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JP4770096B2 - 柱梁接合構造およびその設計方法 - Google Patents

柱梁接合構造およびその設計方法 Download PDF

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JP4770096B2
JP4770096B2 JP2001278143A JP2001278143A JP4770096B2 JP 4770096 B2 JP4770096 B2 JP 4770096B2 JP 2001278143 A JP2001278143 A JP 2001278143A JP 2001278143 A JP2001278143 A JP 2001278143A JP 4770096 B2 JP4770096 B2 JP 4770096B2
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晴仁 岡本
信行 中村
卓也 植木
久哉 加村
弘海 下川
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鋼管柱とH鋼梁との接合、特に、通しダイアフラムを有すボルト接合による、柱梁接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、登録実用新案第3041116号公報に開示された鉄骨構造の接合構造を示す斜視図である。図7において、下方より上方に向けて、下部角柱101、下部通しダイアフラム102、角柱コア部103、上部通しダイアフラム104、上部角柱105が接合されている。また、下部通しダイアフラム102および上部通しダイアフラム104はそれぞれブラケット(添え板111が設置される範囲に略同じ)が一体的に成形されている。
【0003】
これにより、ブラケットを溶接した際の、ブラケットと上部通しダイアフラム104ないし下部ダイアフラム102との溶接線が、角柱101と上部通しダイアフラム104ないし下部ダイアフラム102との溶接線に近接することによる角柱(下部角柱101、角柱コア部103、上部角柱105)への応力集中が、緩和されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術は、1次設計時の存在応力に対して各部位が弾性状態になるように強度設計することにより、安全性をチェックしていた。そのため地震荷重時の塑性化領域の形成および崩壊機構が不明確であった。たとえば、角柱に最も近いボルトの位置でブラケットが塑性化した場合には、十分な塑性化領域を形成するために必要とされるエネルギー吸収量が得られないおそれがあった。そのため、地震エネルギーが吸収されずに構造物が崩壊するとの危険があった。
【0005】
さらに、地震荷重により通しダイアフラムが破断した場合には、地震後に、通しダイアフラムの補修ないし取り替えが必要となり、大掛かりな復旧工事を余儀なくされていた。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、地震荷重時の塑性化領域の形成および崩壊機構が明確な柱梁接合構造を形成することができる設計方法、および該設計方法により設計された柱梁接合構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明の、柱梁接合構造の設計方法は以下のとおりである。
【0008】
[1]鋼管柱を貫通する通しダイアフラムが、H鋼梁のフランジとの接合部に向けて突出するブラケットを一体的に具備し、
添え板が、前記ブラケットおよび前記フランジをまたいで配置され、
該添え板と前記ブラケットおよび該添え板と前記フランジが、それぞれボルト接合された柱梁接合構造の設計方法であって、
地震荷重時に発生するモーメントを、前記ブラケットおよび前記H鋼梁のフランジの各位置において、ボルト穴断面欠損および前記添え板への応力伝達を考慮した有効断面係数で除したブラケット応力度およびH鋼梁フランジ応力度、
ならびに、前記モーメントを、梁切断位置において前記添え板のみの添え板有効断面係数で除した添え板応力度を求め、
前記ブラケット応力度および前記H鋼梁フランジ応力度および添え板応力度のうち、前記鋼管柱から最も遠いボルト穴位置におけるH鋼梁フランジ応力度を最大の値とし、
さらに、該位置におけるボルト穴断面欠損による有効断面係数の低下に従い、降伏比の低い梁材を用いることにより、該位置に形成された塑性化領域が、前記鋼管柱から遠ざかる方向に広がるとともに、
前記ブラケットの板厚が、前記H鋼梁のフランジの板厚より大きい又は等しく、
前記ブラケットの前記H鋼梁との接合位置における幅が、前記H鋼梁のフランジの幅より大きい又は等しく、
前記ブラケットの前記鋼管柱に最も近いボルト位置における前記通しダイアフラムの幅Cが、下記式1および式2の両方を満足することによって、前記鋼管柱から最も遠いボルト位置において、塑性化と破断を発生させることを特徴とするものである。
【0010】
【式1】
Figure 0004770096
【0012】
【式2】
Figure 0004770096
【0013】
ここで、
L :鋼管柱内−内スパン
:鋼管柱の側面からH鋼梁のフランジの最も遠いボルト位置までの距離
:鋼管柱の側面から通しダイアフラムの最も近いボルト位置までの距離
pI :ボルト穴断面欠損を考慮したH鋼梁の塑性断面係数
H :梁せい
:通しダイアフラム板厚
g :ゲージライン数
:鋼管柱から最も近いボルト位置のボルト穴径
σ :H鋼梁の降伏応力度
σ :通しダイアフラムの降伏応力度
σ :H鋼梁の引張応力度
σ :通しダイアフラムの引張応力度
前記[1]において、前記H鋼梁のボルト穴断面欠損がない位置における断面係数Zと、前記鋼管柱から最も離れたボルト穴の位置における前記H鋼梁のボルト穴断面欠損を考慮した塑性断面係数Zpeとの比(Z/Zpe)と、前記H鋼梁の降伏比(σσσは降伏応力度、σは引張応力度)が、次式を満足することを特徴とするものである。
【0014】
【式3】
Figure 0004770096
【0015】
ここで、
Z :H鋼梁全断面の断面係数
pe :ボルト穴断面欠損を考慮したH鋼梁の塑性断面係数
σ :H鋼梁の降伏応力度
σ :H鋼梁の引張応力度
前記[1]において、外壁が取り付く側の柱フランジ外面と前記ブラケット縁端が1直線上になるようにH鋼梁が偏心して取り付く場合の、前記ブラケットの前記鋼管柱に最も近いボルト穴位置における前記通しダイアフラムの幅Cが、次式を満足することを特徴とするものである。
【0016】
【式4】
Figure 0004770096
【0017】
ここで、
L :鋼管柱内−内スパン
SI :鋼管柱の側面からH鋼梁のフランジの最も遠いボルト位置までの距離
SB :鋼管柱の側面から通しダイアフラムの最も近いボルト位置までの距離
ZpI :ボルト穴断面欠損を考慮したH鋼梁の塑性断面係数
bB :梁幅
H :梁せい
dtf :通しダイアフラム板厚
bσy :H鋼梁の降伏応力度
dσy :通しダイアフラムの降伏応力度
g :ゲージライン数
dB :鋼管柱から最も近いボルト位置のボルト穴径
さらに、本発明の柱梁接合構造は以下のとおりである。
【0018】
]鋼管柱を貫通する通しダイアフラムが、H鋼梁のフランジとの接合部に向けて突出するブラケットを一体的に具備し、
添え板が、前記ブラケットおよび前記フランジをまたいで配置され、
該添え板と前記ブラケットおよび該添え板と前記フランジが、それぞれボルト接合された柱梁接合構造であって、
前記[1]から[]のいずれかに記載の柱梁接合構造の設計方法により設計されたことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る柱梁接合構造の設計方法の一実施形態における柱梁接合構造を示す平面視の断面図である。図1において、鋼管柱1、を貫通して通しダイアフラム2が鋼管柱1に接合されている。通しダイアフラム2は、鋼管柱1の内部を覆いさらにその外周部にわずかに突出した矩形部20と、梁3のフランジ31が接合されるべきブラケット21、が、一体的に成形されている。ブラケット21には、ボルト穴22が穿設されている。 一方、梁3のフランジ31にもボルト穴32が穿設されている。
【0020】
さらに、ブラケット21のボルト穴22が穿設された範囲およびフランジ31のボルト穴32が穿設された範囲を覆って、それぞれ外添え板4と内添え板5が配置され、外添え板4および内添え板5にはそれぞれボルト穴41およびボルト穴51が穿設されている。
【0021】
したがって、前記ボルト穴22とボルト穴41、51に装入したボルト62、および前記ボルト穴32とボルト穴41、51に装入したボルト63により、フランジ31はブラケット21に接合されている。
【0022】
図2は、前記柱梁接合構造における添え板部によるブラケットと梁のフランジの接合部の、力の伝達を説明するための模式的断面図である。なお、図1で説明した平面図と同じ部分には、これと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0023】
図2において、地震荷重時には、b〜e、f〜iのそれぞれの範囲では、ブラケット21、梁のフランジ31および上下に設置された添え板4、5が、ボルト62、63の支圧力によって一体化され、応力を負担しているため、所定の板厚を有する添え板4,5を用いることにより、範囲b〜eまたは範囲f〜iが先行して塑性化することはない。また、e〜fの範囲においても上下に設置された添え板4、5が応力を負担しているため、前記範囲で先に塑性化することはない。
【0024】
さらに、範囲a〜bでは添え板4,5の負担する力は小さくなり、ブラケット21が大半の力を負担するものの、ブラケット21の幅が広がっているため、範囲a〜bが先行して塑性化することはない。
【0025】
これに対し、範囲i〜jでは、添え板4,5の負担する力は小さくなり、梁のフランジ31が大半の力を負担することになる。すなわち、梁のフランジ31が引張力によりポアソン比分だけ減厚するために、前記梁のフランジ31に対する添え板4、5の押付け力が低下し、範囲i〜jにおける摩擦力の伝達が減少するため、曲げモーメントに基づく引張応力の大半を前記梁のフランジが負担することになる。
【0026】
以上より、前記柱梁接合構造では、地震荷重時に鋼管柱から最も遠いボルトの位置で塑性化が始まり、荷重が増加するに伴い、塑性化領域は梁側に広がっていくことになる。以下詳細に説明する。
【0027】
(中心配置)
図3は、本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態を示す平面図と、地震荷重時のモーメント勾配との関係を示す説明図である。なお、図1で説明した平面図と同じ部分には、これと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0028】
柱から最も遠いボルト位置Iにおけるボルト穴断面欠損を考慮した全塑性モーメントMpIは、MpI=ZpI×bσyとなる。このとき、ZpIはボルト穴断面欠損を考慮した梁の塑性断面係数、bσyは梁の降伏応力度である。
【0029】
柱から最も遠いボルト位置Iでのモーメントに対する、柱に最も近いボルト位置Bでのモーメント上昇率kは、k=(L/2−SB) /(L/2−SI)となる。このとき、Lは柱の内−内スパン(対峙する柱の内側面間の距離)、SIは柱の側面から最も遠いボルト位置Iまでの距離、SBは柱の側面から最も近いボルト位置Bまでの距離である。
【0030】
一方、柱に最も近いボルト位置Bにおける、通しダイアフラムのみ(添え板を含まない)の全塑性モーメントMpBは、MpB= ZpB× dσy=(C−g・dB)×dtf×(H−dtf)×dσyとなる。このとき、Cは柱から最も近いボルト位置Bにおける通しダイアフラム幅、gはゲージライン数、dBは柱から最も近いボルト位置Bにおけるボルト穴径、dtfは通しダイアフラムの板厚、Hは梁せい、dσyは通しダイアフラムの降伏応力度である。ゲージライン数gはボルト穴が平行に2列配置されるとき2.0であり、千鳥状に2列配置されるとき2.75となる。
【0031】
以上より、柱から最も遠いボルト位置Iにおいて、他の位置より先行して塑性が発生するために、柱に最も近いボルト位置Bにおける通しダイアフラムの幅Cは、条件式MpB>MpIを満足するように決定される。よって、次式となる。
【0032】
【式1】
Figure 0004770096
【0033】
さらに、柱から最も遠いボルト位置Iおよび柱に最も近いボルト位置Bの双方において塑性が発生した後、柱から最も遠いボルト位置Iにおいて破断が発生した(引張応力度に到達した)ときに、柱に最も近いボルト位置Bではまだ破断していない(引張応力度に達していない)ことが条件になる。
【0034】
柱に最も近いボルト位置Bにおける、通しダイアフラムのみ(添え板を含まない)の終局モーメントMuBは、MuB= ZpB× dσu=(C−g・dB)×dtf×(H−dtf)×dσu,このとき、dσuは通しダイアフラムの引張応力度となる。
【0035】
また、柱から最も遠いボルト位置Iにおける、梁の終局モーメントMuIは、MuI= ZpI× bσu、このとき、bσuは梁の引張応力度となる。
【0036】
従って、柱から最も遠いボルト位置Iにおいて、他の位置より先行して破断が発生するために、柱に最も近いボルト位置Bにおける通しダイアフラムの幅Cは、条件式MuB>MuIを満足するように決定される。よって、次式となる。
【0037】
【式2】
Figure 0004770096
【0038】
また、地震荷重時に梁が必要とされるエネルギー吸収量を得るためには、該エネルギー吸収量に相当する梁の塑性化領域が形成される以前に、柱から最も遠いボルト位置Iでボルト穴断面欠損部が破断しないことが条件となる。
図4は本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態を示す側面図と、地震荷重時の塑性化領域の形成状態を示す説明図である。図4において、ボルト位置IでのH鋼梁の終局モーメントMuは、Mu=Zpe×bσu=a×Qとなる。ここで、Zpeはボルト穴断面欠損を考慮した有効塑性断面係数、bσuは梁の引張応力度、aは梁中央からボルト位置Iまでの距離、Qは梁のせん断力である。
また、前記終局モーメントを与える荷重時に、弾性限となる位置をKとすると、位置KでのH鋼梁の降伏モーメントMyは、My=Z×bσy=b×Qとなる。ここで、Zは断面係数、bσyは梁の降伏応力度、bは梁中央から位置Kまでの距離である。
【0039】
ボルト位置IでMu、位置KでMyとなる時のせん断力は等しいので、a/b=(Z/Zpe)・(bσybσu)となる。
【0040】
図5は、本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態における計算による塑性化領域形成比a/bと、実験による累積塑性変形倍率ηEとの関係を示す説明図であって、ボルト穴断面欠損と梁の降伏比をパラメータとした実大の柱梁接合部実験を行った結果である。図5中の横軸は部材から求まるa/bであり、縦軸は梁のエネルギー吸収能力を測る指標の一つである、エネルギー評価による累積塑性変形倍率ηEである。a/bとηEの関係は、ほぼ右下がりの比例関係にあり、実験結果のプロットを最も安全側で評価すると図中の直線で表される。
【0041】
また、地震時に必要とされる累積塑性変形倍率ηEは、「建築耐震設計における保有耐力と変形性能」(日本建築学会)によると、安定した梁降伏の崩壊系が実現できる構造ランクIに相当する構造特性係数(Ds)を得るためには、片側振幅でηE≧6と規定されている。
【0042】
これを両側振幅とし、かつボルトの滑りによるエネルギー吸収能力の低下を考慮して安全係数を2倍とすると、梁に要求されるηEは24以上となる。
【0043】
よって、図5より、実験から推定されるηEを約24以上とするためには、前記直線との交点からa/b≦0.9を満足する必要があり、この条件から、梁のボルト穴断面欠損比と降伏比の関係が決定される。よって次式となる。
【0044】
【式3】
Figure 0004770096
【0045】
(偏心配置)
図6は本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態における梁偏心時のダイアフラム形状を示す平面図と、地震時に柱に最も近いボルト位置に発生する外力と内力を示す説明図である。外壁が取り付く側の柱フランジ外面と梁のフランジ縁端が1直線上になるように梁が偏心して取り付く場合は、ブラケットに発生する軸力とモーメントに対して、内力の軸力とモーメントが釣り合うことを条件として、以下の手順で柱に最も近いボルト位置でのダイアフラム幅が決定される。
▲1▼B-B断面に作用する軸力Pは次式で表わされる。
【0046】
【式5】
Figure 0004770096
【0047】
▲2▼O点まわりの曲げモーメントMeは下式となる。
【0048】
【式6】
Figure 0004770096
【0049】
▲3▼B-B断面の内力の軸力Pi、O点まわりのモーメントMiは次式で表わされる。
【0050】
【式7】
Figure 0004770096
【0051】
【式8】
Figure 0004770096
【0052】
▲4▼P=Pi、Me=Mi より、
【0053】
【式9】
Figure 0004770096
【0054】
【式10】
Figure 0004770096
【0055】
▲5▼上式よりXを消去して、柱に最も近いボルト位置でのダイアフラム幅は下式で表わされる。
【0056】
【式4】
Figure 0004770096
【0057】
(設計指針)
式1および式2の値を仮定して、設計指針を説明する。
(ケース1)
(イ) 式1の計算値が50cm、式2の計算値が40cmと仮定した場合、ブラケット幅を55cmとすると、式1および式2の両方を満足しているから、柱からも最も遠いボルト位置(位置I)において、塑性化が始まり、この位置で破断が発生する。また、柱に最も近いボルト位置(位置B)は、塑性化するものの、破断することがない。したがって、ブラケット側(位置B)の損傷を少なくし、梁側(位置I)で破断が起こる構造となる。
【0058】
(ロ) ブラケット幅を45cmとすると、式1を満足しないから、柱に最も近いボルト位置(位置B)において塑性化が始まるものの、式2を満足しているから、柱から最も遠いボルト位置(位置I)において、破断することになる。つまり、ブラケット側(位置B)は、破断することなく塑性化が進み、地震時のエネルギを吸収し、梁側(位置I)は、位置Bに遅れて塑性化が始まるものの、塑性化が進みやがて破断に至るといえる。したがって、ブラケット幅を押さえながらも、破断位置を梁側(位置B)とした、エネルギ吸収量の多い構造となる。
【0059】
(ハ) ブラケット幅を35cmとすると、式1および式2の両方を満足しないから、柱に最も近いボルト位置(位置B)において塑性化が始まり、この位置で破断する。また、柱から最も遠いボルト位置(位置I)において、十分な塑性化領域が確保できないことになる。
(ケース2)
(イ) 式1の計算値が40cm、式2の計算値が50cmと仮定した場合、ブラケット幅を55cmとすると、式1および式2の両方を満足しているから、前記(イ)と同様、柱からも最も遠いボルト位置(位置I)において、塑性化が始まり、この位置で破断が発生する。また、柱に最も近いボルト位置(位置B)は、塑性化するものの、破断することがない。したがって、ブラケット側(位置B)の損傷を少なくし、梁側(位置I)で破断が起こる構造となる。
【0060】
(ロ) ブラケット幅を45cmとすると、式1を満足するから、柱から最も遠いボルト位置(位置I)において塑性化が始まるものの、式2を満足していないから、柱に最も近いボルト位置(位置B)において、破断することになる。つまり、梁側(位置I)より塑性化が始まり、位置Iから梁側に塑性化領域が拡大していく。そして、位置Bの有効断面の全塑性化モーメントが、梁全断面の全塑性モーメントを上回ると、ブラケット側(位置B)に塑性化が起こり、該塑性化領域の拡大により、やがて、ブラケット側で破断が発生する。したがって、ブラケット幅を押さえながら、破断位置がブラケット側(位置B)である、エネルギ吸収量の多い構造となる。
【0061】
(ハ) ブラケット幅を35cmとすると、式1および式2の両方を満足しないから、前記(ハ)と同様、柱に最も近いボルト位置(位置B)において塑性化が始まり、この位置で破断する。また、柱から最も遠いボルト位置(位置I)において、十分な塑性化領域が確保できないことになる。
【0062】
【発明の効果】
以上述べた本発明の柱梁接合構造によれば、以下のような顕著な効果が得られる。
【0063】
1)柱から最も遠いボルト穴位置において、塑性ヒンジを形成することができるため、地震荷重時の崩壊機構が明確となる。
梁側のみを塑性化させ、ブラケット側を弾性内に抑えることが出来るため、地震後において、梁部のみを補修ないし取り替えるだけで済み、大掛かりな復旧工事が不要になる。
【0064】
2)さらに、梁側およびブラケット側の双方に塑性が発生する場合でも、梁側で破断させることが出来るため、地震後において、梁部のみを補修ないし取り替えるだけで済み、大掛かりな復旧工事が不要になる。
【0065】
3)また、要求されるエネルギー吸収量(累積塑性変形倍率)に対して、使用ボルト径が既知の場合には、梁に用いる鋼材の降伏比を特定でき、また、梁の鋼材(降伏比)が既知の場合には、梁のフランジのボルト穴断面欠損率を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態を示す平面視の断面図である。
【図2】本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態における添え板部の、ブラケットと梁のフランジの力の伝達を説明するための模式的断面図である。
【図3】本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態を示す平面図と、地震荷重時のモーメント勾配との関係を示す説明図である。
【図4】本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態を示す側面図と、地震荷重時の塑性化領域の形成状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態における計算による塑性化領域形成比a/bと、実験による累積塑性変形倍率ηEとの関係を示す説明図である。
【図6】本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態における梁偏心時のダイアフラム形状を示す平面図と、地震時に柱に最も近いボルト位置に発生する外力と内力を示す説明図である。
【図7】従来の鉄骨構造の接合構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼管柱
2 通しダイアフラム
20 通しダイアフラム2の矩形部
21 通しダイアフラム2のブラケット
22 ボルト穴
3 梁
31 梁のフランジ
32 ボルト穴
4 外添え板
41 ボルト穴
5 内添え板
51 ボルト穴
62 ボルト
63 ボルト

Claims (4)

  1. 鋼管柱を貫通する通しダイアフラムが、H鋼梁のフランジとの接合部に向けて突出するブラケットを一体的に具備し、
    添え板が、前記ブラケットおよび前記フランジをまたいで配置され、
    該添え板と前記ブラケットおよび該添え板と前記フランジが、それぞれボルト接合された柱梁接合構造の設計方法であって、
    地震荷重時に発生するモーメントを、前記ブラケットおよび前記H鋼梁のフランジの各位置において、ボルト穴断面欠損および前記添え板への応力伝達を考慮した有効断面係数で除したブラケット応力度およびH鋼梁フランジ応力度、
    ならびに、前記モーメントを、梁切断位置において前記添え板のみの添え板有効断面係数で除した添え板応力度を求め、
    前記ブラケット応力度および前記H鋼梁フランジ応力度および添え板応力度のうち、前記鋼管柱から最も遠いボルト穴位置におけるH鋼梁フランジ応力度を最大の値とし、
    さらに、該位置におけるボルト穴断面欠損による有効断面係数の低下に従い、降伏比の低い梁材を用いることにより、該位置に形成された塑性化領域が、前記鋼管柱から遠ざかる方向に広がるとともに、
    前記ブラケットの板厚が、前記H鋼梁のフランジの板厚より大きい又は等しく、
    前記ブラケットの前記H鋼梁との接合位置における幅が、前記H鋼梁のフランジの幅より大きい又は等しく、
    前記ブラケットの前記鋼管柱に最も近いボルト位置における前記通しダイアフラムの幅Cが、下記式1および式2の両方を満足することによって、前記鋼管柱から最も遠いボルト位置において、塑性化と破断を発生させることを特徴とする柱梁接合構造の設計方法。
    【式1】
    Figure 0004770096
    【式2】
    Figure 0004770096
    ここで、
    L :鋼管柱内−内スパン
    :鋼管柱の側面からH鋼梁のフランジの最も遠いボルト位置までの距離
    :鋼管柱の側面から通しダイアフラムの最も近いボルト位置までの距離
    pI :ボルト穴断面欠損を考慮したH鋼梁の塑性断面係数
    H :梁せい
    :通しダイアフラム板厚
    g :ゲージライン数
    :鋼管柱から最も近いボルト位置のボルト穴径
    σ :H鋼梁の降伏応力度
    σ :通しダイアフラムの降伏応力度
    σ :H鋼梁の引張応力度
    σ :通しダイアフラムの引張応力度
  2. 前記H鋼梁のボルト穴断面欠損がない位置における断面係数Zと、前記鋼管柱から最も離れたボルト穴の位置における前記H鋼梁のボルト穴断面欠損を考慮した塑性断面係数Zpeとの比(Z/Zpe)と、前記H鋼梁の降伏比(σσσは降伏応力度、σは引張応力度)が、次式を満足することを特徴とする請求項1記載の柱梁接合構造の設計方法。
    【式3】
    Figure 0004770096
    ここで、
    Z :H鋼梁全断面の断面係数
    pe :ボルト穴断面欠損を考慮したH鋼梁の塑性断面係数
    σ :H鋼梁の降伏応力度
    σ :H鋼梁の引張応力度
  3. 外壁が取り付く側の柱フランジ外面と前記ブラケット縁端が1直線上になるようにH鋼梁が偏心して取り付く場合の、前記ブラケットの前記鋼管柱に最も近いボルト穴位置における前記通しダイアフラムの幅Cが、次式を満足することを特徴とする請求項1記載の柱梁接合構造の設計方法。
    【式4】
    Figure 0004770096
    ここで、
    L :鋼管柱内−内スパン
    :鋼管柱の側面からH鋼梁のフランジの最も遠いボルト穴位置までの距離
    :鋼管柱の側面から通しダイアフラムの最も近いボルト穴位置までの距離
    pI :ボルト穴断面欠損を考慮したH鋼梁の塑性断面係数
    B :梁幅
    H :梁せい
    :通しダイアフラム板厚
    σ :H鋼梁の降伏応力度
    σ :通しダイアフラムの降伏応力度
    g :ゲージライン数
    :鋼管柱から最も近いボルト位置のボルト穴径
  4. 鋼管柱を貫通する通しダイアフラムが、H鋼梁のフランジとの接合部に向けて突出するブラケットを一体的に具備し、
    添え板が、前記ブラケットおよび前記フランジをまたいで配置され、
    該添え板と前記ブラケットおよび該添え板と前記フランジが、それぞれボルト接合された柱梁接合構造であって、
    請求項1からのいずれかに記載の柱梁接合構造の設計方法により設計されたことを特徴とする柱梁接合構造。
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