JP4889075B2 - 深絞り包装用多層フィルムおよびそれからなる深絞り包装用容器 - Google Patents
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特許文献1は、無延伸複合フィルムを底材として用い、蓋材として95℃での熱収縮率が縦方向、横方向ともに15〜60%の範囲の熱収縮性複合フィルムを前記底材の上縁にヒートシールしてなる絞りの深い深絞り成形が可能となる包装体を開示している。
特許文献2は、熱可塑性樹脂からなる表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)、およびシール可能な樹脂からなる表面層(c)の少なくとも3層からなり、−10℃における厚さ50μm換算における衝撃エネルギーが1.5ジュール以上である低温耐衝撃性に優れ、突刺強度、耐ピンホール性等の機械的物性に優れた多層フィルムを開示している。
しかしながら、これらの包装体および多層フィルムは、深絞り成形用多層フィルムとして用い、深絞り包装後のボイル処理を行うと、蓋材と底材との収縮性に起因するカールの発生、面皺の生成などに関し、更なる改善の余地が残されている。
本発明は、熱収縮性フィルムを深絞り成形用多層フィルムとして用いたときの上記問題点を解決し、ボイル処理などによる耳部(フランジ部)のカール発生および枠シールした包装体のボイル後の面皺の発生を低減した深絞り成形用の多層フィルムを提供することを目的とする。
即ち、本発明の第1は、底材(A)を構成する多層フィルムと、前記底材(A)を構成する多層フィルムと異なる層構成を有する蓋材(B)を構成する多層フィルムとからなる深絞り包装用多層フィルムであって、底材(A)を構成する多層フィルム及び蓋材(B)を構成する多層フィルムの各々が、ポリエステル系樹脂からなる表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)、及びシール可能な樹脂からなる表面層(c)の少なくとも3層からなり、厚さが40〜150μmである、縦方向(MD)及び横方向(TD)に延伸した二軸延伸フィルムであり、底材(A)を構成する多層フィルム及び蓋材(B)を構成する多層フィルムの各々の90℃における熱水収縮率が縦横各々5〜18%であり、130℃における底材(A)を構成する多層フィルムと蓋材(B)を構成する多層フィルムの縦方向(MD)及び横方向(TD)における瞬間熱収縮力の差の絶対値が300g/20mm巾以下である深絞り包装用多層フィルムを提供する。
本発明の第2は、底材(A)を構成する多層フィルムが、130℃における該多層フィルムの少なくとも1方向の瞬間熱収縮力が100〜400g/20mm巾である前記第1の発明の深絞り包装用多層フィルムを提供する。
本発明の第4は、蓋材(B)を構成する多層フィルムがエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる親水性ガスバリア性樹脂層(d)をさらに含むものである前記第1〜第3のいずれかの発明の深絞り包装用多層フィルムを提供する。
本発明の第5は、前記第1〜4のいずれかの発明に係わる深絞り包装用多層フィルムから形成された底材(A)と蓋材(B)からなる深絞り包装用容器を提供する。
ポリエステル系樹脂に用いるジカルボン酸成分としては、通常の製造方法でポリエステルが得られるものであれば良く、テレフタル酸、イソフタル酸以外に、例えば、不飽和脂肪酸の二量体からなるダイマー酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などがあげられ、2種以上を使用してもよい。また、ポリエステル系樹脂に用いるジオール成分としては、通常の製造方法でポリエステルが得られるものであれば良いが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−アルキル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられ、2種以上を使用しても良い。
接着性樹脂層は複数設けることができるが、その厚さは各0.5〜5μmの範囲が好適である。
また、底材および蓋材を構成するフィルムは、前記のように製膜した共押出多層フィルムに、予め延伸した樹脂フィルムをドライラミネーションすることにより得ることが出来る。予め延伸配向して収縮性を有する樹脂フィルム(例えば、ポリアミド系フィルム)を共押出多層フィルムにラミネートする場合、共押出多層フィルムは非収縮性であっても、収縮性を有する樹脂フィルムをラミネートした後の多層フィルムが所定の熱水収縮率(90℃の熱水収縮率が2〜15%)を有しておれば差し支えない。
底材(A)を構成する多層フィルムの積層樹脂種数に応じた台数の押出機より環状ダイを経て熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)およびシール性樹脂からなる内表面層(c)の少なくとも3層を有する管状体(パリソン)を共押出しし、水浴により各層に占める主たる樹脂の融点以下、好ましくは40℃以下に冷却しつつピンチローラで引き取る。次いで、引き取った管状体フィルムに、必要に応じ大豆油などに代表される開封剤を内封しつつ、各層に占める主たる樹脂の融点以下の、例えば80〜95℃の温水浴中に導入して、加熱された管状体フィルムを上方に引き出し、一対のピンチローラ間に導入した流体空気によりバブル状の管状体を形成し、10〜20℃のエアリングで冷却しながら、垂直方向(MD)および横方向に、好ましくは各2.5〜4倍、更に好ましくは各2.8〜3.5倍、最も好ましくは垂直方向に少なくとも2.9〜3.5倍および横方向に少なくとも3〜3.5倍、に同時二軸延伸する。次いで延伸後の管状体フィルムを下方に引き出し、一対のピンチローラ間に導入した流体空気により再度バブル状の管状体を形成し、熱処理筒中に保持する。そして、この熱処理筒の吹出し口よりスチームを吹き付け(あるいは温水を噴霧して)、二軸延伸後の管状体フィルムを好ましくは70〜98℃、更に好ましくは75℃〜95℃において、好ましくは1〜20秒、更に好ましくは1.5〜10秒程度熱処理して、管状体フィルムを縦方向(MD)および横方向(TD)に各15〜40%(但し、少なくとも一方向は20%以上)、好ましくは各方向に20〜35%弛緩させる。熱処理後の管状体フィルムは、本発明に用いる底材(A)及び蓋材(B)の熱収縮性を有する多層フィルムに相当するものであり、巻き取りロールに巻き取られる。
ここで、瞬間熱収縮力は、フィルム材質、各層の厚さ、延伸配向と緩和の程度等により影響されるが、本発明においては130℃における底材(A)を構成する多層フィルムと蓋材(B)を構成する多層フィルムの少なくとも1方向の瞬間熱収縮力の差の絶対値が300g/20mm巾以下であることをもって、本発明の要件の一つとする。
また、多層フィルムの内表面あるいは外表面もしくは両表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、炎処理をおこなってもよい。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本明細書に記載した物性の測定法は、以下の通りである。
瞬間熱収縮力
引張試験機のチャック部に幅20mm、長さ10cmの少なくとも1方向(例えば、縦方向(機械方向))に延伸した試料フィルムを固定した後、必要な温度(130℃)に加熱した金属ブロックを瞬間的にサンプルに当て、そのときに生じる収縮力をロードセルで検知し、記録する。
瞬間収縮力差=|底材収縮力−蓋材収縮力|(g/20mm巾)
を130℃における底材(A)を構成する多層フィルムと蓋材(B)を構成する多層フィルムの、例えば、縦方向の瞬間熱収縮力の差の絶対値と云う。
熱水収縮率
フィルムの機械方向(縦方向)および機械方向に垂直な方向(横方向)に10cmの距離で印を付けた試料フィルムを、90℃に調整した熱水に30分間浸漬した後取り出し、直ちに常温の水で冷却した。その後、印をつけた距離を測定し、10cmからの減少値の原長10cmに対する割合を百分率で表示した。1試料について5回試験をおこない、縦方向(MD)および横方向(TD)のそれぞれについて平均値で熱水収縮率を表示した。
Haze
ASTM D1003に準じて測定した。
カール性
充填サンプルを90℃、若しくは73℃の熱水中で30分間ボイルする前後のフランジ部分の長さ20mmの水平位置からのずれを測定した。
下記の基準により、優(○)、劣(×)の判断をした。
○:カールが水平位置より±15mm未満、
×:カールが水平位置より±15mm以上、
90℃熱水浸漬テスト
400gのゴム板を充填した深絞り包装体を90℃熱水中に30分間浸漬した後、包装体のカールの有無及び包装体表面の皺の有無を観察した。
○は、包装体にカールの発生が無く、包装体表面に皺の発生が見られず、美麗な外観を有する。×:カールが発生し、包装体表面に皺が見られ、商品価値として劣る。尚、カールの有無に関しては、前記カール性の基準に従い判断した。
73℃熱水浸漬テスト
150gのゴム板を充填した深絞り包装体を73℃熱水中に30分間浸漬した後、包装体のカールの有無及び包装体表面の皺の有無を観察した。主として、高温を嫌う充填物を包装するときに行う。
○は、包装体にカールの発生が無く、包装体表面に皺の発生が見られず、美麗な外観を有する。×:カールが発生し、包装体表面に皺が見られ、商品価値として劣る。
(多層フィルムI)
5台の押出機から環状ダイを経て、層構成が、外側から内側へ順に、且つ、カッコ内に示す厚さ(μm)で、PET(3)/mod−VL(2.5)/Ny6・66(17)/EVOH(9)/mod−VL(2.5)/LLDPE(46)、(合計厚さは80μm)となるように各樹脂をそれぞれ押出し、上記層構成となるように共押出し、溶融接合した。ダイ口から流出した溶融管状体を水浴中で、10〜18℃に急冷し、偏平管状体とした。次いで、該偏平管状体を92℃の温水浴を通過させた後、バブル形状の管状体フィルムとし15〜20℃のエアリングで冷却しながらインフレーション法により縦方向(MD)に3.1倍、横方向(TD)に3.1倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。次いで該二軸延伸フィルムを、熱処理筒に導き、バブル形状の管状体フィルムとし、吹き出し口より吹き出させたスチームにより90℃に加熱し、縦方向に20%弛緩、横方向に20%弛緩させながら2秒間熱処理し、二軸延伸フィルム(延伸配向多層フィルム)を製造した。得られた多層フィルムの折り幅(偏平幅)は490mmで厚さは55μmであった。得られたフィルムの90℃における熱水収縮率は縦(MD)、横(TD)方向各々7%、8%であった。
多層フィルムIと同様な装置、及び延伸条件を用い、外側から内側へ順に、且つ、カッコ内に示す厚さ(μm)で、PET(3)/mod−VL(2.5)/Ny6・66(13)/EVOH(9)/mod−VL(2.5)/LLDPE(20)、(合計厚さは50μm)の二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの90℃における熱水収縮率は縦(MD)方向、横(TD)方向、各々11%、12%であった。
(多層フィルムIII)
4台の押出機から環状ダイを経て、層構成が、外側から内側へ順に、且つ、カッコ内に示す厚さ(μm)で、PET(3)/mod−VL(2.5)/Ny6・66(17)/mod−VL(2.5)/LLDPE(55)、(合計厚さは80μm)となるように共押出し、溶融接合した。これを多層フィルムIと同じ条件で二軸延伸し、延伸配向多層フィルムを製造した。得られたフィルムの90℃における熱水収縮率は縦(MD)、横(TD)方向各々10%、11%であった。
ONyフィルム(興人(株)製、ボニール、BN−SC580、厚さ15μm)と(MDPE(13)/mod−VL(4)/Ny6・66(2)/EVOH(6)/Ny6・66(2)/mod−VL(4)/LDPE(19))の共押出多層フィルムを、ドライラミネート用接着剤(三井武田ケミカル(株)製、タケラックA−315(主剤)、タケネートA−50(硬化剤)、厚さ2μm)を用いて、ドライラミネートし厚さ65μmの多層フィルムを得た。得られたフィルムの90℃における熱水収縮率は縦(MD)、横(TD)方向各々4%、5%であった。
(多層フィルムV)
ONyフィルムをOPPフィルム(東洋紡(株)製、銘柄パイレン、P−2161、厚さ30μm)に変えたこと以外は、多層フィルムIVの製造と同じにして厚さ80μmの表1に示した層構成の多層フィルムを得た。得られたフィルムの90℃における熱水収縮率は縦(MD)、横(TD)方向各々1%、2%であった。
多層フィルムIを底材とし、多層フィルムIIIを蓋材として、深絞り成形機(大森機械(株)製、FV−603)を用いて、ゴム板を模擬充填物として充填して深絞り包装体を得た。得られた包装体について絞り成形直後のカールの有無、枠シール部の面皺の有無を観察、評価し、次いで90℃、30分間の熱水浸漬テストして、カールの有無、枠シール部の面皺の有無を評価した。
(実施例2)
蓋材の多層フィルムIIIを多層フィルムIVにしたこと以外は、実施例1と同様に行い深絞り包装体を得た。得られた包装体について実施例1と同様な評価を行った。
(比較例1)
蓋材の多層フィルムIIIを多層フィルムVにしたこと以外は、実施例1と同様に行い深絞り包装体を得た。得られた包装体について実施例1と同様な評価を行った。
(実施例3)
底材の多層フィルムIを多層フィルムIIにしたこと以外は、実施例1と同様に行い深絞り包装体を得た。得られた包装体について、成形直後のカール性と73℃、30分間の熱水浸漬テストをして、カールの有無、枠シール部の面皺の有無を評価した。
底材の多層フィルムIを多層フィルムIIに、蓋材の多層フィルムIIIを多層フィルムIVにしたこと以外は、実施例1と同様に行い深絞り包装体を得た。得られた包装体について、絞り成形直後のカールの有無、枠シール部の面皺の有無を観察、評価し、次いで90℃、30分間、及び73℃、30分間の熱水浸漬テストをして、カールの有無、枠シール部の面皺の有無を評価した。
(比較例2)
底材の多層フィルムIを多層フィルムIIに、蓋材の多層フィルムIIIを多層フィルムVにしたこと以外は、実施例1と同様に行い深絞り包装体を得た。得られた包装体について、絞り成形直後のカールの有無、枠シール部の面皺の有無を観察、評価し、次いで90℃、30分間、及び73℃、30分間の熱水浸漬テストをして、カールの有無、枠シール部の面皺の有無を観察、評価した。
(実施例5)
底材の多層フィルムIを多層フィルムIIIに、蓋材の多層フィルムIIIを多層フィルムIVにしたこと以外は、実施例1と同様に行い深絞り包装体を得た。得られた包装体について、絞り成形直後のカールの有無、枠シール部の面皺の有無を観察、評価し、次いで90℃、30分間、及び73℃、30分間の熱水浸漬テストをして、カールの有無、枠シール部の面皺の有無を観察、評価した。
(実施例6)
蓋材の多層フィルムIIIを多層フィルムIIにしたこと以外は、実施例1と同様に行い深絞り包装体を得た。得られた包装体について、絞り成形直後のカールの有無、枠シール部の面皺の有無を観察、評価し、次いで90℃、30分間、及び73℃、30分間の熱水浸漬テストをして、カールの有無、枠シール部の面皺の有無を観察、評価した。評価結果を表2に示した。
Claims (5)
- 底材(A)を構成する多層フィルムと、前記底材(A)を構成する多層フィルムと異なる層構成を有する蓋材(B)を構成する多層フィルムとからなる深絞り包装用多層フィルムであって、
底材(A)を構成する多層フィルム及び蓋材(B)を構成する多層フィルムの各々が、ポリエステル系樹脂からなる表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)、及びシール可能な樹脂からなる表面層(c)の少なくとも3層からなり、厚さが40〜150μmである、縦方向(MD)及び横方向(TD)に延伸した二軸延伸フィルムであり、
底材(A)を構成する多層フィルム及び蓋材(B)を構成する多層フィルムの各々の90℃における熱水収縮率が縦横各々5〜18%であり、130℃における底材(A)を構成する多層フィルムと蓋材(B)を構成する多層フィルムの縦方向(MD)及び横方向(TD)における瞬間熱収縮力の差の絶対値が300g/20mm巾以下である深絞り包装用多層フィルム。 - 底材(A)を構成する多層フィルムが、130℃における該多層フィルムの少なくとも1方向の瞬間熱収縮力が100〜400g/20mm巾である請求項1記載の深絞り包装用多層フィルム。
- 底材(A)を構成する多層フィルムがエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる親水性ガスバリア性樹脂層(d)をさらに含むものである請求項1又は2に記載の深絞り成形用多層フィルム。
- 蓋材(B)を構成する多層フィルムがエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる親水性ガスバリア性樹脂層(d)をさらに含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の深絞り成形用多層フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の深絞り包装用多層フィルムから形成された底材(A)と蓋材(B)からなる深絞り包装用容器。
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