーや接続される充電器が大きくなって短絡が生じた場合に集中するエネルギーが大きくなるため、電力貯蔵供給デバイスの種類にかかわらず熱暴走状態になりやすい。したがって、電力貯蔵供給デバイスを大型化すると、上記の排ガスの発生量が大きくなる傾向がある。
本発明の試験装置は、上述したように発生する排ガスの処理を行ないながら安全性試験を行なうことが可能であることを、利点の一つとしている。
[I−1−3.試験]
本発明の試験装置を用いて行なう安全性試験に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、通常は、当該安全性試験によって電力貯蔵供給デバイスから排ガスが発生するような安全性試験を行なうようにすると、排ガスの処理が可能であるという本発明の効果を有効に活用することができるため、好ましい。
このような電力貯蔵供給デバイスの安全性試験の具体例を挙げると、例えば、釘刺し試験が挙げられる。釘刺し試験は、油圧プレス機等の押圧手段に釘を取り付け、所定の速度でその釘を動かすことで、固定された試験用の電力貯蔵供給デバイスに釘を刺し込むことにより行なう。釘を刺し込まれることにより、電力貯蔵供給デバイスには内部短絡が発生する。釘刺し試験では、この内部短絡が発生した際の電力貯蔵供給デバイスの電圧、表面温度、電解液の漏れ、発煙、破損の程度などを測定する。
また、安全性試験の具体例としては、過充電試験も挙げられる。過充電試験では、試験用の電力貯蔵供給デバイスに対して通常の充電容量以上に充電を継続させる。このことによって電力貯蔵供給デバイスに異常な発熱が発生することがある。過充電試験では、この異常な発熱が発生した際の電力貯蔵供給デバイスの電圧、電流、表面温度、電解液の漏れ、発煙、破損の程度などを測定する。なお、過充電試験を行なう際、充電電流や上限電圧などの試験条件は適宜設定することができる。
さらに、安全性試験の具体例としては、加熱試験も挙げられる。加熱試験では、試験用の電力貯蔵供給デバイスをオーブンやホットプレート等を用いて高温にさらし、電力貯蔵供給デバイスの全体又は一部を加熱する。加熱試験では、この加熱時の電力貯蔵供給デバイスの電圧、表面温度、電解液の漏れ、発煙、破損の程度などを測定する。
また、それ以外にも、本発明の試験装置を用いて行なうことができる電力貯蔵供給デバイスの安全性試験としては、例えば、外部短絡試験、落下試験、圧壊試験、過放電試験、熱衝撃試験、振動試験なども挙げられる。
[I−1−4.試験装置]
図1に、本実施形態の試験装置の概要を模式的に表わすブロック図を示す。この図1に示すように、本実施形態の試験装置は、ブース1と、排ガス処理部2と、排ガス送出部としての排ガス送出ライン3と、室内ガス置換ライン4と、減圧部としての減圧ライン5と、冷却部としての冷却媒ライン6と、排ガス採取部としての排ガス採取ライン7とを備える。なお、図1において、配管内を流れる排ガス並びに冷媒の向きを、矢印で示す。
[I−1−4−1.ブース]
ブース1は、内部に安全性試験を行なう場となる空間を有する容器である。その形状に制限は無く、箱状、円筒状、球状等の任意の形状として形成することができる。さらに、その寸法も内部に設置する安全性試験用の試験機器や試験の対象物である電力貯蔵供給デバイスの寸法に応じて適宜設定することができる。
また、ブース1を形成する材料も任意であるが、気密性、耐圧性、耐久性などを考慮すると、金属で形成することが好ましい。特に、安全性試験においては腐食性の強いガス、液体、固体等がブース1内において飛散することが多いため、防錆性の良好な材料で形成すればより好ましい。好適な材料の具体例としては、ステンレス、ハステロイ、インコネル等が挙げられる。さらに、耐食性を付与するためのテフロン(登録商標)等の耐食性の物質をコーティングやライティングして、任意の金属表面に保護層を形成したものでブース1を形成しても好ましい。
さらに、ブース1の耐圧性を向上させる観点からは、ブース1に対して何らかの補強を施すことも好ましい。例えば、公知の耐圧容器、耐圧ドアなどを任意に用いてブース1を形成し、耐圧性を高めるようにすれば良い。また、ブース1の周囲を鉄筋コンクリート等で補強した補強構造となるように構成することもできる。
また、ブース1は、高い気密性を備えていることが望ましい。具体的には、ブース1内を設計圧まで減圧して30分放置後、ブース1内の変化が無いようにすることが好ましい。これにより、ブース1内に大気が浸入したり、ブース1内の排ガスが外部に漏れ出したりすることを防止できる。
さらに、ブース1には、内部のブース1に試験機器や試験サンプルを搬入したり上記試験機器のメンテナンスをしたりするためのドアを設けておくと好ましい。ドアの形状は任意であり、例えば、ブース1が箱状であれば、その箱形状の側面のひとつをそのままドアとして形成しても良い。また、ドアの寸法は、ブース1に試験機器等を自由に出し入れできる程度の大きさであれば任意である。通常は、ドアの面積は0.1m以上とするとよい。
このドアを通じて、試験機器や試験サンプルの搬入や、メンテナンスなどを行なうことができる。なお、ここでメンテナンスとは、試験機器の検査、ブースの破損等の有無の検査、配線の不具合の検査、配管の不具合の検査、試験機器の交換、試験機器の修理、ブース1内の清掃などのことをいう。
また、ドア(以下適宜、「大ドア」)の一部に、さらにドア(以下適宜、「小ドア」という)を設けるようにしてもよい。上述したような大ドアは、通常は重く開閉に難がある。安全性試験時にはブース1内の気密を維持するためにドアの開閉は速やかに行なうことが好ましいが、大ドアが重いと、その開閉に時間がかかる。それに対し、小ドアを設けるようにすれば、小ドアは一般に開閉が大ドアよりも開閉が容易であるため、速やかに開閉を行なうことができ、ブース1内の気密性を損なうことは無い。
小ドアの形状は任意であり、四角形、円形など、適当な形状に形成することができる。
また、小ドアの寸法も任意であり、電力貯蔵供給デバイスの大きさや、小ドアを通じてブース1に出し入れする部品類の大きさなどに応じて適切な寸法に設定することができる。例えば、小ドアの面積は、通常、0.04m〜0.1mとするとよい。なお、ブース1に小ドアを設ける場合、通常は、ブース1内部に試験サンプルを出し入れするためには小ドアを用い、ブース1内部に試験機器の出し入れやそのメンテナンスを行なう場合には大ドアを用いることになる。しかし、小ドア及び大ドアの両方の機能を備えた単一のドアをブース1に設けるようにしてもよい。
さらに、ブース1内に設けられる試験用の空間は、外部から隔離して気密性を備えることができればその形状及び寸法に制限は無く、試験機材や安全性試験の目的等に応じて任意に設定することができる。例えば、上記の試験用の空間の形状の具体例としては、四角柱状、円柱状、球状などが挙げられる。また、ブース1内の容積も任意であるが、通常は0.5m以上10m以下とする。
さらに、ブース1内には、通常、安全性試験に用いる試験機器や配線等が設置される。これらの試験機器や配線等としては、安全性試験の種類に応じて適当な種類の機材を任意に設置することが可能である。通常用いられるものの具体例を挙げると、ヒータ、釘刺し試験用プレス機等の試験機器、並びに、それらを制御するための配線及びそれらに電力を供給するための電源などが挙げられる。なお、ヒータを用いる場合には、−40℃〜+350℃の温度範囲で加熱を行なうことができるものを用いることが好ましい。
また、安全性試験中の内部の様子を観察、録画するために、CCDカメラなどの観察用機器を設置しておくこともある。ただし、この場合、SUS(ステンレス)等で形成した保護ケースなどで観察用機器を保護するようにすることが好ましい。
また、ブース1内には、安全性試験時に使用するセンサ類を設置しておくことが好ましい。センサ類の種類に制限は無く、安全性試験の目的に応じて適切なものを任意に用いることができる。例えば、図1に示すように、ブース1内に圧力センサ(爆風圧センサ)11を設けてもよい。これにより、安全性試験により発生した排ガスの発生量や、安全性試験時に爆発が生じた場合の爆風圧を測定することができる。
圧力センサ11はブース1内の任意の位置に適宜設置することができるが、ここでは、ブース1の内壁に設置したものとして説明する。
また、圧力センサ11の種類に制限は無く、本発明の効果を損なわない限り任意の圧力センサを用いることができる。ただし、ブース1の内圧の変化、昇圧速度、最高到達圧力などから電力貯蔵供給デバイスの安全性を評価する場合は、通常10Hz以上の高い周波数で(即ち、短い測定間隔で)圧力を測定できる仕様の圧力センサを用いるようにすることが好ましい。
なお、ブース1内の圧力に応じてブース1の壁部、底部、天井部などにひずみが生じる場合には、そのひずみを測定するひずみゲージを設置し、それにより測定されるひずみの大きさから圧力を算出するようにしても良い。
また、この他用いられるセンサ類の例としては、温度センサが挙げられる。温度センサとしては、安全性試験の種類や目的に応じて、ブース1内の雰囲気温度、電力貯蔵供給デバイスの表面温度や内部温度などを測定できるものなどを適宜用いることができる。特に、温度センサはヒータと共に用いることが多い。
さらに、例えば、釘刺し試験用プレス機を用いる場合は、釘刺し位置や釘刺し深さ等を制御するための位置センサを用いるようにすることが好ましい。
また、本発明の試験装置では、安全性試験により電力貯蔵供給デバイスから発生する排ガスを、排ガス処理部2に入る前に一時的に保持するようにする。即ち、通常の排ガス処理部2には処理能力(処理速度)に所定の限界があるが、安全性試験では一般にその処理能力以上の量の排ガスが生じるため、何ら対策を講じない場合は排ガス処理部2で安全性試験により生じた排ガスを処理しきれなくなる虞がある。また、処理能力が十分に大きい排ガス処理部2を用意することも考えられるが、この場合は設備コストが非常に大きくなる。そこで、本実施形態の試験装置では、上記の点を解決するため、排ガス処理部2の排ガス処理能力に応じた速度で排ガスを排ガス処理部2に送出可能な排ガス送出ライン3を設け、送出する前の排ガスを一時的に保持するようにするのである。排ガス処理部2の上流であればどこで排ガスを保持するようにしても良く、例えば排ガス送出部2に排ガス保持用のタンクを設けるようにしてもよいが、通常は、ブース1自体を排ガス保持部として用い、ブース1内で排ガスを一時的に保持するようにする。
ここで、ブース1が排ガスを一時的に保持する場合、どれだけの時間保持するかは排ガス処理部2の排ガス処理能力に応じて任意であるが、ブース1から排ガス処理部2に送出される排ガスの量が排ガス処理部2の処理能力を超えないよう、排ガス処理部2の処理能力に応じて保持するようにすることが望ましい。具体的には、通常20分以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上保持できるようにする。
ところで、ブース1に排ガスを保持させるようにするには、排ガスの保持が可能となるよう、安全性試験の条件に応じた耐圧性をブース1に備えさせるようにすることが望ましい。詳しくは、ブース1が備える耐圧性は、少なくともブース内のガス置換が可能な程度の密閉性を保持し得る耐圧性を有していることが望ましい。安全性試験の条件や種類によっては、大量の排ガスが発生することがあるため、その排ガスを保持するには充分な耐圧性をブース1に備えさせておくことが望ましいためである。この場合、ブース1が備えるべき耐圧は、後述する通り、安全性試験時のブース1内の雰囲気に応じて決定することが好ましく、具体的には、ブース1内の雰囲気が不活性雰囲気である場合と空気雰囲気である場合とは区別するようにすることが好ましい。
本実施形態では、ブース1は排ガスの保持が可能となる程度の耐圧性を有するとともに、ブース1内に圧力センサ11を備えているものとする。また、ブース1が前記のとおり耐圧性を備えるため、本実施形態の試験装置では、ブース1が排ガス保持部として機能しうるようになっている。
[I−1−4−2.排ガス処理部]
排ガス処理部2は、安全性試験で発生した排ガスに処理(以下適宜、「無害化処理」という)を行ない、系外に放出しても無害な状態にするためのものである。排ガスの無害化処理が可能であれば具体的な構成に制限は無く、生じる排ガスの種類に応じて任意の構成とすることができる。本実施形態では、排ガス処理部2はフッ素吸着塔21、水洗塔22、活性炭処理槽23、ブロア24並びに各部を連結する配管25,26,27から構成されているものとする。
フッ素吸着塔21は、フッ化物吸着材が充填された吸着塔であり、このフッ素吸着塔21内を通すことによって排ガス中に含まれるフッ化物をフッ化物吸着材に吸着させて除去できるようになっている。ここで除去されるフッ化物の具体例としては、例えば、フッ化水素等が挙げられる。なお、フッ化物の除去のためには、フッ素吸着塔21に代えて(又は併用して)、水酸化ナトリウム水溶液を洗浄液とするスクラバーを用いることもできる。
また、フッ素吸着塔21を通過した排ガスは、配管25を通って水洗塔22に送出されるようになっている。
水洗塔22は排ガスを水洗するもので、この水洗塔22を通すことによって、電極材料粉末等の排ガス中の固相成分を水洗して除去したり、水に容易に溶ける成分などを溶かして除去したりできるようになっている。また、水洗塔22を通過した排ガスは、配管26を通って活性炭処理槽23に送られるようになっている。
活性炭処理槽23は、活性炭が充填された容器であり、この活性炭処理槽23を通すことによって有機ガス等を活性炭に吸着させて除去できるようになっている。また、活性炭処理槽23を通過した排ガスは、配管27を通ってブロア24に送られるようになっている。
ブロア24は、送られてきた排ガスを系外に放出させるためのものである。このブロア24から放出される排ガスは、フッ素吸着塔21、水洗塔22及び活性炭処理槽23で処理されているために系外に放出して問題となる成分を含有しておらず、したがって、安全性試験により発生した排ガスが環境などに害を与えることを抑制することができる。
なお、排ガス処理部2の排ガス処理速度に制限は無い。仮に処理速度の限界以上の排ガスが安全性試験において発生したとしても、ブース1を排ガス保持部として用いて排ガスを一時的に保持できるため、排ガス処理部2の処理能力に応じた速度で排ガスを排ガス処理部2に送出することができるからである。
また、無害化処理によって排ガス中の有害物質がどの程度除去されるかについては制限は無いが、排ガス処理部2から系外に排出される排ガス中における有害物質の濃度が、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下となるようにすることが望ましい。なお、ここで言う有害物質とは、例えば、含フッ素化合物、炭化水素、含リン化合物、粉塵などを指す。
[I−1−4−3.排ガス送出ライン]
排ガス送出ライン3は、排ガスを、ブース1から排ガス処理部2に、排ガス処理部2の処理能力に応じて送出するためのものである。詳しくは、排ガス処理部2の処理速度の限界を超えないように排ガスの流量を調整しながら、排ガスをブース1から排ガス処理部2に送出するものである。本実施形態では、排ガス処理ライン3は、配管31と開閉弁32とを備えている。
具体的には、ブース1と排ガス処理部2のフッ素吸着塔21とは配管31によって連結されていて、開閉弁32を開ければ両者が連通してブース1内の排ガスをフッ素吸着塔21に送出することができ、開閉弁32を閉めれば上記送出を止めることができるようになっている。
また、ブース1内で排ガスが発生した際には、通常はブース1内は排ガスの発生により排ガス処理部2内よりも高圧となっているために、ブース1内の排ガスはその圧力差によって排ガス処理部2に送出されるようになっている。さらに、配管31はブロア24の吸引されているため、これにより、ブース1内の排ガスはより確実に配管31を通って排ガス処理部2に送られるようになっている。
さらに、このブロア24の吸引を利用して、ブース1内の排ガスがドアから外部へ放出されることを防止することも可能である。即ち、例えばドアの開閉中に開閉弁32を開けておけば、ブロア24の吸引によって配管31内がブース1内よりも負圧となり、したがって配管31がブース1内のガスを吸引するようになるため、ブース1内の圧力は試験装置の外部圧力よりも低くなり、このため、試験装置外部に排ガス等のブース1内のガスが漏れ出すことを抑制することができる。
また、排ガス送出ライン3には、排ガス処理部2の処理能力に応じて送出する排ガスの流量を調整する流量調整手段を設け、排ガス処理部2の排ガス処理速度の限界値を超える流入速度で排ガスが排ガス処理部2に流入しないようにしておく。どのようにして調整を行なうかは任意であるが、例えば、しぼりを設けるようにすることが好ましい。具体例としては、配管31の内径を所定値以下とし、排ガス処理部2の処理能力に応じた流量の排ガスだけを流通させられるようにして、配管31自体をしぼりとして機能させることができる。これにより、排ガス処理部2に流入する排ガスの流入速度は、排ガス処理部2の排ガス処理速度の限界を超えないように保たれるので、排ガス処理部2で処理しきれない排ガスが無害化されずに系外に放出されることを防止することができる。
また、例えば、排ガスの流量調整の方法としては、配管31の径を調整する以外にも、絞り弁を設けるようにしてもよい。この際にも、絞り弁の絞り程度は任意であるが、絞り弁の流量調整機能により、排ガスの流量が排ガス処理部2の排ガス処理速度の範囲内に収まるようにすることが好ましい。これによっても、排ガス流量が排ガス処理部2の処理能力の限界を確実に超えないようにすることができる。
さらに、排ガス送出部3が単位時間に排ガス処理部2に送出する排ガスの量は、排ガス処理部2の処理能力を超えない限り任意である。ただし、確実に排ガスの無害化処理を行なう観点からは、排ガス処理部2の処理速度の限界値に対して、通常90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下の排ガスが排ガス処理2に流入するよう、排ガスの流量調整を行なうようにすることが望ましい。
また、配管31内に排ガスの流量を検出する流量センサと安全弁とを設け、流量センサで上記範囲を超える排ガス流量を検出した場合に安全弁が閉まったり流路を絞ったりするように構成することも好ましい。
また、試験時の安全性を更に高めるため、何らかの流量制御手段を設けるようにしても良い。例えば、排ガス送出ライン3に所定の時間毎に開閉を繰り返す開閉弁を設け、その開閉弁が開いている時間と閉まっている時間との比率を調整することにより排ガスの流量制御を行なうようにしてもよい。
さらに、排ガス送出ライン3を流通する排ガスの流量を検出する流量センサと、この流量センサが検知する排ガスの流量が特定値以上となった場合には開度をしぼる絞り弁とを設け、これにより排ガスの流量制御を行なうようにしてもよい。この際、上記特定値を排ガス処理部2の排ガス処理速度の限界値以下にしておけば、排ガス処理部2に対する排ガスの流入速度が上記限界値を超えることを防止できる。
このように排ガス送出ライン3で排ガスの流量を調整するようにすることによって、排ガス送出部3により送出される前の排ガスはブース1内に保持されることになる。しかしこの場合でも、上述したようにブース1が充分な耐圧性を備えているために、排ガス処理部2に送出される前の排ガスを一時的に保持してもブース1が破損したりする虞は無い。
なお、本実施形態では、排ガス処理部2の排ガス処理能力に応じた内径を有する配管31を用いて排ガス送出ライン3を形成しているものとする。さらに、本実施形態においては、上記開閉弁32が絞り量(バルブ開度)を調整できる絞り弁としても機能するようになっていて、この開閉弁32の絞り量を調整することによっても、排ガス処理部2に流入する排ガスの流入速度を調整できるようになっているものとする。ただし、配管31と開閉弁32のいずれか一方のみによっても排ガスの流量制御は可能である。
さらに、本実施形態では、配管31の排ガス処理部2の直前部分には切替弁33が設けられ、この切替弁33を切り替えることによって、ブース1及び排ガス処理部2を接続する流路と、ガスボンベ34及び排ガス処理部2を接続して排ガス処理部2に不活性ガスを供給する流路とを切り替えることができるようになっている。
具体的には、切替弁33には窒素ガス等の不活性ガスが貯蔵されたガスボンベ34が配管35によって接続されている。したがって、切替弁33を切り替えてガスボンベ34から排ガス処理部2に不活性ガスを供給することにより、排ガス処理部2の系内に存在する酸素を追い出して、排ガスを導入した際に排ガス処理部2内の酸素濃度が爆発範囲に入らないようなっている。
[I−1−4−4.室内ガス置換ライン]
室内ガス置換ライン4は、ブース1内を不活性ガスで置換するためのものである。ここでは、室内ガス置換ライン4は、不活性ガスを貯蔵したガスボンベ41が、開閉弁42を備えた配管43によってブース1に接続されることにより構成されている。これにより、開閉弁42を開けるとガスボンベ41内の不活性ガスがブース1に送出され、ブース1内の雰囲気を不活性ガスで置換することが可能になっている。即ち、本実施形態の不活性ガス置換ライン4は、不活性ガス置換部として機能するようになっている。
不活性ガスとしては、排ガスとの反応性が小さい種類の気体を任意に用いることができる。具体例としては、アルゴン、ヘリウム等の希ガスや、窒素などが挙げられる。特に、電力貯蔵供給デバイスとして組成にリチウムを含有するものを用いる場合、リチウムは窒素と反応する虞があるため、不活性ガスとしては希ガスを用いることが好ましい。なお、これらの不活性ガスは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ここで、ブース1内を不活性ガスに置換するのは、電力貯蔵供給デバイスから放出される排ガスがブース1内の空気中の酸素等によって燃焼または爆発し、それにより、排ガスの組成分析ができなくなったり、ブース1の内圧がブース1の耐圧以上の圧力となってブース1が破壊されたりすることを防止するためである。したがって、ブース1内の不活性ガスによる置換を行なうのは、排ガスの組成を分析したい場合などに行なうようにすることが好ましい。
本実施形態では、不活性ガスとして希ガスを用いるようにして室内ガス置換ライン4を構成しているものとする。
[I−1−4−5.減圧ライン]
減圧ライン5は、ブース1内を減圧させるためのものであり、真空ポンプ51と、真空ポンプ51をブース1及び排ガス送出ライン3に接続する配管52と、配管52の真空ポンプ51の前後(即ち、上流及び下流)にそれぞれ設けられた開閉弁53,54とを備えている。したがって、開閉弁53,54を開けることにより、ブース1と真空ポンプ51とが連通してブース1内が減圧され、また、ブース1から真空ポンプ51へと引かれたガスは排ガス送出ライン3を通って排ガス処理部2へ送られるようになっている。
ここで、ブース1内の減圧を行なうようにするのは、ブース1内の雰囲気を室内ガス置換ライン4によって置換する際に、ブース1内を減圧した状態でガスボンベ41から不活性ガスを供給するようにすることで、効率的に置換を行なうことができるようにするためである。また、ブース1内の雰囲気の置換時にブース1内に仮に排ガスが残留していたとしても、上記のようにブース1内を減圧しておけば、ブース1内の排ガス濃度を薄めることができるので、仮に大気と排ガスとが混合した場合であっても排ガス濃度が爆発範囲に入ることを抑制することができる。
また、減圧ライン5により、フッ化物を含む有害ガスや蒸気等を効果的に処理するために排気量を制御することができる。即ち、真空ポンプ51の出力や、開閉弁53,54の開度を調整することにより、真空ポンプ51を用いて、排ガス処理部2に送る排ガスの送出量をコントロールすることができる。
さらに、減圧ライン5を設けたことにより、減圧下での安全性試験を可能とすることも可能である。
なお、減圧ライン5はブース1内を減圧する他、減圧ライン5を通じてブース1内の排ガスを排ガス処理部2に送出するために用いることも可能である。
さらに、減圧ライン5を用いてブース1内を減圧する場合、試験装置の外部圧力(通常は大気圧)よりも減圧することが可能であればどの程度減圧できるかは任意であるが、通常8kPa以下まで減圧できるようにすることが好ましい。
本実施形態でも、減圧ライン5を用いてブース1内の圧力を8kPa以下まで減圧できるようになっているとする。
[I−1−4−6.冷却媒ライン]
試験装置には、ブース1内の温度を調整するため、温度調整手段を設けることが好ましい。通常、電力貯蔵供給デバイスの安全性試験においては試験機器としてヒータを用いることが多いため、温度調整を行なおうとする場合、ヒータによって上昇した温度を強制的に低下させるための冷却手段を設けるようにすればよい。本実施形態においては、ブース1に冷却媒ライン6を設け、これにより、ブース1内の温度調整ができるようになっている。
冷却媒ライン6は、内部に冷媒が流通する配管であり、この冷却媒ライン6内を低温の冷媒が流通することで、ブース1内の温度を低下させることができるようになっている。なお、冷媒に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
また、ブース1の雰囲気温度を下げるだけでなく、ブース1内の所定の位置を冷却するようにしても良い。例えば、ブース1内の電力貯蔵供給デバイスを設置する箱や台を冷却しようとする場合には、その箱や台を冷却できるように冷却媒ライン6を設け、その箱内や台上に電力貯蔵供給デバイスを設置して安全性試験を行なうようにすることも可能である。
本実施形態では、冷却媒ライン6はブース1内の雰囲気温度を低下させるように設けられているものとする。
[I−1−4−7.排ガス採取ライン]
排ガス採取ライン7は、安全性試験により発生した排ガスを採取するためのものである。この排ガス採取ライン7で、排ガス処理部2で処理される以前に排ガスを採取し、別途採取した排ガスを分析することにより、電力貯蔵供給デバイスに対する詳しい分析が可能となる。
本実施形態では、排ガス採取ライン7は排ガス送出ライン3から分岐した配管71を備えていて、この配管71には、排ガスを採取するためのサンプル容器72と、排ガスを排ガス送出ライン3から抜き出すための真空ポンプ73と、サンプル容器72の前後にそれぞれ設けられた開閉弁74,75とが設けられている。なお、サンプル容器72は配管71に着脱可能となっている。したがって、排ガスの採取時には、まず、サンプル容器72の上流の開閉弁74を閉め、下流の開閉弁75を開けて真空ポンプ73を稼動させてサンプル容器72内を減圧する。次いで、下流の開閉弁75を閉め、上流の開閉弁74を開けてサンプル容器72内に排ガス送出ライン3から排ガスを取り込む。これを1回又は2回以上繰り返してサンプル容器72内を排ガスで充たすことにより、サンプル容器72内に排ガスを採取できるようになっている。
このようにして採取された排ガスは、組成分析、毒性試験、燃焼性試験などの分析を適宜行なわれることになる。分析の方法及び使用する分析装置に制限は無く、安全性試験の目的に応じて任意に分析を行なうようにすればよい。
分析装置の例を挙げると、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、イオンクロマトグラフなどのガス組成分析用装置、ISO−10156−1996に記載の燃焼試験用装置などが挙げられる。なお、前記の燃焼試験用装置は、燃焼筒内に充満させた可燃性ガスと空気との混合気に対し、電極で火花をスパークさせ、火炎の伝播を確認する分析方法である。
[I−1−5.使用方法]
本実施形態の試験装置は以上のように構成されているので、上記の試験装置を使用する場合、まず、ブース1内に安全性試験の対象である電力貯蔵供給デバイスを設置する。なお、当初は、開閉弁32,42,53,54,74,75は閉められていて、また、切替弁33はブース1内と排ガス処理部2とを連通させているものとする。
電力貯蔵供給デバイスの設置後、ブース1のドアを閉めて、減圧ライン5によりブース1内を減圧する。具体的には、開閉弁53,54を開き、真空ポンプ51を稼動させてブース1内を減圧する。通常は、ブース1内の圧力が20kPaとなるように減圧すればよい。また、ブース1内の圧力は圧力センサ11で検出するようにすれば良い。これにより、ブース1内が減圧される。
減圧後、減圧ライン5によるブース1内の減圧を停止し、室内ガス供給ライン4からブース1内の雰囲気を置換する。具体的には、開閉弁53,54を閉め、開閉弁42を開けてガスボンベ41内の不活性ガスをブース1内に供給して、ブース1内の雰囲気を不活性ガス雰囲気とする。この際、安全性試験に適当な圧力となるように圧力センサ11でブース1内の圧力を検出しながらガスボンベ41からのガス供給量を調整するようにすることが好ましい。これによりブース1内の雰囲気が不活性ガスで置換される。
なお、ブース1内での排ガスの爆発を抑制するだけであれば上記のブース1内の減圧及び雰囲気置換は1回行なえば十分であるが、排ガスの組成を正確に測定したい場合などには上記のブース1内の減圧及び雰囲気置換を通常2回以上、好ましくは6回以上行なうようにすればよい。これにより、ブース1内の酸素濃度を充分に低く(例えば、50ppm以下に)することができ、排ガスが雰囲気ガスと反応をすることによって排ガスの組成が変化することを防止できる。また、電力貯蔵供給デバイスの外部で排ガスが燃焼や爆発をすると、電力貯蔵供給デバイス内部で発生した熱量の検出が良好に行えなくなり安全性試験を精密に行なえなくなる虞もあるが、排ガスの燃焼や爆発を抑制することにより、上記の虞を無くすことができる。
さらに、ブース1内の雰囲気を置換した後に、切替弁33を切り替えて、上述したようにガスボンベ34から排ガス処理部2に不活性ガスを供給し、排ガス処理部2の系内に存在する酸素を追い出しておく。
また、冷却媒ライン6やブース1内のヒータ(図示省略)を用いてブース1内の温度を調整しておく。調整後、冷却媒ライン6やヒータによる温度調整は停止させる。
以上の準備ができた後、開閉弁32,42,53,74を閉めてブース1を密閉した状態で、ブース1内で釘刺し試験などの安全性試験を行ない、ブース1内の試験機器やセンサ類を用いて、必要なデータの測定を行なう。この際、安全性試験により電力貯蔵供給デバイスから排ガスが発生する。しかし、本実施形態の試験装置では、ブース1が充分な気密性及び耐圧性を有しているため、生じた排ガスはブース1内に保持され、系外に放出されることは無い。なお、圧力センサ11で排ガスが発生した際の爆風圧を検知し、これも分析に用いることができる。
排ガスの発生後、排ガス採取ライン7により、排ガスの採取を行なう。具体的には、上述したように開閉弁74,75を交互に開閉してサンプル容器72内を減圧し、このサンプル容器72内に排ガスを採取する。採取された排ガスは、サンプル容器72を取り外して分析機器等でその内部の排ガスを分析することができる。なお、排ガスの採取後、開閉弁74,75は閉める。
排ガスの採取後、バルブ開度を調整しながら開閉弁32を開き、また、切替弁33をブース1と排ガス処理部2とを連通させるように切り替えて、ブース1内の排ガスを排ガス処理部2に送出する。この際、排ガス送出ライン3が排ガス処理部2の処理能力に応じて送出する排ガスの流量を調整できるよう、配管31が上記のようにいわばしぼりとして機能するように形成され、さらに、開閉弁32が絞り弁としても機能するようになっているので、ブース1内に排ガスを一時的に保持することができ、したがって、排ガス処理部2に流入した排ガスは確実に無害化処理を施されることになる。具体的には、フッ素吸着塔21、水洗塔22及び活性炭処理槽23それぞれの処理能力を超えない範囲の量の排ガスが排ガス処理部2に送られ、フッ素吸着塔21、水洗塔22及び活性炭処理槽23で順に処理をされ、無害化される。そして、無害化された排ガスはブロア24から系外に放出される。
以上のようにして、本実施形態の試験装置を用いた安全性試験が行なわれる。
[I−1−6.効果]
以上のように、本実施形態の試験装置を用いれば、排ガスの処理を可能としながら電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうことができる。また、電力貯蔵供給デバイスに対して釘刺し試験、過充電試験、加熱試験などの安全性試験を行なうと、急激に大量の排ガスが発生するが、本実施形態の試験装置では、ガス送出ライン3が排ガス処理部2の処理能力に応じて送出する排ガスの流量を調整するため、排ガス処理部2に排ガスが流入する前に排ガスを一時的に保持して、処理能力に応じて排ガス処理部2に排ガスを流入させることができる。したがって、排ガス処理部2に処理能力を超える排ガスが流入して排ガスの無害化処理を行なうことができなくなる虞は無く、安全に安全性試験を行なうことができる。また、特に大型電池等の大量の排ガスを放出する電力貯蔵供給デバイスは、従来の技術を用いた場合には排ガス処理に困難を生じる可能性が高いため、上記の試験用デバイスを用いることによる利点が大きい。
さらに、本実施形態の試験装置は、ブース1に耐圧性を有するように構成してあるため、排ガスを確実にブース1に保持することが可能である。さらに、ブース1が耐圧性を有していることにより、安全性試験を不活性ガス雰囲気下で行なう際に急激に排ガスが発生したり、また、ブース1内に排ガスを一時的に保持させたりしてもブース1が破損等することは無く、試験の安全性を更に向上させることができる。
さらに、本実施形態の試験装置は減圧ライン5を備えているため、ブース1内のガスを別のガスに置換する際に減圧を行ない、効率的にガスの置換を行なうことができる。また、減圧下での安全性試験を行なうことができるようにすることも可能である。
さらに、本実施形態の試験装置は、ブース1内の温度を低下させる冷却ライン6を備えているため、適切に温度調整を行なうことができ、また、低温下での安全性試験を行なうことが可能となる。
また、本実施形態の試験装置は排ガスを採取する排ガス採取ライン7を備えているため、安全性試験において発生する排ガスの各種分析を行なうことができるようになる。
さらに、本実施形態の試験装置は圧力センサ11を備えているため、安全性試験時に排ガス発生に伴って生じる爆発の爆風圧を測定することもできる。
[I−2.第2実施形態]
本発明の第2実施形態としての試験装置は、ブース1の耐圧性がブース耐圧A以上の耐圧性を備えるように構成されている他は、第1実施形態と同様である。
したがって、本実施形態においても、電力貯蔵供給デバイス、排ガス及び安全性試験は、それぞれ第1実施形態と同様である。
また、試験装置についても、図1に示すように、排ガス処理部2、排ガス送出ライン3、室内ガス置換ライン4、減圧ライン5、冷却媒ライン6及び排ガス採取ライン7は、それぞれ第1実施形態と同様である。
さらに、ブース1についても、ブース耐圧がブース耐圧A以上になる以外は、第1実施形態と同様である。
即ち、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、排ガス送出ライン3が排ガス処理部2の処理能力に応じて排ガスを送出するようになっているため、ブース1に排ガスを一時的に保持させることができ、これにより、排ガス処理部2の排ガス処理速度の限界値を超える流入速度で排ガスが排ガス処理部2に流入しないようになっている。
また、本実施形態でも、安全性試験を不活性ガス雰囲気下で行なうように構成している。このため、ブース1もそれに応じた耐圧性を備えるようになっている。
具体的には、本実施形態で行なっているように、室内ガス置換ライン4でブース1内の雰囲気を不活性ガスで置換しうる場合など、ブース1内を不活性雰囲気として安全性試験を行なう場合には、ブース1は、下記ブース耐圧A以上の耐圧性を有するように構成することが好ましい。
ブース耐圧A:薬量を、電力貯蔵供給デバイスの加熱時の総発熱量相当のTNT薬量にTNT収率を掛けた値として、ホプキンソンの3乗根則により求められる爆風圧に、安全率を掛けた圧力。
通常、爆薬を爆源とする爆風圧と爆源からの距離との関係は、爆風圧と換算距離とについてホプキンソンの3乗根則による相関が、スケール則として広い範囲で成り立つ。このホプキンソンの3乗根則とは、換算距離、即ち「爆薬の薬量の3乗根で除した爆薬中心からの距離」において、爆発により生じた爆圧の爆風圧が同一となることを示すものであり、特に爆薬としてトリニトロトルエン(以下適宜、「TNT」という)を用いた場合については信頼性が高いことが知られている。
ブース耐圧Aを求める場合には、上記TNTの薬量を用いた換算距離によるスケール則であるホプキンソンの3乗根則を利用して、電力貯蔵供給デバイスを爆源とする爆風圧の強さを推算し、これに安全率を掛けた圧力値を算出する。この際、換算距離の算出に用いる薬量(以下適宜、「換算薬量」という)としては、ガス爆発の際に発生する熱量と同等の熱量を爆発において発生するTNT薬量に対しTNT収率を掛けた値を用いる。
上記TNT収率は、爆発の激しさの尺度であり、排ガスとして爆轟しやすいガスが発生する場合にはTNT収率は高くなる。したがって、排ガスの種類に関わらず、安全性試験で生じうる激しい爆発に対応できる試験装置を構成する場合には、上記ブース耐圧Aの算出に用いるTNT収率は、通常0.01%以上、好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、また、通常20%以下、好ましくは10以下、より好ましくは5%以下とすることが望ましい。
具体的なTNT収率の求め方は任意であるが、例えば、以下のようにして理論値に対する実測値の割合を測定することで求めることができる。即ち、試験サンプルと同様の電力貯蔵供給デバイスを実際に熱分解又は爆発させる実験(以下適宜、「測定用実験」という)を行ない、試験サンプルからある距離における圧力を測定し、測定される圧力の最大値と同じ圧力を爆発時に発生させるTNT火薬の質量(以下適宜、「TNT当量」という)を求める。このTNT当量の、「試験サンプルの熱分解や、これにともなう破裂、爆発等の、当該測定用実験の際に発生する可能性があった総熱量と同等の熱量を爆発において発生するTNT薬量」に対する比率(通常は、百分率)からTNT収率を求めることができる。測定用実験で圧力を測定する距離は任意であり、測定しやすい適当な距離を適宜設定することができる。例えば、熱分解あるいは爆発の中心から1メートルの距離を測定位置と決め、その測定位置での圧力推移を評価する測定用実験を行なうようにすればよい。また、測定用実験は密閉容器内で行なってもよく、開放系で行なってもよい。
また、安全率は、ブース1が安全であることの確実性の程度を表わす値である。この値が大きいほど、より確実にブース1は安全であるといえる。この安全性の値は、通常1以上、また、通常2以下、好ましくは5以下である。
具体的には、ブース耐圧Aは、以下のようにして求めることができる。即ち、(1)安全性試験において電力貯蔵供給デバイスから発生する総発熱量を求め、(2)その総発熱量に相当するTNT薬量を特定し、(3)このTNT薬量に上記TNT収率を乗じて換算薬量を算出する。(4)また、別途ブース1の寸法等から電力貯蔵供給デバイスからブース1の内壁の対象部位までの距離を求めておく。(5)そして、電力貯蔵供給デバイスからブース1の内壁の対象部位までの距離を換算薬量の3乗根で除して換算距離を求める。(6)さらに、上記のようにして求めた換算距離から対応する爆風圧を特定する。(7)最後に、この爆風圧に安全率を乗じてブース耐圧Aを算出する。
以下、具体的な事例を示してブース耐圧Aの算出方法を説明する。
(1)総発熱量の見積もり
ブース耐圧Aを算出する際には、安全性試験において電力貯蔵供給デバイスから発生される総発熱量を求める。この際、総発熱量として文献値や想定値を用いても良いが、ブース耐圧Aの信頼性を高めるには、実験的に求めた総発熱量の実験値を用いるようにすることが好ましい。
上記総発熱量の実験的な求め方は任意である。例えば、安全性試験を行なう対象である電力貯蔵供給デバイスと全く同じ構成の試験用デバイスを用いて実験を行ない、総発熱量を見積もっても良い。ただし、操作を簡単にするためには、電力貯蔵供給デバイスと同様の組成や構成要素を有し寸法が異なる試験用デバイスを用意し、この試験用デバイスを用いて単位体積当たりの発熱量を実験により測定した上で、求めた単位体積当たりの発熱量を電力貯蔵供給デバイスの体積倍して総発熱量を求めるようにすることが好ましい。なお、総発熱量の求め方の説明においては、上記総発熱量を求める実験に用いる電力貯蔵供給デバイスを「試験用デバイス」と呼び、安全性試験に用いる電力貯蔵供給デバイスと区別するようにする。
本事例では、試験用デバイスに対して実際に加熱試験を行ない、これにより総発熱量を求めるものとして説明を行なう。加熱試験により総発熱量を求める場合、試験用デバイスとして用いる電力貯蔵供給デバイスの容量は、0.3アンペアアワー(Ah)から2Ah程度の容量のものが好ましい。電力貯蔵供給デバイスの寸法が小さすぎず、且つ、大きすぎないので、発熱速度の評価精度を向上させることができ、また、安全性を高めることができるからである。
また、安全性試験においては、上記の試験用デバイスよりも大きい容量を有する電力貯蔵供給デバイスの安全性評価を行なうことが多い。したがって、通常は、上記のように、安全性試験に用いる電力貯蔵供給デバイスとは異なる寸法の試験用デバイスを用いて単位体積当たりの熱量を求め、それを実際の安全性試験に用いる電力貯蔵供給デバイスの寸法に合わせて体積倍して総発熱量を求めることになる。よって、本事例においても、加熱試験で用いる試験用デバイスの電極や電解液などの構成要素は、実際に安全性試験に用いる電力貯蔵供給デバイスと同様にするものとする。
加熱試験の条件は想定する安全性試験の条件に合わせて任意に設定すれば良い。具体的な条件の例を示すと、例えば、加熱は常温から通常200℃〜300℃程度まで昇温して行ない、また、その昇温速度は通常1K/min〜2K/minとする。
さらに、加熱に用いる機器も任意であるが、通常はオーブンを用いる。その場合、具体的には、試験用デバイスをオーブン内に設置し、オーブンの内部の温度を室温から昇温させながら、表面温度及びオーブン内雰囲気温度を測定することになる。この際用いるオーブンに制限は無く、任意のオーブンを用いることができるが、昇温速度を設定できる(プログラマブルである)ものが好ましい。
また、加熱試験の際には、試験用デバイス自体の温度及び試験用デバイスの雰囲気温度の時間推移をそれぞれ測定しておくようにする。試験用デバイス自体の温度には、その表面温度と内部温度とのいずれを採用しても良く、適宜、測定しやすい方の温度を採用することができる。本事例では、試験用デバイス自体の温度としてその表面温度を用いた場合について説明するが、内部温度を試験用デバイス自体の温度として採用する場合も、同様に行なうことができる。
加熱試験後、測定した温度推移から試験用デバイスの発熱速度を求め、発熱速度を時間で積分して試験用デバイスからの総発熱量を求める。
上記発熱速度は、加熱試験により得られた試験用デバイス自体の温度の時間変化、即ち、ここでは試験用デバイスの表面温度の時間変化を用いて算出する。具体的には、まず、試験用デバイスの表面温度及び雰囲気温度を用いて、測定した試験用デバイスの熱伝達係数を求める。この熱伝達係数は、試験用デバイスの表面と試験用デバイスの外部との熱交換速度を評価するパラメータであり、表面温度を発熱速度に変換するために用いる係数である。
一般に、加熱試験の結果については、下記式1が成立する。
Figure 0005050845
ただし、式1において、各記号が表わす値は、次の通りである。
ρ : 試験用デバイスの密度
Cp : 試験用デバイスの比熱
T : 試験用デバイスの温度
t : 時間
U : 熱伝達係数
A : 比表面積
surface : 試験用デバイスの表面温度
ambient : 試験用デバイスの雰囲気温度
heat : 発熱速度
ここで、加熱試験中で、発熱が生じていない温度領域においては、上記式1における発熱速度(heat)はゼロである。
したがって、下記式2が成立し、この式2から、熱伝達係数(U)を求めることができる。ここで、式2において、各記号が表わす値は、上記式1と同様である。また、式2から熱伝達係数を求める際に用いる試験用デバイスの密度(ρ)、比熱(Cp)、比表面積(A)などは、別途予め求めておくことが好ましい。
Figure 0005050845
なお、得られる熱伝達係数(U)は、温度によらず平均値を用いてもよいが、ブース耐圧Aの精度を上げるためには、関数化して表わすことが好ましい。
また、ここでは試験用デバイスを用いて式2により熱伝達係数(U)を求めたが、熱伝達係数(U)を求める方法に制限は無く、任意の方法で求めることができる。例えば、試験用デバイスの代わりに、試験用デバイスと同様の表面構成部材を用いた他の部材(例えば、評価対象である電力貯蔵供給デバイスのケースに鉛ビーズを詰めたもの等)を用いて上記方法により式2を用いて熱伝達係数(U)を求めるようにしても良い。また、例えば、場合によっては、適切な文献値を用いることもできる。
次に、求めた熱伝達係数(U)を用いて、熱分解による発熱が発生している温度領域において、上記式1を用いることにより、オーブン加熱試験により測定された試験用デバイスの表面温度(Tsurface)を、発熱速度(heat)に変換する。具体的には、加熱試験で得た試験用デバイスの表面温度(Tsurface)及び雰囲気温度(Tambient)、並びに、上述したようにして求めた熱伝達係数(U)を用いて、試験用デバイスの発熱速度対温度の関係を導出する。なお、密度(ρ)、比熱(Cp)、比表面積(A)などは、式2と同様のものを用いることができる。
次に、上記のように電力貯蔵供給デバイスの表面温度を変換して得られた発熱速度(heat)を、試験用デバイスの体積当たりの発熱速度[W/m]に規格化する。なお、通常、試験用デバイスは電極捲回体や積層体として形成されているが、この体積は予め測定しておくことが好ましい。また、規格化は他の段階において行なっても良く、例えば、発熱速度を時間で積分して発熱量に変換した後に行なうようにしてもよい。さらに、「試験用デバイスの体積」とは、試験用デバイスにおいて発熱が生じる部分の体積のことであり、試験用デバイスの中の外装(例えば、缶やラミネート)や余分な隙間は含まない。
次に、上記のようにして得られた発熱速度[W/m]を、加熱試験を行なった時間で積分し、試験用デバイスの単位体積当たりの発熱量を求める。
そして、この単位体積当たりの発熱量から、換算薬量の算出に用いる総発熱量[J/m]を求める。なお、ここで「電力貯蔵供給デバイスの体積」も、電力貯蔵供給デバイスにおいて発熱が生じる部分の体積のことであり、電力貯蔵供給デバイスの中の外装(例えば、缶やラミネート)や余分な隙間は含まない。
即ち、加熱試験で求めた単位体積当たりの発熱量に、ブース1内で安全性試験を行なう電力貯蔵供給デバイスの体積を掛けて、実際に安全性試験で生じる総発熱量[J]を求める。具体例を示すと、上記単位体積当たりの発熱量が1.8×10[J/m]であり、電力貯蔵供給デバイスの体積が7.2×10−5[m]である場合には、安全性試験の対象となる電力貯蔵供給デバイスが安全性試験時に生じる熱量の総発熱量は、
(1.8×10[J/m])×(7.2×10−5[m])= 1.3×10[J]
となる。
なお、電力貯蔵供給デバイスとしてリチウムイオン電池等の特定のデバイスを用いる場合には、上記の加熱試験を行なう代わりに、電力貯蔵供給デバイスの電力容量[J]に、通常30%以上100%以下の適当な係数値を掛けた値を総発熱量とすることもできる。例えば、容量10Ah、平均電圧3.7Vの電池を安全性試験の対象とした場合、その電力容量は
10×3.7×3600=1.3×10[J]
となる。したがって、これに30%〜100%の係数値を掛けた値を、この電池の総発熱量とみなし、上記(2)〜(6)の計算を行なうようにしても、ブース耐圧Aを算出することができる。なお、電力容量に掛ける係数値は実験的に求めればよい。
また、総発熱量としては、想定値や文献値などを用いても良い。ただし、信頼性を高める観点からは、実験値を用いることが好ましい。
(2)安全性試験時に生じる総発熱量に相当するTNT薬量の特定
安全性試験時に生じる総発熱量が判明すれば、次に、その総発熱量に相当するTNT薬量を特定する。TNTの爆発時発熱量は2.6×10[J/ton]であるので、具体的には、当該総発熱量を2.6×10J/tonで除すればよい。上記加熱試験の具体例の場合、安全性試験時に生じる総熱量は1.3×10[J]であるので、それに相当するTNT薬量は
(1.3×10[J])/(2.6×10[J/ton])
=5×10−5[ton]
=0.05[kg]
である。
(3)換算薬量の算出
総発熱量に相当するTNT薬量が判明すれば、次に、そのTNT薬量に前述のTNT収率をかけ、ホプキンソンの3乗根則に適用する変換薬量を算出する。上記加熱試験の具体例の場合、上記総発熱量に相当するTNT薬量が0.05[kg]であるので、TNT収率を5%とした場合、換算薬量は
(0.05[kg])×(0.05)=2.5×10−3[kg]
となる。
(4)内壁までの距離の特定
また、別途、ブース1内の電力貯蔵供給デバイスからブース1の内壁の対象部位までの距離を求めておく。この距離は、後の換算距離の計算に用いる。上記加熱試験の具体例においては、この距離は、0.35mであるとする。なお、ここで対象部位とは、ブース耐圧A以上の耐圧性を備えさせようとする部位のことをいう。
(5)換算距離の算出
換算薬量と、電力貯蔵供給デバイスからブース1の内壁の対象部位までの距離とから、換算距離を求める。具体的には、電力貯蔵供給デバイスからブース1の内壁の対象部位までの距離を換算薬量の3乗根で除して換算距離を算出する。また、ブース1の内壁においては電力貯蔵供給デバイスからの距離が最も小さい部位が最も高い圧力を受けることから、電力貯蔵供給デバイスと内壁との最短距離を用いて換算距離を求め、内壁で電力貯蔵供給デバイスからの距離が最も小さい部位に必要とされる耐圧に、ブース1全体の耐圧を合わせるようにすると、試験の安全性をより高めることができ、好ましい。上記加熱試験の具体例の場合、換算距離は、
(0.35[m])/{(2.5×10−3[kg])(1/3)
=2.6[m/kg(1/3)
となる。
(6)爆風圧の特定
上記のようにして求めた換算距離を基に、その換算距離に対応する爆風圧を特定する。具体的には、ホプキンソンの3乗根則における換算距離と爆風圧との関係を表わす図2に示す相関図を用い、横軸の換算距離に対応する縦軸の爆風圧を特定する。したがって、上記加熱試験の具体例においては、横軸の換算距離2.6[m/kg(1/3)]に対応する縦軸の値2[Kgf/cm]が、ブース1の当該部位における爆風圧となる。
(7)ブース耐圧Aの算出
さらに、上記の爆風圧に安全率を掛けて、ブース1の対象部位におけるブース耐圧Aを算出する。したがって、安全率を1とした場合、上記加熱試験の具体例における対象部位のブース耐圧Aは
2[Kgf/cm]×1(安全率)=2[Kgf/cm
となる。
したがって、安全性試験を不活性雰囲気下で行なう場合、ブース1は、ブース1を構成する壁部、底部、天井部などの少なくとも一部、好ましくは全体が、上述したブース耐圧A以上の耐圧性を有し、上記ブース耐圧Aまでの内圧に耐えることができるように構成することが望ましい。
本実施形態においては、ブース1は圧力センサ11を備え、さらに、その全体が上記のようにして算出したブース耐圧A以上の耐圧性及び気密性を有して構成されているものとする。また、ブース1がブース耐圧A以上の耐圧性を備えるため、本実施形態の試験装置では、ブース1が排ガス保持部として機能しうるようになっている。
本実施形態の試験装置は以上のように構成されているので、第1実施形態と同様にして安全性試験を行なうことができる。
以上のように、本実施形態の試験装置を用いれば、排ガスの処理を可能としながら電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうことができる。また、電力貯蔵供給デバイスに対して釘刺し試験、過充電試験、加熱試験などの安全性試験を行なうと、急激に大量の排ガスが発生するが、本実施形態の試験装置では、排ガス送出ライン3が排ガス処理部2の処理能力に応じて送出する排ガスの流量を調整するため、排ガス処理部2に排ガスが流入する前に一時的に保持して、処理能力に応じて排ガス処理部2に排ガスを流入させることができる。したがって、排ガス処理部2に処理能力を超える排ガスが流入して排ガスの無害化処理を行なうことができなくなる虞は無く、安全に安全性試験を行なうことができる。
また、本実施形態の試験装置は、ブース1を、ブース耐圧A以上の耐圧性を有するように構成してあるため、安全性試験を不活性ガス雰囲気下で行なう際に急激に排ガスが発生したり、また、ブース1内に排ガスを一時的に保持させたりしてもブース1が破損等することを、より確実に防止することができ、試験の安全性を更に向上させることができる。
また、その他、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
[I−3.第3実施形態]
本発明の第3実施形態としての試験装置は、室内ガス置換ラインが空気でブース1内を置換し、また、ブース1の耐圧性がブース耐圧B以上の耐圧性を備えるように構成されている他は、第1実施形態と同様である。
したがって、本実施形態においても、電力貯蔵供給デバイス、排ガス及び安全性試験は、それぞれ第1実施形態と同様である。
また、試験装置についても、図1に示すように、排ガス処理部2、排ガス送出ライン3、減圧ライン5、冷却媒ライン6及び排ガス採取ライン7は、それぞれ第1実施形態と同様である。
さらに、ブース1についても、ブース耐圧がブース耐圧B以上になる以外は、第1実施形態と同様である。
即ち、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、排ガス送出ライン3が排ガス処理部2の処理能力に応じて排ガスを送出するようになっているため、ブース1に排ガスを一時的に保持させることができ、これにより、排ガス処理部2の排ガス処理速度の限界値を超える流入速度で排ガスが排ガス処理部2に流入しないようになっている。ただし、本実施形態ではブース1内を空気雰囲気として安全性試験を行なうため、試験の安全性を高めるためには、ブース1もそれに応じた耐圧性を備えることが好ましい。
空気雰囲気下で安全性試験を行ない、その安全性試験で排ガスが発生した場合、空気中で排ガスの可燃性成分が燃焼することが考えられる。しかし、その燃焼の燃焼火炎温度は、通常は、一般的な有機系の可燃性ガスが空気中で燃焼するときの概略値である2500Kを超えることは無い。したがって、ブース1の容積に比して発生する排ガスの量が非常に小さいため、排ガス自体の発生によるブース1の内圧の増加量は充分に小さくなる。即ち、空気雰囲気下で安全性試験を行ない、且つ、発生する排ガスが燃焼する場合には、電力貯蔵供給デバイスから発生する排ガスの量による影響よりも、排ガス発生後にその排ガスが燃焼してブース1内温度が上昇することによる熱膨張の影響の方が大きくなるのである。このため、空気雰囲気下で安全性試験を行なう場合に、排ガスの発生に伴って生じる爆発に耐える耐圧性をブース1に備えさせる場合には、排ガスの可燃性成分が燃焼したことによる「温度上昇のみによる影響」に耐える耐圧性を備えればよい。
したがって、具体的には、室内ガス置換ライン4でブース1内の雰囲気を空気で置換しうる場合など、ブース1内を空気雰囲気として安全性試験を行なう場合には、ブース1は、下記ブース耐圧B以上の耐圧性を有するように構成することが好ましい。
ブース耐圧B=初期圧×(Tb/T0)×安全率
(ただし、初期圧は安全性試験時の排ガス発生前のブース1の内圧を表わし、Tbは安全性試験時の燃焼火炎温度を表わし、T0は安全性試験時の排ガス発生前のブース1内の雰囲気温度を表わす。また、安全率は、第2実施形態で説明したのと同様の値である。なお、Tb,T0はそれぞれ絶対温度での値を表わす。)
ここで、燃焼火炎温度Tbは、排ガス燃焼時の雰囲気温度であり、その測定方法は任意である。
具体的な事例を示して説明すると、例えば、初期圧が0.1MPaであり、安全性試験時の排ガス発生前のブース1内の雰囲気温度T0が25℃(298K)であり、安全性試験時の燃焼火炎温度(2500K)がTbであり、安全率を1とする場合には、ブース耐圧Bは
ブース耐圧B=0.1MPa×2500(K)/298(K)×1=0.8MPa
となる。
また、第2実施形態と同様に、ホプキンソンの3乗根則を用いて爆風圧を算出し、その爆風圧に第2実施形態と同様に安全率を掛けて、ブース1にその爆風圧以上の耐圧性を備えさせるようにしても良い。
なお、特に電力貯蔵供給デバイスが電池である場合には、電解液の質量の10倍を、第2実施形態で説明した爆風圧の算出方法における、総発熱量に相当するTNT薬量として用いることができる。また、この際の電解液の質量としては、簡便には、電池の体積の1/3に、密度1000kg/mを掛けた値を用いることができる。
さらに、電解液の燃焼熱が分かる場合は、TNTの爆発時発熱量2.6×10J/tonを用いて上記のTNT薬量を求めてもよい。具体的には、電解液の燃焼熱をTNTの爆発時発熱量で割ってTNT薬量を算出することができる。
また、空気雰囲気下で安全性試験を行なう場合のブース1の備えるべき耐圧性をホプキンソンの3乗根則を用いて求める場合、そのTNT収率は第2実施形態と同様である。さらに、TNT収率として実測値を用いても良い。
ただし、通常、安全性試験において発生する排ガスが空気中において可燃性である場合には、ホプキンソンの3乗根則を用いて求めた爆風圧よりも大きい爆風圧が安全性試験において生じることが多い。したがって、空気雰囲気下での安全性試験を行なうためのブース1を構成する場合、当該安全性試験において発生する排ガスが空気中で可燃性で無い場合にはホプキンソンの3乗根則を用いて求めたブース耐圧Aをブース1に備えさせるようにしても良いが、安全性試験において発生する排ガスが空気中で可燃性である場合、又は、発生する排ガスが不明である場合には、本実施形態で説明したブース耐圧Bをブース1に備えさせるようにすることが好ましい。
なお、安全性試験を、第1,第2実施形態のように不活性雰囲気下で行なう場合と、第3実施形態のように空気雰囲気下で行なう場合とでブース1に要求される耐圧性が異なるのは、次のような理由による。すなわち、不活性雰囲気下では、排ガス中の可燃性ガスの分解や燃焼反応に利用される酸素は、電力貯蔵供給デバイス内にもともと酸素として存在していたか、或いは、構成部材が分解して発生した酸素のみである。これに対し、空気雰囲気下で安全性試験を行なう場合には、上記の酸素にさらに空気中の酸素も加わる。したがって、空気中で安全性試験を行なう場合のほうが、不活性雰囲気下で安全性試験を行なう場合よりも分解、燃焼反応がより進行し、このため、要求される耐圧性に違いが生じるのである。
なお、本実施形態では、ブース1は上述したブース耐圧B以上の耐圧性を有して構成されているものとする。
さらに、本実施形態の試験装置では、室内ガス置換ライン4は、第1実施形態で用いられていた不活性ガスの代わりに、空気で置換を行なうようになっている。したがって、室内ガス置換ライン4はブース1内を空気で置換しうる空気置換部として機能する。
このように、ブース1内を空気で置換して安全性試験を空気雰囲気下で行なうようにすることにより、電力貯蔵供給デバイスを実際の使用状態に近い状態で評価することが可能となる。また、電力貯蔵供給デバイスの外部の要因で、排ガスがどのように燃焼や爆発をするか分析することも可能である。なお、酸素がブース1内に存在しているため、通常は、空気雰囲気下における安全性試験時に生じる圧力は、不活性雰囲気下における安全性試験時に生じる圧力よりも高くなるが、その分ブース1の耐圧性を高めてあるため、排ガスの保持ができなくなったり、ブース1が破損したりする虞は無い。
本実施形態の試験装置は以上のように構成されているので、安全性試験の準備時に室内ガス置換ライン4を用いてブース1内を空気で置換するようにする他は、第1実施形態と同様にして安全性試験を行なうことができる。
以上のように、本実施形態の試験装置を用いれば、排ガスの処理を可能としながら電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうことができる。また、電力貯蔵供給デバイスに対して釘刺し試験、過充電試験、加熱試験などの安全性試験を行なうと、急激に大量の排ガスが発生するが、本実施形態の試験装置では、排ガス送出ライン3が排ガス処理部2の処理能力に応じて送出する排ガスの流量を調整するため、排ガス処理部2に排ガスが流入する前に一時的に保持して、処理能力に応じて排ガス処理部2に排ガスを流入させることができる。したがって、排ガス処理部2に処理能力を超える排ガスが流入して排ガスの無害化処理を行なうことができなくなる虞は無く、安全に安全性試験を行なうことができる。
また、本実施形態の試験装置は、ブース1を、ブース耐圧B以上の耐圧性を有するように構成してあるため、安全性試験を空気雰囲気下で行なう際に急激に排ガスが発生したり、また、ブース1内に排ガスを一時的に保持させたりしてもブース1が破損等することは無く、試験の安全性を更に向上させることができる。
また、その他、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
[I−4.その他]
以上、本発明の試験装置について実施の形態を示して説明したが、本発明の試験装置は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変形して実施することができる。
例えば、上記の第1、第2又は第3実施形態で説明した各構成要素は、それぞれ任意に組み合わせて用いるようにしてもよい。
さらに、例えば、室内ガス置換ライン4に不活性ガスを供給するガスボンベと空気を供給するガスボンベとの両方を備えさせ、不活性ガス及び空気のいずれか一方で選択的にブース1内を置換することができるように構成しても良い。この際、室内ガス置換ライン4を2本以上設けるようにしてもよく、切替弁等を用いて単一の室内ガス置換ライン4で不活性ガス又は空気でブース1内を置換できるようにしても良い。なお、この場合、ブース1の耐圧性は、不活性雰囲気下で安全性試験を行なう場合に備えるべき耐圧性と、空気雰囲気下で安全性試験を行なう場合に備えるべき耐圧性とのうちで、より高い方の耐圧性を備えるようにすることが望ましい。
また、例えば、特に第3実施形態のように空気雰囲気下で安全性試験を行なう場合、専用の室内ガス置換ライン4を設けず、単にブース1に設けたドアを通じてブース1内を空気雰囲気に置換をするようにしてもよい。
さらに、冷却ライン6を設ける代わりに、冷却媒で充たしたバスをブース1内に設置してブース1内を冷却するようにしても良い。
さらに、例えば、排ガス採取ライン7で排ガスを採取する場合には、ブース1内に排ガスを攪拌するための攪拌機(扇風機等)を設置し、排ガスを均一化することができるようにしておくことが好ましい。これにより、排ガス分析の信頼性を向上させることが可能である。なお、上記の実施形態では排ガス採取ライン7を、排ガス送出ライン3から排ガスを抜き出すようにしたが、ブース1に直接接続された専用配管を備えるように構成しても良い。
さらに、例えば、試験装置に分析機器(排ガス分析部)を設け、その分析機器とサンプル容器72とを配管で連結するようにして、試験装置が排ガス採取ライン7で採取した排ガスを分析できるようにしてもよい。これにより、排ガスの分析をより簡単に行なうことができる。
また、例えば、排ガス採取ライン7を通った後の排ガスを、再び排ガス送出ライン3に戻すようにしてもよい。これにより、処理しないまま系外に放出される排ガスの量をより低減することができる。
また、ブース1には上記実施形態で例示したもの以外の試験設備を設置するようにしても良い。例えば、電力貯蔵供給デバイスの充放電用配線、電流電圧測定用配線、試験機制御用配線、試験機電力供給用配線、電灯用電源、攪拌機用電源、CCDカメラ用電源、映像音声信号用ライン、電力貯蔵供給デバイス内の圧力測定センサ用ライン、ブース内の圧力測定センサ用ラインなどの電気測定系試験設備;ブース内雰囲気温度、電力貯蔵供給デバイス表面温度、電力貯蔵供給デバイス内部温度等を測定するための温度測定系試験設備などが挙げられる。
さらに、ブース1に安全弁や圧抜きバルブ等を設け、さらに安全性を高めるようにしてもよい。
また、室内ガス置換ライン4が設けられていない場合や、室内ガス置換ライン4によりブース1内の雰囲気が不活性ガスや空気以外の気体の雰囲気とされる場合に、ブース1に上記のブース耐圧Aやブース耐圧Bを備えさせるようにするようにしても良い。さらに、例えば安全性試験によって発生する排ガスがブース1内の雰囲気に存在する気体と反応しない場合などには、室内ガス置換ライン4によってブース1内の雰囲気を空気雰囲気とする場合にブース1にブース耐圧Aを備えさせるようにしても良い。また、例えば試験装置に汎用性をもたせるため、安全性試験時のブース1内の雰囲気に存在する雰囲気に関わらず、ブース1にブース耐圧Bを備えさせるようにしても良い。このように、ブース1にブース耐圧A及びブース耐圧Bのいずれを備えさせるかは、適宜、任意に設定することができる。
[II.安全性評価方法]
上述した本発明の試験装置を用いれば、電力供給デバイスの安全性試験を行ない、当該安全性試験の試験結果に基づいて、電力供給デバイスの安全性評価を行なうことができる。この際、安全性試験の種類に制限は無いが、例えば、釘刺し試験、過充電試験、加熱試験、外部短絡試験、落下試験、圧壊試験、過放電試験、熱衝撃試験、振動試験から選ばれる試験を行なうことができる。
具体的な安全性評価方法の内容は任意であるが、上記に基づき、例えば「リチウムイオン電池(小型電池)の安全性に関する国際的な認証」UL1642、「電池工業会指針SBA G1101 リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」など認証規定に従って行なうことができる。
この際、本発明の試験装置は、耐圧性(密閉性)を有しているので、これを用いれば、特にガス発生量やガスの組成をより正確に分析することができる。したがって、この分析結果を用いて、破壊や内部短絡に際しても、ガス発生等がより少なく安全な電力供給デバイスを設計・作製することができる。
各種の評価試験における測定項目は、ブースに設置された各種のセンサ等により測定することができる。
例えば、電力供給デバイスの表面温度や、ブース内のガス温度は熱電対をはじめとする温度センサにより測定することができる。
また、例えば、ガスの発生量は、気体の状態方程式によって算出することができる。なお、前記の状態方程式は、圧力センサによって得られる安全性試験前後のブース内圧の変化および温度センサによって得られるブース内ガス温度から得られる。
さらに、例えば、排ガスの成分(組成)は、排ガス採取ラインから採取したガスについて、ガスクロマトグラフィーや質量分析装置など既知の分析装置や方法により分析して求めることができる。
また、例えば、ブース内にビデオカメラおよびビデオカメラによる撮影に必要な照明器具を備えれば、評価試験中の視覚的な挙動をとらえることもできる。
[III.非水系電解液二次電池]
本発明の非水系電解液二次電池は、上記試験装置および安全性評価方法を用いて開発されたものであり、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極および負極と、非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池である。
また、本発明の非水系電解液二次電池は、下記条件(1)または条件(2)を満足するものであり、好ましくはこれらの条件(1),(2)を同時に満足するものである。中でも、さらに好ましくは条件(3),(4)の少なくとも一方を満足するものであり、特に好ましくは条件(3),(4)を同時に満足するものである。
[III−1.非水系電解液二次電池が満たすべき条件]
(1)過充電試験におけるガス発生量
条件(1)は、本発明の非水系電解液二次電池について、上記試験装置を用いて下記条件で過充電試験を行なった場合、試験前後でのブース内圧力の変化が、25℃において、以下の要件を満たすことである。
要件:
試験前後でのブース内圧力の変化[Pa]×ブースの内容積[m]/(試験前のブース内圧力[Pa]×電池の体積[m])≦C
なお、上記要件において、Cは試験時のガス発生量を示す係数であり、100倍以下が好ましく、10倍以下がより好ましく、1倍以下が特に好ましい。
また、過充電試験の条件は次の通りである。
(i)ブース内の雰囲気の初期温度を20±5℃とし、
(ii)完全に放電した状態あるいは充電深度0%から
(iii)前記非水系電解液二次電池を製造したメーカーの推奨する電流の3倍の電流で
(iv)充電容量の250%まで充電操作を行ない、
(v)試験過程におけるガス発生によるブース内圧の増加を測定する。
なお、過充電試験の条件において、条件(i)にあるブース内の雰囲気の初期温度は、ブース内のいずれの位置において測定しても良い。ただし、通常は、ブース内に存在する非水系電解液二次電池から20mm以上の距離において温度を測定する。
また、条件(ii)において、非水系電解液二次電池が完全に放電した状態かどうかは、電池の電圧が常用電圧範囲における下限電圧以下であることにより確認できる。一方、充電深度0%であることは、電池の電圧を常用電圧範囲における下限電圧に30分間維持した場合に流れる放電容量が、電池の容量の2%以下であることにより確認できる。なお、ここでいう常用電圧範囲は充電時の上限電圧、放電時の下限電圧の間の電圧範囲のことで、これは一般には充放電サイクル寿命や保存寿命、ガス発生の程度、内部短絡の有無、放電容量などの電池特性を勘案し、使用用途に合うように決められ、メーカーによって推奨される。非水系電解液二次電池の仕様材料、内部構造、使用環境によってこの範囲は異なるが、たとえばリチウムイオン二次電池の場合、常用電圧範囲は2.5Vから4.2Vであることが一般的である。
さらに、メーカーの推奨する電流とは、メーカーが推奨する電流値の電流のことを指す。したがって、条件(iii)は、当該推奨された電流値の3倍の電流値の電流によって充電を行なうことを表わす。
また、条件(iv),(v)について、理想的には充電容量の250%まで充電するのであるが、充電量が充電容量の250%に到達する前にガス発生が生じ充電容量が250%にまで到達しない場合には、充電可能な最大量まで充電を行ない、当該最大量まで充電した時点でのブース内圧の増加を測定する。
なお、ブース内の雰囲気は任意であり、不活性ガスでも良く、空気でも良く、また、場合によってはそれ以外の気体であってもよい。
上記の過充電試験は、非水系電解液二次電池に対して充電を過剰に行なった場合の当該非水系電解液二次電池の挙動を分析するための試験である。そして、この過充電試験の結果、上記の要件を満たすことは、過充電時に当該非水系電解液二次電池において開弁、破裂、爆発が生じた場合に、当該非水系電解液二次電池からのガス発生量の程度、ガス発生により起こる衝撃の強さの程度がそれぞれ実用上問題とならない程度に小さいことを表わす。
過充電時に生じるガス発生量の程度、ガス発生により起こる衝撃の強さの程度は、非水系電解液二次電池の電池要素の種類、量、配置などが複雑に関係している。したがって、前記のガス発生量の程度、ガス発生により起こる衝撃の強さの程度が小さい非水系電解液二次電池を開発しようとする場合には、非水系電解液二次電池に実際に過充電を行なってガス発生を生じさせ、分析を行なうことを何回も繰り返すことになる。したがって、当該試験を行なうための試験装置として優れたものを使用するほど開発が良好に進行することが期待でき、試験装置の性能や機能が当該試験装置を用いて開発された非水系電解液二次電池にも反映されると考えられる。
なお、非水系電解液二次電池の製造メーカーは、通常は、安全性や効率性などの観点から、好適に使用できる電流量を推奨している。ここで、この推奨する電流量を決定する際にも、上記の過充電試験を繰り返すことになる。したがって、試験装置の性能や機能は、当該試験装置を用いて開発された非水系電解液二次電池について、その非水系電解液二次電池の製造メーカーの推奨する電流値とも相関することになると推察される。
(2)釘刺し試験におけるガス発生量
条件(2)は、本発明の非水系電解液二次電池について、上記試験装置を用いて下記条件で釘刺し試験を行なった場合、試験前後でのブース内圧力の変化が、25℃において、以下の要件を満たすことである。
要件:
試験前後でのブース内圧力の変化[Pa]×ブースの内容積[m]/(試験前のブース内圧力[Pa]×電池の体積[m])≦C
なお、上記要件において、Cは試験時のガス発生量を示す係数であり、100倍以下がこのましく、10倍以下がより好ましく、1倍以下が特に好ましい。
また、釘刺し試験の条件は次の通りである。
(i)ブース内の雰囲気の初期温度を20±5℃とし、
(ii)直径2.5mmから5mmの太さの釘を前記非水系電解液二次電池の中央部で、電極面に対し垂直方向に貫通させ、6時間以上放置し、
(iii)試験過程におけるガス発生によるブース内圧の増加を測定する。
なお、釘刺し試験の条件において、条件(i)にあるブース内の雰囲気の初期温度は、ブース内のいずれの位置において測定しても良い。ただし、通常は、ブース内に存在する非水系電解液二次電池から20mm以上の距離において温度を測定する。
また、条件(ii)において、非水系電解液二次電池の中央部とは、電極面(正極又は負極の面)の中心点の周囲10mmの範囲内を指す。さらに、放置時間は6時間以上であれば制限は無いが、通常は24時間以下である。
なお、ブース内の雰囲気は任意であり、不活性ガスでも良く、空気でも良く、また、場合によってはそれ以外の気体であってもよい。
上記の釘刺し試験は、非水系電解液二次電池が破損したり、非水系電解液二次電池外部より衝撃、振動が加わったりして短絡が生じた場合の当該非水系電解液二次電池の挙動を分析するための試験である。そして、この釘刺し試験の結果、上記の要件を満たすことは、短絡発生時に当該非水系電解液二次電池において開弁、破裂、爆発が生じた場合に、当該非水系電解液二次電池からのガス発生量の程度、ガス発生により起こる衝撃の強さの程度が実用上問題とならない程度に小さいことを表わす。
短絡発生時に生じるガス発生量の程度、ガス発生により起こる衝撃の強さの程度も、非水系電解液二次電池の電池要素の種類、量、配置などが複雑に関係している。したがって、過充電試験の場合と同様に、非水系電解液二次電池を開発しようとする場合には、非水系電解液二次電池に実際に短絡を生じさせて分析を行なうことを何回も繰り返すことになる。したがって、試験装置の性能や機能が当該試験装置を用いて開発された非水系電解液二次電池にも反映されると考えられる。
(3)加熱試験における電池表面温度
条件(3)は、本発明の非水系電解液二次電池について、上記試験装置を用いて下記条件で加熱試験を行なった場合、その過程で測定する当該非水系電解液二次電池の表面温度が、該非水系電解液二次電池が存在する雰囲気温度よりも50K以上超えないことである。また、非水系電解液二次電池の表面温度は、20K以上超えないことが好ましく、10K以上超えないことがより好ましく、5K以上超えないことが特に好ましい。即ち、非水系電解液二次電池の表面温度と雰囲気温度との差が、通常50K未満、好ましくは20K未満、より好ましくは10K未満、特に好ましくは5K未満である。
また、加熱試験の条件は次の通りである。
(i)ブース内の雰囲気の初期温度20±5℃から、
(ii)1K/分から5K/分の温度上昇速度で前記ブース内の雰囲気の温度を150±2℃に到達させ、150±2℃で10分間、前記ブース内の雰囲気の温度を維持させながら、
(iii)試験過程における前記非水系電解液二次電池の表面温度につき当該試験全体を通じて測定を行う。
なお、加熱試験の条件において、条件(i)にあるブース内の雰囲気の初期温度は、ブース内のいずれの位置において測定しても良い。ただし、通常は、ブース内に存在する非水系電解液二次電池から20mm以上の距離において温度を測定する。
さらに、条件(iii)において、非水系電解液二次電池の表面温度は、熱電対、白金測温抵抗体、サーミスタ、放射温度計などにより測定することができる。
また、加熱試験において試験初期のブース内の圧力は通常、大気圧(0.1MPa)であることが望ましい。
なお、ブース内の雰囲気は任意であり、不活性ガスでも良く、空気でも良く、また、場合によってはそれ以外の気体であってもよい。
上記の加熱試験は、高温時の異常反応の程度を分析するための試験である。そして、この加熱試験の結果、上記の要件を満たすことは、高温時における異常反応の程度が低く、結果として高温時においても電池の異常昇温や電池からのガス発生の程度が低いことを表わす。
加熱時の異常反応の程度も、非水系電解液二次電池の電池要素の種類、量、配置などが複雑に関係している。したがって、過充電試験、釘さし試験の場合と同様に、非水系電解液二次電池を開発しようとする場合には、非水系電解液二次電池に実際に加熱試験を行って分析を行なうことを何回も繰り返すことになる。この際、試験の過程において非水系電解液二次電池から大量のガス発生が起こりうるため、試験用ブースとしてはガス発生によるブース内圧の増加に耐えることや発生ガスの処理機能を備えていることが望ましい。したがって、試験装置の性能や機能が当該試験装置を用いて開発された非水系電解液二次電池にも反映されると考えられる。
(4)好ましい性質
更に、本発明の非水系電解液二次電池は、下記(a)、(b)及び(c)よりなる群から選ばれる少なくとも1つの性質を満足するものが特に好ましい。
(a)前記非水系電解液二次電池が外装を備え、前記外装の表面積に対する前記正極の電極面積の総和が面積比で20倍以上である。
(b)前記非水系電解液二次電池の直流抵抗成分が10ミリオーム(mΩ)以下である。
(c)前記非水系電解液二次電池が外装を備え、1個の前記外装に収納される電池要素のもつ電気容量が3アンペアアワー(Ah)以上である。
なお、上記の性質(a)において、非水系電解液二次電池の外装及びその表面積(外表面積)については、後述する。
前記の性質(a)を満足する非水系電解液二次電池は、放電容量密度が大きいため放電容量に比して小さい電池を得られるという利点を有するため、好ましい。
また、性質(b)を満足する非水系電解液二次電池は、充放電時の電池内部抵抗が小さいため、大電流放電ができるという利点を有するため、好ましい。
さらに、性質(c)を満足する非水系電解液二次電池は、放電容量が大きく長時間にわたって電力を供給できるという利点を有するため、好ましい。
また、これら性質の二つを任意の組合せで同時に満足するものがより好ましく、三つを同時に満足するものが特に好ましい。
[III−2.非水系電解液二次電池の構成]
以下に、上記特徴を有する本発明の非水系電解液二次電池について更に詳細に説明する。ただし、本発明の非水系電解液二次電池は、以下に説明する構成を有するものに限定されず、上述したように条件(1)〜(4)を満足する電池を広範に含むものである。即ち、条件(1)〜(4)を前記のように満足する非水系電解液二次電池は本発明の試験装置を用いた安全性評価を経て開発されたものと考えられ、以下に説明する構成は本発明の非水系電解液二次電池が有する構成の好ましい例である。
[III−2−1.電池形状]
本発明の非水系電解液二次電池の電池形状は特に限定されるものではないが、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状状、ペーパー形状が挙げられる。また、システムや機器に組み込まれる際に、容積効率を高めて収納性を上げるために、電池周辺に配置される周辺システムへの収まりを考慮した馬蹄形、櫛型形状等の異型のものであってもよい。さらに、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する角型形状が好ましい。
有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗による発生するジュール発熱を効率よく外部に逃げる設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。
有底角型形状では、一番大きい面の面積S(端子部を除く外形寸法の幅と高さとの積、単位m)の2倍と電池外形の厚さT(単位m)との比率2S/Tの値が100以上であることが好ましく、200以上であることが更に好適である。最大面を大きくすることにより高出力かつ大容量の電池であってもサイクル性や高温保存等の特性を向上させると共に、異常発熱時の放熱効率を上げることができ、後述する「弁作動」や「破裂」という危険な状態になることを抑制することができる。
[III−2−2.電池構成]
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極及び負極、非水系電解液、正極と負極の間に配設されるセパレータ、集電端子、及び外装ケース等によって少なくとも構成される。要すれば、電池の内部及び/又は電池の外部に保護素子を装着してもよい。
[III−2−2−1.正極]
以下に本発明の非水系電解液二次電池に使用される正極について説明する。
[III−2−2−1−1.正極活物質]
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
[組成]
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMn、LiMnO等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiMn1.8Al0.2、LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP等のリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
[表面被覆]
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
これら表面付着物質は、例えば、溶媒に溶解又は懸濁させて正極活物質に含浸添加、乾燥する方法、表面付着物質前駆体を溶媒に溶解又は懸濁させて正極活物質に含浸添加後、加熱等により反応させる方法、正極活物質前駆体に添加して同時に焼成する方法等により正極活物質表面に付着させることができる。
表面付着物質の量としては、正極活物質に対して質量で、下限として好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、上限として好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下で用いられる。表面付着物質により、正極活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができるが、その付着量が少なすぎる場合その効果は十分に発現せず、多すぎる場合には、リチウムイオンの出入りを阻害するため抵抗が増加する場合がある。
[形状]
正極活物質粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。通常、電気化学素子はその充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パス切れ等の劣化がおきやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子活物質であるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものである方が膨張収縮のストレスを緩和して、劣化を防ぐため好ましい。また、板状等軸配向性の粒子であるよりも球状ないし楕円球状の粒子の方が、電極の成形時の配向が少ないため、充放電時の電極の膨張収縮も少なく、また電極を作製する際の導電剤との混合においても、均一に混合されやすいため好ましい。
[タップ密度]
正極活物質のタップ密度は、通常1.3g/cm以上、好ましくは1.5g/cm以上、更に好ましくは1.6g/cm以上、最も好ましくは1.7g/cm以上である。正極活物質のタップ密度が上記下限を下回ると正極活物質層形成時に、必要な分散媒量が増加すると共に、導電材や結着剤(バインダー)の必要量が増加し、正極活物質層への正極活物質の充填率が制約され、電池容量が制約される場合がある。タップ密度の高い金属複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく特に上限はないが、大きすぎると、正極活物質層内における非水系電解液を媒体としたリチウムイオンの拡散が律速となり、負荷特性が低下しやすくなる場合があるため、通常2.5g/cm以下、好ましくは2.4g/cm以下である。
本発明においてタップ密度は、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセル容積を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
[メジアン径d50
粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、最も好ましくは3μm以上であり、上限は、通常20μm以下、好ましくは18μm以下、より好ましくは16μm以下、最も好ましくは15μm以下である。上記下限を下回ると、高嵩密度品が得られなくなる場合があり、上限を超えると粒子内のリチウムの拡散に時間がかかるため、電池性能の低下をきたしたり、電池の正極作製すなわち活物質と導電剤やバインダー等を溶媒でスラリー化し、薄膜状に塗布する際に、スジを引く等の現象を生ずる場合がある。ここで、異なるメジアン径d50をもつ正極活物質を2種類以上混合することで、正極作製時の充填性を更に向上させることもできる。
なお、本発明におけるメジアン径d50は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定される。粒度分布計としてHORIBA社製LA−920を用いる場合、測定の際に用いる分散媒として、0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定屈折率1.24を設定して測定される。
[平均一次粒子径]
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、正極活物質の平均一次粒子径としては、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.08μm以上、最も好ましくは0.1μm以上であり、上限は、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.6μm以下である。上記上限を超えると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。逆に、上記下限を下回ると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の現象を生ずる場合がある。
なお、一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定される。具体的には、10000倍の倍率の写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値をとることにより求められる。
[BET比表面積]
正極活物質のBET比表面積は、0.2m/g以上、好ましくは0.3m/g以上、更に好ましくは0.4m/g以上で、4.0m/g以下、好ましくは2.5m/g以下、更に好ましくは1.5m/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいとタップ密度が上がりにくくなり、正極活物質形成時の塗布性が低下しやすい場合がある。
BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
[製造法]
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属硝酸塩、硫酸塩等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これにLiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法、また、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源と、必要に応じ他の元素の原料物質とを水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これを高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
[III−2−2−1−2.正極の構成]
以下に、本発明に使用される正極の構成について述べる。
[電極構造と作製法]
正極は、正極活物質粒子と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製される。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行なうことができる。すなわち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
正極活物質の正極活物質層中の含有量は、通常10質量%以上、好ましくは30質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。また、通常99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。正極活物質層中の正極活物質の含有量が低いと、電気容量が不十分となる場合がある。逆に含有量が高すぎると、正極の強度が不足する場合がある。なお、本発明の正極活物質粉体は1種を単独で用いても良く、異なる組成又は異なる粉体物性の2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[導電材]
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、また上限は、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。含有量がこの範囲よりも低いと導電性が不十分となる場合がある。逆に、含有量がこの範囲よりも高いと電池容量が低下する場合がある。
[結着剤]
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であれば良いが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、上限は、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう場合がある。一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる場合がある。
[液体媒体]
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極活物質、導電剤、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いても良い。
水系媒体としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体としては、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。なお、液体媒体は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[増粘剤]
特に水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
更に増粘剤を使用する場合には、活物質に対する増粘剤の割合は、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、上限としては、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲である。この範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。上回ると、正極活物質層に占める活物質の割合が低下し、電池の容量が低下したり、正極活物質間の抵抗が増大する場合がある。
[圧密化]
塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、下限として好ましくは1g/cm以上、より好ましくは1.5g/cm、更に好ましくは2g/cm以上であり、上限として好ましくは4g/cm以下、より好ましくは3.5g/cm以下、更に好ましくは3g/cm以下の範囲である。この範囲を上回ると集電体/活物質界面付近への非水系電解液の浸透性が低下し、特に高電流密度での充放電特性が低下する場合がある。また下回ると活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大する場合がある。
[集電体]
正極集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素質材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。薄膜の厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。薄膜がこの範囲よりも薄いと集電体として必要な強度が不足する場合がある。逆に、薄膜がこの範囲よりも厚いと取り扱い性が損なわれる場合がある。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(非水系電解液注液直前の片面の活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)が150以下であることが好ましく、特に好ましくは20以下、より好ましくは10以下であり、下限は0.1以上が好ましく、特に好ましくは0.4以上、より好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。この範囲を下回ると、正極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
[電極面積]
高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する前記正極の電極面積の総和が面積比で20倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
[放電容量]
本発明の二次電池用非水系電解液を用いる場合、上述したように、二次電池の1個の電池外装に収納される電池要素のもつ電気容量(電池を満充電状態から放電状態まで放電したときの電気容量)が、3Ah以上であると、低温放電特性の向上効果が大きくなるため好ましい。そのため、正極板は、放電容量が満充電で、通常3Ah以上、好ましくは4Ah以上、また、通常20Ah以下、好ましくは10Ah以下になるように設計する。3Ah未満では、大電流の取り出し時に電極反応抵抗による電圧低下が大きくなり電力効率が悪くなる場合がある。20Ahより大きいと、電極反応抵抗が小さくなり電力効率は良くなるが、パルス充放電時の電池内部発熱による温度分布が大きく、充放電繰り返しの耐久性が劣り、また、過充電や内部短絡等の異常時の急激な発熱に対して放熱効率も悪くなり、内圧が上昇してガス放出弁が作動する現象(弁作動)、電池内容物が外に激しく噴出する現象(破裂)に至る確率が上がる場合がある。
[正極板の厚さ]
正極板の厚さは特に限定されるものではないが、高容量かつ高出力、高レート特性の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、上限としては、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
[III−2−2−2.負極]
以下に本発明の非水系電解液二次電池に使用される負極について説明する。
[III−2−2−2−1.負極活物質]
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。
負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。
金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質;炭素質物質{例えば天然黒鉛、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、或いはこれらピッチを酸化処理したもの、ニードルコークス、ピッチコークス及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等の有機物の熱分解物、炭化可能な有機物(例えば軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ、或いは乾留液化油等の石炭系重質油、常圧残油、減圧残油の直流系重質油、原油、ナフサ等の熱分解時に副生するエチレンタール等分解系石油重質油、更にアセナフチレン、デカシクレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジン等のN環化合物、チオフェン、ビチオフェン等のS環化合物、ビフェニル、テルフェニル等のポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、これらのものの不溶化処理品、含窒素性のポリアクニロニトリル、ポリピロール等の有機高分子、含硫黄性のポリチオフェン、ポリスチレン等の有機高分子、セルロース、リグニン、マンナン、ポリガラクトウロン酸、キトサン、サッカロースに代表される多糖類等の天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド等の熱可塑性樹脂、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等の熱硬化性樹脂)及びこれらの炭化物、又は炭化可能な有機物をベンゼン、トルエン、キシレン、キノリン、n−へキサン等の低分子有機溶媒に溶解させた溶液及びこれらの炭化物}を400〜3200℃の範囲で一回以上熱処理された炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質から成り立ちかつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる配向性を有する炭素質から成り立ちかつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスが良く好ましい。
[III−2−2−2−2.負極の構成、物性、調製方法]
炭素質材料についての性質や炭素質材料を含有する負極電極及び電極化手法、集電体、非水系電解液二次電池については、次に示す(1)〜(19)の何れか1項又は複数項を同時に満たしていることが望ましい。
(1)X線パラメータ
炭素質材料は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335nm以上であることが好ましく、通常0.360nm以下、好ましくは0.350nm以下、更に好ましくは0.345nm以下であることが望まれる。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることが更に好ましい。
(2)灰分
炭素質材料中に含まれる灰分は、炭素質材料の全質量に対して、1質量%以下、中でも0.5質量%以下、特に0.1質量%以下、下限としては1ppm以上であることが好ましい。上記の範囲を上回ると充放電時の非水系電解液との反応による電池性能の劣化が無視できなくなる場合がある。この範囲を下回ると、製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要とし、コストが上昇する場合がある。
(3)体積基準平均粒径
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)が、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは7μm以上である。また、上限は、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは25μm以下である。上記範囲を下回ると、不可逆容量が増大して、初期の電池容量の損失を招くことになる場合がある。また上記範囲を上回ると、塗布により電極を作製する際に、不均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましくない場合がある。
本発明において体積基準平均粒径は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製LA−700)を用いて測定したメジアン径で定義する。
(4)ラマンR値、ラマン半値幅
アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した炭素質材料のラマンR値は、通常0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.10以上、上限としては1.50以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.50以下の範囲である。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、充放電に伴ってLiが層間に入るサイトが少なくなる場合がある。すなわち、充電受入性が低下する場合がある。また、集電体に塗布した後、プレスすることによって負極を高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向しやすくなり、負荷特性の低下を招く場合がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
また、炭素質材料の1580cm−1付近のラマン半値幅は特に制限されないが、通常10cm−1以上、好ましくは15cm−1以上、また上限として、通常100cm−1以下、好ましくは80cm−1以下、より好ましくは60cm−1以下、更に好ましくは40cm−1以下の範囲である。ラマン半値幅がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、充放電に伴ってLiが層間に入るサイトが少なくなる場合がある。すなわち、充電受入性が低下する場合がある。また、集電体に塗布した後、プレスすることによって負極を高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向しやすくなり、負荷特性の低下を招く場合がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
ラマンスペクトルの測定は、ラマン分光器(例えば、日本分光社製ラマン分光器)を用い、試料を測定セル内へ自然落下させて充填し、セル内のサンプル表面にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させることにより行なう。得られたラマンスペクトルについて、1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出して、これを炭素質材料のラマンR値と定義する。また、得られたラマンスペクトルの1580cm−1付近のピークPの半値幅を測定し、これを炭素質材料のラマン半値幅と定義する。
なお、ここでのラマン測定条件は、次の通りである。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理、
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
(5)BET比表面積
BET法を用いて測定した炭素質材料の比表面積は、通常0.1m/g以上、好ましくは0.7m/g以上、より好ましくは1.0m/g以上、更に好ましくは1.5m/g以上である。上限は、通常100m/g以下、好ましくは25m/g以下、より好ましくは15m/g以下、更に好ましくは10m/g以下である。比表面積の値がこの範囲を下回ると、負極材料として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなりやすく、リチウムが電極表面で析出しやすくなるため、安全性が低下する場合がある。一方、この範囲を上回ると、負極材料として用いた時に非水系電解液との反応性が増加し、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい場合がある。
BET法による比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値を用いる。
(6)細孔径分布
炭素質材料の細孔径分布は、水銀ポロシメトリー(水銀圧入法)により求められる、細孔の直径が0.01μm以上、1μm以下に相当する粒子内の空隙、粒子表面のステップによる凹凸、粒子間の接触面等の量が、0.01mL/g以上、好ましくは0.05mL/g以上、より好ましくは0.1mL/g以上、上限として0.6mL/g以下、好ましくは0.4mL/g以下、より好ましくは0.3mL/g以下の範囲である。この範囲を上回ると、極板化時にバインダーを多量に必要となる場合がある。下回ると、高電流密度充放電特性が低下し、かつ充放電時の電極の膨張収縮の緩和効果が得られない場合がある。
また、0.01μm〜100μmの範囲の細孔径に相当する全細孔容積が、好ましくは0.1mL/g以上、より好ましくは0.25mL/g以上、更に好ましくは0.4mL/g以上、上限として10mL/g以下、好ましくは5mL/g以下、より好ましくは2mL/g以下の範囲である。この範囲を上回ると極板化時にバインダーを多量に必要とする場合がある。下回ると極板化時に増粘剤や結着剤の分散効果が得られない場合がある。
また、平均細孔径が、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.5μm以上、上限として50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下の範囲である。この範囲を上回ると、バインダーを多量に必要となる場合がある。下回ると高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
また、平均細孔径が、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.5μm以上、上限として50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下の範囲である。この範囲を上回ると、バインダーを多量に必要となる場合がある。下回ると高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
水銀ポロシメトリー用の装置としては、水銀ポロシメータ(オートポア9520:マイクロメリテックス社製)を用いる。試料約0.2gを、パウダー用セルに封入し、室温、真空下(50μmHg以下)にて10分間脱気して前処理を実施する。引き続き、4psia(約28kPa)に減圧し水銀を導入し、4psia(約28kPa)から40000psia(約280MPa)までステップ状に昇圧させた後、25psia(約170kPa)まで降圧させる。昇圧時のステップ数は80点以上とし、各ステップでは10秒の平衡時間の後、水銀圧入量を測定する。こうして得られた水銀圧入曲線からWashburnの式を用い、細孔径分布を算出する。なお、水銀の表面張力(γ)は485dyne/cm、接触角(ψ)は140°とする。平均細孔径には累積細孔体積が50%となるときの細孔径を用いる。なお、1dyne=10μN(マイクロニュートン)である。
(7)円形度
炭素質材料の球形の程度として円形度を用い、その粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度が0.1以上が好ましく、特に好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.85以上、最も好ましくは0.9以上である。円形度が大きいと高電流密度充放電特性が向上するため好ましい。円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
円形度
=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)
円形度の値としては、例えば、フロー式粒子像分析装置(例えば、シスメックスインダストリアル社製FPIA)を用い、試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が3〜40μmの範囲の粒子について測定した値を用いる。
円形度を向上させる方法は、特に限定されないが、球形化処理を施して球形にしたものが、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うので好ましい。球形化処理の例としては、せん断力、圧縮力を与えることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子をバインダーもしくは、粒子自身の有する付着力によって造粒する機械的・物理的処理方法等が挙げられる。
(8)真密度
炭素質材料の真密度は、通常1.4g/cm以上、好ましくは1.6g/cm以上、より好ましくは1.8g/cm以上、更に好ましくは2.0g/cm以上であり、上限としては2.26g/cm以下である。上限は黒鉛の理論値である。この範囲を下回ると炭素の結晶性が低すぎて初期不可逆容量が増大する場合がある。本発明においては、真密度は、ブタノールを使用した液相置換法(ピクノメータ法)によって測定したもので定義する。
(9)タップ密度
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g/cm以上、好ましくは0.5g/cm以上、更に好ましくは0.7g/cm以上、特に好ましくは1g/cm以上である。また上限は、好ましくは2g/cm以下、更に好ましくは1.8g/cm以下、特に好ましくは1.6g/cm以下である。タップ密度がこの範囲を下回ると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、高容量の電池を得ることができない場合がある。一方、この範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、粒子間の導電性が確保され難くなり、好ましい電池特性が得られにくい場合がある。タップ密度は、正極活物質の項で記載した方法と同様の方法で測定され定義される。
(10)配向比
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.015以上、上限は理論上0.67以下の範囲である。この範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。
配向比は、試料を加圧成型してからX線回折により次の通り測定する。
試料0.47gを直径17mmの成型機に充填し600kgf/cmで圧縮して得た成型体を、粘土を用いて測定用試料ホルダーの面と同一面になるようにセットしてX線回折を測定する。得られた炭素の(110)回折と(004)回折のピーク強度から、(110)回折ピーク強度/(004)回折ピーク強度で表わされる比を算出し、活物質の配向比と定義する。なお、1kgf=9.80665Nである。
ここでのX線回折測定条件は次の通りである。なお、「2θ」は回折角を示す。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度、受光スリット=0.15mm、散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
(11)アスペクト比(粉)
アスペクト比は理論上1以上であり、上限としては、通常10以下、好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。上限を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
なお、アスペクト比は、3次元的に観察した時の炭素質材料粒子の最長となる径Aと、それと直交する最短となる径Bとしたとき、A/Bであらわされる。炭素粒子の観察は、拡大観察ができる走査型電子顕微鏡で行なう。厚さ50ミクロン以下の金属の端面に固定した任意の50個の黒鉛粒子を選択し、それぞれについて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、A、Bを測定し、A/Bの平均値を求める。
(12)副材混合
「副材混合」とは、負極電極中及び/又は負極活物質中に性質の異なる炭素質材料を2種以上含有していることである。ここで述べた性質とは、X線回折パラメータ、メジアン径、アスペクト比、BET比表面積、配向比、ラマンR値、タップ密度、真密度、細孔分布、円形度、灰分量の一つ以上の特性を示す。
特に好ましい実施の形態としては、体積基準粒度分布がメジアン径を中心としたときに左右対称とならないことや、ラマンR値が異なる炭素質材料を2種以上含有していること、X線パラメータが異なること等が挙げられる。
その効果の一例としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料が導電剤として含有されることにより電気抵抗を低減させること等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電剤として使用する場合には、当該導電剤とする炭素質材料の負極活物質中における濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、上限としては、通常45質量%以下、好ましくは40質量%以下の範囲である。この範囲を下回ると、導電性向上の効果が得にくい場合がある。上回ると、初期不可逆容量の増大を招く場合がある。
(13)電極作製
電極の製造は、常法によればよい。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。電池の非水系電解液注液工程直前の段階での片面あたりの負極活物質層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、上限は150μm以下、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下である。この範囲を上回ると、非水系電解液が集電体界面付近まで浸透しにくいため、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。またこの範囲を下回ると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。また、負極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としても良い。
(14)集電体
集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられ、中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。銅箔の厚さが25μmよりも薄い場合、純銅よりも強度の高い銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることができる。
圧延法により作製した銅箔からなる集電体は、銅結晶が圧延方向に並んでいるため、負極を密に丸めても、鋭角に丸めても割れにくく、小型の円筒状電池に好適に用いることができる。一方、電解銅箔は、例えば、銅イオンが溶解された非水系電解液中に金属製のドラムを浸漬し、これを回転させながら電流を流すことにより、ドラムの表面に銅を析出させ、これを剥離して得られるものである。なお、上記の圧延銅箔の表面に、電解法により銅を析出させていても良い。また、銅箔の片面又は両面には、粗面化処理や表面処理(例えば、厚さが数nm〜1μm程度までのクロメート処理、Ti等の下地処理等)がなされていても良い。
集電体基板には、更に次のような物性が望まれる。
(14−1)平均表面粗さ(Ra)
JISB0601−1994に記載の方法で規定される集電体基板の負極活物質薄膜形成面の平均表面粗さ(Ra)は、特に制限されないが、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.15μm以上であり、通常1.5μm以下、好ましくは1.3μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。集電体基板の平均表面粗さ(Ra)を上記した下限と上限の間の範囲内とすることにより、良好な充放電サイクル特性が期待できる。上記下限値以上とすることにより、負極活物質薄膜との界面の面積が大きくなり、負極活物質薄膜との密着性が向上する。平均表面粗さ(Ra)の上限値は特に制限されるものではないが、平均表面粗さ(Ra)が1.5μmを超えるものは電池として実用的な厚みの箔としては一般に入手しにくいため、1.5μm以下のものが好ましい。
(14−2)引張強度
集電体基板の引張強度は、特に制限されないが、通常100N/mm以上、好ましくは250N/mm以上、更に好ましくは400N/mm以上、特に好ましくは500N/mm以上である。引張強度とは、試験片が破断に至るまでに要した最大引張力を、試験片の断面積で割ったものである。本発明における引張強度は、伸び率と同様な装置及び方法で測定される。引張強度が高い集電体基板であれば、充電・放電に伴う負極活物質薄膜の膨張・収縮による集電体基板の亀裂を抑制することができ、良好なサイクル特性を得ることができる。
(14−3)0.2%耐力
集電体基板の0.2%耐力は、特に制限されないが、通常30N/mm以上、好ましくは150N/mm以上、特に好ましくは300N/mm以上である。0.2%耐力とは、0.2%の塑性(永久)歪みを与えるに必要な負荷の大きさであり、この大きさの負荷を加えた後に除荷しても0.2%変形している事を意味している。0.2%耐力は、伸び率と同様な装置及び方法で測定される。0.2%耐力が高い集電体基板であれば、充電・放電に伴う負極活物質薄膜の膨張・収縮による集電体基板の塑性変形を抑制することができ、良好なサイクル特性を得ることができる。
金属薄膜の厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上である。また、上限は、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは30μm以下である。1μmより薄くなると強度が低下するため塗布が困難となる場合がある。また100μmより厚くなると捲回等の電極の形を変形させる場合がある。また、金属薄膜は、メッシュ状でもよい。
(15)集電体と負極活物質層の厚さの比
集電体と負極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)が150以下であることが好ましく、特に好ましくは20以下、より好ましくは10以下であり、下限は0.1以上が好ましく、特に好ましくは0.4以上、より好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。この範囲を下回ると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
(16)電極密度
負極活物質を電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、好ましくは1g/cm以上、より好ましくは1.2g/cm、更に好ましくは1.3g/cm以上であり、上限として2g/cm以下、好ましくは1.9g/cm以下、よりに好ましくは1.8g/cm以下、更に好ましくは1.7g/cm以下の範囲である。この範囲を上回ると負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また下回ると負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
(17)バインダー
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いても良い。水系溶媒の例としては水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤等を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
負極活物質に対するバインダーの割合は、0.1質量%以上が好ましく、特に好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、上限としては、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下の範囲である。この範囲を上回るとバインダー量が電池容量に寄与しないバインダー割合が増加して、電池容量の低下を招く場合がある。また下回ると、負極電極の強度低下を招く場合がある。
特に、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に対するバインダーの割合は、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、上限としては、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲である。また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分に含有する場合には負極活物質に対する割合は、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、上限としては15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下の範囲である。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
更に増粘剤を使用する場合には、負極活物質に対する増粘剤の割合は、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、上限としては5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲である。この範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。上回ると、負極活物質層に占める負極活物質の割合が低下し、電池の容量が低下したり負極活物質間の抵抗が増大したりする場合がある。
(18)極板配向比
極板配向比は、0.001以上が好ましく、特に好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、上限は理論値である0.67以下である。この範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。
極板配向比の測定は以下のとおりである。目的密度にプレス後の負極電極について、X線回折により電極の負極活物質配向比を測定する。具体的手法は特に制限されないが、標準的な方法としては、X線回折により炭素の(110)回折と(004)回折のピークを、プロファイル関数として非対称ピアソンVIIを用いてフィッティングすることによりピーク分離を行ない、(110)回折と(004)回折のピークの積分強度を各々算出する。得られた積分強度から、(110)回折積分強度/(004)回折積分強度で表わされる比を算出し、電極の負極活物質配向比と定義する。
ここでのX線回折測定条件は次の通りである。なお、「2θ」は回折角を示す。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :発散スリット=1度、受光スリット=0.1mm、散乱スリット=1度
・測定範囲、及び、ステップ角度/計測時間:
(110)面:76.5度≦2θ≦78.5度 0.01度/3秒
(004)面:53.5度≦2θ≦56.0度 0.01度/3秒
・試料調整 :硝子板に0.1mm厚さの両面テープで電極を固定
(19)インピーダンス
放電状態から公称容量の60%まで充電した時の負極の抵抗が、100Ω以下が好ましく、特に好ましくは50Ω以下、より好ましくは20Ω以下、及び/又は二重層容量が1×10−6F以上が好ましく、特に好ましくは1×10−5F、より好ましくは1×10−4Fである。この範囲であると出力特性が良く好ましい。
負極の抵抗及び二重層容量は、次の手順で測定する。測定する非水系電解液二次電池は、公称容量を5時間で充電できる電流値にて充電した後に、20分間充放電をしない状態を維持し、次に公称容量を1時間で放電できる電流値で放電したときの容量が公称容量の80%以上あるものを用いる。前述の放電状態の非水系電解液二次電池について公称容量を5時間で充電できる電流値にて公称容量の60%まで充電し、直ちに非水系電解液二次電池をアルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内に移す。ここで該非水系電解液二次電池を負極が放電又はショートしない状態ですばやく解体して取り出し、両面塗布電極であれば、片面の負極活物質を他面の負極活物質を傷つけずに剥離し、負極電極を12.5mmφに2枚打ち抜き、セパレータを介して負極活物質面がずれないよう対向させる。電池に使用されていた非水系電解液60μLをセパレータと両負極間に滴下して密着し、外気と触れない状態を保持して、両負極の集電体に導電をとり、交流インピーダンス法を実施する。測定は温度25℃で、10−2〜10Hzの周波数帯で複素インピーダンス測定を行ない、求められたコール・コール・プロットの負極抵抗成分の円弧を半円で近似して表面抵抗(R)と、二重層容量(Cdl)を求める。
負極板の面積は特に限定されるものではないが、対向する正極板よりもわずかに大きくして正極板が負極板から外にはみ出すことがないように設計する。充放電を繰り返したサイクルの寿命や高温保存による劣化を抑制する観点から、出来る限り正極に等しい面積に近づけることが、より均一かつ有効に働く電極割合を高めて特性が向上するので好ましい。特に、大電流で使用される場合には、この電極面積の設計が重要である。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に限定されるものではないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、上限は150μm以下、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下である。
[III−2−2−3.非水系電解液]
以下に本発明の非水系電解液二次電池に使用される非水系電解液を説明する。本発明の非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液は、リチウム塩及びこれを溶解する非水溶媒を含有する。
[III−2−2−3−1.リチウム塩]]
リチウム塩としては、非水系電解液二次電池用非水系電解液の電解質として用いられ得ることが知られているリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば次のものが挙げられる。
(1)無機リチウム塩:
LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等。
(2)含フッ素有機リチウム塩:
LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等。
(3)オキサラトボレート塩:
リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート等。
これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
これらのなかでも、非水溶媒に対する溶解性、二次電池とした場合の充放電特性、出力特性、サイクル特性等を総合的に判断すると、LiPF、LiBF等が好ましく、LiPFが特に好ましい。
非水系電解液中の上記リチウム塩の濃度は、特に制限はないが、通常0.3mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.7mol/L以上である。また、その上限は、通常2mol/L以下、好ましくは1.8mol/L以下、より好ましくは1.7mol/L以下である。濃度が低すぎると、非水系電解液の電気伝導率が不十分の場合があり、一方、濃度が高すぎると、粘度上昇のため電気伝導度が低下する場合があり、非水系電解液二次電池の性能が低下する場合がある。
また、非水系電解液中には、リチウム塩として、含フッ素リチウム塩を含有することが好ましい。非水系電解液中の含フッ素リチウム塩の濃度は、特に制限はないが、0.5mol/L以上が好ましく、特に好ましくは0.7mol/L以上である。また、その上限は、2mol/L以下が好ましく、1.7mol/L以下が特に好ましい。濃度が低すぎると、非水系電解液の電気伝導率が不十分となる場合があり、一方、濃度が高すぎると、粘度上昇のため電気伝導度が低下して、非水系電解液二次電池の性能が低下する場合がある。
リチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良いが、リチウム塩を2種以上併用する場合の好ましい一例は、LiPFとLiBFとの併用であり、この場合には、両者の合計に占めるLiBFの割合が、0.01質量%以上、20質量%以下であることが特に好ましく、0.1質量%以上、5質量%以下であるのが更に好ましい。また、他の好ましい一例は、無機フッ化物塩とパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩との併用であり、この場合には、両者の合計に占める無機フッ化物塩の割合は、70質量%以上、99質量%以下であることが特に好ましく、80質量%以上、98質量%以下であることがより更に好ましい。この両者の併用は、高温保存による劣化を抑制する効果がある。
[III−2−2−3−2.非水溶媒]
非水溶媒としても従来から非水系電解液の溶媒として提案されているものの中から、適宜選択して用いることができる。例えば、次のものが挙げられる。
(1)環状カーボネート:
環状カーボネートを構成するアルキレン基の炭素数は2〜6が好ましく、特に好ましくは2〜4である。具体的には例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。
(2)鎖状カーボネート:
鎖状カーボネートとしては、ジアルキルカーボネートが好ましく、構成するアルキル基の炭素数は、それぞれ、1〜5が好ましく、特に好ましくは1〜4である。具体的には例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状カーボネート類、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート類等のジアルキルカーボネートが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
(3)環状エステル:
環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
(4)鎖状エステル:
鎖状エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
(5)環状エーテル:
環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
(6)鎖状エーテル:
鎖状エーテルとしては、例えば、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
(7)含硫黄有機溶媒:
含硫黄有機溶媒としては、例えば、スルフォラン、ジエチルスルホン等が挙げられる。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用することが好ましい。例えば、環状カーボネート類や環状エステル類等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネート類や鎖状エステル類等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
非水溶媒の好ましい組合せの一つは、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類を主体とする組合せである。なかでも、非水溶媒に占める環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計が、85容量%以上、好ましくは90容量%以上、より好ましくは95容量%以上である。また、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計に対する環状カーボネート類の容量が5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、通常50%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下のものである。非水溶媒全体に占めるカーボネート類の合計の上記好ましい容量範囲と、環状及び鎖状カーボネート類に対する環状カーボネート類の好ましい上記容量範囲は、組み合わされていることが特に好ましい。
環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の好ましい組み合わせの具体例としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。これらのエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。
これらの中で、非対称鎖状カーボネート類を含有するものが更に好ましく、特に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートといったエチレンカーボネートと対称鎖状カーボネート類と非対称鎖状カーボネート類を含有するものが、サイクル特性と大電流放電特性のバランスが良いので好ましい。中でも、非対称鎖状カーボネート類がエチルメチルカーボネートであるものが好ましく、また、ジアルキルカーボネートを構成するアルキル基の炭素数は1〜2が好ましい。
好ましい非水溶媒の他の例は、鎖状エステルを含有するものである。特に、上記、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の混合溶媒に、鎖状エステルを含有するものが、電池の低温特性向上の観点から好ましく、鎖状エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチルが特に好ましい。非水溶媒に占める鎖状エステルの容量は、通常5%以上、好ましくは8%以上、より好ましくは15%以上であり、通常50%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下である。
他の好ましい非水溶媒の例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンよりなる群から選ばれた1種の有機溶媒、又は該群から選ばれた2以上の有機溶媒からなる混合溶媒を全体の60容量%以上を占めるものである。こうした混合溶媒は、引火点が50℃以上であるものが好ましく、中でも70℃以上であるものが特に好ましい。この溶媒を用いた非水系電解液は、高温で使用しても溶媒の蒸発や液漏れが少なくなる。
中でも、非水溶媒に占めるγ−ブチロラクトンの量が60容量%以上であるものや、非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとの合計が、80容量%以上、好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとの容量比が5:95〜45:55であるもの、又は非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの合計が、80容量%以上、好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比が30:70〜60:40であるものを用いると、一般にサイクル特性と大電流放電特性等のバランスがよくなる。
[III−2−2−3−3.特定化合物]
本発明の非水系電解液二次電池における非水系電解液は、更に、一般式(1)で表される環状シロキサン化合物、一般式(2)で表されるフルオロシラン化合物、一般式(3)で表される化合物、分子内にS−F結合を有する化合物、硝酸塩、亜硝酸塩、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、酢酸塩及びプロピオン酸塩からなる群より選ばれた1種以上の化合物(以下、これらを「特定化合物」と略記することがある)を、必要に応じて任意の量で含有させることができる。
Figure 0005050845
[一般式(1)中、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜12の有機基を表し、nは3〜10の整数を表す。]
Figure 0005050845
[一般式(2)中、R〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜12の有機基を表し、xは1〜3の整数を表し、p、q及びrはそれぞれ0〜3の整数を表し、1≦p+q+r≦3である。]
Figure 0005050845
[一般式(3)中、R〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜12の有機基を表し、AはH、C、N、O、F、S、Si及び/又はPから構成される基を表す。]
前記非水溶媒(混合溶媒)に、リチウム塩と、上記特定化合物を少なくとも1種以上含有する非水系電解液は、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)及びガス発生抑制のバランスがよくなるので好ましい。
特に、これら特定化合物は、正極活物質表面や金属材料表面に吸着することで電解液等との副反応を抑制することができると考えられる。この正極活物質表面での副反応の抑制によりガス発生を抑制でき、電池の破壊や内部短絡に際するガス発生を抑制することができる。
また、正極活物質表面での副反応の抑制により、電池の寿命、出力、過充電時の安全性が向上することが、大型電池での利用に好ましいと考えられる。この金属材料表面での副反応の抑制により、集電タブと端子との接続に、抵抗が小さく簡易な溶接方法を用いた場合にも長期の使用に際して直流抵抗成分の増加が抑制されることから大型電池での利用に好ましいと考えられる。さらに、正極の反応抵抗を下げることが、電池形状や正極面積等を高出力用に設計した電池において、さらに出力を向上させるために効果的であり好ましい。
これら特定化合物を含有させることにより、高出力や大型の電池とした場合においても、高い安全性を確保することができる。
次に、これら特定化合物の詳細について説明する。
[一般式(1)で表される環状シロキサン化合物]
一般式(1)で表される環状シロキサン化合物におけるR及びRは互いに同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜12の有機基である。R及びRとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、ノルボルニル基等の環状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、ブテニル基、1,3−ブタジエニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;3−ピロリジノプロピル基等の飽和複素環基を有するアルキル基;アルキル置換基を有していてもよいフェニル基等のアリール基;フェニルメチル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基;トリメチルシロキシ基等のトリアルキルシロキシ基等が挙げられる。
中でも、炭素数が少ないものの方が特性が発現しやすいため、炭素数1〜6の有機基が好ましい。また、アルケニル基は非水系電解液や電極表面の被膜に作用して入出力特性を向上させ、アリール基は充放電時に電池内で発生するラジカルを捕捉して電池性能全般を向上させる作用を有するので好ましい。従って、R及びRとしては、メチル基、ビニル基又はフェニル基が特に好ましい。
一般式(1)中、nは3〜10の整数を表すが、3〜6の整数が好ましく、3又は4が特に好ましい。
一般式(1)で表される環状シロキサン化合物の例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン等のシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロペンタシロキサン等が挙げられる。このうち、シクロトリシロキサンが特に好ましい。
[一般式(2)で表されるフルオロシラン化合物]
一般式(2)で表されるフルオロシラン化合物におけるR〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜12の有機基である。R〜Rとしては、例えば、一般式(1)におけるR及びRの例として挙げた鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン化アルキル基、飽和複素環基を有するアルキル基、アルキル基を有していてもよいフェニル基等のアリール基、アラルキル基、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシ基に加え、エトキシカルボニルエチル基等のカルボニル基;アセトキシ基、アセトキシメチル基、トリフルオロアセトキシ基等のカルボキシル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、アリロキシ基等のオキシ基;アリルアミノ基等のアミノ基;ベンジル基等を挙げることができる。
一般式(2)中、xは1〜3の整数を表し、p、q及びrはそれぞれ0〜3の整数を表し、1≦p+q+r≦3である。また必然的に、x+p+q+r=4である。
一般式(2)で表されるフルオロシラン化合物の例としては、トリメチルフルオロシラン、トリエチルフルオロシラン、トリプロピルフルオロシラン、フェニルジメチルフルオロシラン、トリフェニルフルオロシラン、ビニルジメチルフルオロシラン、ビニルジエチルフルオロシラン、ビニルジフェニルフルオロシラン、トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシフルオロシラン等のモノフルオロシラン類の他、ジメチルジフルオロシラン、ジエチルジフルオロシラン、ジビニルジフルオロシラン、エチルビニルジフルオロシラン等のジフルオロシラン類;メチルトリフルオロシラン、エチルトリフルオロシラン等のトリフルオロシラン類も挙げられる。
一般式(2)で表されるフルオロシラン化合物は、沸点が低いと、揮発してしまうため非水系電解液に所定量含有させるのが難しくなる場合がある。また、非水系電解液に含有させた後も、充放電による電池の発熱や外部環境が高温になる様な条件下で揮発してしまう可能性がある。よって、1気圧で、50℃以上の沸点を持つものが好ましく、中でも60℃以上の沸点を持つものが特に好ましい。
また、一般式(1)の化合物と同様に、有機基としては炭素数の少ないものの方が、効果が発現しやすく、炭素数1〜6のアルケニル基は非水系電解液や電極表面の被膜に作用して入出力特性を向上させ、アリール基は充放電時に電池内で発生するラジカルを捕捉して電池性能全般を向上させる作用を有する。従って、この観点からは有機基としては、メチル基、ビニル基又はフェニル基が好ましく、化合物の例としては、トリメチルフルオロシラン、ビニルジメチルフルオロシラン、フェニルジメチルフルオロシラン、ビニルジフェニルフルオロシラン等が特に好ましい。
[一般式(3)で表される化合物]
一般式(3)で表される化合物におけるR〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜12の有機基である。R〜Rの例としては、一般式(2)のR〜Rの例として挙げた鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン化アルキル基、飽和複素環基を有するアルキル基、アルキル基を有していてもよいフェニル基等のアリール基、アラルキル基、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシ基、アミノ基、ベンジル基等を同様に挙げることができる。
一般式(3)で表される化合物におけるAは、H、C、N、O、F、S、Si及び/又はPから構成される基であれば特に制限はない。ただし、一般式(3)中の酸素原子に直接結合する元素としては、C、S、Si又はPが好ましい。これら原子の存在形態としては、例えば、鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、スルホニル基、トリアルキルシリル基、ホスホリル基、ホスフィニル基等に含まれるものが好ましい。
また、一般式(3)で表される化合物の分子量は、1000以下が好ましく、中でも800以下が特に好ましく、500以下が更に好ましい。
一般式(3)で表される化合物の例としては、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジエチルテトラメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のシロキサン化合物類;メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン等のアルコキシシラン類;ビス(トリメチルシリル)パーオキサイド等の過酸化物類;酢酸トリメチルシリル、酢酸トリエチルシリル、プロピオン酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリメチルシリル、トリフルオロ酢酸トリメチルシリル等のカルボン酸エステル類;メタンスルホン酸トリメチルシリル、エタンスルホン酸トリメチルシリル、メタンスルホン酸トリエチルシリル、フルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のスルホン酸エステル類;ビス(トリメチルシリル)スルフェート等の硫酸エステル類;トリス(トリメチルシロキシ)ボロン等のホウ酸エステル類;トリス(トリメチルシリル)ホスフェート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト等のリン酸若しくは亜リン酸エステル類等が挙げられる。
このうち、シロキサン化合物類、スルホン酸エステル類、硫酸エステル類が好ましく、スルホン酸エステル類が特に好ましい。シロキサン化合物類としては、ヘキサメチルジシロキサンが好ましく、スルホン酸エステル類としては、メタンスルホン酸トリメチルシリルが好ましく、硫酸エステル類としては、ビス(トリメチルシリル)スルフェートが好ましい。
[分子内にS−F結合を有する化合物]
分子内にS−F結合を有する化合物としては特に限定はないが、スルホニルフルオライド類、フルオロスルホン酸エステル類が好ましい。例えば、メタンスルホニルフルオライド、エタンスルホニルフルオライド、メタンビス(スルホニルフルオライド)、エタン−1,2−ビス(スルホニルフルオライド)、プロパン−1,3−ビス(スルホニルフルオライド)、ブタン−1,4−ビス(スルホニルフルオライド)、ジフルオロメタンビス(スルホニルフルオライド)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン−1,2−ビス(スルホニルフルオライド)、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニルフルオライド)、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル等が挙げられる。中でも、メタンスルホニルフルオライド、メタンビス(スルホニルフルオライド)又はフルオロスルホン酸メチルが好ましい。
[硝酸塩、亜硝酸塩、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩]
硝酸塩、亜硝酸塩、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、Li、Na、K、Mg、Ca、Fe、Cu等の金属元素の他、NR101112(式中、R〜R12は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表わす。)で表現されるアンモニウム、4級アンモニウムが挙げられる。ここで、R〜R12の炭素数1〜12の有機基としては、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいシクロアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、窒素原子含有複素環基等が挙げられる。中でも、R〜R12としては、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、窒素原子含有複素環基等が好ましい。
これらのカウンターカチオン中でも、非水系電解液二次電池に用いたときの電池特性の点から、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はNR101112が好ましく、リチウムが特に好ましい。また、中でも、硝酸塩又はジフルオロリン酸塩が、出力向上効果が大きい上、電池のサイクル、高温保存特性の点で好ましく、ジフルオロリン酸リチウムが特に好ましい。また、これらの化合物は非水溶媒中で合成されたものを実質的にそのまま用いてもよく、別途合成して実質的に単離されたものを非水溶媒中又は非水系電解液中に含有させてもよい。
特定化合物、すなわち、一般式(1)で表される環状シロキサン化合物、一般式(2)で表されるフルオロシラン化合物、一般式(3)で表される化合物、分子内にS−F結合を有する化合物、硝酸塩、亜硝酸塩、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、酢酸塩又はプロピオン酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上の化合物を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、特定化合物で、上記それぞれに分類される化合物の中であっても、1種を単独で用いてもよく、2種類以上の化合物を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
非水系電解液中のこれら特定化合物の割合は、全非水系電解液に対して、合計で通常10ppm以上(0.001質量%以上)であるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。また、上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。特定化合物の濃度が低すぎると、長期間使用した後でも、出力特性が維持される効果やガス発生の抑制効果が得られ難い場合があり、一方、濃度が高すぎると充放電効率の低下を招く場合がある。
[III−2−2−3−4.他の化合物]
本発明の非水系電解液二次電池における非水系電解液は、さらに必要に応じて他の化合物を、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の量で含有させることができる。このような他の化合物としては、具体的には、例えば、
(1)ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等の過充電防止剤;
(2)ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等の負極被膜形成剤;
(3)亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルフォキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド等の正極保護剤;
等が挙げられる。
中でも、過充電防止剤としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物が好ましい。これらは1種を用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して用いてもよい。ただし、2種以上併用する場合は、特に、シクロヘキシルベンゼンやターフェニル(又はその部分水素化体)と、t−ブチルベンゼンやt−アミルベンゼンを併用するのが好ましい。
また、負極被膜形成剤としては、カーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、無水コハク酸、無水マレイン酸が好ましい。これらは1種を用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して用いてもよい。
さらに、正極保護剤としては、亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、プロパンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファンが好ましい。これらは1種を用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して用いてもよい。また、負極皮膜形成剤と正極保護剤との併用や、過充電防止剤と負極皮膜形成剤と正極保護剤との併用が特に好ましい。
非水系電解液中におけるこれら他の化合物の含有割合は特に限定はないが、非水系電解液全体に対し、それぞれ、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。これらの化合物を使用することにより、過充電等による異常時に電池のガス発生や破裂・発火を抑制したり、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させたりすることができる。
[III−2−2−4.セパレータ]
セパレータは、両極間を電子的に絶縁する所定の機械的強度を有し、イオン透過度が大きく、かつ、正極と接する側における酸化性と負極側における還元性への耐性を兼ね備えるものであれば特に限定されるものではない。このような要求特性を有するセパレータの材質として、例えば、樹脂、無機物、ガラス繊維等が用いられる。前記樹脂としては、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等が用いられる。具体的には、非水系電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等を用いるのが好ましい。
前記無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。
また、前記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着剤を用いて前記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着剤として多孔層を形成させることが挙げられる。
なお、セパレータは、前述の正極及び負極とともに電極群として一体に構成してもよい。電極群の具体的構成としては、例えば、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のものの何れでもよい。
電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上、好ましくは50%以上、また、通常90%以下、好ましくは80%以下である。前記の電極群占有率が40%未満では、電池容量が小さくなり、また、90%以上では空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、更には、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
[III−2−2−5.集電端子]
本発明の非水系電解液二次電池は、適宜、集電端子を備えることが好ましい。集電端子は、配線部分や接合部分の抵抗を低減する集電構造を構成するために用いられる端子であり、上述した非水系電解液による低温放電特性の向上をより効果的に実現するために用いて好適である。こうした集電構造を形成することにより配線部分や接合部分の内部抵抗を小さくした場合、前記の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
例えば、電極群が前述の積層構造を有している場合には、各電極層の金属芯部分を束ねて集電端子に溶接して形成されるタイプの集電構造が好適に用いられる。また、例えば、一枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の集電端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。さらに、例えば、電極群が前述の捲回構造では、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、集電端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
前述の集電構造を最適化することにより、内部抵抗をできるだけ小さくすることができる。具体的には、例えば大電流で用いられる電池では、10kHz交流法で測定されるインピーダンス(以下、「直流抵抗成分」と略記する)を10ミリオーム(mΩ)以下にすることが好ましく、直流抵抗成分を5ミリオーム(mΩ)以下にすることがより好ましい。直流抵抗成分を0.1ミリオーム以下にすると高出力特性が向上するが、用いられる集電構造材(集電端子等)の占める比率が増え、電池容量が減少する場合がある。
上述した非水系電解液は、電極活物質に対するリチウムの脱挿入に係わる反応抵抗の低減に効果があり、それが良好な低温放電特性を実現できる要因になっている。しかし、通常の直流抵抗が10ミリオーム(mΩ)より大きな電池では、直流抵抗に阻害されて反応抵抗低減の効果を低温放電特性に100%反映できない場合がある。直流抵抗成分の小さな電池を用いることでこれを改善し、本発明の非水系電解液の効果を充分に発揮できるようになる。
また、非水系電解液の効果を引き出し、高い低温放電特性をもつ電池を作製するという観点からは、この要件と前述した二次電池の1個の電池外装に収納される電池要素のもつ電気容量(電池を満充電状態から放電状態まで放電したときの電気容量)が、3Ah以上である、という要件を同時に満たすことが特に好ましい。
[III−2−2−6.外装ケース]
外装ケースの材質は用いられる非水電解質に対して安定な物質であれば特に限定されるものではない。具体例としては、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
前記金属類を用いる外装ケースでは、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士を溶着して封止密閉構造とするもの、若しくは、樹脂製ガスケットを介して前記金属類を用いてかしめ構造とするものが挙げられる。
前記ラミネートフィルムを用いる外装ケースでは、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。シール性を上げるために、前記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。
[III−2−2−7.保護素子]
前述の保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスタ、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、高出力の観点から、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
[III−2−3.非水系電解液二次電池の作製]
本発明の非水系電解液二次電池の作製方法は特に限定されず、任意の方法で行なうことができる。例えば、以下の方法により製造が可能である。即ち、正極と負極とを交互となるように配置し、各電極の間にセパレータが挟まれるよう積層または捲回する。この際、正極活物質面が負極活物質面内から外れないよう対面させる。この正極と負極それぞれについての未塗工部同士を束ね、集電端子となる金属片と共に例えばスポット溶接等により接続して集電タブを作製し、電極群とする。
電池の外装材として、例えばポリプロピレンフィルム、アルミニウム箔、及びナイロンフィルム等をこの順に積層したシートを用い、内面側にポリプロピレンフィルムがくるように、外装ケースとする。前述の電極群を、集電端子がカップ末端の未シール部分から外に出るように外装ケースに封入し、非水系電解液を注入して、電極に充分浸透させる。これを減圧下にカップ上端をヒートシールして密閉し、非水系電解液二次電池を作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1:過充電試験による電池の評価]
外寸で幅1000mm、奥行き800mm、高さ1000mm、内容積450リットル、耐圧0.2MPaの箱型のステンレス製耐圧密閉容器を、安全性試験実施のためのブースとして、各種電池に対する過充電試験を行なった。
このブースは、ブース内部を空気で置換しうる供給配管、ブース内部を窒素で置換しうる窒素供給配管、及び、ブース内部を減圧しうる真空配管を備えている。それぞれの配管はブースのごく近くにバルブを備え、ブース本体の耐圧および気密を保つことができる。
ブースには爆風圧センサが備えてあり、ブース内部の圧力を測定することができる。
また、ブースには外部の充放電器に接続してある充放電用ケーブルを導入し、ブース内の電池に充放電を行なうことが可能となっている。
さらに、ブース内部には、ブース内部の温度を測定するためのK型熱電対がブース外部より導入されており、ブース内部の温度が測定可能である。
測定対象となる電池の電圧を、これに放電あるいは充電を行なうことによって、電池の通常の使用における下限電圧である3Vに設定した。続いてこの電池に、正極端子および負極端子に充放電用ケーブルを接続してのち、ブース内に設置した。
ブースを密閉の後、ブース内部を窒素で置換し、かつ、置換後のブース内部圧力が0.1MPa(1気圧)であることを確認した。続いて、ブース内の温度が25℃であることを確認した。
その後、電池に対し電流18アンペアで充電容量が15アンペアアワーに到達するまで充電を続けた。充電操作が終了後、ブース内の温度が25℃になった時点でブース内の圧力を測定した。
試験前後でのブース内圧力の変化から、次式によりC値を算出することができた。
C=試験前後でのブース内圧力の変化[Pa]×ブースの内容積[m]/(試験前のブース内圧力[Pa]×電池の体積[m])
[実施例2:釘刺し試験による電池の評価]
外寸で幅1300mm、奥行き1000mm、高さ1800mm、内容積1130リットル、耐圧0.2MPaの箱型のステンレス製耐圧密閉容器を、安全性試験実施のためのブースとし、各種電池に対する釘さし試験を行った。
このブースはブース内部を空気で置換しうる供給配管、ブース内部を窒素で置換しうる窒素供給配管、及び、ブース内部を減圧しうる真空配管を備えている。それぞれの配管はブースのごく近くにバルブを備えており、ブース本体の耐圧および気密を保つことができる。
ブースには爆風圧センサが備えてあり、ブース内部の圧力を測定することができる。
また、ブース内部には油圧プレス機が設置されており、このプレス機はブース外部からも動作させることができる。
さらに、ブース内部にはブース内部の温度を測定するためのK型熱電対がブース外部より導入してあり、ブース内部の温度を測定することができる。
測定対象となる電池の電圧を、これに放電あるいは充電を行なうことによって、電池の通常の使用時の上限電圧である4.1Vに設定した。油圧プレスの可動部の先端に外径2.5mmのステンレス製の釘を取り付けた。つづいて、油圧プレスの可動時にこの釘が電池の120×110mmの面の対角線の交点において、この面に垂直に貫通するような位置に電池をブース内に設置した。ブースを密閉の後、ブース内部を窒素で置換し、かつ、置換後のブース内部圧力が0.1MPa(1気圧)であることを確認した。続いて、ブース内の温度を25℃であることを確認した。
その後、油圧プレスの可動部を動かし、釘を電池に貫通させた。6時間経過後、ブース内の温度が25℃であることを確認し、ブース内の圧力を測定した。
試験前後でのブース内圧力の変化から、次式によりC値を算出することができた。
C=試験前後でのブース内圧力の変化[Pa]×ブースの内容積[m]/(試験前のブース内圧力[Pa]×電池の体積[m])
[実施例3:加熱試験による電池の評価]
外寸で幅1000mm、奥行き800mm、高さ1000mm、内容積450リットル、耐圧0.2MPaの箱型のステンレス製耐圧密閉容器を、安全性試験実施のためのブースとし、各種電池に対する加熱試験を行なった。
このブースはブース内部を空気で置換しうる供給配管、ブース内部を窒素で置換しうる窒素供給配管、及び、ブース内部を減圧しうる真空配管を備える。それぞれの配管はブースのごく近くにバルブを備えており、ブース本体の耐圧および気密を保つことができる。
ブース内部にはブース内部の温度および電池表面温度を測定するためのK型熱電対がブース外部より導入してあり、ブース内部の温度および電池表面温度を測定することができる。
また、ブース内部にはさらに電池加熱用の箱型オーブンが設置してある。
測定対象となる電池の電圧を、これに放電あるいは充電を行うことによって電池の通常の使用時の上限電圧である4.1Vに設定した。続いてこの電池の120×110mmの面の対角線の交点にK型熱電対を設置し、電池表面温度が測定できるようにした。電池を、ブース内に設置した電池加熱用オーブン内に置き、ブースを密閉の後、ブース内部を窒素で置換した。続いて、ブース内の温度が25℃であることを確認した。
その後、オーブン内の電池周囲雰囲気温度を1K/分で150℃に到達するまで上昇させた。150℃に到達したあと10分間その状態で放置し、オーブンを常温まで放冷した。この試験を通じて、電池表面温度の推移を測定することができた。
[実施例4:電池の作製と評価]
[正極の作製]
正極活物質としてのニッケル酸リチウム(LiNiO)90重量%と、導電材としてのアセチレンブラック5重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを15μmのアルミ箔の両面に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ80μmに圧延し、活物質層のサイズとして幅100mm、長さ100mmおよび幅30mmの未塗工部を有する形状に切り出し、正極とした。
[負極の作製]
人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98重量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1重量%)100重量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50重量%)2重量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを10μmの銅箔の両面に塗布して乾燥し、プレス機で75μmに圧延し、活物質層のサイズとして幅104mm、長さ104mmおよび幅30mmの未塗工部を有する形状に切り出し、負極とした。
[電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の混合物(体積比3:3:4)に、1mol/Lの濃度で、充分に乾燥したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を溶解させた。更に、ジフルオロリン酸リチウム塩(LiPO)を0.3質量%となるように含有させた。
[電池の作製]
正極32枚と負極33枚とを交互となるように配置し、各電極の間に多孔製ポリエチレンシートのセパレータ(25μm)が挟まれるよう積層した。この際、正極活物質面が負極活物質面内から外れないよう対面させた。この正極と負極それぞれについての未塗工部同士を溶接して集電タブを作製し、電極群としたものを電池缶(外寸:120×110×10mm)に封入した。その後、電極群を装填した電池缶に非水系電解液を20mL注入して、電極に充分浸透させ、密閉し角型電池を作製した。
この電池の定格放電容量は約6アンペアアワー(Ah)であり、10kHz交流法で測定される直流抵抗成分は約5ミリオーム(mΩ)である。電池の外装表面積の和に対する、正極の電極面積の総和の比は20.6である。
[電池の評価]
実際の充放電サイクルを経ていない新たな電池に対して、25℃で5サイクル初期充放電を行なった。この時の5サイクル目0.2I(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Iとする、以下同様)放電容量を初期容量とした。
25℃環境下で、0.2Iの定電流により150分間充電を行ない、各々0.1I、0.3I、1.0I、3.0I、10.0Iで10秒間放電させ、その10秒目の電圧を測定した。電流−電圧直線と下限電圧(3V)とで囲まれる3角形の面積を出力(W)とした。この電池の初期容量は6005mAh、出力は502Wであった。
[実施例5:過充電試験による電池の評価]
前記の実施例4で作製した充放電サイクルを経ていない新たな電池に対して、25℃で5サイクル初期充放電を行なった後、これを安全性試験用の電池とする。この電池に対して、上述した過充電試験の説明と同様の条件で、過充電試験を行なう。試験前後でのブース内圧力の変化から算出されるC値は10以下である。
[実施例6:釘刺し試験による電池の評価]
前記の実施例4で作製した充放電サイクルを経ていない新たな電池に対して、25℃で5サイクル初期充放電を行なった後、これを安全性試験用の電池とする。この電池に対して、上述した釘刺し試験の説明と同様の条件で、釘刺し試験を行なう。試験前後でのブース内圧力の変化から算出されるC値は10以下である。
[実施例7:加熱試験による電池の評価]
前記の実施例4で作製した充放電サイクルを経ていない新たな電池に対して、25℃で5サイクル初期充放電を行なった後、これを安全性試験用の電池とする。この電池に対して、上述した加熱試験の説明と同様の条件で、加熱試験を行ない、加熱試験を通じた電池表面温度の最高値を測定する。この試験を通じて、当該電池表面温度の最高値は155℃を超えない。
本発明は、電力貯蔵供給デバイスの安全性試験に用いて好適であり、例えば、電池やキャパシタなどの研究開発に用いて好適である。また、本発明の試験装置を用いて開発された非水系電解液二次電池は、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ等に広く利用されるものである。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
なお本出願は、2005年2月15日付で出願された日本特許出願(特願2005−037723号)に基づいており、その全体が引用により援用される。

Claims (10)

  1. 電力貯蔵供給デバイスの安全性試験を行なうための耐圧性を有するブースと、
    電力貯蔵供給デバイスから発生する排ガスを処理しうる排ガス処理部と、
    上記排ガスを、該ブースから該排ガス処理部に、該排ガス処理部の処理能力に応じて送出する排ガス送出部とを備える
    ことを特徴とする、試験装置。
  2. 該ブース内を不活性ガスで置換しうる不活性ガス置換部を備えると共に、
    該ブースが、下記ブース耐圧A以上の耐圧性を有する
    ことを特徴とする、請求項1記載の試験装置。
    ブース耐圧A:薬量を、電力貯蔵供給デバイスの加熱時の総発熱量相当のTNT薬量にTNT収率を掛けた値として、ホプキンソンの3乗根則により求められる爆風圧に、安全率を掛けた圧力。
  3. 該ブース内を空気で置換しうる空気置換部を備えると共に、
    該ブースが、下記ブース耐圧B以上の耐圧性を有する
    ことを特徴とする、請求項1記載の試験装置。
    ブース耐圧B=初期圧×(Tb/T0)×安全率
    (ただし、初期圧は安全性試験時の排ガス発生前のブース内圧を表わし、Tbは安全性試験時の燃焼火炎温度を表わし、T0は安全性試験時の排ガス発生前のブース内の雰囲気温度を表わす。)
  4. 該ブース内を8kPa以下に減圧させうる減圧部を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試験装置。
  5. 該ブース内の温度を低下させる冷却部を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試験装置。
  6. 上記排ガスを採取する排ガス採取部を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試験装置。
  7. 該排ガス採取部が採取した排ガスを分析する排ガス分析部を備える
    ことを特徴とする、請求項6記載の試験装置。
  8. 電力貯蔵供給デバイスの爆発が生じた場合に、上記爆発の爆風圧を測定する爆風圧センサを備える
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の試験装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の試験装置を用いて電力供給デバイスの安全性試験を行ない、該試験結果に基づいて、前記電力供給デバイスの安全性評価を行なう
    ことを特徴とする、電力供給デバイスの安全性評価方法。
  10. 前記安全性試験が、釘刺し試験、過充電試験、加熱試験、外部短絡試験、落下試験、圧壊試験、過放電試験、熱衝撃試験、振動試験から選ばれる
    ことを特徴とする、請求項9に記載の電力供給デバイスの安全性評価方法
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