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JP4869685B2 - Rab27A不活性化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、メラノソーム輸送などに関与するRab27Aを不活性化させることのできるタンパク質の利用に関する。
低分子量Gタンパク質Rabは、膜輸送を制御する因子として酵母からヒトまで普遍的に保存されている。ヒトには60種類以上のRabが存在しており、それぞれが固有の膜輸送を制御すると考えられている。RabはGTPを結合した活性化型(GTP-Rab)とGDPを結合した不活性化型(GDP-Rab)の二つのフォームをとり、これら二つの状態のサイクリングが、膜輸送におけるその機能の発揮に必須である。活性化型のGTP-Rabは特異的な結合タンパク質(エフェクター分子)と結合することにより、膜輸送を促進する。Rab27Aは、Rabの中で初めてヒトの遺伝性疾患との関連性が示され、メラノソームの輸送異常による毛髪の白色化や細胞傷害性T細胞からの溶菌性顆粒の放出異常による重度の免疫不全の症状を呈するタイプII型Griscelli症候群の原因遺伝子産物として同定された(非特許文献1)。従って、Rab27Aは、色素細胞(メラノサイト)におけるメラニン色素(メラノソーム)の輸送を制御し、皮膚や毛髪の暗色化に重要な役割を果たすだけでなく、内分泌・外分泌を含む様々な分泌現象にも関与していると考えられている。
Rabを、GTP型からGDP型に変換し、不活性化させるためには、GTPアーゼ活性化タンパク質(GTPase-activating protein:GAP)という因子が必要である(非特許文献2)。Rabにはそれぞれ特異的なGAP(Rab-GAP)が存在するが、これまで同定されたものとしてはRab5-GAPなどの数種に限られ、Rab27Aを含むほとんどのRabではRab-GAPが同定されていない。近年、酵母においてTBC(Tre-2/Bub2/Cdc16)と呼ばれるタンパク質モチーフがRab-GAPとして機能することが示され(非特許文献3)、ヒトにおいてゲノム上に50種以上のTBCドメインを持つ遺伝子が存在することが明らかになった(非特許文献4)。ところが、これらのTBCドメインを持つタンパク質群の多くはリコンビナントタンパク質の大量精製が困難なこともあり、従来の生化学的な手法によってこれらのタンパク質群が実際にRab-GAP活性を有するかどうかを確認することが極めて困難であった。また、RabとRab-GAPの基質特異性を利用したタンパク質相互作用を指標にしたRab-GAPのスクリーニング方法によってRab5-GAPを同定したことが報告されているが(非特許文献5)、この方法では結合が見られてもGAP活性がない、あるいは結合が見られなくともGAP活性を有する等、例外が数多く存在するという点で限界がある(非特許文献6)。
Menasche, G., E. Pastural, J. Feldmann, S. Certain, F. Ersoy, S. Dupuis, N. Wulffraat, D. Bianchi, A. Fischer, F. Le Deist, and G. de Saint Basile. 2000. Mutations in RAB27A cause Griscelli syndrome associated with haemophagocytic syndrome. Nature Genet. 25:173-176. Zerial, M., and H. McBride, 2001. Rab proteins as membrane organizers. Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 2:107-117. Strom, M., P. Vollmer, T. J. Tan, and D. Gallwitz, 1993, A yeast GTPase-activating protein that interacts specifically with a member of the Ypt/Rab family. Nature 361:736-739. Bernards, A., 2003. GAPs galore. A survey of putative Ras superfamily GTPase-activating proteins in man and Drosophila. Biochim. Biophys. Acta. 1603:47-82. Haas, A. K., E. Fuchs, R. Kopajtich, and F. A. Barr., 2005. A GTPase-activating protein controls Rab5 function in endocytic trafficking. Nat. Cell Biol. 7:887-893. Itoh, T., M. Satoh, E. Kanno, and M. Fukuda 2005. Screening for target Rabs of TBC (Tre-2/Bub2/Cdc16) domain-containing proteins based on their Rab-binding activity. Submitted for publication.
上述したように、Rab27Aを含む多くのRabについて、それに特異的なRab-GAPが同定されるには至っていないのが現状である。
従って、本発明の課題は、従来の生化学的手法やタンパク質相互作用とは異なる新たな指標を用いたスクリーニング手法を用い、メラノソーム輸送などに関与するRab27Aの制御因子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Rab27Aがメラノソーム輸送に必須の因子であることに着目し、Rab27Aを不活性化させるタンパク質をメラノソームの輸送異常を指標にスクリーニングしたところ、メラノソームの凝集を引き起こす2種のタンパク質を同定することに成功した。また、これらのタンパク質を細胞レベル、試験管レベルで実際にRab27A-GAP活性を有することを確認した。本発明はかかる知見により完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
1.以下の(a)〜(d)のいずれか1種を含有するRab27A不活性化剤。
(a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質
(b) 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号4で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質
(c) 前記(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子
(d) 前記(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子を含む組換えベクター
2.1.に記載のRab27A不活性化剤を有効成分として含有する、Rab27A活性化を伴う疾患の治療及び/又は予防のための医薬。
3. Rab27A活性化を伴う疾患が色素沈着症である、2.に記載の医薬。
4.以下の工程を含む、Rab27AのGTPアーゼ活性の制御物質をスクリーニングする方法。
(1) 以下の(a)又は(b)のいずれかのタンパク質の存在下で、GTP結合型Rab27Aを被験物質に接触させる工程
(a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質
(b) 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号4で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質
(2) Rab27AのGTP 加水分解をモニタリングする工程
(3) 被験物質と接触させない場合と比較して、GTP加水分解を促進又は抑制させる被験物質を選択する工程
5.Rab27AのGTPアーゼ活性の制御が、メラノソーム輸送制御、ホルモンの分泌制御、消化酵素の分泌制御、又は免疫細胞からの顆粒放出制御である、4.に記載の方法。
本発明によれば、メラノソーム輸送に必須の因子であるRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質(Rab27A-GAP)が同定された。Rab27A-GAPタンパク質は、Rab27Aを不活性化し、メラノソームの核周辺から細胞膜周辺への輸送を抑制できるので、例えば、色素沈着症などの治療及び/又は予防用の医薬の有効成分として利用できる。また、Rab27A-GAPタンパク質によるRab27Aに結合したGTPの加水分解の程度を指標として、Rab27AのGTPアーゼ活性の制御物質をスクリーニングすることも可能である。かかるスクリーニングによって得られたRab27AのGTPアーゼ活性の制御物質は、Rab27Aが関与するメラノソーム輸送、ホルモンの分泌、消化酵素の分泌、免疫細胞からの顆粒放出などを促進又は抑制することできるので、例えば、皮膚美白剤や白髪抑制剤をはじめ、内・外分泌系、免疫系などの各種疾患の治療及び/又は予防用の医薬として有用である。
1.Rab27A不活性化剤
本発明のRab27A不活性化剤は、Rab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有する物質を含有する。
上記のRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有する物質としては、メラノソームの凝集を引き起こし、かつin vitro においてRab27A-GAP活性が認められたタンパク質を用いることができ、具体的には、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質(「EPI64/Rab27A-GAPα」と命名)、及びそのホモログである配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質(「FLJ13130/Rab27A-GAPβ」と命名)が挙げられる。
上記のEPI64/Rab27A-GAPα、FLJ13130/Rab27A-GAPβタンパク質には、機能的に同等である変異タンパク質も含まれる。このような変異タンパク質には、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質、又は配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号4で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質が挙げられる。
ここで、欠失、置換若しくは付加されてもよい「1若しくは数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
アミノ酸の欠失、付加及び置換は、上記タンパク質をコードする遺伝子を、当該技術分野で公知の手法を用いて改変することによって行うことができる。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法、Gapped duplex法、Coupled primary cyclic selection法、Eckstein法、カセット変異法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(TAKARA社製)やMutan-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異が導入される。
ここで、「Rab27AのGTPアーゼ活性促進作用」とは、Rab27Aに結合したGTPをGDPに加水分解する酵素であるGTPアーゼ(即ちRab27Aそのもの)を活性化させる作用をいい、「Rab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有する」とは、該作用(活性)が、配列番号2又は4で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質が有する作用(活性)と実質的に同等であることをいう。
この活性の測定方法としては、GTP→GDP+リン酸(Pi)という反応で生じるリン酸の量を測定できる方法であればいかなる方法でもよいが、代表的には、リン酸と結合すると発色する物質を反応液に加え、その吸光度を測定する方法、GTPのγ位のPを32Pなどの放射性物質で標識しておき、遊離した32Piだけをフィルターに吸着させてその放射能の強さを測定する方法、あるいは、GTPのα位のPを32Pで標識しておき、GTP及びGDPを薄層クロマトグラフィーにより分離させ、それらの放射能の強さを測定する方法などが挙げられる。
上記の変異タンパク質には、さらに、配列番号2又は4で表わされるアミノ酸配列と相同性を有するタンパク質も含まれる。相同性を有するタンパク質とは、配列番号2又は4で表わされるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するタンパク質を意味する。タンパク質の相同性を決定するには、文献(Wilbur W.J., and Lipman D.J. 1983. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726-730.)に記載のアルゴリズムに従えばよい。
上記のEPI64/Rab27A-GAPα、及びFLJ13130/Rab27A-GAPβタンパク質には、これらのタンパク質と機能的に同等であり、かつ該タンパク質のアミノ酸配列の部分配列を有するタンパク質(部分ペプチド)も含まれる。そのような部分ペプチドとしては、Rab-GAP活性を有するタンパク質に共通して見出されるTBC(Tre-2/Bub2/Cdc16)ドメイン部分を含むペプチドであればよく、配列番号2で表わされるアミノ酸配列の108-313位までのアミノ酸配列、または配列番号4で表わされるアミノ酸配列の82-287位までのアミノ酸配列を少なくとも含むペプチドが挙げられる。
上記のタンパク質又はその部分ペプチドは、必要に応じて塩の形態、好ましくは生理学的に許容される酸付加塩の形態で用いてもよい。そのような塩としては、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)の塩、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)の塩等が挙げられる。
上記タンパク質は、公知のアミノ酸配列に基づいて化学合成する方法や、発現ベクターからのインビトロ転写や、発現ベクターによる形質転換細胞の発現産物として単離精製する方法等によって取得することができる。
例えば、タンパク質をインビトロ翻訳で発現させる場合には、RNAポリメラーゼプロモーターを有する発現ベクターを、プロモーターに対応するRNAポリメラーゼを含むウサギ網状赤血球溶解物や小麦胚芽抽出物などのインビトロ翻訳系に添加すれば、タンパク質をインビトロで生産することができる。RNAポリメラーゼプロモーターとしては、T7、T3、SP6などが挙げられる。また、これらのRNAポリメラーゼプロモーターを含むベクターとしては、pKA1、pCDM8、pT3/T7 18、pT7/3 19、pBluescript IIなどが挙げられる。
また、タンパク質を、大腸菌などの微生物で発現させる場合には、微生物中で複製可能なオリジン、プロモーター、リボソーム結合部位、DNAクローニング部位、ターミネーター等を有する発現ベクターに該タンパク質をコードするDNA断片を組換えて発現ベクターを作成する。この発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより、タンパク質を発現する形質転換体細胞を得ることができ、この形質転換体を培養することにより、その培養物から目的のタンパク質を大量生産することができる。大腸菌用発現ベクターとしては、pETベクター(Novagen社製)、pTrxFUSベクター(Invitrogen社製)、pCYBベクター(NEW ENGLAMD Bio Labs社製)等が例示できる。また、タンパク質を真核細胞で発現させる場合には、該タンパク質をコードするDNA断片を、プロモーター、スプライシング領域、ポリ(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターに挿入して組換えベクターを作製する。このベクターを真核細胞内に導入すれば、目的のタンパク質を発現する形質転換真核細胞を得ることができる。発現ベクターとしては、宿主細胞が酵母である場合は、pESP-1発現ベクター(STRATAGENE社製)、pAUR123ベクター(TAKARA社製)、pPICベクター(Invitrogen社製)等が、また宿主細胞が動物細胞である場合は、例えばpMAM-neo発現ベクター(CLONTECH社製)、pCDNA3.1ベクター(Invitrogen社製)、pBK-CMVベクター(STRATAGENE社製)等が例示できる。真核細胞としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等の酵母、ヒト胎児腎臓細胞(HEK293細胞)、サル腎臓細胞(COS7細胞)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)などの動物細胞などが使用できる。
発現ベクターを細胞に導入するには、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方法を用いることができる。形質転換細胞で発現させたタンパク質を単離精製するためには、公知の分離操作を組み合わせて行うことができる。例えば、尿素などの変性剤や界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、SDS-PAGE、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどが挙げられる。
また、部分ペプチドは、公知のペプチド合成法又は上記タンパク質を適当なペプチダーゼ(例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ)で切断することによって製造することができる。ペプチド合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによってもよい。
本発明のRab27A不活性化剤の成分として、配列番号2で表わされるタンパク質をコードする遺伝子、又は配列番号4で表わされるタンパク質をコードする遺伝子もまた用いることができる。
上記遺伝子として、具体的には、配列番号1で表わされる塩基配列からなるDNAを含む遺伝子、又は配列番号3で表わされる塩基配列からなるDNAを含む遺伝子が挙げられる。また、上記遺伝子は、機能的に同等である変異遺伝子でもよく、例えば、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子、又は、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子が挙げられる。
ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、相同性が高い核酸、すなわち配列番号1又は3で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム濃度が150〜900mM、好ましくは600〜900mMであり、温度が60〜68℃、好ましくは65℃での条件をいう。
上記遺伝子は、染色体DNAであっても、cDNAであってもよい。染色体DNAは、例えば、細胞等から染色体DNAのライブラリ−を調製し、上記遺伝子にハイブリダイズするプローブを用いた該ライブラリーのスクリーニングにより取得することができる。またcDNAは、上記遺伝子が発現していると考えられる細胞(組織)からRNA試料を抽出し、上記遺伝子にハイブリダイズするプライマーを用いたRT-PCR法等の遺伝子増幅技術により取得することができる。
本発明のRab27A不活性化剤として、上記遺伝子を含む組換えベクターもまた用いることができる。かかるベクターは、本発明のRab27A不活性化剤を遺伝子治療に用いる場合に有効である。ベクターへの上記遺伝子の挿入などの一般的な遺伝子操作は、常法に従って行うことができる。遺伝子治療に使用することができるベクターには、例えば、アデノウイルスベクターやレトロウイルスベクター等が挙げられる。
2.Rab27A不活性化剤を有効成分とする医薬
上記のRab27A不活性化剤は、活性型Rab27A(GTP-Rab27A)から不活性型Rab27A(GDP-Rab27A)への変換を促進する作用を有する。従って、Rab27A不活性化剤は、他の医薬的に許容される担体を配合してRab27Aの活性化を伴う疾患の予防及び/又は治療用の医薬として用いることができる。Rab27Aは、メラノサイトで合成されたメラニン色素を貯蔵したメラノソームがメラノサイトの核周辺から細胞膜へ輸送する機構に関与する。その後、細胞膜に輸送されたメラノソームは隣接するケラチノサイト(あるいは毛母細胞)に受け渡され、皮膚(あるいは髪の毛)を暗色化させる。よって、Rab27Aの活性化を伴う疾患としては、代表的には、Rab27Aが活性化してメラノソーム輸送が活発に行われている色素沈着症が挙げられ、本発明の医薬を当該疾患に用いると、Rab27Aを不活性化の方向に制御することによって、肝斑、シミ・ソバカス、色黒等の色素沈着の発生を予防することができる。色素沈着の原因については、紫外線、ホルモンバランス、中毒等のいずれかを問わない。
また、Rab27Aは様々な分泌細胞の分泌顆粒上に存在し、インシュリンなどのホルモン、アミラーゼなどの消化酵素、ヒスタミンなどを含む免疫顆粒などの分泌の促進にも関与する。Rab27Aの活性化を伴う分泌異常の疾患としてはマスト細胞からの過剰なヒスタミン分泌によるアレルギーが挙げられ、本発明の医薬を当該疾患に用いると、Rab27Aを不活性化の方向に制御することによって、アレルギー性疾患を予防・治療することができる。
本発明の医薬は、上記Rab27A不活性化剤を主成分として含み、かつRab27A-GAPを細胞内に取り込ませることが可能な各種形態に調製して投与することができる。
前記のRab27A-GAPタンパク質又は遺伝子を細胞内に取り込ませることが可能な形態とするためには、以下の手段がある。
タンパク質製剤の場合は、Rab27A不活性化タンパク質(Rab27A-GAP)のN端側に細胞膜通過ペプチドを連結させた融合タンパク質とすることによって、該タンパク質を、細胞膜を通過させて細胞内に取り込ませることが可能な形態することができる。細胞膜通過ペプチドとしては、HIV-1・TATのPTD(protein transduction domain)又はショウジョウバエのホメオボックスタンパク質アンテナペディアのPTD等を使用することができる。融合タンパク質を作成するには、Rab27A不活性化タンパク質と細胞膜通過ペプチドをそれぞれコードするDNA断片を連結した融合DNA断片を作成し、大腸菌等の宿主細胞で発現させることにより行うことができる。あるいはまた、2価の架橋剤(例えば、EDCやβ−アラニン等)を介して、融合タンパク質を作成することもできる。
遺伝子製剤の場合は、前記タンパク質をコードする遺伝子を注射により直接投与する方法のほか、該遺伝子が組込まれたベクターを投与する方法が挙げられる。上記ベクターとしては、アデノウイルスベクター、AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、レトロウイルスベクター等が挙げられ、これらのウイルスベクターを用いることにより効率よく投与することができる。また、非ウイルス性ベクターとしては、リポソーム、人工脂質ベシクル、中空ナノ粒子、デンドリマーなどの高分子化合物等が挙げられる。
遺伝子製剤の投与形態としては、通常の静脈内、動脈内等の全身投与のほか、皮膚組織に局所投与を行うことができる。
本発明の医薬の投与量は、投与対象の年齢・体重・症状、剤型、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変えることができる。例えば、前記タンパク質の有効量は、約0.001〜1000mg/kg体重の範囲、好ましくは約0.01〜100mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜10mg/kg体重の範囲であり、1日1回から数回に分けて1日以上投与される。また、本発明の医薬が、前記タンパク質をコードする遺伝子を含み、遺伝子治療等の方法によって導入する場合は、前記の範囲量のタンパク質を発現しうる遺伝子を投与すればよい。
3.Rab27AのGTPアーゼ活性の制御物質をスクリーニングする方法
本発明はまた、Rab27AのGTPアーゼ活性の制御物質のスクリーニング方法を提供する。本発明のスクリーニング方法は、in vitroで簡便に行うことができ、例えば、前記のEPI64/Rab27A-GAPα又はFLJ13130/Rab27A-GAPβタンパク質の存在下で、GTP結合型Rab27Aを被験物質に接触させる工程、Rab27AのGTP 加水分解をモニタリングする工程、被験物質と接触させない場合と比較して、GTP加水分解を促進又は抑制させる被験物質を選択する工程を含む。
EPI64/Rab27A-GAPα及びFLJ13130/Rab27A-GAPβタンパク質は、Rab27Aに特異的なGTPアーゼ活性化タンパク質であるから、GTP結合型Rab27Aに接触させると、Rabに結合しているGTPは脱リン酸されてGDPに変換される。従って、このGTP加水分解の程度を指標とすれば、Rab27AのGTPアーゼ活性の制御物質のスクリーニングが可能である。
例えば、前記タンパク質の存在下でGTP結合型Rab27Aを被験物質に接触させ、GTP加水分解をモニタリングし、被験物質を接触させない場合と比較してGTP加水分解が抑制されると、該被験物質はRab27A-GAP活性の抑制物質、即ちRab27A活性化の候補物質として選択できる。反対に、被験物質を接触させない場合と比較してGTP加水分解が促進されると、該被験物質はRab27A-GAP活性の促進物質、即ちRab27A不活性化の候補物質として選択できる。
GTP加水分解のモニタリングは、前述したGTP加水分解により生じるリン酸量の測定方法などにより行えばよい。
選択した候補物質は、メラノサイトと接触させ、メラノソーム凝集を誘導するか否かを確認して、最終的にRab27AのGTPアーゼ活性の制御物質と決定することが好ましい。ここで、「凝集」 とは、メラノサイトの核周辺領域にメラノソームが蓄積することをいう。被験物質とメラノサイトの接触は、被験物質を添加した培地でメラノサイトを培養することにより行う。メラノサイトとしては、Rab27A遺伝子を発現している哺乳動物由来のメラノサイトを用いることができ、例えば、melan-a 細胞などが挙げられる。哺乳動物としては、特に限定されないが、ヒト、マウス、ラット等が好ましく、その中でもマウスが好ましい。
本発明のスクリーニング方法の対象となる被験物質の種類は特に限定されない。例えば、動・植物組織の抽出物又は微生物培養物等の複数の化合物を含む混合物、またそれらから精製された標品;天然に生じる分子(例えば、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、ステロイド、糖タンパク質、プロテオグリカンなど);あるいは天然に生じる分子の合成アナログ又は誘導体(例えば、ペプチド擬態物など);及び天然に生じない分子(例えば、コンビナトリアルケミストリー技術等を用いて作成した低分子有機化合物);ならびにそれらの混合物などを挙げることができる。また、被験物質としては単一の被験物質を独立に試験しても、いくつかの候補となる被験物質の混合物(ライブラリーなどを含む)について試験をしてもよい。複数の被験物質を含むライブラリーとしては、合成化合物ライブラリー、ペプチドライブラリーなどが挙げられる。
上記スクリーニング法によって選択されるRab27AのGTPアーゼ活性の制御物質は、Rab27Aが関与しているとされるメラノソーム輸送制御、ホルモンの分泌制御、消化酵素の分泌制御、免疫細胞(血小板、細胞傷害性T細胞、マスト細胞)からの顆粒放出制御に有用である。従って、該制御物質は、メラノソーム輸送異常に関連する疾患(例えば、色素沈着症、Griscelli症候群など)、ホルモンの分泌異常に関連する疾患(例えば、インシュリンの分泌異常による糖尿病、低血糖症など)、消化酵素分泌の異常に関連する疾患(例えば、アミラーゼの分泌異常による急性膵炎・慢性膵炎・膵癌などの膵疾患、唾液腺疾患など)、マスト細胞の放出異常に関連する疾患(例えば、ヒスタミンの放出異常による炎症・アレルギー性疾患など)の治療及び/又は予防用医薬の有効成分として利用できる。
より具体的には、Rab27AのGTPアーゼ活性の制御物質は、メラノサイトの核周辺から細胞膜までのメラノソームの輸送を制御することが可能である。従って、Rab27A活性化物質は上記メラノソーム輸送を促進することから、例えば白髪防止剤として用いることができ、一方、Rab27A不活性化物質は上記メラノソーム輸送を抑制することから、例えば皮膚美白剤として用いることができる。
上記スクリーニング方法によって選択されるRab27AのGTPアーゼ活性の制御物質は、上記疾患の治療及び/又は予防用医薬、医薬部外品、化粧品などの組成物の有効成分として利用できる。かかる組成物は、選択されたRab27AのGTPアーゼ活性の制御物質と通常の製剤担体を用い、常法により製造できる。例えば、経口用製剤を調製する場合は、必要に応じて結合剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤などを加えた後、常法により錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等とする。非経口用製剤を調製する場合は、必要によりPH調節剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤等を添加し、常法により注射剤とする。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
後記の各実施例において使用した材料及び方法を以下に示す。
[材料及び方法]
(a) 検出用抗体
ホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)結合抗FLAG タグ化(M2)マウスモノクローナル抗体は、Sigma Chemical Co(St. Louis, MO)より入手した。HRP結合抗T7タグ化マウスモノクローナル抗体は、Merck Biosciences Novagen(Darmstadt, Germany)より入手した。抗Rab27Aマウスモノクローナル抗体及びAlexa594結合抗マウスIgG ヤギ抗体は、BD Transduction Laboratories(Lexington, KY)及びMolecular Probes(Eugene, OR)よりそれぞれ入手した。[α-32P]GTP は、Amersham Biosciences(Buckinghamshire, UK)より入手した。
(b)スクリーニング対象
下記表1に示すヒトTBCタンパク質をRab27A-GAPのスクリーニング対象とした。FLJ33929, KIAA0397, KIAA0608, KIAA0882, KIAA0984, KIAA1055, KIAA1171, KIAA1941, USP6, 及びVrpは、TBCドメインを含む切断型をスクリーニングに用いた。他のTBCタンパク質とRab3-GAPは全長タンパクを用いた。
Figure 0004869685
(c)プラスミド構築
EPI64及びFLJ13130のオープンリーディングフレームをコードするcDNAは、Marathon-Ready human brain cDNA(BD Clontech; Palo Alto, CA)からBamHIリンカー(下線)又は終始コドン(四角で囲む)を有する下記の変異オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてそれぞれ増幅した。
EPI64用:
EPI64 Met プライマー(センス) 5'-GGATCCATGGCGAAGAGCAACGGAGA-3'(配列番号5)
EPI64 stop プライマー(アンチセンス) 5'-GGTTACAAGTAGGTGTCCTC-3'(配列番号6)
FLJ13130用:
FLJ13130 Met プライマー(センス) 5'-GGATCCATGTCTGGGACCTTGGAGTC-3'(配列番号7)
FLJ13130 stop プライマー(アンチセンス) 5'-TCAGAAGTAAGCGTCCTGCC-3'(配列番号8)
PCR反応はPerfect Match PCR Enhancer(Stratagene)存在下でEx Taq(TAKARA社製)を用い、94℃1分熱変性、50℃2分アニーリング、72℃2分のサイクルを40回繰り返すことにより行った。MicroSpin column(Amersham Pharmacia Biotech)によってアガロースゲルから精製し、続いて1-ブタノール抽出及びエタノール沈殿を行ったPCR産物を、pGEM-T Easy vector(Promega)に直接挿入した。両ストランドをDNAシーケンスによって確認した。
他のTBCタンパク質及びRab3-GAPをコードするcDNAのクローニングもまた、プライマーの設計以外は上記操作に準じて行った。
TBCタンパク質のcDNAを、pEGFP-C1 ベクター(BD Biosciences Clontech, Palo Alto, CA)、pEF-BOS(Mizushima, S., and Nagata S. 1990. Nucleic Acids Res. 18:5322.)から改変したpEF-T7 発現ベクター又はpEF-T7-GST発現ベクター(Fukuda, M. et al. 1994. J. Biol. Chem. 269:29206-29211.; Fukuda, M. et al. 1999. J. Biol. Chem. 274:31421-31427.; Fukuda, M. et al. 2002. J. Biol. Chem. 277:12432-12436.)に導入した。
2つのEPI64 変異体、アミノ酸160位のアルギニンをリジンに置換した変異体(「EPI64-R160K」と称する)、及びアミノ酸157位のグルタミン酸をアラニンに置換した変異体(「EPI64-D157A」と称する)を、人工的なXhoI 部位(下線)を有する下記の変異オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、文献(Fukuda, M. et al. 1995. J. Biol. Chem. 270:26523-26527.)に記載のとおり、ツーステップPCR法によって製造した。
EPI64-R160K用:
TBCプライマー(センス) 5'-TGTTTGTGTCTCGAGGGGGC-3'(配列番号9)
R160K プライマー(アンチセンス) 5'-GCCCCCTCGAGACACAAACATCTCATGGAATGGGAACTGCTTGTGCAG-3'(配列番号10)
EPI64-D157A用:
TBC プライマー(センス) 5'-TGTTTGTGTCTCGAGGGGGC-3'(配列番号9)
D157A プライマー(アンチセンス) 5'-GCCCCCTCGAGACACAAACATCTCATGGAATGGGAACTGCCGGTGCAGGGCACGCTC-3'(配列番号11)
その後、変異EPI64 断片を改変pEF-T7 発現ベクター又はpEGFP-C1 ベクターにサブクローニングした。
pEGFP-C1-EPI64+A(EPI64のC末端にアラニンを付加)及びpEGFP-C1-EPI64-Δ449(59個のC末端アミノ酸を欠失)は、常套的なPCR法によって同様にして構築した。
他の発現プラスミド(pEF-FLAG-Rab27A, pGEX4T-3-Rab1A, pGEX4T-3-Rab3A, pGEX4T-3-Rab4A, pGEX4T-3-Rab5A, pGEX4T-3-Rab27A, 及びpEF-T7-GST-Slac2-a-SHD)は、文献(Fukuda, M. et al. 2002. J. Biol. Chem. 277:12432-12436.; Kuroda, T. S. et al. 2002. J. Biol. Chem. 277:9212-9218.)に記載のとおり製造した。
(d)メラノサイトにおいてメラノソーム凝集を誘導することのできるTBCタンパク質のスクリーニング
不死化メラノサイト細胞株melan-a(Dorothy C. Bennettにより寄贈)を文献(Bennett, D. C. et al. 1987. Int. J. Cancer 39:414-418.; Kuroda, T. S. et al. 2003. Mol. Cell. Biol. 23:5245-5255.)に記載のとおり培養した。pEGFP-C1-TBCタンパク質(例えば、pEGFP-C1-EPI64)のmelan-a 細胞へのFuGENE 6(Roche Molecular Biochemicals)を用いたトランスフェクション及びメラノソーム凝集アッセイは、文献(Kuroda, T. S. et al., 同上)に記載のとおり実施した。
細胞の蛍光は、共焦点蛍光顕微鏡(Fluoview; Olympus, Tokyo, Japan)を用い、明視野像によって調べた。トランスフェクトされた細胞のメラノソームの分布(「凝集」 とは、図1の右上のパネルに示すように、正常melan-a 細胞におけるメラノソームが細胞の周辺に局在するのに対し、図1の右下のパネルに示すように、核周辺にメラノソームが蓄積することをいう)を文献(Kuroda, T. S. et al. 同上)に記載のとおり評価した。
(e) GTP-Rab27A プルダウンアッセイ
プラスミドをLipofectAMINE Plus reagent(Invitrogen)を用い、製造業者の指示に従ってCOS-7細胞(7.5×105cells/10 cm-dish, トランスフェクション前日)にトランスフェクトした。FLAGタグ化Rab27A(FLAG-Rab27A)及びT7タグ化TBCタンパク質を発現するCOS-7細胞を溶解バッファー[50 mM HEPES-KOH (pH 7.2), 150 mM NaCl, 10% glycerol, 50 μM PMSF, 10μM leupeptin, 及び5μM pepstatin A 含有]中でホモジナイズし、その後、1% Triton-X 100を用いて可溶化した。遠心後、上清を溶解バッファーにて適当に希釈し、希釈サンプル中のFLAG-Rab27Aタンパク質量がHRP結合抗FLAG タグ化抗体でイムノブロッティングしたときに等しくなるようにした。希釈したサンプルを、Slac2-aのT7-GSTタグ化SHD領域[T7-GST-Slac2-a-SHD:GTP-Rab27A 捕捉剤(Fukuda, M. 2002. J. Biol. Chem. 277:40118-40124.)]を結合させたグルタチオン-セファロースビーズ(Amersham Biosciences)と、4℃にて1時間インキュベートした。ビーズを3回洗浄後、ビーズに捕捉されたGTP-Rab27Aを10% SDS-PAGE によって分析し、続いてHRP結合抗FLAG タグ化抗体(1/5000 希釈)又はHRP結合抗T7タグ化抗体(1/5000希釈)にてイムノブロッティングした。
(f) GST-Rabの精製及びin vitro GAP アッセイ
Rab GST-融合タンパク質を大腸菌JM109で発現させ、標準的なプロトコル(Kuroda, T. S., and Fukuda M. 2005. Methods Enzymol. 403:431-444.)によって精製し、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準品としてBio-Rad protein assay kit(Hercules, CA)によりそのタンパク質濃度を測定した。EPI64及びFLJ13130 のin vitro GAP 活性を文献(Otomo, A. et al. 2003. Hum. Mol. Genet. 12:1671-1687.)の記載に若干の改良を加えて測定した。すなわち、[α-32P]GTPとともにインキュベートした大腸菌によって生産されたGST-Rab27AをSephadex G-25カラムに通し、未結合のGTPを排除した。GAP反応を、2 pmolのTBCタンパク質又はBSA(コントロール)を、2 pmolの Rab1A, Rab3A, Rab4A, Rab5A, 又はRab27A タンパク質のいずかを含む溶液に添加することによって開始し、30℃にてインキュベートした。Rabファミリーメンバーの固有のGTPアーゼ活性は異なるので、反応時間を供試Rab アイソフォームによって変更した(Rab1A, 1時間; Rab3A, 15分; Rab4A, 1 時間; Rab5A, 12 分; Rab27A, 1 時間)。反応は20 mM EDTA 及び0.4% SDSの添加によって停止させた。2μlのサンプルをTLC プレート(Merck Biosciences, Darmstadt, Germany)に入れ、0.5 M LiCl 及び1 Mギ酸で展開した。GTP及びGDPの量はイメージングプレートを用いてBAS-2500 Bioimage analyzer(FUJIFILM, Tokyo, Japan)にて測定した。
(g) メラノサイトの免疫染色
melan-a 細胞の固定及び内在性Rab27Aタンパク質による免疫染色は文献(Kuroda, T. S. et al. 2003. Mol. Cell. Biol. 23:5245-5255.)に記載のとおり行った。
(h) 配列解析
TBC タンパク質のマルチプル配列アラインメント及び系統発生解析をCLUSTAL_X programを用いて実施した(Thompson, J. D. et al. 1997. Nucleic Acids Res. 25:4876-4882.)。アミノ酸配列及び NCBI データベースにおけるTBCドメインの位置を追跡し、系統樹を作成した(図3C)。
[結果]
(実施例1)Rab27A-GAPの同定
(1) メラノサイトにおけるメラノソーム凝集を指標として用いる推定Rab27A-GAPの網羅的スクリーニング
40種の異なるヒトTBC/Rab-GAPタンパク質(前記表1参照)を対象とし、これらの中からRab27A-GAPを一次スクリーニングするために、各GFP(緑色蛍光タンパク質)タグ化TBCタンパク質を培養メラノサイトであるmelan-a 細胞において過剰発現させた(Bennett, D. C. et al. 1987. Int. J. Cancer 39:414-418.)。
図1の右側、一番上のパネルに示すように、正常なmelan-a 細胞(GFPのみを発現させた細胞)は伸長又は樹状化しており、メラノソームは細胞膜の周辺に局在していた。もし、TBCタンパク質が、そのGTPアーゼ活性を促進することによってRab27Aを不活性化するのであれば、TBCタンパク質の過剰発現は、Griscelli 症候群患者又は対応するマウスモデルashen(Menasche, G. et al. 2000. Nat. Genet. 25:173-176.; Wilson, S. M. et al. 2000. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:7933-7938.)のメラノサイトと同様にその核周辺にメラノソーム凝集を誘導することが予想される。
予想されたように、試験した40種のTBCタンパク質のうち、EPI64とFLJ13130の二つは典型的なメラノソーム凝集を強く誘導し、そしてFLJ22474とVrpは弱い核周辺の凝集に関連すると思われた(前記表1参照)。GFPタグ化FLJ22474(GFP-FLJ22474), GFP-Vrp, GFP-EPI64, 又はGFP-FLJ13130を発現するmelan-a 細胞は、メラノソーム凝集を示したが、細胞の形態には影響は見られなかった(図1、左側、下4つのパネル)。GFP-Vrp, GFP-EPI64 及びGFP-FLJ13130は細胞の周辺に局在するのに対し、GFP-FLJ22474は細胞質に局在した。
上記の4つのTBCタンパク質のうち、FLJ22474は、これまで特徴づけされていないタンパク質で、Vrpは血管新生に関与すると報告されている(Yonekura, H. et al. 2001. Ann. N. Y. Acad. Sci. 947:382-386.)。また、EPI64は、細胞周辺においてアクチン束化に機能する、EBP50の結合タンパクとして特徴づけされているが、EPI64自身はアクチン束化に関与していない可能性がある(Reczek, D., and Bretscher A. 2001. J. Cell Biol. 153:191-206.)。FLJ13130はEPI64の近接したホモログであるが、その機能又は局在に関して何ら知られていない。しかしながら、これら4つのTBCタンパク質のGAP活性についてこれまで報告はない。
Rab27 サブファミリー及びRab3サブファミリーのメンバーは、Rab ファミリーの系統樹において密接に関連し、いくつかのエフェクター(例えば、rabphilin 及びNoc2)を共通して有しているので(Fukuda, M. 2003. J. Biol. Chem. 278:15373-15380.; Fukuda, M. et al. 2004. J. Biol. Chem. 279:13065-13075.)、TBCドメインを含まないRab3のGAPであると確立されたRab3-GAPもまた、Rab27A-GAPとして作用することが可能であると考えられる。しかしながら、GFPタグ化Rab3-GAPをmelan-a 細胞において発現させても、Rab3-GAPはまったくメラノソーム凝集を誘導しなかった(前記表1)。これは、特異的なRab27A-GAPがRab27Aに対して存在することを示唆するものである。
(2) GTP-Rab27A プルダウンアッセイによる推定Rab27A-GAPの二次スクリーニング
上記の4つのTBCタンパク質がメラノソーム上のRab27Aを直接的に不活性化することによってメラノソーム凝集を誘導するかどうかをさらに調べるために、Slac2-a のSHDを用いてGTP-Rab27A プルダウンアッセイを実施した。Slac2-a SHDは特異的にGTP結合型Rab27Aを認識し、他のGTP-Rabは認識しない(Fukuda, M. 2002. J. Biol. Chem. 277:40118-40124.; Fukuda, M. 2003. J. Biol. Chem. 278:15373-15380.; Kuroda, T. S. et al. 2002. J. Biol. Chem. 277:9212-9218.)。よって、細胞溶解物における活性型Rab27Aの量は、Slac2-a SHD カラムに結合したRab27Aを定量的に測定する(即ち、GTP-Rab27A プルダウンアッセイ)ことによって算出できる。
GTP-Rab27A プルダウンアッセイは具体的には以下のようにして行った。まず、FLAG-Rab27A及びT7タグ化TBCタンパク質を含有するCOS-7細胞溶解物を、精製T7-GST-Slac2-a-SHDを結合させたグルタチオン−セファロースビーズとインキュベートした。TBCタンパク質として、メラノソーム凝集の誘導が確認された4つのTBCタンパク質(EPI64、FLJ13130、Vrp、及びFLJ22474)、ネガティブコントロールとしてメラノソーム分布に何ら影響を及ぼさない3つのTBCタンパク質(MGC34741、Usp6、及びPrc17)を用いた。全細胞溶解物(Input)とSHDカラム(IP)に捕捉されたGTP-Rab27Aタンパク質を10% SDS-PAGEとHRP結合抗FLAG タグ化抗体(図2、上から2番目のパネル)又はHRP結合抗T7タグ化抗体(図2、下の二つのパネル)を用いるイムノブロッティングによって分析した。インプットとして用いた溶解物(反応混合物の1/60)はHRP結合抗FLAGタグ化抗体(図2、一番上のパネル)にて同様な手法にて分析した。
Rab27AをEPI64又はFLJ13130を共発現させたとき、本試験条件では、視覚的には活性型Rab27Aはまったく検出されなかった(図2、上から2番目のパネル、レーン2及び3)。これに対し、Rab27AをFLJ22474又はVrp と共発現させたときは、ネガティブコントロールであるMGC34741、Usp6、又はPrc17との共発現の際に得られた結果と同様、活性型Rab27Aの量にほとんど影響を与えないか、わずかに減少させた(図2、上から2番目のパネル、レーン4及び5)。
上記のGTP-Rab27Aプルダウンアッセイの結果は、メラノソーム凝集アッセイによる推定Rab27A-GAP の一次スクリーニングによって得られた結果とよく一致していた。EPI64とFLJ13130は、両者ともメラノサイトにおけるメラノソーム凝集を誘導し、Rab27Aと共発現させたとき、実際にGTP-Rab27Aの量を減少させた。これに対し、メラノサイトに弱い凝集表現型を誘導したFLJ22474とVrpは、GTP-Rab27Aの量にほとんど影響を与えなかった。これは、この二つのTBCタンパク質がGTP-Rab27Aのダウンレギュレーションとは異なるメカニズムによって部分的なメラノソーム凝集を誘導することを示唆するものである。
上記の結果から、TBCタンパク質ファミリーメンバーから、EPI64とFLJ13130をRab27A-GAPの候補として選択し、それぞれEPI64/Rab27A-GAPα、FLJ13130/Rab27A-GAPβと命名した。
(実施例2) EPI64/Rab27A-GAPα及びFLJ13130/Rab27A-GAPβの構造に基づく機能予測
データベースサーチでは、EPI64/Rab27A-GAPα、FLJ13130/Rab27A-GAPβ、及びFLJ00332(メラノソーム凝集は誘導しない:表1参照)は、TBCタンパク質のサブファミリーを形成することが示されている(図3C、網掛け部分)。これらの3つのタンパク質は同じドメイン構造[中央領域にTBCドメイン、及びPDZドメインと相互作用するC末端における特異的な配列(EPI64中のDTYL、FLJ13130中のDAYF、及びFLJ00332中のDTRF);図3A参照]を共通して有している(Kornau, H. C. et al. 1997. Curr. Opin. Neurobiol. 7:368-373.; Reczek, D., and Bretscher A. 2001. J. Cell Biol. 153:191-206.; Saras, J., and Heldin C. H. 1996. Trends Biochem. Sci. 21:455-458.)。それらの全体の配列は、高い類似性を有しており(EPI64とFLJ13130間は61.9%、EPI64とFLJ00332間は50.0%、FLJ13130とFLJ00332間は48.9%の同一性)、特に、TBCドメインにおいて高い(EPI64とFLJ13130間は81.1%、EPI64とFLJ00332間は60.2%、FLJ13130とFLJ00332間は59.2%;図3A及びB参照)。これらの3つタンパク質の全てが、酵母Rab-GAP、Gyp1 (Albert, S. et al. 1999. EMBO J. 18:5216-5225.)(図3Bのアスタリスク)と幾つかの哺乳類TBCタンパク質のGAP活性に必須であることが示されている保存的アルギニンを有しているので(Gao, X. D. et al. 2003. J. Cell Biol. 162:635-646.; Lanzetti, L. et al. 2000. Nature 408:374-377.; Pei, L. et al. 2002. Cancer Res. 62:5420-5424.)、これらはある種のRab-GAP活性を有している可能性がある。FLJ00332のTBCドメインの配列はEPI64やFLJ13130のTBCドメインの配列とは僅かに異なるので、FLJ00332は、Rab27Aに関連するRab(例えば、Rab3A、Rab26、又はRab37)のGAPとして機能すると考えられる。
(実施例3) EPI64/Rab27A-GAPα及びFLJ13130/Rab27A-GAPβのin vitro Rab27A-GAP活性
EPI64/Rab27A-GAPα及びFLJ13130/Rab27A-GAPβが実際にRab27A-GAPとして機能するかどうかを検証するために、精製組換え体EPI64(T7-GST-EPI64), FLJ13130(T7-GST-FLJ13130)のin vitro Rab27A(GST-Rab27A)GAP活性を測定した。
メラノソーム凝集アッセイ(図1)とGTP-Rab27A プルダウンアッセイ(図2)の結果と一致して、精製組換え体EPI64及びFLJ13130は実際にRab27AのGTPアーゼ活性をわずかであるが、特異的に活性化し(図4B)、EPI64のGAP活性はFLJ13130のそれよりも強いように思われた(図4A)。対照的に、ネガティブコントロールであるRab3-GAPはなんらRab27A-GAP活性を示さなかった。従来から特徴づけられていた幾つかのTBCタンパク質(例えば、GAP-CenA及びRN-Tre)は比較的広い特異性を有しており(Cuif, M. H. et al. 1999. EMBO J. 18:1772-1782.; Haas, A. K. et al. 2005. Nat. Cell Biol. 7:887-893)、EPI64とFLJ13130もまた他のRabに対してGAP活性を発揮するかもしれないので、さらにEPI64のRab-GAP特異性について調べた。しかしながら、組換え体EPI64は試験した他のRab(Rab1A, 3A, 4A, 5A, 10)に対して何らGAP活性を示さなかった(図4C)。特に、Rab27Aの最も近いアイソフォームであるRab3Aに対するEPI64のGAP活性が欠如してした。このことは、EPI64が、おそらくFLJ13130もまた、特異的Rab27A-GAPとして機能するTBCタンパク質であることを強く示唆するものである。
(実施例4) EPI64のRab27A-GAP活性ドメインの特定
EPI64とFLJ13130が実際にRab27A-GAP活性を有することを2つのスクリーニング方法によって証明したが、EPI64とFLJ13130自身のTBCドメインが、Rab27A-GAP活性を有するかどうか、また、EPI64 又はFLJ13130 によって誘導されるメラノソーム凝集が生細胞におけるRab27Aの不活性化に起因するかどうかについては未知のままであった。
上記の事項を解明するために、GAP活性に必要な保存的アルギニンをリジンに置換したEPI64の変異体(EPI64-R160Kと称する)、又は保存的グルタミン酸をアラニンに置換したEPI64の変異体(EPI64-D157Aと称する)を、先の研究報告(Gao, X. D. et al. 2003. J. Cell Biol. 162:635-646.; Lanzetti, L. et al. 2000. Nature 408:374-377.)に記載される方法により構築した。
実施例1と同様に、GTP-Rab27Aプルダウンアッセイを行った。FLAG-Rab27Aのみ、FLAG-Rab27AとT7-EPI64、FLAG-Rab27AとT7-EPI64-R160K、FLAG-Rab27AとT7-EPI64-D157Aをそれぞれ発現するCOS-7 細胞を、精製したT7-GST-Slac2-a-SHDを結合させたグルタチオン−セファロースビーズとインキュベートした。全溶解物(図5A:Input,レーン1-4)及びSHD領域によって捕捉されたタンパク質(図5A:IP, レーン5-8)を10% SDS-PAGE 及びHRP結合抗FLAG タグ化抗体(図5A、一番上のパネル)又はHRP結合抗T7タグ化抗体(図5A、下の2つのパネル)によるイムノブロッティングによって分析した。
COS-7 細胞におけるGTP-Rab27A プルダウンアッセイでは、野生型EPI64は活性型Rab27Aの量を劇的に減少させたのに対し、EPI64-R160KもEPI64-D157Aも活性型Rab27Aの量を減少させなかった(図5Aの一番上のパネル、レーン6-8を比較参照)。2つのEPI64変異体が効果を失ったのは、COS-7 細胞におけるその組換えタンパク質の低発現量のせいではなかった。なぜなら、それらは野生型EPI64 よりもずっと安定に発現しているからである(図5Aの真中のパネル、レーン2-4)。以上から、EPI64のTBCドメインが機能的なRab27A-GAP ドメインであると結論づけることができた。
EPI64 変異体(GFP-EPI64-R160K 及びGFP-EPI64-D157A)を発現するmelan-a 細胞の表現型は、GTP-Rab27Aプルダウンアッセイの結果とまったく一致した(図5B)。EPI64-R160K変異体及びEPI64-D157A変異体の両方が、GFP単独と同様、完全にメラノソーム凝集を誘導する能力を喪失していた(図5C)。両EPI64変異体が野生型EPI64同様、細胞の周辺に局在することは注目すべきことであり(図5B)、それは、両変異体 (R160K及びD157A)が、Rab27A-GAP活性だけを喪失し、EPI64 タンパク質の他の性質は保持していることを示唆している。
(実施例5) Rab27A不活性化によるEPI64のメラノソーム凝集
EPI64は、アクチン束化に関与するEBP50との相互作用を通じて細胞の周辺に局在することが示されている(Reczek, D., and Bretscher A. 2001. J. Cell Biol. 153:191-206.)。また、Slac2-aのC末端領域によるアクチンリモデルリングとの干渉がメラノソーム凝集を誘導することも知られている(Fukuda, M., and Itoh T. 2004. J. Biol. Chem. 279:22314-22321.; Kuroda, T. S. et al. 2003. Mol. Cell. Biol. 23:5245-5255.)。これらのことから、EPI64もまたRab27Aの不活性化に加え、EBP50との相互作用を通じた過剰なアクチン束化を引き起こすことによってメラノソーム分布に影響を与えることが可能であるといえる。この可能性を排除するために、2つのC末端変異体、EPI64+AとEPI64-Δ449(図6A参照)を作成した[これらの変異体はいずれもEBP50と相互作用しない(Reczek, D., and Bretscher A. 2001. J. Cell Biol. 153:191-206.)]。予想したように、melan-a 細胞内で過剰発現させたとき、両方のGFPタグ化変異体は野生型EPI64と同様、メラノソーム凝集を誘導した(図6B)。 これらの結果から、EPI64によるメラノソーム凝集の誘導は、過剰なアクチンフィラメント束化というよりはむしろ、Rab27A機能の不活性化に依拠することが示唆された。EPI64C末端変異体は、EPI64野生型同様、アクチンリッチな細胞周辺をターゲットすることができるので(図6B)、胎盤細胞(Reczek, D., and Bretscher A. 2001. J. Cell Biol. 153:191-206.)とは対照的にEBP50以外の別の因子がメラノサイトにおけるEPI64の局在化を決定していると考えられた。
(実施例6) メラノサイト内のEPI64の発現によるメラノソーム上のRab27A排除
一般に、GDP結合不活性型Rabは、Rabタンパク質のリサイクリングのためにGDP-dissociation inhibitor(GDI)によって膜から抽出される(Seabra, M. C., and Wasmeier C. 2004. Curr. Opin. Cell Biol. 16:451-457.)。従って、EPI64によって不活性化されたGDP結合型Rab27Aもまた、メラノソーム膜から抽出されることが予想された。
GFP-EPI64をコードするベクターをトランスフェクトしたmelan-a細胞を4%パラホルムアルデヒドで20分間固定化し、0.3% Triton X-100で透過性化させた後、それらを抗Rab27A 抗体及びAlexa594結合抗マウスIgG 抗体で染色した。細胞を共焦点顕微鏡によってRab27A 蛍光及びGFP-EPI64蛍光について調べた。
図7に示すように、Rab27Aは非トランスフェクト細胞のメラノソーム上に存在するが(矢頭)、GFP-EPI64発現細胞ではRab27A シグナルはメラノソーム上にまったく検出されなかった(矢印)。
よって、EPI64 はRab27A の GTPアーゼを促進することによって、in vivo でRab27Aを不活性化すると結論づけられた。
Rab27A-GAP(TBCタンパク質)候補を発現させたmelan-a 細胞のGFP蛍光像(左側の列)及び対応する明視野像(右側の列)を示す[GFPのみ(一番上のパネル)、GFP-FLJ22474 (上から2番目のパネル)、GFP-Vrp(真中のパネル)、GFP-EPI64(下から2番目のパネル)、及びGFP-FLJ13130(一番下のパネル)を発現するmelan-a 細胞]。矢印は、各GFPタグ化TBCタンパク質を発現し、メラノソーム凝集を表わす細胞を示す。バー:20μm。 図2は、GTP-Rab27Aプルダウンアッセイの結果を示す[FLAG-Rab27Aのみ(コントロール; レーン1)、FLAG-Rab27A+T7-EPI64(レーン2)、FLAG-Rab27A+T7-FLJ13130(レーン3)、FLAG-Rab27A+T7-FLJ22474(レーン4)、FLAG-Rab27A+T7-Vrp(レーン5)、FLAG-Rab27A+T7-MGC34741(レーン6)、FLAG-Rab27A+T7-Usp6(レーン7)、FLAG-Rab27A+T7-Prc17(レーン8)]。アスタリスク(*)は、melan-a 細胞においてメラノソーム凝集を誘導したTBCタンパク質を示す。 図3Aは、EPI64/Rab27A-GAPα、FLJ13130/Rab27A-GAPβ、及びFLJ00332の模式図を示す。TBCドメインはグレーボックスで示し、最後の4つのアミノ酸(即ち、PDZ ドメインによる推定上の認識配列)をダイアグラムの右側に示す。2つのタンパク質が共通して有するTBCドメインのアミノ酸同一性のパーセンテージを右側に示す。図3Bは、EPI64、FLJ13130、及びFLJ00332のTBC ドメインの配列アランメントを示す。EPI64(アミノ酸残基108-313)、FLJ13130(82-287)、及びFLJ00332(89-294)のTBCドメインの配列をCLUSTAL_X(version 1.8)プログラムでアラインメントした。保存的アミノ酸をグレーのバックで示した。アスタリスク(*)はGyp1のGAPドメインの触媒活性に必須な保存残基を示す。黒矢頭印は、EPI64 変異体(EPI64-D157A 及びEPI64-R160K)において置換されたアミノ酸残基を示す。アミノ酸数を各配列の最後に示す。図3Cは、ヒトTBCドメインの系統樹を示す。系統樹はCLUSTAL_X(version 1.8)プログラムを用いて作成した。EPI64、FLJ13130、及びFLJ00332は小さな枝(即ち、TBC タンパク質のサブファミリー;グレーで囲む)を形成する。 図4Aは、EPI64、FLJ13130、及びRab3-GAPのGAP活性を示す。図4Bは、BSA又はEPI64の存在下におけるRab27AのGTP加水分解の経時的観察結果を示す。結果は、反応前におけるGTP結合型Rab27Aの量に対する反応後におけるGTP結合型Rab27Aの量のパーセンテージで表わした。バーは、3つの独立した試験からのデータの平均値±標準偏差を示す。*:p <0.05(Student's unpaired t test)図4Cは、EP164のRab-GAP特異性を示す[Rab1A(1時間)、Rab3A(15分)、Rab4A(1時間)、Rab5A(12分)、及びRab27A(1時間)に対するEPI64のRab-GAP活性]。BSA(白色のバー)又は EPI64(黒色のバー)の存在下での各Rab タンパク質のGTP活性を示す。*:p < 0.05(Student's unpaired t test) 図5Aは、GTP-Rab27Aプルダウンアッセイの結果を示す[FLAG-Rab27Aのみ(コントロール; レーン1, 5)、FLAG-Rab27A+T7-EPI64(レーン2, 6)、FLAG-Rab27A+T7-EPI64-R160K(レーン3, 7)、FLAG-Rab27A+T7-EPI64-D157A(レーン4, 8)]。図5Bは、GFP-EPI64(上段)、 GFP-EPI64-R160K(中段)、又はGFP-EPI64-D157A(下段)をコードするベクターをトランスフェクトしたmelan-a 細胞のGFP蛍光像(右側のカラム)を示す。明視野像(左側のカラム)は、細胞内におけるメラノソーム分布を示す。矢頭はメラノソーム凝集を表わしたmelan-a 細胞を示す。バー: 20μm。図5Cは、メラノソーム分布アッセイの結果のまとめを示す。トランスフェクトされた細胞の像を、GFP蛍光を指標として用いてランダムに捉え、メラノソームが対応する明視野像に基づき核周辺に凝集するか否かを文献(Kuroda, T. S. et al. 2003. Mol. Cell. Biol. 23:5245-5255.)に記載のとおり判定した。結果は核周辺にメラノソーム凝集を示した細胞のパーセンテージとして表わし、数値は3つの独立した実験からのデータの平均値±標準偏差とした(n > 150)。*: p < 0.05(Student's unpaired t test) 図6Aは、EPI64のC末端変異体の模式図を示す。EPI64+Aは、EBP50との相互作用をなくさせるC末端に付加的アラニン残基を含む。EPI64-Δ449 はC末端の59アミノ酸を欠失させたものである。図6Bは、野生型EPI64又はEPI64のC末端変異体を発現する細胞の典型的な像を示す[GFP-EPI64(上段)、GFP-EPI64+A(中段)、GFP-EPI64-Δ449(下段)を発現するmelan-a細胞]。GFP 蛍光を左側に示し、対応する明視野像を右側に示す。バー: 20μm。 GFP-EPI64をコードするベクターでトランスフェクトしたmelan-a細胞の蛍光像を示す[Rab27A蛍光(左側の赤色)及びGFP-EPI64蛍光(真中の緑色)]。明視野像(右)は、細胞におけるメラノソーム分布を示す。バー: 20μm。

Claims (3)

  1. 以下の(a)〜(d)のいずれか1種を含有するRab27A不活性化剤。
    (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質
    (b) 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号4で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質
    (c) 前記(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子
    (d) 前記(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子を含む組換えベクター
  2. 以下の工程を含む、Rab27AのGTPアーゼ活性の制御物質をスクリーニングする方法。
    (1) 以下の(a)又は(b)のいずれかのタンパク質の存在下で、GTP結合型Rab27Aを被験物質に接触させる工程
    (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号2で表され
    るアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミ
    ノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質
    (b) 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号4で表され
    るアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミ
    ノ酸配列からなり、かつRab27AのGTPアーゼ活性促進作用を有するタンパク質
    (2) Rab27AのGTP加水分解をモニタリングする工程
    (3) 被験物質と接触させない場合と比較して、GTP加水分解を促進又は抑制させる被験物
    質を選択する工程
  3. Rab27AのGTPアーゼ活性の制御が、メラノソーム輸送制御、ホルモンの分泌制御、消化酵素の分泌制御、又は免疫細胞からの顆粒放出制御である、請求項に記載の方法。
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