実施の形態1では、2つの円筒状のスリーブ導体を可変リアクタンス素子によって接続した例を説明し、実施の形態2では、2つの平板状のスリーブ導体を可変リアクタンス素子によって接続した例を説明している。実施の形態3では、2つのスリーブ導体を誘電体基板の裏面に形成した例を説明している。実施の形態4では、2つのスリーブ導体をそれぞれ誘電体基板の表面と裏面に形成した例を説明している。
また、実施の形態5では、円筒状のスリーブ導体と同軸線路の外導体とを可変リアクタンス素子によって接続した例を説明し、実施の形態6では、平板状のスリーブ導体と同軸線路の外導体とを可変リアクタンス素子によって接続した例を説明している。実施の形態7では、スリーブ導体を誘電体基板上に形成し、スリーブ導体とマイクロストリップ線路のグランド導体とを可変リアクタンス素子によって接続した例を説明している。実施の形態8では、スリーブ導体を誘電体基板上に形成し、スリーブ導体とマイクロストリップ線路のグランド導体とを可変容量ダイオードによって接続した場合に、可変容量ダイオードの逆バイアス電圧の制御方法の例を説明している。さらに、実施の形態9では、誘電体基板を2つの円筒状スリーブ導体で覆った場合について、実施の形態10では、誘電体基板を1つの円筒状スリーブ導体で覆った場合についてそれぞれ説明している。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置について図1を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1において、この実施の形態1に係るアンテナ装置(スリーブアンテナ)は、内導体と外導体2から構成される同軸線路1と、同軸線路1の先端で同軸線路1の内導体と接続され、約4分の1波長の長さの線状の導体3と、同軸線路1の外導体2を覆う円筒状の第1のスリーブ導体6と、同軸線路1の外導体2と第1のスリーブ導体6を接続する刀の鍔状の接続導体5と、同軸線路1の外導体2を覆う円筒状の第2のスリーブ導体8と、第1のスリーブ導体6と第2のスリーブ導体8を接続する可変リアクタンス素子7とが設けられている。
なお、第1のスリーブ導体6と、第2のスリーブ導体8と、同軸線路1の外導体2は、同軸線路9を構成している。また、線状の導体3と、第1のスリーブ導体6と、第2のスリーブ導体8が、放射素子として機能する。
つぎに、この実施の形態1に係るアンテナ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図1において、線状の導体3は、同軸線路1により給電される。この際、同軸線路1の外導体2の内側を流れてきた電流は、図1のCC′においてその電流の一部が第1のスリーブ導体6に漏れ出す。
ここで、第1のスリーブ導体6と第2のスリーブ導体8は、同軸線路1の外導体2と同軸線路9を構成している。可変リアクタンス素子7を適当な値にすることにより、図1のAA′から上を見た同軸線路9のインピーダンスを無限大とすれば、図1のAA′より下側において同軸線路1の外導体2の外側を流れる漏れ電流を阻止することができる。
以上のように、可変リアクタンス素子7の値を調節することにより、図1のAA′より下側において同軸線路1の外導体2の外側を流れる漏れ電流を阻止することができる。また、可変リアクタンス素子7の値を変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
ここで、可変リアクタンス素子7が可変容量素子である場合に、図1のAA′から上を見た同軸線路9のインピーダンスを無限大とするための可変容量素子7の値を求める。簡単のため、同軸線路9において損失はないとする。同軸線路9の特性インピーダンスをZ0[Ω]、波数をβ[1/m]、第1のスリーブ導体6の長さをL1[m]、可変容量素子7の値をC1[F]、角周波数をωとすると、図1のBB′から上を見た同軸線路9のインピーダンスZB[Ω]は、次のようになる。
さらに、図1のAA′から上を見た同軸線路9のインピーダンスZA[Ω]は、第2のスリーブ導体8の長さをL2[m]とすると、次のようになる。
式(2)より、図1のAA′から上を見た同軸線路9のインピーダンスZAが無限大となる可変容量素子7の値C1を求める。式(2)の分母を0とすると、次の式が得られる。
上記式(3)により、所望の周波数において、図1のAA′から上を見た同軸線路9のインピーダンスが無限大となる可変容量素子7の値C1を求めることができる。すなわち、可変容量素子7の値C1を、式(3)に基づいて変化させることにより、アンテナ装置の漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
また、可変容量素子7の値を小さくした場合には、電流を阻止する周波数が高くなるが、同時にアンテナの共振周波数も高くなる。反対に、可変容量素子7の値を大きくした場合には、電流を阻止する周波数が低くなるが、同時にアンテナの共振周波数も低くなる。したがって、使用する周波数に応じて可変容量素子7の値を適切に変化させることで、漏れ電流を阻止し、かつアンテナの入力インピーダンスを使用する周波数において常に共振状態に保つことができる。このように、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できる利点を有する。
さらに、第1のスリーブ導体6と第2のスリーブ導体8を合わせた長さが、4分の1波長に近い時には、線状の導体3を流れる電流と、第1、第2のスリーブ導体6、8の外側を流れる電流は、半波長ダイポールアンテナと同じ電流分布をつくり、本アンテナ装置の放射パターンは半波長ダイポールアンテナの放射パターンと同じになる。
以上のように、2つのスリーブ導体6、8の間に入れた可変容量素子7の値を変化させて、漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させると同時に、連動してアンテナの共振周波数を変化させることにより、所望の周波数帯域内において良好な反射特性となるスリーブアンテナ装置を実現できる。本スリーブアンテナ装置を用いれば、スリーブ導体6、8と同軸線路1の外導体2との間の距離を大きくすることなく、漏れ電流を阻止する周波数帯域を可変容量素子7の調節により変化させることによって、スリーブアンテナを広い周波数帯域にわたって動作させることができる。すなわち、広い周波数帯域にわたって動作し、小型・軽量で、所望の周波数帯域内において良好な反射特性を有するスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置について図2から図5までを参照しながら説明する。図2は、この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
図2において、この実施の形態2に係るアンテナ装置(スリーブアンテナ)は、内導体と外導体2から構成される同軸線路1と、同軸線路1の先端で同軸線路1の内導体と接続され、約4分の1波長の長さの線状の導体3と、同軸線路1の外導体2に平行に接続されている一定の幅を持った細長いグランド導体10と、グランド導体10に平行に設置された短冊状の第1のスリーブ導体12と、グランド導体10に平行に設置された短冊状の第2のスリーブ導体13と、グランド導体10と第1のスリーブ導体12を接続する接続導体11と、第1のスリーブ導体12と第2のスリーブ導体13を接続する可変リアクタンス素子7とが設けられている。
なお、第1のスリーブ導体12と、第2のスリーブ導体13と、グランド導体10は、コプレーナ・ストリップ線路14を構成している。
グランド導体10、接続導体11、第1のスリーブ導体12、第2のスリーブ導体13は、平面導体で構成されている。したがって、本アンテナ装置は平板状で作りやすいという利点を有している。また、接続導体11、第1のスリーブ導体12、可変リアクタンス素子7、第2のスリーブ導体13は、グランド導体10の両側に1つずつ設置されている。2個の可変リアクタンス素子7のリアクタンス値は常に互いに同じ値とする。
つぎに、この実施の形態2に係るアンテナ装置の動作について図面を参照しながら説明する。図3は、この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の漏れ電流−周波数特性を示す図である。また、図4は、この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の入力インピーダンスの測定結果を示すスミスチャートである。また、図5は、図4の一部を拡大したスミスチャートである。
図2において、線状の導体3は、同軸線路1により給電される。この際、同軸線路1の外導体2の内側を流れてきた電流は、図2のCC′においてその電流の一部が第1のスリーブ導体12に漏れ出す。
ここで、第1のスリーブ導体12と第2のスリーブ導体13は、グランド導体10とコプレーナ・ストリップ線路14を構成している。第1、第2のスリーブ導体12、13は、グランド導体10の両側に1つずつあるから、本アンテナ装置ではコプレーナ・ストリップ線路14は2つあることになる。2個の可変リアクタンス素子7の値を同時に適当な値にすることにより、図2のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路14のインピーダンスを無限大とすれば、図2のAA′より下側において同軸線路1の外導体2の外側とグランド導体10を流れる漏れ電流を阻止することができる。
以上のように、2個の可変リアクタンス素子7の値を同時に調節することにより、図2のAA′より下側において同軸線路1の外導体2の外側とグランド導体10を流れる漏れ電流を阻止することができる。また、2個の可変リアクタンス素子7の値を同時に変化させることにより、本スリーブアンテナ装置の漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
ここで、可変リアクタンス素子7が可変容量素子である場合を考える。図2のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路14のインピーダンスを無限大とするための可変容量素子7の値は、コプレーナ・ストリップ線路14の特性インピーダンスをZ0[Ω]、波数をβ[1/m]として、上記に示した式(3)と同じ式により得られる。すなわち、2個の可変容量素子7の値C1を、式(3)に基づいて同時に変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
さらに、第1のスリーブ導体12と第2のスリーブ導体13を合わせた長さが、4分の1波長に近い時には、線状の導体3を流れる電流と、第1、第2のスリーブ導体12、13を流れる電流は、半波長ダイポールアンテナと同じ電流分布をつくり、本アンテナ装置の放射パターンは半波長ダイポールアンテナの放射パターンと同じになる。
また、可変容量素子7の値を小さくした場合には、電流を阻止する周波数が高くなるが、同時にアンテナの共振周波数も高くなる。反対に、可変容量素子7の値を大きくした場合には、電流を阻止する周波数が低くなるが、同時にアンテナの共振周波数も低くなる。したがって、使用する周波数に応じて可変容量素子7の値を適切に変化させることで、漏れ電流を阻止し、かつアンテナの入力インピーダンスを使用する周波数において常に共振状態に保つことができる。このように、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できる利点を有する。
例えば、所望の周波数帯域の中心周波数の波長をλcとし、第1のスリーブ導体12の長さを約0.17λc、第2のスリーブ導体13の長さを約0.18λc、グランド導体10、第1のスリーブ導体12、第2のスリーブ導体13の幅を約0.017λcとし、第1、第2のスリーブ導体12、13とグランド導体10との間の距離を約0.008λcとする。また、線状の導体3を長さ約0.25λc、幅約0.066λcの平面導体とする。
この時、図2のAA′付近においてグランド導体10と同軸線路1の外導体2の外側を流れる漏れ電流の計算値を図3に示す。図3において、縦軸の漏れ電流値Iは給電点の電流で規格化したものであり、横軸の周波数fcは所望の周波数帯域の中心周波数である。それぞれ2つの○、△、×印は、各特性の周波数域を示し、△印の左から1番目と○印の左から2番目は同じ周波数で実際は重なるのであるが、見にくくなるので各特性から少し離れた位置に描いている。×印の左から1番目と△印の左から2番目も同様である。また、Bはサセプタンスであり、B=−ωC1である。図3から、可変容量素子7の容量値として3種類を用いることにより、所望の周波数帯域において、漏れ電流を−10dB以下に阻止できることが分かる。ここでは、所望の帯域の比帯域は48.4%である。
また、アンテナの入力インピーダンスの測定結果を図4及び図5のスミスチャート上に示す。図5は、図2において同軸線路1のCC′から見た反射特性の測定結果であり、中心は75Ωである。また、図5の○、△、×印は、図3で○、△、×印で示した周波数域に対応している。すなわち、図5は、サセプタンスB=−0.0155[S]の時は図3において○印で示した周波数域内のみのインピーダンス軌跡を実線で、サセプタンスB=−0.0052[S]の時は図3において△印で示した周波数域内のみのインピーダンス軌跡を点線で、サセプタンスB=−0.0022[S]の時は図3において×印で示した周波数域内のみのインピーダンス軌跡を一点鎖線で示している。
図5から、可変容量素子7の値を変化させても、アンテナの入力インピーダンスを、漏れ電流を阻止する周波数域内において常に共振状態に保つことができ、インピーダンス整合を実現できることが分かる。以上より、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できることを確認できる。
以上のように、スリーブ導体12、13を平板状にした場合において、スリーブ導体12、13の間に入れた可変容量素子7の値を変化させて、漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させると同時に、連動してアンテナの共振周波数を変化させることにより、所望の周波数帯域内において良好な反射特性となるスリーブアンテナ装置を実現できる。本スリーブアンテナ装置を用いれば、スリーブ導体12、13とグランド導体10との間の距離を大きくすることなく、漏れ電流を阻止する周波数帯域を可変容量素子7の調節により変化させることによって、スリーブアンテナを広い周波数帯域にわたって動作させることができる。すなわち、広い周波数帯域にわたって動作し、小型・軽量で、所望の周波数帯域内において良好な反射特性を有するスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。また、スリーブ導体12、13を平面導体により構成しているので、作りやすいスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置について図6を参照しながら説明する。図6は、この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の構成を示す図である。同図において、(a)は表面、(b)は裏面を表す。
この実施の形態3では、スリーブアンテナを誘電体基板上に作成し、マイクロストリップ線路により給電するものである。
図6において、この実施の形態3に係るアンテナ装置は、誘電体基板15の表面には、マイクロストリップ線路のストリップ導体16と、約4分の1波長の長さの導体3とが形成されている。
また、誘電体基板15の裏面には、マイクロストリップ線路のグランド導体17と、グランド導体17に平行に形成された第1のスリーブ導体12と、グランド導体17に平行に形成された第2のスリーブ導体13と、グランド導体17と第1のスリーブ導体12を接続する接続導体11と、第1のスリーブ導体12と第2のスリーブ導体13を接続する可変リアクタンス素子7とが形成されている。
なお、第1のスリーブ導体12と、第2のスリーブ導体13と、マイクロストリップ線路のグランド導体17は、コプレーナ・ストリップ線路18を構成している。
マイクロストリップ線路のグランド導体17は、一定の幅を持った細長い平面導体であり、ストリップ導体16は、グランド導体17より細い一定の幅を持った細長い平面導体である。本アンテナ装置は、誘電体基板15上に形成されているので、両面銅箔基板のエッチングにより作成可能であり、作りやすいという利点がある。また、接続導体11、第1のスリーブ導体12、可変リアクタンス素子7、第2のスリーブ導体13は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつ設置されている。2個の可変リアクタンス素子7のリアクタンス値は常に互いに同じ値とする。
つぎに、この実施の形態3に係るアンテナ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図6において、導体3は、マイクロストリップ線路により給電される。この際、マイクロストリップ線路のグランド導体17の裏面側(図6上でグランド導体17の見えている側を表面側、見えていない側を裏面側と称する。)を流れてきた電流は、図6のCC′においてその電流の一部が、第1のスリーブ導体12に漏れ出す。
ここで、第1のスリーブ導体12と第2のスリーブ導体13は、マイクロストリップ線路のグランド導体17とコプレーナ・ストリップ線路18を構成している。第1、第2のスリーブ導体12、13は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつあるから、本アンテナ装置ではコプレーナ・ストリップ線路18は2つあることになる。2個の可変リアクタンス素子7の値を同時に適当な値にすることにより、図6のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路18のインピーダンスを無限大とすれば、図6のAA′より下側においてマイクロストリップ線路のグランド導体17の表面側を流れる漏れ電流を阻止することができる。
以上のように、2個の可変リアクタンス素子7の値を同時に調節することにより、図6のAA′より下側においてマイクロストリップ線路のグランド導体17の表面側を流れる漏れ電流を阻止することができる。また、2個の可変リアクタンス素子7の値を同時に変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
ここで、可変リアクタンス素子7が可変容量素子である場合を考える。図6のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路18のインピーダンスを無限大とするための可変容量素子7の値は、コプレーナ・ストリップ線路18の特性インピーダンスをZ0[Ω]、波数をβ[1/m]として、上記に示した式(3)と同じ式により得られる。すなわち、2個の可変容量素子7の値C1を、式(3)に基づいて同時に変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
さらに、第1のスリーブ導体12と第2のスリーブ導体13を合わせた長さが、4分の1波長に近い時には、導体3を流れる電流と、第1、第2のスリーブ導体12、13を流れる電流は、半波長ダイポールアンテナと同じ電流分布をつくり、本アンテナ装置の放射パターンは半波長ダイポールアンテナの放射パターンと同じになる。
また、可変容量素子7の値を小さくした場合には、電流を阻止する周波数が高くなるが、同時にアンテナの共振周波数も高くなる。反対に、可変容量素子7の値を大きくした場合には、電流を阻止する周波数が低くなるが、同時にアンテナの共振周波数も低くなる。したがって、使用する周波数に応じて可変容量素子7の値を適切に変化させることで、漏れ電流を阻止し、かつアンテナの入力インピーダンスを使用する周波数において常に共振状態に保つことができる。このように、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できる利点を有する。
以上のように、アンテナを誘電体基板15上に形成しマイクロストリップ線路により給電した場合において、スリーブ導体12、13の間に入れた可変容量素子7の値を変化させて、漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させると同時に、連動してアンテナの共振周波数を変化させることにより、所望の周波数帯域内において良好な反射特性となるスリーブアンテナ装置を実現できる。本スリーブアンテナ装置を用いれば、スリーブ導体12、13とマイクロストリップ線路のグランド導体17との間の距離を大きくすることなく、漏れ電流を阻止する周波数帯域を可変容量素子7の調節により変化させることによって、スリーブアンテナを広い周波数帯域にわたって動作させることができる。すなわち、広い周波数帯域にわたって動作し、小型・軽量で、所望の周波数帯域内において良好な反射特性を有するスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。また、アンテナを誘電体基板上に形成しているので、作りやすいスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置について図7を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の構成を示す図である。同図において、(a)は表面、(b)は裏面を表す。
この実施の形態4では、可変リアクタンス素子7を可変容量ダイオードとしたものである。
図7において、この実施の形態4に係るアンテナ装置は、誘電体基板15の表面には、マイクロストリップ線路のストリップ導体16と、約4分の1波長の長さの導体3と、ストリップ導体16に平行に形成された第2のスリーブ導体13と、ランド導体19と、スルーホール20と、可変容量ダイオードの電圧制御線(線状導体)21と、高周波成分遮断用の抵抗(抵抗器)22と、ランド導体19と第2のスリーブ導体13を接続する可変容量ダイオード7とが形成されている。
また、誘電体基板15の裏面には、マイクロストリップ線路のグランド導体17と、グランド導体17に平行に形成された第1のスリーブ導体12と、グランド導体17と第1のスリーブ導体12を接続する接続導体11と、スルーホール20とが形成されている。
なお、第1のスリーブ導体12と、第2のスリーブ導体13と、マイクロストリップ線路のグランド導体17は、コプレーナ・ストリップ線路18を構成している。
ランド導体19は、第1のスリーブ導体12とスルーホール20を介して接続されている。また、第2のスリーブ導体13は、ランド導体19と可変容量ダイオード7を介して接続されている。
可変容量ダイオード7は、印加される逆バイアス電圧に応じて容量値が変化するダイオードである。逆バイアス電圧は、直流電圧である。ここでは、逆バイアス電圧はマイクロストリップ線路の高周波成分に重畳されている。したがって、本アンテナ装置には、マイクロストリップ線路とは別に逆バイアス電圧制御線を用意する必要がないという利点がある。マイクロストリップ線路に重畳されている直流電圧を可変容量ダイオード7に印加するために、電圧制御線21が設置されている。電圧制御線21に高周波成分が流れないようにするために、電圧制御線21とマイクロストリップ線路のストリップ導体16との間と、電圧制御線21と第2のスリーブ導体13との間に、大きな抵抗22が挿入されている。抵抗22は、可変容量ダイオード7の直流抵抗よりは十分に小さい。また、電圧制御線21は、第1のスリーブ導体12の裏側にあるため、本装置のアンテナ特性にはほとんど影響を及ぼさない。
接続導体11、第1のスリーブ導体12、スルーホール20、ランド導体19、可変容量ダイオード7、第2のスリーブ導体13、電圧制御線21は、マイクロストリップ線路の両側に1つずつ設置されている。2個の可変容量ダイオード7の容量値は常に互いに同じ値とする。
つぎに、この実施の形態4に係るアンテナ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図7において、導体3は、マイクロストリップ線路により給電される。この際、マイクロストリップ線路のグランド導体17の裏面側(図7上でグランド導体17の見えている側を表面側、見えていない側を裏面側と称する。)を流れてきた電流は、図7のCC′においてその電流の一部が、第1のスリーブ導体12に漏れ出す。
ここで、第1のスリーブ導体12と第2のスリーブ導体13は、マイクロストリップ線路のグランド導体17とコプレーナ・ストリップ線路18を構成している。第1、第2のスリーブ導体12、13は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつあるから、本アンテナ装置ではコプレーナ・ストリップ線路18は2つあることになる。2個の可変容量ダイオード7の逆バイアス電圧を同時に適当な値にして容量値を調節することにより、図7のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路18のインピーダンスを無限大とすれば、図7のAA′より下側においてマイクロストリップ線路のグランド導体17の表面側を流れる漏れ電流を阻止することができる。
以上のように、2個の可変容量ダイオード7の逆バイアス電圧を同時に調節することにより、図7のAA′より下側においてマイクロストリップ線路のグランド導体17の表面側を流れる漏れ電流を阻止することができる。また、2個の可変容量ダイオード7の値を同時に変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
また、可変容量素子7の値を小さくした場合には、電流を阻止する周波数が高くなるが、同時にアンテナの共振周波数も高くなる。反対に、可変容量素子7の値を大きくした場合には、電流を阻止する周波数が低くなるが、同時にアンテナの共振周波数も低くなる。したがって、使用する周波数に応じて可変容量素子7の値を適切に変化させることで、漏れ電流を阻止し、かつアンテナの入力インピーダンスを使用する周波数において常に共振状態に保つことができる。このように、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できる利点を有する。
さらに、第1のスリーブ導体12と第2のスリーブ導体13を合わせた長さが、4分の1波長に近い時には、導体3を流れる電流と、第1、第2のスリーブ導体12、13を流れる電流は、半波長ダイポールアンテナと同じ電流分布をつくり、本アンテナ装置の放射パターンは半波長ダイポールアンテナの放射パターンと同じになる。
なお、抵抗22は、インダクタでも良い。また、スルーホール20は、ショートピンでも良い。
以上のように、本実施の形態4では、可変リアクタンス素子7を可変容量ダイオードとした場合に、可変容量ダイオードの逆バイアス電圧制御の方法の一例を示した。すなわち、本アンテナ装置を用いれば、マイクロストリップ線路に逆バイアス電圧を重畳しているので、別に逆バイアス電圧制御線を用意する必要がなく、構成が簡単になるという効果を有する。また、2つのスリーブ導体12、13の間に入れた可変容量ダイオード7の逆バイアス電圧値を変化させて、漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させると同時に、連動してアンテナの共振周波数を変化させることにより、所望の周波数帯域内において良好な反射特性となるスリーブアンテナ装置を実現できる。本スリーブアンテナ装置を用いれば、スリーブ導体12、13とマイクロストリップ線路のグランド導体17との間の距離を大きくすることなく、漏れ電流を阻止する周波数帯域を可変容量ダイオード7の逆バイアス電圧の調節により変化させることによって、スリーブアンテナを広い周波数帯域にわたって動作させることができる。すなわち、広い周波数帯域にわたって動作し、小型・軽量で、所望の周波数帯域内において良好な反射特性を有するスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置について図8を参照しながら説明する。図8は、この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
図8において、この実施の形態5に係るアンテナ装置(スリーブアンテナ)は、内導体と外導体2から構成される同軸線路1と、同軸線路1の先端で同軸線路1の内導体と接続され、約4分の1波長の長さの線状の導体3と、同軸線路1の外導体2を覆う円筒状のスリーブ導体23と、同軸線路1の外導体2とスリーブ導体23を接続する刀の鍔状の接続導体5と、スリーブ導体23と同軸線路1の外導体2を接続する可変リアクタンス素子25とが設けられている。
なお、スリーブ導体23と、同軸線路1の外導体2は、同軸線路24を構成している。また、線状の導体3と、スリーブ導体23が、放射素子として機能する。
つぎに、この実施の形態5に係るアンテナ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図8において、線状の導体3は、同軸線路1により給電される。この際、同軸線路1の外導体2の内側を流れてきた電流は、図8のCC′においてその電流の一部がスリーブ導体23に漏れ出す。
ここで、スリーブ導体23は、同軸線路1の外導体2と同軸線路24を構成している。可変リアクタンス素子25を適当なリアクタンス値にすることにより、図8のAA′から上を見た同軸線路24のインピーダンスを無限大とすれば、図8のAA′より下側において同軸線路1の外導体2の外側を流れる漏れ電流を阻止することができる。
以上のように、可変リアクタンス素子25のリアクタンス値を調節することにより、図8のAA′より下側において同軸線路1の外導体2の外側を流れる漏れ電流を阻止することができる。また、可変リアクタンス素子25のリアクタンス値を変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
ここで、可変リアクタンス素子25が可変容量素子である場合に、図8のAA′から上を見た同軸線路24のインピーダンスを無限大とするための可変容量素子25のキャパシタンスを求める。簡単のため、同軸線路24において損失はないとする。また、スリーブ導体23において、図8のCC′からBB′までの長さをL1′[m]、BB′からAA′までの長さをL2′[m]とする。さらに、同軸線路24の特性インピーダンスをZ0′[Ω]、波数をβ′[1/m]、可変容量素子25のキャパシタンスをC2[F]、角周波数をωとすると、図8のAA′から上を見た同軸線路24のインピーダンスZA′[Ω]は、次のようになる。
式(4)より、図8のAA′から上を見た同軸線路24のインピーダンスZAが無限大となる可変容量素子25のキャパシタンスC2を求める。式(4)の分母を0とすると、次の式が得られる。
上記式(5)により、所望の周波数において、図8のAA′から上を見た同軸線路24のインピーダンスが無限大となる可変容量素子25のキャパシタンスC2を求めることができる。すなわち、可変容量素子25のキャパシタンスC2を、式(5)に基づいて変化させることにより、アンテナ装置の漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
また、可変容量素子25のキャパシタンスを小さくした場合には、電流を阻止する周波数が高くなるが、同時にアンテナの共振周波数も高くなる。反対に、可変容量素子25のキャパシタンスを大きくした場合には、電流を阻止する周波数が低くなるが、同時にアンテナの共振周波数も低くなる。したがって、使用する周波数に応じて可変容量素子25のキャパシタンスを適切に変化させることで、漏れ電流を阻止し、かつアンテナの入力インピーダンスを使用する周波数において常に共振状態に保つことができる。このように、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できる利点を有する。
さらに、スリーブ導体23の長さが4分の1波長に近い時には、線状の導体3を流れる電流と、スリーブ導体23の外側を流れる電流は、半波長ダイポールアンテナと同じ電流分布をつくり、本アンテナ装置の放射パターンは半波長ダイポールアンテナの放射パターンと同じになる。
以上のように、スリーブ導体23と同軸線路1の外導体2との間に入れた可変容量素子25のキャパシタンスを変化させて、漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させると同時に、連動してアンテナの共振周波数を変化させることにより、所望の周波数帯域内において良好な反射特性となるスリーブアンテナ装置を実現できる。本スリーブアンテナ装置を用いれば、スリーブ導体23と同軸線路1の外導体2との間の距離を大きくすることなく、漏れ電流を阻止する周波数帯域を可変容量素子25の調節により変化させることによって、スリーブアンテナを広い周波数帯域にわたって動作させることができる。すなわち、広い周波数帯域にわたって動作し、小型・軽量で、所望の周波数帯域内において良好な反射特性を有するスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置について図9を参照しながら説明する。図9は、この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
図9において、この実施の形態6に係るアンテナ装置(スリーブアンテナ)は、内導体と外導体2から構成される同軸線路1と、同軸線路1の先端で同軸線路1の内導体と接続され、約4分の1波長の長さの線状の導体3と、同軸線路1の外導体2に平行に接続されている一定の幅を持った細長いグランド導体10と、グランド導体10に平行に設置された短冊状のスリーブ導体26と、グランド導体10とスリーブ導体26を接続する接続導体11と、スリーブ導体26とグランド導体10を接続する可変リアクタンス素子25とが設けられている。
なお、スリーブ導体26と、グランド導体10は、コプレーナ・ストリップ線路27を構成している。
グランド導体10、接続導体11、スリーブ導体26は、平面導体で構成されている。したがって、本アンテナ装置は平板状で作りやすいという利点を有している。また、接続導体11、スリーブ導体26、可変リアクタンス素子25は、グランド導体10の両側に1つずつ設置されている。2個の可変リアクタンス素子25のリアクタンス値は常に互いに同じ値とする。
つぎに、この実施の形態6に係るアンテナ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図9において、線状の導体3は、同軸線路1により給電される。この際、同軸線路1の外導体2の内側を流れてきた電流は、図9のCC′においてその電流の一部がスリーブ導体26に漏れ出す。
ここで、スリーブ導体26は、グランド導体10とコプレーナ・ストリップ線路27を構成している。スリーブ導体26は、グランド導体10の両側に1つずつあるから、本アンテナ装置ではコプレーナ・ストリップ線路27は2つあることになる。2個の可変リアクタンス素子25のリアクタンス値を同時に適当な値にすることにより、図9のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路27のインピーダンスを無限大とすれば、図9のAA′より下側において同軸線路1の外導体2の外側とグランド導体10を流れる漏れ電流を阻止することができる。
以上のように、2個の可変リアクタンス素子25のリアクタンス値を同時に調節することにより、図9のAA′より下側において同軸線路1の外導体2の外側とグランド導体10を流れる漏れ電流を阻止することができる。また、2個の可変リアクタンス素子25のリアクタンス値を同時に変化させることにより、本スリーブアンテナ装置の漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
ここで、可変リアクタンス素子25が可変容量素子である場合を考える。スリーブ導体26において、図9のCC′からBB′までの長さをL1′[m]、BB′からAA′までの長さをL2′[m]とする。図9のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路27のインピーダンスを無限大とするための可変容量素子25のキャパシタンスは、コプレーナ・ストリップ線路27の特性インピーダンスをZ0′[Ω]、波数をβ′[1/m]として、上記に示した式(5)と同じ式により得られる。すなわち、2個の可変容量素子7のキャパシタンスC2を、式(5)に基づいて同時に変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
さらに、スリーブ導体26の長さが4分の1波長に近い時には、線状の導体3を流れる電流と、スリーブ導体26を流れる電流は、半波長ダイポールアンテナと同じ電流分布をつくり、本アンテナ装置の放射パターンは半波長ダイポールアンテナの放射パターンと同じになる。
また、可変容量素子25のキャパシタンスを小さくした場合には、電流を阻止する周波数が高くなるが、同時にアンテナの共振周波数も高くなる。反対に、可変容量素子25のキャパシタンスを大きくした場合には、電流を阻止する周波数が低くなるが、同時にアンテナの共振周波数も低くなる。したがって、使用する周波数に応じて可変容量素子25のキャパシタンスを適切に変化させることで、漏れ電流を阻止し、かつアンテナの入力インピーダンスを使用する周波数において常に共振状態に保つことができる。このように、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できる利点を有する。
以上のように、スリーブ導体26を平板状にした場合において、スリーブ導体26とグランド導体10との間に入れた可変容量素子25のキャパシタンスを変化させて、漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させると同時に、連動してアンテナの共振周波数を変化させることにより、所望の周波数帯域内において良好な反射特性となるスリーブアンテナ装置を実現できる。本スリーブアンテナ装置を用いれば、スリーブ導体26とグランド導体10との間の距離を大きくすることなく、漏れ電流を阻止する周波数帯域を可変容量素子25の調節により変化させることによって、スリーブアンテナを広い周波数帯域にわたって動作させることができる。すなわち、広い周波数帯域にわたって動作し、小型・軽量で、所望の周波数帯域内において良好な反射特性を有するスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。また、スリーブ導体26を平面導体により構成しているので、作りやすいスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置について図10を参照しながら説明する。図10は、この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の構成を示す図である。同図において、(a)は表面、(b)は裏面を表す。
この実施の形態7では、スリーブアンテナを誘電体基板上に作成し、マイクロストリップ線路により給電するものである。
図10において、この実施の形態7に係るアンテナ装置は、誘電体基板15の表面には、マイクロストリップ線路のストリップ導体16と、約4分の1波長の長さの導体3とが形成されている。
また、誘電体基板15の裏面には、マイクロストリップ線路のグランド導体17と、グランド導体17に平行に形成されたスリーブ導体26と、マイクロストリップ線路のグランド導体17とスリーブ導体26を接続する接続導体11と、スリーブ導体26とマイクロストリップ線路のグランド導体17を接続する可変リアクタンス素子25とが形成されている。
なお、スリーブ導体26と、マイクロストリップ線路のグランド導体17は、コプレーナ・ストリップ線路27を構成している。
マイクロストリップ線路のグランド導体17は、一定の幅を持った細長い平面導体であり、ストリップ導体16は、グランド導体17より細い一定の幅を持った細長い平面導体である。本アンテナ装置は、誘電体基板15上に形成されているので、両面銅箔基板のエッチングにより作成可能であり、作りやすいという利点がある。また、接続導体11、スリーブ導体26、可変リアクタンス素子25は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつ設置されている。2個の可変リアクタンス素子25のリアクタンス値は常に互いに同じ値とする。
つぎに、この実施の形態7に係るアンテナ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図10において、導体3は、マイクロストリップ線路により給電される。この際、マイクロストリップ線路のグランド導体17の裏面側(図10(b)上でグランド導体17の見えている側を表面側、見えていない側を裏面側と称する。)を流れてきた電流は、図10のCC′においてその電流の一部が、スリーブ導体26に漏れ出す。
ここで、スリーブ導体26は、マイクロストリップ線路のグランド導体17とコプレーナ・ストリップ線路27を構成している。スリーブ導体26は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつあるから、本アンテナ装置ではコプレーナ・ストリップ線路27は2つあることになる。2個の可変リアクタンス素子25のリアクタンス値を同時に適当な値にすることにより、図10のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路27のインピーダンスを無限大とすれば、図10のAA′より下側においてマイクロストリップ線路のグランド導体17の表面側を流れる漏れ電流を阻止することができる。
以上のように、2個の可変リアクタンス素子25のリアクタンス値を同時に調節することにより、図10のAA′より下側においてマイクロストリップ線路のグランド導体17の表面側を流れる漏れ電流を阻止することができる。また、2個の可変リアクタンス素子25のリアクタンス値を同時に変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
ここで、可変リアクタンス素子25が可変容量素子である場合を考える。スリーブ導体26において、図10のCC′からBB′までの長さをL1′[m]、BB′からAA′までの長さをL2′[m]とする。図10のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路27のインピーダンスを無限大とするための可変容量素子25のキャパシタンスは、コプレーナ・ストリップ線路27の特性インピーダンスをZ0′[Ω]、波数をβ′[1/m]として、上記に示した式(5)と同じ式により得られる。すなわち、2個の可変容量素子25のキャパシタンスC2を、式(5)に基づいて同時に変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
さらに、スリーブ導体26の長さが4分の1波長に近い時には、導体3を流れる電流と、スリーブ導体26を流れる電流は、半波長ダイポールアンテナと同じ電流分布をつくり、本アンテナ装置の放射パターンは半波長ダイポールアンテナの放射パターンと同じになる。
また、可変容量素子25のキャパシタンスを小さくした場合には、電流を阻止する周波数が高くなるが、同時にアンテナの共振周波数も高くなる。反対に、可変容量素子25のキャパシタンスを大きくした場合には、電流を阻止する周波数が低くなるが、同時にアンテナの共振周波数も低くなる。したがって、使用する周波数に応じて可変容量素子25のキャパ心タスを適切に変化させることで、漏れ電流を阻止し、かつアンテナの入力インピーダンスを使用する周波数において常に共振状態に保つことができる。このように、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できる利点を有する。
以上のように、アンテナを誘電体基板15上に形成しマイクロストリップ線路により給電した場合において、スリーブ導体26とマイクロストリップ線路のグランド導体17との間に入れた可変容量素子25のキャパシタンスを変化させて、漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させると同時に、連動してアンテナの共振周波数を変化させることにより、所望の周波数帯域内において良好な反射特性となるスリーブアンテナ装置を実現できる。本スリーブアンテナ装置を用いれば、スリーブ導体26とマイクロストリップ線路のグランド導体17との間の距離を大きくすることなく、漏れ電流を阻止する周波数帯域を可変容量素子25の調節により変化させることによって、スリーブアンテナを広い周波数帯域にわたって動作させることができる。すなわち、広い周波数帯域にわたって動作し、小型・軽量で、所望の周波数帯域内において良好な反射特性を有するスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。また、アンテナを誘電体基板上に形成しているので、作りやすいスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係るアンテナ装置について図11を参照しながら説明する。図11は、この発明の実施の形態8に係るアンテナ装置の構成を示す図である。同図において、(a)は表面、(b)は裏面を表す。
この実施の形態8では、可変リアクタンス素子25を可変容量ダイオードとしている。
図11において、この実施の形態8に係るアンテナ装置は、誘電体基板15の表面には、マイクロストリップ線路のストリップ導体16と、約4分の1波長の長さの導体3と、ランド導体29と、ランド導体30と、ランド導体31と、スルーホール20と、高周波成分遮断用の抵抗(抵抗器)22と、ランド導体30とランド導体31を接続する可変容量ダイオード25と、ランド導体29とランド導体31を接続するキャパシタンス素子28と、可変容量ダイオード25の電圧制御線(線状導体)32とが形成されている。
また、誘電体基板15の裏面には、マイクロストリップ線路のグランド導体17と、グランド導体17に平行に形成されたスリーブ導体26と、マイクロストリップ線路のグランド導体17とスリーブ導体26を接続する接続導体11と、スルーホール20とが形成されている。
なお、スリーブ導体26と、マイクロストリップ線路のグランド導体17は、コプレーナ・ストリップ線路27を構成している。
ランド導体29は、スリーブ導体26とスルーホール20を介して接続されている。ランド導体30は、マイクロストリップ線路のグランド導体17とスルーホール20を介して接続されている。また、ランド導体31は、ランド導体29とキャパシタンス素子28を介して接続され、ランド導体30と可変容量ダイオード25を介して接続されている。キャパシタンス素子28は、ランド導体29とランド導体31の間に、直流成分を流さないが、高周波成分は流すようにするために設置されている。キャパシタンス素子28のキャパシタンスは、高周波成分で見れば、ほぼ導通していると見なせる程度に大きい。
可変容量ダイオード25は、印加される逆バイアス電圧に応じて容量値が変化するダイオードである。逆バイアス電圧は、直流電圧である。ここでは、逆バイアス電圧はマイクロストリップ線路の高周波成分に重畳されている。したがって、本アンテナ装置には、マイクロストリップ線路とは別に逆バイアス電圧制御線を用意する必要がないという利点がある。マイクロストリップ線路に重畳されている直流電圧を可変容量ダイオード25に印加するために、電圧制御線32が設置されている。電圧制御線32に高周波成分が流れないようにするために、電圧制御線32とマイクロストリップ線路のストリップ導体16との間と、電圧制御線32とランド導体31との間に、大きな抵抗22が挿入されている。抵抗22は、可変容量ダイオード25の直流抵抗よりは十分に小さい。また、電圧制御線32は、接続導体11とスリーブ導体26の裏側にあるため、本装置のアンテナ特性にはほとんど影響を及ぼさない。
接続導体11、スリーブ導体26、ランド導体29、ランド導体30、ランド導体31、可変容量ダイオード25、電圧制御線32、キャパシタンス素子28は、マイクロストリップ線路の両側に1つずつ設置されている。2個の可変容量ダイオード25のキャパシタンスは常に互いに同じ値とする。
つぎに、この実施の形態8に係るアンテナ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図11において、導体3は、マイクロストリップ線路により給電される。この際、マイクロストリップ線路のグランド導体17の裏面側(図11(b)上でグランド導体17の見えている側を表面側、見えていない側を裏面側と称する。)を流れてきた電流は、図11のCC′においてその電流の一部が、スリーブ導体26に漏れ出す。
ここで、スリーブ導体26は、マイクロストリップ線路のグランド導体17とコプレーナ・ストリップ線路27を構成している。スリーブ導体26は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつあるから、本アンテナ装置ではコプレーナ・ストリップ線路27は2つあることになる。2個の可変容量ダイオード25の逆バイアス電圧を同時に適当な値にして容量値を調節することにより、図11のAA′から上を見たコプレーナ・ストリップ線路27のインピーダンスを無限大とすれば、図11のAA′より下側においてマイクロストリップ線路のグランド導体17の表面側を流れる漏れ電流を阻止することができる。
以上のように、2個の可変容量ダイオード25の逆バイアス電圧を同時に調節することにより、図11のAA′より下側においてマイクロストリップ線路のグランド導体17の表面側を流れる漏れ電流を阻止することができる。また、2個の可変容量ダイオード25のキャパシタンスを同時に変化させることにより、スリーブアンテナの漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させることができる。
また、可変容量素子25のキャパシタンスを小さくした場合には、電流を阻止する周波数が高くなるが、同時にアンテナの共振周波数も高くなる。反対に、可変容量素子25のキャパシタンスを大きくした場合には、電流を阻止する周波数が低くなるが、同時にアンテナの共振周波数も低くなる。したがって、使用する周波数に応じて可変容量素子25のキャパシタンスを適切に変化させることで、漏れ電流を阻止し、かつアンテナの入力インピーダンスを使用する周波数において常に共振状態に保つことができる。このように、漏れ電流を阻止する動作と本アンテナ装置の入力インピーダンスは連動しており、使用する周波数が変化しても漏れ電流の阻止とインピーダンス整合が同時に実現できる利点を有する。
さらに、スリーブ導体26の長さが4分の1波長に近い時には、導体3を流れる電流と、スリーブ導体26を流れる電流は、半波長ダイポールアンテナと同じ電流分布をつくり、本アンテナ装置の放射パターンは半波長ダイポールアンテナの放射パターンと同じになる。
なお、抵抗22は、インダクタでも良い。また、スルーホール20は、ショートピンでも良い。
以上のように、本実施の形態8では、可変リアクタンス素子25を可変容量ダイオードとした場合に、可変容量ダイオードの逆バイアス電圧制御の方法の一例を示した。すなわち、本アンテナ装置を用いれば、マイクロストリップ線路に逆バイアス電圧を重畳しているので、別に逆バイアス電圧制御線を用意する必要がなく、構成が簡単になるという効果を有する。また、スリーブ導体26とマイクロストリップ線路のグランド導体17との間に入れた可変容量ダイオード25の逆バイアス電圧値を変化させて、漏れ電流を阻止する周波数帯域を変化させると同時に、連動してアンテナの共振周波数を変化させることにより、所望の周波数帯域内において良好な反射特性となるスリーブアンテナ装置を実現できる。本スリーブアンテナ装置を用いれば、スリーブ導体26とマイクロストリップ線路のグランド導体17との間の距離を大きくすることなく、漏れ電流を阻止する周波数帯域を可変容量ダイオード25の逆バイアス電圧の調節により変化させることによって、スリーブアンテナを広い周波数帯域にわたって動作させることができる。すなわち、広い周波数帯域にわたって動作し、小型・軽量で、所望の周波数帯域内において良好な反射特性を有するスリーブアンテナ装置を得ることができるという効果を有する。
実施の形態9.
本実施の形態9では、上記実施の形態4に係るアンテナ装置の誘電体基板15を2つの円筒状スリーブ導体で覆った場合の効果を明らかにする。図12は、この発明の実施の形態9に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。同図において、(a)は表面、(b)は裏面を表す。
図12において、本実施の形態9に係るアンテナ装置は、円筒状スリーブ導体33及び円筒状スリーブ導体34が誘電体基板15を覆っている。ここで、円筒状スリーブ導体33は、グランド導体17の両側の2つのスリーブ導体12と同じ長さであり、2つのスリーブ導体12を覆っており、かつスリーブ導体12と導通している。円筒状スリーブ導体34は、ストリップ導体16の両側の2つのスリーブ導体13と同じ長さであり、2つのスリーブ導体13を覆っており、かつスリーブ導体13と導通している。なお、グランド導体17の両側の2つのスリーブ導体12は同じ長さであり、ストリップ導体16の両側の2つのスリーブ導体13は同じ長さである。
また、スリーブ導体12及びスリーブ導体13は細長い短冊状導体であり、誘電体基板15の端辺に沿って設置されている。
ここで、図1に示した円筒状スリーブアンテナと図7に示した板状スリーブアンテナを比較する。円筒状スリーブアンテナの直径と板状スリーブアンテナの横幅を同じとすると、給電線に流れる漏れ電流を阻止する周波数帯域は、円筒状スリーブアンテナの方が広い。したがって、円筒状スリーブアンテナは、板状スリーブアンテナに比べてアンテナを小型化することができる。しかし、一般に、円筒状スリーブアンテナは板状スリーブアンテナに比べて作りにくいという問題がある。
本実施の形態9に係るアンテナ装置は、これらの課題を解決するためになされたものであり、誘電体基板15上に形成されたアンテナのスリーブ導体12とスリーブ導体13に、それぞれ円筒状スリーブ導体33と円筒状スリーブ導体34をかぶせて導通させることにより、作成方法が簡単で、小形・広帯域なスリーブアンテナを得ることができるという効果を有する。なお、この実施の形態9は、上記実施の形態4において、ストリップ導体16、グランド導体17の片側だけにスリーブ導体13、12などを設けた場合にも適用できる。
実施の形態10.
本実施の形態10では、上記実施の形態8に係るアンテナ装置の誘電体基板15を円筒状スリーブ導体で覆った場合の効果を明らかにする。図13は、この発明の実施の形態10に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。同図において、(a)は表面、(b)は裏面を表す。
図13において、本実施の形態10に係るアンテナ装置は、円筒状スリーブ導体35が誘電体基板15を覆っている。ここで、円筒状スリーブ導体35は、グランド導体17の両側の2つのスリーブ導体26と同じ長さであり、2つのスリーブ導体26を覆っており、かつスリーブ導体26と導通している。なお、グランド導体17の両側の2つのスリーブ導体26は同じ長さである。
また、スリーブ導体26は細長い短冊状導体であり、誘電体基板15の端辺に沿って設置されている。
ここで、図8に示した円筒状スリーブアンテナと図11に示した板状スリーブアンテナを比較する。円筒状スリーブアンテナの直径と板状スリーブアンテナの横幅を同じとすると、給電線に流れる漏れ電流を阻止する周波数帯域は、円筒状スリーブアンテナの方が広い。したがって、円筒状スリーブアンテナは、板状スリーブアンテナに比べてアンテナを小型化することができる。しかし、一般に、円筒状スリーブアンテナは板状スリーブアンテナに比べて作りにくいという問題がある。
本実施の形態10に係るアンテナ装置は、これらの課題を解決するためになされたものであり、誘電体基板15上に形成されたアンテナのスリーブ導体26に、円筒状スリーブ導体35をかぶせて導通させることにより、作成方法が簡単で、小形・広帯域なスリーブアンテナを得ることができるという効果を有する。なお、この実施の形態10は、上記実施の形態8において、グランド導体17の片側だけにスリーブ導体26などを設けた場合にも適用できる。
なお、上記の実施の形態1〜10において、放射に寄与する導体3の形状は本出願では限定するものではない。線状、円柱、長方形、三角形等あらゆる形状が想定される。
また、上記の実施の形態2において、第1のスリーブ導体12、第2のスリーブ導体13、接続導体11、可変リアクタンス素子7は、グランド導体10の両側に1つずつ設置したが、グランド導体10の片側に1つだけ設置しても良い。
また、上記の実施の形態3において、第1のスリーブ導体12、第2のスリーブ導体13、接続導体11、可変リアクタンス素子7は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつ設置したが、マイクロストリップ線路のグランド導体17の片側に1つだけ設置しても良い。
また、上記の実施の形態4において、第1のスリーブ導体12、第2のスリーブ導体13、接続導体11、可変容量ダイオード7、ランド導体19、スルーホール20、電圧制御線21は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつ設置したが、マイクロストリップ線路のグランド導体17の片側に1つだけ設置しても良い。
また、上記の実施の形態6において、スリーブ導体26、接続導体11、可変リアクタンス素子25は、グランド導体10の両側に1つずつ設置したが、グランド導体10の片側に1つだけ設置しても良い。
また、上記の実施の形態7において、スリーブ導体26、接続導体11、可変リアクタンス素子25は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつ設置したが、マイクロストリップ線路のグランド導体17の片側に1つだけ設置しても良い。
さらに、上記の実施の形態8において、スリーブ導体26、接続導体11、可変容量ダイオード25、ランド導体29、ランド導体30、ランド導体31、電圧制御線32、キャパシタンス素子28は、マイクロストリップ線路のグランド導体17の両側に1つずつ設置したが、マイクロストリップ線路のグランド導体17の片側に1つだけ設置しても良い。
1 同軸線路、2 外導体、3 導体、5 接続導体、6 スリーブ導体、7 可変リアクタンス素子、8 スリーブ導体、9 同軸線路、10 グランド導体、11 接続導体、12 スリーブ導体、13 スリーブ導体、14 コプレーナ・ストリップ線路、15 誘電体基板、16 ストリップ導体、17 グランド導体、18 コプレーナ・ストリップ線路、19 ランド導体、20 スルーホール、21 電圧制御線、22 抵抗、23 スリーブ導体、24 同軸線路、25 可変リアクタンス素子、26 スリーブ導体、27 コプレーナ・ストリップ線路、28 キャパシタンス素子、29 ランド導体、30 ランド導体、31 ランド導体、32 電圧制御線、33 円筒状スリーブ導体、34 円筒状スリーブ導体、35 円筒状スリーブ導体。