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JP4769401B2 - Drosophilamelanogaster中のリガンド依存性塩素イオンチャネルをコードするDNA分子 - Google Patents

Drosophilamelanogaster中のリガンド依存性塩素イオンチャネルをコードするDNA分子 Download PDF

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Description

【0001】
関連出願の相互参照
該当せず。
【0002】
米国政府支援研究開発に関する申立て
該当せず。
【0003】
マイクロフィッシュ補遺の参照
該当せず。
【0004】
発明の分野
本発明は、Drosophila melanogasterのリガンド依存性イオンチャネルをコードする分離核酸分子(ポリヌクレオチド)の一部分に関する。また、本発明は、ショウジョウバエのリガンド依存性イオンチャネルをコードするDNA断片を含む組換えベクターおよび組換え宿主、関連するショウジョウバエリガンド依存性イオンチャネルおよびこれらのタンパク質を含む組換え膜分画の実質的に純粋な形態、関連する突然変異タンパク質、および関連するDrosophila melanogasterリガンド依存性イオンチャネルを調節し、殺虫剤として有用と思われる化合物の同定に関わる方法にも関する。
【0005】
発明の背景
グルタミン酸依存性塩素イオンチャネル、またはH受容体は、節足動物の神経および筋肉において同定された(Lingle et al、1981、Brain Res.212:481−488;Horseman et al.、1988、Neurosci.Lett.85:65−70;Wafford and Sattelle、1989、J.Exp.Bio.144:449−462;Lea and Usherwood、1973、Comp.Gen.Parmacol.4:333−350;およびCull−Candy、1976、J.Physiol.255:449−464)。
【0006】
無脊椎動物のグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルは、汎用されているアベルメクチン群の駆虫性および殺虫性化合物の重要な標的である。アベルメクチン類は、放線菌Streptomyces avermitilisから最初に分離された大環ラクトンの一群である。半合成アベルメクチン誘導体のイベルメクチン(22,23−ジヒドロアベルメクチン B1a)は、人間や動物の寄生虫および害虫を駆除するために、世界中で使用されている。アベルメクチン類は、現在でも、宿主に対して毒性の低い最も有効な広範囲殺風土病虫剤である。多年にわたる野外使用の後でも、昆虫集団の中にアベルメクチンに対する耐性は殆ど残らない。治療指数が良好であり低い耐性が低いことから、グルタミン酸依存性塩素イオン(GluCl)チャネルは依然として殺虫剤開発の優れた標的であることが強く示唆される。
【0007】
グルタミン酸依存性塩素イオンチャネルは、土壌線虫のCaenorhabditis elegans(Cully et al.、1994,Nature 371:707−711;米国特許第5527703号およびArena et al.、1992,Molecular Brain Research.15:339−348も参照されたい)およびCtenocephalides felis(ノミ;国際公開第99/07828号を参照されたい)からクローニングされた。
【0008】
さらに、以前、Drosophila melanogasterから得られるグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルをコードする遺伝子が同定された(Cully et al.、1996,J.Biol.Chem.271:20187−20191;米国特許第5693492号も参照されたい)。
【0009】
O’Tousa等(1989,J.Neurogenetics 6:41−52)は、ショウジョウバエのゲノムにおけるChIII92B領域に対する光受容体突然変異地図を作製している。
【0010】
Stuart,1999,Neuron 22:431−433は、ヒスタミンが無脊椎動物の神経伝達物質であることを示唆する技術を概説している。
【0011】
以前に同定されたショウジョウバエのGluCl遺伝子(米国特許第5693492号を参照されたい)を含め、GluClをコードする前記の各cDNAクローンは同定されているにもかかわらず、ヒスタミンによって活性化されるリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)等の他のGluClや他のリガンド依存性チャネルを含み、それらに限定されない無脊椎動物リガンド依存性イオンチャネルであって、効果的な殺虫剤に対する他の標的となり得るチャネルをコードする他の遺伝子を同定し、その結果、動物の健康や作物保護のために、殺虫性、殺ダニ性および/または殺線虫性を有し得る新規なLGICモジュレーターを同定するためのスクリーニングが改良しうるならば、効果的であると思われる。本発明は、Drosophila melanogasterリガンド依存性イオンチャネルを発現する新規な遺伝子であって、各々のショウジョウバエの遺伝子でアフリカツメガエル卵母細胞や他の適当な宿主細胞において発現が活性となるLGICを生じる遺伝子を開示することで、これらの必要性に対処し、それに合致させる。本発明の各LGICの異種発現によって、動物および人間の健康に関わる無脊椎寄生種に対して活性な化合物の薬理学的分析が可能になると思われる。このような種は、蠕虫、ノミ、マダニ、およびシラミを含む。活性なLGICを発現する異種細胞系を、前記の生物種群の抑制に有用となり得る新規なLGICモジュレーターを同定するための機能試験または結合試験を確立するために、使用することができる。
【0012】
発明の概要
本発明は、LGICの少なくとも一部を含む、新規なDrosophila melanogaster無脊椎動物リガンド依存性イオンチャネル(LGIC)タンパク質をコードする分離または精製された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本明細書に開示したDNA分子を選択した宿主細胞中にトランスフェクトしてもよく、その結果、その組換え宿主細胞は、実質量の単一の発現した機能的ホモ多量体またはヘテロ多量体LGICチャネルの供給源となる。本明細書に記載のcDNAクローンは、いずれもヒスタミンによって活性化される機能的で単一のチャネルタンパク質を発現する。したがって、これらのDmLGICチャネルは、これらのチャネルのモジュレーター、動物や人間の健康および/または作物保護のために使用する有効な殺虫性、殺ダニ性および/または殺線虫性処理剤として作用し得るモジュレーターを同定するための他のスクリーニングの標的となる受容体を形成する。
【0013】
更に、本発明は、新規なDrosophila melanogasterLGICタンパク質を発現するmRNAをコードする分離された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関するものであって、このDNA分子は配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号6と本明細書に開示したヌクレオチド配列を含む。
【0014】
また、本発明は、新規なDrosophila melanogaster無脊椎動物LGICタンパク質を発現するmRNAをコードする配列番号1、3、5および6の生物活性断片または突然変異体にも関する。任意のこのような生物活性断片または突然変異体は、配列番号2、配列番号4および配列番号7に示したショウジョウバエLGICタンパク質を含むが、それらに限らず各ショウジョウバエLGICタンパク質の薬理的性質を少なくとも実質的に模倣したタンパク質またはタンパク質断片をコードすると思われる。任意のこのようなポリヌクレオチドは、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が、アフリカツメガエル卵母細胞等の真核細胞中に機能的なショウジョウバエLGICを発現するmRNAをコードすることによって、ショウジョウバエLGIC活性の作動薬および/または拮抗薬のスクリーニングに有用となるように、これらの突然変異を含んでいるが、必ずしもこれらの変異に限るものではない。
【0015】
本発明のこの部分の好ましい一態様は、新規なDrosophila melanogaster LGICタンパク質をコードする図1(配列番号1;AC05−10と命名)、図3(配列番号3;AC05−11と命名)、図5(配列番号5;AC15−4と命名)および図6(配列番号6)に開示されている。
【0016】
本発明の分離核酸分子は、1本鎖(コード鎖または非コード鎖)または2本鎖であってもよいゲノムDNAおよび相補的DNA(cDNA)、ならびに合成1本鎖ポリヌクレオチド等の合成DNA等のデオキシリボ核酸分子(DNA)を含み得る。また、本発明の分離核酸分子は、リボ核酸分子(RNA)も含み得る。
【0017】
また、本発明は、本明細書を通して開示される核酸分子を含んでいる組換えベクターおよび原核、真核を問わず組換え宿主細胞にも関している。
【0018】
また、本発明は、図2(配列番号2)、図4(配列番号4)および図7(配列番号7)に開示したアミノ酸配列を含んだショウジョウバエLGICタンパク質の実質的に精製された形態にも関している。
【0019】
本発明のこの部分の好ましい態様は、図2(配列番号2)、図4(配列番号4)および図7(配列番号7)に開示したアミノ酸配列からなるショウジョウバエLGICタンパク質である。
【0020】
本発明の他の好ましい態様は、配列番号1、3、5および/または6に示したヌクレオチド配列を含み、かつ各々のDmLGICタンパク質を発現するDNA発現ベクターを含んだ組換え宿主細胞から得られる、実質的に精製され、(タンパク質分解処理、グリコシル化および/またはリン酸化を含めて)十分に処理された成熟LGICタンパク質に関する。その組換え宿主細胞は、前記のように、哺乳動物細胞系またはアフリカツメガエル卵母細胞等の真核宿主細胞であることが、特に好ましい。
【0021】
本発明の他の好ましい態様は、配列番号1、3、5および/または6に示した完全な読み取り枠を含み、かつ適切に発現することによって、機能的形態の各DmLGICを生じるDNA発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた組換え宿主細胞から得た実質的に精製された膜調整物、部分的に精製された膜調整物または細胞溶解物に関する。(原核細胞および真核細胞、ならびに形質転換または一過性もしくは安定性のトランスフェクションの細胞の)組換え宿主細胞から得た細胞内膜分画および/または膜含有細胞溶解物は、本発明の核酸によってコードされた、機能的かつ合成されたタンパク質を含んでいる。組換え体に基づくこの膜調整物は、ショウジョウバエLGICを含む可能性があり、かつAC05−10(配列番号2)、AC05−11(配列番号4)および/またはAC15−4/AC15−25(配列番号7)のLGICタンパク質を発現する組換え細胞から得られる他のショウジョウバエ由来のタンパク質や宿主タンパク質を含むが、これらのタンパク質に限らず汚染性タンパク質を本質的に含んでいない。したがって、本発明の好ましい一態様は、図2(配列番号2;AC05−10)、図4(配列番号4;AC05−11)および図7(配列番号7;AC15−4/AC14−25)に開示した完全長LGICタンパク質の機能形を含むショウジョウバエLGICを含んでいる膜調整物である。これらの細胞内膜分画は、内在量より実質的に多量のショウジョウバエLGICの(単一のポリペプチドによって生成する各機能的チャネル、あるいはそれらの任意のホモ多量体またはヘテロ多量体チャネルの組合せを含むが、それらに限定されない)生物学的に機能的な形態である野生型および/または突然変異型を含むと思われる。任意のこのようなチャネルは、各LGICチャネルのモジュレーターを選択するために、本明細書を通して記載される様々な試験において有用であると思われる。本発明のLGICを発現するために選択した好ましい真核宿主細胞は、哺乳動物細胞系またはアフリカツメガエル卵母細胞である。
【0022】
また、本発明は、配列番号2、4および/または7に示したアミノ酸配列を含むショウジョウバエLGICタンパク質の生物活性な断片および/または突然変異体であって、アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が診断、治療または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を提供し、かつショウジョウバエリガンド依存性イオンチャネルの薬理作用に対する作動薬および/または拮抗薬を含むが、それらに限らず選択的モジュレーターのスクリーニングに有用であるように、これらの突然変異を含むが、必ずしもそれらに限定されない突然変異体にも関する。
【0023】
本発明の好ましい一態様は、本発明のショウジョウバエLGICタンパク質を構成する各アミノ酸配列に関して、図2(配列番号2)、図4(配列番号4)および図7(配列番号7)に開示されている。これらのチャネルタンパク質の1以上を特定することによって、動物の健康または作物保護のために殺虫性、殺ダニ性および/または殺線虫性を有し得る新規なLGICモジュレーターを同定するためのスクリーニングが可能となる。前記のように、本明細書に記載のDrosophila melanogaster LGICの機能的単一チャネル、ホモ多量体および/またはヘテロ多量体の組合せの異種発現は、内在量より実質的に多量であると考えられ、それによって、動物や人間の健康に関わる無脊椎寄生種に対して活性な化合物の薬理分析が可能になると思われる。このような種は、蠕虫、ノミ、ダニおよびシラミを含む。前記の生物種群の抑制に有用となり得る新規なLGICモジュレーターを同定するための機能試験または結合試験を確立するために、機能的DmLGICチャネル(例えば、配列番号2、4および/または7の機能形)を発現する異種細胞系を使用できる。
【0024】
また、本発明は、各形態のDmLGIC、またはその生物活性断片に反応して増加するポリクローナルおよびモノクローナル抗体にも関する。
【0025】
また、本発明は、GFP(グリーン蛍光タンパク)、MYCエピトープ、およびFCを含むが、これらに全く限定されない様々な標識に結合したDmLGICの一部を発現する融合構築体を含み、これらに限られずDmLGIC融合構築体にも関する。このような任意の融合構築体を、所望の細胞系内で発現してもよいし、本明細書に開示するDmLGICタンパク質の1以上のモジュレーターをスクリーニングするために使用してもよい。
【0026】
本発明は、本明細書に開示するショウジョウバエLGICタンパク質および生物学的同等物を発現する方法、これらの遺伝子産物を用いた試験、これらのタンパク質を発現するDNA構築体を含んだ組換え宿主細胞、およびこれらの試験によって同定され、LGIC活性の作動薬または拮抗薬として作用する化合物に関する。
【0027】
本発明の一目的は、配列番号2、4および7で各々示したタンパク質である、ショウジョウバエLGICの新規な形態、あるいはDmLGICの断片、突然変異体または誘導体をコードする分離核酸分子(例えば、配列番号1、3、5および6)を提供することである。ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が、診断、治療または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を発現するmRNAをコードし、無脊椎動物リガンド依存性イオンチャネル薬理作用の選択的モジュレーターのスクリーニングに有用となるように、任意のこのようなポリヌクレオチドはこれらの突然変異を含んでいるが、必ずしもこれらの変異に限定されない。
【0028】
本発明の更なる目的は、前段落で述べた核酸分子によってコードされるショウジョウバエLGICタンパク質またはタンパク質断片を提供することである。
【0029】
本発明の更なる目的は、ショウジョウバエLGICタンパク質またはその生物学的同等物をコードする核酸配列を含む組換えベクターおよび組換え宿主細胞を提供することである。
【0030】
本発明の一目的は、配列番号2、4および7で示したショウジョウバエLGICタンパク質の実質的に精製された形態を提供することである。
【0031】
本発明の他の目的は、配列番号1、3、5および6に示した完全な読み取り枠を含み、かつ適切に発現することによって、機能的かつ合成された形態の各DmLGICチャネルを生じるDNA発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた組換え宿主細胞から得た、ショウジョウバエLGICタンパク質の実質的に精製された組換え形態を提供することである。その組換え宿主細胞は、哺乳動物細胞系等の真核宿主細胞であることが特に好ましい。
【0032】
本発明の一目的は、配列番号2、4および7に示したようなショウジョウバエLGICタンパク質の生物活性な断片および/または突然変異体であって、アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が診断、治療および/または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を提供するように、これらの突然変異を含むが、必ずしもこれらの変異に限らないものを提供することである。
【0033】
更に、本発明の一目的は、薬理作用があるショウジョウバエLGICを含む組換え細胞から得た、実質的に精製された細胞内膜調整物、部分的に精製された細胞内膜調整物または未精製溶解物、特に、図2(配列番号2)、図4(配列番号4)および/または図7(配列番号7)に示したアミノ酸を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んだDNAベクターでトランスフェクトまたは形質転換された宿主細胞から得た細胞内分画を提供することである。
【0034】
本発明の他の目的は、配列番号1、3、5および/または6に示した完全な読み取り枠を含み、かつ適切に発現することによって、機能的かつ合成された形態の各DmLGICを生じるDNA発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた組換え宿主細胞から得た、実質的に精製された膜調整物、部分的に精製された細胞内膜調整物、および/または未精製溶解物を提供することである。その組換え宿主細胞は、哺乳動物細胞系、またはアフリカツメガエル卵母細胞等の真核宿主細胞であることが、特に好ましい。
【0035】
また、ショウジョウバエLGIC活性のモジュレーター、好ましくは選択的モジュレーターをスクリーニングするために、ショウジョウバエLGICタンパク質、またはショウジョウバエLGICタンパク質や生物学的同等物を含んだ膜調整物を使用することも、本発明の一目的である。このような任意のタンパク質または膜結合タンパク質は、動物および人間の健康に関わる無脊椎寄生種に対して活性なこれらのモジュレーターをスクリーニングし、選択する際に有用となり得る。このような種は、蠕虫、ノミ、ダニおよびシラミを含む。これらの膜調整物は、これらのLGICを発現する異種細胞系から創出されてもよく、完全長タンパク質、完全長タンパク質の生物活性断片を構成するか、または当分野で入手できる物質で構築し得る様々な融合構築体から発現される融合タンパク質に依存してもよい。
【0036】
本明細書で使用する場合、「他の核酸を実質的に含まない」とは、少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは99%、一層より好ましくは99.9%他の核酸を含まないことを意味する。用語を入れ換えて使用する場合、「他の核酸を実質的に含まない」、「実質的に精製された」、「分離された核酸」、「精製された核酸」のいずれも、他の細胞成分から分離・精製されたショウジョウバエLGICタンパク質に対するコード領域を含むDNA分子を指す。したがって、他の核酸を実質的に含まないショウジョウバエLGIC DNA調整物は、全核酸に対するパーセント表示で、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、一層より好ましくは0.1%以下の非ショウジョウバエLGIC核酸を含むものと思われる。得られたショウジョウバエLGIC DNA調整物が他の核酸を実質的に含まないかどうかを、適当な染色法、例えば臭化エチジウム染色と組合せた、例えば、アガロースゲル電気泳動のような従来の核酸純度分析法、または配列決定によって決定することができる。
【0037】
本明細書で使用する場合、「他のタンパク質を実質的に含まない」または「実質的に精製された」とは、少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは99%、一層より好ましくは99.9%他のタンパク質を含まないことを意味する。したがって、他のタンパク質を実質的に含まないショウジョウバエLGICタンパク質調整物は、全タンパク質に対するパーセント表示で、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、一層より好ましくは0.1%以下の非ショウジョウバエLGICタンパク質を含むものと思われる。得られたショウジョウバエLGICタンパク質調整物が他のタンパク質を実質的に含まないかどうかを、適当な検出法、例えば銀染色またはイムノブロッティングと組合せた、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)のような従来のタンパク質純度分析法によって、決定することができる。「他のタンパク質を実質的に含まない」または「実質的に精製された」という用語と入れ換えて使用する場合、「分離されたショウジョウバエLGICタンパク質」または「精製されたショウジョウバエLGICタンパク質」という用語も、天然の供給源から分離されたショウジョウバエLGICタンパク質を指す。「分離された」または「精製された」という用語の使用は、ショウジョウバエLGICタンパク質が普通の細胞環境から取出されたことを示す。したがって、分離されたショウジョウバエLGICタンパク質は、無細胞溶液中にあるか、または自然に生成する環境とは異なる細胞環境中に置かれてもよい。「分離された」という用語は、分離されたショウジョウバエLGICタンパク質が存在する唯一のタンパク質であることを意味するのではなく、むしろ分離されたショウジョウバエLGICタンパク質が、他のタンパク質やin vivoでショウジョウバエLGICタンパク質と自然に結びつく非アミノ酸物質(例えば、核酸、脂質、炭水化物)を実質的に含んでいないことを意味している。したがって、原核または真核細胞中に組換えによって発現され、このLGICタンパク質を自然に(即ち、介在なしには)発現しない宿主細胞から実質的に精製されたショウジョウバエLGICタンパク質は、本明細書で言及する如何なる状況下でも、当然「分離されたショウジョウバエLGICタンパク質」である。前記のように、分離または精製されたショウジョウバエLGICタンパク質であるショウジョウバエLGICタンパク質調整物は、他のタンパク質を実質的に含まず、全タンパク質に対するパーセント表示で、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、一層より好ましくは0.1%以下の非ショウジョウバエLGICタンパク質を含むものと思われる。
【0038】
本明細書で入れ換えて使用する場合、「機能的同等物」または「生物活性同等物」とは、スプライシング、欠失、突然変異、置換、付加のいずれかのために、天然のショウジョウバエLGICと正確には同じアミノ酸配列を有していないが、ショウジョウバエLGICと実質的に同じ生物活性を保持しているタンパク質を意味する。このような機能的同等物は、天然のショウジョウバエLGICと顕著なアミノ酸配列の同一性を有すると思われ、このような機能的同等物をコードする遺伝子およびcDNAは、天然のショウジョウバエLGICをコードするDNA配列との低緊縮なハイブリッド形成によって、検出することができる。例えば、本明細書で開示する天然のショウジョウバエLGICは、配列番号2に示したアミノ酸配列を含み、配列番号1によってコードされる。機能的同等物をコードする核酸は、ヌクレオチドのレベルで配列番号1と少なくとも約50%の同一性を有する。
【0039】
本明細書で使用する場合、「保存的アミノ酸置換」とは、1つのアミノ酸残基の他の化学的に類似したアミノ酸残基による置き換えを指す。このような保存的置換の例は、1つの疎水性残基(イソロイシン、ロイシン、バリン、またはメチオニン)による他の疎水性残基の置換、および1つの極性残基による同じ電荷の他の極性残基の置換(例えば、リジンの代わりにアルギニン、アスパラギン酸の代わりにグルタミン酸)である。
【0040】
本明細書で使用する場合、「LGIC」とは、リガンド依存性イオンチャネルを指す。
【0041】
本明細書で使用する場合、「DmLGIC」とは、Drosophila melanogasterリガンド依存性イオンチャネルを指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、「GluCl」とは、L−グルタミン酸依存性塩素イオンチャネルを指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「DmGluCl」とは、Drosophila melanogasterL−グルタミン酸依存性塩素イオンチャネルを指す。
【0044】
本明細書で使用する場合、「哺乳動物の」という用語は、人間を含めた任意の哺乳動物を指すことにする。
【0045】
図面の簡単な説明
図1は、配列番号1に示した、ショウジョウバエLGICクローン、AC05−10のヌクレオチド配列を示す図である。
【0046】
図2は、配列番号2に示した、ショウジョウバエLGIC AC05−10タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【0047】
図3は、配列番号3に示した、ショウジョウバエLGICクローン、AC05−11のヌクレオチド配列を示す図である。
【0048】
図4は、配列番号4に示した、ショウジョウバエLGIC AC05−11タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【0049】
図5は、配列番号5に示した、ショウジョウバエLGICクローン、AC15−4のヌクレオチド配列を示す図である。
【0050】
図6は、配列番号6に示した、ショウジョウバエLGICクローン、AC15−25のヌクレオチド配列を示す図である。
【0051】
図7は、配列番号7に示した、ショウジョウバエLGIC AC15−4/AC15−25タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【0052】
図8は、トランスフェクトしたアフリカツメガエル卵母細胞における、ヒスタミンによる組換えDmLGIC(AC05−10)の活性化を示す図である。
【0053】
発明の詳細な説明
本発明は、既知のDmGluClタンパク質と系統的に関連するが、別の薬理作用を示し、したがって殺虫剤の新規な標的となる、Drosophila melanogaster無脊椎動物LGICタンパク質をコードする分離核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本発明の分離または精製核酸分子は、他の核酸を実質的に含まない。大部分のクローニングのためには、DNAが好ましい核酸である。前記のように、本明細書に開示したDNA分子を選択した宿主細胞中にトランスフェクトしてもよく、その結果、その組換え宿主細胞は、発現した機能性の単一、ホモ多量体またはヘテロ多量体のLGICチャネルの実質量の供給源となる。本明細書に記載のcDNAクローンは、いずれもヒスタミンによって活性化される機能的単一のチャネルタンパク質を発現する。したがって、これらのDmLGICチャネルは、これらのチャネルのモジュレーター、動物や人間の健康および/または作物保護のために使用する有効な殺虫性、殺ダニ性および/または殺線虫性処理剤として作用し得るモジュレーターを同定するための他のスクリーニング標的となる受容体を形成する。本明細書に開示したDNA分子を選択した宿主細胞中にトランスフェクトし、その結果、その組換え宿主細胞は、発現した機能性の単一、ホモ多量体またはヘテロ多量体のLGICチャネルの実質量の供給源となる。
【0054】
本発明は、Drosophila melanogasterの新規な無脊椎動物LGICタンパク質を発現するmRNAをコードする分離された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関するものであって、このDNA分子は配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号6と本明細書に開示したヌクレオチド配列を含む。本発明のDmLGIC核酸分子の分離および特定は、実施例1節に詳述したように確認された。
【0055】
無脊椎動物グルタミン酸依存性塩素イオンチャネル(GluCl)は、グリシン依存性およびGABA依存性塩素イオンチャネルと関係しており、興奮性グルタミン酸受容体(例えば、NMDAまたはAMPA受容体)とは異なる。GluCl一族の最初の2種の構成体が、駆虫薬イベルメクチンの受容体に対する機能性スクリーニングの後に、線虫(C.elegans)において確認された。今では、更に数種のGluClが、他の無脊椎動物種においてクローニングされた。しかし、脊椎動物においてGluClに相当するものが存在する証拠は未だない。このために、GluClおよび任意の関連するリガンド依存性チャネルは、駆虫剤、殺虫剤、殺ダニ剤等にとって優れた標的となり得る。ノジューリスポア酸(nodulisporic acid)およびその誘導体のような特異的GluClモジュレーターは、脊椎動物において機構に基く毒性を欠いているので、理想的な安全性プロファイルを確実に有する。本発明は、以前に同定されたDmGluCl1αおよびC.felis CfGluCl DNAに相同性を示す4種の新規なショウジョウバエLGICクローン、AC05−10、AC05−11、AC15−4およびAC15−25の一部分に関するものである。
【0056】
本発明は、図1(AC05−10)に記載し、配列番号1として示した分離または精製DNA分子に関するもので、そのDNA分子は図2に記載し、配列番号2として示したショウジョウバエLGICタンパク質をコードし、AC05−10のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0057】
【化1】
Figure 0004769401
Figure 0004769401
【0058】
本発明は、図3(AC05−11)に記載し、配列番号3として示した分離または精製DNA分子にも関するもので、そのDNA分子は図4に記載し、配列番号4として示したショウジョウバエLGICタンパク質をコードし、AC05−11のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0059】
【化2】
Figure 0004769401
【0060】
本発明は、図5(AC15−4)に記載し、配列番号5として示した分離または精製DNA分子にも関するもので、そのDNA分子は図7に記載し、配列番号7として示したショウジョウバエLGICタンパク質をコードし、AC15−4のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0061】
【化3】
Figure 0004769401
Figure 0004769401
【0062】
本発明は、図6(AC15−25)に記載し、配列番号6として示した分離または精製DNA分子にも関するもので、そのDNA分子も図7に記載し、配列番号7として示したショウジョウバエLGICタンパク質をコードし、AC15−25のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0063】
【化4】
Figure 0004769401
Figure 0004769401
【0064】
各々図1、3および5に示し、前に例示した分離DNA分子は、次の特性を有する。
【0065】
AC05−10(配列番号1):
1518ヌクレオチド残基:開始のMet(ヌクレオチド残基199〜201位)および「TGA」終止コドン(ヌクレオチド残基1477〜1479位)で、読み取り枠が、配列番号2に示したアミノ酸426個の発現タンパク質を生じる。
【0066】
AC−05−11(配列番号3):
1506ヌクレオチド残基:開始のMet(ヌクレオチド残基199〜201位)および「TGA」終止コドン(ヌクレオチド残基1465〜1467位)で、読み取り枠が、配列番号4に示したアミノ酸422個の発現タンパク質を生じる。
【0067】
AC15−4(配列番号5):
2133ヌクレオチド残基:開始のMet(ヌクレオチド残基330〜332位)および「TAA」終止コドン(ヌクレオチド残基1785〜1787位)で、読み取り枠が、配列番号7に示したアミノ酸485個の発現タンパク質を生じる。
【0068】
AC15−25(配列番号6):
2034ヌクレオチド残基:開始のMet(ヌクレオチド残基278〜280位)および「TAA」終止コドン(ヌクレオチド残基1733〜1735位)で、読み取り枠が、配列番号7に示したアミノ酸485個の発現タンパク質を生じる。
【0069】
Ac5−10およびAc5−11の読み取り枠は、Ac05−10中のM3−M4細胞内ループ内の4個のアミノ酸挿入をコードするAc5−10内の12個のヌクレオチド挿入を別とすれば、同一である(配列番号2に示した、アミノ酸残基375位からアミノ酸残基378位までのSer−Ala−Leu−Gln挿入)。したがって、Ac5−10タンパク質の長さが426アミノ酸であるのに対して、Ac5−11タンパク質の長さは422アミノ酸である。アフリカツメガエルにおけるAc5−10の発現によって、ヒスタミンの添加に反応する機能性イオンチャネルが生成する。
【0070】
Ac15の2個のクローンが開示されている。Ac15−4(2073bp)およびAc15−25(2034bp)は、同じタンパク質配列を予測するが、ヌクレオチド1455個の読み取り枠内にある無作用ヌクレオチド16個の変化が異なる。Ac15−4/Ac15−25に由来する発現タンパク質の長さは485アミノ酸である。
【0071】
また、本発明は、DmLGICを発現するmRNAをコードする配列番号1、3、5および6の生物活性な断片または突然変異体にも関する。任意のこのような生物活性な断片および/または突然変異体は、配列番号2、4および/または7に示した野生型形態を含むが、それらに限らない野生型タンパク質を少なくとも実質的に模倣したタンパク質またはタンパク質断片をコードすると思われる。任意のこのようなポリヌクレオチドは、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が、診断、治療または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を発現するmRNAをコードすることによって、DmLGIC機能の作動薬および/または拮抗薬のスクリーニングに有用となるように、これらの突然変異を含んでいるが、必ずしもそれらに限定されるものではない。
【0072】
本発明のこの部分の好ましい一態様は、DmLGICタンパク質の3形態をコードする4種の新規なDNA分子を記載する図1、3、5よび6に開示されている。
【0073】
本発明の分離核酸分子は、1本鎖(コード鎖または非コード鎖)または2本鎖であってもよいゲノムDNAおよび相補的DNA(cDNA)、ならびに合成1本鎖ポリヌクレオチド等の合成DNA等のデオキシリボ核酸分子(DNA)を含み得る。また、本発明の分離核酸分子は、リボ核酸分子(RNA)も含み得る。
【0074】
遺伝暗号の縮重は、2種以外の全てのアミノ酸に対して、複数のコドンが特定のアミノ酸をコードするようなものである。これによって、DmLGICタンパク質をコードする合成DNAであって、そのヌクレオチド配列が配列番号1、3、5および6のヌクレオチド配列と有意に異なるが、それでもなお配列番号1、3、5および6と同じDmLGICタンパク質をコードする合成DNAの構築が可能となる。このような合成DNAは、本発明の範囲に入ることを意図している。このような合成DNAを特定の宿主細胞や生物において発現させることを所望する場合、このような合成DNAのコドン使用法をその特定の宿主のコドン使用法を反映するように調節することによって、宿主内でのDmLGICタンパク質の発現量を増加させることができる。換言すれば、特定のアミノ酸をコードする様々なコドンのこの重複は、本発明の範囲に入る。したがって、本発明は、以下に示すように、最終的に同一のアミノ酸を翻訳するためにコードする代替コドンを含むRNAをコードするDNA配列も対象としている。
【0075】
A=Ala=アラニン:コドン GCA、GCC、GCG、GCU
C=Cys=システイン:コドン UGC、UGU
D=Asp=アスパラギン酸:コドン GAC、GAU
E=Glu=グルタミン酸:コドン GAA、GAG
F=Phe=フェニルアラニン:コドン UUC、UUU
G=Gly=グリシン:コドン GGA、GGC、GGG、GGU
H=His=ヒスチジン:コドン CAC、CAU
I=Ile=イソロイシン:コドン AUA、AUC、AUU
K=Lys=リジン:コドン AAA、AAG
L=Leu=ロイシン:コドン UUA、UUG、CUA、CUC、CUG、CUU
M=Met=メチオニン:コドン AUG
N=Asp=アスパラギン:コドン AAC、AAU
P=Pro=プロリン:コドン CCA、CCC、CCG、CCU
Q=Gln=グルタミン:コドン CAA、CAG
R=Arg=アルギニン:コドン AGA、AGG、CGA、CGC、CGG、CGU
S=Ser=セリン:コドン AGC、AGU、UCA、UCC、UCG、UCU
T=Thr=スレオニン:コドン ACA、ACC、ACG、ACU
V=Val=バリン:コドン GUA、GUC、GUG、GUU
W=Trp=トリプトファン:コドン UGG
Y=Tyr=チロシン:コドン UAC、UAU
したがって、本発明は、同一のタンパク質を発現する異なったDNA分子を生じ得るコドンの重複を開示する。本明細書のために、1個または複数の置換コドンを有する配列を縮重変異配列と定義することにする。他の配列変異源は、以下に考察するように、RNA編集を介して起こり得る。このようなRNA編集は、読み取り枠の変化が発現タンパク質中のアミノ酸残基の変化を起こさない他の形式のコドン重複を生じ得る。生物学的理由が何であれ、一例を本開示中に見出すことができる。Ac15−4およびAc15−25のcDNAクローンは、配列番号7に示した485アミノ酸タンパク質をコードするが、Ac15−25の読み取り枠配列をAc15−4の読み取り枠配列と比較すると、無作用ヌクレオチド16個の変化が起こっている。発現タンパク質の最終的物性を実質的に変化させないDNA配列中または翻訳タンパク質中の突然変異も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、ロイシンの代わりにバリン、リジンの代わりにアルギニン、またはグルタミンの代わりにアスパラギンに置換しても、ポリペプチドの機能に変化が起こらないかもしれない。
【0076】
あるペプチドをコードするDNA配列を、天然のヘプチドと異なる性質を有するペプチドをコードするように変化させ得ることは知られている。DNA配列を変化させる方法は、部位特異的突然変異誘発を含むが、それに限らない。変化した性質の例は、酵素が基質に対して、または受容体がリガンドに対して示す親和性の変化を含むが、これらに限らない。
【0077】
また、本発明は、本明細書を通して開示される実質的に精製された核酸分子を含んでいる組換えベクターおよび原核、真核を問わない組換え宿主にも関している。DmLGICタンパク質を全体として、または部分的にコードする本発明の核酸分子は、他のDNA分子、即ちDmLGICコード配列が自然には連結されないDNA分子と連結されることによって、各DmLGICタンパク質をコードする「組換えDNA分子」を形成することができる。本発明の新規なDNA配列を、DmLGICをコードする核酸または機能的同等物を含むベクター中に挿入することができる。これらのベクターはDNAまたはRNAで構成されてもよいが、大抵のクローニングのためにはDNAベクターが好ましい。典型的なベクターは、プラスミド、修飾ウィルス、バクテリオファージ、コスミド、酵母人工染色体、およびDmLGICタンパク質をコードし得る他の形態のエピソームや組込み型DNAを含む。特定の遺伝子導入や他の用途のために適切なベクターを決定することは、当業者が十分に扱い得る範囲に入る。
【0078】
中等度から高度に緊縮な条件下で配列番号1、3、5および6とハイブリッドを形成するDNA配列は、本発明に含まれる。制限するためでなく、例として、高緊縮条件を用いる手順は次のとおりである:DNAを含むフィルタの予備的ハイブリッド形成を、6×SSC、5×デンハルト溶液、および変性サケ精子DNA 100μg/mlからなる緩衝液中、2時間から終夜の間65℃で行う。フィルタを、変性サケ精子DNA 100μg/mlおよび32P標識プローブ5〜20×10cpmを含む予備ハイブリッド形成混合物中、12時間から48時間65℃でハイブリッド形成させる。フィルタの洗浄は、2×SSC、0.1%SDSを含む溶液中、37℃で1時間行う。この後、0.1×SSC、0.1%SDS中、50℃で45分間洗浄し、次いでオートラジオグラフィを行う。高緊縮条件を用いる他の手順は、5×SSC、5×デンハルト溶液、50%ホルムアミド中、42℃で12から48時間行うハイブリッド形成段階、または0.2×SSPE、0.2%SDS中、65℃で30から60分間の洗浄段階のいずれかを含むと思われる。高緊縮なハイブリッド形成を行うための前記手順で述べた試薬は、当分野で周知である。これら試薬の組成の詳細は、例えば、Sambrook et al.、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New Yorkに見出すことができる。前記以外に使用し得る他の高緊縮条件は当分野で周知である。
【0079】
「同一性」は、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の同一性の尺度である。一般に、最高次の一致が得られるように、各配列が配列される。「同一性」自体は、当業界で認識された意味を有し、公知技法を用いて計算できる。例えば、(Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.、ed.Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.、ed.、Academic Press、New York、1993;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin,A.M.and Griffin,H.G.、eds.、Humana Press、New Jersey、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987;およびSequence Analysis Primer、Gribskov,M.and Devereux,J.、eds.、M Stockton Press、New York、1991)を参照されたい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの2個の配列間の同一性を測定する幾つかの方法があるが、「同一性」という用語は当業者に周知である(Carillo and Lipton、1988、SIAM J Applied Math 48:1073)。2個の配列間の同一性または類似性を決定するために汎用される方法は、Guide to Huge Computers、Martin J.Bishop、ed.、Academic Press、San Diego、1994およびCarillo and Lipton、1988、SIAM J Applied Math 48:1073に開示されている方法を含むが、これらに限定されない。同一性や類似性を決定する方法は、コンピュータプログラム中に体系化されている。2個の配列間の同一性や類似性を決定する好ましいコンピュータプログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,et al、1984、Nucleic Acids Research 12(1):387)、BLASTNおよびFASTA(Altschul、et al.、1990、J Mol.Biol.215:403)を含むが、これらに限定されない。
【0080】
一例として、配列番号1の参照ヌクレオチド配列に、少なくとも例えば95%の「同一性」を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとは、そのポリヌクレオチド配列が、配列番号1の参照ヌクレオチド配列のヌクレオチド各100個当たり5点までの突然変異や代替ヌクレオチドを含み得ることを除けば、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意図している。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中のヌクレオチドの5%までが欠失するか、または他のヌクレオチドで置換されてもよく、あるいは、参照配列中の全ヌクレオチドの5%までの数のヌクレオチドを参照配列中に挿入してもよい。参照配列のこれらの突然変異や代替ヌクレオチド置換は、参照ヌクレオチド配列の5’または3’末端で生じてもよく、あるいは、参照配列中のヌクレオチド間に個々に散在するか、または参照配列内の1以上の隣接グループ中に散在することによって、両末端位間のどこかで生じてもよい。100%未満の同一性を生じるこのような「突然変異」または変化の一発生源は、RNA編集を介して起こり得る。RNA編集の過程は、修飾されたmRNAをクローニングされるcDNAを発生させる鋳型として使用したとき、コドン変化が起こる場合も起こらない場合もある1以上のヌクレオチド変化が起こるように、mRNA分子の修飾を起こす。このRNA編集は、RNAエディターゼによって触媒されることが知られている。このようなRNAエディターゼはRNAアデノシンデアミナーゼであり、それはシトシン残基を模倣する傾向のあるイノシン残基にアデノシン残基を変換する。この目的のために、mRNA残基のAからIへの変換が、クローニングされるcDNAのコードおよび非コード領域においてAからGへの転位を起こすと思われる(例えば、Hanrahan et al、1999、Annals New York Acad.Sci.868:51−66を参照されたい。総説としては、Bass、1997、TIBS 22:157−162を参照されたい)。同様に、配列番号2の参照アミノ酸配列に、少なくとも例えば95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、そのポリペプチド配列が、配列番号2の参照アミノ酸のアミノ酸各100個当たり5個までのアミノ酸の修飾を含み得ることを除けば、そのポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列と同一であることを意図している。換言すれば、参照アミノ酸配列に少なくとも95%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、参照配列中のアミノ酸残基の5%までが欠失するか、または他のアミノ酸で置換されてもよく、あるいは、参照配列中の全アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸を参照配列中に挿入してもよい。参照配列のこれらの修飾は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端で起こってもよく、あるいは、参照配列中の残基間に個々に散在するか、または参照配列内の1個または複数の隣接グループ中に散在することによって、両末端間のどこかで起こってもよい。前記のように再び、RNA編集が、ゲノム配列の読み取り枠に直接対応する「非RNA編集」転写体から発現する他のタンパク質と、「同一性」の異なる発現タンパク質を生じるコドン変化を起こし得る。
【0081】
また、本発明は、図2、図4および図6に開示し、配列番号2、4,および6で各々示したアミノ酸配列を含む、各DmLGICタンパク質の実質的に精製された形態にも関する。開示したDmLGICタンパク質は、図2、4および6に示すように、長さがアミノ酸426個(配列番号2)、アミノ酸422個(配列番号4)、およびアミノ酸485個(配列番号6)の読み取り枠を含んでおり、次のとおりである。
【0082】
【化5】
Figure 0004769401
Figure 0004769401
【0083】
また、本発明は、配列番号2、4および7に示したようなアミノ酸配列を含むDmLGICタンパク質の生物活性な断片および/または突然変異体であって、アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が診断、治療または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を提供し、DmLGIC機能の作動薬および/または拮抗薬のスクリーニングに有用となるように、これらの突然変異を含むが、必ずしもこれらの変異に限定されないものにも関する。
【0084】
本発明の他の好ましい態様は、配列番号1、3、5および/または6に示したヌクレオチド配列を含み、各DmLGIC前駆体タンパク質を発現するDNA発現ベクターを含んだ組換え宿主細胞から得られる、実質的に精製され、十分に処理されたLGICタンパク質に関する。その組換え宿主細胞は、前記のように、哺乳動物細胞系、またはアフリカツメガエル卵母細胞等の真核宿主細胞であることが、特に好ましい。
【0085】
多くのタンパク質と同様に、DmLGICタンパク質のアミノ酸の多くを修飾し、それでも尚、野生型タンパク質と実質的に同じ生物活性を保持することが可能である。したがって、本発明は、アミノ酸の欠失、付加または置換を有するが、それでも尚、対応する各DmLGICと実質的に同じ生物活性を保持する修飾DmLGICポリペプチドを含む。単一のアミノ酸置換では、普通、タンパク質の生物活性は変化しないことが、一般に了知されている(例えば、Molecular Biology of the Gene,Watson et al.,1987,Fourth Ed.The Benjamin/Cummings Publishing Co.,Inc.,page226およびCunningham & Wells,1989,Science 244:1081−1085)。したがって、本発明は、配列番号2、4、および/または7で1個のアミノ酸置換がなされたが、それでも尚、対応するDmLGICタンパク質と実質的に同じ生物活性を保持しているポリペプチドを含む。また、本発明は、配列番号2、4または7で2個以上のアミノ酸置換がなされたが、それでも尚、対応するDmLGICタンパク質と実質的に同じ生物活性を保持しているポリペプチドも含む。特に本発明は、前記置換が保存的置換である実施形態を含む。
【0086】
当業者であれば、DmLGICの機能的同等物であって、アミノ酸の小さな欠失または挿入をDmLGICアミノ酸配列からの変化とするポリペプチドも、同じ指針に従うことによって、即ちDmLGICと関連タンパク質とのアミノ酸配列の差を最小化することによって、産生し得ることを認める。小規模の欠失または挿入は、一般に約1個から5個のアミノ酸の範囲にある。このような小規模の欠失または挿入の修飾DmLGICポリペプチドの生物活性に対する効果は、そのポリペプチドを合成により生成するか、あるいは、DmLGICをコードするDNAに必要な変化を起こした後、そのDNAを組換えて発現させ、そのような組換え発現で生成したタンパク質を評価することによって、容易に試験することができる。
【0087】
本発明は、酵素の活性部位を含む領域を含んだDmLGICの末端切断形も含んでいる。このような末端切断タンパク質は、本明細書に記載の様々なアッセイ、結晶化研究、および構造−活性相関の研究において有用である。
【0088】
また、本発明は、本発明の核酸分子を含んだ(原核細胞および真核細胞、ならびに形質転換の安定な細胞および一過性の細胞の)組換え宿主細胞から得た、膜含有未精製溶解物または実質的に精製された細胞内膜分画にも関する。これらの組換え宿主細胞は、翻訳後に生物活性な態様で細胞膜と結合するDmLGICまたは機能的同等物を発現する。これらの細胞内膜分画は、内在量より実質的に多量のDmLGICの野生型または突然変異体を含み、したがってDmLGICタンパク質またはチャネルのモジュレーターを選択する試験において有用と思われる。換言すれば、このような細胞内膜分画の特定の用途には、組換え細胞内でDmLGICを発現後、他の細胞成分からその膜を分離、実質的に精製し、その後、そのタンパク質あるいは本明細書に開示するそのタンパク質の1種または複数を含む生物活性なチャネルの作動薬や拮抗薬等のモジュレーターを選択する試験に使用することが必要である。あるいは、その膜を含む溶解細胞を、組換え発現した本明細書に開示するタンパク質のモジュレーターを選択する試験に直接使用してもよい。したがって、本発明の他の好ましい態様は、配列番号1、3、5および/または6に示す完全な読み取り枠を含み、かつ適切に発現するDNAベクターで形質転換またはトランスフェクトした結果、機能的に処理された形態の各単一性、ホモ多量体またはヘテロ多量体DmLGIC受容体を生じる組換え宿主細胞から得られた膜を含む、実質的に精製された膜調整物または溶解組換え細胞成分に関する。その組換え宿主細胞は、前記のように、哺乳動物細胞系またはアフリカツメガエル卵母細胞等の真核宿主細胞であることが、特に好ましい。
【0089】
この目的のための本発明の好ましい一態様は、単一のチャネルタンパク質か、または、本明細書でホモ多量体チャネルまたはヘテロ多量体チャネルと称し、多数のサブユニットを含むチャネルのいずれかからなる機能的DmLGICチャネル受容体である。したがって、単一のチャネルは、配列番号2、4または7に開示したタンパク質、またはその生物学的に活性な同等物(即ち、野生型チャネル受容体に類似の様式で尚も機能する修飾チャネルタンパク質)から構成され得る。ホモ多量体チャネル受容体複合体は、配列番号2、4、および7の開示群、ならびに生物学的に活性な同等物から選択される複数のポリペプチドを含んでいると思われる。ヘテロ多量体チャネル受容体複合体は多数のサブユニットを含んでいると思われ、その複合体中では、本明細書に開示した3種のタンパク質中の少なくとも2種がチャネル形成に寄与しているか、または、活性なチャネル受容体複合体を提供するために、それらのタンパク質の少なくとも1種が他のタンパク質またはチャネル成分と結合している。したがって、更に本発明は、本明細書に記載の実質的に精製されたチャネル、ならびに、実質的に精製された膜調整物、部分的に精製された膜調整物、または本明細書に記載の機能性の単一、ホモ多量体またはヘテロ多量体のチャネルを含む細胞溶解物にも関する。
【0090】
また、本発明は、野生型DmLGIC活性を調節する化合物を同定する試験において有用な融合タンパク質を発現するばかりでなく、DmLGICに対する抗体も発生させる融合構築体の分離核酸分子に関する。本発明のこの部分の一態様は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)−DmLGIC融合構築体を含むが、それに限らない。組換えGST−RsGluCl融合タンパク質を、バキュロウィルス発現ベクター(pAcG2T、Pharmingen)を用いたSpodoptera frugiperda(Sf21)昆虫細胞(Invitrogen)を含む様々な発現系で発現させてもよい。他の態様は、GFP(グリーン蛍光タンパク)、MYCエピトープおよびGSTを含むが、これらに限らない様々な標識に連結したDmLGIC融合構築体に関する。前と同じように、このような任意の融合構築体を関心のある細胞系内で発現してもよいし、本明細書に開示するDmLGICタンパク質の1種または複数のモジュレーターをスクリーニングするために使用してもよい。
【0091】
DmLGIC活性のモジュレーターをスクリーニングする好ましい一態様は、Xenopus laevis卵母細胞中に本発明のDNA分子を注入することを含む、リガンド依存性イオンチャネル活性測定の電気生理学的試験用発現系である。イオンチャネル活性の研究におけるアフリカツメガエル卵母細胞の一般的使用は、当分野で公知である(Dascal、1987、Crit.Rev.Biochem.22:317−317;Lester、1988、Science 241:1057−1063;また、Methods of Enzymology、Vol.207、1992、Ch.14−25、Rudy and Iverson、ed.、Academic Press,Inc.、New York)。チャネル活性、および作動薬および/または拮抗薬による調節を測定する改良法で、以前の技術より感度が7倍高い方法が存在する。アフリカツメガエル卵母細胞に、依存性チャネルをコードするDNA、mRNAまたはcRNAを含むが、これらに限らない核酸物質を注入し、そのチャネルの活性ならびに様々なモジュレーターに対するチャネルの反応を測定する。塩素イオンに対する逆転電位より陽性の(即ち、−30mVより大きい)、好ましくは約0mVの保持電位を利用することによって、イオンチャネル活性が測定される。試験測定条件のこの変化によって、リン酸イベルメクチンによる調節に対する試験感度が10倍増加する。したがって、この改良試験は、以前には検出不能と考えられた水準のLGIC活性を調節する化合物のスクリーニングおよび選択を可能とする。
【0092】
DmLGICをクローニングするために、様々な手順のいずれを使用してもよい。これらの方法は以下の方法を含むが、それらに限らない。(1)RACE PCRクローニング法(Frohman、et al.、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8998−9002)。完全長cDNA配列を作製するために、5’および/または3’RACEを行ってもよい。この戦略では、DmLGIC cDNAのPCR増幅のために、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーの使用が必要である。これらの遺伝子特異的プライマーは、公然と入手し得る任意数の核酸およびタンパク質データベースを捜すことによって同定された、発現配列タグ(EST)ヌクレオチド配列の同定を経て設計される;(2)適切な発現ベクター系においてDmLGIC含有cDNAライブラリを構築した後の、DmLGIC cDNAの直接的な機能性発現;(3)DmLGICタンパク質のアミノ酸配列から設計した標識縮重オリゴヌクレオチドプローブによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築したDmLGIC含有cDNAライブラリの検索;(4)DmLGICタンパク質をコードする部分的cDNAによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築したDmLGIC含有cDNAライブラリの検索。この部分的cDNAは、DmLGICタンパク質と関連する他のキナーゼに対して知られているアミノ酸配列からの縮重オリゴヌクレオチドプライマーの設計を介した、DmLGIC DNA断片の特異的PCR増幅によって得られる;(5)哺乳動物DmLGICタンパク質と相同性を有する部分的cDNAまたはオリゴヌクレオチドによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築したDmLGIC含有cDNAライブラリの検索。この戦略には、前記のESTとして同定された、DmLGIC cDNAのPCR増幅用遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーの使用も必要となるかもしれない;あるいは、(6)鋳型として配列番号1、3および5を用いて5’および3’遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを設計することによって、完全長cDNAを公知のRACE法で作製するか、または、DmLGICをコードする全長型のヌクレオチド配列を分離することを目的として、cDNAおよび/またはゲノムライブラリの多型のひとつを検索するプローブとして使用するコード化領域の一部を作製し、分離するために、同様に公知のRACE法でコード化領域の一部を作製すること。あるいは、DmLGIC cDNAを、実施例1節に記載のようにクローニングしてもよい。簡潔には、2種の新規なリガンド依存性イオンチャネル遺伝子、AC05およびAC15をコードすると思われる部分配列を、拡張Smith Watermanアルゴリズムを用いたショウジョウバエゲノム配列決定プロジェクトにおいて同定した。参照配列は、線虫(C.elegans)グルタミン酸依存性イオンチャネルのavr−15aペプチド配列(登録番号AJ000538)であり、調査したDNAデータベースは、公開されているショウジョウバエと高効率のゲノム配列であった。その調査は、Compugen Biocel XLPハードウェアサーチエンジン(Petach Tikva,イスラエル)上で行った。データベース中に入力した両配列は、予測されたイントロンを含んでいた。Ac05またはAc15に特異的なプライマーを、そのデータベース配列に基いて設計した。これらのプライマーの組合せを用いて、全てのハエの全RNA上でのRT−PCR、次いでTAクローニングを両遺伝子に対して行った。Ac05、Ac15の双方に対する長さが約500bpの断片を分離し、DNA配列決定によって確認した。ポリARNAをOregon R Drosophilaの全身から精製し、二本鎖cDNAを作製するために使用した。両遺伝子に対する5’および3’RACE断片を、第1回目のPCRおよびnested PCRによって得た。生成した断片の大きさは、3’RACEではAc05に対して約1.3kb、Ac15に対して約1.8kbであった。5’RACEでは、Ac05、Ac15は共に、大きさ約1kbの断片を有している。そのPCR産物をpCR2.1−TOPOベクター中にクローニングした。スプライシングされたクローンとされていないクローンを分離するために、DNA小試料を制限酵素で消化して検索した。5’および3’RACE産物から得た配列を用いて、完全長クローンを作製するために、両遺伝子に対するPCRプライマー設計した。第1回PCRに対してプライマーAc05 F1およびR1、第2回PCRに対してプライマーAc05 F1およびR2を用いて、cDNAクローンAc05−10およびAc05−11を作製した。第1回PCRに対してプライマーAc15 F1およびR1を用いて、cDNAクローンAc15−4およびAc15−25を作製した。そのPCR産物をpCR2.1−TOPOベクター中にクローニングした。Ac05の2種のクローン、Ac05−10(1518bp)およびAc05−11(1506bp)が同定された。これらのクローンは、Ac05−10中のM3−M4細胞内ループ内の4個のアミノ酸挿入を別とすれば、同一である(配列番号2に示した、アミノ酸残基375位からアミノ酸残基378位までのSer−Ala−Leu−Gln挿入)。Ac15の2種のクローン、Ac15−4(2073bp)およびAc15−25(2034bp)も同定され、それらは同じタンパク質配列を予測しているが、1455ヌクレオチドの読み取り枠内のヌクレオチド16個が異なる。
【0093】
他の型のライブラリ、ならびに他の細胞型や種型から構築したライブラリが、DmLGICコード化DNAまたはDmLGIC相同体を分離するために有用であることは、当業者には自明である。他の型のライブラリは、他の細胞に由来するcDNAライブラリを含むが、それに限定されない。
【0094】
DmLGIC活性を有する細胞や細胞系から適当なcDNAライブラリを調製し得ることは、当業者には自明である。このような目的に利用できる任意の既知の試験を用いて、細胞結合DmLGIC活性を最初に測定することでDmLGICをコードするcDNAを分離するために、cDNAライブラリの調製に使用する細胞や細胞系を選択しうる。
【0095】
cDNAライブラリの調製は、当分野で周知の標準的技法によって行いうる。周知のcDNAライブラリ構築法は、例えば、Sambrook et al.、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New Yorkに見出すことができる。相補的DNAライブラリを、Clontech Laboratories,Inc.およびStratageneを含み、これらに限定されない多数の市販源から得てもよい。
【0096】
DmLGICをコードするDNAを適当なゲノムDNAライブラリから分離し得ることも、当業者には自明である。ゲノムDNAライブラリの構築は、当分野で周知の標準的技法によって行いうる。周知のゲノムDNAライブラリの構築法は、前記のSambrook等に見出すことができる。特に、P1人工染色体ベクター中にゲノムライブラリを調製し、そこから本明細書に開示するDmLGICヌクレオチド配列に基くプローブを用いて、DmLGICを含むゲノムクローンを分離してもよい。このようなライブラリを調製する方法は、当分野で公知である(Ioannou et al.、1994、Nature Genet.6:84−89)。
【0097】
好ましい方法中の一法によってDmLGIC遺伝子をクローニングするために、DmLGICまたは相同タンパク質のアミノ酸配列やDNA配列が必要となるかもしれない。これを実現するために、各DmLGICタンパク質を精製し、部分的アミノ酸配列を自動化した配列分析装置で決定してもよい。全アミノ酸配列を決定する必要はないが、部分的なDmLGIC DNA断片をPCR増幅するために、6から8アミノ酸の2領域の線状配列を決定することができる。適当なアミノ酸配列を同定してしまうと、それらをコードすることのできるDNA配列を合成する。遺伝暗号は縮重しているので、特定のアミノ酸をコードするために複数のコドンを使用してもよく、したがって、そのアミノ酸配列は、一組の類似したDNAオリゴヌクレオチドのいずれによってもコードされ得る。その一組中の1種だけがDmLGIC配列と同一であると思われるが、その一組中の他のものも、ミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドの存在下でさえ、DmLGIC DNAとハイブリッドを形成することができると思われる。ミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドは、それでも、DmLGICコード化DNAの同定および分離を可能とするのに十分なだけ、DmLGIC DNAとハイブリッドを形成するかもしれない。あるいは、発現された配列の一領域のヌクレオチド配列を、1個または複数の入手可能なゲノムデータベースを調査することによって同定してもよい。cDNAライブラリとcDNA集合体のいずれかから、関心のあるcDNAのPCR増幅を行うために、遺伝子特異的プライマーを使用してもよい。前記のように、DmLGICをコードする完全長配列を作製するために、重複する5’および3’RACE産物を分離する目的で、あるいは、DmLGICまたはDmLGIC様タンパク質をコードする完全長配列を分離するために、1種または複数のcDNA系またはゲノム系ライブラリを検索するプローブとして用いる、RsGluClをコードするヌクレオチド配列の一部を分離する目的で、PCR基準法に用いる適当なヌクレオチド配列を配列番号1、3、5または6から得てもよい。
【0098】
本発明は、DmLGIC遺伝子を含むベクター、そのベクターを含む宿主細胞、およびDmLGIC遺伝子を宿主細胞に導入する段階、およびDmLGICの生成に適当な条件下で宿主細胞を培養する段階を含む実質的に純粋なDmLGICタンパク質を生産する方法も含んでいる。このようにして生産したDmLGICを従来の方法で宿主細胞から収穫してもよい。したがって、本発明は、DmLGICタンパク質および本明細書で開示する生物学的同等物を発現する方法、これらの遺伝子産物を用いる試験、これらのタンパク質を発現するDNA構築体を含む組換え宿主細胞、およびこれらの試験により、DmLGIC活性の作動薬や拮抗薬として作用することが確認された化合物にも関する。
【0099】
前記の方法で得たクローニングしたDmLGIC cDNAを、適当なプロモーターおよび他の転写調節因子を含む(pcDNA3.neo、pcDNA3.1、pCR2.1、pCR2.1−TOPO、pBlueBacHis2またはpLITMUS28、ならびに以下に列挙する他の例等の)発現ベクター中への分子クローニングによって組換えで発現させ、かつ原核または真核宿主細胞中に導入することによって、組換えDmLGICを産生させてもよい。本明細書では、発現ベクターを、適当な宿主細胞において、クローニングしたDNAを転写し、そのmRNAを翻訳するのに必要なDNA配列と定義する。このようなベクターの使用によって、細菌、藍藻、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞等の様々な宿主細胞中に真核細胞DNAを発現することができる。特定の設計をされたベクターは、細菌−酵母、細菌−動物細胞等の宿主間でのDNAの移動を可能にする。適切に構築した発現ベクターは、宿主細胞中における自律複製用複製源、選択可能なマーカー、限定数の有用な制限酵素部位、高コピー能、および活性なプロモーターを含むはずである。プロモーターは、RNAポリメラーゼがDNAに結合し、RNA合成を開始するように指示するDNA配列と定義される。強力なプロモーターは、高頻度でmRNAを開始させる。最適量のDmLGICを産生するDmLGIC cDNA配列を決定するために、次のものを含むが、それらに限らないcDNA分子を構築できる:DmLGICに対する完全長読み取り枠を含むcDNA断片、ならびにそのタンパク質の特異的ドメインまたはそのタンパク質の再配列ドメインのみをコードするcDNA部分を含む様々な構築体。DmLGIC cDNAの5’および/または3’非翻訳領域を全く含まないか、その全部または一部を含むように、全ての構築体を設計することができる。これらの構築体を適当な宿主細胞中に単独および組合せて導入した後、DmLGICの発現量および活性を決定することができる。暫定的試験で最適発現を生じるDmLGIC cDNAカセットを決定した後、このDmLGIC cDNA構築体を、哺乳動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、卵母細胞、細菌、および酵母細胞用のものを含むが、それらに限らない(組換えウィルスを含む)様々な発現ベクターに導入する。該操作の技法は前記のSambrook等に記載されており、それらは当業者に周知であり、利用可能である。したがって、本発明の他の態様は、DmLGICをコードするDNA配列を含み、かつ/または発現するように処理された宿主細胞を含む。組換え宿主細胞中にDmLGICを発現させるために、DmLGIC様タンパク質をコードするDNAを含んだ発現ベクターを使用してもよい。DmLGICまたは生物学的等価形態を産生するために、このような組換え宿主細胞を適当な条件下で培養することができる。発現ベクターは、クローニングベクター、修飾クローニングベクター、特定の設計がなされたプラスミドまたはウィルスを含むが、それらに限らない。組換えDmLGICの発現に適当と思われる市販の哺乳細胞用発現ベクターは、pcDNA3.neo(Invitrogen)、pcDNA3.1(Invitrogen)、pCI−neo(Promega)、pLITMUS28、pLITMUS29、pLITMUS38およびpLITMUS39(New England Bioloabs)、pcDNAI、pcDNAIamp(Invitrogen)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pXT1(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC37593)、pBPV−1(8〜2)(ATCC37110)、pdBPV−MMTneo(342〜12)(ATCC37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pSV2−dhfr(ATCC37146)、pUCTag(ATCC37460)、およびlZD35(ATCC37565)を含むが、それらに限らない。また、細菌細胞中に組換えDmLGICを発現させるために、様々な細菌用発現ベクターを用いてもよい。組換えDmLGICの発現に適当と思われる市販の細菌用発現ベクターは、pCR2.1(Invitrogen)、pET11a(Novagen)、lambda gt11(Invitrogen)、およびpKK223−3(Pharmacia)を含むが、それらに限らない。その上、菌類細胞中に組換えDmLGICを発現させるために、様々な菌類細胞用発現ベクターを用いてもよい。組換えDmLGICの発現に適当と思われる市販の菌類細胞用発現ベクターは、pYES2(Invitrogen)およびPichia発現ベクター(Invitrogen)を含むが、それらに限らない。また、昆虫細胞中に組換えタンパク質を発現させるために、様々な昆虫細胞用発現ベクターを用いてもよい。組換えDmLGICの組換え発現に適当と思われる市販の昆虫細胞用発現ベクターは、pBlueBacIIIおよびpBlueBacHis2(Invitrogen)、およびpAcG2T(Pharmingen)を含むが、それらに限らない。
【0100】
組換え宿主細胞は、E.coli等の細菌、酵母等の菌類細胞、ウシ、ブタ、サルおよび齧歯類起源の細胞系を含むが、それらに限らない哺乳動物細胞、およびショウジョウバエや蚕由来の細胞系を含むが、それらに限らない昆虫細胞を含んでいるが、それらに限らない原核または真核細胞であってもよい。例えば、昆虫の一発現系は、バキュロウィルス発現ベクター(pAcG2T、Pharmingen)と共に、Spodoptera frugiperda(Sf21)昆虫細胞(Invitrogen)を利用する。また、適当と思われ、市販されている哺乳細胞種は、L細胞L−M(TK)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、Saos−2(ATCC HTB−85)、293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)およびCPAE(ATCC CCL209)を含むが、それらに限らない。
【0101】
DmLGICに対する親和性を示す化合物の結合特異性は、クローニングした受容体を発現する組換え細胞、またはこれらの細胞由来の膜に対する、その化合物の親和性を測定することによって示される。クローニングした受容体の発現、およびDmLGICに結合するか、またはDmLGICの既知の放射能標識リガンドのこれらの細胞やこれらの細胞由来の膜への結合を阻害する化合物のスクリーニングは、DmLGICに対する高い親和性を有する化合物を迅速に選択する効果的な方法を提供する。このようなリガンドは、必ずしも放射能標識する必要はなく、結合している放射能標識化合物に置換するために使用し得るか、機能性試験で活性剤として使用し得る非同位体性化合物であってもよい。前記方法によって確認される化合物は、DmLGICの作動薬か拮抗薬であると思われ、ペプチド、タンパク質、または非タンパク質性の有機分子であるかもしれない。
【0102】
したがって、本発明は、DmLGICタンパク質をコードするDNAまたはRNAの発現を調節する化合物、ならびにDmLGICタンパク質の機能を変化させる化合物をスクリーニングする方法を対象とする。他の受容体の作動薬および拮抗薬を確認する方法は、当分野で周知であり、それらをDmLGICチャネルの作動薬および拮抗薬を確認するように適合させることができる。例えば、Cascieri等(1992、Molec.Pharmacol.41:1096〜1099)は、ラットのニューロキニン受容体に結合する作動薬を阻害し、したがってニューロキニン受容体の作動薬または拮抗薬となり得る物質を確認する方法を記載している。その方法では、COS細胞にラットのニューロキニン受容体を含む発現ベクターをトランスフェクトし、ニューロキニン受容体の発現を可能とするに十分な時間の間、トランスフェクトしたその細胞を成長させ、トランスフェクトしたその細胞を収穫し、ニューロキニン受容体の既知の放射活性標識作動薬を含む試験緩衝液中に、その物質の存在下または不在下のいずれかでその細胞を再懸濁し、次いでニューロキニン受容体の既知の放射活性標識作動薬のニューロキニン受容体への結合を測定する。公知の作動薬の結合量がその物質の不在下より存在下で少なければ、その場合、その物質はニューロキニン受容体の作動薬または拮抗薬となり得る。作動薬、拮抗薬等のその物質のDmLGICへの結合を測定する場合、標識物質または作動薬を用いることによって、このような結合を測定することができる。当分野に公知られている任意の適当な方法で、例えば、放射活性、蛍光、酵素によって、物質または作動薬を標識することができる。
【0103】
関心のあるDmLGIC遺伝子を発現させるためのアフリカツメガエル卵母細胞の使用に関して前記したように、本発明は、DmLGICタンパク質をコードするDNAまたはRNAの発現を調節する化合物をスクリーニングする方法を対象とする。これらの活性を調節する化合物は、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、あるいは非タンパク質性の有機であるかもしれない。化合物は、DmLGICをコードするDNAまたはRNAの発現、あるいはDmLGIC系チャネルの機能を増加または減少させることによって、調節すると思われる。DmLGICをコードするDNAまたはRNAの発現、あるいはその生物学的機能(即ち、ヒスタミンまたは他のリガンド、および/または野生型チャネルを活性化する化合物によるチャネル活性化)を調節する化合物は、様々な試験によって検出し得る。その試験は、発現や機能の変化があるか否かを決定する単純な「肯定/否定」試験であってもよい。試験試料の発現や機能(即ち、チャネル活性の効果)を標準試料の発現や機能のレベルと比較することによって、その試験を定量化してもよい。DmLGIC、DmLGICに対する抗体、または修飾DmLGICを含むキットを、このような用途のために既知の方法で調製してもよい。
【0104】
この目的のために、本発明は、DmLGIC受容体活性を調節する物質を確認する方法に部分的に関するものであって、その方法では、
(a)配列番号4および/または7に示すアミノ酸配列を含むDmLGIC受容体タンパク質の存在下、および不在下で試験物質を合わせ、かつ
(b)DmLGIC受容体タンパク質の存在下および不在下で、その試験物質の作用を測定し、比較すること
が必要である。
【0105】
その上、DmLGIC受容体タンパク質の発現を指示する発現ベクターと共に、技術者が利用し得る多型のスクリーニングまたは選択試験を示すために、幾つかの特定の実施形態を本明細書に開示している。他の受容体の作動薬および拮抗薬を確認する方法は当分野で周知であり、それらをDmLGICの作動薬および拮抗薬の確認に適合させることができる。したがって、これらの実施形態を例として提示するが、制限するためのものではない。この目的のために、本発明は、(作動薬、拮抗薬等の)DmLGICモジュレーターを確認し得る試験を含む。したがって、本発明は、ある物質がDmLGICの作動薬または拮抗薬となり得るか否かを決定する方法であって、
(a)細胞中においてDmLGICの発現を指示する発現ベクターで、その細胞をトランスフェクトまたは形質転換することによって、試験細胞を作製すること、
(b)DmLGICの発現を可能にするのに十分な時間の間、かつ機能性チャネルが作製するように、その試験細胞を成長させること、
(c)その物質の存在下、および不在下で、その細胞をDmLGICの標識リガンドに曝すこと、
(d)その標識リガンドのDmLGICチャネルへの結合量を測定すること
を含み、その標識リガンドの結合量がその物質の不在下より存在下で少ない場合、その物質がDmLGICの作動薬または拮抗薬となり得るとする方法を含む。
【0106】
この方法の段階(c)を実施する条件は、タンパク質−リガンド相互作用を調べるために当分野で通常使用する条件:例えば、生理的pH;PBS等の通常用いられる緩衝液で代表されるか、または組織培養培地中のような塩条件;約4℃から約55℃の温度である。その試験細胞を収穫し、その物質およびその標識リガンドの存在下で再懸濁してもよい。前記方法の一改良法では、その細胞を収穫し、再懸濁するのではなく、細胞を基材、例えば組織培養皿に付着させた状態で、細胞に知られている放射能標識作動薬およびその物質を接触させるように、段階(c)を改良する。
【0107】
また、本発明は、ある物質がDmLGICと結合することができるか否か、即ちその物質がDmLGICチャネル活性化の作動薬または拮抗薬となり得るか否かを決定する方法であって、
(a)細胞中においてDmLGICの発現を指示する発現ベクターで、その細胞をトランスフェクトまたは形質転換することによって、試験細胞を作製すること、
(b)その試験細胞をその物質に曝すこと、
(c)その物質のDmLGICへの結合量を測定すること、
(d)その試験細胞におけるその物質のDmLGICへの結合量を、DmLGICでトランスフェクトされていない対照細胞へのその物質の結合量と比較すること
を含み、その物質の結合量が、対照細胞と比較して試験細胞中で大きい場合、その物質はDmLGICに結合することができるとする方法も含む。次いで、その物質が実際に作動薬または拮抗薬であるか否かの決定を、例えば、以下に記載の様々なGタンパク質を用いる試験等の機能性試験の使用によって実現することができる。
【0108】
この方法の段階(b)を実施する条件は、タンパク質−リガンド相互作用を調べるために当分野で常使用する条件:例えば、生理的pH;PBS等の通常用いられる緩衝液で代表されるか、または組織培養培地中のような塩条件;約4℃から約55℃の温度である。その試験細胞を収穫し、その物質の存在下で再懸濁する。
【0109】
前記試験は機能性試験であってよく、その場合、電気生理学的試験(例えば、実施例2を参照されたい)をトランスフェクトした哺乳動物細胞系、ならびにアフリカツメガエル卵母細胞中で行うことによって、試験化合物が(ヒスタミンまたはグルタミン酸等の)既知リガンドのチャネル活性化能力に及ぼす様々な効果を測定するか、あるいは、本質的に自然に活性を調節する(知られているGluClチャネルに対するイベルメクチンの作用に類似した)試験化合物を探索してもよい。したがって、技術者であれば、本発明の機能性DmLGICチャネルを結合および/または活性化する化合物を選択する一次および二次スクリーニング用の公知の技法で、本発明のcDNAクローンを適合させうると思われる。
【0110】
DmLGICの量をスクリーニングし、測定するために、本発明のDNA分子、RNA分子、組換えタンパク質および抗体を使用してもよい。組換えタンパク質、DNA分子、RNA分子および抗体は、DmLGICの検出およびタイプ決定に適したキットの処方に有用である。このようなキットは、少なくとも1個の容器を緊密に閉じ込めるのに適した仕切り付き運搬具を含むと思われる。更に、その運搬具は、組換えDmLGICまたはDmLGICの検出に適した抗DmLGIC抗体のような試薬を含むと思われる。また、その運搬具は、標識抗原または酵素基質等のような検出手段を含み得る。
【0111】
上記の試験は、DmLGICで一時的または安定にトランスフェクトした細胞を用いて実行することができる。発現ベクターは、形質転換、トランスフェクション、プロトプラスト融合、およびエレクトロポレーションを含むが、それらに限らず多数の技術の任意の一法を介して、宿主細胞中に導入してもよい。トランスフェクションとは、試験細胞中にDmLGICを導入するための、当分野で公知の任意の方法を含むことを意味している。例えば、トランスフェクションは、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム介在トランスフェクション、リポフェクション、DmLGICを含んだレトロウィルス構築体による感染、およびエレクトロポレーションを含む。発現ベクター含有細胞は、DmLGICタンパク質を産生するか否かを決定するために、個別に分析する。DmLGIC発現細胞の確認は、抗DmLGIC抗体を用いた免疫反応性、標識リガンド結合、および/または宿主細胞関連DmLGIC活性を含むが、それらに限らない幾つかの手段によってなし得る。
【0112】
DmLGICに対する親和性を示す化合物の結合特異性は、クローニングした受容体を発現する組換え細胞、またはこれらの細胞由来の膜に対するその化合物の親和性を測定することによって示される。クローニングした受容体の発現、およびDmLGICに結合するか、またはDmLGICの放射能標識した既知リガンドのこれら細胞やこれら細胞から調製した膜への結合を阻害する化合物のスクリーニングは、DmLGICに対する高い親和性を有する化合物を迅速に選択する効果的な方法を提供する。このようなリガンドは、必ずしも放射能標識する必要はなく、結合中の放射能標識化合物に置き換わるために使用し得るか、あるいは機能性試験で活性化剤として使用し得る非同位体性化合物であってもよい。前記方法によって確認される化合物は、DmLGICの作動薬か拮抗薬であると思われ、ペプチド、タンパク質、あるいは非タンパク質性の有機分子であるかもしれない。
【0113】
したがって、本発明は、DmLGICをコードするDNAまたはRNAの発現を調節する化合物、ならびにDmLGICタンパク質の機能を変化させる化合物をスクリーニングする方法を対象としている。他の受容体の作動薬および拮抗薬を確認する方法は当分野で周知であり、それらをDmLGICの作動薬および拮抗薬を同定するのに適合させることができる。例えば、Cascieri等(1992,Molec.Pharmacol.41:1096−1099)は、ラットのニューロキニン受容体に結合する作動薬を阻害し、したがってニューロキニン受容体の作動薬または拮抗薬となり得る物質を同定する方法を記載している。その方法では、COS細胞にラットのニューロキニン受容体を含む発現ベクターをトランスフェクトし、ニューロキニン受容体の発現を可能とするに十分な時間、トランスフェクトしたその細胞を培養し、トランスフェクトしたその細胞を回収し、ニューロキニン受容体の既知の放射能標識作動薬を含む試験緩衝液中に、その物質の存在下または不在下のいずれかでその細胞を再懸濁し、次いでニューロキニン受容体の既知のその放射能標識作動薬のニューロキニン受容体への結合を測定する。既知作動薬の結合量がその物質の不在下より存在下で少なければ、その場合、その物質はニューロキニン受容体の作動薬または拮抗薬となり得る。作動薬、拮抗薬等のその物質の結合量を測定する場合、標識した物質または作動薬を用いることによって、このような結合を測定することができる。その物質または作動薬を、当分野に公知の任意の適当な方法で、例えば放射能、蛍光、酵素によって標識することができる。
【0114】
したがって、DmLGICに対する親和性を示す化合物の結合特異性は、クローニングした受容体を発現する組換え細胞、またはこれらの細胞由来の膜に対するその化合物の親和性を測定することによって示される。クローニングした受容体の発現、およびDmLGICに結合するか、またはDmLGICの(グルタミン酸、イベルメクチンまたはノジューリスポア酸等の)放射能標識した既知リガンドのこれら細胞やこれら細胞から調製した膜への結合を阻害する化合物のスクリーニングは、DmLGICに対する高い親和性を有する化合物を迅速に選択する効果的な方法を提供する。このようなリガンドは、必ずしも放射能標識する必要はなく、結合中の放射能標識化合物に置換するために使用し得るか、あるいは機能性試験で活性剤として使用し得る非同位体性化合物であってもよい。前記方法によって同定される化合物は、やはりDmLGICの作動薬か拮抗薬であると思われ、ペプチド、タンパク質、あるいは非タンパク質性の有機分子であるかもしれない。本明細書の他の部分に記したように、化合物は、DmLGICをコードするDNAまたはRNAの発現を増加または減少させることによって、あるいはDmLGIC受容体タンパク質の作動薬または拮抗薬として作用することによって、調節すると思われる。この場合もDmLGICをコードするDNAまたはRNAの発現、あるいはその生物学的機能を調節するこれらの化合物は、様々な試験によって検出し得る。その試験は、発現や機能の変化があるか否かを決定する単純な「肯定/否定」試験であってもよい。試験試料の発現や機能を標準試料の発現や機能のレベルと比較することによって、その試験を定量化してもよい。
【0115】
DmLGIC DNAの発現を、in vitroで生成した合成mRNAを用いて行ってもよい。合成mRNAは、小麦の麦芽抽出物および網状赤血球抽出物を含むが、それらに限らず様々な無細胞系において効果的に翻訳できるだけでなく、カエル卵母細胞中へのマイクロインジェクションを含むが、それに限らず細胞に基く系においても効果的に翻訳することができるが、後者の場合、カエル卵母細胞中へのマイクロインジェクションが好ましい。
【0116】
宿主細胞中でのDmLGICの発現後、DmLGICタンパク質を回収することによって活性体のDmLGICタンパク質を提供してもよい。DmLGICタンパク質の幾つかの精製手順が利用でき、使用に適している。塩分画、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィおよび疎水性相互作用クロマトグラフィの様々な組合せや個々の適用によって、組換えDmLGICタンパク質を細胞溶解物および抽出物から精製してもよい。その上、完全長DmLGICタンパク質、またはDmLGICタンパク質のポリペプチド断片に特異的なモノクローナル抗体やポリクローナル抗体で作製したイムノ親和性カラムを用いて、組換えDmLGICタンパク質を他の細胞タンパク質から分離することができる。
【0117】
DmLGIC、あるいは配列番号2、4、および/または7に開示したDmLGICの一部に由来する(普通、長さが約9個から約25個のアミノ酸の)合成ペプチドに対する、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生してもよい。DmLGICに対する単一特異性抗体は、DmLGICに対して反応性の抗体を含む哺乳動物抗血清から精製されるか、またはKohlerおよびMilstein(1975、Nature 256:495〜497)の技法を用いて、DmLGICと反応性のモノクローナル抗体として調製される。本明細書で使用する単一特異性抗体とは、DmLGICに対する均一結合特性を有する単一の抗体種または多数の抗体種と定義する。本明細書で使用する均一結合は、その抗体種が、前記のDmLGICと結合する種のように、特異的な抗原やエピトープと結合する能力を指す。ヒトのDmLGIC特異的抗体は、免疫アジュバントと共に、またはそれなしに、DmLGICタンパク質、またはDmLGICの一部分から作製した合成ペプチドの適当な濃度で、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ウマ等の動物を免疫することによって産生する。
【0118】
一次免疫の前に、免疫前血清を収集する。許容し得る免疫アジュバントと共に、DmLGICタンパク質を約0.1mgから約1000mg各動物に投与する。このような許容し得るアジュバントは、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、ミョウバン沈降物、Corynebacterium parvumを含む油中水乳濁液およびtRNAを含むが、それらに限らない。初回免疫は、皮下(SC)、腹腔内(IP)またはその両径路による多部位における、好ましくはフロイントの完全アジュバント中のDmLGICタンパク質またはそのペプチド断片からなる。各動物から一定の間隔、好ましくは毎週採血することによって、抗体価を決定する。動物には、初回免疫後、他免疫注射を行ってもよく行わなくてもよい。他免疫注射を受けるそれらの動物には、一般に、フロイントの不完全アジュバント中の等量のDmLGICを同じ径路によって与えられる。最大の力価が得られるまで、約3週間隔で他免疫注射を与える。各他免疫から約7日後、または単回免疫から約1週後に、各動物から採血し、血清を収集し、その各分量を約−20℃で保存する。
【0119】
DmLGICと反応性のモノクローナル抗体(mAb)は、同系交配のマウス、好ましくはBalb/cをDmLGICタンパク質で免疫することによって調製される。約0.5mlの緩衝液または塩水を、前記のような同量の許容し得るアジュバント中に導入し、その中のDmLGICタンパク質約1mgから約100mg、好ましくは約10mgでIPまたはSC径路によりマウスを免疫する。フロイントの完全アジュバントが好ましい。初回免疫を0日にマウスに与え、約3週から約30週の間休息を与える。免疫マウスに、リン酸緩衝塩水等の緩衝液中、DmLGIC約1mgから約100mgの他免疫を1回または複数回、静脈内(IV)径路により与える。抗体陽性のマウスのリンパ球、好ましくは脾臓リンパ球は、当分野で知られている標準的手順で、免疫マウスから脾臓を除去することによって得られる。ハイブリドーマ細胞は、脾臓リンパ球を適当な融合相手の細胞、好ましくは骨髄腫細胞と、安定なハイブリドーマの形成を可能にすると思われる条件下で混合することによって産生される。融合相手の細胞は、各マウス骨髄腫P3/NS1/Ag4−1、MPC−11、S−194およびSp2/0を含んでもよいが、それらに限らず、好ましくはSp2/0である。抗体産生細胞および骨髄腫細胞を、分子量約1000、濃度約30%から約50%のポリエチレングリコール中で融合する。融合ハイブリドーマ細胞は、ヒポキサンチン、チミジンおよびアミノプテリン添加ダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)中での増殖によって、当分野で公知の手順により選択される。上清液を約14、18および21日に増殖陽性ウェルから収集し、抗原としてDmLGICを用いて、固相イムノラジオアッセイ(SPIRA)等のイムノアッセイにより産生した抗体をスクリーニングする。培養液もオクタロニー沈降検定で試験することによって、そのmAbのアイソタイプを決定する。抗体陽性ウェルから得たハイブリドーマ細胞を、MacPherson、1973、Soft Agar Techniques、in Tissue Culture Methods and Applications、Kruse and Paterson、Eds.、Academic Pressの軟寒天法等の技法によってクローニングした。
【0120】
モノクローナル抗体は、元の感作Balb/cマウスに、感作後約4日に約2×10から約6×10のハイブリドーマ細胞を1匹当たり約0.5mlで注入することによって、in vivoで産生される。細胞導入後約8〜12日に腹水を収集し、モノクローナル抗体を当分野で知られている技法で精製する。
【0121】
抗DmLGIC mAbのin vitroでの産生は、十分な量の特異的mAbを得るために、約2%のウシ胎児血清を含むDMEM中でハイブリドーマを増殖させることによって行われる。そのmAbを当分野で公知の技法で精製する。
【0122】
腹水またはハイブリドーマ培養液の抗体価は、沈降、受動凝集、酵素連結イムノソルベント抗体(ELISA)法およびラジオイムノアッセイ(RIA)法を含むが、それらに限らない様々な血清学的または免疫学的試験によって決定される。体液または組織および細胞抽出液中のDmLGICの存在を検出するために、同様の試験を用いる。
【0123】
DmLGICペプチド断片、または各完全長DmLGICに対する特異抗体を産生するために、単一特異性抗体を産生する前記方法を利用し得ることは、当業者には容易に明らかである。
【0124】
DmLGIC抗体親和性カラムを、例えば、抗体がアガロースゲルビーズ支持体と共有結合を形成するように、N−ヒドロキシスクシニミドエステルで予備活性化したゲル支持体のAffigel−10(Biorad)にその抗体を添加することによって作製する。次いで、スペーサーアームを有するアミド結合を介して、抗体をゲルに連結する。次いで、残っている活性化エステルを1M エタノールアミンHCl(pH8)で消失させる。そのカラムを水、次いで0.23M グリシンHCl(pH2.6)で洗浄することによって、非複合抗体や異物タンパク質を除去する。次いで、カラムをリン酸緩衝塩水(pH7.3)中で平衡化し、完全長DmLGICまたはDmLGICタンパク質断片を含む細胞培養液上清または細胞抽出液を、ゆっくりとカラム中に通過させる。次いで、光学密度(A280)がバックグランド値に下がるまで、カラムをリン酸緩衝塩水で洗浄し、次にタンパク質を0.23M グリシンHCl(pH2.6)で溶出する。次いで、精製DmLGICをリン酸緩衝塩水に対して透析する。
【0125】
また、本発明は、in vitroでの培養に細胞を提供することによって、DmLGICまたは機能性DmLGICの任意の代替チャネルのモジュレーターとして、in vivoで作用する様々な化合物の能力を調べるために有用な、ヒト以外のトランスジェニック動物にも関する。本発明のトランスジェニック動物に言及するに当たって、導入遺伝子および遺伝子に言及する。本明細書で使用する場合、導入遺伝子とは遺伝子を含んだ遺伝的構築体である。導入遺伝子は、当分野で公知の方法によって、動物の細胞中の1個または複数の染色体の中に組込まれる。一旦組込まれると、導入遺伝子は、トランスジェニック動物の各染色体中の少なくとも一箇所で担持される。当然ながら、遺伝子は、本明細書に記載のcDNAクローンの1種または組合せのように、タンパク質をコードするヌクレオチド配列である。遺伝子および/または導入遺伝子も、当分野で知られている遺伝調節因子および/または構造因子を含み得る。遺伝子導入のための標的細胞は、胚性幹細胞(ES)である。in vitroで培養した着床前の胚からES細胞を得ることができ、それを胚と融合することができる(Evans et al.、1981、Nature 292:154〜156;Bradley et al.、1984、Nature 309:255〜258;Gossler et al.、1986、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:9065〜9069;およびRobertson et al.、1986、Nature 322:445〜448)。DNAトランスフェクション、マイクロインジェクション等の多様な標準技法、またはレトロウィルス介在形質導入によって、導入遺伝子をES細胞中に効果的に導入することができる。次いで、生成した形質転換ES細胞をヒト以外の動物由来の胚盤胞と結合することができる。次いで、導入ES細胞はその胚にコロニーを形成し、生成するキメラ動物の胚系に寄与する(Jaenisch、1988、Science 240:1468〜1474)線虫LGICサブユニットの一方または両方をノックアウトされた線虫突然変異体において、野生型線虫のLGICバックグランド中にRsGluCl導入遺伝子をも発現するトランスジェニックまたはノックアウト無脊椎動物(例えば、線虫)を作製することも、当業者の範囲内にあると思われる。
【0126】
薬剤として許容し得る担体の混合物のような知られている方法により、DmLGICのモジュレーターを含む薬剤として有用な組成物を処方し得る。このような担体の例および処方の方法を、Remington’s Pharmaceutical Sciences中に見出し得る。効果的投与に適した、薬剤として許容し得る組成物を形成するために、このような組成物は、有効量のタンパク質、DNA、RNA、修飾DmLGIC、あるいは、チロシンキナーゼ活性化剤または阻害剤を含むDmLGIC作動薬または拮抗薬のいずれかを含むと思われる。
【0127】
本発明の治療または診断用組成物は、障害を治療または診断するのに十分な量で個体に投与される。有効量は、個体の状態、体重、性別、年齢等の様々な要因に応じて変化し得る。他の要因には投与方式が含まれる。
【0128】
その薬剤組成物を、皮下、局所、経口、筋肉内等の多様な径路によって個体に供してよい。
【0129】
「化学的誘導体」という用語は、普通は基本分子の一部でない他の化学的部分を含んだ分子を指す。このような部分は、基本分子の溶解性、半減期、吸収等を改良し得る。あるいは、その部分が、基本分子の好ましくない副作用を弱めるか、または基本分子の毒性を減少させるかもしれない。このような部分の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences等の様々なテキスト中に記載されている。
【0130】
本明細書に開示した方法に従って確認した化合物は、単独で適当な投与量で使用してもよい。あるいは、他の剤の同時投与または逐次投与が望ましいかもしれない。
【0131】
本発明は、本発明の新規な治療法に使用する適当な局所用、経口用、全身用および非経口用薬剤処方を提供する目的も有している。本明細書に従って確認した化合物を活性成分として含む組成物は、従来の投与用媒体中の非常に多様な治療剤形で投与することができる。例えば、錠剤、カプセル剤(適時放出および持続的放出処方を各々含む)、丸剤、散在、顆粒剤、エリキシール剤、チンキ剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等の経口剤形で、または注射によって、それらの化合物を投与することができる。同様に、静脈内(ボーラスでも輸液でも)、腹腔内、皮下、閉塞を伴っているか、または伴っていない局所、または筋肉内の剤形で、全て製剤技術者によく知られた剤形を用いて、それらを投与することもできる。
【0132】
本発明の化合物を1日1回の用量で投与するか、または1日の全投薬量を1日2回、3回または4回の分割用量で投与するのが有利であるかもしれない。更にまた、適当な鼻腔内媒体の局所使用を介して鼻腔内剤形で、または、当業者によく知られた経皮性皮膚パッチの形態を用いて経皮径路で、本発明の化合物を投与することができる。経皮送達系の形態で投与するためには、投薬プログラムを通して、投薬は当然間欠的ではなく連続的になると思われる。
【0133】
投薬が別々に処方されている複数の活性剤を用いる併用療法に対しては、各活性剤を同時に投与するか、または時間をずらしてそれらを投与することができる。
【0134】
本発明の化合物を利用する投薬プログラムは、患者の型、種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療すべき状態の重度;投与径路;患者の腎、肝および心血管機能;および使用する特定の化合物を含む様々な要因に応じて選択される。平均的技量の医師または獣医であれば、病状の進行を防止、阻止または抑止するのに必要な有効量の薬物を容易に決定し、処方することができる。毒性なしに効力を示す範囲内に、薬物濃度を最適な精度で実現するためには、標的部位に対するその薬物のアベイラビリティーの動態学に基く投薬プログラムが必要である。これには、薬物の分布、平衡、および消失に関する考察が必要である。
【0135】
以下の実施例を、本発明を例示するために提供するが、制限するために提供するものではない。
【0136】
実施例1
DmLGICをコードするDNA分子の分離および特定
分子手順を、Ausubel等(1992.Short protocols in molecular biology.F.M.Ausubel et al.、−2nd.ed.(John Wiley & Sons)、およびSambrook等(1989.Molecular cloning.A laboratory manual.J.Sambrook、E.F.Fritsch、and T.Maniatis−2nd ed.(Cold Spring Haror Laboratory Press)等の参考文献で入手できる当該技術分野で周知の標準手順に従って行った。
【0137】
Ac05およびAc15のデータベース探索−2種の新規リガンド依存性イオンチャネル遺伝子、Ac05およびAc15を潜在的にコードする部分配列は、拡張Smith Waremanのアルゴリズムを用いてショウジョウバエゲノム配列決定プロジェクトにおいて同定された。疑問の配列は、線虫グルタミン酸依存性イオンチャネルavr−15aペプチド配列(取得番号−AJ000538)であり、探索されたDNAデータベースは、公的に入手できるショウジョウバエ高処理能配列であった。この探索は、Compugen Biocel XLPハードウェアサーチエンジン(イスラエル、Petach Tikva)上で実施された。
【0138】
該データベースに入った両配列は、予想イントロンを含有した。05または15のいずれかに特異的なプライマーは、該データベース配列に基づいて設計され、合成された。それらは以下のとおりである:
1.ac05F1:5’−CTTGCACAAAGCTGGCGTG−3’[配列番号8]、(ac007805);
2.ac05F2:5’−GTGAGCAGTATCGCATATTG−3’[配列番号9]、(ac007805);
3.ac05R1:5’−GTAGTTATTTGATATGTCTAGC−3’[配列番号10]、(ac007805);
4.ac05R2:5’−ACCTGTTGAGTACTCTATAG−3’[配列番号11]、(ac007805);
5.ac15F1 5’−TTTGCACAGACGTGGAAGG−3’[配列番号12]、(ac007815);
6.ac15F2 5’−ACAGGAATACCGCCTGCTC−3’[配列番号13]、(ac007815);および
7.ac15R1 5’−TTCATTTCGGATGAGGGCCAC−3’[配列番号14]、(ac007815)。
これらプライマーを組合せて、ハエ全体の全RNA上のRT−PCR、次いでTAクローン化を、両遺伝子に関して実施した。Ac05とAc15の双方について凡そ500bpの断片を単離し、配列決定により確かめた。
【0139】
Ac05とAc15に対する5’および3’RACE−Clontech(Palo Alto、CA)のMarathon(登録商標)cDNA増幅キットを、両5’−および3’−RACE反応の主要手段として用いた。ポリARNAを、Oligotex(登録商標)mRNA Midiキット(Qiagen、Santa Clarita、CA)によりOregon R Drosophila全体から精製し、製造元のプロトコルに従って2本鎖cDNAを生成するために使用した。以下のプライマー類をRACE反応に用いた:
3’−RACE forwardプライマー類:
Ac05:
1.Ac05GSPF1−5’−CATCTTCCTTGCACAAAGCTGGCGTG−3’[配列番号15]、(ac007805);
2.Ac05NGSPF2−5’−CATGAGTGAGCAGTATCGCATATTG−3’[配列番号16]、(ac007805);
Ac15:
1.Ac15GSPF1−5’−TGTGTTCTTTGCACAGACGTGGAAGG−3’[配列番号17](ac007815);
2.Ac15NGSPF2 5’−TATGACACAGGATACCGCCTGCTC−3’[配列番号18]、(ac007815);
Ac05:
1.Ac05GSPR1:5’−GTCTAGCTGCGGCAACTCAATCTCCGTG−3’[配列番号19]、(ac007805);
2.Ac05GSPR2:5’−CTCGATCATGGAGCAGATTTGCGTG−3’[配列番号20]、(ac007805);
Ac15:
1.Ac15GSPR1:5’−CGCCGTTTCATTTCGGATGAGGGCCAC−3’[配列番号21](ac007815 84958bp−84984bp);
2.Ac15NGSPR2:5’−CAGGCTTTCCATTTGCAGCTTCTCC−3’[配列番号22]、(ac007815)。このプライマーはスプライス接合に架かり、この連続配列の存在は、上記Ac15断片の配列データからのみ利用できた。
【0140】
5’および3’RACE断片は、第1ラウンドのPCRにより双方の遺伝子に関して得られ、Marathon(登録商標)キットのプロトコルに基づき5’RACE PCRサイクルを変更させて、すなわち94℃で1分の1サイクル;94℃で1分および72℃で4分の5サイクル;および94℃で1分、68℃で1分および72℃で3分の25サイクルによりPCRを重ね合わせた。生じた断片の大きさは、3’−RACEにおいてAc05では約1.3kb、Ac15では約1.8kbであった。5’−RACEにおいて、Ac05およびAc15の両者は約1kbの断片サイズを有する。該PCR産物を、TOPO(登録商標)TAクローニングキット(Invitrogen、Carlabad、CA)を用いてpCR2.1−TOPOベクターにクローン化した。MiniprepDNAサンプルを制限消化によりスクリーンして未スプライシングクローンからスプライシングクローンを分離した。3’末端については、Ac05およびAc15の6個および8個のサンプルをそれぞれ配列決定した。5’末端については、Ac05およびAc15の5個および8個のサンプルを配列決定した。
【0141】
完全長クローンの生成−5’および3’RACE産物から得られた配列を用いて、両遺伝子に対するPCRプライマーを、完全長クローンを生成するために設計した。Ac05およびAc15の双方に関する正方向プライマーと逆方向プライマーを以下のとおり設計した:
Ac05FullF1:5’−CAATCGTCGCGATAACTCTGCCG−3’[配列番号23];Ac05FullR1:5’−CCTTTATTTATACACTACATGGTAATC−3’[配列番号24];Ac05FullR2:5’−TGTTTACGCTCTATTCCTTCGGAG−3’[配列番号25];Ac15FullF1:5’−AACTGCCAAGACGTTTAGAACGG−3’[配列番号26];Ac15FullF2:5’−CGAGTAAACTGTTAAATGCTGAAGTG−3’[配列番号27];Ac15FullR2:5’−TACAATTCACTTAGGCTACATCAGC−3’[配列番号28];およびAc15FullR2:5’−GGCTACATCAGCTACTACGTCAC−3’[配列番号29]。
【0142】
Advantage(登録商標)2PCRキット(Clontech、Palo Alto、CA)を、第1および第2ラウンドのPCRに用いた。cDNAクローンのAc05−10およびAc05−11を、第1ラウンドPCRではプライマーAc05F1およびR1、第2ラウンドPCRではプライマーAc05F1およびR2を用いて生成した。cDNAクローンのAc15−4およびAc15−25を、第1ラウンドPCRに対してプライマーAc15F1およびR1を用いて生成した。第1ラウンドPCRの条件は以下のとおりであった:94℃で2分の1サイクル;94℃で30秒および72℃で2分30秒の5サイクル;および94℃で30秒、68℃で1分および72℃で1分30秒の25サイクル;および72℃で5分の1サイクル。第2ラウンドのPCRでは、プライマーAc15F1およびR2が、クローンAc15−4に用いられ、プライマーAc15F2およびR1は、クローンAc15−25に用いられた。2μlの第1PCR産物を、50μlの全反応容量におけるテンプレートとして用いた。第2ラウンドのPCR条件は、以下のとおりであった:94℃で2分の1サイクル;94℃で30秒、68℃で1分および72℃で1分30秒の5サイクル;94℃で30秒、65℃で1分および72℃で1分30秒の5サイクル;94℃で30秒、60℃で1分および72℃で1分30秒の20サイクル;および72℃で5分の1サイクル。Ac05には1本の主要バンドの〜1.5kbが、Ac15には〜2kbが単離された。該PCR産物を、TOPO(登録商標)TAクローニングキット(Invitrogene、Carlabad、CA)を用いてpCR2.1−TOPOベクターにクローン化した。
【0143】
Ac05の2種のクローンは、Ac05−10(1518bp)およびAc05−11(1506bp)として同定された。これらのクローンは、Ac05−10においてM3−M4細胞内ループ内の4個のアミノ酸挿入を除いては同一である。Ac15の2種のクローンは、Ac15−4(2073bp)およびAc15−25(2034bp)として同定され、これらは16個のヌクレオチドが異なること以外同一のタンパク配列であると予想される。
【0144】
転写キャップ化RNAのインビトロ合成−クローンAc05−10、Ac05−11およびAc15−4、Ac15−25の読み取り枠(ORF)開始メチオニン(ATG)の上流にあるT7プロモーターおよび終止コドン(Ac05およびAc15ではTGAおよびTAA)に続くポリAテールの双方を加えるためにPCR法を用いた。使用したプライマーは、
Ac05:
Ac05T7:5’−TAATACGACTCACTATAGGGAGGGTGTTCATAATGCAAAGCC−3’[配列番号30];およびAc05dT、5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCATAGGAACGTTGTCCAATAGAC−3’[配列番号31]
Ac15:
AC15T7:5’−TAATACGACTCACTATAGGGAGGCACATTAAAATGGTGTTC−3’[配列番号32];およびAC15dT:5’−TTT TTTTTTTTTTTTTTTTTCCTTATAGATACTCGTAGAAC−3’[配列番号33]。
T7プロモーターおよびポリAテールの両方を含んだ増幅ORFsを、QuiaquickPCR精製キット(Quiagen、ドイツ)を用いて精製し、製造元のプロトコルに従ってインビトロ転写反応(mMessage mMachine(商標)、Ambion、Austin、TX)のテンプレートとして直接用いた。DNAテンプレートの除去後、RNAをフェノール/CHClで抽出し、LiClで沈殿させ、0.5μg/μlの保存濃度でヌクレアーゼの無い水に再度懸濁した。
【0145】
実施例2
アフリカツメガエル卵母細胞におけるDmLGICsクローンの機能性発現
選択されたRT−PCR配列に対応する完全長cDNAクローンを、インビトロ転写RNA合成(Ambion Inc.)の鋳型として用いた。キャップ化cRNA転写体を、適当なオリゴヌクレオチドプライマーおよびAmbionのmMessage mMachineインビトロRNA転写キットを用いて合成した。Xenopus laevis卵母細胞を調製し、記載の標準的方法(Arena et al.、1991、Mol.Pharmacol.40:368〜374;Arena et al.、1992、Mol.Brain Res.15:339〜348)を用いて注入した。成体雌Xenopus laevisを0.17%トリカインメタンスルホン酸で麻酔し、その卵巣を外科的に取り出し、次の成分(mM)からなるディッシュに入れた:NaCl 82.5、KCl 2、MgCl 1、CaCl 1.8、HEPES 5、NaOHでpH7.5に調整(OR−2)。卵巣葉を開き破り、数回濯ぎ、0.2%コラゲナーゼ(Sigma、1A型)を含有するOR−2中で2〜5時間軽く振とうした。約50%の卵胞層を取り出して、V期およびVI期の卵母細胞を選択し、次の成分(mM)を含んだ媒体中に入れてから24〜48時間後注入した:NaCl 86、KCl 2、MgCl 1、CaCl 1.8、HEPES 5、ピルビン酸ナトリウム 2.5、テオフィリン 0.5、ゲンタマイシン 0.1、NaOHでpH7.5に調整(ND−96)。ほとんどの実験では、50nlのRNaseの無い水中、10ngのcRNAを卵母細胞に注入した。対照卵母細胞には、50nlの水を注入した。卵母細胞を、50mg/mlゲンタマイシン、2.5mMピルビン酸ナトリウムおよび0.5mMテオフィリンで補足されたND−96中、1〜5日間インキュベートした後、記録をとった。インキュベーションおよびコラゲナーゼ消化は18℃で実施した。
【0146】
電位固定試験を、Dagan CA1増幅器(Dagan Instruments、Minneapolis、MN)を用いて二微小電極電位固定法により実施した。電流通過微小電極は0.7M KClプラス1.7M クエン酸Kで満たし、電位記録微小電極は1.0M KClで満たした。たいていの実験での細胞外溶液は、次の成分(mM)からなる生理食塩水であった:NaCl 96、BaCl 3.5、MgCl 0.5、CaCl 0.1、HEPES 5、NaOHでpH7.5に調整。細胞外塩化物濃度を、NaClを指定されたアニオンのナトリウム塩と等モル交換することにより減じた。実験は21℃〜24℃で実施した。データは、パルスプログラムを用いて獲得し、ほとんどの分析を、コンパニオンプログラムPulsefit(Instrutech Instruments、Great Neck、NY)またはIgor Pro(Wavemetrics、Lake Oswego、OR)により実施した。他に指定しない限り、データは1kHzで濾波した(f、−3db)。図8は、クローンDmLGIC AC05クローンをアフリカツメガエル卵母細胞において発現させた実験結果を示す。測定は、二微小電極電位固定法により本実施例に記載されたとおり行い、膜電位は0mVに保持された。最上部の棒線は、ヒスタミン適用の持続時間を示す。これにより、このタンパクの発現が、ヒスタミン添加に応答する機能性イオンチャネルを再構築することが示される。
【0147】
アフリカツメガエル卵母細胞におけるAC15クローンの発現はまた、AC05と共にヒスタミン添加に応答する機能性単独チャネルタンパクを形成する。
【0148】
実施例3
哺乳動物細胞におけるDmLGICクローンの機能性発現
DmLGICを哺乳動物発現ベクター中にサブクローニングし、選択した哺乳動物細胞にトランスフェクトするために使用することができる。G418の存在下での増殖によって、安定な細胞クローンを選択する。G418耐性単一種クローンを分離し、無傷のDmLGIC遺伝子の存在を確認するために試験をする。次いで、DmLGICを含んだクローンを、DmLGICタンパク質特異抗体を用いた免疫沈降、ウェスタンブロット、免疫蛍光等の免疫学的技法を用いて、発現について分析した。抗体は、DmLGIC配列から予測されるアミノ酸配列から合成したペプチドを接種したウサギから得られる。パッチクランプ電気生理学法および陰イオンフラックスアッセイによっても、発現は分析される。
【0149】
活性なチャネルタンパク質の発現を試験するために、DmLGICを安定に、または一時的に発現している細胞が使用される。これらの細胞は、各チャネルを調節、阻害または活性化する他の化合物の能力を確認し、調べるために、使用される。
【0150】
プロモーターに対してポジティブな方位にDmLGIC cDNAを含むカセットは、プロモーターの3’に対して適当な制限部位中に連結され、制限部位地図作製および/または配列決定によって確認される。これらのcDNA発現ベクターを、繊維芽細胞性宿主細胞、例えば、COS−7(ATCC#CRL1651)、およびCV−1tat(Sackevitz et al.、1987,Science 238:1575)、293、L(ATCC#CRL6362)中に、エレクトロポレーションまたは化学的手順(陽イオンリポソーム、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム)を含むが、それらに限らず標準的方法で導入してもよい。トランスフェクトした細胞および細胞培養液上清を収穫し、本明細書に記載のDmLGIC発現の分析をすることができる。
【0151】
哺乳動物細胞での一時的発現に使用するベクターは全て、DmLGICを発現する安定な細胞系を樹立するために使用することができる。発現ベクター中にクローニングされた未修飾のDmLGIC cDNA構築体は、宿主細胞がDmLGICタンパク質を産生するようにプログラムすると予想される。その上、分泌タンパク質のシグナル配列をコードするDNAにDmLGIC cDNA構築体を連結することによって、DmLGICは分泌タンパク質として細胞外で発現する。トランスフェクション宿主細胞は、CV−1−P(Sackevitz et al.、1987,Science 238:1575)、tk−L(Wigler,et al.、1977,Cell 11:223)、NS/0およびdHFr−CHO(Kaufman and Sharp,1982,J.Mol.Biol.159:601)を含むが、それらに限らない。
【0152】
G418、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ;ハイグロマイシン、ハイグロマイシン−B ホスホトランスフェラーゼ;APRT、キサンチン−グァニン ホスホリボシルトランスフェラーゼを含むが、それらに限らない薬物選択プラスミドによる、DmLGIC cDNAを含んだベクターの同時トランスフェクションは、安定にトランスフェクトされるクローンの選択を可能にすると思われる。DmLGICのレベルは、本明細書に記載の試験によって定量化される。可能な限り多量のDmLGICを合成する哺乳細胞クローンを作製するために、DmLGIC cDNA構築体を、増幅可能な薬物耐性マーカーを含んだベクター中に連結してもよい。これらの構築体を細胞に導入後、プラスミドを含むクローンを適当な作用剤で選択し、その作用剤の用量増加による選択によって、高コピー数のプラスミドを有する過剰発現クローンの分離が実現する。組換えDmLGICの発現は、完全長DmLGIC cDNAの哺乳動物宿主細胞へのトランスフェクションによって実現される。
【0153】
実施例4
昆虫細胞中での発現を目的とした、バキュロウィルス発現ベクター中へのDmLGIC cDNAのクローニング
AcNPVウィルスのゲノム由来のバキュロウィルスベクターを、昆虫細胞のSf9系(ATCC CRL#1711)内で高水準のcDNA発現量をもたらすように設計する。DmLGIC cDNAを発現する組換えバキュロウィルスは、次の標準的方法(InVitrogen Maxbacマニュアル)によって作製される。DmLGIC cDNA構築体を、pAC360およびBlueBacベクター(InVitrogen)を含む多様なバキュロウィルス移入ベクター中のポリヘドリン遺伝子中に連結する。組換えバキュロウィルスは、バキュロウィルス移入ベクターおよび線状化AcNPVゲノムDNA(Kitts,1990,Nuc.Acid.Res.18:5667)の、Sf9細胞中への同時トランスフェクション後に起こる相同的組換えによって作製される。組換えpAC360ウィルスは、感染細胞中に封入体がないことによって確認され、組換えpBlueBacウィルスは、b−ガラクトシダーゼの発現に基いて確認される(Summers,M.D.and Smith,G.E.,Texas Agriculture Exp.Station Bulletin No.1555)。プラークの精製後、本明細書に記載の試験によってDmLGIC発現を測定する。
【0154】
DmLGICに対する読み取り枠全体をコードするcDNAを、pBlueBacIIのBamHI部位中に挿入する。ポジティブ方位の構築体を配列分析で確認し、線状AcNPVのマイルドタイプDNAの存在下、Sf9細胞にトランスフェクトするために使用する。
【0155】
真正の活性DmLGICは、感染細胞の細胞質に見出される。活性DmLGICは、低張性または界面活性剤による溶菌により感染細胞から抽出される。
【0156】
実施例5
酵母発現ベクター中へのDmLGIC cDNAのクローニング
異種タンパク質の細胞内または細胞外発現を指示するように設計した発現ベクター中に、最適なDmLGIC cDNAシストロンを挿入した後、組換えDmLGICが酵母S.cerevisiae中に産生される。細胞内発現の場合には、EmBLyex4やその類似体等のベクターをDmLGICシストロンに連結する(Rinas,et al.、1990,Biotechnology 8:543〜545;Horowitz B.et al.、1989,J.Biol.Chem.265:4189〜4192)。細胞外発現の場合は、分泌シグナル(酵母または哺乳動物ペプチド)をDmLGICタンパク質のNH末端に融合する酵母発現ベクター中に、DmLGICシストロンを連結する(Jacobsen,1989,Gene 85:511〜516;Riett and Bellon,1989,Biochem.28:2941〜2949)。
【0157】
これらのベクターは、ヒト血清アルブミンシグナルを発現するcDNAに融合するpAVE1−6(Steep,1990,Biotechnology 8:42〜46)、およびヒトリゾチームシグナルを発現するcDNAに融合するベクターpL8PL(Yamamoto,Biochem.28:2728〜2732)を含むが、それらに限らない。その上、ベクターpVEPを利用して、DmLGICはユビキチンと複合した融合タンパク質として酵母中に発現する(Ecker,1989,J.Biol.Chem.264:7715〜7719;Sabin,1989,Biotechnology 7:705〜709;McDonnell,1989,Mol.Cell Biol.9:5517〜5523(1989))。DmLGICの発現量は、本明細書に記載の試験によって決定される。
【0158】
実施例6
組換えDmLGICの精製
抗体アフィニティークロマトグラフィによって、組換え産生DmLGICを精製し得る。DmLGIC抗体アフィニティーカラムは、抗DmLGIC GluCl抗体がアガロースゲルビーズ支持体と共有結合を形成するように、N−ヒドロキシスクシニミドエステルで予備活性化したゲル支持体のAffigel−10(Biorad)に、その抗体を添加することによって作製される。次いで、スペーサーアームを有するアミド結合を介して、抗体をゲルに連結する。次いで、残っている活性化エステルを1M エタノールアミンHCl(pH8)で消失させる。そのカラムを水、次いで0.23M グリシンHCl(pH2.6)で洗浄することによって、非複合抗体や異物タンパク質を除去する。次いで、洗剤等の適当な膜溶解剤と共に、カラムをリン酸緩衝塩水(pH7.3)中で平衡化し、可溶化DmLGICを含む細胞培養液上清または細胞抽出液を、ゆっくりとカラム中に通過させる。次いで、光学密度(A280)がバックグランド値に下がるまで、カラムを洗剤と共にリン酸緩衝塩水で洗浄し、次にタンパク質を洗剤と共に0.23M グリシンHCl(pH2.6)で溶出する。次いで、精製DmLGICタンパク質をリン酸緩衝塩水に対して透析する。
【0159】
実施例7
組換え型DmLGICの精製
ショウジョウバエゲノム配列決定プロジェクトに従って、Ac007815[Ac15]並びにAc007805[Ac05]は染色体IIIに対して、具体的にはAc15はChIII92Bに対して、またAc05はChIII87Bに対して地図化される。Ac15で行われるとおり、DrosGluClalpha1(glc−1)はChIII92Bに対して地図化される。O’Tousaら(1989、J.Neurogenetics 6:41〜52)は、光受容体変異をショウジョウバエゲノムのChIII92B領域に対し地図化している。さらに、Stuart(1999、Neuron22:431〜433)は、ヒスタミンが無脊椎動物の潜在的網膜神経伝達物質であることを特記している。したがって、Ac15の染色体位置と組み合わせてここの実施例2節で生じたデータは、ここで開示されたLGICがヒスタミンに応答して少なくとも部分的に有効であることを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 配列番号1に示した、ショウジョウバエLGICクローン、AC05−10のヌクレオチド配列を示す図である。
【図2】 配列番号2に示した、ショウジョウバエLGIC AC05−10タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【図3】 配列番号3に示した、ショウジョウバエLGICクローン、AC05−11のヌクレオチド配列を示す図である。
【図4】 配列番号4に示した、ショウジョウバエLGIC AC05−11タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【図5】 配列番号5に示した、ショウジョウバエLGICクローン、AC15−4のヌクレオチド配列を示す図である。
【図6】 配列番号6に示した、ショウジョウバエLGICクローン、AC15−25のヌクレオチド配列を示す図である。
【図7】 配列番号7に示した、ショウジョウバエLGIC AC15−4/AC15−25タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【図8】 トランスフェクトしたアフリカツメガエル卵母細胞における、ヒスタミンによる組換えDmLGIC(AC05−10)の活性化を示す図である。
【配列表】
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Claims (41)

  1. ショウジョウバエLGICタンパク質であって、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする精製された核酸分子。
  2. 単離された組換え宿主細胞においてショウジョウバエLGICタンパク質を発現する発現ベクターであって、請求項1に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  3. 組換えショウジョウバエLGICタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項2に記載の発現ベクターを含む単離された宿主細胞。
  4. 単離された組換え宿主細胞においてショウジョウバエLGICタンパク質を発現する方法であって、
    (a)請求項2に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞中にトランスフェクトすること、および
    (b)前記発現ベクターから前記ショウジョウバエLGICタンパク質の発現を可能にする条件下で段階(a)の宿主細胞を培養すること
    を含む方法。
  5. ショウジョウバエLGICタンパク質をコードし、配列番号1に示すヌクレオチド配列を含む精製された核酸分子。
  6. 配列番号1の199位ヌクレオチドから1479位ヌクレオチドまでを含む請求項5に記載の核酸分子。
  7. ショウジョウバエLGICタンパク質であって、配列番号4に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする精製された核酸分子。
  8. 組換え宿主細胞においてショウジョウバエLGICタンパク質を発現する発現ベクターであって、請求項7に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  9. 組換えショウジョウバエLGICタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項8に記載の発現ベクターを含む単離された宿主細胞。
  10. 単離された組換え宿主細胞においてショウジョウバエLGICタンパク質を発現する方法であって、
    (a)請求項8に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞中にトランスフェクトすること、および
    (b)前記発現ベクターから前記ショウジョウバエLGICタンパク質の発現を可能にする条件下で段階(a)の宿主細胞を培養すること
    を含む方法。
  11. ショウジョウバエLGICタンパク質をコードし、配列番号3に示すヌクレオチド配列を含む精製された核酸分子。
  12. 配列番号3の199位ヌクレオチドから1467位ヌクレオチドまでを含む請求項11に記載の核酸分子。
  13. ショウジョウバエLGICタンパク質であって、配列番号7に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする精製された核酸分子。
  14. 単離された組換え宿主細胞においてショウジョウバエLGICタンパク質を発現する発現ベクターであって、請求項13に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  15. 組換えショウジョウバエLGICタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項14に記載の発現ベクターを含む単離された宿主細胞。
  16. 単離された組換え宿主細胞においてショウジョウバエLGICタンパク質を発現する方法であって、
    (a)請求項14に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞中にトランスフェクトすること、および
    (b)前記発現ベクターから前記ショウジョウバエLGICタンパク質の発現を可能にする条件下で段階(a)の宿主細胞を培養すること
    を含む方法。
  17. ショウジョウバエLGICタンパク質をコードし、配列番号5および配列番号6に示すヌクレオチド配列からなる群から選択されたヌクレオチド配列を含む精製されたDNA分子。
  18. 配列番号5の330位ヌクレオチドから1787位ヌクレオチドまでを含む請求項17に記載のDNA分子。
  19. 配列番号6の278位ヌクレオチドから1735位ヌクレオチドまでを含む請求項17に記載のDNA分子。
  20. 他のタンパク質を実質的に含まず、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むショウジョウバエLGICタンパク質。
  21. 単離された組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項20に記載のショウジョウバエLGICタンパク質。
  22. 請求項21に記載の組換え宿主細胞から精製されたショウジョウバエLGICタンパク質を含む実質的に純粋な膜調整物。
  23. 他のタンパク質を実質的に含まず、配列番号4に示すアミノ酸配列を含むショウジョウバエLGICタンパク質。
  24. 単離された組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項23に記載のショウジョウバエLGICタンパク質。
  25. 請求項24に記載の組換え宿主細胞から精製されたショウジョウバエLGICタンパク質を含む実質的に純粋な膜調整物。
  26. 他のタンパク質を実質的に含まず、配列番号7に示すアミノ酸配列を含むショウジョウバエLGICタンパク質。
  27. 単離された組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項26に記載のショウジョウバエLGICタンパク質。
  28. 請求項27に記載の単離された組換え宿主細胞から精製されたショウジョウバエLGICタンパク質を含む実質的に純粋な膜調整物。
  29. 配列番号2、配列番号4、および配列番号7に示す各アミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列からなり、他のタンパク質を実質的に含まないショウジョウバエLGICタンパク質。
  30. 他のタンパク質を実質的に含まず、配列番号2、配列番号4、および配列番号7からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むショウジョウバエLGICチャネル受容体。
  31. 単離された組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項30に記載のショウジョウバエLGICタンパク質。
  32. 請求項31に記載の組換え宿主細胞から精製されたショウジョウバエLGICチャネルを含む実質的に純粋な膜調整物。
  33. LGICタンパク質の作動薬または拮抗薬を同定する方法であって、
    (a)標識リガンドを、配列番号2、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むショウジョウバエLGICタンパク質と試験化合物の存在下で接触させること、および
    (b)標識リガンドのLGICタンパク質に対する結合を測定すること
    を含み、試験化合物の存在下での標識リガンドの結合量の試験化合物の非存在下での量との差異が、該試験化合物がLGICタンパク質の作動薬または拮抗薬であることを示し、前記標識リガンドがヒスタミンである前記方法。
  34. 段階(a)のショウジョウバエLGICタンパク質が、単離された組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項33に記載の方法。
  35. 標識リガンドの結合量が、試験化合物の存在下で減少する、請求項33に記載の方法。
  36. 標識リガンドの結合量が、試験化合物の存在下で増加する、請求項33に記載の方法。
  37. LGICのイオンチャネル活性を調節する化合物を同定する方法であって、
    a)配列番号2、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むショウジョウバエLGICタンパク質を、前記LGICタンパク質の発現によって、活性なヒスタミン依存性チャネルが生じるように、単離された組換え宿主細胞にて発現させること、
    b)前記チャネルを試験化合物と共に培養すること、および
    c)該宿主細胞膜の電位を測定すること
    を含み、該宿主細胞膜の電位における、試験化合物の存在下と試験化合物の非存在下との差異が、該試験化合物がLGICのイオンチャネル活性を調節する化合物であることを示す前記方法。
  38. 該宿主細胞が、アフリカツメガエル卵母細胞である請求項37に記載の方法。
  39. 電位の測定が、電位固定技術を含む請求項37に記載の方法。
  40. 電位の測定が、試験化合物の存在下で膜電流の増加を示す、請求項37に記載の方法。
  41. 電位の測定が、試験化合物の存在下で膜電流の減少を示す、請求項37に記載の方法。
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