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JP4794089B2 - 眼用レンズのマーキング方法 - Google Patents

眼用レンズのマーキング方法 Download PDF

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JP4794089B2
JP4794089B2 JP2001281015A JP2001281015A JP4794089B2 JP 4794089 B2 JP4794089 B2 JP 4794089B2 JP 2001281015 A JP2001281015 A JP 2001281015A JP 2001281015 A JP2001281015 A JP 2001281015A JP 4794089 B2 JP4794089 B2 JP 4794089B2
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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズ等の各種眼用レンズのマーキング方法に係り、特に、そのような眼用レンズの内部に、レーザ光を用いて、文字、図形、記号等のマークを形成するためのマーキング方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、コンタクトレンズや眼内レンズ等の各種眼用レンズに対する、文字、図形、記号等のマーキングは、主に、装用時におけるレンズの表裏や左右の判別、更にはレンズ規格の明示等を目的として実施されており、その具体的なマーキング手法としては、印刷法やレーザーマーキング法等が知られている。
【0003】
その中で、印刷法は、染料を含有する印字液や染料溶液(インク)にて、眼用レンズを部分的に染色乃至は着色する手法であり、一般に、所望のマークに対応した型が設けられたスクリーンを使用する、スクリーン印刷法が実施されている。而して、そのような染料を用いる印刷法にて印刷されたマークは、レンズ洗浄時の擦り洗いや、繰り返しの煮沸消毒等によって、次第に消失したり、剥がれたりする傾向があるところから、苛酷な使用環境下においても、充分に耐え得るように、レンズ素材の内部までインクを浸透させたり、更には、その浸透させたインクをレンズ素材と化学反応させることによってレンズ内部に定着させて、マークの耐久性を向上せしめるといった各種の手法が提案されて、採用されている。しかしながら、このような染料を用いたマーキングにあっては、使用する染料がポリマー中に混入して、眼用レンズ中に含有せしめられてしまう恐れがあり、安全性の面で、問題を内在するものであった。
【0004】
しかも、印刷法にて眼用レンズを直接的にマーキングすると、マーキング工程が増えることによって、新たに多くの工数(例えば、印刷後の乾燥工程等)や装置が必要になると共に、眼用レンズの取扱い頻度が増加し、その結果、不良品率が高まってしまい、そのため、コストの上昇が招来され、経済性が悪化するという問題も惹起されているのである。
【0005】
一方、レーザーマーキング法としては、特公昭62−37368号公報や特開昭64−13520号公報等に開示される如き、眼用レンズにレーザー光を照射して、レンズ表面を刻印する手法や、特公平5−67932号公報等に開示されているように、レーザー光にて予めレンズ成形型に凹凸状マークを形成し、成形時にそれを転写することで、眼用レンズに凸状マークを施す手法等が、提案されてきているのであるが、前者の手法にあっては、マークの視認性を向上せしめるべく、マークの加工深さを深く設定すると、刻印部分のレンズ厚みが薄くなってしまい、これによりレンズ強度が低下して、眼用レンズが割れ易くなると共に、刻印部分の溝乃至は凹部には、汚れが溜まり易いことから、眼刺激等の原因となるという問題を有しており、更に、後者の手法にあっては、マークが、眼用レンズの表面に対して凸状に形成されるところから、装用時に、かかるマークが瞼の裏側に当接して、違和感を招来するという問題があった。また、例え、マークの大きさや突出高さを制限したとしても、この違和感を完全に払拭することは不可能であった。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、レンズ汚れやレンズ強度の低下等の問題が惹起されることなく、装用感に優れると共に、鮮明且つ識別の極めて容易なマークを形成し得る眼用レンズのマーキング方法を提供することにある。
【0007】
【解決手段】
そして、上述の如き課題を解決するために、本発明にあっては、樹脂材質の眼用レンズに対して、レーザのパルス幅がフェムト秒域にあるレーザ光を照射することにより、かかる眼用レンズの内部におけるレーザ光の集光部に白化部を形成せしめ、該白化部の少なくとも一つにて所定のマークを現出したことを特徴とする眼用レンズのマーキング方法を、その要旨とするものである。
【0008】
すなわち、かかる本発明に従う眼用レンズのマーキング方法にあっては、従来のレンズ表面にレーザ光を照射せしめることによりマーキングを施す手法とは異なり、樹脂材質の眼用レンズの内部に白化部を形成し、かかる白化部の少なくとも一つにて、所定のマーク、例えば、文字や図形、記号等を現出せしめるようにしているところから、レンズ表面に、凸部や凹部等が形成されず、突出部やレンズ表面に付着した汚れ等の付着物によって、装用感が悪化せしめられたり、更には眼刺激等が惹起せしめられることが皆無ならしめられているのであり、そのため、優れた装用性と安全性が実現され得ると共に、付着物に起因する眼用レンズにおける光学性能の低下が効果的に防止され得るのである。
【0009】
また、本発明においては、マークを構成する白化部が、パルス幅がフェムト秒域にある超短パルスレーザ光にて形成されているところから、かかるレーザ光を集光せしめるべき部位を、良好なる精度をもって設定することが出来、且つレンズ表面を傷付けることなく、眼用レンズ内部の集光部近傍のみを加工することが出来るのである。しかも、眼用レンズに付設されるマークは、通常、視力矯正のための光学領域に悪影響を及ぼさないように、レンズ周辺部に形成されるために、肉眼では認識し難い程、非常に小さいものであるが、フェムト秒域のパルスレーザー光を使用することによって、集光部に形成される白化部の大きさを著しく小さくすることが可能であり、これによって、鮮明且つ識別の極めて容易なマークを格別有利に形成することが可能となっているのである。
【0010】
ところで、かかる本発明に従う眼用レンズのマーキング方法の好ましい態様の一つによれば、前記マークが、前記眼用レンズの厚さ方向におけるレンズ中心からレンズ厚さの1/4の範囲内の領域に設けられていることが、望ましい。これにより、眼用レンズの強度の低下が有利に防止され得るのである。
【0011】
また、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記マークが、前記眼用レンズの厚さ方向におけるレンズ中心からレンズ後面側にレンズ厚さの1/4の範囲内の領域に設けられる構成が、好適に採用され得ることとなる。これによって、例えば、眼用レンズとして、コンタクトレンズをマーキングする場合には、コンタクトレンズの取扱い上、レンズ後面側から前面側に向って、外力が加えられることが多いのであるが、そのような外力にて、レンズ内部に設けられた白化部から亀裂等が生じて、破損するようなことが効果的に阻止され得ることとなる。
【0012】
さらに、本発明に従う眼用レンズのマーキング方法の好ましい態様の別の一つによれば、前記マークが前記白化部の複数にて構成されていると共に、それら複数の白化部が、その少なくとも一方の端部側において、レンズ表面との間の距離を異ならしめてなる配置とされていることが、望ましく、これによって、マークの視認性がより一層向上せしめられるのである。
【0013】
また更に、本発明における他の好ましい態様の一つによれば、前記眼用レンズが、内部まで着色せしめられてなる着色レンズであることが、望ましく、このような構成を採用することによって、コントラストが効果的に強調せしめられ得、以てレンズ内部に形成される白化部からなるマークが、より一層鮮明に且つ明瞭となって、その識別が格別に容易となるのである。
【0014】
なお、本発明に従う眼用レンズのマーキング方法の好ましい態様の別の一つによれば、上述せる如き着色が、染料にて実現されていることが望ましく、例えば、そのような着色は、前記眼用レンズを構成する樹脂材料中に、フタロシアニン化合物及びアゾ系色素のうちの少なくとも一つを含有せしめることによって、実現され得るのである。
【0015】
また、本発明に従う眼用レンズのマーキング方法によれば、前記眼用レンズが、メタクリル基又はアクリル基含有モノマー、好ましくはメチルメタクリレート(MMA)を重合成分として得られる重合体にて形成されている。これらを重合成分とした眼用レンズに対して、上述せる如きマーキングを行なえば、そのレーザ光の照射部位に、励起光を照射し、それによって生じる蛍光を検出することによっても、所定のマークを、極めて鮮明に、且つ容易に識別することが出来るようになるのである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に従う各種の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0017】
先ず、図1には、本発明に従う眼用レンズのマーキング方法を実施する際に用いられるレーザ装置10の一具体例が、概略的に示されている。そこにおいて、レーザ装置10は、フェムト秒レーザ光源12、整形器14、反射鏡16、及び集光レンズ18を有し、フェムト秒域(10-15〜10-13秒オーダー)のパルス幅のレーザ光20が、被加工物品である眼用レンズ(図1中、コンタクトレンズ22)の内部に、集光せしめられるような構成とされている。
【0018】
ここにおいて、上記した本発明が対象とする眼用レンズとしては、従来から公知の、樹脂材質のコンタクトレンズや眼内レンズが含まれる。より具体的には、メチルメタクリレート、シロキサニルメタクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、シロキサニルスチレン、フルオロアルキルスチレン、シロキサニルフマレート、フルオロアルキルフマレート等を主成分とする重合成分から得られる重合体材料からなる硬質コンタクトレンズ;ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を主成分とする重合成分から得られる重合体材料からなる含水性軟質コンタクトレンズ;ブチルアクリレート、シロキサニルアクリレート、フルオロアルキルエーテル系モノマー等を主成分とする重合成分から得られる重合体材料からなる非含水性軟質コンタクトレンズ;メタクリレート系ポリマー等の重合体材料を主成分とする眼内レンズ等を挙げることが出来るが、以下では、そのような眼用レンズの中でも、メチルメタクリレートを重合成分として得られるメチルメタクリレート系重合体からなるコンタクトレンズ22を代表的に用いて説明する。
【0019】
すなわち、上述せる如きコンタクトレンズ22に対して、所定のマーキングを施すには、先ず、図示されていない支持台上に、コンタクトレンズ22が設置される。そして、そのように設置されたコンタクトレンズ22に対して、レーザ装置10の光源12から、パルス幅がフェムト秒域であるレーザ光20が発振されるのであるが、本発明においては、そのような特定のレーザ光20が、図2の(a)に示されるように、コンタクトレンズ22の表面24ではなく、コンタクトレンズ22の内部26の微小部位に集光せしめられるように、照射するのである。このようにして、コンタクトレンズ22の内部26に、フェムト秒域のパルス幅を有するレーザ光20が照射されることによって、レンズ表面24を損傷せしめることなく、樹脂材質のコンタクトレンズ22の内部26に、白っぽく見える部位、すなわち白化部28が、形成され得るようになっているのである。
【0020】
なお、かかる白化部28は、コンタクトレンズ22の集光部30付近のみにおいて、電子励起を誘起する多光子吸収が誘起されることにより、光化学反応や構造変化が起こり、また欠陥が生じ、光学的性質(屈折率)が変化せしめられることによって、形成せしめられるものと推察することが出来る。また、フェムト秒域の超短パルスレーザが採用されているところから、パルス幅がマイクロ秒域乃至はナノ秒域のレーザと比べて、熱の影響が殆ど無い加工が可能となって、レンズ表面24等に損傷を与えることなく、コンタクトレンズ22の内部26の所望とする箇所に、上記した白化部28を選択的に且つ良好なる精度をもって形成せしめることが可能となる。しかも、集光部30内における光子密度の分布により、光化学反応が発生する部分をレーザ光20のスポットサイズ以下にすることも可能となって、マイクロ秒域乃至はナノ秒域のレーザを使用する場合に比して、極めて微細な加工が実現され得るといった特徴をも有しているのである。
【0021】
そして、本発明のマーキング方法にあっては、そのような白化部28の少なくとも一つが、所定のマークを構成しているのである。このため、レンズ表面24に凸部や凹部等が形成されるようなことが皆無ならしめられ、突出部や凹部に付着した汚れ等の付着物によって、装用感の悪化、更には眼刺激等が惹起せしめられるようなことや付着物に起因する眼用レンズにおける光学性能の低下が、有利に解消され得ることとなったのであり、また、染料等を含有する印字液等を使用するものでもないところから、そのような染料によって、眼に悪影響が及ぼされるようなことも、有利に回避され得ることとなったのである。従って、優れた装用性と安全性が効果的に実現され得るのである。
【0022】
而して、上述せる如き優れた装用性等の利点は、マークを構成する白化部28が、コンタクトレンズ22の内部24に設けられておれば、実現され得るのであるが、特に、レーザ光の照射対象物が薄肉板状物であるところから、強度の劣化が惹起され易く、そのため、そのようなコンタクトレンズ22の如き眼用レンズの強度を高度に維持せしめるためには、かかる白化部28が、レンズの厚さ(図2中、D)方向におけるレンズ中心(図2中、C)から、レンズ前面32側、又はレンズ後面34側へ、レンズ厚さの1/4の範囲内の領域(図2中、A)に設けられていることが望ましい。そして、そのような領域(A)の中でも、特に、レンズ中心(C)からレンズ後面34側にレンズ厚さの1/4の範囲内の領域に設けられていることが、更に望ましいのである。けだし、眼用レンズ、特にコンタクトレンズ22にあっては、その形状よりして、その洗浄操作を実施する等の取扱上、後面34側から前面32側に向って外力が作用せしめられることが多いところから、後面34側に白化部28を形成せしめることによって、コンタクトレンズ22の破損が極めて効果的に防止され得るからである。
【0023】
ところで、上述せる如き白化部28によって、所望とする形状、例えば、文字や図形、記号等のマーク(図3参照)を形成せしめるには、従来から公知の手法にて、例えば、コンタクトレンズ22又はレーザ装置10を、所望とするマークの形状に応じて、XYZ軸方向の少なくとも一軸方向に移動せしめたりする等して、コンタクトレンズ22の内部26における集光部30の位置を変化せしめたり、或いは、所望とするマークが形成され得るように、コンタクトレンズ22の内部26の複数の箇所にレーザ光20を集光せしめるようにすれば良い。そして、そのようにして複数の白化部28から形成されたマーク(レンズ規格、製造ロット番号、有効期限、商標)の代表的な具体例が、図3に示されている。
【0024】
より詳細には、図3に示されているマークは、図4に示されるように、複数の白化部28が、互いに所定間隔を隔てて形成されることによって、現出されているのである。なお、このように、白化部28の複数にてマークを構成せしめる場合にあっては、かかる白化部28の大きさとしては、特に制限されるものではないが、その最大径(図2中、a1,a2)が、0.5μm〜3μmであることが好ましいのであり、レーザ光源12から発振されるレーザ光20の強度等を適宜に設定することによって、その大きさが調整されることとなる。これは、そのような白化部28の径(a1,a2)が小さ過ぎる場合には、視認性に乏しくなるからであり、逆に、大きくなり過ぎると、コンタクトレンズ22の強度が低下せしめられて、取扱い時等において、コンタクトレンズ22に亀裂が発生する恐れがあるからである。
【0025】
また、そのような白化部28を形成せしめる間隔(図2中、d1,d2)にあっても、特に限定されるものではないが、好ましくは1μm〜100μm、更に好ましくは3μm〜50μmの範囲であることが望ましく、かかる間隔(d1,d2)が過小である場合には、万が一、亀裂が発生した際に、亀裂同士が連絡する恐れがあるからであり、逆に、過大である場合には、複雑なマーキングを施した際に、マークの視認性が悪化せしめられることとなるのである。
【0026】
さらに、それら複数の白化部28は、図2の(a)に示されるように、コンタクトレンズ22の厚さ方向における、レンズ表面24との間の距離が同一となるように設けられる必要は全く無く、図5に示されるように、その厚さ方向一方の端部側乃至は両端部側において、レンズ表面24との間の距離が異ならしめられた配置とされていても良い。なお、このような配置とすることによって、コンタクトレンズ22を透過する光が効果的に散乱せしめられ、以てマークの視認性がより一層向上されることとなるのである。
【0027】
かくして、前記白化部28にて現出されるマークは、白化部28の一つ一つが微小であっても、精密に且つ優れた制御性にて集光部30を設定し得るところから、マークを構成する白化部28の数(ドット数)を極めて有利に増加せしめることが可能であり、それ故、マークの解像度が、従来のものに比して格別顕著に向上せしめられ、以て、マークの識別が、極めて容易となるのである。
【0028】
また、本実施形態に係るマークにあっては、メチルメタクリレート(MMA)を重合成分として得られるメチルメタクリレート系重合体(PMMA)からなるコンタクトレンズ22に対して形成されるものであるところから、マーク部周辺に所定の励起光(350nm〜380nm)を照射せしめれば、マーク部(白化部28)が励起されて、500nm〜700nmの広い波長範囲にブロードな発光スペクトルが検出されるといった特徴をも有しているのである。なお、かかる発光のメカニズムは未だ明らかにされてはいないものの、レーザ光20によって、PMMAの主鎖が切断せしめられることに起因すると推察され得るのである。そして、このような特徴を利用して、所定の励起光を照射し、それによって生じる蛍光を検出することによっても、所定のマークを、容易に識別することが可能なのである。
【0029】
加えて、マークの視認性をより一層向上せしめるためには、コンタクトレンズ22は、マーキングが施される以前に、予め、内部16まで着色されていることが望ましく、これによって、白化部28とコンタクトレンズ22本体の透明部(着色部)とのコントラストが更に向上せしめられて、マークが鮮明となるのである。なお、かかる着色はコンタクトレンズ22内部16まで為されていることが望ましく、表面部のみだけであると、所望とするコントラストの向上が図れないのである。また、色の種類としては、不透明でなく光透過性を有しておれば特に限定されるものではないが、中でも、特に、グリーン系、ブルー系、イエロー系、レッド系の色が、視認性の点から特に好適に採用され得ることとなる。
【0030】
なお、ここにおいて、上述せるように、コンタクトレンズ22を着色せしめる方法としては、例えば、公知の染料や顔料等の着色剤を用いて着色する手法が挙げられ、コンタクトレンズ22を構成する樹脂材料中に、常法にしたがって、例えば、従来から公知の各種の着色剤を、重合系に存在させて共重合せしめたり、或いは添加したり等することによって、含有せしめれば良いのである。また、そのような着色剤(染料)としては、ここでは、白化部28の識別容易性の点よりして、フタロシアニン化合物やアゾ系色素を有利に用いることが出来、それらのうちの少なくとも1種が、又はそれらを組み合わせて用いられることとなる。
【0031】
かくして、染料が適宜に添加、含有される等して、着色されたコンタクトレンズ22を用いて、かかるコンタクトレンズ22の内部26に、所定の深さで、所定のレーザ光30を集光せしめることにより、マーキングを行なうのである。このようにして形成されたマークにあっては、上記せるように、白化部28とコンタクトレンズ22本体の透明部(着色部)とのコントラストが、着色を何等施さない場合に比して、更に向上せしめられており、極めて優れた識別性を有しているのである。
【0032】
ところで、かかる本発明手法において用いられるレーザとしては、フェムト秒域(10-15〜10-13秒オーダー)のパルス幅を実現し得るレーザであれば、特に限定されるものではなく、例えば、Ti:サファイヤ・レーザに代表される波長可変固体レーザを始めとして、公知の各種のものが使用され得る。その中でも、特に、パルス幅が、1fs〜500fsであるレーザが、好適に採用され得るのである。けだし、パルス幅が、マイクロ秒域乃至はナノ秒域であるレーザを用いる場合にあっても、コンタクトレンズ22の内部26に白化部を形成せしめることは可能であるが、その光学的性質(屈折率)の変化を生じさせるエネルギーの範囲が極めて狭く、その制御が困難であると共に、クラックの発生が惹起され易く、不良品率が高くなるからである。また、例え、白化部が形成されたとしても、そのサイズはフェムト秒レーザを使用した場合に比して極めて大きく、ドット数の多い(解像度の高い)、明瞭なマークを形成せしめることが不可能であると共に、コンタクトレンズ22の機械的強度が低下せしめられる可能性が非常に高いからである。
【0033】
また、フェムト秒レーザの発振波長としては、特に制限されるものではないものの、可視光の利用が好ましく、採用するレーザ光源12に応じて、適宜に選択されることとなる。例えば、チタンサファイアレーザを採用する場合にあっては、その基本波又は倍波の800nm又は400nm程度が好適に採用され得ることとなる。更に、フェムト秒レーザのパルスエネルギーやパルス数にあっても、レーザ光源12や、レーザ光20の発振波長、コンタクトレンズ22の材質、所望とする白化部28のサイズ等に応じて、適宜に設定し得るのであって、特に限定されるものではなく、チタンサファイアレーザを採用する場合にあっては、パルスエネルギー:0.01μJ/パルス〜0.1μJ/パルス、パルス数:1パルス〜1000パルスが好適に採用され得ることとなる。但し、かかるレーザ光20のパルスエネルギーやパルス数が大き過ぎて、レーザ光20の強度が余りにも大きくなり過ぎると、コンタクトレンズ22に悪影響が及ぼされることとなることは、勿論、言うまでもないところである。
【0034】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0035】
例えば、上記の実施形態では、レーザ光20が、レンズ前面32側からレンズ後面34側の方向に照射されていたが、かかるレーザ光20の照射方向は、何等これに限定されるものでなく、レンズ後面34側からレンズ前面32側の方向に照射せしめられても構わない。
【0036】
また、上例では、図3において、眼用レンズ(コンタクトレンズ22)に設けられるマークとして、レンズ規格、製造ロット番号、有効期限、商標が例示されていたが、そのようなマークの他にも、裏表の識別記号や、左眼用乃至は右眼用を区別するための記号等の各種の文字、図形、記号パターン等を採用することが可能である。
【0037】
また、レーザ光20をコンタクトレンズ22の内部26の所定の部位に集光するための集光レンズ18にあっても、特に限定されるものではなく、従来から集光レンズとして知られる各種レンズが採用され得るのである。
【0038】
加えて、上記実施形態においては、マーキング対象となる眼用レンズとして、PMMAにて形成されるコンタクトレンズ22について示したが、その他の樹脂材料からなるコンタクトレンズや眼内レンズにあっても、上記コンタクトレンズ22と同様にマーキングを実施することが可能である。また、レーザ装置10にあっても、上例のものに何等限定されるものでは決してなく、例えば、レーザ光源12から発振されるレーザ光を、複数のレーザビームに分岐し得るようにする等、種々なる変更を加えることが可能である。
【0039】
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0041】
先ず、マーキング対象たる眼用レンズとして、メチルメタクリレート及びトリメチルシリルプロピルメタクリレートを50:50(重量比)の割合において重合して得られる、100μm厚さの2枚のプレート(コンタクトレンズ)を準備した。なお、かかる2枚のコンタクトレンズのうちの一方のコンタクトレンズにあっては、重合の際、銅フタロシアニンを、0.005重量%の割合において添加、含有せしめることによって、グリーン系の着色を施した。また一方、レーザ光源として、チタンサファイアレーザを準備した。
【0042】
そして、かかるレーザ光源から発振されるレーザ光が、所定の位置に照射され得るように、コンタクトレンズを、三軸ピエゾ上に配置すると共に、かかるコンタクトレンズ内部に所定の深さで焦点を結ぶように調整した。なお、集光レンズとしては、100倍の倍率を有するレンズを用いた。
【0043】
かくして、レーザ光源から、パルス幅:150fs、中心波長:800nm、パルスエネルギー:0.05μJ/パルスのレーザ光を、パルス数が100パルスとなるように発振せしめた。そのようにして出射せしめられたレーザ光は、集光レンズによって、コンタクトレンズの内部の所定の部位に集光され、これによって、集光部における光子の密度が高められて、加工閾値を越えることとなり、かかる集光部に、略円球状の白化部が一つ、形成せしめられた。その後、かかるコンタクトレンズを移動せしめて、レーザ光をコンタクトレンズ内部に照射する操作を繰り返して、3μm間隔に15ヶ所、直線状のマークを形成することによって、マーキングを行なった。
【0044】
このようにしてマーキングが施されたコンタクトレンズは、何れも、鮮明なマークが現出しており、肉眼にて、マーク形状(ライン)を識別することが可能であった。また、そのようなマークを構成する白化部は、何れも、コンタクトレンズの厚さ方向におけるレンズ後面側から約32μm〜35μm、レンズ厚さの略1/3の深さの部位に形成されており、レンズ表面に凹凸部や、クラック等が発生していないことを確認した。加えて、染料(フタロシアニン化合物)にて緑色透明に着色されたコンタクトレンズにあっては、着色されていない無色透明のコンタクトレンズに比して、マークの識別がより簡単であることが、認められた。
【0045】
さらに、着色の施されていない無色透明のコンタクトレンズに対して、365nmの励起光を照射して、CCDカメラ(浜松ホトニクス社製)にて500nm〜700nmの光を検出したところ、マーク部から蛍光が発せられて、マーク形状を極めて容易に識別することが可能であった。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う眼用レンズのマーキング方法にあっては、樹脂材質の眼用レンズの内部に白化部を形成し、かかる白化部の少なくとも一部にて、マークを現出するようにしているところから、優れた装用感と安全性が、有利に実現されているのである。しかも、マーク部分に汚れやゴミ等が付着したり、眼用レンズの機械的強度が低下して破損し易くなる等といった問題も阻止され得るのである。
【0047】
また、眼用レンズのマーキング用のレーザ光として、パルス幅がフェムト秒域にある超短パルスレーザ光が採用されているところから、かかるレーザ光を集光せしめるべき部位を、精密に設定することが出来、レンズ表面を傷付けることなく、眼用レンズ内部の集光部近傍のみを加工することが出来るのである。加えて、集光部に形成される白化部の大きさを極めて小さくすることが可能であり、これによって、解像度の高い、鮮明且つ識別の極めて容易なマークを格別有利に形成することが可能となっているのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う眼用レンズのマーキング方法に用いられるマーキング装置としてのレーザ装置の一具体例を示す概略説明図である。
【図2】本発明に従って、眼用レンズにマーキングを施す工程の一具体例を示す説明図であって、(a)は、眼用レンズの縦断面説明図であり、(b)は、(a)の上面説明図である。
【図3】本発明に従って、マーキングの施された眼用レンズの平面説明図である。
【図4】図3に示されるマークの部分拡大説明図である。
【図5】本発明に従って、眼用レンズにマーキングを施す工程の別の具体例を示す、眼用レンズの縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 レーザ装置 12 光源
14 整形器 18 集光レンズ
20 レーザ光 22 コンタクトレンズ
24 表面 26 内部
28 白化部 30 集光部
32 レンズ前面 34 レンズ後面

Claims (7)

  1. 350nm〜380nmの励起光の照射によって500nm〜700nmの蛍光を生じ得るマークを、眼用レンズに付与する方法にして、メタクリル基又はアクリル基含有モノマーを重合成分として得られる重合体にて形成されている眼用レンズを用い、この樹脂材質の眼用レンズに対して、レーザのパルス幅がフェムト秒域にあるレーザ光を照射することにより、かかる眼用レンズの内部におけるレーザ光の集光部に白化部を形成せしめ、該白化部の少なくとも一つにて所定のマークを、前記波長の蛍光を生じ得るマークとして現出したことを特徴とする眼用レンズのマーキング方法。
  2. 前記マークが、前記眼用レンズの厚さ方向におけるレンズ中心からレンズ厚さの1/4の範囲内の領域に設けられている請求項1に記載の眼用レンズのマーキング方法。
  3. 前記マークが、前記眼用レンズの厚さ方向におけるレンズ中心からレンズ後面側にレンズ厚さの1/4の範囲内の領域に設けられている請求項1又は請求項2に記載の眼用レンズのマーキング方法。
  4. 前記マークが前記白化部の複数にて構成されていると共に、それら複数の白化部が、その少なくとも一方の端部側において、レンズ表面との間の距離を異ならしめてなる配置とされている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の眼用レンズのマーキング方法。
  5. 前記眼用レンズが、内部まで着色せしめられてなる着色レンズである請求項1乃至請求項4の何れかに記載の眼用レンズのマーキング方法。
  6. 前記着色が、染料にて実現されている請求項5に記載の眼用レンズのマーキング方法。
  7. 前記着色が、前記眼用レンズを構成する樹脂材料中に、フタロシアニン化合物及びアゾ系色素のうちの少なくとも一つを含有せしめることによって、実現されている請求項5又は請求項6に記載の眼用レンズのマーキング方法。
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