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JP4701555B2 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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JP4701555B2
JP4701555B2 JP2001233268A JP2001233268A JP4701555B2 JP 4701555 B2 JP4701555 B2 JP 4701555B2 JP 2001233268 A JP2001233268 A JP 2001233268A JP 2001233268 A JP2001233268 A JP 2001233268A JP 4701555 B2 JP4701555 B2 JP 4701555B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄肉の偏光フィルムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平面表示装置、特に液晶表示装置は、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などさまざまな用途で用いられている。高度情報化社会といわれる現在、携帯電話をはじめとする情報携帯端末の普及はめざましいものがあり、それに付随して、多機能化が急速に進行している。そこで、液晶表示装置に用いられる光学機能性フィルムの軽量薄肉化の要求もますます強くなってきており、光学機能性フィルムの一つである偏光フィルムにも軽量薄肉化の要請が強い。
【0003】
薄肉の偏光フィルムを製造する方法として、特開 2000-338329号公報には、熱可塑性樹脂フィルムの片面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成した状態で延伸した後、ポリビニルアルコール系樹脂層側に保護フィルムとなる光学透明樹脂フィルム層を貼り合わせ、熱可塑性樹脂フィルム層を剥がしてから二色性色素で染色するか、あるいは上記延伸後に二色性色素で染色してから、染色されたポリビニルアルコール系樹脂層(偏光フィルム層)側に保護フィルムとなる光学透明樹脂フィルム層を貼り合わせ、次いで熱可塑性樹脂フィルム層を剥がすことにより、染色ポリビニルアルコール系樹脂層(偏光フィルム層)/光学透明樹脂フィルム層(保護フィルム層)からなる偏光板とする方法が開示されている。そしてこの公報には、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルム層の厚さを2〜15μm とすることができることも記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載の方法によれば、従来品に比べて軽量薄肉の偏光フィルムを製造することはできるものの、得られる偏光フィルムの光学特性の面では、いまだ十分とは言えなかった。
【0005】
そこで本発明者らは、さらに鋭意研究を行った結果、基材樹脂フィルムにポリビニルアルコール系樹脂を塗布して得られる積層フィルムの一軸延伸を横一軸延伸で行い、かつその横一軸延伸後又は/及び横一軸延伸中に、延伸方向と直交する方向の長さを特定量収縮させることによって、軽量薄肉で、光学特性も良好な偏光フィルムが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明によれば、基材樹脂フィルムにポリビニルアルコール系樹脂を塗布する工程、得られる積層フィルムをポリビニルアルコール系樹脂層の厚さが10μm 以下となるように横一軸延伸する工程、及び二色性色素をポリビニルアルコール系樹脂層に吸着配向させる工程を包含する偏光フィルムの製造方法であって、横一軸延伸後又は/及び横一軸延伸中に、延伸方向と直交する方向の長さを2%以上14%以下の収縮率で収縮させる方法が提供される。この方法によれば、薄くて光学特性が良好な偏光フィルムが製造できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、基材樹脂フィルムの少なくとも片面にポリビニルアルコール系樹脂を塗布して、基材樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系樹脂の積層フィルムとし、得られる積層フィルムを一軸延伸する工程及び二色性色素で染色する工程を経て、偏光フィルムが製造される。ここで用いる基材樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂以外の熱可塑性樹脂からなるものであって、具体的には、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルムなどが挙げられる。ポリエステル系樹脂フィルムとしては、非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどを、またポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムなどを挙げることができるが、もちろんこれらに限定されない。 基材樹脂フィルムは、後工程で5倍程度に一軸延伸できるものなら特に限定はないが、延伸の際にポリビニルアルコール系樹脂の結晶化度が極端に上昇することを防ぐために、ガラス転移温度が140℃以下のものが好ましい。基材樹脂フィルムの膜厚は、20〜800μm 程度、さらには100〜400μm 程度であるのが好ましい。
【0008】
本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られるものが挙げられる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%である。光学特性の面からは、そのケン化度は99モル%以上であるのが一層好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、かかる変性されたポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなどが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜10,000程度の範囲である。光学特性の面からは、その重合度は2,000以上であるのが一層好ましい。
【0009】
上記した基材樹脂フィルムの少なくとも片面に、上記したポリビニルアルコール系樹脂を塗布する。ここでは通常、適当な溶媒に溶解されたポリビニルアルコール系樹脂溶液が用いられ、この溶液を塗布した後、乾燥される。ポリビニルアルコール系樹脂を溶解させる溶媒としては、水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、各種グリコール類などが挙げられるが、水が最も好ましい。水を用いる場合には、有機溶媒を含有させてもよい。この溶液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常1〜20重量%程度、好ましくは2〜10重量%程度である。ポリビニルアルコール系樹脂溶液中には、グリコール類、フタル酸エステルのような可塑剤、界面活性剤のようなレベリング剤、二色性色素などが配合されていてもよい。
【0010】
基材樹脂フィルムへのポリビニルアルコール系樹脂溶液の塗布に先立って、この基材樹脂フィルムを表面処理してもよい。 表面処理の方法としては、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理、プライマー処理などがある。プライマー処理には、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂など、通常知られたプライマー樹脂を用いることができる。表面処理をしないと、後述する一軸延伸工程や染色工程中に基材樹脂フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層とが剥離することがあるが、このような場合に、かかる表面処理を施すのが有効である。
【0011】
基材樹脂フィルムへのポリビニルアルコール系樹脂溶液の塗布は、一般に知られている方法によって行うことができる。例えば、ロールコーター、グラビアコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどがあり、もちろんこれらに限定されるわけではない。乾燥は、通常100℃以下で行われるが、基材樹脂フィルムが変形しない温度であれば特に制限されない。 乾燥後のポリビニルアルコール系樹脂の膜厚は、2〜50μm 程度、好ましくは3〜20μm 程度、さらに好ましくは5〜10μm 程度である。
【0012】
こうして基材樹脂フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂が塗布された積層フィルムは、次いで横一軸延伸及び二色性色素による染色に付されるが、横一軸延伸を先に行う場合には、この延伸の前に、ポリビニルアルコール系樹脂が塗布された基材樹脂フィルムのポリビニルアルコール系樹脂面にさらに基材フィルムと同じ材質、あるいは基材フィルムとのガラス転移温度の差が±20℃、好ましくは±10℃、さらに好ましくは±5℃の範囲にあるような樹脂のカバーフィルムを積層してもよい。この場合には、基材樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系樹脂/カバーフィルムの3層膜が、以下の延伸工程に供給される。
【0013】
横一軸延伸は、設備導入の容易さから既存のテンター法が最適である。また、最終的に得られる偏光フィルムの吸収軸を広い範囲で等しくするために、延伸方向はフィルムの走行方向に対して直交させるのが好ましい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度、好ましくは4〜5.5倍程度である。延伸倍率が4倍を下回ると、得られる偏光フィルムの光学特性が必ずしも十分でなくなる傾向にある。延伸倍率を高くすると、フィルムが均一に延伸できなくなったり、ポリビニルアルコール系樹脂層にクラックが発生したりするなどの不具合を生じる場合がある。延伸工程の前後には、予熱、熱処理、冷却などの工程を適宜設けてもよい。延伸温度は、選定した基材樹脂フィルムの性質により異なるが、例えば、基材樹脂フィルムが非晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合は、70〜120℃程度、好ましくは85〜110℃程度の温度で延伸を行うことができる。一軸延伸の際には、基材樹脂フィルム上のポリビニルアルコール系樹脂の含水率を1〜10重量%程度、好ましくは2〜8重量%程度に調整することにより、良好な延伸が可能となる。
【0014】
上記延伸フィルムに二色性色素を吸着配向させることにより、偏光フィルムを得ることもできるが、本発明者らの検討によると、二色性色素の吸着配向処理を上記の延伸フィルムに施しただけでは、十分に満足のいく光学特性を有する偏光板を得ることができなかった。そこでさらに検討を行った結果、一軸延伸と同時、あるいは一軸延伸後、あるいはその両者を通じて、一軸延伸方向と直交する方向の長さを少なくとも2%収縮させることにより、膜厚が10μm 以下で、しかも光学特性の良好な偏光フィルムが得られることを見出すに至った。この際の収縮は、5%以上となるようにするのが好ましく、さらには10%以上となるようにするのが一層好ましい。一軸延伸方向と直交する方向の長さの収縮率は大きいほど好ましいが、収縮率が大きすぎると、収縮ムラが発生し、二色性色素の吸着配向処理後の偏光フィルムにムラが生じる傾向にある。そこで、ムラやシワの生じない範囲で十分に高い収縮率を選択することが重要である。
【0015】
また、延伸後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの複屈折を測定することで、十分な光学特性を持った偏光フィルムを得るために必要な延伸倍率や収縮率を決定することができる。二色性色素を吸着配向させる前のポリビニルアルコール系樹脂延伸フィルムの複屈折を、0.027以上、好ましくは0.031以上、さらに好ましくは0.033以上とすることで、最終的に得られる偏光フィルムの性能が十分なものとなる。一般的に、延伸倍率を高くするか、あるいは収縮率を高くすると、複屈折の値は大きくなる。
【0016】
一軸延伸がテンター横延伸法の場合、フィルムを連続的に供給する連続延伸では一軸延伸と同時にフィルム走行方向(MD方向)を収縮させることは通常できない。したがってこの場合は、横延伸後に、一軸延伸方向と直交する方向の長さを収縮させることになる。一軸延伸フィルムの延伸方向と直交する方向の長さを収縮させる方法としては、一軸延伸された延伸方向の幅を固定し、直交する方向をたるませて、一軸延伸を行った温度付近の温度範囲で適当な時間熱処理する方法が挙げられる。
【0017】
またこの操作の際、先の横一軸延伸方向に再延伸しながら熱処理を行ってもよい。再延伸は、好ましくは1.01倍以上3倍以下の延伸倍率で行われる。この再延伸倍率は、より好ましくは2.5倍以下であり、さらに好ましくは1.05倍以上2倍以下である。なお、生産性の観点からは、これらの操作は連続的に行われるのが有利である。一軸延伸方向と直交する方向の長さの収縮率は、フィルムをたるませる量、熱処理温度、熱処理時間などにより、任意に調整することができる。通常、一軸延伸方向と直交する方向の収縮率が大きいほど、良好な光学特性の偏光フィルムが作製できる。上記熱処理にあたっては、例えば、工夫されたチャック機構、フィルム供給機構などを備えた熱処理用テンター、ロール・ベルト等の周速差を利用した防縮機等を用いることができる。
【0018】
基材樹脂フィルムにポリビニルアルコール系樹脂が塗布されたウェブには、二色性色素が吸着配向され、さらに通常はホウ酸処理が施されて、偏光フィルムとされる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。ヨウ素と二色性有機染料の選択は、最終的に得られる偏光フィルムのどの特性を重視するかによって決定される。光学特性、すなわち、高透過率で高コントラストを重視する場合にはヨウ素が選択され、光学耐久性、すなわち、高温下又は高温高湿度下での安定性を重視する場合には二色性有機染料が選択される。二色性色素の吸着配向は、上記ウェブの一軸延伸と二色性色素を用いた染色により行われる。染色は、一軸延伸の前に行ってもよいし、一軸延伸の後に行ってもよいが、基材樹脂フィルムへのポリビニルアルコール系樹脂の塗布、得られるウェブの横一軸延伸、次いで染色の順に行うのが最も好ましい。染色には例えば、二色性色素を含有する水溶液にウェブを浸漬する方法が採用できる。基材樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系樹脂/カバーフィルムの3層膜が延伸されたものをウェブとする場合は、基材樹脂フィルム又はカバーフィルムのどちらかをポリビニルアルコール系樹脂層から剥離除去し、ポリビニルアルコール系樹脂層をむき出しにした後、染色工程に供給される。
【0019】
二色性色素がヨウ素である場合、染色浴としては、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液が用いられる。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.01〜2重量部程度であり、またヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.5〜10重量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、浸漬時間は通常30〜900秒程度である。この操作では通常、ウェブ上のポリビニルアルコール系樹脂層にのみヨウ素が吸着される。
【0020】
二色性色素として二色性有機染料を用いる場合、例えば、特開平 6-337312 号公報、特開平 7-159615 号公報、特開平 9-132726 号公報などに記載される二色性有機染料を使用することで、良好な偏光性能を示す偏光板が作製できる。染色浴中の二色性有機染料の含有量は通常、水100重量部あたり0.001〜2重量部程度である。 この染色浴は、複数の二色性有機染料を含有してもよいし、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有してもよい。二色性有機染料を用いる場合の染色温度は、ポリビニルアルコール系樹脂層が基材樹脂フィルムから剥離しない、あるいは基材樹脂フィルムが軟化しない温度範囲で適宜選択され、例えば、20〜80℃程度である。浸漬時間は通常、30〜900秒程度である。この操作でも通常、ウェブ上のポリビニルアルコール系樹脂層にのみ二色性有機染料が吸着される。
【0021】
ホウ酸処理は、二色性色素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂層を有するウェブをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100重量部あたり、通常0.5〜15重量部程度、好ましくは1〜12重量部程度である。ホウ酸処理は、ポリビニルアルコール系樹脂層が基材樹脂フィルムから剥離しない温度で行えばよい。例えば、30℃以上、好ましくは30〜85℃程度の温度範囲から適宜選択される。ホウ酸処理の時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒程度である。二色性色素がヨウ素である場合、ホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよい。ヨウ化カリウムを含有する場合、その量は通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部程度、好ましくは1〜15重量部である。
【0022】
ホウ酸処理後のウェブは通常、水洗処理される。この水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたウェブを水に浸漬することにより行われる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。 次いで乾燥処理するが、この乾燥は、通常100℃以下、好ましくは40〜95℃の温度で行われる。乾燥時間は、通常120〜600秒程度である。
【0023】
かくして得られるウェブは、基材樹脂フィルムの上に偏光フィルムが形成された多層フィルムとなる。偏光フィルムは、薄肉化と基材樹脂フィルムのカールを防ぐ観点から薄いほうが好ましく、10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm を超えないもの、一層好ましくは2μm 未満である。偏光フィルムが薄いほど、薄型化などの点からは有利であるが、薄すぎると吸収軸方向で十分な吸光度を得られない場合があるので、1μm 以上であるのが好ましい。
【0024】
膜厚が10μm 以下の偏光フィルムを、延伸方向と直交する方向に収縮させない場合には、現在市販されている厚さ20〜30μm の偏光フィルムの光学的性能よりもかなり劣った光学特性をもった偏光フィルムしか作製できないが、本発明の方法によると、現在市販されている偏光フィルムと同等の光学特性を有し、しかも厚さが10μm 以下の偏光フィルムを得ることができる。
【0029】
基材樹脂フィルムとして透明性のある基材を用いた場合には、上記偏光フィルム付きウェブは、そのまま偏光板として使用することができる。この場合、基材樹脂フィルムと偏光フィルムを強固に接着しておく必要があり、前述の基材樹脂フィルムの表面処理が重要となる。
【0030】
基材樹脂フィルムと偏光フィルムの強固な接着ができない場合、基材樹脂フィルムの光学的性能が十分でない場合などには、基材樹脂フィルム上に形成された偏光フィルム層を、基材樹脂フィルムから別の媒体へ転写することによって、偏光板として使用できる。転写の方法としては、例えば、基材樹脂フィルムと一体の偏光フィルムを、接着剤等を用いて媒体に貼合した後、基材樹脂フィルムを偏光フィルムから剥離除去する方法が採用できる。媒体へ転写された偏光フィルムの片面にさらに保護フィルム等を貼合してもよい。転写の際の媒体としては、光学的に等方性の透明樹脂フィルム、位相差板、反射板、視野角改良フィルム、輝度向上フィルム、液晶セル基板(ガラス製又は樹脂製)など、液晶表示素子に用いられる各種材料が挙げられる。転写の際には、偏光フィルムの光軸を目的に応じた角度で転写することができる。
【0031】
光学的に等方性の透明樹脂フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアリレート樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、さらにはノルボルネン系樹脂フィルムのような環状ポリオレフィン樹脂フィルムなどが挙げられる。その厚みは、通常30〜200μm 程度である。これらの樹脂フィルム表面には、反射防止処理、アンチグレア処理、ハードコート処理などの機能層が施されていてもよいし、転写後にこれらの機能層が付されてもよい。積層には通常、透明で光学的に等方性の接着剤が用いられ、このような接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、ウレタンエマルジョン系接着剤、アクリル系粘着剤、水系ドライラミネーション接着剤、有機系ドライラミネーション接着剤などが挙げられる。基材樹脂フィルム上に形成された偏光フィルムを、基材樹脂フィルムから別の媒体へ転写した後、さらに偏光フィルム面に既述したような別の媒体を貼合してもよい。
【0032】
基材樹脂フィルム上の偏光フィルムを他の媒体に転写して使用する場合、基材樹脂フィルムを剥離除去するときにフィルムが帯電し、塵埃を引き寄せて後工程で欠陥を誘起するなどし、製造工程での歩留まりを低下させることがある。そこで、基材樹脂フィルムには帯電防止処理を施しておくのが好ましい。基材樹脂フィルムに帯電防止処理を施す方法としては、例えば、界面活性剤、アンモニウム系などのカチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤のような有機系帯電防止剤又は、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモンのような導電性を有する無機化合物をペンタエリスリトールの如き適切なバインダーに分散した無機系帯電防止剤を基材樹脂フィルム表面に塗布する方法、上記のような帯電防止剤をはじめから基材樹脂フィルム中に混ぜ込んでおく方法などが挙げられるが、特に限定はない。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、単体透過率、最大吸収波長での透過率、偏光度、及び複屈折は、以下の方法により測定した。
【0034】
〈単体透過率と偏光度の測定方法〉
偏光フィルム1枚の状態、2枚の偏光フィルムをそれぞれの吸収軸が同一となるように重ねた状態、及び2枚の偏光フィルムをそれぞれの吸収軸が直交するように重ねた状態の3種類の状態で、波長λの自然光をあてたときの分光透過率をそれぞれ、T(λ) 、Tp(λ) 、及びTc(λ)とし、これらを波長400〜700nmの間で所定間隔毎に測定する。そして、Tc(λ)が最小となる波長を最大吸収波長λmax とし、その波長でのT(λ)、Tp(λ) 及びTc(λ) の値をそれぞれ、T(λmax)、Tp(λmax) 及びTc(λmax) とする。これらの分光透過率から、 JIS Z 8701 に従って計算した視感度補正値をそれぞれ、単体透過率Ty、平行透過率Tp 及び直交透過率Tc とする。すなわち、数式(III)において、τ(λ)=T(λ)を代入したときのTχ値が単体透過率Ty、τ(λ)=Tp(λ)を代入したときのTχ値が平行透過率Tp 、そしてτ(λ)=Tc(λ) を代入したときのTχ値が直交透過率Tc である。なお、分光透過率τ(λ)は0≦τ(λ)≦1である。偏光度Py は、平行透過率Tp 及び直交透過率Tc より、数式(IV)により計算される。また、最大吸収波長λmax での偏光度P(λmax) は、数式(V)により計算される。
【0035】
Figure 0004701555
【0036】
式中、P(λ)は標準光(C光源)の分光分布を表し、y(λ)は2度視野等色関数を表す。
【0037】
Figure 0004701555
【0038】
〈複屈折の測定方法〉
延伸後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを基材樹脂フィルムから剥離して、市販の自動複屈折測定装置〔王子計測機器(株)製の“KOBRA-21ADH”〕でレタデーションを測定した。そして、レタデーションを測定した部分の膜厚を接触式膜厚計〔ニコン(株)製の“NICON MH-15M”〕で測定して、数式(VI)から複屈折を算出した。
複屈折=レタデーション(nm)/膜厚(nm) (VI)
【0039】
実施例1〜3
厚さ215μm の非晶性ポリエチレンテレフタレートシート〔帝人(株)製の“テイジンテトロンシート FR-1”〕の表面を濡れ張力が500μN/cm 前後となるようにコロナ処理し、この面に、重合度が2,400、ケン化度が99.9モル%以上であるポリビニルアルコールの7重量%水溶液をコーターで均一に塗工した後、70℃の熱風乾燥オーブンで4分間乾燥して、厚み6.9μmのポリビニルアルコール層を設けた。このシートに、テンター横延伸機を用いて100℃で横一軸に4.5倍の延伸を施した。このとき、ポリビニルアルコール層の膜厚は1.6μm となり、複屈折は0.031であった。
【0040】
次に、この延伸フィルムを縦方向に収縮する機構を具備した熱処理テンターを用いて、100℃の温度で延伸方向と直交する方向に連続的に14%収縮させると同時に、上記の横一軸延伸方向に1.05倍の再延伸を行い、染色用ウェブとした。このとき、ポリビニルアルコール層の膜厚は1.8μm となり、複屈折は0.034であった。この染色用ウェブを28℃の純水に2分間浸漬した後、水100重量部あたり二色性有機染料(シー・アイ・ダイレクト・レッド81)を1.3重量部及び無水硫酸ナトリウムを2重量部それぞれ含有する水溶液に、温度60℃で600秒〜720秒間浸漬した。この時間を染色時間とする。次いで、表面に付着した余分な染料を含む水滴を水道水で除去した後、水100重量部あたりホウ酸を7.5重量部含有するホウ酸水溶液に、温度60℃で300秒間浸漬した。その後、水道水で10秒間洗浄した。水洗後のフィルムを50℃で300秒間乾燥し、基材樹脂フィルム/偏光フィルム積層偏光板を得た。
【0041】
この基材樹脂フィルム/偏光フィルム積層偏光板の偏光フィルム面に、接着剤を介して、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム〔富士写真フィルム(株)製の“T80UZ”〕を貼合した後、基材樹脂フィルムを偏光フィルム層から剥がして、トリアセチルセルロースフィルム/偏光フィルム積層偏光板を得た。このトリアセチルセルロースフィルム付き偏光フィルムのT(λ)、Tp(λ) 及びTc(λ) を測定し、T(λmax) 及びP(λmax) を求めた。最大吸収波長は520nmであった。染色時間、透過率T(λmax) 及び偏光度P(λmax) を表1に示し、透過率T(λmax) と偏光度P(λmax) を図1にプロットした。
【0042】
比較例1〜2
テンター横延伸機を用いて100℃で横一軸に4.5倍の延伸を施した後の、延伸方向と直交する方向の収縮操作を行わなかったことと、染色時間を表1に示すとおりにしたこと以外は、実施例と同様の操作を行い、トリアセチルセルロースフィルム付き偏光フィルムを得た。染色時間、透過率T(λmax) 及び偏光度P(λmax) を表1に示し、透過率 T(λmax) と偏光度P(λmax) を図1にプロットした。
【0043】
【表1】
Figure 0004701555
【0044】
実施例4〜5
実施例1と同様にして作製した染色用ウェブを、30℃の純水に2分間浸漬した後、水100重量部あたりヨウ素を0.2重量部及びヨウ化カリウムを5重量部それぞれ含有する水溶液に、温度28℃で60秒間又は300秒間浸漬した。この時間を染色時間とする。次いで、表面に付着した余分なヨウ素を含む水滴を水道水で除去した後、水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部及びヨウ化カリウムを8重量部それぞれ含有するホウ酸水溶液に、温度60℃で300秒間浸漬した。その後、6.0℃の純水で2秒間洗浄した。水洗後のフィルムを50℃で300秒間乾燥し、基材樹脂フィルム/偏光フィルム積層偏光板を得た。得られた偏光板を実施例1と同じ方法で処理して、トリアセチルセルロースフィルム付き偏光フィルムとした。得られたトリアセチルセルロースフィルム付き偏光フィルムのT(λ)、Tp(λ) 及びTc(λ) を測定し、そこからTy 及びPy を計算した。染色時間、単体透過率Ty 及び偏光度Py を表2に示し、単体透過率Ty と偏光度Py を図2にプロットした。
【0045】
比較例3〜4
テンター横延伸機を用いて100℃で横一軸に4.5倍の延伸を施した後の、延伸方向と直交する方向の収縮操作を行わなかったことと、染色時間を表2に示すとおりにしたこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、トリアセチルセルロースフィルム付き偏光フィルムを得た。このトリアセチルセルロースフィルム付き偏光フィルムのT(λ)、Tp(λ) 及びTc(λ) を測定し、そこからTy 及びPy を計算した。染色時間、単体透過率Ty 及び偏光度Py を表2に示し、単体透過率Ty と偏光度Py を図2にプロットした。
【0046】
【表2】
Figure 0004701555
【0047】
〈性能の比較〉
偏光フィルムの性能の良し悪しは、単体透過率と偏光度のプロットにより比較することができる。同一単体透過率で比較すると、偏光度の高いほうが高性能であり、同一偏光度で比較すると単体透過率の高いほうが高性能である。つまり、図1及び図2において、プロットが右上にあるほど高性能であり、本発明の偏光フィルムは、比較例のものに比べて高い性能を示すものとなる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、膜厚が薄く、しかも光学特性が良好な偏光フィルムが提供され、またそれを工業的有利に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたそれぞれの偏光フィルムについて、透過率T(λmax) 偏光度P(λmax) 関係を表すグラフである。
【図2】 実施例4〜5及び比較例3〜4で得られたそれぞれの偏光フィルムについて、単体透過率Ty 偏光度Py 関係を表すグラフである。

Claims (6)

  1. 基材樹脂フィルムにポリビニルアルコール系樹脂を塗布する工程、
    得られる積層フィルムをポリビニルアルコール系樹脂層の厚さが10μm 以下となるように横一軸延伸する工程、及び
    二色性色素をポリビニルアルコール系樹脂層に吸着配向させる工程
    を包含する偏光フィルムの製造方法であって、
    横一軸延伸後又は/及び横一軸延伸中に、該延伸方向と直交する方向の長さを2%以上14%以下の収縮率で収縮させることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  2. 基材樹脂フィルムにポリビニルアルコール系樹脂が塗布された積層フィルムの横一軸延伸が、テンター法で連続的に行われ、横一軸延伸後に、該延伸方向と直交する方向の長さを2%以上14%以下の収縮率で収縮させる請求項1記載の方法。
  3. 横一軸延伸後に該延伸方向と直交する方向の長さを2%以上14%以下の収縮率で収縮させる際、横一軸延伸方向に 1.01倍以上3倍以下の範囲で再延伸を行う請求項1又は2記載の方法。
  4. 二色性色素がヨウ素である請求項1記載の方法。
  5. 二色性色素が二色性有機染料である請求項1記載の方法。
  6. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの複屈折が0.027以上となるように横一軸延伸及び収縮処理を行う請求項1記載の方法。
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