JP4922757B2 - 改良型ニトリルヒドラターゼ - Google Patents
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Description
(a) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列において、第24番目のフェニルアラニン残基、第88番目のイソロイシン残基、第92番目のグルタミン酸残基、第93番目のグルタミン酸残基、第96番目のヒスチジン残基、第103番目のグルタミン酸残基、第167番目のアスパラギン残基及び第225番目のチロシン残基から選ばれる少なくとも1個のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(b) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のうち第167番目のアスパラギン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(c) 上記(a)若しくは(b)のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(2) 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a) 野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列において、第42番目のアスパラギン残基、第80番目のアラニン残基、第118番目のアラニン残基及び第132番目のアスパラギン酸残基から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(b) 上記(a)のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(3) 以下の(a)、(b)又は(c)のタンパク質。
(a) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のうち第167番目のアスパラギン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列において、第144番目のロイシン残基又は第219番目のバリン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(b) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のうち第167番目のアスパラギン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列、及び野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列において第129番目のバリン残基又は第196番目のロイシン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(c) 上記(a)又は(b)のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(4) 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列において第26番目のヒスチジン残基及び第48番目のトリプトファン残基のうち少なくとも一方のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(b) 上記(a)のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(5) 第26番目のヒスチジン残基がアルギニン残基に置換された、(4)記載のタンパク質。
(6) 第48番目のトリプトファン残基が、アルギニン、バリン及びロイシンから選ばれるいずれかのアミノ酸残基に置換された、(4)記載のタンパク質。
(8) 以下の(a)、(b)又は(c)の遺伝子DNA。
(a) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列において、第70〜72番目、第262〜264番目、第274〜276番目、第277〜279番目、第286〜288番目、第307〜309番目、第499〜501番目及び第673〜675番目の塩基のうち少なくとも1個の塩基が他の異なる塩基に置換された塩基配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(b) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列のうち第499〜501番目の少なくとも1個の塩基が他の異なる塩基に置換された塩基配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(c) 上記(a)若しくは(b)の遺伝子DNAの塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(9) 以下の(a)又は(b)の遺伝子DNA。
(a) 野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列において、第124〜126番目、第238〜240番目、第352〜354番目及び第394〜396番目の塩基のうち少なくとも1個の塩基が他の異なる塩基に置換された塩基配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(b) 上記(a)の遺伝子DNAの塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(10) 以下の(a)、(b)又は(c)の遺伝子DNA。
(a) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列のうち第499〜501番目の塩基の少なくとも1個の塩基が他の異なる塩基に置換された塩基配列において、第430〜432番目及び第655〜657番目の塩基の少なくとも1個の塩基が他の異なる塩基に置換された塩基配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(b) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列のうち第499〜501番目の塩基、並びに野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列のうち第385〜387番目及び586〜588番目の塩基の少なくとも1個の塩基が他の異なる塩基に置換された塩基配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(c) 上記(a)若しくは(b)の遺伝子DNAの塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(11) 以下の(a)又は(b)の遺伝子DNA。
(a) 野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列において第76〜78番目及び第142〜144番目の塩基のうち少なくとも1個の塩基が他の異なる塩基に置換された塩基配列を含み、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(b) 上記(a)の遺伝子DNAの塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(12) 第77番目の塩基AがGに置換された(11)記載の遺伝子DNA。
(13) 第142番目の塩基TがCに置換された(11)記載の遺伝子DNA。
(15) 上記(14)記載の組換えベクターを含む形質転換体または形質導入体。
(16) 上記(15)記載の形質転換体または形質導入体を培養し、得られる培養物から採取されたニトリルヒドラターゼ。
(17) 上記(15)記載の形質転換体または形質導入体を培養し、得られる培養物からニトリルヒドラターゼを採取することを特徴とするニトリルヒドラターゼの製造方法。
(18) 上記(15)の形質転換体を培養して得られる培養物又は該処理物をニトリル化合物に接触させ、当該接触により生成されるアミド化合物を採取することを特徴とするアミド化合物の製造方法。
本発明により、効率よくアクリルアミドを製造することが可能となる。
本発明は、野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列の一部を変異させることにより、野生型ニトリルヒドラターゼよりも耐熱性及び/又は基質特異性が向上した改良型ニトリルヒドラターゼを提供するものである。
本発明においては、野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列(例えば配列番号2)のうち、第167番目のアスパラギンがセリンに置換された改良型ニトリルヒドラターゼを見出した。本発明ではこの改良型ニトリルヒドラターゼに加え、さらに耐熱性の向上した改良型ニトリルヒドラターゼを選択した。その選択方法は、上記「耐熱性」の定義に該当する変異体(変異遺伝子)を選抜することで行った。
この態様は、ニトリルヒドラターゼのαまたはβサブユニットのアミノ酸残基を少なくとも1個変異させるものである。
1. Fβ24L
2. Iβ88F
3. Eβ92K
4. Eβ93G
5. Hβ96R
6. Eβ103D
7. Nβ167S
8. Yβ225H
9. Nα42D
10. Aα80T
11. Aα118V
12. Dα132N
複合変異
1. Eβ93G、Eβ103D
2. Eβ93G、Dα132N
3. Hβ96R、Nα42D
4. Eβ92K、Aα80T
単変異2:配列番号1に示す塩基配列において262〜264番目の塩基配列「ATC」を、TTT又はTTCに置換させる。特に、262番目のAをTに置換させること(ATC→TTC)が好ましい。
単変異3:配列番号1に示す塩基配列において274〜276番目の塩基配列「GAA」を、AAA又はAAGに置換させる。特に、274番目のGをAに置換させること(GAA→AAA)が好ましい。
単変異4:配列番号1に示す塩基配列において277〜279番目の塩基配列「GAG」を、GGG、GGC、GGA又はGGTに置換させる。特に、278番目のAをGに置換させること(GAG→GGG)が好ましい。
単変異5:配列番号1に示す塩基配列において286〜288番目の塩基配列「CAC」を、CGC、CGG、CGA又はCGTに置換させる。特に、287番目のAをGに置換させること(CAC→CGC)が好ましい。
単変異6:配列番号1に示す塩基配列において307〜309番目の塩基配列「GAG」を、GAC又はGATに置換させる。特に、309番目のGをTに置換させること(GAG→GAT)が好ましい。
単変異7:配列番号1に示す塩基配列において499〜501番目の塩基配列「AAC」を、AGC又はAGTに置換させる。特に、500番目のAをGに置換させること(AAC→AGC)が好ましい。
単変異8:配列番号1に示す塩基配列において673〜675番目の塩基配列「TAC」を、CAC又はCATに置換させる。特に、673番目のTをCに置換させること(TAC→CAC)が好ましい。
単変異9:配列番号3に示す塩基配列において124〜126番目の塩基配列「AAC」を、GAC又はGATに置換させる。特に、124番目のAをGに置換させること(AAC→GAC)が好ましい。
単変異10:配列番号3に示す塩基配列において238〜240番目の塩基配列「GCC」を、ACC,ACG,ACA又はACTに置換させる。特に、238番目のGをAに置換させること(GCC→ACC)が好ましい。
単変異11:配列番号3に示す塩基配列において352〜354番目の塩基配列「GCC」を、GTC、GTG、GTA又はGTTに置換させる。特に、353番目のCをTに置換させること(GCC→GTC)が好ましい。
単変異12:配列番号3に示す塩基配列において394〜396番目の塩基配列「GAC」を、AAC又はAATに置換させる。特に、394番目のGをAに置換させること(GAC→AAC)が好ましい。
複合変異1〜4の塩基配列の置換に関しては、単変異の置換と同様である。
この態様は、ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列を少なくとも2箇所変異させるか、あるいはβサブユニットのアミノ酸配列を少なくとも1箇所、かつ、αサブユニットのアミノ酸配列をを少なくとも1箇所変異させる態様である。
2. Nβ167S、Vβ219A
3. Nβ167S、Vα129A
4. Nβ167S、Lβ144H、Vβ219A
5. Nβ167S、Lβ144H、Vβ219A Vα129A Lα196P
Nβ167S:配列番号1に示す塩基配列において499〜501番目の塩基配列「AAC」を、AGC又はAGTに置換させる。特に、500番目のAをGに置換させること(AAC→AGC)が好ましい。
Lβ144H:配列番号1に示す塩基配列において430〜432番目の塩基配列「CTC」を、CAC又はCATに置換させる。特に、431番目のTをAに置換させること(CTC→CAC)が好ましい。
Vβ219A:配列番号1に示す塩基配列において655〜657番目の塩基配列「GTC」を、GCT、GCC、GCA又はGCGに置換させる。特に、656番目のTをCに置換させること(GTC→GCC)が好ましい。
Vα129A:配列番号3に示す塩基配列において385〜387番目の塩基配列「GTG」を、GCT、GCC、GCA又はGCGに置換させる。特に、386番目のTをCに置換させること(GTG→GCG)が好ましい。
Lα196P:配列番号3に示す塩基配列において586〜588番目の塩基配列「CTC」を、CCT、CCC、CCA又はCCGに置換させる。特に、587番目のTをCに置換させること(CTC→CCC)が好ましい。
この態様は、ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のうち少なくとも第26番目または第48番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換する態様である。
すなわち、本発明は、アロマティックなニトリルに対する反応性が向上した、及び/又は耐熱性の向上したニトリルヒドラターゼを提供するものである。「ニトリルヒドラターゼ」とは、ニトリル化合物を対応するアミド化合物に変換する水和反応(RCN+2H2O→RCONH2)を触媒する酵素である。
その選択方法は、上記「変異」の定義に該当する変異体(変異遺伝子)を選抜する。
上記の手法により得られたアロマティックなニトリルに対する反応性の向上した酵素としては、配列番号2(βサブユニット)のアミノ酸配列において、第48番目のトリプトファン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有するタンパク質である。
(1)アロマティックなニトリルに対する反応性向上変異
Wβ48R
(2)耐熱性の向上変異
Hβ26R
(3)複合変異
Wβ48R、Hβ26R
Wβ48R:配列番号1において、142〜144番目の塩基配列「TGG」をCGT、CGC、CGA、CGG、AGA又はAGGとなるように塩基を置換させる。特に、142番目のTをCに置換すること(TGG→CGG)が好ましい。
Hβ26R:配列番号1において、76〜78番目の塩基配列「CAC」をCGT、CGC、CGA、CGG、AGA又はAGGとなるように塩基を置換させる。特に、77番目のAをGに置換すること(CAC→CGC)が好ましい。
さらに、上記「変異と置換の態様」の(1)〜(3)項に記載した変異の複数を組み合わせて複合変異体とすることにより、両性質を備えた変異酵素を創製することもできる。
複合変異体を作製する手段は如何なる方法でもよく、例えば、合成一本鎖オリゴヌクレオチドを用いて部位特異的な置換を生じさせる方法、複数の異なる単変異個所を含むDNA断片を制限酵素で切断して連結させる方法により作成することができる。
変異の性質を損なわない限り、上記の変異に加えて、アミノ酸配列の欠失、置換、付加等が起こっていても構わない。例えば、上記変異が施された態様のアミノ酸配列の1個または数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸残基が欠失してもよく、上記変異が施された態様のアミノ酸配列に1個または数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸残基が付加してもよく、あるいは、上記変異が施された態様のアミノ酸配列の1個または数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸残基に置換してもよい。
上記の単変異又は複合変異が導入されたニトリルヒドラターゼ遺伝子の調製は、Kunkel法や Gapped duplex法等の公知手法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えばQuikChange XL Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)、GeneTailorTM Site-Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K、Mutan-Super Express Km等:タカラバイオ社製)を用いて行うことができる〔Nucleic. Acid. Res. 10, 6487 (1982)、Molecular Cloning 2nd Edt, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕。
J1菌以外のニトリルヒドラターゼにおいても上述の変異の位置、変異するアミノ酸種、DNA配列によって耐熱性が向上すると考えられる。その様な菌としては、前述のロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)M8(SU1731814)、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous) M33(VKM Ac-1515D)、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)ATCC39484(特開平2001-292772)、バチルス・スミシ(Bacillus smithii)(特開平09-248188)等が例示される。
本発明の改良型ニトリルヒドラターゼは、さらにアミド化合物耐性としての性質を有する。ここで、「アミド化合物耐性」とは、他の野生株由来のニトリルヒドラターゼと比較して、アミド化合物存在下でニトリルヒドラターゼ活性を維持することができることを意味する。本発明の変異型ニトリルヒドラターゼが耐性であるアミド化合物しては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の化学式で表されるアミド化合物:
R-CONH2
(ここで、Rは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアリール基、あるいは、置換又は無置換の飽和又は不飽和複素環基を意味する)
が挙げられる。特に、式中、RがCH2=CHであるアクリルアミドが好ましい。
上述のニトリルヒドラターゼ遺伝子を含む組換えベクターおよび形質転換(導入)体の調製方法に関して説明する。
ニトリルヒドラターゼ遺伝子は、形質転換又は形質導入される宿主生物において、発現可能なように、ベクターに組み込むことが必要である。
例えば、ベクターとしてはプラスミドDNA、バクテリオファージDNA、レトロトランスポゾンDNA、人工染色体DNAなどが挙げられる。
大腸菌を宿主とする場合、発現効率の高い発現ベクター、例えばtrcプロモーターを有する発現ベクターpKK233-2(アマシャムバイオサイエンス社製)、又はpTrc99A(アマシャムバイオサイエンス社製)などを用いることが好ましい。
ベクターには、ニトリルヒドラターゼ遺伝子のほか、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)等を連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばカナマイシン耐性遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。
細菌を宿主とする場合、大腸菌としては、例えばエシェリヒア・コリ(Esche richia coli)等が挙げられ、ロドコッカス(Rhodococcus)菌としては、例えばロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)ATCC12674、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)ATCC17895、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)ATCC19140等が挙げられる。これらのATCC株はアメリカンタイプカルチャーコレクションから入手できる。
細菌への組換えベクターの導入方法としては、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
次にニトリルヒドラターゼおよびその製造方法に関して説明する。
本発明のニトリルヒドラターゼは、上記方法で調製されたニトリルヒドラターゼ遺伝子を含む形質転換(導入)体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。
ここで、「培養物」とは、培養上清、培養細胞若しくは培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。
本発明の形質転換(導入)体を培養する方法は、以下に例示した宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
さらに、培地にはニトリルヒドラターゼの補欠金属であるコバルトイオンや鉄イオンを添加し、酵素の誘導剤となるニトリル類やアミド類を添加してもよい。
無細胞タンパク質合成系とは、細胞抽出液を用いて試験管などの人工容器内でタンパク質を合成する系であり、例えばmRNAの情報を読み取って、リボソーム上でタンパク質を合成するというものである。なお、本発明において使用される無細胞タンパク質合成系には、DNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系も含まれる。
ここで、DNA 上に暗号化された遺伝情報は、転写によりmRNAとなり、さらに翻訳されてタンパク質に変換される。人工容器内でこの翻訳過程を再現してタンパク質を合成するためには、リボソーム、tRNA、各種タンパク質因子など、翻訳因子群を安定化し、目的に応じてmRNA を生産するシステムを構築することが必要である。細胞抽出液は、例えば限外濾過、透析、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿等によって得ることができる。
無細胞タンパク質合成によって得られる変異型ニトリルヒドラターゼは、適宜クロマトグラフィーを選択して、精製することができる。また、変異型ニトリルヒドラターゼが単離精製されたことの確認は、SDS-PAGE等により、活性の測定はニトリル化合物からアミド化合物への変換率を測定すること等により行うことが可能である。
次に、形質転換(導入)体を利用したアミド化合物の製造方法について説明する。
上記の培養法で得られた培養物、酵素等は、ニトリル化合物を対応するアミド化合物に変換する際の生体触媒として使用される。変換反応の基質として使用するニトリル化合物としては、生体触媒の基質特異性により適宜選択される。例えば、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J-1株由来のニトリルヒドラターゼであれば、好適な基質はアクリロニトリルである。
生体触媒の使用形態、反応様式は、生体触媒の種類等により適宜選択される。
例えば、生体触媒の使用形態としては、上記の培養物、精製酵素をそのまま使用しても良いし、それらを適当な担体に保持し固定化酵素として使用することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J-1株は、FERM BP-1478として独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている(原寄託日:1987年9月18日)。
(1)染色体DNAの調製
ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J-1株を100mlのMYK培地(0.5%ポリペプトン、0.3%バクトイーストエキス、0.3%バクトモルトエキス、1% グルコース、0.2% K2HPO4、0.2% KH2PO4、pH7.0)中、30℃にて72時間振盪培養した。
培養後、集菌し、集菌された菌体をSaline-EDTA溶液(0.1M EDTA、0.15M NaCl(pH8.0))4mlに懸濁した。懸濁液にリゾチーム8mgを加えて37℃で1〜2時間振盪した後、-20℃で凍結した。
次に、10mlのTris-SDS液(1%SDS、0.1M NaCl、0.1M Tris-HCl(pH9.0))を穏やかに振盪しながら加え、さらにプロテイナーゼK(メルク社)(終濃度0.1mg)を加えて37℃で1時間振盪した。
次に、等量のTE飽和フェノールを加え撹拌後(TE:10mM Tris-HCl、1mM EDTA(pH8.0))遠心し、上層をとり2倍量のエタノールを加えたのちガラス棒でDNAを巻きとり、90%、80%、70%のエタノールで順次フェノールを取り除いた。
次に、DNAを3mlのTE緩衝液に溶解させ、リボヌクレアーゼA溶液(100℃、15分間の加熱処理済)を10μg/mlになるよう加え37℃で30分間振盪した。さらに、プロテイナーゼKを加え37℃で30分間振盪した後、等量のTE飽和フェノールを加えて遠心し、上層と下層に分離させた。
上層についてこの操作を2回繰り返した後、同量のクロロホルム(4%イソアミルアルコール含有)を加え同様の抽出操作を繰り返した(以後この操作をフェノール処理と呼ぶ)。その後、上層に2倍量のエタノールを加えガラス棒でDNAを巻きとり回収し、染色体DNA標品を得た。
まず、耐熱性評価のコントロールとして用いるため、通常のPCRにて野生型ニトリルヒドラターゼ遺伝子を増幅した。
下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。
なお、プライマーJH1-02(配列番号5)およびプライマーNH-17(配列番号6)の各々には、制限酵素NcoI切断認識部位および制限酵素HindIII切断認識部位が導入されており、増幅DNA産物を両制限酵素で切断することにより、後述する発現ベクターpTrc99AのNcoI部位−HindIII部位間に容易に挿入することが可能となる。
─────────────────────────────
鋳型DNA(染色体DNA) 1μl
10× ExTaq Buffer(宝酒造社製) 10μl
プライマーJH1-02 1μl
プライマーNH-17 1μl
2.5mM dNTPmix 8μl
滅菌水 78μl
ExTaqDNAポリメラーゼ(宝酒造社製) 1μl
─────────────────────────────
<プライマー>
JH1-02:GGAATGAGGCCATGGATGGTATCC(配列番号5)
NH-17:GCGTAAGCTTCCGCGAGATCAGTATCCACCG(配列番号6)
PCR終了後、反応液5μlを0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、3kbの増幅断片の検出を行った。反応終了液をGFX column(アマシャムバイオサイエンス)で精製し、制限酵素NcoIとHindIIIで切断を行った。制限酵素処理を行ったPCR産物は0.7%アガロースゲルで電気泳動を行い、3kb付近のバンドを回収した。回収したPCR産物はLigation Kit(宝酒造)を用いてベクター(pTrc99AのNcoI-HindIII部位)に結合し、JM109を形質転換した。得られた形質転換体コロニーより数クローンをLB-Amp培地1.5mlに接種し、37℃で12時間振盪培養した。培養後、この培養物を遠心分離により集菌した後、Flexi Prep(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いることにより、プラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで切断後、0.7%アガロースゲル電気泳動に供し確認した後、ニトリルヒドラターゼ遺伝子断片(3kb)が正しく連結されているクローンを選んでpJH601(図1)と命名した。このpJH601を用いてJM109を形質転換した(JM109/pJH601)。
上記工程(2)で得られたプラスミドpJH601を基に、野生型ニトリルヒドラターゼ遺伝子へのランダム変異導入を行った。変異導入は、PCRにおけるヌクレオチドの誤取り込みによる塩基置換を利用した。下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。
──────────────────────────────────
鋳型DNA(上記工程で調製したpJH601) 1μl
10× PCR Buffer(GIBCO社製) 10μl
50mM MgCl2(GIBCO社製) 3μl
プライマーTrc-02 1μl
プライマーTrc-03 1μl
2.5mMdNTP mix 8μl
10mM dITP 2μl
10mM dBraUTP 2μl
滅菌水 71μl
Taq DNAポリメラーゼ(GIBCO社製) 1μl
──────────────────────────────────
<プライマー>
TRC-02:GGAATTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGC(配列番号7)
TRC-03:GGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCC(配列番号8)
PCR終了後、反応液5μlを0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、3kbの増幅断片の検出を行った。反応終了液をGFX column(アマシャムバイオサイエンス)で精製し、制限酵素NcoIとHindIIIで切断を行った。制限酵素処理を行ったPCR産物は0.7%アガロースゲルで電気泳動し、3Kb付近のバンドを回収した。回収したPCR産物はLigation Kit(宝酒造)を用いてベクター(pTrc99AのNcoI-HindIII部位)に結合し、この結合生成物を用いてJM109を形質転換した。
上記工程(3)で得られた変異ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含むJM109形質転換体およびJM109/pJH601を、LB-Amp培地(1mM IPTG、5μg/ml CoCl2含有)を1mlずつ入れた96穴ディープウェルプレートにそれぞれ接種し、37℃にて12時間液体培養した。得られた培養物を、55℃の温度下、30分間の熱処理に供した後、残存ニトリルヒドラターゼ活性の測定を行った。
活性測定は5%アクリロニトリルを含む50mMリン酸緩衝液pH7.7を菌体懸濁液と等量加え、30℃で30分反応させた。0.1Mリン酸を等量加え反応を停止し、遠心分離によって菌体を除去し、上清をHPLCに供し、生成したアクリルアミド濃度を分析した(WAKOSIL 5C8(和光純薬)、5mMリン酸を含む10%アセトニトリル、移動相の流速1ml/minおよび紫外吸収検出器波長260nm)。比較対照として熱処理を行わず4℃で保冷したものをそれぞれの無処理菌として残存活性を求めた。
実施例1で得られたプラスミドp3を用いてJM109を再形質転換し(JM109/p3)、得られたコロニーをLB培地(アンピシリン、IPTG、コバルト含有)で37℃、一晩培養した。菌体を遠心分離によって回収し、50mMリン酸緩衝液で2回洗浄し、菌体懸濁液とした。
得られた菌体懸濁液0.5mlを試験管に入れ、50℃〜60℃の各温度の水浴中で5〜20分間保温し、その後氷中で冷却した。
菌体の活性測定は実施例1(4)の方法で行った。
実施例1で取得した改良型酵素の性質をロドコッカス菌組換え体で確認した。
(1)ロドコッカス菌導入用プラスミドの構築
以下の方法でp3の変異(Eβ93G)を有するロドコッカス菌導入用プラスミドを作製した。変異の導入は部位特異的変異導入法を用い、市販キット:QuikChange XL Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を使用した。実験は操作マニュアルに従った。変異を導入する鋳型プラスミドとしてpSJ034を使用した。pSJ034はロドコッカス菌においてニトリルヒドラターゼを発現するプラスミドであり、pSJ034はpSJ023より特開平10-337185号公報に示す方法で作製した。なお、pSJ023は形質転換体「R. rhodochrous ATCC12674/pSJ023」として独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている(FERM BP-6232)(原寄託日:1997年3月4日)。
NHM-F:gatcatcaccgaagaagggcgaaagcaccgtgtgc (配列番号9)
NHM-R:gcacacggtgctttcgcccttcttcggtgatgatc (配列番号10)
<反応液組成>
─────────────────────────────────
pSJ034(10ng) 2μl
10× 反応Buffer 5μl
プライマーNHM-F(100ng/μl) 1μl
プライマーNHM-R(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
QuickSolution 3μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
─────────────────────────────────
次に、XL10-GOLD ultracompetent cell(キットに付属)を用いて形質転換を行った。2μlのDpnI処理済みのPCR反応液と45μlのコンピテントセルを混ぜ、4℃で30分保温し、42℃で30秒ヒートショックを行った後、0.5mlのNZY+培地(1% NZアミン、0.5% 酵母エキス、0.5% NaCl、12.5mM MgCl2、12.5mM MgSO4、0.4% グルコース、pH7.5)を添加し、さらに37℃で1時間培養した。この培養液250μlをLBプレート(1% NaCl、1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、2% 寒天、50mg/Lアンピシリン)にプレーティングし、37℃で1日培養した。
ロドコッカス・ロドクロウス ATCC 12674 株の対数増殖期の細胞を遠心分離器により集菌し、氷冷した滅菌水にて3回洗浄し、滅菌水に懸濁した。(1)で調製したプラスミドp3R 1μlと菌体懸濁液10μlを混合し、氷冷した。キュベットにDNAと菌体の懸濁液を入れ、遺伝子導入装置 Gene Pulser (BIO RAD)により2.0KV、200 OHMSで電気パルス処理を行った。電気パルス処理液を氷冷下10分静置し、37℃で10分間ヒートショクを行い、MYK培地(0.5%ポリペプトン、0.3%バクトイーストエキス、0.3%バクトモルトエキス、0.2%K2HPO4 、0.2% KH2PO4)500μl を加え、30℃、5時間静置した。その後、50μg/mlカナマイシン入りMYK寒天培地に塗布し、30℃で3日間培養した。このようにして得られたロドコッカス属細菌組換え体(ATCC 12674/p3R)をMYK培地(50μg/mlカナマイシン含有)10mlに接種し、30℃で72時間の前培養を行った。本培養はMYK培地(50μg/mlカナマイシン、5μg/ml CoCl2、0.1% 尿素含有)100mlで行い、前培養から1%接種し、30℃で96時間培養した。遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH8.0)で菌体を洗浄し、最後に少量の緩衝液に懸濁した。
得られたロドコッカス菌組換え体を用い耐熱性を調べた。比較対照として野生型ニトリルヒドラターゼを有するATCC12674/pSJ034を用意した。
得られた菌体懸濁液0.5mlを試験管に入れ、65℃、70℃の各温度の水浴中で10分間保温し、その後氷中で冷却した。比較対照として熱処理を行わず4℃で保冷したものを無処理菌として残存活性を求めた。結果を表3に示す。
特定の変異場所について、ランダム変異を行った。
(1)部位特異的なランダム変異導入
実施例3の部位特異的変異導入キットを用いて、pJH601にランダム変異を導入した。
変異を導入する場所としてβサブユニットのアミノ酸配列のうち第93番目を選び、変異を導入するための2種のプライマーを合成した。下線部は変異導入部位を示す。
β93RM-F: caagatcatcaccgaagaaNNScgaaagcaccgtgtgcaag(配列番号11)
β93RM-R: cttgcacacggtgctttcgSNNttcttcggtgatgatcttg(配列番号12)
N:A+T+G+C S:G+C
<反応組成液>
────────────────────────────────
pJH601(10ng) 2μl
10× 反応Buffer 5μl
プライマーβ93RM-F(100ng/μl) 1μl
プライマーβ93RM-R(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
QuickSolution 3μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
────────────────────────────────
上記工程(1)で得られたコロニーおよびXL10/pJH601を、LB-Amp培地(1mM IPTG、5μg/ml CoCl2含有)を1mlずつ入れた96穴ディープウェルプレートにそれぞれ接種し、37℃にて12時間液体培養した。得られた培養物を、55℃の温度下、30分間の熱処理に供した後、残存ニトリルヒドラターゼ活性の測定を行った。
活性測定は実施例1(4)と同様の方法で行った。比較対照として熱処理を行わず4℃で保冷したものをそれぞれの無処理菌として残存活性を求めた。
コントロールに対し残存活性が高かったものについては、さらに塩基配列の決定を行った。
変異を導入するための2種のプライマーのみを変更し、その他は実施例4と同様の操作を行った。下線部は変異導入部位を示す。結果を表5に示す。
β167RM-F: gtgcccgaaatatgtgcggNNSaagatcggggaaatcgtcg(配列番号13)
β167RM-R: cgacgatttccccgatcttSNNccgcacatatttcgggcac(配列番号14)
N:A+T+G+C S:G+C
(1)ニトリルヒドラターゼ遺伝子のクローニング
ロドコッカス・ロドクロウス M8株を実施例1に示す方法と同様の方法で培養し、培養菌体から染色体DNAを調製した。次に、以下の条件でPCRを行い、ニトリルヒドラターゼ遺伝子を増幅した。なお、ロドコッカス・ロドクロウス M8株はロシア菌株センターIBFM(VKPM S-926)から容易に入手することができる。
<反応溶液組成>
───────────────────────────────
鋳型DNA(染色体DNA) 1μl
10× ExTaq Buffer(宝酒造社製) 10μl
プライマーMH-01 1μl
プライマーMH-02 1μl
5mMdNTPmix 8μl
滅菌水 78μl
ExTaqDNAポリメラーゼ(宝酒造社製) 1μl
───────────────────────────────
<プライマー>
MH-01:ccatggatggtatccacgacacaggcggcatgacc(配列番号15)
MH-02:aagcttcacgctggcctcgagcgcctttgtccag(配列番号16)
PCR終了後、反応液5μlを0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、1.5kbの増幅断片(配列番号17)の検出を行った。反応終了液をGFX column(アマシャムバイオサイエンス)で精製し、制限酵素NcoIとHindIIIで切断を行った。制限酵素処理を行ったPCR産物は0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、1.5kb付近のバンドを回収した。回収したPCR産物はLigation Kit(宝酒造)を用いてベクター(pTrc99AのNcoI-HindIII部位)に結合し、JM109へ形質転換を行った。得られた形質転換体コロニーより数クローンをLB-Amp培地1.5mlに接種し、37℃で12時間振盪培養した。培養後、この培養物を遠心分離により集菌した。Flexi Prep(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いることにより、集菌した菌体からプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで切断後、0.7%アガロースゲルにより電気泳動を行い、ニトリルヒドラターゼ遺伝子断片(1.5kb)が正しく連結されているクローンを選んでpMH301(図3)と命名した。pMH301を用いてJM109の形質転換を行った(JM109/pMH301)。
部位特異的変異の導入は実施例3に示す方法に従い、βサブユニットの93番目に変異を導入した。プライマーの塩基配列のうち下線部は変異導入部位を示す。
NHM-F:gatcatcaccgaagaagggcgaaagcaccgtgtgc (配列番号9)
NHM-R:gcacacggtgctttcgcccttcttcggtgatgatc (配列番号10)
<反応組成液>
───────────────────────────────
pMH301(10ng) 2μl
10× 反応Buffer 5μl
プライマーNHM-F(100ng/μl) 1μl
プライマーNHM-R(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
QuickSolution 3μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
───────────────────────────────
得られたコロニー数個をLB培地(50mg/Lアンピシリン)で培養した。FlexiPrep Kit(アマシャムバイオサイエンス)を使用し、プラスミドを調製した。最後に、得られたプラスミドの塩基配列の決定を行い、目的の変異が導入されていることを確認した。このようにしてEβ93Gの変異導入プラスミド:pMH404を得た。
β167-F:cccgaaatatgtgcggagcaagatcggggaaatcg(配列番号18)
β167-R:cgatttccccgatcttgctccgcacatatttcggg(配列番号19)
得られたコロニー数個をLB培地(50mg/Lアンピシリン)で培養し、プラスミドを抽出した。得られたプラスミドの塩基配列の決定を行い、目的の変異が導入されていることを確認した。このようにしてNβ167Sの変異導入プラスミド:pMH508を得た。
工程(2)で得られたXL10/pMH404XL10-Gold/pMH508およびXL10/pMH301を、LB-Amp培地(1mM IPTG、5μg/ml CoCl2含有)10mlに接種し、37℃にて12時間液体培養した。得られた培養物を、55℃の温度下、30分間の熱処理に供した後、残存ニトリルヒドラターゼ活性の測定を行った。
活性測定は実施例1(4)と同様の方法で行った。比較対照として熱処理を行わず4℃で保冷したものをそれぞれの無処理菌として残存活性を求めた。結果を表6に示す。
(1)変異遺伝子ライブラリーの構築
本実施例では、ロドコッカス・ロドクロウスJ-1株由来のニトリルヒドラターゼ遺伝子へのランダム変異導入を行った。変異導入は、PCRにおけるヌクレオチドの誤取り込みによる塩基置換を利用した。鋳型となるプラスミドは野生型βサブユニットの167番目のアミノ酸がアスパラギンからセリンに変異したプラスミドp52(図4)を用いた。
ニトリルヒドラターゼ遺伝子へのランダム変異導入PCRは、下記反応液組成、反応条件で行った。
<反応液組成>
────────────────────────────────
鋳型プラスミド(p52)(10ng) 1μl
10×PCR Buffer(GIBCO社製) 10μl
50mM MgCl2(GIBCO社製) 3μl
プライマーTrc-02(100ng/μl) 1μl
プライマーTrc-03(100ng/μl) 1μl
2.5mMdNTPmix 8μl
10mM dITP 2μl
10mM dBraUTP 2μl
滅菌水 71μl
Taq DNAポリメラーゼ(GIBCO社製) 1μl
────────────────────────────────
<プライマー>
TRC-02:ggaattcgtataatgtgtggaattgtgagc(配列番号7)
TRC-03:ggctgaaaatcttctctcatccgcc(配列番号8)
PCR終了後、反応液5μlを0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、3kbの増幅断片の検出を行った。反応終了液をGFX column(アマシャムバイオサイエンス)で精製し、制限酵素Nco IとHind IIIで切断を行った。制限酵素処理を行ったPCR産物は0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、3 Kb付近のバンドを回収した。回収したPCR産物はLigation Kit(宝酒造)を用いてベクター(pTrc99AのNcoI-HindIII部位)に結合した。この結合生成物を用いてJM109を形質転換した。
上記工程(1)で得られた変異ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含むJM109形質転換体および野生型ニトリルヒドラターゼ産生株としてJM 109/pJH 601を使用して、残存ニトリルヒドラターゼ活性を測定した。
耐熱性の評価は処理温度のみ60℃、20分間に変更し、その他は実施例1(4)と同様の方法で行った。
(1)プラスミドの構築
鋳型プラスミドp52(図4)に、実施例7の(2)で得られた変異箇所の情報をもとに変異を導入した。変異導入には部位特異的変異導入法を用い、市販キット:QuikChange XL Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を使用した。実験は操作マニュアルに従った。
変異を導入するための2種のプライマーを合成した。下線部は変異導入部位を示す。
β144-F:ggagccgagtttctctcacggtgacaagatc(配列番号20)
β144-R:gatcttgtcaccgtgagagaaactcggctcc(配列番号21)
<反応液組成>
────────────────────────────────
鋳型プラスミドp52(10ng) 2μl
10×反応Buffer 5μl
プライマーβ144-F(100ng/μl) 1μl
プライマーβ144-R(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
QuickSolution 3μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
────────────────────────────────
次に、XL10-GOLD ultracompetent cell(キットに付属)を用いて形質転換を行った。2μlのDpnI処理済みのPCR反応液と45μlのコンピテントセルを混ぜ4℃で30分保温し、42℃で30秒ヒートショックを行った。その後、0.5mlのNZY+培地(1% NZアミン、0.5% 酵母エキス、0.5% NaCl、12.5mM MgCl2、12.5mM MgSO4、0.4% グルコース、pH7.5)を添加し、さらに37℃で1時間培養した。この培養液250μlをLBプレート(1% NaCl、1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、2% 寒天、50mg/Lアンピシリン)にプレーティングし、37℃で1日培養した。
得られたコロニー数個をLB培地(50mg/Lアンピシリン)1.5mlで培養し、FlexiPrep Kit(アマシャムバイオサイエンス)を使用しプラスミドを調製した。最後に、得られたプラスミドの塩基配列の決定を行い、目的の変異が導入されていることを確認した。このようにしてLβ144Hの変異導入プラスミド:pAB001を得た。
β219-F:gaaagacgtagtgtgcgccgatctctgggaacc(配列番号22)
β219-R:ggttcccagagatcggcgcacactacgtctttc(配列番号23)
α129-F:gagtaccggtcccgagcggtagcggaccctcg(配列番号24)
α129-R: cgagggtccgctaccgctcgggaccggtactc(配列番号25)
得られたプラスミドはそれぞれpAB002(Nβ167S、Vβ219A)、pAB003(Nβ167S、Vα129A)、pAB004(Nβ167S、Lβ144H、Vβ219A)と命名した。
(1)で得られた変異ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含むプラスミドをそれぞれ大腸菌JM109に形質転換体し、組換え菌を得た。この組換え菌をLB-Amp培地(1mM IPTG、5μg/ml CoCl2含有)1.5mlにそれぞれ接種し、37℃にて12時間液体培養した。得られた培養菌液を、60℃の温度下、20分間の熱処理に供した後、残存ニトリルヒドラターゼ活性の測定を行った。活性測定は実施例1の(4)と同様の方法で行った。残存活性の結果を表8に示した。
(1)プラスミドの構築
以下の方法でβサブユニットの167番目に変異(Nβ167S)を有するロドコッカス(Rhodococcus)菌用プラスミドを作製した。変異の導入は部位特異的変異導入法を用い、市販キット:QuikChange XL Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を使用した。実験は操作マニュアルに従った。変異を導入する鋳型プラスミドとしてpSJ034を使用した。
変異を導入するための2種のプライマーを合成した。下線部は変異導入部位を示す。
β167-F: cccgaaatatgtgcggagcaagatcggggaaatcg(配列番号18)
β167-R: cgatttccccgatcttgctccgcacatatttcggg(配列番号19)
変異を導入するためのPCRは実施例3(1)と同様の条件で行った。
<反応液組成>
───────────────────────────────
鋳型プラスミドpSJ034(10ng) 2μl
10× 反応Buffer 5μl
プライマーβ167-F(100ng/μl) 1μl
プライマーβ167-R(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
QuickSolution 3μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
───────────────────────────────
β144-F:ggagccgagtttctctcacggtgacaagatc(配列番号20)
β144-R:gatcttgtcaccgtgagagaaactcggctcc(配列番号21)
β219-F:gaaagacgtagtgtgcgccgatctctgggaacc(配列番号22)
β219-R:ggttcccagagatcggcgcacactacgtctttc(配列番号23)
α129-F:gagtaccggtcccgagcggtagcggaccctcg(配列番号24)
α129-R: cgagggtccgctaccgctcgggaccggtactc(配列番号25)
得られたプラスミドはそれぞれpAR001(Nβ167S、Lβ144H)、pAR002(Nβ167S、Vβ219A)、pAR003(Nβ167S、Vα129A)と命名した。さらに得られたプラスミドpAR001を鋳型プラスミドとして上記と同様の手法を用いVβ219Aの変異を導入した。得られたプラスミドはpAR004(Nβ167S、Lβ144H、Vβ219A)と命名した。
ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochlrous)ATCC 12674 株の対数増殖期の細胞を遠心分離器により集菌し、氷冷した滅菌水にて3回洗浄し、滅菌水に懸濁した。(1)で調製したプラスミド 1μlと菌体懸濁液10μlを混合し、氷冷した。
その後実施例3(2)と同様の操作を行った。
得られたロドコッカス(Rhodococcus)菌組換え体を用いて実施例3(3)の方法と同様に熱処理後の残存ニトリルヒドラターゼ活性を調べた。
ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌組換え体はMYK培地(50μg/mlカナマイシン、5μg/ml CoCl2、0.1% 尿素含有)にそれぞれ接種し、30℃にて3日間振とう培養した。遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH8.0)で菌体を洗浄し、最後に少量の緩衝液に懸濁した。
加熱処理は、適宜希釈した菌体懸濁液0.5mlを試験管に入れ、65℃の温度下の水浴中で30分間保温し、その後氷中で冷却した。
活性測定は実施例3(3)と同様の方法で行った。残存活性結果を表9に示した。
実施例9(2)で用いた形質転換体を用いてアクリルアミド耐性を評価した。以下の組成の反応液を調製し、30℃で攪拌しながら反応させた。なお、反応に用いる各菌体懸濁液の菌量は、実施例3(3)の方法で測定した活性の測定結果に従い、同一の酵素活性単位(U)量となるように調製した。比較対照として野生型ニトリルヒドラターゼを有するATCC12674/pSJ034を使用した。
<反応液組成>
─────────────────────────────
30%アクリルアミド溶液 95g
アクリロニトリル 3g
1Mリン酸緩衝液 1g
保存菌液(同一の酵素活性単位(U)量) 1g
─────────────────────────────
分析の結果、濾液中に残存するアクリロニトリルの割合(%)を表10に示す。
(1)変異導入組換え体の作製
ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)M8株由来ニトリルヒドラターゼに変異導入を行った。部位特異的変異導入は、使用したプラスミドがロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)M8株由来ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子(配列番号17)を含む発現プラスミドのpMH301(図3)である以外は、実施例6(2)と同様の方法で行った。得られたプラスミドは、それぞれpMH508(β167S)、pMH601(Nβ167S、Lβ144H)、pMH602(Nβ167S、Vβ219A)、pMH603(Nβ167S、Vα129A)と命名した。該プラスミドはJM109に形質転換し、変異導入組換え菌を作製した。得られた組換え菌は、LB-Amp培地(1mM IPTG、5μg/ml CoCl2含有)10mlに接種し、37℃にて12時間液体培養した。
得られた培養物は、60℃の温度下、20分間の熱処理に供した後、残存ニトリルヒドラターゼ活性の測定を行った。活性測定は実施例7の(2)と同様の方法で行った。比較対照として熱処理を行わず4℃で保冷したものをそれぞれの無処理菌として残存活性を求めた。残存活性結果を表11に示した。
(1)プラスミドの構築
実施例1で作製したpJH601から実施例1(3)と同様の方法でランダム変異が導入されたニトリルヒドラターゼ遺伝子を増幅し、3KbのPCR産物を回収した。
回収したPCR産物はLigation Kit(宝酒造)を用いてプラスミドpFY529のNcoI-HindIII部位に挿入し、JM109の形質転換を行い、形質転換体を得た。なお、pFY529の作成は、参考例1に記載した。
上記工程(1)で得られた変異ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含むJM109形質転換体およびJM109/pJH601を、実施例1(4)と同様にしてニトリルヒドラターゼ活性の測定を行った。
数百株の形質転換体についてスクリーニングを行った結果、野生株と比較して明らかに3-シアノピリジンに高い活性を示す株が1株(JM109/pNHM101)が得られた。また、その菌株を培養してプラスミドを回収し、塩基配列の決定を行った。塩基配列の決定はBeckmanCEQ-2000XLを使用した。本プラスミドのニトリルヒドラターゼ遺伝子においては、βサブユニットの48番目のトリプトファン残基(TGG)がアルギニン残基(CGG)に変化していた。
実施例11で取得した変異酵素の性質をロドコッカス菌組換え体で確認した。
(1)ロドコッカス菌導入用プラスミドの構築
以下の方法でpNHM101の変異(Wβ48R)を有するロドコッカス菌導入用プラスミドを作製した。変異の導入はKurosawaらの方法(Gene. 1991 15;102:67-70)により行った。変異を導入するプラスミドとしてpSJ034を使用した。pSJ034はロドコッカス菌においてニトリルヒドラターゼを発現するプラスミドであり、pSJ034はpSJ023より特開平10-337185号公報に示す方法で作製した。pSJ023は形質転換体「R. rhodochrous ATCC12674/pSJ023」として独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている(FERM BP-6232)。
以下の条件で2種の1stPCR反応を行った。GeneAmp9700(PEバイオサイエンス社)を用いて95℃ 1分、(95℃ 60秒、60℃ 60秒、72℃ 10分)×30サイクル、72℃ 7分の反応を行った。
<反応液組成>
─────────────────────────────
pSJ034(10ng) 2μl
10× 反応Buffer 5μl
プライマー1(100ng/μl) 1μl
プライマー2(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
─────────────────────────────
NR-01:AACGTCGACACCGGTGGTGG (配列番号26)
NH18: CCGCGACTTGTCCCGCCACGATATGCCC (配列番号27)
(変異導入用プライマー、変異個所をアンダーラインで示す)
NOXbaI-1:GTACCCGGGGATCCACTAGA (配列番号28)
RE1-02:CCTTAGTCAGCTTCTGTCCG (配列番号29)
1stPCRで得られた2種のPCR断片を用いて、下記の条件で2ndPCRを行った。
<反応液組成>
─────────────────────────────
10×反応Buffer 5μl
1st PCR断片1 1μl
1st PCR断片2 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
─────────────────────────────
酵素を入れない条件で、93℃で10分処理後、1時間かけて37℃に冷却し、37℃で15分間放置し、酵素を加えて1分、(95℃ 60秒、60℃ 60秒、72℃ 10分)×30サイクル、72℃ 7分の反応を行った。
精製したPCR断片はLigation Kit(宝酒造)を用いてベクターpSJ034(XbaI-Sse8387I部位)に結合し、JM109の形質転換を行った。得られた形質転換体コロニーより数クローンをLB-Amp培地1.5mlに接種し、37℃で12時間振盪培養した。培養後、この培養物を遠心分離により集菌した後、Flexi Prep(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いることにより、プラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを制限酵素XbaIとSse8387Iで切断後、0.7%アガロースゲルにより電気泳動を行い、ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含む断片(約2kb)が正しく連結されているクローンを選んだ。最後に、得られたプラスミドの塩基配列の決定を行い、目的の変異が導入されていることを確認した。このようにしてWβ48Rの変異導入プラスミド:pAJ001を得た。
ロドコッカス・ロドクロウス ATCC 12674 株の対数増殖期の細胞を遠心分離器により集菌し、氷冷した滅菌水にて3回洗浄し、滅菌水に懸濁した。
(1)で調製したプラスミド pAJ001 1μlと菌体懸濁液10μlを混合し、氷冷した。
その後は実施例3(2)と同様の処理を行い、ロドコッカス菌組換え体を得た。
得られたロドコッカス菌組換え体を用いて、アクリルアミド及び3−シアノピリジンに対する活性を調べた。LB-Amp培地(1mM IPTG、5μg/ml CoCl2含有)を1mlずつ入れた96穴ディープウェルプレートにそれぞれ接種し、37℃にて12時間液体培養した。得られた培養物のニトリルヒドラターゼ活性の測定を行った。
活性測定は5% アクリロニトリル/50mMリン酸緩衝液pH 7.7又は0.5% 3-シアノピリジン/50mMリン酸緩衝液pH 7.7を菌液に対して等量加え、30℃で30分反応させた。反応終了後、0.1Mリン酸を反応液と等量加え遠心分離し、その上清を適宜希釈しHPLCに供し、生成したアミド濃度を分析した(アクリルアミド:WAKOSIL 5C8(和光純薬)、5mMリン酸を含んだ10%アセトニトリル、ニコチンアミド:WAKOSIL 5C8(和光純薬)、5mMリン酸を含んだ35%アセトニトリル)。
比較対照として野生型ニトリルヒドラターゼを有するATCC12674 /pSJ034 を用意した。
スクリーニングは実施例1(4)と同様の処理条件と方法で行った。
数百株の形質転換体についてスクリーニングを行った結果、野生株と比較して高い残活性を示す株が1株得られた(JM109/pNHM111)。これを培養してプラスミドを回収し、塩基配列の決定を行った。塩基配列の決定はBeckmanCEQ-2000XLを使用した。本プラスミドのニトリルヒドラターゼ遺伝子においては、pNHM101の変異に加えて、βサブユニットの26番目のヒスチジン残基(CAC)がアルギニン残基(CGC)に変化していた。
変異プライマーとしてNH-18の代わりにNH-25を用い、実施例12と同様にしてプラスミドを作製した。これをpAJ006と名付け、実施例12と同様にしてロドコッカス ロドクロウスATCC12674株に導入した。
NH25:CCCTCCCACTCGTAGCGGAAGAAGGGCTCG (配列番号30)
(変異導入用プライマー、変異個所をアンダーラインで示す)
得られた菌体懸濁液0.5mlを試験管に入れ、65℃、70の各温度の水浴中で10分間保温し、その後氷中で冷却した。残活性は、熱処理を行わず4℃で保冷したもの(無処理区)の初期活性を100%とした相対活性で評価した。
エステラーゼ発現プラスミドpFY529の作成
プラスミドpFY529にはPseudomonas fluorescens由来のエステラーゼ遺伝子が含まれているが、本プラスミドは特開平1−67190に記載されているプラスミドpFY520より作成した(図5A、図5B)。プラスミドpFY520は形質転換体「JM109/pFY520」として独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている(FERM BP-1469)(原寄託日:1987年9月3日)。
配列番号6:合成DNA
配列番号7:合成DNA
配列番号8:合成DNA
配列番号9:合成DNA
配列番号10:合成DNA
配列番号11:合成DNA
配列番号11:nはa, c, gまたはtである(存在位置20-21)。
配列番号12:合成DNA
配列番号12:nはa, c, gまたはtである(存在位置21-22)。
配列番号13:合成DNA
配列番号14:合成DNA
配列番号14:nはa, c, gまたはtである(存在位置21-22)。
配列番号15:合成DNA
配列番号16:合成DNA
配列番号18:合成DNA
配列番号19:合成DNA
配列番号20:合成DNA
配列番号21:合成DNA
配列番号22:合成DNA
配列番号23:合成DNA
配列番号24:合成DNA
配列番号25:合成DNA
配列番号26:合成DNA
配列番号27:合成DNA
配列番号28:合成DNA
配列番号29:合成DNA
配列番号30:合成DNA
Claims (18)
- 以下の(a)、(b)又は(c)のタンパク質。
(a) 配列番号2に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列において、
第24番目のフェニルアラニン残基のロイシン残基への置換、
第88番目のイソロイシン残基のフェニルアラニン残基への置換、
第92番目のグルタミン酸残基のリシン残基への置換、
第96番目のヒスチジン残基のアルギニン残基への置換、
第103番目のグルタミン酸残基のアスパラギン酸残基への置換、
第167番目のアスパラギン残基のセリン残基への置換、及び
第225番目のチロシン残基のヒスチジン残基への置換
から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を有するアミノ酸配列を含み、かつ、野生型より高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(b) 配列番号2に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のうち第167番目のアスパラギン残基又は93番目のグルタミン酸が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型より高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(c) 上記(a)若しくは(b)のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型より高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質 - 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a) 配列番号4に示される野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列において、
第42番目のアスパラギン残基のアスパラギン酸への置換、
第80番目のアラニン残基のトレオニン残基への置換、
第118番目のアラニン残基のバリン残基への置換、及び
第132番目のアスパラギン酸残基のアスパラギン残基への置換から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を有するアミノ酸配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(b) 上記(a)のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質 - 以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のタンパク質。
(a) 配列番号2に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のうち第167番目のアスパラギン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列において、第144番目のロイシン残基がヒスチジン残基及び/又は第219番目のバリン残基がアラニン残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(b) 配列番号2に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のうち第167番目のアスパラギン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列、及び配列番号4に示される野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列において第129番目のバリン残基がアラニン残基に置換されたアミノ酸配列、あるいは前記アミノ酸配列においてさらにαサブユニットの第196番目のロイシン残基がプロリン残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(c) 配列番号2に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列において第167番目のアスパラギン残基がセリン、第144番目のロイシン残基がヒスチジン残基、第219番目のバリン残基がアラニン残基に置換されたアミノ酸配列、及び配列番号4に示される野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列において第129番目のバリン残基がアラニン残基、第196番目のロイシン残基がプロリン残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質。
(d) 上記(a),(b)又は(c)のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質 - 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a) 配列番号2に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列において第26番目のヒスチジン残基及び第48番目のトリプトファン残基がともにアルギニン残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質
(b) 上記(a)のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質 - 請求項1に記載のタンパク質において、前記(b)のタンパク質が、配列番号2に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のうち第167番目のアスパラギン残基がセリン、グリシン、イソロイシン、リジン、トリプトファン、チロシン、バリン、プロリン、アラニン、システイン、及びスレオニンから選ばれるいずれかのアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含むタンパク質、又は93番目のグルタミン酸がグリシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、及びチロシンから選ばれるいずれかのアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含むタンパク質である、前記タンパク質。
- 野生型よりも、加熱後の残存活性が10%以上高いことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする遺伝子DNA。
- 以下の(a)又は(b)の遺伝子DNA。
(a) 配列番号1に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列において、
第70〜72番目がロイシンをコードするような置換、
第262〜264番目がフェニルアラニンをコードするような置換、
第274〜276番目がリシンをコードするような置換、
第286〜288番目がアルギニンをコードするような置換、
第307〜309番目がアスパラギン酸をコードするような置換、
第499〜501番目がセリンをコードするような置換、及び
第673〜675番目がヒスチジンをコードするような置換から選ばれる少なくとも1つの置換を有する塩基配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(b) 配列番号1に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列のうち第499〜501番目の少なくとも1個の塩基が他の異なるアミノ酸をコードするように置換された塩基配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA - 配列番号3に示される野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列において、
第124〜126番目がアスパラギン酸をコードするような置換、
第238〜240番目がトレオニンをコードするような置換、
第352〜354番目がバリンをコードするような置換、及び
第394〜396番目がアスパラギンをコードするような置換から選ばれる少なくとも1つの置換を有する塩基配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA。 - 以下の(a)、(b)又は(c)の遺伝子DNA。
(a) 配列番号1に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列のうち第499〜501番目の塩基の少なくとも1個の塩基が他の異なるアミノ酸をコードするように置換された塩基配列において、第430〜432番目がヒスチジン及び第655〜657番目がアラニンをコードするように置換された塩基配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(b) 配列番号1に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列のうち第499〜501番目の塩基の少なくとも1個の塩基が他の異なるアミノ酸をコードするように置換された塩基配列を含み、並びに、配列番号3に示される野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列のうち第385〜387番目がアラニンをコードするように置換された塩基配列、あるいは前記塩基配列においてさらに第586〜588番目がプロリンをコードするように置換された塩基配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA
(c) 配列番号1に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列において第499〜501番目がセリン、第430〜432番目がヒスチジン、第655〜657番目がアラニンをコードするように置換された塩基配列、及び配列番号4に示される野生型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列において第385〜387番目がアラニン、586〜588番目がプロリン残基をコードするように置換された塩基配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA - 配列番号1に示される野生型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子の塩基配列において第76〜78番目及び第142〜144番目の塩基がともにアルギニンをコードするように置換された塩基配列を含み、かつ、野生型よりも高い耐熱性ニトリルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNA。
- 配列番号1において第77番目の塩基AがGに置換された請求項11記載の遺伝子DNA。
- 配列番号1において第142番目の塩基TがCに置換された請求項11記載の遺伝子DNA。
- 請求項7〜13のいずれか1項に記載の遺伝子DNAを含む組換えベクター。
- 請求項14記載の組換えベクターを含む形質転換体または形質導入体。
- 請求項15記載の形質転換体または形質導入体を培養し、得られる培養物から採取されたニトリルヒドラターゼ。
- 請求項15記載の形質転換体または形質導入体を培養し、得られる培養物からニトリルヒドラターゼを採取することを特徴とするニトリルヒドラターゼの製造方法。
- 請求項15記載の形質転換体を培養して得られる培養物又は該培養物をニトリル化合物に接触させ、当該接触により生成されるアミド化合物を採取することを特徴とするアミド化合物の製造方法。
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