図1は、本発明の実施例1による車両制御装置1が好適に適用されるハイブリッド車両のシステム構成を示すブロック図である。
車両制御装置1は、図1に示すように、自動運転ECU(Electronic Control Unit)10を中心として構成される。
自動運転ECU10は、ハードウェアとしては、マイクロコンピューターを主体として構成されて良い。具体的には、自動運転ECU10は、以下で説明する各処理を実現する制御プログラムや制御データを記憶するROM、制御プログラムの処理データを一時的に記憶するRAM、制御プログラムを処理するCPU、外部と情報をやり取りするための入出力インターフェースなどの複数の回路要素によって構成されたものである。尚、自動運転ECU10は、一つの制御ユニットとは限らず、制御が分担されるように接続された複数の制御ユニットであってよい。
車両の動力源であるエンジン20及びモータ30は、自動運転ECU10により制御される。自動運転ECU10は、後述の如く目標走行速度パターンを生成し、当該目標走行速度パターンに基づいて、当該目標走行速度パターンを実現するためのトータルトルクを算出する。自動運転ECU10は、算出されたトータルトルクに対し、所望の駆動力配分比に従い、エンジン要求回転数やエンジン要求トルクといったエンジン出力要求値や、モータ要求トルクといったモータ出力要求値などを算出して、必要に応じて、エンジン20や、モータ30、動力分割機構22(遊星歯車機構に作用するクラッチ及びブレーキの作動を実現する油圧制御)、インバータ26といった、車両の駆動に関連する電子部品を制御する。
エンジン20の電気的な制御としては、例えば、エンジン20の吸気マニホールド内に配置されるスロットルバルブの開度(即ち、スロットル開度)を電気的に制御することや、エンジン20の燃焼室に噴射される燃料の量を電気的に制御すること(燃料カット制御を含む。)や、バルブ開閉タイミングを調整するインテークカムシャフトの位相を電気的に制御することで実現することが可能である。
動力分割機構22は、例えば遊星歯車機構からなり、エンジン20の出力をディファレンシャル32に伝達して車輪を駆動させることができ、また、エンジン20の出力をジェネレータ24に伝達して発電させることができる。また、モータ30の出力をディファレンシャル32に伝達して車輪を駆動させることができる。動力分割機構22により、エンジン20のみを駆動源とする「エンジン走行」、モータ30のみを駆動源とする「モータ走行」、及び、エンジン20とモータ30を駆動源とする「エンジン+モータ走行(併用加速)」が選択的に実現される。
ジェネレータ24は、エンジン20の出力を使用して発電する。この発電によって、ジェネレータ24は、インバータ26を介してバッテリ28を充電する。また、ジェネレータ24は、エンジン20のスターターとして機能する。
モータ30は、インバータ26内の三相ブリッジ回路等により駆動され、エンジン20とは異なる駆動源として車輪を回転させる。また、回生ブレーキ作動時には、モータ30は、運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、インバータ26を介してバッテリ28を充電する。即ち、回生ブレーキ作動時には、ディファレンシャル32(減速機構部)からの運動エネルギーがモータ30に伝達され、当該運動エネルギーを使用してモータ30による発電が実行され、バッテリ28が充電される。
尚、ハイブリッドシステムとしては、図示のようなパラレルシリーズハイブリッドシステムに限られず、例えば四輪駆動の場合には、フロント側では、パラレルハイブリッドシステムとし、リア側では、シリーズハイブリッドシステムの要素を取り入れることも可能である。また、図示の例では、エンジン20による駆動状態(主に、エンジン走行状態)では、変速比はジェネレータ24の回転数により制御されるが、例えば無段階変速機(CVT)のような自動変速機を動力分割機構22とディファレンシャル32との間に設置し、自動変速機により変速比を可変制御してもよい。
自動運転ECU10は、また、必要に応じて、ブレーキ装置50に対してブレーキ出力要求を出力して、ブレーキ装置50を介して車輪に適切な制動力を作用させる。ブレーキ装置50は、摩擦により車輪に制動力を付与する装置であり、回生ブレーキとは異なる機械的な制動力(摩擦ブレーキ)を発生させる。摩擦発生源は、各車輪に配置され、摩擦発生態様は、ディスクブレーキによる方式であってもドラムブレーキによる方式であってもよい。ブレーキ装置50は、電子制御可能なブレーキアクチュエータを備え、ブレーキアクチュエータを介した油圧制御により各車輪に発生する制動力が制御される。
自動運転ECU10は、また、必要に応じて、操舵装置40に対して操舵出力要求を出力して、操舵装置40を介して車輪を適切に方向付ける。操舵装置40は、電子制御可能なアクチュエータを備え、アクチュエータの作動により、車輪に接続されたタイロッドが駆動され、車輪の転舵が実現される。
ナビゲーション装置7は、GPS装置と地図DB(データベース)を有している。GPS装置は、GPS受信機によるGPS衛星からの受信情報(衛星信号)に基づいて、自車の位置を2次元若しくは3次元の座標データによって特定する装置である。一方、地図DBは、高精度の地図情報を記憶している。高精度の地図情報には、減速が必要な地点(要減速地点)として、三叉路をはじめとする交差点、踏切、有料道路の料金所などの一時停止が必要な地点の情報がその地点の座標データとともに含まれている。また、その地図情報には、要減速地点として、必ずしも一時停止が必要ではない地点、すなわち、カーブやETC(Electronic Toll Collection)レーンなどの地点情報もその地点の座標データとともに含まれている。また、車車間通信や路車間通信や管理センター等の車外との通信を介して、渋滞情報などを取得することによって、渋滞している地点を要減速地点としてその地図情報に反映してもよい。また、座標データだけでなく、カーブの半径や曲率やカント、路面勾配、道路の車線数や車線幅や停止線の詳細位置、右折/左折レーン、標高、法定速度等の通過可能速度といった要減速地点に関する詳細な数値情報が含まれていてもよい。
ナビゲーション装置7は、GPS装置により検出された車両位置に基づいて車両の進行している方向に位置する要減速地点に関する座標データなどの地図情報を地図DBから抽出する。ナビゲーション装置7は、必要に応じて、抽出した地図情報や車両位置情報などを自動運転ECU10に送信する。
尚、例えば、IMTS(Intelligent Multi-mode Transit System)においては、ナビゲーション装置7による自車の位置の検出に代えて、路車間通信により、自車の位置の検出が実現されてもよい。例えば道路に埋設されたループアンテナ及び通信機(図示せず)と、車両側のアンテナ及び通信機(図示せず)との間で無線通信を行うことで、路側から、自車の位置の情報が提供されてもよい。尚、IMTSでは、車両が通行すべき進路を規定する磁気マーカーが道路に埋設される。この場合、図示しない磁気センサにより磁気マーカーを検出して、操舵装置40を介して、適切な進路に従って走行するように適切な操舵制御が実行される。また、他の形態の路車間通信や、周辺車両との無線通信(車車間通信)を介して、自動走行制御に必要な各種情報が取得されてもよい。
他の車両用ECU6は、自動運転ECU10が必要とする車両にかかわる走行状態を表す情報(具体例を挙げるならば、車速、エンジン回転数、ブレーキ信号、ウィンカ信号、カメラの撮像情報、周辺車両の走行状態、天候情報、エアコンの作動状態など)の送付元である。なお、自動運転ECU10は、車速センサからの車速信号など、車両の走行状態を検知するセンサから車両の走行状態を直接取得してもよいので、他の車両用ECU6とは、特にECUに限っているわけではない。
また、他の車両用ECU6は、バッテリ28の電流値や電圧値、温度を検出することによって、バッテリ28の容量がどれだけ残っているのかを示す「残容量(SOC:State of Charge)」を算出する。他の車両用ECU6は、例えば、バッテリ28の充放電電流の積算(積分)などにより残容量を算出する。電気量(バッテリ28の容量)の時間的変化の割合が、電流に相当するからである。残容量はバッテリ28の満充電時の容量からバッテリ28から放電された放電量を引いた値に相当することから、他の車両用ECU6は、バッテリ28に接続される電源ラインを電流センサ等によってバッテリ28の充放電電流をモニターしその履歴をメモリに記録することによって、残容量を算出することが可能になる。なお、満充電時の容量は、初期値としてメモリに記憶されている。
また、他の車両用ECU6は、放電初期時のバッテリ28の電圧の極小値を測定することによって残容量を推定してもよい。放電初期時の電圧の落ち込みにより生じる極小値と残容量は相関があることが知られているため、他の車両用ECU6は、その相関関係(例えば、マップデータ)に基づいて残容量を推定することができる。
なお、バッテリ28が電気二重層キャパシタに置換可能であり、その静電容量が既知であるならば、他の車両用ECU6は、電気二重層キャパシタの電圧値と静電容量に基づいて電気二重層キャパシタの残容量を算出することができる。
次に、以上の構成のシステムにおける自動運転ECU10の機能について説明する。
図2は、自動運転ECU10により実現される目標走行速度パターン生成処理の一実施例を示すフローチャートである。図3は、図2に示す処理により生成される各走行パターン及び目標走行速度パターンを概念的に示す図である。図4は、波状走行パターンの説明図である。図2に示す処理ルーチンは、例えばナビゲーション装置7からの情報に基づいて、車両の進行している方向に位置する要減速地点を検出した際に実行されるものであってよい。
ステップ100では、自動運転ECU10は、例えばナビゲーション装置7からの情報に基づいて要減速地点Aと自車の現在位置との相対関係等を把握し、減速達成目標を設定する。減速達成目標の設定は、検出した要減速地点に関する情報(位置情報及び実現すべき車速に関する情報)に基づいて、減速目標地点とその地点での目標速度を設定することを含む。ここでは、図3に示すように、現在の車両位置が要減速地点Aの手前1000mに位置し、要減速地点Aで実現すべき車速がゼロの場合(要減速地点Aが停止が必要な地点の場合)を想定する。この場合、自動運転ECU10は、要減速地点Aよりも回生不可区間だけ手前に減速目標地点Bを定めると共に、減速目標地点Bでの目標速度を定める。回生不可区間とは、速度が低く過ぎて、発電機として機能するモータ30の回転数が低く、回生が作動できない速度領域(例えば10km/h以下)に対応した区間である。
尚、要減速地点Aで実現すべき車速は、各要減速地点の属性に応じて、予め定めておいて地図情報として記憶しておいてもよいし、ドライバーの個々の運転履歴から学習して地図情報に反映するようにしてもよい。また、要減速地点Aが踏切や料金所等の予めその地点における車速が一律に決めることができるような地点であれば、要減速地点Aで実現すべき車速は、地図情報に一律に設定しておくことも可能である(例えば、零あるいは所定の低車速値)。さらに、要減速地点Aがカーブの場合、要減速地点Aは、カーブの入口地点であり、そこで実現すべき車速は、当該カーブの半径や勾配情報等(許容限界横加速度)に基づいて、安全走行可能な車速を演算する所定の演算式で算出した値を地図情報に反映するようにしてもよい。
尚、要減速地点Aで実現すべき車速が、回生が作動できない速度領域より高い場合(本例では、10km/hより高い場合)には、要減速地点Aが、減速目標地点Bとなり、要減速地点Aで実現すべき車速が、目標速度となる。
ステップ110では、自動運転ECU10は、後続車が存在するか否かを判定する。後続車が存在するか否かは、後方監視レーダー、後方監視カメラや車車間通信等を介して得られる情報に基づいて判定されてよい。この際、検出対象の後続車としては、自車の後方の所定距離内に存在する後続車であり、例えば以下で説明する無回生無加速走行パターンを用いた減速の影響を受けないほど後方に存在する後続車は除かれてよい。後続車が存在する場合には、ステップ120に進み、後続車が存在しない場合には、ステップ130に進む。
ステップ120では、自動運転ECU10は、後続車との安全を優先するため、通常の走行速度パターンを、目標走行速度パターンとして生成する。通常の走行速度パターンとは、一定速度の走行速度パターンや、一定減速度(例えば、−0.1G)の走行速度パターンをいう。
ステップ130では、自動運転ECU10は、無回生無加速走行時の走行速度パターンであって、減速目標地点Bで目標速度(本例では、10km/h)となるような走行速度パターン(以下、「第1無回生無加速走行パターン」という。)を生成する。
ここで、無回生無加速とは、シフトN(ニュートラル)以外のD(ドライブ)又はBにあるときの制御則に従った場合に、エンジン20及びモータ30による加速が無く、且つ、モータ30による回生が作動しない状態に相当する。アクセル開度領域(加速要求レベル)の観点からは、無回生無加速とは、エンジン20の停止状態で、モータ70による回生が行われるアクセル開度領域と加速が行われるアクセル開度領域の間の境界付近のアクセル開度領域であり、アクセル開度約5%付近のアクセル開度領域に相当する状態である。
また、シフトBとは、シフトDよりも強い回生が作動するように設定されたシフトパターンに従って変速比が決定されるシフトである。即ち、例えばCVTを用いた構成の場合、シフトBでは、CVTの減速比が通常時(シフトD時)よりも上げられる。
図3には、第1無回生無加速走行パターンが示されている。ここでは、回生不可区間では、無回生無加速走行が採用される。従って、第1無回生無加速走行パターンは、要減速地点Aで車速がゼロになるような無回生無加速走行パターンとして生成されてもよい。
尚、無回生無加速走行時には、エンジン20が停止されており、且つ、モータ30による回生が行われないので、主に、走行抵抗トルク(車輪の転がり抵抗等)や車両の空気抵抗、道路の縦断勾配等の要因に依存して、車両の減速ないし加速が実現されうる。従って、第1無回生無加速走行パターンは、現地点から減速目標地点B(又は要減速地点A)までの走行抵抗トルク(予測算出値)等を考慮して生成されてよい。例えば、走行抵抗トルク自体が速度(走行パターン)に依存するので、走行抵抗トルクは、速度を考慮して算出され、次いで、空気力学的な抵抗(抗力係数)、路面μ(タイヤと道路の間の摩擦力)及び/又は道路勾配(道路の路面勾配)などの各種因子によって補正されてもよい。この場合には、路面μに影響を与えうる雨や雪などの天気情報が併せて考慮されてもよい。また、道路勾配についても、如何なる適切な手法により検出されてもよく、例えば、ナビゲーション装置の地図データに含まれうる道路勾配情報を利用して検出されてもよく、若しくは、路車間通信等を介して得られた道路勾配情報を利用して検出されてもよい。
ステップ140では、自動運転ECU10は、強回生で走行した場合の速度パターン、即ち、シフトBで回生作動させて走行した場合の速度パターンであって、減速目標地点Bで目標速度となる走行速度パターン(以下、「強回生走行パターン」という。)を生成する。図3に示す例では、強回生走行パターンが、回生不可区間の開始点(=減速目標地点B)での速度(本例では、10km/h)からシフトB時のエンジン強制回転速度(例えば、35km/h)までの範囲で生成されている。即ち、強回生走行パターンが、10km/h〜35km/hの速度範囲で生成されている。強回生走行パターンについても、第1無回生無加速走行パターンと同様、走行抵抗トルク等が考慮されて生成されてよい。
ステップ150では、自動運転ECU10は、通常回生で走行した場合の速度パターン、即ち、シフトDで回生作動させて走行した場合の速度パターンであって、強回生走行パターンの区間の開始点C(図3参照)に接続(連続)する走行速度パターン(以下、「通常回生走行パターン」という。)を生成する。通常回生走行パターンは、例えば35km/h〜200km/hの速度範囲で生成されてよい。通常回生走行パターンについても、第1無回生無加速走行パターンと同様、走行抵抗トルク等が考慮されて生成されてよい。
強回生走行パターン及び通常回生走行パターンは、上述の如く連続した走行パターンであり、以下では、この連続した走行パターン全体を「回生走行パターン」という。尚、回生走行中は、機構上可能な場合には、好ましくは、エンジン20は停止状態とされる。
ここで、注記するに、上記の2つの走行速度パターン、即ち、第1無回生無加速走行パターン及び回生走行パターンは、現在の車速や現在の車両位置とは無関係に、減速目標地点Bと目標速度に基づいて生成される。
ステップ160では、自動運転ECU10は、現在の走行状態から無回生無加速走行を行った場合の走行速度パターン(以下、「第2無回生無加速走行パターン」という。)を生成する。即ち、現在の車速から無回生無加速走行を行った場合の、現在の車両位置(現地点)からの無回生無加速走行パターンを、第2無回生無加速走行パターンとして生成する。図3に示す例では、現地点は、要減速地点Aから1000m手前の地点であり、現在の車速は、約45km/hである。この現在の走行状態から生成された第2無回生無加速走行パターンが、「第2無回生無加速走行パターン1」として図3に示されている。また、図3には、現在の走行状態が異なる状況下で生成される第2無回生無加速走行パターンが、「第2無回生無加速走行パターン2」として示されている。即ち、現地点が、要減速地点Aから1000m手前の地点であり、現在の車速が、約20km/hである場合の、第2無回生無加速走行パターンが、「第2無回生無加速走行パターン2」として示されている。
ステップ170では、自動運転ECU10は、第2無回生無加速走行パターンと回生走行パターンとが交わる交点地点が存在するか否か、即ち各走行パターンに従った場合に同一速度となる同一地点が存在するか否かを、判定する。交点地点が存在する場合には、ステップ180に進み、交点地点が存在しない場合には、ステップ190に進む。図3に示す例において、第2無回生無加速走行パターン1が生成された場合には、第2無回生無加速走行パターン1と、回生走行パターンとは、交点地点Dにて交わるので、ステップ180の処理に進むことになる。一方、図3に示す例において、第2無回生無加速走行パターン2が生成された場合には、第2無回生無加速走行パターン2は、回生走行パターンに交わらないので、ステップ190の処理に進むことになる。換言すると、第2無回生無加速走行パターンに従って走行した場合に、車速が目標車速を下回るまでに減速目標地点Bに到達できる場合には、当該第2無回生無加速走行パターンは、回生走行パターンと交わり、車速が目標車速を下回るまでに減速目標地点Bに到達できない場合には、当該第2無回生無加速走行パターンは、回生走行パターンと交わらないことになる。
ステップ180では、自動運転ECU10は、第2無回生無加速走行パターンと回生走行パターンとを組み合わせた走行速度パターンであって、それらの交点地点を経由して減速目標地点Bに至る走行速度パターンを、目標走行速度パターンとして決定する。即ち、目標走行速度パターンは、図3に点線にて「目標走行速度パターン1」として概念的に示すように、現地点から交点地点Dまでの区間が、第2無回生無加速走行パターン1により生成され、該交点地点Dから減速目標地点Bまで区間が、回生走行パターンにより生成される。
ステップ190では、自動運転ECU10は、現在の走行状態から必要最小限度の加速を行った場合の走行速度パターン(以下、「加速走行パターン」という。)を生成する。ここで、必要最小限度の加速とは、エンジン20及びモータ30の出力として最も効率的な部分を用いる加速である。現在の走行状態がエンジン20の停止中であり、短時間(数秒)の弱い加速が必要な場合には、モータ30のみにより加速を行った場合の加速走行パターンを生成する。それ以外の場合(例えば長時間の加速が必要な場合)には、エンジン20により加速を行った場合の加速走行パターンを生成する。この場合、電力が余る予定がある場合(例えば今後の走行経路で下り坂が見込まれる場合等)を除いて、エンジン20単体(即ちモータ30による加速との併用無し)による加速を行った場合の加速走行パターンを生成する。尚、加速走行パターンは、第1無回生無加速走行パターンと同様、走行抵抗トルク等が考慮されて生成されてよい。
ステップ200では、自動運転ECU10は、上記ステップ190にて生成した加速走行パターンに従って走行した場合に、第1無回生無加速走行パターンに交わる交点地点までの間に、設定上限速度を超えるか否かを判定する。設定上限速度は、法定速度や運転者の選択等により決定されるものであってよく、ここでは、例えば33km/h程度とする。設定上限速度を超える場合には、ステップ220に進み、それ以外の場合には、ステップ210に進む。図3に示す例では、加速走行パターンと第1無回生無加速走行パターンとが交わる交点地点Eでは設定上限速度を超えないので、ステップ210の処理に進むことになる。
ステップ210では、自動運転ECU10は、第1無回生無加速走行パターンと加速走行パターンとを組み合わせた走行速度パターンであって、それらの交点地点を経由して減速目標地点Bに至る走行速度パターンを、目標走行速度パターンとして決定する。即ち、目標走行速度パターンは、図3に破線にて「目標走行速度パターン2」として概念的に示すように、現地点から交点地点Eまでの区間が、加速走行パターンにより生成され、該交点地点Eから減速目標地点Bまで区間が、第1無回生無加速走行パターンにより生成される。
ステップ220では、自動運転ECU10は、断続的に加速走行と無回生無加速走行を繰り返す走行速度パターンであって、最終的に第1無回生無加速走行パターンに連続する走行速度パターン(以下、「波状走行パターン」という。)を、目標走行速度パターンとして決定する。波状走行パターンは、例えば20km/h〜33km/hの速度範囲内で生成されるものであってよい。例えば、図4に示す例のように、現地点が、要減速地点Aから1400m手前の地点であり、現在の車速が、約20km/hである場合、上記ステップ190にて生成した加速走行パターン1に従って走行した場合に、第1無回生無加速走行パターンに交わる交点地点Hまでの間に、設定上限速度を超える。この場合、設定上限速度に至る前の地点G(例えば33km/hの地点)から、中間的な無回生無加速走行パターンを生成し、当該中間的な無回生無加速走行パターン上の地点Fから、加速走行パターン2を生成し、最終的に第1無回生無加速走行パターンに連続する波状走行パターンを生成する。尚、通常時には(進行方向前方所定距離内に要減速地点Aが検出されていないときは)、波状走行パターンがデフォルト的に生成されてよい。
尚、目標走行速度パターンにおける無回生無加速走行パターンにより規定された区間においては、自動運転ECU10は、原則として、エンジン20の停止状態を維持すると共に、モータ30の停止状態(インバータ26の停止状態)を維持して、モータ30の回転抵抗を実質的にゼロにする。但し、かかる状態においても、自動運転ECU10は、緊急時や制御上必要な場合には、エンジン20を始動させて作動状態にし、或いは、インバータ26を作動させてモータ30を作動状態にし、無回生無加速走行状態を解除することは可能である。また、動力分割機構22とディファレンシャル32との間にクラッチが存在する構成(例えば、自動変速機を動力分割機構22とディファレンシャル32との間に設置した構成)では、自動運転ECU10は、原則として、クラッチを解放して、動力分割機構22とディファレンシャル32との間が切り離された状態を維持する。この場合、自動運転ECU10は、好ましくは、原則として、エンジン20の停止状態を維持すると共に、モータ30の停止状態(インバータ26の停止状態)を維持する。但し、かかる状態においても、自動運転ECU10は、緊急時や制御上必要な場合には、クラッチを係合し、エンジン20を始動させて作動状態にし、或いは、インバータ26を作動させてモータ30を作動状態にし、無回生無加速走行状態を解除することは可能である。
以上説明した目標走行速度パターン生成処理によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が得られる。
上述の如く、その場の状況変化に対して減速達成目標を定め、その目標を必要十分に満たしながら、回生による燃費向上を併用しつつ無回生無加速走行を最大限に活用する最適燃費自動走行可能な目標走行速度パターンを、走行中に動的に生成することができる。
より詳細には、先ず、上述の如く、無回生無加速走行パターンを用いて、目標走行速度パターンを生成するので、優れたエネルギー効率である無回生無加速走行の利点を享受することができる。即ち、例えば回生走行パターンだけを用いる構成に比べて、燃費が向上する。これは、無回生無加速走行時には、エンジン20が停止されており、且つ、モータ30による回生が行われないので、エンジン20のフリクションロスが無く、回生によるエネルギー変換ロスが無いからである。
また、上述の如く、無回生無加速走行パターンを用いることで、比較的長い区間に亘って省燃費運転を実現することができる。即ち、回生走行では無回生無加速走行よりも減速度が必然的に高くなるので、回生走行パターンだけで減速目標地点Bに至るようにする構成では、減速目標地点Bに対して比較的近い位置に来るまで回生走行を開始できない。換言すると、例えば図3に示す例で、現地点が、要減速地点Aから1000m手前の地点であり、現在の車速が、約45km/hである場合、現地点から回生走行を行うと、減速目標地点Bに至る前に車速が目標車速を下回ってしまう。このため、例えば図3に示す回生走行パターン上に位置するまで定常走行若しくは加速を実行しなければならず、その分だけエネルギー損失が生ずる。これに対して、本実施例によれば、回生走行パターン上に位置するまで無回生無加速走行が実現されるので、比較的長い区間に亘って省燃費運転を実現することができる。
また、上述の如く、現地点での車速が比較的高く現地点から無回生無加速走行を行った場合に、減速目標地点Bで車速が目標車速を上回ることが予測される場合には、無回生無加速走行パターンと回生走行パターンを適切に併用することで、無回生無加速走行パターンの高効率性を最大限に利用しつつ、減速目標地点Bにて目標車速を実現することができる。尚、現地点での車速が更に高く、現地点から回生走行を行った場合であっても、減速目標地点Bで車速が目標車速を上回ることが予測される場合には、摩擦ブレーキを最小限に作動させた上で回生走行パターン上に至るような目標走行速度パターンを生成することとしてもよい。
また、上述の如く、現地点での車速が低く現地点から無回生無加速走行を行った場合に、減速目標地点Bに至る前に車速が目標車速を下回る場合であっても、無回生無加速走行パターンと加速走行パターンとを組み合わせて目標走行速度パターンを生成することで、効率の良い無回生無加速走行パターンを最大限に利用しつつ、減速目標地点Bにて目標車速を実現することができる。
また、上述の如く、無回生無加速走行パターンを組み込んだ波状走行パターンを用いることで、比較的長い区間に亘って省燃費運転を実現することができる。特に、波状走行パターンでは、定常走行等で第1無回生無加速走行パターン上に至らせる走行パターンに比べて、メリハリのある加速態様に起因して燃費が向上する。
尚、図示の目標走行速度パターン生成処理では、ステップ170にて否定判定された場合に、第1無回生無加速走行パターンと加速走行パターンとの交点地点を経由する目標走行速度パターンが生成されている。しかしながら、例えば信号機のタイミング等に起因して比較的高い速度まで一時的に加速して走行する方が燃費に有利な状況下においては、第1無回生無加速走行パターンとの交点地点を超えて更に加速走行パターンに追従するような走行速度パターンが採用されることもありうる。この場合、当該加速走行パターンを経由した後、最終的には、第2無回生無加速走行パターン及び回生走行パターンに連続する目標走行速度パターン(加速走行パターン+図3に示した目標走行速度パターン1に相当する目標走行速度パターン)が採用されることになる。この目標走行速度パターンには、加速走行パターンと回生走行パターンが含まれることになる。従って、現在のバッテリ28の状態を考慮して、バッテリ28の充電が不足している場合には、加速走行パターンではエンジン20による加速が実行されるようする一方、例えば回生走行パターンにおいてバッテリ28が満充電状態となることが予測される場合には、加速走行パターンではモータ30による加速(又はエンジン20による加速との併用)が実行されるようにしてよい。また、同様の観点から、目標走行速度パターンに回生走行パターン及び波状走行パターンが組み込まれている場合であって、回生走行パターンにおいてバッテリ28が満充電状態となることが予測される場合には、波状走行パターンにおけるエンジン20による加速予定区間(モータ30による加速の併用区間を含む。)で短い区間から順に、モータ30単体による加速予定区間に変更するようにしてもよい。これは、短い加速予定区間でエンジン20を用いると、エンジン20の始動から停止までの時間が短くなることから、加速に要するエネルギーに対するエンジン始動時のフューエルロスによるエネルギーロスの割合が大きくなり、燃費を悪化させる要因となるからである。
尚、本実施例においては、自動運転ECU10がステップ130及び/又は160及び/又は220の処理を実行することにより、添付の特許請求の範囲における「無回生無加速走行パターン生成手段」が実現され、自動運転ECU10がステップ140及び/又は150の処理を実行することにより、特許請求の範囲における「回生走行パターン生成手段」が実現され、自動運転ECU10がステップ190及び/又は220の処理を実行することにより、特許請求の範囲における「加速走行パターン生成手段」が実現され、自動運転ECU10がステップ180及び/又は210及び/又は190及び/又は220の処理を実行することにより、特許請求の範囲における「目標走行速度パターン生成手段」が実現されることになる。尚、これらの手段の実現態様は、上述した実施例によるものに限定されるものでないことはいうまでもない。
ところで、上述の如く、エネルギー効率的に理想的な目標走行速度パターンを生成した場合であっても、実際の走行時には、状況変化、アクチュエータ誤差、センサ誤差等に起因した制御誤差が発生するため、駆動力及び制動力の誤差補正を行う必要がある。一般的な自動運転速度制御においては、速度が制御目標値を超過した場合には、スロットルバルブを閉じ、且つ、制動力を発生させるように制御が実行される一方、速度が制御目標値を下回った場合には、制動力の発生を停止し、且つ、スロットルバルブを開けるように制御が実行される。
しかしながら、上述の如く、エンジン20による加速は、加速予定区間が比較的長い場合には効率的になるが、逆に加速予定区間が比較的短い場合には、始動時のフューエルロスの影響が大きくなり効率が低下する。また、一般的には、エンジン20による加速の方が、モータ30単体による加速よりも加速性能が良いので、モータ30単体による加速により挽回不能なほど大きな制御誤差が発生した場合には、モータ30単体による加速から、エンジン20による加速(モータ30による加速との併用を含む。)に切り替えることが考えられる。しかしながら、かかる場合でも、加速予定区間の長短に依存して当該切り替えがエネルギー効率上有効となる場合もあれば不利になる場合もある。次に、とりわけこれらの点を考慮して工夫した自動運転制御態様(制御手段の一実施例)について、図5を参照して詳細に説明する。
図5は、自動運転ECU10により実現される自動運転制御処理の一実施例を示すフローチャートである。図5に示す処理ルーチンは、所定周期毎に繰り返し実行されるものであってよい。
ステップ300では、自動運転ECU10は、現在の車速情報に基づいて、速度超過状態か否かを判定する。速度超過状態とは、目標走行速度パターンに従って決定された制御目標値に対して、現在の車速が上回っている状態である。速度超過状態の場合には、ステップ310に進み、それ以外の場合には、ステップ350に進む。
ステップ310では、自動運転ECU10は、現地点がエンジン併用加速予定区間内であるか否かを判定する。即ち、現地点が、加速走行パターンに従って走行すべき区間であり、且つ、当該区間でエンジン20及びモータ30の双方による加速が予定されているか否かを判定する。尚、加速走行パターンが、エンジン併用加速予定区間、モータ単体加速予定区間、又は、エンジン単体加速予定区間の何れであるかは、加速走行パターンに生成時に決定される。尚、ある加速走行パターンで規定された区間が、エンジン併用加速予定区間、モータ単体加速予定区間、及び、エンジン単体加速予定区間の2以上の組み合わせを含んでもよい。現地点がエンジン併用加速予定区間である場合には、ステップ325に進み、それ以外の場合には、ステップ320に進む。
ステップ320では、自動運転ECU10は、通常の減速制御を実行する。即ち、一般的な自動運転速度制御(例えば、一般的なオートクルーズ制御等)と同様、スロットルバルブを閉じ、且つ、回生ブレーキ(又は摩擦ブレーキ)が作動するように制御する。
ステップ325では、自動運転ECU10は、加速残り区間が短いか否かを判定する。加速残り区間とは、現地点から、加速走行パターンに従って走行すべき区間の最終地点までの区間である。加速残り区間が短い場合には、ステップ340に進み、それ以外の場合には、ステップ330に進む。
ステップ330では、自動運転ECU10は、エンジン20の運転を継続させる。これにより、ジェネレータ24の発電が促進され、バッテリ28の充電量が増加される傾向となる。
ステップ340では、自動運転ECU10は、エンジン20の運転を停止させ、モータ30単体による加速に変更する。
ステップ350では、自動運転ECU10は、現在の車速情報に基づいて、速度低下状態か否かを判定する。速度低下状態とは、目標走行速度パターンに従って決定された制御目標値に対して、現在の車速が下回っている状態である。速度低下状態の場合には、ステップ360に進み、それ以外の場合には、以後何ら処理が実行されることなく、今回周期の処理ルーチンが終了される。
ステップ360では、自動運転ECU10は、現地点がモータ単体加速予定区間内であるか否かを判定する。即ち、現地点が、加速走行パターンに従って走行すべき区間であり、且つ、当該区間でモータ30(電力)のみにより加速が予定されているか否かを判定する。現地点がモータ単体加速予定区間内である場合には、ステップ370に進み、それ以外の場合には、ステップ375に進む。
ステップ370では、自動運転ECU10は、加速残り区間を用いて、モータ30のみにより加速により挽回可能であるか否かを判定する。挽回可能であるである場合には、ステップ375に進み、それ以外の場合には、ステップ380に進む。
ステップ375では、自動運転ECU10は、通常の加速制御を実行する。具体的には、ステップ360で否定判定されてステップ375に至った場合には、一般的な自動運転速度制御と同様、車速が制御目標値を追従するように、スロットルバルブを開け、且つ、作動中の場合には回生ブレーキ(又は摩擦ブレーキ)の作動を停止させる。一方、ステップ370で肯定判定されてステップ375に至った場合には、車速が制御目標値を追従するようにモータ30の出力値をフィードバック制御する(即ち、モータ30による挽回が実現される)。
ステップ380では、自動運転ECU10は、加速残り区間が所定基準値よりも短いか否かを判定する。ここで、所定基準値は、エンジン20の始動性に依存するが、加速残り区間の長さを時間で換算した場合に、エンジン20の始動性が良好な場合には3秒程度であってよく、エンジン20の始動性が良好でない場合には20秒であってよい。或いは、簡易的に、所定基準値は、10秒程度の固定値であってよい。加速残り区間が所定基準値よりも短い場合には、ステップ400に進み、それ以外の場合には、ステップ390に進む。
ステップ400では、自動運転ECU10は、現在の車速と制御目標値との誤差が大きいか否か、即ち、速度誤差が所定の許容誤差範囲内か否かを判定する。所定の許容誤差範囲は、例えば±3km/h程度の範囲であってよい。速度誤差が所定の許容誤差範囲内である場合には、ステップ410に進み、速度誤差が所定の許容誤差範囲外である場合、即ち速度誤差が大きい場合には、ステップ390に進む。
ステップ390では、自動運転ECU10は、停止状態にあるエンジン20を始動させ、モータ単体加速からエンジン併用加速に切り替える。
ステップ410では、自動運転ECU10は、エンジン20の停止状態を維持し、モータ30(電力)のみによる加速走行を継続する。
以上説明した自動運転制御処理によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が得られる。
上述の如く、目標走行速度パターンに対して生ずる制御誤差に対して、その時点の自車及び周囲の状況だけでなく、当該目標走行速度パターンの生成意図(加速中の調整であるのか、加速終了なのか等)をも考慮して、エンジン20による加速態様、モータ30による加速態様、バッテリ28の充電量の調整・配分を行うことにより、ハイブリッド車両に対して最適燃費での自動運転制御が可能となる。
より詳細には、先ず、上述の如く、加速残り区間の長短を考慮して、エンジン併用加速とモータ単体加速とを切り替えるので、加速残り区間が短いときにエンジン20を始動させることが抑制される。これにより、加速残り区間が短いときにエンジン始動時のフューエルロスによる効率低下を防止することができる。
また、上述の如く、加速残り区間が短い場合には、速度誤差が所定の許容誤差範囲外にある場合に限り、モータ単体加速からエンジン併用加速に切り替えられるので、モータ単体加速で速度誤差が発生したときのエンジン20の始動頻度を必要最小限度に抑制することができる。尚、等価的に、モータ単体加速からエンジン併用加速へと切り替える際の速度誤差の判定閾値を、加速残り区間の長短に応じて可変することも可能である。この場合、判定閾値は、加速残り区間が短いほどモータ単体加速からエンジン併用加速へと切り替え難くなるように可変されてよい。
尚、加速残り区間が短く、且つ、速度誤差が所定の許容誤差範囲内にある場合には、モータ単体加速が継続されるので、当該短い加速残り区間において速度低下状態が維持されてしまうが、残り短い区間を走行しさえすれば、定常走行区間や減速走行区間に至って制御誤差がいずれなくなる。即ち、上述の自動運転制御処理によれば、加速残り区間が短い場合には、制御誤差発生区間の長さがさほど長くならないことから、速度誤差が許容誤差範囲外にある場合に限って、エンジン併用加速に切り替えることとしている。これにより、燃費の向上と制御誤差の低減との適切なバランスを保つことができる。
尚、上述の自動運転制御処理は、加速走行パターンにより規定された加速予定区間における走行時の処理に関するものであるが、他の走行パターン(例えば、無回生無加速走行パターンや回生走行パターン)により規定された区間においても応用的に適用されてもよい。
また、上述の自動運転制御処理において、次の日の暖気運転時間(出発時間と季節などから予測)と、その時間内の走行計画を予測し、余剰電力が発生する場合には、前日の運転終了付近のエンジン併用加速予定区間を、モータ単体加速予定区間に変更することとしてもよい。
図6は、本発明の実施例2による車両制御装置2が好適に適用される車両のシステム構成を示すブロック図である。本実施例におけるシステム構成は、エンジン20が自動変速機(AT)42を介してディファレンシャル32に接続されている点、及び、モータが存在しない点が、上述の実施例1のシステム構成と主に異なる。以下では、上述の実施例1と同様であってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を定義省略し、実施例2に特有の構成要素について重点的に説明する。
車両制御装置2は、図6に示すように、自動運転ECU11を中心として構成される。自動運転ECU11は、ハードウェアとしては、マイクロコンピューターを主体として構成されて良い。
自動運転ECU11は、後述の如く目標走行速度パターンを生成し、当該目標走行速度パターンに基づいて、当該目標走行速度パターンを実現するための目標駆動トルクを算出する。自動運転ECU11は、算出された目標駆動トルクに対し、エンジン要求回転数やエンジン要求トルクといったエンジン出力要求値や、目標駆動トルク等に応じた変速比などを算出して、必要に応じて、自動変速機42と共にエンジン20を制御する。
エンジン20の電気的な制御としては、例えば、エンジン20の吸気マニホールド内に配置されるスロットルバルブの開度を電気的に制御することや、エンジン20の燃焼室に噴射される燃料の量を電気的に制御すること(燃料カット制御を含む。)や、バルブ開閉タイミングを調整するインテークカムシャフトの位相を電気的に制御することで実現することが可能である。燃料カットの実施条件としては、加速指令が無い状態(アクセル開度ゼロに相当する状態)で、エンジン20の回転数が所定のエンジン回転数(例えば、1500回転)以上になった場合であってよい。但し、本発明は、如何なる燃料カットの実施条件に対しても適用可能である。また、燃料カットは、エンジン20の全気筒に対して実行されるのが好適であるが、エンジン20の一部の気筒のみに対して実施されるような態様であってもよい。
自動変速機42は、自動運転ECU11により制御される。自動変速機42は、自動運転ECU11からの変速要求に応じて、例えばソレノイドにより油圧制御を行いクラッチやブレーキを適切に作動させて、変速要求に応じた変速比(変速要求に応じたギアのロック・係合態様)を実現する。自動変速機42は、有段変速機であってもよく、無段階変速機(CVT)であってもよい。尚、本発明は、如何なる構成の自動変速機に対しても適用可能であり、例えば、無段階変速機については、1対のプーリーと金属ベルトから構成される無段階変速機構(図示せず)であってもよい。この場合、プーリーの溝幅を油圧により可変させることで、無段階の変速が実現されるものであってよい。
次に、以上の構成のシステムにおける自動運転ECU11の機能について説明する。
図7は、自動運転ECU11により実現される目標走行速度パターン生成処理の一実施例を示すフローチャートである。図8は、図7に示す処理により生成される各走行パターン及び目標走行速度パターンを概念的に示す図である。図7に示す処理ルーチンは、例えばナビゲーション装置7からの情報に基づいて、車両の進行している方向に位置する要減速地点を検出した際に実行されるものであってよい。
ステップ500では、自動運転ECU11は、要減速地点Aと自車の現在位置との相対関係等を把握し、減速達成目標を設定する。減速達成目標の設定は、検出した要減速地点に関する情報に基づいて、減速目標地点とその地点での目標速度を設定することを含む。ここでは、図8に示すように、現在の車両位置が要減速地点Aの手前1000mに位置し、要減速地点Aで実現すべき車速がゼロの場合(要減速地点Aが停止が必要な地点の場合)を想定する。この場合、自動運転ECU11は、要減速地点Aよりもクリープ加速発生区間だけ手前に減速目標地点Bを定めると共に、減速目標地点Bでの目標速度を定める。クリープ加速発生区間は、例えば10km/h以下の適切な速度領域に対応した区間であってよく、図8に示す例では、5km/h以下の速度領域に対応した区間である。要減速地点Aで実現すべき車速の決定態様等については、上述の実施例1と同様であってよい。
ステップ510では、自動運転ECU11は、後続車が存在するか否かを判定する。後続車が存在するか否かは、後方監視レーダー、後方監視カメラや車車間通信等を介して得られる情報に基づいて判定されてよい。後続車が存在する場合には、ステップ520に進み、後続車が存在しない場合には、ステップ530に進む。
ステップ520では、自動運転ECU11は、後続車との安全を優先するため、通常の走行速度パターンを、目標走行速度パターンとして生成する。
ステップ530では、自動運転ECU11は、自動変速機42の入力軸に対するエンジン20の出力軸の接続が切り離された状態で走行するニュートラル走行を行った場合の走行速度パターンであって、減速目標地点Bで目標速度(本例では、5km/h)となるような走行速度パターン(以下、「第1ニュートラル走行パターン」という。)を生成する。図8には、第1ニュートラル走行パターンが示されている。ここでは、クリープ加速発生区間では、ニュートラル走行が採用される。従って、第1ニュートラル走行パターンは、要減速地点Aで車速がゼロになるようなニュートラル走行パターンとして生成されてもよい。クリープ加速発生区間でニュートラル走行を行うことで、燃費向上効果と共に、停止ショック緩和効果を得ることができる。
尚、ニュートラル走行時には、エンジン20はアイドル運転状態を維持するが、エンジンブレーキは作動しないので、主に、走行抵抗トルク(車輪の転がり抵抗等)や車両の空気抵抗、道路の縦断勾配等の要因に依存して、車両の減速ないし加速が実現されうる。従って、第1ニュートラル走行パターンは、現地点から減速目標地点B(又は要減速地点A)までの走行抵抗トルク(予測算出値)等を考慮して生成されてよい。
ステップ540では、自動運転ECU11は、減速目標地点B及び目標速度を起点として、燃料カットの実施条件を満した状態が維持されるような変速比パターン(シフトパターン)を生成すると共に、当該変速比パターンに従って走行する燃料カット走行を行った場合の走行速度パターンであって、減速目標地点で目標速度となる走行速度パターン(以下、「燃料カット走行パターン」という)を生成する。ここで、生成される変速比パターンは、例えば燃料カットの実施条件が満される最小エンジン回転数(例えば、1500回転)に、制御誤差マージン(例えば500回転)を付加したエンジン回転数(200回転)を維持するような変速比パターンであってよい。自動変速機42が無段階変速機である場合、生成される変速比パターンは、燃料カットの実施条件が満される最小エンジン回転数を維持するような変速比パターンであってよい。もっとも、自動変速機42が無段階変速機である場合であっても、制御誤差マージンを考慮してもよい。
図8には、燃料カット走行パターンが示されている。ここでは、燃料カット走行パターンは、減速目標地点B及び目標速度を起点として、順に、変速比が1速(1速減速)で走行した場合の走行パターン、変速比が2速(2速減速)で走行した場合の走行パターン、変速比が3速(3速減速)で走行した場合の走行パターン、及び、変速比が4速(4速減速)で走行した場合の走行パターンを、連続的に繋げることで、生成されている。燃料カット走行パターンについても、第1ニュートラル走行パターンと同様、走行抵抗トルク等が考慮されて生成されてよい。
ここで、注記するに、上記の2つの走行速度パターン、即ち、第1ニュートラル走行パターン及び燃料カット走行パターンは、現在の車速や現在の車両位置とは無関係に、減速目標地点Bと目標速度を起点として生成される。
ステップ550では、自動運転ECU11は、現在の走行状態からニュートラル走行を行った場合の走行速度パターン(以下、「第2ニュートラル走行パターン」という。)を生成する。即ち、現在の車速からニュートラル走行を行った場合の、現在の車両位置(現地点)からのニュートラル走行パターンを、第2ニュートラル走行パターンとして生成する。図8に示す例では、現地点は、要減速地点Aから1000m手前の地点であり、現在の車速は、約45km/hである。この現在の走行状態から生成された第2ニュートラル走行パターンが、「第2ニュートラル走行パターン1」として図8に示されている。また、図8には、現在の走行状態が異なる状況下で生成される第2ニュートラル走行パターンが、「第2ニュートラル走行パターン2」として示されている。即ち、現地点が、要減速地点Aから1000m手前の地点であり、現在の車速が、約20km/hである場合の、第2ニュートラル走行パターンが、「第2ニュートラル走行パターン2」として示されている。
ステップ560では、自動運転ECU11は、第2ニュートラル走行パターンと燃料カット走行パターンとが交わる交点地点が存在するか否か、即ち各走行パターンに従った場合に同一速度となる同一地点が存在するか否かを、判定する。交点地点が存在する場合には、ステップ570に進み、交点地点が存在しない場合には、ステップ580に進む。図8に示す例において、第2ニュートラル走行パターン1が生成された場合には、第2ニュートラル走行パターン1と、燃料カット走行パターンとは、交点地点Dにて交わるので、ステップ570の処理に進むことになる。一方、図3に示す例において、第2ニュートラル走行パターン2が生成された場合には、第2ニュートラル走行パターン2は、燃料カット走行パターンに交わらないので、ステップ580の処理に進むことになる。換言すると、第2ニュートラル走行パターンに従って走行した場合に、車速が目標車速を下回るまでに減速目標地点Bに到達できる場合には、当該第2ニュートラル走行パターンは、燃料カット走行パターンと交わり、車速が目標車速を下回るまでに減速目標地点Bに到達できない場合には、当該第2ニュートラル走行パターンは、燃料カット走行パターンと交わらないことになる。
ステップ570では、自動運転ECU11は、第2ニュートラル走行パターンと燃料カット走行パターンとを組み合わせた走行速度パターンであって、それらの交点地点を経由して減速目標地点Bに至る走行速度パターンを、目標走行速度パターンとして決定する。即ち、目標走行速度パターンは、図8に点線にて「目標走行速度パターン1」として概念的に示すように、現地点から交点地点Dまでの区間が、第2ニュートラル走行パターン1により生成され、該交点地点Dから減速目標地点Bまで区間が、燃料カット走行パターンにより生成される。
ステップ580では、自動運転ECU11は、現在の走行状態から必要最小限度の加速を行った場合の走行速度パターン(加速走行パターン)を生成する。ここで、必要最小限度の加速とは、エンジン20の燃料調整(増加)の無い高効率な目標エンジン回転数及び目標スロットル開度を用いる加速である。自動変速機42が無段階変速機である場合、自動運転ECU11は、エンジン最適燃費線(予め設定された燃料消費率の良い高トルク域)をトレースするように目標エンジントルク及び目標エンジン回転数を決定し、目標エンジン回転数に応じた変速比パターンを決定する。尚、加速走行パターンは、第1ニュートラル走行パターンと同様、走行抵抗トルク等が考慮されて生成されてよい。
ステップ590では、自動運転ECU11は、上記ステップ580にて生成した加速走行パターンに従って走行した場合に、第1ニュートラル走行パターンに交わる交点地点までの間に、設定上限速度を超えるか否かを判定する。設定上限速度は、法定速度や運転者の選択等により決定されるものであってよく、ここでは、例えば33km/h程度とする。設定上限速度を超える場合には、ステップ610に進み、それ以外の場合には、ステップ600に進む。図8に示す例では、加速走行パターンと第1ニュートラル走行パターンとが交わる交点地点Eでは設定上限速度を超えないので、ステップ600の処理に進むことになる。
ステップ600では、自動運転ECU11は、第1ニュートラル走行パターンと加速走行パターンとを組み合わせた走行速度パターンであって、それらの交点地点を経由して減速目標地点Bに至る走行速度パターンを、目標走行速度パターンとして決定する。即ち、目標走行速度パターンは、図8に破線にて「目標走行速度パターン2」として概念的に示すように、現地点から交点地点Eまでの区間が、加速走行パターンにより生成され、該交点地点Eから減速目標地点Bまで区間が、第1ニュートラル走行パターンにより生成される。
ステップ610では、自動運転ECU11は、断続的に加速走行とニュートラル走行を繰り返す走行速度パターンであって、最終的に第1ニュートラル走行パターンに連続する走行速度パターン(以下、「波状走行パターン」という。)を、目標走行速度パターンとして決定する。この波状走行パターンは、上述の実施例1におけるステップ220の処理と同様の考え方(図4参照)に基づいて生成されてよい。
尚、目標走行速度パターンにおけるニュートラル走行パターンにより規定された区間においては、自動運転ECU11は、原則として、エンジン20のアイドル運転状態を維持すると共に、エンジン20と自動変速機42との間で伝達される力を実質的にゼロにする。但し、かかる状態においても、自動運転ECU11は、緊急時や制御上必要な場合には、エンジン20と自動変速機42とを接続し、エンジン20の回転数を上げて、ニュートラル走行状態を解除することは可能である。また、ニュートラル走行時に、自動変速機42におけるミッションオイルの循環が不足しうる場合には、自動運転ECU11は、ニュートラル走行中にミッションオイルの温度を監視して、必要に応じて、ミッションオイルの循環を促進させることとしてもよい。例えば、ミッションオイルの循環量がエンジンの回転数に依存して決定される構成の場合、ニュートラル走行時にミッションオイルの循環が不足しうるが、ニュートラル走行中にミッションオイルの温度を監視して、必要に応じて、ミッションオイルの潤滑量を強制的に増加させることとしてもよい。或いは、ミッションオイルの潤滑量を、例えばファイナル回転数に依存して決定するようにして、ニュートラル走行時にミッションオイルの循環が不足しないようにしてもよい。
以上説明した目標走行速度パターン生成処理によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が得られる。
上述の如く、その場の状況変化に対して減速達成目標を定め、その目標を必要十分に満たしながら、燃料カット・エンジンブレーキ力及び最適な変速比パターンによる燃費向上を併用しつつ、ニュートラル走行を最大限に活用する最適燃費自動走行可能な目標走行速度パターンを、走行中に動的に生成することができる。
より詳細には、先ず、上述の如く、ニュートラル走行パターンを用いて、目標走行速度パターンを生成するので、優れたエネルギー効率で燃料カット走行よりも長距離走行可能なニュートラル走行の利点を享受することができる。
また、上述の如く、ニュートラル走行パターンを用いることで、比較的長い区間に亘って省燃費運転を実現することができる。即ち、燃料カット走行パターンだけで減速目標地点Bに至るようにする構成では、燃料カット走行ではエンジンブレーキが作動してニュートラル走行よりも減速度が必然的に高くなるので、減速目標地点Bに対して比較的近い位置に来るまで燃料カット走行を開始できない。換言すると、例えば図8に示す例で、現地点が、要減速地点Aから1000m手前の地点であり、現在の車速が、約45km/hである場合、現地点から燃料カット走行を行うと、減速目標地点Bに至る前に車速が目標車速を下回ってしまう。このため、例えば図8に示す燃料カット走行パターン上に位置するまで定常走行若しくは加速走行を実行しなければならず、その分だけエネルギー損失が生ずる。これに対して、本実施例によれば、燃料カット走行パターン上に位置するまでニュートラル走行が実現されるので、比較的長い区間に亘って省燃費運転を実現することができる。
また、上述の如く、現地点での車速が比較的高く現地点からニュートラル走行を行った場合に、減速目標地点Bで車速が目標車速を上回ることが予測される場合には、ニュートラル走行パターンと燃料カット走行パターンを適切に併用することで、それぞれの走行の利点を最大限に利用しつつ、減速目標地点Bにて目標車速を実現することができる。尚、現地点での車速が更に高く、現地点から燃料カット走行を行った場合であっても、減速目標地点Bで車速が目標車速を上回ることが予測される場合には、摩擦ブレーキを最小限に作動させた上で燃料カット走行パターン上に至るような目標走行速度パターンを生成することとしてもよい。
また、上述の如く、現地点での車速が低く現地点からニュートラル走行を行った場合に、減速目標地点Bに至る前に車速が目標車速を下回る場合であっても、ニュートラル走行パターンと加速走行パターンとを組み合わせて目標走行速度パターンを生成することで、ニュートラル走行パターンの高効率性を最大限に利用しつつ、減速目標地点Bにて目標車速を実現することができる。
尚、図示の目標走行速度パターン生成処理では、ステップ560にて否定判定された場合に、第1ニュートラル走行パターンと加速走行パターンとの交点地点を経由する目標走行速度パターンが生成されている。しかしながら、例えば信号機のタイミング等に起因して比較的高い速度まで一時的に加速して走行する方が燃費に有利な状況下においては、第1ニュートラル走行パターンとの交点地点を超えて更に加速走行パターンに追従するような走行速度パターンが採用されることもありうる。この場合、当該加速走行パターンを経由した後、最終的には、第2ニュートラル走行パターン及び燃料カット走行パターンに連続する目標走行速度パターン(加速走行パターン+図8に示した目標走行速度パターン1に相当する目標走行速度パターン)が採用されることになる。
尚、本実施例においては、自動運転ECU11がステップ530及び/又は550及び/又は610の処理を実行することにより、添付の特許請求の範囲における「ニュートラル走行パターン生成手段」が実現され、自動運転ECU11がステップ540の処理を実行することにより、特許請求の範囲における「燃料カット走行パターン生成手段」が実現され、自動運転ECU11がステップ580及び/又は610の処理を実行することにより、特許請求の範囲における「加速走行パターン生成手段」が実現され、自動運転ECU11がステップ570及び/又は600及び/又は580及び/又は610の処理を実行することにより、特許請求の範囲における「目標走行速度パターン生成手段」が実現されることになる。尚、これらの手段の実現態様は、上述した実施例によるものに限定されるものでないことはいうまでもない。
ところで、上述の如く、エネルギー効率的に理想的な目標走行速度パターンを生成した場合であっても、実際の走行時には、状況変化、アクチュエータ誤差、センサ誤差等に起因した制御誤差が発生するため、駆動力及び制動力の誤差補正を行う必要がある。次に、可能な限り燃費を悪化させること無く制御誤差を補正できる自動運転制御態様(制御手段の一実施例)について、図9を参照して詳細に説明する。
図9は、自動運転ECU11により実現される自動運転制御処理の一実施例を示すフローチャートである。図9に示す処理ルーチンは、所定周期毎に繰り返し実行されるものであってよい。
ステップ700では、自動運転ECU11は、現在の車速情報に基づいて、速度超過状態か否かを判定する。速度超過状態の場合には、ステップ710に進み、それ以外の場合には、ステップ750に進む。
ステップ710では、自動運転ECU11は、現在の車速と制御目標値との誤差が大きいか否かを判定する。速度誤差が大きい場合(例えば、絶対値で1km/h以上の速度誤差がある場合)、ステップ725に進み、それ以外の場合には、ステップ720に進む。
ステップ720では、自動運転ECU11は、加速残り区間が所定基準値よりも短いか否かを判定する。所定基準値は、加速残り区間の長さを時間で換算した場合に、10秒程度の固定値であってよい。加速残り区間が所定基準値よりも短い場合には、ステップ725に進み、それ以外の場合には、ステップ730に進む。
ステップ725では、自動運転ECU11は、通常の減速制御を実行する。即ち、一般的な自動運転速度制御(例えば、一般的なオートクルーズ制御等)と同様、スロットルバルブを閉じ、且つ、摩擦ブレーキが作動するように制御する。即ち、速度誤差が大きい場合や、速度誤差は大きくないが加速残り区間が短い場合には、エンジン20の回転数を十分(例えば、速度誤差相当分)に下げ、必要十分な摩擦ブレーキを発生させる。これは、エンジン制御による速度調整はブレーキ装置50に比べて応答性が悪いため、エンジン20のスロットルバルブの開度の小刻みな調整は、却って誤差を増大させて燃費を悪化させるためである。
ステップ730では、自動運転ECU11は、現在の車速と制御目標値との誤差の大きさが微少であるか判定する。速度誤差が微少である場合(例えば、絶対値で0.5km/h未満の速度誤差がある場合)、ステップ735に進み、それ以外の場合には、ステップ740に進む。
ステップ735では、自動運転ECU11は、エンジン20の回転数を維持しつつ、弱い摩擦ブレーキを併用する。
ステップ740では、自動運転ECU11は、エンジン20の回転数を若干下げ、弱い摩擦ブレーキを併用する。即ち、速度誤差が中程度(本例では、0.5km/h〜1km/hの範囲内)である場合には、エンジン20の回転数を例えば0.5km/h相当分だけ下げ、弱い摩擦ブレーキを併用する。
ステップ750では、自動運転ECU11は、現在の車速情報に基づいて、速度低下状態か否かを判定する。速度低下状態の場合には、ステップ760に進み、それ以外の場合には、ステップ820に進む。
ステップ760では、自動運転ECU11は、通常の加速制御を実行する。即ち、自動運転ECU11は、車速が制御目標値を追従するように、スロットルバルブを開け、且つ、作動中の場合には摩擦ブレーキの作動を停止させる。
ステップ770では、自動運転ECU11は、現地点が燃料カット走行予定区間内であるか否かを判定する。燃料カット走行予定区間とは、上述の如く生成された燃料カット走行パターンの区間である。現地点が燃料カット走行予定区間内である場合には、ステップ780に進み、それ以外の場合には、ステップ820に進む。
ステップ780では、自動運転ECU11は、燃料カット走行予定区間内で燃料カットの中断があるか否か、即ち燃料カットの実施条件が満たされない状態が形成されたか否かを判定する。制御誤差に起因して燃料カットが中断された場合には、ステップ790に進み、それ以外の場合にはステップ800に進む。
ステップ790では、自動運転ECU11は、制御誤差マージンが小さ過ぎると判断して、誤差量を学習し、制御誤差マージンを増加させる。この制御誤差マージンの補正は、図7を参照して説明したステップ540での燃料カット走行パターン生成処理に反映される。即ち、燃料カット走行パターンを生成する際の制御誤差マージンが補正される。
ステップ800では、自動運転ECU11は、燃料カット中断頻度が少なすぎるか否かを判定する。燃料カット中断頻度が少なすぎる場合には、ステップ810に進み、それ以外の場合、ステップ820に進む。
ステップ810では、自動運転ECU11は、制御誤差マージンが大き過ぎると判断して、制御誤差マージンを減少させる。この制御誤差マージンの補正は、図7を参照して説明したステップ540での燃料カット走行パターン生成処理に反映される。このように、制御誤差マージンは、自動運転制御時の学習結果に基づいて動的に調整(フィードバック制御)されてよい。
ステップ820では、自動運転ECU11は、現在の車速と制御目標値との誤差が大きいか否かを判定する。尚、この判定処理は、ステップ710の判定処理結果が利用されてよい。制御誤差が大きい場合には、ステップ830以降の変速比に関する処理を行うことなく、今回周期の処理ルーチンが終了される。
ステップ830では、自動運転ECU11は、加速予定区間が継続するか否かを判定する。加速予定区間とは、上述の如く生成された目標走行速度パターンのうちの加速走行パターンで規定された区間である。加速予定区間が継続するか否かは、例えば加速残り区間が所定値よりも長いか否かに基づいて判断されてよい。加速予定区間が継続する場合には、ステップ840に進み、それ以外の場合には、ステップ850に進む。
ステップ840では、自動運転ECU11は、自動変速機42のシフトダウンを抑制する。これにより、制御誤差が小さく、且つ、加速予定区間が継続する場合には、引き続き継続的に行われる加速に備えてシフトダウンが抑制される。
ステップ850では、自動運転ECU11は、減速予定区間が継続するか否かを判定する。減速予定区間とは、上述の如く生成された目標走行速度パターンのうちの減速が実行されるべき区間であり、燃料カット走行パターンを含む。減速予定区間が継続する場合には、ステップ860に進み、それ以外の場合には、以後何ら処理が実行されることなく、今回周期の処理ルーチンが終了される。
ステップ860では、自動運転ECU11は、自動変速機42のシフトアップを抑制する。これにより、制御誤差が小さく、且つ、減速予定区間が継続する場合には、引き続き継続的に行われる減速に備えてシフトダウンが抑制される。
以上説明した自動運転制御処理によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が得られる。
上述の如く、目標走行速度パターンに対して生ずる制御誤差に対して、その時点の自車及び周囲の状況だけでなく、当該目標走行速度パターンの生成意図(加速中の調整であるのか、加速終了なのか等)をも考慮して、エンジン20による加速態様、摩擦ブレーキ等による減速態様、自動変速機42のシフトチェンジ態様を調整し、制御誤差量を目標走行速度パターンの生成に反映させて燃料カット中断を防止することにより、自動変速機42を備えた車両に対して最適燃費での自動運転制御が可能となる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述した実施例1において、バッテリ28の充電の受け入れ態様に応じて、回生走行パターンにおける強回生走行パターンの区間の長さを調整してもよい。例えば、バッテリ28の充電の受け入れ能力が高い場合には、強回生走行パターンの区間の長さを長くし、バッテリ28の充電の受け入れ能力が低い場合には、強回生走行パターンの区間の長さを短くすることとしてもよい。
また、上述した実施例1において、モータ30に代えて、モータジェネレータを用いることも可能である。
また、上述した実施例1において、要減速地点Aで実現すべき車速がゼロの場合、回生不可区間の一部又は全部において、摩擦ブレーキを利用してもよい。同様に、上述した実施例2において、要減速地点Aで実現すべき車速がゼロの場合、クリープ加速発生区間の一部又は全部において、摩擦ブレーキを利用してもよい。また、最終的な停止状態を実現・維持するために、摩擦ブレーキを利用してもよい。