JP4748291B2 - 積層体変位素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば精密機器あるいは精密装置の位置決めに用アクチュエータに用いられる積層体変位素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電材料は、従来より、電気エネルギーと機械エネルギーとを変換する素子の材料として用いられている。中でも、チタン酸鉛(PbTiO3 ;PT)とジルコン酸鉛(PbZrO3 ;PZ)との固溶体系(PZT系)の圧電材料は、高い電気機械結合係数を有しており、フィルタあるいはアクチュエータなどに広く利用されている。
【0003】
ところが、このようなPZT系の圧電材料は、低温でも揮発性の極めて高い酸化鉛(PbO)を多量に含んでいる。よって、PZT系の圧電材料を製造する際には、磁器であれば焼成工程、単結晶品であれば溶融工程などの熱処理工程において、工業レベルで極めて多量の酸化鉛が大気中に揮発し拡散してしまう。また、製造段階で放出される酸化鉛については回収することも可能であるが、工業製品として市場に出された圧電製品に含有される酸化鉛については現状では回収が難しく、これらが広く環境中に放出されると、酸性雨による鉛の溶出などが心配される。従って、今後圧電磁器および単結晶の応用分野が広がり、使用量が増大すると、無鉛化の問題が極めて重要な課題となる。
【0004】
鉛を全く含有しない圧電材料としては、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )、タンタル酸リチウム(LiTaO3 )、チタン酸バリウム(BaTiO3 )、ビスマス層状化合物、あるいはチタン酸ビスマスナトリウム(Na0.5 Bi0.5 TiO3 )が挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの鉛を含まない圧電材料は、鉛系の圧電材料に比べて圧電特性が低く、大きな変位量を得るに至っていない。中でも、チタン酸バリウムは比較的高い圧電特性を有し、圧電材料として有望であるが、破壊電圧が低く、連続駆動による信頼性が低いという問題もあった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた圧電特性を示し、低公害化、対環境性および生態学的見地からも優れた積層体変位素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による積層体変位素子は、交互に積層された複数の圧電層と複数の内部電極とを備え、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO 3 )と、副成分としてマンガン(Mn)およびイットリウム(Y)とを含み、圧電層における副成分の含有量は、主成分100molに対して、マンガンが0.01mol以上1mol以下の範囲内、イットリウムが0.02mol以上20molよりも少ない範囲内であるものである。
【0008】
本発明による積層体変位素子では、主成分としてチタン酸バリウムを含む圧電層が複数積層されているので、大きな変位量が得られる。
【0009】
また、圧電層は、マンガン(Mn)を主成分100molに対して0.01mol以上1mol以下の範囲内で含むことにより破壊電圧または駆動信頼性の向上が図られる。圧電層は、また、イットリウムを、主成分100molに対して0.02mol以上20molよりも少ない範囲内で含むことにより電気機械結合係数または駆動信頼性の向上が図られる。
【0010】
圧電層は、更に、ケイ素(Si)を、主成分100molに対して0.01mol以上15mol以下の範囲内で含むことが好ましく、これらは焼結助剤として機能する。
【0011】
また、内部電極は、ニッケル(Ni),銅(Cu),金(Au),白金(Pt),パラジウム(Pd)および銀(Ag)からなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[積層体変位素子の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る積層体変位素子の断面構造を表すものである。この積層体変位素子は、例えば、複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備えている。内部電極12は例えば交互に逆方向に延長されており、その延長方向には内部電極12と電気的に接続された一対の端子電極21,22がそれぞれ設けられている。
【0014】
圧電層11は、複数の粒子の焼結体である圧電磁器により構成されており、圧電層11の一層当たりの厚さは例えば1μm〜100μm程度が好ましい。圧電層11の積層数は目的とする変位量に応じて決定される。圧電層11を構成する圧電磁器は、バリウムとチタンと酸素とを含む酸化物を主成分として含み、更に、例えば表1に示した副成分のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。圧電磁器の平均結晶粒子径は、例えば1μm〜50μmが好ましい。
【0015】
【表1】
【0016】
主成分である酸化物はペロブスカイト構造を有しており、バリウムの一部がストロンチウム(Sr),カルシウム(Ca)あるいはマグネシウム(Mg)などの他の元素により置換されていてもよく、またはチタンの一部がジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf)あるいはスズ(Sn)などの他の元素により置換されていてもよい。この酸化物は、化学量論組成であれば下記の化1に示したように表されるが、化学量論組成からずれていているものでもよい。
【0017】
【化1】
(Bax MI1-x )(Tiy MII1-y )O3
式中、MIはバリウムと置換可能な元素を表し、MIIはチタンと置換可能な元素を表す。xおよおびyはそれぞれ0<x≦1,0<y≦1の範囲内の値である。
【0018】
副成分のうちマンガンは破壊電圧または駆動信頼性を向上させるためのものであり、希土類元素は電気機械結合係数または駆動信頼性を向上させるためのものである。特に、マンガンと希土類元素とを共に含むようにすれば、駆動信頼性を向上させることができるので好ましい。これらマンガンおよび希土類元素は、主成分である酸化物の粒界に単独または複数で酸化物などとして存在していることもあるが、主成分である酸化物の結晶粒子の一部に拡散して存在していることもある。また、副成分のうちケイ素,リチウムおよびホウ素からなる群のうちの少なくとも1種は、焼結助剤として機能するものである。これらは、主として、主成分である酸化物の粒界に単独または複数で酸化物などとして存在している。
【0019】
これら副成分の含有量は、主成分の酸化物100molに対してそれぞれ、
Mn :1mol以下、
希土類元素 :20molよりも少ない
Si,Li,B:15mol以下
の範囲内であることが好ましく、
Mn :0.01mol〜0.5mol、
希土類元素 :0.02mol〜12mol、
Si,Li,B:0.01mol〜15mol
の範囲内であればより好ましい。
【0020】
マンガンの含有量が少なすぎると破壊電圧を十分に改善することができず、多すぎると破壊電圧が小さくなってしまい、寿命が短くなってしまうからである。希土類元素の含有量が少なすぎると駆動信頼性を十分に改善することができず、多すぎると電気機械結合係数および駆動信頼性が低下してしまうからである。ケイ素,リチウムおよびホウ素からなる群のうちの少なくとも1種の含有量が少なすぎると焼成温度を十分に低くすることができず、多すぎると破壊電圧および駆動信頼性が低下してしまうからである。
【0021】
内部電極12は、導電材料を含有している。導電材料は特に限定されないが、例えば、ニッケル,銅,金,白金,パラジウムおよび銀からなる群のうちの少なくとも1種、あるいはその合金が好ましい。中でも、ニッケルあるいはニッケル合金が特に好ましい。ニッケル合金としては、マンガン,クロム(Cr),コバルト(Co)およびアルミニウム(Al)などから選択される1種以上の元素とニッケルとの合金が好ましく、合金中におけるニッケルの含有量は95質量%以上であることが好ましい。なお、内部電極12は、それらの他にリン(P)などの各種微量成分を0.1質量%程度以下含有していても良い。内部電極12の厚さは例えば0.5μm〜3μm程度であることが好ましい。0.5μmよりも薄いと内部電極12が途切れてしまい、十分な圧電特性を得ることができず、3μmよりも厚いと焼成後の積層体10の歪みが大きくなってしまうからである。
【0022】
端子電極21,22は、例えば、端子電極用ペーストを焼き付けることにより形成されたものである。この端子電極用ペーストは、例えば、導電材料と、ガラスフリットと、ビヒクルとを含有している。導電材料は、例えば、銀,金,銅,ニッケル,パラジウムおよび白金からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。ビヒクルには有機ビヒクルあるいは水系ビヒクルなどがあり、有機ビヒクルはバインダを有機溶媒に溶解させたもの、水系ビヒクルは水に水溶性バインダおよび分散剤などを溶解させたものである。バインダは特に限定されず、エチルセルロースあるいはポリビニルブチラールなどの各種バインダから選択して用いられる。有機溶媒も特に限定されず、成形方法に応じて選択される。例えば、印刷法あるいはシート法などにより成形する場合には、テルピネオール,ブチルカルビトール,アセトンあるいはトルエンなどが選択される。水溶性バインダも特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール,セルロース,水溶性アクリル樹脂あるいはエマルションなどから選択して用いられる。端子電極21,22の厚さは用途等に応じて適宜決定されるが、通常10μm〜50μm程度である。
【0023】
[積層体変位素子の製造方法]
このような構成を有する積層体変位素子は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0024】
まず、圧電層11を形成するための圧電層用ペーストを作製する。例えば、上述した主成分および副成分の原料としてそれらを含む酸化物または複合酸化物を用意し、この原料粉末を、主成分に対する副成分の割合が上述した範囲内となるように混合したのち、この原料混合粉末にビヒクルを加えて混練する。その際、原料粉末には、酸化物に代えて、焼成により酸化物となる炭酸塩,硫酸塩,硝酸塩,シュウ酸塩,水酸化物あるいは有機金属化合物などを用いてもよい。なお、主成分の原料として例えば酸化バリウム粉末と酸化チタン粉末というように複数種の原料粉末を用いる場合には、これらを混合して仮焼したのち、この仮焼粉に副成分の原料粉末を混合するようにしてもよく、仮焼することなく、主成分の複数種の原料粉末と副成分の原料粉末とを混合するようにしてもよい。
【0025】
ビヒクルは、上述した端子電極用ペーストにおいて説明したものと同様である。圧電層用ペーストにおけるビヒクルの含有量は特に限定されず、通常はバインダが1〜5質量%程度、溶剤が10〜50質量%程度となるように調整する。また、圧電層用ペーストには、必要に応じて分散剤または可塑剤などの添加物を添加してもよい。その添加量は、合計で10質量%以下とすることが好ましい。
【0026】
次いで、内部電極12を形成するための内部電極用ペーストを作成する。例えば、上述した導電材料または焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物,有機金属化合物あるいはレジネートなどをビヒクルと混練する。ビヒクルは圧電層用ペーストと同様であり、内部電極用ペーストにおけるビヒクルの含有量も圧電層用ペーストと同様である。また、内部電極用ペーストには、必要に応じて分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料などの添加物を添加してもよい。その添加量は、合計で10質量%以下とすることが好ましい。
【0027】
続いて、これら圧電層用ペーストと内部電極用ペーストとを用い、例えば、印刷法あるいはシート法により、積層体10の前駆体であるグリーンチップを作製する。例えば、印刷法を用いる場合には、圧電層用ペーストおよび内部電極用ペーストをポリエチレンテレフタレート製の基板(以下、PET基板と言う)などの上に交互に印刷し、熱圧着したのち、所定形状に切断し、基板から剥離してグリーンチップとする。また、シート法を用いる場合には、圧電層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、このグリーンシートの上に内部電極用ペースト層を印刷したのち、これらを積層して圧着し、所定形状に切断してグリーンチップとする。
【0028】
グリーンチップを作製したのち、脱バインダ処理を行う。脱バインダ処理条件は通常のもので良く、例えば、内部電極12にニッケルあるいはニッケル合金などの卑金属を用いる場合には、下記のように調整することが好ましい。
昇温速度 : 5℃/h〜300℃/h
保持温度 : 180℃〜400℃
保持時間 : 0.5時間〜24時間
雰囲気 : 空気中
【0029】
脱バインダ処理を行ったのち、焼成を行い積層体10を形成する。焼成時の雰囲気は内部電極12の構成材料に応じて適宜選択すれば良いが、内部電極12にニッケルあるいはニッケル合金などの卑金属を用いる場合には、還元性雰囲気とすることが好ましい。例えば、雰囲気ガスとしては窒素ガスに水素ガスを1〜10体積%混合して加湿したものが好ましく、酸素分圧は1×10-2Pa〜1×10-8Paとすることが好ましい。酸素分圧がこの範囲未満であると、内部電極12が異常焼結して途切れてしまうことがあるからであり、酸素分圧がこの範囲を超えると、内部電極12が酸化してしまう傾向があるからである。また、内部電極12に貴金属を用いる場合には、空気中で焼成することが好ましい。
【0030】
その他の焼成条件は、例えば下記のようにすることが好ましい。
昇温速度 : 50℃/h〜500℃/h
保持温度 : 1100℃〜1400℃
保持時間 : 0.5時間〜8時間
冷却速度 : 50℃/h〜500℃/h
【0031】
なお、焼成を還元雰囲気で行った場合には、焼成ののちにアニールを施すことが好ましい。アニールは圧電層11を再酸化するための処理である。アニール時の雰囲気ガスには加湿した窒素ガスを用いることが好ましく、その酸素分圧は1×10-3Pa以上、特に1×10-2Pa〜10Paとすることが好ましい。
【0032】
その他のアニール条件は、例えば下記のようにすることが好ましい。
保持温度 : 1100℃以下
保持時間 : 0時間〜20時間
冷却速度 : 50℃/h〜500℃/h
【0033】
なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよく、保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。ちなみに、上述した脱バインダ処理工程、焼成工程およびアニール工程において、雰囲気ガスを加湿する場合には、例えば、ウエッタなどを使用すればよい。その場合の水温は0℃〜75℃程度とすることが好ましい。
【0034】
また、脱バインダ処理工程、焼成工程およびアニール工程は連続して行うようにしてもよく、互いに独立して行うようにしてもよい。これらを連続して行う場合には、脱バインダ処理後、冷却せず雰囲気を変更して焼成の保持温度まで昇温して焼成を行い、次いでアニール工程の保持温度まで冷却し、雰囲気を変更してアニールを行うことが好ましい。これらを独立して行う場合には、焼成工程において、脱バインダ処理時の保持温度までは窒素ガスまたは加湿した窒素ガス雰囲気下で昇温し、そののち焼成時の雰囲気に変更して昇温を続けることが好ましく、アニール時の保持温度まで冷却した後は、再び窒素ガスあるいは加湿した窒素ガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに際しては、窒素ガス雰囲気下で保持温度まで昇温したのちに雰囲気を変更してもよく、アニールの全工程を加湿した窒素ガス雰囲気としても良い。
【0035】
積層体10を形成したのち、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、内部電極用ペーストと同様にして作製した端子電極用ペーストを印刷または転写して焼き付け、端子電極21,22を形成する。その際、雰囲気は例えば加湿した窒素ガスと水素ガスとの混合ガス中とし、焼き付け温度は600℃〜800℃、保持温度は10分間〜1時間程度とすることが好ましい。これにより、図1に示した積層体変位素子が得られる。
【0036】
このように本実施の形態によれば、バリウムとチタンと酸素とを含む酸化物を主成分として含有する圧電層11を複数積層するようにしたので、大きな変位量を得ることができると共に、積層数により変位量を任意に調節することもできる。よって、鉛の含有量が少なく、低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた積層体変位素子の活用を図ることができる。
【0037】
特に、圧電層11が副成分としてマンガンを含むようにすれば、破壊電圧を向上させることができ、圧電層11が副成分として希土類元素を含むようにすれば、電気機械結合係数を向上させることができ、両方を含むようにすれば、駆動信頼性を向上させることができる。
【0038】
また、圧電層11が副成分としてケイ素,リチウムおよびホウ素からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにすれば、低温で焼結しても高い焼結性を得ることができる。
【0039】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について図1を参照して説明する。
【0040】
実験例1〜52として、まず、圧電層11における主成分の原料であるチタン酸バリウム粉末と、副成分の原料である炭酸マンガン(MnCO3 )粉末,酸化イットリウム(Y2 O3 )粉末および二酸化ケイ素(SiO2 )ガラス粉末をそれぞれ用意した。次いで、これら原料粉末を必要に応じてボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥して原料混合粉末を得た。その際、実験例1〜52で、チタン酸バリウム粉末100molに対する副成分の含有量が表2または表3に示した値となるようにその混合量を調整した。
【0041】
なお、表2および表3に示した副成分の含有量は、マンガン原子、イットリウム原子およびケイ素原子をそれぞれ基準とした値である。よって、酸化マンガンおよび二酸化ケイ素の添加モル数は表2または表3に示した値と同一となるが、酸化イットリウムの添加モル数は表2または表3に示した値の1/2となる。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
続いて、この原料混合粉末100質量部に対して、アクリル樹脂を5.0質量部、フタル酸ベンジルブチルを2.5質量部、ミネラルスピリットを6.5質量部、アセトンを4.0質量部、トリクロロエタンを20.5質量部、および塩化メチレンを41.5質量部の割合でそれぞれ添加し、ボールミルにより混合して圧電層用ペーストを作製した。
【0045】
また、ニッケル粒子44.6質量部に対して、テルピネオール52質量部、エチルセルロース3質量部、およびベンゾトリアゾール0.4質量部の割合でそれぞれ添加し、3本ロールにより混練して内部電極用ペーストを作製した。
【0046】
更に、銅粒子に内部電極用ペーストと同様にして有機ビヒクルを添加し、3本ロールにより混練して端子電極用ペーストを作製した。
【0047】
これら圧電層用ペースト、内部電極用ペーストおよび端子電極用ペーストをそれぞれ作製したのち、フィルム状のPET基板の上に圧電層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、このグリーンシートの上に内部電極用ペーストを印刷した。次いで、内部電極用ペーストを印刷したグリーンシートをPET基板から剥離し、複数枚積層して圧着し、所定の大きさに切断してグリーンチップを得た。その際、グリーンシートの積層数は、内部電極12に挟まれた圧電層11の層数が30層となるようにした。
【0048】
続いて、このグリーンーンチップについて脱バインダ処理、焼成およびアニールをそれぞれ下記の条件で行い、積層体10を作製した。
<脱バインダ処理条件>
昇温速度 : 20℃/h
保持温度 : 300℃
保持時間 : 2時間
雰囲気 : 空気中
【0049】
なお、保持温度はそれぞれの場合における最適温度である。
【0050】
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、水温を35℃としたウェッターを用いた。
【0051】
積層体10を作製したのち、端面をサンドブラストにて研磨し、この端面に端子電極用ペーストを転写して、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気中において800℃で10分間焼成し、端子電極21,22を形成した。これにより、実験例1〜52について図1に示した積層体変位素子をそれぞれ得た。得られた積層体変位素子の大きさは3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極12に挟まれた圧電層11の厚さは10μm、内部電極12の厚さは1.5μmであった。
【0052】
また、実験例1〜52について、積層体変位素子の他に、圧電層11の特性を測定するための円板状サンプルを作製した。この円板状サンプルは、上述した圧電層用ペーストを用い、積層体コンデンサと同一の条件で脱バインダ処理、焼成、およびアニールをそれぞれ行い、直径25mm、厚さ1.2mmの円盤状に加工したのち、銀ペーストを印刷し、600℃で焼き付けたものである。
【0053】
作製した実験例1〜52の積層体変位素子および円板状サンプルについて特性の評価を行った。
<電気機械結合係数(Kr)>
円板状サンプルについて、50℃のオイル中で電界強度5kV/mmで2分間分極処理をし、1日エージングしたのち、インピーダンスアナライザーを用い共振反共振法により広がり方向に電気機械結合係数Krを測定した。
【0054】
<破壊電圧>
積層体変位素子に直流電圧を100V/secの昇圧速度で印加し、0.1mAの漏洩電流を検出するか、または素子が破壊した時の電圧を測定した。
【0055】
<駆動信頼性>
積層体変位素子について、70℃、電界強度Vp-p 5kV/mm、sin波2kHzの環境下において10億回駆動させ、絶縁抵抗および素子の変位量を測定した。10億回後の抵抗値が初期の抵抗値よりも3桁以上低下した場合、あるいは10億回後の変位量が初期の変位量よりも10%以上低下した場合に、駆動信頼性なしと判断した。
【0056】
それらの結果を表2または表3に合わせて示す。表2または表3には示していないが、いずれの実験例についても、圧電層11を単層とした場合に比べて大きな変位量を得ることができた。また、表2に示したように、圧電層11にマンガンを添加した実験例2〜7によれば、マンガンを添加していない実験例1に比べて大きな破壊電圧を得ることができ、圧電層にイットリウムを添加した実験例8〜10によれば、イットリウムを添加していない実験例1に比べて大きな電気機械結合係数を得ることができた。
【0057】
更に、表2に示した実験例11〜28から分かるように、圧電層11にマンガンおよびイットリウムの両方を添加すれば、大きな破壊電圧および高い駆動信頼性を得ることができた。加えて、マンガンの含有量は、チタン酸バリウム100molに対して1mol以下、更には0.01mol〜0.5molの範囲内が好ましく、イットリウムの含有量は、チタン酸バリウム100molに対して20molよりも少なく、更には0.02mol〜12molの範囲内が好ましいことも分かった。
【0058】
また、表3に示した実験例29〜52から分かるように、圧電層11にケイ素を添加すれば、焼成温度を低くしても、電気機械結合係数および破壊電圧についてそれぞれ高い値を得ることができ、駆動信頼性も高めることができた。更に、ケイ素の含有量は、チタン酸バリウム100molに対して15mol以下、更には0.01mol〜15molの範囲内が好ましいことも分かった。
【0059】
なお、ここでは詳細に説明しないが、主成分および副成分に実施の形態において説明した他のものを用いても、同様の結果を得ることができる。
【0060】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、圧電層11が主成分の酸化物に加えて副成分を含む場合について説明したが、本発明は、主成分の酸化物を含んでいればこれらの副成分を含まない場合についても広く適用することができる。また、圧電層11が他の副成分を含む場合についても適用することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の積層体変位素子によれば、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO 3 )と、副成分としてマンガン(Mn)およびイットリウム(Y)を含み、マンガンおよびイットリウムの含有量を所定量とした圧電層を複数積層するようにしたので、大きな変位量を得ることができると共に、積層数により変位量を任意に調節することもできる。よって、鉛の含有量が少なく、低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた積層体変位素子の活用を図ることができるという効果を奏する。また、破壊電圧または駆動信頼性を向上させることができ、さらに電気機械結合係数または駆動信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【0064】
更に、請求項4または請求項5記載の積層体変位素子によれば、圧電層がケイ素を所定量含むようにしたので、低温で焼結しても高い焼結性を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る積層体変位素子の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
10…積層体、11…圧電層、12…内部電極、21,22…端子電極。
Claims (5)
- 交互に積層された複数の圧電層と複数の内部電極とを備え、
前記圧電層は、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO 3 )と、副成分としてマンガン(Mn)およびイットリウム(Y)とを含み、
前記圧電層における前記副成分の含有量は、前記主成分100molに対して、前記マンガンが0.01mol以上1mol以下の範囲内、前記イットリウムが0.02mol以上20molよりも少ない範囲内である
ことを特徴とする積層体変位素子。 - 前記圧電層は、前記マンガンを、前記主成分100molに対して0.01mol以上0.5mol以下の範囲内で含む
ことを特徴とする請求項1記載の積層体変位素子。 - 前記圧電層は、前記イットリウムを、前記主成分100molに対して0.02mol以上12mol以下の範囲内で含む
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層体変位素子。 - 前記圧電層は、副成分として珪素(Si)を、前記主成分100molに対して0.01mol以上15mol以下の範囲内で含む
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の積層体変位素子。 - 前記内部電極は、ニッケル(Ni),銅(Cu),金(Au),白金(Pt),パラジウム(Pd)および銀(Ag)からなる群のうちの少なくとも1種を含む
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層体変位素子。
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