以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る動電型電気音響変換器1について説明する。なお、図1は、第1の実施形態に係る動電型電気音響変換器1の構造断面図である。図2は、動電型電気音響変換器1の一部を切り取った斜視図である。図3および図4については、後述にて説明する。図1において、動電型電気音響変換器1は、第1の磁極11、第2の磁極12、ヨーク13、ボイスコイル14、および振動板15を備える。なお、図2に示すように、振動方向から見た動電型電気音響変換器1の形状は、円形状である。また、第1の磁極11は本発明の第1の磁極部に、第2の磁極12は本発明の第2の磁極部にそれぞれ相当するものである。
第1の磁極11は、マグネット11aおよびマグネット11aの上面(磁極面)に固着されるプレート11bで構成される。第2の磁極12は、マグネット12aおよびマグネット12aの下面(磁極面)に固着されるプレート12bで構成される。プレート11bおよび12bは、マグネット以外の磁性体(例えば鉄など)である。なお、図2に示すように、第1の磁極11の形状は円柱状(柱状体)で構成され、第2の磁極12の形状はドーナツ状の環状体で構成される。
ここで、第2の磁極12は、第1の磁極11に対して動電型電気音響変換器1の前面側に位置する。また、第1の磁極11と第2の磁極12とは、それぞれの中心軸が一致するように配置される。さらに、第2の磁極12の内周形状(内径)は、第1の磁極11の外周形状(外径)より大きい。そして、第1の磁極11の上面と同じ位置に、もしくは上面より少なくとも動電型電気音響変換器1の前面側に第2の磁極12の下面が配置される。すなわち、第2の磁極12は、第1の磁極11から広がった斜め前面方向に位置し、第1の磁極11と第2の磁極12との間に磁気ギャップが形成されるように配置される。なお、第1の磁極11と第2の磁極12との間の磁気ギャップは、例えばそれぞれが対向する空間に渡って均一な寸法になるように形成されてもよい。
ヨーク13は、第1の磁極11の下面および第2の磁極12の上面をそれぞれ固設して、第1の磁極11および第2の磁極12を磁気的に結合して支持する。ここで、第1の磁極11の下面および第2の磁極12の上面は、本発明の一方の磁極面にそれぞれ相当するものである。ボイスコイル14は、円環形状を有し、振動板15に固着されて当該振動板15によって上記磁気ギャップ内に保持される。また、ボイスコイル14の内周形状(内径)は、第1の磁極11の外周形状(外径)よりも大きく構成される。ボイスコイル14の外周形状(外径)は、第2の磁極12の内周形状(内径)よりも小さく構成される。つまり、第2の磁極12の内周形状(内径)と第1の磁極11の外周形状(外径)との差は、ボイスコイル14の幅(つまり、ボイスコイル14の外径と内径との差)より大きく構成される。振動板15は、その外周がヨーク13に固設され、第1の磁極11、第2の磁極12、およびヨーク13の間に形成される空隙に位置するように配置される。また、振動方向から見た振動板15の形状は、円形状である。このようなボイスコイル14と第1の磁極11および第2の磁極12との形状および位置関係によって、振動板15が大きく振動してもボイスコイル14と第1の磁極11または第2の磁極12との接触を防止している。
ここで、図1に示すように、振動板15の中央部が外周部に対して凸形状となるようにボイスコイル14が振動板15に固着されている。具体的には、ボイスコイル14の内周形状より内側となる振動板15の中央部は凸形状を形成している。また、ボイスコイル14の外周形状より外側となる振動板15の外周部は、凹形状を形成している。つまり、振動板15は、第1の磁極11と対向する部位が凸形状となり、第2の磁極12と対向する部位が凹形状になっている。このような振動板15の形状によって、振動板15と第1の磁極11および第2の磁極12とが振動によって最も接触しにくい形状となり、従来と同じ厚さで動電型電気音響変換器を構成しても、同じ振幅余裕を確保しながらマグネット11aおよび12aを厚くすることができる。なお、このような効果を期待しない場合、振動板15を上述したような中凸形状に形成しなくてもかまわない。上述したように、ボイスコイル14と第1の磁極11または第2の磁極12とが接触しない構造となっているため、この構造だけでも同じ振幅余裕を確保しながらマグネット11aおよび12aを厚くすることができる。また、振動板15の中央部自体は、図1に示すように、その中心軸に向かって突起する形状を有する。これにより、振動板15の中央部の剛性が高くなり、高域再生に有利となる。
また、ボイスコイル14の外周形状より外側である振動板15の外周部には、図1に示すように、エッジ部15aが形成されている。このエッジ部15aによって、振動板15は上下方向に振動可能になる。このエッジ部15a自体の形状は、平板状であってもよいが、図1に示すように、断面がロール状となる形状であってもよい。エッジ部15a自体の形状を断面がロール状となる形状にすることで、振動板15の振幅に対する復元力がさらに線形となり、例えば再生音の歪がさらに低減し、音質を向上する効果が得られる。なお、図1に示すように、エッジ部15aは、その一部が少なくとも第2の磁極部12と対向するように形成されている。したがって、第2の磁極部12と対向する振動板15全体にエッジ部15aが形成されてもよい。また、エッジ部15aは、エッジ部15a以外の振動板15と一体で構成されてもよいし、エッジ部15a以外の振動板15と別体で構成されてもよい。
なお、マグネット11aおよびマグネット12aは、振動板15の振動方向に同極に(極性が同じ方向となるように)着磁されている。また、ヨーク13には、動電型電気音響変換器1の前面側に音を放射させるための音孔と、背面側に排圧用の音孔とが形成されている。以下、動電型電気音響変換器1の動作について説明する。
上述したように、第1の磁極11および第2の磁極12の間に磁気ギャップが形成されている。その磁気ギャップ内に位置するボイスコイル14に信号電流が流れると、その電流の大きさとボイスコイル位置における磁束密度との積に比例した駆動力が発生する。そして、その駆動力によって振動板15が振動することにより、音が放射される。このように、本実施形態に係る電気音響変換器は動電型である。つまり、本実施形態に係る電気音響変換器はボイスコイル14に直接、電気音響信号を印加する変換器であり、上述した電磁誘導型とは異なる変換器である。
ここで、従来の動電型電気音響変換器は、マグネットやヨークが振動板とボイスコイルを上下から挟み込むような構造であった。そのため、振動板の振動時にボイスコイルがマグネットおよびヨークに接触することを防止する必要があり、マグネットの厚さが制限されていた。しかしながら、本実施形態における動電型電気音響変換器1は、ボイスコイル14の内周が第1の磁極11の外周よりも大きく、ボイスコイル14の外周が第2の磁極12の内周よりも小さく構成されるため、振動板15が大きく振動してもボイスコイル14と第1の磁極11または第2の磁極12とが接触しない。また、振動板15と磁極(第1の磁極11および第2の磁極12)とが振動によって接触しにくい形状および位置に配置することにより、従来と同じ厚さで動電型電気音響変換器を構成しても、同じ振幅余裕を確保しながらマグネット11aおよび12aを厚くすることができる。その結果、ボイスコイル14の位置における磁束密度を大きくすることができる。また、マグネット11aおよび12aの厚みが増すことで、ネオジウムなどを用いた高エネルギー積マグネットを用いた場合でもパーミアンス係数が高くなり、従来よりも高温減磁に強くなる。すなわち、動電型電気音響変換器1の温度信頼性が向上する。
ここで、図3を参照して、本実施形態における第1の磁極11および第2の磁極12が構成する磁束の流れについて説明する。なお、図3は、本実施形態における磁気回路の一例を有限要素法によって磁場解析して、磁束の流れをベクトルによって表した図である。図3において、磁束はボイスコイル14を通り、振動方向に垂直な方向成分を持つ駆動用の磁束が形成されていることがわかる。このように、第1の磁極11と第2の磁極12とが、振動板15の振動方向に対して斜め方向の位置関係にあるため、マグネット11aおよびマグネット12aを当該振動方向に同極に着磁することによって、振動方向に垂直な方向成分を持つ駆動用の磁束を形成している。
また、図4は、磁気回路全体の厚さとマグネットの材料とがそれぞれ同一という条件の下で、図39に示す従来例の磁気回路と、図1に示す本実施形態の磁気回路との2つの磁気回路について、ボイスコイル位置での磁束密度を比較した図である。図4において、横軸は振動板15の振幅を表し、縦軸はボイスコイル位置の磁束密度を表す。本実施形態において説明した磁気回路構造をとることで、従来よりもボイスコイル位置での磁束密度が向上していることがわかる。
以上のように、本実施形態における動電型電気音響変換器は、同じ厚さの電気音響変換器であっても、より能率が高い電気音響変換器を提供できる。また、同じ能率であっても、より小型、薄型の電気音響変換器を提供できる。さらに、第1の磁極11および第2の磁極12の着磁方向は同じであるため、電気音響変換器を組み立てた後に着磁することが可能となる。その結果、2つのマグネットを逆方向に着磁する場合に比べて製造工数上有利となる。
なお、以上の説明では、振動方向から見た動電型電気音響変換器1、第1の磁極11、第2の磁極12、および振動板15の形状は円形状としたが、楕円形状であってもよい。
また、上述した動電型電気音響変換器1において、第1の磁極11は円柱状で構成されるとしたが、円筒状の柱状体で構成されてもよい。換言すれば、第1の磁極11は、図1に示した第1の磁極11の円柱状と同軸の貫通孔(中空孔)が形成された柱状体で構成されてもよい。さらに換言すれば、第1の磁極11は、その中央に空隙が形成された環状体で構成されてもよい。また、第1の磁極11の上面より動電型電気音響変換器1の背面側に第2の磁極12の下面が配置されてもよい。図5は、第1の磁極11の形状を同軸の貫通孔が形成された円柱状で構成し、第1の磁極11の上面より動電型電気音響変換器1の背面側に第2の磁極12の下面を配置した構造断面図である。第2の磁極12は、第1の磁極11と第2の磁極12との間に磁気ギャップが形成されるように配置される。またこのとき、図5に示すようにヨーク13には、上記第1の磁極部11に形成された貫通孔と同径の音孔が形成されている。
図5に示す構造は、第1の磁極11の同軸上に形成された貫通孔により、第1の磁極11の上面と振動板15の下面との間にある空気が特に抜けやすい構造となる。つまり、振動板15の下面の音が下方向に抜けやすくなる効果がある。また、第1の磁極11の上面より動電型電気音響変換器1の背面側に第2の磁極12の下面が配置される。つまり、図5に示す構造は、動電型電気音響変換器自体の厚みを同じとした場合に図1に示した構造と比べてマグネット11aおよびマグネット12aを厚くすることができる構造であるため、高能率の点で有利となる構造である。
また、動電型電気音響変換器1において、第1の磁極11のプレート11bを省略してもよい。図6は、上述した動電型電気音響変換器1において、プレート11bを省略した構造断面図である。図7は、プレート11bを省略した動電型電気音響変換器1の一部を切り取った斜視図である。図6および図7に示される動電型電気音響変換器1は、プレート11bが省略されていることにより、マグネット11aの動作点は下がるが、製造において材料、工数の面で有利となる。また、図6および図7において、第1の磁極11をマグネット11aで構成しているが、鉄等のマグネット以外の磁性体で構成してもよい。
また、動電型電気音響変換器1において、第2の磁極12のプレート12bを省略してもよい。図8は、上述した動電型電気音響変換器1において、プレート12bを省略した構造断面図である。図9は、プレート12bを省略した動電型電気音響変換器1の一部を切り取った斜視図である。図8および図9に示される動電型電気音響変換器1は、プレート12bが省略されていることにより、マグネット12aの動作点は下がるが、製造において材料、工数の面で有利となる。また、図8および図9において、第2の磁極12をマグネット12aで構成しているが、鉄等のマグネット以外の磁性体で構成してもよい。
さらに、動電型電気音響変換器1において、第1の磁極11のプレート11bおよび第2の磁極12のプレート12bを共に省略してもよい。図10は、上述した動電型電気音響変換器1において、プレート11bおよびプレート12bを省略した構造断面図である。図11は、プレート11bおよびプレート12bを省略した動電型電気音響変換器1の一部を切り取った斜視図である。図10および図11に示される動電型電気音響変換器1は、プレート11bおよびプレート12bが省略されていることにより、マグネット11aおよびマグネット12aの動作点は下がるが、製造において材料、工数の面で有利となる。また、図10および図11において、第1の磁極11はマグネット11aで、第2の磁極12はマグネット12aでそれぞれ構成しているが、いずれか一方の磁極のマグネットを鉄等のマグネット以外の磁性体で構成してもよい。
このように、第1の実施形態に係る動電型電気音響変換器によれば、第2の磁極12の内周形状は第1の磁極11の外周形状より大きく、第2の磁極12は第1の磁極11から広がった斜め前面方向に位置し、第1および第2の磁極が振動板の振動方向に重なり合わない構造となる。そして、振動板を第1および第2の磁極から振幅余裕だけ離れるような形状とすることで、従来と同じ厚さの動電型電気音響変換器を実現する場合において、従来に比べてマグネットの振動方向の厚みを厚くすることができる。その結果、ボイスコイル位置における磁束密度が向上し、従来と同じ厚さでも高能率の動電型電気音響変換器を実現することができる。
また、第1の実施形態に係る動電型電気音響変換器によれば、ボイスコイルの内周形状は第1の磁極の外周形状よりも大きく、ボイスコイルの外周形状は第2の磁極の内周形状よりも小さい構造となる。これにより、ボイスコイルの振動方向に第1および第2の磁極が存在しないため、振動板を第1および第2の磁極から振幅余裕だけ離れるような形状とすることで、マグネットの振動方向の厚みをさらに厚くすることができる。つまり、従来では、マグネット、ヨーク、およびボイスコイルが、振動板振動方向に重なり合う構成であったためにマグネット厚さが制限されていたのに対し、ボイスコイルおよびマグネットが厚さ方向に重なり合わない構造とし、振動板の形状を振動板振動時に第1および第2の磁極と接触しにくい形状とすることによって、マグネットをさらに厚くすることができる。これにより、ボイスコイル位置における磁束密度がさらに向上し、薄くても能率の高い電気音響変換器が実現できる。なお、このようなボイスコイルの形状による効果を期待しない場合には、ボイスコイルの内周形状が第1の磁極の外周形状よりも小さい、および/または、ボイスコイルの外周形状が第2の磁極の内周形状よりも大きい構造であってもよい。
さらに、マグネットが厚くなることで、一般的に小型薄型スピーカに使われているネオジウムを原料としたマグネットは、パーミアンス係数が増加し高温減磁に強くなる。したがって、温度信頼性を向上、もしくは同じ温度信頼性を維持しながら、よりエネルギー積の高いマグネットを用いることも可能となる。このことにより、さらにボイスコイル位置における磁束密度を向上でき、より能率のよい小型、薄型の電気音響変換器が実現できる。
また、第1の磁極と第2の磁極とが同極の極性を有するため、第1の磁極と第2の磁極とを双方ともマグネットを含む磁性体で構成された場合でも、電気音響変換器を組み立てた後に着磁することが可能で、2つのマグネットを逆方向に着磁する場合に比べて製造上有利となる。
また、第1の実施形態に係る動電型電気音響変換器は、磁気ギャップ中の磁束密度を低下させる原因となる駆動用1次コイル314を用いる電磁誘導型ではないので、当該電磁誘導型と同じ厚さにした場合に、電磁誘導型に比べて磁気ギャップの磁束密度を向上させることができる。
(第2の実施形態)
図12および図13を参照して、本発明の第2の実施形態に係る動電型電気音響変換器2について説明する。なお、図12は、第2の実施形態に係る動電型電気音響変換器2の構造断面図である。図13は、動電型電気音響変換器2の一部を切り取った斜視図である。図12において、動電型電気音響変換器2は、第1の磁極21、第2の磁極22、ヨーク23、ボイスコイル24、および振動板25を備える。なお、図13に示すように、振動方向から見た動電型電気音響変換器2の形状は、矩形である。また、第1の磁極21は本発明の第1の磁極部に、第2の磁極22は本発明の第2の磁極部にそれぞれ相当するものである。
第1の磁極21は、マグネット21aおよびマグネット21aの上面に固着されるプレート21bで構成される。第2の磁極22は、マグネット22aおよびマグネット22aの下面に固着されるプレート22bで構成される。プレート21bおよび22bは、マグネット以外の磁性体(例えば鉄など)である。なお、図13に示すように、第1の磁極21の形状は直方体(柱状体)で構成され、第2の磁極22の形状は直方体の中央部に矩形の開口部が形成された環状体で構成される。
ここで、第2の磁極22は、第1の磁極21に対して動電型電気音響変換器2の前面側に位置する。また、第1の磁極21と第2の磁極22とは、それぞれの中心軸が一致するように配置される。さらに、第2の磁極22の内周形状(開口部の内辺長さ)は、第1の磁極21の外周形状(上記中心軸に平行な辺を除いた外辺長さ)より大きい。そして、第1の磁極21の上面と同じ位置に、もしくは上面より少なくとも動電型電気音響変換器2の前面側に第2の磁極22の下面が配置される。すなわち、第2の磁極22は、第1の磁極21から広がった斜め前面方向に位置し、第1の磁極21と第2の磁極22との間に磁気ギャップが形成されるように配置される。なお、第1の磁極21と第2の磁極22との間の磁気ギャップは、例えば全周に渡って均一な寸法になるように形成されている。
ヨーク23は、第1の磁極21の下面および第2の磁極22の上面をそれぞれ固設して、第1の磁極21および第2の磁極22を磁気的に結合して支持する。ここで、第1の磁極21の下面および第2の磁極22の上面は、本発明の一方の磁極面にそれぞれ相当するものである。ボイスコイル24は、矩形の枠形状を有し、振動板25に固着されて当該振動板25によって上記磁気ギャップ内に保持される。また、ボイスコイル24の内周形状(内辺)は、第1の磁極21の外周形状(ボイスコイル24の内辺と対向する外辺)よりも大きく構成される。ボイスコイル24の外周形状(外辺)は、第2の磁極22の内周形状(ボイスコイル24の外辺と対向する内辺)よりも小さく構成される。つまり、第2の磁極22の内周形状(内辺)と第1の磁極21の外周形状(第2の磁極12の内辺と対向する外辺)との差は、ボイスコイル24枠幅より大きく構成される。振動板25は、その外周がヨーク23に固設され、第1の磁極21、第2の磁極22、およびヨーク23の間に形成される空隙に位置するように配置される。また、振動方向から見た振動板25の形状は、矩形である。また、振動板25には、上述した振動板15のエッジ部15aと同様のエッジ部25aが形成されている。
なお、マグネット21aおよびマグネット22aは、振動板25の振動方向に同極に着磁されている。また、ヨーク23には、動電型電気音響変換器2の前面側に音を放射させるための音孔と、背面側に排圧用の音孔とが形成されている。
なお、第2の実施形態に係る動電型電気音響変換器2は、第1の実施形態で説明した動電型電気音響変換器1に対して形状が異なるのみであり、動電型電気音響変換器2の動作は動電型電気音響変換器1の動作と同様であるので詳細な説明を省略する。また、第2の実施形態に係る動電型電気音響変換器2は、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
ここで、動電型電気音響変換器2の振動方向から見た外形状、第1の磁極21、第2の磁極22、および振動板25の形状は、矩形である。一般的に、電子機器の筐体内部には矩形空間が多い。したがって、動電型電気音響変換器2の振動方向から見た形状が矩形であるため、電子機器内部の空間に無駄なく搭載することができる。すなわち、動電型電気音響変換器2は、円形状の動電型電気音響変換器1に比べ、同一空間内における空間利用率が向上する。また、振動板25の形状も矩形であるため、同一空間内における振動板の面積を多く確保できる。すなわち、動電型電気音響変換器2の振動板25の面積を多く確保した分だけ、能率を向上させることができる。
なお、第1の実施形態と同様に、動電型電気音響変換器2のプレート21bおよび22bの少なくとも一方を省略してもよい。また、第1の磁極21がマグネット21aおよび第2の磁極22がマグネット22aを含んでいるが、何れか一方の磁極のマグネットが鉄等のマグネット以外の磁性体で構成されてもよい。
また、動電型電気音響変換器2の振動方向から見た外形状、第1の磁極21、第2の磁極22、および振動板25の形状を矩形としたが、その他の多角形形状であってもよい。また、電子部品筐体内部の形状や用途にあわせた形状であってもよい。例えば、平行に向かい合う2辺が他の2辺に比べて極端に短くなる細長い四角形形状であってもよい。また、例えば多角形形状の角や辺の全体、または一部に丸みをもつ形状であってもよい。
また、上述した動電型電気音響変換器2において、第1の磁極21は直方体で構成されるとしたが、図14および図15に示すように矩形の枠形状であってもよい。換言すれば、第1の磁極21は、図12および図13に示した第1の磁極21の直方体に対して同軸の矩形の貫通孔(中空孔)が形成された柱状体で構成されてもよい。さらに換言すれば、第1の磁極21は、矩形の空隙が形成された環状体で構成されてもよい。図14は、第1の磁極21の形状が枠形状となる構成を示す動電型電気音響変換器2の構造断面図である。図15は、第1の磁極21の形状が枠形状となる構成を示す動電型電気音響変換器2の一部を切り取った斜視図である。第2の磁極22は、第1の磁極21と第2の磁極22との間に磁気ギャップが形成されるように配置される。またこのとき、図14に示すようにヨーク23には、上記第1の磁極部21に形成された貫通孔と同径の音孔が形成されている。図14および図15に示す構造は、第1の磁極21の同軸上に形成された貫通孔により、第1の磁極21の上面と振動板25の下面との間にある空気が特に抜けやすい構造となる。つまり、図14および図15に示される構造は、振動板15の下面の音が下方向に抜けやすくなるという効果を発揮する。
(第3の実施形態)
図16および図17を参照して、本発明の第3の実施形態に係る動電型電気音響変換器3について説明する。なお、図16は、第3の実施形態に係る動電型電気音響変換器3の構造断面図である。図17は、動電型電気音響変換器3の一部を切り取った斜視図である。図16において、動電型電気音響変換器3は、第1の磁極31、第2の磁極32、ヨーク33、ボイスコイル34、および振動板35を備える。なお、図17に示すように、振動方向から見た動電型電気音響変換器3の形状は、矩形の対向する2辺のみが半円で形成されるレーストラックのような形状(以下、トラック形状と記載する)である。また、第1の磁極31は本発明の第1の磁極部に、第2の磁極32は本発明の第2の磁極部にそれぞれ相当するものである。
第1の磁極31は、マグネット31aおよびマグネット31aの上面に固着されるプレート31bで構成される。第2の磁極32は、マグネット32aおよびマグネット32aの下面に固着されるプレート32bと、マグネット32cおよびマグネット32cの下面に固着されるプレート32dで構成される。プレート31b、32b、および32dは、マグネット以外の磁性体(例えば鉄など)である。なお、図17に示すように、第1の磁極31の形状は直方体(柱状体)である。また、第2の磁極32の形状は、トラック形状の柱状体の中央部に矩形の開口部が形成された環状体から曲枠部を取り除いた2つの直方体(マグネット32aおよびプレート32bとマグネット32cおよびプレート32d)で構成される。
ここで、第2の磁極32は、第1の磁極31に対して動電型電気音響変換器3の前面側に位置する。また、第2の磁極32を構成する2つの直方体は、第1の磁極31の長辺に対向する位置にそれぞれ配置される。換言すれば、第2の磁極32を構成するトラック形状の環状体と第1の磁極31との中心軸が一致するように配置される。さらに、第2の磁極32の環状体の内周形状(開口部の短内辺)は、第1の磁極31の外周形状(第2の磁極32の短い内辺に対向する短外辺)より大きい。そして、第1の磁極31の上面と同じ位置に、もしくは上面より少なくとも動電型電気音響変換器3の前面側に第2の磁極32の下面が配置される。すなわち、第2の磁極32を構成する2つの直方体は、第1の磁極31から広がった斜め前面方向にそれぞれ位置し、第1の磁極31と第2の磁極32を構成する2つの直方体との間に磁気ギャップが形成されるように配置される。なお、第1の磁極31と第2の磁極32との間の磁気ギャップは、例えばそれぞれが対向する空間に渡って均一な寸法になるように形成されていてもよい。
ヨーク33は、第1の磁極31の下面および第2の磁極32の上面をそれぞれ固設して、第1の磁極31および第2の磁極32を磁気的に結合して支持する。ここで、第1の磁極31の下面および第2の磁極32の上面は、本発明の一方の磁極面にそれぞれ相当するものである。ボイスコイル34は、矩形の枠形状を有し、振動板35に固着されてその2辺が上記磁気ギャップ内に保持される。また、ボイスコイル34の内周形状(内辺)は、第1の磁極31の外周形状(ボイスコイル34の内辺と対向する外辺)よりも大きく構成される。ボイスコイル34の外周形状(外辺の内、2つの短外辺)は、第2の磁極32の環状体の内周形状(ボイスコイル34の短外辺と対向する短内辺)よりも小さく構成される。つまり、第2の磁極32の内周形状(短内辺)と第1の磁極31の外周形状(第2の磁極32の短内辺と対向する短外辺)との差は、ボイスコイル34枠幅より大きく構成される。つまり、本実施形態の構造は、図16で示すように、ボイスコイル34が振動方向において、第1の磁極31および第2の磁極32と接触しない構造となる。振動板35は、その外周がヨーク33に固設され、第1の磁極31、第2の磁極32、およびヨーク33の間に形成される空隙に位置するように配置される。また、振動方向から見た振動板35の形状は、トラック形状である。また、振動板35には、上述した振動板15のエッジ部15aと同様のエッジ部35aが形成されている。
なお、マグネット31a、マグネット32a、およびマグネット32cは、振動板35の振動方向に同極に着磁されている。また、ヨーク33には、動電型電気音響変換器3の前面側に音を放射させるための音孔と、背面側に排圧用の音孔とが形成されている。
なお、第3の実施形態に係る動電型電気音響変換器3は、第1の実施形態で説明した動電型電気音響変換器1に対して形状が異なるのみであり、動電型電気音響変換器3の動作は動電型電気音響変換器1の動作と同様であるので詳細な説明を省略する。また、第3の実施形態に係る動電型電気音響変換器3は、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
ここで、本実施形態に係る動電型電気音響変換器3の振動方向から見た外形状および振動板35の形状は、トラック形状である。すなわち、動電型電気音響変換器3および振動板35が円形状ではないので、第2の実施形態と同様に空間利用効率が上がる。さらに、第2の実施形態で説明した矩形では角の部分でエッジのスティフネスが高くなってしまうのに対し、第3の実施形態では曲線で構成することで全体のスティフネスをバランス良くすることができる。したがって、第3の実施形態では、矩形の振動板に比べて角の部分の振動が容易となることで、低音域での歪みが少ない電気音響変換器が実現される。
なお、第1の実施形態と同様に、動電型電気音響変換器3のプレート31bとプレート32bおよびプレート32dとの少なくとも一方を省略してもよい。また、第1の磁極31がマグネット31aを含み、第2の磁極32がマグネット32aおよび32cを含んでいるが、何れか一方の磁極のマグネットが鉄等のマグネット以外の磁性体で構成されてもよい。
また、上述の第1の磁極31は1つの直方体で構成されるとしたが、図18および図19に示すように、その中央部に空間を設けるように第1の磁極31が2つの直方体(マグネット31aおよびプレート31bとマグネット31cおよびプレート31d)で構成されてもよい。換言すれば、図16および図17で示した柱状体で形成される第1の磁極31に対して、振動方向と垂直な方向の長辺と同じ方向の直線であって振動方向の中心軸を交点とした直線を中心線とする貫通孔を形成してもよい。図18は、第1の磁極31を2つの直方体(2つの柱状体)で構成した場合の動電型電気音響変換器3の構造断面図である。図19は、第1の磁極31を2つの直方体(2つの柱状体)で構成した場合の動電型電気音響変換器3の一部を切り取った斜視図である。このとき、図18に示すようにヨーク33には、上記第1の磁極部31における2つの直方体の間に形成された貫通孔と同じ外径の音孔が形成されている。第1の磁極31を2つの直方体で構成することで、第1の磁極31の上面と振動板35の下面との間にある空気が特に抜けやすい構造となる。つまり、振動板35の下面の音が下方向に抜けやすくなる効果がある。
(第4の実施形態)
図20および図21を参照して、本発明の第4の実施形態に係る動電型電気音響変換器4について説明する。なお、図20は第4の実施形態に係る動電型電気音響変換器4の平面図、図21は第4の実施形態に係る動電型電気音響変換器4の構造断面図である。図20において、動電型電気音響変換器4の形状は円形状である。図21において、動電型電気音響変換器4は、第1のマグネット41、第2のマグネット42、ヨーク43、ボイスコイル44、および振動板45を備える。さらに第1のマグネット41と第2のマグネット42によって、磁気ギャップ47が構成される。第1のマグネット41は円柱形状である。第2のマグネット42はドーナツ状の環状体である。また、第1のマグネット41は本発明の第1の磁極部に、第2のマグネット42は本発明の第2の磁極部にそれぞれ相当するものである。
ここで、第2のマグネット42は、第1のマグネット41に対して動電型電気音響変換器4の前面側に位置する。また、第1のマグネット41と第2のマグネット42とは、それぞれの中心軸が一致するように配置される。さらに、第2のマグネット42の内径は、第1のマグネット41の外径より大きい。ヨーク43は、第1のマグネット41の下面および第2のマグネット42の外周側の磁極面をそれぞれ固設して、第1のマグネット41および第2のマグネット42を磁気的に結合して支持する。ボイスコイル44は、図19に示すように円環形状を有し、振動板45に固着されて当該振動板45によって磁気ギャップ47内に保持される。また、ボイスコイル44の内径は、第1のマグネット41の外径よりも大きく構成される。ボイスコイル44の外径は、第2のマグネット42の内径よりも小さく構成される。振動板45は、その外周がヨーク43に固設され、第1のマグネット41、第2のマグネット42、およびヨーク43の間に形成される空隙に位置するように配置される。また、振動方向から見た振動板45の形状は、円形状である。また、振動板45には、上述した振動板15のエッジ部15aと同様のエッジ部45aが形成されている。このようなボイスコイル44と第1のマグネット41および第2のマグネット42との形状および位置関係によって、振動板45が大きく振動してもボイスコイル44と第1のマグネット41または第2のマグネット42との接触を防止している。
ここで、図21に示すように、振動板45の中央部が外周部に対して凸形状となるようにボイスコイル44が固着されている。具体的には、ボイスコイル44の内周形状より内側となる振動板45の中央部は凸形状を形成している。また、ボイスコイル44の外周形状より外側となる振動板45の外周部は、凹形状を形成している。このような振動板45の形状によって、振動板45と第1のマグネット41および第2のマグネット42とが振動によって最も接触しにくい形状となり、従来と同じ厚さで動電型電気音響変換器を構成しても、同じ振幅余裕を確保しながら第1のマグネット41および第2のマグネット42を厚くすることができる。
なお、第1のマグネット41は、振動板45の振動方向に着磁されており、第2のマグネット42は周方向(振動方向に対し、垂直方向)に着磁されている。また、ヨーク43には、動電型電気音響変換器4の前面側に音を放射させるための音孔と、背面側に排圧用の音孔とが形成されている。以下、動電型電気音響変換器4の動作について説明する。
上述したように、第1のマグネット41および第2のマグネット42の間に磁気ギャップ47が形成されている。その磁気ギャップ47内に位置するボイスコイル44に信号電流が流れると、その電流の大きさとボイスコイル位置における磁束密度との積に比例した駆動力が発生する。そして、その駆動力によって振動板45が振動することにより、音が放射される。
第4の実施形態における動電型電気音響変換器4は、第1の実施形態と同様に、第2のマグネット42の内径が第1のマグネット41の外径より大きく構成され、またボイスコイル44の内周が第1のマグネット41の外周よりも大きく、ボイスコイル44の外周が第2のマグネット42の内周よりも小さく構成されるため、振動板45が大きく振動してもボイスコイル44と第1のマグネット41または第2のマグネット42とが接触しない。また、振動板45は第1のマグネット41および第2のマグネット42に対し、振動によって接触しにくい形状および位置に配置している。さらに第4の実施形態では、第2のマグネット42の着磁方向が周方向であるため、第1の実施形態では第2の磁極12上面に固設されたヨーク13が、第2のマグネット42の外周側の磁極面に固設される。その結果、ヨークの厚み分、さらに薄型化することが可能になる。また第1の実施形態と同じ厚みで動電型電気音響変換器を構成した場合は、第2のマグネット42の厚みを厚くすることができる。また、第2のマグネット42の厚みを増すことで、磁束密度が大きくなるとともに、ネオジウムなどを用いた高エネルギー積マグネットを用いた場合でもパーミアンス係数が高くなり、高温減磁に強くなる。
ここで、図22を参照して、第4の実施形態における第1のマグネット41および第2のマグネット42が構成する磁束の流れについて説明する。なお、図22は、第4の実施形態における磁気回路の一例を有限要素法によって磁場解析して、磁束ベクトルを示した図である。図22において、ボイスコイル44上で振動方向に垂直な方向成分を持つ磁束が形成されていることがわかる。このように、第1のマグネット41を振動方向に、第2のマグネット42を周方向に着磁することによって、振動方向に垂直な方向成分を持つ駆動用の磁束を形成している。
なお、第4の実施形態では、第1のマグネット41、第2のマグネット42、振動板45の形状は円形状であったが、楕円形状でもよい。その結果、搭載する機器に適した形状を持つ電気音響変換器が実現できる。
また、第1のマグネット41の上面よりも第2のマグネット42の下面の方が前面方向に位置していたが、同平面上、もしくは第1のマグネット41の方が前面方向に位置してもよい。
また、図23に示すように、第1のマグネット41の上面に第1のプレート48を、第2のマグネット42の内周側の磁極面に第2のプレート49を設けてもよい。図23は、図21に示す動電型電気音響変換器4において、プレート48および49が付加され、第1のマグネット41に貫通孔がある場合の構造断面図である。プレート48および49は、マグネット以外の磁性体(例えば鉄など)である。図23に示す動電型電気音響変換器4では、プレートを設けることによって磁束を集中させることができ、より最適な位置にボイスコイルを設けることができる。図23では、第1のマグネット41と第2のマグネット42ともにプレートを設けたが、目標とする電気音響変換器の厚みや能率によって、片方のマグネットのみにプレートを設けてもよい。
また、第4の実施形態では、円柱形状のマグネットを第1のマグネット41に用いたが、図23に示すように中央部に貫通孔がある円筒形状でもよい。つまり、中央に空隙が形成された環状体のマグネットでもよい。第1のマグネット41の下部にあるヨークの同位置に同じく貫通孔を設けることで、振動板の下側の空気を抜きやすくなる。
(第5の実施形態)
図24および図25を参照して、本発明の第5の実施形態に係る動電型電気音響変換器5について説明する。なお、図24は第5の実施形態に係る動電型電気音響変換器5の平面図、図25は第5の実施形態に係る動電型電気音響変換器5の構造断面図である。図25において、動電型電気音響変換器5は、第1のマグネット51、第2のマグネット52、ヨーク53、ボイスコイル54、および振動板55を備える。なお、図24に示すように、振動方向から見た動電型電気音響変換器5の形状は、矩形である。また、第1のマグネット51は直方体(柱状体)形状のマグネットで構成され、第2のマグネット52は2つの直方体形状のマグネットで構成される。また、第1のマグネット51は本発明の第1の磁極部に、第2のマグネット52は本発明の第2の磁極部にそれぞれ相当するものである。
ここで、第2のマグネット52は、図25に示すように、第1のマグネット51に対して動電型電気音響変換器5の前面側に位置する。また、第2のマグネット52は、第1のマグネット51の中心軸を基準として対称な位置に、第1のマグネット51の長辺に対向して配置される。そして、第1のマグネット51の上面と同じ位置に、もしくは上面より動電型電気音響変換器5の前面側に第2のマグネット52の下面が配置される。なお、第1のマグネット51と第2のマグネット52との間の磁気ギャップ57は、第1のマグネット51の長辺部に沿って均一な寸法になるように形成されている。
ヨーク53は、第1のマグネット51の下面および第2のマグネット52の外径側の磁極面をそれぞれ固設して、第1のマグネット51および第2のマグネット52を磁気的に結合して支持する。ボイスコイル54は、図24に示すように矩形の枠形状を有し、振動板55に固着されて当該振動板55によって上記磁気ギャップ57内に保持される。また、ボイスコイル54の内周形状(内辺)は、第1のマグネット51の外周形状(ボイスコイル54の内辺と対向する外辺)よりも大きく構成される。ボイスコイル54の外周形状(外辺)は、第2のマグネット52の内周形状(ボイスコイル54の外辺と対向する内辺)よりも小さく構成される。つまり、本実施形態の構造は、図25で示すように、ボイスコイル54が振動方向において、第1のマグネット51および第2のマグネット52と接触しない構造となる。振動板55は、その外周がヨーク53に固設され、第1のマグネット51、第2のマグネット52、およびヨーク53の間に形成される空隙に位置するように配置される。また、振動方向から見た振動板55の形状は、矩形である。また、振動板55には、上述した振動板15のエッジ部15aと同様のエッジ部55aが形成されている。
なお、第1のマグネット51は振動方向に着磁され、第2のマグネット52は、振動方向に対して垂直方向(外周方向)に着磁されている。また、ヨーク53には、動電型電気音響変換器5の前面側に音を放射させるための音孔と、背面側に排圧用の音孔とが形成されている。
なお、第5の実施形態に係る動電型電気音響変換器5は、第4の実施形態で説明した動電型電気音響変換器4に対して形状が異なるのみであり、動電型電気音響変換器5の動作は動電型電気音響変換器4の動作と同様であるので詳細な説明を省略する。また、第5の実施形態に係る動電型電気音響変換器5は、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
ここで、動電型電気音響変換器5の振動方向から見た外形状、第1のマグネット51、第2のマグネット52、および振動板55の形状は、矩形である。一般的に、電子機器の筐体内部には矩形空間が多い。したがって、動電型電気音響変換器5の振動方向から見た形状が矩形であるため、電子機器内部の空間に無駄なく搭載することができる。すなわち、動電型電気音響変換器5は、円形状の動電型電気音響変換器4に比べ、同一空間内における空間利用率が向上する。また、振動板55の形状も矩形であるため、有効面積を多く確保できる。すなわち、動電型電気音響変換器5は振動板55の有効面積が大きい分だけ、能率を向上させることができる。
また、第4の実施形態と同様に、第1のマグネット51の上面よりも第2のマグネット52の下面の方が前面方向に位置していたが、同平面上、もしくは第1のマグネット51の方が前面方向に位置してもよい。
また、第4の実施形態と同様に、第1のマグネット51の上面に第1のプレートを、第2のマグネット52の内周側の磁極面に第2のプレートを設けてもよい。プレートを設けることにより、磁束を集中させることができ、より最適な位置にボイスコイルを設けることができる。その場合、目標とする電気音響変換器の厚みや能率によって、片方のマグネットのみにプレートを設けてもよい。
また、1つの直方体形状のマグネットを第1のマグネット51に用いたが、中央部に空間を設けるように2つの直方体形状マグネットで構成してもよい。第1のマグネット51の下部にあるヨークの同位置に貫通孔を設けることで、振動板の下側の空気を抜きやすくなる。
また、第2のマグネット52を2つの直方体形状のマグネットで構成したが、1つの環状体マグネットで構成してもよい。例えば図13に示したマグネット22aのような環状体形状である。この場合、短径方向のボイスコイル上においても長径方向と同様に駆動力が発生するために能率を向上させることができる。
また、第2のマグネット52において、短径方向のボイスコイルに対向した位置にさらに2つのマグネットを設け、4つのマグネットにより略環状体マグネットを構成してもよい。この場合も、短径方向のボイスコイル上に長径側同様、駆動力が発生するために能率が上がる。このように複数個で第2のマグネット52を構成することで、着磁が困難なマグネット形状を実現することが可能になる。
また、動電型電気音響変換器5の振動方向から見た外形状、第1のマグネット51、第2のマグネット52、および振動板55の形状を矩形としたが、その他の多角形形状であってもよい。また、電子部品筐体内部の形状や用途にあわせた形状であってもよい。例えば、平行に向かい合う2辺が他の2辺に比べて極端に短くなる細長い四角形形状であってもよい。また、例えば多角形形状の角や辺の全体、または一部に丸みをもつ形状であってもよい。
(第6の実施形態)
図26〜図29を参照して、本発明の第6の実施形態に係る動電型電気音響変換器6について説明する。なお、図26は、第6の実施形態に係る動電型電気音響変換器6の平面図、図27は構造断面図、図28は第1のマグネット、第2のマグネットおよびヨークの1/4モデルの斜視図、図29は振動板の斜視図である。図27において、動電型電気音響変換器6は、第1のマグネット61、第2のマグネット62、ヨーク63、ボイスコイル64、および振動板65を備える。なお、図26に示すように、振動方向から見た動電型電気音響変換器6の形状は、トラック形状である。また、第1のマグネット61は本発明の第1の磁極部に、第2のマグネット62は本発明の第2の磁極部にそれぞれ相当するものである。
第6の実施形態の磁気回路構造は、第1のマグネット61、第2のマグネット62およびボイスコイル64に関しては、第5の実施形態と同様で、第1のマグネット61は直方体形状、また第2のマグネット62は、トラック形状の柱状体の中央部に矩形の開口部が形成された環状体から曲枠部を取り除いた形状の2つの直方体マグネットで構成される。さらにボイスコイル64は矩形形状で、振動板65に固着されて磁気ギャップ67内に保持される。また、ボイスコイル64の内周形状は、第1のマグネット61の外周形状よりも大きく構成され、ボイスコイル64の外周形状は、第2のマグネット62の内周形状よりも小さく構成されることも同様である。また第1のマグネット61と第2のマグネット62の着磁方向もそれぞれ振動方向および振動方向に対し垂直方向であることも同様である。
ヨーク63と振動板65に関しては、上述した第5の実施形態と異なる。ヨーク63と振動板65の外形形状はトラック形状である。また、図27および図28に示すように、ヨーク63は、第1のマグネット61の長辺部分の外周側かつ第2のマグネット62に対向した部分が切り欠かれている。つまり、ヨーク63には、第2のマグネット62と対向する部分に開口部63hが形成されている。この開口部63hは、第2のマグネット62と対向する部分を少なくとも含む大きさで形成されている。なお、ヨーク63が第1のマグネット61の下面と第2のマグネット62の外周側の磁極面とを磁気的に結合して支持することは上述した第5の実施形態と同様である。しかし、図28に示すように、第5の実施形態では上記開口部63hを流れていた磁束が、第6の実施形態では矢印で示した部分のヨーク63を流れる。このように第6の実施形態と第5の実施形態とでは、磁路が異なる。また図29に示すように振動板65は、ボイスコイル64より外周側部分であるエッジ部がヨーク63形状に合わせて形成されている。つまり、エッジ部の下面にヨーク63が存在しないエッジ部65aは、上面から見て凹形状(開口部63h側に凸形状)を形成する。エッジの下面にヨーク63が存在するエッジ部65bは、上面から見て凸形状(エッジの下面にあるヨーク63側に凹形状)を形成する。なお、当該エッジ部65aおよび65bは、当該エッジ部65aおよび65b以外の振動板65と一体の構成であってもよいし、別体の構成であってもよい。
なお、第6の実施形態に係る動電型電気音響変換器6は、第4の実施形態で説明した動電型電気音響変換器4に対して各構成部の形状が異なるのみであり、動電型電気音響変換器6の動作は動電型電気音響変換器4の動作と同様であるので詳細な説明を省略する。また、第6の実施形態に係る動電型電気音響変換器6は、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
ここで、本実施形態に係る動電型電気音響変換器6の振動方向から見た外形状および振動板65の形状は、トラック形状である。すなわち、動電型電気音響変換器6および振動板65が円形状ではないので、第5の実施形態と同様に空間利用効率が上がる。さらに、第5の実施形態で説明した矩形では角の部分でエッジのスティフネスが高くなってしまうのに対し、第6の実施形態では曲線で構成することで全体のスティフネスをバランス良くすることができる。したがって、第6の実施形態では、矩形の振動板に比べて角の部分の振動が容易となることで、低音域での歪みが少ない電気音響変換器が実現される。
さらに第6の実施形態では、第2のマグネット62に対向する部分のヨーク63を切り欠き、対向する第2のマグネット62のない部分のヨーク63は切り欠かず、磁路の一部となっている。またそれに対応して、振動板65の短径側のエッジは振動方向に凹型形状、長径側のエッジは凸型形状とし、それぞれ第2のマグネット62とヨーク63に接触しない構成になっている。その結果、第2のマグネット62をヨーク63の厚み分、下方向に設けることができるため、第1のマグネット61と第2のマグネット62の距離が近くなり、磁気ギャップ67に発生する磁束密度が大きくなる。したがって薄型でも高能率な電気音響変換器が可能になる。
なお、第6の実施形態では、第1のマグネット61の上面と第2のマグネット62の下面が、同平面上に位置していたが、どちらかが前面方向に位置するように設けてもよい。
また、第4の実施形態と同様に、第1のマグネット61の上面に第1のプレートを、第2のマグネット62の内周側の磁極面に第2のプレートを設けてもよい。プレートを設けることにより、磁束を集中させることができ、より最適な位置にボイスコイルを設けることができる。その場合、目標とする電気音響変換器の厚みや能率によって、片方のマグネットのみにプレートを設けてもよい。
また、1つの直方体形状のマグネットを第1のマグネット61に用いたが、中央部に空間を設けるように2つの直方体形状マグネットで構成してもよい。第1のマグネット61の下部にあるヨーク63の同位置に貫通孔を設けることで、振動板の下側の空気を抜きやすくなる。
また、ボイスコイルの形状を矩形形状としたが、振動板形状と同様にトラック形状でもよい。
(第7の実施形態)
図30〜図32を参照して、本発明の第7の実施形態に係る動電型電気音響変換器7について説明する。図30は、第7の実施形態に係る動電型電気音響変換器7の構造断面図である。図31および図32については、後述にて説明する。図30において、動電型電気音響変換器7は、第1の磁極11、第2の磁極12、ヨーク73、ボイスコイル14、および振動板15を備える。ここで、第1の磁極11、第2の磁極12、ボイスコイル14、および振動板15は、上述した第1の実施形態の各構成部と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
動電型電気音響変換器7は、図30に示すように、上述した動電型電気音響変換器1に対して、ヨークの構造が異なる変換器である。具体的には、ヨーク73は、第2の磁極12が固着されている部分において、第2の磁極12の内径より内側に張り出した構造となる。つまり、動電型電気音響変換器7の前面側に形成される音孔は、ヨーク73によって、第1の実施形態よりも小さい内径を有する音孔となる。ただし、このような構造は、第2の磁極12の厚さが十分厚く、振動板15がヨーク73の張り出し部分に接触するよりも先に第2の磁極12に接触するような場合にとり得る構造である。
第1の磁極11および第2の磁極12間の磁束の流れは、図31の矢印で示されるような流れとなる。図31は、本実施形態における磁気回路の一例を有限要素法によって磁場解析して、磁束の流れをベクトルによって表した図である。また、ボイスコイル位置での磁束密度を動電型電気音響変換器1と動電型電気音響変換器7とで比較すると、図32に示すようになる。図32は、動電型電気音響変換器1および動電型電気音響変換器7の各ボイスコイル位置での磁束密度をそれぞれ曲線で示した図である。つまり、図32は、ヨークの張り出しが有るとき(ヨーク73を使用する動電型電気音響変換器7)と、ヨークの張り出しが無いとき(ヨーク13を使用する動電型電気音響変換器1)とで、ボイスコイル位置での磁束密度を比較した図である。
図32に示すように、張り出しが有るときの方がボイスコイル位置における磁束密度が大きくなり、張り出しが無いときよりも大きな駆動力が得られる。つまり、動電型電気音響変換器1の構造よりも動電型電気音響変換器7の構造の方が、大きな駆動力を得ることが可能である。
また、ヨーク73の張り出し部分を設けることで、第1の磁極11と当該第1の磁極11が固着された部分のヨーク73とで構成される磁気回路と、第2の磁極12と当該第2の磁極12が固着された部分のヨーク73とで構成される磁気回路とは、ボイスコイル14を基準として上下対称に近い構成となる。これにより、図32に示したように、張り出しが有るときの磁束密度曲線は、張り出しが無いときの曲線に比べて、振幅0の軸に対して、より線対称に近い曲線となる。その結果、動電型電気音響変換器7は、動電型電気音響変換器1よりも再生音の歪を低減させることができる。
なお、上述した第1〜第7の実施形態における振動板(15、25、35、45、55、および65)は、当該振動板とボイスコイル(14、24、34、44、54、および64)との固着部分において、例えば図33および図34に示すような形状となる。具体的には、振動板の形状は、第1の磁極の上面と対向する部位がボイスコイルの下端より上方にあり、第2の磁極の下面と対向する部位がボイスコイルの上端より下方にある形状となる。なお、図33は、振動板とボイスコイルとの固着部分における振動板の形状の一例を示す図である。図34は、振動板とボイスコイルとの固着部分における振動板の形状の他の例を示す図である。図33において、ボイスコイル14は、ボイスコイル14の下面が振動板15の上面に配置されるように振動板15に固着される。また図34においては、ボイスコイル14は、ボイスコイル14の上面が振動板15の下面に配置されるように振動板15に固着される。
なお、上述した第1〜7の実施形態における振動板(15、25、35、45、55、および65)は、その外周がヨークに固設されるとしたが、これに限定されない。例えば、図35に示すように、ヨーク13には支持体131が固設され、振動板15の外周が当該支持体131に固設される構造であってもよい。図35は、振動板15の外周が支持体131に固設された例を示す図である。なお、支持体は、磁性体で構成されてもよいし、非磁性体で構成されてもよい。
なお、上述した第1〜第7の実施形態に係る動電型電気音響変換器は、モバイル機器、AV機器、または映像機器などの電子機器に搭載して実現することが可能である。モバイル機器としては、例えば携帯電話、PDA(Personal degital assistants)、パーソナルコンピュータ、およびポータブルミュージックプレーヤなど機器が挙げられる。AV機器としては、例えばテレビ、オーディオ、およびカーオーディオなどの機器が挙げられる。映像機器としては、例えばPDP(Plasma display panel)、液晶、またはブラウン管などのテレビが挙げられる。以下、本発明に係る動電型電気音響変換器が携帯電話やPDPなどの薄型テレビにそれぞれ搭載された場合の具体例について説明する。また、カーオーディオとして、本発明に係る動電型電気音響変換器が自動車のドアに搭載された場合の具体例についても説明する。
まず、図36を参照して、本発明に係る動電型電気音響変換器が携帯電話80の筐体内部に固設される例について説明する。図36は、携帯電話80に搭載される動電型電気音響変換器1の一例を示す正面図および側面図である。図36においては、例えば上述した動電型電気音響変換器1が携帯電話80の筐体内部に固設されているとする。動電型電気音響変換器1は、携帯電話80の液晶画面の下部にある筐体内部の左右にそれぞれ固設される。
ここで、近年、携帯電話等のモバイル機器は薄型化や小型化が求められている。それとともに、筐体内部に搭載される動電型電気音響変換器についても薄型化や小型化が求められている。これに対し、本発明に係る動電型電気音響変換器1は、上述したように、従来と同じ振幅余裕を確保した場合において、従来の動電型電気音響変換器よりも変換器自体の厚みを薄く構成することができる。その結果、本発明に係る動電型電気音響変換器によれば、携帯電話等のモバイル機器に搭載するのに最適な動電型電気音響変換器を提供することができる。
次に、図37を参照して、本発明に係る動電型電気音響変換器が、薄型化が進むPDPなどの薄型テレビ81の筐体内部に固設される例について説明する。図37は、薄型テレビ81に搭載される動電型電気音響変換器3の一例を示す正面図および薄型テレビ81の一部の内部構造を図示O−A断面で示した側面図である。図37においては、例えば上述した動電型電気音響変換器3が薄型テレビ81の筐体内部に固設されているとする。動電型電気音響変換器3は、薄型テレビ81の筐体内部の左右にそれぞれ固設される。
ここで、近年、薄型テレビ81などの映像機器は薄型化が求められている。それとともに、筐体内部に搭載される動電型電気音響変換器についても薄型化が求められている。これに対し、本発明に係る動電型電気音響変換器3は、上述したように、従来と同じ振幅余裕を確保した場合において、従来の動電型電気音響変換器よりも変換器自体の厚みを薄く構成することができる。その結果、本発明に係る動電型電気音響変換器によれば、薄型テレビ81などの映像機器に搭載するのに最適な動電型電気音響変換器を提供することができる。
次に、図38を参照して、本発明に係る動電型電気音響変換器が、自動車のドア82の本体部84に固設される例について説明する。図38は、自動車のドア82に搭載される動電型電気音響変換器1の一例を示す図である。図38において、自動車のドア82は、窓部83および本体部84で構成される。そして、例えば上述した動電型電気音響変換器1が本体部84に固設されているとする。本体部84は、内部空間を有する筐体である。
ここで、ドア82の本体部84の内部空間において、動電型電気音響変換器を設置するための空間は非常に狭い空間となる。しかしながら、本発明に係る動電型電気音響変換器1は、上述したように、従来と同じ振幅余裕を確保した場合において、従来の動電型電気音響変換器よりも変換器自体の厚みを薄く構成することができる。その結果、本発明に係る動電型電気音響変換器によれば、自動車のドア82に搭載するのに最適な動電型電気音響変換器を提供することができる。
さらに、自動車は様々な環境下に置かれることから、当該自動車に搭載される電子機器には非常に高い温度信頼性が求められている。これに対し、本発明に係る動電型電気音響変換器は、上述したように従来と同じ厚みで構成した場合において、従来と比べてマグネットの厚みを厚くすることができる。これにより、ネオジウムなどを用いた高エネルギー積マグネットを用いた場合であっても、パーミアンス係数が高くなり、従来よりも高温減磁に強くなる。つまり、本発明に係る動電型電気音響変換器の温度信頼性は従来よりも高く、本発明に係る動電型電気音響変換器は、自動車に搭載される変換器としてより最適な動電型電気音響変換器である。