JP4743095B2 - 注射器 - Google Patents
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Description
このような注射器において、使用後のカヌラが医療従事者に刺さってしまう誤穿刺事故を防止するため、上記プランジャ及び内ハブに係合手段及び被係合手段を設け、注射器の使用後にはこれら係合手段と被係合手段とを係合させてプランジャと内ハブとを連結し、上記プランジャを後退させて上記カヌラを内ハブごとバレル内に収納可能としたものが知られている。(特許文献1〜4)
またこれらの注射器においては、搬送中における損傷等から上記カヌラを保護するため、注射器が使用される直前まで上記カヌラは保護カバー内に収納され、使用時に当該保護カバーが除去されるようになっている。
しかしながら上記特許文献1、2の注射器の場合、プランジャを前進端に移動させて「ゼロ点合わせ」をすると、係合手段と被係合手段とが係合してしまい、プランジャを後退させるとカヌラも後退してしまうので「ゼロ点合わせ」をすることができなかった。
また上記特許文献3、4の注射器の場合も、プランジャを前進端に移動させて「ゼロ点合わせ」をした際、プランジャに過剰な押圧力を作用させてしまうと、係合手段と被係合手段とが係合してしまい、注射器として使用できなくなる恐れがあった。
このような問題に鑑み、本発明は注射器の使用後にカヌラをバレルの内側方向に引き込み可能な注射器であって、確実に「ゼロ点合わせ」をすることの可能な注射器を提供するものである。
使用時には保護カバーを離脱させてカヌラを露出させ、使用後には上記内ハブを保持機構より離脱させて、カヌラを内ハブごとバレルの内側方向に引き込み可能とした注射器において、
上記プランジャの中央に貫通孔を形成して、該貫通孔内に内芯棒を進退動可能に設けるとともに、貫通孔における上記内芯棒の後方に上記保護カバーを挿入できるようにし、
上記内芯棒の先端に第1係合部を設けるとともに、上記内ハブの後端に第1係合部に係合する第2係合部を設け、
上記内芯棒をプランジャに対して後退位置に位置させた状態では、上記第1係合部は上記第2係合部に係合することがない位置に保持され、
上記保護カバーを上記貫通孔の後方より挿入して上記内芯棒を前進させ、上記内芯棒がプランジャに対して前進位置に位置した状態において、第1係合部と第2係合部とが相互に係合し、
第1係合部と第2係合部とを相互に係合させた状態でプランジャを後退させることにより、上記内ハブごとカヌラをバレルの内側に引き込むことを特徴としている。
またこの状態でプランジャに過剰な押圧力が作用しても、内芯棒に押圧力が作用することはなく、第1係合部はプランジャに対して後退位置に位置しているので、第1係合部と第2係合部とが係合することはなく、確実に「ゼロ点合わせ」を行うことができる。
一方、注射器の使用後は、保護カバーを貫通孔に挿入して上記内芯棒を前進させることで、第1係合部と第2係合部とを相互に係合させることができ、さらにその状態からプランジャを後退させることにより、内ハブごとカヌラをバレルの内側方向に収納することができ、誤穿刺事故を防止することができる。
上記注射器1は、血液や薬剤などを貯溜する筒状のバレル2と、該バレル2内を進退動するプランジャ3と、該プランジャ3内を進退動する内芯棒4と、上記プランジャ3の先端に連結されて上記バレル2を気密を守った状態で進退動するガスケット5と、先端にカヌラ6の固定された内ハブ7と、当該内ハブ7をバレル2に保持すると共にリーク防止機能を有する保持機構としての外ハブ8と、上記外ハブ8の先端に装着されて上記カヌラ6を収納する保護カバー9とから構成されている。
上記内芯棒4の先端には第1係合部10が設けられており、また上記内ハブ7の後端には当該第1係合部10と係合する第2係合部11が設けられている。
図1は注射器1の使用前の状態を示すと共に、プランジャ3が「ゼロ点合わせ」の位置に位置している状態を示し、図2は注射器1の使用後の状態であって、第1係合部10と第2係合部11とを相互に係合させた状態を示し、図3は第1係合部10と第2係合部11とが相互に係合した状態から、プランジャ3を後退させて内ハブ7ごとカヌラ6をバレル2内に収納した状態を示している。
なお図4は図1における注射器1の一部を拡大した図となっている。
上記薬液室2aの外周面には薬剤や血液量を測定するための目盛が印刷され、また薬液室2aの内周面後端には内周に向けて第3突起2dが形成され、上記プランジャ3の脱落を防止するようになっている。
また図4に示すように、上記結合部2bの内周面は上記内ハブ7を収容可能な径で製造されており、結合部2bの外周面は先端に向けて縮径するテーパ形状を有している。
この結合部2bのテーパ形状はISO(国際標準化機構)に準拠した形状となっており、本実施例の注射器1には、安全機構としては機能しないが一般的に用いられるバレル2をそのまま使用することが可能となっている。
さらに、上記結合部2bの内周面の所要の位置には内方に向けて第6突起2dが形成されており、この第6突起によって上記外ハブ8に保持された内ハブ7が後退するのを阻止するようになっている。
上記連結部21は上記ガスケット5の後端部に形成された連結部5aと相互に連結可能な形状に形成され、上記連結部21の後端には薬液室2aの内径と略同径に形成された円盤状の押圧部21aが備えられている。
上記押圧部21aは、図3に示すようにプランジャ3を後方に移動させると上記薬液室2aに形成された第3突起2dに前方から係合して、プランジャ3がバレル2より脱落するのを防止するようになっている。
次に、上記筒状部22の外径は上記押圧部21aよりも小径に形成され、また上記筒状部22の内部にはプランジャ3の前方から後端にかけて貫通孔24が形成されている。
上記貫通孔24は、前方に形成されて上記内芯棒4が進退動する小径部24aと、該小径部24aの後方に形成されて保護カバー9の挿入可能な大径部24bと、小径部24aと大径部24bとの境界は段差部24cが形成されている。
上記小径部24aの所要の位置には、図4に示すように内周に向けて第1仮止め部24dが形成され、また当該第1仮止め部24dの後方には環状溝が成形されるとともに、シール部材としてのOリング25が嵌着されている。
上記Oリング25は貫通孔24と内芯棒4との間を液密を保った状態でシールし、これら貫通孔24と内芯棒4との間に侵入した血液や薬剤が大径部24bへと漏れるのを防止するようになっている。
上記段差部24cの後方にはリング状のフィルタ26が設けられており、このフィルタ26の中心を上記内芯棒4が貫通し、その外径は上記大径部24bと略同径となっている。
このフィルタ26は吸水性を有しており、小径部24aと内芯棒4との間から大径部24bに流入する血液や薬剤を吸収し、プランジャ3から血液や薬剤が外部に漏れるのを防止するようになっている。
なお、上記Oリング25およびフィルタ26については、これを省略することも可能であり、またOリング25およびフィルタ26に代えて、プランジャ3から血液や薬剤が外部に漏れるのを防止するための機構を別途設けてもよい。
また内芯棒4の所要の位置には、図4に示すように外周に向けて第2仮止め部4bが形成されており、内芯棒4がプランジャ3に対して後退位置に位置している際に、当該第2仮止め部4bが上記小径部24aに形成された第1仮止め部24dの前方から係合して、内芯棒4が小径部24aより脱落するのを防止するようになっている。
さらに上記ストッパ部4aは、図2に示すように内芯棒4が前進すると上記フィルタ26に当接し、フィルタ26が貫通孔24の段差部24cとストッパ部4aとによって挟持されるようになると、内芯棒4の前進が規制されて内芯棒4はプランジャ3に対して前進位置に位置するようになっている。
なお、フィルタ26がプランジャ3の大径部24bとストッパ部4aとによって挟持された結果、フィルタ26が圧縮されてストッパ部4aと段差部24cとがじかに接触してもよい。
上記筒状部10aの外径は上記内芯棒4と同径に製造され、また上記第1突起10bは上記筒状部10aの開口部に沿って環状に形成されている。
なお、上記筒状部10aの後端と内芯棒4の先端とは、接着の他、カシメ、インサート成形等の手段により相互に固着することも可能であり、また上記第1突起10bを、筒状部10a先端の開口部に沿って等間隔に形成された複数枚の金属片または樹脂片としてもよい。
図4に示すように、上記ガスケット5にはプランジャ3の連結部21と相互に連結される連結部5aと、中央に形成されて上記プランジャ3の貫通孔24と連通する空間5bとを備えている。
上記空間5bの先端側の壁面は薄肉部5cとなっており、当該薄肉部5cの厚さは本実施例では約0.1〜1mm程度であり、好ましくは0.5〜0.7mmに設定されている。
この薄肉部5cは、プランジャ3の進退動によってバレル2の内圧等が変動しても破れないような厚さに設定される一方、上記内芯棒4を前進させた際に、上記第1係合部10によって突き破れるような厚さに設定されている。
図4に示すように、上記内ハブ7の外周面には、その先端側から、前方に向けて縮径するテーパ形状7aと、該テーパ形状7aの後方に形成された同一径からなるストレート部7bと、該ストレート部7bの所要の位置から外周側に向けて膨出する第4突起7cとが形成されている。
上記第2係合部11は、上記内ハブ7の後端に設けられた2本のステー11aと、該ステー11aの後端に設けられた第2突起11bと、該第2突起11bのさらに後方に設けられて上記ステー11aの後端部を相互に連結する鋭角部11cと、ステー11aの基部近傍より外方に突出する第7突起11dとから構成されている。
上記ステー11aはカヌラ6を挟んで対向する位置に設けられており、この2本のステー11aの間の空間によって、カヌラ6とバレル2の薬液室2aとが連通するようになっている。
また上記第2突起11bの外径は上記第1係合部10における筒状部10aの内径よりも大径に製造されており、第2突起11bが筒状部10a内に収納されると、第2突起11bは相互に接近して上記ステー11aを内側に弾性変形させるようになっている。
また2つの第2突起11bの係合面は前後に異なる位置に形成されており、図2に示すように内ハブ7が外ハブ8に保持された状態で第1係合部10と内ハブ7とが係合すると、第2突起11bの一方(図示下方側)の係合面だけが上記第1突起10bと係合する。
そして上記第1係合部10と第2係合部11とが係合した状態のまま内芯棒4を後退させ、内ハブ7が外ハブ8から離脱してバレル2の内部に収容されると、図3に示すように内ハブ7が傾き、係合していなかった他方の第2突起11bが第1突起10bと係合するようになっている。
上記鋭角部11cは上記2本のステー11aの後端部分を相互に連結すると共に、後端に向けて鋭く加工されており、上記ガスケット5の薄肉部5cを第1係合部10によって貫通できない場合、第1係合部10によって前方に押圧された薄肉部5cを該鋭角部11cによって突き破り、第1係合部10が薄肉部5cを貫通できるようにしている。
なお、上記第1係合部10によって確実にガスケット5の薄肉部5cを貫通できる場合等には、上記ステー11aの後端の形状を、上記鋭角部11cに代わる所要の形状とすることが可能である。
上記第7突起11dの後方には平坦な係合面が形成されており、内ハブ7が外ハブ8によって保持された状態において、当該第7突起11dと上記バレル2の結合部2bの第6突起2dとが相互に係合し、内ハブ7の後退を阻止するようになっている。
そして上記第1係合部10と第2係合部11とが係合して上記ステー11aが変形すると、それに伴って上記第7突起11dが相互に接近し、第6突起2dとの係合状態が解除されるようになっている。
なお、内ハブ7の後退は後述する外ハブ8によっても阻止されるようになっているため、上記第6、第7突起2d、11dについては省略することも可能である。
上記内ハブ連結部8aには上記内ハブ7のテーパ形状7aと同テーパのテーパ形状8dと、その後方に位置して上記ストレート部7bと同径のストレート部8eと、当該ストレート部8eの後方に形成されて上記第4突起7cと相互に係合する第5突起8fとが形成されている。
上記外ハブ8によって内ハブ7を保持すると、上記テーパ形状7aとテーパ形状8dとが相互に密着して嵌合し、またストレート部7bとストレート部8eとが相互に密着して嵌合し、さらに第5突起8fの前方に第4突起7cが係合するようになっている。
これらの形状により、内ハブ7に作用する後方への押圧力に対向して内ハブ7が後退するのを阻止することができ、また外ハブ8と内ハブ7とは液密を保った状態に保持されてバレル2内の薬液等の漏出が防止されるようになっている。
そして上記第1係合部10と第2係合部11とが係合した状態から、第1係合部10を後退させると、内ハブ7には後方に向かう所要の力が作用することとなり、上記テーパ形状7a、8dおよびストレート部7b、8eの嵌合状態が解除され、また第4突起7cが第5突起8fを乗り越え、内ハブ7が外ハブ8より離脱するようになっている。
次に、上記バレル連結部8bは上記バレル2の結合部2bの外周面と同テーパのテーパ形状を有しており、バレル連結部8bに結合部2bを挿入すると、外ハブ8とバレル2とが相互に密着して連結されることとなる。
このように、上記バレル連結部8bの内周面は上記バレル2の結合部2bと同テーパのテーパ形状に加工されていることから、上記外ハブ8および内ハブ7をISOに準拠した多様なバレル2に装着することができるようになっている。
また、上記外ハブ8によって内ハブ7が保持されると、内ハブ7の先端が上記内ハブ連結部8aの先端から突出するようになっている。
注射器1の製造時には、最初に内ハブ7を外ハブ8の後方より挿入して相互に連結し、その後内ハブ7にカヌラ6を装着するようになっており、このとき内ハブ7の先端が上記内ハブ連結部8aの先端より突出していることから、カヌラ6を内ハブ7の先端開口部に挿入しやすくなっている。
なお、必ずしも上記内ハブ7の先端を上記内ハブ連結部8aの先端から突出させる必要はなく、また注射器1の製造時において、内ハブ7にカヌラ6を装着してから、上記内ハブ7と外ハブ8とを連結するようにしてもよい。但しこの場合には、カヌラ6の切先が外ハブ8に接触してしまうと、切先がマクレることがあるので留意しなければならない。
さらに、内ハブ7と外ハブ8とを相互に連結すると、上記内ハブ7の後端に位置する鋭角部11cは上記バレル連結部8bの後端面よりも突出しない位置にあり、上記鋭角部11cが作業者に刺さる製造時の事故を防止するようになっている。
そして上記保護カバー連結部8cは、上記保護カバー9の後端内周面の形状と嵌合する形状を有しており、上記保護カバー9を外ハブ8に装着して保護カバー連結部8cと保護カバー9とが相互に嵌合させることで、注射器1の搬送中における保護カバー9の脱落が防止されるようになっている。
この保護カバー9は、注射器1の使用直前まで外ハブ8に装着されており、注射器1の搬送中におけるカヌラ6の損傷を防止し、注射器1の使用時には保護カバー9を外ハブ8より離脱させてカヌラ6を露出させるようになっている。
そして注射器1の使用後には、図2に示すように保護カバー9をプランジャ3の上記大径部24bに挿入して、上記内芯棒4の後端部を押圧することで、内芯棒4を後退位置から前進位置に移動させるようになっている。
なお保護カバー9の全長は、該保護カバー9によって上記内芯棒4を前進位置に位置させたときに、その後端が若干露出する程度の長さであるのが望ましい。(図2、図3参照)
使用前の状態としては、図1に示すように外ハブ8の保護カバー連結部8cには保護カバー9が装着されており、またバレル2内に薬液等は貯溜されておらず、上記内芯棒4はプランジャ3に対して後退位置に位置している。
そして注射器1を使用する際には、最初に上記保護カバー9を外ハブ8より離脱させて上記カヌラ6を露出させる。
ここで、注射器1の搬送中や使用中においては、貫通孔24の小径部24aに形成された第1仮止め部24dと内芯棒4に形成された第2仮止め部4bとが相互に係合しているため、内芯棒4がプランジャ3より脱落しないようになっている。
次に、注射器1に薬剤を吸引したり血液を採取するため、医療従事者は最初にプランジャ3を前進させてガスケット5を薬液室2aの前進端に位置させ、「ゼロ点合わせ」を行う。(図1参照)
この「ゼロ点合わせ」の状態において、プランジャ3の押圧フランジ23に押圧力が作用しても内芯棒4には押圧力が作用することはないので、内芯棒4が相対的に前進して第1係合部10と第2係合部11とが係合することはない。
このようにして「ゼロ点合わせ」を行ったら、カヌラ6をバイアルや患者に穿刺し、続いてプランジャ3後退させてバレル2内に薬液や血液を流入させる。
このような作業により、カヌラ6をバイアルや患者等に穿刺する際にはカヌラ6及び内ハブ7に後方に向けて力が作用し、また薬液や血液がバレル2の薬液室2aや結合部2b内に流入するようになる。
これに対し、上記内ハブ7と外ハブ8とは、上記テーパ形状7a、8dおよびストレート部7b、8eが嵌合し、また第5突起8fの前方に第4突起7cが係合しているので、内ハブ7は外ハブ8から離脱しないようになっており、またバレル2内の薬液や血液がこれらの間から漏出するのが防止されている。
さらに、内ハブ7とバレル2とは、ステー11aに形成された第7突起11dが結合部2bに形成された第6突起2dと係合しているので、内ハブ7の後退が阻止されるようになっている。
なお、医療従事者は注射器1の先端を下方に向けずに以下の作業を行うことで、バレル2内に残留する血液や薬剤等が外部に飛散するのを防止するようになっている。
最初に、医療従事者は先ほど外ハブ8より離脱させた保護カバー9をプランジャ3の後端から貫通孔24の大径部24bに挿入し、保護カバー9の先端により内芯棒4を前方に押圧する。
これにより内芯棒4は小径部24a内を前進し、上記ストッパ部4aがフィルタ26に当接して、フィルタ26がストッパ部4aと段差部24cとの間で挟持されると、内芯棒4の前進が阻止され、内芯棒4はプランジャ3に対して前進位置に位置することとなる。
一方、内芯棒4を前進させることにより、第1係合部10の先端によりガスケット5の薄肉部5cが前方に押圧され、最終的に第1係合部10により薄肉部5cが破断され、貫通される。
上記第1係合部10を前進させただけではガスケット5の薄肉部5cを破断できなかった場合、第1係合部10により薄肉部5cを前方に向けて変形させれば、内ハブ7の後端に形成された鋭角部11cによって薄肉部5cを突き破ることができ、第1係合部10によって薄肉部5cを貫通することができる。
このようにして第1係合部10により薄肉部5cが貫通されると、破断した薄肉部5cより血液や薬液等がプランジャ3側に侵入し、小径部24aと内芯棒4との間を通過してしまう恐れがある。
しかしながら、小径部24aと内芯棒4との間に侵入した血液や薬剤等は、これらの間に形成されたOリング25によって阻止され、また仮にこのOリング25を超えて血液や薬剤等が侵入しても、これらは小径部24aの後端に位置しているフィルタ26によって吸収されるので、医療従事者に血液や薬液等が触れてしまう事故を防止することができる。
さらに第1突起10bが第2突起11bを超えて前方に移動すると、ステー11aが弾性変形より復帰して、前方に位置する第2突起11bと第1突起10bとが係合し、第1係合部10と第2係合部11とが相互に係合する。
一方、第2突起11bが相互に接近して上記ステー11aが変形することにより、該ステー11aに形成された第7突起11dが相互に接近するようになり、該第7突起11とバレル2の結合部2bに形成された第6突起2dとの係合状態が解除される。
このようにして第1係合部10と第2係合部11とが相互に係合し、内芯棒4と内ハブ7とが連結されたら、医療従事者はプランジャ3を後退させる。
このとき上記内芯棒4のストッパ部材4aはプランジャ3の段差部3cによって相対的な前進が阻止されているため、プランジャ3の後退に伴って後方に移動するようになる。
すると、上記内ハブ7の第4突起7cが外ハブ8の第5突起8fを乗り越えて内ハブ7が外ハブ8より離脱し、内ハブ7がカヌラ6ごとバレル2の内側方向に引き込まれるようになる。
また上記第2係合部11における上記第2突起11bの係合面の位置が前後に異なっていることから、カヌラ6の先端が薬液室2a内に収納されると、内ハブ7が傾いてカヌラ6の先端がバレル2の薬液室2aの内周面に接触するようになり、係合していなかった後方の第2突起11bと第1突起10bとが相互に係合するようになる。
この結果、その後プランジャ3および内芯棒4が前進しても、カヌラ6は薬液室2aと結合部2bとの境界に位置する壁面等によって前進が阻止されるようになり、カヌラ6が外ハブ8より外部に突出して医療従事者に刺さってしまう誤穿刺事故を防止することができる。
またプランジャ3の押圧部21aとバレル2の第3突起2dとが係合してプランジャ3の後退が阻止されるようになっているので、プランジャ3がバレル2より脱落することはない。
このため、プランジャ3に余計な前進力が作用しても内芯棒4が前進せず、第1係合部10と第2係合部11とが係合してしまうことはないので、確実に「ゼロ点合わせ」を行うことができる。
さらに、内芯棒4をプランジャ3に対して前進位置に位置させ、第1係合部10と第2係合部11とを相互に係合させれば、内ハブ7ごとカヌラ6をバレル2内に収容することができ、注射器1の使用後にカヌラ6が医療従事者に刺さる誤穿刺事故を防止することができる。
そして従来の注射器1では保護カバー9は注射器1より離脱されるとそのまま廃棄されるのが一般的となっていたが、本実施例では保護カバー9を内芯棒4を前進させてカヌラ6を内ハブ7ごとバレル2に収容するのに利用することができる。
本実施例の内芯棒104の先端には、第1係合部110を構成する筒状部110aと、該筒状部110aの先端から内周側に突出する第1突起110bとが、一体的に形成され、また上記筒状部110aの外周面には、シール手段としての環状凹部110cが形成されている。
次に、本実施例のガスケット105の中央には上記第1係合部110および内芯棒104が貫通する第2貫通孔105dが形成されており、該第2貫通孔105dの内周面にはシール手段としての環状突起105eが形成されている。
そしてこれら環状凹部110cおよび環状突起105eは、上記内芯棒104がプランジャ103に対して後退位置に位置している状態において、相互に係合して相互に密着するようになっており、ガスケット105と第1係合部110との間をシールするようになっている。
そして内芯棒104が相対的に前進すると、ガスケット105が弾性変形して環状突起105eと環状凹部110cとの係合状態が解除されるようになっている。
なお、本実施例においては、内芯棒104が前進位置に位置しても、上記環状突起105eにより内芯棒104とガスケット105との間がシールされるようになっているため、貫通孔124内に上記第1実施例におけるOリング25を設ける必要はない。
つまり、注射器101の使用前の状態では上記内芯棒104はプランジャ103に対して後退位置に位置しており、この状態からプランジャ103を前進させれば「ゼロ点合わせ」を行うことができる。
このとき、内芯棒104には前進力が作用することはないので、内芯棒104だけが前進して第1係合部110と第2係合部111とが係合してしまう誤作動が生じることはない。
また本実施例ではガスケット105の第2貫通孔105dに形成された環状突起105eと、第1係合部110に形成された環状凹部110cとが相互に係合しているため、ガスケット105と第1係合部110とのシールが保たれ、薬液や血液がこれらの間からプランジャ103側に流入することはない。
最初に、医療従事者は保護カバー109を外ハブ108より離脱させて、保護カバー109をプランジャ103の貫通孔124の大径部124bに挿入し、保護カバー109により内芯棒104を後方より押圧して前進させる。
このとき、内芯棒104の前進に伴い、ガスケット105に形成された環状突起105eと、第1係合部110に形成された環状凹部110cとの係合状態が解除され、第1係合部110がガスケット105に対して前進するようになる。
上記環状突起105eは内芯棒104を前進させた後も内芯棒104の外周面に密着してガスケット105と内芯棒104との間をシールするので、第1実施例と同様、バレル102内の血液や薬剤が貫通孔124の小径部124aと内芯棒104との間に流入することはない。
また仮に上記環状突起105eを超えて血液や薬剤が小径部124aと内芯棒104との間に流入しても、これらの血液や薬剤は上記小径部124aの後方に位置するフィルタ126に吸収されるので、外部に飛散することはない。
そして内芯棒104がさらに前進して、第1係合部110の第1突起110bと内ハブ107に設けられた第2係合部111の第2突起111bとが相互に係合し、内芯棒104と内ハブ107とが連結されたら、医療従事者はプランジャ103を後退させ、内ハブ107を外ハブ108より離脱させる。
本実施例においても上記第2係合部111の第2突起111bの係合面の位置は前後方向に異なっているので、カヌラ106が内ハブ107ごとバレル102内に収納されると、内ハブ107が傾いてカヌラ106の先端がバレル102の薬液室102aの内周面に触れるようになる。
例えば、上記内ハブ7、107の後端に上記第1係合部10、110に形成したのと同様の筒状部10a、110aおよび第1突起110bを設け、内芯棒4、104の先端に上記内ハブ107に形成したのと同様のステー11a、111a及び第2突起11b、111bを設けるようにしてもよい。
3、103 プランジャ 4、104 内芯棒
5、105 ガスケット 7、107 内ハブ
8、108 外ハブ 9、109 保護カバー
10、110 第1係合部 10b、110b 第1突起
11、111 第2係合部 11b、111b 第2突起
Claims (15)
- 筒状のバレルと、該バレルの先端に保持機構により保持された内ハブと、内ハブの先端に固定されたカヌラと、バレル内を進退動するプランジャと、プランジャの先端に連結されたガスケットと、カヌラを収納する保護カバーとを備え、
使用時には保護カバーを離脱させてカヌラを露出させ、使用後には上記内ハブを保持機構より離脱させて、カヌラを内ハブごとバレルの内側方向に引き込み可能とした注射器において、
上記プランジャの中央に貫通孔を形成して、該貫通孔内に内芯棒を進退動可能に設けるとともに、貫通孔における上記内芯棒の後方に上記保護カバーを挿入できるようにし、
上記内芯棒の先端に第1係合部を設けるとともに、上記内ハブの後端に第1係合部に係合する第2係合部を設け、
上記内芯棒をプランジャに対して後退位置に位置させた状態では、上記第1係合部は上記第2係合部に係合することがない位置に保持され、
上記保護カバーを上記貫通孔の後方より挿入して上記内芯棒を前進させ、上記内芯棒がプランジャに対して前進位置に位置した状態において、第1係合部と第2係合部とが相互に係合し、
第1係合部と第2係合部とを相互に係合させた状態でプランジャを後退させることにより、上記内ハブごとカヌラをバレルの内側に引き込むことを特徴とする注射器。 - 上記内芯棒をプランジャに対して後退位置に位置させた状態では、上記第1係合部はガスケットを貫通することのない後退位置に位置しており、
内芯棒をプランジャに対して前進位置に位置させると、上記第1係合部はガスケットを貫通して該ガスケットより前方に突出することを特徴とする請求項1に記載の注射器。 - 上記ガスケットにおいて、上記第1係合部が貫通する部分は薄肉部となっていることを特徴とする請求項2に記載の注射器。
- 上記内ハブの後端に後方に向けて鋭角部を形成し、
上記第1係合部によって上記薄肉部が前方に押圧されると、該薄肉部が鋭角部によって破断され、第1係合部は鋭角部によって破断された薄肉部を貫通して該ガスケットより前方に突出することを特徴とする請求項3に記載の注射器。 - 上記ガスケットに上記第1係合部が進退動する第2貫通孔を形成し、上記第1係合部をプランジャに対して後退位置に位置した状態において、上記第1係合部と第2貫通孔との間をシールするシール手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の注射器。
- 上記シール手段は、上記第2貫通孔の内周面と上記第1係合部の外周面とからなり、上記第2貫通孔の内周面と上記第1係合部の外周面とが相互に密着してその部分をシールすることを特徴とする請求項5に記載の注射器。
- 上記ガスケットの第2貫通孔の内周面に環状突起を形成すると共に、上記第1係合部の外周面に環状凹部を形成し、
これら環状突起と環状凹部とは、上記第1係合部をプランジャに対して後退位置に位置させた際に、相互に係合することを特徴とする請求項6に記載の注射器。 - 上記貫通孔は、前方に形成されて上記内芯棒が進退動する小径部と、該小径部よりも後方に形成されて上記保護カバーが収納される大径部と、小径部と大径部との間に形成された段差部とから構成され、
上記内芯棒の後端に上記小径部よりも大径のストッパ部を形成して、
上記段差部によりストッパ部の前進を阻止して、上記第1係合部がプランジャに対して前進位置に位置するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の注射器。 - 上記段差部に上記内芯棒を囲繞するようにフィルタを設け、上記第1係合部がプランジャに対して前進位置に位置した状態において、上記小径部と内芯棒との間を流通する液体が上記フィルタに吸収されるようにしたことを特徴とする請求項8に記載の注射器。
- 上記内芯棒と貫通孔との間に、これらをシールするシール部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の注射器。
- 上記貫通孔の内面に第1仮止め部を形成すると共に、内芯棒の外部に第2仮止め部を形成して、
上記第1係合部がプランジャに対して後退位置に位置した状態において、上記第2仮止め部が第1仮止め部の前方から係合して、内芯棒の後退が規制されることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の注射器。 - 上記内芯棒に設けた第1係合部は、内芯棒の先端に設けられた筒状の筒状部と、該筒状部の先端より内周側に突出する第1突起とから構成され、
上記内ハブに設けた第2係合部は、内ハブの後端側に形成されて外周側に突出する第2突起から構成され、
上記内ハブの後端部が上記筒状部に挿入され、第1突起が上記第2突起よりも相対的に前方に位置すると、該第1突起と第2突起とが相互に係合することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の注射器。 - 上記第2突起は、上記内ハブの後方に突出する複数本のステーの後端にそれぞれ形成され、
上記内芯棒が前進して上記第1突起と第2突起とが当接すると、上記ステーが内側に向けて弾性変形し、さらに第1突起が第2突起に対して前方に相対移動すると、ステーが外側に向けて弾性変形して第1突起と第2突起とが相互に係合することを特徴とする請求項12に記載の注射器。 - 上記第1突起は前後方向に同一の位置に形成され、上記第2突起は内ハブの中心軸に対して対角上に2ヶ所に形成されるとともに前後方向に異なる位置に形成され、
上記第1突起と後方に位置する第2突起とが係合した状態で、上記内芯棒を後退させて内ハブを後退させると、内ハブがバレル内に収容された際に、内ハブが傾いて前方に位置する第2突起と第1突起とが係合するようにしたことを特徴とする請求項12または請求項13のいずれかに記載の注射器。 - 上記保持機構は、その内周面に上記バレル先端の外周面に嵌合するバレル連結部および該バレル連結部の先端側に形成された内ハブ連結部とを備え、
上記保持機構の内ハブ連結部および上記内ハブの先端部には、それぞれ前方に向けて縮径する同テーパのテーパ形状が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の注射器。
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